説明

生ごみ処理機

【課題】乾燥性能を損なわず、乾燥ごみの炭化や付着した油成分の発煙を防止すると共に、使用者が加熱手段自体に直接触れることを防止した安全な生ごみ処理機を提供する。
【解決手段】生ごみ収納部32の開口面に対して略平行に配置した送風手段39と、送風手段39の全体を覆う送風ケース53の外側面部53aに設けられると共に生ごみ収納部32および送風ケース53内に露出しない加熱手段34と、送風ケース53の内側面部53bに設けられた複数のフィン53cとを有し、送風手段39で生ごみ収納部32側から空気を吸引して内側面部53bとフィン53cに吹き付けて作り出した熱風を生ごみ収納部32へ送り込むようにすると共に、内側面部53bとフィン53cの表面温度を、180℃以下で、且つ回流する熱風の温度との差を100℃以下としたもので、内側面部53bと複数のフィン53cで放熱表面積が拡大するので、従来の乾燥性能が維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所等で出る生ごみを処理する生ごみ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の生ごみ処理機においては、加熱手段自体が、生ごみを乾燥処理する生ごみ収納部内に配置されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、上記特許文献1に記載された従来の生ごみ処理機の断面図、図8は、同生ごみ処理機の蓋断面図、図9は、同生ごみ処理機の生ごみ収納部側から見た平面図を示すものである。
【0004】
図7〜図9において、1は、生ごみ処理機本体、2は、生ごみ(図示せず)を収納する生ごみ収納部で、底面に生ごみを攪拌する攪拌羽根3を備えている。この生ごみ収納部2の上部に、生ごみを加熱する加熱手段4を配してある。ここで、加熱手段4は、シーズヒータを使用している。また、加熱手段4の近傍には、送風手段6を配置し、加熱手段4に、送風手段6による風を直接当てることで、熱風を作り出し、その熱風を生ごみに当てて生ごみの表面を加熱乾燥する。なお送風手段6は、送風用モータ7により回転駆動される。加熱手段4と送風手段6の前面には多孔を配した保護カバー9を設けている。
【0005】
また、生ごみ収納部2の上方には吸気口8が設けられており、この吸気口8は、生ごみ収納部2を介して蒸気通路5を通じて脱臭手段10に接続されている。脱臭手段10は、加熱されて臭気を脱臭する触媒(図示せず)と、触媒を加熱する触媒加熱ヒータ12で構成し、触媒を介して臭気を脱臭し、排気口13より外部に排出する排気手段14(排気ファン、排気モータ、冷却ファン(いずれも図示せず))から構成されている。生ごみ処理機本体1内には、さらに、制御回路18と、攪拌羽根3を駆動する駆動装置19を設けてある。
【0006】
また、生ごみ収納部2を開閉する蓋21と、生ごみ処理機本体1は、尾錠20により施錠され、生ごみ処理機が運転状態に入る。
【0007】
上記従来の生ごみ処理機は、図7〜図9に示すように、加熱手段4自体が生ごみを乾燥処理する生ごみ収納部内に位置する構成であると共に、蓋21を開けたときに、運転を停止するようになっているので、蓋21を開けた状態では、加熱手段4への電源はオフ状態ではあるが、加熱手段4に直接、手が触れることが可能となっている。さらに、蓋21が開いた状態で、加熱手段4が見える状態となっている。
【特許文献1】特開2005−218929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の生ごみ処理機は、加熱手段4自体が生ごみを乾燥処理する生ごみ収納部2内に位置する構成であるため、加熱手段4の表面温度を400℃以上として、生ごみ収納部2内の温度および熱風温度を約120〜130℃にしている。ここで、生ごみ収納部2内の乾燥処理された乾燥ごみが送風手段6により舞い上がり、保護カバー9内の加熱手段4近傍に堆積していき、長時間使用で堆積した乾燥ごみが加熱手段4に接触するようになると、表面温度が400℃以上になる加熱手段4により、堆積した乾燥ごみが黒く炭化してしまう可能性があり、それを見た使用者が、堆積した乾燥ごみ部から生ごみ処理機本体1へ延焼し、発火するのでは?という不安感を与える恐れがあった。
【0009】
ここで、加熱手段4の温度を約180℃以下にして、堆積した乾燥ごみが黒く炭化しないようにすると、生ごみ収納部2内の温度および熱風温度が80℃にも到達できず、乾燥性能(処理時間、消費電力量、電気代など)が著しく悪化し、対策としてふさわしくない。また、単に加熱手段4を保護カバー9の内側に設け、熱源となる保護カバー9の側面部を180℃以下としても、同じく、生ごみ収納部2内の温度および熱風温度が80℃にも到達できず、乾燥性能(処理時間、消費電力量、電気代など)が大きく悪化してしまう。
【0010】
また、保護カバー9内に入った乾燥ごみを留めておかないよう、保護カバー9の外周部付近に設けている吐き出し用孔(図示せず)を大きくしている。生ごみ処理機の蓋21が開いた状態では、運転停止する制御であるため、加熱手段4の電源は完全オフ状態となり、通常使用時の安全性に問題はない。しかし、生ごみ処理機の蓋21が開いた状態において、保護カバー9の外周部付近に設けている吐き出し用孔を大きくした構成では、吐き出し用孔から加熱手段4自体に直接、使用者の手が容易に触れることが可能な構成であるため、使用者に注意を与える必要があると共に、使用者に対して火傷するのではという不安感を与えてしまうものであった。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、乾燥性能を損なうことなく、堆積した乾燥ごみの炭化や付着した油成分の発煙を防止すると共に、使用者が加熱手段自体に直接触れることを防止し、使用者に不安感を与えず、安全面に優れた生ごみ処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の問題を解決するために、本発明の生ごみ処理機は、生ごみを収納する生ごみ収納部を有する本体と、前記生ごみ収納部の開口面に対して略平行に配置したターボファンもしくはシロッコファンで構成した送風手段と、前記送風手段の全体を覆うと共に前記生ごみ収納部側を開口した送風ケースと、前記送風ケースの外側面部に設けられると共に前記生ごみ収納部および前記送風ケース内に露出しない加熱手段と、前記送風ケースの内側面部に設けられた複数のフィンとを有し、前記送風手段で前記生ごみ収納部側から空気を吸引して前記送風ケース側面部と前記フィンに吹き付けて作り出した熱風を前記生ごみ収納部へ送り込むようにし、さらに前記送風ケースの側面部と前記フィンの表面温度を、180℃以下とすると共に、回流する熱風の温度との差を100℃以下としたもので、送風ケースの側面部と複数のフィンで放熱表面積が従来の加熱手段の表面積に比べ5倍以上も拡大するので、従来の加熱手段表面温度400℃以上に対し、熱源となる送風ケースの側面部とフィンの表面温度を、乾燥ごみが炭化しない温度180℃以下まで低減しても、生ごみ収納部内の温度および熱風温度を約120〜130℃とすることが可能となり、乾燥性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)を損なうことなく、堆積した乾燥ごみの炭化や付着した油成分の発煙を防止すると共に、使用者が加熱手段自体に直接触れることを防止することができる。また、蓋が開いた状態でも、加熱手段自体が露出していないので、それが使用者に見えず、安全面に対して、使用者に不安感を与えることがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明の生ごみ処理機は、生ごみ処理機の性能を損なうことなく、堆積した乾燥ごみの炭化や付着した油成分の発煙を防止すると共に、使用者が加熱手段自体に直接触れることを防止し、使用者に不安感を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は、生ごみを収納する生ごみ収納部を有する本体と、前記生ごみ収納部の開口面に対して略平行に配置したターボファンもしくはシロッコファンで構成した送風手段と、前記送風手段の全体を覆うと共に前記生ごみ収納部側を開口した送風ケースと、前記送風ケースの外側面部に設けられると共に前記生ごみ収納部および前記送風ケース内に露出しない加熱手段と、前記送風ケースの内側面部に設けられた複数のフィンとを有し、前記送風手段で前記生ごみ収納部側から空気を吸引して前記送風ケース側面部と前記フィンに吹き付けて作り出した熱風を前記生ごみ収納部へ送り込むようにし、さらに前記送風ケースの側面部と前記フィンの表面温度を、180℃以下とすると共に、回流する熱風の温度との差を100℃以下としたもので、送風ケースの側面部と複数のフィンで放熱表面積が従来の加熱手段の表面積に比べ5倍以上も拡大するので、従来の加熱手段表面温度400℃以上に対し、熱源となる送風ケースの側面部とフィンの表面温度を、乾燥ごみが炭化しない温度180℃以下まで低減しても、生ごみ収納部内の温度および熱風温度を約120〜130℃とすることが可能となり、乾燥性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)を損なうことなく、堆積した乾燥ごみの炭化や付着した油成分の発煙を防止すると共に、使用者が加熱手段自体に直接触れることを防止することができる。また、蓋が開いた状態でも、加熱手段自体が露出していないので、それが使用者に見えず、安全面に対して、使用者に不安感を与えることがない。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明の生ごみ収納部の上部開口部を開閉する蓋を本体に回動自在に設け、前記蓋に加熱手段と、送風手段と、送風ケースを設けたもので、万が一、使用者が運転途中で蓋を開いた場合でも、400℃以上となる加熱手段自体に直接、手が触れず、安全面に優れた生ごみ処理機を提供できる。ここで、熱源となる送風ケースの側面部とフィンに手が触れることも考えられるが、送風ケースの側面部とフィンは最高180℃以下で、使用者が触れることが可能な箇所については120℃以下であり、蓋を開けて30秒程度で80℃以下となるため、従来(約5分で80℃以下)に比べ、格段に安全性が良化する。
【0016】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の送風ケースに、ステンレスなどの金属材料を用いたもので、ステンレスなどの板金は耐熱温度が高く、樹脂材料に比べ放熱性も高いため、熱効率が高く、安全面に問題のない生ごみ処理機を提供できる。
【0017】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の加熱手段として、マイカヒータ、ポリイミドヒータ、シリコンラバーヒータ、セラミックヒータなどの面状のヒータを用いたもので、送風ケースの外側面部に加熱手段を設けているため、生ごみ処理機運転中に生ごみ収納部の生ごみから発生する腐食性ガスを含む蒸気成分に対する加熱手段を構成するヒータの長期間に至る絶縁性、耐食性を確保する必要がないため、上記ヒータが使用可能となり、送風ケースの外側面部の形状に従順する形で、面状にヒータを形状化することが可能であるため、熱源となる送風ケース側面部の表面積とフィンの表面積が大きくなり、放熱量が増加することで、処理中の生ごみ収納部内の温度を従来の温度と同じに維持したまま、送風ケースの側面部とフィンの表面温度を、乾燥ごみが炭化しない温度180℃以下まで低減することが可能となり、使用者に不安感を与えることがなく、安全面に優れた生ごみ処理機を提供できる。また、形状に対してフレキシブルなマイカヒータなどの面状ヒータを使用することにより、送風ケースの外側面部に限らず、他面部へも取り付けが可能となる。
【0018】
第5の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の加熱手段として、送風ケースに溶射して形成した溶射ヒータを用いたもので、送風ケースの外側面部に熱源を作り出すことが可能となり、熱源となる送風ケース側面部とフィンにより、放熱表面積を大きくし、従来の加熱手段の表面積に比べ5倍以上を確保することで、従来加熱手段表面温度400℃以上に対し、送風ケースの側面部とフィンの表面温度を、乾燥ごみを炭化しない温度180℃以下まで低減しても、生ごみ収納部内の温度および熱風温度を約120〜130℃とすることが可能となり、乾燥性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)が悪化することなく、堆積した乾燥ごみの炭化を防止することが可能となり、使用者に不安感を与えることがなく、安全面に優れた生ごみ処理機を提供できる。また、送風ケースに溶射するのみであるため、軽量化が可能である。さらに、送風ケースに溶射するのみであるため、送風ケースの外側面部に限らず、他面部へも溶射することで、他面への熱源拡大が可能である。
【0019】
第6の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の加熱手段をシーズヒータ、カートリッジヒータなどの管状ヒータで形成したもので、送風ケースの外側面部に複数回巻きつける構成であるため、比較的形状に自由度が高いヒータと送風ケースの組み合わせにより、比較的安価で、熱源となる送風ケース側面部とフィンにより、放熱表面積を大きくし、従来の加熱手段の表面積に比べ5倍以上を確保することで、従来加熱手段表面温度400℃以上に対し、送風ケースの側面部とフィンの表面温度を、乾燥ごみが炭化しない温度180℃以下まで低減しても、生ごみ収納部内の温度および熱風温度を約120〜130℃とすることが可能となり、乾燥性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)が悪化することなく、堆積した乾燥ごみの炭化を防止することが可能となり、使用者に不安感を与えることがなく、安全面に優れた生ごみ処理機を提供できる。ここで、送風ケースの外側面部に加熱手段を設けているため、生ごみ処理機運転中に生ごみ収納部の生ごみから発生する腐食性ガスを含む蒸気成分に対する加熱手段を構成するヒータの長期間に至る絶縁性、耐食性を確保する必要がなく、ヒータ外郭を特殊金属としなくてもよいため、コスト面で安価となる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における生ごみ処理機の断面図、図2は、同生ごみ処理機の蓋断面図、図3は、同生ごみ処理機の蓋内部平面図、図4は、同生ごみ処理機の生ごみ収納部側から見た平面図を示すものである。
【0022】
図1〜4において、生ごみを収納する生ごみ収納部32の底面には、生ごみを攪拌する攪拌羽根33を備えている。39は、生ごみ収納部32内に空気を送る送風手段で、生ごみ収納部32の開口面に対して略平行に配置したターボファンから構成されると共に送風ケース53で覆われ、送風手段39の回転軸39aに対して略平行に配した送風ケース53の外側面部53aに加熱手段34を設けている。本実施の形態では、加熱手段34としてマイカヒータを使用しているが、ポリイミドヒータ、シリコンラバーヒータ、セラミックヒータなどの面状のヒータも使用可能である。
【0023】
送風ケース53は、支持板54で保持されている。また、耐腐食性、耐熱性、蓄熱性等を考慮し、送風ケース53と支持板54には、ステンレス板金が使用されている。ここで、送風ケース53は、ステンレス以外の板金および耐熱性のある樹脂材料を使用することは可能である。加熱手段34の支持板54側は、支持板54からの放熱を抑えるよう、断熱材65を配している。送風ケース53の内側面部53bには、フィン53cを複数設けている。本実施の形態では、フィン53cは、ステンレス板金を使用している。フィン53cは、送風ケース53にスポット溶接で固定されている。
【0024】
送風ケース53は、ターボファンの送風手段39全体を覆うよう配置し、生ごみ収納部32側から空気を吸引し、送風手段39からの風を、送風ケース53の内側面部53bとフィン53cに吹き付けることで、熱風を作り出し、その熱風を生ごみに当てて生ごみの表面を加熱乾燥する。ここで、送風手段39にターボファンを使用しているが、シロッコファンを使用しても効果は同じである。
【0025】
なお、送風手段39は、送風モータ37により回転駆動される。送風手段39の前面には多孔を配した保護カバー68を設けている。保護カバー68は、送風ケース53に設けたばね性を有した保護カバー取付具69で保持されている。また、生ごみ収納部32の温度を検知するための温度センサ70(サーミスタ)を設けている。
【0026】
以上のように、本実施の形態における加熱手段34は、送風ケース53の外側面部53aと支持板54との間に形成される空間内で、送風ケース53の外側面部53aに設けられると共に、送風手段39の前面に設けられた保護カバー68で覆われているので、加熱手段34が、送風ケース53内は勿論、生ごみ収納部32内に露出することは無い。
【0027】
生ごみ収納部32の上方には、吸気口38が設けられており、この吸気口38は、生ごみ収納部32を介して蒸気通路部35、連結通路36を通じて脱臭装置40に接続されている。脱臭装置40は、加熱されて臭気を脱臭する触媒(図示せず)と、触媒を加熱する触媒加熱ヒータ42で構成し、触媒を介して臭気を脱臭し、排気口43より外部に排出する排気手段44(排気ファン、排気モータ、冷却ファン(いずれも図示せず))から構成されている。生ごみ処理機本体31内には、制御回路48、攪拌羽根33を駆動する駆動装置49を設けてある。
【0028】
蓋51と生ごみ処理機本体31は、尾錠50により施錠され、生ごみ処理機が運転状態に入る。蓋開操作部52を操作することで、尾錠50を解除し、蓋51が自動的にオープンする構成となっている。
【0029】
本実施の形態では、蓋51に、加熱手段34、送風ケース53、支持板54、送風手段39、送風モータ37を配している。送風ケース53と支持板54により、蓋51閉時に生ごみ収納部32と蓋51を密閉するゴム材料のタイト部55を送風ケース53と支持板54で挟持する形で保持している。
【0030】
また、蓋51は、尾錠50の軸56と蓋回動軸57の両方を有する蓋フレーム58、ヒンジ59、ヒンジ軸60、蒸気通路部35、連結通路36で構成されている。ヒンジ59には、蓋回動軸57に平行にバネ61、案内棒62で構成する蓋開力生成部63を取付けている。
【0031】
以上のように構成された生ごみ処理機について、以下動作、作用、効果を説明する。
【0032】
生ごみを収納する生ごみ収納部32を有する生ごみ処理機本体31と、生ごみ収納部32の開口面に対して略平行に配置したターボファンで構成する送風手段39と、送風手段39の全体を覆い、生ごみ収納部32側を開口した送風ケース53と、送風ケース53の外側面部53aと支持板54の間に設けた空間内において、送風ケース53の外側面部53aに設置され発熱する加熱手段34と、送風ケース53の内側面部53bに配され放熱面積を増加させるフィン53cを有し、加熱手段34と接触して放熱する送風ケース53の内側面部53bとフィン53cを熱源として、送風手段39で生ごみ収納部32側から空気を吸引して送風ケース53の内側面部53bとフィン53cに吹き付けて熱風を作り出し、生ごみ収納部32へ熱風を送り込む構成であり、熱風が回流する生ごみ収納部32および送風ケース53内に加熱手段34が露出していないことを特徴とし、かつ熱源となる送風ケース53の内側面部53bとフィン53cの表面温度を180℃以下とした上で、送風ケース53の内側面部53bとフィン53cの表面温度と回流する熱風温度との差を100℃以下としたもので、送風ケース53の内側面部53bとフィン53cにより、放熱表面積が広くなり、従来の加熱手段の表面積に比べ5倍以上を確保することができ、従来加熱手段の表面温度が400℃以上に対し、本実施の形態では、熱源となる送風ケース53の内側面部53bとフィン53cの表面温度を、乾燥ごみが炭化しない温度180℃以下まで低減しても、生ごみ収納部32内の温度および熱風温度を約120〜130℃とすることが可能となり、乾燥性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)を損なうことなく、堆積した乾燥ごみの炭化や付着した油成分の発煙を防止すると共に、使用者が加熱手段34自体に直接触れることを防止することができる。
【0033】
また、蓋51が開いた状態でも、加熱手段34自体が使用者に見えないため、安全面に対して、使用者に不安感を与えることがない。
【0034】
さらに、送風ケース53の外側面部53aに加熱手段34を設けることで、加熱手段34の大きさで、送風手段39の大きさを決める必要がなく、送風ケース53の大きさに対して、送風手段39の大きさを自由に決めることができ、生ごみを乾燥させるための風量調整が容易になると共に、送風ケース53の外側面部53aおよび内側面部53bは、送風手段39から発生する風を生ごみ収納部32へ導くエアガイドの役割を有し、そこに熱源を設けることで、送風手段39からの風を効率的かつ容易に熱風を作り出すことが可能となる。
【0035】
また、生ごみ収納部32の上部開口部32aを開閉する蓋51を、生ごみ処理機本体31に対して回動自在に設けると共に、前記蓋51に、加熱手段34と、送風手段39と、送風ケース53を設けたことにより、万が一、使用者が運転途中に、蓋51を開いても、400℃以上となる加熱手段34自体に直接、手が触れず、安全面に優れた生ごみ処理機を提供できる。
【0036】
また、従来の生ごみ処理機の構成(図7〜9参照)では、送風手段6で舞い上がる生ごみ収納部2内の乾燥ごみは、加熱手段4と保護カバー9間の隙間に堆積することが多く、蓋21開閉操作等で衝撃を加えても、加熱手段4や保護カバー9の表面抵抗で動きづらく、保護カバー9に設けた孔から生ごみ収納部2へ排出しにくかったが、本実施の形態では、送風手段39で舞い上がる生ごみ収納部32内の乾燥ごみは、堆積しても送風ケース53と保護カバー68間のみで、しかも送風ケース53と保護カバー68の間に大きな隙間を有しているため、蓋51開閉操作等の衝撃を加えるのみで、保護カバー68に設けた孔から生ごみ収納部32へ排出し易くなる。
【0037】
又、ステンレスなどの板金は、耐熱温度が高く、樹脂材料に比べ放熱性も高いため、送風ケース53に、ステンレスなどの金属材料を使用することにより、熱効率が高く、安全面に問題のない生ごみ処理機を提供できる。ここで、生ごみ処理機の性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)を重要視せず、製品コストを重要視する場合、送風ケース53に、耐熱性の高いPPS(ポリフェニレンスルフィド)などの樹脂材料を使用しても良い。
【0038】
また、加熱手段34として、マイカヒータ、ポリイミドヒータ、シリコンラバーヒータ、セラミックヒータなどの面状のヒータを用いることで、送風ケース53の外側面部53aの形状に従順する形で、面状にヒータを形状化することが可能になり、熱源の表面積を大きくし、放熱量を増加することで、処理中の生ごみ収納部32内の温度を従来と同じに維持したまま、内側面部53bとフィン53cの表面温度を、炭化しない温度180℃以下まで低減することが可能となり、使用者に不安感を与えることがなく、安全面に優れた生ごみ処理機を提供できる。また、形状に対してフレキシブルなマイカヒータなどの面状ヒータを使用することにより、送風ケース53の外側面部53aに限らず、他面部へも取り付けが可能となる。
【0039】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態における生ごみ処理機の蓋断面図を示すものである。本実施の形態における生ごみ処理機は、加熱手段34以外は、上記第1の実施の形態における生ごみ処理機と同じであるため、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0040】
本実施の形態は、加熱手段34として、送風ケース53の外側面部53aに、図示しない絶縁層、導電層、断熱絶縁層を溶射して製作した溶射ヒータを使用するものである。ここで、加熱手段34は、支持板54側に溶射し、溶射ヒータとして使用しても効果は同じである。その他の構成については、上記第1の実施の形態と同じである。
【0041】
以上のように構成された本実施の形態における生ごみ処理機について、以下動作、作用、効果を説明する。
【0042】
加熱手段34として、送風ケース53の外側面部53aに溶射して形成した溶射ヒータを用いることにより、送風ケース53の外側面部53aに熱源を作り出すことが可能となり、従来加熱手段の表面温度が400℃以上に対し、熱源となる送風ケース53の内側面部53bとフィン53cの表面温度を炭化しない温度180℃以下まで低減しても、生ごみ収納部32内の温度および熱風温度を約120〜130℃とすることが可能となり、乾燥性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)が悪化することなく、又、堆積した乾燥ごみの炭化を防止することができる。
【0043】
また、送風ケース53に溶射するのみであるため、軽量化が可能である。さらに、送風ケース53に溶射するのみであるため、送風ケース53の外側面部53aに限らず、他面部へも溶射することで、他面への熱源拡大が可能である。
【0044】
ここで、送風ケース53の外側面部53aと対面する支持板54の側面部54aに溶射し、溶射ヒータとして使用しても上記効果は同じである。
【0045】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における生ごみ処理機の蓋断面図を示すものである。本実施の形態における生ごみ処理機は、加熱手段34、送風ケース53、支持板54以外は、上記第1の実施の形態における生ごみ処理機と同じであるため、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0046】
本実施の形態は、図6に示すように、加熱手段34としてシーズヒータを使用すると共に、曲げ加工などで2重の巻線形状としている。ここで、2重の巻線形状に限らず、1重形状および複数形状にしても効果は同じである。更に、送風ケース53と支持板54との間は、シーズヒータである加熱手段34が入るよう、隙間を大きくしている。ここで、単に隙間を大きくするに限らず、絞り加工などにより、シーズヒータなどの管状ヒータを収納するための一部的な隙間を確保することが可能である。
【0047】
本実施の形態では、加熱手段34としてシーズヒータを使用したが、カートリッジヒータなどの管状ヒータも使用可能である。その他の構成については、上記第1の実施の形態と同じであるため、説明を省略する。
【0048】
以上のように構成された生ごみ処理機について、以下動作、作用、効果を説明する。
【0049】
加熱手段34を、シーズヒータ、カートリッジヒータなどの管状ヒータで形成したことにより、送風ケース53の外側面部53aに複数回巻きつける構成であるため、比較的形状に自由度が高いヒータと送風ケース53の組み合わせにより、比較的安価で、従来の加熱手段の表面温度が400℃以上に対し、熱源となる送風ケース53の内側面部53bとフィン53cの表面温度を、乾燥ごみが炭化しない温度180℃以下まで低減しても、生ごみ収納部32内の温度および熱風温度を約120〜130℃とすることが可能となり、乾燥性能(乾燥処理時間、消費電力量、電気代など)が悪化することなく、また、堆積した乾燥ごみの炭化を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる生ごみ処理機は、加熱手段を使用者から見えない送風ケース外側面に配置し、かつ、送風ケース内側面に複数のフィンで放熱量を大きくし、温風を発生させるための熱源を180℃以下にすることにより、生ごみ処理機の性能を損ねることなく、堆積した乾燥ごみの炭化や付着した油成分の発煙を防止すると共に、使用者が加熱手段自体に直接触れることを防止し、使用者に不安感を与えず、安全面に優れた生ごみ処理機を提供できるため、加熱、乾燥、保温手段を有する電化製品、機械装置、設備等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態における生ごみ処理機の断面図
【図2】同生ごみ処理機の蓋断面図
【図3】同生ごみ処理機の蓋内部平面図
【図4】同生ごみ処理機の生ごみ収納部側から見た平面図
【図5】本発明の第2の実施の形態における生ごみ処理機の蓋断面図
【図6】本発明の第3の実施の形態における生ごみ処理機の蓋断面図
【図7】従来の生ごみ処理機の断面図
【図8】同生ごみ処理機の蓋断面図
【図9】同生ごみ処理機の生ごみ収納部側から見た平面図
【符号の説明】
【0052】
31 生ごみ処理機本体
32 生ごみ収納部
34 加熱手段
37 送風モータ
39 送風手段
51 蓋
53 送風ケース
53a 外側面部
53b 内側面部
53c フィン
54 支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを収納する生ごみ収納部を有する本体と、前記生ごみ収納部の開口面に対して略平行に配置したターボファンもしくはシロッコファンで構成した送風手段と、前記送風手段の全体を覆うと共に前記生ごみ収納部側を開口した送風ケースと、前記送風ケースの外側面部に設けられると共に前記生ごみ収納部および前記送風ケース内に露出しない加熱手段と、前記送風ケースの内側面部に設けられた複数のフィンとを有し、前記送風手段で前記生ごみ収納部側から空気を吸引して前記送風ケース側面部と前記フィンに吹き付けて作り出した熱風を前記生ごみ収納部へ送り込むようにし、さらに前記送風ケースの側面部と前記フィンの表面温度を、180℃以下とすると共に、回流する熱風の温度との差を100℃以下とした生ごみ処理機。
【請求項2】
生ごみ収納部の上部開口部を開閉する蓋を本体に回動自在に設け、前記蓋に加熱手段と、送風手段と、送風ケースを設けた請求項1に記載の生ごみ処理機。
【請求項3】
送風ケースに、ステンレスなどの金属材料を用いた請求項1または2に記載の生ごみ処理機。
【請求項4】
加熱手段として、マイカヒータ、ポリイミドヒータ、シリコンラバーヒータ、セラミックヒータなどの面状のヒータを用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項5】
加熱手段として、送風ケースに溶射して形成した溶射ヒータを用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項6】
加熱手段をシーズヒータ、カートリッジヒータなどの管状ヒータで形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の生ごみ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−69424(P2010−69424A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240484(P2008−240484)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】