生体物質測定装置およびその製造方法
本発明は、生体物質を測定する装置を製造する方法に関するもので、第1基板に分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、個別反応要素単位に上記第1基板を切断する段階と、上記個別反応要素単位の第1基板を第2基板の所定位置に接合する段階と、を含むことを特徴とする。本発明によれば、生体物質測定装置では材料費が最小化され、生産自動化が容易なため、結局、生産コストを節減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質測定装置およびその製造方法に関するものであって、特に一つの基板に複数の反応要素を先に構成し、これを個別反応要素単位に切断して機械的支持体の役割をする他の基板に接合することによって形成された生体物質測定装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体物質を探知素子として用いてセンサー化したバイオセンサーは、優れた感度および反応特異性を実現させることができ、医療/医薬分野(臨床化学分析と治療)、バイオ産業の工程計測、環境計測、化学物質の安全性評価など広範囲な分野でその応用が期待されている。特に、生体内の化学的成分を調べることは医学的にはきわめて重要なことであり、現在、医療診断分野では血液を含む生体試料を分析するのにバイオセンサーがたくさん用いられている。その中でも、酵素と基質または酵素と阻害剤との特異的な反応を利用した酵素分析法バイオセンサーはその適用が簡便で、測定感度に優れ、速かに結果が得られるため、病院および臨床化学分析に最も広く用いられている。バイオセンサーに適用される酵素分析法は、酵素反応前・反応後の光透過度を分光学的方法で観察する光学法と電気化学的信号を測定する電極法とに大きく区分される。光学法は、一般に電極法に比べ測定時間が長く、多量の血液が必要であり、生体試料の混濁度に起因した測定誤差などにより重要な生体物質を分析するのに困難が伴う。したがって、最近では電極界をプラスチックフィルム上に形成した後、分析試薬を電極上に固定させ、試料が導入された後、一定電位を適用して試料中の特定物質を定量的に測定する電極法が酵素を用いたバイオセンサーに多く応用されている。
【0003】
特許文献1〜4は、バイオセンサーについての特許文献であって、バイオセンサーに関する具体的な動作および作用効果について詳述されている。これらの特許文献は、その具体的な内容をここで引用することにより本明細書に含まれるものとする。
【0004】
従来の光学法ストリップの製作方式が図1に示されている。基板102に光を透過させるための孔104を加工した後、その上に生化学反応試薬がついているメンブレン106を接着する。その次に個別ストリップ108に切断する。
【0005】
この方式では人が扱いやすい大きさのストリップに製作しなければならないので、ストリップの長さが数cm程と長い。したがって、生産装備がかさばり、コストがたくさんかかる。製作過程においては通常、ロール(roll)方式で製作されるため、基板102としては柔軟な材料が用いられ、その結果、孔形成またはストリップ切断の際に加工誤差が生じてしまい、測定結果の均一性が劣る問題点がある。また、一枚のストリップには一つの反応要素しか製作できないという限界がある。
【0006】
従来の電気化学法バイオセンサーストリップの製作方式が図2に示されている。図3は図2に示されたバイオセンサーストリップの垂直断面図であって、理解を助けるため、層の厚さが誇張されている。絶縁体202上に酸化還元反応が起こる作動電極204、基準電極206、補助電極( 図示しない) 等を形成した後、試料導入のためのキャピラリー208を形成するため、所定の形状に加工された絶縁体210がスペーサとして絶縁体202上に接着される。次に、電極上に生化学試薬212が塗布されて固定され、絶縁体214を接着してカバーを形成することによって、キャピラリー(208)に生化学試薬212が固定された電気化学法バイオセンサーが完成する。最後に個別ストリップ216に切断する。
【0007】
この方式もやはり従来の光学法ストリップの製作と同じように人が扱いやすい大きさのストリップに製作しなければならないため、ストリップの長さが数cm程と長い。ストリップ各々に電極を形成しなければならないため、ロール方式での製作が難しく、通常、シート(sheet) 方式で製作される。シート方式で生産する場合、個別ストリップが大きいため、シート全面積に対する細心な工程管理が必要である。広い面積で均一な性能のストリップを形成するには、特に電極形成過程において極めて細心な注意が必要である。さらに、溶液塗布を広い面積について実施しなければならないため、乾燥過程において均一性を確保することが困難である。したがって、生産装備がかさばり、高価で、かつ工程が極めて難しいばかりでなく、コストが高いという問題点がある。後に、個別ストリップに切断するため、絶縁体202として比較的薄いプラスチック材料を用いる。ガラスやシリコンウェハーを用いる場合、ストリップ当たりの基板材料費が大きくなり、ストリップの価格が上昇する。また、一枚のストリップに一つの反応要素しか製作できないという限界がある。なお、一つの工程で1種類の構造のキャピラリーしか形成できず、仮に2種類の構造を具現する場合には、コストが倍になる。
【特許文献1】米国特許第5,120,420 号明細書
【特許文献2】米国特許第5,395,504 号明細書
【特許文献3】米国特許第5,437,999 号明細書
【特許文献4】米国特許第5,997,817 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の問題点を解決するために見出された本発明は、材料費を最小化し、生産自動化が容易なため、結局、生産コストを節減できる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにその目的がある。
【0009】
また、本発明は、一つの基板上にいくつかの反応要素を接合することが可能なため、反応要素当たりの価格を下げることが可能な生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0010】
また、本発明は、反応物質の種類、反応の特性によりプラスチック、シリコーン、ガラスなどを基板材料として自由に使用するので、工程互換性が向上し、より広い範囲の生化学分析に適用できる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0011】
また、本発明は、一つの基板上に同じ測定対象物質( または分析物質) を測定する反応要素をいくつか接合することも、測定対象物質の異なる反応要素をいくつか接合することもできるため、用途が多様で、使用者の便宜性を極大化でき、連続測定が可能な生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0012】
また、本発明はマガジン(magazine)形態にパッケージングでき、使用者が測定する度に交換しなければならないわずらわしさを減らせる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0013】
また、本発明は測定に必要な試料の量を最小化できる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにさらなる目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明は、生体物質を測定する装置を製造する方法において、第1基板に分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、個別反応要
素単位に前記第1基板を切断する段階と、前記個別反応要素単位の第1基板を第2基板の所定位置に接合する段階とを含むことを一つの特徴とする。外部から前記分析試薬に流入する湿気を除去する除湿剤を、外部から隔離されるようにして前記生体物質測定装置の所定位置に搭載する段階をさらに含むことができる。
【0015】
好ましくは、個別反応要素単位の第1基板は複数個が前記第2基板に接合される。前記第2基板はプラスチック、ガラス、半導体ウェハーの中から選択されたいずれかで形成される。
【0016】
生体物質測定装置が光学的分析法を利用する場合、前記第2基板に前記第1基板が接合される位置は、光が透過されるようになっている。分析試薬は、メンブレンに固定されて前記第1基板に固定されるか、あるいは前記第1基板に直接固定される。また、第2基板における第1基板が接合される位置に、光をフォーカスまたはデフォーカスさせる手段がさらに形成される。
【0017】
生体物質測定装置が電気化学的分析法を利用する場合、前記反応要素を形成する段階は、前記第1基板の第1面に少なくとも2つ以上の電極を形成する過程と、前記電極にわたって前記分析試薬を固定させる過程を具備する。前記第1基板において前記第1面の反対面である第2面に電極を形成し、前記第1面の電極のうち少なくとも一つを前記第2面の電極と電気的に連結させる段階がさらに含まれる。前記第1面の電極と前記第2面の電極との間の電気的連結は、前記第1基板に形成され、その内壁に伝導体がコーティングされた経由孔を介して形成される。
【0018】
また、本発明は、生体物質を測定する装置を製造する方法において、第1基板に第1分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、第2基板に第2分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、個別反応要素単位に前記第1基板と前記第2基板を切断する段階と、前記個別反応要素単位の第1基板と前記個別反応要素単位の第2基板を第3基板の所定位置に接合する段階とを含むことをもう一つの特徴とする。
【0019】
また、本発明は、生体物質を測定する装置において、第1基板と、前記第1基板の第1面において実質的に全面にわたって固定されて反応要素を形成する分析試薬と、前記第1基板が搭載されて前記分析試薬に前記生体物質が導入される経路を形成する第2基板と、を含むことをさらなる特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
前述したような本発明によれば生体物質測定装置において、材料費を最小化し、生産自動化が容易なため、結局、生産コストを節減することが可能である。また、一つの基板上に複数の反応要素を接合することが可能で、反応要素当たりの価格を下げることができる。また、反応物質の種類、反応の特性に応じてプラスチック、シリコーン、ガラスなどを基板材料として自由に使用できるため、工程の互換性が向上し、より広い範囲の生化学分析に容易に適用できる。また、一つの基板上に一つの測定対象物質を測定する反応要素を複数接合することも、複数の異なる測定対象物質を測定する反応要素を接合することもできるので、用途が多様で、使用者の便宜を極大化でき、連続測定が可能である。また、マガジン形態に測定装置をパッケージングでき、使用者がストリップを測定する度に交換しなければならないわずらわしさを減らすことができる。また、光学法に適用する場合、レンズを同時に装着して光をフォーカスさせて反応面積を減らすことによって、測定に必要な試料の量を最小化できる。これは定期的な検査のため反復的に採血する場合、極めて重要な意味を持つ。また、電気化学法に適用する場合、キャピラリーの形態を任意に調節可能であり、測定に必要な試料の量を簡単に減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。図面において同じ参照符号は同一または類似の構成要素を示すものとして使われる。
まず、図4は本発明による光学法チップの製作方式を説明する図面である。
反応要素を製作する過程は従来と同じである。すなわち、基板302に光を透過させるための孔304を加工した後、その上に生化学試薬がついているメンブレン306を接着する。その次に個別反応要素308に切断する。
【0022】
次に切断された個別反応要素308を別の接合基板310、312に接合させる。ただし、接合基板310、312に孔があらかじめ加工されている場合には、メンブレン306を基板302に接着せずに、個別反応要素308を直に接合基板310、312に付着できる。この場合、基板302を用意し、基板302に孔を加工する過程を省略することができる。本発明では、生化学試薬は一旦メンブレン306に接着した後で基板302に固定されるが、メンブレン306に接着することなく、直に基板302に固定することもできる。
【0023】
接合基板310、312は剛性プラスチック、ガラス、シリコンウェハーなどを任意に選択して使用することができる。加工性を考慮すれば、コンパクトディスクの材料であるポリカーボネート等のプラスチック基板が好ましい。プラスチック基板は射出成形により製作されるため、孔などの加工誤差をほとんど無視することができ、円形、三角形、四角形などに任意に製作できるため、多様な分野で応用することができる。接合基板310、312としてガラスまたはシリコンウェハーを用いた場合、非等方蝕刻または等方蝕刻を介して構造体を形成することができる。
【0024】
接合基板への個別反応要素308の付着は、接合基板310の場合でのように一つの反応要素(314)のみを付着することもできるが、接合基板312の場合と同じように2つ以上の反応要素316a、316b、316c、316dを付着することもでき、全体の反応要素当たりの生産価格を下げることができる。4つの反応要素を付着する場合、測定対象物質の同じ4つの反応要素を付着することもでき、測定対象物質の異なる4つの反応要素を付着することもできる。例えば、いずれもグルコースを分析する個別反応要素を4つ付着することもできるし、グルコース、コレステロール、HDL、LDLなど測定対象物質の異なる個別反応要素を接合基板312に付着し、一つの完成したチップに製作することもできる。臨床的に一緒に測定されるべき測定対象物質、例えばグルコース、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、ヘモグロビン(Hb)等を分析すれば、その活用度を高めることができ、付加価値の大きい製品を作ることができる。
【0025】
図5は本発明による光学法チップの構成図であり、図6は図5に示された光学法チップの側断面図である。図5および図6において302は基板、304は孔、306は生化学試薬が固定されたメンブレン、310は接合基板を各々指し、402は接合基板310に一体的に形成されたレンズを指す。レンズ402を通じて光をフォーカスできるため、反応面積を減らして測定に必要な試料の量を最小化できる。
【0026】
図5ないし図13は本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図である。前述した通り、接合基板310、312がプラスチックを材料として射出成形により製作される場合、任意の形の製作が可能である。図7は単純に個別反応要素308の装着のためのホーム502のみが製作されており、何ら加工もされていない接合基板を示している。図8は接合基板に孔があらかじめ加工されている場合を示す。この場合、透明な材料を使用する必要がなく、むしろ光を反射しない黒色または不透明な材料を使用した方が有利である。特に、リサイクルプラスチックなどを使用することができ、環境汚染の低下にも役立つ。図9と図10は凸レンズが形成された場合を、図11と図1
2は凹レンズが形成された場合を、図13は凸レンズと凹レンズが共に形成された場合を示している。
【0027】
一方、接合基板が従来のストリップ型プラスチックフィルムに比べ厚く、射出成形による製作が可能なため、色々な付加機能を一緒に集積できる。図14は除湿剤が共に搭載された光学法チップを示している。生化学試薬の場合、長時間にわたって安定性を確保するためには湿気の除去が極めて重要である。図示されているように除湿剤602を保管できるスペース604を接合基板310に共に製作する。該接合基板の一番上には、除湿剤スペース604と生化学試薬が固定されたメンブレン306とを外部から隔離させるためのカバー606が提供される。除湿剤602は、円形、粒状などの特定の形状に加工されるので除湿剤スペース604も除湿剤602の形状に合わせて製作されるのが好ましい。他の部分は図4を参照して、前で説明したことと同じである。
【0028】
図15は本発明による電気化学法バイオセンサーチップの製作方式を示している。図示されているように絶縁体702にて電極704と経由孔706を形成した後に、生化学試薬(図示しない)をドット状に分配するかまたはスピンコーティングにより塗布する。その次に個別反応要素708単位に切断し、キャピラリーがあらかじめ加工された別の接合基板710、712に付着する。経由孔706は、絶縁体702にて上面に形成された電極704とその反対面である下面に形成された電極(図示しない)とを互いに電気的に連結するためのものであり、その内壁に伝導体がコーティングされている。ここで経由孔は導電棒を含む広い概念で使われる。
【0029】
絶縁体702は剛性プラスチック、ガラス、シリコンウェハーなどを任意に選択して使用することができる。加工性などを考慮すれば、コンパクトディスクなどに用いられるポリカーボネートなどのプラスチック基板または印刷回路基板(PCB)等が適している。特に産業界で広く使われるPCBを用いる場合、経由孔706の形成が従来の設備を利用して自動化できるため、極めて容易である。
【0030】
絶縁体702において上面に形成された電極704の、生化学試薬が固定される部分には、種々の電極材料を使用することができる。カーボン、カーボンペースト(Au、Agなどが含まれたカーボン)、Ag/AgCl、金、白金、パラジウムなど、電気化学の電極材料として使われる任意の材料を使用することができる。絶縁体702の下面に形成される電極(図示しない)は、生化学試薬と測定対象物質との間の反応により形成された電気的信号を測定機などに伝達するためのものであって、生化学反応とは関係がないため、電気伝導度に優れた銅など一般にPCBに使われる配線材料を用いることができる。
【0031】
接合基板710、712は剛性プラスチック、ガラス、シリコンウェハーなどを任意に選択して使用できる。加工性などを考慮すれば、コンパクトディスクなどで使われるポリカーボネートなどのプラスチック基板や印刷回路基板などが適している。特にプラスチック基板は射出成形により製作されうるため、キャピラリーを一度に製作でき、その形も任意に調整が可能である。また一つの接合基板に形が互いに異なるいくつかのキャピラリーを作ることができ、相異する測定対象物質を一つの接合基板で分析することができる。また、接合基板を円形、三角形、四角形などに任意に製作することが可能なため、多様な分野に応用できる。
【0032】
接合基板への個別反応要素708の付着は、接合基板710の場合と同じように一つの反応要素714のみを付着することもできるが、接合基板712の場合と同じように2つ以上の反応要素716a、716b、716c、716dも付着することができ、反応要素当たりの生産価格を下げることができる。4つの反応要素を付着する場合、測定対象物質が同じ4つの反応要素を付着することもできるし、測定対象物質の異なる4つの反応要
素を付着することもできる。例えば、いずれもグルコースを分析する個別反応要素を4個付着することもでき、グルコース、コレステロール、HDL、LDLなど測定対象物質の異なる個別反応要素を接合基板312に付着し、一つの完成したチップに製作することもできる。臨床的に一緒に測定されるべき測定対象物質、例えばグルコース、糖化ヘモグロビン(HbA1C)、ヘモグロビン(HB)等を分析する場合、その活用度を高めることができ、付加価値の大きい製品を作ることができる。
【0033】
図2に示された従来の電気化学法バイオセンサーチップにおいて、測定対象物質と生化学試薬との間の反応が実際に起こる核心の部分は、キャピラリーのある反応要素であり、この部分での生化学試薬の電極への固定が製品の性能を決定する。電極の残り部分は電気信号を伝達する役割しかないので、注意して製作する必要がない。したがって、反応要素だけ集めて精密に製作した後に電気信号の伝達が可能な他の基板に接合することが本発明の核心である。
【0034】
電極形成工程においても、7.5mm×35mmの従来のバイオセンサーの大きさでは200個を製作するためには略A4用紙の大きさ(210mm×297mm)の面積に電極を形成しなければならないのに対し、本実施例を用いた場合、A4用紙の大きさの半分にもならない100mm×100mmの面積に電極を形成すれば良い。したがって、電極製作に用いられるスクリーンプリンタ、スパッタなどの作業面積が小さくなるので、装備価格が低廉で、高い均一性も得ることができる。また、溶液塗布が容易であるばかりでなく、塗布後乾燥させなければならない面積が小さいため、試薬の固定均一度も向上させることができる。また、ドット状に分配するかわりにスピンコーティングを使用できるため、生産性を高めることができる。
【0035】
図16は本発明の1実施例による電気化学法バイオセンサーチップの構成図であり、図17は図16に示されたバイオセンサーチップの一部の断面図である。図16は一つの反応要素が接合基板に付着する場合である。図18は本発明による電気化学法バイオセンサーチップの他の例の構成図であって、一つの接合基板に複数個の反応要素が接合される場合である。その具体的な構成は図15を参照して、前述した通りである。
【0036】
ここに説明された実施例は単に本発明を当業者が容易に理解して実施できるようにするためのものに過ぎず、発明の範囲を限定しようとするものではない。したがって、当業者は本実施例の多様な変形や変更が可能であることに注目すべきである。原則的には本発明の範囲は特許請求の範囲により定められる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
前述したように、本発明の生体物質測定装置において、材料費を最小化し、生産自動化が容易なため、結局、生産コストを節減することが可能である。また、一つの基板上に複数の反応要素を接合することが可能で、反応要素当たりの価格を下げることができる。また、反応物質の種類、反応の特性に応じてプラスチック、シリコーン、ガラスなどを基板材料として自由に使用できるため、工程の互換性が向上し、該装置をより広い範囲の生化学分析に容易に適用できる。また、一つの基板上に一つの測定対象物質を測定する反応要素を複数接合することも、複数の異なる測定対象物質を測定する反応要素を接合することもできるので、用途が多様で、使用者の便宜を極大化でき、連続測定が可能である。また、マガジン形態に測定装置をパッケージングでき、使用者がストリップを測定する度に交換しなければならないわずらわしさを減らすことができる。また、光学法に適用する場合、レンズを同時に装着して光をフォーカスさせて反応面積を減らすことによって、測定に必要な試料の量を最小化できる。これは定期的な検査のため反復的に採血する場合、極めて重要な意味を持つ。また、電気化学法に適用する場合、キャピラリーの形態を任意に調節でき、測定に必要な試料の量を簡単に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の光学法ストリップの製作方式を説明する図。
【図2】従来の電気化学法バイオセンサーストリップの製作方式を説明する図。
【図3】図2に示された電気化学法バイオセンサーストリップの垂直断面図。
【図4】本発明による光学法チップの製作方式を説明する図。
【図5】本発明による光学法チップの構成図。
【図6】図5に示された光学法チップの側断面図。
【図7】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図8】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図9】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図10】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図11】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図12】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図13】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図14】本発明による光学法チップの他の例の構成図。
【図15】本発明による電気化学法バイオセンサーチップの製作方式を説明する図。
【図16】本発明の1実施例による電気化学法バイオセンサーチップの構成図。
【図17】図16に示されたバイオセンサーチップの一部の断面図。
【図18】本発明による電気化学法バイオセンサーチップの他の例の構成図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質測定装置およびその製造方法に関するものであって、特に一つの基板に複数の反応要素を先に構成し、これを個別反応要素単位に切断して機械的支持体の役割をする他の基板に接合することによって形成された生体物質測定装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体物質を探知素子として用いてセンサー化したバイオセンサーは、優れた感度および反応特異性を実現させることができ、医療/医薬分野(臨床化学分析と治療)、バイオ産業の工程計測、環境計測、化学物質の安全性評価など広範囲な分野でその応用が期待されている。特に、生体内の化学的成分を調べることは医学的にはきわめて重要なことであり、現在、医療診断分野では血液を含む生体試料を分析するのにバイオセンサーがたくさん用いられている。その中でも、酵素と基質または酵素と阻害剤との特異的な反応を利用した酵素分析法バイオセンサーはその適用が簡便で、測定感度に優れ、速かに結果が得られるため、病院および臨床化学分析に最も広く用いられている。バイオセンサーに適用される酵素分析法は、酵素反応前・反応後の光透過度を分光学的方法で観察する光学法と電気化学的信号を測定する電極法とに大きく区分される。光学法は、一般に電極法に比べ測定時間が長く、多量の血液が必要であり、生体試料の混濁度に起因した測定誤差などにより重要な生体物質を分析するのに困難が伴う。したがって、最近では電極界をプラスチックフィルム上に形成した後、分析試薬を電極上に固定させ、試料が導入された後、一定電位を適用して試料中の特定物質を定量的に測定する電極法が酵素を用いたバイオセンサーに多く応用されている。
【0003】
特許文献1〜4は、バイオセンサーについての特許文献であって、バイオセンサーに関する具体的な動作および作用効果について詳述されている。これらの特許文献は、その具体的な内容をここで引用することにより本明細書に含まれるものとする。
【0004】
従来の光学法ストリップの製作方式が図1に示されている。基板102に光を透過させるための孔104を加工した後、その上に生化学反応試薬がついているメンブレン106を接着する。その次に個別ストリップ108に切断する。
【0005】
この方式では人が扱いやすい大きさのストリップに製作しなければならないので、ストリップの長さが数cm程と長い。したがって、生産装備がかさばり、コストがたくさんかかる。製作過程においては通常、ロール(roll)方式で製作されるため、基板102としては柔軟な材料が用いられ、その結果、孔形成またはストリップ切断の際に加工誤差が生じてしまい、測定結果の均一性が劣る問題点がある。また、一枚のストリップには一つの反応要素しか製作できないという限界がある。
【0006】
従来の電気化学法バイオセンサーストリップの製作方式が図2に示されている。図3は図2に示されたバイオセンサーストリップの垂直断面図であって、理解を助けるため、層の厚さが誇張されている。絶縁体202上に酸化還元反応が起こる作動電極204、基準電極206、補助電極( 図示しない) 等を形成した後、試料導入のためのキャピラリー208を形成するため、所定の形状に加工された絶縁体210がスペーサとして絶縁体202上に接着される。次に、電極上に生化学試薬212が塗布されて固定され、絶縁体214を接着してカバーを形成することによって、キャピラリー(208)に生化学試薬212が固定された電気化学法バイオセンサーが完成する。最後に個別ストリップ216に切断する。
【0007】
この方式もやはり従来の光学法ストリップの製作と同じように人が扱いやすい大きさのストリップに製作しなければならないため、ストリップの長さが数cm程と長い。ストリップ各々に電極を形成しなければならないため、ロール方式での製作が難しく、通常、シート(sheet) 方式で製作される。シート方式で生産する場合、個別ストリップが大きいため、シート全面積に対する細心な工程管理が必要である。広い面積で均一な性能のストリップを形成するには、特に電極形成過程において極めて細心な注意が必要である。さらに、溶液塗布を広い面積について実施しなければならないため、乾燥過程において均一性を確保することが困難である。したがって、生産装備がかさばり、高価で、かつ工程が極めて難しいばかりでなく、コストが高いという問題点がある。後に、個別ストリップに切断するため、絶縁体202として比較的薄いプラスチック材料を用いる。ガラスやシリコンウェハーを用いる場合、ストリップ当たりの基板材料費が大きくなり、ストリップの価格が上昇する。また、一枚のストリップに一つの反応要素しか製作できないという限界がある。なお、一つの工程で1種類の構造のキャピラリーしか形成できず、仮に2種類の構造を具現する場合には、コストが倍になる。
【特許文献1】米国特許第5,120,420 号明細書
【特許文献2】米国特許第5,395,504 号明細書
【特許文献3】米国特許第5,437,999 号明細書
【特許文献4】米国特許第5,997,817 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の問題点を解決するために見出された本発明は、材料費を最小化し、生産自動化が容易なため、結局、生産コストを節減できる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにその目的がある。
【0009】
また、本発明は、一つの基板上にいくつかの反応要素を接合することが可能なため、反応要素当たりの価格を下げることが可能な生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0010】
また、本発明は、反応物質の種類、反応の特性によりプラスチック、シリコーン、ガラスなどを基板材料として自由に使用するので、工程互換性が向上し、より広い範囲の生化学分析に適用できる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0011】
また、本発明は、一つの基板上に同じ測定対象物質( または分析物質) を測定する反応要素をいくつか接合することも、測定対象物質の異なる反応要素をいくつか接合することもできるため、用途が多様で、使用者の便宜性を極大化でき、連続測定が可能な生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0012】
また、本発明はマガジン(magazine)形態にパッケージングでき、使用者が測定する度に交換しなければならないわずらわしさを減らせる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにもう一つの目的がある。
【0013】
また、本発明は測定に必要な試料の量を最小化できる生体物質測定装置およびその製造方法を提供することにさらなる目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明は、生体物質を測定する装置を製造する方法において、第1基板に分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、個別反応要
素単位に前記第1基板を切断する段階と、前記個別反応要素単位の第1基板を第2基板の所定位置に接合する段階とを含むことを一つの特徴とする。外部から前記分析試薬に流入する湿気を除去する除湿剤を、外部から隔離されるようにして前記生体物質測定装置の所定位置に搭載する段階をさらに含むことができる。
【0015】
好ましくは、個別反応要素単位の第1基板は複数個が前記第2基板に接合される。前記第2基板はプラスチック、ガラス、半導体ウェハーの中から選択されたいずれかで形成される。
【0016】
生体物質測定装置が光学的分析法を利用する場合、前記第2基板に前記第1基板が接合される位置は、光が透過されるようになっている。分析試薬は、メンブレンに固定されて前記第1基板に固定されるか、あるいは前記第1基板に直接固定される。また、第2基板における第1基板が接合される位置に、光をフォーカスまたはデフォーカスさせる手段がさらに形成される。
【0017】
生体物質測定装置が電気化学的分析法を利用する場合、前記反応要素を形成する段階は、前記第1基板の第1面に少なくとも2つ以上の電極を形成する過程と、前記電極にわたって前記分析試薬を固定させる過程を具備する。前記第1基板において前記第1面の反対面である第2面に電極を形成し、前記第1面の電極のうち少なくとも一つを前記第2面の電極と電気的に連結させる段階がさらに含まれる。前記第1面の電極と前記第2面の電極との間の電気的連結は、前記第1基板に形成され、その内壁に伝導体がコーティングされた経由孔を介して形成される。
【0018】
また、本発明は、生体物質を測定する装置を製造する方法において、第1基板に第1分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、第2基板に第2分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、個別反応要素単位に前記第1基板と前記第2基板を切断する段階と、前記個別反応要素単位の第1基板と前記個別反応要素単位の第2基板を第3基板の所定位置に接合する段階とを含むことをもう一つの特徴とする。
【0019】
また、本発明は、生体物質を測定する装置において、第1基板と、前記第1基板の第1面において実質的に全面にわたって固定されて反応要素を形成する分析試薬と、前記第1基板が搭載されて前記分析試薬に前記生体物質が導入される経路を形成する第2基板と、を含むことをさらなる特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
前述したような本発明によれば生体物質測定装置において、材料費を最小化し、生産自動化が容易なため、結局、生産コストを節減することが可能である。また、一つの基板上に複数の反応要素を接合することが可能で、反応要素当たりの価格を下げることができる。また、反応物質の種類、反応の特性に応じてプラスチック、シリコーン、ガラスなどを基板材料として自由に使用できるため、工程の互換性が向上し、より広い範囲の生化学分析に容易に適用できる。また、一つの基板上に一つの測定対象物質を測定する反応要素を複数接合することも、複数の異なる測定対象物質を測定する反応要素を接合することもできるので、用途が多様で、使用者の便宜を極大化でき、連続測定が可能である。また、マガジン形態に測定装置をパッケージングでき、使用者がストリップを測定する度に交換しなければならないわずらわしさを減らすことができる。また、光学法に適用する場合、レンズを同時に装着して光をフォーカスさせて反応面積を減らすことによって、測定に必要な試料の量を最小化できる。これは定期的な検査のため反復的に採血する場合、極めて重要な意味を持つ。また、電気化学法に適用する場合、キャピラリーの形態を任意に調節可能であり、測定に必要な試料の量を簡単に減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。図面において同じ参照符号は同一または類似の構成要素を示すものとして使われる。
まず、図4は本発明による光学法チップの製作方式を説明する図面である。
反応要素を製作する過程は従来と同じである。すなわち、基板302に光を透過させるための孔304を加工した後、その上に生化学試薬がついているメンブレン306を接着する。その次に個別反応要素308に切断する。
【0022】
次に切断された個別反応要素308を別の接合基板310、312に接合させる。ただし、接合基板310、312に孔があらかじめ加工されている場合には、メンブレン306を基板302に接着せずに、個別反応要素308を直に接合基板310、312に付着できる。この場合、基板302を用意し、基板302に孔を加工する過程を省略することができる。本発明では、生化学試薬は一旦メンブレン306に接着した後で基板302に固定されるが、メンブレン306に接着することなく、直に基板302に固定することもできる。
【0023】
接合基板310、312は剛性プラスチック、ガラス、シリコンウェハーなどを任意に選択して使用することができる。加工性を考慮すれば、コンパクトディスクの材料であるポリカーボネート等のプラスチック基板が好ましい。プラスチック基板は射出成形により製作されるため、孔などの加工誤差をほとんど無視することができ、円形、三角形、四角形などに任意に製作できるため、多様な分野で応用することができる。接合基板310、312としてガラスまたはシリコンウェハーを用いた場合、非等方蝕刻または等方蝕刻を介して構造体を形成することができる。
【0024】
接合基板への個別反応要素308の付着は、接合基板310の場合でのように一つの反応要素(314)のみを付着することもできるが、接合基板312の場合と同じように2つ以上の反応要素316a、316b、316c、316dを付着することもでき、全体の反応要素当たりの生産価格を下げることができる。4つの反応要素を付着する場合、測定対象物質の同じ4つの反応要素を付着することもでき、測定対象物質の異なる4つの反応要素を付着することもできる。例えば、いずれもグルコースを分析する個別反応要素を4つ付着することもできるし、グルコース、コレステロール、HDL、LDLなど測定対象物質の異なる個別反応要素を接合基板312に付着し、一つの完成したチップに製作することもできる。臨床的に一緒に測定されるべき測定対象物質、例えばグルコース、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、ヘモグロビン(Hb)等を分析すれば、その活用度を高めることができ、付加価値の大きい製品を作ることができる。
【0025】
図5は本発明による光学法チップの構成図であり、図6は図5に示された光学法チップの側断面図である。図5および図6において302は基板、304は孔、306は生化学試薬が固定されたメンブレン、310は接合基板を各々指し、402は接合基板310に一体的に形成されたレンズを指す。レンズ402を通じて光をフォーカスできるため、反応面積を減らして測定に必要な試料の量を最小化できる。
【0026】
図5ないし図13は本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図である。前述した通り、接合基板310、312がプラスチックを材料として射出成形により製作される場合、任意の形の製作が可能である。図7は単純に個別反応要素308の装着のためのホーム502のみが製作されており、何ら加工もされていない接合基板を示している。図8は接合基板に孔があらかじめ加工されている場合を示す。この場合、透明な材料を使用する必要がなく、むしろ光を反射しない黒色または不透明な材料を使用した方が有利である。特に、リサイクルプラスチックなどを使用することができ、環境汚染の低下にも役立つ。図9と図10は凸レンズが形成された場合を、図11と図1
2は凹レンズが形成された場合を、図13は凸レンズと凹レンズが共に形成された場合を示している。
【0027】
一方、接合基板が従来のストリップ型プラスチックフィルムに比べ厚く、射出成形による製作が可能なため、色々な付加機能を一緒に集積できる。図14は除湿剤が共に搭載された光学法チップを示している。生化学試薬の場合、長時間にわたって安定性を確保するためには湿気の除去が極めて重要である。図示されているように除湿剤602を保管できるスペース604を接合基板310に共に製作する。該接合基板の一番上には、除湿剤スペース604と生化学試薬が固定されたメンブレン306とを外部から隔離させるためのカバー606が提供される。除湿剤602は、円形、粒状などの特定の形状に加工されるので除湿剤スペース604も除湿剤602の形状に合わせて製作されるのが好ましい。他の部分は図4を参照して、前で説明したことと同じである。
【0028】
図15は本発明による電気化学法バイオセンサーチップの製作方式を示している。図示されているように絶縁体702にて電極704と経由孔706を形成した後に、生化学試薬(図示しない)をドット状に分配するかまたはスピンコーティングにより塗布する。その次に個別反応要素708単位に切断し、キャピラリーがあらかじめ加工された別の接合基板710、712に付着する。経由孔706は、絶縁体702にて上面に形成された電極704とその反対面である下面に形成された電極(図示しない)とを互いに電気的に連結するためのものであり、その内壁に伝導体がコーティングされている。ここで経由孔は導電棒を含む広い概念で使われる。
【0029】
絶縁体702は剛性プラスチック、ガラス、シリコンウェハーなどを任意に選択して使用することができる。加工性などを考慮すれば、コンパクトディスクなどに用いられるポリカーボネートなどのプラスチック基板または印刷回路基板(PCB)等が適している。特に産業界で広く使われるPCBを用いる場合、経由孔706の形成が従来の設備を利用して自動化できるため、極めて容易である。
【0030】
絶縁体702において上面に形成された電極704の、生化学試薬が固定される部分には、種々の電極材料を使用することができる。カーボン、カーボンペースト(Au、Agなどが含まれたカーボン)、Ag/AgCl、金、白金、パラジウムなど、電気化学の電極材料として使われる任意の材料を使用することができる。絶縁体702の下面に形成される電極(図示しない)は、生化学試薬と測定対象物質との間の反応により形成された電気的信号を測定機などに伝達するためのものであって、生化学反応とは関係がないため、電気伝導度に優れた銅など一般にPCBに使われる配線材料を用いることができる。
【0031】
接合基板710、712は剛性プラスチック、ガラス、シリコンウェハーなどを任意に選択して使用できる。加工性などを考慮すれば、コンパクトディスクなどで使われるポリカーボネートなどのプラスチック基板や印刷回路基板などが適している。特にプラスチック基板は射出成形により製作されうるため、キャピラリーを一度に製作でき、その形も任意に調整が可能である。また一つの接合基板に形が互いに異なるいくつかのキャピラリーを作ることができ、相異する測定対象物質を一つの接合基板で分析することができる。また、接合基板を円形、三角形、四角形などに任意に製作することが可能なため、多様な分野に応用できる。
【0032】
接合基板への個別反応要素708の付着は、接合基板710の場合と同じように一つの反応要素714のみを付着することもできるが、接合基板712の場合と同じように2つ以上の反応要素716a、716b、716c、716dも付着することができ、反応要素当たりの生産価格を下げることができる。4つの反応要素を付着する場合、測定対象物質が同じ4つの反応要素を付着することもできるし、測定対象物質の異なる4つの反応要
素を付着することもできる。例えば、いずれもグルコースを分析する個別反応要素を4個付着することもでき、グルコース、コレステロール、HDL、LDLなど測定対象物質の異なる個別反応要素を接合基板312に付着し、一つの完成したチップに製作することもできる。臨床的に一緒に測定されるべき測定対象物質、例えばグルコース、糖化ヘモグロビン(HbA1C)、ヘモグロビン(HB)等を分析する場合、その活用度を高めることができ、付加価値の大きい製品を作ることができる。
【0033】
図2に示された従来の電気化学法バイオセンサーチップにおいて、測定対象物質と生化学試薬との間の反応が実際に起こる核心の部分は、キャピラリーのある反応要素であり、この部分での生化学試薬の電極への固定が製品の性能を決定する。電極の残り部分は電気信号を伝達する役割しかないので、注意して製作する必要がない。したがって、反応要素だけ集めて精密に製作した後に電気信号の伝達が可能な他の基板に接合することが本発明の核心である。
【0034】
電極形成工程においても、7.5mm×35mmの従来のバイオセンサーの大きさでは200個を製作するためには略A4用紙の大きさ(210mm×297mm)の面積に電極を形成しなければならないのに対し、本実施例を用いた場合、A4用紙の大きさの半分にもならない100mm×100mmの面積に電極を形成すれば良い。したがって、電極製作に用いられるスクリーンプリンタ、スパッタなどの作業面積が小さくなるので、装備価格が低廉で、高い均一性も得ることができる。また、溶液塗布が容易であるばかりでなく、塗布後乾燥させなければならない面積が小さいため、試薬の固定均一度も向上させることができる。また、ドット状に分配するかわりにスピンコーティングを使用できるため、生産性を高めることができる。
【0035】
図16は本発明の1実施例による電気化学法バイオセンサーチップの構成図であり、図17は図16に示されたバイオセンサーチップの一部の断面図である。図16は一つの反応要素が接合基板に付着する場合である。図18は本発明による電気化学法バイオセンサーチップの他の例の構成図であって、一つの接合基板に複数個の反応要素が接合される場合である。その具体的な構成は図15を参照して、前述した通りである。
【0036】
ここに説明された実施例は単に本発明を当業者が容易に理解して実施できるようにするためのものに過ぎず、発明の範囲を限定しようとするものではない。したがって、当業者は本実施例の多様な変形や変更が可能であることに注目すべきである。原則的には本発明の範囲は特許請求の範囲により定められる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
前述したように、本発明の生体物質測定装置において、材料費を最小化し、生産自動化が容易なため、結局、生産コストを節減することが可能である。また、一つの基板上に複数の反応要素を接合することが可能で、反応要素当たりの価格を下げることができる。また、反応物質の種類、反応の特性に応じてプラスチック、シリコーン、ガラスなどを基板材料として自由に使用できるため、工程の互換性が向上し、該装置をより広い範囲の生化学分析に容易に適用できる。また、一つの基板上に一つの測定対象物質を測定する反応要素を複数接合することも、複数の異なる測定対象物質を測定する反応要素を接合することもできるので、用途が多様で、使用者の便宜を極大化でき、連続測定が可能である。また、マガジン形態に測定装置をパッケージングでき、使用者がストリップを測定する度に交換しなければならないわずらわしさを減らすことができる。また、光学法に適用する場合、レンズを同時に装着して光をフォーカスさせて反応面積を減らすことによって、測定に必要な試料の量を最小化できる。これは定期的な検査のため反復的に採血する場合、極めて重要な意味を持つ。また、電気化学法に適用する場合、キャピラリーの形態を任意に調節でき、測定に必要な試料の量を簡単に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の光学法ストリップの製作方式を説明する図。
【図2】従来の電気化学法バイオセンサーストリップの製作方式を説明する図。
【図3】図2に示された電気化学法バイオセンサーストリップの垂直断面図。
【図4】本発明による光学法チップの製作方式を説明する図。
【図5】本発明による光学法チップの構成図。
【図6】図5に示された光学法チップの側断面図。
【図7】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図8】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図9】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図10】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図11】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図12】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図13】本発明による光学法チップにおける接合基板のいくつかの形態を示す側断面図。
【図14】本発明による光学法チップの他の例の構成図。
【図15】本発明による電気化学法バイオセンサーチップの製作方式を説明する図。
【図16】本発明の1実施例による電気化学法バイオセンサーチップの構成図。
【図17】図16に示されたバイオセンサーチップの一部の断面図。
【図18】本発明による電気化学法バイオセンサーチップの他の例の構成図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体物質を測定する装置を製造する方法であって、
第1基板に分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、
個別反応要素単位に前記第1基板を切断する段階と、
前記個別反応要素単位の第1基板を第2基板の所定位置に接合する段階と、
を含むことを特徴とする生体物質測定装置の製造方法。
【請求項2】
前記個別反応要素単位の第1基板は、複数個が前記第2基板に接合されることを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法
【請求項3】
前記分析試薬は光学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、
前記第2基板に前記第1基板が接合される位置は、光が透過できるようになっていることを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項4】
前記分析試薬はメンブレンに固定されて前記第1基板に固定されるか、または前記第1基板に直接固定されることを特徴とする請求項3記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2基板の前記第1基板が接合される位置に、光をフォーカスまたはデフォーカスさせる手段を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2基板はプラスチック、ガラス、半導体ウェハーの中から選択されたいずれかで形成されることを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項7】
前記分析試薬は電気化学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、前記反応要素を形成する段階は
前記第1基板の第1面に少なくとも2つ以上の電極を形成する過程と、
前記電極にわたって前記分析試薬を固定させる過程と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1基板において前記第1面の反対面である第2面に電極を形成し、前記第1面の電極のうち少なくとも一つを前記第2面の電極と電気的に連結させる段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項9】
外部から前記分析試薬に流入する湿気を除去する除湿剤を、外部から隔離されるようにして前記生体物質測定装置の所定位置に搭載する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項10】
生体物質を測定する装置を製造する方法であって、
第1基板に第1分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、
第2基板に第2分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、
個別反応要素単位に前記第1基板と前記第2基板を切断する段階と、
前記個別反応要素単位の第1基板と前記個別反応要素単位の第2基板を第3基板の所定位置に接合する段階と、
を含むことを特徴とする生体物質測定装置の製造方法。
【請求項11】
生体物質を測定する装置であって、
第1基板と、
前記第1基板の第1面において実質的に全面にわたって固定され、反応要素を形成する分
析試薬と、
前記第1基板が搭載されて前記分析試薬に前記生体物質が導入される経路を形成する第2基板と、
を含むことを特徴とする生体物質測定装置。
【請求項12】
前記分析試薬は光学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、
前記第2基板の前記第1基板が接合される位置は、光が透過できるようになっていることを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【請求項13】
前記分析試薬はメンブレンに固定されて前記第1基板に固定されるか、または前記第1基板に直接固定されることを特徴とする請求項12記載の生体物質測定装置。
【請求項14】
前記第2基板の前記第1基板が接合される位置に形成され、光をフォーカスまたはデフォーカスさせる手段を、さらに含むことを特徴とする請求項12記載の生体物質測定装置。
【請求項15】
前記第2基板はプラスチック、ガラス、半導体ウェハーの中から選択されたいずれかで形成されることを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【請求項16】
前記反応要素は前記第1基板の前記第1面に形成された少なくとも2つ以上の電極を具備し、
前記分析試薬は電気化学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、前記第1面の電極にわたって固定されることを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【請求項17】
前記第1基板において前記第1面の反対面である第2面に形成され、前記第1面の電極のうち少なくとも一つと電気的に連結する電極を、さらに含むことを特徴とする請求項16記載の生体物質測定装置。
【請求項18】
前記第1面の電極と前記第2面の電極との間の電気的連結は前記第1基板に形成され、その内壁に伝導体がコーティングされた経由孔を介してなることを特徴とする請求項17記載の生体物質測定装置。
【請求項19】
前記生体物質測定装置の所定位置に外部から隔離されるように搭載され、外部から前記分析試薬に流入する湿気を除去するための除湿剤を、さらに含むことを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【請求項1】
生体物質を測定する装置を製造する方法であって、
第1基板に分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、
個別反応要素単位に前記第1基板を切断する段階と、
前記個別反応要素単位の第1基板を第2基板の所定位置に接合する段階と、
を含むことを特徴とする生体物質測定装置の製造方法。
【請求項2】
前記個別反応要素単位の第1基板は、複数個が前記第2基板に接合されることを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法
【請求項3】
前記分析試薬は光学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、
前記第2基板に前記第1基板が接合される位置は、光が透過できるようになっていることを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項4】
前記分析試薬はメンブレンに固定されて前記第1基板に固定されるか、または前記第1基板に直接固定されることを特徴とする請求項3記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2基板の前記第1基板が接合される位置に、光をフォーカスまたはデフォーカスさせる手段を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2基板はプラスチック、ガラス、半導体ウェハーの中から選択されたいずれかで形成されることを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項7】
前記分析試薬は電気化学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、前記反応要素を形成する段階は
前記第1基板の第1面に少なくとも2つ以上の電極を形成する過程と、
前記電極にわたって前記分析試薬を固定させる過程と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1基板において前記第1面の反対面である第2面に電極を形成し、前記第1面の電極のうち少なくとも一つを前記第2面の電極と電気的に連結させる段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項9】
外部から前記分析試薬に流入する湿気を除去する除湿剤を、外部から隔離されるようにして前記生体物質測定装置の所定位置に搭載する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の生体物質測定装置の製造方法。
【請求項10】
生体物質を測定する装置を製造する方法であって、
第1基板に第1分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、
第2基板に第2分析試薬が固定された複数の反応要素を形成する段階と、
個別反応要素単位に前記第1基板と前記第2基板を切断する段階と、
前記個別反応要素単位の第1基板と前記個別反応要素単位の第2基板を第3基板の所定位置に接合する段階と、
を含むことを特徴とする生体物質測定装置の製造方法。
【請求項11】
生体物質を測定する装置であって、
第1基板と、
前記第1基板の第1面において実質的に全面にわたって固定され、反応要素を形成する分
析試薬と、
前記第1基板が搭載されて前記分析試薬に前記生体物質が導入される経路を形成する第2基板と、
を含むことを特徴とする生体物質測定装置。
【請求項12】
前記分析試薬は光学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、
前記第2基板の前記第1基板が接合される位置は、光が透過できるようになっていることを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【請求項13】
前記分析試薬はメンブレンに固定されて前記第1基板に固定されるか、または前記第1基板に直接固定されることを特徴とする請求項12記載の生体物質測定装置。
【請求項14】
前記第2基板の前記第1基板が接合される位置に形成され、光をフォーカスまたはデフォーカスさせる手段を、さらに含むことを特徴とする請求項12記載の生体物質測定装置。
【請求項15】
前記第2基板はプラスチック、ガラス、半導体ウェハーの中から選択されたいずれかで形成されることを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【請求項16】
前記反応要素は前記第1基板の前記第1面に形成された少なくとも2つ以上の電極を具備し、
前記分析試薬は電気化学的分析で前記生体物質を測定するのに利用され、前記第1面の電極にわたって固定されることを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【請求項17】
前記第1基板において前記第1面の反対面である第2面に形成され、前記第1面の電極のうち少なくとも一つと電気的に連結する電極を、さらに含むことを特徴とする請求項16記載の生体物質測定装置。
【請求項18】
前記第1面の電極と前記第2面の電極との間の電気的連結は前記第1基板に形成され、その内壁に伝導体がコーティングされた経由孔を介してなることを特徴とする請求項17記載の生体物質測定装置。
【請求項19】
前記生体物質測定装置の所定位置に外部から隔離されるように搭載され、外部から前記分析試薬に流入する湿気を除去するための除湿剤を、さらに含むことを特徴とする請求項11記載の生体物質測定装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【公表番号】特表2007−515633(P2007−515633A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543743(P2006−543743)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003237
【国際公開番号】WO2005/057200
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506198838)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003237
【国際公開番号】WO2005/057200
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506198838)
【Fターム(参考)】
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