説明

生まれたての雛用の改良されたワクチン噴霧装置

生まれたて1日の雛へのワクチン接種のためのワクチン噴霧装置は、制御された撹拌によりワクチンと希釈液を混合する撹拌機構付きのワクチン容器を有する。輸液ポンプによりワクチン容器からワクチンが取り出され、コンベアの上方に搭載された複数の噴霧ノズルにより供給される。トレイに収容された雛はコンベアに沿って移動して噴霧ノズルの下方を通過する。ワクチンの噴霧の量と向きはデジタル型のマイクロコントロールユニットにより制御され、マイクロコントロールユニットはコンベアに隣接して配置されてトレイの位置と速度を検出する追跡装置からのデータを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は養鶏業に関し、さらに詳しくは生まれたて1日の雛(chick)にワクチンを噴霧するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
養鶏業では、生まれたて1日の雛を野に放つ前にワクチン接種することが要求される。投与される一般的なワクチンには、コクシジウムワクチン(Coccidiosis vaccine)、ニューキャッスルワクチン(Newcastle vaccine)、鶏伝染性気管支炎ワクチン(Infectious Bronchitis vaccine)、及びI.B.Dワクチン及びREOワクチンを含む他の気道ウィルス(respiratory virus)のワクチンがある。雛カウンタ(chick counter)は、一般に100羽を1組として生まれたて1日の雛を開放したトレイに配置し、その後でトレイがコンベアに沿って移動するのに伴って所望のワクチンが噴霧の態様でトレイ上に投与される。
【0003】
ワクチンには異なる投与条件がある。コクシジウムワクチンは、約100から400ミクロンの寸法の液滴で投与(噴霧)しなければならない。大きな液滴が雛の綿毛に先端に落ちると、希釈液に色と輝きがあるので、雛は液滴に興味を持ち、互いの背中にある液滴を飲む。雛がオーシストないし接合子嚢(oocyst)を摂取すると、消化管に所望の被覆が得られる。
【0004】
気道ワクチンの場合には、概ね70から200ミクロンより小さい寸法の液滴が必要となる。ワクチンを微粉化ないし霧状化すると、通常の呼吸過程や涙管(lachrymal)を介して呼吸器系へワクチンが吸入される。
【0005】
今日市場で入手可能なすべての散布器は、遠心混合プラットフォーム (実験室用撹拌装置)と、投与量を計量するためのシリンジに供給するワクチン容器を備える。シリンジは、設定された体積のワクチンを装填及び供給する空気圧シリンダで駆動される。加圧されたシリンジは2以上の噴霧ノズルにワクチンを供給して噴霧パターンと適切な液滴寸法を生じさせる。以上の動作は、コンベア上を移動する雛のトレイが噴霧散布設備の下方を通過すると作動するセンサやマイクロスイッチによって誘起される。
【0006】
これらの先行技術の噴霧技術には、ワクチン混合手順に端を発する多くの問題がある。遠心法では、希釈液とワクチン濃縮液の容器を実験室用電磁撹拌棒(laboratory magnetic stirring bar)の表面を覆うように配置することで混合がなされる。ワクチン容器内に磁石を配置することで、撹拌棒が運動をワクチン容器内の磁石に伝え、撹拌運動を生じさせる。
【0007】
電磁撹拌棒は容易にアクセスできる可変撹拌速度制御を有する。速度が速すぎれば、渦が形成され、分子の重量の相違が実際に分子を分離させる。ワクチン細胞は裸眼では不可視であるので、この分離はオペレータにとって明白ではない。逆に、撹拌速度が遅すぎると、細胞が容器の底に集中し、これもオペレータにとって不可視である好ましくない結果となる。
【0008】
また、容器を不適切に配置すると撹拌効率に悪影響を与え、その上、実験用電磁棒撹拌表面を覆うようにワクチン容器を配置すべき定位置がないという事実から、撹拌は複雑である。電磁棒上への不適切な配置に起因することが多い不均一な混合状態により、ワクチン容器中のウイルスないし寄生虫の濃化が起こり得るし、さらに希釈液中の不適切なワクチン懸濁により、ワクチンの不均一な投与が起こり得る。その結果、すべての雛が希釈液を被っても、必ずしも正しい量のワクチンウイルスないし寄生虫細胞を被らないので、ワクチン効率に影響する。
【0009】
空気圧ピストンを備える通常のシリンジを使用する投与量制御にも問題がある。シリンジは正確な投薬量の計量が可能であるが、一定圧力である体積を供給するように設計されていない。これは液滴寸法がオリフィスの寸法及び形状と圧力により制御されるという点からして問題がある。
【0010】
シリンジを駆動する空気圧ピストンは噴霧ノズルより抵抗を受けるまでは低圧で前進し、次にこの抵抗に打ち勝つために圧力を増加させる。この条件では、噴霧ノズルは過程の最初と最後に噴出と滴りを起こし、複数の雛が被る液滴寸法の制御を不可能となる。
【0011】
使用されている通常の噴霧ノズルがさらに問題をもたらす。噴霧ノズルのオリフィスの形状と直径は、オリフィス中の無機物ないしカルシウムの蓄積に影響を受ける。このような蓄積によってオリフィスが縮小する程、必要な体積のワクチンを供給するのに要する時間が増加する。搬送速度を全く考慮していないので、測定されたワクチンの体積の一部は雛のトレイ外に供給される。ノズルの直径が小さい程、液滴寸法に影響する。
【0012】
シリンジとコンベアの間で時間制御の関連がないので、一匹の雛あたりのワクチンの体積は制御できない。いくつかのシリンジの内容物はコンベア上の雛のトレイが通過してしまった後に空になるので、ワクチンがコンベアや床に噴霧される。オペレータは概してワクチンの水溜まりを歩き、潜在的に生きたワクチンを孵化場環境全体に運ぶことになる。これはバイオハザードである。オペレータや監督者がこの状況に気付けば、一般に見つけることができる鋭利な物体(ポケットナイフ、ペーパークリップ等)で先ずは噴霧ノズルを取り除き、それによってノズルのオリフィスの直径と寸法が変化する。その結果としてノズルのオリフィスの直径の拡大は液滴の寸法と体積に影響し、噴霧器の下を完全に通過する前にシリンジが空になり、いく羽かの雛には噴霧し過ぎとなり、他の雛には噴霧がされないことになる。
【0013】
最後に、通常のトレイセンサやマイクロスイッチでは、搬送速度調整の困難性に対する取り組みが不十分である。ワクチンの噴霧による投与中には多くの変化がある。搬送速度の変化により、シリンジが空になるのが早過ぎたり遅すぎたりする。トレイの中程でコンベアが後退や停止すると、シリンジが空になり、数匹の雛はびしょ濡れになり他の雛にワクチン接種されない。コンベア上の雛のトレイの通過で作動する通常のセンサやマイクロスイッチにより生じるこのオン/オフ状態は、ワクチンの供給を制御する上で不十分である。
【0014】
以上のすべての矛盾は、ワクチン接種過程に与える悪影響である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
以上を考慮して、本発明の一つの目的は、液滴寸法の制御に対して独立であって影響されない投与制御及びパターン設計制御を実行する、体積が制御された低圧のワクチン噴霧装置により、コンベアベルトに沿ってトレイで搬送されるすべての雛に混合されたワクチンを適切に散布する上での困難を解消することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、希釈液全体でのワクチン細胞の懸濁までも保証する、改良された混合装置を提供することにある。
【0017】
本発明は別の目的は、ワクチンに対する機械的ストレスを伴わず、かつワクチンを高圧に曝さすことなく霧を生成する、ワクチン噴霧装置を提供することにある。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、ワクチン噴霧装置をワクチンの計量及び供給に電気パルス駆動の輸液ポンプ(volumetric pump)を使用する、ワクチン噴霧装置を提供することにある。
【0019】
さらに、本発明の別の目的は、コンベア上を通過するトレイの位置及び速度を検出し、かつこのデータをそれに応じて輸液ポンプのペースを調整するマイクロコントールユニットに提供する追跡装置を有する、ワクチン噴霧装置を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、ワクチン撹拌による改良された混合装置と協働して作動する、マイクロプロセッサで制御されるワクチン噴霧装置を提供することにある。
【0021】
また、本発明の他の目的は、自己洗浄噴霧ノズルと投与量パターンプログラミング能力を有する、ワクチン噴霧装置を提供することにある。
【0022】
また、本発明の別の目的は、自動化されたワクチン噴霧装置を使用する種々の噴霧パターンや体積に適用されるカスタム設計能力の実行に必要な、ソフトウエアツールとハードウエアツールを提供することにある。
【0023】
さらに、本発明の別の目的は、構造が複雑でなく、低コストで製造可能であるが、生まれたて1日の雛のワクチン接種トレイを一定かつ均一にワクチンで覆う上で効果的に使用できる、ワクチン噴霧装置を提供することにある。
【0024】
これら及び他の目的に鑑み、本発明は、雛へのワクチン接種のためのワクチン噴霧装置に関する。ワクチン噴霧装置は、制御された撹拌によりワクチンと希釈液を十分に混合するためのワクチン容器と、既存の移動コンベアと協働するワクチン噴霧ステーションを備える。ワクチン容器はワクチン噴霧ステーション中のパルス駆動の輸液ポンプに連結され、輸液ポンプは、複数の噴霧ノズルに連結されたホースを介して混合されたワクチンを供給するために、ワクチン容器からワクチンを取り出す。噴霧ノズルはコンベアの上方に搭載され、トレイ中でコンベアに沿って通過する複数の雛に混合したワクチンを向かわせる。ワクチン噴霧ステーションの追跡装置は、コンベアに隣接して搭載され、トレイの位置及び速度を検出し、この情報をデジタル型のマイクロコントロールユニットに送る。次に、マイクロコントロールユニットは、検出されたトレイの速度及び位置に応じた適切な体積のワクチンを供給するように輸液ポンプに指令する。
【0025】
後に明瞭となる他の目的及び利点は、後述により十分に説明される構造及び動作の詳細に存し、この説明の一部を構成する添付図面が参照され、同様の要素には同様の番号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の2つの好適な実施形態のみを詳細に説明するが、これらの実施形態は説明のみを目的として示されたものであると理解されなければならない。以下の説明で記載され、又は図面に図示された詳細な構造及び要素の配置に、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。また、好適な実施形態を説明するにあたり、明確化のために特定の用語が採用されている。個々の特定の語は、同様の態様で同様の目的を達成するすべての技術的な均等物を含む。
【0027】
図1に示すように、本発明は概ね参照番号10で示されたワクチン噴霧装置に関する。ワクチン噴霧装置10は概ね参照番号12で示された噴霧ステーション、ワクチン容器80、及び概ね参照番号14で示されたワクチン撹拌機構を含む。ワクチン容器80と関連する動力源(power supply)15を有する撹拌機構14はホース16により噴霧ステーション12に連結される。図2に示すように概ね参照番号21で示されたデジタル制御システムの一部として制御ボックス20内に収容されたパルス駆動の輸液ポンプ18の動作により、ホース16が撹拌機構14からワクチンを取り出す。輸液ポンプ18は、ワクチンを計量し、かつ供給ホース22を介して供給するために使用される。供給ホース22は第1のY型コネクタ24等により2本のサブライン26に分岐する。個々のサブライン26は第2のY型コネクタ28により2つのサブライン30に分岐する。個々のサブライン30は、ワクチンの噴霧投与で使用するための噴霧ステーション12の対応するノズル32に連結されている。当業者が理解するように、流体の搬送に適した他の好適な接続要素をホースに代えて使用してもよい。
【0028】
図1に示すように、ノズル32は噴霧位置合わせシステム34に搭載されており、ワクチンの噴霧をコンベアセグメント38上で移動するトレイ36に向けて下方に向かわせる。図示のコンベアセグメント38は、噴霧ステーション12が共に動作するように設計されている大型のコンベア機構のほんの一部である。このコンベア機構の全体は図示していないが、当業者に知られているような通常の搬送技術により駆動及び操作される。ここでの説明のために、「コンベア(conveyor)」という語は、図1及び図3で示す態様で噴霧ステーション12が協働する特定のセグメント38を含む。
【0029】
図3〜図5にホースを除去して示すように、ワクチン噴霧装置10の噴霧ステーション12は4つの自己洗浄型のノズル32を備える。ノズル32は雛(図示せず)の約8インチ上方に位置しており、より多くのワクチンが雛の上や上方に置かれるようになっている。好適には、これらの噴霧ノズル32は、自己洗浄のための手動、自動、及び/又はプログラム可能な押しボタンを備える。
【0030】
液滴寸法はプログラム可能な空気レギュレータ48から供給される空気圧によって制御される。小型のオリフィスへワクチンを加圧し、ワクチンに対する機械的ストレスを生じ、その結果としての関連技術について前述の考察で説明したような噴出と滴りが起きる先行技術の方法とは異なり、本発明によれば、空気流とワクチンが外部的に、すなわちノズルの外側で混合され、液滴寸法と噴霧パターンが形成される。
【0031】
本発明に関してより詳細には、2〜6psiの圧力下ではワクチンの流れは概ね層流を有する流れとしてノズル孔を通過する。互いに向かい合いかつ個々のノズル孔の下側に位置する、個々のノズル毎の2つの低圧空気流は、ワクチンの流れを破壊して所望の液滴寸法及び液滴パターンを形成する。個々のノズルに対して所望の空気の流れを得るための1つの方法は、噴霧位置合わせシステム34のフード35の長さに沿って延び、かつ両側に1つずつ配置された一対の導管33を使用することである。2つの導管33に適切に開口を位置合わせすることで、フード35の向かい合う側部から個々のノズルに空気が向かい、ノズルから出るワクチンの流れの制御された散乱を実現する。
【0032】
噴霧ステーション12は、概ね参照番号50で示されるフレーム上に組み立てられている。このフレーム50は、隣接する水平部材54を有する間隔を開けた垂直方向の側方部材52を備える。側方部材52間の間隔は図1及び図3に示すようにコンベア38の幅で決まり、噴霧位置合わせシステム34も一方の側方部材52から他方の側方部材52へ横方向に延びている。さらに詳細には、必要があれば、フレーム50は特定のコンベアと結合及び協働するように構成される。このように、噴霧ステーション12はフレーム構造によって異なる寸法及びタイプのコンベアを収容するように構成できる。
【0033】
好適には、側方フレーム部材52は噴霧ステーション12の移動を容易するための車輪付きのキャスタ56で支持され、これによって必要であれば噴霧ステーション12を図示されているセグメント38を超えてコンベアに沿って移動させることができる。トレイ36のコンベア38に沿った移動は、バスケットガイド要素58によって案内される。
【0034】
図2のブロック図に示し、かつ図6に概念的に示すように、噴霧ステーション12は追跡装置40を有し、この追跡装置40はコンベア38上のトレイ36の存在及び移動/速度を検出する。エンコーダや当業者に知られた他の同等の装置として実施できる追跡装置40は、制御ボックス20内に収容されたデジタル型のマイクロコントロールユニット44へ、電気パルスによって信号を送信する。
【0035】
マイクロコントロールユニット44は電気インパルス42を受信して雛のトレイ36の速度/位置に変換する。マイクロコントロールユニット44はインパルス駆動の輸液ポンプ18に電気インパルス46を送り、この電気インパルス46が輸液ポンプ18を制御する。この情報により、輸液ポンプ18は、トレイ36の位置及び/又は速度に対してワクチンを適切な体積に計量及び供給する。
【0036】
マイクロコントロールユニットないしマイクロプロセッサ44は雛のトレイへの積み込みを補償するようにプログラムできる。例えば、雛のトレイ36の前部や後部に複数の雛を積み込む雛カウンタもある。プログラムされた補償により、適切な量のワクチンが適切な位置に向かう。
【0037】
通常、プログラミングは図7に示す予めプログラムされたメモリカードないしメモリチップ45に格納されている。図8に示すように、メモリチップ45は、PC接続49に接続されたプログラミングドック47に接続される。しかしながら、本発明は図示の実施態様に限定されず、当業者が採用し得る他のメモリチップの構成及び接続の態様も採用できる。本発明によれば、異なるチップに異なる噴霧パターンをプログラムできる。所与の雛の積み込みの予定計画用の適切なチップをプラグインすることで、デジタル制御システム21はコンベア上のトレイの速度とは独立に雛のトレイの長さ全体でカスタム設計された投与量パターンを適用でき、同時に、ワクチンの総量を維持できる。ここで説明するエンコーダ40及び輸液ポンプ18により構成され、かつメモリチップ45を組み込んだロジックが図9に図示されている。特定のメモリチップ45内で実施される噴霧パターンは、パターン設計のためのウィンドウズ型のアプリケーションのようなソフトウエアを使用してカスタム設計でき、その表示画面図が図10に示されている。
【0038】
図9にまとめられた検出及びポンプ動作中、図11〜図15に集められた種々の図面で示すようなワクチン容器80及び撹拌機構14によって、ワクチン粒子は適切な希釈液中で均一に分散した状態で維持される。撹拌機構14は、概ね参照番号82で示される撹拌アセンブリと、概ね参照番号84で示される蓋アセンブリ84を有する。ワクチン容器80は概ね参照番号86で示されるドローチューブアセンブリをさらに備える。
【0039】
図16〜図20により詳細に示すように、撹拌アセンブリ82は、撹拌下部88、概ね参照番号92で示された撹拌機シャフトを形成するとシャフトセグメント90、及び板ないしディスク94を備える。好適にはステンレス鋼製であるディスク94は、撹拌機シャフト92の底部に取り付けられ、かつ撹拌機シャフト92に対して垂直である。好ましくは放射状に等間隔に配置された複数のオリフィス96がディスク94の表面に設けられている。ワクチン容器80の深さが十分である場合、例えば深さが6インチである場合には、撹拌機シャフト92に追加のディスク98を配置してもよい。
【0040】
シャフトセグメント90はディスクが適所に溶接された中実体であってもよい。代案としては、図20に示すように、シャフトセグメント92は符号100で示すように雌ねじが形成され、ねじ102によって連結されて所望の長さを実現してもよい。ねじ102はディスクの中央開口104を貫通し、ディスクは雄ねじと雌ねじの間に保持される。シャフトセグメント90は好適にステンレス鋼からなり、あるいはねじ付の代案では樹脂やステンレス鋼からなることが好ましい。
【0041】
蓋アセンブリ84が図21から図26に種々に図示されている。図示のように、蓋アセンブリ84は蓋110、撹拌機上部112、及びそれぞれ対応するワッシャ118を有する排気ボルト114と吸気ボルト116によって蓋110の下に保持された動力源15(図2)を備える。蓋110の上面には、ゼリー瓶で使用されるようなばね挟み機構ためのノッチ122を有する隆起部120がある。また、ドローチューブアセンブリ86を通過させるための開口124が蓋110に設けられており、ドローチューブアセンブリ86は管継手128によって蓋110に固定されたドローチューブ126を備える。ホース16は管継手128に嵌められ、ワクチン容器80からドローチューブ126とホース16を介して噴霧位置合わせシステム34の対応するノズル32への、液密状態でのワクチンの移送を実現する。
【0042】
概ね垂直方向の往復運動を生成できる動力源15を使用することで、ワクチンの撹拌がなされる。動力源15には空気圧シリンダ、電気ソレノイド、電気又は空気圧モータ等がある。蓋の下側への搭載の代案では、動力源15はワクチン容器80の上部に配置してもよく、ワクチン容器80から分離してもよい。
【0043】
図示の実施形態では、蓋アセンブリ84の撹拌機上部112は、図20において破線で示す撹拌機下部88の孔89の内側に嵌る下側延長部113を有する。この入れ子式の構成では、撹拌機上部112と撹拌機下部88は、蓋アセンブリ84中の動力源を撹拌機アセンブリ82のシャフト92及び撹拌用のディスク94,98に接続する磁気継手を形成する。他の継手機構を採用できるが、磁気継手には、継手の部品を分離するのに工具を必要とせず、分解と清掃が容易であるという効果がある。
【0044】
撹拌機シャフト92は、延伸モードのときワクチン容器80の底付近に位置できるように、動力源に取り付けられている。撹拌シャフト92に直交して取り付けられたディスク94,98の垂直方向の進退運動により、希釈液中でワクチンを一様に懸濁した状態で維持するための必要な拡散がなされる。
【0045】
ディスク94,98がダウンストロークされるとき、ディスクのオリフィス96と、ワクチン容器の内径81とディスクの外径95との間に存在する開放領域とに押し込まれ通過する。この下向きのストロークによりワクチンに対する圧力が生じ、ワクチンがディスクのオリフィスを通過する際に速度が増加する。同じ条件が上向きのストロークでも生じる。この撹拌は、約0.25インチのような小さな往復運動によって効果的になされ、ワクチン細胞が希釈液全体で一様に拡散することを保証する。
【0046】
ここで説明されるワクチン噴霧装置の動作は、少なくとも定期的にオペレータによって監視ないし観察される。オペレータを補助すると共に観察すべき動作上の特徴の数を減らすために、噴霧ステーションがワクチン容器中に残留するワクチンが最低レベルまで減少したときに視覚及び/又は音響信号を供給する警報機構を備えていてもよい。この警報機構は、照明及び/又はブザー装置を使用して実施でき、好適には噴霧ステーションのフレームに搭載され、ワクチン容器と協働する検出機構に対して配線接続される。代案としては、警報機構は噴霧ステーションに対して遠隔に配置し、オペレータが他の場所でいるときにオペレータにワクチン容器が空であるか殆ど空であることを知らせるために、噴霧ステーションに対して配線接続又は無線接続されてもよい。
【0047】
2種類のワクチンを散布するために、噴霧ステーションが関連するノズル32について2つの噴霧位置合わせシステム34を備え、個々の噴霧位置合わせシステム34は2つのワクチン容器80の一方に結合されてもよい。2つの噴霧位置合わせシステム34のフード35は、互いに実質的に平行となる方向に向けられ、それぞれコンベアを横切る。この構成により、下側にある雛のトレイがコンベアに沿って2つの個々の噴霧位置合わせシステム34の下方を移動する際に、第1及び第2のワクチンが連続的に散布される。これによってワクチン噴霧装置の効率が向上するだけでなく、トレイ中の雛がコンベアに沿って通過しなければならない回数を低減できる。
【0048】
本発明に係る噴霧装置の支持フレームの他の実施形態では、概ね参照番号200で示されるワクチン噴霧装置の要素が図27に示すように構成できる。ワクチン噴霧装置200は、概ね参照番号212で示される噴霧ステーションと、図1に関して既に説明したものと同様のタイプのワクチン撹拌機構(図示せず)を含むワクチン容器280とを有する。ワクチン噴霧装置200の動作は、ワクチン噴霧装置10の動作と一致しているので、図27〜図30に図示された要素を特定することを除き、ここでは繰り返さない。
【0049】
ワクチン容器280は、デジタル制御システムの一部としての制御ボックス220内に収容されたパルス駆動の輸液ポンプが作動することでワクチン撹拌機構の上部からワクチンを取り出すホースや他の接続要素(図示せず)により、噴霧ステーション212に結合されている。輸液ポンプはワクチンを計量して供給ホース(図示せず)を介して供給するために使用され、供給ホースはサブライン(図示せず)を介してワクチンを噴霧ステーション212にあるワクチンの噴霧投与に使用するノズル232へ向かわせる。ノズルは噴霧位置合わせシステム234に搭載され、ワクチンの噴霧をコンベアセグメント238上で移動するトレイ236に向けて下方に向かわせる。コンベアセグメント238は、図示のように、噴霧ステーションが共に動作するように設計されているより大型のコンベア機構の一部を構成するに過ぎない。
【0050】
噴霧ステーション212は概ね参照番号250で示されるフレーム上に組み立てられている。このフレーム250は、隣接する水平部材254を有する間隔を開けた垂直方向の側方部材252を備える。この好適な実施形態によれば、外側の垂直部材252a,252bの間に位置する中央の垂直部材252bが、噴霧位置合わせシステム234と追跡装置240を支持し、これらは共に垂直部材252bに搭載されている。
【0051】
制御ボックス220は、上側及中間の水平部材254a,254b、中央の垂直部材252b、及び外側の垂直部材252a,252cの少なくとも一方に固定されている。図示の好適な実施形態では、外側の垂直部材252aは制御ボックス220の一端に対して間隔を開けており、棚255が取り付けられている。図示のように、ワクチン容器280は棚255上に支持されている。
【0052】
フレーム250はベース部材256で支持されており、ベース部材256は垂直部材252及び水平部材254の両方に対して垂直となるように水平方向に延び、概ね垂直方向にフレーム250を支持する。
【0053】
以上の説明及び図面は本発明の原理の単なる説明とみなされなければならない。本発明は種々の形状及び寸法で構成でき、好適な実施形態の寸法で限定されない。よって、開示された特定の例や図示及び説明した構造及び機能そのものに本発明を限定することを望むものではない。そうではなく、すべての好適な変形及び均等物は本発明に分類され、本発明の範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るワクチン噴霧装置を図示する。
【図2】図1のワクチン噴霧装置のデジタル制御システムの要素のブロック図。
【図3】図1のワクチン噴霧装置の斜視図。
【図4】図3のワクチン噴霧装置の側面図。
【図5】図3のワクチン噴霧装置の背面図。
【図6】本発明に係る追跡及びワクチンポンピングシステムの概念図。
【図7】図2のメモリチップの回路図。
【図8】図2のデジタル制御システムのプログラムブロックに取り付けられた図7のメモリチップの回路図。
【図9】図6の追跡及びワクチンポンピングシステムの論理図。
【図10】図2及び図7のメモリチップのプログラミングに好適に使用されるパターン設計ソフトウエアの表示画面図。
【図11】図1のワクチン容器及びワクチン撹拌機構の斜視図。
【図12】図1のワクチン容器及びワクチン撹拌機構の他の斜視図。
【図13】図1のワクチン容器及びワクチン撹拌機構の側面図。
【図14】図1のワクチン容器及びワクチン撹拌機構の他の側面図。
【図15】図1のワクチン容器及びワクチン撹拌機構の他の斜視図。
【図16】図11のワクチン撹拌機構の撹拌アセンブリの部品の分解図。
【図17】図16のワクチン撹拌機構の撹拌アセンブリの部品の組立図。
【図18】図17の線18−18から見た底面図。
【図19】図17の線19−19から見た平面図。
【図20】図17の撹拌アセンブリを組み立てた状態の断面図。
【図21】図11のワクチン容器及びワクチン撹拌機構の蓋アセンブリの部品の分解図。
【図22】図21の蓋アセンブリの部品の組立図。
【図23】図22の蓋アセンブリの平面図。
【図24】図23の24−24での蓋アセンブリの側面図。
【図25】図23の25−25での蓋アセンブリの側面図。
【図26】図22の蓋アセンブリの底面図。
【図27】本発明に係るワクチン噴霧装置の支持枠組みの他の実施形態を図示する。
【図28】図27のワクチン噴霧装置の側面図。
【図29】図27のワクチン噴霧装置の斜視図。
【図30】図27のワクチン噴霧装置の他の斜視図。
【符号の説明】
【0055】
10,200 ワクチン噴霧装置
12,212 噴霧ステーション
14 ワクチン撹拌機構
15 動力源
16 ホース
18 輸液ポンプ
20,220 制御ボックス
21 デジタル制御システム
22 供給ホース
24,28 Y型コネクタ
26,30 サブライン
32 ノズル
80 ワクチン容器
33 導管
34 噴霧位置合わせシステム
35 フード
36 トレイ
38 コンベアセグメント
40,240 追跡装置
42,46 電気インパルス
44 マイクロコントロールユニット
45 メモリチップ
47 プログラミングドック
48 空気レギュレータ
50,250 フレーム
52,252 側方部材
54,254 水平部材
56 キャスタ
58 バスケットガイド要素
80,280 ワクチン容器
82 撹拌アセンブリ
84 蓋アセンブリ
86 ドローチューブアセンブリ
88 撹拌下部
90 シャフトセグメント
92 撹拌シャフト
94,98 ディスク
96 オリフィス
100 雌ねじ
102 ねじ
104 中央開口
110 蓋
112 撹拌機上部
114 排気ボルト
116 吸気ボルト
118 ワッシャ
120 隆起部
128 管継手
255 棚
256 ベース部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雛へのワクチン接種のためのワクチン噴霧装置であって、
ワクチンと希釈液を保持して制御された撹拌により十分に混合する撹拌機構を有するワクチン容器と、
移動するコンベアと協働し、前記コンベアの上方に搭載された複数の噴霧ノズルと、前記噴霧ノズルに前記混合されたワクチン供給するために前記ワクチン容器からワクチンを取り出すポンプとを有し、前記噴霧ノズルは前記混合されたワクチンを前記コンベアに沿って通過する複数の雛の上に向かわせる、ワクチン噴霧ステーションと
を備える、ワクチン噴霧装置。
【請求項2】
所望体積のワクチンを供給するように前記ポンプに指示する制御ユニットと、
前記コンベアに隣接するように前記ワクチン噴霧ステーションに搭載され、雛の位置及び速度を検出して対応する位置及び速度のデータを前記制御ユニットに伝達するように構成され、前記制御ユニットは前記データに対応する前記所望体積を供給するよう前記ポンプに指示するように構成されている、追跡装置と
をさらに備える、請求項1に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項3】
前記ポンプはパルス駆動の輸液ポンプである、請求項2に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項4】
前記制御ユニットはデジタル型のマイクロコントローラを備える、請求項2に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項5】
前記マイクロコントローラはプログラム可能であり、複数の異なる噴霧パターンの1つを適用するようにそれぞれ構成された複数のメモリチップのうちの少なくとも1つを受け入れる構成されている、請求項4に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項6】
前記噴霧ノズルは自己洗浄型であり、前記コンベア上を移動する前記雛の約8インチ上方に配置されている、請求項1に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項7】
前記ワクチンの流れが前記噴霧ノズルのノズル孔を液流として通過するように前記噴霧ノズルが構成され、前記液流は前記ノズル孔の下側を流れる低圧の気流によって所望の液滴寸法及び液滴パターンを形成するように破壊される、請求項6に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項8】
前記噴霧ノズルは前記ワクチン容器に少なくとも1本のホースによって接続されている、請求項7に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項9】
前記ワクチン容器は前記ワクチン容器から出たワクチンを前記噴霧ノズルに向かわせるドローチューブアセンブリをさらに備える、請求項8に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項10】
前記撹拌機構は、複数の貫通する開口を有する少なくとも1つのディスクが取り付けられたシャフトと、前記ワクチン容器に取り付けられると共に、垂直往復運動を生じるように前記シャフトと前記ディスクを接続する動力源を有する蓋アセンブリとを備える、請求項9に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項11】
前記ドローチューブアセンブリは前記ワクチン容器内で前記シャフトに対して略平行に延びると共に、ホースを介して前記噴霧ノズルと接続するために前記蓋アセンブリの開口から突出する部分を有する、請求項10に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項12】
前記シャフトに2つのディスクが取り付けられ、一方の前記ディスクは前記ワクチン容器の底部に隣接し、他方の前記ディスクは前記シャフトの略中途に位置し、両方のディスクが貫通する開口を有すると共に、前記シャフトに対して略垂直かつ前記シャフトと共に可動である、請求項10に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項13】
個々の前記ディスクは前記ドローチューブアセンブリを収容するための切欠を備える、請求項12に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項14】
前記蓋アセンブリは蓋、撹拌機上部、及び撹拌機下部を備え、前記撹拌機下部は前記シャフトに連結され、前記撹拌機上部は前記蓋の下面に連結されて前記撹拌機下部と係合する、請求項10に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項15】
前記撹拌機上部の延長部が前記撹拌機下部内に入れ子状に収容されて磁気継手を形成する、請求項14に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項16】
前記コンベア上に位置するトレイに前記雛が保持されている、請求項1に記載のワクチン噴霧装置。
【請求項17】
コンベア上を移動する雛の上に分散した液体ワクチンを噴霧するための噴霧ステーションであって、
コンベアの上方に位置し、前記コンベア上の雛に向けてワクチンの液流を下方に向かわせるようにフードに搭載された複数の噴霧ノズルを備える、噴霧位置合わせシステムと、
前記噴霧ノズルの下側で前記フードの長さ方向に沿って長手方向が延びる一対の導管であって、一方の前記導管が前記フードいずれかの側に配置され、両方の前記導管は前記噴霧ノズルの出口へ空気を向けるための開口を有し、前記一対の導管の前記開口は反対側からの空気を個々の前記噴霧ノズルの出口へ向けるように配置されている、一対の導管と、
前記一対の導管内で調整可能な低圧の空気流を生成し、前記空気流は前記噴霧ノズルから出るワクチン液流を分散させて、前記雛に接触する前に前記ワクチンを所望の液滴寸法及び液滴パターンとする、前記プログラム可能な空気レギュレータと
を備える、噴霧ステーション。
【請求項18】
前記噴霧ノズルは自己洗浄型であり、前記コンベア上を移動する前記雛の約8インチ上方に配置されている、請求項17に記載の噴霧ステーション。
【請求項19】
雛へのワクチン接種のための噴霧ステーションで使用されるワクチン混合装置であって、
混合されるワクチンと希釈液を保持して雛の上分散させるにワクチン容器と、
前記ワクチン容器内で延び、前記ワクチン容器で混合されたワクチンを関連する噴霧ステーションに向かわせるドローチューブアセンブリと、
前記ワクチン容器内に位置すると共に複数の貫通する開口を有する少なくとも1つのディスクが取り付けられたシャフトを有する撹拌アセンブリと、前記ワクチン容器に取り付けられると共に前記撹拌アセンブリに接続されて前記ワクチンと前記希釈液とを混合する前記シャフトと前記ディスクとの垂直往復運動を生成するための動力源を有する蓋アセンブリとを含む撹拌機構と
を備える、ワクチン混合装置。
【請求項20】
前記シャフトに2つのディスクが取り付けられ、一方の前記ディスクは前記ワクチン容器の底部に隣接し、他方の前記ディスクは前記シャフトの略中途に位置し、両方のディスクが貫通する開口を有すると共に、戦記シャフトに対して略垂直かつ稼動である、請求項19に記載のワクチン混合装置。
【請求項21】
前記蓋アセンブリは蓋、撹拌機上部、及び撹拌機下部を備え、前記撹拌機下部は前記シャフトに連結され、前記撹拌機上部は前記蓋の下面に連結されると共に前記撹拌機下部と係合して磁気継手を形成する、請求項20に記載のワクチン混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2008−537685(P2008−537685A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553210(P2007−553210)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/002691
【国際公開番号】WO2006/081316
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(507253118)アビテック・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】AviTech LLC
【Fターム(参考)】