説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】現像剤にストレスをかけることなく、現像装置の周辺部材の現像剤による汚れを防ぎ、常に良好な画質を維持する現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置100は、表面に現像剤を担持し、現像に供されない現像剤が撹拌部材81側へ回収される磁気ローラ60と、隣り合う磁極が同極性に形成された分離磁極領域Qと極性の異なる磁極が並設される主極領域とを形成され、回転可能である磁極部材72と、この磁極部材72を内包する供給スリーブ71とを有する供給ローラ70と、現像時に主極領域を磁気ローラ60と撹拌部材81とに対向する位置に回転させ、現像後に分離磁極領域Qを撹拌部材81に対向する位置に回転させる駆動部74とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、現像に供されない現像剤を回収する現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャリアとトナーを主成分とする2成分現像剤を用いて静電潜像を現像し画像を形成する画像形成方式においては、キャリアが感光体に付着して画像欠陥を起こすキャリア付着の問題と、トナーが飛散して機内汚れや画像汚れを起こす問題があり、従来からこれらの問題に対して種々の対策が採られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、現像ローラに接離可能である穂立ちカット部材が設けられる。この穂立ちカット部材は現像時に現像ローラと非接触状態にあり、トナーが現像ローラから静電潜像を形成した感光体に供給され、トナー像が感光体上に形成される。現像完了後に、穂立ちカット部材は現像ローラと接触状態になる。現像ローラが回転すると、穂立ちカット部材が現像ローラ上の現像剤を掻き取り、現像剤が残っていない現像ローラが感光体と対向するようになる。この状態では、感光体表面には現像剤が接触しないので、感光体等の現像装置の周囲を汚染することがなく、また画像を劣化させることがない。
【0004】
しかしながら、上述した先行技術では、穂立ちカット部材はウレタンゴムやアルミニウムで板状に形成されるので、穂立ちカット部材が現像ローラに接触した状態で現像ローラが回転すると、現像ローラ表面を傷つけるおそれがある。また、穂立ちカット部材が現像ローラ表面から現像剤を掻き取るときに、現像剤が穂立ちカット部材に摩擦される。この摩擦によって、現像剤の発熱等ストレスが生じ、このような現像剤で形成される画像は画質を低下させるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−161406号公報(段落[0028]〜[0030]、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、現像剤にストレスをかけることなく、現像装置の周辺部材の現像剤による汚れを防ぎ、常に良好な画質を維持する現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、静電潜像を形成した感光体に現像剤を供給し、現像に供されない現像剤を回収する現像装置において、表面に現像剤を担持し、現像に供されない現像剤が撹拌部材側へ回収される磁気ローラと、隣り合う磁極が同極性に形成された分離磁極領域と極性の異なる磁極が並設される主極領域とを形成され回転可能である磁極部材と前記磁極部材を内包する供給スリーブとを有する供給ローラと、現像時に前記主極領域を前記磁気ローラと前記撹拌部材とに対向する位置に回転させ、現像後に前記分離磁極領域を前記撹拌部材に対向する位置に回転させる駆動部とを備えることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、現像時に主極領域が撹拌部材に対向すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられ、汲み上げた現像剤が主極領域に対向する磁気ローラに供給され担持される。この現像剤が感光体に供給され、感光体上の静電潜像が現像される。現像後、駆動部によって磁極部材が回転させられ、分離磁極領域が撹拌部材に対向すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられることがない。この状態で、磁気ローラ上の現像に供されない現像剤が撹拌部材側に回収される。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、前記磁気ローラ上の現像剤層厚を規制する規制部材を備え、前記主極領域は、現像時に現像剤を前記撹拌部材から前記供給スリーブ上に汲み上げる第1磁極部と、汲み上げた現像剤を前記磁気ローラに供給する第2磁極部と、前記規制部材近傍の現像剤を回収する第3磁極部とを有することを特徴としている。この構成によれば、現像時に第1磁極部が撹拌部材に対向すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられる。汲み上げた現像剤は、第2磁極部に対向する磁気ローラに供給され、規制部材によって所定の層厚にされて磁気ローラ上に担持される。この現像剤が感光体に供給され、感光体上の静電潜像が現像される。第3磁極部は規制部材近傍に滞留した余分の現像剤を供給ローラへ回収する。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、前記駆動部はモータを有することを特徴としている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、前記駆動部はソレノイドを有することを特徴としている。
【0012】
また、請求項5に記載の発明では、静電潜像を形成した感光体に現像剤を供給し、現像に供されない現像剤を回収する現像装置において、表面に現像剤を担持し、現像に供されない現像剤が撹拌部材側へ回収される磁気ローラと、極性の異なる磁極が並設される主極領域を形成され、前記主極領域を前記撹拌部材と前記磁気ローラに対向させる磁極部材と、間隔を設けて前記磁極部材を内包する供給スリーブと、前記間隔に回転可能に設けられ磁気を遮蔽するシールド部材とを有する供給ローラと、現像後に前記シールド部材を前記撹拌部材に対向する位置に回転させる駆動部とを備えることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、現像時に、撹拌部材に対向する主極領域が、現像剤を撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げ、汲み上げた現像剤が主極領域に対向する磁気ローラに供給され担持される。この現像剤が感光体に供給され、感光体上の静電潜像が現像される。現像後、駆動部がシールド部材を回転させ、シールド部材が撹拌部材に対向する位置で主極領域の撹拌部材への磁気を遮蔽すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられることがない。この状態で、磁気ローラ上の現像に供されない現像剤が撹拌部材側に回収される。
【0014】
また、請求項6に記載の発明では、上記の構成の現像装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、現像時に主極領域が撹拌部材に対向すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられ、汲み上げた現像剤が主極領域に対向する磁気ローラに供給され担持される。この現像剤が感光体に供給され、感光体上の静電潜像が現像される。現像後、駆動部によって磁極部材が回転させられ、分離磁極領域が撹拌部材に対向すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられることがない。この状態で、磁気ローラ上の現像に供されない現像剤が撹拌部材側に回収されるので、磁気ローラ上に現像剤が残らない。従って、現像剤に摩擦等によるストレスをかけることなく、現像装置の周辺部材の現像剤による汚れを防ぎ、常に良好な画質を維持することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、現像時に第1磁極部が撹拌部材に対向すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられる。汲み上げた現像剤は、第2磁極部に対向する磁気ローラに供給され、規制部材によって所定の層厚にされて磁気ローラ上に担持される。この現像剤が感光体に供給され、感光体上の静電潜像が現像される。第3磁極部は規制部材近傍に滞留した余分の現像剤を供給ローラへ回収する。回収した現像剤は撹拌部材側に戻され、現像剤に摩擦等によるストレスをかけることなく、再利用することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、磁極部材はモータで回転させられ、現像剤の回収を確実に行うことができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、磁極部材はソレノイドで駆動させられ、現像剤の回収を確実に行うことができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明によれば、現像時に、撹拌部材に対向する主極領域が、現像剤を撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げ、汲み上げた現像剤が主極領域に対向する磁気ローラに供給され担持される。この現像剤が感光体に供給され、感光体上の静電潜像が現像される。現像後、駆動部がシールド部材を回転させ、シールド部材が撹拌部材に対向する位置で主極領域の撹拌部材への磁気を遮蔽すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ上に汲み上げられることがない。この状態で、磁気ローラ上の現像に供されない現像剤が撹拌部材側に回収されるので、磁気ローラ上に現像剤が残らない。従って、現像剤に摩擦等によるストレスをかけることなく、現像装置の周辺部材の現像剤による汚れを防ぎ、常に良好な画質を維持することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明によれば、現像剤に摩擦等によるストレスをかけることなく、装置の周辺部材の現像剤による汚れを防ぎ、常に良好な画質を維持する現像装置を備える画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態である画像形成装置に用いられる現像装置の構成を示す断面図である。
【図3】は、本発明の第1実施形態である現像装置に用いられる各ローラの構成を模式的に示す断面図である。
【図4】は、本発明の第1実施形態である回収状態にある現像装置の各ローラを模式的に示す断面図である。
【図5】は、本発明の第2実施形態である現像装置に用いられる駆動部を模式的に示す図である。
【図6】は、本発明の第3実施形態である現像装置に用いられる供給ローラの構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の内部構成の概略を示す断面図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンタであり、回転自在である感光体10a〜10dは、感光層を形成する感光材料として、アモルファスシリコン感光体が用いられ、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)及びマゼンタ(M)の各色に対応させて配設される。感光層は有機感光体(OPC感光体)でもよい。各感光体10a〜10dの周囲に、現像装置100a〜100d、帯電器40a〜40d及び光学露光器(図略)が配設される。現像装置100a〜100dは現像ローラとトナー収容部等とを有し、感光体10a〜10dにトナーを供給する。帯電器40a〜40dは感光体10a〜10d表面を一様に帯電させる。パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図略)に入力された原稿画像データに基づいて、光学露光器から各感光体10a〜10d表面にレーザ光が照射される。照射されたレーザ光により、各感光体10a〜10d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置100a〜100dによりトナー画像に現像される。
【0024】
中間転写ベルト5は、駆動ローラ25、従動ローラ27及びテンションローラ9に張架されている。この中間転写ベルト5に接触するように各感光体10a〜10dが中間転写ベルト5の搬送方向(図1の矢印方向)に沿って上流側から隣り合うように配列されている。各1次転写ローラ26a〜26dは、中間転写ベルト5を挟んで各感光体10a〜10dと対向し、中間転写ベルト5に圧接して1次転写ニップ部を形成する。この各1次転写ニップ部において、中間転写ベルト5の回転とともに所定のタイミングで各感光体10a〜10dのトナー画像が中間転写ベルト5に順次転写される。これにより、中間転写ベルト5表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー画像が重ね合わされ、カラートナー画像が形成される。
【0025】
2次転写ローラ7は、中間転写ベルト5を挟んで駆動ローラ25と対向し,中間転写ベルト5に圧接して2次転写ニップ部を形成する。用紙搬送部では、給紙カセット6に積載された用紙が1枚ずつ繰り出され、用紙供給ローラ22が用紙を2次転写ニップ部に搬送する。この2次転写ニップ部において、バイアス電位(トナーの帯電極性と逆極性)が印加された2次転写ローラ7によって、中間転写ベルト5上に形成されたトナー画像が用紙に転写され、転写された用紙は定着器8に搬送される。
【0026】
定着器8は、加熱ローラと、加熱ローラに圧接される加圧ローラ等とを備え、トナー画像が転写された用紙を加熱及び加圧することにより定着処理を行う。定着された用紙は、排出ローラ(図略)によって装置本体外に排出される。
【0027】
上述の画像形成装置1に用いられる現像装置100a〜100dについて説明する。図2は、現像装置100a〜100dの構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、図1の感光体10aと相対する現像装置100aの構成及び動作について説明するが、現像装置100b〜100dの構成及び動作については現像装置100aと同様であり、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体を示すa〜dの符号を省略する。
【0028】
現像装置100は、現像ローラ50と、磁気ローラ60と、供給ローラ70と、撹拌部材81と、規制部材82及びハウジング80等により構成されている。
【0029】
ハウジング80は、現像装置100の外郭を構成し、その内部に磁性キャリアとトナーからなる現像剤を貯留する。またハウジング80は、撹拌部材81と供給ローラ70と磁気ローラ60及び現像ローラ50を回転可能に保持し、ブレード状の規制部材82を固定保持している。ハウジング80には、現像ローラ50を感光体10に向けて露出させる開口80aが形成されている。
【0030】
現像ローラ50は、感光体10に対向し、一定の隙間を設けて感光体10の左方に配設される。また、現像ローラ50は、感光体10に接近した対向位置において、感光体10にトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラ60は、一定の隙間を設けて現像ローラ50に対向し、現像ローラ50の左上方に配設される。また、磁気ローラ60は、現像ローラ50に接近した対向位置において、現像ローラ50にトナーを供給するトナー供給領域Tを形成している。供給ローラ70は、一定の間隔を設けて磁気ローラ60に対向し、磁気ローラ60の左方に配設される。また、供給ローラ70は、磁気ローラ60との対向位置において、磁気ローラ60に現像剤を供給する現像剤供給領域Gを形成している。撹拌部材81は供給ローラ70の下方に配設される。さらに、供給ローラ70は、撹拌部材81との対向位置において、撹拌部材81から現像剤を汲み上げる現像剤汲み上げ領域Kを形成している。規制部材82は、磁気ローラ60上に形成される磁気ブラシの層規制を行うためのものであり、磁気ブラシを所定の層厚に調節する。
【0031】
撹拌部材81は、第1ミキサー81aと第2ミキサー81bの2本で構成される。第2ミキサー81bが供給ローラ70の下方に設けられ、第1ミキサー81aが第2ミキサー81bの左方に隣接して設けられる。第1及び第2ミキサー81a、81bは磁性キャリアとトナーからなる現像剤を撹拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーは磁性キャリアに保持される。また、第1ミキサー81aと第2ミキサー81bを仕切る仕切り壁80bの長手方向(図2の紙面奥行き方向)の両端部分には、穴(図略)が設けられ、第1ミキサー81aが回転すると、帯電した現像剤が仕切り壁80bに設けた一方の穴から第2ミキサー81bに搬送され、現像剤が第1及び第2ミキサー81a、81bとを循環する。
【0032】
供給ローラ70は、供給スリーブ71と磁極部材72を備え、撹拌部材81から汲み上げた現像剤を磁気ローラ60に供給するものである。
【0033】
供給スリーブ71は、非磁性の金属材料で円筒状に形成され、磁極部材72を所定の隙間を設けて内包する。また、供給スリーブ71は、ハウジング80に回転可能に支持され、モータとギヤからなる駆動部75により、図2の反時計回り方向に回転させられる。
【0034】
磁極部材72は、後述する断面扇形に形成された極性の異なる複数の磁石が周方向に交互に配設される。また、磁極部材72は、ハウジング80に回転可能に支持され、ステッピングモータとギヤからなる駆動部74により回転させられる。
【0035】
磁気ローラ60は磁気スリーブ61と磁極部材62を備える。磁極部材62は、断面扇形に形成された極性の異なる複数の磁石が周方向に交互に配設され、ハウジング80に固定支持される。磁気スリーブ61は、非磁性の金属材料で円筒状に形成され、磁極部材62を所定の隙間を設けて内包する。磁気スリーブ61は、ハウジング80に回転可能に支持され、モータとギヤからなる駆動部75により、図2の時計回り方向に回転させられ、また直流電圧63aに交流電圧63bを重畳した磁気バイアス63を印加される。
【0036】
現像ローラ50は、現像スリーブ51と磁極部材52を備える。磁極部材52は、断面扇形に形成された極性の異なる複数の磁石が周方向に交互に配設され、ハウジング80に固定支持される。現像スリーブ51は、非磁性の金属材料で円筒状に形成され、磁極部材52を所定の隙間を設けて内包する。現像スリーブ51は、ハウジング80に回転可能に支持され、モータとギヤからなる駆動部75により、図2の時計回り方向に回転させられ、また直流電圧53aに交流電圧53bを重畳した現像バイアス53を印加される。
【0037】
駆動制御回路30は、CPU、ROM、RAM等を備え、駆動部75のモータの回転駆動を制御し、また駆動部74のステッピングモータの回転駆動を制御する。詳しい駆動制御については後述する。
【0038】
次に、供給ローラ70と磁気ローラ60の構成動作を詳しく説明する。図3は供給ローラ及び磁気ローラの構成を模式的に示す断面図であり、図4は現像剤の回収状態にある供給ローラ及び磁気ローラの構成を模式的に示す断面図である。
【0039】
図3に示すように、磁気ローラ60には、ローラ軸66が磁気スリーブ61内で回転不能に取り付けられる。このローラ軸66には、磁極部材62が磁気スリーブ61と所定の間隔を形成して接着等により固着される。
【0040】
磁極部材62は磁極S1〜S4と磁極N1〜N3で構成される。供給ローラ70側から順に時計回り方向に、磁極S1、磁極N1、磁極S2、磁極N2、磁極S3、磁極N3及び磁極S4が周方向に配列される。そして隣り合う各磁極が密着し、磁極S1と磁極S4が密着している。磁極S1の磁力のピークに対応する位置近傍が現像剤供給領域Gを形成し、また磁極N3の磁力のピークに対応する位置近傍がトナー供給領域Tを形成している。
【0041】
N極とS極が交互に配列される磁極部材62によって、磁気スリーブ61上に磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシは、各磁極S1〜S4、N1〜N3の磁力のピーク位置では、穂の立ったブラシ状に形成され、各磁極の磁力のピーク間では平らな穂が形成される。磁気スリーブ61が回転すると、磁気スリーブ61上に担持された現像剤は、規制部材82によって、一定の層厚に規制されて磁気スリーブ61上を搬送される。さらに磁気ブラシは磁気スリーブ61上を搬送され、トナー供給領域Tで現像スリーブ51に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、磁気スリーブ61に印加されたバイアス電圧により、現像スリーブ51に供給され、現像スリーブ51上にトナ―層が形成される。
【0042】
現像スリーブ51に供給されたトナー薄層は、現像スリーブ51にバイアス電圧を印加することで感光体10に飛翔し、感光体10上の静電潜像が現像される。静電潜像の現像に使用されなかった未現像トナーは、現像後、トナー供給領域Tに形成される磁気ブラシによって、現像スリーブ51から剥ぎ取られ、磁気スリーブ61に戻される。
【0043】
ここで、磁気ローラ60の磁極部材62の下側に形成される磁極S4と、磁極S4と同極性である磁極S1とが周方向に隣接して配置されているので、磁極S4と磁極S1間では、磁力が弱くなっている。これによって、現像スリーブ51に供給されなかった磁気ブラシ、また、現像に供されなかった未現像トナーは、磁極S4と磁極S1間で磁気スリーブ61に担持されなくなり、現像剤の自重により磁気スリーブ61から第2ミキサー81b(図2参照)側に落下することになる。
【0044】
磁極部材62における各磁極の磁力ピーク位置の磁束密度は、磁極S1では700ガウスであり、磁極S2、S3、N1、N2では400ガウスであり、磁極N3、S4では900ガウスに設定されている。磁極S1で磁力を大きくすることにより、供給ローラ70から現像剤を受け取りやすくし、また、磁極N3で磁力を大きくすることにより、トナー供給境域Tで現像ローラ50にトナーを供給しやすくしている。
【0045】
次に、供給ローラ70には、ローラ軸76が供給スリーブ71内で回転自在に設けられる。このローラ軸76には、磁極部材72が供給スリーブ71と所定の間隔を形成して接着等により固着される。
【0046】
磁極部材72は、断面略180度の扇形に形成され、第1磁極部としての磁極S11と、第2磁極部としての磁極N11及び第3磁極部としての磁極S12とを有する。磁極S11、S12と磁極N11とは異なる極性で構成され、磁極S11、S12は磁極N11の両側に密着して周方向に配置される。この磁極S11、N11、S12は主極領域を形成している。
【0047】
磁極N11は、供給スリーブ71及び磁気スリーブ61を介して、極性の異なる磁気ローラ60の磁極S1に対向して配置される。磁極N11と磁極S1の各磁力のピークに対応する位置近傍において、現像剤供給領域Gが形成される。
【0048】
磁極S11は、供給ローラ70の右下方で第2ミキサー81bに対向して配置され、磁極S11の磁力のピークに対応する位置近傍が現像剤汲み上げ領域Kを形成している。
【0049】
磁極S12は、規制部材82に対向して配置され、規制部材82近傍の現像剤を供給スリーブ71に回収する。
【0050】
磁極S11と、磁極S11と同極性である磁極S12とが周方向に略180度の空隙を設けて配置されている。この空隙には、磁極S11と磁極S12の各磁力のピーク位置から磁力が徐々に弱くなって0ガウスとなる分離磁極領域Qが形成される。尚、磁極部材72は周方向に空隙を設ける構成に替えて、磁極部材を円筒形にして、磁極S11と磁極S12とを密着させる構成として、双方の磁力のピーク位置間に分離磁極領域Qを形成してもよい。
【0051】
磁極部材72における各磁極の磁力ピーク位置の磁束密度は、磁極S11では200ガウスであり、磁極N11では300ガウスであり、磁極S12では700ガウスに設定されている。磁極S12で磁力を大きくすることにより、規制部材82近傍に滞留した余分の現像剤を供給ローラ70へ回収しやすくしている。
【0052】
また、ローラ軸76には、ステッピングモータとギヤからなる駆動部74が接続され、駆動部74はローラ軸76を介して磁極部材72を回転させる。駆動制御回路30はステッピングモータを180度毎に回転駆動させる。
【0053】
現像装置が画像形成状態にあるときには、駆動部74によって、磁極部材72は供給スリーブ71内で右側位置(図3の位置)に回転駆動させられる。つまり、磁極S11が第2ミキサー81bに対向し、磁極N11が磁気ローラ60の磁極S1に対向し、さらに磁極S12が規制部材82に対向する位置に回転駆動され、停止している。一方、現像が完了したときには、駆動部74によって、磁極部材72は、図4に示すように、供給スリーブ71内で左側位置に180度回転駆動させられる。つまり、分離磁極領域Qが磁極S1と第2ミキサー81bに対向する位置へ回転駆動され、停止している。
【0054】
次に、感光体10の静電潜像を現像し、現像後に現像ローラ50及び磁気ローラ60上の現像剤を回収する動作について説明する。
【0055】
図3に示す状態で、画像形成装置の電源がオンされると、感光体10と、現像スリーブ51と、磁気スリーブ61及び供給スリーブ71は、駆動部75(図2参照)によって、それぞれ図3の矢印方向に回転駆動される。磁極部材72は、駆動部74によって供給スリーブ71内で右側位置に回転駆動され、停止している。
【0056】
撹拌された現像剤が第2ミキサー81bへ搬送される。現像剤汲み上げ領域Kにおいて、供給ローラ70は、磁極S11の磁力により、第2ミキサー81bから現像剤を供給スリーブ71上に汲み上げる。汲み上げた現像剤は、供給スリーブ71上に担持され、供給スリーブ71の図3の矢印方向(反時計回り方向)の回転により、現像剤供給領域Gに搬送される。現像剤供給領域Gにおいて、現像剤は、磁極N11と磁気ローラ60の磁極S1の磁力により、供給スリーブ71から磁気スリーブ61上に供給される。磁気スリーブ61に供給されなかった現像剤は、供給スリーブ71の回転にともない、分離磁極領域Qにおいて、供給スリーブ71上に担持されなくなり、第2ミキサー81b側に戻され、現像剤収容ハウジング内で循環させられる。
【0057】
磁気スリーブ61に供給された現像剤は、磁極部材62の磁力により、磁気スリーブ61上に磁気ブラシを形成し担持される。磁気スリーブ61が図3の矢印方向(時計回り方向)に回転すると、磁気ブラシは、規制部材82に向けて搬送され、規制部材82によって、一定の層厚に規制される。規制部材82近傍には、規制部材82と磁気スリーブ61との隙間を通過しない現像剤が残存するが、この余分の現像剤は、供給ローラ70の磁極S12に引き付けられ、供給ローラ70に回収される。回収された現像剤は、供給スリーブ71の回転にともない、分離磁極領域Qにおいて、供給スリーブ71上に担持されなくなり、第2ミキサー81b側に戻され、現像剤収容ハウジング内で循環させられる。
【0058】
層厚規制された磁気ブラシは、磁気スリーブ61の回転により、磁気スリーブ61上を搬送され、トナー供給領域Tで現像スリーブ51に接触する。磁気スリーブ61に印加されたバイアス電圧によって、磁気ブラシのトナーのみがトナー供給領域Tで現像スリーブ51に供給される。現像スリーブ51上では、トナー薄層が形成され、このトナー薄層は、現像スリーブ51に印加されたバイアス電圧によって、感光体10に飛翔し、感光体10上の静電潜像が現像される。静電潜像の現像に使用されなかった未現像トナーは、現像後、トナー供給領域Tに形成される磁気ブラシによって、現像スリーブ51から剥ぎ取られ、磁気スリーブ61に戻される。
【0059】
駆動制御回路30は、画像形成完了の信号を受けて所定時間後に、駆動部74のステッピングモータを180度回転駆動させる。駆動部75のモータの回転は継続させておく。ステッピングモータの回転により、供給ローラ70の磁極部材72は、図4に示すように、供給スリーブ71内で左側位置に回転し停止する。
【0060】
この状態では、分離磁極領域Qが磁気ローラ60の磁極S1と第2ミキサー81bとに対向している。従って、供給ローラ70は、第2ミキサー81bから現像剤を汲み上げることがなく、また磁気ローラ60に現像剤を供給することがない。さらに、上述の未現像トナー及び現像スリーブ51に供給されなかった磁気ブラシは、磁気スリーブ61の回転にともない、磁極S4と磁極S1間で磁気スリーブ61に担持されなくなり、現像剤の自重により磁気スリーブ61から第2ミキサー81b側に落下する。このようにして、現像ローラ50、磁気ローラ60及び供給ローラ70の現像剤が撹拌部材側に回収されることになる。
【0061】
更に上述の状態では、磁極S11が規制部材82に向いている。従って、規制部材82近傍に残存する現像剤は、磁極S11に引き付けられ、供給ローラ70に回収されることにより、磁気スリーブ61上には現像剤が少なくなり、磁気スリーブ61上の余分な現像剤の回収が短時間で済まされる。
【0062】
上記第1実施形態によれば、現像装置100は、表面に現像剤を担持し、現像に供されない現像剤が撹拌部材81側へ回収される磁気ローラ60と、隣り合う磁極が同極性に形成された分離磁極領域Qと極性の異なる磁極が並設される主極領域とを形成され回転可能である磁極部材72と、この磁極部材72を内包する供給スリーブ71とを有する供給ローラ70と、現像時に主極領域を磁気ローラ60と撹拌部材81とに対向する位置に回転させ、現像後に分離磁極領域Qを撹拌部材81に対向する位置に回転させる駆動部74とを備える。
【0063】
この構成によると、現像時に主極領域が撹拌部材81に対向すると、現像剤が撹拌部材81から供給スリーブ71上に汲み上げられ、汲み上げた現像剤が主極領域に対向する磁気ローラ60に供給され担持される。この現像剤が感光体10に供給され、感光体10上の静電潜像が現像される。現像後、駆動部74によって磁極部材72が回転させられ、分離磁極領域Qが撹拌部材81に対向すると、現像剤が撹拌部材81から供給スリーブ71上に汲み上げられることがない。この状態で、磁気ローラ60上の現像に供されない現像剤が撹拌部材81側に回収されるので、磁気ローラ60上に現像剤が残らない。従って、現像剤に摩擦等によるストレスをかけることなく、現像装置100の周辺部材の現像剤による汚れを防ぎ、常に良好な画質を維持することができる。
【0064】
通常、組立完了した画像形成装置の画像品質を検査するときに、テスト印刷が行われるが、この構成によると、テスト印刷の画像形成後、分離磁極領域Qが撹拌部材81に対向するように、磁極部材72を回転駆動させることによって、磁気ローラ60に残る現像剤を現像剤収容ハウジングに回収することができる。従って、特別な冶具を用いることなく、また多量の工数を掛けずに現像剤を回収して、装置を出荷することができる。
【0065】
また、上記第1実施形態によると、磁気ローラ60上の現像剤層厚を規制する規制部材82を備え、供給ローラ70の主極領域は、現像時に現像剤を撹拌部材81から供給スリーブ71上に汲み上げる磁極S11(第1磁極部)と、汲み上げた現像剤を磁気ローラ60に供給する磁極N11(第2磁極部)と、規制部材82近傍の現像剤を回収する磁極S12(第3磁極部)とを有する。これによって、現像時に、磁極S11が撹拌部材81に対向すると、現像剤が撹拌部材81から供給スリーブ71上に汲み上げられる。汲み上げた現像剤は、磁極N11に対向する磁気ローラ60に供給され、規制部材82によって所定の層厚にされて磁気ローラ60上に担持される。この現像剤が感光体10に供給され、感光体10上の静電潜像が現像される。磁極S12は規制部材82近傍に滞留した余分の現像剤を供給ローラ70へ回収する。回収した現像剤は撹拌部材81側に戻され、現像剤に摩擦等によるストレスをかけることなく、再利用することができる。
【0066】
また、上記第1実施形態によると、磁極部材72はステッピングモータで回転させられ、駆動制御回路30はステッピングモータの回転を制御するので、現像剤の回収を確実に行うことができる。
【0067】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態である現像装置に用いられる駆動部を模式的に示す図である。第1実施形態と異なる、駆動部について主に説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0068】
供給スリーブ271は、非磁性の金属材料で円筒状に形成され、磁極部材272を所定の隙間を設けて内包する。また、供給スリーブ271は、ハウジングに回転可能に支持され、モータとギヤからなる駆動部により、図5の反時計回り方向に回転させられる。
【0069】
供給ローラ270には、ローラ軸276が供給スリーブ271内で回転自在に設けられる。このローラ軸276には、磁極部材272が接着等により固着され、またギヤ285が固設される。
【0070】
磁極部材272は、断面略180度の扇形に形成され、第1磁極部としての磁極S11と、第2磁極部としての磁極N11及び第3磁極部としての磁極S12とを有する。磁極S11、S12と磁極N11とは異なる極性で構成され、磁極S11、S12は磁極N11の両側に密着して周方向に配置される。磁極S11、N11、S12は主極領域を形成している。磁極S11と、磁極S11と同極性である磁極S12とが周方向に略180度の空隙を設けて配置されている。この空隙には、磁極S11と磁極S12の各磁力のピーク位置から磁力が徐々に弱くなって0ガウスとなる分離磁極領域Qが形成される。
【0071】
駆動部280は、セクタギヤ部材286とソレノイド283等で構成される。
【0072】
セクタギヤ部材286は、板状部材で略扇形に形成され、支軸286cで回転自在にハウジングに支持される。セクタギヤ部材286は、ギヤ285に噛合するセクタギヤ286aと作動片286bとを有する。セクタギヤ部材286が支軸286cを中心に往復動すると、セクタギヤ286aによって、ギヤ285は増速して正逆回転する。セクタギヤ286aが45度往復動すると、ギヤ285が180度正逆回転するように、ギヤ比が設定されている。
【0073】
作動片286bは、支軸286cに対してセクタギヤ286aの反対側に形成され、ソレノイド283のプランジャーに当接している。作動片286bがプランジャーに常に当接するように、セクタギヤ部材286は図示しないバネによって付勢されている。
【0074】
駆動制御回路230は、画像形成完了の信号を受けて所定時間後に、ソレノイド283の通電のオンにする。ソレノイド283の通電オンによって、ソレノイド283のプランジャーはソレノイド本体から突出する方向に作動し、作動片286bを押すと、セクタギヤ部材286が往動する。セクタギヤ286aの往動によって、ギヤ285が図5の時計回り方向に180度回転し、磁極部材272も180度回転する。これで、分離磁極領域Qが磁気ローラ260と第2ミキサー281bに対向することになり、現像剤が第2ミキサー281bから供給スリーブ271上に汲み上げられることがない。駆動制御回路230によって、ソレノイド283の通電がオフされると、プランジャーがソレノイド本体側に戻り、セクタギヤ部材286は図示しないバネの付勢力によって復動される。セクタギヤ286aの復動によって、ギヤ285が反時計回り方向に180度回転し、磁極部材272も反時計方向180度回転する。これで、主極領域が磁気ローラ260と第2ミキサー281bに対向することになり、画像形成が可能となる。
【0075】
上記第2実施形態によれば、現像装置は、隣り合う磁極が同極性に形成された分離磁極領域Qと極性の異なる磁極が並設される主極領域とを形成され、回転可能である磁極部材272と、この磁極部材272を内包する供給スリーブ271とを有する供給ローラ270と、ソレノイド283によって、現像時に主極領域を磁気ローラ260と第2ミキサー281b(撹拌部材)とに対向する位置に作動させ、現像後に分離磁極領域Qを第2ミキサー281bに対向する位置に回転させる駆動部280とを備える。
【0076】
この構成によると、現像時に現像剤が第2ミキサー281bから供給スリーブ271上に汲み上げられ、汲み上げた現像剤が主極領域に対向する磁気ローラ260に確実に供給される。現像後には、現像剤が第2ミキサー281bから供給スリーブ271上に汲み上げられることがなく、現像に供されない現像剤が撹拌部材側に確実に回収される。
【0077】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態である現像装置に用いられる供給ローラの構成を模式的に示す断面図である。上記実施形態と異なる、供給ローラの構成について主に説明する。
【0078】
供給ローラ370は、供給スリーブ371と磁極部材372とシールド部材386を備える。
【0079】
供給スリーブ371は、非磁性の金属材料で円筒状に形成され、磁極部材372を所定の隙間を設けて内包する。また、供給スリーブ371は、ハウジングに回転可能に支持され、モータとギヤからなる駆動部375により、図6の反時計回り方向に回転させられる。
【0080】
磁極部材372は、断面略180度の扇形に形成され、第1磁極部としての磁極S11と、第2磁極部としての磁極N11及び第3磁極部としての磁極S12とを有する。磁極S11、S12と磁極N11とは異なる極性で構成され、磁極S11、S12は磁極N11の両側に密着して周方向に配置される。磁極S11、N11、S12は主極領域を形成している。磁極S11と、磁極S11と同極性である磁極S12とが周方向に略180度の空隙を設けて配置されている。この空隙には、磁極S11と磁極S12の各磁力のピーク位置から磁力が徐々に弱くなって0ガウスとなる分離磁極領域Qが形成される。そして、磁極部材372は、供給スリーブ371と間隔を設けて、ハウジングに固定支持される。
【0081】
シールド部材386は、パーマロイ等の高磁性材で薄板半円状をして、供給スリーブ371と磁極部材372との間隔に設けられ、磁極部材372の主極領域から磁気スリーブ371に向かう磁気を遮蔽する。また、シールド部材386は、図6の実線位置と破線位置とに回転自在に配置され、ステッピングモータとギヤからなる駆動部384により回転させられる。シールド部材386が図6の実線位置にあると、供給ローラ370は、磁極S11によって現像剤を第2ミキサー381bから汲み上げ、汲み上げた現像剤を磁気ローラ360に供給可能である。一方、シールド部材386は、図6の破線位置にあると、主極領域から磁気ローラ360と第2ミキサー381bに向かう磁気を遮蔽することができる。
【0082】
シールド部材386が図6の実線位置にあるときに、供給ローラ370は、磁極S11により、第2ミキサー381bから現像剤を供給スリーブ371上に汲み上げる。汲み上げた現像剤は、供給スリーブ371の図6の矢印方向(反時計回り方向)の回転により、搬送され、供給スリーブ371から磁気ローラ360上に供給される。図示しない規制部材近傍には現像剤が残存するが、この余分の現像剤は、磁極S12に引き付けられ、供給ローラ370に回収される。回収された現像剤は、供給スリーブ371の回転にともない、分離磁極領域Qにおいて、供給スリーブ371上に担持されなくなり、第2ミキサー381b側に戻され、現像剤収容ハウジング内で循環させられる。尚、磁極部材372を円筒形にして、S極とN極を周方向に交互に配列し、全周に主極領域を構成してもよい。この構成では、磁極部材が製作しやすくなる。また、規制部材近傍の余分の現像剤を撹拌部材側に回収するときには、シールド部材386が供給スリーブ371内で左側位置にあり、このシールド部材386によって、主極領域の供給スリーブ371に向かう磁気が遮蔽されるので、現像剤は供給スリーブ371上に担持されなくなり、現像剤を第2ミキサー381b側に戻すことができる。
【0083】
画像形成が完了すると、駆動制御回路330は、画像形成完了の信号を受けて所定時間後に、駆動部384のステッピングモータを180度回転駆動させる。駆動部375のモータの回転は継続させておく。ステッピングモータの回転により、シールド部材386は図6の破線位置まで回転し停止する。
【0084】
この状態では、シールド部材386が主極領域の供給スリーブ371と第2ミキサー381bに向かう磁気を遮蔽する。従って、供給ローラ370は、第2ミキサー381bから現像剤を汲み上げることがなく、また磁気ローラ360に現像剤を供給することがない。
【0085】
上記第3実施形態によれば、現像装置は、表面に現像剤を担持し、現像に供されない現像剤が撹拌部材側へ回収される磁気ローラ360と、極性の異なる磁極が並設される主極領域を形成され、この主極領域を第2ミキサー381bと磁気ローラ360に対向させる磁極部材372と、間隔を設けて磁極部材372を内包する供給スリーブ371と、前記間隔に回転可能に設けられ磁気を遮蔽するシールド部材386とを有する供給ローラ370と、現像後にシールド部材386を第2ミキサー381bに対向する位置に回転させる駆動部384とを備える。
【0086】
この構成によると、現像時に、第2ミキサー381bに対向する主極領域が、現像剤を第2ミキサー381bから供給スリーブ371上に汲み上げ、汲み上げた現像剤が主極領域に対向する磁気ローラ360に供給され担持される。この現像剤が感光体10に供給され、感光体10上の静電潜像が現像される。現像後、駆動部384がシールド部材386を回転させ、シールド部材386が第2ミキサー381bに対向する位置で主極領域の第2ミキサー381bへの磁気を遮蔽すると、現像剤が撹拌部材から供給スリーブ371上に汲み上げられることがない。この状態で、磁気ローラ360上の現像に供されない現像剤が撹拌部材側に回収されるので、磁気ローラ360上に現像剤が残らない。従って、現像剤に摩擦等によるストレスをかけることなく、現像装置の周辺部材の現像剤による汚れを防ぎ、常に良好な画質を維持することができる。
【0087】
尚、上記実施形態では、供給ローラ70、270、370と、磁気ローラ60、260、360及び現像ローラ50とを備える現像装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、現像装置が供給ローラ70、270、370と磁気ローラとを備え、磁気ローラが感光体にトナーを供給し、現像に供しない現像剤が磁気ローラから回収される構成に適用させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができ、特に、現像に供されない現像剤を回収する現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
10a〜10d 感光体
30、230、330 駆動制御回路
50 現像ローラ
51 現像スリーブ
52 磁極部材
60、260、360 磁気ローラ
61 磁気スリーブ
62 磁極部材
70、270、370 供給ローラ
71、271、371 供給スリーブ
72、272、372 磁極部材
74、75、280、375、384 駆動部
80 ハウジング
81 撹拌部材
81b、281b、381b 第2ミキサー
82 規制部材
100a〜100d 現像装置
283 ソレノイド
285 ギヤ
286 セクタギヤ部材
386 シールド部材
N2、N4、N6 磁極
S1、S3、S5、S7 磁極
N11 磁極(第2磁極部、主極領域)
S11 磁極(第1磁極部、主極領域)
S12 磁極(第3磁極部、主極領域)
Q 分離磁極領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を形成した感光体に現像剤を供給し、現像に供されない現像剤を回収する現像装置において、
表面に現像剤を担持し、現像に供されない現像剤が撹拌部材側へ回収される磁気ローラと、
隣り合う磁極が同極性に形成された分離磁極領域と極性の異なる磁極が並設される主極領域とを形成され回転可能である磁極部材と、前記磁極部材を内包する供給スリーブとを有する供給ローラと、
現像時に前記主極領域を前記磁気ローラと前記撹拌部材とに対向する位置に回転させ、現像後に前記分離磁極領域を前記撹拌部材に対向する位置に回転させる駆動部とを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁気ローラ上の現像剤層厚を規制する規制部材を備え、前記主極領域は、現像時に現像剤を前記撹拌部材から前記供給スリーブ上に汲み上げる第1磁極部と、汲み上げた現像剤を前記磁気ローラに供給する第2磁極部と、前記規制部材近傍の現像剤を回収する第3磁極部とを有することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記駆動部はモータを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記駆動部はソレノイドを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
静電潜像を形成した感光体に現像剤を供給し、現像に供されない現像剤を回収する現像装置において、
表面に現像剤を担持し、現像に供されない現像剤が撹拌部材側へ回収される磁気ローラと、
極性の異なる磁極が並設される主極領域を形成され、前記主極領域を前記撹拌部材と前記磁気ローラに対向させる磁極部材と、間隔を設けて前記磁極部材を内包する供給スリーブと、前記間隔に回転可能に設けられ磁気を遮蔽するシールド部材とを有する供給ローラと、
現像後に前記シールド部材を前記撹拌部材に対向する位置に回転させる駆動部とを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の現像装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−197923(P2010−197923A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45326(P2009−45326)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】