説明

生分解性血管支持体

本発明は、内部生分解性金属製骨格および外部ポリマーコーティングから構成される生分解性ステントに関する。生分解性コーティングは、好ましくは生分解性ポリマーから構成され、さらに、抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬等の少なくとも1つの薬理活性物質を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[説明]
本発明は、内部生分解性金属製骨格と外部ポリマーコーティングとから構成された生分解性ステントに関する。この生分解性コーティングは、好ましくは、生分解性ポリマーから構成され、さらに、抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬等の、少なくとも1つの薬理活性物質を含み得る。
【0002】
近年では、ステントの移植は狭窄症の治療として一般的な外科処置である。最近の複数の調査は、内部人工器官、特にステントを用いて血管狭窄を永久的に拡張する必要がないことを示した。人工器官であるステントが存在すれば、血管狭窄部分の組織は再生可能であり、その後、例えばステント等の支持がなくても拡張され続けるため、内部人工器官により一時的に組織を拡張すれば十分である。ステントが存在すれば、血管狭窄部分の組織が再生可能であるということは、再生組織は自ら通常の血管径を維持することが再び可能となり、人工器官を除去後も再狭窄は生じないと考えられるため、組織を支持する人工器官は一定の時間が経過すると当該人工器官の有効性を失うことを意味する。
【0003】
欧州特許EP 1 419 793 B1に、主にマグネシウムから作製される生体吸収性金属製ステントが開示されている。ドイツ特許出願DE 102 07 161 A1には、マグネシウム合金と亜鉛合金とから作製されるステントが記載されている。ドイツ特許出願DE 198 56 983 A1には、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、亜鉛またはシリコン、または上記物質の合金または混合物から作製される生体吸収性ステントが開示されている。亜鉛/カルシウム合金から作製されるステントの実施例が豊かな表現で示されている。
【0004】
欧州特許出願EP 0 966 979 A2には、成分Aとしてマグネシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、亜鉛および/またはシリコン、および成分Bとしてリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガンおよび/または鉄から作製される、さらなる生体吸収性金属製ステントが記載されている。チタンの重量比率が0.1〜1%の亜鉛/チタン合金、および亜鉛対カルシウムの重量比が21:1の亜鉛/カルシウム合金から作製されるステントの実施例が、豊かな表現で示されている。
【0005】
一方で、これらステントは、余りにも急速に、しかも無制御な状態で溶解するという欠点があるため、これらステントのなかには2週間後にはすでに分解してしまっているものがある。
【0006】
これらステントの別の欠点は、材料によって予め決定される、これらセグメントに必要とされる剛性である。この欠点のため、医療用ステンレス鋼、ニチノール、およびコバルト/クロム製ステントのような一般的なステント材料に比べ、ステント支柱は、より幅広か、またより厚みが厚い設計を有する。その結果、周囲との接触面が大きくなる一方、ステントは管腔内にさらに延出し、血流に影響し得る。また、カバーされるべき表面が大きいため、血管壁への組込みが遅くなる。
【0007】
さらに、ステントの血管壁への組込み前に溶解過程が始まるため、血流を介して輸送されることになる断片が離脱する可能性があり、心筋梗塞を引き起こし得る。
上述の生体吸収性金属製ステントのさらなる欠点は、生体吸収性金属製ステントでは、ステントの分解中に放出される金属製骨格内に薬理活性剤を融合する、非常に限られた機能を発揮するだけであるという点である。
【0008】
本発明の目的は、再生された組織が再び支持機能を果たすまでの期間に限りその支持機能を発揮するステントを提供し、且つ従来のステントの欠点を回避することである。
本目的は、本発明の独立請求項の技術的教示により解決される。より有利な本発明の実施形態は、従属請求項、明細書および実施例から得られる。
【0009】
本発明は、生分解性ポリマーコーティングにより囲まれた、少なくとも1つの金属を含有する内部生体吸収性骨格から構成された生分解性ステントに関する。
ポリマー層は、ステント支柱上で自然に還元されるか、またはステント本体の反管腔側上または管腔側上のいずれかにおいてストッキングのように完全な空洞を包装してもよく、または同様に包装された上記ステント支柱と同じ面上に包装体が位置するようにステント本体の複数の空いている隙間を満たしてもよい。コーティングの形態は有用に組み合わせることができる。
【0010】
本発明によれば、ステントの内部骨格は、金属、金属合金、金属酸化物、金属塩、金属炭化物、金属窒化物、または上記物質の混合物から構成される。
特に好ましくは、内部骨格は、30重量%以下、好ましくは20重量%以下、および特に好ましくは僅か10重量%以下の金属酸化物、金属塩、金属炭化物、および/または金属窒化物を含有する金属合金から構成される。さらに、この組成物または合金には、炭素、窒素、酸素、不純物、非金属、または有機物質等のその他の成分が1重量%以下含まれ得る。
【0011】
さらに、内部金属製骨格は、ポリマー性の外部コーティングよりも速く溶解する特性を有する。即ち、ステントの内部構造は、生理条件下において、ポリマーコーティングよりも速く生物分解する。ステント上に異なる生分解性ポリマーを用いる場合、分解時間が異なるポリマーを用いるというさらなるオプションがある。このように、管腔側コーティングは反管腔側ステントコーティングよりもゆっくりと溶解することが有利になり得る。したがって、例えば、血流によるステントの分解が遅くなる。別の利点は、ステント本体の安定性であり、ステント本体の安定性により、断片は時期尚早に離脱し得ない。ステント本体の内部表面全体を完全に包装することにより、上記効果をさらに調整してもよい。
【0012】
好ましくは、金属合金は、ポリマー包装体内部で対応する金属塩に変換され、この金属塩はポリマーコーティングを介して排出され得る。
ステントの適切な金属製内部骨格は、カロメル電極と比べて、少なくとも−0.48eV、好ましくは少なくとも−0.53eV、より好ましくは少なくとも−0.58eV、および特に好ましくは少なくとも−0.63eVの電位差を示す金属材料、またはカロメル電極と比べて、−0.3〜−2.5eV、好ましくは−0.4〜−1.5eV、より好ましくは−0.45〜−1.25eV、および特に−0.5〜−1.0eVの範囲の電位差を示す金属材料から作製される。
【0013】
測定した電位差を記録するため、2つの半電池の電気化学的処理が用いられる。電位差は再現可能に決定されるものであるため、測定中に変化する基準点を必要とする。
この目的のため、一般的に、第2種の電極が用いられる。これら金属電極はその不溶性塩で覆われ、より高い濃度の食塩水がこれら金属電極の周囲を流れる。このグループに属するのが、例えばカロメル電極(正確には、飽和カロメル電極、SCE)である。「カロメル」という名称は、容易に溶解しない塩化水銀の慣用名に由来する。
【0014】
カロメル電極(およびいくつかの他の金属/金属塩電極)は、基準電極として実証されている。例えば、実際の用途として、カロメル電極を用いた溶液内の電位差の測定が挙げられる。このような測定は、適切な金属、適切な金属合金をそれぞれ決定するためにも用いることができる。
【0015】
電位差は、一般的に、周知のネルンストの式によって表される。
【0016】
【数1】

【0017】
容易に理解できるように、電位Eは、容易に溶解しない水銀塩の濃度のみに依存する。アニオン濃度、即ち対イオン濃度が一定に保たれる場合、Eも一定に保たれる。アニオン濃度が一定に保たれる場合に、Eも一定に保たれるのは、非常に高いアニオン濃度を選択することにより達成され得る。
【0018】
カロメル電極は、固体Hg2Cl2で覆われ、飽和KCl溶液(高濃度のCl-イオン)中に浸漬した、電極自体である水銀から構成される。拡散電位を抑制するため、塩橋を使って正確な測定を行う。このような設定により決定された数値を含む表は、常にこの基準点(カロメル電極)に対して作成されなければならない。
【0019】
このように、第2種の電極であるカロメル電極は、電位測定の基準電極として非常に適している。このカロメル電極は、本発明において、基準電極としても選択される。
現在では、上述の作成された設定を使って、カロメルほど不活性ではない適切な材料、即ち、カロメル電極と比較して、基準電位が0.3〜2.5eV、好ましくは0.35〜2.2eV、より好ましくは0.4〜1.8eV、より好ましくは0.45〜1.4eV、より好ましくは0.48〜1.2eV、より好ましくは0.50〜1.0eV、より好ましくは0.50〜0.9eV、より好ましくは0.50〜0.80eV、および特に好ましくは0.50〜0.70eV(絶対値として、即ち算術符号を用いずに示されている)の範囲である適切な材料を選択することができる。
【0020】
特に好ましくは、内部骨格は、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、亜鉛、シリコン、イットリウム、ジルコニウムおよび/またはガドリニウムを含有する合金から構成され、さらに、より好ましくは、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、亜鉛、シリコン、イットリウム、ジルコニウムまたはガドリニウムが、この合金中で、重量%として示された高い重量%を占める。
【0021】
金属製骨格が余りにも速く溶解して断片に崩壊し、この断片が血流から洗い流され、心筋梗塞の原因となり得ることを避けるため、金属、金属塩、金属酸化物および/または金属合金の内部生体吸収性骨格は、ステント支柱または、すでに述べたような、完全円柱状のステント本体を覆うポリマーコーティングに包まれる。
【0022】
本発明によれば、コーティング内部で内部金属製骨格自体が溶解し、金属イオンがコーティングを通過して周囲の組織内に排出され得るように、ポリマーコーティングが実現される。したがって、ポリマーコーティングは多孔質であるか、または溝もしくは開口部を備え、イオン(アニオンおよびカチオン)が排出可能であるように実現される。
【0023】
本発明によれば、ポリマーコーティングは、イオン−透過性膜の形態で提供され得るか、または、イオンの排出に加え、水の透過を可能にする、ナノサイズからマイクロサイズの複数の孔を有し得る。
【0024】
透過性ポリマー層に導くポリマーコーティングをステント上に塗布することにより、または塗布後にポリマーコーティングを透過性にすることにより、多孔質の上記コーティング、または溝もしくは開口部を備える上記コーティングを得ることができる。「透過性」という用語は、ポリマーコーティングが多孔質であるか、または水の浸入やイオンの脱出を可能にする溝、孔、または開口部を有することを意味するものとする。
【0025】
ステント表面上で多孔質コーティングに自ら導くポリマーにより、または、ステント表面上に塗布されるオリゴマーおよび/またはポリマーの溶液により、上記コーティングを得ることができる。この場合、オリゴマーおよび/またはポリマーは、塗布後、さらに架橋結合(例えばグルタルアルデヒドまたはその他のジアルデヒドによる)し、架橋結合されないオリゴマーおよびポリマーは、その後、好ましくは溶媒により、または不飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸の誘導体等の自己重合可能な物質を用いることにより、コーティングから洗い流さる。この場合、非重合物質は、好ましくは溶媒によりステント表面から洗い流される。ステント上に透過性のポリマーコーティングを生成するためのさらなる選択肢としては、ステントを拡張する際に破裂して亀裂を形成し、その結果、好ましくはステントを膨張させた後に透過性を有するようになる、比較的柔軟性がなく、または硬く、各々が砕けやすいポリマーコーティングの適用が挙げられる。さらに、1つ以上の物質がポリマーコーティング溶液に加えられ、この溶液は、ステント上にコーティングを塗布後洗い流され、透過性の構造を残し得る。本明細書中において好ましいのは、粉末、粒子の形態で、または溶解された形態で塩を加えることである。塩を形成したポリマーコーティングは、好ましくは水により、ポリマーコーティングから洗い落とされ、多孔質構造を残し得る。もちろん、ステントの移植前に、塩が洗い落とされる必要はない。ポリマーコーティングを有するステントは、全ての含有される薬理学的に許容される塩とともに、まだ透過性ではない形態で移植されることが可能であり、その後、塩は血流を介して自然に洗い流される。一方、NaCl、NaBr、Nal、Na2SO4、KCl、NaHCO3等の生理学的に許容可能な塩、または当業者に周知のその他の生理学的に許容可能な塩が、ポリマーコーティングから洗い流される場合、透過性のコーティングは移植後に初めて得られる。
【0026】
最後に、化学的方法、機械的方法、光学的方法、またはその他の方法により後に透過性にされる、非透過性ポリマーコーティングをステント上に生成する選択肢もある。例えば、レーザーの使用、または化学研磨法もしくはサンドブラスト法等のその他の機械研磨法の使用に加え、塩基や酸の使用は、ポリマーコーティングを透過性にし得る。上記方法は、当業者に周知であり、もちろん各コーティング、各コーティングの厚さおよび硬さ、そして、使用されるポリマーに合わせて調整する必要がある。
【0027】
本実施形態により、血管を開いた状態に保ち、且つ自発的な反動を回避するため、即ち血管の筋肉の損傷または弛緩による拡張後の血管の自発的な崩壊を回避するために十分な血管への拡散力を発揮し得る、金属を含有する内部骨格が、確実に、少なくとも初めに提供される。血管は一定の時間が経過すると弾性および復元力を回復できるため、永久移植物としての、即ち全く生分解しないもしくはゆっくりとしか生分解しない移植物としてのステントは、血管を永久的に開いた状態にする必要はない。
【0028】
その上、非生分解性ステントにおいては、再狭窄またはステント内狭窄という問題がある。一方、ステントの平滑筋細胞との過剰食い込みより、血管はステント内部で収縮または閉塞する。さらに、非生分解性ステントが既に移植された部分に別のステントを置くことに問題がある。
【0029】
さらに、多くの場合1年後でも自発的に急性閉塞へとつながり得る周知の非生分解性材料から作製される物質放出型ステントを使用する場合、遅発性血栓症の危険性がある。上記の懸念すべき結果は、2006年夏に公表された。活性剤の細胞増殖抑制作用を理由にまだ統合されていないステント表面が、その後大規模に発生した遅発性血栓症の原因であることが特定された。これにより、物質放出型ステントの使用後に生じる利点については、厳しく疑問視され、現在に至っている。
【0030】
また、本発明に係るステントは一定時間が経過すると制御された状態で完全に溶解するため、上記の欠点は、本発明に係るステントにより回避される。本発明に係るポリマー包装体は、大小の断片がポリマーコーティングを通過できないように、ポリマー包装体が内部骨格を全体的に覆うため、離脱した断片の危険性を伴わずに、金属製内部骨格の生物学的分解を可能にする。これとは対照的に、生理条件下での金属製骨格から形成されるイオンおよび塩の透過は可能である。
【0031】
上記金属イオンおよびその対イオンは、ポリマーコーティングを浸透可能であり、それぞれナノサイズからマイクロサイズの孔を通り抜けることができる。
本発明の特に好ましい実施形態では、内部金属製骨格または金属を含有する骨格は、生理条件下で外部ポリマー包装体より速く劣化するため、血管壁に食い込んだ中空のポリマー包装体は一定期間そこにとどまるが、弾力性があり、血管壁に顕著な圧力をかけることはなく、さらに新しい血管の形状に密接に合致する。また、ポリマー包装体はその後生分解し、2〜12か月後、生分解性ステントは完全に溶解する。したがって、本発明によれば、ポリマーコーティングは金属製内部構造より遅く溶解し、塩とイオンの透過を可能にするため、この内部構造は溶解可能であり、塩およびイオンは周囲の組織から吸収され得る。この本発明の特に好ましい実施形態では、コーティングされたステントは、生体吸収性コーティングが溶解し始める前に当該ステントが組織に食い込んでいるように設計される。内部ステント骨格の溶解は、ステントが血管組織に食い込んでしまう前に既に生じ得り、内部ステント骨格の食い込みおよび溶解は、実質的に同時に生じることが好ましい。対照的に、内部ステント構造に塗布されたコーティングに対する内部ステント構造の溶解速度は、このように特に好ましい実施形態において重要である。優先的に、内部ステント本体が完全に溶解したときのポリマーコーティングの溶解は、最大15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、および特に好ましくは5重量%以下とすべきである。「ポリマーコーティング」という用語は、ポリマーコーティングを形成する成分のみを指し、血流によりコーティングから洗い落とされる塩粒子等、ポリマー形態で結合されないコーティングの成分は指さない。即ち、ポリマーコーティングに対する内部ステント骨格の溶解速度は、少なくとも10:1、好ましくは20:1、より好ましくは30:1、さらにより好ましくは40:1、および特に好ましくは50:1とする。本明細書における20:1という関係は、ポリマーコーティングの最大1重量%が溶解するとき、または生分解されたとき、内部ステント骨格の少なくとも20重量%が溶解しており、ポリマーコーティングを介して放出されていることを意味する。
【0032】
本発明に係るコーティングされていない金属製ステントの溶解力を決定する方法は、2つの多孔質膜間またはフィルタープレート間のチューブ上にステントを置き、好ましくは人体の血管中の血流と同じ速度で、生理食塩水、PBS緩衝液(14.24gのNaH2PO4、2.72gのK2HPO4および9gのNaClを有するリン酸緩衝液;pH7.4;T=37℃)、または血清をチューブに流すことから構成される。
【0033】
非生体吸収性ステント、例えばステンレス鋼製ステント等の上にポリマーコーティングを塗布し、生理食塩水、PBS緩衝液、または血清が流されるチューブ内の2つ隔壁間にこのステントを同様に置くことにより、ポリマーコーティングの溶解速度を決定することができる。
【0034】
ステントの溶解は光学的に観測可能であり、さらに重量測定により数値化できる。
本発明に係る別の実施形態では、ポリマーコーティングは、塩またはイオンの透過を可能にするものの、金属製内部骨格の断片が通過できるほど大きくない穴、開口部および/または溝を表す。
【0035】
上記穴、開口部および/または溝は、好ましくは、個々のステント支柱の中央軸に垂直に配向され、さらに、優先的にステント支柱の端部に配置されない。機械的、化学的、熱的、または光学的に、例えば、サンドブラスト等の機械的処理、エッチングまたは酸化等の化学的手段、研磨法等の機械化学的手段、溶解または焼印等の熱的手段、またはレーザー処置等の光学的手段を用いて、これら穴、開口部および/または溝をポリマーに適用することができる。
【0036】
別の特に好ましい実施形態では、穴、開口部および/または溝は、薬理活性剤で満たされる。適切な活性剤は、さらに以下に示される。穴、開口部および/または溝に適用される活性剤は、塩、造影剤、充填剤、オリゴマー等の薬剤的に許容可能な担体、またはアミノ酸、ビタミン、炭水化物、脂肪酸、油、脂肪、ワックス、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド等の有機化合物、または溶媒と混合され得る。
【0037】
例えば、ラクトース、デンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ソルビトール、ショ糖、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、天然に存在する糖、アカシアガムまたはグアーガム等の天然に存在するゴムおよび合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グリセリド、ミリスチン酸イソプロピル等のミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、クエン酸トリブチルおよびクエン酸トリエチルとこれらのアセチル誘導体、フタル酸ジメチルまたはフタル酸ジブチル等のフタル酸塩、安息香酸ベンジルエステル、トリアセチン、2−ピロリドン、ホウ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、天然に存在するキャロブガム、カラヤガム、グアー、トラガカント、寒天、カラギーナン、セルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび微結晶性セルロース等のセルロース誘導体、およびアルギン酸塩、アルミナおよびベントナイト、ポリエチレングリコール、およびさらに蜜ろう、カルナウバロウ、キャンデリラワックス等のワックス等が、薬理学的に許容可能な担体として使用され得る。
【0038】
さらに、担体は、ビタミンA、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、ビタミンH、ビタミンK、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシンおよび葉酸等のビタミンであり得る。
【0039】
さらに適切な担体は、ヘパリン、ヘパラン硫酸、キトサン、キチン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、フィブリン、キサントン、フラボノイド、テルペノイド、セルロース、レーヨン、50〜500のアミノ酸を有するペプチド、20〜300の塩基対を有するヌクレオチド、および20〜400の単糖類を有するサッカリド、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸誘導体、エーテル、脂質、リポイド、グリセリド、トリグリセリド、グリコールエステル、グリセリンエステル、および亜麻仁油、麻実油、コーン油、胡桃油、菜種油、大豆油、ひまわり油、ケシ油、サフラワー油、小麦胚芽油、サフラー油、ブドウ種子油、月見草油、ルリヂサ油、ブラッククミン油、藻油、魚油、肝油等の油および/または上記油の混合物等の油である。
【0040】
適切なアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、N,N,N−トリメチルリジン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、O−ホスホセリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N−アセチルリジン、ω−N−メチルアルギニン、シトルリン、オルニチンである。
【0041】
さらに、以下の脂肪酸および以下の脂肪酸のエステルは適切な担体である:エイコサペンタエン酸(EPA)、チムノドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、エライジン酸、t−バクセン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、DPA、ミード酸、ステラヘプタエン酸、タキソール酸、ピノレン酸、シアドン酸、タリリン酸、サンタルビン酸またはキシメニン酸、ステアロール酸、6,9−オクタデセン酸、ピルリン酸、クレペニン酸、ヘイステリン酸、ETYA、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸およびリグノセリン酸、さらに上記脂肪酸の誘導体および混合物。
【0042】
しかしながら、特に好ましいのは、少なくとも1つの抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬を溶媒中に溶解し、実質的に純粋な活性剤としてポリマーコーティングの穴、開口部および/または溝中に適用することである。これは、噴出法またはピペット法により達成され得る。溶媒の蒸発後、活性剤は穴、開口部および/または溝内に残される。
【0043】
ジメチルスルホキシド等の一般的な有機溶媒、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および石油エーテルおよびジエチルエーテルおよびメチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル、アセトンおよびブタノンまたはペンタノン等のケトン、メタノールおよびエタノールおよびプロパノールおよびイソプロパノール等のアルコール、ギ酸および酢酸およびプロピオン酸等の炭酸、ジメチルホルムアミド(DFA)またはジメチルアセトアミド等のアミド、トルエンおよびベンゼンおよびキシレン等の芳香族溶媒、ペンタンおよびヘキサンおよびシクロヘキサン等の純粋な炭化水素溶媒、クロロホルムおよび塩化メチレンおよび四塩化炭素等のハロゲン化溶媒、並びに酢酸メチルエステルおよび酢酸エチルエステル等の炭酸エステル、および水は、活性剤の溶解度に応じて、溶媒として機能する。
【0044】
さらに、造影剤または造影剤類似体に活性剤を加え、造影剤または造影剤類似体をこの形態で穴、開口部および/または溝中に適用することが特に好ましい。
造影剤または造影剤類似体として、画像検査法(関節造影、X線撮影、コンピューター断層撮影(CT)、核スピン断層撮影、磁気共鳴断層撮影(MRT))において一般的に使用されるような、一般的なX線撮影造影剤(陽性および陰性の造影剤)が使用可能である。
【0045】
造影剤および/または造影剤類似体は、通常、バリウム、ヨード、マンガン、鉄、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよび/またはルテチウムを、結合および/または錯体形態で、好ましくはイオンとして含有する。この場合、造影剤を含むヨードが好ましい。
【0046】
以下の例は、ヨード含有造影剤と名付けることができる:
【0047】
【化1】

【0048】
【化2】

【0049】
【化3】

【0050】
【化4】

【0051】
さらなる例として、ヨード化されたケシ油である、ヨード−リピオドール(登録商標)が挙げられる。ヨード化造影剤の親物質、ナトリウム塩とメグルミン塩の形態でのアミドトリゾ酸は、商標名ガストログラフィン(登録商標)およびガストロラクス(登録商標)(ドイツ、スイス)として市販されている。
【0052】
また、ガドリニウム含有または超常磁性の酸化鉄粒子、ならびにナノ粒子のようなフェリ磁性または強磁性の鉄粒子が好ましい。
別の種類の好ましい造影剤は、通常ランタノイドを含有する常磁性造影剤である。
【0053】
不対電子を有する常磁性物質には、例えば合計7つの不対電子を有するガドリニウム(Gd3+)が含まれる。さらにこのグループに属するのは、ユーロピウム(Eu2+、Eu3+)、ジスプロシウム(Dy3+)およびホルミウム(Ho3+)である。これらのランタノイドは、キレート剤として、例えばヘモグロビン、クロロフィル、ポリアザ酸、ポリ炭酸、および特にEDTA、DTPA、DMSA、DMPSおよびDOTAを用いることにより、キレートされた形態で使用することもできる。
【0054】
ガドリニウムを含有する造影剤の例として、ガドリニウムおよびジエチレントリアミン5酢酸が挙げられる。
【0055】
【化5】

【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
【化8】

【0059】
活性剤の移動を高めるため、いわゆる輸送仲介物質が優先的に用いられ得るものの、この輸送仲介物質は活性剤自体でもあり得る。輸送仲介物質として特に関心が持たれるものに、活性剤の血管壁への吸収を加速または促進する低分子化合物がある。 これにより、本発明の活性剤または複数の活性剤の組み合わせは、短期間の接触中に、制御された状態で、且つ規定された用量で、移動され得る。
【0060】
上記の特性は、細胞膜の脂質二重層または細胞膜の受容体と直接相互作用する物質、あるいは、担体またはチャネル(イオンポンプ)として作用する膜輸送タンパク質を介してサイトゾルに入る物質に見出され、このような物質は、細胞の膜電位、さらには細胞の膜透過性を変化させる。したがって、細胞への活性剤の吸収は促進され、それぞれ加速される。
【0061】
上記の有用な化合物に属するのは、例えば、ブラジキニン、カリジン、ヒスタミン、またはL−アルギニンから血管拡張性のNOを放出するNOSシンターゼ等の血管拡張薬、イチョウ抽出物等のハーブ由来物質、DMSO、キサントン、フラボノイド、テルペノイド、ハーブ染料および動物性染料、食品着色剤、四硝酸ペンタエリトリチル(PETN)等のNO放出性物質である。上記の造影剤および造影剤類似体も、この区分に属する。
【0062】
内容物が比較的速く溶解して放出されるように、穴、開口部および/または溝は、活性剤、または活性剤の組成物で満たされ、ステントの移植後に、穴、開口部および/または溝が直接曝露または開口される。穴、開口部および/または溝の内部の活性剤は、非常に速く放出されるため、高速放出、即ち、好ましくは2時間から2日を要する迅速放出として特徴付けられ得る。
【0063】
このように、再狭窄の問題、即ち、ステントの血管壁内部へ方向付けられた食い込みは、活性剤の初期放出により制御され得る。
さらに、この活性剤の迅速放出は、活性剤の低速放出と組み合わせ可能であり、組み合わせは、同一の活性剤であっても別の活性剤であってもよい。この活性剤は、ポリマーコーティング中に適用され、ポリマーコーティングは担体としても機能する。
【0064】
好ましくは、抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬の細胞増殖抑制投与量は、ポリマーコーティングに含有される。この活性剤は、その後、ポリマーコーティングの生物分解に応じて放出される。
【0065】
このように、本発明に係る生体吸収性ステントは、さらに、活性剤放出のオプション、特に活性剤の迅速放出と低速放出との組み合わせを可能にする。また、血小板粘着、即ち血栓形成を抑制する活性剤は、管腔側上でステント本体を包装することにより、直接的に用いられ得る。上記オプションは、特に周囲に適用される活性剤または活性剤の組み合わせの方向付けられた放出を可能にする。複数の活性剤は、1つの方向で、且つ相互に独立して、1つのステント上で使用され得る。
【0066】
したがって、本発明に係るステントは、周知の実施形態に関して、複数の決定的な利点を提供する。まず、ポリマー包装体は、重大な結果を招きかねない金属製骨格の崩壊および破裂を防止する。特に好ましい実施形態では、ポリマーコーティングに比べて内部金属または金属を含む骨格の生分解がより速ければ、確実に、内部骨格が最初に溶解し、この溶解物は制御された状態で放出され、組織により吸収される。血管がその適正な支持力を取り戻すことができるころには、内部骨格は既に溶解した状態にある。内部構造の溶解後、外部ポリマー包装体も生分解される。
【0067】
穴、開口部、溝および/または孔を有する外部ポリマー包装体の構造により、定方向での活性剤または活性剤の組み合わせの迅速放出と低速放出を組み合わせたシステムがさらに得られる。
【0068】
穴、開口部、溝および/または孔は、定方向に、活性剤または活性剤を含む組成物で満たされ、この活性剤は上記の空洞から迅速に放出され得るか、または外部ポリマー包装体の表面の全体または一部は、活性剤または活性剤を含む組成物でコーティングされる。本明細書中では、任意の実施形態が着想および実現され得る。
【0069】
さらに、生分解性ポリマー層内に1つ以上の活性剤を満たすというオプションがあり、この活性剤はその後、外部ポリマー包装体が溶解、即ち生分解されるのと同じ程度にゆっくりと放出される。
【0070】
上記システムは、非常に融通性があり、従来の薬剤溶出性ステントの利点を提供し、さらに活性剤を用いた高速処置を局所的な長期治療と組み合わせ、さらに完全に生分解可能である。このため、一定の時間が経過すると、患者の体内にもはや異物は存在しない。したがって、例えば、専門家を現在悩ませている遅発性ステント再狭窄の問題は、100%回避され得る。
【0071】
例えば、本発明に係る吸収性ステントは、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、および特に好ましくは少なくとも90重量%の金属亜鉛、カルシウム、マンガンまたは鉄から構成されてもよい。
【0072】
本発明に係る移植物は、さらに、0〜60重量%、好ましくは0.01〜59重量%、より好ましくは0.1〜59重量%、さらにより好ましくは0.1〜58重量%のカルシウムを示すことがさらに好ましい。特に好ましくは、カルシウムの質量は、1.5〜50重量%、2.0〜40重量%、2.5〜30重量%、3.0〜20重量%、および特に好ましくは3.5〜10重量%の範囲である。
【0073】
カルシウムまたはカルシウムとの組み合わせの代わりに、本発明に係る移植物は、0〜80重量%、好ましくは0.01〜70重量%、より好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは1〜50重量%のマグネシウムを含有してもよい。好ましくは、マグネシウムの質量は、0.1〜80重量%、5.0〜70重量%、7.5〜60重量%、10.0〜50重量%、および特に好ましくは20〜40重量%の範囲である。
【0074】
亜鉛および/または鉄、および任意にカルシウムおよび/またはマグネシウムに加え、独創的なステントは、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、シリコン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、金、鉛を含む群から選択される少なくとも1つの金属、および/またはLi+、Na+、Mg2+、K+、Ca2+、Sc3+、Ti2+、Ti4+、V2+、V3+、V4+、V5+、Cr2+、Cr3+、Cr4+、Cr6+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Mn5+、Mn6+、Mn7+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Ga+、Ga3+、Al3+、Si4+、Y3+、Zr2+、Zr4+、Nb2+、Nb4+、Nb5+、Mo4+、Mo6+、Tc2+、Tc3+、Tc4+、Tc5+、Tc6+、Tc7+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Ru6+、Ru7+、Ru8+、Rh3+、Rh4+、Pd2+、Pd3+、Ag+、In+、In3+、Ta4+、Ta5+、W4+、W6+、Pt2+、Pt3+、Pt4+、Pt5+、Pt6+、Au+、Au3+、Au5+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Pb4+、La3+、Ce3+、Ce4+、Gd3+、Nd3+、Pr3+、Tb3+、Pr3+、Pm3+、Sm3+、Eu2+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+を含む群から選択されるカチオンを有する少なくとも1つの金属塩をさらに含んでもよい。合計で5重量%未満存在する上記金属および金属塩に加え、少量の非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素および/または水素が存在してもよい。
【0075】
特に、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜9重量%、より好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1.0〜7.0重量%、より好ましくは2.0〜6.0重量%、および特に好ましくは3.0〜5.0重量%の量のイットリウムの存在は、有利であり得る。
【0076】
独創的な移植物の好ましい組成物は、例えば以下を含む。
50重量%〜100重量%の亜鉛
0.0重量%〜50重量%のマグネシウム
0.0重量%〜50重量%のカルシウム
0.0重量%〜10重量%のイットリウム
0.0重量%〜10重量%の希土類
0.0重量%〜5重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
炭素、硫黄、窒素、酸素、水素またはその他の非金属または半金属は、アニオンおよび/またはポリマーの形態で存在してもよい。
【0077】
さらに好ましい組成物は、以下のとおりである。
55重量%〜100重量%の亜鉛
0.1重量%〜40重量%のマグネシウム
0.1重量%〜40重量%のカルシウム
0.01重量%〜9重量%のイットリウム
0.01重量%〜7重量%の希土類
0.01重量%〜4重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
75重量%〜95重量%の亜鉛
0.01重量%〜15重量%のマグネシウム
0.01重量%〜15重量%のカルシウム
0.01重量%〜6重量%のイットリウム
0.01重量%〜3重量%の希土類
0.01重量%〜2重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
41重量%〜91重量%の亜鉛
7.0重量%〜55重量%のマグネシウム
0.00重量%〜10重量%のカルシウム
0.00重量%〜6重量%のイットリウム
0.01重量%〜2重量%の希土類、その他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
30重量%〜93重量%の亜鉛
0.00重量%〜10重量%のマグネシウム
2.0重量%〜69重量%のカルシウム
0.00重量%〜6重量%のイットリウム
0.01重量%〜2重量%の希土類、その他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
55重量%〜100重量%の鉄
0.1重量%〜40重量%のマグネシウム
0.1重量%〜40重量%のカルシウム
0.01重量%〜9重量%のイットリウム
0.01重量%〜7重量%の希土類
0.01重量%〜4重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
55重量%〜100重量%の鉄
0.1重量%〜40重量%の亜鉛
0.1重量%〜40重量%のカルシウム
0.01重量%〜9重量%のイットリウム
0.01重量%〜7重量%の希土類
0.01重量%〜4重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
55重量%〜100重量%の鉄
0.1重量%〜40重量%の亜鉛
0.1重量%〜40重量%のマグネシウム
0.01重量%〜9重量%のイットリウム
0.01重量%〜7重量%の希土類
0.01重量%〜4重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
0.1重量%〜30重量%の鉄
0.1重量%〜30重量%の亜鉛
0.1重量%〜30重量%のカルシウム
0.1重量%〜30重量%のマグネシウム
0.01重量%〜10重量%のイットリウム
0.01重量%〜4重量%の希土類
0.01重量%〜4重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
55.0重量%〜75.0重量%のマグネシウム
10.0重量%〜20重量%のカルシウム
5.0重量%〜15.0重量%のイットリウム
5.0重量%〜10.0重量%のその他の金属、金属塩、または希土類
0.5重量%〜10.0重量%の非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
20.0重量%〜40.0重量%のマグネシウム
20.0重量%〜40.0重量%のカルシウム
20.0重量%〜40.0重量%の亜鉛
0.0重量%〜5.0重量%のイットリウム
0.1重量%〜5.0重量%のその他の金属、金属塩、または希土類
0.1重量%〜5.0重量%の非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
80重量%〜95重量%のマグネシウム
0.0重量%〜4重量%のカルシウム
0.1重量%〜4重量%のイットリウム
0.0重量%〜4重量%のその他の金属、金属塩、または希土類
0.1重量%〜4重量%の非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素
上記の組成物に関して、全成分の合計は、100.00重量%まで加算されなければならないことは明白である。
【0078】
「その他の金属」という用語は、好ましくはチタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、シリコン、リチウム、ナトリウム、カリウムおよびマンガンを指し、「非金属」という用語は、好ましくは炭素、窒素および酸素を指す。
【0079】
本発明における「吸収性」という用語は、移植物が有機体中で一定期間ゆっくりと溶解し、ある時点でその分解物のみが溶解した形態で体内に存在することを意味する。この時点では、移植物の固体成分または断片はもはや存在しない。分解物は生理学的に実質的に無害であり、イオンまたは分子となる。このイオンまたは分子は、いずれにせよ有機体中で生じるか、または有機体によって無害物質に分解され得るか、または排泄され得るかのいずれかである。
【0080】
亜鉛と組み合わせて使用できる金属は、好ましくは、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、シリコン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、金、鉛である。特に好ましいのは、マグネシウム、カルシウム、鉄、イットリウムである。さらに好ましいのは、上記金属の1つを有する、または有さない亜鉛と、金属塩との組み合わせである。このような組み合わせは、金属塩を含む溶融亜鉛浴、または金属塩を含む亜鉛合金として説明され得る。金属塩の含有量は、材料の十分な融通性が確保される量であればよい。拡張性も顕著に損なわれるべきではない。適切な金属塩は、以下にさらに記載されるが、具体的には、マグネシウム、カルシウム、鉄およびイットリウムの各塩である。
【0081】
しかしながら、金属の使用よりも優れているのは、吸収性合金の使用である。吸収性合金は、例えば、亜鉛と以下の金属とを含有してもよい:リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、シリコン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、金、鉛。上記金属は、少量のみ部分的に含まれる。
【0082】
好ましいのは、10〜78重量%、好ましくは25〜68重量%、特に好ましくは36〜53重量%の範囲の亜鉛を含有するマグネシウム/亜鉛合金である。このマグネシウム/亜鉛合金は、さらに、スカンジウム、チタン、バナジウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀またはインジウム、および特に0.3〜11、好ましくは0.7〜10、より好ましくは1.1〜8.5、および特に好ましくは2〜7重量%の量のイットリウムを含有することが、さらに好ましい。
【0083】
さらに好ましいのは、亜鉛以外に、主にカルシウム、マグネシウム、鉄、スズ、亜鉛またはリチウムと、10重量%以下のスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウムおよび/またはイッテルビウムを含有する合金である。
【0084】
さらに、上記金属の金属塩が特に好ましい。上記金属塩は、好ましくは、以下の金属イオンのうちの少なくとも1つを含有する:Li+、Be2+、Na+、Mg2+、K+、Ca2+、Sc3+、Ti2+、Ti4+、V2+、V3+、V4+、V5+、Cr2+、Cr3+、Cr4+、Cr6+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Mn5+、Mn6+、Mn7+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Ga+、Ga3+、Al3+、Si4+、Y3+、Zr2+、Zr4+、Nb2+、Nb4+、Nb5+、Mo4+、Mo6+、Tc2+、Tc3+、Tc4+、Tc5+、Tc6+、Tc7+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Ru6+、Ru7+、Ru8+、Rh3+、Rh4+、Pd2+、Pd3+、Ag+、In+、In3+、Ta4+、Ta5+、W4+、W6+、Pt2+、Pt3+、Pt4+、Pt5+、Pt6+、Au+、Au3+、Au5+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Pb4+、La3+、Ce3+、Ce4+、Gd3+、Nd3+、Pr3+、Tb3+、Pr3+、Pm3+、Sm3+、Eu2+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+
【0085】
使用されるアニオンは、F-、Cl-、Br-等のハロゲン、OH-、O2-等の酸化物および水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、HSO4-、SO42-、HCO3-、CO32-、HC24-、C242-、H2PO4-、HPO42-、PO43-等のリン酸塩、および特にHCOO-、CH3COO-、C25COO-、C37COO-、C49COO-、C511COO-、C613COO-、C715COO-、C817COO-、C919COO-、PhCOO-、PhCH2COO-等のカルボン酸塩を含む。
【0086】
さらに、以下の酸の塩が好ましい:硫酸、スルホン酸、リン酸、硝酸、亜硝酸、過塩素酸、臭化水素酸、塩酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、(グリコン酸、デキストロン酸)、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸(ヒドロキシマロン酸、ヒドロキシプロパン二酸)、フマル酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、(o−、m−、p−)トルイル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフチルスルホン酸、ナフチルアミンスルホン酸、スルファニル酸、ショウノウスルホン酸、キナ酸、キニン酸、o−メチル−マンデル酸、水素−ベンゼンスルホン酸、メチオニン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ピクリン酸(2,4,6−トリニトロフェノール)、アジピン酸、d−o−トリル酒石酸、グルタル酸。
【0087】
さらに、例えば1つ以上の以下のアミノ酸を含有するアミノ酸の塩が好ましい:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、N,N,N−トリメチルリジン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、O−ホスホセリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N−アセチルリジン、ω−N−メチルアルギニン、シトルリン、オルニチン。通常、L体を有するアミノ酸が用いられる。別の好ましい実施形態では、使用されるアミノ酸の少なくともいくつかはD体を有する。
【0088】
移植物を作製するためのその他の好ましい吸収性物質は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸鉄、リン酸鉄、塩化鉄、酸化鉄、亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、またはクエン酸マグネシウム等の金属塩である。上記金属塩は、好ましくは0.01〜12重量%の量で使用される。
【0089】
別の好ましい実施形態は、吸収性金属または吸収性塩または吸収性金属合金と、吸収性ポリマーとの組み合わせである。上記組み合わせは、移植物が金属、金属合金、および/または金属塩と、吸収性ポリマーとを含有する混合物で製造されたことを意味し得る。上記組み合わせは、移植物が金属、金属合金、および/または金属塩と、吸収性ポリマーとを含有する混合物から製造されたか、あるいは、移植物は異なる層で作製され、1つの層は、一般的に、または排他的に、金属、金属塩、および/または金属合金を含み、その他の層もしくは複数のその他の層は、1つ以上の生体吸収性ポリマーから構成されることを意味し得る。
【0090】
以下の生分解性ポリマーは、特に生体吸収性外部包装体の製造に適している。しかしながら、これらの吸収性ポリマーは、内部構造を構成する金属、金属塩、または金属合金に加えられてもよく、この場合、有機ポリマーの重量の割合は、内部構造全体の50重量%以下、好ましくは40重量%未満、より好ましくは30重量%未満、および特に好ましくは20重量%未満とすべきである。
【0091】
本発明によれば、吸収性ポリマーまたは生分解性ポリマーとして、以下のポリマーが使用されてもよい:
ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコン酸、ポリ(乳酸)ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、ポリヒドロキシブチレート、ポリアミノ酸、ポリリン酸エステル、ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクトン酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチドおよびポリグリコリドの共重合体、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシ吉草酸、ポリヒドロキシブチレート−co−吉草酸、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−オン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−パラ−ジオキサノン、ポリ無水物、ポリマレイン酸無水物、ポリヒドロキシメタクリル酸、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−β−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチルアクリレート、オリゴカプロラクトンジオールおよびオリゴジオキサノンジオールからのマルチブロックポリマー、PEGおよびポリ(ブチルテレフタレート)からのポリエーテルエステルマルチブロックポリマー、ポリピボトラクトン、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトングリコリド、ポリ(γ−グルタミン酸エチル)、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−co−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)−ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコール化ポリエステル、ポリリン酸エステル、ポリホスファゼン、ポリ[p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水物、ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド、軟質ポリウレタン、骨格にアミノ酸残基を有するポリウレタン、ポリエチレンオキシド等のポリエーテルエステル、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステルおよびその共重合体、脂質、カラギーナン、フィブリノゲン、デンプン、コラーゲン、タンパク質ベースのポリマー、ポリアミノ酸、合成ポリアミノ酸、ゼイン、ポリヒドロキシアルカノアート、ペクチン酸、光化学酸、カルボキシメチル硫酸、アルブミン、ヒアルロン酸、キトサンおよびその誘導体、ヘパラン硫酸およびその誘導体、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、β−シクロデキストリン、PEGとポリプロピレングリコールとを有する共重合体、アラビアゴム、グアー、ゼラチン、コラーゲンN−ヒドロキシスクシンイミド、脂質、リン脂質、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカルボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニリデンハロゲン化物、ポリビニルエーテル、ポリイソブチレン、ポリビニル芳香族、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコンポリエーテルウレタン、シリコンポリウレタン、シリコンポリカーボネートウレタン、ポリオレフィンエラストマー、EPDMゴム、フルオロシリコン、カルボキシメチルキトサンポリアリールエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸、カルボキシメチルセルロース、セルロース、レーヨン、レーヨントリアセテート、硝酸セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、エチルビニルアセテート共重合体、ポリスルホン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、EPDMゴム、ポリシロキサン等のシリコン、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルハロゲンおよび共重合体、セルロースエーテル、セルローストリアセテート、キトサン、および上記ポリマーの共重合体および/または混合物。
【0092】
特に好ましい生分解性ポリマーは、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコン酸、ポリアミド、ポリ(乳酸)ポリエチレンオキシド共重合体、ヒアルロン酸等のポリサッカリド、キトサン、再生セルロース、変性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コラーゲン、ゼラチン、ポリヒドロキシブチレート(PHBT)およびポリヒドロキシブチレートの共重合体、ポリ無水物(PAN)、ポリリン酸エステル、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリリン酸エステル、ポリオルトエステル、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−co−トリムエチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリプロピレンフマレート、ポリ(グルタミン酸エチル−co−グルタミニン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタミン酸)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン−co−ブチルアクリレート、ポリホスファゼン、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)(PGA/PCL)、マレイン酸無水物およびその共重合体、ポリアミノ酸、ポリデプシペプチド、マレイン酸無水物−共重合体、ポリホスファゼン、ポリイミノカーボネート、ポリ[(97.5%ジメチルトリメチレンカーボネート)−co−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、シアノアクリレート、ポリエチレンオキシド、および上記ポリマーの共重合体と上記ポリマーの混合物とである。
【0093】
さらに好ましいのは、エイコサペンタエン酸、チムノドン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸等の自家重合によって架橋結合するポリ不飽和脂肪酸、および上記脂肪酸の混合物、および特に、純粋な不飽和化合物の混合物である。亜麻仁油、麻実油、コーン油、胡桃油、菜種油、大豆油、ひまわり油、ケシ油、サフラワー油、小麦胚芽油、サフラー油、ブドウ種子油、月見草油、ルリヂサ油、ブラッククミン油、藻油、魚油、肝油等の油も、大量の不飽和脂肪酸を含有するため、使用され得る。
【0094】
ポリマーコーティング用としてさらに好ましい物質は、ω−3−およびω−6脂肪酸、および少なくとも1つのω−3−および/またはω−6脂肪酸残基を有する全ての物質である。上記物質は、自家重合に良好な能力を示す。
【0095】
硬化能力、即ち自家重合の能力は、乾性油とも呼ばれる油の組成物にあり、高含量の必須脂肪酸、正確には不飽和脂肪酸の二重結合に基づく。空気中で、脂肪酸分子の二重結合部位に酸素を介してラジカルが作られ、脂肪酸分子はラジカル重合を開始して増殖し、脂肪酸は当該脂肪酸の間で架橋し、これにより脂肪酸の二重結合は失われる。
【0096】
自家重合は、自己重合とも称され、酸素、特に空気からの酸素、または他のラジカル形成物により開始され得る。別のオプションは、電磁波、特に光による自動重合にある。
さらに好ましい吸収性ポリマーは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエステル、ナイロン、およびポリラクチドとポリグリコリドとである。
【0097】
外部ポリマー包装体の製造に特に好ましいのは、ポリエステル、ポリラクチド、およびジオールとエステルまたはジオールとラクチドの共重合体である。例えば、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、またはブタン−1,2−ジオールは、ジオールとして使用され得る。
【0098】
特に、本発明に係るポリマー層にはポリエステルが使用される。ポリエステルの群からは、以下の反復ユニットを有するポリマーが好ましい:
【0099】
【化9】

【0100】
上記に示された反復ユニットにおいて、R、R’、R’’およびR’’’は、1〜5個の炭素原子のアルキル残基、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチルまたはシクロペンチル、および好ましくはメチルまたはエチルを表す。Yは、1〜9の整数を表し、Xは、重合度を表す。特に好ましいのは、上記に示された反復ユニットを有する以下のポリマーである:
【0101】
【化10】

【0102】
これらの吸収性ポリマーは、乳酸およびグリコール酸をベースにして調製される。基本的に、本発明においては、吸収性ポリマーの使用が特に好ましい。吸収性医療用移植物の製造では、ほとんどの場合、乳酸(ポリラクチド)のホモポリマーが用いられる。乳酸とグリコール酸の共重合体は、薬学的活性剤の放出制御用の活性剤を含むカプセルの製造において、材料として使用され得る。
【0103】
このように、特に、本発明に係る使用においては、乳酸およびグリコール酸をベースとしたポリマー、および双方の酸の共重合体(交互または静的)およびブロック共重合体(例えば、トリブロック共重合体)が好ましい。
【0104】
さらに代表的な吸収性ポリマーは、ベーリンガーインゲルハイム社のResomere(登録商標)と名付けられた生体吸収性ポリマー、即ち、L 210、L 210 S、L 207 S、L 209 S等の一般式−(C6H8O4)n−を有するポリ(L−ラクチド)、LR 706、LR 708、L 214 S、LR 704等の一般式−(C6H8O4)n−を有するポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、LT 706等の一般式−[(C6H8O4)x−(C4H6O3)y]n−を有するポリ(L−ラクチド−co−トリメチルカーボネート)、LG 824、LG 857等の一般式−[(C6H8O4)x−(C4H4O4)y]n−を有するポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、LC 703等の一般式−[(C6H8O4)x−(C6H10O2)y]n−を有するポリ(L−ラクチド−co−ε−カプロラクトン)、RG 509 S、RG 502 H、RG 503 H、RG 504 H、RG 502、RG 503、RG 504等の一般式−[(C6H8O4)x−(C4H4O4)y]n−を有するポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、R 202 S、R 202 H、R 203 S、およびR 203 H等の一般式−(C6H8O4)n−を有するポリ(D,L−ラクチド)である。Resomere(登録商標) 203 Sは、本明細書中では、特に好ましいポリマーであるResomere(登録商標) R 203にとってかわるものである。特に好ましいのは、重量比70〜30重量%でのR203およびLT 706の使用である。
【0105】
本発明の主題は、生体吸収性ステントを提供することでも、ステント用の生体吸収性金属合金を提供することでもなく、生体吸収性ステント骨格と生体吸収性ポリマーコーティングとの組み合わせであり、これにより、水の侵入やイオンの流出が可能となり、さらに特に好ましい実施形態では、内部ステント骨格は外部コーティングより顕著に速く分解されるということに、再度言及されるべきである。
【0106】
生分解性ステント骨格の製造に適した金属および金属合金は、文献から十分に周知である。基本的に、主成分としてマグネシウム、亜鉛、カルシウムまたは鉄を含有する任意の金属合金が使用され得る。
【0107】
本発明は、単に生分解性金属製骨格上にポリマーコーティングを塗布することにある。この場合、このポリマーコーティングは、内部ステント骨格の分解物を周囲に放出する。即ち、分解物はポリマーコーティングを介して排出され得り、好ましい実施形態では、内部ステント骨格が実質的に生分解されてしまうまでポリマーコーティングは溶解し始めない。つまり、ステントが周囲の組織内に食い込むまでポリマーコーティングが内部ステント骨格または内部ステント骨格の断片を長期間安全に包み込むか、もしくは心筋梗塞の原因となりかねない内部ステント骨格の断片はもはやポリマーコーティングを通過できない。本発明によれば、この問題は、複数の実施形態により解決することができる。この場合、当業者は、生分解性ステント材料、即ち、金属合金、および生分解性ポリマーコーティングについて周知であり、さらにこれらを本発明の教示にのみ従って組み合わせなければならない。当業者が本発明に係る教示を知っていれば、上記組み合わせは、もはや発明ではなく、ステント骨格とポリマーコーティングのイオン透過性と分解速度とを決定するためのいくつかの標準試験を必要とするのみである。
【0108】
例えば、本発明に従ってコーティングされたステントを水溶液中に入れ、一定の時間間隔後に、この水溶液の導電率を測定するか、あるいは浸透圧を決定するか、あるいは分光法でその水溶液のイオン含有量を決定することにより、イオン透過性は決定され得る。
【0109】
本発明の特に好ましい実施形態は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエステル、ナイロン、またはポリラクチドから選択される生分解性ポリマー、特にポリエステルおよび/またはポリラクチドでコーティングされる内部金属構造を有する移植物に関する。このポリマーコーティングは、さらに、各ステント支柱の長軸に垂直に通る穴、開口部または溝を表す。
【0110】
孔、穴、開口部または溝は、好ましくはステント表面上に均等に分布し、さらに内部金属製骨格の方向にポリマー内を実質的に垂直に通る。好ましくは、ステント支柱の1mm2の表面当たり、上記孔、穴、開口部または溝が1〜20個存在する。
【0111】
完全なステント表面、即ち、ポリマー包装体と孔、穴、開口部または溝の表面、またはステント表面の一部と孔、穴、開口部または溝の一部、または孔、穴、開口部または溝の一部のみは、活性剤、または少なくとも1つの活性剤を含有する組成物で満たされ得る。
【0112】
ポリマーコーティングは、スプレー法、ディッピング法、プラズマ法、ブラシ法、噴出法、エレクトロスピニング法、またはピペット法等の周知の手段により、基礎骨格の構造上に適用され、好ましくは基礎骨格の構造上に付着する。一般的に、孔、穴、開口部または溝は、レーザー、温度、機械的接触、または化学的影響により、コーティング手順後にはじめてコーティング内に適用される。この場合、孔、穴、開口部または溝の生成は、レーザーを用いると比較的簡単であるが、全ての種類のポリマーに最適な方法ではない。
【0113】
本発明のさらに有利な実施形態は、生分解性層内に、および任意に生分解性層上に、少なくとも1つの薬理活性物質を含有する吸収性移植物を含む。好ましい薬理活性物質は、抗増殖剤、抗遊走薬、血管新生阻害剤、抗炎症薬、消炎剤、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬および/または抗血栓薬の各活性剤、抗再狭窄活性剤、コルチコイド、性ホルモン、スタチン、エポチロン、プロスタサイクリン、血管形成誘導物質である。これらの物質の中では、抗増殖剤、抗炎症薬、抗腫瘍薬、抗遊走薬、消炎剤、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬および/または抗血栓薬、および抗再狭窄剤が好ましい。
【0114】
抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤、および/または抗血栓剤の例は以下のとおりである:アブシキシマブ、アセメタシン、アセチルビスミオンB、アクラルビシン、アデメチオニン、アドリアマイシン、アエシン、アフロモソン、アカゲリン、アルデスロイキン、アミドロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナキンラ、アナストロゾール、アネモニン、アノプテリン、抗真菌薬、抗血栓剤、アポシマリン、アルガトロバン、アリストロラクタム−AII、アリストロキン酸、アスコマイシン、アスパラギナーゼ、アスピリン、アトルバスタチン、オーラノフィン、アザチオプリン、アジスロマイシン、バッカチン、バフィロマイシン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベンゾカイン、ベルベリン、ベツリン、ベツリン酸、ビロボール、ビスパルテノリジン、ブレオマイシン、ボムブレスタチン、ボスウェル酸およびその誘導体、ブルセアノールA、BおよびC、ブリオフィリンA、ブスルファン、アンチトロンビン、ビバリルジン、カドヘリン、カンプトテシン、カペシタビン、o−カルバモイル−フェノキシ酢酸、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セファランチン、セリバスタチン、CETP阻害剤、クロラムブシル、クロロキノリン、シクトキシン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリスロマイシン、コルヒチン、コンカナマイシン、クマジン、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、クドライソフラボンA、クルクミン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シタラビン、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダプソン、ダウノルビシン、ジクロフェナク、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドウナマイシン、エピルビシン、エポチロンAおよびB、エリスロマイシン、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フィルグラスチム、フルロブラスチン、フルバスタチン、フルダラビン、フルダラビン−5’−リン酸二水素、フルオロウラシル、フォリマイシン、ホスフェストロール、ゲムシタビン、グハラキノシド、ギンコール、ギンコール酸、グリコシド1a、4−ヒドロキシオキシシクロホスファミド、イダルビシン、イホスファミド、ジョサマイシン、ラパコール、ロムスチン、ロバスタチン、メルファラン、ミデカマイシン、ミトキサントロン、ニムスチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、プロカルバジン、マイトマイシン、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニン、オキサリプラチン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテホシン、ペントスタチン、ペグアスパルガーゼ、エキセメスタン、レトロゾール、フォルメスタン、smc増殖阻害剤2ω、ミトキサントロン、ミコフェノール酸c−mycアンチセンス、b−mycアンチセンス、β−ラパコン、ポドフィロトキシン、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM−CSF)、ペグインターフェロンα−2b、レノグラスチム(r−HuG−CSF)、マクロゴール、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、サイトカイニン阻害剤、COX−2阻害剤、NFkB、アンギオペプチン、筋細胞の増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGF拮抗薬、プロブコール、プロスタグランジン、1−ヒドロキシ−11−メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン、四硝酸ペンタエリスリトールおよびシドノンイミン等のNOドナー、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メドロキシプロゲステロン、エストラジオールシピオナート、エストラジオールベンゾエイト、トラニラスト、カメバカウリンおよびその他の癌治療に用いられるテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼ阻害剤(チロホスチン)、パクリタキセルおよび6−α−ヒドロキシ−パクリタキセル等のその誘導体、タキソテール、亜酸化炭素(MCS)およびその大環状オリゴマー、モフェブタゾン、ロナゾラク、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、β−シトステロール、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、エリプチシン、D−24851(カルビオケム)、コルセミド、サイトカラシンA−E、インダノシン、ノコダゾール、S100タンパク質、バシトラシン、ビトロネクチン受容体拮抗薬、アゼラスチン、金属プロテイナーゼ−1および−2のグアニジルシクラーゼ刺激組織阻害剤、遊離核酸、ウイルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNA断片、プラスミノゲンアクチベータインヒビター1、プラスミノゲンアクチベータインヒビター2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害剤、IGF−1、および、
抗生物質(セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォキシチン、トブラマイシン、ゲンタマイシンなど)、ペニシリン類(ジクロキサシリン、オキサシリンなど)、スルフォンアミド、メトロニダゾール、エノキサパリン、脱スルホン化およびN−再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノゲンアクチベータ、GpIIb/IIIa血小板膜レセプター、第Xa因子阻害剤に対する抗体、ヘパリン、ヒルジン、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワーファリン、ウロキナーゼ、血管拡張剤(ジピラミドール、トラピジル、ニトロプルシッドなど)、PDGFアンタゴニスト(トリアゾロピリミジンおよびセラミンなど)、ACE阻害剤(カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタンなど)、チオプロテアーゼ阻害剤、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、β、およびγ、ヒスタミン拮抗薬、セロトニン遮断薬、アポトーシス阻害剤、アポトーシス調節剤(p65、NF−kBまたはBcl−xLアンチセンスオリゴヌクレオチドなど)、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロール、トラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、レフルノミド、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインイミド、レチノイン酸、キニジン、ジソピリミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、天然および合成ステロイド(イノトジオール、マキロシドA、グハラキノシド、マンソニン、ストレブロシド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンなど)、非ステロイド性物質(NSAIDS)(フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾンなど)およびその他の抗ウイルス剤(アシクロビル、ガンシクロビル、およびジドブジンなど)、クロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、抗原虫剤(クロロキン、メフロキン、キニーネなど)、さらに天然テルペノイド(ヒポカエスクリンなど)、バリングトゲノール−C21−アンゲレート、14−デヒドロアグロスチスタチン、アグロスケリン、アグロスチスタチン、17−ヒドロキシアグロスチスタチン、オバトジオリド、4,7−オキシシクロアニソメリン酸、バッカリノイドB1、B2、B3、およびB7、ツベイモシド、ブルセアンチノシドC、ヤダンジオシドNおよびP、イソデオキシエレファントピン、トメンファントピンAおよびB、コロナリンA、B、C、およびD、ウルソール酸、ヒプタチン酸A、イソイリドゲルマナール、メイテンホリオール、エフサンチンA、エクスシサニンAおよびB、ロンギカウリンB、スクルポネアチンC、カメバウニン、ロイカメニンAおよびB、13,18−ジヒドロ−6−α−セネシオイルオキシカパルリン、タキサマイリンAおよびB、レゲニロール、トリプトリド、シマリン、ヒドロキシアノプテリン、プロトアネモニン、塩化ケリブリン、シノコクリンAおよびB、ジヒドロニチジン、塩化ニチジン、12−β−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ヘレナリン、インジシン、インジシン−N−オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール、ポドフィロトキシン、ジュスチシジンAおよびB、ラレアチン、マロテリン、マロトクロマノール、イソブチリルマロトクロマノール、マキロシドA、マルカンチンA、マイタンシン、ライコリジシン、マルゲチン、パンクラチスタチン、リリオデニン、ビスパルテノリジン、オキソウシンサニン、ペリプロコシドA、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン、サイコルビン、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸、メチルソルビホリン、スパテリアのクロモン、スチゾフィリン、マンソニン、ストレブロシド、ジヒドロウサンバラエンシン、ヒドロキシウサンバリン、ストリクノペンタミン、ストリクノフィリン、ウサンバリン、ウサンバレンシン、リリオデニン、オキソウシンサニン、ダフノレチン、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール、シロリムス(ラパマイシン)、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、シンバスタチン、ロスバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、テニポシド、ビノレルビン、トロホスファミド、トレオスルファン、テモゾロマイド、チオテパ、トレチノイン、スピラマイシン、ウンベリフェロン、デスアセチルビスミオンA、ビスミオンAおよびB、ゼオリンの群からの活性剤。
【0115】
好ましい活性剤は、パクリタキセルおよびその誘導体(6−α−ヒドロキシ−パクリタキセルまたはバッカチンおよびその他のタキソテール)、シロリムス、エベロリムス、ビオリムスA9、ピメクロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、およびトリアゾロピリミジンである。
【0116】
特に好ましいのは、パクリタキセル(Taxol(登録商標))およびパクリタキセルの全誘導体(6−α−ヒドロキシ−パクリタキセル)およびシロリムスとそれらの誘導体である。
【0117】
本発明に係る吸収性移植物は、好ましくは溝状構造用の支持人工器官、具体的には、血管、尿路、気道、食道、胆管または腸管のためのステントである。
これらのステントの中で、血管のためのステント、または一般的に心臓血管系のためのステントが好ましい。
【0118】
一般的に、これらのステントは、自己拡張型またはバルーン拡張型であり、好ましくはポリマーコーティングおよび/または穴、開口部、孔および/または溝中に、好ましくは少なくとも1つの抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬を含有する。
【0119】
一般的に、生分解性層は、少なくとも1つの抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬のための担体として機能する。この薬剤は、ステントにより生じ得る炎症を防止し、ステント上の主な平滑筋細胞(即ち、冠血管内皮細胞)の増殖を制御する。ステントは、支持組織部または支持血管部の再生を可能にする。組織が再生されると、血管を自ら支持できるようになり、ステントによるさらなる支持はもはや必要としなくなる。この段階で、血管壁に食い込んだステントは、すでにかなり分解されており、一般的に内部構造はもはや存在しない。ステントが完全に溶解され、血流中を自由に移動し得る固体断片に分解されなくなるまで、分解処理は継続する。
【0120】
「吸収性」または「分解性」または「生分解性」という用語は、人体または動物体が、血液中に存在する成分または他の体液に溶解される成分へと移植物をゆっくりと溶解可能であることを意味する。
【0121】
好ましいステントは、格子構造の個々の支柱が同じ断面積を有する格子状の形状で設計される。最大断面積と最小断面積との比率は、2未満が好ましい。支柱の同様の断面積は、ステントの均一な分解につながる。
【0122】
さらに、環状バーは接続バーを介して連結され、この場合、接続バーは優先的に、環状バーを形成するバーよりも小さい断面積または最小径を表すことが好ましい。これにより、人体または動物体内において、環状バーに比べて接続バーの分解の方が速くなる。したがって、環状バーの分解の結果としてステントの支持能力が減小するよりも速く、ステントの軸方向の柔軟性が増強される。
【0123】
医療用移植物、特にステントは、スプレー法、ピペット法、ブラシ法、噴出法、プラズマ除去法、ディッピング法、エレクトロスピニング法、または「シャボン玉」法によりコーティング可能であり、この場合、ポリマーは溶媒中で溶解され、この溶媒は移植物上に塗布される。
【0124】
ポリマーは、管状に前もって形成されてもよく、ステントの外部または内部表面上に適用されてもよい。
適切な溶媒は、水を含み、好ましくはクロロホルム、塩化メチレン(ジクロロメタン)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジエチルケトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベンゼン、トルエン、キシレン、t−ブチルメチルエーテル(MTBE)、石油エーテル(PE)、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の有機溶媒を含み、この場合、クロロホルムと酢酸エチルエステルとが特に好ましい。
【0125】
適用される少なくとも1つの活性剤は、適切な溶媒中で、またはさらにポリマーとともに、溶解、乳化、懸濁または分散され得る。適用される電位物質は、上述の薬理活性剤および上述のポリマーを含む。
【0126】
ポリマーコーティングは、比較的均一であるべきであり、0.01〜10μmの厚さを有するべきである。所望の層厚は各ポリマーにも依存し、複数のコーティング工程で実現され得る。
【発明を実施するための形態】
【0127】
[実施例]
実施例1:
本発明に係るステントは以下から構成される:
90重量%の亜鉛
6重量%のマグネシウム
1重量%のカルシウム
2重量%のイットリウム
1重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素。
【0128】
実施例1に係るステントは、ポリグリコールとドキソルビシンとの溶液を用いた浸漬処理でコーティングされる。乾燥後、さらに2回、浸漬処理が繰り返される。
実施例2:
本発明に係るステントは以下から構成される:
46重量%の亜鉛
46重量%のマグネシウム
6重量%のイットリウム
2重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素。
【0129】
実施例2に係るステントは、間隔を置いたスプレー処理で、クロロホルム中にポリラクチドと活性剤のパクリタキセルとを含む溶液を用いてコーティングされる。乾燥後、ポリマーコーティングは、温度送信機により、離散した個々の地点で溶融され、穴が形成される。その後、穴はDMSO中にパクリタキセルを含む溶液で満たされ、乾燥される。
実施例3:
本発明に係るステントは以下から構成される:
75重量%の亜鉛
15重量%のカルシウム
4重量%のイットリウム
0.7重量%のマンガン
0.8重量%の鉄
4.5重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素。
【0130】
実施例2に係るステントは、間隔を置いたスプレー処理で、塩化メチレン中にポリグルコン酸を含む溶液を用いてコーティングされる。乾燥後、ポリマーコーティングは、酸処理により、離散した個々の地点で溶融され、穴が形成される。ステントの数回の洗浄および乾燥により残存している可能性のある酸を完全に除去後、穴は、ピペットを用いて、30重量%のパクリタキセルと造影剤のイオプロミドとを含有するエタノール溶液で満たされる。引き続いて、室温において、柔らかな空気流下で乾燥が生じる。
実施例4:
本発明に係るステントは以下から構成される:
29重量%の鉄
13重量%のカルシウム
53重量%のマグネシウム
3重量%のイットリウム
0.2重量%のマンガン
0.8重量%の鉄
1.0重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素。
【0131】
実施例4に係るステントは、間隔を置いたスプレー処理で、クロロホルム中にポリ酸無水物とラパマイシンとを含む溶液を用いてコーティングされる。乾燥後、レーザーが、ポリマーコーティング内に、支柱に沿って溝をカットする。ラパマイシンが入れられ、ステント表面1mm2当たり3μgのラパマイシンの活性剤濃度が得られるまで、パルミチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステルがステント表面上にスプレーされる。
実施例5:
本発明に係るステントは以下から構成される:
7重量%の鉄
72重量%のカルシウム
16重量%の亜鉛
1.1重量%のイットリウム
3.9重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素。
【0132】
実施例5に係るステントは、間隔を置いたスプレー処理で、塩化メチレン中にポリ−ε−カプロラクトンを含む溶液を用いてコーティングされる。乾燥後、金属製内部骨格まで穴、溝、および開口部が形成されるように、サンドブラストでポリマーコーティングは粗面化される。その後、ピペット法により、穴は、アセトン中にシンバスタチンを含む溶液で満たされる。
実施例6:
本発明に係るステントは以下から構成される:
5重量%の鉄
40重量%のカルシウム
40重量%のマグネシウム
5重量%の亜鉛
0.3重量%のイットリウム
9.7重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素。
【0133】
実施例6に係るステントは、間隔を置いたスプレー処理で、塩化メチレン中にポリウレタンとトラピジルとを含む溶液を用いてコーティングされる。乾燥後、金属製内部骨格まで穴、溝、および開口部が形成されるように、ポリマーコーティングはサンドブラストで粗面化される。その後、ステント表面全体は、メタノール中にパクリタキセルを含む溶液を用いて2回スプレーされ、各スプレー工程後に乾燥される。
実施例7:
本発明に係るステントは以下から構成される:
5重量%のナトリウム
44重量%のカルシウム
44重量%のマグネシウム
1重量%の亜鉛
1重量%のタンタル
0.5重量%のイットリウム
4.5重量%のその他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素。
【0134】
実施例7に係るステントは、ブラシ処理で、メタノール中にヒドロキシメチルセルロースと2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸とを含む粘性溶液を用いてコーティングされる。乾燥後、イオン衝撃により、金属製内部骨格まで到達する複数の細孔が生成される。その後、ステント表面全体は、クロロホルム中に溶解されたパクリタキセルを用いて2回スプレーされ、各スプレー工程後に乾燥される。
実施例8:
PBS緩衝液中におけるパクリタキセルの溶出作用の判定
十分に小さな容器内にそれぞれ入れられた各ステントに、2mlのPBS緩衝液が加えられ、パラフィルムで密閉され、箱型乾燥機内で37℃にて培養される。選択された各時間間隔後に、上澄みはピペットで取り除かれ、そのUV吸収が306nmで測定される。
実施例9:
亜麻仁油およびα−リノレン酸を用いた生分解性ステントの生体適合性コーティング
アセトンとエタノールとでステントを洗浄後、エタノールに溶解された0.2%亜麻仁油と0.5%のα−リノレン酸の混合物が生成され、ステント上に均一にスプレーされる。ステントの温度は、となるであろう。
実施例10:
再狭窄阻害剤添加下における2層方式での亜麻仁油および合成ポリマーポリビニルピロリドン(PVP)を用いた生分解性ステントの生体適合性コーティング
ステントの洗浄後、クロロホルム中に溶解された0.35重量%のラパマイシンの第1層が、ステント上にスプレーされる。室温でのこの層の乾燥後、0.25%の亜麻仁油と0.1%のPVOとのクロロホルム溶液の第2層がスプレーされる。
実施例11:
生分解性ステントの共有結合性血液適合性コーティング
実施例11a:
脱硫酸化再アセチル化ヘパリンの調製:
直径2cmのカラム内に100mlのアンバーライトIR−122カチオン交換樹脂が満たされ、400mlの3MのHClを用いてH+形態に変換され、溶出液中に塩素がなくなってpHが中性になるまで蒸留水で洗浄された。1gのヘパリンナトリウムが10mlの水に溶解され、陽イオン交換カラム上に付与され、400mlの水を用いて溶出された。この溶出液は0.7gのピリジンを用いて受液器の中へ滴下され、引き続いて、pH6までピリジンで滴定され、凍結乾燥された。
【0135】
還流冷却器を用いて、90mlのDMSO/1,4−ジオキサン/メタノール(体積比6/3/1)の混合物が、丸底フラスコ内で0.9gのヘパリンピリジニウム塩に加えられ、24時間で90℃まで加熱された。その後、823mgの塩化ピリジニウムが加えられ、さらに70時間で90℃まで加熱された。引き続いて、100mlの水で希釈され、希釈水酸化ナトリウム中でpH9まで滴定された。この脱硫酸ヘパリンは、水に対して透析され、凍結乾燥された。
【0136】
100mgの脱硫酸ヘパリンは、10mlの水に溶解され、0℃まで冷却され、1.5mlのメタノールが撹拌しながら加えられた。この溶液に、4mlのOH-形態のDowex 1×4アニオン交換樹脂と、引き続いて150μlの無水酢酸が加えられ、4℃で2時間撹拌された。その後、この樹脂は濾別され、この溶液は水に対して透析され、凍結乾燥された。
実施例11b:
ステントの共有結合性コーティング
ステントは、超音波浴で、アセトンとエタノールとを用いて15分間脱脂され、箱型乾燥機内において100℃で乾燥された。それから、エタノール/水(体積比50/50)の混合物中に3−アミノプロピルトリエトキシシランを含む2%の溶液中に5分間浸漬され、引き続いて、100℃で5分間乾燥された。その後、ステントは一晩、脱塩水で洗浄された。
【0137】
3mgの脱硫酸化再アセチル化ヘパリンが、4℃およびpH4.75で、30mlの0.1MのMES緩衝液(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)に溶解され、30mgのN−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メチル−p−スルホン酸トルエンが加えられた。この溶液中で10個のステントが4℃で15時間撹拌された。引き続いて、水、4MのNaCl溶液および水で、それぞれ2時間洗浄された。これらのステントは、空気流下および真空除湿乾燥機内で徹底的に乾燥され、保管された。
実施例12:
生分解性ポリマーから作製される全体を覆うマトリックスの空洞中に活性剤を用いた生分解性ステントのコーティング
a)
スプレー処理での純粋なマトリックスを用いたステントのコーティング
スプレー溶液の調製:
176mgのPLGAは、重さを測定され、20gになるまでクロロホルムで満たされた。各ステントは、3mlのスプレー溶液でスプレーされ、その後一晩乾燥された。
あるいは、
活性剤が入れられたマトリックスを用いたコーティング
スプレー溶液:145.2mgのPLGAと48.4mgのタキソールとのPLGA/タキソール溶液は、22gになるまでクロロホルムで満たされる。各ステントは、3mlのスプレー溶液でスプレーされ、その後一晩乾燥された。
b)ピペット様式での空洞の調製
ポリマーコーティングされたステントが完全に乾燥した後、ステント本体全体のステント支柱上に空洞が均一に分布するように、規定量のクロロホルムまたは別の適切な溶媒を用いて、ポリマー層の部分選択エッチングにより、ステントの反管腔側表面に空洞が生成される。残存している可能性のある溶媒は、各空洞の生成後直ちに空気流下で除去される。
c)ピペット様式での活性剤が入れられた親水性ポリマーを用いた空洞のコーティング
生成された空洞は、ピペット様式により、活性剤が入れられた粘性溶液で満たされる。この溶液は、非常に粘性があるため、空洞から流出できない。即ち、溶媒が急速に蒸発するため、溶液は硬化し、周囲のマトリックスは溶解されない。
【0138】
例えば、溶液中のラパマイシン含有量が35%に達するラパマイシン/PVP溶液を用いることができる。1つ以上の活性剤と組み合わせる場合、ラパマイシンの含有量は20%を下回ってはならない。
【0139】
このようにして満たされた、コーティングされたステントは、その後乾燥される。
実施例13:
ピペット様式での純粋な活性剤を用いた空洞のコーティング
したがって、8.8mgのタキソールは、2gになるまでクロロホルムで満たされ、ピペットで空洞の中に入れられる。
実施例14:
ピペット様式での活性剤と膜透過性を加速する物質とを用いた空洞のコーティング
したがって、450μlのエタノールは、100μlのミリスチン酸イソプロピルと混合される。この溶液は、4.5mlのアセトンと150mgのエポチロンAとの溶液に加えられる。
【0140】
引き続いて、空洞は、ピペット法により満たされ、乾燥される。
実施例15:
円筒状ステント本体の完全なコーティング
a.スプレー処理でのステントのプレコーティング
実施例1〜7に係るステントは、回転子棒に固定され、スプレーガンを上下に非常にゆっくりと移動させながら、低回転速度で、1%ポリウレタン溶液でスプレーされる。
b.浸漬コーティングによるスプレーされたステントの全コーティング
ポリウレタンは、14%溶液が得られるように、THFに溶解される。実施例15aに係るプレコーティングされたステントは、取り付け成形工具上に慎重に移動される。
【0141】
ステントが搭載された成形工具は、まず、純粋なTHF中に短時間、前浸漬される。それから、14%ウレタン溶液にゆっくりと浸漬される。15秒後、ステントを有する成形工具は、再びゆっくりと引き上げられ、ポリウレタンがステント上に均一に分布されるようにさらに回転され、乾燥される。
【0142】
中核部がそれ以上小さくならなくなったら、排気フード下で乾燥され、引き続いて、箱型乾燥機内において95℃で予熱される。冷却後、ポリウレタン包装体を有するステントは、成形工具から非常に慎重に取り外される。ポリウレタン包装体に亀裂や穴が生じないように注意しなければならない。上記のように全コーティングされたステントの洗浄は、微温湯流下で徹底的に行われる。
実施例16:
浸漬様式でのポリウレタン/テルグリドを用いたスプレーされたステントの全表面のコーティング
浸漬溶液は、ポリマー中30重量%テルグリドから構成され、その後、THF中で10%に希釈される。実施例15bにおけるように、さらに処置が行われる。
実施例17:
生分解性ステント(d=3mm)の部分コーティング
溶液:20mlのN−メチル−2−ピロリドン中に溶解された3.2mgのポリウレタン
スプレーコーティングされたステントは、自由に回転可能な取り付け成形工具上に移動され、滑らかな基礎上に完全に置かれる。
【0143】
領域が溶液で完全に覆われるまで、溶液をブラシの毛にとり、コーティングすべき領域上に塗布するという、少なくとも2つの工程において、コーティングの塗布は実現される。
【0144】
コーティングすべき選択された領域が全て所望のコーティング厚で満たされたら、ステントは90℃で乾燥される。冷却後、ステントは成形工具から取り外される。
実施例18:
EP 1419793 B1に従い、以下の組成物の生体吸収性ステントが調製される:
マグネシウム 91重量%
イットリウム 4重量%
ネオジム 4重量%
その他 1重量%
「その他」は、その他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素である。
【0145】
このマグネシウム製ステントは、PLLA/PGAの生体吸収性コーティングを備えており、コーティングされていないステント、ステンレス製ステント上のPLLA/PGAのポリマーコーティング、およびコーティングされたステントのそれぞれの分解速度は、実施例18に従って決定された。
【0146】
コーティングされていないマグネシウム製ステントは、10日間で、PBS緩衝液(14.24gのNaH2PO4、2.72gのK2HPO4、および9gのNaClを有するリン酸緩衝液;pH7.4;T=37℃)中において完全に溶解され、実施例18に係るコーティングされたステントは、約12日間で、コーティング内部において完全に溶解した。
【0147】
ステンレス製ステントおよび実施例18に係るステント上のPLLA/PGAコーティングは、約6〜8週間後、PBS緩衝液(14.24gのNaH2PO4、2.72gのK2HPO4、および9gのNaClを有するリン酸緩衝液;pH7.4;T=37℃)中において溶解された。
【0148】
10、20、30および40日後に行ったPBS緩衝液中における実施例18に係るステントの光学的分析により、20日後には、内部ステント骨格は完全に溶解してポリマーコーティングから排出され、一方、PLLA/PGAはまだ顕著な溶解を表しておらず、少なくとも目に見える穴を表さなかったことが示される。
実施例19:
異なる速度で分解する2つのポリラクチド(PLGA75/25およびPLGA50/50)を用いた管腔側および反管腔側上の生分解性ステントのコーティング
ステントの内部側が金属棒に接触しないように、実施例1〜7に係る生分解性ステントは、回転・前進装置の回転軸に取り付けられた薄い金属棒(d=0.2mm)上に水平に掛けられる。その長軸周りをゆっくりと回転しながら、連続的なピペット様式(任意に、ブラシ様式、インクジェット様式、ボールペン様式)を用いて、クロロホルム中に溶解されたより速く分解するポリマー(PLGA50/50)が、ステントの反管腔側表面上のステント支柱に塗布される。室温において、柔らかな空気流下で、乾燥が生じる。
【0149】
反管腔側がコーティングされたステントは、今度はゆっくりと分解するポリラクチド(PLGA75/25)で管腔側からコーティングされる。したがって、ステントは、支柱に沿って、ブラシの毛によりポリマー溶液が塗布される。その後、室温において、柔らかな空気流下で、再び乾燥が生じる。
【0150】
ポリマー溶液:176mgのポリラクチドは、重さを測定され、20gになるまでクロロホルムで満たされる。
任意に、活性剤または活性剤の組み合わせは、ポリマー溶液中に混合され得る。例えば、抗炎症薬、ラパマイシン等の抗増殖剤は、血管壁に対面する反管腔側に非常に適しており、一方、血流に曝される管腔表面上の抗血栓薬は、必要とされる血栓症予防を確実にする。例は以下のとおりである:
a)反管腔側:ポリラクチドPLGA50/50およびラパマイシン(145.2mgのポリラクチドと48.4mgのラパマイシンとの溶液が、22gになるまでクロロホルムで満たされる)。
b)管腔側:ポリラクチドPLGA75/25およびクロピドグレル(145.2mgのポリラクチドと48.4mgのクロピドグレルとの溶液が、22gになるまでクロロホルムで満たされる)。
実施例20:
亜麻仁油とパクリタキセルとを用いた生分解性ステントの生体適合性コーティング
亜麻仁油およびパクリタキセル(80:20)は、クロロホルム中で1:1の比率で溶解された後、均一に回転するステント上にスプレーされる。柔らかな空気流下でのクロロホルムの蒸発後、ステントは、80℃で箱型乾燥機内に保管される。
実施例21:
パクリタキセル添加下における2層方式での亜麻仁油およびポリビニルピロリドン(PVP)を用いたステントの生体適合性コーティング
ステントの洗浄後、クロロホルム中に溶解された0.25重量%のパクリタキセルの第1層は、ステント上にスプレーされる。室温下でのこの層の乾燥後、0.25%の亜麻仁油と0.1%のPVPとを有するクロロホルム溶液の第2層がスプレーされ、70℃で一晩乾燥される。
実施例22:
生体吸収性ステント材料の分解の測定
a)粉末冶金による合金の調製
単一成分は、細かく砕かれ、十分に混合され、高圧化で所望の形態に圧縮され、最後に焼結される。このような調製により、溶解処理(溶融浴)を避けながら、緻密でつなぎ目がほとんどない本体が生成され得る。
b)分解測定
管として製造され、さらに小数第4位まで重さを測定されたこのワークピースは、ステントと同様に、適切なシリコン管内に置かれる。この管の両端は、PBS緩衝液(14.24gのNaH2PO4、2.72gのKH2PO4、および9gのNaClを有するリン酸緩衝液;pH7.4;T=37℃)で満たされた容器内に配置される。接続された蠕動ポンプにより、緩衝液は容器から管を介してポンプで送り出され、容器内に再び放出される。この場合、管端のフィルターは、存在する可能性のある粒子がこのシステムによってポンプで送られないことを確実にする。同時に、このフィルターは、材料分解中の大型粒子の望ましくない形成および離脱の第1制御として機能する。所定の試行時間の終了後、残留材料を含む管部分は慎重に切り取られ、損失がないよう取り出され、乾燥され、重さを測定され、記述される。
【0151】
様々に設定された時間間隔後に中断される記述された実験設計のいくつかを実行することにより、合金の分解の経過が文書化される。そのような方法で、(非静止装置において生理的な37℃およびpH7.4で)時間に依存する重量損失に基づき、分解の経過が得られる。
実施例23:
フロー方式でのポリマー分解の測定
生分解性ポリマーの分解は、PBS緩衝液(リン酸緩衝液)中において、生理条件下(pH7.4;T=37℃)で調べられる。したがって、生分解性ポリマーは、まず、クロロホルムのような揮発性溶媒中に溶解される。引き続いて、薄膜が成型され、真空下で重量の恒常性が得られるまで乾燥される。
【0152】
正確に重さを測定された薄膜は、Sakarassien[Sakariassen他、J Lab−Clin.Med 102(4):522(1983)](平台灌流システムを参照)に従って修正されたいわゆるBaumgartnerチャンバー内に持ち込まれ、PBS緩衝液は、蠕動ポンプにより、選択した流速で薄膜表面上を流される。実験は様々な実験時間で行われ、真空下での乾燥後、重量および状態の恒常性が得られるまで、薄膜の重さに基づいて分解作用が確認される。即ち、ポリマー特性の変化が確認される。
実施例24:
EP 1419793 B1に従い、以下の組成物を有する生体吸収性ステントが製造される:
マグネシウム 90重量%
イットリウム 5重量%
ジルコニウム 4重量%
その他 1重量%
「その他」は、その他の金属、金属塩、非金属、炭素、硫黄、窒素、酸素、水素である。
【0153】
このマグネシウム製ステントは、PGA/PTMCの生体吸収性コーティングを備えており、実施例24に従い、コーティングされていないステントと、ステンレス製ステント上のPGA/PTMCのポリマーコーティングと、コーティングされたステントとのそれぞれの分解速度が決定された。
【0154】
コーティングされていないマグネシウム製ステントは、13日間で、PBS緩衝液(14.24gのNaH2PO4、2.72gのKH2PO4、および9gのNaClを有するリン酸緩衝液;pH7.4;T=37℃)中において完全に溶解し、実施例24に係るコーティングされたステントは、約15日間で、コーティング内部において完全に溶解した。
【0155】
ステンレス製ステント上および実施例24に係るステント上のPGA/PTMCコーティングは、約15〜18週間後、PBS緩衝液(14.24gのNaH2PO4、2.72gのKH2PO4、および9gのNaClを有するリン酸緩衝液;pH7.4;T=37℃)中において溶解された。
【0156】
PBS緩衝液中における実施例24に係るステントの20日後および40日後の光学的分析により、20日後にはすでに内部ステント骨格は完全に溶解し、ポリマーコーティングから排出されており、この場合、PLLA/PGAは顕著な溶解特性を表さず、少なくとも目に見える穴を表さなかったことが示された。このように、ポリマーコーティングは全体的に依然として損傷がない一方、内部ステント骨格は完全に溶解しており、金属イオンはポリマーを介して緩衝溶液に放出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属を含有し、生分解性ポリマーコーティングで囲繞された内部生体吸収性骨格から構成される生分解性ステント。
【請求項2】
請求項1に記載の生分解性ステントであって、
少なくとも1つの金属を含有する前記内部生体吸収性骨格は、金属、金属合金、金属酸化物、金属塩、金属炭化物、金属窒化物、または上記物質の混合物である
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項3】
請求項1または2に記載の生分解性ステントであって、
少なくとも1つの金属を含有する前記内部生体吸収性骨格は、カロメル電極と比較して測定された−0.53eVの電位を有する
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項4】
前記請求項のうちの1項に記載の生分解性ステントであって、
少なくとも1つの金属を含有する前記内部生体吸収性骨格は、前記外部ポリマー包装体よりも速く生分解する
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項5】
前記請求項のうちの1項に記載の生分解性ステントであって、
少なくとも1つの金属を含有する前記内部生体吸収性骨格は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、シリコン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、金、鉛から構成される群から選択される少なくとも1つの金属を含有する
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項6】
前記請求項のうちの1項に記載の生分解性ステントであって、
少なくとも1つの金属を含有する前記内部生体吸収性骨格は、Li+、Na+、Mg2+、K+、Ca2+、Sc3+、Ti2+、Ti4+、V2+、V3+、V4+、V5+、Cr2+、Cr3+、Cr4+、Cr6+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Mn5+、Mn6+、Mn7+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Ga+、Ga3+、Al3+、Si4+、Y3+、Zr2+、Zr4+、Nb2+、Nb4+、Nb5+、Mo4+、Mo6+、Tc2+、Tc3+、Tc4+、Tc5+、Tc6+、Tc7+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Ru6+、Ru7+、Ru8+、Rh3+、Rh4+、Pd2+、Pd3+、Ag+、In+、In3+、Ta4+、Ta5+、W4+、W6+、Pt2+、Pt3+、Pt4+、Pt5+、Pt6+、Au+、Au3+、Au5+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Pb4+、La3+、Ce3+、Ce4+、Gd3+、Nd3+、Pr3+、Tb3+、Pr3+、Pm3+、Sm3+、Eu2+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+の酸化段階の少なくとも1つの金属イオンを含有する
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項7】
請求項5に記載の生分解性ステントであって、
前記金属は、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、亜鉛、シリコン、イットリウム、ジルコニウム、およびガドリニウムから構成される群から選択される
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項8】
前記請求項のうちの1項に記載の生分解性ステントであって、
前記生分解性コーティングは、以下の生分解性物質、もしくは以下の生分解性物質の混合物:
ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコン酸、ポリ(乳酸)ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、ポリヒドロキシブチレート、ポリアミノ酸、ポリリン酸エステル、ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクトン酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチドおよびポリグリコリドの共重合体、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリヒドロキシブチレート−co−吉草酸、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−オン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−パラ−ジオキサノン、ポリ無水物、ポリマレイン酸無水物、ポリヒドロキシメタクリル酸、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−β−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチルアクリレート、オリゴカプロラクトンジオールおよびオリゴジオキサノンジオールからのマルチブロックポリマー、PEGおよびポリ(ブチルテレフタレート)からのポリエーテルエステルマルチブロックポリマー、ポリピボトラクトン、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトングリコリド、ポリ(γ−グルタミン酸エチル)、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−co−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)−ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコール化ポリエステル、ポリリン酸エステル、ポリホスファゼン、ポリ[p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水物、ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド、軟質ポリウレタン、骨格にアミノ酸残基を有するポリウレタン、ポリエチレンオキシド等のポリエーテルエステル、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステルおよびその共重合体、脂質、カラギーナン、フィブリノゲン、デンプン、コラーゲン、タンパク質ベースのポリマー、ポリアミノ酸、合成ポリアミノ酸、ゼイン、ポリヒドロキシアルカノアート、ペクチン酸、光化学酸、カルボキシメチル硫酸、アルブミン、ヒアルロン酸、キトサンおよびその誘導体、ヘパラン硫酸およびその誘導体、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、β−シクロデキストリン、PEGとポリプロピレングリコールとを有する共重合体、アラビアゴム、グアー、ゼラチン、コラーゲンN−ヒドロキシスクシンイミド、脂質、リン脂質、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカルボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニリデンハロゲン化物、ポリビニルエーテル、ポリイソブチレン、ポリビニル芳香族、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコンポリエーテルウレタン、シリコンポリウレタン、シリコンポリカーボネートウレタン、ポリオレフィンエラストマー、EPDMゴム、フルオロシリコン、カルボキシメチルキトサンポリアリールエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸、カルボキシメチルセルロース、セルロース、レーヨン、レーヨントリアセテート、硝酸セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、エチルビニルアセテート共重合体、ポリスルホン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、EPDMゴム、ポリシロキサン等のシリコン、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルハロゲンおよび共重合体、セルロースエーテル、セルローストリアセテート、キトサン、および上記ポリマーの共重合体および/または混合物、
のうちの少なくとも1つから構成されている
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項9】
請求項8に記載の生分解性ステントであって、
前記生分解性コーティングは、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコン酸、ポリ(乳酸)ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリヒドロキシブチレート、ポリ酸無水物、ポリリン酸エステル、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリε−カプロラクトンおよび/またはポリリン酸エステルから構成されている
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項10】
前記請求項のうちの1項に記載の生分解性ステントであって、
細孔、穴、開口部、溝、またはその他のイオン透過性構造は、前記外部ポリマーコーティングに含まれる
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項11】
請求項10に記載の生分解性ステントであって、
前記細孔、穴、開口部または溝は、
抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬、
もしくは抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬を含有する組成物
で満たされることを特徴とする生分解性ステント。
【請求項12】
前記請求項のうちの1項に記載の生分解性ステントであって、
前記外部ポリマーコーティングは、少なくとも1つの抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬を含有する
ことを特徴とする生分解性ステント。
【請求項13】
請求項11または12に記載の生分解性ステントであって、
前記少なくとも1つの抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬、抗増殖剤、抗微小管剤、血管新生阻害剤、抗再狭窄剤(抗再狭窄剤)、抗殺菌剤、抗腫瘍薬、抗遊走薬、抗血栓形成剤および/または抗血栓薬は、
アブシキシマブ、アセメタシン、アセチルビスミオンB、アクラルビシン、アデメチオニン、アドリアマイシン、アエシン、アフロモソン、アカゲリン、アルデスロイキン、アミドロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナキンラ、アナストロゾール、アネモニン、アノプテリン、抗真菌薬、抗血栓剤、アポシマリン、アルガトロバン、アリストロラクタムAII、アリストロキン酸、アスコマイシン、アスパラギナーゼ、アスピリン、アトルバスタチン、オーラノフィン、アザチオプリン、アジスロマイシン、バッカチン、バフィロマイシン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベンゾカイン、ベルベリン、ベツリン、ベツリン酸、ビロボール、ビスパルテノリジン、ブレオマイシン、ボムブレスタチン、ボスウェル酸およびその誘導体、ブルセアノールA、BおよびC、ブリオフィリンA、ブスルファン、アンチトロンビン、ビバリルジン、カドヘリン、カンプトテシン、カペシタビン、o−カルバモイル−フェノキシ酢酸、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セファランチン、セリバスタチン、CETP阻害剤、クロラムブシル、クロロキノリン、シクトキシン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリスロマイシン、コルヒチン、コンカナマイシン、クマジン、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、クドライソフラボンA、クルクミン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シタラビン、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダプソン、ダウノルビシン、ジクロフェナク、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドウナマイシン、エピルビシン、エポチロンAおよびB、エリスロマイシン、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フィルグラスチム、フルロブラスチン、フルバスタチン、フルダラビン、フルダラビン−5’−リン酸二水素、フルオロウラシル、フォリマイシン、ホスフェストロール、ゲムシタビン、グハラキノシド、ギンコール、ギンコール酸、グリコシド1a、4−ヒドロキシオキシシクロホスファミド、イダルビシン、イホスファミド、ジョサマイシン、ラパコール、ロムスチン、ロバスタチン、メルファラン、ミデカマイシン、ミトキサントロン、ニムスチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、プロカルバジン、マイトマイシン、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニン、オキサリプラチン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテホシン、ペントスタチン、ペグアスパルガーゼ、エキセメスタン、レトロゾール、フォルメスタン、smc増殖阻害剤2ω、ミトキサントロン、ミコフェノール酸c−mycアンチセンス、b−mycアンチセンス、β−ラパコン、ポドフィロトキシン、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM−CSF)、ペグインターフェロンα−2b、レノグラスチム(r−HuG−CSF)、マクロゴール、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、サイトカイニン阻害剤、COX−2阻害剤、NFkB、アンギオペプチン、筋細胞の増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGF拮抗薬、プロブコール、プロスタグランジン、1−ヒドロキシ−11−メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン、四硝酸ペンタエリスリトールおよびシドノンイミン等のNOドナー、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メドロキシプロゲステロン、エストラジオールシピオナート、エストラジオールベンゾエイト、トラニラスト、カメバカウリンおよびその他の癌治療に用いられるテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼ阻害剤(チロホスチン)、パクリタキセルおよび6−α−ヒドロキシ−パクリタキセル等のその誘導体、タキソテール、亜酸化炭素(MCS)およびその大環状オリゴマー、モフェブタゾン、ロナゾラク、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、β−シトステロール、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、エリプチシン、D−24851(カルビオケム)、コルセミド、サイトカラシンA−E、インダノシン、ノコダゾール、S100タンパク質、バシトラシン、ビトロネクチン受容体拮抗薬、アゼラスチン、金属プロテイナーゼ−1および−2のグアニジルシクラーゼ刺激組織阻害剤、遊離核酸、ウイルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNA断片、プラスミノゲンアクチベータインヒビター1、プラスミノゲンアクチベータインヒビター2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害剤、IGF−1、および、
抗生物質(セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォキシチン、トブラマイシン、ゲンタマイシンなど)、ペニシリン類(ジクロキサシリン、オキサシリンなど)、スルフォンアミド、メトロニダゾール、エノキサパリン、脱スルホン化およびN−再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノゲンアクチベータ、GpIIb/IIIa血小板膜レセプター、第Xa因子阻害剤に対する抗体、ヘパリン、ヒルジン、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワーファリン、ウロキナーゼ、血管拡張剤(ジピラミドール、トラピジル、ニトロプルシッドなど)、PDGFアンタゴニスト(トリアゾロピリミジンおよびセラミンなど)、ACE阻害剤(カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタンなど)、チオプロテアーゼ阻害剤、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、β、およびγ、ヒスタミン拮抗薬、セロトニン遮断薬、アポトーシス阻害剤、アポトーシス調節剤(p65、NF−kBまたはBcl−xLアンチセンスオリゴヌクレオチドなど)、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロール、トラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、レフルノミド、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインイミド、レチノイン酸、キニジン、ジソピリミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、天然および合成ステロイド(イノトジオール、マキロシドAなど)、グハラキノシド、マンソニン、ストレブロシド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン)、非ステロイド性物質(NSAIDS)(フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾンなど)およびその他の抗ウイルス剤(アシクロビル、ガンシクロビル、およびジドブジンなど)、クロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、抗原虫剤(クロロキン、メフロキン、キニーネなど)、さらに天然テルペノイド(ヒポカエスクリンなど)、バリングトゲノール−C21−アンゲレート、14−デヒドロアグロスチスタチン、アグロスケリン、アグロスチスタチン、17−ヒドロキシアグロスチスタチン、オバトジオリド、4,7−オキシシクロアニソメリン酸、バッカリノイドB1、B2、B3、およびB7、ツベイモシド、ブルセアンチノシドC、ヤダンジオシドNおよびP、イソデオキシエレファントピン、トメンファントピンAおよびB、コロナリンA、B、C、およびD、ウルソール酸、ヒプタチン酸A、イソイリドゲルマナール、メイテンホリオール、エフサンチンA、エクスシサニンAおよびB、ロンギカウリンB、スクルポネアチンC、カメバウニン、ロイカメニンAおよびB、13,18−ジヒドロ−6−α−セネシオイルオキシカパルリン、タキサマイリンAおよびB、レゲニロール、トリプトリド、シマリン、ヒドロキシアノプテリン、プロトアネモニン、塩化ケリブリン、シノコクリンAおよびB、ジヒドロニチジン、塩化ニチジン、12−β−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ヘレナリン、インジシン、インジシン−N−オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール、ポドフィロトキシン、ジュスチシジンAおよびB、ラレアチン、マロテリン、マロトクロマノール、イソブチリルマロトクロマノール、マキロシドA、マルカンチンA、マイタンシン、ライコリジシン、マルゲチン、パンクラチスタチン、リリオデニン、ビスパルテノリジン、オキソウシンサニン、ペリプロコシドA、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン、サイコルビン、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸、メチルソルビホリン、スパテリアのクロモン、スチゾフィリン、マンソニン、ストレブロシド、ジヒドロウサンバラエンシン、ヒドロキシウサンバリン、ストリクノペンタミン、ストリクノフィリン、ウサンバリン、ウサンバレンシン、リリオデニン、オキソウシンサニン、ダフノレチン、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール、シロリムス(ラパマイシン)、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、シンバスタチン、ロスバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、テニポシド、ビノレルビン、トロホスファミド、トレオスルファン、テモゾロマイド、チオテパ、トレチノイン、スピラマイシン、ウンベリフェロン、デスアセチルビスミオンA、ビスミオンAおよびB、ゼオリンの群からの活性剤
を含む群から選択されることを特徴とする生分解性ステント。
【請求項14】
前記請求項のうちの1項に記載の生分解性ステントであって、
前記生分解性ステントは、血管、尿路、気道、食道、胆管または腸管のためのステントである
ことを特徴とする生分解性ステント。

【公表番号】特表2010−516414(P2010−516414A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547528(P2009−547528)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000160
【国際公開番号】WO2008/092435
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(504150209)ヘモテック アーゲー (12)
【氏名又は名称原語表記】Hemoteq AG
【Fターム(参考)】