説明

生体分析システム、生体分析装置及び生体分析方法

生体サンプル反応を行なうための装置は、一般的な顕微鏡の並進ステージに据え付けられるように構成された複数のフローセルを備え、各フローセルは、生体サンプルを収容する少なくとも1つのサンプル・ホルダーを受け入れるように構成される。各フローセルは、少なくとも1つのサンプル・ホルダーを前記フローセル内に位置付ける開いた位置と、前記少なくとも1つのサンプル・ホルダー内に収容される生体サンプルを反応させる閉じた位置とに、選択的に設置されるように構成される。前記複数のフローセルは、前記開いた位置及び前記閉じた位置に互いに独立して選択的に設置されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、一般的に、生体反応及び/又は生化学反応及び/又は分析を行なうための装置、システム及び方法に関する。特に、本教示は、例えば、ビーズのマイクロアレイ上で合成による配列決定(sequencing by synthesis)を行なうような、固相担体の大規模な併発反応を実施するのに有用な様々な機器を対象としたものである。
【背景技術】
【0002】
本明細書に用いられるセクションの見出しは、編成上の目的のためだけであり、どのような点からも、記載された主題を限定するように解釈すべきではない。
【0003】
効率アップ及びスループットは、生体分析及び/又は生化学分析の様々な側面を実施するためのツール及び技術の開発における有意な考察事項である。例えばゲノム配列決定の分野では、研究用途のため及び/又は個別の原理で配列決定するのに適用できる、より早くより安価な技術を得る試みでの様々なアプローチが発展してきた。合成による配列決定として呼ばれることがよくある、このような配列決定の1つのアプローチは、担体表面上に配列された複数の、小さい(例えば、1ミクロンから数百ミクロンまで)分析サイトを備えるマイクロアレイを用いている。使用する特定の技術に応じて、興味深い1つ以上の単一核酸鎖(例えば、テンプレート核酸鎖)を分析サイトに付着する。ポリメラーゼによるか又は対抗としてリガーゼの結合により、テンプレートへの相補的なプライマー配列に塩基を加えて、テンプレート鎖の配列が明らかにされる。例えば蛍光のような典型的な或る種の光信号が顕微鏡により検出され、これらの技術で配列を決定する。マイクロアレイの分析サイトは、小さい固形素子(例えば、ビーズ)の形状にでき、その固形素子が順に担体(例えば、基板表面)に置かれ、各固形素子上で多数の同一のオリゴヌクレオチドが合成される。分析サイトは、直接、基板表面自体の上のサイトとすることもできる。
【0004】
配列決定を行なうために、合成すべきテンプレート核酸鎖のマイクロアレイは、顕微鏡ステージに取り付けられたフローセル・チャンバに装填され、サンプル、試薬及び/又は緩衝剤の混合物がフローセル・チャンバに導入され、マイクロアレイと反応する。同一の又は異なるテンプレートの超並列的な配列決定は、多数の(例えば、何百万の)テンプレート鎖を、例えば、顕微鏡のスライドの形状とし得る基板に置くことができることにより、マイクロアレイ・フォーマットを用いて行うことができる。フローセル内のマイクロアレイ・テンプレートと装填された、サンプル、試薬及び/又は緩衝剤との間で発生じる反応は、当業者によく知られた従来の蛍光学的検出及び顕微鏡技術を用いて分析できる。
【0005】
いくつかの構成において、フローセルは反応チャンバを含むことができ、反応チャンバ内に、例えば、マイクロアレイ顕微鏡スライド又は結合した核酸テンプレート付きの類似の基板のようなサンプル・ホルダーが、入れられ保持されるように構成されている。反応チャンバは、サンプル・ホルダー(例えば、サンプルを保持する顕微鏡スライドのような基板)とヒータブロックとの間に定められ、ヒータブロックは、反応チャンバの外部の様々な温度制御及び熱交換機構(例えば、ペルチェ素子、冷却部品、ヒートシンク及び/又はフィードバック・コントローラー等)から反応チャンバへ熱を伝達するように構成されている。ヒータブロックを支持する本体は、顕微鏡ステージ及び/又は他のフレームに対して動くように構成され、反応チャンバ内で反応を遂行し反応チャンバを撮像する位置にフローセルを置く。例えば、Oリング、ガスケット又は同様のもののような1つ以上の封止部材が、例えば、反応チャンバに面するヒータブロックの表面に配置され、少なくともサンプル・ホルダーの少なくとも一部を包囲するように構成され、反応チャンバ内の反応が起きる所のサンプル・ホルダーの一部を封止する。そのようなガスケットは、マイクロアレイ基板の表面の外部領域に係合させるように構成され、反応が起きる基板の表面の領域の外周囲を定める。そのような構成において、反応チャンバ(例えば、物質がフローセルへ導入されるチャンバ)は、ヒータブロックと基板との間に定められ、チャンバを封止するシールを形成するヒータブロック上の封止機構を有している。様々な入り口及び出口がフローセルに配置され、所望の物質(サンプル、試薬、溶解化学物質及び/又は緩衝剤等)の反応チャンバへの流入及び反応チャンバからの流出並びにマイクロアレイ及びその上のテンプレートとの反応性接触への流入を可能にする。
【0006】
さらに、フローセルは、サンプル・ホルダーのような1つ以上の光学的に透明な領域を含むことができ、特に、サンプル・ホルダーにより保持されたサンプルとフローセルの反応チャンバに導入された物質との間に起きる反応を、フローセルの外部に置かれた機構(例えば、様々な顕微鏡及び蛍光学的検出器)により検出すると共に観察することができる。いくつかの構成において、反応チャンバに面し反応が起きるマイクロアレイ基板の表面は、分析及び検出用に用いられる光学要素が位置付けられる方向とは反対方向に向ける。
【0007】
フローセルは、顕微鏡ステージに取り付けられ、顕微鏡ステージは、三次元に並進でき、相対的に適切に配置された顕微鏡光学要素、光源及び/又は撮像装置と共に、水平位置に又は垂直位置に置くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/084132号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,406,848号明細書
【特許文献3】米国特許第6,654,505号明細書
【特許文献4】国際公開第98/05330号パンフレット
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/038163号明細書(米国特許出願番号第11/757,286号)
【特許文献6】米国特許第6,316,610B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
合成による配列決定及び/又は他の生体分析の用途に用いられる従来のフローセルシステムは、反応に必要な試薬、サンプル及び/又は緩衝剤の量を減少でき、配列決定用に比較的高いスループットを達成できる。それにもかかわらず、もっと効率的な生体分析(例えば、配列決定)を達成するのに役立つ、そのようなシステムを改善することが望ましい。
【0010】
例えば、サンプル分析のスループットを増加するために、従来のフローセルシステムを修正することが望ましい。また、反応チャンバの撮像精度を向上させることが望ましい。さらに、従来のフローセルシステムの熱的機能を改善することが望ましい。加うるに、マイクロアレイ基板又は他のサンプル・ホルダーを移送して、分析(例えば、配列決定)用のフローセルシステムに取り付けられる際の効率を向上させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、1つ以上の上記の望ましい特徴を満たす。他の特徴及び/又は利点は以下の説明から明らかになる。
【0012】
様々な実施態様により、本教示は、生体サンプル反応を行なうための装置を含み、該装置は、一般的な顕微鏡の並進ステージに据え付けられるように構成された複数のフローセルを備え、各フローセルは、生体サンプルを収容する少なくとも1つのサンプル・ホルダーを受け入れるように構成される。各フローセルは、少なくとも1つのサンプル・ホルダーを前記フローセル内に位置付ける開いた位置と、前記少なくとも1つのサンプル・ホルダー内に収容される生体サンプルを反応させる閉じた位置とに、選択的に設置されるように構成される。前記複数のフローセルは、前記開いた位置及び前記閉じた位置に互いに独立して選択的に設置されるように構成される。
【0013】
様々な例示的な実施態様で、本教示は、少なくとも1つの生体サンプルを保持する基板を保持するためのキャリアを含み、該キャリアは、少なくとも1つの生体サンプルを保持する基板を表面にて受け入れるように構成された凹所を規定するフレームを備える。前記キャリアは、前記基板を前記凹所に保持するために、前記基板に係合したり係合しなくなったりするように構成された複数の保持フィンガーと、前記凹所から離れる方向に前記フレームから延びる少なくとも2つの延長部とを備え、各前記延長部は、前記フレームを反応チャンバ内の適切な位置にクランプするために、それぞれのクランプ機構が係合できる表面を備える。
【0014】
さらに他の例示的な実施態様により、本教示は、上記のキャリアを保持するように構成されるフローセルを含み、該フローセルは、前記キャリアの前記フレームと結合するように構成されるヒータブロックを備え、前記ヒータブロックと前記キャリアの前記凹所の中の基板との間に反応チャンバが形成される。前記フローセルは、前記キャリアを前記ヒータブロック上に保持するために、複数の前記延長部に係合するように構成される複数のクランプ機構を備える。
【0015】
本発明の追加の目的及び利点は、以下の説明に部分に記載され、部分にその説明から明らかであり、又は本発明の実施により知ることができる。本発明の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される要素及び組み合わせにより、実現され達成されるであろう。
【0016】
前述の一般的記載及び以下の詳細な記載は、共に例示的及び説明的にすぎず、これに限定されるものではないと理解すべきである。
【0017】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、いくつかの例示的な実施形態を例示し、本明細書と共に、本原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本教示によるデュアルフローセルシステムの例示的な実施形態の斜視図である。
【図2A】本教示によるデュアルフローセルシステムの別の例示的な実施形態の斜視図である。
【図2B】本教示によるデュアルフローセルシステムの別の例示的な実施形態の斜視図である。
【図3】本教示によるフローセルチャンバ内のサンプル基板を保持する保持クリップの例示的な実施形態の部分平面図である。
【図4】本教示によるフローセルチャンバ内のサンプル基板を保持する保持クリップの例示的な実施形態の部分平面図である。
【図5A】本教示による閉じた位置での着脱可能なフローセルの例示的な実施形態の斜視図である。
【図5B】開いた位置での図5Aのフローセルの斜視図である。
【図6】1つのフローセルは、顕微鏡ステージに対し完全に挿入された位置にあり、1つのフローセルは、顕微鏡ステージに対し部分に挿入された位置にある、着脱可能なデュアルフローセルシステムの例示的な実施形態の斜視図である。
【図7】着脱可能なフローセルのうちの1つが顕微鏡ステージから取り除かれていることを示す図6の例示的な実施形態の斜視図である。
【図8】着脱可能なフローセルが顕微鏡ステージに挿入される例示的なステップを示す図6の実施形態の拡大部分側面図である。
【図9】図6の例示的な実施形態の拡大部分斜視図である。
【図10】図6の例示的な実施形態の拡大部分断面図である。
【図11】本教示による着脱可能なフローセルを上に取り付けた卓上固定具の例示的な実施形態の斜視図である。
【図12】透明な様々な部品を有することを除き、図11と同じ斜視図である。
【図13】図11の例示的な実施形態の様々な部品の部分断面側面図である。
【図14】図11の例示的な実施形態で、サンプル基板を保持するために用いるピンの部分拡大図である。
【図15】本教示によるデュアルフローセルシステムのさらに別の例示的な実施形態の斜視図である。
【図15A】図15の例示的な実施形態と共に用いられる、顕微鏡ステージに取り付けるためのC字形状のフレームの例示的な実施形態の部分上面斜視図である。
【図15B】図15A及びC字形状のフレームを顕微鏡ステージに取り付けるためのアダプターブラケットの例示的な実施形態の部分断面斜視図である。
【図16】本教示によるデュアルフローセルシステムのさらに別の例示的な実施形態の斜視図である。
【図17】フローセルの1つは閉じた位置にあり、フローセルの1つは開いた位置にあることを示す図16の例示的な実施形態の斜視図である。
【図18】図16の例示的な実施形態のヒンジ機構を示す部分断面図である。
【図19】フローセルのハウジング内部を示す図16の例示的な実施形態のフローセルの図である。
【図20】図16の例示的な実施形態のフローセルの部分底部斜視図である。
【図21】図17の例示的な実施形態のフローセルの部分上面斜視図である。
【図22】本教示による基板キャリアの例示的な実施形態の斜視図である。
【図23】図22の基板キャリアの例示的な実施形態の部分拡大平面図である。
【図24】図16のフローセルに装填された図23の基板キャリアを示す部分斜視図である。
【図25】本教示によるフローセルに据え付けられた基板を支持するために用いるスペーサの例示的な実施形態の拡大図である。
【図26】他の要素を明らかにするために透視した様々な要素を有し、クランプない位置の図16のフローセルに装填された図22の基板キャリアの上面平面図である。
【図27】クランプした位置の図16のフローセルに装填された図22の基板キャリアの例示的な実施形態の部分拡大図である。
【図28】クランプしない位置の図16のフローセルに装填された図22の基板キャリアの上面平面図である。
【図29】クランプした位置の図16のフローセルに装填された図22の基板キャリアを示す断面側面図である。
【図30】本教示によるクランプアームの例示的な実施形態の斜視図である。
【図31】本教示による図16の例示的な実施形態のフローセルのハウジングの内部を示す上面平面図である。
【図32】本教示による図16の例示的な実施形態のフローセルのハウジングの内部を示す上面平面図である。
【図33】本教示による安全クリップの例示的な実施形態の斜視図である。
【図34】本教示による安全クリップの例示的な実施形態の斜視図である。
【図35】本教示によるフローセルを保持する顕微鏡ステージに取り付けるヒートシンクの例示的な実施形態を示す部分断面図である。
【図36】本教示によるフローセルを冷却するのに用いるための冷却要素の例示的な実施形態の部分断面図である。
【図37】本教示による釣り合いシステムの例示的な実施形態の斜視図である。
【図38】本教示による釣り合いシステムの例示的な実施形態の斜視図である。
【図39】本教示によるスライドキャリアの別の例示的な実施形態の平面図である。
【図40】図39の基板キャリアの上面斜視図である。
【図41】本教示によるフローセル内のクランプされた位置の図39の基板キャリアの部分斜視図である。
【図42】本教示によるクランプアームの別の例示的な実施形態の斜視図である。
【図43】線43−43から見た図42のクランプアームの断面図である。
【図44】図15のレバーロックの例示的な実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本教示の様々な例示的な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。可能な限り、同一又は類似の部分には、同一の参照番号を図面全体にわたって用いる。
【0020】
本教示の様々な例示的な実施形態によるフローセルは、様々な外形及び構成を有するものとすることができる。一般的に、フローセルは、分析用の生体サンプルを受け入れる反応チャンバと、フローセルの外部源から反応チャンバへのサンプル、試薬、緩衝剤及び/又は他の物質を、反応チャンバに入っている生体サンプル(例えば、配列決定を行なう際のテンプレート核酸)と反応させることができるようにする様々なフロー制御構造及び機構とを規定するように構成される任意の構造を含むことができる。様々な例示的な構成において、フローセルは、反応チャンバを加熱及び/又は冷却するように構成される様々な熱的構成部品も含むか又はそれらに関連付けることができる。また、様々な例示的なフローセルの構成は、反応チャンバの撮像及び/又は他の検出によって、例えば、反応チャンバ内で行なわれる様々な反応の分析を行なえるようにする光学的に透明な部分を有することもできる。当業者は様々なフローセルの構成に精通している。フローセルの配置に関するさらに詳細については、参考までに本明細書に組み込まれる特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4を参照されたい。
【0021】
例えば、合成による配列決定を行なうような生体反応及び生体分析の間のスループットを高めるために、処理(例えば、反応)が各形成チャンバ内で別々に起きるような、2つの分離された反応チャンバを含むデュアルフローセルシステムが提案されている。例えば、各反応チャンバは、処理用の異なるサンプル及び/又は試薬を受け入れることができる。そのようなデュアルフローセルシステムの例示的な実施形態が、2007年6月1日に出願されたタイトル名”SYSTEMS AND METHODS FOR COOLING IN BIOLOGICAL ANALYSIS INSTRUMENTS”の特許文献5に記載されており、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。図1を参照するに、特許文献5に記載されたデュアルフローセルの構成は、マイクロアレイ(図1には図示せず)を形成する顕微鏡のスライドの表面のような表面に係合させるように構成された封止機構15を各々備えた2つの別個のサンプルブロック(ヒータブロックとも呼ぶ)12を含み、これらのサンプルブロック12は、分離された反応チャンバを成し、これらのチャンバには、その内部のマイクロアレイサンプル(例えば、テンプレート核酸)と反応させるために、様々な物質(例えば、サンプル、緩衝剤、試薬、溶菌液等)を導入できる。要素15は、例えば、ガスケット、Oリング及び/又は当業者によく知られた他の封止機構のような、封止するのに有用な任意の様々な機構とすることができる。
【0022】
サンプルブロック12は、比較的高い熱伝導度を有する材料で作ることができる。様々な例示的な実施形態において、サンプルブロック12は、片面をラップし、反対側の面を不動態化したステンレス鋼とすることができる。サンプルブロック12用の他の適切な材料には、例えば、限定はされないが、銀、アルミニウム、銅及び/又は様々な合金及び/又は他の金属がある。サンプルブロック12は、旋回可能な支持プレート51に取り付けられたフレーム50に取り付ける。旋回可能な支持プレート51は、一般的に、フローセルを開閉するドアを形成する(図1は開かれた位置を例示する)。旋回可能な支持プレート51は、フレーム(例えば、カバー)14に係合するように動いて、フローセルを閉じ、基板に対して圧力を加える(例えば、封止機構15と基板を取り付るカバー14の表面との間に基板をクランプし、これにより支持プレート51がカバー14に対して閉じられると、反応チャンバを形成するように構成する)。例示的な実施形態において、ダクト96Bの間に位置するつまみねじ(図1に図示せず)は、カバー14のねじ山に係合して、支持プレート51を閉じた位置に保つように構成される。
【0023】
カバー14は、例えば、開口部のような2つの光学的に透明な領域17を規定する。様々な例示的な実施形態において、開口部は、例えば、ガラス又はプラスチック材料又は他の適切な透明な組成物のような透明素材で覆うことができる。光学的に透明な領域17は、機器を閉じた位置にして、フローセル反応チャンバ及び反応チャンバ内の基板の光学的検出及び/又は撮像を行なう際に、各ブロック12とほぼ整列するように構成される。様々な光学的検出及び撮像システムを用いることができ(その構成部品は示していない)、それらはカバー14の外部に位置させて、反応チャンバ内の反応及びサンプルの像を、開口部17を通して、例えば、リアルタイムで検出し収集することができる。図1及び上記の生体機器と共に用いることができる例示的な検出及び撮像システムに関する詳細については、参考までに、全体として本明細書に組み込まれる特許文献1を参照されたい。例示的な実施形態においては、マイクロアレイの基板又は他のサンプル・ホルダーを、光学的に透明な領域17に隣接する(例えば、整列する)カバー14に取り付けるために保持クリップ又は他の固定機構(図示せず)を設けることができる。例えば、適切な固定機構は、横方向に摺動して、支持プレート51が閉じられるまでは、基板がひっくり返ることがないように、基板の頂部に係合するように構成される小さなプラスチックタブ(図示せず)で構成できる。
【0024】
図1のデュアルフローセル配置は、一般的な顕微鏡の並進ステージ(図示せず)に取り付けられるように構成され、その並進ステージは、二次元方向に並進することができ、顕微鏡の対物レンズは、これら二次元方向により規定される平面に対して垂直方向に合焦される。一般的に、顕微鏡の並進ステージは、分析用に顕微鏡の並進ステージに載せた基板の平面に対して平行な平面内で動くように構成される。フローセルは、水平位置(例えば、ステージのより大きな平坦面領域は地面に対して平行となるように構成される)内にある並進ステージに取り付けることができるが、様々な例示的な実施形態では、デュアルフローセルは、垂直方向(例えば、ステージのより大きな平坦作業面領域が、地面に対してほぼ垂直となるように)に置かれた顕微鏡の並進ステージに取り付けられるように構成する。そのような位置において、カバー14(又はカバー14に対してほぼ平行で隣接する位置にあるプレート)は、垂直に位置付けられた並進ステージの表面に取り付けることができる。従って、支持プレート51を閉じると、反応チャンバ及びその中のサンプル・ホルダー(例えば、マイクロアレイの基板)は、処理中、ほぼ垂直な位置にある。そのような垂直な位置付けは、生体反応及び/又は生体分析(例えば、検出及び/又は撮像を含む)にとって有利である。例えば、反応チャンバを垂直に方向付けることにより、反応チャンバ内で形成されるガス(例えば、空気)バブルは、反応チャンバの頂部へ流れ、反応チャンバの頂部に位置する出力ポートから出て、重量測定のバブル変位を可能にする。ほぼ垂直に方向付けたフローセル機器の利点についての更なる詳細については、参照することにより本明細書に組み込まれる特許文献1を参照されたい。当業者は、フローセルを垂直に位置付けた顕微鏡の並進ステージに取り付けることをよく知っている。しかし、フローセルは、反応及び分析中、垂直以外の方向に方向付けることができることを理解すべきである。当業者は、本教示の範囲から逸脱することなく、フローセルに別の方向付けを与えるため、様々な修正を成すことができることを理解するであろう。
【0025】
例えば、ペルチェ素子60、ヒートシンク80及びダクト96A及び96Bのような様々な熱的構成部品(それらのいくつかは図1に図示せず)も、図1の各フローセルの熱サイクルを提供するために取り付けられる。他の構成部品を用いて、図1のデュアルフローセル配置の反応チャンバの温度制御及び熱交換をすることもでき、その詳細は、特許文献5に記載されており、参照することにより本明細書に組み込まれる。なお、簡単にするために、マイクロアレイの基板と反応させるために、物質をフローセル反応チャンバへ導入し、かつ、物質をフローセル反応チャンバから取り除くのに用いる様々なポート及びフロー構造は、図1に示していない。当業者は、例えば、限定はされないが、ポート、パイプ、導管、バルブ及び/又は他のフロー制御装置(図示せず)を含む様々なフロー制御機構をよく知っており、それらは、様々なサンプル、緩衝剤、試薬及び/又は他の物質を反応チャンバへ流入し、かつ、反応チャンバから流出させるのに用いることができる。当業者は、物質を反応チャンバへ流入し、かつ、反応チャンバから流出させるために、どのように、そのようなフロー制御機構を構成して配置するのがよいかを理解するであろう。
【0026】
図1の例示的な実施形態に示すようなデュアルフローセル構成は、異なる反応チャンバ内で同時に異なる反応及び/又は分析を行なうことができる。図1の例示的な実施形態に示すようなデュアルフローセル配置によれば、一方のフローセルを撮像可能にしながら、一方、例えば、伸展(extension)、ライゲーション及び/又は開裂(cleavage)のような他の処理ステップを別のフローセルで行えるようにすることもできる。これは、光学システムの利用を最大にすると共に、スループットを向上させる。さらに、デュアルフローセル配置は、異なるサンプルの処理及び/又は分析を行なうことを可能にする。
【0027】
図1の例示的な構成では、デュアルフローセルチャンバは共通ドアを経てアクセス可能である。言い換えれば、支持プレート51をカバー14から取り外して図1の開放位置にもたらすと、フローセルチャンバも共に開かれた位置にある。しかしながら、状況によっては、デュアルフローセルアセンブリの各フローセル反応チャンバへの独立アクセスを可能にすることが望まれることもある。各フローセルへの独立アクセスを可能にすることにより、様々な導入及び/又は取り出しステップを一方の反応チャンバで行ない、一方、他方の反応チャンバでは処理及び/又は撮像ステップを続行することができる。フローセル反応チャンバへのアクセスを互いに独立して行なえるようにすることにより、各マイクロアレイの基板をフローセル反応チャンバ内にもっと速く入れて閉じることも可能にし、これにより、導入中に基板からの乾燥を妨げる。さらに、一方のフローセルチャンバで起きている反応及び/又は処理を、何らかの理由で終了させ、サンプルをそこから除去しなければならない場合に、他方のフローセルチャンバでの反応及び/又は処理は中断せずに、継続させることができる。その上、フローセルに独立してアクセスできるようにし、フローセルに独立の熱的構成部品、試薬の入力及び出力ポートを設けると共に、互いに熱的に分離させることにより、光学機器及び検出機器の焦点に影響を及ぼす温度変動なしで、異なる温度サイクルで2つの異なるサンプルを処理することができる。さらに具体的に言うと、フローセルの様々な部分(例えば、金属部分)の温度の変化は、これらの部分を膨張及び/又は屈曲させ、顕微鏡光学機器の焦点を乱す。互いに熱的に分離させた独立のフローセルを用いることにより、フローセルを各処理サイクル中、ほぼ一定の温度に維持することができ、これにより、顕微鏡の合焦に悪影響を及ぼすリスクを最小にすることができる。
【0028】
図2A及び図2Bは、デュアルフローセル機器の各フローセルチャンバへの独立アクセスを可能にする1つの例示的な実施形態を示す。図2A及び図2Bは、一方のフローセルチャンバ200Aが閉じた位置にあり、他方のフローセルチャンバ200Bが開いた位置にある、独立してアクセス可能なデュアルフローセル機器の異なる図を示す。図2A及び図2Bの例示的な実施形態では、フローセル200A及び200Bを冷却するために用いる冷却システムは、参照することにより本明細書に組み込まれた特許文献5に記載のものと類似のリモートファン及びダクトアセンブリを組み込んでいる。しかしながら、当業者は、例えば、再循環冷却流体ベースシステムのような他の冷却システムを、図2A及び図2Bのデュアルドア構成と組み合わせて用い得ることを理解するであろう。冷却構成部品、他の熱的構成部品及び/又は様々な試薬、サンプル、緩衝剤等を各フローセルチャンバ200A及び200Bへ独立して導入するためのフロー制御機構を他のものと取り換える変更は、当業者に明らかであり、本明細書では詳細な説明をしない。
【0029】
図2A及び図2Bの例示的な実施形態では、各サンプルブロック(図で212Bのみ見える)は、フレーム要素235、251及び236(図2A及び図2Bは参照英字A及Bを付してある)を含む、ほぼU字形状のフレームに最終的に支持される。ヒンジで連結された配置により共通フレーム(例えば、カバー)214に旋回可能に係合されたフレーム要素236A及び236Bにより、支持フレームひいてはサンプルブロック212A及び212B並びにそれらにそれぞれ取り付けられる任意の熱的又は他の構成部品は、フローセル200Bにより示すように、カバー214から離れる開いた位置に動くことができ、また、フローセル200Aにより示すように、カバー214に係合した閉じた位置に動かすことができる。図1の例示的な実施形態を参照して上記したように、フローセルが閉じた位置にある場合、フレーム要素235、251及び236とカバー214との間の閉鎖機構(その例示的な実施形態は以下にもっと詳細に説明すれ)は、サンプルブロック(サンプルブロック212Bのみ図示する)とカバー214に取り付けたそれぞれのスライド210との間にクランプ力を与えるように構成され、分離した反応チャンバが、サンプルブロック、各サンプルブロックのガスケット(ガスケット215Bのみ図示する)及びサンプルブロックに係合するスライド210の間に形成される。各支持フレーム(それぞれフレーム要素235A、236A及び251A並びにフレーム要素235B、236B及び251Bにより形成される)は、サンプルブロック並びにサンプルブロックに関連する様々な熱的及び他の支持構成部品を支持し、フローセル200A及び200Bを開閉するプレートを取り付けるカバー214に対して動くように構成される。
【0030】
上記のように、各フローセルチャンバ200A及び200Bは、例えば、サンプルブロック212Bの下に配置したペルチェ素子(フローセル200Bに対して260Bとして示す)、ヒートシンク280A及び280B、並びに、ヒートシンクピン250A及び250Bを有するそれぞれのヒートシンク280A及び280Bに空気を循環させるダクト296A及び296Bのような、独立して取り付けられる熱的要素を有することもできる。ダクト296A及び296B並びにヒートシンク280A及び280Bは、それぞれのフローセル200A及び200Bに別々に取り付けて、各々を開いた位置(フローセル200Bにより示すように)と閉じた位置(フローセル200Aにより示すように)との間にて動かすことができるようにする。
【0031】
センサ(例えば、図2Bに299Bで示す)を各フローセル200A及び200Bに設けて、フローセル200A又は200Bが開いた位置にある場合に、ファン及びペルチェ素子をターン・オフさせて、ダクト296から送り込まれた空気が、開いているフローセル内に取り付けた基板を乾燥させるのを防ぐと共に、ヒータブロックの過熱を防ぐようにする。例示的な実施形態では、センサ(例えば、299B)は、標準の機械的なリミット・スイッチとフレーム要素235Bに取り付けたレバーとを有する空気流センサとすることができる。フローセル200A又は200Bが閉じた位置にある際、レバーチップはダクト296の一部を打ち、かつ、レバーの別の機能はフローセル200A又は200Bを開く時にスイッチを作動させることである。
【0032】
カバー214は凹所を備え、各サンプルブロックは、それぞれのフローセルが閉じた位置にある際、その凹所内に、受け入れられるように構成する。
【0033】
図2A及び図2Bに示すように、各フローセル200A及び200Bには閉鎖機構を設け、様々な例示的な実施形態において、閉鎖機構はレバーロック275A及び275Bとするのがよい。レバーロックはフレーム要素235A及び235Bに旋回可能に取り付けることができる。図2Aに示すように、レバーロック275A及び275Bはフックタイプ機構を備え、その一端は、フローセル200A及び200Bを閉じた位置に確保するために、カバー214に設けた突き出しフランジ276A及び276B上のリップにそれぞれ係合するように構成される。レバーロック275Aとフランジ276Aとの間の係合は、図2Aに示す。レバーロックを解除しフローセルチャンバ200A及び200Bを開くために、各レバーロック275A及び275Bのロック端とほぼ反対の一端に、取っ手を設ける。レバーロック275Aの取っ手部分を、図2Aのダクト296の方へ上方へと押して、レバーロック275Aとフランジ276Aとの間の係合を解除し、これにより、フレーム要素及びそれに取り付けた様々な構成部品をカバー214から引き離すように下方に旋回させて、フローセル200Aを開くことができる。レバーロック275A及び275Bは、摩擦力と重力との組み合わせにより、フランジ276A及び276Bと一緒に適所に保たれる。重力は、レバーロックを開くまで、レバーロック275A及び275Bの取っ手部分を持ち上げるのに必要であり、摩擦力は、レバーロック275A及び275Bとフランジ276A及び276Bとの間の摩擦力である。様々な例示的な実施形態において、レバーロック275A及び275Bとフランジ276A及び276Bとの間の係合は、ガスケットをヒータブロックに押し付ける一組の力を加えるために、選択される。
【0034】
レバーロック275A及び275Bは、アクセスを容易にすると共に、ラッチ及びアンラッチを比較的迅速にする比較的簡単な機械的機構とすることにより、フローセル200A及び200Bの開閉を楽にするように構成される。さらに、レバーロック275A及び275Bのフランジ276A及び276Bとの係合が、フローセル200A及び200Bのユーザにより見えるように、レバーロック275A及び275Bを位置付けることにより、レバーロック275A及び275Bがフランジ276A及び276Bとロックし係合した位置にあるか、又は、ロック解除し係合していない位置にあるかどうかが、見てすぐに分かる。しかしながら、当業者は、例えば、アクセスのし易さ、固定機構がロック又はロック解除の位置にあるかどうかの明白な表示等のような類似の機能を与える、レバーロック275A及び275B並びに対のフランジ276A及び276B以外の固定機構を使用することが可能であることを認識するであろう。
【0035】
図2A及び図2Bの例示的な実施形態では、サンプル基板210(フローセル200A内のサンプル基板は図2A及び図2Bに図示せず)は、各フローセル200A及び200Bの各光学的に透明な領域(217Bを図示する)に対して垂直に取り付けられるように構成するため、フローセル200A及び200Bは、サンプル基板210B(例えば、顕微鏡スライド)を適切な方向付けと位置に保持する保持機構300Bを含むこともできる。図2Bに示すように、サンプル基板210はカバー214の凹所に位置付けるように構成され、保持機構300Bは、サンプル基板210Bに作用して、保持機構300Bとサンプル基板210Bが配置される凹所の周囲の周りの突起部216Bとの間でサンプル基板210Bにクランプ力を与える。従って、保持機構300Bは、サンプル基板210Bを図2Bで下方に且つ右の方へ押すように働き、図2Bに示すように、突起部216Bはサンプル基板210Bの右側及び底縁部と係合するように配置される。以下の図3及び4の説明から分かるように、フローセル200A内のサンプル基板を下方で且つ左へ押すために、同様な保持機構が用いられる。
【0036】
図3を参照するに、基板210A及び210Bが取り付けた各カバーの部分拡大図は、保持機構300A及び300Bの例示的な実施形態を示し、保持機構300A及び300Bは、様々な例示的な実施形態でテンプレート核酸のマイクロアレイをその上に有する顕微鏡スライドとすることができる。基板210A及び210Bをカバー214にクランプするために用い、光学的に透明な領域217A及び217B(図3では輪郭線で示す)とそれぞれ整列させることができる。
【0037】
保持機構300A及び300Bは、基板210A及び210Bに作用する力を与えるように構成され、その力は、カバー214内の凹所の下左隅部へ及び下右隅部へ基板210A及び210Bをそれぞれ押す。さらに具体的に言うと、それぞれの保持機構300A及び300Bと突起部との間に基板210A及び210Bをクランプするために、保持機構300A及び300Bは、基板210A及び210Bに力を及ぼすように付勢して、基板210A及び210Bを押して突起部(例えば、図2B、図3及び図4に示す突起部216B)に係合させることができる。当業者は、図2B、図3及び図4に示されていないけれども、フローセル200Aが、図2B、図3及び図4に示す突起部216Bと構成及び位置が似ている突起部を有することができることを理解するであろう。しかしながら、フローセル200Aの突起部は、基板210Aを収容する凹所の左側及び底縁部に位置させ、従って、保持機構300Aが、凹所の下方及び左へ向けて基板210Aを押して、基板210Aを所定位置にクランプさせる。
【0038】
上記のように、保持機構300A及び300Bは、図3では基板210A及び210Bの方向に(例えば、図3の位置付けで右へ、そして図2Bの位置付けで下方へ)付勢される。図3を下から見た部分図を示す図4に示すように、様々な例示的な実施形態において、保持機構300A及び300Bの上部には、それぞれコイル・バネ380A及び380Bを保持するように構成された溝部360A及び360Bを設けることができる。コイル・バネ380A及び380Bの一端は保持機構300A及び300Bにそれぞれ係合し、一方、その反対端はカバー214に取り付けられる。各保持機構300A及び300Bの上部表面には、保持機構300A及び300Bから上方へ突出するフランジ部材310A及び310Bを設けることができる。フランジ部材310A及び310Bは、保持機構300A及び300Bを把持し易くする都合の良い面を成し、コイル・バネ380A及び380Bの力に逆らって、保持機構300A及び300Bを基板210A及び210Bとの係合から引っ張り出す。
【0039】
保持機構300A及び300Bを係合しない位置に保つために、留め金要素320を保持機構300Aと300Bとの間のカバー214上に設けることができる。留め金要素320はその両側に傾斜した留め金325A及び325Bを有する。傾斜した留め金325A及び325Bは、コイル・バネ380A及び380Bの付勢力に逆らって、フランジ部材310A及び310Bに力を及ぼすことにより、フランジ部材310A及び310Bが留め金325A及び325Bの傾斜した表面上方へ動いて、留め金325A及び325Bを過ぎて行くように構成し、位置付けることができる。フランジ部材310A及び310Bは、それから、図3にフランジ部材310A及び留め金325Aの位置により示すように、フランジ部材310A及び310Bが留め金325A及び325Bに係合するように、解除して、保持機構300A及び300Bが基板210A及び210Bとの係合から外れた位置にくるのを防ぐ。
【0040】
基板210A及び210Bのそれぞれ上側面及び右側面並びに上側面及び左側面に力を加えることによって、基板210Aを下方及び左へ押し、且つ基板210Bを下方及び右へ押し易くなる。従って、保持機構300A及び300Bは、部位375を底部に持ち、基板210A及び210Bへの圧力点として作用するLの長脚部を持つ、ほぼ逆L字形の構成を有する。図3の保持機構300Bのクランプられた位置に示すように、部位375は、基板210Bの上側面及び左側面に係合してこれらの側面に力(例えば、圧力)を及ぼし、基板210Bを下方及び右へ押して突起部216Bにクランプ係合する。コイル・バネ380A及び380Bは、基板210A及び210Bのほぼ長手方向に沿って(例えば、図2Bの位置付けで下方へ及び図3の位置付けで右へ)作用する力を与えるため、保持機構300A及び300Bを収容する凹所には、保持機構300A及び300Bに力を与えるカム面350を設けることができ、カム面350は、保持機構300A及び300Bの長脚部を押して基板210A及び210Bのそれぞれ右側端及び左側端に係合する。
【0041】
図3に示す基板210A及び210Bの大きい表面領域に平行な平面内をほぼ摺動する保持機構300A及び300Bを維持するために、留め金要素320と保持機構300A及び300Bとの間の溝付きボタン365Bが押される。保持機構300Aに対応する溝付きボタンは図3では隠れている。
【0042】
様々な例示的な実施形態において、保持機構300A及び300Bは、例えば、ステンレス鋼で作ることができる。しかしながら、当業者は、本教示の範囲を逸脱することなく保持機構を作ることのできる他の適切な材料を認識するであろう。
【0043】
場合によっては、ユーザにとってフローセル内に基板を垂直に取り付けるのが、やりにくいことがある。さらに、初めに基板を垂直な位置に取り付ける際に、基板を最初に装填させる間、フローセルが開放位置にあるため、基板上の物質(例えば、液体)が基板から他の構成部品(例えば、顕微鏡ステージ)上へ流出したりする。また、一旦垂直に取り付けると、顕微鏡ステージに面する側の基板にはアクセスできないため、いかなる汚れ又は滴は拭うことができず、検出及び分析に影響を及ぼし得る。それ故に、基板がユーザにより水平に取り付けられて(例えば、地面にほぼ平行な基板のより大きい表面積を持って)、その中で反応を始めるためフローセルチャンバを閉じる際に、基板がその取り付けられた位置からほぼ垂直な向きに動かされる(例えば、地面にほぼ平行な基板のより大きい表面積を持って)。そのようなフローセル配置を設計する際に生じる問題は、光学素子及び検出機構の正しい合焦が生じるように、基板がフローセル反応チャンバ内で適切に位置付けられることを、どのように確保するかということである。言い換えれば、正確な分析及び検出を達成するために、大きい表面積の基板と様々な光学素子及び検出素子との間の距離が、フローセルの各反応の実行のため、比較的精密に維持されることを確保することが、重要である。
【0044】
独立にアクセス可能であり、ユーザが分析用の基板を初めに水平位置に取り付けることを可能にする、デュアルフローセルの様々な例示的な実施形態を以下に説明する。
【0045】
図5〜10を参照するに、フローセルが顕微鏡ステージから完全に分離されるように構成されるデュアルフローセル配置の例示的な実施形態が示される。当業者は、図5〜10を参照して説明される着脱可能なデュアルフローセル配置が、また、単一のフローセル配置で、又は、共通の並進ステージ上に2つ以上のフローセルがある配置で、明らかな設計変更を用いて、実行可能であることを理解する。図5〜10の配置は、ユーザがスライドを水平に、例えば、顕微鏡ステージから離れたワークステーションに取り付けることを可能にして、基板が取り付けられた後で、フローセルが顕微鏡ステージに取り付けられる前に、ユーザに面する基板の側面を検査してきれいにすることを可能にする。
【0046】
図5A及び図5Bは、それぞれ閉じた位置及び開いた位置での着脱可能なフローセル(500Aのラベル付きの)を示す。フローセル500Aは、以下に論じる様々な修正を除いて、上記のフローセル200A及び200Bに類似の構成を有する。フローセル200A及び200Bと類似の仕方で、フローセル500Aは、ほぼU字形状の支持フレームを形成する支持フレーム要素535A、536A及び551Aで最終的に支持される封止機構515A付きのヒータブロック512Aを有する。また、フローセル200A及び200Bと同様に、支持フレーム要素536Aは、ヒンジ595Aにより光学的に透明な領域517Aを備えるカバー514Aに取り付けられる。図5A及び図5Bの例示的な実施形態では、光学的に透明な領域517Aは、以下にもっと詳細に説明するように、その上に処理用の基板が置かれる開口部である。しかしながら、図5A及び図5Bの例示的な実施形態では、カバー514Aは顕微鏡ステージから分離しており、各フローセル(例えば、図6に示す500A及び500B)は、図2のカバー214のような共通カバーではなく、それ自体のカバー514A又は514Bを有する。カバー514Aは、基板510Aを受け入れるように構成された凹所を有しており、フローセルが着脱可能な構成のため、基板510Aは、図5Bに示すように、ユーザにより水平位置に取り付けられる。小さい穴516Aは、その機能は以下にもっと詳細に説明するが、基板510Aがカバー514Aに置かれる際に、基板510Aの隅部に近いカバー内に備えられる。小さい穴516Aは、カバー514Aが図5Aの閉じた位置に置かれる際に、フレーム579A上のピン518Aを受け入れる。
【0047】
フローセル500Aを閉じるために、サンプルブロック512A、熱的構成部品(例えば、ヒートシンク580A)及びフローセル500Aに冷却空気を循環するダクト596Aを有する支持フレーム要素535A、536A及び551Aは、封止機構515Aがカバー514Aの凹所内に配置された基板510Aと接触するように、ヒンジ595Aの周りに旋回させられる。回転可能な閉鎖機構575Aがカバー514A上に備えられて、フレーム535A(図5Aで最も良く示される)上の対の機構と係合し、閉じた位置でカバー514Aをロックする。回転可能な閉鎖機構575Aは、カバー514Aの外側からアクセス可能な回転ヘッド576A付きのシャフトを回転することにより、作動する。閉鎖機構575Aがどのように作動されるかのもっと詳細な説明は、図11〜13を参照して以下に説明する。一旦、閉じた位置になると、フローセル500A全体が顕微鏡ステージ上のフレームに取り付けられる状態になるが、その例示的な実施形態は、図6〜10を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0048】
図6〜9を参照するに、個々の着脱可能なフローセル500A及び500Bは、垂直方向に取り付けられた顕微鏡ステージ(図示せず)に取り付けられる(例えば、恒久的に取り付けられる)ように構成されたフレーム519に着脱可能に固定するように設計される。フローセル500Bは、上記のフローセル500Aと同じ構成を有し、同様の部品は参照数字の後にBを付けて示される。図6及び図7の例示的な実施形態で示すように、フレーム519は、また、その上端でプレート521により、離れた位置にあるファン(図示せず)から空気を受け取るように構成された主ダクト596に取り付けられて、上記のように、冷却空気を各フローセル500A及び500Bに与えるため、各フローセル500A及び500Bと結び付くダクト596A及び596Bと結合する。
【0049】
図6で、フローセル500Bは、フレーム519に完全に挿入されてロックされた位置にあることが示され、一方、フローセル500Aは、部分に挿入されていることが示される。図7は、フローセル500Aが完全に取り除かれて、フローセル500Bが、フレーム519に対し完全に挿入されてロックされた位置にあるフレーム519を示す。フレーム519は、フローセル500A及び500Bいずれも受け入れるように構成された比較的大きい開口部523を定める。開口部523の外周は、その上にヒータブロックが置かれる支持プレートを支持するように構成された階段状の輪郭を有する。開口部523の構成は、フローセル500A及び500B上に備えたロックピン並びにカバーの開口部に位置する基板510A及び510Bを有するカバー514A及び514Bが、フローセル500A及び500Bの挿入側から反対側へ開口部523を通して広がることを可能にする。
【0050】
位置付けシャフト586A及び586Bにそれぞれ沿って摺動可能なように構成された中央開口部を有するバネ仕掛けのブロック585A及び585Bは、開口部523の底の近くのフレーム519上に備えられる。位置付けシャフト586A及び586Bは、その一端に頭部589A及び589Bを有し、バネ(図8に588Aで示す)がブロック585A及び585Bと頭部589A及び589Bとの間に入れられる。頭部589A及び589Bの大きさは、ブロック585A及び585Bが頭部589A及び589Bを過ぎてシャフト586A及び586Bから離れることができないように、ブロック585A及び585Bの開口部の大きさよりも大きい。ブロック585A及び585B並びにシャフト586A及び586Bは、各フローセル500A及び500Bの底に配置された位置付けシュー(shoe)555A及び555Bと協働するために、各フローセル500A及び500Bを受け入れる開口部523の各側のほぼ中央に位置している。これは、フローセル500A及び500Bをフレーム519に配置して挿入するのに役立つ。様々な例示的な実施形態で、位置付けシュー555A及び555BはU字又はC字形状の表面を定め、その表面の凹形側は置付けシャフト586A及び586Bに係合して、置付けシャフト586A及び586Bに沿って動く。
【0051】
図8を参照するに、フローセル500Aがフレーム519に挿入される間の例示的な実施形態の部分側面図が示される。なお、フローセル500Bの挿入は同一の方法に従う。フローセル500Aを挿入するために、フローセル500Aの全体は、図8に示すように、位置付けシュー555A及び555Bがバネ仕掛けのブロック585Aとフレーム519との間のシャフト586Aの周りと位置付けシュー555Aが係合するように、傾けられる。この傾いた位置で、フローセル500Aの頭部はフレーム519から外側へ傾けられる。ブロック585Aの反対側のフレーム519の側に、支持突起部587Aを定める支持部材がシャフト586Aの一端に取り付けられ、シャフト586Aは、ブロック585Aが隣接した位置にあるシャフト586Aの一端から反対側のプレート519を貫いて延びる。支持突起部587Aはカバー514Aの底部と結合するように構成される(例えば、その底部を通ってヒンジ595Aのヒンジピンが挿入されてカバー514Aをプレート579A及びフレーム要素535A、536A及び551Aにヒンジで結合する)。フローセル500Aが傾いた位置からほぼ垂直な位置へ動くにつれて(例えば、フローセル500Aの頭部がフレーム519の方へ動く)、位置付けシュー555Aはフレーム519から離れる方へ動きバネ仕掛けのブロック585Aに係合する。フローセルの底部はこのように支持突起部587Aからの力とバネ仕掛けのブロック585Aとの間の位置にクランプされる。
【0052】
一旦、フローセル500Aがフレーム519内でほぼ垂直な位置になると、フローセル500Aの頭部が回転ロックピン590Aを用いて所定の位置にロックされる。図9は、フローセル500A及び500Bがフレーム519に挿入される際の、フレーム519を通してカバー514A及び514Bが突き出るフレーム519の側からのフローセル500A及び500Bの部分図を示す。図9では、フローセル500Bは、フレーム519内に完全に挿入されロックされた位置にあることが示され、一方、フローセル500Aは、フレーム519内に部分に挿入されていることが示される(例えば、ロックピン590Aはロックされた位置にない)。ロックピン590A及び590Bは、回転可能なシャフト(図5A及び5Bで592Aで示される)に対し垂直に取り付けられる。ロックピン590A及び590Bは、回転可能なシャフトにより、ほぼ水平なロックされない位置(例えば、ほぼ地面に平行な)から、図9の590Bの位置で示す垂直なロックされた位置(例えば、ほぼ地面に垂直な)へ時計回り方向に90°回転できる。垂直なロックされた位置に回転される際に、ロックピン590A及び590Bの自由端は、フレーム519に取り付けられたそれぞれのゴム製のブロック598A及び598Bに係合するように構成される。ロックピン590A及び590Bとゴム製のブロック598A及び598Bとのそれぞれの係合により、それぞれのフローセル500A及び500Bへの非常に小さい下方への力に、フローセル500A及び500Bをしっかりとクランプすることをもたらす。
【0053】
取っ手594A及び594Bは、ロックピン590A及び590Bが取り付けられた端と反対側の回転可能なシャフト592A及び592B(図5A、図5B及び図10の断面図で示す)に取り付けられる。そのように配置されて、取っ手594A及び594Bは把持機構を与え、その把持機構を用いてユーザはシャフトを、従って、ロックピン590A及び590Bを回転することができて、フレーム519内にフローセル500A及び500Bをロックかつロック解除することができる。図6を参照するに、取っ手594Aは、ロック解除の位置にあり、フローセル500Aに関連するダクト596Aから外側へ延びる。図6の取っ手594Bは、図6の取っ手594Aの位置に対し90°回転されて、シャフト592Bとの旋回するピン係合により、ダクト596Bの外面の凹所内に位置するような位置に入れられる。従って、フローセル500A及び500Bをフレーム519内にロックするために、取っ手594A及び594Bは時計回り方向に約90°回転させられて、シャフト592A及び592Bに対し旋回運動でダクト596A及び596Bのそれぞれの凹所の下方へ折り込まれる。そのような位置で、フローセル500A及び500Bが適切な位置にロックされることは、ユーザにとって明らかである。その上、ロック解除するには、ユーザが取っ手594A及び594Bを持ち上げて、取っ手594A及び594Bを回転することが必要なため、ロックピン590A及び590Bが偶然にロック解除されることを防止する。そのような例示的な構成は、また、フローセル500A及び500Bをフレーム519にロックする作動機構(例えば、取っ手594A及び594B)が、フローセル500A及び500Bのカバー514A及び514Bをロックする作動機構576A及び576Bの反対側にあるため、望ましい。
【0054】
図10は、フローセル500Aに隣接するフローセル500Bが、フレーム519内に完全に挿入されロックされた位置にある部分断面図を示す。上記で論じたフローセル500A及び500Bの様々な要素が、この断面図で対応するラベルで表示されている。
【0055】
例えば、上記の着脱可能なフローセル500A及び500Bのような着脱可能なフローセルに基板を装填するのに役立てるために、卓上装填固定具を用いる。着脱可能なフローセルを適切な位置に保持するのに有用な卓上装填固定具及びその様々な部品の例示的な一実施形態であり、一方、ユーザがその中に基板を配置することが、図11〜14に示される。
【0056】
図11を参照するに、卓上装填固定具1100は、フローセル500で反応及び/又は分析を受けるように、基板510を配置する、開いた位置で、卓上装填固定具1100に装填されたフローセル500(フローセル500は、図5〜10のフローセル500A及び500Bを参照した上記の構成を有する)を有することが示される。図12は、基板510のみが可視であるように、透明に作られたフローセル500を有する卓上装填固定具1100の透視図を例示する。
【0057】
例示的な一実施形態では、卓上装填固定具1100は、ほぼ長方形の箱の形状のハウジング1150を含む。ハウジング1150の上面1125は、図11に示すように、フローセル500のカバー514を支持するように構成される。さらに具体的に言うと、上面1125は、上面1125を貫通する開口部1120を定める。図12を参照するに、以下にさらに詳しく説明するが、開口部1120を貫通するのは、回転可能な作動部材1135であり、作動部材1135は、フローセルにカバー上の閉鎖機構を回転させるように構成される端部1136を有する。従って、回転可能な作動部材1135は、カバー514の自由端に配置された回転可能な閉鎖機構に近いフローセル500のカバー514を支持するように構成され、カバー514の残りの長さの部分は、器具1150の上面1125の上に載るように構成される。
【0058】
上面1125は、また、フローセル500が図11の支持される位置にある場合、カバー514の直下に位置する凹所1130を定める。凹所1130は、図11に示すように、フローセル500がその開いた位置に回転させられる際、フローセル500の一部(例えば、フレーム579の一端)を受け入れるように構成される。凹所1130に最も近い上面1125の端の近くに、1つ以上の停止部1115が配置される。停止部1115は、フローセル500が開いた位置にある際、フローセル500の比較的より重いフレーム要素(例えば、536及び551)がその上に載る表面を与える。停止部1115の高さは、カバー514とフローセル500の残りの部分とが互いにほぼ垂直であることを維持するのに十分である。様々な例示的な実施形態で、停止部1115は、ゴム又は他の弾性材料で作られて、フローセルのフレーム要素がその上に載るクッション面を与える。図12に示すように、停止部1145(例えば、ゴムの停止部)は、また、器具1150の底面に備えられて、器具がその上に載る表面に対し器具1150が摺動することを防ぎ、かつ、フローセル500を器具1150へ装填することに関連する運動を吸収する。
【0059】
開口部1120の近くに配置され、開口部1120と凹所1130との間にあるのは、上面1125を通して延びる2つの穴部1121である。穴部1121は、カバー514の穴部516とほぼ整列するように、配置される。図12及び図13で最も良く見ることができるように、一対のピン1136が、上面1125にほぼ垂直に器具1100のハウジング1150を通って延びる。ハウジング1150の内部で、ピン1136の側面は摩擦ローラー1140の側面に係合する。摩擦ローラー1140は、ピン1136にほぼ垂直に延びる。巻き部材1144がローラー1140を通って延びるシャフトに取り付けられる。巻き部材1144は、ユーザがローラー1140を回転するため巻き部材1144を把持できるように、ハウジングの外側に配置される。ローラー1140の回転は、ピン1136が穴部1121を通って上下に動くことを引き起こす。従って、図11〜13に示すように、ピン1136は、穴部1121を通って延びるように、ローラー1140により動かされ、フローセル500に装填されることが望まれる基板510は、その上端の隅がピン1136の上に取り付けられる位置に付けられ、その反対の端の隅はカバー514の穴部に入れられる。ローラー1140を用いて、ピン1136は、ピン1136に載っている基板510の端を下げるために、徐々に下げられて、カバー514の穴部の中に至る。
【0060】
図14の拡大図を参照するに、各ピン1136は、基板510の隅を受け入れるように構成された切り欠き穴部を有する。切り欠き穴は、基板510の表面が尖った端に接触することを防ぐために、比較的滑らかな面を用いて形成される。さらに、ピン1136が下げられるにつれて、ピン1136の切り欠き穴部の表面は、基板510のそれぞれの隅に対して押して、基板510を受け入れるカバー514の穴部の底端の方へ、最終的に底端に対して基板510を押す。
【0061】
再び図13を参照して、作動部材1134の動作を説明する。上記のように、穴部1120から上面1125の外部へ延びる作動部材1134の端は、フローセル500の作動機構576に係合するように構成された突起構造1134を有する。例として、作動機構576はほぼ長方形の穴部577を備え、突起部1134は、穴部577に係合して受け入れられるように構成された類似の形状と大きさを有する。このようにして、フローセル500は、突起部1134に載っている作動機構576により、その一端で支持することができる。作動部材1135は、より大きい上部1135A及びより小さい底部1135Bを有する。より小さい底部1135Bは、上面1125のほぼ反対に配置されたハウジングの底面を通って延びる穴部1123に受け入れられるように構成される。作動部材1135は、バネ1137により上方向に付勢されるように構成され、バネ1137は、作動部材1135のより小さい底部1135Bの周りで、底面1126の内部と作動部材1135のより大きい上部1135Aとの間に配置される。バネ1137は、フローセルが作動部材1135に係合する際、フローセル500の重量のいくらかを吸収する。
【0062】
カバー514をフローセル500の残りにロックすることが望ましい際に、フローセル500は閉じた位置に置くことができて、作動部材1135は回転させられて、これが、順に、作動機構576及び回転可能な閉鎖機構575の回転を引き起こす。レバー1160はハウジング内部で作動部材1135に結合し、作動部材1135の長手軸に対しほぼ垂直に又は非常に小さい角度で延びる。スロット1165がハウジングの側端面に備えられて、レバー1160はスロット1165を通って延びる。従って、レバー1160はスロット1165に沿って動かされて、作動部材1135を所望のように回転する。
【0063】
フローセルを閉じる前に、基板をフローセル内に水平位置に配置することを可能にする着脱可能なフローセル配置は別として、フローセルチャンバを閉じて基板の反応及び/又は分析を行なう前に、ユーザにより基板を位置付けすることが可能なように構成され、顕微鏡並進ステージに恒久的に取り付けられた、独立にアクセス可能な多重(例えば、二重)フローセル配置を提供することが望ましい。そのような配置は、フローセルが顕微鏡ステージから分離した位置で装填される配置よりも、基板を積んでフローセル内の反応を開始することをもっと速く成し遂げることを可能にする。その上、フローセルは、反応及び/又は分析用の物質のフローセルへの流入及びフローセルからの流出のため、様々な貯蔵器、ポンプ及び他の流れ機構に連結されるので、フローセルを様々な流れ構造から分離する必要があり、フローセルを顕微鏡ステージから除去することは面倒である。また、フローセルを顕微鏡ステージに恒久的に取り付けて、基板をそのような取り付けられたフローセルに取り付けることにより、基板の位置付けのより良い制御を達成し、従って、光学素子及び他の検出機構をもっと正確に合焦をすることを可能にする。
【0064】
それ故、様々な例示的な実施形態で、フローセルは水平位置で基板を装填されるように構成されるが、一方、フローセルは顕微鏡ステージに取り付けられる。例えば、様々な例示的な実施形態により、ユーザは、フローセルを開いた位置にして、基板をフローセルのサンプルブロックへ積み、基板がサンプルブロックへ装填された後、基板が形成されたフローセル反応チャンバ内でほぼ垂直な位置にあるようにフローセルを閉じて、反応及び/又は分析を行なう。基板が水平位置で装填されるが、垂直位置に動かされて反応及び/又は分析を行なうフローセル配置を利用する場合、フローセルを閉じる際、基板の正確な撮像及び検出が生じるように、フローセルは精密に位置付けられるように構成されることが望ましい。従って、例えば、基板がその上に取り付けられるサンプルブロックの平面及び撮像される基板表面の平面は、顕微鏡の焦点面にほぼ平行であることが望ましい(例えば、基板を撮像するために用いる様々な撮像光学素子及び検出素子を含む)。その上、いくつかの場合、顕微鏡光学素子の焦点範囲はいくらか制限されるため、フローセルを閉じる際、基板をほぼ予測可能な位置に置くことにより、基板の合焦をもっと効率的にさせる。
【0065】
ユーザが基板をフローセルに水平位置で装填することを可能にする独立にアクセス可能なデュアルフローセル生体分析機器(例えば、地面にほぼ平行な基板の大きい表面積を持って)を図15に示す。以下にもっと詳細に説明するように、その例示的な実施形態において、ほぼC字形状の構成を有するフレーム1519A及び1519Bのような1つ以上のフレームは、顕微鏡ステージ1501に取り付けられて、フローセルが閉じた位置にある際、フレームに取り付けられたフローセル内に分析される基板を適切に位置づけることを達成するために用いられる。
【0066】
図15を参照するに、図示される独立にアクセス可能なデュアルフローセル構成において、2つのほぼ対称のC字形状のフレーム1519A及び1519B(例えば、カバー部材)が顕微鏡ステージ1501に取り付けられる。フローセル1500A及び1500Bは、それぞれのフレーム1519A及び1519Bに取り付けられて、フローセル1500A及び1500Bをフレーム1519A及び1519Bに対して回転(例えば、旋回)することにより、開いた位置に(フローセル1500Bにより示す)及び閉じた位置に(フローセル1500Aにより示す)置かれる。図15で要素1595Aにより示すほぼ堅いヒンジシャフトは、フローセル1500A及び1500Bをフレーム1519A及び1519Bに取り付けるために用いられる。図15で要素1597A及び1597Bにより示す固定ボール台は、また、各フレーム1519A及び1519Bに備えられる。固定ボール台は、フローセルがほぼ水平のままである(例えば、地面に平行)ように、開いた位置でフローセル1500A及び1500Bに対し支持面を与えるように構成される。図15Aを参照するに、フレーム1519A及び1519Bは、頂部及び底部のジャッキねじ1560A及び1560Bと連動して、固定ボール台1597A及び1597Bを利用し、頂部及び底部のジャッキねじ1560A及び1560Bは、顕微鏡ステージ1501に対しフレーム1519A及び1519Bを支持し、また、その側面が顕微鏡ステージに対しほぼ平行であるようにフレーム1519A及び1519Bを調整するために用いられる。
【0067】
図15Bは、顕微鏡ステージにボルトで留められるアダプターブラケット1550の例示的な実施形態に対してフレーム1519Aを調整するためのねじスリーブ1561A内に取り付けられた頂部ジャッキねじ1560Aを示すフレーム1519Aの部分斜視断面図である。代替的に、フレーム1519A及び1519Bは顕微鏡ステージに直接取り付けられる。
【0068】
顕微鏡ステージ1501に取り付けられる場合、フレーム1519A及び1519Bは、基板1510A及び1510B並びにサンプルブロック(図示せず)を保持するフローセル1500A及び1500Bの面を受け入れるように構成された開口部(図15Bで1523Bで示す)を定める。様々な例示的な実施形態で、基板は、フローセルのサンプルブロックに着脱可能に係合するように構成されたキャリアに保持されるが、以下に図22〜30及び39〜43の例示的な実施形態を参照して、もっと詳細に説明される。各フレーム1519A及び1519Bの開口部は、フローセル1500A及び1500Bが閉じた位置にある際、フローセル1500A及び1500Bに装填された基板の撮像を可能にするために、顕微鏡ステージ1501の1502(例えば、開口部)にほぼ整列する。
【0069】
フローセル1500A及び1500Bは、その上に基板が取り付けられるサンプルブロック(図示せず)を支持するように構成されたフレーム要素1551A及び1551Bを含む。フレーム要素1551A及び1551Bは、また、フローセル1500A及び1500Bによりサンプルブロックと取り付けられた基板(例えば、図15で示す1510B)との間に形成された反応チャンバの加熱及び/又は冷却のために、フレーム要素1551A及び1551Bに取り付けられた様々な熱的構成部品(例えば、図示しないペルチェ素子、及び/又は、要素1580Bで示すヒートシンク)を有する。すなわち、サンプルブロックと基板との間の反応チャンバの形成は、上記に記載されているため、本節では記載されない。様々な例示的な実施形態で、例えば、図15に示すように、ダクト1596A及び1596Bは、また、フレーム要素1551A及び1551Bにより支持されて、主配管(図示せず)と結合するように構成されて、離れた冷却源(例えば、ファン)から冷却流体(例えば、空気)を送り、フローセル反応チャンバを冷却する。
【0070】
図15に示すように例示的な実施形態で、ダクト1596A及び1596Bは、フローセル1500A及び1500Bが閉じた位置にある際、フローセル1500A及び1500Bの底に面するために位置している(例えば、フローセル1500A及び1500Bがフレーム1519A及び1519Bに付着する位置の方へ面するために)冷却流体を受ける主配管と結合するように構成された、開いた端を有する。ダクト1596A及び1596Bのそのような位置付けは、離れた冷却源から送られる冷却流体を、フローセル1500A及び1500Bの頂部からとは反対に、フローセル1500A及び1500Bの底部からヒートシンクへ送ることを可能にする。これは、基板を流れる冷却流体なしで、フローセル1500A及び1500Bが開いた位置にある間に、冷却流体が送られることを可能にして、それにより、基板が乾燥するリスクを減少する。当業者は、ダクト1596A及び1596Bを含む図15に示す様々な熱的構成部品が、フローセル反応チャンバを加熱し冷却する様々な他の熱的構成部品を組み合わせて、置換され、又は用いられることを理解する。そのように用いられる熱的構成部品は、限定されないが、再循環冷却流体システム、ヒートパイプ、蒸発冷却、及び、参照することにより本明細書に組み込まれる、特許文献5に記載されたような様々な他の熱的システムを含む。
【0071】
フローセル1500A及び1500Bを閉じてロックした位置に置くために、各フローセル1500A及び1500Bは、図2A及び図2Bの例示的な実施形態を参照した上記のレバーロック275A及び275Bに類似の構成及び動作原理を有するレバーロック1575A及び1575Bを有する。レバーロック1575A及び1575Bは、フローセル1500A及び1500Bのほぼ中央上部の方に位置し、ユーザがフローセル1500A及び1500Bをロックするために、把持することができる取っ手を含む。図15Aに示すレバーロック1575Aが閉じてロックされた位置で、レバーロックの取っ手の長手部分は、フローセル1500Aにほぼ垂直に、かつ、平行に延びて、フローセルが閉じてロックされた位置にあることの明示として役立つ。フローセルを開くために、レバーロック1575Aの取っ手部分は上方へ持ち上げられる。
【0072】
図44は、ロックされた位置のレバーロック1575Aを示す図15のフローセル1500Aの部分断面図を例示する。閉じた位置において、レバーロック1575Aの一端の留め金は、C字形状のフレーム1519Aに取り付けられたフランジ部材1576Aに係合する。上記のように、レバーロック1575Aの取っ手部分を図15の上方へ持ち上げて、レバーロック1575Aをピン1577Aの周りに回転して、留め金部分をフランジ部材1576Aに係合しなくなるように動かし、それにより、フローセル1500Aがフローセル1500Bにより示す開いた位置に回転させられることを可能にする。
【0073】
一旦、フローセル1500A及び1500Bが閉じた位置にあり、フレーム1519A及び1519Bに結合すると、フレーム1519A及び1519Bに備わる一対の水平調節ねじ1560A及び1560Bは、例えば、1つのねじはフローセルの頂部の近くに位置し、1つのねじはフローセルの底部の近くに位置し、フレーム1519A及び1519Bを、従ってフローセル1500A及び1500Bを、顕微鏡ステージに対して調整するように、調整される。様々な例示的な実施形態によれば、ジャッキねじである水平調節ねじ1560A及び1560Bは、取り付け用ねじ(図15Bで要素1563Aにより示す)と連動して動作する。取り付け用ねじは、フレーム1519A及び1519Bを顕微鏡ステージ1501に取り付けるために用いられる。取り付け用ねじは、取り付け用ねじがおよそ一定の保持力を維持することを可能にする、例えば、ベルビルバネ座金(図15Bで要素1562Bにより示す)のようなバネ座金を有し、一方、ジャッキねじ1560A及び1560Bは、わずかな距離にわたって、調整される。水平調節ねじ1560A及び1560Bを調整する機能は、基板の表面が顕微鏡ステージの焦点面(又は、二次元の進行方向)にほぼ平行であるように、撮像されるフローセル1500A及び1500B内の基板の表面を調整することを可能にする。
【0074】
使用の際、取り付け用ねじを座金バネの範囲に対し適切に調整することにより、取り付け用ねじが、フレーム1519A及び1519B並びに顕微鏡ステージ1501に対し曲げ力を作り出さずに、フローセル1500A及び1500Bをほぼ位置付けるのに十分な力をフレーム1519A及び1519B並びに顕微鏡ステージ1501に及ぼす。
【0075】
フローセルが顕微鏡ステージに取り付けられる一方で、基板を水平位置のフローセルに装填することを可能にするように構成されたフローセル配置の別の例示的な実施形態が図16〜18に示される。図16及び図17の例示的な実施形態では、フローセル1600A及び1600Bは、上記の図15の例示的な実施形態のように顕微鏡ステージに直接取り付けられるフレームに直接取り付けられるのではなく、顕微鏡ステージ1601に直接取り付けられる。様々な例示的な実施形態で、顕微鏡ステージ1601は、ルディ電子製品会社(Ludi Electronic Products, Ltd.)による市販の顕微鏡ステージであるが、当業者に知られた様々な顕微鏡ステージが、本教示の範囲から逸脱することなく、本教示と連結して使用される。図16は、フローセルチャンバ内で反応及び/又は分析を行なう閉じた位置のフローセル1600A及び1600Bを共に示す。図17は、閉じた位置のフローセル1600A、及び、図17Bに示す基板1610Bである基板をフローセル1600Bに装填するための開いた位置のフローセル1600Bを示す。図17の例示で、顕微鏡ステージ1601の底部は示されない。
【0076】
図16及び図17の例示的な構成では、フローセル1600A及び1600Bは、球面軸受を含むヒンジ1695A及び1695Bにより、直接、顕微鏡ステージ1601に取り付けられる。以下にもっと詳細に記載されるように、球面軸受ヒンジ1695A及び1695Bは、顕微鏡ステージ1601に対するフローセル1600A及び1600Bの比較的広範囲の運動(例えば、回転運動)を与えるが、また、図17のフローセル1600Bにより示すように、開いた位置にある際、フローセル1600A及び1600Bについての固定停止点として役立つ。
【0077】
ヒンジ機構1695Aの詳細は、図18に示すヒンジ機構1695Aの拡大断面図で示される。図18の断面図は、フローセル1600Aがそこから取り外されたヒンジ機構1695Aの内部を示す。ヒンジ機構1695Bはヒンジ機構1695Aと同じ構造を有するが、2つのヒンジ機構は互いに鏡像のように反対向きに構成される。ヒンジ機構1695Aは、ほぼ反対端に配置された2つのシャフト1682を含み、フローセル1600Aがその上に回転可能に取り付けられるように構成される。球面軸受1684は各シャフト1682を包囲し、シャフト1682が、従ってフローセル1600Aが、回転してかつある角度で動くことを可能にする。外側ブッシュ1686は、球面軸受1684の傾きを制限するために用いられる。外側ブッシュ1686は、球面軸受1684がフローセルを閉じた位置に水平にするのに十分な運動範囲を有することを可能にするが(例えば、基板が顕微鏡光学素子の焦点面にほぼ平行であるように、フローセル内の基板の大表面積を調整するため)、フローセル1600Aが、開いた位置にある際、フローセル1600Aを装填する間、顕著に動かないように(例えば、時計回りに又は反時計回りに)、運動範囲を制限するように構成される。球面軸受1684が、フローセル1600Aを開いた位置から閉じた位置へ動かす際、ほぼ同じ位置に戻ることが望ましい。様々な例示的な実施形態で、前もって負荷を加えられたバネ1688が、フローセル1600Aが閉じた位置に動かされる毎に、球面軸受1684をほぼ同じ位置に戻すために用いられる。そのようなものとして、バネ1688により加えられる力は、その力が、フローセルの重量、及び、フローセルが閉じている際、球面軸受1684の位置をそらす傾向がある他の力に少なくとも等しいように、選択される。
【0078】
開いた位置と閉じた位置との間で動くように、フローセル1600A及び1600Bの動きを制御するため、球面軸受ヒンジ1695A及び1695Bに加えて、ダンパー1640A及び1640Bが、一端は顕微鏡ステージ1601に取り付けられ、反対端はフローセル1600A及び1600Bに取り付けられて、フローセル1600A及び1600Bの開閉の円滑な動作及び制御に役立つ。当業者は、ダンパー1640A及び1640Bについて、様々な適切な構成を理解する。ほんの一例として、ダンパー1640A及び1640Bは、油圧ダンパーか、又は、空気圧式ダンパーである。代替の実施形態で、フローセルは比較的軽いため、摩擦ベースのダンピング機構が、フローセルの動きを止めるために必要な摩擦力はユーザが比較的容易に作用できるよりも小さいゆえに、用いられる。
【0079】
上で論じたように、ヒンジ1695A及び1695Bの球面軸受は、フローセル1600A及び1600Bが開いた位置から閉じた位置に動かされる毎に、フローセル1600A及び1600Bをほぼ同じ位置に戻すのに役立つけれども、基板のより大きい面積の表面が顕微鏡の光学素子及び検出機構の焦点面に平行でかつその中にあるように、基板を正確に位置付けるために、閉じた位置のフローセル1600A及び1600Bの微調整(例えば、レベル)の機構を提供することが、また、望ましい。フローセル1600A及び1600Bの位置のこの微調整を達成するために、閉じた位置のフローセル1600A及び1600Bの頂部の方へ配置された1つ以上の水平調節ねじが用いられる。
【0080】
図16及び図17の例示的な実施形態を参照するに、一対の水平調節ねじ1660A及び1660Bが、フローセル1600A及び1600Bが顕微鏡ステージ1601にヒンジで結合される端部と反対の各フローセル1600A及び1600Bの端部の近くに、備えられる。水平調節ねじ1660A及び1660Bは、フローセル内の基板の位置を顕微鏡の焦点面内にかつ平行であるように変更するために、図面のシートの平面にほぼ垂直な方向に、フローセル1600A及び1600Bの位置を調整するように構成される。水平調節ねじ1660A及び1660Bは、フローセル1600A及び1600Bが閉じた位置にある際、フローセル1600A及び1600Bの外側から作動される。例えば、ねじ回し又は水平調節ねじの頭部に係合するように設計された他の工具が、フローセル1600A及び1600B及び従ってその中に装填された基板の所望の位置付けを達成するために、用いられて水平調節ねじ1660A及び1660Bを回す。
【0081】
様々な例示的な実施形態で、フローセル1600A及び1600Bの位置の調整中、フローセル1600A及び1600Bを顕微鏡ステージ1601から外側へ動かすために、水平調節ねじ1660A及び1660Bにより作用される力は、フローセル1600A及び1600Bを閉じた位置に(例えば、図16に示すように)ロックするように構成された閉鎖機構(例えば、ラッチ)に対して作用する。それ故、フローセル1600A及び1600Bの比較的広範囲の調整にわたる比較的一定の閉鎖力を与えるラッチを構成することが望ましい(言い換えれば、水平調節ねじ1660A及び1660Bにより閉鎖機構に対して作用される比較的広範囲の力)。図16及び図17の例示的な実施形態で、並びに、図19の詳細な断面図及び図20及び図21の拡大図でもっと詳細に示すように、ラッチ要素及び圧縮バネを含む閉鎖機構が用いられて、閉鎖力を克服するリスクなしで、水平調節ねじ1660A及び1660Bにより比較的広範囲の調整を可能にする。
【0082】
図19、図20及び図21を特に参照するに、フローセル1600Bは、また、そのような閉鎖機構を備えると理解されるけれども、様々な例示的な実施形態による閉鎖機構をフローセル1600Aを参照して説明する。閉鎖機構は、シャフト1691Aの長手方向の軸にほぼ垂直な方向に、回転可能なシャフト1691Aの一端から延びる回転可能なラッチを備える。図16、図17、図20及び図21で最も良く示されるように、取っ手1694Aが、ラッチ1692Aの反対のシャフト1691Aの一端に備えられて、フローセル1600Aのハウジングの外側に配置される。取っ手1694Aは、フローセル1600Aの一端に旋回可能に取り付けられて、フローセル1600Aが閉じた位置にある際、フローセル1600Aを顕微鏡ステージに対し適切な位置にロックするために、図示のように、ほぼ水平位置(例えば、地面に平行)からほぼ垂直位置まで、約90°回転するように構成される。取っ手1694Aの回転により、シャフト1691A及びラッチ1692Aの回転を引き起こす。ラッチ1692Aの回転により、ラッチ1692Aを顕微鏡ステージ1601に取り付けられた閉鎖ブロック1697A上の(図16、図17及び図21の透視図に示す、フローセル1600Bのラッチ(1692B)と協働するように構成された閉鎖ブロック1697Bもまたこれらの図に示す)協働リップに係合するように、又は、係合しないように動かす。当業者は、上記のラッチ機構のタイプを例示する様々なタイプの適切な構成をよく知っている。
【0083】
閉鎖機構は、また、座金1699Aとフレーム1651Aとの間、回転可能なシャフト1691Aの周りに配置された圧縮バネ1693Aを含む。ブッシュ(図示せず)は、フレーム1651A内でシャフト1691Aを包囲し、シャフト1691Aが回転し上下に動くことを可能にする。圧縮バネ1693Aは、フローセル1600Aを顕微鏡ステージ1601に対しロックし閉じた位置に維持する力を与えるように構成される。さらに、圧縮バネ1693Aは、水平調節ねじ1660A及び1660Bにより、図16の図面シート面にほぼ垂直な方向に、フローセル1600Aの比較的広範囲の調整を可能にし、一方、ラッチ1692Aとブロック1697A上の閉鎖リップとの間のほぼ一定の閉鎖力を維持する。圧縮バネ1693Aを利用することにより、ラッチ1692Aは、フローセル1600Aをロックするために、閉鎖ブロック1697Aに対し正確な位置にある必要はない。
【0084】
例えば、サムねじのような他の閉鎖機構とは対照的に、図19〜21を参照した上記の閉鎖機構は、対応するフローセルがロックされた位置にあるか、又はロック解除された位置にあるかどうかをユーザが容易に決定することを可能にし、また、ユーザの操作と独立に閉鎖力を制御する。しかしながら、当業者は、本教示の範囲から逸脱せずに、限定はされないが、サムねじ及び/又は他の類似の機構を含む、様々な異なるタイプの閉鎖機構を、閉じた位置でフローセルをロックするために用いることができることを理解するであろう。
【0085】
特に、図19〜21を参照して、追加の要素がフローセル1600A及び1600Bに関連して、フローセル1600A及び1600Bをロックし、基板が顕微鏡撮像要素の焦点面内にあるようにフローセル1600A及び1600Bを適切に位置付けるのに役立つが、その追加の要素を説明する。図19〜21は再びフローセル1600Aを示すが、フローセル1600Bは同様に構成できると理解される。様々な例示的な実施形態で、フレーム1651Aは、フローセル1600Aが閉じた位置にある際、フレーム1651Aの一端から上方へ延びる突起部1652A(例えば、舌部)を含む(例えば、突起部1652Aは、図16で示す方向で、上方へ延びる)。さらに具体的に言うと、閉じてロックされた位置で、突起部1652Aは、片側の閉鎖ブロック1697Aと他の片側の停止部1604(ゴム製又は突起部1652Aに圧縮を与えるように構成された他の適切な弾性材料)との間に位置するように構成される。フローセル1600Bの突起部1652B(例えば、図16に示す)は、フローセル1600Bの閉じた位置で、閉鎖ブロック1697Bと停止部1604との間に位置するように同様に構成される。
【0086】
閉鎖ブロック1697Aに入れられたバネ仕掛けのシャフト1698Aは、バイアスをかけられて、閉鎖ブロック1697Aから延びて突起部1652Aの側面に接触する。従って、突起部1652Aは、停止部1604とシャフト1698Aとの間でクランプされる。様々な例示的な実施形態で、シャフト1698Aは、突起部1652Aに損傷を引き起こさないように、突起部1652Aに接触するシャフト1698Aの端に、ボール又は他の要素を有する。例えば、ボール又は他の接触要素は、例えば、ゴムのような突起部1652Aへの損傷を最小限にする材料から作られる。シャフト1698Aにより加えられる力に加えて、ラッチ1692Aを回転する作用は、また、突起部1652Aを停止部1604に対して押して追加のクランプ力を与える。
【0087】
フローセル1600A及び1600Bが閉じてロックされた位置に置かれる際、上記のように、それぞれの球面軸受ヒンジ及び水平調節ねじが協働してフローセル1600A及び1600Bを調整して、その中の基板が顕微鏡の適切な焦点面内に位置付けられる(画像に撮られる基板のより大きい表面積は焦点面内にかつ平行に位置付けられる)。球面軸受ヒンジ及び突起部はそれから協働してフローセル1600A及び1600Bを焦点面内の特定の位置に位置付ける(例えば、フローセル1600A及び1600Bを焦点面に平行方向に動かす)。フローセル1600A及び1600Bが、反応及び/又は分析の手続きの間中、撮像機器の焦点面内の同じ位置にとどまる限り、フローセル1600A及び1600Bの焦点面に沿っての正確な位置は、重大ではない。
【0088】
ユーザが基板又は他のサンプル・ホルダーをほぼ水平位置にあるフローセルに装填することを可能にするフローセル配置は、基板は垂直面よりも水平面へ操作する方がより容易なので、基板を装填することを促進する。更に、上記のように、基板をほぼ水平位置に取り付けることは、基板がフローセルに装填された後、少なくともユーザが直面する基板の表面からなんらかの汚染又は他の物質をユーザが取り除く機会を与える。その上、基板をほぼ水平位置に装填することは、スライド上に置かれる例えばグリセロールのような基板に付着した物質を妨げて、スライドが、乾燥し基板の表面を流れフローセルの他の構成部品を滴ることを防ぐ。また、基板を取り扱って水平位置に装填することは、基板がもっと迅速に装填されることを可能にし、それにより、基板が空気にさらされる時間を減少し、基板が乾燥するリスクを減少する。
【0089】
サンプル基板を水平位置に装填することができるフローセル配置はさておき、ユーザがワークステーションからフローセルへサンプル基板を積み搬送し、サンプル基板の反応及び/又は分析を行なう、サンプル基板の直接の取り扱いを最小限にすることが望ましい。サンプル基板をフローセルに取り付ける際、クランプ機器とサンプル基板との間の接触を最小限にすることが望ましい。
【0090】
少なくともいくつかのこれらの望ましい特徴を達成するために、様々な例示的な実施形態で、フローセルの積み込み中、並びに反応及び/又は分析の実行の間にフローセル内で、スライドキャリアがサンプル基板を保持するように構成される。図22〜29及び図39〜43は、スライドキャリアのいくつかの例示的な実施形態の様々な図を示し、スライドキャリアがどのようにフレームに結合するように構成されるのか、及び、フローセルのサンプルブロックがどのように基板を水平位置に装填することを可能にするように構成されるのか(例えば、上記のフローセル500A、500B、1500A、1500B、1600A又は1600Bのような)を示す。
【0091】
図22を参照するに、スライドキャリアの例示的な実施形態が示される。スライドキャリア2200は、基板2210を包囲するように構成されたフレーム2212の形状である。様々な例示的な実施形態で、例示的な実施形態によるキャリアフレームは機械加工されたアルミニウム製である。本明細書に開示されたキャリアフレームの他の適切な材料は、封止機構をヒータブロックに折り曲げずに圧縮するのに必要な力に耐えるのに十分に堅い材料を含む。フレーム2212は比較的大きい開口部2223を定め、開口部2223は、サンプル基板2210が開口部2223内に配置される際、サンプル基板2210の大きい表面積の部分にほぼ整列するように構成される。開口部2223を包囲して、フレーム2212は段のある形状を有し、図22のその形状の下部は、サンプル基板2210の周囲領域のほぼ周りのサンプル基板2210を支持するように構成される。様々な例示的な実施形態で、以下の説明で明らかになる理由により、図22の方向に向くサンプル基板2210の表面が、サンプルを分析され及び/又は反応されるように運ぶ表面であるように、サンプル基板2210がフレーム2212に受け入れられる。図22に示すように、フレーム2212の厚さは、サンプル基板2210の厚さより大きい。サンプル基板2210がキャリア2200に取り付けられる際、放射状領域2240がフレーム2212内に形成されて、サンプル基板2210の周囲の周りに延びる。フローセルを閉じて、サンプル基板2210がほぼ垂直位置に置かれる際、放射状領域2240は、取り付けられた基板2210の垂れる物質を収集する。
【0092】
保持フィンガー2230がスライドキャリアフレーム2212に旋回可能に取り付けられる。様々な例示的な実施形態で、4つの保持フィンガー2230が、サンプル基板2210の四隅の近くの基板2210に係合するように位置付けられる。保持フィンガー2230に関する動作と追加の詳細を以下に説明する。
【0093】
様々な例示的な実施形態で、スライドキャリア2200は、また、その2つの対角線上に対向するクランプ延長部2220(例えば、耳状部)を含み、その目的は、以下に記載するもっと詳細な説明から明らかになる。様々な例示的な実施形態により、クランプ延長部2220の1つは、例えば、バーコードラベル、無線ICタグ(RFID)及び/又はキャリアを同定するため及び/又はキャリアにより保持される一定のスライド上のサンプルについての情報を含むために有用な他のインジケーターのようなインジケーター2215を備える。
【0094】
図23を参照するに、保持フィンガー2230の内の2つが示され、左の1つは基板2210に対し保持フィンガー2230が係合しない位置を例示し、右の1つは保持フィンガー2230が基板2210をクランプする保持フィンガー2230が係合する位置を例示する。保持フィンガー2230は、キャリアフレーム2212のそれぞれの凹所2232に位置付けられる。凹所2232及び保持フィンガー2230は、協働する形状を有し、保持フィンガー2230が、図23の右の保持フィンガー2230に示されるように、保持フィンガー2230は回転させられてクランプ位置になるので、凹所2232の1つ以上の表面部分は、保持フィンガー2230の1つ以上の表面部分に係合する。保持フィンガー2230の1つ以上の表面部分と凹所2232の1つ以上の表面部分との係合により、保持フィンガー2230がさらに回転することを停止する。図23の例示的な実施形態で、係合する保持フィンガー2230の表面部分及び凹所2232の表面部分は、Sにより同定される。
【0095】
保持フィンガー2230を回転して凹所2232と係合しなくなると、保持フィンガー2230が基板2210の表面から完全に離れて動くことを可能にし、基板2210がキャリアフレーム2212から取り除かれることを可能にする。保持フィンガー2230は、ねじ又は当業者によく知られた他の機構(図示せず)により回転させられる。各保持フィンガー2230は、保持フィンガー2230をクランプ位置に置き、同様に保持フィンガー2230を係合しない位置に置くために、同一の方向に回転させられるべく構成されるように、保持フィンガー2230及び凹所2232を構成することが望ましい。当業者は、そのような共通の回転方向を達成するために、本明細書に示す例示的な実施形態に様々な変更ができることを理解する。
【0096】
様々な例示的な実施形態で、本教示の様々な例示的な実施形態による保持フィンガーは、保持フィンガーと基板との間に柔らかい表面を与えるために、その先端をゴムでコーティングしたステンレス鋼製である。保持フィンガー用に用いられる他の材料は、置かれて接触した際、基板を損傷しないように十分に柔らかいけれども、損傷に耐えるのに十分に強い。
【0097】
一旦、反応及び/又は分析を望む基板2210がキャリア2200に位置付けられてクランプられると、基板2210付きの全キャリア2200は、図24〜29の例示的な実施形態で示されるように、フローセルの中へ装填される。図24及び図26〜29に示すフローセルの構成は、上記のフローセル1600A及び1600Bの構成と類似であるけれども、基板キャリア2200が装填される方法は、例えば、ヒータブロックに対し基板を保持する機構を含むようにフローセルに適切な変更を行って、フローセル1500A及び1500Bに類似の構成を有するフローセル又は本明細書に記載の他のフローセルにおいて実行されることに、留意すべきである。図24〜29において、記載されたフローセルはフローセル1600Aであり、フローセル1600Aの様々な部品は、様々な要素の方向と位置付けが適切に修正されて、フローセル1600Bに適用することに、留意すべきである。
【0098】
キャリア2200を装填するために、図23に示すアセンブリの位置は、フレーム2212により規定される凹所がサンプルブロック1612Aを受け入れるように、反転して、サンプルを付着した基板2210の表面を、サンプルブロック1612Aの上面の封止機構1615A(例えば、ガスケット)の上に取り付ける。
【0099】
図23で示すキャリア2200の断面図で、フレーム2212の段のある形状が可視である。その形状は2つの領域を与え、2つの領域は、基板2210を入れる第1の領域と、放射状部分2240により規定されるサンプルブロック1612Aを入れる第2の領域とである。従って、フレーム2212は、サンプルブロック1612Aを包むように構成されて、サンプルブロック1612Aから離れてその周囲と表面を完全に包囲する。フレーム2212の外周は、支持プレート1619Aに支持され、サンプルブロック1612Aは支持プレート1619Aの片側に取り付けられる。支持プレート1619Aの反対側はフローセルのフレーム要素1651Aに面して、支持プレート1619Aはフレーム要素1651Aに取り付けられる。様々な例示的な実施形態で、支持プレート1619Aはフレーム要素1651Aの隙間を覆い、配線を包み、跳ねた液体がフローセルの内部に入ることを防ぐ。
【0100】
この方法でキャリア2200及び基板2210を取り付けることにより、基板2210とサンプルブロック1612Aとの間に反応チャンバを形成して、基板2210上のサンプルと反応し、及び/又は、基板2210の分析を行なう目的のため、反応チャンバ内に様々な物質(例えば、サンプル、試薬、緩衝剤等)を導入する。当業者は、物質をフローセルの反応チャンバ内に導入するために用いることができ、本明細書に記載された、様々なフロー構造及びフロー制御機構(例えば、ポート、導管、バルブ、ポンプ等)を理解する。それ故、そのようなフロー機構に関する詳細は提供しない。
【0101】
図24及び図25の拡大立面図(図25は基板2210の長手側から見た部分側面図である)に示すように、スペーサ1616Aがサンプルブロック1612Aの表面から突出して、基板2210に係合して支持する。スペーサ1616A(2つのみを図24及び図25に示す)は、基板2210の四隅を支持するために配置される。図25で最も良く分かるように、基板2210が置かれるスペーサ1616Aの表面は、基板2210が共に反応チャンバを形成するサンプルブロック1612Aの表面よりも少し高い位置にある。従って、スペーサ1616Aは、サンプルブロック1612Aと基板2210との間の隙間を固定し、それらの間に形成される反応チャンバの容積及び従って反応チャンバ内に保持される液体の容積を決定する。様々な例示的な実施形態で、スペーサ1616Aは、サンプルブロック1612Aから分離した部品であり、それ故、フローセル反応チャンバを定めるサンプルブロック1612Aの少なくとも上面は、ラッピングされポリッシングされる。スペーサ1616Aは、例えば、ステンレス鋼製及び/又は十分な剛性を示す他の適切な材料製である。スペーサ1616Aは比較的堅く変形可能(例えば、圧縮可能)でないことが望ましく、それ故、フローセルが閉じた位置にある際、基板2210をスペーサ1616Aに置くことにより、基板2210の位置を決定する。言い換えれば、基板2210の焦点面が、基板2210をスペーサ1616Aに置くことにより、決定される。
【0102】
様々な例示的な実施形態で、基板2210のサンプルブロック1612Aに対する横の位置付けは、図26で示すように、登録部材1613Aをサンプルブロック1612Aに与えることにより促進される。登録部材1613Aは、類似の形状の凹所(例えば、ノッチ)2213(図22及び図23に示す)と結合するように構成された小突起部であり、類似の形状の凹所2213は、サンプルブロック1612Aに係合するキャリアフレーム2212の段のある形状領域に形成される。
【0103】
キャリア2200及び据え付けられた位置の基板2210をヒータブロック1612Aの上に保つために、クランプ機構が用いられる。フローセルが閉じた位置にある際、顕微鏡に面するキャリアフレーム2212の表面(すなわち、図24でキャリアフレーム2212の表面は可視であり、上の方を向いている)にわたって延びないクランプ機構を提供することが望ましく、その結果、基板2210を撮像するために位置付けられた顕微鏡の対物レンズ、顕微鏡ステージの内部部品及び/又は他の光学素子/検出機構に接触し、損傷する可能性を避けられる。
【0104】
図24及び図26〜30を参照するに、回転可能なクランプアーム2700を備えるクランプ機構の例示的な実施形態の異なる図を示す。さらに詳細に以下に説明するように、クランプアーム2700は、対角線上に位置するフレームの隅で、スライドキャリアフレーム2212の各端に備えるクランプ延長部2220に係合して、クランプ延長部2220にクランプ力を与えて、キャリア2200及びフローセル1600A内の適切な位置に保持される基板2210を保持する。図27及び図29に最も良く示すように、クランプ延長部2220は斜面を有し、クランプアーム2700は、その斜面を用いて係合しクランプ力を与えるように構成される。クランプ延長部2220の斜面の高さは、係合した位置で、クランプアーム2700がキャリアフレーム2212の上面を超えて(例えば、上に)位置しないようにされる(例えば、図27〜29でキャリアフレーム2212は上へ向く)。図26及び図28は、回転してクランプ延長部2220から係合しない(例えば、クランプない)位置にあるクランプアーム2700を例示し、図27及び図29は、回転してクランプ延長部2220に係合する(例えば、クランプする)位置にあるクランプアーム2700を例示する。
【0105】
図29の部分断面図及びクランプアーム2700を備えるクランプ機構の分離図を参照するに、クランプアーム2700はベース部分2702及び係合部分2704を備える。ベース部分2702は、フレーム1651Aの厚さを通って延びる回転可能なシャフト2710の一端に据え付けられる。ベース部分2702は、サンプルブロック(図示せず)を支持するフレーム1651Aの側にあるシャフト2710の端部に固定される。シャフト2710の長手に沿って延びる固定部材2714(例えば、ボタンヘッドねじ)が、ベース部分2702をシャフト2710に固定するために用いられる。図30に示す全クランプアセンブリは、フレーム1651Aに対するシャフト2710の回転により、一緒に回転する。係合部分2704は、ベース部分2702に対しある角度で配置されて、キャリアフレーム2212の方へ回転する際、係合部分2704は、クランプ延長部2220の斜面を上へ進み、クランプ延長部2220にほぼ下方の力を及ぼす。
【0106】
一定のクランプ力を与えるために、ハウジング管2718内のバネ仕掛けのプランジャー2715が用いられ、プランジャー2715は、クランプアーム2700に面する表面と反対側のフレーム1651Aの表面に係合する。バネ仕掛けのプランジャー2715は、シャフト2710にほぼ垂直に延びる保持プレート2716により、回転可能なシャフト2710に取り付けられる。固定部材2714は、保持プレート2716を通って延びて、ベース部分2702が取り付けられる端部と反対側のシャフト2710の端部に、保持プレート2716を固定する。従って、保持プレート2716は、バネ仕掛けのプランジャー2715を係合部分2704にほぼ整列して、プランジャー2715及び係合部分2704は、クランプ力をクランプ延長部2220に及ぼして、スライドキャリア2200をフローセル内の適切な位置にクランプする。バネ仕掛けのプランジャー2715は、各クランプアーム2700と協働して、ほぼ一定のクランプ力をスライドキャリア2200の各端部に及ぼす。図24及び図26〜30の例示的な実施形態で示すクランプ機構は、ユーザに依存しないほぼ均一なクランプ力を与える。
【0107】
図29及び図30に示すように、足部2708は、係合アーム2700の係合部分2704に関連する。足部2708は、プラスチック製(例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような比較的硬いプラスチック)又は摩擦及び摩耗を減少するように構成された他の適切な材料製であり、足部2708は、クランプ延長部2220に、擦り傷をつけずに、又は、さもなければ、損傷を与えずに、係合する。
【0108】
図39〜43は、本教示によるスライドキャリア及びクランプアームの他の例示的な実施形態を例示する。図39〜41の例示的な実施形態のスライドキャリアは、図22〜28を参照した上記のもので、図41〜43の例示的な実施形態のクランプアームに係合する保持フィンガー及びクランプ面を修正したものに類似する。
【0109】
さらに具体的に言うと、図39〜41のスライドキャリア3900は、上記のスライドキャリア2200の例示的な実施形態のものとは異なる構成を有する保持フィンガー3930及び対応する凹所3932を備える。図39において、スライドキャリア2200の頂部の保持フィンガー3930は、基板3910を適切な位置に保持するために、クランプして係合した位置にあり、スライドキャリア2200の底部の保持フィンガー3930は、クランプないで係合しない位置にある。図39の保持フィンガー3930は、スライドキャリア2200の例示的な実施形態のようにねじではなく、かかと状部の周りに旋回するように構成される。図39に示すように、保持フィンガー3930は、ねじ3935を受け入れるように構成された開口部3933を含む。開口部3933のサイズは、保持フィンガー3930の上部及び下部の組によりそれぞれ示すように、保持フィンガー3930が旋回して係合する位置に及び係合しない位置になることが可能なように十分大きい。保持フィンガー3930を動かすために、ねじ3935が緩められて、保持フィンガー3930が動かされる。皿穴(図示せず)が用いられて、保持フィンガー3930が係合する位置に動かされ、ねじ3935がクランプされる際、保持フィンガー3930は、自動的に正しい係合する位置に動かされ、ねじ3935は皿穴の中心に入る。
【0110】
図40を参照するに、スライドキャリア3900のクランプ延長部3920は、また、スライドキャリア2200の例示的な実施形態のものから修正される。特に、クランプ延長部3920は、スライドキャリア3900のフレーム3912の中心により近い内側へ少し動かされる。図41〜43は、クランプアーム4200の例示的な実施形態を示し、クランプアーム4200は、図24〜30の例示的な実施形態を参照した上記のものと類似の方法で、基板キャリア3900をフローセル内の適切な位置にクランプするために用いられる。図24〜30の例示的な実施形態と同様に、2つのそのようなクランプアーム4200が、スライドキャリア3900の各クランプ延長部3920にそれぞれ係合するために用いられる。
【0111】
クランプアーム4200は、上記のクランプアーム2700のように、類似の特徴を有し、フローセルのフレーム1651を貫通するように構成された回転可能なシャフト4210を含む。当業者は、クランプアーム4200及び基板キャリア3900が、図15のフローセルの実施形態と連動して用いられることを理解し、図16の実施形態のフレーム1651が例示の目的のためだけに用いられることを理解する。クランプアーム4200は、また、固定のベース部分4203及び可動の係合部分4204を備え、共に、例えば、ねじ4230のような固定機構により取り付けられる。固定のベース部分4203は、順に、回転可能なシャフト4210の一端に、例えば、ねじのような固定機構4214により取り付けられて、回転可能なシャフト4210は、回転可能なシャフト4210の長手に沿ってベース部分4203を通って延び、固定のベース部分4203が固定される端部と反対側のシャフト4210の端部に配置されたクランププレート4216も通って延びる。図42及び図43に示す全クランプアセンブリは、フレーム1651に対するシャフト4210の回転により、一緒に回転する。
【0112】
クランププレート4216及び固定のベース部分4203は、従って、フレーム1651の両側に接触する。図41の線画部分で示すように、シャフト4210の回転により、クランプアセンブリ4200の回転を引き起こし、係合部分4204を、スライドキャリア3900のクランプ延長部3920に係合し、及び係合しなくするように動かすことができる。スライドキャリア3900のクランプ延長部3920に係合するように構成された係合部分4204の表面は、曲げられて(例えば、傾斜をつけられて)、キャリアフレーム3912の方へ回転させられる際、係合部分4204は、クランプ延長部3920の斜面を上へ進み、クランプ延長部3920にほぼ下方の力を及ぼす。
【0113】
一定のクランプ力を与えるために、例示的なスライドキャリア2200のバネ仕掛けのプランジャー2715の代わりに、ねじ4230が調整されて、固定部分4203により近い係合部分4204を、キャリア3900に十分なクランプ力を与える位置に動かす。圧縮バネ4215は係合部分4204及び固定のベース部分4203内の対向する凹所に受け入れられて、ねじ4230が緩められる際、圧縮バネ4215は、係合部分4204を固定のベース部分4203から離して上へ持ち上げて、クランプアーム4200を回転してクランプ延長部3920に係合しなくすることを可能にする。各クランプ延長部3920用のクランプアーム4200は、手動で係合位置及び係合しない位置に置かれて、基板キャリア3900をフローセル内にクランプするか、又はクランプなくする。
【0114】
様々な例示的な実施形態で、スライドキャリアは、手動でフローセル内にクランプ位置及びクランプない位置に置かれる。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態で、キャリア2200をクランプする及びクランプないクランプアーム2700の解除及び係合を促進するために、例えば、図16で示すフローセル1600A及び1600B内で、プッシュプルノブ1665A及び1665Bが用いられる。図31及び図32のフローセルフレーム1651Aの内部の図で示すように、プッシュプルノブ1665Aは、一対の折り返し連鎖アーム1668Aを有する連鎖システム1667Aに結合される。各連鎖アーム1668Aは、それぞれのクランプアーム2700のハウジング管2718に結合されて、連鎖システム1667Aの作動によりクランプアーム2700を回転する。図31で、プッシュプルノブ1665A及び連鎖システム1667Aが示されて、プッシュプルノブ1665Aがフレーム1651Aの方へ内部へ押されて、クランプアーム2700を係合(例えば、クランプ)位置に置く(例えば、図24及び図27に示す)。図32は、プッシュプルノブ1665A及び連鎖システム1667Aを示し、プッシュプルノブ1665Aがフレーム1651Aから離れて外部へ押されて、クランプアーム2700を係合しない(例えば、クランプない)位置に置く(例えば、図26及び図28に示す)。図31及び図32は、フレーム1651Aとフローセルハウジングカバー1653A(図16に示す)との間に収容される内部機械構造を示す。図31及び図32に示す連鎖システム1667A及び他の機械構造は、従って、サンプルブロック1612(及び最終的に基板キャリア2200及び基板2210)が据え付けられる側として、フレーム1651Aの反対側にある。
【0115】
様々な例示的な実施形態で、基板及び/又は基板キャリアが、反応及び/又は分析(例えば、撮像)用のフローセル内の適切な位置に、クランプされなければ、フローセルが閉じられることを防ぐような安全機能を、フローセルに備えることが望ましい。同様に、フローセルが閉じた位置にある際、基板及び/又は基板キャリアが、偶然にクランプされなくなることを防ぐことが望ましい。
【0116】
図33及び図34は、図16の例示的な実施形態のフローセル1600A及び1600B用の安全機能として、顕微鏡ステージ1601に配置されたクリップ3300A及び3300Bを用いる例示的な一実施形態を例示する。図33は、フローセル1600Bが取り除かれて、顕微鏡及び検出光学素子に面する顕微鏡ステージ1601の側から機器を見る図16の例示的な実施形態の部分断面図である。図34は、図33の反対側から見た機器の図である。クランプアーム2700が基板キャリア2200のクランプ延長部2220から係合しない位置にあるならば、フローセル1600A及び1600Bが閉じた位置にうごかされる際、クリップ3300A及び3300Bは、顕微鏡ステージ1601の開口部1602の上部に配置されて、各フローセル1600A及び1600Bの頂部のクランプアーム2700に接触する。図33に示すように、クリップ3300Aとクランプアーム2700との間の接触により、クランプアーム2700がクランプ位置にいない際、フローセル1600Aが完全に閉じられることを防ぐ。クランプアーム2700がクランプ位置にあり基板キャリア2200をフローセル1600A及び1600B内の適切な位置に固定し、かつ、フローセル1600A及び1600Bが閉じた位置にあるならば、クリップ3300A及び3300Bは、クランプアーム2700が回転できて基板キャリア2200のクランプ延長部2220に係合しなくなることを防ぐ。
【0117】
本教示による様々な例示的な実施形態で、フローセルがフローセルチャンバ内の反応及び/又は分析を行なう位置にある際、フローセルチャンバから熱が放射する(例えば、比較的高温反応(熱サイクル)ステージ)。いくつかの場合、例えば、フローセル反応チャンバが顕微鏡ステージに近いこと及び/又は顕微鏡ステージの構造的構成により、顕微鏡ステージを過熱することからそのような放射熱を除去することが望ましい。例として、様々な例示的な実施形態で、顕微鏡ステージは、フローセルが据え付けられる開口部を定める比較的薄い側を有する。採用される1つの解法は、また、ヒートシンクとして役立つブレース(brace)を顕微鏡ステージのフレームに加えることである。そのようなブレースは、開口部の近くの顕微鏡ステージに追加の支持を与えて、また、顕微鏡ステージから熱を除去するヒートシンクとして役立つ。図16の例示的な実施形態のフローセルの基板キャリア2200の近くにある顕微鏡ステージ1601の側部に取り付けたブレース3500の例示的な実施形態を図35に示す。図35は、図16のシートに垂直な平面で見た図16のフローセル1600Aの中央部分の断面図である。ブレース3500は、例えば、アルミニウム製であり、又は、良好な熱伝導度、十分な剛性及び軽量を示す他の材料製である。ブレース3500は、1つ以上のフィンを含み、又は、ブレース3500が取り付けられた際、顕微鏡ステージ1601から熱を奪うように構成された類似の構造を含む。
【0118】
上記のように、本教示の例示的な実施形態による本明細書に記載の様々なフローセルは、熱サイクル及び/又はフローセルの他の温度調整を与える様々な熱的構成部品を含む。参照することにより本明細書に組み込まれる特許文献5は、本教示の例示的な実施形態に関連して用いられる様々な熱的システム及び熱的構成部品に関する詳細を与える。本開示は、また、例示的な実施形態のフローセル反応チャンバを冷却するように構成された冷却システムを含むいくつかの例示的な熱的配置を含む。例えば、空気をダクトを通してヒートシンクへ送るように構成され、フローセルに関連する、離れて置かれた冷却ファンを備える冷却システムを説明する。他の例示的な実施形態では、フローセルの液体冷却を用いて、ヒートシンク、ダクト及びファンを取り除くことが望ましい。そのような液体冷却は、図36の例示的な実施形態で示すような液体熱交換器を用いることにより使用される。
【0119】
図36は、図16のフローセル1600Aに関連して用いられる液体熱交換器3600の例示的な実施形態を示す部分な断面図である。しかしながら、当業者は、液体熱交換器3600が、そのような液体熱交換器を収容するフローセル構造の明らかな修正をした任意の本明細書に示され記載されたものを含む、様々なフローセル構成の反応チャンバを冷却するために用いられることを理解する。様々な例示的な実施形態で、図36で示すように、液体熱交換器3600は、サンプルブロック1612Aを加熱及び/又は冷却するために用いるペルチェ素子1660Aの下に配置される。液体熱交換器3600は、例えば、水、アルコール、冷却剤及び/又はその中の他の適切な冷却液体のような冷却液体を流すように構成された複数の流路3602を含む。液体熱交換器3600を通って循環する冷却液体は、反応チャンバを所望の温度に維持するのに役立つために、基板2210とサンプルブロック1612Aとの間に形成された反応チャンバから熱を吸収する。フローセルから離れた位置に取り付けられた別の液体熱交換器は、例えば、ファン及びヒートシンク付きであり、液体熱交換器3600の液体により吸収された熱を除去するように構成される。ポンプ又は他の適切なフロー機構は、管ポート(図示せず)により、液体を液体熱交換器3600に、及び、液体熱交換器3600から循環するために用いられる。
【0120】
図36の例示的な実施形態のもののように構成された液体熱交換器は、反応チャンバから熱を除去するために用いられる他の冷却構成部品に比べて、比較的小さいため、空間が考慮すべき事項の状況では、望ましい。その上、液体熱交換器は比較的軽いので、フローセルの重量を減少し、フローセルの開閉やその他操作を促進する。
【0121】
上で論じたように、様々な例示的な実施形態で、本教示によるフローセルは、垂直に位置する(例えば、大きい表面を持って地面にほぼ垂直に位置する)顕微鏡ステージに据え付けられる。いくつかの実施形態では、顕微鏡ステージは、水平の位置で動作するように設計されたものである(例えば、地面にほぼ平行な最も大きい表面を有する)。いくつかの場合において、そのようなステージは、ステージを動かすために力が用いられない際、フローセルの重量のため、下方へ惰性で進む傾向がある。図37及び図38は、フローセルの重量のため、下方へステージが動くことを妨げるために用いる釣り合いシステムの例示的な実施形態を示す。
【0122】
図37及び図38の例示的な実施形態で、ケーブル及びプリーシステム3700が、フローセルの重量の釣り合いを取るために用いられる。図示の実施形態で、システム3700は、例えば、顕微鏡ステージ及びフローセルを利用する生体分析機器に関連するフレームのような固定表面に取り付けるように構成された取付金具3705を含む。取付金具3705は、バネ仕掛けのケーブル巻き取り器3710を支持するプレートにより、取付金具3705に結合されたケーブル巻き取り器3710を有する。重りがバネ仕掛けのケーブル巻き取り器の代わりに用いられて、その究極の機能は、フローセルの重量に反対に作用するのに十分な張力を取付金具3705に結合されたケーブル3715に与えるためである。プレートは、ケーブル巻き取り器3710から延びるケーブル3715の通過を可能にするように構成された貫通孔を定める。様々な例示的な実施形態のケーブル巻き取り器3710は、Ametic Electricからの市販の部品であり、その部品は、ほぼ一定のけん引力をケーブル3715に与えるように構成される一対のクロックバネを含む。ケーブル3715は駆動プリー3720の周りに巻かれて、順に一定のトルクを駆動プリー3720に加える。駆動プリー3720は別の取付金具3740に取り付けられ、取付金具3740は、取付金具3705よりも顕微鏡ステージに近い生体分析機器に対する固定表面に取り付けるように構成されている。スプライン軸3750は、一端で駆動プリー3720に固定され、反対端で軸取付金具3745に固定され、駆動プリー3720の回転に応じて回転するように構成される。
【0123】
駆動されるプリー3725は、また、駆動プリー3720と軸取付金具3745との間のスプライン軸3750に結合される。第2のケーブル3735は、駆動されるプリー3725から延び、固定方法で顕微鏡ステージ(図示せず)に対し取り付けるように構成される、クリップ又は他の結合機構3765をその一端で有する。図37の例示的な実施形態で、結合機構3765は、冷却空気を顕微鏡ステージ上の1つ以上のフローセルに流すように構成された主ダクトの上部に取り付ける。しかしながら、当業者は、ケーブル3735が顕微鏡ステージ上で上方方向へ作用する力を与える限り、結合機構3765は、フローセル又は顕微鏡ステージ(又はそれらに関連する周辺機器要素)の様々な他の部分に取り付けることを理解する。
【0124】
駆動されるプリー3725は、スプライン軸受3755により、スプライン軸3750に結合される。このように、駆動されるプリー3725は、スプライン軸3750と共に回転するように構成されるが、また、スプライン軸3750の長手方向に沿って摺動する。駆動されるプリー3725がスプライン軸3750の長手方向に沿って摺動することを可能にすることにより、顕微鏡ステージは全三次元で並進するため(例えば、側側に及び上下に)、ケーブル3735が顕微鏡ステージの横方向への動きを追跡することを可能にする。
【0125】
システム3700を用いて、ケーブル3715内の張力は、プリー3720及び3725により最終的にケーブル3735へ伝えられて、顕微鏡ステージ上の持ち上げ力を作り出して、フローセルの重量により引き起こされる顕微鏡ステージ上の下方への力と釣り合いを取る。駆動プリー3720及び駆動されるプリー3725のサイズは、顕微鏡ステージから惰性で落下することを防ぐのに必要な釣り合い力量を微調整するために望ましいように、選択できる。
【0126】
本明細書に示され及び記載された様々な例示的な実施形態は、核酸テンプレートのマイクロアレイをフローセル反応チャンバに導入されるサンプル・ホルダーとして支持する基板の使用を説明するけれども、本明細書で説明されるフローセル反応チャンバは、フローセルのサンプルブロックにより支持される、様々な異なるタイプのサンプル・ホルダーにおいて与えられる、1つ以上の分析用生体サンプルを保持するように構成されることが、本教示の範囲内で考慮される。例として、フローセルは、例えば、凹所及び/又はマイクロタイタープレート内の井戸(well)、毛細管、管/マイクロ管、マイクロ流体素子/チャンバ、貫通孔プレート、サンプルトレイ及び他のタイプのサンプル・ホルダーを含むサンプル・ホルダーを受け入れるように構成される。サンプル・ホルダーは、また、例えば、ガラス、プラスチック、ポリマー、金属又はそれらの組み合わせを含む、マイクロカード又はサンプル基板のような上でサンプルを保持する位置を有する様々な材料を備える。基板は多数の方法で構成される、例えば、テンプレート又は他のサンプルのアレイを保持するように構成された顕微鏡スライド又は平面アレイのような一般的に平面の基板として、及び/又はマイクロタイタープレート、毛細管の形状で生体分析プロセス用に用いられる他の従来のサンプル・ホルダーとして、及び/又は1つ以上の生体サンプルで満たされるように構成され、フローセル内のサンプルブロックにより支持される他のサンプル・ホルダーとして、である。さらに、また、1つ以上の生体サンプルが、基板、マイクロタイタープレート、毛細管及び/又は他のサンプル・ホルダーにより保持されないで、直接、フローセルの反応チャンバに導入されることが、想定される。サンプルがサンプル・ホルダーなしで反応チャンバに導入される配置の例示的な一実施形態で、サンプルブロックは、また、除去されて、フローセル構造により形成される反応チャンバ自体が加熱され、及び、冷却される。
【0127】
本明細書を通して、生体サンプルを参照する。なお、本教示による生体分析機器は、多数のサンプルのプロセスを同時に行なうように構成される。さらに、異なるタイプのサンプルは同時に処理される。従って、反応チャンバ内に供給される生体サンプルを参照する際、その用語は、単一量の単一タイプのサンプル、多量の単一タイプのサンプル及び/又は多量の異なるタイプのサンプルのどちらかに言及することに留意すべきである。その用語は、また、反応チャンバ内に置かれた大量の物質に言及するために用いる。さらに、その最も広い意味において、サンプルの用語は、反応チャンバ内で分析及び他のプロセスを行なうために反応チャンバに導入される、様々な試薬等を含むことができる。
【0128】
本明細書に記載される様々な例示的な実施形態で、基板に存在するテンプレート核酸の配列決定を行なうために、フローセルは、テンプレート核酸のマイクロアレイと反応するため、試薬を反応チャンバに流入するように構成される。核酸テンプレートを保持する様々な基板の例及びそのような基板の製造方法が2006年8月10日に公開されたタイトル名”REAGENTS, METHODS, AND LIBRARIES FOR BEAD−BASED SEQUENCING”の特許文献1に記載されており、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0129】
用語「核酸」は、「ポリヌクレオチド」又は「オリゴヌクレオチド」と交互に用いることができ、インターヌクレオチド・リン酸ジエステル結合、又は、インターヌクレオチド類似体、及び、例えば、H+、NH4+、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+などの関連する対イオンにより結合された2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)及びリボヌクレオチド(RNA)を含むヌクレオチド・モノマーの一本鎖ポリマー又は二本鎖ポリマーを含むことができる。ポリヌクレオチドは、完全にデオキシリボヌクレオチドから成り、又は完全にリボヌクレオチドから成り、又はそれらの想像上の混合物から成る。ポリヌクレオチドは、核酸塩基及び砂糖類似体から成る。ポリヌクレオチドは、典型的に、オリゴヌクレオチドとして技術的に頻繁に参照される際の、例えば、5〜40のわずかのモノマーユニットから、数千のモノマーヌクレオチドユニットまでのサイズに及ぶ。特に断りのない限り、ポリヌクレオチド配列が表わされる際はいつも、ヌクレオシドは左から右へ5’から3’の次数であり、「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシチジンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、「T」はチミジンを示すと、特に断りのない限り、理解する。ラベル付きのポリヌクレオチドは、5’末端、3’ 末端、核酸塩基、インターヌクレオチド結合、砂糖、アミノ酸、硫化物、水酸基又はカルボキシルで、修正を含むことができる。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる2001年11月13日に特許されたタイトル名”LABELLED OLIGONUCLEOTIDES SYNTHESIZED ON SOLID SUPPORTS”の特許文献6を参照されたい。同様に、他の修正は、指定のサイトでふさわしいと思われるようにできる。
【0130】
用語「試薬」は、どんな方法を使っても、所望の反応を進行できる、又は分析できる任意の反応構成要素を意味すると理解すべきである。試薬は、反応性構成要素又は非反応性構成要素を含むことができる。試薬は反応に関与する必要はない。試薬は、例えば、溶媒及び/又は触媒を含む再生可能な構成要素であることができる。試薬は、反応に必要ではないが、例えば、反応の速度に影響するように、反応に影響するプロモーター、反応促進剤又は遅延剤を含むことができる。試薬は、例えば、結合対の一部材、緩衝剤、別のDNAへ雑種を生じるDNAを含むことができる。用語「試薬」は、用語「反応構成要素」と同義で用いる。
【0131】
様々な例示的な実施形態で、本明細書に記載されるフローセルは、マイクロアレイ基板上で合成による配列決定を行なうことを参照して、説明したけれども、当業者は、本教示の様々な実施形態によるフローセルが、例えば、組み合わせライブラリ及び/又は他の生体プロセス及び分析方法を生成するために、例えば、配列決定及び/又は雑種形成分析、タンパク質分析方法、結合分析、スクリーニング検定、及び/又は合成のような、限定はされないが、例えば、核酸分析方法を含む、様々な生体分析及び反応プロセスをフローセル内で行なうように構成されることを認めるであろう。なお、任意の数のフローセルが提供され、本明細書で示され記載されるデュアルの実施形態は、例示的でありかつ限定されない。
【0132】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、特に断りのない限り、量を表わす全ての数、百分率又は比率及び本明細書及び特許請求の範囲で用いる他の数値は、全ての場合で、用語「約」により修正されるものとして理解されるべきである。従って、特に反対のない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において記載される数値パラメータは、本発明により得られるように求める望ましい特性に応じて変わる近似である。少なくとも、特許請求の範囲に均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数を考慮し、通常の丸め技術の適用により、解釈すべきである。
【0133】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及び数値パラメータは、近似であるにもかかわらず、具体例で記載する数値は、できるだけ精密に表わしてある。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定で見出される標準偏差から必然的に帰着する一定の誤差を本質的に含む。その上、本明細書に開示される全ての範囲は、そこに含まれる任意の及び全ての部分な範囲を包囲すると理解すべきである。例えば、「10以下」の範囲は、最小値の0と最大値の10との間(及び、を含む)の任意の及び全ての部分な範囲を含み、すなわち、0に等しい最小値又は0より大きい値及び10に等しい最大値又は10より小さい値を有する任意の及び全ての部分な範囲であり、例えば、1から5である。
【0134】
なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いるように、単数形及び任意の語の任意の単数形使用は、明白に1つの指示に限定しない限り、複数形の指示を含む。従って、例えば、「生体サンプル」の参照は、2つ以上の異なる生体サンプルを含む。本明細書で用いるように、用語「含む」及びその文法的変形は、リストの項目の記述がリストの項目に代用できる又は追加できる他の類似の項目を除外するものではないように、限定されないことを意味する。
【0135】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮及びここに開示された本発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は例示的のみとして考慮され、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲により示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般的な顕微鏡の並進ステージに据え付けられるように構成された複数のフローセルを備え、各フローセルは、生体サンプルを収容する少なくとも1つのサンプル・ホルダーを受け入れるように構成され、
各フローセルは、少なくとも1つのサンプル・ホルダーを前記フローセル内に位置付ける開いた位置と、前記少なくとも1つのサンプル・ホルダー内に収容される生体サンプルを反応させる閉じた位置とに、選択的に設置されるように構成され、
前記複数のフローセルは、前記開いた位置及び前記閉じた位置に、互いに独立して選択的に設置されるように構成される、生体サンプル反応を行なうための装置。
【請求項2】
前記複数のフローセルは、前記一般的な顕微鏡のステージに取り外し可能に据え付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記顕微鏡のステージに据え付けられるフレームをさらに備え、前記複数のフローセルは、前記フレームに取り外し可能に据え付けられるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各前記複数のフローセルに関連する熱的構成部品をさらに備え、該熱的構成部品は独立に制御されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記熱的構成部品は、各前記複数のフローセルに関連する循環冷却流体システムを備え、各循環冷却流体システムは、各反応チャンバに近接して、各反応チャンバを冷却するように、冷却流体を循環させるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記熱的構成部品は、各前記複数のフローセルに関連するダクトを備え、該ダクトは、各反応チャンバに近接して、各反応チャンバを冷却するように、離れた源から空気を送るように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記開いた位置で、各フローセルは、前記少なくとも1つのサンプル・ホルダーを実質的に垂直な位置で受け入れるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記開いた位置で、各フローセルは、前記少なくとも1つのサンプル・ホルダーを実質的に水平な位置で受け入れるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記閉じた位置で、各フローセルは、前記少なくとも1つのサンプル・ホルダーを実質的に垂直な位置で保持するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各フローセルは、前記少なくとも1つのサンプル・ホルダーを各フローセル内に位置付ける間に、前記フローセルを支持する卓上固定具に係合可能なように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
各フローセルは、核酸の配列決定を行なうための核酸のマイクロアレイを備える基板を受け入れるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
各フローセルは、ヒータブロックを備え、且つ該ヒータブロックと各フローセル内に位置付けられる前記少なくとも1つのサンプル・ホルダーとの間に反応チャンバを規定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
各フローセルに関連する調整機構をさらに備え、該調整機構は、顕微鏡により撮像される前記少なくとも1つのサンプル・ホルダーの位置を前記顕微鏡の焦点面に動かすために、閉じた位置にある各フローセルの位置を調整するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記フローセルは、該フローセルを前記顕微鏡のステージに対しヒンジの周りに回転させることにより、前記開いた位置から前記閉じた位置に動かされるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
各フローセルは、球面軸受により前記顕微鏡のステージに取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
複数のダンパーをさらに備え、各ダンパーは、それぞれのフローセル及び前記顕微鏡のステージに固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
各フローセルは、前記閉じた位置で前記フローセルをロックするように構成されたレバーロックを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
各レバーロックは、前記顕微鏡のステージに対し取り付けられたそれぞれのフランジ機構に係合するように構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの生体サンプルを保持する基板を表面にて受け入れるように構成された凹所を規定するフレームと、
前記基板を前記凹所に保持するために、前記基板に係合したり係合しなくなったりするように構成された複数の保持フィンガーと、
前記凹所から離れる方向に前記フレームから延びる少なくとも2つの延長部とを備え、
各前記延長部は、前記フレームを反応チャンバ内の適切な位置にクランプするために、それぞれのクランプ機構が係合できる表面を備える、少なくとも1つの生体サンプルを保持する基板を保持するためのキャリア。
【請求項20】
前記フレームは、ヒータブロックと前記キャリアにより保持される基板との間に反応チャンバを形成するために、前記ヒータブロックを受け入れるように構成される、請求項19に記載のキャリア。
【請求項21】
前記フレームは、前記凹所に受け入れられた基板の表面から流出する物質を収容するように構成される、請求項19に記載のキャリア。
【請求項22】
前記クランプ機構が係合するように構成された前記延長部の前記表面は、傾斜している、請求項19に記載のキャリア。
【請求項23】
複数の前記延長部は、前記フレーム上で互いに対向し対角線上に配置された一対の延長部を備える、請求項19に記載のキャリア。
【請求項24】
前記凹所は、実質的に長方形である、請求項19に記載のキャリア。
【請求項25】
前記凹所により包囲された開口部をさらに備える、請求項19に記載のキャリア。
【請求項26】
無線周波数識別機構をさらに備える、請求項19に記載のキャリア。
【請求項27】
前記保持フィンガーは、前記フレームに対して回転して前記基板に係合したり係合しなくなったりするように構成される、請求項19に記載のキャリア。
【請求項28】
請求項19に記載のキャリアを保持するように構成されるフローセルであって、
前記キャリアの前記フレームと結合するように構成されるヒータブロックと、
前記キャリアを前記ヒータブロック上に保持するために、複数の前記延長部に係合するように構成される複数のクランプ機構とを備え、
前記ヒータブロックと前記キャリアの前記凹所の中の基板との間に反応チャンバが形成される、フローセル。
【請求項29】
前記複数のクランプ機構は、前記ヒータブロックを支持する支持プレートに対して回転するように構成される、請求項28に記載のフローセル。
【請求項30】
前記複数のクランプ機構は、前記延長部にクランプ力を加えるために、バネ仕掛けである、請求項28に記載のフローセル。
【請求項31】
前記複数のクランプ機構に係合して回転するように構成される連鎖システムを作動させるように構成されるリリースノブをさらに備える、請求項28に記載のフローセル。
【請求項32】
前記ヒータブロック上の複数のスペーサをさらに備え、前記複数のスペーサは、前記ヒータブロックと前記フレームとが互いに結合する際、前記キャリアに保持された基板を支持するように構成される、請求項28に記載のフローセル。
【請求項33】
前記複数のスペーサは、前記基板と前記ヒータブロックの表面との間に反応容積を規定するために、前記ヒータブロックの前記表面の上に前記基板を支持するように構成される、請求項28に記載のフローセル。
【請求項34】
前記フローセルは、基板を装填する開いた位置と反応を行なう閉じた位置との間に動かすために、顕微鏡ステージに対し旋回可能に据え付けられるように構成され、
前記顕微鏡ステージ上の調整機構は、前記クランプ機構が前記キャリアに係合しない限り、前記フローセルが前記閉じた位置に納められないように構成される、請求項28に記載のフローセル。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公表番号】特表2010−539987(P2010−539987A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528179(P2010−528179)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/078817
【国際公開番号】WO2009/046348
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(509130413)アプライド バイオシステムズ, エルエルシー (48)
【Fターム(参考)】