説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像部と接続する供給経路内での現像剤詰まりを改善し、現像剤搬送量を安定化させるとともに、現像剤の搬送に使用するエネルギーの低減を図ることが可能な現像装置を提供する。
【解決手段】現像部5Yの外部に配置されていて現像剤の一部を収容する現像剤収納部40Yと、現像部と現像剤収納部とに接続され、現像剤収納部から現像剤Gが供給される供給経路63Yとを備え、供給経路を介して現像剤を現像部へ搬送する現像装置150Yは、供給経路内に供給された現像剤によって形成される現像剤堆積部G1に対して複数個所から空気を供給する空気供給手段60を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びこれを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリまたはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置には、粉体のトナーとキャリアから成る二成分現像剤あるいは、トナーからなる一成分現像剤を現像部のケーシングに形成された現像領域へ搬送し、当該現像領域に配置された現像部材を介して像担持体上に形成された静電潜像を現像して可視化するものである。二成分現像剤を用いる現像装置では、現像領域で現像処理を終えてトナーが消費された現像剤をケーシング内に一旦回収し、補給されるトナーと混合、攪拌し、再び現像に供している。
【0003】
このような構成の現像装置に用いられる現像剤は、安定したトナー画像を得るために、一定のトナー濃度と帯電量を維持する必要がある。トナー濃度は現像で消費したトナーと補給トナー量により調整され、帯電量はキャリアとトナーとの混合時の摩擦帯電により付与される。このため、現像装置では、二成分現像剤の攪拌を行い、トナー濃度分布を均一化するとともに、トナーに帯電を付与し、トナー画像の安定化を行っている。
【0004】
一般的な現像装置では、補給されたトナーが、現像部材へと汲み上がるまでのわずかな時間の間にケーシング内に設けた2本のスクリュ部材の回転による攪拌効果を利用してトナーの分散・帯電付与を行っている。このため、特にトナーの収支が多い場合、補給されたトナーが十分に分散しないで現像部材に汲み上がり、地汚れ、トナー飛散などの発生要因となってしまう。
【0005】
そこで、現像部から離れた場所に別途現像剤を収納して撹拌する現像剤収納部を設け、現像部と現像剤収納部を循環経路によって接続し、現像剤収納部で現像剤の状態に応じた撹拌を行い、トナー濃度、帯電量を適切に調整した現像剤を現像部に供給する現像装置が、たとえば特許文献1−5において提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献では、現像部の外部に現像剤収納部を設置し、現像剤収納部と現像部とをチューブやパイプで構成された回収経路と供給経路でそれぞれ接続し、トナー使用後の現像剤を回収経路で現像剤収納部へ回収搬送するとともに、現像剤収納部に補給用トナーを供給し、回収した現像剤と撹拌して再度現像部へ空気発生源から供給される空気と混合させて供給経路を介して戻している。これら空気発生源と供給経路は現像剤移送手段を構成している。
【0007】
現像部と現像剤収納部や現像剤移送手段との位置関係は、画像形成装置の構成によって異なるが、現像剤収納部が現像部より下方に位置することがある。このような配置となると、現像剤収納部と現像部と間の供給経路に垂直部や傾斜部などの曲部が形成され、現像剤はこの曲部を備えた供給経路内を重力に逆らって搬送されることになる。現像装置では、現像部への現像剤の供給の必要がない場合、供給経路への空気供給を止めるが、空気供給の停止は現像剤の供給経路内での滞留につながる。供給経路が水平な場合であれば、曲部があっても現像剤と供給経路内面との間に隙間が形成されるので、さほど問題にはならないが、現像剤収納部の位置が現像部より下方に位置している場合、空気供給が停止すると現像剤は重力により供給経路内を落下し、曲部に滞留して堆積してしまう。すなわち、供給経路内が、現像剤が高い嵩密度で充填された部分と空気のみが存在する部位に、滞留した現像剤によって分離された状態となる。このような状態で、再び現像剤の供給時期が来て空気を供給経路へと供給して現像剤を搬送しようとすると、嵩密度が高くなった部位を動かす(搬送する)ために、過大な空気圧力(搬送圧力)が必要になる。
【0008】
通常、嵩密度が高くなった部分のない現像剤が搬送経路を搬送されているときは、現像剤と搬送経路内とに適度な隙間があり、搬送経路内がすべて現像剤で充填された詰まった状態ではない。このような場合の空気圧力は、搬送経路内が現像剤で完全に充填されて詰まっている状態に比べ低い。しかし完全に充填された状態(詰まった状態)が多い状態や、詰まった領域が長く存在すると、現像剤の動きが制限されるため、これを崩し、動かすためには大きな空気圧力が必要となる。従って、従来の現像剤搬送時の空気圧力は、空気供給開始時(立ち上がり時)が極端に高い状態となる。この傾向は供給経路の垂直部位が長いほど高くなる。
【0009】
予め高い初期圧力を想定した空気発生源を選択すれば、嵩密度が高くなった部分(詰まった部分)が発生しても現像剤の搬送に支障を来たす事は少ないが、初期圧力以外は、低い圧力で現像剤を搬送できるため、過度に能力の高い空気発生源を使用しなければならない。
【0010】
さらに空気供給開始時(立ち上がり時)が極端に高い状態となると、別な問題が発生する可能性がある。すなわち、現像装置には、現像剤収納部と供給経路の間に、収納部で回収した現像剤と補給トナーを撹拌混合した現像剤を定量ずつ供給経路に排出する回転式の排出部を備えているものがある。このような回転式排出部を備えている場合、回転式排出部からの現像剤の漏れを極力少なくするためにシール性が要求される。しかし、シール性を高くすると、回転式排出部の回転抵抗が増すため、完全なシール性を確保することが難しい。このため、空気供給初期の滞留現像剤(詰まった部分)による空気圧力の上昇値が、回転式排出部のシール耐圧より高くなると、空気発生源からの空気が供給経路ではなく回転式排出部から現像剤収納部側に流れ込むことが考えられる。このような状態は、現像剤収納部内での現像剤の吹き上げ現象を生じさせ、供給経路内の現像剤が現像部へと十分に搬送されず、現像剤が詰まったままの状態となり、現像剤搬送量が不安定になる要因となってしまう。
【0011】
本発明は、上記課題の解決をはかり、現像部と接続する供給経路内での現像剤詰まりを改善し、現像剤搬送量を安定化させるとともに、現像剤の搬送に使用するエネルギーの低減を図ることが可能な現像装置及び画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明にかかる、現像部と、現像部の外部に配置されていて現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、現像部と現像剤収納部とに接続され、現像剤収納部から現像剤が供給される供給経路とを備え、供給経路を介して現像剤を現像部へ搬送する現像装置は、供給経路内に供給された現像剤によって形成される現像剤堆積部に対して複数個所から空気を供給する空気供給手段を有することを特徴としている。
【0013】
本発明において、空気供給手段は、空気発生源と、空気発生源からの空気を供給経路から現像剤堆積部に供給する第1の空気供給経路と、空気発生源からの空気を第1の空気供給経路とは異なる方向から現像剤堆積部に供給する第2の空気供給経路と、第2の空気供給経路内の空気を現像剤堆積部に噴出する空気供給孔を有することを特徴としている。
【0014】
本発明において、空気供給孔から噴出する空気の方向は、現像剤堆積部に沿うように設定することで、効果的に現像剤を流動化して搬送可能とするとともに、第2の空気供給経路内から空気が現在剤収納部側に流れにくくしている。
【0015】
本発明では、空気供給孔の流路断面積を、当該空気供給孔よりに上方に位置する供給経路の流路断面積よりも小さく形成し、現像剤堆積部への空気の流速を速くして滞留現像剤をより流動化し易くするとともに、供給経路内を落下する現像剤が空気供給孔や第2の空気供給経路内に侵入し難い構成としている。
【0016】
本発明では、第2の空気供給経路から現像剤堆積部への空気の供給を、第1の空気供給経路から現像剤堆積部への空気供給時期よりも早い時期にだけ行うようにして、現像剤堆積部の流動性を高めるとき意外は、第2の空気供給経路に対する空気供給をなくして、使用空気量の効率化を図りながら搬送に使用するエネルギーを低減可能とする構成としている。
【0017】
本発明では、第1の空気供給経路に空気を供給する空気発生源と第2の空気供給経路に空気を供給する空気発生源を1つの空気発生源で構成し、この1つの空気発生源からの空気を第1の空気供給経路と第2の空気供給経路に選択的に切り替える経路切替手段を備えることで、第1の空気供給経路と第2の空気供給経路用の空気発生源を個別に設ける場合よりも、搬送に使用するエネルギーを低減しながらも、省スペース化やコスト低減を図れる構成としている。
【0018】
本発明では、第2の空気供給経路から現像剤堆積部への空気の供給時期を、第1の空気供給経路から現像剤堆積部への空気供給時期と同じ時期に行うようにすることで、第2の空気供給経路から導入した空気が第1の空気供給経路に流れることを抑制して、予め設定された空気圧力で現像剤を安定して搬送することで現像剤搬送量を安定化できる構成としている。
【0019】
本発明では、回転駆動されることで、現像剤収納部から供給経路へ定量の現像剤を排出する回転式排出部を備え、第2の空気供給経路から現像剤堆積部への空気の供給時期に、回転式排出部の駆動を停止するとともに、第1の空気供給経路から現像剤堆積部への空気供給を行うことで、第2の空気供給経路から導入した空気が第1の空気供給経路に流れることを抑制して、予め設定された空気圧力で現像剤を安定して搬送して現像剤搬送量を安定化するとともに、現像剤収納部から現像剤が供給経路に供給されないようにして、供給経路の現像剤の流動化を図ってより現像剤搬送量を安定化することができる構成としている。
【0020】
本発明では、空気供給孔よりも空気噴出下流側に、通気性を有するとともに現像剤を遮断するフィルタが設置することで、空気発生源が停止して現像剤への空気圧力がなくなり、現像剤が堆積して場合でも空気供給孔や第2の空気供給経路への現像剤の進入を抑制して、第2の空気供給経路へ空気供給を行う際の搬送負荷を低減可能とかる構成としている。
【0021】
本発明は、現像部と、現像部の外部に配置されていて現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、現像部と現像剤収納部とに接続され現像剤収納部から現像剤が供給される供給経路とを備え、供給経路を介して現像剤を現像部へ搬送する現像装置において、供給経路に空気を供給する空気供給手段と、現像剤堆積部に対して空気供給手段とは個別経路で空気を供給する現像剤詰まり抑制手段を有することを特徴としている。
【0022】
本発明は、像担持体と、像担持体の表面に形成された像を現像剤で現像する現像装置とを備えた画像形成装置において、現像装置として上記何れかの現像装置を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、現像部と現像剤収納部とに接続された供給経路内に供給された現像剤によって形成される現像剤堆積部に対して、複数個所から空気を供給する空気供給手段を有するので、単独で現像剤堆積部に対して空気を供給する場合よりも現像剤堆積部が崩れ易くなり、空気供給手段の負荷(搬送圧力)を大幅に低減できるため搬送エネルギーを低減しながら、滞留した現像剤による供給経路内の詰まりを防止でき、現像剤搬送量の安定化を図ることもできる。
【0024】
本発明によれば、現像部と現像剤収納部とに接続された供給経路内に供給された現像剤によって形成される現像剤堆積部に対して、現像剤移送手段および現像剤移送手段とは個別経路で現像剤詰まり抑制手段から空気がそれぞれ供給されるので、単独で現像剤堆積部に対して空気を供給する場合よりも現像剤堆積部が崩れ易くなり、空気供給手段の負荷(空気圧力)を大幅に低減できるため、搬送エネルギーを低減しながら、滞留した現像剤による供給経路内の詰まりを防止でき、現像剤搬送量の安定化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の一形態を示す概要断面図である。
【図2】本発明が適用された現像装置が備える現像部の一形態の概略構成を示す拡大図である。
【図3】本発明が適用された現像装置の一形態の概略構成を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明が適用された現像装置が備える現像剤収納部と空気供給手段の一形態を示す概略構成図である。
【図5】現像部と回転式排出部と複数の空気発生源の動作時期の一例を示すタイミングチャートである。
【図6】供給経路内の現像剤堆積部の状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明の主要部である空気供給手段を備えた場合の空気圧力の測定結果を示す特性図である。
【図8】本発明の主要部である空気供給手段を備えていない場合の空気圧力の測定結果を示す特性図である。
【図9】図5に対して複数の空気発生源の作動時期を同一にしたときのタイミングチャートである。
【図10】本発明が適用された現像装置の別な形態を示す概略構成図である。図である。
【図11】図10に示す現像装置の各部の動作時期を示すタイミングチャートである。
【図12】第2の空気供給経路から現像剤堆積部に対する空気供給形態の変形例を示す拡大図である。
【図13】流動性が確保されている現像剤の供給経路内での状態を示す拡大図である。
【図14】現像剤堆積部が発生している従来の供給経路の内部状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を用いて本実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の概要構成について説明し、その後、現像装置について説明する。
【0027】
図1に示す画像形成装置はカラー複写機である。本発明が適用される画像形成装置としては、このようなカラー複写機に限定されるものではなく、カラープリンターやカラーファックスあるいはこれらの複合機であってもよい。また、色に関してもカラーに限定はされず、ブラックのトナーを用いたモノクロ仕様の画像形成装置であってもよい。
【0028】
画像形成装置は、装置本体100の内部に、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Bkと、中間転写ユニット10と、定着部20を備え、装置本体100の下方に転写紙Pが複数枚重ねて収納された給紙部26を備え、装置本体100の上部に読み取り部32を備えている。給紙部26の転写紙Pは、給紙コロ27により1枚ずつ分離されて給紙され、レジストローラ対28により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて搬送される。
【0029】
中間転写ユニット10は、複数のローラに巻き掛けられて図1において反時計周りで回転移動する中間転写ベルト8を備えている。この中間転写ベルト8は未定着像担持体であって、その下面側に作像部6Y、6M、6C、6Bkが対向して並設されている。
【0030】
作像部6Y、6M、6C、6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造である。各作像部は、像担持体としての感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk、各感光体ドラムの周囲に配設された図示しない帯電手段、現像部5Y、5M、5C、5Bk、図示しないクリーニング手段等で構成されている。中間転写ベルト8の内側には、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkが、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkと対向配置されていて、各ドラム表面と間に中間転写ベルト8を挟み込んで1次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8には、2次転写ニップを形成する2次転写ローラ19が対向配置されている。
【0031】
画像形成装置は、各感光体ドラム上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、各感光体ドラム表面上に所望のトナー像が形成される。
【0032】
各感光体ドラムは、図示しない駆動部によって図1中、時計回り方向に回転駆動され、帯電手段の位置で表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、各感光体ドラムの表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程)。静電潜像が形成された各感光体ドラムの表面は、それぞれ現像部5Y、5M、5C、5Bkとの対向位置に達し、この位置で静電潜像が、各現像装置内に収納されているイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックそれぞれの現像剤中で現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
【0033】
現像工程を終えた各感光体ドラムは、1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkとの対向位置に達して、この位置でそれぞれトナー像が中間転写ベルト8上に重ねて転写される(1次転写工程)。
【0034】
トナー像の転写を終えた各感光体ドラムの表面は、不図示のクリーニング手段との対向位置に達し、この位置でドラム表面上に残存している未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。
【0035】
クリーニング後、各感光体ドラムの表面は図示しない除電ローラによりそれぞれ電位を初期化される。このようにして、各感光体ドラム上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0036】
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に、給紙部26から搬送された転写紙P上に転写される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる、一連の転写プロセスが終了する。
【0037】
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着部20へ搬送され、周知の定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力により、表面に転写されたカラー画像を定着される。定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対29により、装置本体100上面に形成された排紙部30へ出力画像として排出されてスタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0038】
次に、本発明の特徴的構成を備えた現像装置の構成について説明する。現像装置150Y、150M、150C、150Bkは、各感光体ドラムの表面に形成された像を現像剤で現像する現像部5Y、5M、5C、5Bkをそれぞれ有するものである。各現像装置は使用するトナーの色以外は同一構成であるので、ここでは1つの現像装置150Yの構成を代表して説明するが、現像装置150Yで説明した本願発明にかかる構成は、他の現像装置150M、150C、150Bkにも適用されるものである。
【0039】
図2において、現像装置150Yは現像部5Yと現像剤収納部40を備えている。現像部5Yのケーシング70の内部には、螺旋状のフィンを有する搬送スクリュ11、12と、磁力を有する現像部材となる現像ローラ13が回転自在に支持されて配置されているとともに、トナーとキャリアを混合した二成分現像剤(以下単に「現像剤」と記す)Gが収納されている。現像剤Gは、搬送スクリュ11で図中手前から奥側に搬送され、搬送スクリュ12によって図中奥側から手前側に搬送される途中で、その一部が現像ローラ13の磁力で吸い上げられて現像ローラ13の表面に吸着される。吸着された現像剤Gは、現像ローラ13と対向配置するようにケーシング70に配設された周知のドクターブレード14で均一な厚さに均されてから感光体ドラム1Yに接する事で、感光体ドラム表面上の静電潜像をトナーで現像してイエローのトナー像を形成する。搬送スクリュ12の最下流には図示しないトナー濃度検知手段が設置されていて、トナー濃度を検知している。
【0040】
現像後の現像剤Gは、搬送スクリュ11の端部に位置するケーシング70部分に形成された穴701から回収経路30を介して図2、図3に示す現像剤収納部40へと搬送されることで回収される。回収経路30は、その一端30aが穴701に接続されていて、その他端30bが現像剤収納部40を構成する容器40Aの上部に接続されている。
【0041】
図3において、符号20は補給用のトナーを収納するトナーカートリッジであって、このカートリッジの下部は現像剤収納部40に搬送経路21で接続されている。搬送経路21の内部には駆動モータ28で回転駆動する図示しないコイルスクリュが挿入されていて、コイルスクリュが回転することで現像剤収納部40の容器40Aにトナーが補給される。トナー補給動作は、出力する画像の面積率のデータ、現像部5Yに設けられたトナー濃度センサの信号等により、補給量、タイミングが図4に示すコンピュータで構成された制御手段100で制御される。
【0042】
現像剤収納部40は、トナーカートリッジ20内の補給用のトナーと、回収経路30で回収された現像剤とが供給される容器40Aと、容器40Aの内部で補給用のトナーと現像剤を撹拌する撹拌部材43,44を備えている。撹拌部材43,44は、それぞれの撹拌部分が容器40Aの内部に位置し、各端部が容器40Aの外部に突出している。この突出した端部には撹拌駆動モータ45からの駆動力を各端部にそれぞれ伝達する歯車群46が装着されている。撹拌部材43,44は、撹拌駆動モータ45が駆動することでそれぞれ回転駆動する。撹拌部材43は撹拌部分がスクリュ形状のもので、現像剤が容器40a内を上方に流れる向きに回転するように容器の中央に配置されていて、容器40aの中央部分において容器40a内の現像剤を循環する機能を備えている。攪拌部材44は板状の樹脂、金属等で形成されていて、撹拌部分に格子状に空隙が設けられており、補給されたトナーを既存の現像剤と十分に撹拌して分散させる機能を備えている。
【0043】
容器40Aの下方には、回転式排出部の一形態となるロータリフィーダ50が配置されている。ロータリフィーダ50は、容器40A内の現像剤Gを定量的に下方に供給する機能を有するもので、容器40Aと接続するケーシング51と、その内部で回転するロータ52と、ロータ52を回転駆動するロータ駆動モータ53と、合流部54を備え、ロータ51が回転することで現像剤Gを順次下方に位置する合流部54へと定量ずつ排出する。ケーシング51とロータ52の外周部分の間にはわずかに隙間が形成されていて、ロータ51の回転抵抗を低減しつつも、シール性を持たせている。
【0044】
現像装置150Yは、ロータリフィーダ50の下部に、後述する現像剤堆積部G1に空気を供給する空気供給手段60を備えている。空気供給手段60は、空気を発生するエアポンプで構成された第1の空気発生源61と、ロータリフィーダ50から排出されて合流部54に落下して供給された現像剤Gを空気と一緒に現像部5Yへ搬送する供給経路63と、第1の空気発生源61で発生した空気を、合流部54より供給経路63へ供給する第1の空気供給経路62と、エアポンプで構成された第2の空気発生源64と、第2の空気発生源64で発生した空気を供給経路63へ供給する第2の空気供給経路65を備えている。このような構成の空気供給手段60は、現像剤堆積部G1に対して複数個所から空気を供給する機能を備えている。また、第2の空気発生源64と第2の空気供給経路65は、空気供給手段60の構成と個別とみなすことで、現像剤詰まり抑制手段67を構成する。
【0045】
第1の空気供給経路62はパイプ材で構成されていて、その一端は第1の空気発生源61の空気吐出側に、その他端は現像剤Gが落下する位置よりもずれて合流部54に設けられた接続端54aにそれぞれ接続されている。合流部54は、接続端54aと反対側に、供給経路63の他端が接続する接続端54bを備えている。
【0046】
本形態において、供給経路63は複数のパイプ材を接続して構成しており、現像部5Y(ケーシング70)に一端が接続する経路パイプ631と、接続端54bに一端が接続する経路パイプ632と、経路パイプ631と経路パイプ632の間に介装されたジョイントパイプ633を備えている。
【0047】
本形態において、経路パイプ631と経路パイプ632は直線的な形状であって、ジョイントパイプ633は3つの接続端が形成された3つ又形状とされている。経路パイプ632は図3、図4において略水平状態とされ、経路パイプ631はほぼ垂直な立設状態とされている。経路パイプ632の他端はジョイントパイプ633の第1の接続口633aに接続されている。第1の接続口633aに対して略直角に向きを変えて図中上方に向かって位置するジョイントパイプ633の第2の接続口633bには、経路パイプ631の他端が接続されている。第2の接続口633aに対して略直角に向きを変えて図中下方に向かって位置するジョイントパイプ633の第3の接続口633cには、第2の空気供給経路65の一端65aが接続されている。第2の空気供給経路65の他端65bは第2の空気発生源64の空気吐出側に接続されている。これら第1〜第3の接続口633a〜633cは、それぞれジョイントパイプ633の内部と連通している。つまり、第2の空気供給経路65は、搬送経路63の曲部となるジョイントパイプ633に接続されていて、当該曲部に対して第2の空気発生源64からの空気を供給可能としている。本形態において、ジョイントパイプ633内には、供給経路63内に供給されて搬送されずに経路パイプ631内を落下する現像剤Gによって現像剤堆積部G1が形成される。このため、第3の接続口633cは、第2の空気供給経路65内の空気をこの現像剤堆積部G1に噴出する空気供給孔として機能する。
【0048】
つまり、空気供給手段60は、第1の空気発生源61と、この空気発生源からの空気を供給経路63から現像剤堆積部G1に供給する第1の空気供給経路62と、第2の空気発生源64からの空気を第1の空気供給経路62とは異なる方向から現像剤堆積部G1に供給する第2の空気供給経路65と、第2の空気供給経路65内の空気を現像剤堆積部G1に噴出する空気供給孔633cを有する。
【0049】
このような構成の空気供給手段60や現像剤詰まり抑制手段67の動作について説明する。
【0050】
従来の現像装置は、第2の空気発生源64と第2の空気供給経路65及び空気供給孔633cを備えておらず、図5に示すように、現像部5Yとロータ駆動モータ53と第1の空気発生源61の駆動を同時に駆動していた。このため、図4に示すロータ51が回転することで合流部54へ排出された現像剤Gは、第1の空気発生源61から供給された空気と一緒に供給経路63内を通って現像部5Yへ搬送されることになる。そして、図5に示すように現像部5Yの動作が停止すると、この停止タイミングと同時にロータ駆動モータ53と第1の空気発生源61の駆動を停止するため、現像剤Gへの搬送力がなくなり、供給経路63内には現像剤が残留する。供給経路63の内、水平部分に滞留している現像剤は図13に示すように経路内壁との間に隙間を持って堆積するが、立設されている供給経路63内に残留している現像剤Gは自重で落下し、図14に示すように供給経路63内の曲部を中心に、嵩密度を高めて堆積していた。
【0051】
しかし本形態の場合、図6に示すように、供給経路63の経路パイプ631が接続するジョイントパイプ633に、第2の空気供給経路65の一端65aが接続され、そこから供給される空気をジョイントパイプ633に噴出する空気供給孔となる第3の接続口633cが形成されているので、ジョイントパイプ633内に溜まる現像剤Gの一部は、接続口633cを介して第2の空気供給経路65の内部へも侵入し、ジョイントパイプ633内での現像剤Gの嵩密度が低くなる。
【0052】
また、本形態では従来とは異なり、図3、図4に示すように、第2の空気発生源64と第2の空気供給経路65を備えた現像剤詰り抑制手段67を備え、第2の空気発生源64を作動することで、第2の空気発生源64からの空気が第2の空気供給経路65、合流部54、経路パイプ631を通ってジョイントパイプ633へと供給される。このため、ジョイントパイプ633内に堆積している嵩密度の高い現像剤Gで形成された現像剤堆積部G1の流動化を図ることができる。
【0053】
第2の空気発生源64を駆動するタイミングについてであるが、本形態では、図6に示すように、現像部5Yとロータ駆動モータ53と第1の空気発生源61の駆動タイミング(運転状態)よりも早い時期、たとえば、駆動直前の停止状態の一定期間だけ駆動するようにした。
【0054】
このような駆動タイミングとすると、現像部5Yが作動し、ロータリフィーダ50と第1の空気発生源61が作動して現像剤Gの現像部5Yへの供給が始まる前に、第2の空気発生源64からの空気がジョイントパイプ633内へと供給される。これにより、ジョイントパイプ633内に滞留している現像剤を崩して流動化する。また、このような滞留が崩されて解消された状態の現像剤Gに対して、第1の空気発生源61からの空気が第1の空気供給経路62、合流部354、経路パイプ632を介して供給されるので、第1の空気発生源61に対する過度な空気圧力が必要なくなる。第2の空気発生源64の駆動時間、すなわち、送風時間としては0.5秒〜3秒程度が好ましい。長い時間、第2の空気発生源64から空気を供給することで、滞留が崩されて解消された状態の現像剤Gを現像部5Yに搬送することも可能であるが、第2の空気発生源64の主な目的は、滞留している現像剤Gを現像部5Yに搬送することではなく、供給経路63内で滞留している現像剤(現像剤堆積部G1)に空気を送り、自重や放置によって、嵩密度が上昇している状態を崩して嵩密度を低下させて流動性を与え、第1の空気発生源61からの空気による現像部5Yへの搬送に支障をきたす(搬送圧力上昇による過負荷、現像剤詰まり)ことを抑制することにある。このように、現像剤Gの現像部5Yへの供給が始まる直前に、供給経路63内に滞留した現像剤堆積部G1を第2の空気発生源64からの空気により、崩すのが本発明の特徴である。
【0055】
従来、搬送経路63の曲部に滞留した現像剤を、再び通常の流動性を有する搬送状態にするためには、第1の空気発生部61に対して、通常の搬送状態の搬送圧力(空気圧力)に比べ大きな圧力が必要になるが、本形態では滞留している現像剤G(現像剤堆積部G1)のみを、第2の空気発生源64からの空気により流動化するので、第1の空気発生源61の空気圧力が従来のように第1の空気発生源61単独で用いる場合よりも過大になることはない。
【0056】
このような第1の空気発生源61の作動前に、第2の空気発生源64を作動させて搬送圧力(空気圧力)を測定した結果を図7に示し、第1の空気発生源61単独の場合の搬送圧力を測定した結果を図8に示す。双方において、圧力計測は第1の空気搬送経路内62で行った。
【0057】
図7、図8において、縦軸は経路内圧力(Kpa)、横軸は空気発生源の作動時間をそれぞれ示す。従来は図8に示すように、第1の空気発生源61の作動後のある時間において搬送圧力(空気圧力)が上昇し、その後は略一定の圧力範囲の間で推移している。第1の空気発生源61の作動直後は、搬送圧力が増大し、その増大した搬送圧力により供給経路63内に嵩密度が高く堆積している現像剤G(現像剤堆積部G1)の詰まりが解消されて搬送された状態になることを示している。
【0058】
これに対し、本形態の構成によると、第1の空気発生源61の作動後における搬送圧力(空気圧力)の上昇はなく、概ね一定の圧力範囲の間で推移している。これは第1の空気発生源61の作動直後において従来のような搬送圧力の増大はなく、供給経路63内での搬送圧力変動が小さく、現像剤Gが安定して現像部5Yに搬送され、供給経路内に堆積している現像剤G(現像剤堆積部G1)の詰まりが解消されて搬送された状態になることを示している。
【0059】
なお、滞留した現像剤G(現像剤堆積部G1)を崩すのみの空気圧力が発生させるように第2の空気発生源64を作動させときに計測を行ったところ、その値は4.5Kpaであった。
【0060】
このように、現像部5Yと現像剤収納部40とに接続された供給経路63内に供給された現像剤Gによって形成される現像剤堆積部G1に対して、複数個所や異なる方向から空気を供給する空気供給手段60を有すると、単独で現像剤堆積部G1に対して空気を供給する場合よりも現像剤堆積部G1が崩れ易くなる。このため、第1の空気供給手段61の負荷(搬送圧力)を大幅に低減でき、搬送エネルギーを低減しながら、滞留した現像剤Gによる供給経路63内の詰まりを防止でき、現像剤搬送量の安定化を図ることができる。
【0061】
第2の空気発生源64による供給経路63への空気流入箇所は、図4、図6に示すように、立設している搬送パイプ631の曲部となるジョイントパイプ633の下部であり、下から上方に向かって空気を供給するようにしているので、効率よくジョイントパイプ633内の現像剤堆積部G1をより流動化し易くなる。
【0062】
また本形態では、図4に示すように、第2の空気供給経路65が継続された接続口633c(空気供給孔)の流路断面積(内径)Bを、当該空気供給孔よりに上方に位置する供給経路の搬送パイプ631の流路断面積(内径)Aよりも小さく形成している。
【0063】
これは、接続口633cの流路断面積(内径)Bを小さくすることで、第2の空気供給経路65から供給される空気の流速が早くなり、接続口633cの流路断面積(内径)Bを小さくしない場合に比べて、第2の空気発生源64の出力を変更しなくても、勢いのある空気流をジョイントパイプ633内に送り込むことができるからである。このため、接続口633cや第2の空気供給経路65側の内径を、供給経路63側の内径よりも細くすることで、現像剤堆積部G1をより流動化させ易くできるとともに、空気が経路パイプ632から合流部54や第1の空気発生源61側に流れ込むのを抑制することができる。このため、ロータリフィーダ50のシール性が十分でない場合でも、現像剤収納部40内での現像剤の吹き上げ現象や、供給経路63内の現像剤Gを現像部5Yへと十分に搬送することができ、現像剤の詰りを抑制でき、現像剤搬送量をより安定させることができる。
【0064】
本形態では、第2の空気発生源64の作動を第1の空気発生源61の作動前に行う例を示したが、図9に示すように、第2の空気発生源64の作動時期と第1の空気発生源61の作動時期とを同一タイミングとしてもよい。図9の示す例では、第1の空気発生源61の作動タイミングを第2の空気発生源64の作動タイミングに合わせて、現像部5Yが運転状態となる停止渋滞のときに作動して、空気を第1と第2の空気供給経路62,65へと同時に供給するようにしている。このため、第2の空気発生源64からの空気が、経路パイプ632や第1の空気発生源61側に流れ込むのを寄り確実に抑制することができる。このため、ロータリフィーダ50のシール性が十分でない場合でも、現像剤収納部40内での現像剤の吹き上げ現象や、供給経路63内の現像剤Gを現像部5Yへと十分に搬送することができ、現像剤の詰りを抑制でき、現像剤搬送量をより安定させることができる。
【0065】
図10は、本発明の別な実施形態を示すものである。本形態において、空気供給手段160は、第1の空気発生源61と第1の空気供給経路62と搬送経路63からなる従来の構成に、一端65aがジョイントパイプ633の接続口633cに接続する第2の空気供給経路65と、第2の空気供給経路65の他端65b側で、空気の流れる経路を切り替える経路切替手段80を備えたものである。この場合、第1の空気発生源61と第2の空気供給経路65と経路切替手段80が現像剤詰まり抑制手段167として機能する。つまり、本形態では、第1の空気発生源61と第2の空気発生源64とを共有化して1つの空気発生源としている。
【0066】
本形態では、第1の空気供給経路62を分割し、その分割部分に経路切替手段80を配置している。経路切替手段80は、そのケーシング内部に挿入されているバルブを作動して2方向に流路を切り替えるもので、3方に接続部を有する。第1の接続部80aと第2の接続部80bには、分割した第1の空気供給経路62がそれぞれ接続され、これら接続部に対して異なる方向に形成された第3の接続部80cには第2の空気供給経路65の他端65bが接続されている。本形態において、経路切替手段80は電磁式のものを用いていて、制御手段100によって、その切替タイミングが制御される。
【0067】
経路切替手段80の切替タイミングは、図11に示すように、現像部5Yの運転開直前(停止状態)において第1の空気発生源61と第2の空気供給経路65とが連通するように切り替えられ、駆動部5Yが運転状態となると、これに合うように第1の空気発生源61と第1の空気供給経路62とが連通するように切り替えられる。第1の空気発生源61の動作タイミングは、図6に示す場合に比べ、第2の空気発生源64の作動分だけ早く行われる。
【0068】
このような構成としても、現像部5Yが運転状態となってロータリフィーダ50と第1の空気発生源61が作動して現像部5Yに対して現像剤Gの供給が始まる前に経路切替手段80を切り替え制御することで、第1の空気発生源62からの空気が第2の空気供給経路65からジョイントパイプ633内へと供給される。これにより、ジョイントパイプ633内に滞留している現像剤で形成された現像剤堆積部G1を崩して流動化することができる。また、経路切替手段80を再度切り替えることで、第2の空気供給経路65の他端65bが閉じられ、流動化された現像剤堆積部G1に対して、第1の空気発生源61からの空気が第1の空気供給経路62、経路パイプ632を介して供給されるので、第1の空気供給手段61の負荷(搬送圧力)を大幅に低減でき、搬送エネルギーを低減しながら、滞留した現像剤Gによる供給経路63内の詰まりを防止でき、現像剤搬送量の安定化を図ることができるとともに、1つの空気発生源で済むため、低コスト、省スペースを図ることができる。
【0069】
図4に示す構成では、第2の空気供給経路65が継続された接続口633cの流路断面積(内径)Bを、搬送パイプ631の流路断面積(内径)Aよりも小さくして、接続口633cや第2の空気供給経路65への現像剤Gの侵入を抑制しているが、図10に示すように、接続口633c(空気供給孔)よりも空気噴出下流側に、通気性を有するとともに現像剤Gを遮断するフィルタ39を設置してもよい。このような構成とすると、フィルタ39によってジョイントパイプ633からの現像剤の落下を防止できるので、図6に示すように、第2の空気供給経路65に現像剤が進入して空気の流れに対して逆流するのを防止できるとともに、空気供給時に余分な負荷(現像剤を押し戻す)を空気供給源62に与えることも抑制することができる。
【0070】
ジョイントパイプ633の形状としては、図4、図10に示すように各接続口がそれぞれ直交する位置関係のものに限定されるものではない。たとえば、図12に示すように、接続口633cの角度を、第1の接続口633aと第2の接続口633bとをつなぐジョイントパイプ633のR形状に沿うように斜めに形成して、ジョイントパイプ633内に第2の空気供給経路65からの空気を導入するようにしてもよい。つまり、接続口633c(空気供給孔)から噴出する空気の方向が前像剤堆積部G1に沿うように設定してもよい。
【0071】
このような構成とすることで、ジョイントパイプ633への空気導入時の抵抗が図4、図10に示す形状よりも低くなるとともに、第2の空気供給経路65からの空気が経路パイプ632や第1の空気発生源61側に流れ込むのを寄り確実に抑制することができる。このため、ロータリフィーダ50のシール性が十分でない場合でも、現像剤収納部40内での現像剤の吹き上げ現象や、供給経路63内の現像剤Gを現像部5Yへと十分に搬送することができ、現像剤の詰りを抑制でき、現像剤搬送量をより安定させることができる。
【0072】
上記形態では、供給経路63を複数の経路パイプ631,632とジョイントパイプ633で構成したので、曲部となるジョイントパイプ633に空気供給孔を形成したが、供給経路63をフレキシブルチューブ等の可撓性部材で構成する場合には、経路の取り回し関係で最も曲率の小さい箇所や、その向きが大きく変化する箇所など、チューブ内で最も現像剤Gが溜まり易い部位を曲部とする。そして、この曲部に嵩密度が高く現像剤が堆積して形成される現像剤堆積部G1に第2の空気供給経路65からの空気が噴出するように空気供給孔を形成すればよく、空気供給孔の配置形態がジョイントパイプ633に限定されるものではない。
【0073】
また、図1に示す画像形成装置は、上記構成により各現像部に対して安定した現像剤が搬送される現像装置150Y、150M、150C、150Bkを備えているので、各現像装置の現像部で各感光体ドラムに形成された像をそれぞれ現像する際の、現像剤量のばらつきによる現像不良を低減することができ、本形態にかかる現像装置を備えていない画像形成装置に比べて良好なプリント画像を得易くなる。
【符号の説明】
【0074】
1(Y、M、C、Bk)像担持体
5(Y、M、C、Bk)現像部
150(Y、M、C、Bk)現像装置
39 フィルタ
40 現像剤収納部
50 回転式排出部
60、160 空気供給手段
61 空気発生源
62 第1の空気供給経路
63 供給経路
64 空気発生源
65 第2の空気供給経路
67、167 現像剤詰まり抑制手段
80 経路切替手段
633c 空気供給孔
A 供給経路の流路断面積
B 空気供給孔の流路断面積
G 現像剤
G1 現像剤堆積部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2008−299217号公報
【特許文献2】特開2008−299196号公報
【特許文献3】特開2008−003561号公報
【特許文献4】特許第3349286号公報
【特許文献5】特許第3734096号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像部と、前記現像部の外部に配置されていて現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像部と前記現像剤収納部とに接続され、前記現像剤収納部から現像剤が供給される供給経路とを備え、前記供給経路を介して前記現像剤を前記現像部へ搬送する現像装置において、
前記供給経路内に供給された現像剤によって形成される現像剤堆積部に対して複数個所から空気を供給する空気供給手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記空気供給手段は、空気発生源と、前記空気発生源からの空気を前記供給経路から前記現像剤堆積部に供給する第1の空気供給経路と、前記空気発生源からの空気を前記第1の空気供給経路とは異なる方向から前記現像剤堆積部に供給する第2の空気供給経路と、第2の空気供給経路内の空気を前記現像剤堆積部に噴出する空気供給孔を有することを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記空気供給孔から噴出する空気の方向が前記現像剤堆積部に沿うように設定されていることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記空気供給孔の流路断面積は、当該空気供給孔よりに上方に位置する前記供給経路の流路断面積よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の現像装置。
【請求項5】
第2の空気供給経路から前記現像剤堆積部への空気の供給は、第1の空気供給経路から前記現像剤堆積部への空気供給時期よりも早い時期にだけ行われることを特徴とする請求項2ないし4の何れかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記第1の空気供給経路に空気を供給する空気発生源と前記第2の空気供給経路に空気を供給する空気発生源が1つの空気発生源であり、この1つの空気発生源からの空気を第1の空気供給経路と第2の空気供給経路に選択的に切り替える経路切替手段を有することを特徴とする請求項2ないし5の何れかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記第2の空気供給経路から前記現像剤堆積部への空気の供給時期が、第1の空気供給経路から前記現像剤堆積部への空気供給時期と同じ時期に行われることを特徴とする請求項2ないし4の何れかに記載の現像装置。
【請求項8】
回転駆動されることで、前記現像剤収納部から前記供給経路へ定量の現像剤を排出する回転式排出部を備え、
前記第2の空気供給経路から前記現像剤堆積部への空気の供給時期に、前記回転式排出部の駆動を停止するとともに、前記第1の空気供給経路から前記現像剤堆積部への空気供給を行うことを特徴とする請求項7記載の現像装置。
【請求項9】
前記空気供給孔よりも空気噴出下流側に、通気性を有するとともに現像剤を遮断するフィルタが設置したことを特徴とする請求項2ないし8の何れか1つに記載の現像装置。
【請求項10】
現像部と、前記現像部の外部に配置されていて現像剤の一部を収容する現像剤収納部と、前記現像部と前記現像剤収納部とに接続され前記現像剤収納部から現像剤が供給される供給経路とを備え、前記供給経路を介して前記現像剤を前記現像部へ搬送する現像装置において、
前記供給経路に空気を供給する空気供給手段と、
前記現像剤堆積部に対して前記空気供給手段とは個別経路で空気を供給する現像剤詰まり抑制手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項11】
像担持体と、前記像担持体の表面に形成された像を現像剤で現像する現像装置とを備えた画像形成装置において、
前記現像装置として請求項1ないし10の何れか1つに記載の現像装置を具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−33913(P2011−33913A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181265(P2009−181265)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】