説明

生体内への液体循環もしくは注入装置

【課題】本発明の課題は、脊髄、脳や食道を局所的にかつ持続的に冷却するのに有効な生体内への液体循環もしくは注入装置を提供することにある。
【解決手段】2基のシリンジ型ポンプから構成され、同時期に交互に反対方向に往復運動を繰り返すことができる圧力監視が可能な同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に対とする逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブおよび弁を有しない2つのY字型分岐チューブとを組み合わせた、耐圧回路から構成される液体循環もしくは注入装置は、循環冷却水の流量や流圧を正確に制御することでき、高い流圧を確保することが可能であり、脊髄、脳や食道を局所的にかつ持続的に冷却するのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内への液体循環もしくは注入装置に関する。更に詳細には、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブ、および弁を有しない2つのY字型分岐チューブを含む耐圧回路から構成される生体内への液体循環もしくは注入装置であって、常に液体を耐圧回路内で一方向に、流量や流圧を正確に制御して循環することができ、特に、脊髄、脳や食道などを局所的にかつ持続的に冷却するのに有効な生体内への液体循環もしくは注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脊髄損傷や脊髄虚血、心筋梗塞、脳虚血などの治療の際に、全身の温度を下げて治療部位の細胞破壊を防ぐ低体温療法が行われている。この全身低体温療法の場合に、全身低体温による血液凝固異常、臓器機能の低下、免疫能の低下などの問題点がある。例えば、胸腹部大動脈瘤手術の際に、血流不足のための脊髄の障害に伴う対麻痺の発生を防ぐために、全身を低体温にして髄液の代謝を抑制し手術を行なう方法が採用されるが、その場合に、同時に全身低体温の副作用として免疫機能の低下や呼吸不全などの合併症を引き起こす。
このような合併症を減少させるために、脊髄を局所的に冷却することが試みられている。例えば、胸腹部大動脈瘤手術の際に経皮的にカテーテルを挿入し、そこから冷却水を直接クモ膜下腔に持続的に注入することにより脊髄のみを局所冷却する方法が報告されている(非特許文献1)。しかし、この方法では注入された冷却水のため、髄腔内圧が過剰に上昇し、冷却水注入後、髄腔内圧が通常髄腔圧の約2倍になるとされており、脳ヘルニアや潅流圧の低下による虚血障害などの危険性があるためあまり採用されていない。
【0003】
他の方法として、脊髄の硬膜外腔に、外部との流通孔を持たない閉鎖循環回路を内蔵した細い冷却カテーテルを挿入して持続的に局所冷却する方法が開発されている(特許文献1および非特許文献2)。この方法は、髄腔内圧を上昇させることがなく、脊髄を圧迫して損傷を与える危険性が取り除かれた優れた方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO03/105736号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Cambria RP, et al., Seminars in Thoracic and Cardiovascular Surgery, Vol 10 No1 (Jan.), 1998:pp61-65
【非特許文献2】Hideki Shimizu et al., Ann Thorac Surg 2010; 89:1312-3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した脊髄の硬膜外腔に冷却カテーテルを挿入して持続的に局所冷却する方法は危険性が低い優れた方法であるが、冷却水を循環させるためにローラーポンプを使用しているため、循環冷却水の流量や流圧を正確に制御することが難しく、また、高い流圧を確保することが困難であるという難点がある。
したがって、本発明の解決しようとする課題は、例えば循環冷却水の流量や流圧を正確に制御することでき、また、高い流圧を確保することが可能な、生体内への液体循環もしくは注入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、循環冷却水の流量や流圧を正確に制御することでき、また、高い流圧を確保することが可能な、生体内への液体循環装置を提供することを目的として鋭意研究した結果、2基のシリンジ型ポンプから構成され、同時期に交互に反対方向に往復運動を繰り返すことができる同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブおよび弁を有しない2つのY字型分岐チューブとを組み合わせた、耐圧回路から構成される液体循環もしくは注入装置により、循環冷却水の流量や流圧を正確に制御することでき、高い流圧を確保することが可能であり、脊髄、脳や食道などを局所的にかつ持続的に冷却するのに有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
したがって、本発明は、
[1].2基のシリンジ型ポンプから構成され、同時期に交互に反対方向に往復運動を繰り返すことができる同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプ、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブ、および弁を有しない2つのY字型分岐チューブを含む耐圧回路から構成される生体内への液体循環もしくは注入装置であって、
前記同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプのそれぞれのシリンジ型ポンプに、前記分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブのそれぞれの分岐していない部分が連結し、更に、前記連結した2つのY字型分岐チューブのそれぞれの分岐した部分のそれぞれに、前記弁を有しない2つのY字型分岐チューブのそれぞれの分岐した部分のそれぞれを、交互に連結させた、液体循環もしくは注入装置であり、
前記同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプの一方のポンプから液体を注出している時には、同時期に、同速度で他方のポンプから液体を吸入し、逆に、一方のポンプから液体を吸入している時には、同時期に、同速度で他方のポンプから液体を注出し、前記分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブ、および前記弁を有しない2つのY字型分岐チューブの配置により、常に液体を耐圧回路内で一方向に循環することができる、
ことを特徴とする、生体内への液体循環もしくは注入装置;
[2].液体が生体内循環後に、該同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプのいずれか一方のシリンジ型ポンプに戻る部分の耐圧回路に、液体冷却のための熱交換器を設けた、上記[1]に記載の液体循環もしくは注入装置;
[3].液体が生体内を循環する耐圧回路部分にカテーテルを設けた、上記[1]または[2]に記載の液体循環もしくは注入装置;
[4].生体内局所を冷却するための、上記[2]または[3]に記載の液体循環もしくは注入装置;
[5].脊髄、脳または食道を冷却するための、上記[4]に記載の液体循環もしくは注入装置;および
[6].耐圧回路が外部と通じる交通孔を有しない閉鎖循環回路である上記[1]から[5]のいずれかに記載の液体循環もしくは注入装置
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の生体内への液体循環もしくは注入装置は、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブおよび弁を有しない2つのY字型分岐チューブとを組み合わせることにより、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプの一方のポンプから液体を注出している時には、同時期に、同速度で他方のポンプから液体を吸入し、逆に、一方のポンプから液体を吸入している時には、同時期に、同速度で他方のポンプから液体を注出し、常に液体を耐圧回路内で一方向に循環することができる。したがって、循環液体の流圧すなわち内圧力、流量を正確に厳密に制御することができ、回路の抵抗が高い場合でも、高い流圧を確保できる。また、本発明の液体循環もしくは注入装置は、装置そのものを小型化することが可能であり、患者とともに移動することが可能となる。更に、装置を監視する人員を必要とせず、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプを自動的に作動させることにより、液体循環もしくは注入の自動化が可能である。本発明の液体循環もしくは注入装置は、特に、脊髄、脳や食道などを局所的にかつ持続的に冷却するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の液体循環もしくは注入装置の特徴部分である、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブおよび弁を有しない2つのY字型分岐チューブとを組み合わせた部分を示す模式図である。
【図2】本発明の液体循環もしくは注入装置の特徴部分である、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブおよび弁を有しない2つのY字型分岐チューブとを組み合わせた部分を示し、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプのそれぞれのポンプを、図1とは逆方向に作動する場合を示す模式図である。
【図3】本発明の液体循環もしくは注入装置で用いる、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブにおける一方向弁の機能を示した模式図である。
【図4】本発明の液体循環もしくは注入装置における耐圧回路の先端部分に冷却用カテーテルを設けて、脊髄冷却用に用いる本発明の液体循環もしくは注入装置の模式図である。
【図5】本発明の液体循環もしくは注入装置における耐圧回路の先端部分に設ける冷却用カテーテルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の液体循環もしくは注入装置を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の液体循環もしくは注入装置の特徴部分である、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブおよび弁を有しない2つのY字型分岐チューブとを組み合わせた部分を示す模式図である。
本発明で用いる同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプは、同一躯体もしくは個別の2つ以上の躯体に配置された2基のシリンジ型ポンプから構成され、それぞれのシリンジ型ポンプが個別に動作するように作られたものであって、それぞれ単独で前進後退動作が可能であり、圧力の計測および監視が可能であり、それらが必要なときに同期運動を行うように制御され、同時期に交互に反対方向に往復運動を繰り返すことができる同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプが好ましい。
図1および2における1および2は、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプの一方のポンプと、他方のポンプを示す。3および6は、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブを示す。7、8、9および10は、Y字型分岐チューブ3および6の分岐した部分に設けられた一方向弁を示す。4および5は、一方向弁などの弁を有しないY字型分岐チューブを示す。
図3に示すように、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブにおける一方向弁は、Aの一方向弁の場合には、aからbへの方向に液体が通過可能であるが、bからaへの方向の液体の通過は出来ない。Bの一方向弁の場合には、bからaへの方向に液体が通過可能であるが、aからbへの方向の液体の通過は出来ない。
図1では、ポンプ1のピストンを押して液体を押し出し、他方、同時期にポンプ2のピストンを引いて液体を引き込む。この時に、一方向弁7および10が開き、一方向弁8および9が閉じて、ポンプ1から矢印方向へ液体が流れ出し、他方、同時期に、同速度でポンプ2に矢印方向から液体が流れ込む。逆に、図2では、ポンプ2のピストンを押して液体を押し出し、他方、同時期に同速度でポンプ1のピストンを引いて液体を引き込む。この時に、一方向弁8および9が開き、一方向弁7および10は閉じて、ポンプ2から矢印方向へ液体が流れ出し、他方、同時期に、ポンプ1に矢印方向から液体が流れ込む。
図1および2に示した構成を取ることにより、常に液体を耐圧回路内で一方向に循環することができる。同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプのポンプ1と2とを連動させながら、それぞれ逆方向に同じスピードで運動させ、また、ポンプ1および2での押圧および引圧を制御することにより、循環液体の流圧すなわち内圧力、流量を厳密に規定することができ、回路の抵抗が高い場合でも、高い流圧を確保できる。
【0012】
本発明で用いる同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプとしては、通常のシリンジ型ポンプを2筒並列に並べ、それぞれのポンプが、それぞれ逆方向に同じスピードで往復運動を繰り返すようにコンピュータシステムにより制御したものを用いることができ、例えば、特許第4053129号公報、特許第4233854号公報、特許第4397140号公報、特開2004−290455号公報に記載の2筒並列式シリンジ型ポンプを利用することができる。Y字型分岐チューブとしては、塩化ビニルなどのプラスチックチューブを利用することができる。
【0013】
次いで、本発明の液体循環もしくは注入装置を、冷却水を循環させて、例えば脊髄冷却用に用いる場合を例とって以下に説明する。
図4は、上記した特徴部分を有する本発明の液体循環もしくは注入装置における耐圧回路の先端部分に冷却用カテーテルを設けて、脊髄冷却用に用いる本発明の液体循環もしくは注入装置の模式図である。図5には、このような液体循環もしくは注入装置に用いる冷却用カテーテルを模式的に示した。図5の20は、冷却用カテーテルの横断面、21および22は縦断面を示す。このような液体循環もしくは注入装置の場合には、冷却用カテーテルから流出する液体を、冷却するために、液体が流れ込むシリンジ型ポンプ2の手前に、図4に示すように、熱交換器11を回路に設けるのが好ましい。この熱交換器11には、冷却装置12を接続することができる。冷却用カテーテルは、Y字型分岐チューブから回路を経由して接続部13および14を介して冷却用カテーテルに接続される。冷却用カテーテル15は、脊髄17の硬膜外腔16内へ設置される。図5に示したように、冷却用カテーテル内を冷却水が循環して、クランプ19を設置して大動脈瘤18の手術の際に、脊髄が冷却される。
【0014】
上記した脊髄冷却用に用いる本発明の液体循環もしくは注入装置では、耐圧回路は外部と通じるような交通孔を有しない閉鎖循環もしくは注入回路であるのが好ましい。液体循環もしくは注入装置に設ける熱交換器としては、例えば、金属のらせん状の回路の外側に砕いた氷で冷却するホローファイバー型冷却器などが挙げられる。この外にも、例えばペルチェ素子などの半導体、冷却ガスなどを用いたものなど冷却できるものであれば如何なるものであってもよい。また、これらの熱交換器には、更に、冷却水や冷却ガスなどの冷媒を送る冷却装置12を接続してもよい。
冷却用カテーテルとしては、図5に示すように、本発明の液体循環もしくは注入装置における耐圧回路の先端部分に設けて、冷却水流入口23から冷却水が流入し、冷却用カテーテル先端部24に達し、冷却水排出口25から、液体循環もしくは注入装置における耐圧回路に戻り、冷却水が循環するものであれば如何なるものでもよい。このような冷却用カテーテルは、熱伝導の高い材料、例えばステンレス、チタン、アルミニウム、銅などの金属で作られた内腔を持つ細管や、柔軟性にすぐれ、生体に適合する素材、たとえば、ウレタン、シリコーン、ポリウレタン、塩化ビニル、フッ素樹脂などから作製することができる。
脊髄冷却用に用いる本発明の液体循環もしくは注入装置では、循環させる液体としては、生理食塩水が好ましい。
【0015】
上記した脊髄冷却用に用いる本発明の液体循環もしくは注入装置では、冷却用カテーテルを、硬膜外腔内、硬膜下腔内またはクモ膜下腔内に挿入して、冷却用カテーテル内に冷却水を循環させることにより、脊髄髄腔内を上昇させることなく、安全に脊髄を選択的にかつ持続的に冷却することができる。
また、同様に、冷却用カテーテルを脳の硬膜外腔内、硬膜下腔内またはクモ膜下腔内に挿入して、脳の手術などの際に、脳の局所を選択的にかつ持続的に冷却することができる。更には、冷却用カテーテルを経口的にまたは経鼻的に食道腔内に挿入して、食道の局所を選択的にかつ持続的に冷却することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上に詳細に説明したように、本発明の生体内への液体循環もしくは注入装置は、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプと、分岐したそれぞれの部分に一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブおよび弁を有しない2つのY字型分岐チューブとを組み合わせることにより、常に液体を耐圧回路内で一方向に循環することができる。また、循環液体の流圧、流量を正確に厳密に制御することができ、回路の抵抗が高い場合でも、高い流圧を確保でき、一定流量で液体を循環させることができる。更に、本発明の液体循環もしくは注入装置は、装置そのものを小型化することが可能であり、患者とともに移動することが可能となる。更に、装置を監視する人員を必要とせず、同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプを自動的に作動させることにより、液体循環もしくは注入の自動化が可能である。
本発明の液体循環もしくは注入装置は、耐圧回路の先端部分に冷却用カテーテルを設けて、冷却用カテーテルを脊髄や脳の硬膜外腔内、硬膜下腔内またはクモ膜下腔内に挿入し、また、冷却用カテーテルを経口的にまたは経鼻的に食道腔内に挿入して、冷却水を循環させることのより、脊髄、脳や食道などを局所的、選択的にかつ持続的に冷却することもできる。
【符号の説明】
【0017】
1 同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプの一方のポンプ
2 同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプの他方のポンプ
3 分岐したそれぞれの部分に一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブ
4 弁を有しないY字型分岐チューブ
5 弁を有しないY字型分岐チューブ
6 分岐したそれぞれの部分に一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブ
7 一方向弁
8 一方向弁
9 一方向弁
10 一方向弁
11 熱交換器
12 冷却装置
13 接続部
14 接続部
15 冷却用カテーテル
16 硬膜外腔
17 脊髄
18 大動脈瘤
19 クランプ
20 冷却用カテーテルの横断面
21 冷却用カテーテルの縦断面
22 冷却用カテーテルの縦断面
23 冷却水流入口
24 冷却用カテーテルの先端部
25 冷却水排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2基のシリンジ型ポンプから構成され、同時期に交互に反対方向に往復運動を繰り返すことができる同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプ、分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブ、および弁を有しない2つのY字型分岐チューブを含む耐圧回路から構成される生体内への液体循環もしくは注入装置であって、
前記同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプのそれぞれのシリンジ型ポンプに、前記分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブのそれぞれの分岐していない部分が連結し、更に、前記連結した2つのY字型分岐チューブのそれぞれの分岐した部分のそれぞれに、前記弁を有しない2つのY字型分岐チューブのそれぞれの分岐した部分のそれぞれを、交互に連結させた、液体循環もしくは注入装置であり、
前記同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプの一方のポンプから液体を注出している時には、同時期に、同速度で他方のポンプから液体を吸入し、逆に、一方のポンプから液体を吸入している時には、同時期に、同速度で他方のポンプから液体を注出し、前記分岐したそれぞれの部分に対となる逆向きの一方向弁を有する2つのY字型分岐チューブ、および前記弁を有しない2つのY字型分岐チューブの配置により、常に液体を耐圧回路内で一方向に循環することができる、
ことを特徴とする、生体内への液体循環もしくは注入装置。
【請求項2】
液体が生体内循環後に、前記同期交代式2筒並列式シリンジ型ポンプのいずれか一方のシリンジ型ポンプに戻る部分の前記耐圧回路に、液体冷却のための熱交換器を設けた、請求項1に記載の液体循環もしくは注入装置。
【請求項3】
液体が生体内を循環する耐圧回路部分にカテーテルを設けた、請求項1または2に記載の液体循環もしくは注入装置。
【請求項4】
生体内局所を冷却するための、請求項2または3に記載の液体循環もしくは注入装置。
【請求項5】
脊髄、脳または食道を冷却するための、請求項4に記載の液体循環もしくは注入装置。
【請求項6】
耐圧回路が外部と通じる交通孔を有しない閉鎖循環回路である請求項1から5のいずれかに記載の液体循環もしくは注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−80996(P2012−80996A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228414(P2010−228414)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(596147736)
【出願人】(510269953)株式会社杏林システマック (1)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】