説明

環状シール部材とそれを用いたブレーキ液圧制御装置

【課題】耐用年数の長いトラックなどに搭載されるブレーキ液圧制御装置についても、弁ブロックの腐食に起因した液圧制御装置の信頼性の低下を抑えられようにするために、装置の体格増加を抑えながら弁ブロックとケーシングの合わせ面のシールの信頼性を高めることを課題としている。
【解決手段】ケーシング16と弁ブロック12との間が環状シール部材1によって液密にシールされ、弁ブロック12とケーシング16の合わせ面が垂直或いは水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載されるブレーキ液圧制御装置において、環状シール部材1として、基部2が装置の腐食因子の滞留、堆積が起こり易い面(上面など)に沿って配向される領域にシールエッジ3を複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を基部2のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたものを用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2部材の合わせ面(対向面)間のシールに用いる環状シール部材と、それを用いて液圧制御弁が組み付けられた弁ブロックと電子制御装置が収容されているケーシングの合わせ面部のシールの信頼性を、装置の体格増加を抑えながら高めたブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2部材間の隙間をシールする環状シール部材として、例えば、下記特許文献1に開示されたものがある。また、液圧制御弁が組み付けられた弁ブロックと電子制御装置が収容されているケーシングの合わせ面を、環状シール部材を使用してシールした電子制御装置一体型の液圧制御装置が下記特許文献2に開示されている。
【0003】
シールリングと称されている特許文献1の環状シール部材は、軸穴とその軸穴に挿入される軸との間をシールするものであって、内周と外周にそれぞれ3つのシールエッジを有する。その内周と外周の3つのシールエッジを軸穴の内周面と軸の外周面にそれぞれ押し当てることで、環状シール部材の装着の安定性を高め、さらに、捩れや捻りを抑制してシール性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−275089号公報
【特許文献2】特開2008−285167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
寒冷地においては、融雪や凍結を防止する目的で道路に凍結防止剤を散布することがなされている。その凍結防止剤は、塩化カルシウムや塩化ナトリウムであり、その水溶液が車両に搭載されたブレーキ液圧制御装置に付着して弁ブロックを腐食させることが懸念される。
【0006】
ブレーキ液圧制御装置は、ボディがアルミニウム合金などで形成された弁ブロックに、樹脂製のケーシングを固定し、電子制御装置の構成部品を搭載した実装基板をそのケーシングの内部に収容しており、弁ブロックとケーシングの合わせ面を垂直又は水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載される。
【0007】
その搭載状況では、例えば、付着した腐食因子(塩分や水分)の残留、堆積が、ブレーキ液圧制御装置の上面(天の側を臨む面)、コーナ部の斜面、或いはマウントに支持される下面(地の側を臨む面)において起こり易い。また、ケーシングは、ボルトで弁ブロックに締結され、その締結ボルトを通すボルト孔が形成された部位や、樹脂製ケーシングの歪対策としてケーシング外周に設けられる肉ぬすみ部の設置域も水切り性が悪化して腐食因子の残留、堆積が起こり易い。
【0008】
腐食因子がシール部に沿った箇所に残留、堆積して弁ブロックの合わせ面が腐食すると、そこからシール部をかいくぐって腐食因子がケーシング内に侵入し、内部の部品にダメージを与える。弁ブロックの腐食は、急激に進行することはないが、耐用年数の長いトラックに搭載されるブレーキ液圧制御装置については、弁ブロックの腐食によるシール性の低下を念頭に入れて対策を講じておくことが望まれる。
【0009】
シール性を向上させる手法としては、特許文献1のように、シールエッジの数を増やすことが有効であるが、シールエッジの数を多くするほどシール部材のシール幅が大きくなるため、シール対象製品(液圧制御装置)の大型化を招く。
【0010】
車両のエンジンルームなどに設置される前掲のブレーキ液圧制御装置は、スペース面での設置制限を受けやすい。従って、大型化を招く策は敬遠される。
【0011】
また、ケーシングには、電気接続用のコネクタ部が一体に形成されており、ケーシングの横幅が大きくなると、電気接続の対象部からコネクタ部までの距離が変化するため、実装基板の入れ替えも必要になる。これ等のことがネックとなって、弁ブロックとケーシングとの間のシール性を高めることは検討されていなかった。
【0012】
この発明は、耐用年数の長いトラックなどに搭載されるブレーキ液圧制御装置についても、弁ブロックの腐食に起因した液圧制御装置の信頼性の低下を抑えられようにすること、そのために、装置の体格増加を抑えながら弁ブロックとケーシングの合わせ面のシールの信頼性を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明においては、環状をなす基部の両端面に、相反する向きに突出するシールエッジを有し、そのシールエッジをシール対象物の対向した面に密着させて基部の内周側に存在する領域と外周側に存在する領域とを液密に区画する環状シール部材を以下の通りに構成した。
すなわち、前記基部の少なくとも一部の領域に、前記シールエッジを複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を基部の他の領域のシールエッジの数よりも多くした。
【0014】
この環状シール部材は、基部の少なくとも一部の領域に、前記シールエッジを3条並列配置して設け、基部のその他の領域に前記シールエッジを2条並列配置して設けたものが好ましい。
【0015】
ブレーキ液圧制御装置において基部のシールエッジの数を多くする領域は、基部が装置の上面(天の側を臨む面)に沿って配向される領域や、装置の下面(地の側を臨む面)がマウントによって支持されるものについては基部が装置の下面に沿って配向される領域、装置の下部に装置取り付け用のブラケットが設置されるものについては基部が装置下面に沿って配向される領域の中から選ばれる少なくともひとつとする。
【0016】
この発明は、その条件を満足させた下記i)〜iv)のブレーキ液圧制御装置も併せて提供する。
i)液圧制御弁が組み付けられた弁ブロックと電子制御装置が収容されるケーシングを有し、前記ケーシングが前記弁ブロックに、前記液圧制御弁を包囲するように突き合わせて締結され、前記ケーシングと前記弁ブロックとの間が環状シール部材によって液密にシールされ、前記弁ブロックと前記ケーシングの合わせ面が垂直或いは水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載されるブレーキ液圧制御装置において、
前記環状シール部材として、上記したこの発明の環状シール部材を設け、その環状シール部材の、基部が装置の上面に沿って配向される領域に前記シールエッジを複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を前記基部のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたブレーキ液圧制御装置。
ii)上記i)と前提条件が同じブレーキ液圧制御装置において、
前記ケーシングと前記弁ブロックの少なくとも一方にケーシングと弁ブロックの締結ボルトを通すボルト孔を形成し、さらに、前記環状シール部材として、上記したこの発明の環状シール部材を設け、その環状シール部材の基部の前記ボルト孔の形成部に近接した領域に前記シールエッジを複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を前記基部のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたブレーキ液圧制御装置。
iii)上記i)と前提条件が同じブレーキ液圧制御装置において、
装置の下面をマウントによって支持し、さらに、前記環状シール部材として、上記したこの発明の環状シール部材を設け、その環状シール部材の基部の前記装置の下面に沿って配向される領域に前記シールエッジを複数条並列配置して設け、その領域のシールエッジの数を前記基部のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたブレーキ液圧制御装置。
iv)上記i)と前提条件が同じブレーキ液圧制御装置において、
装置の下部に装置取り付け用のブラケットを具備させ、さらに、前記環状シール部材として、上記したこの発明の環状シール部材を設け、その環状シール部材の基部の装置下面に沿って配向される領域に前記シールエッジを複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を前記基部のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたブレーキ液圧制御装置。
【0017】
これ等のブレーキ液圧制御装置は、前記環状シール部材に垂直に配向される領域を含ませ、その垂直に配向される領域のシールエッジの数を2条に設定したものが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
この発明の環状シール部材は、腐食の懸念が大きい箇所でシールエッジの数を多くし、基部の最外径側のシールエッジによるシール機能が損なわれたときに、基部の内径側のシールエッジをバックアップ要素として機能させる。これにより、腐食の懸念が大きい箇所が早期にシール不全となることを回避することができる。
【0019】
また、シールエッジの数を多くする領域を一部のみとすることで、他の領域のシール幅が無用に大きくなることが回避されるため、シール対象製品の体格増を最小限に抑えることも可能になる。
【0020】
車両用のブレーキ液圧制御装置は、通常、弁ブロックとケーシングの合わせ面が垂直になり、かつ、ケーシングに一体に形成される電気接続用のコネクタ部がケーシングの側方に置かれる姿勢にして設置される。この配置では、上下方向(天地の方向)への体格増加はさほど問題にならないが、横方向への体格増加は、スペース面での設置規制を受けやすくなる上に実装基板の入れ替えも必要になるため、許容されない状況が起こりうる。
【0021】
この発明の環状シール部材を使用すれば、そのようなときにも、横方向への体格増加を招かずに腐食因子の残留、堆積が起こり易い箇所のシールの信頼性を高めることができる。
【0022】
この発明の車両用のブレーキ液圧制御装置は、その環状シール部材を使用して腐食因子の残留、堆積が起こり易い箇所で環状シール部材のシールエッジの数を増やし、その他の箇所ではシールエッジの無用な増加をなくしており、装置の体格増加を抑えながら弁ブロックとケーシングの合わせ面のシールの信頼性を高めることができる。
【0023】
シールエッジの数は多い領域で3条、少ない領域で2条にするのがよく、そのようにすることで、より一層の耐食性の向上とシール対象製品の小型化を両立させることができる。環状シール部材が垂直に配向される領域は、付着した腐食因子が流下しやすいので、シールエッジの数は2条(現行品と同じ)にするのがよく、そうすることで横方向への体格増加を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a):この発明の環状シール部材の一例を示す正面図、(b):図(a)のI−I線に沿った断面図、(c):図(a)のII−II線に沿った断面図
【図2】(a):この発明のブレーキ液圧制御装置の一例の概要を示す斜視図、(b):図(a)のIII−III線に沿った断面図、(c):図(a)のIV−IV線に沿った断面図
【図3】図2のブレーキ液圧制御装置の合わせ面シール部の一部を示す端面図
【図4】この発明のブレーキ液圧制御装置の合わせ面シール部の他の例の一部を示す端面図
【図5】この発明のブレーキ液圧制御装置のさらに他の例を示す側面図
【図6】この発明のブレーキ液圧制御装置の合わせ面シール部の他の例の一部を示す端面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面の図1〜図6に基づいて、この発明の環状シール部材とそれを用いたブレーキ液圧制御装置の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、この発明の環状シール部材の一例を示している。この図1の環状シール部材1は、環状をなす基部2の両端面に、相反する向きに突出するシールエッジ3を設けて成る。シールエッジ3は、環状をなす基部2の各部のうち、1組の平行な2辺に沿う箇所のみでその数を3条にし{図1(b)参照}、その他の箇所ではその数を2条にしている{図1(c)参照}。3条のシールエッジ3は、基部の配向方向と直行する方向(基部の外径側から内径側に向う方向)に並列配置にして設けられ、2条のシールエッジ3も同様に並列配置にして設けられている。
【0027】
基部の最外径側のシールエッジ3と最内径側のシールエッジ3は、共に無端の状態になっている。3条のシールエッジのうち、最外径側のシールエッジと最内径側のシールエッジに挟まれた中央のシールエッジは、両端が最外径側のシールエッジ3から切り離された状態になっているが、その両端は最外径側のシールエッジ3に連なっていてもよい。
【0028】
この図1の環状シール部材1を採用した車両用のブレーキ液圧制御装置の一例を図2に示す。このブレーキ液圧制御装置10は、液圧ユニット11と電子制御ユニット15を組み合わせて構成されている。
【0029】
液圧ユニット11は、アルミニウム合金で形成された弁ブロック12を有する。その弁ブロック12の内部には、ポンプ(図示せず)が組み込まれ、そのポンプを駆動するモータ13が弁ブロック12の一面側に取り付けられている。また、弁ブロック12の内部に設けた液圧回路の接続状態の切替えや、弁部の開度調節などを行なう液圧制御弁(これも図示せず)が、弁ブロック12のモータ取り付け側とは反対側の面に組み付けられる。14は、締結ボルト21をねじ込むねじ孔である。
【0030】
以上の各要素によって構成される液圧ユニット11に対して電子制御ユニット15が締結される。その電子制御ユニット15は、ケーシング(樹脂で形成されたものが一般的)16の内部に、電子制御装置の構成部品を搭載した実装基板(図示せず)を収容して構成される。この電子制御ユニット15を、弁ブロック12のモータ取り付け側とは反対側の面に突き合わせてそのモータ取り付け側とは反対側の面に組み付けられている液圧制御弁をケーシング16で囲う。
【0031】
このとき、弁ブロック12とケーシング16の合わせ面が、環状シール部材1を用いて液密にシールされる。環状シール部材1は、ケーシング16の合わせ面に形成されたシール溝17に挿入されている。
【0032】
この環状シール部材1は、ケーシング16を弁ブロック12に締結ボルト21を用いて締結したときに基部2の両端面のシールエッジ3がシール対象の面(シール溝17の溝底面とそれに対向した弁ブロック12の端面)に密着して押し付けられ、これにより、ケーシング16の内外(基部2の内周側に存在する領域と外周側に存在する領域)が液密に区画される。
【0033】
18は、ケーシング16に設けたボルト孔であり、このボルト孔18に締結ボルト21が通される。20は、歪対策としてケーシング16に設けた肉ぬすみ部(凹部や孔)である。
【0034】
図示の如きブレーキ液圧制御装置10は、弁ブロック12とケーシング16の合わせ面が垂直或いは水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載される。その状況では、装置の上面(ケーシングの上面16aがある側の面)に付着した水分や塩分などの腐食因子が残留、堆積し易い。また、装置はマウントで支持することが多く、その場合には、マウントに接する下面(ケーシングの下面16bがある側の面)側でも腐食因子の残留、堆積が起こり易い。
【0035】
このために、図2のブレーキ液圧制御装置10は、基部2の両端面に設けるシールエッジ3の数を環状シール部材1の装置上面に沿う領域と装置下面に沿う領域で3条にし、その領域でシールのバックアップ機能を高めている。
【0036】
また、ケーシング16には、電気接続用のコネクタ部19が側部に一体成形して設けられる。その構造では、ケーシングの横幅が大きくなると電気接続の対象部からコネクタ部までの距離が変化し、実装基板をその距離変化に合致させたものと入れ替えることが要求されるようになる。そこで、基部2が装置の側面(ケーシングの側面16cがある側の面)に沿う領域では、環状シール部材1の両端面に設けるシールエッジ3の数を2条にし(現行品もシールエッジが2条のものがある)、その領域でのケーシングの体格増を招かないようにしている。この領域は腐食因子が流下しやすいので、シールエッジ3の数が2条でもシールの信頼性が十分に確保される。
【0037】
なお、ケーシング16のコーナ部が、図4に示すように水平面に対して傾斜していたり、そのコーナ部にボルト孔18やケーシングの歪防止用の肉ぬすみ部20が設けられていたりすると、そのコーナ部にも腐食因子が滞留、堆積しやすくなる。従って、このような箇所が存在するブレーキ液圧制御装置においては、ボルト孔18や肉ぬすみ部20の形成部に近接した領域(例えば、これ等の形成部に最も近接した領域を含む)、或いは水平面に対して傾斜したコーナに沿う領域でシールエッジの数をその他の領域のシールエッジの数よりも多くするのがよい。
【0038】
図5は、ブレーキ液圧制御装置10の下面をマウント22およびブラケット23で支持して車両に固定した状態を示している。マウント22は、緩衝のための環状のゴム部材22aと、これを挟持するカラー22b及びスペーサ22cと、これ等を弁ブロック12の下面に固定するボルト22dとを備えている。ブラケット23は、ゴム部材22aの外周に形成された環状のスリットに嵌入されてブレーキ液圧制御装置10を支持する。このケースでは、装置の下面側においても付着した腐食因子の滞留、堆積が生じやすくなるので、環状シール部材1の基部の装置下面に沿う領域でシールエッジ3の数をその他の領域のシールエッジの数よりも多くするのがよい。
【0039】
このほか、図6に示すように、装置の下部に装置取り付け用のブラケット23が設けられるものは、ブラケット23上に滞留、堆積した腐食因子が装置下面側で弁ブロック12を腐食させる懸念があるので、この場合にも、装置下面に沿う領域で環状シール部材1の基部に設けるシールエッジ3の数を基部のその他の領域のシールエッジの数よりも多くするのがよい。
【0040】
なお、本実施形態では、ブラケット23に対面したケーシング16の下面16bに、ケーシング16内の空気を出入りさせる呼吸孔24が設けられている。そしてさらに、その呼吸孔24の開口には、空気の通過を許容し、水分の通過を遮る遮水シート25が設けられている。また、ブラケット23は、その呼吸孔24の被水抑止のため、装置の支持に支障のない範疇でケーシング16の下面16bに近接させてその呼吸孔24に対向するように配置されている。
【0041】
上述したように、この発明の車両用のブレーキ液圧制御装置10は、腐食因子の残留、堆積が起こり易い箇所で環状シール部材1のシールエッジの数を増やし、その他の箇所ではシールエッジの数を最大部よりも少なくしてシール幅の増加を抑えており、装置の体格増加を抑えながら弁ブロックとケーシングの合わせ面のシールの信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 環状シール部材
2 基部
3 シールエッジ
10 ブレーキ液圧制御装置
11 液圧ユニット
12 弁ブロック
13 モータ
14 ねじ孔
15 電子制御ユニット
16 ケーシング
16a 上面
16b 下面
16c 側面
17 シール溝
18 ボルト孔
19 コネクタ部
20 肉ぬすみ部
21 締結ボルト
22 マウント
23 ブラケット
24 呼吸孔
25 遮水シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状をなす基部(2)の両端面に、相反する向きに突出するシールエッジ(3)を有し、そのシールエッジ(3)をシール対象物の対向した面に密着させて基部の内周側に存在する領域と外周側に存在する領域とを液密に区画する環状シール部材において、
前記基部(2)の少なくとも一部の領域に、前記シールエッジ(3)を複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を前記基部(2)の他の領域のシールエッジの数よりも多くした環状シール部材。
【請求項2】
前記基部(2)の少なくとも一部の領域に、前記シールエッジ(3)を3条並列配置して設け、前記基部(2)のその他の領域に前記シールエッジ(3)を2条並列配置にして設けた請求項1に記載の環状シール部材。
【請求項3】
液圧制御弁が組み付けられた弁ブロック(12)と電子制御装置が収容されるケーシング(16)を有し、前記ケーシング(16)が前記弁ブロック(12)に、前記液圧制御弁を包囲するように突き合わせて締結され、前記ケーシング(16)と前記弁ブロック(12)との間が環状シール部材(1)によって液密にシールされ、前記弁ブロック(12)と前記ケーシング(16)の合わせ面が垂直或いは水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載されるブレーキ液圧制御装置において、
前記環状シール部材として、請求項1又は2に記載の環状シール部材(1)を設け、その環状シール部材(1)の基部(2)の装置の上面に沿って配向される領域に前記シールエッジ(3)を複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を前記基部(2)のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
液圧制御弁が組み付けられた弁ブロック(12)と電子制御装置が収容されるケーシング(16)を有し、前記ケーシング(16)が前記弁ブロック(12)に、前記液圧制御弁を包囲するように突き合わせて締結され、前記ケーシング(16)と前記弁ブロック(12)との間が環状シール部材(1)によって液密にシールされ、前記弁ブロック(12)と前記ケーシング(16)の合わせ面が垂直或いは水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載されるブレーキ液圧制御装置おいて、
前記ケーシング(16)と前記弁ブロック(12)の少なくとも一方にケーシングと弁ブロックの締結ボルト(21)を通すボルト孔(18)を形成し、さらに、前記環状シール部材として、請求項1又は2に記載の環状シール部材(1)を設け、その環状シール部材(1)の基部(2)の前記ボルト孔(18)の形成部に近接した領域に前記シールエッジ(3)を複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を前記基部(2)のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
液圧制御弁が組み付けられた弁ブロック(12)と電子制御装置が収容されるケーシング(16)を有し、前記ケーシング(16)が前記弁ブロック(12)に、前記液圧制御弁を包囲するように突き合わせて締結され、前記ケーシング(16)と前記弁ブロック(12)との間が環状シール部材(1)によって液密にシールされ、前記弁ブロック(12)と前記ケーシング(16)の合わせ面が垂直或いは水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載されるブレーキ液圧制御装置において、
装置の下面をマウント(22)によって支持し、さらに、前記環状シール部材として、請求項1又は2に記載の環状シール部材(1)を設け、その環状シール部材(1)の基部(2)の前記装置の下面に沿って配向される領域に前記シールエッジ(3)を複数条並列配置にして設け、その領域のシールエッジの数を前記基部(2)のその他の領域のシールエッジの数よりも多くしたことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項6】
液圧制御弁が組み付けられた弁ブロック(12)と電子制御装置が収容されるケーシング(16)を有し、前記ケーシング(16)が前記弁ブロック(12)に、前記液圧制御弁を包囲するように突き合わせて締結され、前記ケーシング(16)と前記弁ブロック(12)との間が環状シール部材(1)によって液密にシールされ、前記弁ブロック(12)と前記ケーシング(16)の合わせ面が垂直或いは水平面に対して傾斜する姿勢で車両に搭載されるブレーキ液圧制御装置において、
装置の下部に装置取り付け用のブラケット(23)を具備させ、前記環状シール部材として、請求項1又は2に記載の環状シール部材(1)を設け、その環状シール部材(1)の基部(2)の装置下面に沿って配向される領域に前記シールエッジ(3)を複数条並列配置して設け、その領域のシールエッジ数を前記基部(2)のその他の領域よりも多くしたことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項7】
前記環状シール部材(1)に垂直に配向される領域を含ませ、その垂直に配向される領域のシールエッジ(3)の数を2条に設定した請求項3〜6のいずれかに記載のブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−229711(P2012−229711A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96877(P2011−96877)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】