生体情報用圧力センサ及び生体情報用圧力検出装置
【課題】弾力性のある支持体に支持された人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサ、及び生体情報用圧力検出装置を提供する。
【解決手段】人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、人体による荷重変動又は人体が発生する振動の一方又は双方による外力を検出する面状の生体情報用圧力センサであって、外力に対して感度を有する感応部1を備え、感応部1は圧電材料を用いて構成されるとともに厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される。
【解決手段】人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、人体による荷重変動又は人体が発生する振動の一方又は双方による外力を検出する面状の生体情報用圧力センサであって、外力に対して感度を有する感応部1を備え、感応部1は圧電材料を用いて構成されるとともに厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、支持された人体による荷重変動や人体が発生する振動などによる外力を検出する面状の生体情報用圧力センサ、及び生体情報用圧力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような面状の圧力センサとして、ベッドやマット、シートなどの弾力性のある支持体に掛かる荷重を検出し、人や動物、物体等の存在の有無を判定するようなものが知られている。また、このような存在の有無の判定に留まらず、人の心拍(脈拍)や呼吸などの人体が発生する微小振動を検出するようにしたものも提案されている。
下記に出典を示す特許文献1には、このような荷重検出装置に関する発明が記載されている。この荷重検出装置は、振動発生部と振動発生部に隣接して設置された振動検出部とを備えた振動検出手段を、人体を支持する支持体に配設している。また、この荷重検出装置は、振動特性演算手段と、荷重演算手段とを備えている。振動特性演算手段は、振動発生部の振動により伝播する振動の振動特性を、振動検出部の出力信号から演算する。そして、荷重演算手段は、この振動特性演算手段の出力信号に基づいて、振動検出手段に印加される荷重を演算する。さらに、振動検出部の出力信号から支持体上の人体による振動成分を抽出する人体振動抽出部を備えて、例えば人体の心拍や呼吸による振動成分を抽出する。
【0003】
【特許文献1】特開2000−230853号公報(第8〜16段落、第1〜5図、第8〜10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人体等が支持体に支持されたときに安定的に生じる荷重をいわゆる静荷重とすれば、心拍など人体振動抽出部で抽出される振動成分は、突発的に発生するいわゆる動荷重である。この動荷重は、微小振動であるので、出力はさほど大きくない。そこで、微小振動の検出を容易にするために、振動検出部として例えば圧電素子(特許文献1参照)を用い、さらにこの感受面積を広げるという方法がある。しかし、感受面積を広げると、外来ノイズ成分などの人体に依らない振動を検出する可能性も高くなる。
【0005】
また、ベッド、シートなど、人体を支持する支持体は、快適性を考慮して通常は弾力性のある素材(例えばウレタンなど)が用いられる。圧電素子が支持体と人体との間に配置された場合、人体による静荷重により圧電素子は、微小振動の検出にとって好ましくない変形を生じて安定する場合がある。そして、この変形によって、圧電素子の出力の低下、S/N比の低下などを招く場合がある。
特に、心拍などの信号は微小振動であるのでこのような出力の低下やS/N比の低下は検出精度を低下させる要因となる。
【0006】
本願発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、弾力性のある支持体に支持された人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサ、及び生体情報用圧力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明に係る、人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、前記人体による荷重変動又は前記人体が発生する振動の一方又は双方による外力を検出する面状の生体情報用圧力センサは、前記外力に対して感度を有する感応部を備え、前記感応部は圧電材料を用いて構成されるとともに厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される点を特徴とする。
【0008】
圧電材料は、圧電効果による電気分極により発生する電荷を電気信号(例えば電圧信号)として出力することから、荷重の変動や振動を検出する用途に適している。圧電材料を用いたセンサには、良好な感度を有する感度方向がある。従って、面状の生体情報用圧力センサは、この感度方向への外力のみが印加され、その外力に応じ変形して応力が発生した場合に、最も効果的に荷重変動や振動を検出することができる。
しかし、実際には支持体に支持される人体の姿勢などによって、面状の生体情報用圧力センサに想定された感度方向とは異なる方向への外力が加わると、検出したい荷重変動や振動による外力との間で応力が相殺される可能性がある。本特徴構成によれば、外力に対して感度を有する感応部が、可撓性および異方性を有して構成される。つまり、外力に対して、等方的に撓まないような剛性を有して構成される。
従って、想定された感度方向とは異なる方向への外力に対しては変形しにくく、想定された感度方向に対して変形し易いように支持体に配置することもできる。その結果、応力が相殺されることを防ぎ、人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサを提供することができる。
【0009】
さらに、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記圧電材料の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成されることを特徴とする。
【0010】
圧電材料は、圧電効果を有する材料と樹脂などとを混合することにより、種々の形状に加工し易い材料である。従って、本発明のような厚みを部分的に異ならせて感応部が構成された面状の生体情報用圧力センサを生成するにも適している。そして、生体情報用圧力センサがこのように構成されると、厚みの違いにより、撓み易い方向を規定することができる。つまり、可撓性および異方性を有して感応部を構成することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記感応部が、圧電材料で構成される受感部とこの受感部を保持する基底部とを有し、前記基底部の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の生体情報用圧力センサは、可撓性を有して構成されるが、測定する対象物によって、どの程度の撓み易さが適しているかが異なる。上記特徴のように、感応部に基底部を設けると、同一の受感部に対して基底部を変更することにより、種々の撓み易さに対応することができる。通常、圧電材料には、発生した電荷を電気信号(例えば電圧)として取り出すために電極が取り付けられる。本特徴によれば、この電極を基底部として利用することもできる。また、基底部は、生体情報用圧力センサが取り付けられる物体をもって兼用することもできる。このように、特に構造を複雑化することなく、種々の撓み易さに対応させることが可能となる。
【0013】
さらに、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記感応部を複数備えた検出部と、複数の前記感応部の出力信号を伝達する配線部とが同一材料を用いて形成され、前記配線部は前記検出部に対して撓みにくく構成されることを特徴とすることができる。
【0014】
感応部を複数備えた検出部を有すれば、広い範囲で外力を検出することができ、また、異なる感応部で検出された外力を用いて総合的な判定を行うようなシステムを構築することもできる。また、個々の感応部はそれぞれに荷重変動や振動を検出するので、検出部の面積が広がっても、個々の感応部がノイズ性の振動に影響される可能性を抑制できる。
さらに、圧電材料など加工性に富む材料を利用して感応部が構成される場合に、複数の感応部の出力信号を伝達する配線部が感応部と同一材料を用いて構成されるので、生産性が高い。この場合、配線部も感応部と同様に圧電効果を示すが、配線部は検出部に対して撓みにくく(高い剛性を有して)構成される。従って、配線部に加わる外力に対する耐性を有した精度のよい生体情報用圧力センサを得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記感応部が複数備えられ、少なくとも一つの前記感応部は他の前記感応部とは異なる異方性を有することを特徴とすることができる。
【0016】
複数備えられた感応部のうち、少なくとも一つの感応部が他の感応部とは異なる方向に撓み易いと、この一つの感応部だけ感度特性が異なることになる。つまり、この一つ以外の感応部が検出目的に対応した感度を持つような異方性を有している場合には、逆に検出目的とは異なる方向に加わる外力を検出することができる感応部となる。この検出目的とは異なる方向に加わる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、互いに異方性の異なる、つまり感度方向の異なる感応部による検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0017】
ここで、前記感応部の少なくとも一つが、他の前記感応部と直交する異方性を有するように構成するとよい。
撓み易さが、直交方向に異なっていると、互いに感度を有する外力の方向が、最も離れたものとなる。その結果、互いに感度方向の異なる感応部による検出結果を総合的に利用する場合に、他の外力の干渉を受けにくくなる。
【0018】
また、本発明に係る生体情報用圧力検出装置は、上記本発明に係る生体情報用圧力センサを備えたものであって、以下の特徴を有する。
即ち、前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体の荷重が掛かる位置に配置され、前記感応部は、前記通常姿勢の場合に前記支持体を弾性変形させる前記人体の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓み難い異方性を有して構成される点を特徴とする。
【0019】
人体が通常姿勢の場合に人体による荷重が掛かる位置では、人体と支持体とが密着する。従って、この位置に生体情報用圧力センサ(感応部)が配置されれば、支持体と人体との間に生体情報用圧力センサがしっかりと挟み込まれ、人体による振動が生体情報用圧力センサに伝播し易い。このとき、生体情報用圧力センサの感応部があらゆる方向に等方的に変形する(撓む)と、感応部で応力が相殺される可能性がある。しかし、本発明では生体情報用圧力センサの感応部は、人体が通常姿勢の場合に支持体を弾性変形させる人体の曲面に添う方向に変形し易く(撓み易く)、この方向に直交する方向に変形しにくい(撓みにくい)異方性を有して構成される。従って、上述したような応力の相殺が抑制され、良好な感度を有して荷重変動や振動を検出することができる。
【0020】
また、本発明に係る生体情報用圧力検出装置は、本発明に係る生体情報用圧力センサを複数備えた生体情報用圧力検出装置であって、少なくとも一つの前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体による前記外力が直接印加されない位置に配置されることを特徴とすることができる。
【0021】
複数備えられた生体情報用圧力センサのうち、少なくとも一つが人体による外力が直接印加されない位置に配置されれば、この一つの生体情報用圧力センサは、逆に検出目的とは異なる外力のみを検出するセンサとなる。検出目的とは異なる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、複数の生体情報用圧力センサによる検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0022】
尚、このとき、人体による外力が印加されない生体情報用圧力センサも含めて全ての生体情報用圧力センサが同一方向の外力に対して撓み易いような異方性を有しているとよい。即ち、人体による外力が印加されない生体情報用圧力センサが検出した外力は、全ての生体情報用圧力センサに共通に関係する支持体自体の振動に起因する可能性が高い。従って、複数の生体情報用圧力センサによる検出結果を総合的に利用するに際し、良好にノイズ成分を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る面状の生体情報用圧力センサの感応部の構成を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。図2は、生体情報用圧力センサを弾力性のある支持体としてのシートに配置する例を示す説明図である。図3は、図2における人体の荷重や人体が発生する振動の例を示す説明図である。図4は、感応部の撓み易さの異方性について説明する説明図である。尚、以下、適宜、生体情報用圧力センサを単に圧力センサと称して説明する。
【0024】
図1に示すように、面状の感応部1(圧力センサ10)は、第一圧電体3aと第二圧電体3bとの2層の圧電体(圧電フィルム)が積層されて構成される。圧電体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの圧電材料を用いて構成され、圧電効果による電気分極によって電荷を発生する。圧電体に電極を取り付ければ、発生した電荷を電圧信号として取り出すことができる。
【0025】
電極は、一つの圧電体3(3a及び3b)に対して、それぞれ2つずつ取り付けられ、圧電体3はこれら2つの電極に挟まれて構成される。具体的には、図1に示すように、第一圧電体3aは第一電極2aと中間電極2cとに挟まれ、第二圧電体3bは第二電極2bと中間電極2cとに挟まれて構成される。つまり、中間電極2cを共通の電極として、2層の圧電体3がそれぞれ独立した電極を有して積層される。
【0026】
また、感応部1は、溝4を有しており、これは圧電体3を作製する際に設けられる。圧電体の材料であるポリフッ化ビニリデンなどの樹脂材料は、種々の形状に容易に加工することができる。従って、図1に示すように圧電材料の厚みを部分的に異ならせて溝4を有した圧電体3を形成することができる。
感応部1は、この溝4を有していることにより、図示長手方向に変形し易い。即ち、可撓性を有する感応部1はその撓み易さに異方性を有して構成されている。例えば、図4(a)に示すように異方性を有しない(等方性を有する)感応部1に外力F1が印加された場合、感応部1は同心円状に変形する。即ち、応力も等方的に発生する。しかし、図4(b)のように感応部1が異方性を有する場合には、同様の外力F1に対して長手方向に変形する。即ち、応力も一定の方向に集中して発生する。
【0027】
以下、この圧力センサ10(感応部1)を備えて生体情報用圧力検出装置を構成する実施形態を弾力性のある支持体としてのシート40に人体30が着座する場合について説明する。
図2及び図3に示すように、人体30が通常姿勢の場合に、人体30の荷重f1が掛かる位置に圧力センサ10が配置される。人体30による荷重f1が掛かる位置では、人体30と支持体40とが密着する。従って、この位置に圧力センサ10(感応部1)が配置されれば、支持体40と人体30との間に圧力センサ10がしっかりと挟み込まれ、人体30による振動が圧力センサ10に伝播し易い。
【0028】
このとき、圧力センサ10の感応部1があらゆる方向に等方的に変形すると、感応部1で応力が相殺される可能性がある。しかし、本発明では、感応部1は、人体30が通常姿勢の場合に支持体40を弾性変形させる人体30の臀部(又は大腿部)の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓みにくい異方性を有して構成される。従って、上述したような応力の相殺が抑制され、良好な感度を有して荷重変動や振動を検出することができる。
【0029】
さらに、例えば図3(b)に示すように、人体30の大腿部裏側には、血管31が通っており、血管31を介して、脈拍などの人体30が発生する振動が伝播されている。上述したように、血管31に沿う方向に対しては、圧力センサ10の剛性が高く、撓みにくい。従って、血管31の場所によって脈動f2のタイミングがずれ、圧力センサ10に加わる外力の振幅にずれが生じたとしても、応力が相殺される可能性を抑制することができる。従って、微小振動である脈拍などを良好に検出することができる生体情報用圧力センサを得ることができる。
例示は省略するが、背面に圧力センサ10を配置して呼吸などの振動を検出する場合においても、同様の考え方を採用することができる。
【0030】
このように、異方性を有した圧力センサ10(感応部1)を適切に配置することによって、脈拍や呼吸といった人体が発生する微小振動を良好に検出することが可能となる。本発明では、さらに検出感度を向上させる構成を採用することができる。
図1に基づいて上述したように感応部1は、極性の異なる2層の圧電体3を積層することによって構成されている。ここで、第一圧電体3aと第二圧電体3bとは、異なる極性を有して構成される。この極性は、圧電体の配向の向きに依存する。この配向の向き、いわゆる圧電活性の向きは、ポーリング処理や分極処理と称される処理によって行われる。2層の圧電体3の極性を逆極性とすることによって、同一の外力に対して変形した場合に、より大きな出力を得ることが可能となる。
【0031】
この原理について、図5に基づいて説明する。図5に示すように、図1に示した感応部1の長手側の一端を固定端に固定し、第一圧電体3aの側より垂直に外力Fを印加する。感応部1は、外力Fの方向に変形する。このとき、第一圧電体3aには外力Fに応じて引っ張り応力S1が発生し、第二圧電体3bには圧縮応力S2が発生する。つまり、2層の圧電体3には、2層の接合部でもある中心電極2cを中心として、それぞれ逆方向の応力が発生する。
ここで、第一圧電体3aと第二圧電体3bとは、逆の配向を有しているため、中心電極2cを基準として、それぞれの電極2a、2bには同極性の電圧信号が現れる。その結果、感応部1の出力としては、各圧電体3の2倍の振幅を有するものとなる。
【0032】
このように、検出精度と検出感度とを向上させた感応部1を複数備えれば、検出精度を維持して検出範囲を広くすることができる。つまり、個々の感応部1はそれぞれに荷重変動や振動を検出するので、検出範囲が広がっても、個々の感応部1がノイズ性の振動に影響される可能性は検出範囲が狭いときと同等である。また、異なる感応部1で検出された外力を用いて総合的な判定を行うようなシステムを構築することもできる。
【0033】
図6は、感応部1を複数備えた検出部10aと、複数の感応部1の出力信号を伝達する配線部10bとを備えた圧力センサ10の一例を示す構成図である。図1と同様に、(a)が上面図、(b)が断面図である。
本例では、検出部10aは、6ケの感応部1を備えて構成される。感応部1の変形が互いに影響しないように、感応部1の周囲には、スリット5が設けられている。
検出部10aと配線部10bとは、同一の材料、即ち圧電体で一体化されて形成されている。それぞれの感応部1の第一電極2aからの配線20aは、第一電極2aと同一面を通って、端子部10cへ至る。つまり、図6(b)に示す上面側を通る。同様に第二電極2bからの配線20bは図6(b)に示す下面側を通り、中心電極2cからの配線20cは第一圧電体3aと第二圧電体3bとの接合部である中央部を通って、端子部10cへ至る。
【0034】
図7は、図6に示す圧力センサ10をさらに改良したものである。上述したように、検出部10aと配線部10bとを共に圧電体で一体化して形成しているため、配線部10bも荷重変動や振動に対する感度を有している。このため、配線部10bに印加される外力に対して応力が発生すると、検出部10aでの検出結果を相殺したり、ノイズ成分となる信号を出力したりする可能性も否定できない。これらは、圧力センサとしての検出精度を低下させる要因となる。そこで、感応部1として機能させたい部分以外、特に検出部10aの外周部や配線部10bに保護層6を一体形成する。保護層6を設けることにより、これらの部分の剛性を高め、検出部10aの感応部1に対して撓みにくくすることができる。その結果、このような不要な部分において圧電効果により電荷が発生されることを抑制することができる。
【0035】
上述したように、感応部1は、溝4を設けることなどにより、剛性に異方性を有して構成されている。また、感応部1は、支持体40と人体30との間に挟まれて、人体30の曲面に沿って変形することが好ましい。特に、感応部1が複数備えられた圧力センサ10においてもこの変形を満足させる上で、感応部1の縦横寸法比(図6及び7のY/X)を考慮すればより好ましいことが発明者らによる実験によって明らかになった。
図8は、素子(感応部1)の縦横寸法比と、感度との関係を示す実験結果のグラフである。グラフ中のSは、目標とする感度(例えば、出力電圧)である。発明者らは、図6や図7に示したような圧力センサ10において、感応部1の縦横寸法比と感度との関係を調べた。その結果、縦横寸法比が、3以上の場合に、目標感度を超えることが確かめられた。
【0036】
図9は、図6や図7に示した圧力センサ10を支持体としてのシート40に配置する例を示したものである。図に示すように、少なくとも一つの圧力センサ10Aは、人体30が通常姿勢の場合に人体30による外力(図3に示す荷重f1や脈動f2)が直接印加されない位置に配置される。
人体30による外力が直接印加されない位置に配置された圧力センサ10Aは、逆に検出目的とは異なる外力のみを検出するものとなる。検出目的とは異なる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、複数の圧力センサ10による検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0037】
このとき、人体30による外力が印加されない圧力センサ10Aも含めて全ての圧力センサ10が同一方向の外力に対して剛性に異方性を有していると好ましい。即ち、人体30による外力が印加されない圧力センサ10Aが検出した外力は、全ての圧力センサ10に共通に関係するシート40自体の振動に起因する可能性が高い。従って、複数の圧力センサ10による検出結果を総合的に利用するに際し、良好にノイズ成分を抑制することができる。
【0038】
また、図10に示すように、感応部1が複数備えられた圧力センサ10を、少なくとも一つの感応部1Bが、他の感応部1Aと異なる異方性を有するように構成することもできる。
このように構成すると、一つの感応部1Bだけが異なる感度特性を持つことになる。つまり、この一つ以外の感応部1Aが検出目的に対応した感度を持つような異方性を有している場合には、感応部1Bは逆に検出目的とは異なる方向に加わる外力を検出することができる感応部1となる。検出目的とは異なる方向に加わる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、感度方向の異なる感応部1Aと感応部1Bとによる検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0039】
このとき、少なくとも一つの感応部1(例えば、感応部1B)が、他の感応部1Aと直交する異方性を有しているとよい。撓み易さが、直交方向に異なっていると、互いに感度を有する外力の方向が、最も離れる。その結果、互いに感度方向の異なる感応部による検出結果を総合的に利用する場合に、他の外力の干渉を受けにくくなる。
【0040】
また、支持体そのものの振動など、双方の感応部1(1A及び1B)が感度を有するノイズ性の外力による影響を抑制する上でも都合がよい。
例えば、図3に示したように、人体30の大腿部裏側を通る血管31を介して、脈拍などの人体30が発生する振動を検出する場合、感応部1Aと感応部1Bとを、それぞれ脈拍(心拍)検出用センサとリファレンスセンサとすることができる。脈拍検出用センサ(感応部1A)と直交する形でリファレンスセンサ(感応部1B)を隣接して配置することにより、脈拍検出用センサとリファレンスセンサの出力には、上述したように支持体40自体の振動による、同じノイズ成分が含まれる。しかし、脈拍に起因する信号はリファレンスセンサからの出力には含まれないか、含まれても小さくなる。そのため双方を組み合わせることでノイズ成分を除去し、脈拍信号をより正確に抽出することが可能となる。その結果、微小振動である脈拍などを良好に検出することができる。
例えば、支持体40が車両のシートであり、乗車中の乗員の脈拍等を検出する場合、走行中の車両の振動によって、支持体40自体が振動する。このような環境においても、良好に脈拍などの人体に起因する微小振動を検出することができる。
【0041】
尚、複数の感応部1を有する圧力センサ10を図2に示すような位置に配置してもよいし、逆に単一の感応部1からなる圧力センサ10を図9のように配置してもよい。
また、上記説明においては、感応部1を図1に示すように2層の圧電体3aと3bとが積層された構成を用いた。しかし、これに限らず、例えば図11に示すように1層の圧電体3に電極2aと2bとを備えて感応部1Cを構成してもよい。
【0042】
さらに、図1や図11に示した例では、感応部1を同一の圧電材料を用いて一体的に形成したが、図12に示すような構造を採用することもできる。つまり、受感部である圧電体7a、7bを保持する基材9(基底部)に、溝4Aを設け、基材9の厚みを部分的に異ならせる。そして、基材9、圧電体7a、7b、電極8a、8b、8cを有する感応部1Dを構成する。
尚、圧電体は、2層に限らず、勿論1層で構成してもよい。また、図示は省略するが、図1や図11に示した感応部において、圧電体3は平坦に形成し、電極2(例えば、第一電極2aや第二電極2b)を波打たせることにより、断面に凹凸を形成してもよい。この場合、波打つ電極が本発明の基底部に相当する。
【0043】
以上、説明したように本発明によれば、弾力性のある支持体に支持された人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサ、及び生体情報用圧力検出装置を提供することができる。
上記、実施形態においては、シートに着座する人体の脈拍を検出する場合を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。本発明は、ベッドや車椅子、シャワートイレなどにおいて、脈拍、呼吸などの微小振動、荷重変動による人体の動きなどを検出するために適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る生体情報用圧力センサの感応部の構成を模式的に示す図 (a):上面図、(b):断面図
【図2】生体情報用圧力センサを弾力性のある支持体に配置する例を示す説明図
【図3】図2における人体の荷重や人体が発生する振動の例を示す説明図
【図4】感応部の異方性について説明する説明図
【図5】図1の感応部に外力が印加された場合の応力を示す説明図(a):上面図、(b):断面図、(c):断面図
【図6】図1の感応部を複数備えた圧力センサの構成例(1)を示す構成図 (a):上面図、(b):断面図
【図7】図1の感応部を複数備えた圧力センサの構成例(2)を示す構成図 (a):上面図、(b):断面図
【図8】感応部の縦横比と感度との関係を示す実験結果のグラフ
【図9】生体情報用圧力センサを弾力性のある支持体に配置する他の例を示す説明図
【図10】図1の感応部を複数備えた圧力センサの構成例(3)を示す構成図
【図11】感応部の他の構成例(1)を模式的に示す図
【図12】感応部の他の構成例(2)を模式的に示す図
【符号の説明】
【0045】
1:感応部
2:電極
3:圧電体(圧電材料)
4:溝
10:圧力センサ(生体情報用圧力センサ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、支持された人体による荷重変動や人体が発生する振動などによる外力を検出する面状の生体情報用圧力センサ、及び生体情報用圧力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような面状の圧力センサとして、ベッドやマット、シートなどの弾力性のある支持体に掛かる荷重を検出し、人や動物、物体等の存在の有無を判定するようなものが知られている。また、このような存在の有無の判定に留まらず、人の心拍(脈拍)や呼吸などの人体が発生する微小振動を検出するようにしたものも提案されている。
下記に出典を示す特許文献1には、このような荷重検出装置に関する発明が記載されている。この荷重検出装置は、振動発生部と振動発生部に隣接して設置された振動検出部とを備えた振動検出手段を、人体を支持する支持体に配設している。また、この荷重検出装置は、振動特性演算手段と、荷重演算手段とを備えている。振動特性演算手段は、振動発生部の振動により伝播する振動の振動特性を、振動検出部の出力信号から演算する。そして、荷重演算手段は、この振動特性演算手段の出力信号に基づいて、振動検出手段に印加される荷重を演算する。さらに、振動検出部の出力信号から支持体上の人体による振動成分を抽出する人体振動抽出部を備えて、例えば人体の心拍や呼吸による振動成分を抽出する。
【0003】
【特許文献1】特開2000−230853号公報(第8〜16段落、第1〜5図、第8〜10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人体等が支持体に支持されたときに安定的に生じる荷重をいわゆる静荷重とすれば、心拍など人体振動抽出部で抽出される振動成分は、突発的に発生するいわゆる動荷重である。この動荷重は、微小振動であるので、出力はさほど大きくない。そこで、微小振動の検出を容易にするために、振動検出部として例えば圧電素子(特許文献1参照)を用い、さらにこの感受面積を広げるという方法がある。しかし、感受面積を広げると、外来ノイズ成分などの人体に依らない振動を検出する可能性も高くなる。
【0005】
また、ベッド、シートなど、人体を支持する支持体は、快適性を考慮して通常は弾力性のある素材(例えばウレタンなど)が用いられる。圧電素子が支持体と人体との間に配置された場合、人体による静荷重により圧電素子は、微小振動の検出にとって好ましくない変形を生じて安定する場合がある。そして、この変形によって、圧電素子の出力の低下、S/N比の低下などを招く場合がある。
特に、心拍などの信号は微小振動であるのでこのような出力の低下やS/N比の低下は検出精度を低下させる要因となる。
【0006】
本願発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、弾力性のある支持体に支持された人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサ、及び生体情報用圧力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明に係る、人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、前記人体による荷重変動又は前記人体が発生する振動の一方又は双方による外力を検出する面状の生体情報用圧力センサは、前記外力に対して感度を有する感応部を備え、前記感応部は圧電材料を用いて構成されるとともに厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される点を特徴とする。
【0008】
圧電材料は、圧電効果による電気分極により発生する電荷を電気信号(例えば電圧信号)として出力することから、荷重の変動や振動を検出する用途に適している。圧電材料を用いたセンサには、良好な感度を有する感度方向がある。従って、面状の生体情報用圧力センサは、この感度方向への外力のみが印加され、その外力に応じ変形して応力が発生した場合に、最も効果的に荷重変動や振動を検出することができる。
しかし、実際には支持体に支持される人体の姿勢などによって、面状の生体情報用圧力センサに想定された感度方向とは異なる方向への外力が加わると、検出したい荷重変動や振動による外力との間で応力が相殺される可能性がある。本特徴構成によれば、外力に対して感度を有する感応部が、可撓性および異方性を有して構成される。つまり、外力に対して、等方的に撓まないような剛性を有して構成される。
従って、想定された感度方向とは異なる方向への外力に対しては変形しにくく、想定された感度方向に対して変形し易いように支持体に配置することもできる。その結果、応力が相殺されることを防ぎ、人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサを提供することができる。
【0009】
さらに、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記圧電材料の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成されることを特徴とする。
【0010】
圧電材料は、圧電効果を有する材料と樹脂などとを混合することにより、種々の形状に加工し易い材料である。従って、本発明のような厚みを部分的に異ならせて感応部が構成された面状の生体情報用圧力センサを生成するにも適している。そして、生体情報用圧力センサがこのように構成されると、厚みの違いにより、撓み易い方向を規定することができる。つまり、可撓性および異方性を有して感応部を構成することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記感応部が、圧電材料で構成される受感部とこの受感部を保持する基底部とを有し、前記基底部の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の生体情報用圧力センサは、可撓性を有して構成されるが、測定する対象物によって、どの程度の撓み易さが適しているかが異なる。上記特徴のように、感応部に基底部を設けると、同一の受感部に対して基底部を変更することにより、種々の撓み易さに対応することができる。通常、圧電材料には、発生した電荷を電気信号(例えば電圧)として取り出すために電極が取り付けられる。本特徴によれば、この電極を基底部として利用することもできる。また、基底部は、生体情報用圧力センサが取り付けられる物体をもって兼用することもできる。このように、特に構造を複雑化することなく、種々の撓み易さに対応させることが可能となる。
【0013】
さらに、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記感応部を複数備えた検出部と、複数の前記感応部の出力信号を伝達する配線部とが同一材料を用いて形成され、前記配線部は前記検出部に対して撓みにくく構成されることを特徴とすることができる。
【0014】
感応部を複数備えた検出部を有すれば、広い範囲で外力を検出することができ、また、異なる感応部で検出された外力を用いて総合的な判定を行うようなシステムを構築することもできる。また、個々の感応部はそれぞれに荷重変動や振動を検出するので、検出部の面積が広がっても、個々の感応部がノイズ性の振動に影響される可能性を抑制できる。
さらに、圧電材料など加工性に富む材料を利用して感応部が構成される場合に、複数の感応部の出力信号を伝達する配線部が感応部と同一材料を用いて構成されるので、生産性が高い。この場合、配線部も感応部と同様に圧電効果を示すが、配線部は検出部に対して撓みにくく(高い剛性を有して)構成される。従って、配線部に加わる外力に対する耐性を有した精度のよい生体情報用圧力センサを得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る生体情報用圧力センサは、前記感応部が複数備えられ、少なくとも一つの前記感応部は他の前記感応部とは異なる異方性を有することを特徴とすることができる。
【0016】
複数備えられた感応部のうち、少なくとも一つの感応部が他の感応部とは異なる方向に撓み易いと、この一つの感応部だけ感度特性が異なることになる。つまり、この一つ以外の感応部が検出目的に対応した感度を持つような異方性を有している場合には、逆に検出目的とは異なる方向に加わる外力を検出することができる感応部となる。この検出目的とは異なる方向に加わる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、互いに異方性の異なる、つまり感度方向の異なる感応部による検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0017】
ここで、前記感応部の少なくとも一つが、他の前記感応部と直交する異方性を有するように構成するとよい。
撓み易さが、直交方向に異なっていると、互いに感度を有する外力の方向が、最も離れたものとなる。その結果、互いに感度方向の異なる感応部による検出結果を総合的に利用する場合に、他の外力の干渉を受けにくくなる。
【0018】
また、本発明に係る生体情報用圧力検出装置は、上記本発明に係る生体情報用圧力センサを備えたものであって、以下の特徴を有する。
即ち、前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体の荷重が掛かる位置に配置され、前記感応部は、前記通常姿勢の場合に前記支持体を弾性変形させる前記人体の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓み難い異方性を有して構成される点を特徴とする。
【0019】
人体が通常姿勢の場合に人体による荷重が掛かる位置では、人体と支持体とが密着する。従って、この位置に生体情報用圧力センサ(感応部)が配置されれば、支持体と人体との間に生体情報用圧力センサがしっかりと挟み込まれ、人体による振動が生体情報用圧力センサに伝播し易い。このとき、生体情報用圧力センサの感応部があらゆる方向に等方的に変形する(撓む)と、感応部で応力が相殺される可能性がある。しかし、本発明では生体情報用圧力センサの感応部は、人体が通常姿勢の場合に支持体を弾性変形させる人体の曲面に添う方向に変形し易く(撓み易く)、この方向に直交する方向に変形しにくい(撓みにくい)異方性を有して構成される。従って、上述したような応力の相殺が抑制され、良好な感度を有して荷重変動や振動を検出することができる。
【0020】
また、本発明に係る生体情報用圧力検出装置は、本発明に係る生体情報用圧力センサを複数備えた生体情報用圧力検出装置であって、少なくとも一つの前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体による前記外力が直接印加されない位置に配置されることを特徴とすることができる。
【0021】
複数備えられた生体情報用圧力センサのうち、少なくとも一つが人体による外力が直接印加されない位置に配置されれば、この一つの生体情報用圧力センサは、逆に検出目的とは異なる外力のみを検出するセンサとなる。検出目的とは異なる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、複数の生体情報用圧力センサによる検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0022】
尚、このとき、人体による外力が印加されない生体情報用圧力センサも含めて全ての生体情報用圧力センサが同一方向の外力に対して撓み易いような異方性を有しているとよい。即ち、人体による外力が印加されない生体情報用圧力センサが検出した外力は、全ての生体情報用圧力センサに共通に関係する支持体自体の振動に起因する可能性が高い。従って、複数の生体情報用圧力センサによる検出結果を総合的に利用するに際し、良好にノイズ成分を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る面状の生体情報用圧力センサの感応部の構成を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。図2は、生体情報用圧力センサを弾力性のある支持体としてのシートに配置する例を示す説明図である。図3は、図2における人体の荷重や人体が発生する振動の例を示す説明図である。図4は、感応部の撓み易さの異方性について説明する説明図である。尚、以下、適宜、生体情報用圧力センサを単に圧力センサと称して説明する。
【0024】
図1に示すように、面状の感応部1(圧力センサ10)は、第一圧電体3aと第二圧電体3bとの2層の圧電体(圧電フィルム)が積層されて構成される。圧電体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの圧電材料を用いて構成され、圧電効果による電気分極によって電荷を発生する。圧電体に電極を取り付ければ、発生した電荷を電圧信号として取り出すことができる。
【0025】
電極は、一つの圧電体3(3a及び3b)に対して、それぞれ2つずつ取り付けられ、圧電体3はこれら2つの電極に挟まれて構成される。具体的には、図1に示すように、第一圧電体3aは第一電極2aと中間電極2cとに挟まれ、第二圧電体3bは第二電極2bと中間電極2cとに挟まれて構成される。つまり、中間電極2cを共通の電極として、2層の圧電体3がそれぞれ独立した電極を有して積層される。
【0026】
また、感応部1は、溝4を有しており、これは圧電体3を作製する際に設けられる。圧電体の材料であるポリフッ化ビニリデンなどの樹脂材料は、種々の形状に容易に加工することができる。従って、図1に示すように圧電材料の厚みを部分的に異ならせて溝4を有した圧電体3を形成することができる。
感応部1は、この溝4を有していることにより、図示長手方向に変形し易い。即ち、可撓性を有する感応部1はその撓み易さに異方性を有して構成されている。例えば、図4(a)に示すように異方性を有しない(等方性を有する)感応部1に外力F1が印加された場合、感応部1は同心円状に変形する。即ち、応力も等方的に発生する。しかし、図4(b)のように感応部1が異方性を有する場合には、同様の外力F1に対して長手方向に変形する。即ち、応力も一定の方向に集中して発生する。
【0027】
以下、この圧力センサ10(感応部1)を備えて生体情報用圧力検出装置を構成する実施形態を弾力性のある支持体としてのシート40に人体30が着座する場合について説明する。
図2及び図3に示すように、人体30が通常姿勢の場合に、人体30の荷重f1が掛かる位置に圧力センサ10が配置される。人体30による荷重f1が掛かる位置では、人体30と支持体40とが密着する。従って、この位置に圧力センサ10(感応部1)が配置されれば、支持体40と人体30との間に圧力センサ10がしっかりと挟み込まれ、人体30による振動が圧力センサ10に伝播し易い。
【0028】
このとき、圧力センサ10の感応部1があらゆる方向に等方的に変形すると、感応部1で応力が相殺される可能性がある。しかし、本発明では、感応部1は、人体30が通常姿勢の場合に支持体40を弾性変形させる人体30の臀部(又は大腿部)の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓みにくい異方性を有して構成される。従って、上述したような応力の相殺が抑制され、良好な感度を有して荷重変動や振動を検出することができる。
【0029】
さらに、例えば図3(b)に示すように、人体30の大腿部裏側には、血管31が通っており、血管31を介して、脈拍などの人体30が発生する振動が伝播されている。上述したように、血管31に沿う方向に対しては、圧力センサ10の剛性が高く、撓みにくい。従って、血管31の場所によって脈動f2のタイミングがずれ、圧力センサ10に加わる外力の振幅にずれが生じたとしても、応力が相殺される可能性を抑制することができる。従って、微小振動である脈拍などを良好に検出することができる生体情報用圧力センサを得ることができる。
例示は省略するが、背面に圧力センサ10を配置して呼吸などの振動を検出する場合においても、同様の考え方を採用することができる。
【0030】
このように、異方性を有した圧力センサ10(感応部1)を適切に配置することによって、脈拍や呼吸といった人体が発生する微小振動を良好に検出することが可能となる。本発明では、さらに検出感度を向上させる構成を採用することができる。
図1に基づいて上述したように感応部1は、極性の異なる2層の圧電体3を積層することによって構成されている。ここで、第一圧電体3aと第二圧電体3bとは、異なる極性を有して構成される。この極性は、圧電体の配向の向きに依存する。この配向の向き、いわゆる圧電活性の向きは、ポーリング処理や分極処理と称される処理によって行われる。2層の圧電体3の極性を逆極性とすることによって、同一の外力に対して変形した場合に、より大きな出力を得ることが可能となる。
【0031】
この原理について、図5に基づいて説明する。図5に示すように、図1に示した感応部1の長手側の一端を固定端に固定し、第一圧電体3aの側より垂直に外力Fを印加する。感応部1は、外力Fの方向に変形する。このとき、第一圧電体3aには外力Fに応じて引っ張り応力S1が発生し、第二圧電体3bには圧縮応力S2が発生する。つまり、2層の圧電体3には、2層の接合部でもある中心電極2cを中心として、それぞれ逆方向の応力が発生する。
ここで、第一圧電体3aと第二圧電体3bとは、逆の配向を有しているため、中心電極2cを基準として、それぞれの電極2a、2bには同極性の電圧信号が現れる。その結果、感応部1の出力としては、各圧電体3の2倍の振幅を有するものとなる。
【0032】
このように、検出精度と検出感度とを向上させた感応部1を複数備えれば、検出精度を維持して検出範囲を広くすることができる。つまり、個々の感応部1はそれぞれに荷重変動や振動を検出するので、検出範囲が広がっても、個々の感応部1がノイズ性の振動に影響される可能性は検出範囲が狭いときと同等である。また、異なる感応部1で検出された外力を用いて総合的な判定を行うようなシステムを構築することもできる。
【0033】
図6は、感応部1を複数備えた検出部10aと、複数の感応部1の出力信号を伝達する配線部10bとを備えた圧力センサ10の一例を示す構成図である。図1と同様に、(a)が上面図、(b)が断面図である。
本例では、検出部10aは、6ケの感応部1を備えて構成される。感応部1の変形が互いに影響しないように、感応部1の周囲には、スリット5が設けられている。
検出部10aと配線部10bとは、同一の材料、即ち圧電体で一体化されて形成されている。それぞれの感応部1の第一電極2aからの配線20aは、第一電極2aと同一面を通って、端子部10cへ至る。つまり、図6(b)に示す上面側を通る。同様に第二電極2bからの配線20bは図6(b)に示す下面側を通り、中心電極2cからの配線20cは第一圧電体3aと第二圧電体3bとの接合部である中央部を通って、端子部10cへ至る。
【0034】
図7は、図6に示す圧力センサ10をさらに改良したものである。上述したように、検出部10aと配線部10bとを共に圧電体で一体化して形成しているため、配線部10bも荷重変動や振動に対する感度を有している。このため、配線部10bに印加される外力に対して応力が発生すると、検出部10aでの検出結果を相殺したり、ノイズ成分となる信号を出力したりする可能性も否定できない。これらは、圧力センサとしての検出精度を低下させる要因となる。そこで、感応部1として機能させたい部分以外、特に検出部10aの外周部や配線部10bに保護層6を一体形成する。保護層6を設けることにより、これらの部分の剛性を高め、検出部10aの感応部1に対して撓みにくくすることができる。その結果、このような不要な部分において圧電効果により電荷が発生されることを抑制することができる。
【0035】
上述したように、感応部1は、溝4を設けることなどにより、剛性に異方性を有して構成されている。また、感応部1は、支持体40と人体30との間に挟まれて、人体30の曲面に沿って変形することが好ましい。特に、感応部1が複数備えられた圧力センサ10においてもこの変形を満足させる上で、感応部1の縦横寸法比(図6及び7のY/X)を考慮すればより好ましいことが発明者らによる実験によって明らかになった。
図8は、素子(感応部1)の縦横寸法比と、感度との関係を示す実験結果のグラフである。グラフ中のSは、目標とする感度(例えば、出力電圧)である。発明者らは、図6や図7に示したような圧力センサ10において、感応部1の縦横寸法比と感度との関係を調べた。その結果、縦横寸法比が、3以上の場合に、目標感度を超えることが確かめられた。
【0036】
図9は、図6や図7に示した圧力センサ10を支持体としてのシート40に配置する例を示したものである。図に示すように、少なくとも一つの圧力センサ10Aは、人体30が通常姿勢の場合に人体30による外力(図3に示す荷重f1や脈動f2)が直接印加されない位置に配置される。
人体30による外力が直接印加されない位置に配置された圧力センサ10Aは、逆に検出目的とは異なる外力のみを検出するものとなる。検出目的とは異なる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、複数の圧力センサ10による検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0037】
このとき、人体30による外力が印加されない圧力センサ10Aも含めて全ての圧力センサ10が同一方向の外力に対して剛性に異方性を有していると好ましい。即ち、人体30による外力が印加されない圧力センサ10Aが検出した外力は、全ての圧力センサ10に共通に関係するシート40自体の振動に起因する可能性が高い。従って、複数の圧力センサ10による検出結果を総合的に利用するに際し、良好にノイズ成分を抑制することができる。
【0038】
また、図10に示すように、感応部1が複数備えられた圧力センサ10を、少なくとも一つの感応部1Bが、他の感応部1Aと異なる異方性を有するように構成することもできる。
このように構成すると、一つの感応部1Bだけが異なる感度特性を持つことになる。つまり、この一つ以外の感応部1Aが検出目的に対応した感度を持つような異方性を有している場合には、感応部1Bは逆に検出目的とは異なる方向に加わる外力を検出することができる感応部1となる。検出目的とは異なる方向に加わる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、感度方向の異なる感応部1Aと感応部1Bとによる検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
【0039】
このとき、少なくとも一つの感応部1(例えば、感応部1B)が、他の感応部1Aと直交する異方性を有しているとよい。撓み易さが、直交方向に異なっていると、互いに感度を有する外力の方向が、最も離れる。その結果、互いに感度方向の異なる感応部による検出結果を総合的に利用する場合に、他の外力の干渉を受けにくくなる。
【0040】
また、支持体そのものの振動など、双方の感応部1(1A及び1B)が感度を有するノイズ性の外力による影響を抑制する上でも都合がよい。
例えば、図3に示したように、人体30の大腿部裏側を通る血管31を介して、脈拍などの人体30が発生する振動を検出する場合、感応部1Aと感応部1Bとを、それぞれ脈拍(心拍)検出用センサとリファレンスセンサとすることができる。脈拍検出用センサ(感応部1A)と直交する形でリファレンスセンサ(感応部1B)を隣接して配置することにより、脈拍検出用センサとリファレンスセンサの出力には、上述したように支持体40自体の振動による、同じノイズ成分が含まれる。しかし、脈拍に起因する信号はリファレンスセンサからの出力には含まれないか、含まれても小さくなる。そのため双方を組み合わせることでノイズ成分を除去し、脈拍信号をより正確に抽出することが可能となる。その結果、微小振動である脈拍などを良好に検出することができる。
例えば、支持体40が車両のシートであり、乗車中の乗員の脈拍等を検出する場合、走行中の車両の振動によって、支持体40自体が振動する。このような環境においても、良好に脈拍などの人体に起因する微小振動を検出することができる。
【0041】
尚、複数の感応部1を有する圧力センサ10を図2に示すような位置に配置してもよいし、逆に単一の感応部1からなる圧力センサ10を図9のように配置してもよい。
また、上記説明においては、感応部1を図1に示すように2層の圧電体3aと3bとが積層された構成を用いた。しかし、これに限らず、例えば図11に示すように1層の圧電体3に電極2aと2bとを備えて感応部1Cを構成してもよい。
【0042】
さらに、図1や図11に示した例では、感応部1を同一の圧電材料を用いて一体的に形成したが、図12に示すような構造を採用することもできる。つまり、受感部である圧電体7a、7bを保持する基材9(基底部)に、溝4Aを設け、基材9の厚みを部分的に異ならせる。そして、基材9、圧電体7a、7b、電極8a、8b、8cを有する感応部1Dを構成する。
尚、圧電体は、2層に限らず、勿論1層で構成してもよい。また、図示は省略するが、図1や図11に示した感応部において、圧電体3は平坦に形成し、電極2(例えば、第一電極2aや第二電極2b)を波打たせることにより、断面に凹凸を形成してもよい。この場合、波打つ電極が本発明の基底部に相当する。
【0043】
以上、説明したように本発明によれば、弾力性のある支持体に支持された人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサ、及び生体情報用圧力検出装置を提供することができる。
上記、実施形態においては、シートに着座する人体の脈拍を検出する場合を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。本発明は、ベッドや車椅子、シャワートイレなどにおいて、脈拍、呼吸などの微小振動、荷重変動による人体の動きなどを検出するために適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る生体情報用圧力センサの感応部の構成を模式的に示す図 (a):上面図、(b):断面図
【図2】生体情報用圧力センサを弾力性のある支持体に配置する例を示す説明図
【図3】図2における人体の荷重や人体が発生する振動の例を示す説明図
【図4】感応部の異方性について説明する説明図
【図5】図1の感応部に外力が印加された場合の応力を示す説明図(a):上面図、(b):断面図、(c):断面図
【図6】図1の感応部を複数備えた圧力センサの構成例(1)を示す構成図 (a):上面図、(b):断面図
【図7】図1の感応部を複数備えた圧力センサの構成例(2)を示す構成図 (a):上面図、(b):断面図
【図8】感応部の縦横比と感度との関係を示す実験結果のグラフ
【図9】生体情報用圧力センサを弾力性のある支持体に配置する他の例を示す説明図
【図10】図1の感応部を複数備えた圧力センサの構成例(3)を示す構成図
【図11】感応部の他の構成例(1)を模式的に示す図
【図12】感応部の他の構成例(2)を模式的に示す図
【符号の説明】
【0045】
1:感応部
2:電極
3:圧電体(圧電材料)
4:溝
10:圧力センサ(生体情報用圧力センサ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、前記人体による荷重変動又は前記人体が発生する振動の一方又は双方による外力を検出する面状の生体情報用圧力センサであって、
前記外力に対して感度を有する感応部を備え、前記感応部は圧電材料を用いて構成されるとともに厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される生体情報用圧力センサ。
【請求項2】
前記感応部は、前記圧電材料の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される請求項1に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項3】
前記感応部は、圧電材料で構成される受感部とこの受感部を保持する基底部とを有し、前記基底部の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される請求項1に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項4】
前記感応部を複数備えた検出部と、複数の前記感応部の出力信号を伝達する配線部とが同一材料を用いて形成され、前記配線部は前記検出部に対して撓みにくく構成される請求項1又は2に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項5】
前記感応部が複数備えられ、少なくとも一つの前記感応部は他の前記感応部とは異なる異方性を有する請求項1〜3の何れか一項に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項6】
前記感応部の少なくとも一つは、他の前記感応部と直交する異方性を有する請求項5に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか一項に記載の生体情報用圧力センサを備えた生体情報用圧力検出装置であって、
前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体の荷重が掛かる位置に配置され、前記感応部は、前記通常姿勢の場合に前記支持体を弾性変形させる前記人体の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓みにくい異方性を有して構成される生体情報用圧力検出装置。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか一項に記載の生体情報用圧力センサを複数備えた生体情報用圧力検出装置であって、少なくとも一つの前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体による前記外力が直接印加されない位置に配置される生体情報用圧力検出装置。
【請求項1】
人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、前記人体による荷重変動又は前記人体が発生する振動の一方又は双方による外力を検出する面状の生体情報用圧力センサであって、
前記外力に対して感度を有する感応部を備え、前記感応部は圧電材料を用いて構成されるとともに厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される生体情報用圧力センサ。
【請求項2】
前記感応部は、前記圧電材料の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される請求項1に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項3】
前記感応部は、圧電材料で構成される受感部とこの受感部を保持する基底部とを有し、前記基底部の厚みを部分的に異ならせることにより、可撓性および異方性を有して構成される請求項1に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項4】
前記感応部を複数備えた検出部と、複数の前記感応部の出力信号を伝達する配線部とが同一材料を用いて形成され、前記配線部は前記検出部に対して撓みにくく構成される請求項1又は2に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項5】
前記感応部が複数備えられ、少なくとも一つの前記感応部は他の前記感応部とは異なる異方性を有する請求項1〜3の何れか一項に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項6】
前記感応部の少なくとも一つは、他の前記感応部と直交する異方性を有する請求項5に記載の生体情報用圧力センサ。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか一項に記載の生体情報用圧力センサを備えた生体情報用圧力検出装置であって、
前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体の荷重が掛かる位置に配置され、前記感応部は、前記通常姿勢の場合に前記支持体を弾性変形させる前記人体の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓みにくい異方性を有して構成される生体情報用圧力検出装置。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか一項に記載の生体情報用圧力センサを複数備えた生体情報用圧力検出装置であって、少なくとも一つの前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体による前記外力が直接印加されない位置に配置される生体情報用圧力検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−139566(P2007−139566A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333291(P2005−333291)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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