説明

生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体成分の混合物を塗布するための装置及び方法

【課題】混合、及び最少のエーロゾルでの生体適合材料を形成する二つの液体成分の塗布を向上させる。
【解決手段】本発明は、約150:1から約1500:1の空気流量対総液体流量の比と組み合わせて約1.25リットル/分以下の空気流量を用いて達成される。好適には、空気流量は約1リットル/分以下、空気流量対総液体流量の比は約200:1から約1200:1である。理想的には、各パラメータが、例えばフィブリンシーラントのような外科用シーラントを形成する各成分のスプレー塗布に適合している。さらに、本発明の一部分は、例えば外科用シーラントのような生体適合材料のための新規の塗布方法であり、各成分は1.9ml/分以下で流れる。新規の方法は、スプレー先端部又はノズルの出口表面でのかかる成分の混合と、新規のスプレー先端部と、生体適合材料アプリケータと、このようなアプリケータを作製するための方法とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体適合材料を形成する少なくとも二つの液体成分の混合物を所望の部位に塗布する方法に関し、より詳細には、外科用シーラント、例えばフィブリンシーラントを形成する少なくとも二つの成分の塗布に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばバイオポリマー(生体高分子)のような多数の生体適合材料が医学界において利用されている。これらの生体適合材料の多数は、二つ又はそれ以上の液体成分から形成されており、したがって、このような成分を共に塗布することによってその場で形成されることができる。こうした例が例えばフィブリンシーラントのような外科用シーラントであり、このフィブリンシーラントはフィブリノーゲン成分とトロンビン成分を共に塗布することによって形成されることができる。
【0003】
レドル(Redl)の特許文献1はフィブリングルー又はフィブリンシーラントのような組織接着剤をそれを必要としているヒト又は動物に塗布するのに有用とされている二重バレルシリンジを開示している。記載されているフィブリンシーラントは、主として、それぞれ使用時には液体形態である、二つの主要成分、すなわち、フィブリノーゲン含有成分とトロンビン含有成分とを含む。基本的に、トロンビン及びフィブリノーゲンが混和されると、フィブリノーゲンのペプチド鎖が開裂させられ、生成するフィブリンが、止血及び組織を接合するために液体及び空気の漏れを密封するのに有用であるクロットへと重合する条件がもたらされる。早すぎるクロット形成を回避するために、二重バレルアプリケータが用いられるが、これは勿論、患者への塗布が必要とされるまで、二つの成分を隔離状態に保つ。特許文献1は、それぞれ一つの成分を含有する二つのカートリッジ内のピストンが共通作動されて、それぞれから同時に流体を分配することができることを開示している。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,359,049号明細書
【特許文献2】米国特許第5,116,315号明細書
【特許文献3】米国特許第4,631,055号明細書
【特許文献4】米国特許第5,605,541号明細書
【特許文献5】欧州特許第592242号明細書
【特許文献6】米国特許第5,582,596号明細書
【特許文献7】国際公開第WO97/20585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他の先行技術特許が、これらの外科用シーラント及び他の外科用シーラントにおいて使用される二つ又はそれ以上の成分を混和する各種の混和方法を記載している。例えば、ヒーマルディックス(Hemaldics)が譲受した特許文献2は混和ヘッドを記載しており、該混和ヘッドにおいては、成分カートリッジから通じる液体導管が混和室へ入り、該混和室は各成分が共通出口流路を介して出てくる前に各成分の渦巻き運動を付与するように形成されている。各成分の適切な混和としては、均一なフィブリンシーラントを形成するようにすることが望ましい。効率の悪い混和は、フィブリノーゲンとトロンビンを共に投与する結果となり、これは実際には小収量のシーラントしか生成しないであろう。フィブリンシーラントアプリケータに関するやっかいなことは、装置、特に各成分が混和ヘッド内で混和される装置及び/又は各成分が共通流路を通って出てくる装置内での早すぎるクロットの形成が挙げられる。シーラントの最初のスプレーの終了後、クロットが出口流路を塞いで、アプリケータを役に立たなくしたり、外科手術のシーラント使用部分を実行する際の外科医の融通性を大いに減少させる恐れがある。
【0006】
イムノ(Immuno)の特許文献3は、各成分の放出中に針又は混和ヘッドにガスを吹き込むためのガス搬送流路を備える。しかしながら、解剖学的関心領域への材料の一定で均一な散布は、依然として達成されていない。実際に、相当量の各成分が無駄にされている。
【0007】
特許文献4は、フィブリンシーラントの各成分を塗布する装置及び方法を開示している。該装置はガス源と各成分用貯槽とを備え、ガス源と前記成分のそれぞれが独立した開口を通して放出される。好適には、ガスが中央の開口から放出され、各成分を各フィブリンシーラント形成成分は環状に配置された開口のそれぞれを通して分離された状態で放出される。
【0008】
エドワードソン(Edwardson)らの特許文献5は、初めての完全自己由来のフィブリンシーラントを開示している。この特許は、フィブリンモノマー溶液と、フィブリンモノマーの重合に寄与する緩衝溶液との同時の投与である共投与を提供し、このフィブリンモノマーが単一の血液源(好適にはシーラントを受容する患者の血液源)から30分以内で作成されることができる。この躍進的な技術は約140〜160mlの血液サンプルから決まった量のフィブリンモノマー溶液を供給する。この安全で効率的な自己由来シーラント生成物から利益を得るには、均一で効率的な混和がより一層重要であり、したがって、外科用シーラントを形成する二つ又はそれ以上の成分を塗布するための新規の装置及び方法が必要とされる。
【0009】
フィブリンシーラントの理想的な塗布は、適用範囲及び有効使用量を最大とするために、各シーラント成分の効率的な利用を必要とする。効率的な利用は、とりわけ、各成分の十分な混和と、各成分の制御された均一な塗布と、断続的に各成分を塗布する能力と、エーロゾルの最少化とによって達成される。外科医が特定の方法に従って塗布速度を変化させ、スプレーされるべき組織から極めて近い領域、すなわち10cm以下、さらには5cm以下の領域で作動させることができることがさらに望ましい。
【0010】
パラメータの中で、シーラントアプリケータの性能にとって最も破壊的となり得るのは、混和と詰まりである。不十分な混和は個々のシーラント成分を共に塗布することとなり、所望されるシーラントの量の一部分しか実際には形成されない。このことは無駄にすることになり、低いシーラント性能につながる。各シーラント成分は、互いの成分との混和時に、凝集サイクルを始める又は継続させるので、上述のヒーマルディックスの装置には限界があり、現在の殆どのシーラントアプリケータは詰まりを回避するために装置の外部で各成分を混和させるように設計されている。装置の内部ではなく、各成分が装置を出たときに各成分の重要な混和が起こると仮定すれば、適切な混和及び塗布を制御することは困難であることが当業者には分かるであろう。塗布されたシーラントフィルムの特性は、混和/スプレーのパラメータ及び各液体が装置先端又はノズルを出るときの二つの液体の流体動力学に大いに影響を受ける。詰まりは装置内での各シーラント成分の早すぎる接触の結果である場合が多いが、一般的には、プラスチック及び/又はガラスの管及び器具内での血液の取扱い及び移し替えが本質的には問題となり、特に装置/管の内部寸法が小さいと問題となる。
【0011】
フクナガ(Fukunaga)らの特許文献6はフィブリンシーラントに適しているスプレーアプリケータを開示しており、このスプレーアプリケータはガス源に接続されることができる。二つの液体ノズルが二つのより大きなノズル内に同心で設けられている。特許文献6は、液体ノズルが約100μmから10mm分だけガスノズルから突出していることを記述している。特許文献6はさらに各液体ノズルが約1.0から約20mmまで離れていると記述している。特許文献6の実施形態であると思われる商業的に入手可能であるボルヒール(Bolheal)(登録商標)シーラント用のアプリケータは、実際には、ガス噴出口約600μm突出しており約625μmの内径を有する二つの液体ノズルを有し、各液体ノズルは中心間が3.0mmである又は約2.4mm離れている。製品及び特許文献6は、例えば0.75kg/cm2 〜4.0kg/cm2 といった低圧が使用され得ることを示唆しているが、空気流又はシーラント流量についての記述はなされていない。スプレー角度、エーロゾル、及びこの装置に適した作業距離には改善の余地が依然として残されている。
【0012】
特許文献7は、空気(又は他のガス)及び各シーラント成分を放出するためのスプレー先端部において「直線上に並んだ」開口を利用したフィブリンシーラント用の新規のスプレーアプリケータを開示している。その装置は比較的低い空気流量、すなわち1.25リットル/分を用いており、シーラント流量は約2.0ml/分〜約5.0ml/分である。スプレー先端部の各開口は内径わずか約300μmであり、約200μm離れている、すなわち、中心間距離で5μmである。本装置は、血液すなわちフィブリンシーラント塗布のためのノズル寸法においては最も小さなものの中の一つであると確信している。エーロゾルが大幅に低減され、スプレー角度及び混和が改善されているが、エーロゾルがより一層少なく各シーラント成分がより効率的に利用される、より緻密に制御されたスプレーは従来技術に有効な追加となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、最少のエーロゾルを用いて生体適合材料を形成する二つの液体成分の混合及び塗布の向上が、空気流量対全液体流量の比を約150:1から約1500:1までとすると共に約1.25リットル/分以下の空気流量を使用して達成される。好適には、空気流量は約1リットル/分以下であり、空気流量と全液体流量の比は約200:1から約1200:1である。理想的には、例えばフィブリンシーラントといった外科用シーラントを形成する各成分のスプレー塗布に適するように、パラメータが合わせられる。さらに、本発明の一部は、例えば外科用シーラントのような生体適合材料を1.9ml/分以下の液体流量で塗布する新規の方法と、新規のスプレー先端部と、生体適合材料アプリケータ及びこのようなアプリケータを作成する方法とであり、該新規の塗布方法は、スプレー先端部又はノズルの出口表面でこのような成分を混和することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、例えば外科用シーラントのような生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体の塗布を向上させることに寄与する。本装置及び本方法は、低空気流量及び低液体流量での均一な混和を提供し、これによって空費及びエーロゾルを減らすと共に薄くてむらのないシーラントの層を塗布する能力を提供する。この新規の装置及び方法に適している適用の例はフィブリンシーラントであり、この適用例においては、エドワードソンらの特許文献5に示されるように、フィブリノーゲン溶液及びトロンビン溶液、又は、フィブリンモノマー溶液及びph10緩衝液のようなフィブリン重合化溶液とすることができる二つ又はそれ以上の液体成分を混和して塗布するのを助けるために、空気のようなガスが使用される。本願で使用されるように、用語「全液体/流量」又は「液体流量」又は「シーラント流量」はフィブリノーゲン溶液及びトロンビン溶液又はフィブリンモノマー溶液及びフィブリン重合化溶液の合わせられた液体の流量を指している。これらの液体成分に加えて、他の有用な液体又は薬品が添加されて、上述の液体成分の一つ又は両方と共に又は個別の経路を介してのいずれかで、共に塗布されてもよい。例えば、特許文献5において記述されているような又は技術的に公知であるような、制ガン剤、抗生物質、及び調合薬といった薬剤を共に塗布することができる。さらに、使用される特定の生体適合材料において有用となるであろう各種の細胞を共に塗布することができる。その上、塗布される生体適合材料の基本的構造又は特性を変動又は制御させることができる、液体、ポリマー、又は他の薬品、例えば親水コロイド、アルギン酸エステル、及び補助的に使用される他の物質をも共に塗布することができる。
【0015】
塗布装置は技術的に公知のもののいずれでもよく、例えば従来技術において外科用シーラントの送達に有用であるとして知られている二重バレルシリンジであってもよい。本発明はさらに特許文献7に記載されており図1にも示されるものと幾つかの点で類似している塗布装置へ組み込むのに適している。従って、図1は全体を参照番号10で示される塗布装置を示しており、同塗布装置はスプレー先端部又はノズル14を有する自由選択の柄12と塗布を開始させるための選択自由な作動装置16とを有するアプリケータ11を含む。スプレーノズル又は先端部14は概略平坦な縁表面14′で終端しており、同縁表面14′は先端部14の長手方向に対してほぼ垂直であって、(図示されていない)出口開口を含んでおり、塗布時にこの出口開口を通してガス及び液体が分配される。アプリケータ11は管手段18を介して塗布される液体及びガスの供給源20と流体連通している。
【0016】
本方法は150:1から1500:1までの空気流量対液体流量の比で合流させられる1.25リットル/分以下の低流量を使用する。好適には、空気流量は1.0リットル/分以下であり、空気流量対液体流量の比は約200:1から約1200:1までとなる。最も好適な比は400:1と1150:1の間である。これは、全液体流量が極めて低いこと、すなわち約3.0ml/分以下、好適には1.9ml/分以下で、0.5ml/分以下のことさえあるが、最も好適には0.5〜1.5ml/分の範囲であることを規定している。好適なガス流量は約500ml/分から約800ml/分である。これらの低空気流量及び低液体流量はシーラント塗布の優れた効率と制御とを提供するが、シーラント法が典型的には、手術において使用されるシーラントの量を固定して、すなわち、限定して行われることを考えると、このことが重要となる。好適には、例1の表1に示されるように、より高いガス流量にはより高い比が使用され、逆もまた同じである。シーラント成分のより効率的な利用に加えて、複数の薄い層のシーラントは、部分的にしか反応せずに最終的にシーラントを形成するであろう、厚くて、効率の劣る、不十分な混合状態のシーラント成分の集まりよりも効率が高いと思われる。
【0017】
例えばシーラントのような生体適合材料を形成する液体成分の適切な混和及び塗布は、かなり小さな寸法であって互いのごく近傍にある液体開口及びガス開口を有するスプレーノズル又は先端部を有するアプリケータにおいて最も旨く達成されることがさらに分かっている。結果的に、それぞれが300μm以下の内径を有する少なくとも三つの開口を有するスプレー先端部が開発された。ここで、三つの開口において、二つの開口はシーラントを形成する液体成分のためのものであり、第三の開口はスプレーガスを供給する。このようなスプレー先端部14の側面図が図2に示されている。付加的な開口が第二ガス、付加物、又は内視鏡的な使用のための案内ワイヤのために設けられてもよい。好適には、液体成分のための開口は250μm以下の内径を有し、より好適には25μmと150μmの間の内径を有し、最も好適には約50μmと120μmの間の内径を有する。ガス開口は液体開口と同じ内径を有することができ、あるいは、好適には、本方法に使用されるときの液体開口よりも直径で20%から50%大きくなる。したがって、図2に示される一つの好適な実施形態においては、アプリケータのスプレー先端部表面14′は、直径で100μmの二つの液体開口13、15と、直径で約140〜150μmのガス開口17とを有する。好適には、開口は直線上にあって、ガス開口は特許文献7に示される通りその直線の一方の端部にくる。塗布される液体が1:1以外の比で供給されるのであれば、最も少ない量の液体がガス開口から最も遠くの開口から出るようにさせることが好ましい。好適な実施形態においては、フィブリンモノマー溶液(ph4)と緩衝溶液(ph10)とが特許文献5の方法で開示される通り7:1の比で塗布される。このような場合には、ph10の溶液が三つの直線上の開口の一方の端部にある第一開口、すなわち図2の開口13から出るようにさせ、フィブリンモノマー溶液が中央開口、すなわち開口15から出るようにさせることが望ましいことが分かっている。上記の構成は、本発明の装置及び方法を使用するときには、液体成分の混和能力を大いに高めることが分かっている。
【0018】
本発明による液体成分の混和は、開口の大きさ、低液体流量、使用される生体適合材料形成液体の表面張力の特性、及び各開口間の間隔に関連している。したがって、全くガスを使用しない場合、約3.0ml/分以下の液体流量、好適には本願に記載された低液体流量の低い方の端の液体流量、例えば0.5ml/分〜0.7ml/分の液体流量においては、フィブリンシーラント形成液体は、概略的には、液滴が液体流の力によりスプレー先端部から離れる前に表面張力によりそれぞれがスプレー先端部14の表面14′で液滴を形成することが分かっている。その液滴は開口の直径よりも大きいものである。このことは低倍率で容易に観察することができ、表面でのこのおよその「液滴直径」が各種の液体に関して観察され得る。これらの液滴が所望の目標に向かってスプレー先端部から強制的に出される前に互いと部分的に重なる又は接触するように各液体開口の間の間隔がなっているときに、優れた混和が得られることが分かっている。図3は、空気を伴わず、低流量の二つの液体を使用しているスプレー先端部14を示している。二つの液体は、(その時に混和された)液体が目標に向かってスプレー先端部14から強制的に出される前に先端部表面で、結合された液滴19を形成する。この点に関して、フィブリンシーラント形成液体の場合には、各液体開口間の間隔は好適には一方の開口の直径の70%と120%の間であり、より好適には一方の開口の80%と90%の間であることが分かっている。すなわち、100μm液体開口を有するスプレー装置の場合には、それらの開口間の端部間距離は70μmと120μmの間であるべきであり、好適にはその間隔は80μmと100μmの間であるべきである。別の方向を見ると、本発明の好適な混和方法によれば、直径100μmの複数の液体開口を有するスプレー先端部は、理想的には、120μmと220μmの間の中心間距離でそれらの開口を有し、最適には130μmと200μmとの間の中心間距離でそれらの開口を有する。隣接する液体開口から離間されているガス開口は、好適には、上述された間隔と同じ範囲にあるが、使用されている液体開口間の間隔と全く同じでもよく、又はそれと異なってもよい。
【0019】
スプレー塗布時、すなわち、本発明の空気流量対液体流量の前述の比での本発明の前述の流速において空気又はガスが使用されるとき、スプレー先端部の表面において混和する液滴は、それの液滴が空気流へ吸い込れてより小さな大きさの液滴に粉砕され所望の場所への供給時にさらに混和される前の、液体成分の予備混和として機能する。これが図4に示されており、図4においては、結合された液滴19が空気流へ吸い込れるのが見てとれる。基本的には、スプレー先端部又はノズルから塗布されるスプレー液滴は、所望の場所に接近すると円錐形状となる。本発明の装置及び方法のテーパ角度は選択された流量及びスプレー距離に従って適度に調節可能である。スプレーは約10°から約40°までの達成可能な角度範囲に進み、したがって、アプリケータが目標領域を横切って帯状に横方向に移動させられると、適度に再現可能である幅のシーラントが塗布される。
【0020】
上述されるように、スプレー先端部又はノズルの開口の理想的な間隔はガス流なしで決定される。このことはさらに、本発明の一部分である新規のピンポイントシーラント塗布方法に道を与える。このことは図3を再度参照することによって分かる。上述されたように、各液体がスプレー先端部14の表面14′で結合された液滴19を形成して部分的に重なっている表面張力液滴を形成するように、二つの液体開口が離間されている。低液体流量、すなわち好適には1.0ml以下の流量においては、これらの結合された液滴が一度に一つか二つスプレー先端部から押し出されて、非常に均一に混和されて正確な位置に制御され、本質的には液滴式である外科用シーラントの塗布を提供する。例えばある特定の神経を使う修復手法といった、一点集中のアプリケータが必要とされ且つ広い領域を覆うことは必要とされない特定の場合には、この塗布が好ましいとされる。
【0021】
本装置の開口が非常に小さいことから、各液体の小領域のみが互いに対して及び外部の環境に対して晒されることになる。したがって、本スプレー先端部が目詰まりする傾向は大きく低減させられる。さらに、本発明のスプレーアプリケータは、特許文献7に説明されているように、スプレーモード又は供給モードを中断するときに、各液体が実際に開口へ短い距離だけ引き戻されるようにされてもよい。各液体がピストン駆動されるシリンダから管手段を介してスプレー先端部へ供給されるとき、これはピストンを僅かに引き戻すことによってなされ得る。しかしながら、もし二つのシーラント形成液体が本発明によるスプレーアプリケータの先端部表面に残ると、そうして形成された結合された液滴は(重合を始めるかもしれないし始めないかもしれないが)、部分的にガス開口と重なっていて、又は、ガス開口の十分近くにあって、ガス流のみの継続又は開始が目詰まりさせる可能性のある物質を容易に除去することが分かっている。この先端部清浄化目的としてのみで使用されるガス流量は、本発明で使用される空気流量の範囲内又はそれを越える任意の好都合な流量とすることができる。好適には、この先端部清浄流量は液体スプレー供給に対して使用されるガス流量と同じ又は1.5〜2.5倍である。液体及びガスのアプリケータへの供給が例えば特許文献7に開示されているようにマイクロプロセッサによって制御されている装置においては、空気流量を手順の中にプログラムすることが有効であることが分かっており、この手順においては、液体成分の塗布の後に、一定の周期時間の間、例えば約30秒まで空気流が継続される。この「空気のみ」の清浄化ステップがさらに塗布サイクルの頭にプログラムされることができる。
【0022】
当業者であれば分かるように、本発明によって規定された寸法のスプレー先端部又はノズルを形成することは高精度の作業である。スプレー先端部のように射出成形が可能である一方で、必要とされる寸法を考慮することは困難を伴う。本発明によれば、熱可塑性多内孔管を制御して加熱及び伸張することによって、スプレー先端部が形成されることができる。ここで、実際には、このような加熱/伸張の前の管の寸法は所望の先端部寸法の数倍の大きさである。例えば、低密度ポリエチレン管は、例えばプトナム社(Putnam Co.)から、同じ内径又は様々な内径の幾つかの内孔を有する多内孔管として商業的に入手可能である。意外なことであるが、これらのような非常に小さい直径の管は、全体の寸法を縮小することを除けば、内孔を閉鎖したり管の基本的な形状を破壊したりせずに、さらに引っ張られて縮小されることができる。図5は多内孔管21から形成された本発明のスプレー先端部14を示している。多内孔管21は遷移部分25と一体的になっている縮小された管23のまさしく端部にスプレー先端部14を有する。遷移部分25においては、外側の管と内部の内孔27、29、31の寸法とが縮小された管23の寸法から主要部管33の寸法へと遷移する。0.35mmの内孔を有する多内孔管は、寸法を縮小させるために、例えば100μmの内孔を提供するためには3.5倍まで、50μmの内孔を提供するためには7倍まで、25μmの内孔を提供するためには14倍にまで、注意深く加熱されて引っ張られることが分かっている。この注目すべき発見は、精度の良いスプレー先端部を作成する極めて費用効率のよい方法を提供するが、この精度の良いスプレー先端部を従来の熱可塑性材料の射出成形を使用して(任意の費用で)作成するのは事実上は不可能である。さらに、これらの寸法においては、早すぎるクロット生成又は目詰まりの問題なく、血液成分が容易に供給可能であることが驚くべきことに分かっている。
【0023】
上述されており、図6A及び図6Bを参照して以下でより詳細に説明される方法が好ましいとされる一方で、これらのスプレー先端部を作製するのに適した任意の方法又は技術を使用することができる。スプレー先端部は上述されたような熱可塑性材料からなってもよければ、金属又はセラミック材料からなってもよい。選択された材料及び寸法によって、成形、レーザ穿孔放電加工(EDM)法又はスパーク浸食法のような公知の技術を本発明のスプレー先端部を作製するために使用することができる。
【0024】
本発明の一部分である管及び先端部の構成の別な実施形態が図7〜図9に示されている。図7は、直線に並んだ複数の開口、すなわちガス開口17と液体開口13及び15を有する表面14′を有するスプレー先端部14を示している。付加的な液体又はガス用、付加的な試薬又は補形剤用、又は内視鏡的な目的の案内ワイヤ用として使用されることができる予備開口50がさらに示されている。さらに、予備開口50は管自体に所望の安定性又は可撓性を与えるためだけに存在することもある。三日月形開口52は、第二ガス開口、すなわち、ガス開口17に追加されたものであり、この三日月形開口52は以下で説明される先端部清浄方法において有効であることが分かっている。
【0025】
図8Aは、一体となっているが分離することも可能な内孔30を有する管断面を示しており、この内孔30は図1に示されるように作動装置/圧力センサ管30として使用されることができる。図8Bは、分離可能な内孔30が主要部内孔からどのようにして分離されることができるかを示している側面図である。
【0026】
図9は、三つの直線上に並んだ開口13と分離可能な内孔30と予備内孔54、56とを有する表面14′を有する先端部14を示しており、予備内孔54、56は、特別なガス、特別な液体、試薬又は補形剤、又は内視鏡案内ワイヤのため、又は単に管の安定性/可撓性を変更するために使用されることができるものである。
【0027】
図6A及び図6Bは本発明の新規のスプレー先端部を形成するための方法をさらに示している。管18の一部分が、固定されたクランプ40とスライド可能なクランプ42との間に保持される。本願で説明される原理が任意の熱可塑性管と共に用いられることができるが、選択された管材料とその熱可塑性の特性とに関するある種の基本的な知識を必要とする。例として、プトナム社の低密度ポリエチレン4内孔管は、約2.5mmの外径を有し、350μmと500μmとの間の内径を有する四つの内孔を有する。図6Aから分かるように、熱源が両クランプ間の領域に加えられる。5〜10cmの長さ部分へ熱を加えることが有効であることが分かっているが、これは所望の形状にしたがって変動する。管18が非破壊的変形を始めて引っ張られることができるようになるまで、熱が加えられる。本願で述べられた典型的な管に対しては、約280℃が十分な熱源である。管が液体又は柔軟になると、スライド可能なクランプ42が予め設定された距離動かされる。例えば、もし図6Aの距離xが10cmであれば、図6Bに示されるように距離が3.5x又は35cmとなるように、クランプ42が引っ張られることができる。こうすることで寸法を約3.5倍まで縮小させることが分かっている。結果的に、縮小された管23の中心においては、図6Aの内孔内径がそれぞれ約350μm及び500μmから約100μm及び150μmまで縮小された。図6Bに示されるように、管18を切断して所望のスプレー先端部を形成するために、カッタ44が使用されることができる。さらに、図5を再度参照すると、先端部14に対して所望される開口の大きさにしたがって、縮小された管23又は遷移部分25の任意の場所において、先端部14を形成することができることが分かるであろう。主要部管33の内孔の直径と先端部14の内孔の直径との間の関係が所望されるスプレーの質に寄与することがさらに進行中の研究から明らかであり、先端部及び管が単一部品材料からなる場合には3:1から14:1の比が有効であることが分かっている。縮小された管23又は遷移位置25のいずれかに沿った所望の位置に先端部14を形成するための切断は、開口の直径のみならず主要部管33の内孔直径に対する開口直径の比を確立する役割をする。
【0028】
図5及び図6Aを参照すると、(図示されていない)測定手段がさらに本願において説明された先端部形成方法において使用されることができる。このような測定手段は、光学的又は機械的方法のいずれかで内孔の内径又は管の外径を測定することによって、所望の大きさ又はスプレー先端部の所望の特性のいずれかを決定する目的を有している。こうして、先端部を形成するための切断が縮小された管23又は遷移部分25のいずれかに沿った精度の良い正確な位置で行われることが可能となる。代替的には、ガス又は液体が切断段階時に管18の中を流されて、所望の流れが感知されるまで測定手段が縮小された管23及び/又は遷移部分25を上流へ主要部管33に向かってカッタを動かし続けることができるようにする。
【0029】
本発明による好適なスプレーアプリケータは、一体型の一つ部品の管とスプレー先端部を備える。すなわち、一方の端部において、多内孔管が上述のされたように縮小されたスプレー先端部を作るように変更され、多内孔管の本体は液体成分源からスプレー先端部まで流体連通させる管手段として機能する。再度図1を参照すると、本質的には、図5に示されるような多内孔管は管手段18として機能し、管手段18の第一端部は液体源22、24及びガス源26へ接続する。管の第二端部においては、管は、スプレー先端部又はノズル14へ接続されるというよりも、本願に記載されるようにスプレー先端部又はノズル14の中に接続されるように形成される。好適には作動装置16を有する選択自由な柄12は、管18に沿った任意の場所、例えば外科医による最大限の方向調節のためにノズル14の端部の近くに、又は、管18の長さ部分及びスプレー先端部14が例えば内視鏡目的のために有効となるよう柄12から外へ延びるように管18に沿ってさらに後方に、配置されることができる。
【0030】
図1に示される作動装置16は特許文献7の開示内容の一部である。本質的には、感知用空気管又はガス管30に接続されている圧力スイッチ28が、例えばエラストマー材料の可撓性膜であってもよい作動装置16の下にある。感知用空気管又はガス管30の反対側の端部がガス源及び空気源20の制御/駆動装置に接続された状態でさらに示されている。作動装置16を押すと、圧力差が感知用空気管又はガス管30に生じ、この圧力差が制御/駆動装置において信号として検出される。この信号に応じて、液体源22及び24とガス源26の内容物が管手段18を通るそれぞれの内孔32、34、及び36で送られ、スプレー先端部14の(図1には示されていない)開口13、15、17から外へ出される。感知用管30は管手段18とは別個のものとされてもよく、図1に示されるように管手段18と一体であるが分離可能なものとされてもよい。図1の塗布装置10はさらに保持スリーブ32を含んでもよく、この保持スリーブ32は、熱可塑性材料又はエラストマー材料から作ることができ、縮小された管23と柄12のノズル端部34との間のすべりばめを提供する。さらに、グロメット36が柄12の後部分に含まれていてもよい。本発明の塗布装置10のアプリケータ11の取扱い及び使用の間、管18及び先端部14に安定性を与えるために、スリーブ32及びグロメット36が追加される。柄12は任意の半剛性材料又は剛性材料から作られることができ、医療装置分野で使用される塑性材料が、軽くて製造しやすいという点で、有効である。
【0031】
特許文献7はさらに、本願の図1に示されるように、供給源、すなわち特許文献7で参照されているような放出手段は、液体成分源又はガス成分源が外科医の手に保持されないように、前記スプレーノズル又は先端部から好適には離れた位置に設けられる。このことにより、管手段/スプレー先端部は、柄があるかないかにかかわらず、このような塗布装置においてアプリケータとして機能するようになる。このように、従来技術と比較してずっと整然として取扱いやすいアプリケータが提供されることが分かる。本願の供給源又は放出手段はさらにマイクロプロセッサ制御が可能である。これらの特徴全ては本発明の好適な実施形態の一部である。本発明の一部である様々な流量及び比が供給源の制御/駆動装置にプログラムされることができ、外科医は特定の手法及びその時の外科的必要性に従って流量及び比を選択し、さらには変更することさえできるようになる。所望のスプレー/塗布特性を提供するためにガス又は空気が脈動させられ得ることが本発明の一部としてさらに企図されている。さらに、本発明によれば、作動装置を押すことによって以下のようにすることができる。
【0032】
1)作動装置が次に押されるまで、液体及びガスの供給が「オン」になる。
【0033】
2)作動装置が押されている間は液体及びガスの供給が「オン」になり、作動装置が放されると「オフ」になる。
【0034】
3)作動装置が押される毎に計量された量の液体及びガスが分配される。
【0035】
本発明は次の例によってさらに説明されるが、そこで説明される詳細に限定されるべきではない。
【実施例1】
【0036】
混合
この例は、本発明の方法及び装置を使用した、フィブリンシーラントを形成するために塗布される二つの液体成分の混合を評価することを目的とされている。特許文献5においてエドワードソンらによって開示されているフィブリンシーラントの混合効率は、二つの液体が、pH4のフィブリンモノマー溶液と、混合された溶液を中性にして、フィブリンモノマーのフィブリンポリマー、すなわちフィブリンシーラントへの重合に寄与するpH10の緩衝液とであることから、容易に評価されることができる。したがって、これらの液体をpH紙にスプレーすることによって、混合を観察することができる。
【0037】
本質的には図1、図4、及び図5に示されるようなスプレーアプリケータは、100μm直径の二つの液体開口と150μm直径のガス開口とを有するスプレー先端部を有する。各開口は直線上に配置されており、一方の端部にガス開口、中央にフィブリンモノマー溶液開口、直線上の各開口の他方の端部にpH10の緩衝溶液開口がある。開口は(端部間で)およそ90μm離れていた。
【0038】
特許文献5においてエドワードソンらによって記載されているようにフィブリンモノマー溶液が準備され、pHは4であった。同様に特許文献5において記載されるように、これがpH10の炭酸塩/重炭酸塩緩衝溶液と共に、フィブリンモノマー溶液と緩衝溶液の比7:1で共に塗布された。
【0039】
これらの液体が、以下の表1のパラメータに従って、ワットマン社(Whatman)から入手可能である全範囲(1〜14)pH紙の20cm2 面積部分に塗布された。これらのスプレーパラメータが以下の例2においても使用された。
【0040】
【表1】

【0041】
これらのスプレー混合実験の主たる目的は、不正確な混合比又は不十分な混合によって又は液体開口のいずれかの封鎖によって引き起こされる非中性溶液の飛散を観察することである。炭酸塩/重炭酸塩緩衝溶液の割合の高い部分はpH紙の青色の点によって示され、フィブリンI溶液の割合の高い部分はpH紙のオレンジ色の点によって示される。
【0042】
試験されたアプリケータはいずれも不完全混合を示さず、クロットは常にpH紙の緑色によって示される中性pHであった。この観察は、クロットがよく混合されていたことを示している。扱われた全てのサンプルはよく混合されており、最も密集したものは全てpH7であった。
【実施例2】
【0043】
ここで記載された以外のものは、上の例1及び表1で示された同じ装置、液体、及びスプレーパラメータがこの実験で用いられた。この実験で使用されたフィブリンモノマー溶液は、フィブリンクロットの観察をより容易にさせるためにローダミンの1%水性液20μlを加えられる。
【0044】
アプリケータが特別製作の用具内に水平に保持されて、20cm2 のガラス板から5cm又は10cmの距離に直角になっている。塗布先端部とガラス板との間の直線上の点がガラス板上に描かれた。この点は塗布目標とされるべきものであった。
【0045】
5秒間の間、スプレーが目標の前に配置された遮蔽物に塗布された。次に、遮蔽物が除去され、途切れることなく、さらに10秒間、ガラス板へのスプレーが続けられる。生成したクロットの直径と、さらに目標からクロットの距離とに注意が払われた。あらゆる漏れ、封鎖、又はスプレー性能の明らかな低下に注意が払われた。
【0046】
この例2の目的は、例1に記載されたようなアプリケータによって生成された、スプレー直径、スプレー方向、及び円錐角を評価することである。ここに記載される実験を通して10個のアプリケータが使用され、結果が表2に編集されている。
【0047】
【表2】

【0048】
精密で再現性を有し、可変で制御可能であるスプレーが、本発明の装置及び方法によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の塗布装置の一つの実施形態の側面図であり、同塗布装置が部分的に断面で示されている。
【図2】本発明のスプレー先端部及びノズルの終端部の側面図である。
【図3】噴射ガスを伴わない液体混和及び液体の流れを示す、本発明のスプレー先端部又はノズルの終端部の側面図である。
【図4】噴射ガスが組み込まれていることを除いて図3と類似の図である。
【図5】本発明のスプレー先端部の側面図である。
【図6A】本発明の先端部形成方法の図である。
【図6B】本発明の先端部形成方法の図である。
【図7】本発明の様々な先端部/開口/内孔の形状を示している。
【図8A】本発明の様々な先端部/開口/内孔の形状を示している。
【図8B】本発明の様々な先端部/開口/内孔の形状を示している。
【図9】本発明の様々な先端部/開口/内孔の形状を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスと、混合すると生体適合材料を形成する少なくとも二つの液体とを同時に塗布することによって所望の部位へ生体適合材料をスプレー塗布するための方法であって、
a)管手段を介してスプレー先端部と流体連通している独立した前記ガス及び前記液体の供給源を備え、前記管手段は前記二つの供給源と前記先端部とに接続され、前記管手段は前記液体及びガスの各々のための個別の流路又は内孔を有しており、前記スプレー先端部は前記管手段のそれぞれの流路に対応し該流路と流体連通している個別の開口を有している、かかる塗布装置を使用するステップと、
b)前記管手段を通って前記供給源から前記スプレー先端部へ、さらに該スプレー先端部の外へ、前記各液体及び前記ガスを同時に送り、前記液体が前記所望の部位へ塗布されたときに混合されるようにすることによって前記液体を塗布するステップと、
c)前記ガス流量と前記二つ又はそれ以上の液体の総流量の比を150:1と1500:1との間に維持すると共に、前記ガス流れを1.25リットル/分以下に維持するステップとを含む、所望の部位へ生体適合材料をスプレー塗布するための方法。
【請求項2】
前記生体適合材料を塗布する間、使用者が前記ガス及び液体の供給源を手で保持する必要がないように、前記ガスの供給源と前記液体の供給源とが前記スプレー先端部から離れた位置にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(c)の前記ガス流量が1.0リットル/分以下に維持され、前記ガス流量と前記二つ又はそれ以上の液体の総流量との比は200:1と1200:1との間である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)の前記ガス流量が500ml/分と800ml/分との間に維持され、前記ガス流量と前記二つ又はそれ以上の液体の総流量との比は450:1と1150:1との間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ガス流量と液体流量との比が高い場合には、より高いガス流量が用いられ、ガス流量と液体流量との比が低い場合には、より低い流れが用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生体適合材料は外科用シーラントである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記外科用シーラントはフィブリンシーラントである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記液体はフィブリンモノマー溶液と前記フィブリンモノマー溶液を重合化させることができる重合化液とである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フィブリンモノマー溶液は約pH4であり、前記重合化液はpH10の緩衝溶液である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体は、フィブリノーゲン溶液と、前記フィブリノーゲンからのフィブリノペプチドA及び/又はBの裂開を引き起こすことができる酵素の溶液とである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ガス流量及び前記液体流量が、ガス約780ml/分及び全液体約0.7ml/分と、ガス約650ml/分及び全液体約1.4ml/分と、ガス約520ml/分及び全液体約2.8ml/分とから構成されるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記液体供給源と前記ガス供給源は、前記液体及びガスのそれぞれの流量を変化させるための手段を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
混合すると生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体を共に塗布するステップと、
結合された液体の総流量を1.9ml/分以下の流量に維持するステップとを含む、生体適合材料を所望の部位へ塗布する方法。
【請求項14】
前記総流量が1.5ml/分以下である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記総流量が0.75ml/分以下である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記二つ又はそれ以上の液体が、ガスを1.25l/分以下の流量、ガスと全液体の比を150:1と1500:1との間にして、共に塗布される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記生体適合材料はフィブリンシーラントであり、前記液体が、フィブリノーゲン溶液及び該フィブリノーゲンからのフィブリノペプチドA及び/又はBの裂開を引き起こすことができる酵素の溶液、又はフィブリンモノマー溶液及び前記フィブリンモノマーを重合化させることができる溶液から構成されるグループから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記ガス流量と前記液体流量とが、ガス約780ml/分及び全液体約0.7ml/分と、ガス約650ml/分及び全液体約1.4ml/分とから構成されるグループから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記液体流量は使用者によって変動させることができる、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
混合されると生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体を所望の部位へ塗布するためのアプリケータ装置であって、
前記各液体のための個別の容器を備える前記各液体の供給源と、
第一端部において前記容器へ接続されており、前記各液体のための個別の流路又は内孔を含む、管手段と、
前記管手段の流れ方向にほぼ垂直な表面を有し、前記表面が前記各液体のための個別の開口を含み、前記開口は前記管手段の第二端部において前記個別の流路と流体連通している、スプレー又はノズル先端部と、
前記各液体の総流量を制御するための手段と、
前記液体の総流量が3.0ml/分以下に維持され、前記各液体の塗布時に液体流れを継続させることにより先端部から所望の部位へ向かって押し出される前に、前記各液体が前記開口を出るときに、その表面張力によって前記スプレー先端部表面と互いとを同時に接触させ、それによって塗布される液体の混合を向上させるように、前記各開口間の空間が選択される改善点とを備える、アプリケータ装置。
【請求項21】
前記供給源は前記スプレー先端部から離れた位置にある、請求項20に記載のアプリケータ装置。
【請求項22】
前記各液体開口はほぼ同じ直径であり、前記スプレー先端部の前記表面の前記各開口間の前記空間は前記各開口の一つの直径の約70%と約120%の間である、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記各開口間の前記間隔は前記開口の一つの直径の約80%から約90%までである、請求項22の装置。
【請求項24】
前記液体のスプレー塗布をするために前記各液体と共に塗布されるガスのための前記スプレー先端部表面又は第三開口をさらに含み、前記液体は、前記ガス開口を出るガス流れへ吸い込まれる前に前記先端部表面に接触すると共に、互いと混合する、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記第三開口は、前記液体開口の一つの直径の1倍と2倍の間の直径を有する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記ガス開口が、前記液体開口の直径の少なくとも70%に等しい距離分、最も近い液体開口から離間している、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記液体開口は直径300μm以下である、請求項20に記載の装置。
【請求項28】
前記液体開口は直径で約25μmと約150μmの間である、請求項20に記載の装置。
【請求項29】
前記液体開口は直径で約50μmと約120μmの間である、請求項20に記載の装置。
【請求項30】
前記生体適合材料はフィブリンシーラントである、請求項20に記載の装置。
【請求項31】
前記液体は、フィブリンモノマー溶液と、前記フィブリンモノマーを重合化させることができる溶液とである、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記液体は、フィブリノーゲン溶液と、前記フィブリノーゲンからのフィブリノペプチドA及び/又はBの裂開を引き起こすことができる酵素の溶液とである、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
混合されると生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体成分を塗布するためのアプリケータにおいて、前記アプリケータは、前記液体の個別の供給源と、前記液体の塗布時に前記液体が中を通ってその装置から出る少なくとも二つの個別の開口を有するスプレー先端部又はノズルと、前記供給源から前記スプレー先端部へ、さらに前記スプレー先端部の開口から外へ直接前記液体を送るための手段とを含み、
前記各液体開口を直径300μm以下とする改良点を含む、アプリケータ。
【請求項34】
前記供給源は前記スプレー先端部から離れた位置にある、請求項33に記載のアプリケータ。
【請求項35】
前記液体開口はほぼ同じ内径である、請求項33に記載のアプリケータ。
【請求項36】
前記開口は、直径が約20μmと約120μmとの間である、請求項33に記載のアプリケータ。
【請求項37】
前記液体のスプレー塗布をするために、前記液体と共に塗布されるガスのための少なくとも一つの開口をさらに含む、請求項33に記載のアプリケータ。
【請求項38】
前記ガス開口の直径は、前記液体開口の一つの直径の約1倍から約2倍までである、請求項37に記載のアプリケータ。
【請求項39】
前記各液体開口は、前記液体開口の一つの直径の約70%から約120%までと等しい距離だけ離間している、請求項33に記載のアプリケータ。
【請求項40】
前記生体適合材料はフィブリンシーラントである、請求項33に記載のアプリケータ。
【請求項41】
前記開口が全て直線上に配置される、請求項33に記載のアプリケータ。
【請求項42】
スプレーノズル又は先端部を含み、該ノズル又は先端部が管手段を介して二つ又はそれ以上の液体の個別の供給源と流体連通しており、前記管手段は前記二つ又はそれ以上の液体の各々のために個別の流路を有し、前記スプレーノズル又は先端部は、多内孔管の長さ部分である主管部分と、前記主管部分とほぼ同じ特徴を有しているが、その外側寸法及び内側寸法の全てが縮小されている縮小された管部分とを有し、前記縮小された管部分は前記主管部分の長手方向と垂直なノズル又は先端部表面を有し、前記ノズル又は先端部表面はそこに複数の開口を有し、該各開口は前記管手段の内孔と対応しており、同開口から前記二つ又はそれ以上の液体が別々に供給され、前記スプレーノズル又は先端部は、前記主管部分及び前記縮小された管部分との間に一体的になっている多内孔管の遷移部分をさらに有し、該遷移部分において、前記管手段及び前記内孔の各寸法が前記主管部分における寸法から前記縮小された管部分における寸法へ遷移する、液体塗布装置。
【請求項43】
前記供給源は前記スプレー先端部から離れた位置にある、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記各液体のスプレー供給をするガスのための内孔及び開口をさらに含む、請求項42に記載の装置。
【請求項45】
共に供給されるべきガス、付加的な薬品又は安定化のためのガス、付加的な薬品のための一つ又はそれ以上の付加的な内孔をさらに含む、請求項42に記載の装置。
【請求項46】
前記主管部分及び前記内孔の直径は縮小された管部分の直径の2倍から14倍までである、請求項42に記載の装置。
【請求項47】
前記主管部分及び前記内孔の直径は前記縮小された管部分の管及び内孔の直径の約3倍から約5倍までである、請求項42に記載の装置。
【請求項48】
前記主管の内孔の内径は約0.3mmから約0.6mmまでである、請求項42に記載の装置。
【請求項49】
前記開口が前記スプレー先端部又はノズルの前記表面に直線上に整列されている、請求項42に記載の装置。
【請求項50】
前記管手段及び前記スプレー先端部又はノズルは単一の一体型の多内孔管からなり、該多内孔管は第一端部において液体供給源と流体連通して接続されており、第二端部において前記スプレー先端部又はノズルを形成するように修正されている、請求項42に記載の装置。
【請求項51】
前記管手段に沿った任意の都合のよい位置に配置された柄を含み、前記柄が固定されている又は可動である、請求項42に記載の装置。
【請求項52】
前記柄は、前記液体が前記管手段の中を前記スプレーノズル又は先端部へ、さらに同スプレーノズル又は先端部から外へ送られるときに各液体の前記供給源に信号を送るための作動手段をさらに含む、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記柄は前記スプレーノズル又は先端部にある又はその近くにある、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
前記柄が前記スプレーノズル又は先端部から所定の距離に配置されており、所定の長さの管及び前記管の端部の前記スプレーノズル又は先端部が前記柄から延びて、それによって前記液体の内視鏡検査による供給が可能とされている、請求項51に記載の装置。
【請求項55】
前記液体及びガスの流量を変動させるための手段をさらに含む、請求項42に記載の装置。
【請求項56】
二つ又はそれ以上の液体と、選択自由なものとして一つ又はそれ以上のガス又は他の物質とを、個別の供給源から、前記供給源に接続されている管手段の中の個別の流路を介し、スプレーノズル先端部又はノズルの個別の出口開口を通して塗布するために使用される装置のためのスプレーノズル又は先端部を形成する方法であって、
1)供給されるべき液体、ガス、及び他の物質のための十分な数の個別の内孔を有すると共に、前記内孔が前記出口開口の所望の直径より2倍から14倍大きい内径を有する、かかる熱可塑性多内孔管を選択するステップと、
2)約5cmから10cmの領域に熱源を適用し、前記熱が多内孔管の前記5〜10cmの部分に熱可塑性流動を与えるようにするステップと、
3)前記管をその長さの2倍から14倍へ引き延ばして、前記多内孔の寸法の1/2から1/14になっている縮小された管部分と、寸法が前記縮小された管部分の寸法と前記多内孔管の寸法との間で遷移している遷移部分とを作り出すステップと、
4)前記縮小された管部分又は前記遷移部分内の所望の点で前記管を切断して、所望の直径の開口を有するスプレー先端部を作るステップとを備える、スプレーノズル又は先端部を形成する方法。
【請求項57】
測定手段が前記切断ステップに組み込まれて、前記所望の開口寸法を得るために切断するべき適切な位置が与えられるようにする、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
生体適合材料を塗布する方法であって、
a)混合されると前記生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体と、ガスとを、個別の供給源から、前記個別の供給源に対応する個別の流路を有する管手段を介して、前記個別の流路に対応する個別の出口開口を有するスプレーノズル又は先端部へ送り、さらに該スプレーノズル又は先端部から外へ送るステップと、
b)前記スプレーノズル又は先端部と開口とからあらゆる余分な液体又は生体適合材料を除去するために、前記液体の移送及び塗布の前及び/後にガス流のみを与えるステップとを含む、生体適合材料を塗布する方法。
【請求項59】
前記生体適合材料の塗布時に使用者の前記供給源の手による取扱いが必要とされないように、前記供給源は前記先端部から離れた位置にある、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記液体及びガスの流量は使用者によって変えることができる、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
ガスを伴わずに、必要とされる集中的な領域へ生体適合材料を塗布するための方法であって、
塗布装置の使用によって、混合されると前記生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体を前記集中的な部位へ供給するステップを含み、
独立した供給源容器に保存されている前記液体が、前記個別の供給源と流体連通している個別の流路を有する管手段を介して、前記管の長手方向に対して垂直であって個別の開口を有している表面を有するスプレー先端部又はノズルへ送られ、各開口は、直径300μm以下であって、一つの開口の直径の約70%から約120%離間され、前記個別の流路と流体連通しており、前記液体は前記開口を通って前記塗布装置から出ていき、
全液体流量を約1.9ml/分に維持するステップをさらに含む、ガスを伴わずに、必要とされる集中的な領域へ生体適合材料を塗布するための方法。
【請求項62】
前記作動装置を押すことで、
a)前記作動装置を次に押すまで、前記液体及びガスの供給が「オン」になるか、
b)前記液体及びガスの供給が、前記作動装置が押されている間は、「オン」になり、前記作動装置が放されたときに、「オフ」になるか、
c)前記作動装置を押す度に測定された量の前記液体及びガスが分配されるかする、請求項52に記載の装置。
【請求項63】
生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体成分を所望の部位に塗布するための塗布装置であって、前記二つ又はそれ以上の液体の供給源を備える放出手段と、作動手段の押し下げに応じて前記液体をスプレーノズル又は先端部へ送るための手段とを備え、前記作動手段の押し下げで、
a)前記作動装置の次の押し下げまで、前記液体及びガスの供給が「オン」になるか、
b)前記液体及びガスの供給が、前記作動装置が押し下げられている間は、「オン」になり、前記作動装置が放されたときに、「オフ」になるか、
c)前記作動装置の各押し下げで測定された量の前記液体及びガスが分配されるかする、生体適合材料を形成する二つ又はそれ以上の液体成分を所望の部位に塗布するための塗布装置。
【請求項64】
前記作動手段は非電気的なものである、請求項63に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−307385(P2007−307385A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−134424(P2007−134424)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【分割の表示】特願平10−522793の分割
【原出願日】平成9年11月14日(1997.11.14)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】