現金回収装置
【課題】装置内において仮に硬貨詰まりが発生したとしても、継続して現金等の回収動作を行うことができる現金回収装置を提供する。
【解決手段】硬貨と券類とを仕分けるドラム31の下方位置に、ドラム31により仕分けした後の硬貨を硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49とのどちらに送るのかを設定する硬貨振分機構52を設ける。弁54が第1回動位置をとった場合、ドラム31による仕分け後の硬貨の通過経路は、硬貨計数機45を経由してここで計数処理が行われた後に硬貨収納袋21に至る経路をとる。硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生すると、弁54が第1回動位置から第2回動位置に切り換わり、ドラム31による仕分け後の硬貨の通過経路は、硬貨計数機45を通過せずに直通用硬貨シュート49を通って直で硬貨収納袋21に至る経路をとる。
【解決手段】硬貨と券類とを仕分けるドラム31の下方位置に、ドラム31により仕分けした後の硬貨を硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49とのどちらに送るのかを設定する硬貨振分機構52を設ける。弁54が第1回動位置をとった場合、ドラム31による仕分け後の硬貨の通過経路は、硬貨計数機45を経由してここで計数処理が行われた後に硬貨収納袋21に至る経路をとる。硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生すると、弁54が第1回動位置から第2回動位置に切り換わり、ドラム31による仕分け後の硬貨の通過経路は、硬貨計数機45を通過せずに直通用硬貨シュート49を通って直で硬貨収納袋21に至る経路をとる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々の車両の運賃箱に運賃として投入された硬貨や紙幣等を一箇所で一括回収する現金回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路線バスやワンマン運行式鉄道等の車両においては、乗客が支払う運賃や、乗客がどの停留所から乗車したのかの証明である整理券の投入先として運賃箱が車内に設置されている。運賃箱は、運賃として投入された硬貨や紙幣がいくらであるのかを計数処理(計算)し、これら硬貨や紙幣を蓄積しつつ、運賃投入時に運賃とともに投入された整理券も同様に蓄積する。運賃箱には、運賃箱に投入された運賃や整理券の蓄積先として運賃箱金庫が設けられている。この運賃箱金庫は、路線バスや鉄道を運営する会社が管理するターミナルセンタ等でこの金庫内の運賃や整理券をまとめて一括回収できるように、運賃箱の装置本体に対して着脱可能となっている。
【0003】
ターミナルセンタには、各々の車両で支払われた運賃、即ち各々の運賃箱金庫に収納された運賃を一括回収する現金回収装置が設置されている。この種の現金回収装置の一例は、例えば特許文献1,2等に開示されている。運行終了後、運転者は運賃箱から運賃箱金庫を取り外し、これをターミナルセンサに持ち運ぶ。そして、ターミナルセンタに設置された現金回収装置を起動させ、この現金回収装置に運賃箱金庫をセットして現金回収動作を実行させることにより、運賃箱金庫内の運賃を現金回収装置に回収させる。現金回収装置は、運賃箱金庫内の硬貨、紙幣、整理券を仕分けして、各々対応する金庫や収納箱に収納する。
【0004】
ところで、この種の現金回収装置においては、回収時において硬貨の金額を計数処理して硬貨の回収金額を割り出す硬貨計数機を内蔵する硬貨回収金額計数型もある。一般的に運賃箱には投入金額の総計を集計する硬貨計数機能が備わっているので、この計数金額を確認すれば、一車両の総運賃金額を割り出すことができるが、現金回収装置にこの種の硬貨計数機を搭載して現金回収装置でも総運賃金額を計数するのは、運賃箱から運賃箱金庫を現金回収装置にセットするまでの間に、運賃箱金庫内の金銭が横領される可能性も否めないからである。そして、運賃箱で計数した運賃の総金額と、現金回収装置の硬貨計数機で割り出した総金額とが異なるか否かを見ることにより、運賃横領を監視する。
【特許文献1】特開平9−128586号公報
【特許文献2】特開2007−128226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この種の硬貨計数機は、硬貨種類を識別する作業工程を経る関係上、想定以上の多量の硬貨が送られてくると、硬貨の識別作業が追いつかず、その箇所で硬貨が詰まることも想定される。硬貨計数機は、硬貨詰まりを発生すると異常を認識してエラーモードとなり、硬貨の計数処理を強制終了する。しかし、硬貨計数機がエラーモードとなっても、運賃箱金庫側から硬貨計数機に硬貨が送られる動作は停止しないので、この後も継続して硬貨が硬貨計数機に流入する。よって、硬貨計数機内で硬貨詰まりが発生すると、運賃箱金庫側から順次搬送されてくる硬貨を下流に送ることができなくなり、この詰まり箇所に硬貨が順次溜まっていく状態をとってしまうので、この状況下においては運賃を正常に回収することができない問題があった。
【0006】
ところで、このような硬貨詰まりが発生した場合、現金回収装置の内部を開く扉を開操作して、硬貨計測機器に詰まった硬貨を取り除いて硬貨詰まりを解消すればよいと思うはずである。しかし、現金回収装置は現金を取り扱う装置である関係上、この種の扉の自由な開閉操作は好ましくなく、例えば扉の鍵を上位者が管理するなどして扉開閉操作を制限する場合が多い。よって、例えば夜間において扉の開閉操作が禁止された場合には、夜間に硬貨計測機器に硬貨詰まりが発生すると、この時は硬貨詰まりのメンテナンスを行うことができないので、その硬貨詰まりの後は現金回収装置で運賃の回収を行うことができず、非常に不便であった。
【0007】
本発明の目的は、装置内において仮に硬貨詰まりが発生したとしても、継続して現金等の回収動作を行うことができる現金回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、運賃及び券類の投入先である運賃箱に投入された運賃の収納先であって当該運賃箱から取り外し可能な運賃箱金庫を取り付け可能であり、取り付いた前記運賃箱金庫内の前記運賃と前記券類とを仕分けしてこれらの回収を行うとともに、当該回収を自身に取り付いた前記運賃箱金庫ごとに行って前記運賃及び前記券類を一括回収する現金回収装置において、通常時の硬貨通過経路である第1経路に前記仕分け後の硬貨を案内する第1案内状態と、前記第1経路に前記硬貨が詰まった硬貨詰まり時の硬貨通過経路である第2経路に前記仕分け後の前記硬貨を案内する第2案内状態とのうちどちらかの状態をとる硬貨案内機構と、前記硬貨が経路上で詰まる硬貨詰まりを検出する硬貨詰まり検出手段と、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換ることにより、前記硬貨詰まりが発生しても当該硬貨の回収を継続可能とする制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、運賃箱の運賃箱金庫に蓄積された運賃及び券類を現金回収装置で回収するに際しては、運賃箱から運賃箱金庫を取り外してこれを現金回収装置まで持ち運び、この運賃箱金庫を現金回収装置に取り付ける。現金回収装置は、運賃箱金庫内の運賃及び券類を取り込み、これらを例えば硬貨、紙幣、券類に仕分けして、各々対応する金庫や収納箱に順次収納する。そして、運賃箱金庫を現金回収装置に持ち寄る度に、運賃箱金庫の運賃を現金回収装置に回収させる作業を繰り返し行い、複数の運賃箱、即ち複数の運賃箱金庫の運賃が1つの現金回収装置で一括回収される。
【0010】
現金回収装置が運賃の回収動作を行う際、仕分け後の硬貨が経路で詰まっているか否かが硬貨詰まり検出手段により監視される。硬貨詰まり検出手段が硬貨詰まりを検出していない場合、硬貨案内機構は通常の動作状態である第1案内状態をとり、装置内部に送り込まれた硬貨は第1経路を通って下流側に流れる。一方、硬貨詰まり検出手段が硬貨詰まりを検出すると、硬貨案内機構は第1案内状態から第2案内状態をとり、硬貨詰まりの生じた第1経路ではなく硬貨通過経路が第2経路に切り換わる。よって、硬貨は第2経路を通過して下流側に流れる状態をとるので、通常の硬貨通過経路である第1経路に硬貨詰まりが発生しても、運賃の回収を継続して行うことが可能となる。
【0011】
本発明では、前記第1経路の経路上には、前記硬貨案内機構が前記第1案内状態をとる時に前記仕分け後において前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機が設けられ、前記硬貨詰まり検出手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりの有無を監視し、前記制御手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換えることにより、前記硬貨計数機を経由させずに前記硬貨を直に前記硬貨通過経路の下流側に送ることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、硬貨詰まり検出手段は硬貨計数機における硬貨詰まりの有無を監視するものであるので、硬貨計数機に硬貨詰まりが発生したか否かを監視することが可能となる。また、この種の硬貨計数機は硬貨を1つずつ通して計数する関係上、その機構部分において硬貨詰まりの懸念がどうしても付きまとうが、このような懸念のある硬貨計数機において硬貨詰まり検出手段で硬貨詰まりの有無を監視するようにすれば、効果的に硬貨詰まりを検出することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記硬貨案内機構は、一軸を支点に回動動作が可能で、前記仕分け後の前記硬貨を前記第1経路に案内する第1回動位置と、前記仕分け後の前記硬貨を前記第2経路に案内する第2回動位置とを取り得る回動部材と、前記回動部材を前記第1回動位置と前記第2回動位置との間で回動させる際の駆動源となる駆動手段と、前記駆動手段の駆動力を前記回動部材の回動運動力として伝達する伝達手段とを備え、前記制御手段は、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1回動位置をとっていた前記回動部材を前記駆動手段の駆動力で前記伝達手段を介して前記第2回動位置に位置させることにより、前記硬貨案内機構を前記第2案内状態にすることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、回動部材を駆動手段により回動させるという簡素な構造で、仕分け後に上流側から送られてくる硬貨の以降の硬貨通過経路を、硬貨詰まり状態の第1経路から、硬貨詰まりの発生していない第2経路に切り換えることが可能となる。また、回動部材と駆動手段とを伝達手段で連結して駆動手段の駆動力を伝達手段により回動部材に伝達して回動部材を回動させるので、仮に駆動手段の配置位置を変えても、伝達手段の構造変更は伴うものの、駆動手段の駆動力を回動部材に伝達可能となる。よって、駆動手段の配置位置の自由度が向上するので、現金回収装置の空きスペースに駆動手段を配置することが可能となり、現金回収装置の小型化を図ることが可能となる。
【0015】
本発明では、前記現金回収装置の入力系である操作手段の操作に基づき、当該現金回収装置の動作モードを、前記硬貨詰まりの監視に基づき前記硬貨案内機構を動作させる硬貨詰まり監視モードと、当該硬貨詰まり監視モードを実行しないオフモードとのどちらかに設定可能なモード設定手段を備えたことを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、現金回収装置の動作モードが硬貨詰まり監視モードに常時設定されるのではなく、この硬貨詰まり監視モードが解除されたオフモードにも現金回収装置の動作モードを設定することが可能となる。このため、例えば運賃箱金庫内の運賃が少ないときなど硬貨詰まりの監視の必要がない場合には、現金回収装置の動作モードをオフモードとしておけば、監視の必要がないにもかかわらず硬貨詰まりの監視を行う状況が生じなくなり、現金回収装置を利便性の高い装置とすることが可能となる。
【0017】
本発明では、前記仕分け後に前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機と、前記硬貨詰まり時の当該硬貨の通過経路となる前記第2経路とが1つのユニット部品として形成され、前記ユニット部品は、前記現金回収装置の装置本体に対して出し入れ可能に取り付けられていることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、硬貨計数機と第2経路とが1つのユニット部品として形成され、このユニット部品が現金回収装置の装置本体に対して出し入れ可能となっている。よって、例えば仮に硬貨計数機に故障が発生した際には、ユニット部品の出し入れ用に装置本体に形成した扉を開けつつユニット部品を手前に引き出して硬貨計数機を装置本体の外部に露出させることにより、硬貨計数機のメンテナンスを行うことになる。このため、硬貨計数機を修理する場合には、仮に硬貨計数機がメンテナンスし難い位置に取り付いていたとしても、この硬貨計数機を簡単に外部に取り出すことが可能となるので、この種のメンテナンスを行うに際して面倒さが生じ難くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置内において仮に硬貨詰まりが発生したとしても、継続して現金等の回収動作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した現金回収装置一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
図1に示すように、路線バスやワンマン鉄道等の車両の車内には、運賃(硬貨、紙幣)や券類(整理券、回数券等)の投入先として運賃箱1が設置されている。運賃箱1には、運賃箱1に投入された運賃や券類の収納先(蓄積先)として運賃箱金庫2が着脱可能に取り付けられている。運賃箱金庫2は、例えば箱形状をなすとともに、硬貨、整理券及び回数券を混在して収納する硬貨収納室3と、紙幣のみを収納する紙幣収納室4とが区画形成されている。運賃箱金庫2は、硬貨収納室3が硬貨収納室シャッタ5により開閉可能で、紙幣収納室4が紙幣収納室シャッタ6により開閉可能であって、運賃箱1から取り外された際にシャッタ5,6が閉じられてこれらが施錠される。
【0021】
また、路線バスやワンマン鉄道等を管理する会社のターミナルセンタ7には、複数の運賃箱金庫2に蓄積された運賃や券類を一括収納する金庫解錠器8が設置されている。金庫解錠器8は、自身にセットされた運賃箱金庫2を解錠して運賃箱金庫2内の硬貨、紙幣及び券類等を解錠器本体9の内部に流し込みつつ、これらを仕分けして所定の金庫や収納箱に収納する動作を、自身にセットされる運賃箱金庫2ごとに行うことにより、複数の運賃箱金庫2内の硬貨、紙幣及び券類を一括回収する。なお、金庫解錠器8が現金回収装置に相当し、解錠器本体9が装置本体に相当する。
【0022】
金庫解錠器8の前面上部には、運賃箱金庫2のセット先として箱形状に開口した運賃箱金庫収納室10が解錠器本体9の幅方向に並んで複数(本例は2つ)設けられている。ここで、例えば一方(例えば紙面右側)の運賃箱金庫収納室10aに運賃箱金庫2aがセットされて、この運賃箱金庫2a内の運賃及び券類が解錠器本体9の中に送り込まれて一括回収されている最中に、他方(例えば紙面左側)の運賃箱金庫収納室10bに運賃箱金庫2bがセットされたとする。このときは、後入れの運賃箱金庫2bを待機状態にして運賃及び券類の吐き出しを待たせ、先入れの運賃箱金庫2aの運賃や硬貨の回収が終了すると、続いて後入れの運賃箱金庫2b内の運賃及び券類を解錠器本体9に流し込んで、これらを一括回収する。
【0023】
運賃箱金庫収納室10の底面には、解錠器本体9において硬貨及び券類の入口11を開閉する硬貨経路シャッタ12が設けられている。また、運賃箱金庫収納室10の側面には、解錠器本体9において紙幣の入口13を開閉する紙幣経路シャッタ14が設けられている。運賃箱金庫2は、運賃箱1に取り付けられる時には硬貨収納室シャッタ5が上を向く配置向きをとり、金庫解錠器8に取り付けられる時には硬貨収納室シャッタ5が下を向く配置向きをとる。なお、入口11,13及びシャッタ12,14は、図1において紙面左側の運賃箱金庫収納室10bにのみ図示する。
【0024】
運賃箱金庫収納室10の上面には、運賃箱金庫2の収納状態をロックするロックピン15が垂直方向にスライド移動可能な状態で設けられている。このロックピン15は、運賃箱金庫収納室10に運賃箱金庫2が収納されていないとき、運賃箱金庫収納室10内に飛び出していない収納状態をとる。また、ロックピン15は、運賃箱金庫収納室10に運賃箱金庫2が収納されると、運賃箱金庫収納室10内に飛び出した突出状態をとって運賃箱金庫2の穴16に係止し、運賃箱金庫2の回収動作が終了するまでこのロック状態をとることにより、運賃箱金庫2の取り出しを禁止する。
【0025】
運賃箱金庫2内の硬貨、紙幣及び券類を金庫解錠器8に送り込むとき、運賃箱金庫2が解錠されて2つのシャッタ5,6が開状態となるとともに、解錠器本体9の2つのシャッタ12,14も開状態をとる。このように、シャッタ5,12が開状態となった際には、硬貨収納室3に収納された硬貨及び券類が自重により下方(金庫解錠器8の下方向)に落ちて解錠器本体9の内部に送り込まれる。一方、シャッタ6,14が開状態となった際には、運賃箱金庫2内の押出部材17(図8参照)が動いて、紙幣収納室4に収納された紙幣が側方(金庫解錠器8の幅方向)に押し出されて解錠器本体9の内部に送り込まれる。
【0026】
図1及び図7に示すように、金庫解錠器8の裏面下部には、金庫解錠器8で一括回収した硬貨の収納先として硬貨用金庫18が設けられている。この硬貨用金庫18は、金庫解錠器8の裏面下部に形成された硬貨用金庫収納室19(図10参照)に出し入れ可能な状態で収納されている。硬貨用金庫収納室19は、硬貨用金庫収納室扉20によって入口を閉じることが可能となっている。硬貨用金庫18には、一括回収した硬貨が流し込まれる硬貨収納袋21が複数(本例は8つ)設けられている。これら硬貨収納袋21,21…は、硬貨用金庫18の枠組みをなす袋支持部22に取り付けられるとともに、円周状に並ぶ配置位置をとっている。また、硬貨用金庫18は、キャスタにより移動する搬送台車23に乗せられ、この搬送台車23ごと硬貨用金庫収納室19に収納可能となっている。
【0027】
図1に示すように、金庫解錠器8の前面下部において一側方寄り(図1の紙面右寄り)の位置には、金庫解錠器8で一括回収した紙幣の収納先として紙幣用金庫24が設けられている。この紙幣用金庫24は、紙幣の入口として上壁が開口されるとともに、金庫解錠器8の前面下部の一側方寄りに形成された紙幣用金庫収納室25に出し入れ可能な状態で収納されている。紙幣用金庫収納室25は、紙幣用金庫収納室扉26によって入口を閉じることが可能となっている。運賃箱金庫2の紙幣収納室4内の紙幣は、運賃箱金庫2内の押出部材によって側方に押し出された後、解錠器本体9内の紙幣シュート(図示略)を通って紙幣用金庫24に搬送される。
【0028】
また、金庫解錠器8の前面下部において他側方寄り(図1の紙面左寄り)の位置には、金庫解錠器8で一括回収した券類の収納先として券類用金庫27が設けられている。この券類用金庫27は、券類の入口として上壁が開口されるとともに、金庫解錠器8の前面下部の他側方寄りの位置に形成された券類用金庫収納室28に出し入れ可能な状態で収納されている。券類用金庫収納室28は、券類用金庫収納室扉29によって入口を閉じることが可能となっている。
【0029】
図2に示すように、金庫解錠器8の内部には、金庫解錠器8の内部に落下してきた硬貨と券類とを分離する券銭分離機構30が設けられている。この券銭分離機構30には、解錠器本体9に対して回動可能な状態で取り付けられた略円筒形状をなすドラム31が設けられている。ドラム31は、解錠器本体9の幅方向を軸心L1として回動可能な取り付け状態をとるとともに、解錠器本体9の略中央位置に配置されている。ドラム31は、解錠器本体9の内部に送り込まれてきた硬貨及び券類をドラム内部に取り込み、自身の回動動作を伴わせてこれら硬貨と券類とを仕分けする。
【0030】
ドラム31は、そのドラム本体32の両端が開口した円筒形状をなし、一端側の開口がドラム31内への硬貨及び券類の導入口32aとなり、他端側の開口がドラム31からの券類の送出口32bとなっている。ドラム31の導入口32aの付近には、運賃箱金庫2から解錠器本体9に送り込まれた硬貨及び券類をドラム31の内部に流し込むベルトコンベア33が設けられている。また、ベルトコンベア33の下部には、ドラム31の内部に送り込まれた券類を、風により送出口32bに向けて飛ばす送風機34が設けられている。送風機34の風によりドラム31の送出口32bから外部に吐き出された券類は、解錠器本体9内の券類シュート(図示略)を通って券類用金庫27に搬送される。
【0031】
ドラム本体32の内部には、このドラム31内に送り込まれた硬貨及び券類のうち硬貨のみを通す硬貨フィルタ部35が一体回動可能に設けられている。硬貨フィルタ部35は、両側が開口した円筒形状をなすとともに、一端側の開口がドラム31内への硬貨及び券類の導入口32aとなり、他端側の開口が送出口32bに通じている。ベルトコンベア33により搬送された硬貨及び券類は、硬貨フィルタ部35の内部に送り込まれる。硬貨フィルタ部35は、ドラム本体32と同一軸心回動が可能であって、ドラム本体32よりも径が小さく、しかも長さが短く形成されている。硬貨フィルタ部35の周壁には、ドラム31の内部に入り込んだ硬貨を周壁外部に通過させる複数の孔36が規則性を持って形成されている。硬貨フィルタ部35は、ドラム31内に送り込まれた硬貨を孔36から硬貨フィルタ部35の外部に通すことにより、ドラム31内で券類と混ざり状態にある硬貨を券類から仕分ける。
【0032】
ドラム31の下方位置には、ドラム31(ドラム本体32及び硬貨フィルタ部35)の回動駆動源としてドラム用モータ37が配置されている。ドラム用モータ37は、そのモータ軸37aにプーリ38が取着され、そのプーリ38に掛装状態にあるベルト39を、ドラム本体32の送出口32b側の端部に形成されたベルト掛止部40に掛装することにより、ドラム31に接続されている。ドラム本体32の内周面には、ドラム31の回動軸心L1を中心として螺旋状に延びる硬貨案内部41が突出形成されている。ドラム本体32の周壁においてベルトコンベア33寄りの位置には、ドラム31内の硬貨をドラム31外に吐き出す硬貨吐出口42が貫設されている。硬貨案内部41は、ドラム31の回動動作時において硬貨を自身に沿わせて移動させることにより、ドラム本体32内の硬貨を下流側、即ち硬貨吐出口42に案内する。
【0033】
図3〜図7に示すように、解錠器本体9の内部には、ドラム31の載置場所として載置棚43が設けられている。この載置棚43の上面には、例えば金属板を折り曲げることにより形成されたドラムベース44が取り付けられ、このドラムベース44にドラム31が軸心L1回りに回動可能な状態で取り付けられている。
【0034】
また、図3〜図7,図10に示すように、載置棚43の下方位置には、ドラム31により仕分けされた後の硬貨の金種および金種別の硬貨枚数を解錠器本体9内で計数する硬貨計数機45が設けられている。硬貨計数機45は、自身を通過する硬貨を1枚ずつカウントアップしていくことにより硬貨収納袋21に収納される硬貨の金種および金種別の硬貨枚数を計数する機器であって、解錠器本体9の内部においてドラム31の下方位置に形成された硬貨計数機収納室46に収納されている。この硬貨計数機収納室46は、解錠器本体9の裏面に形成された裏面扉47(図10参照)によって入口を閉じることが可能となっている。この硬貨計数機45の上面には、硬貨計数機45の内部へ硬貨を投入する硬貨投入口45a(図7参照)が形成され、硬貨計数機45の側面には、硬貨計数機45で計数された後の硬貨を外部に排出する硬貨排出口45b(図7参照)が形成されている。硬貨計数機45は、計数した硬貨の金種別の硬貨枚数を硬貨計数データDkkとして出力可能である。また、硬貨計数機45は、自身の内部の硬貨通過経路における硬貨詰まりの有無を検出する硬貨詰まり検出センサ45sを内蔵し、この硬貨詰まり検出センサ45sで硬貨詰まりを検出すると、硬貨計数データDkkに代えて硬貨詰まり検出信号Sktを出力可能である。なお、硬貨詰まり検出センサ45sが硬貨詰まり検出手段に相当する。
【0035】
ドラム31の下方位置には、硬貨が硬貨収納袋21に向かって流れる時の硬貨通過経路として下流側硬貨シュート48が設けられている。下流側硬貨シュート48は、解錠器本体9に固定された取り付け状態をとりつつ硬貨入口が2つに分岐していて、硬貨計数機45を経由させない時の硬貨通過経路となる直通用硬貨シュート49と、硬貨計数機45を経由してきた硬貨を下流側に流す送り用硬貨シュート50とが形成されている。即ち、本例の下流側硬貨シュート48は、硬貨計数機45により計数された後の硬貨を下流側に流すことのみならず、しかもドラム31から吐き出された硬貨を、硬貨計数機45を通さずに直に下流側に流すことも可能となっている。直通用硬貨シュート49は、垂直方向に延びる向きに配置され、その硬貨入口49aが拡径に形成されている。また、送り用硬貨シュート50は、硬貨入口50aが硬貨計数機45の硬貨排出口45bに繋がるとともに、下端出口が直通用硬貨シュート49に導通されている。下流側硬貨シュート48は、直通用硬貨シュート49や送り用硬貨シュート50から取り込んだ硬貨を最下端の硬貨出口51から外部に吐き出す。なお、硬貨計数機45及び送り用硬貨シュート50が第1経路に相当し、直通用硬貨シュート49が第2経路を構成する。
【0036】
また、ドラム31と硬貨計数機45との間には、ドラム31により仕分けした後の硬貨を硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49とのどちらに送るのかを設定する硬貨振分機構52が設けられている。この硬貨振分機構52には、ドラム31の硬貨吐出口42から吐き出された硬貨を最初に通過させる上流側硬貨シュート53が設けられている。この上流側硬貨シュート53は、上端及び下端が開口した略四角箱形状をなし、ドラムベース44に取り付け固定されている。なお、硬貨振分機構52が硬貨案内機構に相当する。
【0037】
上流側硬貨シュート53の内部には、略板形状をなす弁(ダンパ)54が回動可動な状態で取り付けられている。この弁54の下端位置には、弁54が回動する時の回動軸心となる棒形状のシャフト55が取り付けられている。弁54は、ドラム31の回動軸心L1に対してシャフト55が平行する配置状態をとり、ドラム31の回動方向に沿う向きに回動可能となっている。また、弁54は、この回動動作によって、弁上端が解錠器本体9の裏側に傾いて仕分け後の硬貨を硬貨計数機45側に搬送する第1回動位置(図3,図4,図7の状態:第1案内状態)と、弁上端が解錠器本体9の表側に傾いて仕分け後の硬貨を直通用硬貨シュート49に搬送する第2回動位置(図5,図6の状態:第2案内状態)とをとる。よって、図7に示すように、上流側硬貨シュート53のシュート入口56は、弁54が第1回動位置をとるとき、硬貨計数機45側に導通した第1シュート出口57に繋がれ、第2回動位置をとるとき、直通用硬貨シュート49側に導通した第2シュート出口58に繋がれる。また、上流側硬貨シュート53には、シャフト55を回動し易くするベアリング部材53aが設けられている。なお、弁54が回動部材に相当する。
【0038】
上流側硬貨シュート53には、弁54の回動駆動源として例えば直流モータからなる弁駆動用モータ59が取り付けられている。弁駆動用モータ59は、上流側硬貨シュート53の背面側に形成された一対の片からなるモータ取付部60に取付固定され、ドラム用モータ37と回動軸が平行に並ぶ配置向きをとりつつ、しかもドラム用モータ37の下方位置に配置されている。弁駆動用モータ59は、弁54が第1回動位置に位置するときに一方向(例えば正転)に回動することによって弁54を第2回動位置に位置させ、弁54が第2回動位置に位置するときに他方向(例えば逆転)に回動することによって弁54を第1回動位置に復帰させる。なお、弁駆動用モータ59が駆動手段に相当する。
【0039】
弁駆動用モータ59は、弁駆動用モータ59の回転力を弁54のシャフト55に伝達するリンク機構61を介して弁54のシャフト55に連結されている。このリンク機構61は、例えば複数の長板をリンク状に組み合わせた動力伝達機構の一種であって、上流側硬貨シュート53の側方位置(図4及び図6の紙面左側)に配置されている。本例のリンク機構61は、弁駆動用モータ59のモータ軸に対して回動支点が偏心した状態で取り付けられたクランク62と、自身の基端が弁54のシャフト55に取付固定されたクランクレバー63と、クランク62及びクランクレバー63を連結するリンク64とからなる。クランクレバー63は、弁54と平行に並ぶ取り付け状態をとりつつ、弁54と固定状態にあることからこの弁54と一体に動く。クランクレバー63の略中央位置には、例えばピン形状をなした係止ピン65が形成され、この係止ピン65にリンク64の一端の係止孔66が貫挿されている。また、リンク64の他端は、回動支点67を支点に回動可能な状態でクランク62の端部に連結されている。なお、リンク機構61が伝達手段に相当する。
【0040】
上流側硬貨シュート53の側壁外面には、弁54が第1回動位置に位置したことを検出する第1フォトセンサ68と、弁54が第2回動位置に位置したことを検出する第2フォトセンサ69とが取り付けられている。また、クランクレバー63の先端には、この先端を延ばすことによりセンサドッグ70が形成されている。第1フォトセンサ68は、投光部から出力されている光がセンサドッグ70により遮られて受光部で光が受信できなくなると、弁54が第1回動位置に位置したことを検出し、その旨を通知する検出信号を出力する。第2フォトセンサ69は、第1フォトセンサ68と同様の検出態様をとり、センサドッグ70を検出すると弁54が第2回動位置に位置したことを検出し、その旨を通知する検出信号を出力する。
【0041】
また、図7及び図10に示すように、硬貨計数機45と下流側硬貨シュート48とは、1つの部品として組み付けられたユニット部品71として形成されている。本例においては、硬貨計数機45及び下流側硬貨シュート48を同一の板材71aに組み付けることでユニット化されている。図10に示すように、硬貨計数機収納室46において解錠器本体9の幅方向両側には、断面L字状の一対のレール部72,72が形成されている。このレール部72,72には、ユニット部品71が解錠器本体9の奥行き方向に沿ってスライド移動可能に載置されている。ユニット部品71(硬貨計数機45)をメンテナンスする際には、収納状態にあるユニット部品71を手前側に引き出すことにより行い、メンテナンス後はユニット部品71を解錠器本体9の内部に押し込むことにより元の収納状態に戻す。
【0042】
図7に示すように、ドラム31の下方位置には、硬貨振分機構52によって振り分けられた硬貨を複数の硬貨収納袋21の中から特定袋に振り分ける硬貨分配機構73が設けられている。硬貨分配機構73には、硬貨振分機構52から送り込まれた硬貨を硬貨収納袋21に流す時の硬貨通過経路として筒形状のアーム部材74が設けられている。このアーム部材74は、下流側硬貨シュート48から送られてきた硬貨を硬貨収納袋21に送る時の通過経路である。アーム部材74は、途中で折れ曲がった形状をなし、垂直方向に延びつつ中心軸が回動時の軸心L2となる第1筒部74aと、この第1筒部74aに対して所定角度だけ曲げられた第2筒部74bとを持つ。アーム部材74は、第1筒部74aの上端部が仕分け後の硬貨の導入口75となり、第2筒部74bの下端部が硬貨を硬貨収納袋21に向けて吐き出す送出口76となる。
【0043】
アーム部材74の下方位置には、アーム部材74の回動駆動源としてアーム回動用モータ77が配置されている。アーム回動用モータ77は、そのモータ軸77aが連結部材78を介してアーム部材74に連結されている。この連結部材78は、アーム回動用モータ77の駆動力を、アーム部材74が軸心L2回りに回動するのに必要な回動方向の運動力に変換する部材である。複数あるこれら硬貨収納袋21は、アーム回動用モータ77が回動してアーム部材74の送出口76が特定の硬貨収納袋21に向き合う位置決め状態をとることにより、複数の硬貨収納袋21のうち特定の1つが硬貨収納先として指定される。
【0044】
また、各々の硬貨収納袋21の上端位置には、収納した硬貨が硬貨収納袋21から溢れ出す可能性があることを検出可能な満杯センサ79が設けられている。この満杯センサ79は、例えば光学センサからなり、本例においては硬貨収納袋21に収納された硬貨が満杯になったのを検出するのではなく、硬貨収納袋21に収納された硬貨が異常に積み重なっていることを検出するセンサとして使用されている。満杯センサ79は、硬貨収納袋21内の硬貨が異常に積み重なっていることを検出すると、異常検出信号(例えば、オン信号)を出力可能となっている。
【0045】
ところで、例えば満杯センサ79がオン状態となる程に硬貨が異常に積み重なった際にアーム部材74を回転した場合を想定すると、盛り上がった蓄積状態にある硬貨にアーム部材74の送出口76が触れて、硬貨が溢れ出す可能性がある。よって、満杯センサ79がオンした時には、硬貨収納袋21内の硬貨が異常状態にあると判定して、金庫解錠器8はその旨をエラー表示するとともに動作が一旦停止状態となる。このとき、作業者は硬貨用金庫収納室扉20を開けて、盛り上がり蓄積状態にある硬貨を硬貨収納袋21に手で押し込むなどして、満杯センサ79が硬貨を検出しない状態に戻し、これを確認した後に金庫解錠器8をリセット操作して、金庫解錠器8に回収動作を再開させる。
【0046】
図8に示すように、金庫解錠器8には、この金庫解錠器8を統括制御するコントロールユニットとして金庫解錠器制御装置80が設けられている。この金庫解錠器制御装置80は、例えばCPU81、ROM82、書換可能メモリ83等を備え、硬貨計数機45、フォトセンサ68,69、満杯センサ79、モータ37,59,77等が接続されている。CPU81は、ROM82に書き込まれた制御プログラムPd1に基づき動作することにより、運賃箱金庫2、シャッタ12,14、ロックピン15、モータ37,59,77等を動作させることで、金庫解錠器8に運賃箱金庫2内の運賃及び券類を一括回収させるプログラムである。なお、金庫解錠器制御装置80が制御手段及びモード設定手段を構成する。
【0047】
また、本例の制御プログラムPd1には、運賃箱金庫2から取り込んだ硬貨を硬貨収納袋21に搬送する時にその通過経路で硬貨が詰まり状態となってしまっても、硬貨の回収を継続可能とする硬貨回収プログラムPdkが含まれている。本例の硬貨回収プログラムPdkは、硬貨計数機45に硬貨を通してこの硬貨の金種および金種別の硬貨枚数を計数しながら硬貨を硬貨収納袋21に送る際、硬貨計数機45における硬貨の詰まり有無を監視し、硬貨計数機45に硬貨が詰まった時に、硬貨を硬貨収納袋21に向けて流す硬貨通過経路を、硬貨計数機45を経由する経路から直に直通用硬貨シュート49に送る経路に切り換えて、硬貨計数機45に硬貨が詰まっても硬貨回収を継続可能とするプログラムである。
【0048】
本例の場合、硬貨計数機45は自身が起動状態にある際、自ら硬貨詰まりの有無を判定し、その起動状態時(要は硬貨枚数計数時)において硬貨詰まりを検出すると金庫解錠器制御装置80に硬貨詰まり検出信号Sktを出力する。金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを入力すると、現金回収動作、即ちドラム用モータ37の動作を一旦停止して、弁駆動用モータ59を一方向側に回転させて弁54の位置を第1回動位置から第2回動位置に切り換え、硬貨の通過経路を硬貨計数機45から直通用硬貨シュート49に変更する。そして、金庫解錠器制御装置80は、弁54の位置切り換え後、ドラム用モータ37を再駆動させて現金回収動作を再開する。これにより、硬貨計数機45で硬貨詰まりが発生しても、その後は硬貨計数機45で硬貨計数ができなくなるものの硬貨回収自体は継続可能となる。
【0049】
また、運賃箱金庫2には、この運賃箱金庫2を統括制御する運賃箱金庫制御装置84が設けられている。運賃箱金庫制御装置84は、例えばCPU85、ROM86、書換可能メモリ87等を備えている。CPU85は、ROM86に書き込まれた制御プログラムPd2に基づき動作することにより、運賃箱1に関する各種情報を書換可能メモリ87に書き込んだり、その書換可能メモリ87に書き込まれた各種情報を外部に出力したり、シャッタ5,6の施解錠や開閉を制御したりする。書換可能メモリ87に書き込まれる各種情報としては、例えば運賃箱1に投入された投入金、即ち運賃箱金庫2に収納された収納金に関する金庫データDknがある。この金庫データDknには、例えば運賃箱金庫2に蓄積された硬貨の金種別の硬貨枚数の情報として硬貨データDkm、紙幣の総枚数の情報として紙幣データDsn等がある。
【0050】
図9に示すように、運賃箱金庫2の裏面には、運賃箱金庫2側の電気配線の接続箇所として金庫側コネクタ88が設けられている。金庫側コネクタ88は、データ通信用のコネクタであって、その接続ピン(図示略)が運賃箱金庫制御装置84に接続されている。一方、金庫解錠器8において運賃箱金庫収納室10の内壁面には、金庫解錠器8側の電気配線の接続箇所として解錠器側コネクタ89が設けられている。解錠器側コネクタ89は、金庫側コネクタ88と接続可能であって、その接続ピン(図示略)が金庫解錠器制御装置80に接続されている。
【0051】
運賃箱金庫制御装置84は、運賃箱金庫2が運賃箱金庫収納室10に収納されて金庫側コネクタ88が解錠器側コネクタ89に繋がった状況下において、金庫解錠器制御装置80から金庫データDknの転送要求を受け付けると、書換可能メモリ87に書き込まれた金庫データDknを金庫解錠器制御装置80に出力する。また、運賃箱金庫制御装置84は、金庫側コネクタ88が解錠器側コネクタ89に繋がった状況下において、金庫解錠器制御装置80からシャッタ5,6の開操作要求を受け付けると、この時に閉状態にあるこれら2つのシャッタ5,6を開状態にし、金庫解錠器制御装置80からシャッタ5,6の閉操作要求を受け付けると、この時に開状態にあるこれら2つのシャッタ5,6を閉状態にする。
【0052】
金庫解錠器8には、金庫解錠器8の動作モードを設定する時に操作したり、或いは金庫解錠器8で収集した各種データを取り込んだりすることが可能な操作端末90が接続されている。この操作端末90は、例えばパーソナルコンピュータ等からなり、操作端末90を統括制御する制御部90a、キーボードやマウス等からなる操作部90b、各種画面を表示可能な表示部90c等を持っている。金庫解錠器8には、例えばUSB(Universal Serial Bus)からなるとともに金庫解錠器制御装置80に電気的に繋がった端末接続コネクタ91が設けられ、この端末接続コネクタ91に操作端末90が通信ケーブル92を介して接続されている。なお、操作端末90が操作手段に相当する。
【0053】
ところで、金庫解錠器8には、通常時は弁54を第1回動位置に位置させて硬貨を硬貨計数機45に通して硬貨回収を行いつつ硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生した時は弁54を第2回動位置に切り換えて硬貨通過経路を直通用硬貨シュート49に変更する硬貨詰まり監視モードと、最初から弁54を第2回動位置に位置させて硬貨を硬貨計数機45に経由させず直に直通用硬貨シュート49に流して硬貨を一括回収するオフモードとがある。金庫解錠器8の動作モードは、(硬貨詰まり監視モード、オフモード)は、作業者が操作端末90を操作することにより設定される。また、操作端末90は、硬貨計数機45が計測した硬貨計数データDkkと、運賃箱金庫2から取得した硬貨データDkmとを金庫解錠器8から取得可能である。よって、操作端末90の表示部90cには、硬貨計数機45が計数した硬貨枚数や、運賃箱金庫2内に収納された金庫内硬貨枚数が表示可能となっている。
【0054】
次に、本例の金庫解錠器8の動作を説明する。
金庫解錠器8で運賃箱金庫2内の現金回収を行うに際しては、最初に金庫解錠器8及び操作端末90の両方を立ち上げた状態にする。ここで、まずは金庫解錠器8の動作モードが硬貨詰まり監視モードに設定された場合を想定する。このとき、金庫解錠器8が回収動作を行う前の待機状態の際、弁54は第1回動位置に位置した状態をとるので、この時の上流側硬貨シュート53は、自身のシュート入口56が硬貨計数機45側に繋がる第1シュート出口57に繋がった状態をとる。よって、ドラム31により仕分けされた後の硬貨のこの時の通過経路は、硬貨計数機45を経由しつつ硬貨計数機45で硬貨計数された後に硬貨収納袋21に向かう通過経路をとる。
【0055】
また、2つある運賃箱金庫収納室10a,10bのうち一方(図1の右側)の運賃箱金庫収納室10aに運賃箱金庫2aがセットされたとする。ところで、金庫解錠器制御装置80は、自身に電源が投入されて起動状態にあるとき、解錠器側コネクタ89の接続状態を逐次監視し、ここで述べる例のように運賃箱金庫収納室10aに運賃箱金庫2aが収納されて金庫側コネクタ88が解錠器側コネクタ89に完挿し状態なったことを検出すると、ロックピン15を突出状態にしてこれを運賃箱金庫2aの穴16に係止させ、運賃箱金庫2aを運賃箱金庫収納室10aから取り外せないようにする。また、金庫解錠器制御装置80は、この時に一括回収動作が実行中でなければ、これらコネクタ88,89を介して、その時にセット状態にある運賃箱金庫2aの運賃箱金庫制御装置84に金庫データ転送要求を出力する。なお、完挿し状態の検出は、例えばコネクタ88,89の所定の接続ピン同士が通電状態になったか否かを見ることによって行う。
【0056】
運賃箱金庫制御装置84は、金庫解錠器制御装置80から金庫データ転送要求を受け付けると、自身の書換可能メモリ87に書き込まれている金庫データDknを読み出し、この金庫データDknを同じくコネクタ88,89を介して金庫解錠器制御装置80に転送する。金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫制御装置84から送られてきた金庫データDknを受け付けると、この金庫データDknの中から硬貨データDkmを読み取り、この時に運賃箱金庫収納室10aにセットされている運賃箱金庫2aの中に、どれだけの枚数の硬貨が収納されているのかその金庫内硬貨枚数Mkkを確認する。金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫収納室10に運賃箱金庫2がセットされる度に、運賃箱金庫2内の運賃及び券類を流し込む前段階において、この運賃箱金庫2から金庫データDknを受け付けて金庫内硬貨枚数Mkkを確認する。金庫解錠器制御装置80は、このように金庫内硬貨枚数Mkkを割り出すと、この金庫内硬貨枚数Mkkを操作端末90に転送し、金庫内硬貨枚数Mkkを操作端末90に取り込ませる。
【0057】
金庫解錠器制御装置80は、このようにして金庫内硬貨枚数Mkkの確認を行うと、続いて解錠器本体9の2つのシャッタ12,14を開状態にする。金庫解錠器制御装置80は、この2つのシャッタ12,14を開状態にした後、コネクタ88,89を介して運賃箱金庫2aにシャッタ開操作要求を出力する。運賃箱金庫制御装置84は、このシャッタ開操作要求を受け付けると、シャッタ5,6を解錠しつつこれらを開状態にする。このとき、運賃箱金庫2aに収納された硬貨及び券類は、自重により落下して解錠器本体9の内部に流し込まれ、紙幣収納室4の紙幣は、押出部材17によって側方に押し出されて解錠器本体9の内部に送り込まれ、紙幣シュートを介して紙幣用金庫24に搬送される。
【0058】
解錠器本体9の内部に送り込まれた硬貨及び券類は、ベルトコンベア33に乗ってドラム31の一端にある導入口32aまで搬送され、この導入口32aからドラム31(硬貨フィルタ部35)の内部に流し込まれる。そして、ドラム31内に入り込んだ券類は、送風機34の風によってドラム31の他端にある送出口32bに向かって飛ばされ、この送出口32bからドラム31の外部に吐き出される。ドラム31の外部に吐き出された券類は、券類用シュートを通過して券類用金庫27に搬送される。
【0059】
一方、ドラム31の内部に送り込まれた硬貨は、ドラム用モータ37によって回転状態をとる硬貨フィルタ部35の内面を滑り、孔36と対向位置をとると、この孔36からドラム本体32の内面に落下する。また、ドラム31が回転状態をとるとき、螺旋状の硬貨案内部41はドラム31の回転動作によって硬貨を下流側(硬貨吐出口42)に送る案内機構として働くことから、ドラム本体32の内面に送り込まれた硬貨はこの硬貨案内部41により硬貨吐出口42に案内されて、この硬貨吐出口42からドラム31の外部に吐き出される。そして、ドラム31から吐き出された硬貨は、上流側硬貨シュート53のシュート入口56に排出される。
【0060】
金庫解錠器8の動作モードが硬貨詰まり監視モードの場合、上流側硬貨シュート53の弁54は第1回動位置をとっているので、上流側硬貨シュート53のシュート入口56は第1シュート出口57に繋がった状態をとる。これにより、上流側硬貨シュート53内に送り込まれた硬貨は、上流側硬貨シュート53の第1シュート出口57から硬貨計数機45に送り込まれて、この硬貨計数機45で硬貨計数される。硬貨計数機45は、例えば硬貨を1枚ずつ計数する度に金種別の数値がカウントアップする数値データを、硬貨計数データDkkとして金庫解錠器制御装置80に出力する。金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨計数データDkkを受け付けると、硬貨計数機45で計数した硬貨の金種および金種別の硬貨枚数、即ち直に計測した硬貨の枚数として実測硬貨枚数Mjkを把握する。そして、金庫解錠器制御装置80は、この実測硬貨枚数Mjkを操作端末90に転送し、この実測硬貨枚数Mjkを操作端末90に取り込ませる。硬貨計数機45で枚数が計数された硬貨は、硬貨吐出口42から硬貨計数機45の外部に吐き出され、送り用硬貨シュート50を通って直通用硬貨シュート49に送られ、直通用硬貨シュート49から硬貨収納袋21に吐き出される。
【0061】
操作端末90は、金庫解錠器8から取得した金庫内硬貨枚数Mkkと実測硬貨枚数Mjkとを、自身の表示部90cに数値表示が可能となっている。上位者は、表示部90cに表示された金庫内硬貨枚数Mkkと実測硬貨枚数Mjkとを見比べて、運賃箱1に実際に投入された硬貨の枚数(金庫内硬貨枚数Mkk)と、運賃箱金庫2a内に収納されていた実際の硬貨枚数(実測硬貨枚数Mjk)とに差が無いかどうかを確認する。よって、運賃箱金庫2aを運賃箱1から取り外して金庫解錠器8にセットするまでの間の金銭横領の有無を監視することが可能となる。
【0062】
金庫解錠器制御装置80は、1つの運賃箱金庫2の回収動作が完了すると、その時に指定状態にある硬貨収納袋21に硬貨の空きスペースがあるか否かを確認する。ところで、この種の硬貨収納袋21は、1つの袋内に収納できる硬貨の最大許容枚数が予め決められている。よって、硬貨収納先が空の硬貨収納袋21のときには、この最大許容枚数が空き容量Rとされ、空きの硬貨収納袋21に最初に硬貨が入れられた際には、この最大許容枚数から、その時に運賃箱金庫2から吸い上げた金庫データDknの金庫内硬貨枚数Mkkを減算して、この減算値を新たな空き容量Rとして割り出す。そして、運賃箱金庫2から金庫データDknを吸い上げる度に、データ吸い上げ前の空き容量Rからこの時の運賃箱金庫2の金庫内硬貨枚数Mkkを減算して新たな空き容量Rを割り出す処理を繰り返し行い、硬貨の収納スペースに空きがあるかを確認する。この時に割り出した空き容量Rに関するデータ(空き容量データDrd)は、金庫解錠器制御装置80の書換可能メモリ83に書き込まれ、次の回収動作時に使用すべく保持される。
【0063】
金庫解錠器制御装置80は、この空き容量R(減算値)が「0」よりも大きい値をとるのであれば、硬貨収納袋21にまだ空きがあると判定して、その時に指定状態にある硬貨収納袋21をそのまま継続して使用する。一方、金庫解錠器制御装置80は、この空き容量R(減算値)が「0」以下の値をとるのであれば、その時に指定状態にある硬貨収納袋21には空きがないと判定して、アーム回動用モータ77を所定量回動させることによりアーム部材74を軸心L2回りに所定量回動させて、アーム部材74の送出口76を隣の空の硬貨収納袋21の入口に位置させる。これにより、運賃箱金庫2内の硬貨の収納先は、これら硬貨を溢れ出させずに収納可能な容量を持つ(即ち、空状態)の硬貨収納袋21に切り換えられる。
【0064】
ところで、運賃箱金庫2aの回収動作を行っている最中に、例えば他方(図1の左側)の運賃箱金庫収納室10bに運賃箱金庫2bが収納されることもあるが、この時の金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫2bの金庫側コネクタ88が運賃箱金庫収納室10bの解錠器側コネクタ89に完挿しとなったことを検出すると、この時に回収動作が実行中であれば、運賃箱金庫2bに金庫内の運賃及び券類の搬出を待たせる準備状態をとらせる。この準備状態は、運賃箱金庫2bをロックピン15でロック状態にするものの金庫データDknのデータ出力は待たせた状態とするとともに、解錠器本体9に2つのシャッタ12,14を開けさせた状態にしておく動作である。
【0065】
ここで、この種の金庫解錠器8は1秒当たりに回収できる硬貨枚数(例えば20枚/1秒)が仕様によって決まっているので、金庫解錠器制御装置80は運賃箱金庫について硬貨の回収動作を行うとき、この金庫内に収納されている金庫内硬貨枚数Mkkが分かれば、その時の回収動作に要する処理時間も分かる。よって、金庫解錠器制御装置80は、金庫内硬貨枚数Mkkを割り出すとその時の回収動作に要する所要時間を演算し、回収動作時にこの所要時間が経過したら、運賃箱金庫における回収動作が終了したと判定する。金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫2aの運賃及び券類の回収動作を行う際、運賃箱金庫2aの金庫内硬貨枚数Mkkから割り出した回収に必要な所要時間が経過すると、運賃箱金庫2aの回収動作が終了したと判定する。
【0066】
このように、金庫解錠器制御装置80は、一方の運賃箱金庫収納室10aにセットされた運賃箱金庫2aの一括回収動作が完了したことを認識すると、続いて隣の運賃箱金庫収納室10bにセットされた運賃箱金庫2bに金庫データ転送要求を出力して、運賃箱金庫2aの時と同じ要領で運賃箱金庫2b内の運賃及び券類を回収する。なお、この時は、運賃箱金庫収納室10bのシャッタ12,14に準備動作をとらせてこれらを予め開状態にしておくので、運賃箱金庫2aの回収動作が終了すると直ぐに運賃箱金庫2bのシャッタ5,6の開操作が実行され、運賃箱金庫2b内の運賃及び券類が解錠器本体9の内部に流し込まれる。
【0067】
ところで、ドラム31で仕分け後の硬貨を硬貨計数機45を通して硬貨収納袋21に送る際に、硬貨が硬貨計数機45で詰まってしまって、そこから硬貨が下流に流れて行かなくなる場合も想定される。これは、例えば硬貨計数機45内の硬貨通路に数枚の硬貨が重なって流れてきたり、或いは想定以上の硬貨が同時に硬貨計数機45内に送られてきたりしたことなどを原因として起こる。硬貨計数機45は、例えば自身の内部に持つ硬貨詰まり検出センサ45sで硬貨詰まりを検出すると、硬貨計数データDkkに代えて硬貨詰まり検出信号Sktを金庫解錠器制御装置80に出力する。金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを入力すると、硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生したと認識する。なお、この時に硬貨の回収が途中である場合には、硬貨が詰まった後も残りの硬貨が上流側から順次送られてくる状態をとる。
【0068】
金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを受け付けると、運賃箱金庫2の現金回収動作、即ちドラム用モータ37(送風機34を止めることも可)の回転動作を一旦停止させ、弁駆動用モータ59を一方向に回転させる。このとき、リンク機構61は、弁駆動用モータ59の一方向(例えば、正転)に回る回動力を、第1回動位置にある弁54を第2回動位置に向かって回動させる回動力に変換して伝達する。金庫解錠器制御装置80は、弁54を第2回動位置に位置させるべく弁駆動用モータ59を一方向に回転させた際、第2フォトセンサ69でセンサドッグ70を検出すると、この検出タイミングで弁駆動用モータ59を停止させて弁54を第2回動位置に位置させる。
【0069】
このように、弁54が第2回動位置をとると、上流側硬貨シュート53のシュート入口56は第2シュート出口58に繋がった状態をとる。よってこの後、ドラム31から上流側硬貨シュート53に順次送られてきた硬貨は、直通用硬貨シュート49に直に流入する硬貨通過経路をとる。金庫解錠器制御装置80は、弁54が第2回動位置に位置したことを確認すると、ドラム用モータ37(送風機34も含む)の回転動作を再開させ、現金回収動作を再開する。よってこの後、ドラム31から吐き出された硬貨は、上流側硬貨シュート53を直に通って硬貨収納袋21に吐き出される。従って、このように硬貨計数機45が硬貨詰まり状態になったとしても、この時は硬貨を直に直通用硬貨シュート49に送るので、硬貨収納袋21への硬貨収納を継続して行うことが可能となる。
【0070】
また、金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを入力した際、金庫解錠器8の裏面外壁に取り付いたディスプレイ93に、硬貨詰まりの旨を通知するエラー表示(報知音も可)を表示する。作業者はディスプレイ93の表示エラーに気付いた後、運賃箱金庫の回収動作が終了したときに、上位者同伴の元で硬貨計数機45の硬貨詰まりを解消するメンテナンス作業を行うことになるが、この時は解錠器本体9の裏面扉47を解錠してこの裏面扉47を開操作する。そして、ユニット部品71を手前側にスライド移動操作して引き出し、この硬貨計数機45をメンテナンスして硬貨詰まりを解消し、この作業を終えた後、ユニット部品71を解錠器本体9の内部に押し込んでユニット部品71を収納状態に戻し、裏面扉47を再度施錠して元の状態に戻す。
【0071】
硬貨計数機45は、硬貨詰まりを検出しない状態に戻ると、硬貨詰まり検出信号Sktを出力しない状態に復帰する。よって、金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを受け付けない状態になるので、硬貨計数機45には硬貨詰まりが発生していないと認識する状態に復帰する。
【0072】
この状態で次の運賃箱金庫2が運賃箱金庫収納室10にセットされたとすると、この時の金庫解錠器8の動作モードが硬貨詰まり監視モードのままであれば、この運賃箱金庫2の回収動作を開始するに先立って、金庫解錠器制御装置80は弁駆動用モータ59を他方向に回転させる。このとき、リンク機構61は、弁駆動用モータ59の他方向(例えば、逆転)に回る回動力を、第2回動位置にある弁54を第1回動位置に向かって回動させる回動力に変換して伝達する。金庫解錠器制御装置80は、弁54を第1回動位置に戻すべく弁駆動用モータ59を他方向に回転させた際、第1フォトセンサ68でセンサドッグ70を検出すると、この検出タイミングで弁駆動用モータ59を停止させて弁54を第1回動位置に位置させる。これにより、ドラム31による仕分け後の硬貨の通過経路が硬貨計数機45を経由する側の通路に戻り、硬貨計数機45で硬貨を計数してから硬貨収納袋21に収める状態に戻すことが可能となる。
【0073】
さて、本例においては、弁54が第1回動位置をとって硬貨が硬貨計数機45で計数されてから硬貨収納袋21に搬送される通過経路をとる際に、硬貨計数機45で硬貨詰まりが検出された場合、この時は第1回動位置にある弁54を弁駆動用モータ59により第2回動位置に切り換えて、ドラム31から吐き出された後の硬貨を、硬貨計数機45を経由させずに硬貨を直に直通用硬貨シュート49を通して硬貨収納袋21に搬送する。従って、現金回収時において硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生しても、運賃箱金庫2内の硬貨を継続して回収することが可能となる。
【0074】
また、この種の金庫解錠器8は、現金を取り扱う装置である関係上、金庫解錠器8の各種扉の自由な開閉が制限され、開閉操作には上位者の同伴を必要とする場合が多く、夜間などはこれら扉の開閉操作が禁止されることも多々ある。よって、例えば本例のような硬貨詰まり対策を講じていない金庫解錠器で、各種扉の開閉が禁止されている期間に硬貨計数機45で硬貨詰まりが生じてしまった場合には、この硬貨詰まり後は金庫解錠器で現金回収を行うことができず、非常に不便さを感じることになる。しかし、本例のような硬貨詰まり対策が講じられた金庫解錠器8を採用すれば、硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生しても、継続して硬貨回収が可能であるので、この点から見ても効果が非常に高いと言える。
【0075】
また、本例の弁54は、クランクレバー63とリンク64とが分離可能であるので、手動で第1回動位置と第2回動位置とに切り換えることが可能である。これは、例えば仮に弁駆動用モータ59が故障した場合を想定すると、この時は弁駆動用モータ59で弁54の回動ができなくなるので、この状況下となっても弁54の位置切り換えを可能とするためである。弁54を手動回動する場合、図11に示すように、弁駆動用モータ59、クランク62及びリンク64を解錠器本体9側から取り外す。そして、クランクレバー63の係止ピン65を把持部として指で摘み、手動で弁54を第1回動位置又は第2回動位置に回動させる。これにより、仮に弁駆動用モータ59が故障しても、手動により弁54を第1回動位置又は第2回動位置に切り換えることが可能となる。
【0076】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)金庫解錠器8に、ドラム31による仕分け後の硬貨の行先を硬貨計数機45側とするのか或いは直に直通用硬貨シュート49側とするのかを切り換える硬貨振分機構52を設けた。よって、硬貨計数機45側に送って硬貨計数処理しながら硬貨回収を行っているときに仮に硬貨が硬貨計数機45で詰まったとしても、硬貨振分機構52により硬貨の行先を直に直通用硬貨シュート49に向かわせる硬貨通過経路に切り換えることにより、運賃箱金庫2から取り込んだ硬貨を継続して回収することができる。
【0077】
(2)本例の硬貨詰まりは、硬貨計数機45で硬貨詰まりが生じているか否かを見ている。ところで、この種の硬貨計数機45は、硬貨を1枚ずつ通して計数する関係上、想定以上の硬貨が一気に流れ込んだり、或いは数枚の硬貨が同じ向きをとって同時に流れ込んだりすると、どうしても硬貨詰まりの懸念が生じる。よって、本例のように硬貨計数機45の硬貨詰まりを検出するようにすれば、硬貨詰まりの発生し易い箇所の硬貨詰まり有無を監視することになるので、より効果的に硬貨詰まりを検出することが可能となる。
【0078】
(3)硬貨振分機構52は、弁54の回動位置を弁駆動用モータ59により第1回動位置と第2回動位置とに切り換える機構をとっている。このため、硬貨の通過経路の切り換えを、弁54を弁駆動用モータ59で2位置に回動させるという簡単な構造で行うことが可能となる。
【0079】
(4)弁駆動用モータ59を弁54に伝達する動力伝達機構として、複数のリンク部材からなるリンク機構61を使用した。このため、例えばリンク機構61の1リンク部材長さやリンク数を変更すれば、弁駆動用モータ59を弁54から離間した位置に配置することも可能となり、弁駆動用モータ59の配置自由度を高いものとすることができる。また、本例のように動力伝達機構としてリンク機構61を使用して弁駆動用モータ59をドラム31の下方位置に配置するようにすれば、ドラム31の下方の空きスペースを有効利用することが可能となるので、金庫解錠器8の小型化に寄与する。
【0080】
(5)金庫解錠器8に操作端末90を接続し、この操作端末90を操作することにより、金庫解錠器8の動作モードを硬貨詰まり監視モードとオフモードとのどちらかに設定可能とした。よって、例えば運賃箱金庫2内の硬貨数が少ないときなどの硬貨詰まりの発生し難い状況の場合、動作モードをオフモードにしておけば、硬貨詰まりの監視の必要がないときにまでこの監視を行う必要がなくなり、金庫解錠器8を利便性の高い装置とすることができる。
【0081】
(6)硬貨計数機45及び直通用硬貨シュート49は、裏面扉47を開けた際、手前側に直通用硬貨シュート49が位置し、その奥に硬貨計数機45が位置する配置状態をとっているが、もし仮に直通用硬貨シュート49が解錠器本体9に固定状態で取り付いたと仮定すると、硬貨詰まりを生じた硬貨計数機45をメンテナンスすべくこの硬貨計数機45を解錠器本体9から取り出そうとした場合、直通用硬貨シュート49が邪魔になって、この取り出し作業が非常にやり難く感じる問題がある。しかし、本例のように硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49(即ち、下流側硬貨シュート48)を1つのユニット部品71としてこれを解錠器本体9からスライド操作式に引き出すことが可能となれば、硬貨計数機45の硬貨詰まりメンテナンスを行う時は、このユニット部品71を手前側に引き出せば、硬貨計数機45が解錠器本体9の外部に簡単に露出状態をとるので、硬貨計数機45及び直通用硬貨シュート49に先に述べた配置関係があっても、硬貨詰まりメンテナンスを非常に楽な作業で行うことができる。
【0082】
(7)金庫解錠器8の動作モードは、操作端末90によって遠隔操作によりモード設定が可能となっているので、運賃箱金庫2を運賃箱1から金庫解錠器8まで持ち運ぶ作業者に知られることなく、金庫解錠器8の動作モードを硬貨詰まり監視モード、即ち運賃箱金庫2内の硬貨を硬貨計数機45で実測する硬貨枚数実測モードに設定することが可能となる。よって、作業者はその時々において金庫解錠器8の動作モードが硬貨枚数実測モードかオフモードかどちらにあるのか分からないので、金庫解錠器8が硬貨枚数実測モードにあることを恐れて盗難を思い留まらせる心理状態を働かせることが可能となり、横領の発生防止に効果が高くなる。
【0083】
(8)弁54の位置を手動で第1回動位置又は第2回動位置に切り換え可能としたので、仮に弁駆動用モータ59が故障した場合であっても、弁54を第1回動位置又は第2回動位置に位置させることができる。
【0084】
なお、実施形態はこれまでに述べた構造に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 硬貨詰まり検出手段は、必ずしも硬貨計数機45の硬貨詰まりを検出するものに限定されない。例えば、送り用硬貨シュート50内での硬貨詰まりを検出するなど、どの硬貨通過経路上で硬貨詰まりを検出するのかは特に限定されない。
【0085】
・ 硬貨振分機構52は、回動式の弁54の回動位置を切り換えることで硬貨通過経路を切り換える機構に限定されない。例えば、モータ等を駆動源として1本の硬貨シュートの傾きを変えるなどして、硬貨通過経路を2通路の間で切り換える機構でもよい。
【0086】
・ 硬貨振分機構52は、弁駆動用モータ59を駆動源とする電気式に限定されない。例えば、硬貨詰まりを検出すると、その詰まり硬貨の重さ等で機械式に弁54の位置を第1回動位置から第2回動位置に切り換えるものでもよい。
【0087】
・ 硬貨振分機構52の弁54の回動駆動源は、必ずしも弁駆動用モータ59を使用したモータ式に限定されず、例えばシリンダを使用してもよい。
・ 弁駆動用モータ59の回転力を弁54に伝達する動力伝達機構は、必ずしもリンク機構に限定されず、例えばギア機構等の他の伝達機構を採用してもよい。
【0088】
・ ユニット部品71の出し入れは、このユニット部品71を水平方向において直線式に動かすスライド操作式に限定されない。例えば、水平方向において回動式に出し入れされるなど、出し入れ時の操作方向は特に限定されない。
【0089】
・ 硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49(下流側硬貨シュート48)の配置位置は、必ずしも扉47側が直通用硬貨シュート49で奥側が硬貨計数機45であることに限定されず、この位置関係が逆でもよい。
【0090】
・ 硬貨計数機45及び下流側硬貨シュート48は、必ずしもユニット部品化されている必要はなく、これらが別々の部品として形成されていてもよい。
・ 金庫解錠器8で設定できる動作モードは、硬貨詰まり監視モードとオフモードとの2種類に限定されず、例えば硬貨計数機45で硬貨は計数するものの硬貨詰まり自体は監視しない硬貨計数モードを追加するなど種々のモードが採用可能である。
【0091】
・ 金庫解錠器8の動作モードを設定する操作系は、必ずしも金庫解錠器8と別体(操作端末90)となっていることに限らず、金庫解錠器8に一体に組み付いたものでもよい。
【0092】
・ 硬貨分配機構73は、途中で曲がった筒状のアーム部材74をアーム回動用モータ77により回動させて、複数の硬貨収納袋21の中から特定の1つを指定する機構のものに限定されない。例えば、1本の硬貨シュートの傾きをアクチュエータにより変えることによって、硬貨収納先となる硬貨収納袋21を指定する機構でもよい。
【0093】
・ 金庫解錠器8は、必ずしも複数の運賃箱金庫収納室10a,10bを持つものに限定されず、これを1つのみ備えるものでもよい。
・ 運賃箱金庫2に登録された金庫データDknに含まれるデータ種は、必ずしも硬貨データDkm及び紙幣データDsnに限定されない。例えば、運賃箱1に、磁気カード又はICカードにより運賃支払いが可能なカードリーダが搭載されている場合には、この磁気カード又はICカードから読み取ったカード情報が含まれていてもよい。
【0094】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、前記硬貨と前記券類との仕分けを一旦停止させ、当該停止後に前記硬貨案内機構を前記第1案内状態から前記第2案内状態に切り換え、その切り換えが完了した後に前記仕分けを再開する仕分け停止手段を設けた。この構成によれば、硬貨詰まりの時に下流側に流れてくる硬貨の量が少なくなるので、硬貨の詰まり量を少なく抑えることが可能となる。
【0095】
(2)請求項2〜5,前記技術的思想(1)のいずれかにおいて、前記効果詰まり検出手段は、前記硬貨計数機に組み込まれた機能である。この構成によれば、硬貨詰まり検出手段を用意するに際して、硬貨計数機とは別部品で硬貨詰まり検出手段を用意する必要がなくなるので、現金回収装置に必要となる部品点数を少なく抑えることが可能となる。
【0096】
(3)請求項4,5,前記技術的思想(1),(2)のいずれかにおいて、前記モード設定手段は、前記現金回収装置の装置本体とは別部品に構成され、前記現金回収装置の動作モードの設定を遠隔操作により行う。この構成によれば、現金回収装置から離れた場所で現金回収装置の動作モード設定を行うことが可能となるので、モード設定を遠隔操作によって行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】一実施形態における金庫解錠器の概略構成を示す斜視図。
【図2】券銭分離機構の概略構成を示す斜視図。
【図3】弁が第1回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す側面図。
【図4】弁が第1回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す裏面図。
【図5】弁が第2回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す側面図。
【図6】弁が第2回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す裏面図。
【図7】金庫解錠器内の内部構成を模式的に示す斜視図。
【図8】金庫解錠器及び運賃箱金庫の電気構成を示すブロック図。
【図9】金庫解錠器及び運賃箱金庫のコネクタ部分を示す斜視図。
【図10】金庫解錠器の裏面側の外観を示す裏面図。
【図11】上流側硬貨シュートからモータ等を分離した時の状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0098】
1…運賃箱、2(2a,2b)…運賃箱金庫、8…現金回収装置としての金庫解錠器、9…装置本体としての解錠器本体、45…第1経路を構成する硬貨計数機、45s…硬貨詰まり検出手段としての硬貨詰まり検出センサ、49…第2経路としての直通用硬貨シュート、50…第1経路を構成する送り用硬貨シュート、52…硬貨案内機構として硬貨振分機構、54…回動部材としての弁、59…駆動手段としての弁駆動用モータ、61…伝達手段としてのリンク機構、71…ユニット部品、80…制御手段及びモード設定手段を構成する金庫解錠器制御装置、90…操作手段としての操作端末。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々の車両の運賃箱に運賃として投入された硬貨や紙幣等を一箇所で一括回収する現金回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路線バスやワンマン運行式鉄道等の車両においては、乗客が支払う運賃や、乗客がどの停留所から乗車したのかの証明である整理券の投入先として運賃箱が車内に設置されている。運賃箱は、運賃として投入された硬貨や紙幣がいくらであるのかを計数処理(計算)し、これら硬貨や紙幣を蓄積しつつ、運賃投入時に運賃とともに投入された整理券も同様に蓄積する。運賃箱には、運賃箱に投入された運賃や整理券の蓄積先として運賃箱金庫が設けられている。この運賃箱金庫は、路線バスや鉄道を運営する会社が管理するターミナルセンタ等でこの金庫内の運賃や整理券をまとめて一括回収できるように、運賃箱の装置本体に対して着脱可能となっている。
【0003】
ターミナルセンタには、各々の車両で支払われた運賃、即ち各々の運賃箱金庫に収納された運賃を一括回収する現金回収装置が設置されている。この種の現金回収装置の一例は、例えば特許文献1,2等に開示されている。運行終了後、運転者は運賃箱から運賃箱金庫を取り外し、これをターミナルセンサに持ち運ぶ。そして、ターミナルセンタに設置された現金回収装置を起動させ、この現金回収装置に運賃箱金庫をセットして現金回収動作を実行させることにより、運賃箱金庫内の運賃を現金回収装置に回収させる。現金回収装置は、運賃箱金庫内の硬貨、紙幣、整理券を仕分けして、各々対応する金庫や収納箱に収納する。
【0004】
ところで、この種の現金回収装置においては、回収時において硬貨の金額を計数処理して硬貨の回収金額を割り出す硬貨計数機を内蔵する硬貨回収金額計数型もある。一般的に運賃箱には投入金額の総計を集計する硬貨計数機能が備わっているので、この計数金額を確認すれば、一車両の総運賃金額を割り出すことができるが、現金回収装置にこの種の硬貨計数機を搭載して現金回収装置でも総運賃金額を計数するのは、運賃箱から運賃箱金庫を現金回収装置にセットするまでの間に、運賃箱金庫内の金銭が横領される可能性も否めないからである。そして、運賃箱で計数した運賃の総金額と、現金回収装置の硬貨計数機で割り出した総金額とが異なるか否かを見ることにより、運賃横領を監視する。
【特許文献1】特開平9−128586号公報
【特許文献2】特開2007−128226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この種の硬貨計数機は、硬貨種類を識別する作業工程を経る関係上、想定以上の多量の硬貨が送られてくると、硬貨の識別作業が追いつかず、その箇所で硬貨が詰まることも想定される。硬貨計数機は、硬貨詰まりを発生すると異常を認識してエラーモードとなり、硬貨の計数処理を強制終了する。しかし、硬貨計数機がエラーモードとなっても、運賃箱金庫側から硬貨計数機に硬貨が送られる動作は停止しないので、この後も継続して硬貨が硬貨計数機に流入する。よって、硬貨計数機内で硬貨詰まりが発生すると、運賃箱金庫側から順次搬送されてくる硬貨を下流に送ることができなくなり、この詰まり箇所に硬貨が順次溜まっていく状態をとってしまうので、この状況下においては運賃を正常に回収することができない問題があった。
【0006】
ところで、このような硬貨詰まりが発生した場合、現金回収装置の内部を開く扉を開操作して、硬貨計測機器に詰まった硬貨を取り除いて硬貨詰まりを解消すればよいと思うはずである。しかし、現金回収装置は現金を取り扱う装置である関係上、この種の扉の自由な開閉操作は好ましくなく、例えば扉の鍵を上位者が管理するなどして扉開閉操作を制限する場合が多い。よって、例えば夜間において扉の開閉操作が禁止された場合には、夜間に硬貨計測機器に硬貨詰まりが発生すると、この時は硬貨詰まりのメンテナンスを行うことができないので、その硬貨詰まりの後は現金回収装置で運賃の回収を行うことができず、非常に不便であった。
【0007】
本発明の目的は、装置内において仮に硬貨詰まりが発生したとしても、継続して現金等の回収動作を行うことができる現金回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、運賃及び券類の投入先である運賃箱に投入された運賃の収納先であって当該運賃箱から取り外し可能な運賃箱金庫を取り付け可能であり、取り付いた前記運賃箱金庫内の前記運賃と前記券類とを仕分けしてこれらの回収を行うとともに、当該回収を自身に取り付いた前記運賃箱金庫ごとに行って前記運賃及び前記券類を一括回収する現金回収装置において、通常時の硬貨通過経路である第1経路に前記仕分け後の硬貨を案内する第1案内状態と、前記第1経路に前記硬貨が詰まった硬貨詰まり時の硬貨通過経路である第2経路に前記仕分け後の前記硬貨を案内する第2案内状態とのうちどちらかの状態をとる硬貨案内機構と、前記硬貨が経路上で詰まる硬貨詰まりを検出する硬貨詰まり検出手段と、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換ることにより、前記硬貨詰まりが発生しても当該硬貨の回収を継続可能とする制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、運賃箱の運賃箱金庫に蓄積された運賃及び券類を現金回収装置で回収するに際しては、運賃箱から運賃箱金庫を取り外してこれを現金回収装置まで持ち運び、この運賃箱金庫を現金回収装置に取り付ける。現金回収装置は、運賃箱金庫内の運賃及び券類を取り込み、これらを例えば硬貨、紙幣、券類に仕分けして、各々対応する金庫や収納箱に順次収納する。そして、運賃箱金庫を現金回収装置に持ち寄る度に、運賃箱金庫の運賃を現金回収装置に回収させる作業を繰り返し行い、複数の運賃箱、即ち複数の運賃箱金庫の運賃が1つの現金回収装置で一括回収される。
【0010】
現金回収装置が運賃の回収動作を行う際、仕分け後の硬貨が経路で詰まっているか否かが硬貨詰まり検出手段により監視される。硬貨詰まり検出手段が硬貨詰まりを検出していない場合、硬貨案内機構は通常の動作状態である第1案内状態をとり、装置内部に送り込まれた硬貨は第1経路を通って下流側に流れる。一方、硬貨詰まり検出手段が硬貨詰まりを検出すると、硬貨案内機構は第1案内状態から第2案内状態をとり、硬貨詰まりの生じた第1経路ではなく硬貨通過経路が第2経路に切り換わる。よって、硬貨は第2経路を通過して下流側に流れる状態をとるので、通常の硬貨通過経路である第1経路に硬貨詰まりが発生しても、運賃の回収を継続して行うことが可能となる。
【0011】
本発明では、前記第1経路の経路上には、前記硬貨案内機構が前記第1案内状態をとる時に前記仕分け後において前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機が設けられ、前記硬貨詰まり検出手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりの有無を監視し、前記制御手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換えることにより、前記硬貨計数機を経由させずに前記硬貨を直に前記硬貨通過経路の下流側に送ることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、硬貨詰まり検出手段は硬貨計数機における硬貨詰まりの有無を監視するものであるので、硬貨計数機に硬貨詰まりが発生したか否かを監視することが可能となる。また、この種の硬貨計数機は硬貨を1つずつ通して計数する関係上、その機構部分において硬貨詰まりの懸念がどうしても付きまとうが、このような懸念のある硬貨計数機において硬貨詰まり検出手段で硬貨詰まりの有無を監視するようにすれば、効果的に硬貨詰まりを検出することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記硬貨案内機構は、一軸を支点に回動動作が可能で、前記仕分け後の前記硬貨を前記第1経路に案内する第1回動位置と、前記仕分け後の前記硬貨を前記第2経路に案内する第2回動位置とを取り得る回動部材と、前記回動部材を前記第1回動位置と前記第2回動位置との間で回動させる際の駆動源となる駆動手段と、前記駆動手段の駆動力を前記回動部材の回動運動力として伝達する伝達手段とを備え、前記制御手段は、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1回動位置をとっていた前記回動部材を前記駆動手段の駆動力で前記伝達手段を介して前記第2回動位置に位置させることにより、前記硬貨案内機構を前記第2案内状態にすることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、回動部材を駆動手段により回動させるという簡素な構造で、仕分け後に上流側から送られてくる硬貨の以降の硬貨通過経路を、硬貨詰まり状態の第1経路から、硬貨詰まりの発生していない第2経路に切り換えることが可能となる。また、回動部材と駆動手段とを伝達手段で連結して駆動手段の駆動力を伝達手段により回動部材に伝達して回動部材を回動させるので、仮に駆動手段の配置位置を変えても、伝達手段の構造変更は伴うものの、駆動手段の駆動力を回動部材に伝達可能となる。よって、駆動手段の配置位置の自由度が向上するので、現金回収装置の空きスペースに駆動手段を配置することが可能となり、現金回収装置の小型化を図ることが可能となる。
【0015】
本発明では、前記現金回収装置の入力系である操作手段の操作に基づき、当該現金回収装置の動作モードを、前記硬貨詰まりの監視に基づき前記硬貨案内機構を動作させる硬貨詰まり監視モードと、当該硬貨詰まり監視モードを実行しないオフモードとのどちらかに設定可能なモード設定手段を備えたことを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、現金回収装置の動作モードが硬貨詰まり監視モードに常時設定されるのではなく、この硬貨詰まり監視モードが解除されたオフモードにも現金回収装置の動作モードを設定することが可能となる。このため、例えば運賃箱金庫内の運賃が少ないときなど硬貨詰まりの監視の必要がない場合には、現金回収装置の動作モードをオフモードとしておけば、監視の必要がないにもかかわらず硬貨詰まりの監視を行う状況が生じなくなり、現金回収装置を利便性の高い装置とすることが可能となる。
【0017】
本発明では、前記仕分け後に前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機と、前記硬貨詰まり時の当該硬貨の通過経路となる前記第2経路とが1つのユニット部品として形成され、前記ユニット部品は、前記現金回収装置の装置本体に対して出し入れ可能に取り付けられていることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、硬貨計数機と第2経路とが1つのユニット部品として形成され、このユニット部品が現金回収装置の装置本体に対して出し入れ可能となっている。よって、例えば仮に硬貨計数機に故障が発生した際には、ユニット部品の出し入れ用に装置本体に形成した扉を開けつつユニット部品を手前に引き出して硬貨計数機を装置本体の外部に露出させることにより、硬貨計数機のメンテナンスを行うことになる。このため、硬貨計数機を修理する場合には、仮に硬貨計数機がメンテナンスし難い位置に取り付いていたとしても、この硬貨計数機を簡単に外部に取り出すことが可能となるので、この種のメンテナンスを行うに際して面倒さが生じ難くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置内において仮に硬貨詰まりが発生したとしても、継続して現金等の回収動作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した現金回収装置一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
図1に示すように、路線バスやワンマン鉄道等の車両の車内には、運賃(硬貨、紙幣)や券類(整理券、回数券等)の投入先として運賃箱1が設置されている。運賃箱1には、運賃箱1に投入された運賃や券類の収納先(蓄積先)として運賃箱金庫2が着脱可能に取り付けられている。運賃箱金庫2は、例えば箱形状をなすとともに、硬貨、整理券及び回数券を混在して収納する硬貨収納室3と、紙幣のみを収納する紙幣収納室4とが区画形成されている。運賃箱金庫2は、硬貨収納室3が硬貨収納室シャッタ5により開閉可能で、紙幣収納室4が紙幣収納室シャッタ6により開閉可能であって、運賃箱1から取り外された際にシャッタ5,6が閉じられてこれらが施錠される。
【0021】
また、路線バスやワンマン鉄道等を管理する会社のターミナルセンタ7には、複数の運賃箱金庫2に蓄積された運賃や券類を一括収納する金庫解錠器8が設置されている。金庫解錠器8は、自身にセットされた運賃箱金庫2を解錠して運賃箱金庫2内の硬貨、紙幣及び券類等を解錠器本体9の内部に流し込みつつ、これらを仕分けして所定の金庫や収納箱に収納する動作を、自身にセットされる運賃箱金庫2ごとに行うことにより、複数の運賃箱金庫2内の硬貨、紙幣及び券類を一括回収する。なお、金庫解錠器8が現金回収装置に相当し、解錠器本体9が装置本体に相当する。
【0022】
金庫解錠器8の前面上部には、運賃箱金庫2のセット先として箱形状に開口した運賃箱金庫収納室10が解錠器本体9の幅方向に並んで複数(本例は2つ)設けられている。ここで、例えば一方(例えば紙面右側)の運賃箱金庫収納室10aに運賃箱金庫2aがセットされて、この運賃箱金庫2a内の運賃及び券類が解錠器本体9の中に送り込まれて一括回収されている最中に、他方(例えば紙面左側)の運賃箱金庫収納室10bに運賃箱金庫2bがセットされたとする。このときは、後入れの運賃箱金庫2bを待機状態にして運賃及び券類の吐き出しを待たせ、先入れの運賃箱金庫2aの運賃や硬貨の回収が終了すると、続いて後入れの運賃箱金庫2b内の運賃及び券類を解錠器本体9に流し込んで、これらを一括回収する。
【0023】
運賃箱金庫収納室10の底面には、解錠器本体9において硬貨及び券類の入口11を開閉する硬貨経路シャッタ12が設けられている。また、運賃箱金庫収納室10の側面には、解錠器本体9において紙幣の入口13を開閉する紙幣経路シャッタ14が設けられている。運賃箱金庫2は、運賃箱1に取り付けられる時には硬貨収納室シャッタ5が上を向く配置向きをとり、金庫解錠器8に取り付けられる時には硬貨収納室シャッタ5が下を向く配置向きをとる。なお、入口11,13及びシャッタ12,14は、図1において紙面左側の運賃箱金庫収納室10bにのみ図示する。
【0024】
運賃箱金庫収納室10の上面には、運賃箱金庫2の収納状態をロックするロックピン15が垂直方向にスライド移動可能な状態で設けられている。このロックピン15は、運賃箱金庫収納室10に運賃箱金庫2が収納されていないとき、運賃箱金庫収納室10内に飛び出していない収納状態をとる。また、ロックピン15は、運賃箱金庫収納室10に運賃箱金庫2が収納されると、運賃箱金庫収納室10内に飛び出した突出状態をとって運賃箱金庫2の穴16に係止し、運賃箱金庫2の回収動作が終了するまでこのロック状態をとることにより、運賃箱金庫2の取り出しを禁止する。
【0025】
運賃箱金庫2内の硬貨、紙幣及び券類を金庫解錠器8に送り込むとき、運賃箱金庫2が解錠されて2つのシャッタ5,6が開状態となるとともに、解錠器本体9の2つのシャッタ12,14も開状態をとる。このように、シャッタ5,12が開状態となった際には、硬貨収納室3に収納された硬貨及び券類が自重により下方(金庫解錠器8の下方向)に落ちて解錠器本体9の内部に送り込まれる。一方、シャッタ6,14が開状態となった際には、運賃箱金庫2内の押出部材17(図8参照)が動いて、紙幣収納室4に収納された紙幣が側方(金庫解錠器8の幅方向)に押し出されて解錠器本体9の内部に送り込まれる。
【0026】
図1及び図7に示すように、金庫解錠器8の裏面下部には、金庫解錠器8で一括回収した硬貨の収納先として硬貨用金庫18が設けられている。この硬貨用金庫18は、金庫解錠器8の裏面下部に形成された硬貨用金庫収納室19(図10参照)に出し入れ可能な状態で収納されている。硬貨用金庫収納室19は、硬貨用金庫収納室扉20によって入口を閉じることが可能となっている。硬貨用金庫18には、一括回収した硬貨が流し込まれる硬貨収納袋21が複数(本例は8つ)設けられている。これら硬貨収納袋21,21…は、硬貨用金庫18の枠組みをなす袋支持部22に取り付けられるとともに、円周状に並ぶ配置位置をとっている。また、硬貨用金庫18は、キャスタにより移動する搬送台車23に乗せられ、この搬送台車23ごと硬貨用金庫収納室19に収納可能となっている。
【0027】
図1に示すように、金庫解錠器8の前面下部において一側方寄り(図1の紙面右寄り)の位置には、金庫解錠器8で一括回収した紙幣の収納先として紙幣用金庫24が設けられている。この紙幣用金庫24は、紙幣の入口として上壁が開口されるとともに、金庫解錠器8の前面下部の一側方寄りに形成された紙幣用金庫収納室25に出し入れ可能な状態で収納されている。紙幣用金庫収納室25は、紙幣用金庫収納室扉26によって入口を閉じることが可能となっている。運賃箱金庫2の紙幣収納室4内の紙幣は、運賃箱金庫2内の押出部材によって側方に押し出された後、解錠器本体9内の紙幣シュート(図示略)を通って紙幣用金庫24に搬送される。
【0028】
また、金庫解錠器8の前面下部において他側方寄り(図1の紙面左寄り)の位置には、金庫解錠器8で一括回収した券類の収納先として券類用金庫27が設けられている。この券類用金庫27は、券類の入口として上壁が開口されるとともに、金庫解錠器8の前面下部の他側方寄りの位置に形成された券類用金庫収納室28に出し入れ可能な状態で収納されている。券類用金庫収納室28は、券類用金庫収納室扉29によって入口を閉じることが可能となっている。
【0029】
図2に示すように、金庫解錠器8の内部には、金庫解錠器8の内部に落下してきた硬貨と券類とを分離する券銭分離機構30が設けられている。この券銭分離機構30には、解錠器本体9に対して回動可能な状態で取り付けられた略円筒形状をなすドラム31が設けられている。ドラム31は、解錠器本体9の幅方向を軸心L1として回動可能な取り付け状態をとるとともに、解錠器本体9の略中央位置に配置されている。ドラム31は、解錠器本体9の内部に送り込まれてきた硬貨及び券類をドラム内部に取り込み、自身の回動動作を伴わせてこれら硬貨と券類とを仕分けする。
【0030】
ドラム31は、そのドラム本体32の両端が開口した円筒形状をなし、一端側の開口がドラム31内への硬貨及び券類の導入口32aとなり、他端側の開口がドラム31からの券類の送出口32bとなっている。ドラム31の導入口32aの付近には、運賃箱金庫2から解錠器本体9に送り込まれた硬貨及び券類をドラム31の内部に流し込むベルトコンベア33が設けられている。また、ベルトコンベア33の下部には、ドラム31の内部に送り込まれた券類を、風により送出口32bに向けて飛ばす送風機34が設けられている。送風機34の風によりドラム31の送出口32bから外部に吐き出された券類は、解錠器本体9内の券類シュート(図示略)を通って券類用金庫27に搬送される。
【0031】
ドラム本体32の内部には、このドラム31内に送り込まれた硬貨及び券類のうち硬貨のみを通す硬貨フィルタ部35が一体回動可能に設けられている。硬貨フィルタ部35は、両側が開口した円筒形状をなすとともに、一端側の開口がドラム31内への硬貨及び券類の導入口32aとなり、他端側の開口が送出口32bに通じている。ベルトコンベア33により搬送された硬貨及び券類は、硬貨フィルタ部35の内部に送り込まれる。硬貨フィルタ部35は、ドラム本体32と同一軸心回動が可能であって、ドラム本体32よりも径が小さく、しかも長さが短く形成されている。硬貨フィルタ部35の周壁には、ドラム31の内部に入り込んだ硬貨を周壁外部に通過させる複数の孔36が規則性を持って形成されている。硬貨フィルタ部35は、ドラム31内に送り込まれた硬貨を孔36から硬貨フィルタ部35の外部に通すことにより、ドラム31内で券類と混ざり状態にある硬貨を券類から仕分ける。
【0032】
ドラム31の下方位置には、ドラム31(ドラム本体32及び硬貨フィルタ部35)の回動駆動源としてドラム用モータ37が配置されている。ドラム用モータ37は、そのモータ軸37aにプーリ38が取着され、そのプーリ38に掛装状態にあるベルト39を、ドラム本体32の送出口32b側の端部に形成されたベルト掛止部40に掛装することにより、ドラム31に接続されている。ドラム本体32の内周面には、ドラム31の回動軸心L1を中心として螺旋状に延びる硬貨案内部41が突出形成されている。ドラム本体32の周壁においてベルトコンベア33寄りの位置には、ドラム31内の硬貨をドラム31外に吐き出す硬貨吐出口42が貫設されている。硬貨案内部41は、ドラム31の回動動作時において硬貨を自身に沿わせて移動させることにより、ドラム本体32内の硬貨を下流側、即ち硬貨吐出口42に案内する。
【0033】
図3〜図7に示すように、解錠器本体9の内部には、ドラム31の載置場所として載置棚43が設けられている。この載置棚43の上面には、例えば金属板を折り曲げることにより形成されたドラムベース44が取り付けられ、このドラムベース44にドラム31が軸心L1回りに回動可能な状態で取り付けられている。
【0034】
また、図3〜図7,図10に示すように、載置棚43の下方位置には、ドラム31により仕分けされた後の硬貨の金種および金種別の硬貨枚数を解錠器本体9内で計数する硬貨計数機45が設けられている。硬貨計数機45は、自身を通過する硬貨を1枚ずつカウントアップしていくことにより硬貨収納袋21に収納される硬貨の金種および金種別の硬貨枚数を計数する機器であって、解錠器本体9の内部においてドラム31の下方位置に形成された硬貨計数機収納室46に収納されている。この硬貨計数機収納室46は、解錠器本体9の裏面に形成された裏面扉47(図10参照)によって入口を閉じることが可能となっている。この硬貨計数機45の上面には、硬貨計数機45の内部へ硬貨を投入する硬貨投入口45a(図7参照)が形成され、硬貨計数機45の側面には、硬貨計数機45で計数された後の硬貨を外部に排出する硬貨排出口45b(図7参照)が形成されている。硬貨計数機45は、計数した硬貨の金種別の硬貨枚数を硬貨計数データDkkとして出力可能である。また、硬貨計数機45は、自身の内部の硬貨通過経路における硬貨詰まりの有無を検出する硬貨詰まり検出センサ45sを内蔵し、この硬貨詰まり検出センサ45sで硬貨詰まりを検出すると、硬貨計数データDkkに代えて硬貨詰まり検出信号Sktを出力可能である。なお、硬貨詰まり検出センサ45sが硬貨詰まり検出手段に相当する。
【0035】
ドラム31の下方位置には、硬貨が硬貨収納袋21に向かって流れる時の硬貨通過経路として下流側硬貨シュート48が設けられている。下流側硬貨シュート48は、解錠器本体9に固定された取り付け状態をとりつつ硬貨入口が2つに分岐していて、硬貨計数機45を経由させない時の硬貨通過経路となる直通用硬貨シュート49と、硬貨計数機45を経由してきた硬貨を下流側に流す送り用硬貨シュート50とが形成されている。即ち、本例の下流側硬貨シュート48は、硬貨計数機45により計数された後の硬貨を下流側に流すことのみならず、しかもドラム31から吐き出された硬貨を、硬貨計数機45を通さずに直に下流側に流すことも可能となっている。直通用硬貨シュート49は、垂直方向に延びる向きに配置され、その硬貨入口49aが拡径に形成されている。また、送り用硬貨シュート50は、硬貨入口50aが硬貨計数機45の硬貨排出口45bに繋がるとともに、下端出口が直通用硬貨シュート49に導通されている。下流側硬貨シュート48は、直通用硬貨シュート49や送り用硬貨シュート50から取り込んだ硬貨を最下端の硬貨出口51から外部に吐き出す。なお、硬貨計数機45及び送り用硬貨シュート50が第1経路に相当し、直通用硬貨シュート49が第2経路を構成する。
【0036】
また、ドラム31と硬貨計数機45との間には、ドラム31により仕分けした後の硬貨を硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49とのどちらに送るのかを設定する硬貨振分機構52が設けられている。この硬貨振分機構52には、ドラム31の硬貨吐出口42から吐き出された硬貨を最初に通過させる上流側硬貨シュート53が設けられている。この上流側硬貨シュート53は、上端及び下端が開口した略四角箱形状をなし、ドラムベース44に取り付け固定されている。なお、硬貨振分機構52が硬貨案内機構に相当する。
【0037】
上流側硬貨シュート53の内部には、略板形状をなす弁(ダンパ)54が回動可動な状態で取り付けられている。この弁54の下端位置には、弁54が回動する時の回動軸心となる棒形状のシャフト55が取り付けられている。弁54は、ドラム31の回動軸心L1に対してシャフト55が平行する配置状態をとり、ドラム31の回動方向に沿う向きに回動可能となっている。また、弁54は、この回動動作によって、弁上端が解錠器本体9の裏側に傾いて仕分け後の硬貨を硬貨計数機45側に搬送する第1回動位置(図3,図4,図7の状態:第1案内状態)と、弁上端が解錠器本体9の表側に傾いて仕分け後の硬貨を直通用硬貨シュート49に搬送する第2回動位置(図5,図6の状態:第2案内状態)とをとる。よって、図7に示すように、上流側硬貨シュート53のシュート入口56は、弁54が第1回動位置をとるとき、硬貨計数機45側に導通した第1シュート出口57に繋がれ、第2回動位置をとるとき、直通用硬貨シュート49側に導通した第2シュート出口58に繋がれる。また、上流側硬貨シュート53には、シャフト55を回動し易くするベアリング部材53aが設けられている。なお、弁54が回動部材に相当する。
【0038】
上流側硬貨シュート53には、弁54の回動駆動源として例えば直流モータからなる弁駆動用モータ59が取り付けられている。弁駆動用モータ59は、上流側硬貨シュート53の背面側に形成された一対の片からなるモータ取付部60に取付固定され、ドラム用モータ37と回動軸が平行に並ぶ配置向きをとりつつ、しかもドラム用モータ37の下方位置に配置されている。弁駆動用モータ59は、弁54が第1回動位置に位置するときに一方向(例えば正転)に回動することによって弁54を第2回動位置に位置させ、弁54が第2回動位置に位置するときに他方向(例えば逆転)に回動することによって弁54を第1回動位置に復帰させる。なお、弁駆動用モータ59が駆動手段に相当する。
【0039】
弁駆動用モータ59は、弁駆動用モータ59の回転力を弁54のシャフト55に伝達するリンク機構61を介して弁54のシャフト55に連結されている。このリンク機構61は、例えば複数の長板をリンク状に組み合わせた動力伝達機構の一種であって、上流側硬貨シュート53の側方位置(図4及び図6の紙面左側)に配置されている。本例のリンク機構61は、弁駆動用モータ59のモータ軸に対して回動支点が偏心した状態で取り付けられたクランク62と、自身の基端が弁54のシャフト55に取付固定されたクランクレバー63と、クランク62及びクランクレバー63を連結するリンク64とからなる。クランクレバー63は、弁54と平行に並ぶ取り付け状態をとりつつ、弁54と固定状態にあることからこの弁54と一体に動く。クランクレバー63の略中央位置には、例えばピン形状をなした係止ピン65が形成され、この係止ピン65にリンク64の一端の係止孔66が貫挿されている。また、リンク64の他端は、回動支点67を支点に回動可能な状態でクランク62の端部に連結されている。なお、リンク機構61が伝達手段に相当する。
【0040】
上流側硬貨シュート53の側壁外面には、弁54が第1回動位置に位置したことを検出する第1フォトセンサ68と、弁54が第2回動位置に位置したことを検出する第2フォトセンサ69とが取り付けられている。また、クランクレバー63の先端には、この先端を延ばすことによりセンサドッグ70が形成されている。第1フォトセンサ68は、投光部から出力されている光がセンサドッグ70により遮られて受光部で光が受信できなくなると、弁54が第1回動位置に位置したことを検出し、その旨を通知する検出信号を出力する。第2フォトセンサ69は、第1フォトセンサ68と同様の検出態様をとり、センサドッグ70を検出すると弁54が第2回動位置に位置したことを検出し、その旨を通知する検出信号を出力する。
【0041】
また、図7及び図10に示すように、硬貨計数機45と下流側硬貨シュート48とは、1つの部品として組み付けられたユニット部品71として形成されている。本例においては、硬貨計数機45及び下流側硬貨シュート48を同一の板材71aに組み付けることでユニット化されている。図10に示すように、硬貨計数機収納室46において解錠器本体9の幅方向両側には、断面L字状の一対のレール部72,72が形成されている。このレール部72,72には、ユニット部品71が解錠器本体9の奥行き方向に沿ってスライド移動可能に載置されている。ユニット部品71(硬貨計数機45)をメンテナンスする際には、収納状態にあるユニット部品71を手前側に引き出すことにより行い、メンテナンス後はユニット部品71を解錠器本体9の内部に押し込むことにより元の収納状態に戻す。
【0042】
図7に示すように、ドラム31の下方位置には、硬貨振分機構52によって振り分けられた硬貨を複数の硬貨収納袋21の中から特定袋に振り分ける硬貨分配機構73が設けられている。硬貨分配機構73には、硬貨振分機構52から送り込まれた硬貨を硬貨収納袋21に流す時の硬貨通過経路として筒形状のアーム部材74が設けられている。このアーム部材74は、下流側硬貨シュート48から送られてきた硬貨を硬貨収納袋21に送る時の通過経路である。アーム部材74は、途中で折れ曲がった形状をなし、垂直方向に延びつつ中心軸が回動時の軸心L2となる第1筒部74aと、この第1筒部74aに対して所定角度だけ曲げられた第2筒部74bとを持つ。アーム部材74は、第1筒部74aの上端部が仕分け後の硬貨の導入口75となり、第2筒部74bの下端部が硬貨を硬貨収納袋21に向けて吐き出す送出口76となる。
【0043】
アーム部材74の下方位置には、アーム部材74の回動駆動源としてアーム回動用モータ77が配置されている。アーム回動用モータ77は、そのモータ軸77aが連結部材78を介してアーム部材74に連結されている。この連結部材78は、アーム回動用モータ77の駆動力を、アーム部材74が軸心L2回りに回動するのに必要な回動方向の運動力に変換する部材である。複数あるこれら硬貨収納袋21は、アーム回動用モータ77が回動してアーム部材74の送出口76が特定の硬貨収納袋21に向き合う位置決め状態をとることにより、複数の硬貨収納袋21のうち特定の1つが硬貨収納先として指定される。
【0044】
また、各々の硬貨収納袋21の上端位置には、収納した硬貨が硬貨収納袋21から溢れ出す可能性があることを検出可能な満杯センサ79が設けられている。この満杯センサ79は、例えば光学センサからなり、本例においては硬貨収納袋21に収納された硬貨が満杯になったのを検出するのではなく、硬貨収納袋21に収納された硬貨が異常に積み重なっていることを検出するセンサとして使用されている。満杯センサ79は、硬貨収納袋21内の硬貨が異常に積み重なっていることを検出すると、異常検出信号(例えば、オン信号)を出力可能となっている。
【0045】
ところで、例えば満杯センサ79がオン状態となる程に硬貨が異常に積み重なった際にアーム部材74を回転した場合を想定すると、盛り上がった蓄積状態にある硬貨にアーム部材74の送出口76が触れて、硬貨が溢れ出す可能性がある。よって、満杯センサ79がオンした時には、硬貨収納袋21内の硬貨が異常状態にあると判定して、金庫解錠器8はその旨をエラー表示するとともに動作が一旦停止状態となる。このとき、作業者は硬貨用金庫収納室扉20を開けて、盛り上がり蓄積状態にある硬貨を硬貨収納袋21に手で押し込むなどして、満杯センサ79が硬貨を検出しない状態に戻し、これを確認した後に金庫解錠器8をリセット操作して、金庫解錠器8に回収動作を再開させる。
【0046】
図8に示すように、金庫解錠器8には、この金庫解錠器8を統括制御するコントロールユニットとして金庫解錠器制御装置80が設けられている。この金庫解錠器制御装置80は、例えばCPU81、ROM82、書換可能メモリ83等を備え、硬貨計数機45、フォトセンサ68,69、満杯センサ79、モータ37,59,77等が接続されている。CPU81は、ROM82に書き込まれた制御プログラムPd1に基づき動作することにより、運賃箱金庫2、シャッタ12,14、ロックピン15、モータ37,59,77等を動作させることで、金庫解錠器8に運賃箱金庫2内の運賃及び券類を一括回収させるプログラムである。なお、金庫解錠器制御装置80が制御手段及びモード設定手段を構成する。
【0047】
また、本例の制御プログラムPd1には、運賃箱金庫2から取り込んだ硬貨を硬貨収納袋21に搬送する時にその通過経路で硬貨が詰まり状態となってしまっても、硬貨の回収を継続可能とする硬貨回収プログラムPdkが含まれている。本例の硬貨回収プログラムPdkは、硬貨計数機45に硬貨を通してこの硬貨の金種および金種別の硬貨枚数を計数しながら硬貨を硬貨収納袋21に送る際、硬貨計数機45における硬貨の詰まり有無を監視し、硬貨計数機45に硬貨が詰まった時に、硬貨を硬貨収納袋21に向けて流す硬貨通過経路を、硬貨計数機45を経由する経路から直に直通用硬貨シュート49に送る経路に切り換えて、硬貨計数機45に硬貨が詰まっても硬貨回収を継続可能とするプログラムである。
【0048】
本例の場合、硬貨計数機45は自身が起動状態にある際、自ら硬貨詰まりの有無を判定し、その起動状態時(要は硬貨枚数計数時)において硬貨詰まりを検出すると金庫解錠器制御装置80に硬貨詰まり検出信号Sktを出力する。金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを入力すると、現金回収動作、即ちドラム用モータ37の動作を一旦停止して、弁駆動用モータ59を一方向側に回転させて弁54の位置を第1回動位置から第2回動位置に切り換え、硬貨の通過経路を硬貨計数機45から直通用硬貨シュート49に変更する。そして、金庫解錠器制御装置80は、弁54の位置切り換え後、ドラム用モータ37を再駆動させて現金回収動作を再開する。これにより、硬貨計数機45で硬貨詰まりが発生しても、その後は硬貨計数機45で硬貨計数ができなくなるものの硬貨回収自体は継続可能となる。
【0049】
また、運賃箱金庫2には、この運賃箱金庫2を統括制御する運賃箱金庫制御装置84が設けられている。運賃箱金庫制御装置84は、例えばCPU85、ROM86、書換可能メモリ87等を備えている。CPU85は、ROM86に書き込まれた制御プログラムPd2に基づき動作することにより、運賃箱1に関する各種情報を書換可能メモリ87に書き込んだり、その書換可能メモリ87に書き込まれた各種情報を外部に出力したり、シャッタ5,6の施解錠や開閉を制御したりする。書換可能メモリ87に書き込まれる各種情報としては、例えば運賃箱1に投入された投入金、即ち運賃箱金庫2に収納された収納金に関する金庫データDknがある。この金庫データDknには、例えば運賃箱金庫2に蓄積された硬貨の金種別の硬貨枚数の情報として硬貨データDkm、紙幣の総枚数の情報として紙幣データDsn等がある。
【0050】
図9に示すように、運賃箱金庫2の裏面には、運賃箱金庫2側の電気配線の接続箇所として金庫側コネクタ88が設けられている。金庫側コネクタ88は、データ通信用のコネクタであって、その接続ピン(図示略)が運賃箱金庫制御装置84に接続されている。一方、金庫解錠器8において運賃箱金庫収納室10の内壁面には、金庫解錠器8側の電気配線の接続箇所として解錠器側コネクタ89が設けられている。解錠器側コネクタ89は、金庫側コネクタ88と接続可能であって、その接続ピン(図示略)が金庫解錠器制御装置80に接続されている。
【0051】
運賃箱金庫制御装置84は、運賃箱金庫2が運賃箱金庫収納室10に収納されて金庫側コネクタ88が解錠器側コネクタ89に繋がった状況下において、金庫解錠器制御装置80から金庫データDknの転送要求を受け付けると、書換可能メモリ87に書き込まれた金庫データDknを金庫解錠器制御装置80に出力する。また、運賃箱金庫制御装置84は、金庫側コネクタ88が解錠器側コネクタ89に繋がった状況下において、金庫解錠器制御装置80からシャッタ5,6の開操作要求を受け付けると、この時に閉状態にあるこれら2つのシャッタ5,6を開状態にし、金庫解錠器制御装置80からシャッタ5,6の閉操作要求を受け付けると、この時に開状態にあるこれら2つのシャッタ5,6を閉状態にする。
【0052】
金庫解錠器8には、金庫解錠器8の動作モードを設定する時に操作したり、或いは金庫解錠器8で収集した各種データを取り込んだりすることが可能な操作端末90が接続されている。この操作端末90は、例えばパーソナルコンピュータ等からなり、操作端末90を統括制御する制御部90a、キーボードやマウス等からなる操作部90b、各種画面を表示可能な表示部90c等を持っている。金庫解錠器8には、例えばUSB(Universal Serial Bus)からなるとともに金庫解錠器制御装置80に電気的に繋がった端末接続コネクタ91が設けられ、この端末接続コネクタ91に操作端末90が通信ケーブル92を介して接続されている。なお、操作端末90が操作手段に相当する。
【0053】
ところで、金庫解錠器8には、通常時は弁54を第1回動位置に位置させて硬貨を硬貨計数機45に通して硬貨回収を行いつつ硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生した時は弁54を第2回動位置に切り換えて硬貨通過経路を直通用硬貨シュート49に変更する硬貨詰まり監視モードと、最初から弁54を第2回動位置に位置させて硬貨を硬貨計数機45に経由させず直に直通用硬貨シュート49に流して硬貨を一括回収するオフモードとがある。金庫解錠器8の動作モードは、(硬貨詰まり監視モード、オフモード)は、作業者が操作端末90を操作することにより設定される。また、操作端末90は、硬貨計数機45が計測した硬貨計数データDkkと、運賃箱金庫2から取得した硬貨データDkmとを金庫解錠器8から取得可能である。よって、操作端末90の表示部90cには、硬貨計数機45が計数した硬貨枚数や、運賃箱金庫2内に収納された金庫内硬貨枚数が表示可能となっている。
【0054】
次に、本例の金庫解錠器8の動作を説明する。
金庫解錠器8で運賃箱金庫2内の現金回収を行うに際しては、最初に金庫解錠器8及び操作端末90の両方を立ち上げた状態にする。ここで、まずは金庫解錠器8の動作モードが硬貨詰まり監視モードに設定された場合を想定する。このとき、金庫解錠器8が回収動作を行う前の待機状態の際、弁54は第1回動位置に位置した状態をとるので、この時の上流側硬貨シュート53は、自身のシュート入口56が硬貨計数機45側に繋がる第1シュート出口57に繋がった状態をとる。よって、ドラム31により仕分けされた後の硬貨のこの時の通過経路は、硬貨計数機45を経由しつつ硬貨計数機45で硬貨計数された後に硬貨収納袋21に向かう通過経路をとる。
【0055】
また、2つある運賃箱金庫収納室10a,10bのうち一方(図1の右側)の運賃箱金庫収納室10aに運賃箱金庫2aがセットされたとする。ところで、金庫解錠器制御装置80は、自身に電源が投入されて起動状態にあるとき、解錠器側コネクタ89の接続状態を逐次監視し、ここで述べる例のように運賃箱金庫収納室10aに運賃箱金庫2aが収納されて金庫側コネクタ88が解錠器側コネクタ89に完挿し状態なったことを検出すると、ロックピン15を突出状態にしてこれを運賃箱金庫2aの穴16に係止させ、運賃箱金庫2aを運賃箱金庫収納室10aから取り外せないようにする。また、金庫解錠器制御装置80は、この時に一括回収動作が実行中でなければ、これらコネクタ88,89を介して、その時にセット状態にある運賃箱金庫2aの運賃箱金庫制御装置84に金庫データ転送要求を出力する。なお、完挿し状態の検出は、例えばコネクタ88,89の所定の接続ピン同士が通電状態になったか否かを見ることによって行う。
【0056】
運賃箱金庫制御装置84は、金庫解錠器制御装置80から金庫データ転送要求を受け付けると、自身の書換可能メモリ87に書き込まれている金庫データDknを読み出し、この金庫データDknを同じくコネクタ88,89を介して金庫解錠器制御装置80に転送する。金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫制御装置84から送られてきた金庫データDknを受け付けると、この金庫データDknの中から硬貨データDkmを読み取り、この時に運賃箱金庫収納室10aにセットされている運賃箱金庫2aの中に、どれだけの枚数の硬貨が収納されているのかその金庫内硬貨枚数Mkkを確認する。金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫収納室10に運賃箱金庫2がセットされる度に、運賃箱金庫2内の運賃及び券類を流し込む前段階において、この運賃箱金庫2から金庫データDknを受け付けて金庫内硬貨枚数Mkkを確認する。金庫解錠器制御装置80は、このように金庫内硬貨枚数Mkkを割り出すと、この金庫内硬貨枚数Mkkを操作端末90に転送し、金庫内硬貨枚数Mkkを操作端末90に取り込ませる。
【0057】
金庫解錠器制御装置80は、このようにして金庫内硬貨枚数Mkkの確認を行うと、続いて解錠器本体9の2つのシャッタ12,14を開状態にする。金庫解錠器制御装置80は、この2つのシャッタ12,14を開状態にした後、コネクタ88,89を介して運賃箱金庫2aにシャッタ開操作要求を出力する。運賃箱金庫制御装置84は、このシャッタ開操作要求を受け付けると、シャッタ5,6を解錠しつつこれらを開状態にする。このとき、運賃箱金庫2aに収納された硬貨及び券類は、自重により落下して解錠器本体9の内部に流し込まれ、紙幣収納室4の紙幣は、押出部材17によって側方に押し出されて解錠器本体9の内部に送り込まれ、紙幣シュートを介して紙幣用金庫24に搬送される。
【0058】
解錠器本体9の内部に送り込まれた硬貨及び券類は、ベルトコンベア33に乗ってドラム31の一端にある導入口32aまで搬送され、この導入口32aからドラム31(硬貨フィルタ部35)の内部に流し込まれる。そして、ドラム31内に入り込んだ券類は、送風機34の風によってドラム31の他端にある送出口32bに向かって飛ばされ、この送出口32bからドラム31の外部に吐き出される。ドラム31の外部に吐き出された券類は、券類用シュートを通過して券類用金庫27に搬送される。
【0059】
一方、ドラム31の内部に送り込まれた硬貨は、ドラム用モータ37によって回転状態をとる硬貨フィルタ部35の内面を滑り、孔36と対向位置をとると、この孔36からドラム本体32の内面に落下する。また、ドラム31が回転状態をとるとき、螺旋状の硬貨案内部41はドラム31の回転動作によって硬貨を下流側(硬貨吐出口42)に送る案内機構として働くことから、ドラム本体32の内面に送り込まれた硬貨はこの硬貨案内部41により硬貨吐出口42に案内されて、この硬貨吐出口42からドラム31の外部に吐き出される。そして、ドラム31から吐き出された硬貨は、上流側硬貨シュート53のシュート入口56に排出される。
【0060】
金庫解錠器8の動作モードが硬貨詰まり監視モードの場合、上流側硬貨シュート53の弁54は第1回動位置をとっているので、上流側硬貨シュート53のシュート入口56は第1シュート出口57に繋がった状態をとる。これにより、上流側硬貨シュート53内に送り込まれた硬貨は、上流側硬貨シュート53の第1シュート出口57から硬貨計数機45に送り込まれて、この硬貨計数機45で硬貨計数される。硬貨計数機45は、例えば硬貨を1枚ずつ計数する度に金種別の数値がカウントアップする数値データを、硬貨計数データDkkとして金庫解錠器制御装置80に出力する。金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨計数データDkkを受け付けると、硬貨計数機45で計数した硬貨の金種および金種別の硬貨枚数、即ち直に計測した硬貨の枚数として実測硬貨枚数Mjkを把握する。そして、金庫解錠器制御装置80は、この実測硬貨枚数Mjkを操作端末90に転送し、この実測硬貨枚数Mjkを操作端末90に取り込ませる。硬貨計数機45で枚数が計数された硬貨は、硬貨吐出口42から硬貨計数機45の外部に吐き出され、送り用硬貨シュート50を通って直通用硬貨シュート49に送られ、直通用硬貨シュート49から硬貨収納袋21に吐き出される。
【0061】
操作端末90は、金庫解錠器8から取得した金庫内硬貨枚数Mkkと実測硬貨枚数Mjkとを、自身の表示部90cに数値表示が可能となっている。上位者は、表示部90cに表示された金庫内硬貨枚数Mkkと実測硬貨枚数Mjkとを見比べて、運賃箱1に実際に投入された硬貨の枚数(金庫内硬貨枚数Mkk)と、運賃箱金庫2a内に収納されていた実際の硬貨枚数(実測硬貨枚数Mjk)とに差が無いかどうかを確認する。よって、運賃箱金庫2aを運賃箱1から取り外して金庫解錠器8にセットするまでの間の金銭横領の有無を監視することが可能となる。
【0062】
金庫解錠器制御装置80は、1つの運賃箱金庫2の回収動作が完了すると、その時に指定状態にある硬貨収納袋21に硬貨の空きスペースがあるか否かを確認する。ところで、この種の硬貨収納袋21は、1つの袋内に収納できる硬貨の最大許容枚数が予め決められている。よって、硬貨収納先が空の硬貨収納袋21のときには、この最大許容枚数が空き容量Rとされ、空きの硬貨収納袋21に最初に硬貨が入れられた際には、この最大許容枚数から、その時に運賃箱金庫2から吸い上げた金庫データDknの金庫内硬貨枚数Mkkを減算して、この減算値を新たな空き容量Rとして割り出す。そして、運賃箱金庫2から金庫データDknを吸い上げる度に、データ吸い上げ前の空き容量Rからこの時の運賃箱金庫2の金庫内硬貨枚数Mkkを減算して新たな空き容量Rを割り出す処理を繰り返し行い、硬貨の収納スペースに空きがあるかを確認する。この時に割り出した空き容量Rに関するデータ(空き容量データDrd)は、金庫解錠器制御装置80の書換可能メモリ83に書き込まれ、次の回収動作時に使用すべく保持される。
【0063】
金庫解錠器制御装置80は、この空き容量R(減算値)が「0」よりも大きい値をとるのであれば、硬貨収納袋21にまだ空きがあると判定して、その時に指定状態にある硬貨収納袋21をそのまま継続して使用する。一方、金庫解錠器制御装置80は、この空き容量R(減算値)が「0」以下の値をとるのであれば、その時に指定状態にある硬貨収納袋21には空きがないと判定して、アーム回動用モータ77を所定量回動させることによりアーム部材74を軸心L2回りに所定量回動させて、アーム部材74の送出口76を隣の空の硬貨収納袋21の入口に位置させる。これにより、運賃箱金庫2内の硬貨の収納先は、これら硬貨を溢れ出させずに収納可能な容量を持つ(即ち、空状態)の硬貨収納袋21に切り換えられる。
【0064】
ところで、運賃箱金庫2aの回収動作を行っている最中に、例えば他方(図1の左側)の運賃箱金庫収納室10bに運賃箱金庫2bが収納されることもあるが、この時の金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫2bの金庫側コネクタ88が運賃箱金庫収納室10bの解錠器側コネクタ89に完挿しとなったことを検出すると、この時に回収動作が実行中であれば、運賃箱金庫2bに金庫内の運賃及び券類の搬出を待たせる準備状態をとらせる。この準備状態は、運賃箱金庫2bをロックピン15でロック状態にするものの金庫データDknのデータ出力は待たせた状態とするとともに、解錠器本体9に2つのシャッタ12,14を開けさせた状態にしておく動作である。
【0065】
ここで、この種の金庫解錠器8は1秒当たりに回収できる硬貨枚数(例えば20枚/1秒)が仕様によって決まっているので、金庫解錠器制御装置80は運賃箱金庫について硬貨の回収動作を行うとき、この金庫内に収納されている金庫内硬貨枚数Mkkが分かれば、その時の回収動作に要する処理時間も分かる。よって、金庫解錠器制御装置80は、金庫内硬貨枚数Mkkを割り出すとその時の回収動作に要する所要時間を演算し、回収動作時にこの所要時間が経過したら、運賃箱金庫における回収動作が終了したと判定する。金庫解錠器制御装置80は、運賃箱金庫2aの運賃及び券類の回収動作を行う際、運賃箱金庫2aの金庫内硬貨枚数Mkkから割り出した回収に必要な所要時間が経過すると、運賃箱金庫2aの回収動作が終了したと判定する。
【0066】
このように、金庫解錠器制御装置80は、一方の運賃箱金庫収納室10aにセットされた運賃箱金庫2aの一括回収動作が完了したことを認識すると、続いて隣の運賃箱金庫収納室10bにセットされた運賃箱金庫2bに金庫データ転送要求を出力して、運賃箱金庫2aの時と同じ要領で運賃箱金庫2b内の運賃及び券類を回収する。なお、この時は、運賃箱金庫収納室10bのシャッタ12,14に準備動作をとらせてこれらを予め開状態にしておくので、運賃箱金庫2aの回収動作が終了すると直ぐに運賃箱金庫2bのシャッタ5,6の開操作が実行され、運賃箱金庫2b内の運賃及び券類が解錠器本体9の内部に流し込まれる。
【0067】
ところで、ドラム31で仕分け後の硬貨を硬貨計数機45を通して硬貨収納袋21に送る際に、硬貨が硬貨計数機45で詰まってしまって、そこから硬貨が下流に流れて行かなくなる場合も想定される。これは、例えば硬貨計数機45内の硬貨通路に数枚の硬貨が重なって流れてきたり、或いは想定以上の硬貨が同時に硬貨計数機45内に送られてきたりしたことなどを原因として起こる。硬貨計数機45は、例えば自身の内部に持つ硬貨詰まり検出センサ45sで硬貨詰まりを検出すると、硬貨計数データDkkに代えて硬貨詰まり検出信号Sktを金庫解錠器制御装置80に出力する。金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを入力すると、硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生したと認識する。なお、この時に硬貨の回収が途中である場合には、硬貨が詰まった後も残りの硬貨が上流側から順次送られてくる状態をとる。
【0068】
金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを受け付けると、運賃箱金庫2の現金回収動作、即ちドラム用モータ37(送風機34を止めることも可)の回転動作を一旦停止させ、弁駆動用モータ59を一方向に回転させる。このとき、リンク機構61は、弁駆動用モータ59の一方向(例えば、正転)に回る回動力を、第1回動位置にある弁54を第2回動位置に向かって回動させる回動力に変換して伝達する。金庫解錠器制御装置80は、弁54を第2回動位置に位置させるべく弁駆動用モータ59を一方向に回転させた際、第2フォトセンサ69でセンサドッグ70を検出すると、この検出タイミングで弁駆動用モータ59を停止させて弁54を第2回動位置に位置させる。
【0069】
このように、弁54が第2回動位置をとると、上流側硬貨シュート53のシュート入口56は第2シュート出口58に繋がった状態をとる。よってこの後、ドラム31から上流側硬貨シュート53に順次送られてきた硬貨は、直通用硬貨シュート49に直に流入する硬貨通過経路をとる。金庫解錠器制御装置80は、弁54が第2回動位置に位置したことを確認すると、ドラム用モータ37(送風機34も含む)の回転動作を再開させ、現金回収動作を再開する。よってこの後、ドラム31から吐き出された硬貨は、上流側硬貨シュート53を直に通って硬貨収納袋21に吐き出される。従って、このように硬貨計数機45が硬貨詰まり状態になったとしても、この時は硬貨を直に直通用硬貨シュート49に送るので、硬貨収納袋21への硬貨収納を継続して行うことが可能となる。
【0070】
また、金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを入力した際、金庫解錠器8の裏面外壁に取り付いたディスプレイ93に、硬貨詰まりの旨を通知するエラー表示(報知音も可)を表示する。作業者はディスプレイ93の表示エラーに気付いた後、運賃箱金庫の回収動作が終了したときに、上位者同伴の元で硬貨計数機45の硬貨詰まりを解消するメンテナンス作業を行うことになるが、この時は解錠器本体9の裏面扉47を解錠してこの裏面扉47を開操作する。そして、ユニット部品71を手前側にスライド移動操作して引き出し、この硬貨計数機45をメンテナンスして硬貨詰まりを解消し、この作業を終えた後、ユニット部品71を解錠器本体9の内部に押し込んでユニット部品71を収納状態に戻し、裏面扉47を再度施錠して元の状態に戻す。
【0071】
硬貨計数機45は、硬貨詰まりを検出しない状態に戻ると、硬貨詰まり検出信号Sktを出力しない状態に復帰する。よって、金庫解錠器制御装置80は、硬貨計数機45から硬貨詰まり検出信号Sktを受け付けない状態になるので、硬貨計数機45には硬貨詰まりが発生していないと認識する状態に復帰する。
【0072】
この状態で次の運賃箱金庫2が運賃箱金庫収納室10にセットされたとすると、この時の金庫解錠器8の動作モードが硬貨詰まり監視モードのままであれば、この運賃箱金庫2の回収動作を開始するに先立って、金庫解錠器制御装置80は弁駆動用モータ59を他方向に回転させる。このとき、リンク機構61は、弁駆動用モータ59の他方向(例えば、逆転)に回る回動力を、第2回動位置にある弁54を第1回動位置に向かって回動させる回動力に変換して伝達する。金庫解錠器制御装置80は、弁54を第1回動位置に戻すべく弁駆動用モータ59を他方向に回転させた際、第1フォトセンサ68でセンサドッグ70を検出すると、この検出タイミングで弁駆動用モータ59を停止させて弁54を第1回動位置に位置させる。これにより、ドラム31による仕分け後の硬貨の通過経路が硬貨計数機45を経由する側の通路に戻り、硬貨計数機45で硬貨を計数してから硬貨収納袋21に収める状態に戻すことが可能となる。
【0073】
さて、本例においては、弁54が第1回動位置をとって硬貨が硬貨計数機45で計数されてから硬貨収納袋21に搬送される通過経路をとる際に、硬貨計数機45で硬貨詰まりが検出された場合、この時は第1回動位置にある弁54を弁駆動用モータ59により第2回動位置に切り換えて、ドラム31から吐き出された後の硬貨を、硬貨計数機45を経由させずに硬貨を直に直通用硬貨シュート49を通して硬貨収納袋21に搬送する。従って、現金回収時において硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生しても、運賃箱金庫2内の硬貨を継続して回収することが可能となる。
【0074】
また、この種の金庫解錠器8は、現金を取り扱う装置である関係上、金庫解錠器8の各種扉の自由な開閉が制限され、開閉操作には上位者の同伴を必要とする場合が多く、夜間などはこれら扉の開閉操作が禁止されることも多々ある。よって、例えば本例のような硬貨詰まり対策を講じていない金庫解錠器で、各種扉の開閉が禁止されている期間に硬貨計数機45で硬貨詰まりが生じてしまった場合には、この硬貨詰まり後は金庫解錠器で現金回収を行うことができず、非常に不便さを感じることになる。しかし、本例のような硬貨詰まり対策が講じられた金庫解錠器8を採用すれば、硬貨計数機45に硬貨詰まりが発生しても、継続して硬貨回収が可能であるので、この点から見ても効果が非常に高いと言える。
【0075】
また、本例の弁54は、クランクレバー63とリンク64とが分離可能であるので、手動で第1回動位置と第2回動位置とに切り換えることが可能である。これは、例えば仮に弁駆動用モータ59が故障した場合を想定すると、この時は弁駆動用モータ59で弁54の回動ができなくなるので、この状況下となっても弁54の位置切り換えを可能とするためである。弁54を手動回動する場合、図11に示すように、弁駆動用モータ59、クランク62及びリンク64を解錠器本体9側から取り外す。そして、クランクレバー63の係止ピン65を把持部として指で摘み、手動で弁54を第1回動位置又は第2回動位置に回動させる。これにより、仮に弁駆動用モータ59が故障しても、手動により弁54を第1回動位置又は第2回動位置に切り換えることが可能となる。
【0076】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)金庫解錠器8に、ドラム31による仕分け後の硬貨の行先を硬貨計数機45側とするのか或いは直に直通用硬貨シュート49側とするのかを切り換える硬貨振分機構52を設けた。よって、硬貨計数機45側に送って硬貨計数処理しながら硬貨回収を行っているときに仮に硬貨が硬貨計数機45で詰まったとしても、硬貨振分機構52により硬貨の行先を直に直通用硬貨シュート49に向かわせる硬貨通過経路に切り換えることにより、運賃箱金庫2から取り込んだ硬貨を継続して回収することができる。
【0077】
(2)本例の硬貨詰まりは、硬貨計数機45で硬貨詰まりが生じているか否かを見ている。ところで、この種の硬貨計数機45は、硬貨を1枚ずつ通して計数する関係上、想定以上の硬貨が一気に流れ込んだり、或いは数枚の硬貨が同じ向きをとって同時に流れ込んだりすると、どうしても硬貨詰まりの懸念が生じる。よって、本例のように硬貨計数機45の硬貨詰まりを検出するようにすれば、硬貨詰まりの発生し易い箇所の硬貨詰まり有無を監視することになるので、より効果的に硬貨詰まりを検出することが可能となる。
【0078】
(3)硬貨振分機構52は、弁54の回動位置を弁駆動用モータ59により第1回動位置と第2回動位置とに切り換える機構をとっている。このため、硬貨の通過経路の切り換えを、弁54を弁駆動用モータ59で2位置に回動させるという簡単な構造で行うことが可能となる。
【0079】
(4)弁駆動用モータ59を弁54に伝達する動力伝達機構として、複数のリンク部材からなるリンク機構61を使用した。このため、例えばリンク機構61の1リンク部材長さやリンク数を変更すれば、弁駆動用モータ59を弁54から離間した位置に配置することも可能となり、弁駆動用モータ59の配置自由度を高いものとすることができる。また、本例のように動力伝達機構としてリンク機構61を使用して弁駆動用モータ59をドラム31の下方位置に配置するようにすれば、ドラム31の下方の空きスペースを有効利用することが可能となるので、金庫解錠器8の小型化に寄与する。
【0080】
(5)金庫解錠器8に操作端末90を接続し、この操作端末90を操作することにより、金庫解錠器8の動作モードを硬貨詰まり監視モードとオフモードとのどちらかに設定可能とした。よって、例えば運賃箱金庫2内の硬貨数が少ないときなどの硬貨詰まりの発生し難い状況の場合、動作モードをオフモードにしておけば、硬貨詰まりの監視の必要がないときにまでこの監視を行う必要がなくなり、金庫解錠器8を利便性の高い装置とすることができる。
【0081】
(6)硬貨計数機45及び直通用硬貨シュート49は、裏面扉47を開けた際、手前側に直通用硬貨シュート49が位置し、その奥に硬貨計数機45が位置する配置状態をとっているが、もし仮に直通用硬貨シュート49が解錠器本体9に固定状態で取り付いたと仮定すると、硬貨詰まりを生じた硬貨計数機45をメンテナンスすべくこの硬貨計数機45を解錠器本体9から取り出そうとした場合、直通用硬貨シュート49が邪魔になって、この取り出し作業が非常にやり難く感じる問題がある。しかし、本例のように硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49(即ち、下流側硬貨シュート48)を1つのユニット部品71としてこれを解錠器本体9からスライド操作式に引き出すことが可能となれば、硬貨計数機45の硬貨詰まりメンテナンスを行う時は、このユニット部品71を手前側に引き出せば、硬貨計数機45が解錠器本体9の外部に簡単に露出状態をとるので、硬貨計数機45及び直通用硬貨シュート49に先に述べた配置関係があっても、硬貨詰まりメンテナンスを非常に楽な作業で行うことができる。
【0082】
(7)金庫解錠器8の動作モードは、操作端末90によって遠隔操作によりモード設定が可能となっているので、運賃箱金庫2を運賃箱1から金庫解錠器8まで持ち運ぶ作業者に知られることなく、金庫解錠器8の動作モードを硬貨詰まり監視モード、即ち運賃箱金庫2内の硬貨を硬貨計数機45で実測する硬貨枚数実測モードに設定することが可能となる。よって、作業者はその時々において金庫解錠器8の動作モードが硬貨枚数実測モードかオフモードかどちらにあるのか分からないので、金庫解錠器8が硬貨枚数実測モードにあることを恐れて盗難を思い留まらせる心理状態を働かせることが可能となり、横領の発生防止に効果が高くなる。
【0083】
(8)弁54の位置を手動で第1回動位置又は第2回動位置に切り換え可能としたので、仮に弁駆動用モータ59が故障した場合であっても、弁54を第1回動位置又は第2回動位置に位置させることができる。
【0084】
なお、実施形態はこれまでに述べた構造に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 硬貨詰まり検出手段は、必ずしも硬貨計数機45の硬貨詰まりを検出するものに限定されない。例えば、送り用硬貨シュート50内での硬貨詰まりを検出するなど、どの硬貨通過経路上で硬貨詰まりを検出するのかは特に限定されない。
【0085】
・ 硬貨振分機構52は、回動式の弁54の回動位置を切り換えることで硬貨通過経路を切り換える機構に限定されない。例えば、モータ等を駆動源として1本の硬貨シュートの傾きを変えるなどして、硬貨通過経路を2通路の間で切り換える機構でもよい。
【0086】
・ 硬貨振分機構52は、弁駆動用モータ59を駆動源とする電気式に限定されない。例えば、硬貨詰まりを検出すると、その詰まり硬貨の重さ等で機械式に弁54の位置を第1回動位置から第2回動位置に切り換えるものでもよい。
【0087】
・ 硬貨振分機構52の弁54の回動駆動源は、必ずしも弁駆動用モータ59を使用したモータ式に限定されず、例えばシリンダを使用してもよい。
・ 弁駆動用モータ59の回転力を弁54に伝達する動力伝達機構は、必ずしもリンク機構に限定されず、例えばギア機構等の他の伝達機構を採用してもよい。
【0088】
・ ユニット部品71の出し入れは、このユニット部品71を水平方向において直線式に動かすスライド操作式に限定されない。例えば、水平方向において回動式に出し入れされるなど、出し入れ時の操作方向は特に限定されない。
【0089】
・ 硬貨計数機45と直通用硬貨シュート49(下流側硬貨シュート48)の配置位置は、必ずしも扉47側が直通用硬貨シュート49で奥側が硬貨計数機45であることに限定されず、この位置関係が逆でもよい。
【0090】
・ 硬貨計数機45及び下流側硬貨シュート48は、必ずしもユニット部品化されている必要はなく、これらが別々の部品として形成されていてもよい。
・ 金庫解錠器8で設定できる動作モードは、硬貨詰まり監視モードとオフモードとの2種類に限定されず、例えば硬貨計数機45で硬貨は計数するものの硬貨詰まり自体は監視しない硬貨計数モードを追加するなど種々のモードが採用可能である。
【0091】
・ 金庫解錠器8の動作モードを設定する操作系は、必ずしも金庫解錠器8と別体(操作端末90)となっていることに限らず、金庫解錠器8に一体に組み付いたものでもよい。
【0092】
・ 硬貨分配機構73は、途中で曲がった筒状のアーム部材74をアーム回動用モータ77により回動させて、複数の硬貨収納袋21の中から特定の1つを指定する機構のものに限定されない。例えば、1本の硬貨シュートの傾きをアクチュエータにより変えることによって、硬貨収納先となる硬貨収納袋21を指定する機構でもよい。
【0093】
・ 金庫解錠器8は、必ずしも複数の運賃箱金庫収納室10a,10bを持つものに限定されず、これを1つのみ備えるものでもよい。
・ 運賃箱金庫2に登録された金庫データDknに含まれるデータ種は、必ずしも硬貨データDkm及び紙幣データDsnに限定されない。例えば、運賃箱1に、磁気カード又はICカードにより運賃支払いが可能なカードリーダが搭載されている場合には、この磁気カード又はICカードから読み取ったカード情報が含まれていてもよい。
【0094】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、前記硬貨と前記券類との仕分けを一旦停止させ、当該停止後に前記硬貨案内機構を前記第1案内状態から前記第2案内状態に切り換え、その切り換えが完了した後に前記仕分けを再開する仕分け停止手段を設けた。この構成によれば、硬貨詰まりの時に下流側に流れてくる硬貨の量が少なくなるので、硬貨の詰まり量を少なく抑えることが可能となる。
【0095】
(2)請求項2〜5,前記技術的思想(1)のいずれかにおいて、前記効果詰まり検出手段は、前記硬貨計数機に組み込まれた機能である。この構成によれば、硬貨詰まり検出手段を用意するに際して、硬貨計数機とは別部品で硬貨詰まり検出手段を用意する必要がなくなるので、現金回収装置に必要となる部品点数を少なく抑えることが可能となる。
【0096】
(3)請求項4,5,前記技術的思想(1),(2)のいずれかにおいて、前記モード設定手段は、前記現金回収装置の装置本体とは別部品に構成され、前記現金回収装置の動作モードの設定を遠隔操作により行う。この構成によれば、現金回収装置から離れた場所で現金回収装置の動作モード設定を行うことが可能となるので、モード設定を遠隔操作によって行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】一実施形態における金庫解錠器の概略構成を示す斜視図。
【図2】券銭分離機構の概略構成を示す斜視図。
【図3】弁が第1回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す側面図。
【図4】弁が第1回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す裏面図。
【図5】弁が第2回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す側面図。
【図6】弁が第2回動位置をとる時の金庫解錠器の動作状態を示す裏面図。
【図7】金庫解錠器内の内部構成を模式的に示す斜視図。
【図8】金庫解錠器及び運賃箱金庫の電気構成を示すブロック図。
【図9】金庫解錠器及び運賃箱金庫のコネクタ部分を示す斜視図。
【図10】金庫解錠器の裏面側の外観を示す裏面図。
【図11】上流側硬貨シュートからモータ等を分離した時の状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0098】
1…運賃箱、2(2a,2b)…運賃箱金庫、8…現金回収装置としての金庫解錠器、9…装置本体としての解錠器本体、45…第1経路を構成する硬貨計数機、45s…硬貨詰まり検出手段としての硬貨詰まり検出センサ、49…第2経路としての直通用硬貨シュート、50…第1経路を構成する送り用硬貨シュート、52…硬貨案内機構として硬貨振分機構、54…回動部材としての弁、59…駆動手段としての弁駆動用モータ、61…伝達手段としてのリンク機構、71…ユニット部品、80…制御手段及びモード設定手段を構成する金庫解錠器制御装置、90…操作手段としての操作端末。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運賃及び券類の投入先である運賃箱に投入された運賃の収納先であって当該運賃箱から取り外し可能な運賃箱金庫を取り付け可能であり、取り付いた前記運賃箱金庫内の前記運賃と前記券類とを仕分けしてこれらの回収を行うとともに、当該回収を自身に取り付いた前記運賃箱金庫ごとに行って前記運賃及び前記券類を一括回収する現金回収装置において、
通常時の硬貨通過経路である第1経路に前記仕分け後の硬貨を案内する第1案内状態と、前記第1経路に前記硬貨が詰まった硬貨詰まり時の硬貨通過経路である第2経路に前記仕分け後の前記硬貨を案内する第2案内状態とのうちどちらかの状態をとる硬貨案内機構と、
前記硬貨が経路上で詰まる硬貨詰まりを検出する硬貨詰まり検出手段と、
前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換ることにより、前記硬貨詰まりが発生しても当該硬貨の回収を継続可能とする制御手段と
を備えたことを特徴とする現金回収装置。
【請求項2】
前記第1経路の経路上には、前記硬貨案内機構が前記第1案内状態をとる時に前記仕分け後において前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機が設けられ、前記硬貨詰まり検出手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりの有無を監視し、前記制御手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換えることにより、前記硬貨計数機を経由させずに前記硬貨を直に前記硬貨通過経路の下流側に送ることを特徴とする請求項1に記載の現金回収装置。
【請求項3】
前記硬貨案内機構は、
一軸を支点に回動動作が可能で、前記仕分け後の前記硬貨を前記第1経路に案内する第1回動位置と、前記仕分け後の前記硬貨を前記第2経路に案内する第2回動位置とを取り得る回動部材と、
前記回動部材を前記第1回動位置と前記第2回動位置との間で回動させる際の駆動源となる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動力を前記回動部材の回動運動力として伝達する伝達手段とを備え、
前記制御手段は、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1回動位置をとっていた前記回動部材を前記駆動手段の駆動力で前記伝達手段を介して前記第2回動位置に位置させることにより、前記硬貨案内機構を前記第2案内状態にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の現金回収装置。
【請求項4】
前記現金回収装置の入力系である操作手段の操作に基づき、当該現金回収装置の動作モードを、前記硬貨詰まりの監視に基づき前記硬貨案内機構を動作させる硬貨詰まり監視モードと、当該硬貨詰まり監視モードを実行しないオフモードとのどちらかに設定可能なモード設定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の現金回収装置。
【請求項5】
前記仕分け後に前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機と、前記硬貨詰まり時の当該硬貨の通過経路となる前記第2経路とが1つのユニット部品として形成され、
前記ユニット部品は、前記現金回収装置の装置本体に対して出し入れ可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の現金回収装置。
【請求項1】
運賃及び券類の投入先である運賃箱に投入された運賃の収納先であって当該運賃箱から取り外し可能な運賃箱金庫を取り付け可能であり、取り付いた前記運賃箱金庫内の前記運賃と前記券類とを仕分けしてこれらの回収を行うとともに、当該回収を自身に取り付いた前記運賃箱金庫ごとに行って前記運賃及び前記券類を一括回収する現金回収装置において、
通常時の硬貨通過経路である第1経路に前記仕分け後の硬貨を案内する第1案内状態と、前記第1経路に前記硬貨が詰まった硬貨詰まり時の硬貨通過経路である第2経路に前記仕分け後の前記硬貨を案内する第2案内状態とのうちどちらかの状態をとる硬貨案内機構と、
前記硬貨が経路上で詰まる硬貨詰まりを検出する硬貨詰まり検出手段と、
前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換ることにより、前記硬貨詰まりが発生しても当該硬貨の回収を継続可能とする制御手段と
を備えたことを特徴とする現金回収装置。
【請求項2】
前記第1経路の経路上には、前記硬貨案内機構が前記第1案内状態をとる時に前記仕分け後において前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機が設けられ、前記硬貨詰まり検出手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりの有無を監視し、前記制御手段は、前記硬貨計数機における前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記第1案内状態をとっていた前記硬貨案内機構を前記第2案内状態に切り換えることにより、前記硬貨計数機を経由させずに前記硬貨を直に前記硬貨通過経路の下流側に送ることを特徴とする請求項1に記載の現金回収装置。
【請求項3】
前記硬貨案内機構は、
一軸を支点に回動動作が可能で、前記仕分け後の前記硬貨を前記第1経路に案内する第1回動位置と、前記仕分け後の前記硬貨を前記第2経路に案内する第2回動位置とを取り得る回動部材と、
前記回動部材を前記第1回動位置と前記第2回動位置との間で回動させる際の駆動源となる駆動手段と、
前記駆動手段の駆動力を前記回動部材の回動運動力として伝達する伝達手段とを備え、
前記制御手段は、前記硬貨詰まり検出手段が前記硬貨詰まりを検出すると、それまで前記硬貨詰まりがなく前記第1回動位置をとっていた前記回動部材を前記駆動手段の駆動力で前記伝達手段を介して前記第2回動位置に位置させることにより、前記硬貨案内機構を前記第2案内状態にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の現金回収装置。
【請求項4】
前記現金回収装置の入力系である操作手段の操作に基づき、当該現金回収装置の動作モードを、前記硬貨詰まりの監視に基づき前記硬貨案内機構を動作させる硬貨詰まり監視モードと、当該硬貨詰まり監視モードを実行しないオフモードとのどちらかに設定可能なモード設定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の現金回収装置。
【請求項5】
前記仕分け後に前記第1経路を通過する前記硬貨を計数可能な硬貨計数機と、前記硬貨詰まり時の当該硬貨の通過経路となる前記第2経路とが1つのユニット部品として形成され、
前記ユニット部品は、前記現金回収装置の装置本体に対して出し入れ可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の現金回収装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−169531(P2009−169531A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4738(P2008−4738)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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