瓶運搬用容器

【課題】不使用状態に於ける保管、運搬時の占有空間を節減することが出来る瓶運搬用容器を提供する。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂シートに、略有底円筒状の凹陥部が連設され、凹陥部の底壁には断面略半円状の突起が膨出され、長手方向に隣接する凹陥部間には凹溝が凹設され、周縁には垂下縁が周設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、粉状の微粒子を封入した円筒状の瓶を収納して運搬する瓶運搬用容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、粉状の微粒子を封入した円筒状の瓶を運搬するには、円形盲孔を連設した略直方体状のポリスチレン発泡体を２個１組として相対向する各盲孔に瓶の上下半部を夫々挿嵌し、フラップ蓋付きの紙箱内に収納して運搬されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、このようなポリスチレン発泡体は、緩衝効果は充分にあるが、不使用状態に於いても複数個を入れ子式に重ね合わせられず、保管、運搬時の占有空間を節減することが出来ないという問題点があった。
【０００４】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、不使用状態に於ける保管、運搬時の占有空間を節減することが出来る瓶運搬用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１の発明の瓶運搬用容器は、熱可塑性合成樹脂シートに、略有底円筒状の凹陥部が連設され、凹陥部の底壁には断面略半円状の突起が膨出され、長手方向に隣接する凹陥部間には凹溝が凹設され、周縁には垂下縁が周設されていることを特徴とする。
【０００６】
本発明の瓶運搬用容器に用いられる熱可塑性合成樹脂シートの材質は、特に限定されず、例えば、弾性が高く、焼却時に煤煙や有毒ガスが発生しないポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【０００７】
熱可塑性合成樹脂シートの厚みは、凹陥部に収納された複数の瓶を離間して保持するのに充分な剛性を有するよう、使用材質によって決定され、例えば、ＰＰ製シートであれば、約８ｍｍとされるのが好ましい。
【０００８】
熱可塑性合成樹脂シートに連設された略有底円筒状の凹陥部の形状は、収納される円筒状の瓶の直径、全長に従って決定され、特に限定されないが、瓶の全長が約８０ｍｍ程度の場合には、脱型を容易にする為に５度程度の抜きテーパーを設けるのが好ましい。
【０００９】
熱可塑性合成樹脂シートに連設された凹陥部の底壁に膨出された突起は、２個１組として相対向された凹陥部内に円筒状の瓶が収納された後、フラップ蓋付きの紙箱内に収納された状態で上下方向からの衝撃を緩和することが出来るよう、断面略半円状となされている。突起の形状は、特に限定されず、例えば、連続もしくは断続する円環状の突条であっても、円周上に等間隔に配置された３個以上の略半球状の突起であっても、何れでもよい。
【００１０】
熱可塑性合成樹脂シートの長手方向に隣接する凹陥部間には、２個１組として相対向された凹陥部内に円筒状の瓶が収納された後、フラップ蓋付きの紙箱内に収納された状態で長手方向からの衝撃による褶曲変形を防止することが出来るよう、凹溝が凹設されている。凹溝の断面形状は、特に限定されず、例えば、略隅丸矩形状、略半楕円状、略半円状等の何れでもよい。
【００１１】
熱可塑性合成樹脂シートの周縁に周設された垂下縁は、２個１組として相対向された凹陥部内に円筒状の瓶が収納された後、フラップ蓋付きの紙箱内に収納された状態で周方向からの衝撃に耐えて保形することが出来るよう、略直角に折曲されていればよい。
【００１２】
熱可塑性合成樹脂シートを熱成形する方法は、熱可塑性合成樹脂シートの材質、厚み、凹陥部の深さ等に従って決定され、特に限定されず、例えば、真空成形、圧空成形、プレス等の何れでもよい。
【発明の効果】
【００１３】
本発明の瓶運搬用容器は、叙上の通り構成されているので、使用時には充分に緩衝効果を有すると共に、不使用除隊に於いては入れ子式に重ね合わせて、保管、運搬時の占有空間を節減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図１は本発明の瓶運搬用容器の１例を示す斜視図である。
【実施例１】
【００１５】
厚み０．８ｍｍのＰＰ製シート１に、図１に示されているように、開口部の直径４６ｍｍ、深さ３８ｍｍの略有底円筒状の凹陥部１１が１０個、一定の間隔を離間させて５個宛２列に連設されている。
【００１６】
凹陥部１１の底壁には、断面が半径５ｍｍの半円状で、平面視連続する円環状の突条１２が突設されている。長手方向に２列に連設された各５個の凹陥部１１間には深さ８ｍｍの断面略隅丸矩形状の凹溝１３が凹設されている。シート１の周縁は略直角に下方に折曲されて幅８ｍｍの垂下縁１４が周設されている。
【００１７】
本発明の瓶運搬用容器を使用する際には、図２に示されているように、２個のシート１、１を１組として相対向する凹陥部１１に、粉状の微粒子を封入した円筒状の瓶Ｂの上下半部を夫々挿嵌し、フラップ蓋付きの紙箱Ｐ内に収納して運搬される。凹陥部１１の底壁に突設された円環状の突条１２によって、紙箱Ｐに対する上下方向からの衝撃が緩和されると共に、長手方向に隣接する凹陥部１１間に凹設された凹溝１３及び周縁に周設された垂下縁１４によって、周方向からの衝撃による褶曲変形が防止される。
【００１８】
運搬が完了したならば、図３に示されているように、シート１の凹陥部１１を他のシート１の凹陥部１１に挿嵌して入れ子式に重ね合わせることによって、不使用状態に於ける保管、運搬時の占有空間を節減することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【００１９】
本発明は、瓶運搬用容器の不使用状態に於ける保管、運搬時の占有空間を節減して保管、運搬効率を向上させ、リユース（ＲＥＵＳＥ）による資源の有効利用に資することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明の瓶運搬用容器の１例を示す斜視図である。
【図２】本発明の瓶運搬用容器の使用状態を示す断面図である。
【図３】本発明の瓶運搬用容器を２個入れ子式に重ね合わせた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【００２１】
１熱可塑性合成樹脂シート
１１凹陥部
１２突起
１３凹溝
１４垂下縁

【特許請求の範囲】
【請求項１】
熱可塑性合成樹脂シートに、略有底円筒状の凹陥部が連設され、凹陥部の底壁には断面略半円状の突起が膨出され、長手方向に隣接する凹陥部間には凹溝が凹設され、周縁には垂下縁が周設されていることを特徴とする瓶運搬用容器。

【図１】