説明

現像装置

【課題】現像ローラの周面に供給された現像剤の層厚を規制して、現像ローラの周面に所望の層厚の現像剤の薄層を形成する構成において、長時間(例えば、数日間)、現像装置の運転を休止しも、現像ローラに圧痕を生じさせない現像装置を提供する。
【解決手段】像担持体10に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体100と、供給手段200から該現像剤担持体100に供給された現像剤を一定の層厚に規制する層厚規制手段300と、層厚規制手段300と現像剤担持体100とを接離する接離機構400とを備えた現像装置において、現像剤担持体100、供給手段200および層厚規制手段300は本体内に配置され、層厚規制手段300は取付部材600に支持され、接離機構400は、供給手段200に設けられたカム410と、取付部材600に設けられ、該カム410に当接するコロとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置として、特許文献1、2の構成のものがある。
【0003】
これら特許文献の構成は、現像ローラに、層厚規制ローラを圧接して、現像ローラの周面に供給された現像剤の層厚を規制して、現像ローラの周面に所望の層厚の現像剤の薄層を形成するものである。
【特許文献1】特開平10−104944号公報
【特許文献2】特開平10−153910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これら特許文献の構成は、常に、現像ローラに、層厚規制ローラを圧接する構成であるため、押圧した現像ローラの部分が変形して、圧痕と呼ばれる凹が残る。
【0005】
特に、長時間(例えば、数日間)、現像装置の運転を休止した場合には、強い圧痕が残り、その圧痕が、現像剤像に表れ、出力(転写材に転写した像)時に、ノイズとなって現れてしまうという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、像担持体に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体と、供給手段から該現像剤担持体に供給された現像剤を一定の層厚に規制する層厚規制手段と、層厚規制手段と現像剤担持体とを接離する接離機構とを備えた現像装置において、現像剤担持体、供給手段および層厚規制手段は本体内に配置され、層厚規制手段は取付部材に支持され、接離機構は、供給手段に設けられたカムと、取付部材に設けられ、該カムに当接するコロとを備えることを特徴とする。
【0007】
さらに、層厚規制手段および現像剤担持体はローラであることを特徴とし、接離機構は、本体の一方側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、供給手段に設けられたカムと、取付部材に設けられ、該カムに当接するコロとにより接離機構を構成することにより、プリント中以外は、常に、現像ローラに、層厚規制ローラを圧接することがなくなり、圧痕の発生をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態を、図を用いて説明する。先ず、本発明の現像装置を適用した画像形成装置を説明する。図1に本発明の現像装置を適用した画像形成装置の概略図を示す。この画像形成装置は、像担持体10の周囲に、除電、帯電、露光、現像、転写、清掃のプロセスを行う電子写真方式を適用したものである。
【0010】
簡単に説明すると、像担持体10の周囲に作動順に、像担持体10上の残留電荷を除去する除電手段20と、像担持体10の表面を特定極性に帯電する帯電手段30、帯電された像担持体10の静電潜像を形成する露光手段40と、像担持体10の表面に形成された静電潜像を現像剤により現像する本発明の現像装置50と、像担持体10に現像された現像剤を図示しない給紙装置から搬送されたシートに転写する転写手段60とからなる。シートに転写された現像剤は、図示しない定着手段により、シートに定着される。
【0011】
なお、本実施の形態では接触現像方式について説明しているが、像担持体10に接触しないで現像を行う非接触現像方式にも応用することができる。以下に、各々について説明する。
【0012】
次に、本発明の現像装置について説明する。図2、3に本発明の現像装置の概略図を示す。現像装置は、現像剤を収容する現像側板51内に、現像装置50の外部から供給された現像剤を攪拌する攪拌手段500と、弾性ローラからなる現像剤担持体100と、現像側板51内の現像剤を現像剤担持体100に供給する供給手段200と、現像剤担持体100に適宜な圧力で接触して配置され、現像剤担持体100上に一定の現像剤の薄層を形成する層厚規制手段300と、現像剤担持体100から層厚規制手段300を離間させる接離機構400とを備える。
【0013】
攪拌手段500は、供給手段200の後方に設けられ、現像剤担持体100の軸線と同方向に延びる中心軸510と、中心軸510に軸線方向の複数箇所において設けられた攪拌翼520とを有し、攪拌翼520は所定方向に回転する。攪拌された現像剤は供給手段200側に搬送される。
【0014】
現像剤担持体100は、例えば、ステンレス等の導電性の剛体からなる中心軸110の周りに、弾性中間層120を形成した現像ローラであり、時計方向に回転する。また、現像剤担持体100は、中央から端部に向かって縮径したクラウン状の形状を成している。
【0015】
この形状は、幅広の転写材をプリント(出力)する場合、自重によるローラが撓んでも、均一な押圧力を得るために形成したものである。さらに、現像剤担持体100の中心軸110は、図示しない電源に接続されている。なお、以下の説明から、現像剤担持体100を現像ローラと呼ぶ。
【0016】
現像ローラ100は、現像ローラ100に形成した薄層を像担持体10に押しつけるようにして像担持体10表面に現像剤を供給し、像担持体10の表面に形成された静電潜像を反転現像して現像剤像を形成する。これと同時に、像担持体10表面に残留した現像剤を回収する。なお、この実施の形態では、像担持体に残留した現像剤を現像と同時に回収しているがこれに限定されることはなく、クリーナで回収する構成であってもよい。
【0017】
供給手段200は、先に述べたように、攪拌手段500から搬送された現像剤を現像ローラ100側に搬送するものである。また、これと同時に、像担持体10に供給されなかった残留現像剤を現像ローラ100から剥ぎ取るものである。
【0018】
このため、供給手段200は、現像ローラ100の軸線と並行に延びたシャフト210と、シャフト210上に巻き付けられ、導電性を有する繊維(図示せず)をパイル状に形成し立毛処理した生地とからなる。なお、供給手段200は、図示しない電源に接続されている。
【0019】
層厚規制手段300は、導電性または半導電性の回転可能(時計方向に回転)なローラ体からなり、供給手段200により現像ローラ100上に層状に供給された現像剤の層厚を規制するものである。
【0020】
層厚規制手段300は、現像ローラ100と同様に図示しない電源に接続され、現像ローラ100の回転方向からみて、現像ローラ100と像担持体10との接触部の上流位置に配置されている。以下の説明から、層厚規制手段300を層厚規制ローラと呼ぶ。なお、層厚規制ローラ300も、現像ローラ100と同様にクラウン状に形成しても良い。
【0021】
接離機構400は、現像剤担持体100から層厚規制ローラ300への接離を行うものである。図2、3に接離機構400の詳細を示す。先ず、図2は図1から見た図、図3は図1の反対側から見た図である。図2において、層厚規制ローラ300を除く、攪拌手段500、現像ローラ100、供給手段200は、図示しないフレームに支持されている。
【0022】
図2に示すように、接離機構400は、カム410とコロ420と第一付勢手段700とからなる。カム410は、供給手段200の軸に取り付けられている。供給手段200の作動により、現像ローラ100から層厚規制ローラ300を離間させるものである。
【0023】
また、カム410には、ワンウェイクラッチ411が設けられている。ワンウェイクラッチ411は、現像ローラ100に対する層厚規制ローラ300の加圧が解除する方向に、カム410を作用させる。具体的には、供給手段200を逆回転させる方向(図2、3で示す矢印方向F)で作用する。
【0024】
コロ420は、カム410の当接部412が接触する幅を有する円筒状の部材からなり、層厚規制ローラ300が取り付けられた取付部材600に回転可能に支持されている。取付部材600は、支軸601を中心に回転する。
【0025】
さらに、取付手段600には副第一付勢手段430が取り付けられている。第一付勢手段430は、加圧バネ等の弾性体からなり、一端が図示しないフレームに取り付けられ、他端が取付部材600に取り付けられている。層厚規制ローラ300は、第一付勢手段430の付勢力により、現像ローラ100に加圧する。
【0026】
このように構成されたコロ420は、カム410の作動を受けて、取付部材600の支軸601を中心に、層厚規制ローラ300を所定位置に動かし、層厚規制ローラ300と現像ローラ100との接離を行う。
【0027】
さらに、第一付勢手段700は、バネ等の弾性体からなり、カム410に取り付けられている。第一付勢手段700は、層厚規制ローラ300の復帰(層厚規制ローラ300が現像ローラ100から離間した状態から、層厚規制ローラ300を現像ローラ100に当接させる)時に、カム410の当接部412を所定の位置に復帰させるものである。
【0028】
また、攪拌手段500の中心軸510には、攪拌ギヤ500gが設けられている。各攪拌ギヤ500gには、攪拌アイドラギヤIG3を介して噛合っている。攪拌手段500の回転は、後に述べる伝達機構Gからの回転を、カム410側に配置された中心軸510、攪拌アイドラギヤIG3、側板51側に配置された中心軸510に伝達させて行われる。
【0029】
攪拌手段500の回転は、像担持体10から伝達される。像担持体10の回転は、現像ローラ100に設けられた現像ギヤ100g‘に伝達され、次に述べる伝達機構Gに伝達される。
【0030】
次に、図2の反対側は図3のようになる。ここで、現像剤の補給は、トナーカートリッジTCを装着して行われる。図3に示すように、伝達機構Gは、現像ローラ110の回転を中心として、第一伝達経路P1と、第二伝達経路P2とを有する。
【0031】
第一伝達経路P1は、現像ローラ110の回転を層厚規制ローラ300に伝達するものである。具体的にこの回転は、現像ローラ110に設けられた現像ギヤ100gから第一アイドラギヤIG1を経て、層厚規制ローラ300に設けられた層厚規制ローラ300gに伝達される。
【0032】
第一アイドラギヤIG1および層厚規制ローラは、取付部材600に各々回転自在に支持されている。特に第一アイドラギヤIG1の支持は、取付部材600を回転自在に支持する支軸601に支持され、この支軸601を支点として、現像ローラ100と第一アイドラギヤIG1と層厚規制ローラ300とが、常に噛合った状態で回動する。
【0033】
また、層厚規制ローラ300を現像ローラ100に加圧する力は、各ギヤの回転時の食い込み力を利用している。また、過度に、層厚規制ローラ300を現像ローラ100に押圧しないように、現像ローラ100と層厚規制ローラ300の端部に規制コロ800がそれぞれ設けられている。
【0034】
さらに、取付部材600には第二付勢手段440が設けられている。第二付勢手段440は、バネ等の弾性体からなり、層厚規制ローラ300を現像ローラ100から離間させるものである。
【0035】
一方、第二伝達経路P2は、現像ローラ110の回転を供給手段200および攪拌手段500に伝達するものである。具体的にこの回転は、現像ギヤ100gから第二アイドラギヤIG2を経て、供給手段200に設けられた供給ギヤ200gに伝達される。
【0036】
さらに、供給手段200に設けられた供給ギヤ200gに伝達された回転は、中心軸510に伝達され、再び、図2もどるが、攪拌アイドラギヤIG3に伝達され、側板51側に配置された攪拌ギヤ500gを介して、側板51側の中心軸510が回転する。
【0037】
以上の構成のもと、接離機構400の動作を説明する。先ず、出力(プリント)が終了すると像担持体10を所定の角度に逆転(矢印方向A)させる。その角度は具体的には約20°とする。なお、この接離機構400の動作は、出力(プリント)の終了時について説明しているが、画像形成装置の一時的な休止や停止、ユーザが任意に設定してもよく、これの限定されることはない。
【0038】
図2に示すように、図示しない駆動源により像担持体10が逆転すると、その回転が現像ギヤ100g´に伝達され、矢印方向Bに、現像ローラ100が回転する。この現像ローラ100を中心として、この回転は、図3に示すように、現像ギヤ100gにより、第一伝達経路P1と、第二伝達経路P2に移行する。
【0039】
図3に示すように、第一伝達経路P1では、現像ローラ100の回転は、第一アイドラギヤIG1に伝達されて矢印方向Cに回転し、これにともなって、矢印方向Dに層厚規制ローラ300が回転する。
【0040】
一方、第二伝達経路P2では、図3に示すように、現像ローラ100の回転が第二アイドラギヤIG2に伝達され、この伝達によって、第二アイドラギヤIG2は矢印方向Eに回転する。第二アイドラギヤIG2の回転に追従して、供給ギヤ200gは矢印方向Fに回転し、さらに、攪拌手段500へと伝達される。
【0041】
この動作と同時に、図2において、矢印方向Fに供給手段200が回転すると、供給手段200に設けられたカム410のワンウェイクラッチ411が作動し、供給手段200の回転軸413を中心に、カム410を矢印方向Gにスイングする。
【0042】
このカム410のスイングにより、支軸601を支点として取付部材600が矢印方向Hに回動して、層厚規制ローラ300が現像ローラ100から離間する。
この時、矢印方向Gに作用するカム410の回転力は副第一付勢手段430の付勢力よりも強く作用している。
【0043】
次に、プリント開始時は、矢印方向Aと逆(正回転)に像担持体10を回転させる。図3に示すように、像担持体10の回転は、現像ローラ100に伝達される。この伝達は、現像ローラ100を矢印方向Bとは逆方向に回転する。
【0044】
現像ローラ100の回転に伴い、この回転は、第一伝達経路P1および第二伝達経路P2へと作用する。
【0045】
第一伝達経路P1では、現像ローラ100の回転は第一アイドラギヤIG1に伝達され、層厚規制ローラ300は、矢印方向Dと反対方向に回転する。この回転力は、第二付勢手段440の付勢力より大きく、取付部材600は、支軸601を中心に矢印方向Hと逆方向に回動する。この動作により、所定位置で層厚規制ローラ300が現像ローラ100に当接する。
【0046】
また、第一伝達経路P2では、現像ローラ100の回転が第二アイドラギヤIG2に伝達され、この伝達によって、第二アイドラギヤIG2は矢印方向Eの逆に回転する。第二アイドラギヤIG2のこの回転に追従して、供給ギヤ200gは矢印方向Fの逆に回転し、さらに、攪拌手段500へと伝達される。
【0047】
さらにこれと同時に、図2に示すように、供給手段200は、矢印方向Fと逆方向に回転する。この時、カム410のワンウェイクラッチ411は作動しないで空転する。カム410は第一付勢手段700の付勢力が矢印方向Iに作用する。
【0048】
第一付勢手段700の付勢力はカム410を矢印方向Gと逆にスイングさせ、取付部材600は、支軸601を中心に矢印方向Hと逆方向に回動する。この動作により、所定位置に、層厚規制ローラ300が現像ローラ100に当接する。
【0049】
さらに、副第一付勢手段430の付勢力により、取付部材600を押圧して、層厚規制ローラ300を、現像ローラ100に所定圧で押圧する。
【0050】
以上のように、出力(プリント)の終了時、画像形成装置の一時的な休止や停止、ユーザの任意設定時に、現像ローラ100を層厚規制ローラ300から離間させることにより、長時間、層厚規制ローラ300を現像ローラ100に押圧することによる生じる圧痕を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の現像装置を適用した画像形成装置の概略図。
【図2】本発明の現像装置の概略図。
【図3】図2の反対側から見た接離機構の概略図。
【符号の説明】
【0052】
10 像担持体
100 現像剤担持体(現像ローラ)
200 供給手段
300 層厚規制手段(層厚規制ローラ)
400 接離機構
410 カム
420 コロ
600 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された静電潜像に現像剤を現像する現像剤担持体と、供給手段から該現像剤担持体に供給された現像剤を一定の層厚に規制する層厚規制手段と、層厚規制手段と現像剤担持体とを接離する接離機構とを備えた現像装置において、
前記現像剤担持体、前記供給手段および層厚規制手段は本体内に配置され、
前記層厚規制手段は取付部材に支持され、
前記接離機構は、供給手段に設けられたカムと、前記取付部材に設けられ、該カムに当接するコロとを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記層厚規制手段および前記現像剤担持体はローラであることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記接離機構は、前記本体の一方側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−109071(P2013−109071A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252573(P2011−252573)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】