説明

現像装置及びプロセスカートリッジ、画像形成装置

【課題】トナーに十分な帯電電荷を付与することで、ベタ画像における後端部における画像かすれが発生しない現像装置及びプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供する。
【解決手段】電子写真方式で一成分現像剤を用いる現像装置13であって、一成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体134と、現像剤担持体134に接触する第1の供給部材137と、第1の供給部材137に接触する第2の供給部材138と、を備える現像装置13において、現像剤担持体134に接触してトナー薄層を形成し、かつ、帯電させる規制部材136を備え、かつ、現像剤担持体134と第1の供給部材137と第2の供給部材138とが、同じ方向に回転している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成する現像装置に係り、詳しくは一成分現像剤で画像形成を行う現像装置及びこれを用いるプロセスカートリッジ、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置においては、感光体等の像担持体上に、光書込や静電記録等により画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置の現像剤で現像して可視像を形成した後、像担持体上の可視像を直接、もしくは中間転写体を介して、用紙等の記録材に転写し、記録材に転写された画像を定着手段で定着して画像を形成している。このように感光体等の像担持体上に形成された静電潜像を現像し、可視像を形成する画像形成装置において用いられる現像剤には、トナーとキャリアとから成る二成分現像剤と、トナー単体から成る一成分現像剤とがある。
このうち、二成分現像剤を用いる現像方式は、比較的安定した良好な記録画像が得られる反面、キャリアの劣化やトナーとキャリアとの混合比の変動が発生しやすく、また、装置が大型化するという欠点がある。
そこで、装置の小型化、低コスト化及び信頼性の点から一成分現像剤を用いた現像方式が用いられている。さらに、一成分現像剤には、磁性一成分現像剤と非磁性一成分現像剤とがある。これらを比較した場合、磁性一成分現像剤を用いる現像方式では、一般に黒色マグネタイト粉である磁性体をトナー中に含むため、カラーの鮮明な色の現像剤を得ることが困難である。
このため、多色画像を形成する場合には、非磁性一成分現像剤である非磁性一成分トナー(以下、単に「トナー」と記す。)が用いられている。
【0003】
しかし、電子写真方式の現像装置および画像形成装置において、一成分現像システムでは、トナーや現像剤担持体等の部材が経時で劣化するため、ベタ画像が紙の後端にいくにしたがって濃度が薄くなる現象(以降、ベタ画像かすれと呼ぶ)が発生する。
この問題はトナーの荷電性の低下によることがわかっており、トナーの荷電性を高める技術が既に知られている。
しかし、今までの規制部材で現像剤担持体上のトナーを摩擦帯電し、それを感光体上に現像するというシステムの画像形成装置では、耐久末期で劣化したトナーを十分に荷電することができないという問題があった。
【0004】
特許文献1には、トナーの荷電を高める目的で、規制部材が接触し、現像ローラに接触させた予備帯電・層形成ローラについて開示され、筐体内に現像ローラ、予備帯電・層形成ローラ、供給ローラとで囲まれる予備帯電トナー貯蔵室を設け、十分な帯電電荷を有するトナーを確実に現像ローラへ供給するという構成が開示されている。
しかし、規制部材が予備帯電・層形成ローラに接触しているため、荷電したトナーが予備帯電・層形成ローラから現像ローラ上へ搬送される際に荷電が不均一になってしまうという問題がある。
特許文献2には、高温高湿下における画像安定性に優れ、且つ低印字画像を長期に渡り印刷した場合においても画像欠陥のない良好な画像を継続して得ることのできる非磁性一成分現像剤おいて、帯電のための帯電補助部材としてのトナー帯電ローラが、弾性ブレードの現像ローラ表面との当接部に対し現像ローラの回転方向下流側に当接され、かつ回転可能に支持されて設けられて、現像ローラ上の非磁性一成分現像剤を帯電している。
しかし、これでは、現像ローラ上のトナーを帯電させても、現像装置内にあるトナーを帯電させないために、現像ローラに供給される量を十分に確保できないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、トナーに十分な帯電電荷を付与することで、ベタ画像における後端部における画像かすれが発生しない現像装置及びプロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の現像装置では、電子写真方式で一成分現像剤を用いる現像装置であって、一成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触する第1の供給部材と、前記第1の供給部材に接触する第2の供給部材と、を備える現像装置において、前記現像剤担持体に接触してトナー薄層を形成し、かつ、帯電させる規制部材を備え、かつ、前記現像剤担持体と前記第1の供給部材と前記第2の供給部材とが、同じ方向に回転していることを特徴とする。
また、本発明の現像装置では、さらに、前記現像剤担持体、前記第1の供給部材、前記第2の供給部材に印加するバイアスをそれぞれVb、V1、V2としたとき、Vb、V1、V2はトナーの帯電電荷の極性と同じ極性をもち、その絶対値がVb<V1<V2を満たすことを特徴とする。
また、本発明の現像装置では、さらに、前記現像剤担持体、前記第1の供給部材、前記第2の供給部材の速度をそれぞれvb、v1、v2としたとき、vb<v1<v2を満たすことを特徴とする。
また、本発明の現像装置では、さらに、前記第2の供給部材に接触する予備荷電部材を備えることを特徴とする。
また、本発明の現像装置では、さらに、前記現像剤担持体と前記第1の供給部材と前記第2の供給部材とのなす角度が、60°以上で、120°以下となるL字型に配置され、
前記規制部材が前記L字型構成の内側に配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明のプロセスカートリッジでは、少なくとも、静電潜像が形成される像担持体を支持して、画像形成装置に着脱可能にしているプロセスカートリッジにおいて、上述のいずれかに記載の現像装置を備えることを特徴とする。
本発明のプロセスカートリッジでは、静電潜像が形成される像担持体と、電子写真方式で一成分現像剤を用いる現像装置と、を有する画像形成装置において、上述のいずれかに記載の現像装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の現像装置及びこれを用いるプロセスカートリッジ、画像形成装置では、長期使用後でも、トナーに十分な帯電電荷を付与することができ、ベタ画像における後端部における画像かすれの発生しないを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の現像装置を用いる画像形成装置の実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の現像装置を用いるプロセスカートリッジの実施形態の構成を示す概略図である。
【図3】従来の現像装置の構成を説明する図である。
【図4】本発明の現像装置の実施形態の構成について説明する図である。
【図5】本発明の現像装置におけるトナーの移動を説明するための電位の模式図である。
【図6】本発明の現像装置における現像剤担持体等の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
本発明の実施の形態を説明する。本発明は、電子写真方式の現像装置または画像形成装置について、以下の特徴を有する。
本発明の例としてフルカラー画像形成装置で説明する。
図1は、本発明の現像装置を用いる画像形成装置の実施形態の構成を示す概略図である。
図2は、本発明の現像装置を用いる画像形成装置の主要部の実施形態の構成を示す概略図である。
本発明の画像形成装置の一実施形態である画像形成装置1は、原稿を搬送する原稿搬送装置(ADF)5、原稿読み取り用のスキャナー部4と、このスキャナー部から出力されるデジタル信号を電気的に画像処理部で処理して、該画像処理部から出力されるデジタル信号に基づいて画像を記録部材6上に形成する画像形成部3からなっている。スキャナー部4においては、原稿載置台上に置かれた原稿の画像は、照射ランプ、ミラー、レンズを介してカラーCCDによって読み取られ、そのデータが画像処理部に送られる。画像処理部においては、このデータに必要な処理が施され、画像信号に変換され、画像形成部3へ送られる。
【0012】
画像形成部3においては、イエロー,シアン,マゼンタ作像ユニット10Y、10C、10M、とブラック作像ユニット10Kとを4つ並列に配置すると共に、その4つの作像ユニット10に対して1つの中間転写ベルト21と1つの2次転写ローラ23を配設している。この画像形成装置1を構成する作像ユニット10の一例としてイエローの作像ユニット10Yの構成を示している。
特に補足説明がない限り他のシアン作像ユニット10C、マゼンタ作像ユニット10M、ブラック作像ユニット10Kも同等の構成・動作となっている。
なお、この作像ユニット10は、画像形成装置1本体に着脱可能なプロセスカートリッジ10として用いることができる。
作像動作が開始されると、イエロー作像ユニット10Yでは、静電潜像担持体である感光体11は帯電装置12により表面を一様に帯電される。そして帯電後の感光体11には光書き込みの露光装置30からの露光によりフルカラー原稿のイエロー成分画像の静電潜像が形成され、その静電潜像はイエロー現像装置13Yによりイエロートナーで顕像化される。また、所定の時間差でシアン作像ユニット、マゼンタ作像ユニット、ブラック作像ユニット10においても同様の作像動作が行われ、シアン,マゼンタ,ブラックの各色のトナー像が各感光体11上に形成される。
【0013】
各作像ユニット10Y,10C,10M,10Kにおいて感光体11上に形成されたトナー像Y,C,M,Kを、中間転写ベルト21上で1つのフルカラー画像として重ねまとめるために、この中間転写ベルト21の裏面側には各作像ユニット10の感光体11の対向位置に転写ローラ14を配置し、転写ローラ14に所定の転写バイアスを印加することによって、各作像ユニット10のトナー像を順次中間転写ベルト21に重ねて転写させる。
中間転写ベルト21への転写後の各作像ユニット10内の感光体11は、図示しない光除電ユニットにより表面電位を除電され、感光体11に残留した転写残トナーはクリーニング装置15のクリーニングブレードにより除去され、前述の帯電装置12で帯電される、といった一連の作像サイクルを繰り返す。
中間転写ベルト21による転写後、感光体11表面は光除電ユニットで除電された後、クリーニング装置15においてトナーなどの残留物を除去している。クリーニング装置15で除去されたトナーは廃トナー搬送経路を経て廃トナー収容槽に搬送される。
帯電装置12は、感光体11に対向配置される帯電部材を接触させて所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)を印加させて感光体11表面を均一帯電させる接触又は非接触帯電方式であり、帯電部材には弾性樹脂ローラを用いている。感光体回転方向において感光体表面での露光位置から現像位置の間の感光体表面に対向した位置に非接触型の電位センサを設置し、所定の帯電電位および潜像電位になるように帯電バイアス値および露光量を調整する。
【0014】
フルカラートナー像の記録部材6への転写後に中間転写ベルト21の表面に残留したトナーや紙粉等の付着物は、中間転写ベルトクリーニング装置22の図示しないクリーニングブラシローラやクリーニングブレードにより除去され、先述の感光体廃トナーと同様に廃トナー収容部に搬送される。中間転写ベルト21、転写ローラへの対向ローラ21a、転写バイアス電源、ベルト駆動軸などを内包する転写ユニット内に設置されたテンションローラ21a、21b、21cがカム機構によって転写ベルトにテンションを与えるもしくは解除することにより、転写ベルトは各作像ユニット10の感光体11と接触した状態と離間した状態に変更可能になっている。これにより機械動作時には各作像ユニット10の感光体11が回転するのに先立って接触状態に、機械停止時には感光体11から離間した状態にしている。中間転写ベルト21へトナー像を転写した後、感光体表面は光除電ユニットで除電され、クリーニング装置15において、最初に(クリーニングユニット内において感光体回転方向において上流位置)で感光体回転方向とカウンター方向にブラシローラを接触回転させて感光体上の残トナーおよび付着物を掻き乱して感光体11との付着力を弱め、その下流位置においてゴム弾性体でできたブレードを感光体11に接触させて、先述の乱されたトナーや付着物を除去している。
【0015】
その後、中間転写ベルト21に転写されたトナー像は、そして1つのフルカラー画像となった中間転写ベルト21上のトナー画像を所定のバイアスが印加される2次転写ローラ23との間にタイミングを合わせて搬送されてくる記録部材6上に転写させられる。転写装置20としては、1次転写ローラ14、2次転写ローラ23、中間転写ベルト21、ベルトクリーニング装置22等を有している。
また、記録部材6は、給紙装置2内に配置されている複数の給紙カセット40から、画像形成装置1の制御により選択された記録部材6がピックアップローラ42により、給紙カセット40から1枚ずつ引き出される。そして、搬送ローラ43によって画像形成3まで搬送される。そして、レジストローラ44で、中間転写ベルト21上のトナー像とのタイミングを計り、二次転写ローラ23の方に送り出される。
その後、トナー像が転写された記録部材6は定着装置31に搬送され加熱・加圧されて記録部材6上のトナー像が定着されフルカラー画像が出力される。
【0016】
図2に示している画像形成装置1では、図1に示す画像形成装置1と同様に、4つのイエロー,シアン,マゼンタ,ブラック作像ユニット10Y、10M、10C、10Kが各々の作像ユニット10におけるトナー画像を一次転写ローラ14で中間転写ベルト21に重ね合わせて転写し、その後で二次転写ローラ23で記録部材6上に転写する。その後は、図1に記載の画像形成装置1と同様に、記録部材6は定着装置25に搬送され加熱・加圧されて記録部材6上のトナー像が定着されフルカラー画像が出力される。
また、プロセスカートリッジ10では、感光体11を中心に、帯電装置12、現像装置13、クリーニング装置15と備えている。プロセスカートリッジ10は、少なくとも感光体11と現像装置30とを一体に支持して、画像形成装置1に着脱可能になっている。その他に、潤滑剤塗布装置、除電装置を備えていても良い。
【0017】
図3は、従来の現像装置の構成を説明する図である。
電子写真方式における現像装置13は、図3に示すように、例えば、トナー供給室131の下部に、トナーを攪拌するトナー攪拌部材135、感光体11にトナーを現像する現像剤担持体134、現像剤担持体134にトナーを供給する供給部材137、現像剤担持体134に供給されるトナーを規制かつ帯電する規制部材136を備えている。
しかし、トナーが荷電される機会が規制部材136と現像剤担持体134との接触部にあたる供給ニップ13Nが一つであり、この供給ニップ13Nだけでは劣化したトナーを十分に帯電するのは困難である。
【0018】
図4は、本発明の現像装置の実施形態の構成について説明する図である。
本発明の現像装置13は、現像剤担持体134に接触した第1の供給部材137に第2の供給部材138を接触させ、現像剤担持体134および第1の供給部材137および第2の供給部材138の回転方向を同じにすることで、第1の供給部材137と第2の供給部材138との接触部にあたる第2の供給ニップ13N2において、現像剤担持体134等の移動方向が逆向きのためトナーは摩擦帯電されやすくなり、現像剤担持体134と第1の供給部材137との接触部にあたる第1の供給ニップ13N1においても、現像剤担持体134等の移動方向が逆向きのためトナーは摩擦帯電されやすくなり、さらに現像剤担持体134と規制部材136との接触部にあたる供給ニップ13Nにおいてトナーが摩擦帯電させる。このように、本発明の現像装置13では、複数の供給ニップ13N1、13N2を備えることで、トナーに十分な帯電電荷が付与されることが特徴になっている。
図1及び図2では、4色の作像ユニット10としてプロセスカートリッジを用いたフルカラー画像形成装置1を示したが、本発明はこれに限らず、1台のプロセスカートリッジを用いたモノクロ画像形成装置にも適用できる。
図4では、従来の現像装置13の構成に加えて、第1の供給部材137に第2の供給部材138を接触させており、それぞれ図示しない高圧電源から所定のバイアスが印加されている。このとき、現像剤担持体134、第1の供給部材137、第2の供給部材138の回転方向はすべて同じである。
トナー供給部材137、138の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナー供給室131内に運ばれてきたトナーを効率よく付着させて取り込むと共に、現像剤担持体134との当接部での圧力集中によるトナー劣化を防止している。発泡材料は10〜1014Ωの電気抵抗値に設定される。
トナー供給部材137、138には、現像剤担持体134に印加する現像バイアスに対して、トナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の供給バイアスが印加される。この供給バイアスは、現像剤担持体134との当接部で予備帯電されたトナーを現像剤担持体134に押し付ける方向に作用する。ただし、オフセットの方向はこれに限ったものではなく、オフセットを0もしくはオフセットの方向を変えてもよい。
トナー供給部材137、138は、図中で、左回りの方向に回転し、現像剤担持体134に付着したトナーを回収しつつ、トナー供給部材137、138の表面に付着させたトナーおよび近傍のトナーを現像剤担持体134の表面に塗布供給する。
【0019】
現像剤担持体134には、芯金ローラに弾性ゴム層を被覆したローラが用いられる。現像剤担持体134については金属からなる芯金の周囲に、ゴム又はエラストマーからなる弾性層を持つようなものや、金属からなるものがある。弾性層としては例えば、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、エピクローラヒドリンゴム、ウレタンゴムまたはフォームなど公知のゴム、エラストマーが使用可能である。その表面はトナーと逆の極性に帯電し易い材料からなる。弾性ゴム層は、感光体11との接触状態を均一に保つ為に、JIS−A 65度以下の硬度に設定され、さらに図示しない高圧電源から所定の現像バイアスが印加され、そのため体積抵抗10〜1011Ω・cmの電気抵抗値に設定される。表面粗さはRaで0.2〜4.0μmに設定され、必要量のトナーが表面に保持される。
表面層についてはこれら弾性層の周囲に、例えばディップ法、スプレーコート、ロールコートなどの種々公知のコーティング、あるいはチューブ状に成形した成形物を被覆することなどにより、表面層を形成する。
規制部材136は、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像剤担持体134の表面に当接させたもので、その押圧力下を通過したトナーを薄層化すると共に、主に摩擦帯電によって電荷を付与する。さらに摩擦帯電を補助する為に、現像バイアスに対してトナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の規制バイアスが印加される。
【0020】
本発明の現像装置13では、現像剤担持体134と第1の供給部材137と第2の供給部材138とが、同じ方向に回転している。したがって、現像剤担持体134と第1の供給部材137との接触部である第1の供給ニップ13N1では、お互いに衝突する対向方向に回転していて、強い摩擦帯電を促している。
さらに、第1の供給部材137と第2の供給部材138との間でも、その接触部である第2の供給ニップ13N2では、同様に、お互いに衝突する対向方向に回転していて、強い摩擦帯電を促している。したがって、ここでは、第1の供給部材137と第2の供給部材138とを複数設け、さらに、同じ方向に回転させることで、現像剤担持体134に十分帯電したトナーを供給することができる。
これに対して、従来は、図3に示すように、現像剤担持体134に対する一つの供給部材しかなく、現像剤担持体134に供給する前のトナーを十分帯電させることができなく、現像剤担持体134がトナーを十分な力で担持できないことがある。
一般に、トナーは、その帯電した電荷と逆極性の電荷に帯電しやすい現像剤担持体134との間で、電気的な力が作用し、現像剤担持体134表面に担持される。このために、十分に帯電していないトナーでは、現像剤担持体134に担持されず、搬送されにくくなる。これにより、ベタ画像が紙の後端にいくにしたがって濃度が薄くなるベタ画像かすれが発生しやすくなる。しかしながら、本発明の現像装置13では、現像剤担持体134に供給する前のトナーを十分に帯電させることで、ベタ画像かすれの発生を抑えることができる。
【0021】
図5は、本発明の現像装置13におけるトナーの移動を説明するための電位の模式図である。
また、本発明の現像装置13では、現像剤担持体134、第1の供給部材137、第2の供給部材138に印加するバイアスをそれぞれVb、V1、V2とすると、Vb、V1、V2はトナーの帯電電荷の極性と同じ極性のバイアスであり、その絶対値がVb<V1<V2を満たしている。
帯電されたトナーはバイアス差によってクーロン力を受ける。しかしながら、トナーの帯電電荷の極性と同じ極性のバイアスにすることで、バイアスの小さい方がトナーに対する反発力が小さくなり、結果的に、反発力の強い方から反発力の弱い方にトナーが移動して行く。このために、第2の供給部材138から第1の供給部材137へ、さらに第1の供給部材137から現像剤担持体134へとトナーが移動しやすくなる。
【0022】
また、本発明の現像装置13では、現像剤担持体134、第1の供給部材137、第2の供給部材138の速度をそれぞれvb、v1、v2とすると、線速比v1/vb、v2/v1がそれぞれ1以上となる場合、線速差によって摩擦されやすくなることでトナーの荷電が高くなる。つまり、各部材の速度をvb<v1<v2を満たすことで、現像剤担持体134に十分帯電したトナーを供給することができる。
【0023】
また、本発明の現像装置13では、図4に示しているように、第2の供給部材138に予備荷電部材139を接触させることで、第2の供給部材138と予備荷電部材139との接触部でトナーを摩擦帯電させ、さらにトナーの荷電を高めることができる。
この予備荷電部材139としては、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属材料を用いる。予備荷電部材139の形状としては、図4に示すように、板状の形状であるが、回転可能なローラ形状でも良い。
ここで、現像剤担持体134と第1の供給部材137との第1の供給ニップ13N1、第1の供給部材137と第2の供給部材138との第2の供給ニップ13N2に対して、さらに、摩擦帯電させる箇所を増やすことで、さらにトナーの荷電を高めることができる。
【0024】
図6は、本発明の現像装置における現像剤担持体等の配置を説明するための図である。
また、本発明の現像装置13では、図6の一点鎖線で示しているように、現像剤担持体134の回転中心と第1の供給部材137の回転中心と第2の供給部材138の回転中心とを、L字型の配置とする。さらに、第1の供給部材137を中心になす角度θを60°〜120°にする。
L字型の配置にすることで、第1の供給ニップ13N1で帯電したトナーを、早期に第2の供給ニップ13N1に供給することができる。
したがって、なす角度θは鋭角が好ましいが、大きくとも120°以下にする。角度θが120°を越えると現像装置13の小型化が困難になる。
また、なす角度θは鋭角であっても、小さくとも60°以上にする。角度θが60°未満では、現像剤担持体134と第2の供給部材138とが近づき、トナーの攪拌が困難になる。
また、規制部材136をL字の内側に配置する。ことで、トナーの移動経路を短くすることができ、トナーの荷電が乱れることを防ぐ。規制部材136は現像剤担持体134と接触しており、規制部材136によって帯電されたトナーの荷電が安定なまま、感光体11に現像させることができる。
【0025】
また、本発明の現像装置13では、非磁性一成分現像剤であるトナーを用いる。
また、トナー中の樹脂成分として、ポリエステル樹脂、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/α-クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン/酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することもできる。
着色剤としては、例えばカーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。これらの着色剤の使用量はトナー樹脂成分に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
必要に応じて帯電制御剤を用いてもよい。帯電制御剤としては、ニグロシン染料、金属錯塩型染料、第四級アンモニウム塩等の従来公知のいかなる帯電制御剤も使用できる。これらの帯電制御剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
また、外添剤としては、シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等、従来公知のいかなる外添剤をも単独あるいは混合して使用できる。これらの外添剤の使用量は、トナー重量に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。これらの外添剤を使用することにより、トナーの帯電の立ち上がりが未混合時と比較して格段によくなり、さらに流動性も上がることから、画質の向上につながる。
また、トナーの製法としては、粉砕法および重合法に大別することができる。粉砕法では結着樹脂、着色剤、ワックス等の原料を混合し、熱をかけながら剪断力をかけ樹脂中に着色剤、ワックス等を分散させた混練物を圧延冷却し板状にしたものを粉砕してから所望の粒径分布になるように分級し、最後に外添剤を混合してトナーが製造される。
また、水系媒体中で油相を乳化、懸濁又は凝集させトナー母体粒子を形成させる、懸濁重合法、乳化重合法、ポリマー懸濁法等がある。
【実施例】
【0026】
<実験方法>
実施例1〜4、比較例1〜7の実験を行った。
現像装置および画像形成装置は(株)リコー製IPSiO SP C310を改造して用いた。
トナーは、マイナス極性に帯電するものを用いた。
帯電ローラに印加するバイアスを−1100Vに固定して行った。そのときの非画像部の感光体電位は−500V、画像部は−50Vだった。
規制部材に印加するバイアスは、現像バイアスに対して−100Vオフセットさせた。
規制部材はSUS304CSP製の金属ブレード(自由端側の先端の曲げ角を20度、曲げ幅を0.5mmとした)を用いた。なお、曲げ角とは平板状を0度とし、その状態からの角度とする。ブレードの曲った曲率がついている箇所を現像ローラに当接した。
印字率1%チャートを表1中「比較例1」の条件で4000枚印刷した後、実施例1〜4、比較例1〜7の各条件で、ベタ画像を2枚出力し、かすれを以下の3段階で評価した。
<評価基準>
○:問題なし
△:認識できるが許容レベル
×:許容できない
【0027】
<実験結果>
【表1】

表1は、実施例1〜4および比較例1〜7におけるベタ画像かすれ評価結果を示している。
表1では、現像剤担持体、供給部材の回転方向は、図3及び4に示す図で、回転方向は反時計方向を基準としている。
第2の供給部材を設けることでベタ画像のかすれランクが良くなっている。これは第2の供給部材と第1の供給部材との接触部において、トナーが摩擦帯電されたためと考えられる。
現像剤担持体、第1の供給部材、第2の供給部材の回転方向をすべて同じ方向とすることで、かすれランクが良くなっている。これは各部材の接触部である供給ニップでのトナーが摩擦帯電されたためと考えられる。
バイアスをVb<V1<V2とすることでかすれランクが良くなっている。これは帯電したトナーが第2の供給部材、第1の供給部材、現像剤担持体へと順番的に移動しやすくなったためだと考えられる。
線速比を1以上とすることでかすれランクが良くなっている。これは各回転体間の供給ニップにおいて速度差が大きくなり、摩擦帯電の効果が大きくなったためだと考えられる。
第2の供給部材に予備荷電部材を接触させることでかすれランクが良くなっている。これは第2の供給部材と予備荷電部材との接触部において、トナーが摩擦帯電されたためと考えられる。
【符号の説明】
【0028】
1 画像形成装置
2 給紙装置
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
6 記録部材
9 トナー
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
11 感光体
12 帯電装置
13 現像装置
13N1 第1の供給ニップ
13N1 第2の供給ニップ
131 トナー供給室
133 現像装置筐体
134 現像剤担持体
135 トナー攪拌部材
136 規制部材
137 第1の供給部材
138 第2の供給部材
139 予備荷電部材
14 転写ローラ
15 クリーニング装置
20 転写装置
21 中間転写ベルト
211、212、213 支持ローラ
22 ベルトクリーニング装置
23 2次転写ローラ
24 搬送ベルト
30 露光装置
31 定着装置
40 給紙カセット
42 ピックアップローラ
43 搬送ローラ
44 レジストローラ
47 排出ローラ
48 排紙トレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】平08−062960
【特許文献2】特開2004−138644

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式で一成分現像剤を用いる現像装置であって、
一成分現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に接触する第1の供給部材と、
前記第1の供給部材に接触する第2の供給部材と、を備える現像装置において、
前記現像剤担持体に接触してトナー薄層を形成し、かつ、帯電させる規制部材を備え、 かつ、
前記現像剤担持体と前記第1の供給部材と前記第2の供給部材とが、同じ方向に回転している
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像装置は、
前記現像剤担持体、前記第1の供給部材、前記第2の供給部材に印加するバイアスをそれぞれVb、V1、V2としたとき、
Vb、V1、V2はトナーの帯電電荷の極性と同じ極性をもち、その絶対値がVb<V1<V2を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像装置は、
前記現像剤担持体、前記第1の供給部材、前記第2の供給部材の速度をそれぞれvb、v1、v2としたとき、
vb<v1<v2を満たす
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像装置は、
前記第2の供給部材に接触する予備荷電部材を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像装置は、
前記現像剤担持体と前記第1の供給部材と前記第2の供給部材とのなす角度が、60°以上で、120°以下となるL字型に配置され、
前記規制部材が前記L字型構成の内側に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
少なくとも、静電潜像が形成される像担持体を支持して、画像形成装置に着脱可能にしているプロセスカートリッジにおいて、
前記プロセスカートリッジは、
請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置を備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
静電潜像が形成される像担持体と、
電子写真方式で一成分現像剤を用いる現像装置と、を有する画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−159800(P2012−159800A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21022(P2011−21022)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】