現像装置、プロセスユニットおよび画像形成装置
【課題】層厚規制部にシール部材を容易に組み付けることができる。
【解決手段】板ばね部材77aの両端部には、押圧部77bと係合部77cとにより、左右方向の長さがLの溝部77dが形成される。ブレードシール部材75は、ブレードシール部材75の左右方向の長さAが、溝部77dの間隔Lよりも長くなるように構成されている。ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込むことで、ブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとが密着する。
【解決手段】板ばね部材77aの両端部には、押圧部77bと係合部77cとにより、左右方向の長さがLの溝部77dが形成される。ブレードシール部材75は、ブレードシール部材75の左右方向の長さAが、溝部77dの間隔Lよりも長くなるように構成されている。ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込むことで、ブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとが密着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置、およびその画像形成装置に装着される現像装置並びにプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成され、現像剤であるトナーが収容されている現像カートリッジから感光体ドラムの静電潜像にトナーが供給されることにより、感光体ドラムの表面にトナー像が形成される。そのトナー像が転写材である用紙に転写されることによって、用紙への画像形成が行われる。
【0003】
この現像カートリッジは、たとえば、特許文献1では、感光体ドラムに向けて開口した開口部を有する筐体と、その筐体内に設けられてトナーを収容する収容室と、筐体に回転可能に支持されるとともに、開口部からその外周面が露出するように配置された現像ローラと、筺体に固着された板バネ部材と板バネ部材の下端部に固着された層厚規制部とを有し、現像ローラの外周面上に担持されたトナー層の厚さを規制する層厚規制部材と、現像ローラの回転軸線方向の両端部に設けられ、筐体外へトナーが漏れることを防止する為に板バネ部材に貼り付けられたシール部材とを備えている。
【0004】
このような現像カートリッジにおいて、シール部材と層厚規制部との間に隙間があると、その隙間を通ってトナーが筐体外へ漏れてしまうため、シール部材を板バネ上に貼り付ける場合、シール部材と層厚規制部との間に隙間が発生しないように最善の注意を払って両面テープでシール部材を貼り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−189346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の現像カートリッジでは、両面テープを介してシール部材を板バネに貼り付けるときに、高い位置決め精度が求められる為、シール部材の取り付けに手間がかかるといった問題があった。
【0007】
そこで、本願では上記の問題に鑑みてなされたものであり、層厚規制部にシール部材を容易に組み付けることができる構成を有する現像装置、および、その現像装置を備えるプロセスユニット並びに画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外周面上に現像剤を担持する現像ローラと、前記現像ローラを回転可能に支持し、前記現像ローラの回転軸線方向に延びる開口部を有する筐体と、一端が前記筺体に固着され前記開口部の前記回転軸線方向に沿って延びる薄板状に形成された薄板部材と、前記薄板部材の自由端部に固着され、現像剤を介して前記現像ローラの外周面と接触する層厚規制部とを有し、前記現像ローラの外周面上の現像剤層の厚みを規制する層厚規制部材と、前記回転軸線方向における前記層厚規制部の両端部よりも外側の前記薄板部材上に固着され、前記層厚規制部との間に溝部を形成する固着部材と、前記回転軸線方向における前記溝部の長さよりも長い長さを有し、前記溝部に嵌め込むことによって、前記筐体外への現像剤の漏れを抑制するシール部材と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記溝部には、前記シール部材を前記溝部に組み付けたときに前記シール部材の下面と対向する溝部の底面に、先端が前記回転軸線方向内側に傾いたのこぎり刃形状が形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記溝部は、前記回転軸線方向における前記現像ローラと対向する開口部の長さが、前記薄板部材側である底部の長さより短く形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記溝部は、前記回転軸線方向における前記薄板部材側である底部の長さが、前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って徐々に短く形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記シール部材が前記溝部に組み付けられる部分から前記現像ローラの回転方向上流側に延出し且つ現像ローラの回転軸線方向に延出して前記層厚規制部と係合する延出部を有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明において、前記シール部材は、弾性を有する基材と、前記基材上に設けられた起毛材とを有し、前記起毛材は、前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って、前記回転軸線方向の内側に向かう斜め方向に向けて倒されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記シール部材は、前記回転軸線方向における前記基材の外側端部が、前記回転軸線方向における前記起毛材の外側端部よりも外側に突出するように構成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、プロセスユニットにおいて、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の現像装置と、前記現像装置から現像剤が供給されて現像剤像が形成される感光体と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置であって、前記感光体に対して光を走査する露光手段と、前記プロセスユニットで形成された現像剤像を用紙に転写する転写手段と、用紙上に形成された現像剤像を定着する定着手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、シール部材は、回転軸線方向における溝部の長さよりも長い長さを有し、固着部材と層厚規制部との間の溝部に組み付けられるので、シール部材を溝部に組み付けるだけで、シール部材と層厚規制部とが密着する。その結果、層厚規制部にシール部材を容易に組み付けることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、溝部の底面に、先端が回転軸線方向内側に傾いたのこぎり刃形状が形成されているので、シール部材を切り欠き部に組み付けるときに、シール部材が回転軸線方向の内側に移動するようにシール部材が溝部に組みつけられる。そのため、シール部材が、回転軸線方向における溝部の側壁部とより密着するため、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、溝部は、回転軸線方向における前記現像ローラと対向する開口部の長さが、薄板部材側である底部の長さより短く形成されているので、溝部は、シール部材を溝部に組み付けた後に、シール部材が開口部側に移動することを抑制する。その結果、層厚規制部とシール部材との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、溝部は、回転軸線方向における薄板部材側である底部の長さが、現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って徐々に短く形成されているので、シール部材は、現像ローラの回転方向の下流に向かうに従って、溝部の両側壁部とより密着する。つまり、溝部は、現像ローラが回転しているときに、シール部材が現像ローラの回転方向に移動するのを抑制する。その結果、層厚規制部とシール部材との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、シール部材は、シール部材が溝部に組み付けられる部分から現像ローラの回転方向上流側に延出し且つ現像ローラの回転軸線方向に延出して層厚規制部と係合する延出部を有しているので、延出部は、現像ローラが回転しているときに、層厚規制部と係合するため、シール部材が現像ローラの回転方向に移動することを抑制する。その結果、層厚規制部とシール部材との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、シール部材は、起毛材を有し、起毛材が現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って、回転軸線方向の内側に向かう斜め方向に向けて倒されているので、トナーがシール部材の表面に侵入した場合、トナーは起毛材の倒されている方向に沿って移動する。つまりトナーは、開口部へ戻るように移動する。これにより、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、シール部材は、回転軸線方向における基材の外側端部が、回転軸線方向における起毛材の外側端部よりも外側に突出するように構成されているので、起毛材は、シール部材を溝部に嵌め込んだときに、基材よりも弾性変形しない。そのため、シール部材を嵌め込んだときに、起毛材が盛り上がって起毛材の起毛の倒れる方向が不均一になることを抑制することができる。その結果、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、プロセスユニットは、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の現像装置を備えているので、請求項1乃至請求項7に関して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、画像形成装置は、請求項8に記載したプロセスユニットを備えているので、請求項1乃至請求項8に関連して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】カラーレーザプリンタの概略構成を示す側断面図
【図2】図1における現像カートリッジを後側斜め下方向から見たときの斜視図
【図3】図1における現像カートリッジの中央断面図
【図4】図1におけるブレードユニットの模式図
【図5】(a)図2における現像カートリッジの右側端部を下方から見たときのブレードシール部材を組み付ける前の説明図、(b)図2における現像カートリッジの右側端部を下方から見たときのブレードシール部材を組み付ける後の説明図
【図6】ブレードシール部材の組み付けを説明する為に図5(a)の板ばね部材の右側端部を前側からみたときの説明図
【図7】変形例の溝部を説明するための説明図
【図8】変形例の溝部を説明するための説明図
【図9】変形例の溝部を説明するための説明図
【図10】変形例のブレードシール部材を説明するための説明図
【図11】変形例のブレードシール部材を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施形態1〕
<カラーレーザプリンタの全体構成>
図1は、本実施形態1の画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタ1の概略構成を示す側断面図である。
【0028】
このカラーレーザプリンタ1は、図1に示すように、本体筐体2を備え、本体筐体2内において、用紙を画像形成部4へ供給する給紙部3と、給紙された用紙に画像を形成する画像形成部4と、画像が形成された用紙を排紙する排紙部5と、をさらに備えている。
【0029】
なお、以下の説明において、特に断りがない限り図1に示した上下方向を上下、図1における右側を前、左側を後、紙面の奥側を右、紙面の手前側を左として、各方向を示す。ここでの方向は、カラーレーザプリンタ1の手前に立った者から見た方向を基準として規定してある。
【0030】
本体筐体2には、開口を開閉可能なカバー21が設けられている。
このカバー21は、その下端部に設けられたカバー軸(図示せず)に回動自在に支持されている。カバー21を閉じると(閉状態)、カバー21によって開口が閉鎖される。またカバー21を開けると(開状態)、開口が開放される。ユーザは、この開口から後述する現像装置の一例としての各色の現像カートリッジ7が装着されたユニット本体61を着脱させることができる。
【0031】
(1)給紙部
給紙部3は、本体筐体2内の下方において、用紙を収納する給紙トレイ31と、給紙ローラ32、およびレジストローラ33を備えている。
このように構成された給紙部3では、給紙トレイ31から用紙が一枚ずつ分離されて画像形成部4へ送られる。
【0032】
(2)画像形成部
画像形成部4は、露光部41と、プロセス部6と、転写部8と、定着部9を備えている。
【0033】
(2−1)露光部
露光部41は、本体筐体2内の上部に設けられ、レーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡(図示せず)を備えている。
【0034】
このように構成された露光部41では、所定の画像データに基づいてレーザ光源から発光されるレーザ光が、ポリゴンミラーで左右方向に高速で走査され、レンズおよび反射鏡を通過または反射した後、感光体ドラム62に照射される。
【0035】
(2−2)プロセス部
プロセス部6は、露光部41の下方であって、給紙部3の上方に配置されている。プロセス部6は、ユニット本体61と、ユニット本体61に装着された各色のトナーが入った現像カートリッジ7とを備えている。
【0036】
ユニット本体61は、前側から後側に並べて配置され、各色の現像カートリッジ7に対応する4つのドラムサブユニットを有している。
【0037】
各ドラムサブユニットは、感光体ドラム62およびスコロトロン型帯電器63などを備えている。
【0038】
現像カートリッジ7は、現像ケーシング70を備え、現像ケーシング70に回転可能に支持される現像ローラ71と、トナーを現像ローラ71に供給する供給ローラ72と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部78とを備えている。
【0039】
現像カートリッジ7は、ブラック用、イエロー用、マゼンタ用およびシアン用の各色のトナーが入っており、用紙の搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。なお、各現像カートリッジ7は、トナー収容部78に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は同一である。
【0040】
現像ローラ71は、金属製のローラ軸と、ローラ軸を導電性のゴム材料で被覆する被覆部とを有している。被覆部は、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなる表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。また被覆部は、感光体ドラム62と接触する部分である。
【0041】
供給ローラ72は、金属性のローラ軸と、ローラ軸を導電性の発泡材料で被覆する被覆部とを有している。
【0042】
トナー収容部78には、現像剤として、たとえば非磁性一成分の重合トナーが用いられている。重合トナーは、略球形であり、流動性が良好である。また、トナー収容部78には、トナー収容部78内のトナーを攪拌するためのアジテータ79が設けられている。
【0043】
このように構成されたプロセス部6では、感光体ドラム62の表面が帯電器63により一様に帯電され、帯電された感光体ドラム62の表面がレーザ光の走査によって露光され、露光された部分の電位が下がることにより、感光体ドラム62の表面に静電潜像が形成される。
【0044】
一方、トナー収容部78のトナーが供給ローラ72により現像ローラ71上に供給され、供給ローラ72と現像ローラ71との間で摩擦帯電される。
【0045】
そして、現像カートリッジ7から供給されたトナーが、感光体ドラム62の露光された部分に保持されることにより、感光体ドラム62の表面にトナー像が形成される。
【0046】
(2−3)転写部
転写部8は、給紙部3の上方であって、プロセス部6の下方に配置されている。転写部8は、駆動ローラ81、従動ローラ82、用紙を定着部9へ搬送するとともに、後述するテスト画像が形成される搬送ベルト83および転写ローラ84を備えている。
【0047】
駆動ローラ81及び従動ローラ82は、離間して平行に配置され、これらの間に無端状の搬送ベルト83が張り渡されている。搬送ベルト83は、その外側の面が各感光体ドラム62に接している。また、搬送ベルト83の内側には、各感光体ドラム62との間で搬送ベルト83を狭持する4つの転写ローラ84が配置されている。この転写ローラ84には、各感光体ドラム62上のトナー像を用紙に転写するために、転写バイアスが印加される。
【0048】
このように構成された転写部8では、画像形成時に搬送ベルト83により搬送されてきた用紙が、感光体ドラム62と搬送ベルト83の内側に配置される転写ローラ84との間を搬送される。そして、感光体ドラム62上に狭持されたトナー像が用紙に転写される。
【0049】
(2−4)定着部
定着部9は、現像カートリッジ7に対して後側に配置され、熱源により加熱される加熱ローラ91および加熱ローラ91に圧接する加圧ローラ92を備えている。
【0050】
このように構成された定着部9では、用紙が加熱ローラ91と加圧ローラ92との間を通過することにより、用紙上のトナー像が用紙に熱定着される。
【0051】
(3)排紙部
排紙部5は、定着部9を通過した用紙を搬送するための排紙ローラ51と、排紙ローラ51より搬送された用紙を蓄積する排紙トレイ52とを備えている。
【0052】
このように構成された排紙部5では、定着部9でトナー像が定着された用紙が、排紙ローラ51によって搬送されて排紙トレイ52上に排紙される。
【0053】
<現像カートリッジの具体的な構成>
次に、図2〜6を用いて、本発明の特徴部分である現像カートリッジ7の詳細な構成について説明をする。
【0054】
なお以下では、本体筐体2に装着されているときの状態を基準として、現像カートリッジ7について説明する。4つの現像カートリッジ7の構成は、収容するトナーの色が異なる点以外では、同じである。
【0055】
現像カートリッジ7は、図2に示すように、筐体の一例としての現像ケーシング70と、上述した現像ローラ71(図2においては現像ローラ71を省略している)と、供給ローラ72とを備え、ブレードユニット73と、現像ローラ71の両端部と摺接する弾性変形可能なサイドシール部材74およびシール部材の一例としてのブレードシール部材75と、現像ローラ71の下側と摺接するロアフィルム76と、をさらに有している。なお現像ローラ71は、図に示す矢印の方向Xに回転し、ロアフィルム76、サイドシール部材74、ブレードシール部材75にこの順で摺接するように回転する。
【0056】
<現像ケーシングの構成>
現像ケーシング70には、現像ローラ71を回転可能に支持する軸受部70aと、トナー収容部78のトナーを供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給するための開口部70bと、左右方向における開口部70bの両端部よりも外側に設けられ、サイドシール部材74が貼着されるサイドシール貼着面(図示せず)と、ロアフィルム76が貼着されるロアフィルム貼着面(図示せず)とが主に形成されている。
【0057】
開口部70bは、左右方向(現像ローラ71の回転軸線方向)に長い略矩形形状に形成されており、その開口部70bの上方の現像ケーシング70には、後述するブレードユニット73が固定されている。
【0058】
<ブレードユニットの構成>
ブレードユニット73は、図4に示すように、現像ローラ71の外周面に担持されるトナー層の厚さを規制する層厚規制部材の一例としての層厚規制ブレード77と、金属製の板状部材を略直角に折り曲げて形成され、層厚規制ブレード77を保持するブレードホルダ73aとおよびブレード補強板73bとを備えている。
【0059】
ブレードホルダ73aおよびブレード補強板73bは、上下方向に延びる取付部73c、73dと、左右方向に延び、層厚規制ブレード77を挟持する挟持部73e、73fとから構成されている。
【0060】
左右方向における取付部73c、73dの両端部には、図4に示すように、固定ネジ73gによりブレードユニット73を現像ケーシング70に固定する固定穴(図示せず)が形成されている。また取付部73c、73dの中央部には、層厚規制ブレード77を狭持する力を調整する調整ネジ73hにより層厚規制ブレード77をブレードユニット73に挟持させる調整穴(図示せず)が形成されている。
【0061】
左右方向におけるブレードホルダ73aの挟持部73eの両端部には、層厚規制ブレード77をブレードホルダ73aに位置決めするためのボス(図示せず)が形成されている。
【0062】
層厚規制ブレード77は、図4、5に示すように、左右方向に長い薄板形状に形成される板ばね部材77aと、板ばね部材77aの下端部(先端部)に固定された層厚規制部の一例としての押圧部77bと、左右方向における押圧部77bの外側壁部77eよりも外側に設けられた固着部材の一例としての係合部77cとを備えて構成されている。
【0063】
板ばね部材77aは、略矩形形状を有しており、たとえばステンレス鋼といった薄い金属の板で構成されている。また左右方向における板ばね部材77aの両端部には、ブレードホルダ73aの挟持部73eに形成されたボスと係合する係合穴77iが形成されている。
【0064】
押圧部77bは、シリコーンゴムなどの弾性ゴムからなり、板ばね部材77a上に固着されている。この押圧部77bの左右方向の長さは、このレーザプリンタ1に用いられる用紙の最大幅に対応する現像ローラ71の領域Dよりも長くなるように形成されている。
【0065】
押圧部77bは、図3に示すように、板ばね部材77aの弾性力により現像ローラ71の外周面に圧接している。押圧部77bは、現像ローラ71上のトナー層を介して現像ローラ71と当接することで、現像ローラ71上のトナー層の厚さを規制している。
【0066】
係合部77cは、押圧部77bと同様にシリコーンゴムなどの弾性ゴムからなり、図5(b)に示すように、現像ローラ71を現像ケーシング70の軸受け部70aに組み付けたときに、現像ローラ71の両端部と接触しないように板ばね部材77a上に固着されている。
【0067】
また係合部77cは、左右方向において押圧部77bとの間に間隔Lをあけて配置されている。さらに、係合部77cは、ブレードユニット73が現像ケーシング70に組み付けられたときに、左右方向において後述するサイドシール部材75よりも外側となるように配置される。つまり、図5(a)および図6に示すように、係合部77cは、左右方向における開口部70bの両端部よりも外側に設けられたサイドシール貼着面よりも外側に位置する板ばね部材77a上に固着されることで、板ばね部材77aの両端部には、押圧部77bと接触部77cとにより、左右方向の長さがLの溝部77dが形成される。
【0068】
より具体的には、溝部77dは、左右方向における押圧部77bの外側壁部77eと左右方向における係合部77cの内側壁部77fとが略平行の空間である。たとえば本実施例では、間隔Lが4.85mm、深さ(上下方向の長さ)hが1.5mmとなるように形成されている。つまり、押圧部77bと係合部77cの高さが等しくなるように形成されている。
このように構成された係合部77cは、デュロメーター(高分子機器株式会社 CL−150)により測定すると、80度の硬さを有している。
【0069】
また、押圧部77bおよび係合部77cは、射出成型により形成されている。より具体的には、金型の中に板ばね部材77aを挿入し、そこに押圧部77bおよび係合部77cの弾性材料を流し込むことで、板ばね部材77a上に押圧部77bおよび係合部77cを形成する。
【0070】
<サイドシール部材>
サイドシール部材74は、図2に示すように、左右方向における開口部70bの両端部よりも外側にトナーが漏れることを抑制するシール部材である。サイドシール部材74は、弾性を有する基材と、基材の現像ローラ71側の面に積層される表面部材とを両面テープ等で張り合わせて構成されている。またサイドシール部材74は、現像ローラ71の両端部71aとサイドシール貼着面との間に配置され、サイドシール貼着面に両面テープや接着剤等により固着されている。
【0071】
基材は、表面部材よりも柔らかい弾性変形可能なウレタンスポンジなどの弾性体で形成されている。表面部材は、フェルトなどの材料で基材よりも薄く形成されており、両面テープ等によって基材に固着されている。
【0072】
<ロアフィルム部材の構成>
ロアフィルム76は、左右方向に沿って現像ローラ71の表面と摺接し、現像ローラ71の表面と現像ケーシング70との間からトナーが漏れることを抑制するシール部材である。ロアフィルム76は、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートやゴムシート等の可撓性を有する材料からなるシート上の部材である。
【0073】
またロアフィルム76は、両面テープ等によって現像ケーシング70のロアフィルム貼着面に固着されている。また、ロアフィルム76は、ロアフィルム76がロアフィルム貼着面に固着された状態において、ロアフィルム76の両端部が支持部からはみ出して、サイドシール部材74と重なるように構成されている。
【0074】
<ブレードシール部材の構成>
ブレードシール部材75は、層厚規制部の外側壁部77eと密着することで、外側壁部77eとブレードシール部材75の内側壁部75aとの間を通って、トナーが筐体外へ漏れるのを抑制するための部材である。
【0075】
ブレードシール部材75は、図5(b)および図6に示すように、正面視略矩形字形状を有し、左右方向において現像ローラ71の領域Dよりも外側、つまり開口部70bの両端部よりも外側に配置される。さらにブレードシール部材75は、現像ローラ71の回転方向Xにおけるブレードシール部材75の上流端部がサイドシール部材74と接触するように配置される。
【0076】
また、ブレードシール部材75は、ブレードシール部材75の左右方向の長さAが、溝部77dの間隔Lよりも長くなるように構成されている。より具体的には、ブレードシール部材75の左右方向の長さAが、5.5mm、深さ(上下方向の長さ)Hが1.3mmとなるように形成されている。
【0077】
またブレードシール部材75は、弾性を有する基材752と、この基材の現像ローラ71側の面に設けられた起毛材の一例としての起毛部751とを備えている。
【0078】
基材752は、たとえば、ウレタンスポンジなどの弾性変形可能な弾性体で形成されている。
起毛部751は、たとえば、ポリエステルの縦糸と綿の横糸とが編んである基布部分に、細いテフロン(登録商標)繊維を編みこむことで起毛するように構成されている。この起毛部751は、基材752に両面テープで張り合わさっている。また起毛部751は、図5に示すように、複数の起毛が現像ローラ71の回転方向の下流側に向かうにつれて、開口部70bの中央側に向かう斜め方向に向けて倒された状態で構成されている。また起毛部751および基材752は、左右方向において同じ長さとなるように形成されている。より具体的には、基材の高さが0.4mm、両面テープの高さが0.15mm、起毛材の高さが0.75mmとなるように形成されている。
【0079】
また、ブレードシール部材75、押圧部77bおよび係合部77cは、現像ローラ71が現像ケーシング70に組みつけられると、左右方向において略同じ高さとなるように弾性変形する。
【0080】
このように構成されたブレードシール部材75を、デュロメーター(高分子機器株式会社 CL−150)により測定すると、75度の硬さを有している。つまり、ブレードシール部材75の硬さは、係合部77cよりも柔らかくなるように設定されている。
【0081】
また、ブレードシール部材75、押圧部77bおよび係合部77cは、現像ローラ71が現像ケーシング70に組みつけられると、左右方向において略同じ高さとなるように弾性変形する。
【0082】
<作用・効果>
以上により構成されたレーザプリンタの作用・効果について説明をする。
板ばね部材77aの両端側には、押圧部77bおよび係合部77cにより、左右方向の間隔Lの溝部77dが形成されている。この溝部77dに、間隔Lよりも長いブレードシール部材75を嵌め込むと、溝部77dの両壁部(押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77f)が、ブレードシール部材75の両壁部(ブレードシール部材75の内側壁部75aと外側壁部75b)によって押圧された状態となる。
【0083】
つまり、溝部77dにブレードシール部材75を嵌め込むことで、ブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとが密着する。そのため、ブレードシール部材75は、トナーがブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとの間を通って、現像ケーシングの外側に漏れるのを抑制する。
その結果、ブレードシール部材75は、溝部77dに嵌め込むだけで、ブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとが密着するので、板ばね部材77aに両面テープを貼り付ける必要がなく、ブレードシール部材75を板ばね部材77aに容易に組み付けることができる。
【0084】
また、ブレードシール部材75の起毛部は、複数の起毛が現像ローラ71の回転方向の下流側に向かうにつれて、開口部70bの中央側に向かう斜め方向に向けて倒された状態で構成されているので、たとえ、トナーがブレードシール部材75の表面に侵入した場合であっても、トナーは起毛材の倒されている方向で開口部70bへ戻るように移動する。その結果、開口部70bからのトナー漏れをより抑制することができる。
【0085】
<変形例>
溝部77dの板ばね部材75側である底部は、平面であったが、図7(a)に示すように、表面にのこぎり刃の形状が形成されていてもよい。より具体的には、溝部77dは、ブレードシール部材75を溝部に組み付けたときにブレードシール部材75の下面と対向する溝部77dの底面に、刃の先端が左右方向内側に傾いた、のこぎり刃形状が形成されている。
【0086】
ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込むと、まずブレードシール部材75の底面とのこぎり刃の先端が接触する。
そしてさらに、ブレードシール部材75を押圧すると、ブレードシール部材75を左右方向内側に移動させながら刃先が倒れる。つまり、ブレードシール部材75を溝部77dに組み付けるときに、押圧部77bの外側壁部77eとブレードシール部材75の内側壁部75aとがより密着する。
また、現像ケーシング70の軸受け部70aに現像ローラ71が組みつけられると、図7(b)に示すように、ブレードシール部材75は、現像ローラ71の両端部と常に接触しているため、常に押圧部77bの外側壁部77e側に押圧された状態となる。
【0087】
このような構成により、ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込むときに、ブレードシール部材75が押圧部77bの外側壁部77e側に移動するようにブレードシール部材75を溝部77dに組みつけられる。そのため、ブレードシール部材75が、押圧部77bの外側壁部77eとより密着するため、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0088】
溝部77dは、押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77fとが略平行の空間であったが、図8に示すように、溝部77dの現像ローラ71と対向する開口部の長さCが、板ばね部材77a側である底部の長さLより短くなるように形成されていてもよい。より具体的には、溝部77dの現像ローラ71と当接する当接面側の長さCが、3.85mmとなるように形成されている。
【0089】
このような構成により、ブレードシール部材75を溝部77dに組み付けた後に、ブレードシール部材75が現像ローラ71の当接面(開口部)側に移動することが規制される。その結果、押圧部77bとブレードシール部材75との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0090】
また、溝部77dは、押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77fとが略平行の空間であったが、図9に示すように、溝部77dの両側壁77e、77fの間隔が、現像ローラ71の回転方向Xの下流側に向かうに従って狭くなるように構成されていてもよい。
【0091】
このような構成により、溝部77dは、現像ローラ71が回転しているときに、ブレードシール部材75が現像ローラ71の回転方向Xに移動するのを抑制する。その結果、押圧部77bとブレードシール部材75との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0092】
またこのような構成の溝部の場合に、ブレードシール部材75の形状を溝部と同様の形状にしてもよい。この場合においても、左右方向におけるブレードシール部材の長さは、溝部77dの両側壁77e、77fの間隔よりも長い長さを有している。
【0093】
また、溝部77dは、図5(a)に示すように、現像ローラの回転方向Xにおいて、押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77fとが略平行となっていたが、現像ローラの回転方向Xにおける溝部77dがつながっていてもよい。より具体的には、現像ローラの回転方向Xにおける押圧部77bの外側壁部77eと現像ローラの回転方向Xにおける係合部77cの内側壁部77fとがつながっていてもよい。
【0094】
このような構成にすることで、押圧部77bおよび係合部77cを形成する際に、弾性材料を流しやすくすることができる。
【0095】
ブレードシール部材75は、略矩形字形状を有していたが、図10に示すように、正面視略L字形状を有しており、ブレードシール部材75が溝部77dに組み込まれるときに、溝部77dから現像ローラ71の回転方向X上流側に延出して設けられ、且つ押圧部77bと係合する延出部75cが形成されていてもよい。このとき、延出部75cの左右方向の長さBは、溝部77dの左右方向の間隔Lよりも長くなるように形成されている。より具体的には、延出部75cの左右方向長さBが、7.0mmとなるように形成されている。
【0096】
このような構成により、現像ローラ71が回転してブレードシール部材75が回転方向X下流側に移動しても、延出部75cが押圧部77bと係合しているため、延出部75cは、ブレードシール部材75が現像ローラ71の回転方向Xに移動するのを規制できる。その結果、押圧部77bとブレードシール部材75との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0097】
また、ブレードシール部材75は、起毛部751および基材752が、左右方向において同じ長さとなるように形成されていたが、図11に示すように、左右方向における基材752の外側端部752bが、左右方向における起毛部751の外側端部751bよりも外側に突出するように形成されていてもよい。
【0098】
このような構成により、起毛部751は、ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込んだときに、基材752よりも弾性変形しない。そのため、ブレードシール部材75を嵌め込んだときに、起毛部751がもりあがることで、起毛部751の起毛の倒れる方向が不均一になることを抑制することができる。その結果、よりトナー漏れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0099】
1・・・カラーレーザプリンタ、2・・・本体筐体、4・・・画像形成部、6・・・プロセス部、62・・・感光体ドラム、7・・・現像カートリッジ、70・・・現像ケーシング、70a・・・軸受部、70b・・・開口部、71・・・現像ローラ、73・・・ブレードユニット、73a・・・ブレードホルダ、73b・・・ブレード補強板、73c、73d・・・取付部、73e、73f・・・挟持部、74・・・サイドシール部材、75・・・ブレードシール部材、75a・・・内側壁部、76・・・ロアフィルム、77・・・層厚規制ブレード、77a・・・板ばね部材、77b・・・押圧部、77c・・・係合部、77d・・・溝部、77e・・・外側壁部、77f・・・内側壁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置、およびその画像形成装置に装着される現像装置並びにプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成され、現像剤であるトナーが収容されている現像カートリッジから感光体ドラムの静電潜像にトナーが供給されることにより、感光体ドラムの表面にトナー像が形成される。そのトナー像が転写材である用紙に転写されることによって、用紙への画像形成が行われる。
【0003】
この現像カートリッジは、たとえば、特許文献1では、感光体ドラムに向けて開口した開口部を有する筐体と、その筐体内に設けられてトナーを収容する収容室と、筐体に回転可能に支持されるとともに、開口部からその外周面が露出するように配置された現像ローラと、筺体に固着された板バネ部材と板バネ部材の下端部に固着された層厚規制部とを有し、現像ローラの外周面上に担持されたトナー層の厚さを規制する層厚規制部材と、現像ローラの回転軸線方向の両端部に設けられ、筐体外へトナーが漏れることを防止する為に板バネ部材に貼り付けられたシール部材とを備えている。
【0004】
このような現像カートリッジにおいて、シール部材と層厚規制部との間に隙間があると、その隙間を通ってトナーが筐体外へ漏れてしまうため、シール部材を板バネ上に貼り付ける場合、シール部材と層厚規制部との間に隙間が発生しないように最善の注意を払って両面テープでシール部材を貼り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−189346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の現像カートリッジでは、両面テープを介してシール部材を板バネに貼り付けるときに、高い位置決め精度が求められる為、シール部材の取り付けに手間がかかるといった問題があった。
【0007】
そこで、本願では上記の問題に鑑みてなされたものであり、層厚規制部にシール部材を容易に組み付けることができる構成を有する現像装置、および、その現像装置を備えるプロセスユニット並びに画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外周面上に現像剤を担持する現像ローラと、前記現像ローラを回転可能に支持し、前記現像ローラの回転軸線方向に延びる開口部を有する筐体と、一端が前記筺体に固着され前記開口部の前記回転軸線方向に沿って延びる薄板状に形成された薄板部材と、前記薄板部材の自由端部に固着され、現像剤を介して前記現像ローラの外周面と接触する層厚規制部とを有し、前記現像ローラの外周面上の現像剤層の厚みを規制する層厚規制部材と、前記回転軸線方向における前記層厚規制部の両端部よりも外側の前記薄板部材上に固着され、前記層厚規制部との間に溝部を形成する固着部材と、前記回転軸線方向における前記溝部の長さよりも長い長さを有し、前記溝部に嵌め込むことによって、前記筐体外への現像剤の漏れを抑制するシール部材と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記溝部には、前記シール部材を前記溝部に組み付けたときに前記シール部材の下面と対向する溝部の底面に、先端が前記回転軸線方向内側に傾いたのこぎり刃形状が形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記溝部は、前記回転軸線方向における前記現像ローラと対向する開口部の長さが、前記薄板部材側である底部の長さより短く形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記溝部は、前記回転軸線方向における前記薄板部材側である底部の長さが、前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って徐々に短く形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記シール部材が前記溝部に組み付けられる部分から前記現像ローラの回転方向上流側に延出し且つ現像ローラの回転軸線方向に延出して前記層厚規制部と係合する延出部を有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明において、前記シール部材は、弾性を有する基材と、前記基材上に設けられた起毛材とを有し、前記起毛材は、前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って、前記回転軸線方向の内側に向かう斜め方向に向けて倒されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記シール部材は、前記回転軸線方向における前記基材の外側端部が、前記回転軸線方向における前記起毛材の外側端部よりも外側に突出するように構成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、プロセスユニットにおいて、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の現像装置と、前記現像装置から現像剤が供給されて現像剤像が形成される感光体と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置であって、前記感光体に対して光を走査する露光手段と、前記プロセスユニットで形成された現像剤像を用紙に転写する転写手段と、用紙上に形成された現像剤像を定着する定着手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、シール部材は、回転軸線方向における溝部の長さよりも長い長さを有し、固着部材と層厚規制部との間の溝部に組み付けられるので、シール部材を溝部に組み付けるだけで、シール部材と層厚規制部とが密着する。その結果、層厚規制部にシール部材を容易に組み付けることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、溝部の底面に、先端が回転軸線方向内側に傾いたのこぎり刃形状が形成されているので、シール部材を切り欠き部に組み付けるときに、シール部材が回転軸線方向の内側に移動するようにシール部材が溝部に組みつけられる。そのため、シール部材が、回転軸線方向における溝部の側壁部とより密着するため、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、溝部は、回転軸線方向における前記現像ローラと対向する開口部の長さが、薄板部材側である底部の長さより短く形成されているので、溝部は、シール部材を溝部に組み付けた後に、シール部材が開口部側に移動することを抑制する。その結果、層厚規制部とシール部材との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、溝部は、回転軸線方向における薄板部材側である底部の長さが、現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って徐々に短く形成されているので、シール部材は、現像ローラの回転方向の下流に向かうに従って、溝部の両側壁部とより密着する。つまり、溝部は、現像ローラが回転しているときに、シール部材が現像ローラの回転方向に移動するのを抑制する。その結果、層厚規制部とシール部材との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、シール部材は、シール部材が溝部に組み付けられる部分から現像ローラの回転方向上流側に延出し且つ現像ローラの回転軸線方向に延出して層厚規制部と係合する延出部を有しているので、延出部は、現像ローラが回転しているときに、層厚規制部と係合するため、シール部材が現像ローラの回転方向に移動することを抑制する。その結果、層厚規制部とシール部材との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、シール部材は、起毛材を有し、起毛材が現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って、回転軸線方向の内側に向かう斜め方向に向けて倒されているので、トナーがシール部材の表面に侵入した場合、トナーは起毛材の倒されている方向に沿って移動する。つまりトナーは、開口部へ戻るように移動する。これにより、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、シール部材は、回転軸線方向における基材の外側端部が、回転軸線方向における起毛材の外側端部よりも外側に突出するように構成されているので、起毛材は、シール部材を溝部に嵌め込んだときに、基材よりも弾性変形しない。そのため、シール部材を嵌め込んだときに、起毛材が盛り上がって起毛材の起毛の倒れる方向が不均一になることを抑制することができる。その結果、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、プロセスユニットは、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の現像装置を備えているので、請求項1乃至請求項7に関して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、画像形成装置は、請求項8に記載したプロセスユニットを備えているので、請求項1乃至請求項8に関連して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】カラーレーザプリンタの概略構成を示す側断面図
【図2】図1における現像カートリッジを後側斜め下方向から見たときの斜視図
【図3】図1における現像カートリッジの中央断面図
【図4】図1におけるブレードユニットの模式図
【図5】(a)図2における現像カートリッジの右側端部を下方から見たときのブレードシール部材を組み付ける前の説明図、(b)図2における現像カートリッジの右側端部を下方から見たときのブレードシール部材を組み付ける後の説明図
【図6】ブレードシール部材の組み付けを説明する為に図5(a)の板ばね部材の右側端部を前側からみたときの説明図
【図7】変形例の溝部を説明するための説明図
【図8】変形例の溝部を説明するための説明図
【図9】変形例の溝部を説明するための説明図
【図10】変形例のブレードシール部材を説明するための説明図
【図11】変形例のブレードシール部材を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施形態1〕
<カラーレーザプリンタの全体構成>
図1は、本実施形態1の画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタ1の概略構成を示す側断面図である。
【0028】
このカラーレーザプリンタ1は、図1に示すように、本体筐体2を備え、本体筐体2内において、用紙を画像形成部4へ供給する給紙部3と、給紙された用紙に画像を形成する画像形成部4と、画像が形成された用紙を排紙する排紙部5と、をさらに備えている。
【0029】
なお、以下の説明において、特に断りがない限り図1に示した上下方向を上下、図1における右側を前、左側を後、紙面の奥側を右、紙面の手前側を左として、各方向を示す。ここでの方向は、カラーレーザプリンタ1の手前に立った者から見た方向を基準として規定してある。
【0030】
本体筐体2には、開口を開閉可能なカバー21が設けられている。
このカバー21は、その下端部に設けられたカバー軸(図示せず)に回動自在に支持されている。カバー21を閉じると(閉状態)、カバー21によって開口が閉鎖される。またカバー21を開けると(開状態)、開口が開放される。ユーザは、この開口から後述する現像装置の一例としての各色の現像カートリッジ7が装着されたユニット本体61を着脱させることができる。
【0031】
(1)給紙部
給紙部3は、本体筐体2内の下方において、用紙を収納する給紙トレイ31と、給紙ローラ32、およびレジストローラ33を備えている。
このように構成された給紙部3では、給紙トレイ31から用紙が一枚ずつ分離されて画像形成部4へ送られる。
【0032】
(2)画像形成部
画像形成部4は、露光部41と、プロセス部6と、転写部8と、定着部9を備えている。
【0033】
(2−1)露光部
露光部41は、本体筐体2内の上部に設けられ、レーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡(図示せず)を備えている。
【0034】
このように構成された露光部41では、所定の画像データに基づいてレーザ光源から発光されるレーザ光が、ポリゴンミラーで左右方向に高速で走査され、レンズおよび反射鏡を通過または反射した後、感光体ドラム62に照射される。
【0035】
(2−2)プロセス部
プロセス部6は、露光部41の下方であって、給紙部3の上方に配置されている。プロセス部6は、ユニット本体61と、ユニット本体61に装着された各色のトナーが入った現像カートリッジ7とを備えている。
【0036】
ユニット本体61は、前側から後側に並べて配置され、各色の現像カートリッジ7に対応する4つのドラムサブユニットを有している。
【0037】
各ドラムサブユニットは、感光体ドラム62およびスコロトロン型帯電器63などを備えている。
【0038】
現像カートリッジ7は、現像ケーシング70を備え、現像ケーシング70に回転可能に支持される現像ローラ71と、トナーを現像ローラ71に供給する供給ローラ72と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部78とを備えている。
【0039】
現像カートリッジ7は、ブラック用、イエロー用、マゼンタ用およびシアン用の各色のトナーが入っており、用紙の搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。なお、各現像カートリッジ7は、トナー収容部78に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は同一である。
【0040】
現像ローラ71は、金属製のローラ軸と、ローラ軸を導電性のゴム材料で被覆する被覆部とを有している。被覆部は、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなる表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。また被覆部は、感光体ドラム62と接触する部分である。
【0041】
供給ローラ72は、金属性のローラ軸と、ローラ軸を導電性の発泡材料で被覆する被覆部とを有している。
【0042】
トナー収容部78には、現像剤として、たとえば非磁性一成分の重合トナーが用いられている。重合トナーは、略球形であり、流動性が良好である。また、トナー収容部78には、トナー収容部78内のトナーを攪拌するためのアジテータ79が設けられている。
【0043】
このように構成されたプロセス部6では、感光体ドラム62の表面が帯電器63により一様に帯電され、帯電された感光体ドラム62の表面がレーザ光の走査によって露光され、露光された部分の電位が下がることにより、感光体ドラム62の表面に静電潜像が形成される。
【0044】
一方、トナー収容部78のトナーが供給ローラ72により現像ローラ71上に供給され、供給ローラ72と現像ローラ71との間で摩擦帯電される。
【0045】
そして、現像カートリッジ7から供給されたトナーが、感光体ドラム62の露光された部分に保持されることにより、感光体ドラム62の表面にトナー像が形成される。
【0046】
(2−3)転写部
転写部8は、給紙部3の上方であって、プロセス部6の下方に配置されている。転写部8は、駆動ローラ81、従動ローラ82、用紙を定着部9へ搬送するとともに、後述するテスト画像が形成される搬送ベルト83および転写ローラ84を備えている。
【0047】
駆動ローラ81及び従動ローラ82は、離間して平行に配置され、これらの間に無端状の搬送ベルト83が張り渡されている。搬送ベルト83は、その外側の面が各感光体ドラム62に接している。また、搬送ベルト83の内側には、各感光体ドラム62との間で搬送ベルト83を狭持する4つの転写ローラ84が配置されている。この転写ローラ84には、各感光体ドラム62上のトナー像を用紙に転写するために、転写バイアスが印加される。
【0048】
このように構成された転写部8では、画像形成時に搬送ベルト83により搬送されてきた用紙が、感光体ドラム62と搬送ベルト83の内側に配置される転写ローラ84との間を搬送される。そして、感光体ドラム62上に狭持されたトナー像が用紙に転写される。
【0049】
(2−4)定着部
定着部9は、現像カートリッジ7に対して後側に配置され、熱源により加熱される加熱ローラ91および加熱ローラ91に圧接する加圧ローラ92を備えている。
【0050】
このように構成された定着部9では、用紙が加熱ローラ91と加圧ローラ92との間を通過することにより、用紙上のトナー像が用紙に熱定着される。
【0051】
(3)排紙部
排紙部5は、定着部9を通過した用紙を搬送するための排紙ローラ51と、排紙ローラ51より搬送された用紙を蓄積する排紙トレイ52とを備えている。
【0052】
このように構成された排紙部5では、定着部9でトナー像が定着された用紙が、排紙ローラ51によって搬送されて排紙トレイ52上に排紙される。
【0053】
<現像カートリッジの具体的な構成>
次に、図2〜6を用いて、本発明の特徴部分である現像カートリッジ7の詳細な構成について説明をする。
【0054】
なお以下では、本体筐体2に装着されているときの状態を基準として、現像カートリッジ7について説明する。4つの現像カートリッジ7の構成は、収容するトナーの色が異なる点以外では、同じである。
【0055】
現像カートリッジ7は、図2に示すように、筐体の一例としての現像ケーシング70と、上述した現像ローラ71(図2においては現像ローラ71を省略している)と、供給ローラ72とを備え、ブレードユニット73と、現像ローラ71の両端部と摺接する弾性変形可能なサイドシール部材74およびシール部材の一例としてのブレードシール部材75と、現像ローラ71の下側と摺接するロアフィルム76と、をさらに有している。なお現像ローラ71は、図に示す矢印の方向Xに回転し、ロアフィルム76、サイドシール部材74、ブレードシール部材75にこの順で摺接するように回転する。
【0056】
<現像ケーシングの構成>
現像ケーシング70には、現像ローラ71を回転可能に支持する軸受部70aと、トナー収容部78のトナーを供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給するための開口部70bと、左右方向における開口部70bの両端部よりも外側に設けられ、サイドシール部材74が貼着されるサイドシール貼着面(図示せず)と、ロアフィルム76が貼着されるロアフィルム貼着面(図示せず)とが主に形成されている。
【0057】
開口部70bは、左右方向(現像ローラ71の回転軸線方向)に長い略矩形形状に形成されており、その開口部70bの上方の現像ケーシング70には、後述するブレードユニット73が固定されている。
【0058】
<ブレードユニットの構成>
ブレードユニット73は、図4に示すように、現像ローラ71の外周面に担持されるトナー層の厚さを規制する層厚規制部材の一例としての層厚規制ブレード77と、金属製の板状部材を略直角に折り曲げて形成され、層厚規制ブレード77を保持するブレードホルダ73aとおよびブレード補強板73bとを備えている。
【0059】
ブレードホルダ73aおよびブレード補強板73bは、上下方向に延びる取付部73c、73dと、左右方向に延び、層厚規制ブレード77を挟持する挟持部73e、73fとから構成されている。
【0060】
左右方向における取付部73c、73dの両端部には、図4に示すように、固定ネジ73gによりブレードユニット73を現像ケーシング70に固定する固定穴(図示せず)が形成されている。また取付部73c、73dの中央部には、層厚規制ブレード77を狭持する力を調整する調整ネジ73hにより層厚規制ブレード77をブレードユニット73に挟持させる調整穴(図示せず)が形成されている。
【0061】
左右方向におけるブレードホルダ73aの挟持部73eの両端部には、層厚規制ブレード77をブレードホルダ73aに位置決めするためのボス(図示せず)が形成されている。
【0062】
層厚規制ブレード77は、図4、5に示すように、左右方向に長い薄板形状に形成される板ばね部材77aと、板ばね部材77aの下端部(先端部)に固定された層厚規制部の一例としての押圧部77bと、左右方向における押圧部77bの外側壁部77eよりも外側に設けられた固着部材の一例としての係合部77cとを備えて構成されている。
【0063】
板ばね部材77aは、略矩形形状を有しており、たとえばステンレス鋼といった薄い金属の板で構成されている。また左右方向における板ばね部材77aの両端部には、ブレードホルダ73aの挟持部73eに形成されたボスと係合する係合穴77iが形成されている。
【0064】
押圧部77bは、シリコーンゴムなどの弾性ゴムからなり、板ばね部材77a上に固着されている。この押圧部77bの左右方向の長さは、このレーザプリンタ1に用いられる用紙の最大幅に対応する現像ローラ71の領域Dよりも長くなるように形成されている。
【0065】
押圧部77bは、図3に示すように、板ばね部材77aの弾性力により現像ローラ71の外周面に圧接している。押圧部77bは、現像ローラ71上のトナー層を介して現像ローラ71と当接することで、現像ローラ71上のトナー層の厚さを規制している。
【0066】
係合部77cは、押圧部77bと同様にシリコーンゴムなどの弾性ゴムからなり、図5(b)に示すように、現像ローラ71を現像ケーシング70の軸受け部70aに組み付けたときに、現像ローラ71の両端部と接触しないように板ばね部材77a上に固着されている。
【0067】
また係合部77cは、左右方向において押圧部77bとの間に間隔Lをあけて配置されている。さらに、係合部77cは、ブレードユニット73が現像ケーシング70に組み付けられたときに、左右方向において後述するサイドシール部材75よりも外側となるように配置される。つまり、図5(a)および図6に示すように、係合部77cは、左右方向における開口部70bの両端部よりも外側に設けられたサイドシール貼着面よりも外側に位置する板ばね部材77a上に固着されることで、板ばね部材77aの両端部には、押圧部77bと接触部77cとにより、左右方向の長さがLの溝部77dが形成される。
【0068】
より具体的には、溝部77dは、左右方向における押圧部77bの外側壁部77eと左右方向における係合部77cの内側壁部77fとが略平行の空間である。たとえば本実施例では、間隔Lが4.85mm、深さ(上下方向の長さ)hが1.5mmとなるように形成されている。つまり、押圧部77bと係合部77cの高さが等しくなるように形成されている。
このように構成された係合部77cは、デュロメーター(高分子機器株式会社 CL−150)により測定すると、80度の硬さを有している。
【0069】
また、押圧部77bおよび係合部77cは、射出成型により形成されている。より具体的には、金型の中に板ばね部材77aを挿入し、そこに押圧部77bおよび係合部77cの弾性材料を流し込むことで、板ばね部材77a上に押圧部77bおよび係合部77cを形成する。
【0070】
<サイドシール部材>
サイドシール部材74は、図2に示すように、左右方向における開口部70bの両端部よりも外側にトナーが漏れることを抑制するシール部材である。サイドシール部材74は、弾性を有する基材と、基材の現像ローラ71側の面に積層される表面部材とを両面テープ等で張り合わせて構成されている。またサイドシール部材74は、現像ローラ71の両端部71aとサイドシール貼着面との間に配置され、サイドシール貼着面に両面テープや接着剤等により固着されている。
【0071】
基材は、表面部材よりも柔らかい弾性変形可能なウレタンスポンジなどの弾性体で形成されている。表面部材は、フェルトなどの材料で基材よりも薄く形成されており、両面テープ等によって基材に固着されている。
【0072】
<ロアフィルム部材の構成>
ロアフィルム76は、左右方向に沿って現像ローラ71の表面と摺接し、現像ローラ71の表面と現像ケーシング70との間からトナーが漏れることを抑制するシール部材である。ロアフィルム76は、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートやゴムシート等の可撓性を有する材料からなるシート上の部材である。
【0073】
またロアフィルム76は、両面テープ等によって現像ケーシング70のロアフィルム貼着面に固着されている。また、ロアフィルム76は、ロアフィルム76がロアフィルム貼着面に固着された状態において、ロアフィルム76の両端部が支持部からはみ出して、サイドシール部材74と重なるように構成されている。
【0074】
<ブレードシール部材の構成>
ブレードシール部材75は、層厚規制部の外側壁部77eと密着することで、外側壁部77eとブレードシール部材75の内側壁部75aとの間を通って、トナーが筐体外へ漏れるのを抑制するための部材である。
【0075】
ブレードシール部材75は、図5(b)および図6に示すように、正面視略矩形字形状を有し、左右方向において現像ローラ71の領域Dよりも外側、つまり開口部70bの両端部よりも外側に配置される。さらにブレードシール部材75は、現像ローラ71の回転方向Xにおけるブレードシール部材75の上流端部がサイドシール部材74と接触するように配置される。
【0076】
また、ブレードシール部材75は、ブレードシール部材75の左右方向の長さAが、溝部77dの間隔Lよりも長くなるように構成されている。より具体的には、ブレードシール部材75の左右方向の長さAが、5.5mm、深さ(上下方向の長さ)Hが1.3mmとなるように形成されている。
【0077】
またブレードシール部材75は、弾性を有する基材752と、この基材の現像ローラ71側の面に設けられた起毛材の一例としての起毛部751とを備えている。
【0078】
基材752は、たとえば、ウレタンスポンジなどの弾性変形可能な弾性体で形成されている。
起毛部751は、たとえば、ポリエステルの縦糸と綿の横糸とが編んである基布部分に、細いテフロン(登録商標)繊維を編みこむことで起毛するように構成されている。この起毛部751は、基材752に両面テープで張り合わさっている。また起毛部751は、図5に示すように、複数の起毛が現像ローラ71の回転方向の下流側に向かうにつれて、開口部70bの中央側に向かう斜め方向に向けて倒された状態で構成されている。また起毛部751および基材752は、左右方向において同じ長さとなるように形成されている。より具体的には、基材の高さが0.4mm、両面テープの高さが0.15mm、起毛材の高さが0.75mmとなるように形成されている。
【0079】
また、ブレードシール部材75、押圧部77bおよび係合部77cは、現像ローラ71が現像ケーシング70に組みつけられると、左右方向において略同じ高さとなるように弾性変形する。
【0080】
このように構成されたブレードシール部材75を、デュロメーター(高分子機器株式会社 CL−150)により測定すると、75度の硬さを有している。つまり、ブレードシール部材75の硬さは、係合部77cよりも柔らかくなるように設定されている。
【0081】
また、ブレードシール部材75、押圧部77bおよび係合部77cは、現像ローラ71が現像ケーシング70に組みつけられると、左右方向において略同じ高さとなるように弾性変形する。
【0082】
<作用・効果>
以上により構成されたレーザプリンタの作用・効果について説明をする。
板ばね部材77aの両端側には、押圧部77bおよび係合部77cにより、左右方向の間隔Lの溝部77dが形成されている。この溝部77dに、間隔Lよりも長いブレードシール部材75を嵌め込むと、溝部77dの両壁部(押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77f)が、ブレードシール部材75の両壁部(ブレードシール部材75の内側壁部75aと外側壁部75b)によって押圧された状態となる。
【0083】
つまり、溝部77dにブレードシール部材75を嵌め込むことで、ブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとが密着する。そのため、ブレードシール部材75は、トナーがブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとの間を通って、現像ケーシングの外側に漏れるのを抑制する。
その結果、ブレードシール部材75は、溝部77dに嵌め込むだけで、ブレードシール部材75の外側壁部75aと押圧部77bの外側壁部77eとが密着するので、板ばね部材77aに両面テープを貼り付ける必要がなく、ブレードシール部材75を板ばね部材77aに容易に組み付けることができる。
【0084】
また、ブレードシール部材75の起毛部は、複数の起毛が現像ローラ71の回転方向の下流側に向かうにつれて、開口部70bの中央側に向かう斜め方向に向けて倒された状態で構成されているので、たとえ、トナーがブレードシール部材75の表面に侵入した場合であっても、トナーは起毛材の倒されている方向で開口部70bへ戻るように移動する。その結果、開口部70bからのトナー漏れをより抑制することができる。
【0085】
<変形例>
溝部77dの板ばね部材75側である底部は、平面であったが、図7(a)に示すように、表面にのこぎり刃の形状が形成されていてもよい。より具体的には、溝部77dは、ブレードシール部材75を溝部に組み付けたときにブレードシール部材75の下面と対向する溝部77dの底面に、刃の先端が左右方向内側に傾いた、のこぎり刃形状が形成されている。
【0086】
ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込むと、まずブレードシール部材75の底面とのこぎり刃の先端が接触する。
そしてさらに、ブレードシール部材75を押圧すると、ブレードシール部材75を左右方向内側に移動させながら刃先が倒れる。つまり、ブレードシール部材75を溝部77dに組み付けるときに、押圧部77bの外側壁部77eとブレードシール部材75の内側壁部75aとがより密着する。
また、現像ケーシング70の軸受け部70aに現像ローラ71が組みつけられると、図7(b)に示すように、ブレードシール部材75は、現像ローラ71の両端部と常に接触しているため、常に押圧部77bの外側壁部77e側に押圧された状態となる。
【0087】
このような構成により、ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込むときに、ブレードシール部材75が押圧部77bの外側壁部77e側に移動するようにブレードシール部材75を溝部77dに組みつけられる。そのため、ブレードシール部材75が、押圧部77bの外側壁部77eとより密着するため、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0088】
溝部77dは、押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77fとが略平行の空間であったが、図8に示すように、溝部77dの現像ローラ71と対向する開口部の長さCが、板ばね部材77a側である底部の長さLより短くなるように形成されていてもよい。より具体的には、溝部77dの現像ローラ71と当接する当接面側の長さCが、3.85mmとなるように形成されている。
【0089】
このような構成により、ブレードシール部材75を溝部77dに組み付けた後に、ブレードシール部材75が現像ローラ71の当接面(開口部)側に移動することが規制される。その結果、押圧部77bとブレードシール部材75との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0090】
また、溝部77dは、押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77fとが略平行の空間であったが、図9に示すように、溝部77dの両側壁77e、77fの間隔が、現像ローラ71の回転方向Xの下流側に向かうに従って狭くなるように構成されていてもよい。
【0091】
このような構成により、溝部77dは、現像ローラ71が回転しているときに、ブレードシール部材75が現像ローラ71の回転方向Xに移動するのを抑制する。その結果、押圧部77bとブレードシール部材75との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0092】
またこのような構成の溝部の場合に、ブレードシール部材75の形状を溝部と同様の形状にしてもよい。この場合においても、左右方向におけるブレードシール部材の長さは、溝部77dの両側壁77e、77fの間隔よりも長い長さを有している。
【0093】
また、溝部77dは、図5(a)に示すように、現像ローラの回転方向Xにおいて、押圧部77bの外側壁部77eと係合部77cの内側壁部77fとが略平行となっていたが、現像ローラの回転方向Xにおける溝部77dがつながっていてもよい。より具体的には、現像ローラの回転方向Xにおける押圧部77bの外側壁部77eと現像ローラの回転方向Xにおける係合部77cの内側壁部77fとがつながっていてもよい。
【0094】
このような構成にすることで、押圧部77bおよび係合部77cを形成する際に、弾性材料を流しやすくすることができる。
【0095】
ブレードシール部材75は、略矩形字形状を有していたが、図10に示すように、正面視略L字形状を有しており、ブレードシール部材75が溝部77dに組み込まれるときに、溝部77dから現像ローラ71の回転方向X上流側に延出して設けられ、且つ押圧部77bと係合する延出部75cが形成されていてもよい。このとき、延出部75cの左右方向の長さBは、溝部77dの左右方向の間隔Lよりも長くなるように形成されている。より具体的には、延出部75cの左右方向長さBが、7.0mmとなるように形成されている。
【0096】
このような構成により、現像ローラ71が回転してブレードシール部材75が回転方向X下流側に移動しても、延出部75cが押圧部77bと係合しているため、延出部75cは、ブレードシール部材75が現像ローラ71の回転方向Xに移動するのを規制できる。その結果、押圧部77bとブレードシール部材75との間に隙間が発生するのを抑制できるので、よりトナー漏れを抑制することができる。
【0097】
また、ブレードシール部材75は、起毛部751および基材752が、左右方向において同じ長さとなるように形成されていたが、図11に示すように、左右方向における基材752の外側端部752bが、左右方向における起毛部751の外側端部751bよりも外側に突出するように形成されていてもよい。
【0098】
このような構成により、起毛部751は、ブレードシール部材75を溝部77dに嵌め込んだときに、基材752よりも弾性変形しない。そのため、ブレードシール部材75を嵌め込んだときに、起毛部751がもりあがることで、起毛部751の起毛の倒れる方向が不均一になることを抑制することができる。その結果、よりトナー漏れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0099】
1・・・カラーレーザプリンタ、2・・・本体筐体、4・・・画像形成部、6・・・プロセス部、62・・・感光体ドラム、7・・・現像カートリッジ、70・・・現像ケーシング、70a・・・軸受部、70b・・・開口部、71・・・現像ローラ、73・・・ブレードユニット、73a・・・ブレードホルダ、73b・・・ブレード補強板、73c、73d・・・取付部、73e、73f・・・挟持部、74・・・サイドシール部材、75・・・ブレードシール部材、75a・・・内側壁部、76・・・ロアフィルム、77・・・層厚規制ブレード、77a・・・板ばね部材、77b・・・押圧部、77c・・・係合部、77d・・・溝部、77e・・・外側壁部、77f・・・内側壁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面上に現像剤を担持する現像ローラと、
前記現像ローラを回転可能に支持し、前記現像ローラの回転軸線方向に延びる開口部を有する筐体と、
一端が前記筺体に固着され前記開口部の前記回転軸線方向に沿って延びる薄板状に形成された薄板部材と、前記薄板部材の自由端部に固着され、現像剤を介して前記現像ローラの外周面と接触する層厚規制部とを有し、前記現像ローラの外周面上の現像剤層の厚みを規制する層厚規制部材と、
前記回転軸線方向における前記層厚規制部の両端部よりも外側の前記薄板部材上に固着され、前記層厚規制部との間に溝部を形成する固着部材と、
前記回転軸線方向における前記溝部の長さよりも長い長さを有し、前記溝部に嵌め込むことによって、前記筐体外への現像剤の漏れを抑制するシール部材と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記溝部には、
前記シール部材を前記溝部に組み付けたときに前記シール部材の下面と対向する溝部の底面に、先端が前記回転軸線方向内側に傾いたのこぎり刃形状が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記溝部は、
前記回転軸線方向における前記現像ローラと対向する開口部の長さが、前記薄板部材側である底部の長さより短く形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記溝部は、
前記回転軸線方向における前記薄板部材側である底部の長さが、前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って徐々に短く形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記シール部材は、
前記シール部材が前記溝部に組み付けられる部分から前記現像ローラの回転方向上流側に延出し且つ現像ローラの回転軸線方向に延出して前記層厚規制部と係合する延出部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記シール部材は、
弾性を有する基材と、
前記基材上に設けられた起毛材とを有し、
前記起毛材は、
前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って、前記回転軸線方向の内側に向かう斜め方向に向けて倒されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記シール部材は、
前記回転軸線方向における前記基材の外側端部が、前記回転軸線方向における前記起毛材の外側端部よりも外側に突出するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の現像装置と、
前記現像装置から現像剤が供給されて現像剤像が形成される感光体と、を備えたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置であって、
前記感光体に対して光を走査する露光手段と、
前記プロセスユニットで形成された現像剤像を用紙に転写する転写手段と、
用紙上に形成された現像剤像を定着する定着手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
外周面上に現像剤を担持する現像ローラと、
前記現像ローラを回転可能に支持し、前記現像ローラの回転軸線方向に延びる開口部を有する筐体と、
一端が前記筺体に固着され前記開口部の前記回転軸線方向に沿って延びる薄板状に形成された薄板部材と、前記薄板部材の自由端部に固着され、現像剤を介して前記現像ローラの外周面と接触する層厚規制部とを有し、前記現像ローラの外周面上の現像剤層の厚みを規制する層厚規制部材と、
前記回転軸線方向における前記層厚規制部の両端部よりも外側の前記薄板部材上に固着され、前記層厚規制部との間に溝部を形成する固着部材と、
前記回転軸線方向における前記溝部の長さよりも長い長さを有し、前記溝部に嵌め込むことによって、前記筐体外への現像剤の漏れを抑制するシール部材と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記溝部には、
前記シール部材を前記溝部に組み付けたときに前記シール部材の下面と対向する溝部の底面に、先端が前記回転軸線方向内側に傾いたのこぎり刃形状が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記溝部は、
前記回転軸線方向における前記現像ローラと対向する開口部の長さが、前記薄板部材側である底部の長さより短く形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記溝部は、
前記回転軸線方向における前記薄板部材側である底部の長さが、前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って徐々に短く形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記シール部材は、
前記シール部材が前記溝部に組み付けられる部分から前記現像ローラの回転方向上流側に延出し且つ現像ローラの回転軸線方向に延出して前記層厚規制部と係合する延出部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記シール部材は、
弾性を有する基材と、
前記基材上に設けられた起毛材とを有し、
前記起毛材は、
前記現像ローラの回転方向の下流側に向かうに従って、前記回転軸線方向の内側に向かう斜め方向に向けて倒されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記シール部材は、
前記回転軸線方向における前記基材の外側端部が、前記回転軸線方向における前記起毛材の外側端部よりも外側に突出するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の現像装置と、
前記現像装置から現像剤が供給されて現像剤像が形成される感光体と、を備えたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置であって、
前記感光体に対して光を走査する露光手段と、
前記プロセスユニットで形成された現像剤像を用紙に転写する転写手段と、
用紙上に形成された現像剤像を定着する定着手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−78381(P2012−78381A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220568(P2010−220568)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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