現像装置、現像方法及び記憶媒体
【課題】基板の面内で均一性高くパターンを形成することができる現像装置を提供すること。
【解決手段】表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像するための現像液供給部と、基板上において予め設定されている特定の領域に、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高めるために、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射する輻射光照射部と、基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する洗浄液供給部と、を備えるように現像装置を構成する。
【解決手段】表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像するための現像液供給部と、基板上において予め設定されている特定の領域に、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高めるために、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射する輻射光照射部と、基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する洗浄液供給部と、を備えるように現像装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その表面にレジストが塗布され、更に露光された基板を現像処理する現像装置、現像方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面にレジストを塗布し、形成されたレジスト膜を所定のパターンで露光した後に、現像装置で現像処理を行い、レジストパターンを形成している。この現像装置としては、ウエハの中心を回転中心として当該ウエハを鉛直軸回りに回転させると共にノズルから現像液を前記回転中心に供給し、遠心力を利用して当該現像液をウエハの周縁部へと広げる処理(回転現像)を行う装置が知られている。その他にも、静止したウエハの一端から他端へノズルを移動させて、ウエハ全体に現像液を液盛りする処理(静止現像)を行う装置が知られている。
【0003】
ところで、加熱雰囲気にて現像液とレジストとの反応が促進され、レジストパターンの解像が早く進行することが知られている。そこで、上記の各現像装置において、加熱した現像液をウエハに供給する場合がある。しかし、上記の回転現像を行う装置にそのような手法を適用すると、現像液がウエハの中心部から周縁部に広がるまでにウエハの周囲の雰囲気により当該現像液が冷却されてしまい、ウエハの周縁部では中央部に比べて現像液の温度が低くなる。結果として、ウエハの面内で解像性がばらつくために、レジストパターンの寸法がばらついてしまうおそれがある。
【0004】
上記のウエハの面内における現像液の温度分布を低減させるために、現像液吐出中にノズルを移動させることにより、現像液の供給位置をウエハの中心部と周縁部との間で繰り返し移動させることが考えられるが、ノズルを移動させるための移動機構への負荷が高くなるし、現像処理に要する時間が長くなってしまうと共に現像液の消費量も多くなってしまうという問題がある。また、このように現像液の供給位置を変えてもウエハの面内の温度を制御することは難しいため、レジストパターンの面内均一性を十分に向上させることができないおそれがある。
【0005】
また、上記の静止現像を行う装置では、ウエハの一端側と他端側とで現像液が供給されるタイミングが異なるので、現像液がレジストから除去されるまでにレジストが現像液に接する時間が、前記一端側と他端側とで異なってしまう。この時間差により、ウエハの他端側よりも一端側でレジストと現像液との反応が大きく進行し、結果としてウエハの面内でレジストパターンの寸法がばらついてしまうおそれがある。
【0006】
このようにウエハの面内で、現像液の温度差または現像時間が異なることによりパターンの寸法がばらついてしまうおそれがある。また、レジストを構成する材質や現像液の供給時間、現像液の供給流量などのレシピが異なることにより、ウエハの面内で寸法がばらつくことがある。このような事情から、ウエハの面内で均一にパターンを形成することができる現像装置が求められていた。なお、特許文献1には現像液を温調することができる現像装置について記載されているが、上記の問題については記載されておらず、当該問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−197321(段落0023、図4など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は現像装置において、基板の面内で均一性高くパターンを形成することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現像装置は、表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像するための現像液供給部と、
基板上において予め設定されている特定の領域に、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高めるために、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射する輻射光照射部と、
基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する洗浄液供給部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の現像装置の具体的な態様としては、例えば次の通りである。
(a)現像液供給部は、前記基板の中心部に現像液を供給するノズルと、前記ノズルから基板に供給される現像液を基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱するための加熱部と、を備え、
前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させるための回転駆動機構を備え、
前記特定の領域は基板の周縁部である。
【0011】
(b)基板に対する現像液の供給位置が基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行うと共に前記第1の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備える。
【0012】
(c)現像液の基板の供給位置を基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行うと共に前記第2の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備える。
【0013】
(d)現像液供給部は、基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルを備え、
基板の表面に現像液を供給するために前記ノズルから現像液を吐出するときに、当該ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させるノズル移動機構を備え、
前記特定の領域は基板の他端側である。
【0014】
(e)前記輻射光照射部は、基板の裏面側に設けられる。
(f)前記輻射光照射部は、発光ダイオードにより構成される。
(g)前記輻射光照射部を温調する温調部が設けられる。
【0015】
本発明の現像方法は、表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を基板保持部に水平に保持する工程と、
現像液供給部により前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像する工程と、
輻射光照射部により基板上において予め設定されている特定の領域に基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射し、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高める工程と、
洗浄液供給部により基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の現像方法の具体的な態様は、例えば次の通りである。
(h)前記レジストを現像する工程は、
現像液を加熱部により基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱する工程と、
加熱した現像液をノズルから基板の中心部に供給する工程と、
回転駆動機構により前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させ、遠心力により現像液を基板の周縁部に広げる工程と、を含み、
前記特定の領域は基板の周縁部である。
【0017】
(i)基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第1の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行う。
(j)基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第2の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行う。
(k)前記レジストを現像する工程は、
基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルから現像液を基板に供給する工程と、
前記ノズルから現像液を基板に供給しながらノズル移動機構により前記ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させる工程と、
を含み、
前記特定の領域は基板の他端側である。
【0018】
本発明の記憶媒体は、基板に対する現像処理を行う現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは上述の現像方法を実施することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の記憶媒体は、基板に対する現像処理を行う現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の現像方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の現像装置は、基板上において予め設定されている特定の領域に、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射し、基板の表面に供給された現像液を加熱する。それによって、特定の領域において現像液とレジストとの反応の度合が高まるので、基板の面内でレジストパターンの均一性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る現像装置の縦断側面図である。
【図2】前記現像装置の平面図である。
【図3】前記現像装置に設けられる輻射光照射群の平面図である。
【図4】前記輻射光照射群を構成する光照射部の縦断側面図である。
【図5】前記現像装置に設けられた現像液供給ノズルの斜視図である。
【図6】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図7】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図8】前記現像装置の他の現像工程を示した作用図である。
【図9】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図10】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図11】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図12】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図13】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図14】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図15】他の実施の形態に係る現像装置の縦断側面図である。
【図16】前記現像装置の平面図である。
【図17】前記現像装置に設けられる輻射光照射群の平面図である。
【図18】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図19】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図20】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図21】更に他の実施の形態に係る制御部の構成図である。
【図22】輻射光照射群の他の例を示した説明図である。
【図23】輻射光照射群の他の例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態に係る現像装置1について説明する。この現像装置1は、例えば23℃に温度制御されたクリーンルーム内に設置されている。図1は現像装置1の縦断側面図であり、図2は平面図である。これらの図を参照しながら説明すると、現像装置1は基板保持部であるスピンチャック11を備えており、スピンチャック11は、基板であるウエハWの裏面側の中央部を真空吸着して、当該ウエハWを水平に保持する。スピンチャック11は、その中央部から下方へ伸びる回転軸12を介して回転駆動部13に接続されている。回転駆動部13は、後述の制御部10から出力される制御信号に基づいて、スピンチャック11に保持されたウエハWを鉛直軸回りに回転させる。
【0023】
スピンチャック11の側方には、スピンチャック11に保持されたウエハWの側方を囲むカップ体21が設けられている。このカップ体21は、上カップ22と、現像装置1を固定するベース14に固定される下カップ23とから構成されている。また現像装置1の天井には、カップ体21に下降気流を供給するためのファン装置15が設けられている。
【0024】
上カップ22は円筒部24と、円筒部24の上縁から内側上方に向けて全周に亘って斜めに伸びる傾斜部25と、円筒部24の下端側周縁の全周を外側に屈曲し、更に上方に折り曲げた屈曲部26とを有している。図1中16は上カップ22を昇降させる昇降ユニットである。上カップ22は、ウエハWに洗浄液を供給しながら現像液を振り切るときに図1に実線で示す上昇位置に位置し、ウエハWから振り切られる現像液や洗浄液が外部に飛散しないようにその内周面で受け止める。この振り切りを行うときを除いて、上カップ22は各ノズルの移動を妨げないように、図1に鎖線で示す下降位置に位置する。
【0025】
下カップ23は、鉛直方向に伸びる外壁27と、外壁27の下端側周縁の全周から内側中央に向けて伸びる底部28と、外壁27の上部内周面の全周から内側に向けて突出し、更に下方に折り曲げられた屈曲部29とを有している。この屈曲部29は、上カップ22の屈曲部26と嵌合し、現像液や洗浄液のミストがカップ体21の外へ漏洩することを防ぐ。また、下カップ23の底部28には開口部と、起立した筒部とが設けられている。前記開口部はカップ体21内の廃液を排出するためのドレインポート2Aとして構成されており、前記筒部の内部はカップ体21内を排気するための排気口2Bとして構成されている。
【0026】
そしてカップ体21の内側には内カップ31が設けられている。内カップ31は、廃液を下カップ23へとガイドする役割を有しており、下カップ23の底部28の内周端から起立する円筒部32と、円筒部32の上縁から外側下方に向けて斜めに伸びる傾斜面からなる山型部33と、山型部33の端部から鉛直下方向に伸びる垂直ガイド部34とを有している。
【0027】
内カップ31内には温調部41が設けられており、温調部41は、第1の支持部42と、第2の支持部43と、温調板44と、流路形成部材45とにより構成されている。第1の支持部42は、下カップ23の底部28から上方向に伸びるように形成され、この第1の支持部42上に上側が開口したカップ状に形成された前記第2の支持部43が設けられている。この第2の支持部43は回転駆動部13上に設けられており、既述の回転軸12は、この第2の支持部43の底部を貫通して回転駆動部13に接続されている。そして、第2の支持部43の上端全周から外側方向に水平に広がるように円形のリング状の前記温調板44が設けられている。また、温調板44の周縁から前記流路形成部材45が下方に向かうように形成されている。
【0028】
温調板44内には、例えば水平面に広がる渦巻き状に温調水の供給路46が形成されている。そして、第1の支持部42及び第2の支持部43には前記供給路46の上流端に接続された温調水供給路47が形成され、前記流路形成部材45には前記温調水供給路46の他端に接続された排液路48が形成されている。前記温調水供給路47の上流側には温調水供給部49が設けられている。この温調水供給部49は、水を予め設定された温度に調整する温調機構(不図示)と、温調された水を温調水供給路47、46に順次圧送し、排液路48から排液させるポンプ(不図示)と、を備えている。温調水供給路46に供給された温調水により温調板44が所定の温度に調整され、それによって後述の輻射光照射群5が温調される。なお、前記第2の支持部43も前記温調水により温調され、回転駆動部13を構成するモータの加熱も抑えられるようになっている。
【0029】
温調板44上には輻射光照射群5が形成されており、この輻射光照射群5は多数の光照射部51により構成されている。光照射部51は、図3に示すようにスピンチャック11を囲むように同心円状に5列に配列されており、全体としては温調板44の内側から外側に向けて放射状に広がるように配置されている。前記同心円状の配列について、内側から外側に向かって順に照射列52a、52b、52c、52d、52eとする。これら照射列52a〜52eは、スピンチャック11に載置されたウエハWの下方を、当該スピンチャック11の外側近傍から前記ウエハWの周縁部下方に亘って設けられている。
【0030】
図4は光照射部51の縦断側面図を示しており、図4に示すように光照射部51は筒状体53と、発光ダイオード(以下、LEDと記載する)54と、透過部55とにより構成されている。筒状体53は上側が開放され、その内部にLED54が設けられている。LED54は赤外線を輻射し、この赤外線はウエハWの材料(基板材料)であるシリコンの吸収波長帯域である。そして、筒状体53の上側を塞ぐように前記透過部55が設けられている。筒状体53は前記赤外線を透過させず、透過部55は赤外線を透過させるように構成されている。従って、光照射部51のLED54から発した赤外線は、ウエハWの裏面における当該光照射部51の直上位置に照射されて、吸収される。それによって、当該直上位置においてウエハWを構成するシリコンの分子の振動が増幅され、ウエハWが局所的に加熱される。
【0031】
各LED54は点灯コントローラ56に接続されている。なお、図3では図示の便宜上、各照射列52a〜52eのうちの一つの光照射部51だけが点灯コントローラ56に接続されているように示しているが、実際には各発光部のLED54が点灯コントローラ56に接続されている。前記点灯コントローラ56は図示しない設定部と電源部とを備え、現像装置1のユーザは、前記設定部により電源部からLED54に供給する電流値を制御することができる。
【0032】
この第1の実施形態では照射列52a〜52eごとに前記電流値を設定できるようになっている。この電流値を大きく設定するほど、LED54から照射される赤外線の強度が大きくなり、対応するウエハWの位置を高い温度で加熱することができる。この第1の実施形態では、LED54から赤外線の照射を行わない場合に、ウエハWに供給された現像液がウエハWの周縁部に向かうほど冷却され、ウエハWの中心部側に比べて周縁部側での現像液とレジストとの反応が遅くなるため、ウエハWの中心部から周縁部に向かうほど高い温度でウエハWを加熱する。即ち、照射列52e>52d>52c>52b>52aの順で電流値が大きく設定される。後述の制御部10により前記点灯コントローラ56にはオンオフ信号が送信され、当該オンオフ信号に基づいて点灯コントローラ56は、各照射列52a〜52eへ各々設定した値で電流の給断を行う。
【0033】
図1に戻って説明を続けると、第2の支持部43に囲まれるように例えば3本の昇降ピン35(図1では2本のみ図示)が設けられており、昇降ピン35は昇降機構36に接続されている。この昇降ピン35を介して、スピンチャック11とウエハWの搬送機構との間でウエハWの受け渡しが行われる。
【0034】
現像装置1は現像液供給ノズル61を備えている。図5に示すようにその下端には、例えば長さL1が8〜15mm、幅L2が0.1〜1mmであるスリット状の吐出口62が設けられている。図2に示すように現像液供給ノズル61は、水平方向に伸びるノズルアーム63の一端に保持されており、ノズルアーム63の他端はカップ体21の外側に設けられたノズル移動機構64に接続されている。ノズル移動機構64はガイド部材65にガイドされて水平方向に移動自在に構成され、且つノズルアーム63を昇降させることができる。これによって現像液供給ノズル61はカップ体21の外側に設けられる待機位置66とカップ体21上との間で、吐出口62の長さ方向に沿って移動することができ、且つウエハWの周縁部と中心部との間でウエハWの径方向に沿った各位置に現像液を供給することができる。
【0035】
図1に示すように現像液供給ノズル61には現像液供給管67の一端が接続され、現像液供給管67の他端は現像液供給源68に接続されている。現像液供給管67には例えば熱交換器からなる加熱部69が介設されている。現像液供給源68は、制御部10から出力される制御信号に基づいて、現像液供給ノズル61への現像液の給断を制御する。加熱部69は、現像液供給ノズル61に供給される現像液をクリーンルーム内の温度よりも高い、所望の温度に加熱する。これによって、現像液供給ノズル61からは予め設定した温度に加熱された現像液を、ウエハWに供給することができる。
【0036】
また、現像装置1は洗浄液供給部をなす洗浄液供給ノズル71を備えており、洗浄液供給ノズル71は鉛直下方に開口した吐出口から、洗浄液として純水を吐出する。図1中72は純水供給源であり、洗浄液供給ノズル71への純水の給断を行う。図2に示すように洗浄液供給ノズル71は、水平方向に伸びるノズルアーム73の一端に保持されており、ノズルアーム73の他端はノズル移動機構64と同様に構成されたノズル移動機構74に接続されている。図2中のガイド部材75は、ガイド部材65と同様にノズル移動機構74をガイドする。このノズル移動機構74により、洗浄液供給ノズル71はカップ体21の外側に設けられる待機位置76と、ウエハWの中心部上との間で移動する。
【0037】
この現像装置1には、例えばコンピュータからなる制御部10が設けられている。制御部10はプログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部などを備えており、前記プログラムには制御部10から現像装置1の各部に制御信号を送り、現像液及び純水のウエハWへの給断、ウエハWの回転、輻射光照射群5からの光照射、各ノズルの移動及び上カップ22の昇降などの動作を制御し、後述するウエハWの処理工程を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラム(処理パラメータの入力操作や表示に関するプログラムも含む)は、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)メモリーカードなどの記憶媒体に格納されて制御部10にインストールされる。
【0038】
続いて、現像装置1の作用について説明する。温調板44に温調水が供給されて光照射部51が温調された状態で、図6に示すように搬送機構79によりウエハWが現像装置1の外部からスピンチャック11上に搬送される。このウエハWの表面には所定のパターンに沿って露光されたレジスト膜が形成されているが、当該レジスト膜の図示は便宜上省略している。昇降ピン35と搬送機構76との協働作業によりスピンチャック11がウエハWの裏面中央部を吸着して、当該ウエハWを保持すると、洗浄液供給ノズル71が待機位置76からウエハWの中心部上に移動する。洗浄液供給ノズル71からウエハWの中心部に純水が供給されると共にウエハWが鉛直軸回りに回転し、図7に示すように純水70が、遠心力によりウエハWの周縁部に広げられる。これによって、ウエハW表面における現像液の濡れ性が高められる、いわゆるプリウエットが行われる(ステップS1)。
【0039】
洗浄液供給ノズル71から純水の供給が停止し、洗浄液供給ノズル71が待機位置76へ戻る。続いて、現像液供給ノズル61が待機位置66からウエハWの中心部上に移動すると共に、図8中点線の矢印で示すように輻射光照射群5において、ウエハWの周縁部側に位置する照射列52の光照射部51ほど、その照射強度が高くなるように赤外線をウエハWの裏面に照射する。それによって、ウエハWにおいて照射列52a上の領域から照射列52e上の領域に向かうに従って温度が高くなるように加熱される。つまり、ウエハWにおいてスピンチャック11の中心部からウエハWの周縁部に向かうに従って、その温度が次第に上昇するように当該ウエハWが加熱される。
【0040】
現像液供給ノズル61からウエハWの中心部に例えば35℃に加熱された現像液60が供給され、遠心力によりウエハWの周縁部に向けて広げられる(ステップS2)。クリーンルーム内の雰囲気が有する現像液60に対する冷却作用がウエハWから供給される熱により打ち消され、現像液60はその温度が例えば35℃に維持されたまま、純水70により濡れたウエハW表面を、当該純水70を押し流して濡れ広がり、ウエハWの周縁部に行き亘る(図9)。それによって、ウエハ表面に現像液の薄膜が形成され、後のステップSで現像液を供給した際に当該現像液の濡れ性がさらに高まるように、ウエハWが現像液によりプリウエットされる。その後、現像液供給ノズル61からの現像液60の供給が一旦停止すると共に各光照射部51からの赤外線照射が一旦停止する(図10)。
【0041】
現像液供給ノズル61がウエハWの周縁部上に移動し、ウエハWの周縁部に現像液が供給されると(図11)、現像液ノズル61がウエハWの中心部上に向かって移動し、それによって図12に示すように現像液の供給位置がウエハWの中心部へ向かって移動する(ステップS3)。ウエハWに供給された現像液は、既に現像液が供給されることにより、濡れ性が高まったウエハW表面を遠心力により速やかにウエハの周縁部へと広げられる。現像液供給ノズル61がウエハWの中心部上に位置すると、その移動が停止すると共に各照射列52の光照射部51からウエハWの裏面に赤外線が照射される。ステップS2と同様に、ウエハWの外側に位置する照射列52の光照射部51ほど、その照射強度が強くなるように赤外線を照射することで、ウエハWはその中心部から周縁部へ向かうほど、その温度が高くなるように加熱される(図13)。それによって、現像液は例えばその温度が35℃のままウエハWの中心部から周縁部に行き亘り、現像液とレジストとの反応が進行する(ステップS4)。
【0042】
然る後、現像液供給ノズル61から現像液の供給が停止すると共に、各照射52列から輻射光である赤外線の照射が停止する。現像液供給ノズル61が待機位置66へ戻り、洗浄液供給ノズル71が待機部76からウエハWの中心部上へ移動し、ウエハWの中心部へ純水が供給される(図14)。供給された純水により、現像液がウエハWの外周へと押し流されて除去され、現像液に対するレジストの反応が停止すると共に現像液に溶解したレジストがウエハW表面から除去されて、レジストパターンが解像される(ステップS5)。その後、純水の供給が停止し、洗浄液供給ノズル71が待機部76へ戻ると共にウエハWの回転により純水が振り切られて、当該ウエハWが乾燥する。その後、ウエハWの回転が停止し、昇降ピン35によりウエハWが搬送機構20に受け渡され、現像装置1から退避する。
【0043】
この現像装置1によれば、現像液を回転するウエハWの中心部に供給するときに、輻射光照射群5を構成する各光照射部51からウエハWの周縁部側に位置するものほど、その照射強度が強くなるように赤外線を照射し、ウエハWの周縁部側の温度が中心部側の温度に比べて高くなるように加熱する。これによってウエハWの周縁部へと広がる現像液がウエハWの周囲の雰囲気により冷却されることが抑えられ、ウエハWの面内の現像液の温度の均一性が高くなる。従って、ウエハWの面内で均一性高くレジストと現像液との反応が進行するため、レジストパターンの寸法の均一性を高くすることができる。その結果として、歩留りの低下を抑えることができる。また、赤外線により加熱を行うことで、例えば発熱抵抗体から放射される熱を利用して加熱を行う場合に比べて、速やかにウエハWを加熱することができるのでスループットの低下を抑えることができる。また、背景技術の項目で説明したように、現像液供給ノズルを繰り返し移動させながら加熱した現像液を供給して、ウエハWの面内の温度を制御する手法よりも処理時間や現像液の供給量及びノズル移動機構64の負荷を抑えることができる。
【0044】
また、現像装置1では光照射部51を温調する温調板44が設けられているので、光照射部51が過度に発熱し、その輻射熱を受けてウエハWの温度がばらつくことが抑えられる。従って、赤外線による加熱で、精度高くウエハWの温度を制御することができるので、ウエハWの面内において、より確実にレジストパターンの寸法の均一性を高くすることができる。
【0045】
上記のステップS2及びステップS4のいずれか一方のみ、赤外線の照射を行っても、現像液とレジストとの反応のばらつきが抑えられるのでパターンの寸法の均一性が高まるが、上記の実施形態のようにステップS2及びS4の両方で赤外線の照射を行うことで、パターンの寸法の均一性をより高くすることができる。
【0046】
ところで、ウエハWの各部で均一なパターンを形成するために要する現像液の温度は、レジストが現像液に接する時間、つまり各ステップでウエハWに供給される現像液の流量や例えばステップS3において現像液ノズル61を移動させるときのノズルの移動速度などによって変化する。従って、上記の例ではウエハWに供給された現像液の温度がウエハWの面内で同じ温度になるように各光照射部51の出力を制御しているが、このように現像液の温度を制御することに限られず、例えばウエハWの周縁部側の現像液の温度が中央部側の現像液の温度に比べて高い温度になるようにウエハWを加熱してもよい。具体的には、例えばウエハWの中心部では現像液の温度が35℃、ウエハWの周縁部では現像液の温度が40℃になるようにウエハWの各部を加熱してもよい。また、例えば照射列52a〜52dから赤外線の照射を行わず、照射列52eから赤外線を照射して、ウエハWの周縁部のみを局所的に加熱してもよい。
【0047】
また、上記のステップS2、S4において、現像液がウエハWに供給されているときに少なくともウエハWの周縁部が加熱されていればよく、従って赤外線の照射を開始するタイミングは、ウエハWの中心部へ現像液の供給を開始するタイミングと同時であることに限られず、現像液の供給開始前から赤外線の照射を開始してもよいし、現像液の供給開始に遅れて赤外線の照射を開始してもよい。
【0048】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態に係る現像装置8について、第1の実施形態の現像装置1との差異点を中心に説明する。図15、図16は夫々現像装置8の縦断側面図、平面図であり、現像装置1と同様に構成される各部については、現像装置1と同じ符号を用いて示している。この現像装置8は現像液供給ノズル81を備え、現像液供給ノズル81の下方には、ウエハWの直径と略同じ長さに形成されたスリット状の現像液吐出口82が設けられている。また、現像液供給管67には加熱部69が設けられておらず、現像液供給ノズル81からは例えば常温の現像液が供給される。現像液供給ノズル81はウエハWに現像液を供給する際に待機位置66から離れるように移動する。また、上カップ22の上部には、現像液ノズル81に対応して角型に開口した液受け部83が設けられている。
【0049】
現像装置8の輻射光照射群5は、例えば図17に示すように現像液供給ノズル61の移動方向に沿って設定された5つの照射領域84a〜84e毎に出力が調整される。図17では各照射領域を明確に区別して示すために照射領域84b、84dに斜線を付している。これらの照射領域84は、領域84a、84b、84c、84d、84eの順にウエハWの待機位置66の近くに設けられている。この現像装置8では、輻射光照射群5からの照射を行わない場合に、領域84a〜84eに向かうほどレジストが現像液に接する時間が短いため、レジストと現像液との反応が進行し難くなる。そこで、照射領域84e、84d、84c、84b、84aの順に、光照射部51から出力される赤外線の強度が強くなるように設定される。
【0050】
現像装置8の作用について説明すると、ウエハWがスピンチャック11に載置された後、待機位置66から現像液供給ノズル61がウエハWの一端側へ向かって移動すると共に輻射光照射群5の照射領域84a〜84eから赤外線が照射され、照射領域84e、84d、84c、84b、84aに対応するウエハWの各部領域が加熱されて、照射領域84aに対応するウエハWの一端側から照射領域84eに対応するウエハWの他端側に向かうに従ってウエハWの温度が高くなる。
【0051】
現像液供給ノズル61がウエハWの一端上に差し掛かると、吐出口82から現像液60が吐出され(図18)、現像液に接したウエハWの一端側で現像液とレジストとの反応が開始される。そして、現像液60の吐出が続けられたまま現像液供給ノズル61はウエハWの他端上へと移動し、ウエハWの一端側から他端側へ向かう各部が順次現像液に現像液に接し、レジストと現像液との反応が進行する(図19)。現像液60がウエハWの表面全体に盛られると、現像液60の供給が停止し、現像液供給ノズル61が待機位置66に戻る。ウエハW表面では、温度が高い他端側ほど現像液とレジストとの反応が早く進行し、次第にウエハWの面内で現像液とレジストとの反応の度合が揃う。然る後、ウエハWの回転が開始され、第1の実施形態のステップS5と同様にウエハWの中心部に純水供給ノズル71から純水70が供給されて、ウエハWから現像液60が除去され、レジストの反応が停止する(図20)。
【0052】
この現像装置8ではウエハWの他端側に向かうほど現像液に接する時間が短いが、輻射光照射群5の赤外線の照射によって、他端側に向かうほど現像液とレジストとの反応が早く進行する。従って、ウエハWの面内においてレジストが現像液に接する時間差による反応の度合のずれが均される。結果として、ウエハWの面内でレジストの解像性がばらつくことを抑えることができ、レジストパターンの寸法の面内均一性を高くすることができる。
【0053】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に加熱した現像液をウエハWに供給することができる。また、ウエハWの一端側を加熱せず、現像液に接する時間が短いウエハWの他端側のみを局所的に加熱してもよい。赤外線の照射開始は、現像液をウエハW全面に盛った後、現像液を除去するまでに行ってもよい。
【0054】
(第3の実施形態)
第1の実施形態で常温の現像液を用いても、使用するレジストの種類や処理のレシピによっては、輻射光照射群5からの赤外線照射を行わない場合にパターンの寸法にばらつきが発生する場合がある。第3の実施形態の現像装置では、このようにレジストの種類や処理のレシピにより発生するパターンのばらつきを補正する。ところで、ここでいうレシピとは、前記ステップS2でプリウエットを行う際にウエハWの中心部に供給する現像液の流量、供給時間、ステップS3で現像液供給ノズル61をウエハWの中心部へ移動させる際の現像液の流量、周縁部上から中心部上へノズルの移動に要する時間及びステップS4でウエハWの中心部に供給する現像液の流量、供給時間である。
【0055】
この第3の実施形態では第1の実施形態の現像装置1が用いられるが、現像液供給ノズル61からは、常温の現像液が供給される。また、この第3の実施形態の現像装置1では、例えば照射列52a〜52eのいずれか一つの列が発光するように制御部10からオンオフ信号が送信され、各光照射部51への供給電流は各列ごと等しくなるように設定されている。
【0056】
図21は前記現像装置1の制御部10の構成例を示している。図中81はバス、82はCPU、83はプログラムである。84はメモリであり、テーブル85を含んでいる。このテーブル85について説明する。この第3の実施形態では予めレジストの種類と上記のレシピとを変化させて各ウエハWに現像装置1で処理を行い、形成されたレジストパターンを調べて、各ウエハWの径方向におけるパターンの解像性が低い領域を特定しておく。ただし、この処理時には輻射光照射群5からの赤外線の照射は行わない。このように実験したレジストの種類とレシピと、前記解像性の低い領域に対応する照射列52とを対応付けたデータが、テーブル85として記憶されている。
【0057】
この第3の実施形態の現像装置1の作用について、第1の実施形態との差異点を説明すると、装置による処理前に予めユーザが、入力部86からウエハWに塗布されたレジストの種類及び実行する前記レシピを選択すると、制御部10が選択されたレジストの種類及びレシピに対応する照射列52をテーブル85から検索する。そして、ステップS2、S4の実行時には、検索された照射列52から赤外線が供給され、実験段階で調べられたパターンの解像性が低くなるウエハWの領域に照射される。それによって、当該領域が加熱され、第1の実施形態と同様にウエハWの面内でパターンが均一性高く形成される。
【0058】
この第3の実施形態において、輻射光照射群5を構成する照射列52はウエハWの径方向に5列にすることに限られず、5列以上、例えば50列であってもよい。そして、レジストの種類及びレシピに応じて例えば複数の列を点灯させてもよい。具体的に、最もウエハWの中心部よりの照射列を1列目、最も外側よりの照射列を50列目とすると、例えば45列目〜50列目を点灯させたり(図22)、43列目〜46列目を点灯させる(図23)。図22、23では点灯して赤外線を発している照射列に斜線を付している。このように多数の照射列を設け、複数の照射列を点灯させることで装置の分解能を向上させてもよい。なお、このような構成を第1の実施形態及び第2の実施形態にも適用することができ、ウエハWの周縁部や端部を局所的に加熱する場合に、複数の照射列を点灯させて加熱を行うことができる。
【0059】
ウエハWの温度が高いほど現像液の温度が高くなり、レジストとの反応が進行しやすくなるが、温度が高すぎると現像液が変質してしまい反応が進みにくくなるので、赤外線により加熱されるウエハWの温度としては例えば23℃〜50℃に制御される。
【符号の説明】
【0060】
W ウエハ
1,8 現像装置
10 制御部
11 スピンチャック
21 カップ体
41 温調機構
44 温調板
5 輻射光照射部
51 発光部
52a〜52e 照射列
56 点灯コントローラ
61 現像液供給ノズル
71 洗浄液供給ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、その表面にレジストが塗布され、更に露光された基板を現像処理する現像装置、現像方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面にレジストを塗布し、形成されたレジスト膜を所定のパターンで露光した後に、現像装置で現像処理を行い、レジストパターンを形成している。この現像装置としては、ウエハの中心を回転中心として当該ウエハを鉛直軸回りに回転させると共にノズルから現像液を前記回転中心に供給し、遠心力を利用して当該現像液をウエハの周縁部へと広げる処理(回転現像)を行う装置が知られている。その他にも、静止したウエハの一端から他端へノズルを移動させて、ウエハ全体に現像液を液盛りする処理(静止現像)を行う装置が知られている。
【0003】
ところで、加熱雰囲気にて現像液とレジストとの反応が促進され、レジストパターンの解像が早く進行することが知られている。そこで、上記の各現像装置において、加熱した現像液をウエハに供給する場合がある。しかし、上記の回転現像を行う装置にそのような手法を適用すると、現像液がウエハの中心部から周縁部に広がるまでにウエハの周囲の雰囲気により当該現像液が冷却されてしまい、ウエハの周縁部では中央部に比べて現像液の温度が低くなる。結果として、ウエハの面内で解像性がばらつくために、レジストパターンの寸法がばらついてしまうおそれがある。
【0004】
上記のウエハの面内における現像液の温度分布を低減させるために、現像液吐出中にノズルを移動させることにより、現像液の供給位置をウエハの中心部と周縁部との間で繰り返し移動させることが考えられるが、ノズルを移動させるための移動機構への負荷が高くなるし、現像処理に要する時間が長くなってしまうと共に現像液の消費量も多くなってしまうという問題がある。また、このように現像液の供給位置を変えてもウエハの面内の温度を制御することは難しいため、レジストパターンの面内均一性を十分に向上させることができないおそれがある。
【0005】
また、上記の静止現像を行う装置では、ウエハの一端側と他端側とで現像液が供給されるタイミングが異なるので、現像液がレジストから除去されるまでにレジストが現像液に接する時間が、前記一端側と他端側とで異なってしまう。この時間差により、ウエハの他端側よりも一端側でレジストと現像液との反応が大きく進行し、結果としてウエハの面内でレジストパターンの寸法がばらついてしまうおそれがある。
【0006】
このようにウエハの面内で、現像液の温度差または現像時間が異なることによりパターンの寸法がばらついてしまうおそれがある。また、レジストを構成する材質や現像液の供給時間、現像液の供給流量などのレシピが異なることにより、ウエハの面内で寸法がばらつくことがある。このような事情から、ウエハの面内で均一にパターンを形成することができる現像装置が求められていた。なお、特許文献1には現像液を温調することができる現像装置について記載されているが、上記の問題については記載されておらず、当該問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−197321(段落0023、図4など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は現像装置において、基板の面内で均一性高くパターンを形成することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現像装置は、表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像するための現像液供給部と、
基板上において予め設定されている特定の領域に、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高めるために、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射する輻射光照射部と、
基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する洗浄液供給部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の現像装置の具体的な態様としては、例えば次の通りである。
(a)現像液供給部は、前記基板の中心部に現像液を供給するノズルと、前記ノズルから基板に供給される現像液を基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱するための加熱部と、を備え、
前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させるための回転駆動機構を備え、
前記特定の領域は基板の周縁部である。
【0011】
(b)基板に対する現像液の供給位置が基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行うと共に前記第1の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備える。
【0012】
(c)現像液の基板の供給位置を基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行うと共に前記第2の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備える。
【0013】
(d)現像液供給部は、基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルを備え、
基板の表面に現像液を供給するために前記ノズルから現像液を吐出するときに、当該ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させるノズル移動機構を備え、
前記特定の領域は基板の他端側である。
【0014】
(e)前記輻射光照射部は、基板の裏面側に設けられる。
(f)前記輻射光照射部は、発光ダイオードにより構成される。
(g)前記輻射光照射部を温調する温調部が設けられる。
【0015】
本発明の現像方法は、表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を基板保持部に水平に保持する工程と、
現像液供給部により前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像する工程と、
輻射光照射部により基板上において予め設定されている特定の領域に基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射し、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高める工程と、
洗浄液供給部により基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の現像方法の具体的な態様は、例えば次の通りである。
(h)前記レジストを現像する工程は、
現像液を加熱部により基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱する工程と、
加熱した現像液をノズルから基板の中心部に供給する工程と、
回転駆動機構により前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させ、遠心力により現像液を基板の周縁部に広げる工程と、を含み、
前記特定の領域は基板の周縁部である。
【0017】
(i)基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第1の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行う。
(j)基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第2の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行う。
(k)前記レジストを現像する工程は、
基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルから現像液を基板に供給する工程と、
前記ノズルから現像液を基板に供給しながらノズル移動機構により前記ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させる工程と、
を含み、
前記特定の領域は基板の他端側である。
【0018】
本発明の記憶媒体は、基板に対する現像処理を行う現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは上述の現像方法を実施することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の記憶媒体は、基板に対する現像処理を行う現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の現像方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の現像装置は、基板上において予め設定されている特定の領域に、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射し、基板の表面に供給された現像液を加熱する。それによって、特定の領域において現像液とレジストとの反応の度合が高まるので、基板の面内でレジストパターンの均一性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る現像装置の縦断側面図である。
【図2】前記現像装置の平面図である。
【図3】前記現像装置に設けられる輻射光照射群の平面図である。
【図4】前記輻射光照射群を構成する光照射部の縦断側面図である。
【図5】前記現像装置に設けられた現像液供給ノズルの斜視図である。
【図6】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図7】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図8】前記現像装置の他の現像工程を示した作用図である。
【図9】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図10】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図11】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図12】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図13】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図14】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図15】他の実施の形態に係る現像装置の縦断側面図である。
【図16】前記現像装置の平面図である。
【図17】前記現像装置に設けられる輻射光照射群の平面図である。
【図18】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図19】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図20】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図21】更に他の実施の形態に係る制御部の構成図である。
【図22】輻射光照射群の他の例を示した説明図である。
【図23】輻射光照射群の他の例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の実施形態に係る現像装置1について説明する。この現像装置1は、例えば23℃に温度制御されたクリーンルーム内に設置されている。図1は現像装置1の縦断側面図であり、図2は平面図である。これらの図を参照しながら説明すると、現像装置1は基板保持部であるスピンチャック11を備えており、スピンチャック11は、基板であるウエハWの裏面側の中央部を真空吸着して、当該ウエハWを水平に保持する。スピンチャック11は、その中央部から下方へ伸びる回転軸12を介して回転駆動部13に接続されている。回転駆動部13は、後述の制御部10から出力される制御信号に基づいて、スピンチャック11に保持されたウエハWを鉛直軸回りに回転させる。
【0023】
スピンチャック11の側方には、スピンチャック11に保持されたウエハWの側方を囲むカップ体21が設けられている。このカップ体21は、上カップ22と、現像装置1を固定するベース14に固定される下カップ23とから構成されている。また現像装置1の天井には、カップ体21に下降気流を供給するためのファン装置15が設けられている。
【0024】
上カップ22は円筒部24と、円筒部24の上縁から内側上方に向けて全周に亘って斜めに伸びる傾斜部25と、円筒部24の下端側周縁の全周を外側に屈曲し、更に上方に折り曲げた屈曲部26とを有している。図1中16は上カップ22を昇降させる昇降ユニットである。上カップ22は、ウエハWに洗浄液を供給しながら現像液を振り切るときに図1に実線で示す上昇位置に位置し、ウエハWから振り切られる現像液や洗浄液が外部に飛散しないようにその内周面で受け止める。この振り切りを行うときを除いて、上カップ22は各ノズルの移動を妨げないように、図1に鎖線で示す下降位置に位置する。
【0025】
下カップ23は、鉛直方向に伸びる外壁27と、外壁27の下端側周縁の全周から内側中央に向けて伸びる底部28と、外壁27の上部内周面の全周から内側に向けて突出し、更に下方に折り曲げられた屈曲部29とを有している。この屈曲部29は、上カップ22の屈曲部26と嵌合し、現像液や洗浄液のミストがカップ体21の外へ漏洩することを防ぐ。また、下カップ23の底部28には開口部と、起立した筒部とが設けられている。前記開口部はカップ体21内の廃液を排出するためのドレインポート2Aとして構成されており、前記筒部の内部はカップ体21内を排気するための排気口2Bとして構成されている。
【0026】
そしてカップ体21の内側には内カップ31が設けられている。内カップ31は、廃液を下カップ23へとガイドする役割を有しており、下カップ23の底部28の内周端から起立する円筒部32と、円筒部32の上縁から外側下方に向けて斜めに伸びる傾斜面からなる山型部33と、山型部33の端部から鉛直下方向に伸びる垂直ガイド部34とを有している。
【0027】
内カップ31内には温調部41が設けられており、温調部41は、第1の支持部42と、第2の支持部43と、温調板44と、流路形成部材45とにより構成されている。第1の支持部42は、下カップ23の底部28から上方向に伸びるように形成され、この第1の支持部42上に上側が開口したカップ状に形成された前記第2の支持部43が設けられている。この第2の支持部43は回転駆動部13上に設けられており、既述の回転軸12は、この第2の支持部43の底部を貫通して回転駆動部13に接続されている。そして、第2の支持部43の上端全周から外側方向に水平に広がるように円形のリング状の前記温調板44が設けられている。また、温調板44の周縁から前記流路形成部材45が下方に向かうように形成されている。
【0028】
温調板44内には、例えば水平面に広がる渦巻き状に温調水の供給路46が形成されている。そして、第1の支持部42及び第2の支持部43には前記供給路46の上流端に接続された温調水供給路47が形成され、前記流路形成部材45には前記温調水供給路46の他端に接続された排液路48が形成されている。前記温調水供給路47の上流側には温調水供給部49が設けられている。この温調水供給部49は、水を予め設定された温度に調整する温調機構(不図示)と、温調された水を温調水供給路47、46に順次圧送し、排液路48から排液させるポンプ(不図示)と、を備えている。温調水供給路46に供給された温調水により温調板44が所定の温度に調整され、それによって後述の輻射光照射群5が温調される。なお、前記第2の支持部43も前記温調水により温調され、回転駆動部13を構成するモータの加熱も抑えられるようになっている。
【0029】
温調板44上には輻射光照射群5が形成されており、この輻射光照射群5は多数の光照射部51により構成されている。光照射部51は、図3に示すようにスピンチャック11を囲むように同心円状に5列に配列されており、全体としては温調板44の内側から外側に向けて放射状に広がるように配置されている。前記同心円状の配列について、内側から外側に向かって順に照射列52a、52b、52c、52d、52eとする。これら照射列52a〜52eは、スピンチャック11に載置されたウエハWの下方を、当該スピンチャック11の外側近傍から前記ウエハWの周縁部下方に亘って設けられている。
【0030】
図4は光照射部51の縦断側面図を示しており、図4に示すように光照射部51は筒状体53と、発光ダイオード(以下、LEDと記載する)54と、透過部55とにより構成されている。筒状体53は上側が開放され、その内部にLED54が設けられている。LED54は赤外線を輻射し、この赤外線はウエハWの材料(基板材料)であるシリコンの吸収波長帯域である。そして、筒状体53の上側を塞ぐように前記透過部55が設けられている。筒状体53は前記赤外線を透過させず、透過部55は赤外線を透過させるように構成されている。従って、光照射部51のLED54から発した赤外線は、ウエハWの裏面における当該光照射部51の直上位置に照射されて、吸収される。それによって、当該直上位置においてウエハWを構成するシリコンの分子の振動が増幅され、ウエハWが局所的に加熱される。
【0031】
各LED54は点灯コントローラ56に接続されている。なお、図3では図示の便宜上、各照射列52a〜52eのうちの一つの光照射部51だけが点灯コントローラ56に接続されているように示しているが、実際には各発光部のLED54が点灯コントローラ56に接続されている。前記点灯コントローラ56は図示しない設定部と電源部とを備え、現像装置1のユーザは、前記設定部により電源部からLED54に供給する電流値を制御することができる。
【0032】
この第1の実施形態では照射列52a〜52eごとに前記電流値を設定できるようになっている。この電流値を大きく設定するほど、LED54から照射される赤外線の強度が大きくなり、対応するウエハWの位置を高い温度で加熱することができる。この第1の実施形態では、LED54から赤外線の照射を行わない場合に、ウエハWに供給された現像液がウエハWの周縁部に向かうほど冷却され、ウエハWの中心部側に比べて周縁部側での現像液とレジストとの反応が遅くなるため、ウエハWの中心部から周縁部に向かうほど高い温度でウエハWを加熱する。即ち、照射列52e>52d>52c>52b>52aの順で電流値が大きく設定される。後述の制御部10により前記点灯コントローラ56にはオンオフ信号が送信され、当該オンオフ信号に基づいて点灯コントローラ56は、各照射列52a〜52eへ各々設定した値で電流の給断を行う。
【0033】
図1に戻って説明を続けると、第2の支持部43に囲まれるように例えば3本の昇降ピン35(図1では2本のみ図示)が設けられており、昇降ピン35は昇降機構36に接続されている。この昇降ピン35を介して、スピンチャック11とウエハWの搬送機構との間でウエハWの受け渡しが行われる。
【0034】
現像装置1は現像液供給ノズル61を備えている。図5に示すようにその下端には、例えば長さL1が8〜15mm、幅L2が0.1〜1mmであるスリット状の吐出口62が設けられている。図2に示すように現像液供給ノズル61は、水平方向に伸びるノズルアーム63の一端に保持されており、ノズルアーム63の他端はカップ体21の外側に設けられたノズル移動機構64に接続されている。ノズル移動機構64はガイド部材65にガイドされて水平方向に移動自在に構成され、且つノズルアーム63を昇降させることができる。これによって現像液供給ノズル61はカップ体21の外側に設けられる待機位置66とカップ体21上との間で、吐出口62の長さ方向に沿って移動することができ、且つウエハWの周縁部と中心部との間でウエハWの径方向に沿った各位置に現像液を供給することができる。
【0035】
図1に示すように現像液供給ノズル61には現像液供給管67の一端が接続され、現像液供給管67の他端は現像液供給源68に接続されている。現像液供給管67には例えば熱交換器からなる加熱部69が介設されている。現像液供給源68は、制御部10から出力される制御信号に基づいて、現像液供給ノズル61への現像液の給断を制御する。加熱部69は、現像液供給ノズル61に供給される現像液をクリーンルーム内の温度よりも高い、所望の温度に加熱する。これによって、現像液供給ノズル61からは予め設定した温度に加熱された現像液を、ウエハWに供給することができる。
【0036】
また、現像装置1は洗浄液供給部をなす洗浄液供給ノズル71を備えており、洗浄液供給ノズル71は鉛直下方に開口した吐出口から、洗浄液として純水を吐出する。図1中72は純水供給源であり、洗浄液供給ノズル71への純水の給断を行う。図2に示すように洗浄液供給ノズル71は、水平方向に伸びるノズルアーム73の一端に保持されており、ノズルアーム73の他端はノズル移動機構64と同様に構成されたノズル移動機構74に接続されている。図2中のガイド部材75は、ガイド部材65と同様にノズル移動機構74をガイドする。このノズル移動機構74により、洗浄液供給ノズル71はカップ体21の外側に設けられる待機位置76と、ウエハWの中心部上との間で移動する。
【0037】
この現像装置1には、例えばコンピュータからなる制御部10が設けられている。制御部10はプログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部などを備えており、前記プログラムには制御部10から現像装置1の各部に制御信号を送り、現像液及び純水のウエハWへの給断、ウエハWの回転、輻射光照射群5からの光照射、各ノズルの移動及び上カップ22の昇降などの動作を制御し、後述するウエハWの処理工程を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラム(処理パラメータの入力操作や表示に関するプログラムも含む)は、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)メモリーカードなどの記憶媒体に格納されて制御部10にインストールされる。
【0038】
続いて、現像装置1の作用について説明する。温調板44に温調水が供給されて光照射部51が温調された状態で、図6に示すように搬送機構79によりウエハWが現像装置1の外部からスピンチャック11上に搬送される。このウエハWの表面には所定のパターンに沿って露光されたレジスト膜が形成されているが、当該レジスト膜の図示は便宜上省略している。昇降ピン35と搬送機構76との協働作業によりスピンチャック11がウエハWの裏面中央部を吸着して、当該ウエハWを保持すると、洗浄液供給ノズル71が待機位置76からウエハWの中心部上に移動する。洗浄液供給ノズル71からウエハWの中心部に純水が供給されると共にウエハWが鉛直軸回りに回転し、図7に示すように純水70が、遠心力によりウエハWの周縁部に広げられる。これによって、ウエハW表面における現像液の濡れ性が高められる、いわゆるプリウエットが行われる(ステップS1)。
【0039】
洗浄液供給ノズル71から純水の供給が停止し、洗浄液供給ノズル71が待機位置76へ戻る。続いて、現像液供給ノズル61が待機位置66からウエハWの中心部上に移動すると共に、図8中点線の矢印で示すように輻射光照射群5において、ウエハWの周縁部側に位置する照射列52の光照射部51ほど、その照射強度が高くなるように赤外線をウエハWの裏面に照射する。それによって、ウエハWにおいて照射列52a上の領域から照射列52e上の領域に向かうに従って温度が高くなるように加熱される。つまり、ウエハWにおいてスピンチャック11の中心部からウエハWの周縁部に向かうに従って、その温度が次第に上昇するように当該ウエハWが加熱される。
【0040】
現像液供給ノズル61からウエハWの中心部に例えば35℃に加熱された現像液60が供給され、遠心力によりウエハWの周縁部に向けて広げられる(ステップS2)。クリーンルーム内の雰囲気が有する現像液60に対する冷却作用がウエハWから供給される熱により打ち消され、現像液60はその温度が例えば35℃に維持されたまま、純水70により濡れたウエハW表面を、当該純水70を押し流して濡れ広がり、ウエハWの周縁部に行き亘る(図9)。それによって、ウエハ表面に現像液の薄膜が形成され、後のステップSで現像液を供給した際に当該現像液の濡れ性がさらに高まるように、ウエハWが現像液によりプリウエットされる。その後、現像液供給ノズル61からの現像液60の供給が一旦停止すると共に各光照射部51からの赤外線照射が一旦停止する(図10)。
【0041】
現像液供給ノズル61がウエハWの周縁部上に移動し、ウエハWの周縁部に現像液が供給されると(図11)、現像液ノズル61がウエハWの中心部上に向かって移動し、それによって図12に示すように現像液の供給位置がウエハWの中心部へ向かって移動する(ステップS3)。ウエハWに供給された現像液は、既に現像液が供給されることにより、濡れ性が高まったウエハW表面を遠心力により速やかにウエハの周縁部へと広げられる。現像液供給ノズル61がウエハWの中心部上に位置すると、その移動が停止すると共に各照射列52の光照射部51からウエハWの裏面に赤外線が照射される。ステップS2と同様に、ウエハWの外側に位置する照射列52の光照射部51ほど、その照射強度が強くなるように赤外線を照射することで、ウエハWはその中心部から周縁部へ向かうほど、その温度が高くなるように加熱される(図13)。それによって、現像液は例えばその温度が35℃のままウエハWの中心部から周縁部に行き亘り、現像液とレジストとの反応が進行する(ステップS4)。
【0042】
然る後、現像液供給ノズル61から現像液の供給が停止すると共に、各照射52列から輻射光である赤外線の照射が停止する。現像液供給ノズル61が待機位置66へ戻り、洗浄液供給ノズル71が待機部76からウエハWの中心部上へ移動し、ウエハWの中心部へ純水が供給される(図14)。供給された純水により、現像液がウエハWの外周へと押し流されて除去され、現像液に対するレジストの反応が停止すると共に現像液に溶解したレジストがウエハW表面から除去されて、レジストパターンが解像される(ステップS5)。その後、純水の供給が停止し、洗浄液供給ノズル71が待機部76へ戻ると共にウエハWの回転により純水が振り切られて、当該ウエハWが乾燥する。その後、ウエハWの回転が停止し、昇降ピン35によりウエハWが搬送機構20に受け渡され、現像装置1から退避する。
【0043】
この現像装置1によれば、現像液を回転するウエハWの中心部に供給するときに、輻射光照射群5を構成する各光照射部51からウエハWの周縁部側に位置するものほど、その照射強度が強くなるように赤外線を照射し、ウエハWの周縁部側の温度が中心部側の温度に比べて高くなるように加熱する。これによってウエハWの周縁部へと広がる現像液がウエハWの周囲の雰囲気により冷却されることが抑えられ、ウエハWの面内の現像液の温度の均一性が高くなる。従って、ウエハWの面内で均一性高くレジストと現像液との反応が進行するため、レジストパターンの寸法の均一性を高くすることができる。その結果として、歩留りの低下を抑えることができる。また、赤外線により加熱を行うことで、例えば発熱抵抗体から放射される熱を利用して加熱を行う場合に比べて、速やかにウエハWを加熱することができるのでスループットの低下を抑えることができる。また、背景技術の項目で説明したように、現像液供給ノズルを繰り返し移動させながら加熱した現像液を供給して、ウエハWの面内の温度を制御する手法よりも処理時間や現像液の供給量及びノズル移動機構64の負荷を抑えることができる。
【0044】
また、現像装置1では光照射部51を温調する温調板44が設けられているので、光照射部51が過度に発熱し、その輻射熱を受けてウエハWの温度がばらつくことが抑えられる。従って、赤外線による加熱で、精度高くウエハWの温度を制御することができるので、ウエハWの面内において、より確実にレジストパターンの寸法の均一性を高くすることができる。
【0045】
上記のステップS2及びステップS4のいずれか一方のみ、赤外線の照射を行っても、現像液とレジストとの反応のばらつきが抑えられるのでパターンの寸法の均一性が高まるが、上記の実施形態のようにステップS2及びS4の両方で赤外線の照射を行うことで、パターンの寸法の均一性をより高くすることができる。
【0046】
ところで、ウエハWの各部で均一なパターンを形成するために要する現像液の温度は、レジストが現像液に接する時間、つまり各ステップでウエハWに供給される現像液の流量や例えばステップS3において現像液ノズル61を移動させるときのノズルの移動速度などによって変化する。従って、上記の例ではウエハWに供給された現像液の温度がウエハWの面内で同じ温度になるように各光照射部51の出力を制御しているが、このように現像液の温度を制御することに限られず、例えばウエハWの周縁部側の現像液の温度が中央部側の現像液の温度に比べて高い温度になるようにウエハWを加熱してもよい。具体的には、例えばウエハWの中心部では現像液の温度が35℃、ウエハWの周縁部では現像液の温度が40℃になるようにウエハWの各部を加熱してもよい。また、例えば照射列52a〜52dから赤外線の照射を行わず、照射列52eから赤外線を照射して、ウエハWの周縁部のみを局所的に加熱してもよい。
【0047】
また、上記のステップS2、S4において、現像液がウエハWに供給されているときに少なくともウエハWの周縁部が加熱されていればよく、従って赤外線の照射を開始するタイミングは、ウエハWの中心部へ現像液の供給を開始するタイミングと同時であることに限られず、現像液の供給開始前から赤外線の照射を開始してもよいし、現像液の供給開始に遅れて赤外線の照射を開始してもよい。
【0048】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態に係る現像装置8について、第1の実施形態の現像装置1との差異点を中心に説明する。図15、図16は夫々現像装置8の縦断側面図、平面図であり、現像装置1と同様に構成される各部については、現像装置1と同じ符号を用いて示している。この現像装置8は現像液供給ノズル81を備え、現像液供給ノズル81の下方には、ウエハWの直径と略同じ長さに形成されたスリット状の現像液吐出口82が設けられている。また、現像液供給管67には加熱部69が設けられておらず、現像液供給ノズル81からは例えば常温の現像液が供給される。現像液供給ノズル81はウエハWに現像液を供給する際に待機位置66から離れるように移動する。また、上カップ22の上部には、現像液ノズル81に対応して角型に開口した液受け部83が設けられている。
【0049】
現像装置8の輻射光照射群5は、例えば図17に示すように現像液供給ノズル61の移動方向に沿って設定された5つの照射領域84a〜84e毎に出力が調整される。図17では各照射領域を明確に区別して示すために照射領域84b、84dに斜線を付している。これらの照射領域84は、領域84a、84b、84c、84d、84eの順にウエハWの待機位置66の近くに設けられている。この現像装置8では、輻射光照射群5からの照射を行わない場合に、領域84a〜84eに向かうほどレジストが現像液に接する時間が短いため、レジストと現像液との反応が進行し難くなる。そこで、照射領域84e、84d、84c、84b、84aの順に、光照射部51から出力される赤外線の強度が強くなるように設定される。
【0050】
現像装置8の作用について説明すると、ウエハWがスピンチャック11に載置された後、待機位置66から現像液供給ノズル61がウエハWの一端側へ向かって移動すると共に輻射光照射群5の照射領域84a〜84eから赤外線が照射され、照射領域84e、84d、84c、84b、84aに対応するウエハWの各部領域が加熱されて、照射領域84aに対応するウエハWの一端側から照射領域84eに対応するウエハWの他端側に向かうに従ってウエハWの温度が高くなる。
【0051】
現像液供給ノズル61がウエハWの一端上に差し掛かると、吐出口82から現像液60が吐出され(図18)、現像液に接したウエハWの一端側で現像液とレジストとの反応が開始される。そして、現像液60の吐出が続けられたまま現像液供給ノズル61はウエハWの他端上へと移動し、ウエハWの一端側から他端側へ向かう各部が順次現像液に現像液に接し、レジストと現像液との反応が進行する(図19)。現像液60がウエハWの表面全体に盛られると、現像液60の供給が停止し、現像液供給ノズル61が待機位置66に戻る。ウエハW表面では、温度が高い他端側ほど現像液とレジストとの反応が早く進行し、次第にウエハWの面内で現像液とレジストとの反応の度合が揃う。然る後、ウエハWの回転が開始され、第1の実施形態のステップS5と同様にウエハWの中心部に純水供給ノズル71から純水70が供給されて、ウエハWから現像液60が除去され、レジストの反応が停止する(図20)。
【0052】
この現像装置8ではウエハWの他端側に向かうほど現像液に接する時間が短いが、輻射光照射群5の赤外線の照射によって、他端側に向かうほど現像液とレジストとの反応が早く進行する。従って、ウエハWの面内においてレジストが現像液に接する時間差による反応の度合のずれが均される。結果として、ウエハWの面内でレジストの解像性がばらつくことを抑えることができ、レジストパターンの寸法の面内均一性を高くすることができる。
【0053】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に加熱した現像液をウエハWに供給することができる。また、ウエハWの一端側を加熱せず、現像液に接する時間が短いウエハWの他端側のみを局所的に加熱してもよい。赤外線の照射開始は、現像液をウエハW全面に盛った後、現像液を除去するまでに行ってもよい。
【0054】
(第3の実施形態)
第1の実施形態で常温の現像液を用いても、使用するレジストの種類や処理のレシピによっては、輻射光照射群5からの赤外線照射を行わない場合にパターンの寸法にばらつきが発生する場合がある。第3の実施形態の現像装置では、このようにレジストの種類や処理のレシピにより発生するパターンのばらつきを補正する。ところで、ここでいうレシピとは、前記ステップS2でプリウエットを行う際にウエハWの中心部に供給する現像液の流量、供給時間、ステップS3で現像液供給ノズル61をウエハWの中心部へ移動させる際の現像液の流量、周縁部上から中心部上へノズルの移動に要する時間及びステップS4でウエハWの中心部に供給する現像液の流量、供給時間である。
【0055】
この第3の実施形態では第1の実施形態の現像装置1が用いられるが、現像液供給ノズル61からは、常温の現像液が供給される。また、この第3の実施形態の現像装置1では、例えば照射列52a〜52eのいずれか一つの列が発光するように制御部10からオンオフ信号が送信され、各光照射部51への供給電流は各列ごと等しくなるように設定されている。
【0056】
図21は前記現像装置1の制御部10の構成例を示している。図中81はバス、82はCPU、83はプログラムである。84はメモリであり、テーブル85を含んでいる。このテーブル85について説明する。この第3の実施形態では予めレジストの種類と上記のレシピとを変化させて各ウエハWに現像装置1で処理を行い、形成されたレジストパターンを調べて、各ウエハWの径方向におけるパターンの解像性が低い領域を特定しておく。ただし、この処理時には輻射光照射群5からの赤外線の照射は行わない。このように実験したレジストの種類とレシピと、前記解像性の低い領域に対応する照射列52とを対応付けたデータが、テーブル85として記憶されている。
【0057】
この第3の実施形態の現像装置1の作用について、第1の実施形態との差異点を説明すると、装置による処理前に予めユーザが、入力部86からウエハWに塗布されたレジストの種類及び実行する前記レシピを選択すると、制御部10が選択されたレジストの種類及びレシピに対応する照射列52をテーブル85から検索する。そして、ステップS2、S4の実行時には、検索された照射列52から赤外線が供給され、実験段階で調べられたパターンの解像性が低くなるウエハWの領域に照射される。それによって、当該領域が加熱され、第1の実施形態と同様にウエハWの面内でパターンが均一性高く形成される。
【0058】
この第3の実施形態において、輻射光照射群5を構成する照射列52はウエハWの径方向に5列にすることに限られず、5列以上、例えば50列であってもよい。そして、レジストの種類及びレシピに応じて例えば複数の列を点灯させてもよい。具体的に、最もウエハWの中心部よりの照射列を1列目、最も外側よりの照射列を50列目とすると、例えば45列目〜50列目を点灯させたり(図22)、43列目〜46列目を点灯させる(図23)。図22、23では点灯して赤外線を発している照射列に斜線を付している。このように多数の照射列を設け、複数の照射列を点灯させることで装置の分解能を向上させてもよい。なお、このような構成を第1の実施形態及び第2の実施形態にも適用することができ、ウエハWの周縁部や端部を局所的に加熱する場合に、複数の照射列を点灯させて加熱を行うことができる。
【0059】
ウエハWの温度が高いほど現像液の温度が高くなり、レジストとの反応が進行しやすくなるが、温度が高すぎると現像液が変質してしまい反応が進みにくくなるので、赤外線により加熱されるウエハWの温度としては例えば23℃〜50℃に制御される。
【符号の説明】
【0060】
W ウエハ
1,8 現像装置
10 制御部
11 スピンチャック
21 カップ体
41 温調機構
44 温調板
5 輻射光照射部
51 発光部
52a〜52e 照射列
56 点灯コントローラ
61 現像液供給ノズル
71 洗浄液供給ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像するための現像液供給部と、
基板上において予め設定されている特定の領域に、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高めるために、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射する輻射光照射部と、
基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する洗浄液供給部と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
現像液供給部は、前記基板の中心部に現像液を供給するノズルと、前記ノズルから基板に供給される現像液を基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱するための加熱部と、を備え、
前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させるための回転駆動機構を備え、
前記特定の領域は基板の周縁部であることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
基板に対する現像液の供給位置が基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行い、前記第1の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
現像液の基板の供給位置を基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行い、前記第2の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項5】
現像液供給部は、基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルを備え、
基板の表面に現像液を供給するために前記ノズルから現像液を吐出するときに、当該ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させるノズル移動機構を備え、
前記特定の領域は基板の他端側であることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項6】
前記輻射光照射部は、基板の裏面側に設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の現像装置。
【請求項7】
前記輻射光照射部は、発光ダイオードにより構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記輻射光照射部を温調する温調部が設けられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を基板保持部に水平に保持する工程と、
現像液供給部により前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像する工程と、
輻射光照射部により基板上において予め設定されている特定の領域に基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射し、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高める工程と、
洗浄液供給部により基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する工程と、
を備えたことを特徴とする現像方法。
【請求項10】
前記レジストを現像する工程は、
現像液を加熱部により基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱する工程と、
加熱した現像液をノズルから基板の中心部に供給する工程と、
回転駆動機構により前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させ、遠心力により現像液を基板の周縁部に広げる工程と、を含み、
前記特定の領域は基板の周縁部であることを特徴とする請求項9記載の現像方法。
【請求項11】
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第1の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行うことを特徴とする請求項10記載の現像方法。
【請求項12】
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第2の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行うことを特徴とする請求項10記載の現像方法。
【請求項13】
前記レジストを現像する工程は、
基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルから現像液を基板に供給する工程と、
前記ノズルから現像液を基板に供給しながらノズル移動機構により前記ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させる工程と、
を含み、
前記特定の領域は基板の他端側であることを特徴とする請求項9記載の現像方法。
【請求項14】
基板に対する現像処理を行う現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項9ないし13のいずれか一つに記載の現像方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像するための現像液供給部と、
基板上において予め設定されている特定の領域に、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高めるために、基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射する輻射光照射部と、
基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する洗浄液供給部と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
現像液供給部は、前記基板の中心部に現像液を供給するノズルと、前記ノズルから基板に供給される現像液を基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱するための加熱部と、を備え、
前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させるための回転駆動機構を備え、
前記特定の領域は基板の周縁部であることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
基板に対する現像液の供給位置が基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行い、前記第1の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
現像液の基板の供給位置を基板の周縁部と中心部との間で移動するようにノズルを移動させるノズル移動機構と、
ノズルへの現像液の供給を制御する現像液供給機構と、
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の供給ステップと、次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させるステップと、次に基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第2の供給ステップとを行い、前記第2の供給ステップを行うときに輻射光照射部から基板に輻射光を供給するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項5】
現像液供給部は、基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルを備え、
基板の表面に現像液を供給するために前記ノズルから現像液を吐出するときに、当該ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させるノズル移動機構を備え、
前記特定の領域は基板の他端側であることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項6】
前記輻射光照射部は、基板の裏面側に設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の現像装置。
【請求項7】
前記輻射光照射部は、発光ダイオードにより構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記輻射光照射部を温調する温調部が設けられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を基板保持部に水平に保持する工程と、
現像液供給部により前記基板の表面に現像液を供給し、前記レジストを現像する工程と、
輻射光照射部により基板上において予め設定されている特定の領域に基板の材料の波長吸収領域を含む輻射光を照射し、現像液を加熱して現像液とレジストとの反応の度合を高める工程と、
洗浄液供給部により基板の表面に洗浄液を供給して現像液を除去する工程と、
を備えたことを特徴とする現像方法。
【請求項10】
前記レジストを現像する工程は、
現像液を加熱部により基板の周囲の雰囲気よりも高い温度に加熱する工程と、
加熱した現像液をノズルから基板の中心部に供給する工程と、
回転駆動機構により前記基板保持部に保持された基板を鉛直軸回りに自転させ、遠心力により現像液を基板の周縁部に広げる工程と、を含み、
前記特定の領域は基板の周縁部であることを特徴とする請求項9記載の現像方法。
【請求項11】
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第1の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行うことを特徴とする請求項10記載の現像方法。
【請求項12】
基板を回転させながら現像液を基板の中心部に供給する第1の現像液供給工程と、
次いで、現像液の供給位置を基板の周縁部へ移動させる工程と、
次に現像液を基板の中心部に供給する第2の現像液供給工程と、
を行い、第2の中心部現像液供給工程を行うときに前記輻射光を照射する工程を行うことを特徴とする請求項10記載の現像方法。
【請求項13】
前記レジストを現像する工程は、
基板の幅をカバーする長さに形成された吐出口を備えたノズルから現像液を基板に供給する工程と、
前記ノズルから現像液を基板に供給しながらノズル移動機構により前記ノズルを基板の一端側から他端側へ移動させる工程と、
を含み、
前記特定の領域は基板の他端側であることを特徴とする請求項9記載の現像方法。
【請求項14】
基板に対する現像処理を行う現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項9ないし13のいずれか一つに記載の現像方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−119480(P2012−119480A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267624(P2010−267624)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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