生物学的同調性(BIOSYNCHRONOUS)経皮的薬物送達
薬物又は活性成分の受動的で周期的な放出のための送達メカニズム及びデバイス、並びに化合物の投与をヒトの体の自然な概日リズム及び中毒のリズムを同調させるための方法。この戦略は、自動化された及び予めプログラム可能な経皮投与システム又は他の薬物の投与システムを用いることにより、疾患の状態及び症状に、それらの最悪と見られるときに対抗することを意図している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、制御された薬物送達方法及びシステム、より具体的には、生物学的同調性経皮的薬物送達のためのシステム及び方法に関する。本発明は、さらに本発明のシステムがバイオリズムに従って活性物質の送達を調節するように設計可能な点で時間生物学の分野に関する。薬物、製薬、及び他の生物学的活性物質は、体内における物質の性能を改善するために、生物学的プロセス及び/又はバイオリズムに同調した方法において体内に経皮的に送達される。本発明はまた、継続的な投与から経験され得る、活性物質の耐性を克服し、患者の薬剤服用順守を改善し、及び一部のケースでは、生物学的同調性の利益によって投与当たりに必要とされる薬物の量を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達の分野において、正しい時間的パターンにおいて薬物を供給することは、薬物送達方法の重要な条件であると認識されている。放出制御薬物送達システムは、薬物に対する反応の改善及び/又は薬物の副作用の低減を目的としている。時間薬理学における継続的な関心は、バイオリズムが臨床薬理学の重要な観点であり、薬物送達システムを評価する際に考慮されるべきであるという事実を示す(Hrushesky,W.,J.Cont.Rel.19:363(1992)、Lemmer,B.,Adv.Drug Del.Rev.6:19(1991),Youn,C.B.J.Cont.Rel.98(3)337(2004)及びYoun,C.B.J.,Ed.「時間製剤学(Chronopharmaceutics)」,John Wiley&Sons,New York(準備中))。
【0003】
喘息の発作、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、心室性頻拍症等の疾患の発生及び微候は、概日周期相に依存する。ヒトにおいて、薬物動態(時間−薬物動態)における1日24時間の変化が、少し記述するだけも心臓血管活性薬物(プロプラノロール、ニフェジピン、ベラパミル、エナラプリル、イソソルビド5−一硝酸塩及びジゴキシン)、喘息治療薬(テオフィリン及びテルブタリン)、抗癌薬、向精神薬、鎮痛薬、局所麻酔薬及び抗生剤について示された。習慣的な使用又は定常的な導入をした後でさえ、より多くの薬物が1日全体を通して、それらの効果(時間薬物動態及び時間毒物学)において顕著な変化を示すことが示された(Ohdo,S.Drug Safety 26(14)999−1010(2003))。さらに、投与量/濃度−応答関係が1日の時間に基づいて顕著に変更され得る明確な証拠が存在する。したがって、概日時間(circadian time)は、薬物の薬物動態及びその効果若しくは副作用に影響する重要な変化として考慮されなければならない(Bruguerolle,B.,Clin.Pharmacokinet.Aug.35(2)83−94(1998))。
【0004】
研究は、ある疾患の発生が概日時間の強力な経時的な依存性を示すことを示唆する。このことは、定常的な薬物放出(Lemmer B.,Ciba Found Symp.183:235−47;discussion 247−53(1995))とは反対に薬物送達の時間的調節によるパターン化が必要であることを示す。
【0005】
用語「放出制御」は、一般に、所望の経時的パターン(tempural pattern)に従って薬物を供給する方法により、活性成分を宿主の生物学的システムに利用可能にする送達メカニズムをいう。放出制御薬物送達システムは、a)即時放出システム;b)遅延放出システム;及びc)持続放出システムを用いて実施することができる。ほとんどの場合、放出制御システムは、ヒト又は動物宿主において、ある期間を通して薬物中の活性成分の持続した血漿レベルを維持するように設計される。
【0006】
即時放出は、活性成分を宿主の生物学的システムに投与後直ちに利用できるようにするシステムをいう。即時放出システムは、持続的又は間欠的な静脈注入又は注射を含む。かかるシステムは、即時開始及び停止の両方の投与が可能であり、送達速度を非常に正確に制御することが可能であるため、より多くの制御を提供する。しかし、穿刺針又はカテーテルによる投与を含むため、投与は望ましくない侵襲性である。
【0007】
遅延放出は、投与後のある時間に活性成分を宿主に利用可能にするシステムをいう。かかるシステムは、当該遅延後に活性成分を放出するように、知られた速度で溶解する物質により活性成分が被覆又はカプセル化された経口薬物並びに注射可能な薬物を含む。残念なことに、投与後の被覆物又はカプセル材料の分解を制御するのはしばしば困難なことがあり、且つ実際の性能は患者間で変動する。
【0008】
持続放出は、一般に、宿主に利用可能な活性成分のレベルをある期間を通してあるレベルに維持するような活性成分の放出をいう。遅延放出システムと同様に、持続放出システムは制御が困難であり、患者間での変動を示す。錠剤を服用する場合、消化管を通しての吸着に依存して、体内の薬物濃度が急速に上昇するが、減少は排泄及び代謝に依存し、それらは制御することができない。その上、消化管を通しての吸着は、多くの場合においてかなりの副作用(潰瘍等)をもたらし、肝臓に重いダメージを与えることがある。
【0009】
経皮治療システム(TTS)は、最初、経口持続放出システムが適切でない状況における薬物の持続放出のために開発された。あるケースでは、活性成分が消化管システムにより破壊又は変更されるため、薬物を効果的に経口投与することができない。他のケースでは、薬物は持続放出の実施に用いられる被覆及び/又はキレート剤と物理的又は化学的に適合しないことがある。他のケースにおいて、経皮送達システムは、経口投与薬物がたった数時間の持続性能を提供するのに対し、何日間又は何週間かの期間を通して持続放出を提供することができる。広範囲の活性物質は、活性物質が皮膚障壁を通過可能な形態(例えば、米国特許第6638528号参照、参照文献により本願明細書に組み込まれる)で提供される限り経皮システムにより送達することができる。
【0010】
ほとんどの場合、経皮送達システムは受動的であり、粘着剤により皮膚に貼り付けられるパッチの形態をとる。TTSは、リザーバー、マトリックス、又は粘着剤それ自体において、必要であれば適切な担体とともにある量の活性物質を含有する。一度適用すると、活性物質は、活性物質の濃度及び拡散性により定められた速度で皮膚を通して拡散する。しかし、皮膚/パッチ境界における種々の物理的及び化学的プロセスは送達速度に影響し、最終的に薬物送達を完全に阻害することがある。
【0011】
制御された薬物送達にとって目的とする本来の性能は、薬物の0次放出速度を達成するものであり、その結果血漿中において一定の効果を示す薬物濃度が維持される。しかし、時間生物学及び時間薬理学における20年以上の研究は、薬物の有効性及び効率性に対する患者の概日周期又は他のバイオリズムの影響を測定すると共に、医薬の投与に対するバイオリズムの重要性を実証した。この研究は、ある疾患の症状が1日のある時間にピークの症状を有する日周パターンに従うことを示す。ホルモン、神経伝達物質及び他の体内化合物が日周パターンに従い、異なる量で、1日の異なる時間に放出されることが広く知られている。
【0012】
新しいアプローチが、ある疾患が1日のある時間に悪化する傾向のあることを示す、発展しつつある研究から生じている。患者の体内時計を用いる同調薬物療法により、多くの医師は薬物がより効率的に、そしてより副作用が少なく働くと考えている。いくつかのケースにおいては、医師が投与量を減らすことができたという改善がはっきり説明されている。日周の生理的過程が薬物吸収、分配、代謝及び分泌を変更することが見出されている。結果として、薬物投与は、1日の種々の時間における目的とする臓器又は組織の異なる要求に合うように調節することを必要とする(L.Lamberg,American Pharmacy,N831(11):20−23(1991))。
【0013】
クロマトグラフィーへの継続的な関心は、薬物送達における経時的プロファイル(temporal profile)を制御する技術の開発に対して増大し続ける要求を示す。研究結果は多くの疾患の発生及び重篤性が本来周期的であるか、概日周期に従うことを示唆する。薬物耐性は薬物投与プロファイルの調節の必要性を増大させる。さらに、投薬による皮膚の炎症及び増感化は、薬物を投与しない間隔を必要とする場合がある。したがって、薬物送達のこの改善された態様は、定期的に増大させて簡易に、痛みがなく、かつ自動的に体に送達する医薬を必要とする人々にとって非常に重要である(Smolensk,M.H.&Lamberg,L.Body Clock Guide to Better Health:How to Use Your Body’s Natural Clock to Fight Illness and Achieve Maximum Health,Henry Holt&Company,New York(2001)and Grimes,J.et al.,J Pharmacol Exp Ther 285(2):457−463(1998))。
【0014】
現在使用されている経皮送達システムは、活性成分を「ポンプで送り込む」ことによって薬物送達を長期に改善するメカニズムを提供することにより、送達速度の制御を補助するように開発された。かかるシステムの1つ(米国特許第5370635号)は、比較的長期間、例えば少なくとも数日間、医薬を送達し医薬を臓器に分配するためのシステムを記載する。デバイスは、ヒト又は場合によって動物の体にその外側から医薬を適用するために、その体の皮膚表面に位置するように適合させることができる。従来の経皮システムは、胃腸管による吸着の不利益を回避するが、それらはピークの症状を緩和するために、投与管理(dosing regiment)を最適化又は調整することがない。さらに、薬物の定常的な経皮送達は、衰弱性(debilitating)睡眠障害及び耐性の増大を含む重篤な副作用をもたらし得る。
【0015】
経皮時間治療(transdermal chronotherapy)の簡単なタイプは二相性プロファイルであり、そのプロファイルにおいて薬物濃度は時間と伴に高レベルから低レベルに変化する(又は逆)。システムは濃度レベルを変更するために物理的に適用したり、取り除くことができるが、患者がこの操作を順守することは、特に不自由な時間において困難である。二相性プロファイルを生成するために、送達システムは、皮膚を通過する薬物の流れの初期脈動(initial pulse)、続いて皮膚を通過する薬物の実質的により低い流れを提供する、表皮を通過する薬物投与デバイス(米国特許第5352456号、1994年)を示す、Fallonらが記載するような外部調節装置を利用することができる。さらに、Fallonらは後に、ある期間を通して表皮領域を通過する薬物投与デバイスであって、皮膚を通過する薬物の流れを制御された方法で時間的に変化させるデバイスを記載している(米国特許第5820875号、1998年)。このデバイスは、薬物の皮膚流量が投与期間を通して制御された方法で変化するデバイスであり、典型的には投与の初期段階の高流量から投与の後の段階の低流量へ変化するデバイスである。
【0016】
Giannosらにより提案された経皮時間制御薬物送達システム(米国特許第6068853号、2000年)は、外部電源及び/又は電子制御装置を用いずに、薬物又は活性成分を経皮により定期的に放出するため、pH振動子を膜拡散に連結した。その目的は脈動経皮システム(pulsatitle trasdermal system)による時間治療に対応することであった。その戦略は、薬物がpKa値に関連して荷電又は非荷電になり得るという観察に基づいた。薬物の非荷電形態のみが皮膚を含む親油性膜を通して浸透することができるため、薬物溶液のpHを振動させることにより定期的な送達プロファイルを得ることができる(Giannos,S.A.,「薬物及び局所活性物質の脈動性送達(Pulsatile Delivery of Drugs and Topical Actives)」,in「新規な局所活性物質及び送達システム:化粧品、外皮用剤及び経皮剤(Novel Topical Actives and Delivery Systems:Cosmetics,Dermatologicals and Transdermals)」,Edited by John.J.Wille,Jr.:Blackwell Publishing,Oxford UK参照(印刷中))。
【0017】
近年、関節炎の処置のために経口投与された薬物は、遅延放出システムを用いる時間治療法を示唆した。そのような遅延は、リウマチ性関節炎患者の早朝剛性の原因として考えられているインターロイキン6のカスケードの初期に活性成分を放出するために計画されている。生物学的周期に薬物送達を同調させる試みにより、低投与量を用いて所望の結果を達成できると考えられている。しかし、このシステムは上記の遅延放出システムの制限を克服するものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
錠剤により時間薬理学の要求を満たすことは可能であるが、このことは、処置管理に従うための患者による膨大な量の規律を要求する。例えば、参考により本願明細書に組み込まれる米国特許第6214379号を参照されたい。上述のように、最適な結果を達成するためには、多くの患者が医薬を摂取するために夜中起きていることが必要になる場合がある。したがって、必要なことは、なお経口送達薬物と比較して改善された性能を有しながらも、不便や注射による危険なしに、正確な時間及び測定投与量で薬物化合物を送達する、非侵襲的で、信頼性のある手段である。
【0019】
患者の順守(指定された時間に適切な投与量を摂取する)に取り組むことは、製薬会社と同様に介護者が直面する別の重大な問題である。研究は患者の約半分だけが彼等の医師から指示された時間及び投与量で医薬を摂取していることを示す。毎年、125000人の死者及びすべての病院及び介護施設の20%までが患者の不順守によるとの結果が報告されている。不順守はアメリカ合衆国において毎年1000億ドルを超える追加保健費用を要する結果になると推定される。これらの数字は高齢者に対してはなおさらである。
【0020】
個々の投与量管理不履行、例えば1つ若しくは複数の投与量の不履行又は過剰な投与量の摂取は、管理の成功に対し逆の効果を奏する。個々人は多くの理由により投与量管理不順守となり得る。例えば4時間毎、即ち、8−12−4−8の投与量管理は個々人の個人的なスケジュールと両立しない可能性のある厳格な投与量スケジュールを必要とする。医療条件の失念、拒否等の正常なヒトの習性並びに繁忙な生活が組み合わされた場合、かかる厳格な投与量スケジュールは、薬物投与管理を順守する上で実質的な障害となることを示す。したがって、かかる厳格な投与量管理は、しばしば個人が指示された時間に1つ又は複数の投与量を摂取し損う結果を生じさせる。このことは、活性部位における治療物質のレベルにおいて悪影響を与え、結果として治療物質全体の効果において悪影響を与える。したがって、種々の薬物投与に対する患者の順守が増大するシステム及び方法についての要求が存在する。
【0021】
本発明の更なる利点及び新規な特徴を以下の記載において一部説明するが、一部は以下の明細書の試験において当業者に対し明らかとなるか、又は本発明の実施により学び得る。本発明の利点は、特に添付の請求項において指摘された手段、組合せ、構成、及び方法により実現され、達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明はヒトの疾患、中毒及び障害を処置する方法を記載する。これらの方法は、症状が最悪と思われるときのそれらの症状を是正するために、薬物化合物の投与を体の自然な概日周期に同調させ、調整することを含み、自動化された、予めプログラム可能な経皮薬物投与システムを用いることにより達成される。このシステムは、ポンプ若しくは加圧リザーバー、及び/又は劣化したキャリヤー溶液を除去するシステム、又は他の調節された分配作動装置を、一般に極微針(Micro−needle)と呼ばれる微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入(共に機械的浸透エンハンサーと呼ばれる)又は広範囲の化学的浸透エンハンサーと共に利用することができる。
【0023】
より具体的には、これらの方法は、ヒトの体の概日リズムに対して薬物投与を同調させ、調整し、種々の時間に種々の投与量を送達する。このことは、体の自然な概日周期における変動(variances and fluctuation)から生じる疾患及び中毒のピークの症状を緩和するために、血流中にピークの薬物濃度が存在することを確実にする。さらに、これらの方法は疾患及び中毒の症状が最も軽いときに血流中の薬物がより少なくなることを確実にする。このことは負の副作用を最小限にし、投与管理の効果を増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
バイオリズムは、生物学的特性における長期にわたる周期的な変動であり、概日周期並びに季節的な変動を含む。ヒトを含む動物において概日周期リズムの実態がよく知られている(Halberg et al.J.Exp.Ther.Oncol.3(5)223−260(2003),Redfern et al.Chronobiology International 11(4)253−265(1994))。
【0025】
概日周期(約24時間)リズムは、エンドルフィン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、コルチゾール、アドレナリン等の生物学的分子の生産を含む。これらは体温及び心拍数を調節し、粘性等の血液の特性、及び覚醒状態、睡眠、活性期間等の挙動を変更する。本発明者らの体に影響するいくつかのリズムは以下のものを含む:
・超日周期、それは1日未満のサイクル(例えば、神経を点火するのに数ミリ秒要し、睡眠サイクルは90分である)である。
・概日周期、それは約24時間続く(睡眠、覚醒パターン等)。
・インフラジアン(infradian)、それは24時間より長いサイクルをいう(例えば、毎月の生理)。
・季節性リズム、それは冬の短日の間、感受性の人にうつ病を生じさせる季節性情動障害(SAD)等である。
【0026】
研究は、ある疾患の症状が、1日のある時間にピークの症状を有する、日周パターンに従うことを実証している。ホルモン、神経伝達物質及び他の体内化合物が日周パターンに従って1日の異なる時間に異なる量で放出されることが広く認識されている。体の自然なリズムに薬物投与を同調させることのできない現在の経皮システムは、しばしば(i)衰弱性睡眠障害(debilitating sleep disorders)(例えば、夜間のニコチン投与の状況において)を含む重篤な副作用、(ii)耐性の増大(例えば、ニトログリセリン及び他の医薬の場合において)、(iii)より高価な治療(毎日の体のリズムを無視し、時間管理による投与が実行されないため、より多くの化合物が必要になるという事実による)をしばしばもたらす。
【0027】
さらに、多くの中毒がヒトの概日リズムと一致する日周パターンに従う。例えば、実施された研究によれば、目覚めた直後の喫煙者はニコチンの渇望がピークとなる。これらの渇望のピークは各食事後に繰り返され、食事の最高点(the culmination of a meal)に対しての慣らされた反応としてのセロトニン放出の相互作用に依存する。本発明者らの方法は、症状が最悪とみられるときに薬物がピークレベルに到達し、かつ効果が大きく改善されるように薬物の投与を正確に時間的に調節する。
【0028】
本発明は、症状が最悪とみられる時間、又は薬物が体内でより効果的及び/又はより患者に許容されると考えられる時間に同調してピークレベルに到達するように、薬物投与の正確な時間的調節を含む。本発明は、単一投与機能(睡眠中に1回)又は複数日間を通して多くの回数の投与を個別に可変量で投与できる能力を持ちながら、投与について自動化された正確な制御を提供する薬物送達システムの特定の実施例に関して記載する。本発明はまた、1日の異なる時間における種々の別個の薬物及び投与量の投与に関する。特定の実施は、本発明の出願人により開発されたChronoDose(商標)システムと呼ばれる、小型化され、自動化され、且つプログラム可能な非侵襲的な薬物送達システムの商業的開発と一致する。このシステムは、所望の投与プロファイルを実施するプログラムされた投与スケジュールに従って制御された時間依存法(a controlled time dependent way)において、皮膚に曝される薬物の量を制御することを可能にする。この方法において、本発明は、設定の容易な、予めプログラムされた投与プロファイルに従って、薬物放出の時間及び各投与量を正確に制御し、変化させることを可能にする。研究は、ある症状、状態及び疾患に対し、予め特定された時間に規定された(及びしばしば変動する)投与量で投与する場合に、薬物の効果を最適化できることを示す。このことは、時間薬理学として知られている(Reinberg,A.E.,Concepts of Circadian Chronopharmacology,Hrushesky,W.J.M.,Langer,R.S.及びTheeuwesにより編集された“Temporal Control of Drug Delivery”,F.Annal NY Academy of Science,New York.Volume 618 102−115(1991),Lemmer,B.Pharmacol Res.33(2)107−15(1996))。
【0029】
時間薬理学の重要性を説明するために以下の事実を考察する:
・喘息の発作は午前4:00から6:00の間に100倍起こりやすい。
・心臓発作及び脳梗塞は午前6:00前後に最も起こりやすい。
・異型狭心症発作は夜中の午前2:00から午前4:00の間に30倍起こりやすい。
・喫煙者は目覚めた直後に最も高い渇望を経験する。
・倦怠感及び起床の困難さは早朝目覚めた直後に最も高い。
・風邪及び流感症状は、風邪薬が切れている場合、夜間及び早朝の時間帯にピークとなる。
【0030】
本発明に従って、時間薬理学的効能の証明された又は推測される物質を、図1に示すデバイス(100)等の小型化され、自動化され、且つプログラム可能な時計様のデバイス中に一体化させる。図1に示す送達システム(100)は種々の活性組成物に使用することができ、そして小さく、完全に自動化され、且つプログラム可能である。このシステムは、時間及び薬物送達の投与量を制御するための再使用可能な腕時計様デバイス(101);及び小さな、ディスポーザブルの「リザーバー」(103)からなり、このリザーバーは、特定の例ではクオーター又は1/2ドルコインの大きさ程度、又は円筒状の形状で、使用者が時計様プラットホーム上に置いて簡単にできる。このリザーバーは適用次第で、例えば72時間まで使用し続けることができる。より短い及びより長いリザーバーの使用期限が検討されている。このデバイスは、容易に、前腕、足首、又は体の他の便利な部位に装着するために適合される。
【0031】
特定の用途において、交換可能なリザーバーは、投与スケジュールを用いて手動又は自動でデバイス(100)プログラムするために使用することのできる、投与スケジュールの記載を含むことができる。例えば、記載されたスケジュールがリザーバー(101)に印刷されていても又は貼られていてもよく、或いは揮発性又は不揮発性メモリを用いて電気的にプログラムされていてもよい。この方法において、今日、従来の薬物指示が扱われているのと大体同じ方法で、投与プロファイルを薬局により指示し、記入してもよい。
【0032】
典型的な実施例(図3に示す)は、折り畳み式の薬物リザーバー、拡張式廃棄リザーバー、マイクロポンプ、自動化のための電子機器、ディスプレイ、及び高度な透過性膜を含む。さらに、加熱素子又はガス若しくは空気吹き込み装置を液体の廃棄リザーバー又は環境中への蒸発を補助するために用いることができる。例示的なシステムが、2004年9月13日に出願された、経皮薬物送達及び方法と題する出願番号PCT/IB2004/002947の英国特許に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。薬物リザーバーは、約0.4mlから4mlの間の薬物製剤を含有する。小さな、小型ポンプが予めプログラムされた時間で作動し、予め規定された量の薬物製剤が、製剤が拡散マトリックスに接触する状態になる薬物チャンバー中に放出される。この拡散マトリックスは、高度な透過性膜と密着している。この膜を皮膚の上に置き、デバイスの薬物吸収表面領域において薬物を均一に拡散させる。この膜は、速い移送速度を可能とする、粘着剤、ヒドロゲル又はポリマー物質と効果的に連携し、これらにより被覆することができる。実施において、薬物投与を継続しないことが必要なとき、残存する薬物製剤は、乾燥剤を含有するか、親水性物質(ヒドロゲル)を含有する廃棄チャンバーを介して膜領域から除去若しくは留去されるか、又はデバイスが取り除かれる。さらに、適切に皮膚を通して受動的に通過し得ない薬物に対して、時間薬理学的薬物送達を達成するために、上記のデバイスは透過エンハンサーを用いることができ、それにより皮膚を通しての透過が補助される。これには、例えば、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入(共に機械的透過エンハンサーと呼ばれる)を含む機械的透過エンハンサー或いは広範囲の化学的浸透エンハンサーがある。
【0033】
図4に示す1つの例において、マイクロポンプの必要性が最小限であるか、必要のない加圧された薬物リザーバーが使用される。電子機器は、製剤が高度に透過性のある膜と接触した状態になる薬物チャンバーに適用される薬物の量を制御することが可能なバルブを制御する。さらに、適切に皮膚を通して受動的に通過し得ない薬物に対して、時間薬理学的薬物送達を達成するために、上記のデバイスは透過エンハンサーを用いることができ、それにより皮膚を通しての透過が補助される。これには例えば、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入(共に機械的透過エンハンサーと呼ばれる)を含む機械的透過エンハンサー或いは広範囲の化学的浸透エンハンサーがある。
【0034】
製剤を送達するための経皮パッチの構成及び使用が知られている。例えば、米国特許第5370635号を参照することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。かかるパッチは、活性物質の持続的、脈動的又はオンデマンドの送達のために、飽和された媒体、加圧されたリザーバー、又はマイクロポンプを有する非加圧リザーバーを用いて構成することができる。
【0035】
例えば、プログラムされた、経皮的な、脈動性の薬物送達デバイスを用いて、本明細書に示されているような時間薬理学的投与プロファイルに従って活性化合物を投与するとき、活性物質の薬学的に許容される組成物は、機械的皮膚浸透エンハンサー(限定されないが、一般に極微針と称される微細加工構造体、熱、イオン導入、超音波導入を含む)又は広範囲の化学的浸透エンハンサー(例えばオレイン酸、エタノール、アミノ酸、オレイルアルコール、長鎖脂肪酸、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、エトキシジグリコール、キシレンスルホン酸ナトリウム、エタノール、N−メチルピロリドン、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、N−メチル−2−ピロリドン等)と組み合わせてもよく、これらは活性物質に対する皮膚の浸透性を増大させ、活性物質を皮膚を介して血流中に浸透させる。
【0036】
薬学的に許容される組成物は、限定されないが、アルコール類、保湿剤、湿潤剤、油類、乳化剤、増粘剤、希釈剤、界面活性剤、香料、防腐剤、抗酸化剤、ビタミン類、又はミネラルを含む1種又は複数の物質と組み合わされていてもよい。
【0037】
デバイス−皮膚界面結合媒体及び/又は制御膜は、限定されないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(エチレン・共酢酸ビニル(co−vinyl acetate))、ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンビニルアルコール)等を含有し、ゲル又はヒドロゲル形態の組成物を提供する。これは、水、塩化メチレン、エタノール等の溶媒に溶解され、蒸発させて所望の粘度に、次いで支持材料に適用してパッチにすることができる。対照の膜は、微孔性ポリエチレン、ポリエチレン・共酢酸ビニル(EVA共重合体)、ポリウレタン等の従来の材料のいずれでもよい。
【0038】
時間薬物動態学は、薬物の血漿レベルにおいて及び薬物の薬物動態を特徴付けるために用いられるパラメータにおいて観察される予測可能な変化として定義される。動物及びヒトにおける研究は、Cmax、Tmax、AUC及び半減期が薬物投与の時間関数としてしばしば変化することを示す。表1は薬物動態学における時間的な変化が実証された医薬のリストを示す。
【0039】
【表1】
【0040】
本発明者らは具体的な薬物及び疾患を、それらが以下の特性を有するため注意深く同定した:(i)時間薬理学は投与量を最適化するのに重要であるが、自動化された経皮システムが存在しないため、実施されず、(ii)これらの薬物は経皮的に受動的に吸収され得る(即ち、超音波導入、イオン導入、電気泳動、極微針等、又は他の透過促進等の外部調節又は前処理を必要としない)。具体的な物質としては、カフェイン及びエフェドリン、並びにハーブの栄養補助食品、(禁煙のための)ニコチン、(心臓発作及び脳梗塞を処置するための)ニトログリセリン、(慢性疼痛を処置するための)フェンタニル、(喘息を処置するための)アルブタモール、及び(うつ病、注意力欠如障害又はパーキンソン病の処置のための)セレギリンに加え、種々の薬局の一般用医薬品(OTC)及び(疲労、睡眠障害、注意力欠如障害、及び種々の他の状態を処置するための)処方された刺激剤を含む。本発明の使用を可能にする時間薬理学的システムの例を表2に要約する。
【0041】
【表2−1】
【表2−2】
【表2−3】
【表2−4】
【0042】
このシステムを用い、本発明は、各投与中の皮膚に曝された薬物の量を正確に制御することにより、時間及び各投与量を予めプログラムすることができる。この特徴は、例えば目覚め前の1〜2時間の睡眠中に投与するときに最も有利である。本発明は疾患のピークの症状を的確に解消し及び患者の順守を増大させる。
【0043】
本発明は、最初の真の非侵襲的な時間薬理学的薬物送達デバイスを提供する。図2aに示すように現在の経皮的使用は投与プロファイルに制限されるが、本発明の自動化された実施は、最適な治療に対して患者向けに調整された投与管理を達成するため、種々の薬物送達パターンについてプログラムすることができる(図2b)。
【0044】
薬物等の活性物質の制御された経皮放出に対して多くの利点がある。本明細書において使用される場合、用語「制御された」又は「持続した」活性物質の放出は、プログラムされたスケジュールに従う継続的又は非継続的、線形又は非線形の活性物質の放出を含む。制御された放出の利点の中には、患者に対する単一使用の便利さ、繰り返しの注射に関連し得る全身濃度のピーク及び谷の回避、活性物質の全体の投与量を低減する可能性、体への低ストレス、及び活性物質の薬理学的効果を促進する可能性がある。持続した低い投与量は、導入療法においてときどき見られる悪影響を防止することもできる。治療のコストを顕著に低減することに加え、放出制御薬物療法は患者を反復処置又は入院から解放することができ、従って患者により大きな柔軟性と患者の順守の改善をもたらす。
【0045】
ある薬物の放出制御製剤は、これまで使用され又は考えられていなかった方法で薬物を使用する機会も提供する。本発明は、(i)知られている時間薬理学的情報が、予め決められた時間において決められた用量で投与したときに薬物の効果を最適化し得ることを示す場合、及び/又は(ii)投与管理による患者の順守が自動化に依存して大きく増大する、即ち、不適当な時間、即ち、夜間の睡眠中に投与が要求される場合に特に有利である。
【0046】
本発明は、広範囲の状態及び症状を処置、治療、予防、管理、又は緩和するのに用いることができる。例えば、本発明の薬物送達管理は、ビタミン及び/又はミネラルの欠乏、癌、中毒、関節炎、パーキンソン病、注意力欠如障害、心臓血管障害、風邪/流感症状、疼痛、小児気管支喘息、消化性潰瘍、術後回復、及びその他以下に示す事項の群から選択される状態を処置するために投与する。
【0047】
用途−ArisePatch(商標)
検討された消費者製品はArisePatch(商標)である。大部分の人は早朝に目覚めるときの困難さ及び不快感を経験している。2002全国睡眠基金(National Sleep Foundation)の調査によると、年齢18から29歳の米国の成人の49%が朝の目覚めに問題を有しており、年齢30から64歳の米国の成人の41%が朝の目覚めに問題を有している。米国だけで18歳から64歳までの成人が165,000,000人おり、米国の18歳から64歳までの成人の約74,250,000人が朝の目覚めに問題を有することを意味する。
【0048】
時間治療原理:
本発明のArisePatchの実施は各個人が、睡眠中に、薬局の一般用医薬品(OTC)を摂取すること又は目覚め前の1−2時間の間に処方刺激剤を自動的に投与されることを可能にする。図5は、横軸の時間と共に縦軸にナノグラム/リットルのエフェドリンの血漿レベルを示す、刺激剤投与プロファイルの一例を説明する。刺激剤濃度は、目覚める直前にピークレベルに到達する。目覚め直後に各個人は機敏であり、十分な休息を感じる。ArisePatch(商標)は、早い起床に関係する典型的な不快感又は困難さを排除する。この機能は、時間厳守を確保する仕事のために起床する従業者に、そして夜更かし、時差ぼけ、病気に関する朝の不快感を緩和することを望むほぼ全ての人に魅力的である。
【0049】
用途−禁煙
(例:ニコチン)
ニコチン置換は、禁煙しようと努力する喫煙者を支援する治療に最も頻繁に使用されてきた。喫煙者は、たばこに対する渇望が朝の目覚め直後に最高になると報告している。目覚めと最初のたばこの間の経過時間は中毒の最良の指標である。大部分の喫煙者にとって、この時間はたった数分である。さらに、研究はニコチンの経皮送達が時間薬物動態により影響されることを示している。ニコチンパッチ設計は、朝及び食後の投与量の増加と夜の投与量の減少により補正されるべきである(Gries et al.,1998)。
【0050】
時間治療原理:
現在のニコチンパッチは、朝の強い渇望を緩和するために十分な朝のニコチンレベルを確保しようとして夜中間断なくニコチンを放出することにより、重い睡眠障害の原因となる。現在のニコチンパッチが有害でかつ一般的な副作用−持続性の悪夢を含む、睡眠障害、及び不眠症を有することは広く認められている。したがって、使用者はしばしば夜床に就く前にパッチを取り除くことを強いられる。このことは睡眠障害を除くが、ニコチンレベルが朝の強い渇望を緩和するには不十分となる。これは現在のニコチンパッチの主な欠点であり、多くの使用者が喫煙を再発し、禁煙療法の効果を低下させる結果となる。現在のパッチは、使用者が悪夢と朝の強い渇望からの解放との間で選択するのを困難にする。
【0051】
例:
本発明により検討された製品は、Nicotine ChronoDose(商標)システムと呼ばれる。本発明に従って、このシステムは目覚める直前の1時間の間に自動的にニコチン(又はニコチン類似物若しくは限定されないがブプロピオンを含む他の禁煙化合物)の投与を始めることができる。このことは、悪夢及び不眠症の原因となることなく、喫煙者の目覚め時のピークの渇望を取り除く。本発明者らは、このシステムが禁煙に対する優れた方法を明らかに提供すると考える。
【0052】
上記のシステムに比べてより進んだニコチン置換システムは、一度に3日間で装着され、喫煙者の渇望のピークを緩和するために、ニコチンを、図6に示すような周日のリズムパターンで放出するようにプログラムされている。図6は、横軸の時間と共に縦軸にナノグラム/ミリリットルのニコチン血漿レベルを示す、ニコチン投与プロファイルの一例を示す。この実施は、典型的な喫煙パターンに従い、予めプログラムされたレベルのニコチンを投与することにより、ニコチン依存を低下させるものである。例えば、多くの喫煙者はたばこに対する渇望が目覚め時、昼食後、午後の中頃、夕食後、及び就寝前に最高になると報告している。この本発明の実施は、ピークの渇望を緩和するために自動的にニコチンのより多くの投与量を放出し、渇望が典型的に最小の場合はニコチンが存在しない。本発明は、各処置計画に対し予めプログラムされた方法により送達してもよい。使用者による関与は、3日毎に「リザーバー」を取り換えるのみであり、必要に応じハウジングの基盤を取り換える。
【0053】
この実施は、ニコチン置換療法における著しい前進を示し、単に日中及び夜間を通して同じ量のニコチンを放出する古い技術システムに比べはるかに優れている。本発明により、(不断の流量の結果)喫煙者の依存性を増すことなく、喫煙者の耐性を体系的に低下させることができ、喫煙者をニコチンからよりよく引き離す。このことは、喫煙者により良い「あつらえの削減(tailor−down)」を可能にし、喫煙を止めるのに必要なニコチン量を低下させる。現代の禁煙は、ニコチン置換療法よりはるかに多い。プログラムは体重管理、食事療法及び心理学的補助を含む。本発明は、現在のニコチン置換療法の負の副作用、即ち、睡眠障害を排除しながら、効率的に禁断症候群に対抗することにより禁煙を可能にするという重要な要素に向けられているので、これらのプログラムによく適合する。
【0054】
用途−狭心症
(例:ニトログリセリン)
研究は、異型狭心症が1日の他の時間に比べ、午前2:00から午前4:00の間に30倍以上多く発生することを示す(「重篤狭心症相」(critical angina phase))。ニトログリセリンは、最適な投与量で投与した場合、狭心症の発作に効果的に効く。現在ニトログリセリンパッチは存在するが、時間を通して一定量のニトログリセリンを間断なく放出することのみが可能である。現在のニトログリセリンパッチは、重篤狭心症相の間、これらのピークの症状を緩和するために、より多くのニトログリセリンを正確に放出することにより、処置を最適化するように、ニトログリセリンの放出を調整することができない。
【0055】
さらに、継続的に投与すると、ニトログリセリンはその効果を失い、より高い投与量を要求する。本発明者らの体はそれに耐性を示すようになる。現在のシステムは、疾患の症状が最も軽いときにニトログリセリンの放出を止めたり、減らしたりすることができない。したがって、これらの現在の「無能な」パッチは、より多くの薬物を放出することにより重篤狭心症相を緩和することも、体が必要としないときにニトログリセリンの投与を遮断又は停止することもできない。一度「無能な」パッチを患者に適用すると、「1つの投与がすべてに適合する(one dose fits all)」タイプのシナリオとなる。
【0056】
時間治療原理:
本発明に従う方法は、重篤狭心症相の間、これらの症状の適切な緩和を確実にするために、より多くのニトログリセリンを、そして耐性が形成されないように、必要としない場合はより少ないニトログリセリンを経皮投与するように自動化された経皮システムを利用する。本発明者らの方法は、ヒトの体の概日リズムによって起こる疾患サイクルにおいて、これらの重篤相のピークを緩和するために、現段階で「賢い」パッチ医薬システムを利用する。
【0057】
予めプログラム可能な自動化された経皮システムは、腕時計のように手首(又は前腕若しくは足首)に装着し、最適に同調する時間において、最適投与量によりニトログリセリンを放出する。これは予めプログラムされ、かつ調整された(tailored)投与プロファイルに従う。現在のニトログリセリンパッチは、ある期間を通して一定の投与量のニトログリセリンを放出する機能のみを有する。現在のニトログリセリンパッチは、1日の異なる時間に投与量を増大させるために、及び1日の別の時間に投与量を減少させるために、投与量を簡単に修正又は変更することができない。
【0058】
例:
本発明に従うニトログリセリンシステムは、現在のニトログリセリンパッチに対して3つの主な利点を有する。第1に、このシステムは、重篤狭心症相の間に起こる朝の発作のピークの症状を緩和するために、ピークの量のニトログリセリンを自動的且つ正確に放出する。現在のニトログリセリンパッチは放出速度が一定に固定されており、重篤相を緩和するために増大せず、症状が軽くなるに従って減少しない。第2に、本発明者らのシステムはピークから外れた時間帯においてニトログリセリンの放出をより少なくする(又は放出しない)ことにより、そして、耐性が増大することなく、重篤期間中にニトログリセリンが存在するようにちょうど適切な時間にニトログリセリンを放出することにより、耐性の問題を解決する。第3に、本発明者らのシステムは、重篤相において患者が薬を摂取するために起床することを必要とせず、上記の1及び2を自動的に達成し、患者の増大した順守の必要を排除する。
【0059】
このニトログリセリンシステムは、心臓発作及び脳梗塞の処置及び/又は予防にニトログリセリンを習慣的に用いている患者に対して理想的な送達システムを示す。心臓発作薬の時間管理及び投与に関する患者の順守は重大である。このため医師の指示を順守しない患者は、米国保健社会福祉省によればしばしば再入院することになる。このシステムはこの問題を解決し、患者順守を劇的に増大させることにより再入院の必要を減少させる。
【0060】
このシステムは、「毎晩装着し、朝に取り除く」システムで、それによりニトログリセリンを自動的に放出するだけで朝の重篤狭心症相を緩和するシステムか、又は24時間から数日間の間装着する「総合解決」システムであって、ニトログリセリンを調整された量で、体の概日リズムに同調するように調整された時間に投与するシステム(シャワーや水泳の間は便宜上取り外す)のいずれであってもよい。
【0061】
このシステムは革新的で新しい狭心症の薬物療法である。人の概日リズムに同調した最適化及び自動化された時間及び投与量を投与する利点により、本発明に従ったシステムは、患者がまさに必要とするときにニトログリセリンが血流中を循環し、かつ耐性を形成することがないことを確実にする。これらの理由のために、本発明は現在の定常放出ニトログリセリンパッチより優れている。本発明者らのシステムのさらなる利点は、中等度から重篤な狭心症を有する患者に特に関係する。
【0062】
図7は、異型狭心症発作又は狭心症を処置するために調整されたニトログリセリン送達システムに対する投与プロファイルの一例を示す。この型の狭心症発作は、多くの患者において午前2:00から4:00の間の時間に最も高い頻度で起こる。これは特にニトログリセリン等の薬物を摂取するために目覚めるのが困難な時間である。本発明に従って、図7に示されるのと実質的に同様の投与プロファイルが自動的に投与される。図7において、縦軸はナノグラム/ミリリットルによる血漿レベルを示し、横軸は午後10:00から一晩を通して午前8:00までの時間を示す。
【0063】
図8は、ストレス誘発狭心症発作を処置するために調整されたニトログリセリン送達システムに対する投与プロファイルの一例を示す。図8において、縦軸はナノグラム/ミリリットルによる血漿レベルを示し、横軸は午前12:00から日中を通しておよそ午後4:00までの時間を示す。図8に示す投与プロファイルは、ストレスが起きやすい1日の起きている時間全体を通して高血漿濃度を示す。
【0064】
用途−関節炎
(例:インドメタシン、バルデコキシブ)
目覚める直前の関節炎の症状が最も悪い朝に薬物濃度を自動的に増大させるために、自動化され、プログラムされた、脈動性の薬物送達デバイスが望まれている。その後、真昼近くに、薬物濃度がまた上昇する。それから晩に、就寝前に薬物投与量が増大する。
【0065】
時間治療原理:
最も普通の形態、変形性関節症及びリウマチ性関節炎の両方が、疼痛の独特な概日パターンを示す。多くの人が朝、起床した後最初の1時間程度硬直を感じるのに対し、変形性関節症の患者は、典型的には午後及び晩に最も痛み及び最も動作の困難さを覚える。リウマチ性関節炎の患者は、ほとんど常にかなり痛みを感じるが、朝が最悪である。夜、早朝及び真昼に投与することにより、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)及びシクロコイゲナーゼ(cyclocoygenase)−2阻害剤(COX−2)の利益を最大にし、副作用を減らすことができる。
【0066】
関節炎のための医薬は以下のものを含む。
・ インドメタシン[Indocin(登録商標)]
・ ジクロフィナク(diclofinac)[Voltarin(登録商標)及びCataflam(登録商標)]
・ フルルビプロフェン[ANSAID(登録商標)]
・ セレコキシブ[Celebrex(登録商標)]
・ バルデコキシブ[Bextra(登録商標)]
・ アセトメノフェン[Tylenol(登録商標)]
・ オキサセプロール(Oxaceprol)
【0067】
(実施例1)
インドメタシン(NSAID)
インドメタシンの主な副作用は胃の不調及び出血である。したがって、経皮関節炎パッチは、経口の錠剤又はカプセルに対して有利な投与形態である。さらに、インドメタシンを使用する研究は、午前8:00に投与したときに比べ、夜に投与したときにより良い効果及び患者の順守を示した。
【0068】
インドメタシンの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は0.93μg/cm2/hrである。
【0069】
したがって、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前5:00−9:00:BPCは0.5−2.0mcg/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(中等度)
午後12:00から午後8:00:BPCは0.25−1.5mcg/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(最高)
午後8:00−午後11:00:BPCは0.5−2.0mcg/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図9に示すようであるべきである。
【0070】
(実施例2)
バルデコキシブ(COX−2阻害剤)
【0071】
インドメタシンと同様に、COX−2阻害剤の主な副作用は胃の不調及び出血である。したがって、経皮関節炎パッチは、経口の錠剤又はカプセルに対して有利な投与形態である。経皮送達されたCOX−2阻害剤の低い血漿濃度は、経口投与によって得られたより高いBPCと治療的に同等であるとして示唆されている。
【0072】
したがって、投与量はChronoDOseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前5:00−9:00:BPCは50−175ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(中等度)
午後12:00から午後8:00:BPCは21−125ng/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(最高)
午後8:00−午後11:00:BPCは50−175ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図10に示すようであるべきである。
【0073】
用途−喘息
(例:ツロブテロール)
自動化された経皮喘息システムは、「モーニングディップ(morning dip)」として知られている朝の喘息発作のピークの症状に対抗するために、自動的にアルブテロール、ツロブテロール、サルメテロール、ベータ2アゴニスト又は他の抗不整脈薬物(「喘息薬」)の朝の投与量を投与する。
【0074】
時間治療原理:
喘息発作は、午前4時から午前6時の間、大部分の人が眠っているときに100倍以上の頻度で起こる。これは、モーニングディップとして知られている早朝の呼吸機能の低下によるものであり、それは1日のうちで呼吸機能が最も低下している時間である。これらの早朝の喘息発作は患者と介護人に大きな苦痛をもたらす。モーニングディップは、喘息発作が100倍起こりやすくなるこの時間における呼吸機能の低下である。本発明者らのシステムは、朝の症状のこのピークを緩和するために、この時間により多くの喘息薬を放出することによりモーニングディップに効果的に対抗する。言い換えると、本発明者らの「賢い」パッチは、呼吸機能が最低のときに薬物濃度を最高にするように血流中の薬物のレベルを変化させる。
【0075】
現在、「無能な」喘息パッチはあるが、時間を通して一定量の薬物を定常的に放出できるだけである。現在のパッチは、朝低下している間、これらの重篤な症状を緩和するために、より多くの薬物を正確に放出することにより、薬物の放出を調整して処置を最適化することができない。
【0076】
この喘息システムは、現在のパッチに対し2つの主な利点を有する。第1に、本発明のシステムは、その核となる競争力のある利点を利用し、自動的且つ正確にツロブテロール又は他の喘息薬を、モーニンデップに関係するピークの症状を緩和するためにピークの量で放出する。現在のパッチは、放出速度が一定に固定されており、このピークの重篤相を緩和するために増大することがなく、症状の軽減に従って減少することがない。第2に、本発明者らのシステムは、患者がこの重篤相において薬物を摂取するために起床することを必要とせず、それは患者の増大した順守の必要を排除して、上記の1及び2を自動的に達成する。
【0077】
喘息のための自動化された経皮システムは、腕時計のように手首(又は上腕若しくは足首)に装着され、特にモーニンデップを緩和するために、アルブテロール又は他の喘息薬を、最適に同調する時間において最適な投与量でモーニンデップ、予めプログラムされ、調整された投与プロファイルに従って放出する。現在の喘息パッチは、ある期間を通して一定の投与量を放出する能力を有するだけである。現在の喘息パッチは、投与量を簡単に変更又は変化させて、1日の異なる時間に投与量を増大させ、1日の他の時間に投与量を減少させることができない。
【0078】
このシステムは革新的で新しい喘息の薬物療法である。本発明者らの概日リズムに同調した最適化及び自動化された時間及び投与量を投与する優れた利点により、本発明者らのシステムは、患者が必要とするちょうどそのときに、増大した量のツロブテロール又は他の喘息薬が血流中を循環することを確実にする。これらの理由のために、本発明は現在の定常放出パッチより優れている。本発明者らのシステムのさらなる利点は、中等度から重篤な喘息患者に特に関係する。
時間/投与量チャートは図11に示すようであるべきである。
【0079】
用途−高血圧
(例:クロニジン)
現在のクロニジンパッチは、時間を通して薬物を一定に放出する。症状が最悪のときにより多くの薬物を放出することができない。人は症状がピークのときに最も多く死ぬ。患者が最も必要とするときにより多くの薬物を投与する利点を有することは、特に中等度から重篤度の高血圧を有する患者において、生と死の間の違いを意味し得る。
【0080】
時間治療原理:
高血圧のための自動化された経皮システムは、現在のパッチに対し2つの主な利点を有する。第1に、本発明者らのシステムは、その核となる競争力のある利点を利用し、危険な朝の症状に関係するピークの症状を緩和するために自動的且つ正確にクロニジン又は他の高血圧薬をピークの量で放出する。現在の高血圧パッチは、放出速度が一定に固定されており、このピークの重篤相を緩和するために増大することがなく、症状の軽減に従って減少することがない。第2に、本発明者らのシステムは、患者がこの重篤相において薬物を摂取するために起床することを必要とせず、それは患者の増大した順守の必要を排除して、上記の1及び2を自動的に達成する。クロニジン自動経皮システム、クロニジン、(又は別の高血圧薬)、高血圧に効く効果的な薬物を利用する。
【0081】
クロニジン自動経皮薬物送達システムは、朝の心臓発作にピークの症状に対抗するため、クロニジンの自動化された朝の放出を有する。血圧は1日の異なる時間で異なる値を示す。血圧は目覚めのときに急上昇し、睡眠時に20から30%低下する。本発明者らの予めプログラムされた自動経皮システムは、調整された方法においてクロニジンを放出することにより、その核となる競争力のある利点を利用し、症状が最も重いときに高血圧に対抗し、症状が比較的軽いときにクロニジンの放出を減少させる。
時間/投与量チャートは図12に示すようであるべきである。
【0082】
例:
用途−CNS変性疾患
(例:セレギリン)
パーキンソン病
パーキンソン病患者における睡眠障害は、概日リズムの変更であることを明らかにする。パーキンソン病において記載される自立神経系の機能障害は、血圧の概日リズムの喪失、日中の血圧変動の増大、及び食後の低血圧を含む概日調節における多くの変更を示す。コルチゾール、カテコールアミン、メラトニン等の多くの生物学的指標もまた変化する。ドーパミン作動システムにおける概日リズム、並びに薬物処置の動態において起こり得る日々の変動は、このような変動に関与するようである。
【0083】
時間治療原理
セレギリンパッチの主な負の副作用は、異常夢、不眠症、及び睡眠困難である。セレギリンを夜投与するのを明確に控え、目覚め前の1時間前後に本発明者らのシステムの核となる競争力のある利点を発揮して利用することにより、本発明者らはこの負の副作用を除去し、朝のうつ病の症状の重篤相をなお緩和することができると考える。それらのシステムを通して臨界量のセレギリンが循環していないと、患者は目覚め時の憂鬱な症状を増大させると報告されている。
【0084】
セレギリン自動経皮薬物送達システムは、睡眠障害の副作用なしに朝のうつ病のピークの症状に対抗するために、セレギリンの自動化された朝の放出をもたらす。本発明に従うシステムは就寝前に適用する。それは朝の1又は2時間前までは薬物を放出せず、したがって朝のうつ病の症状が本発明者らのシステムによって、患者に睡眠障害を与えることなく是正される。
時間/投与量チャートは図13に示すようであるべきである。
【0085】
アルツハイマー病
セレギリンは、うつ病、アルツハイマー病及び注意力欠如障害の処置のための効果的なMAO阻害剤である。現在の経口セレギリンは、多くの望ましくない副作用を引き起こす。セレギリンの経皮形態であるEMSAM(登録商標)が、現在開発されている。しかし、それはまた睡眠障害を引き起こす。本発明に従うシステムは、従来のセレギリン製品送達システムより優れている。
【0086】
時間治療原理:
セレギリンパッチの主な負の副作用は、異常夢(abnormal dreams)、不眠症及び睡眠困難である。セレギリンを夜投与するのを明確に控え、それに代えて、本発明者らのシステムの核となる競争力のある利点を利用して目覚め前の1時間前後にそれを投与することにより、本発明者らはこの負の副作用を除去し、朝のうつ病の症状の重篤相をなお緩和することができると考える。臨界量のセレギリンがシステムを通して循環していないと、患者は目覚め時の憂鬱な症状を増大させると報告されている。
【0087】
セレギリン自動経皮薬物送達システムは、睡眠障害の副作用なしに朝のうつ病のピークの症状に対抗するために、セレギリンの自動化された朝の放出をもたらす。本発明に従うシステムは就寝前に適用する。それは朝の1又は2時間前までは薬物を放出せず、したがって朝のうつ病の症状が本発明者らのシステムによって、患者に睡眠障害を与えることなく是正される。
時間/投与量チャートは図14に示すようであるべきである。
【0088】
用途−注意力欠如障害
(例:メチルフェニデート)
リタリンは、典型的には以下の発達上不適切な症状の群:中等度から重篤な散慢性、移り気、過活動性、情動不安定、及び衝動性により特徴付けられる行動症状を有する、子供達の安定効果のための他の治療手段(心理的、教育的、社会的)を含む総合処置プログラムに不可欠な部分として処方される。
【0089】
メチルフェニデートは、通常毎日2回又は3回に分けられた投与量で、好ましくは食前30から45分に投与される。1日の遅くに医薬を摂取すると眠れなくなる患者は、午後6時前に最後の投与量を摂取すべきである。提示される最初の投与が早朝であるため、自動的に投与を管理するのが便利である。
【0090】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化することができた。例えば、脈動性送達は以下に示すように、以下の範囲内において以下の時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである。
ピーク1(最高)
午前6:00−午前8:00:BPCは8−25ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午前10:00から午後12:00:BPCは8−25ng/mlの最高の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(最高)
午後3:00−午後5:00:BPCは8−25ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図15に示すようであるべきである。
【0091】
用途−うつ病
(例:セレギリン)
セレギリンは、うつ病、アルツハイマー病及び注意力欠如障害の処置のための効果的なMAO阻害剤である。現在の経口セレギリンは、多くの望ましくない副作用を引き起こす。セレギリンの経皮形態であるEMSAM(登録商標)が、現在開発されている。しかし、それはまた睡眠障害を引き起こす。本発明に従うシステムは、従来のセレギリン製品送達システムより優れている。
【0092】
時間治療原理:
セレギリンパッチの主な負の副作用は、異常夢、不眠症及び睡眠困難である。セレギリンを夜投与するのを明確に控え、それに代えて本発明者らのシステムの核となる競争力のある利点を利用して目覚め前の1時間前後にそれを投与することにより、を利用本発明者らはこの負の副作用を除去し、朝のうつ病の症状の重篤相をなお緩和することができると考える。臨界量のセレギリンがシステムを通して循環していないと、患者は目覚め時の憂鬱な症状を増大させると報告されている。
【0093】
セレギリン自動経皮薬物送達システムは、睡眠障害の副作用なしに朝のうつ病のピークの症状に対抗するため、セレギリンの自動化された朝の放出をもたらす。本発明に従うシステムは就寝前に適用する。それは朝の1又は2時間前までは薬物を放出せず、したがって朝のうつ病の症状が本発明者らのシステムによって、患者に睡眠障害を与えることなく是正される。
時間/投与量チャートは図16に示すようであるべきである。
【0094】
用途−尿失禁
(例:オキシブチニン)
薬物濃度を自動的に夜寝ている間に上昇させ、日中の労働時間中に減少させ、労働後就寝前に薬物濃度を再びわずかに上昇させるために、自動化され且つプログラムされた、脈動性薬物送達管理が望まれている。
【0095】
時間治療原理:
オキシブチニンの主な有害な副作用は、日中の眠気、日中の注意及び認識の欠如、眠気、目まい、かすみ目(自動車の運転、機械の操作、又は他の危険な活動の実施時に注意しなければならない)である。したがって、治療範囲の下限の投与量を日中に投与し、労働時間の後にわずかに多い投与量を投与し、睡眠時間中により多い投与量を投与するべきである。
【0096】
このことは、日中の眠気、日中の認識障害の潜在的に重大な副作用を低減する。この投与管理はまた使用者に、夜の睡眠中の高い投与量をもたらす。この時間において、増大した眠気は、失禁衝動を阻害することにより邪魔されない睡眠時間を提供することと同様に有益である。失禁のための医薬は以下のものを含む:
・ オキシブチニン[Ditropan(登録商標)、Oxytrol(登録商標)]
・ トルテロジン[Detrol(登録商標)]
・ デュロキセチン[Yentreve(登録商標)]
【0097】
(実施例1)
オキシブチニン
オキシブチニンの5mgの経口投与又は39mgの経皮投与後の平均の最大血漿濃度は3ng/mLである。血漿濃度は1から3ng/mLである。
【0098】
オキシブチニンに対する理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は10.98ug/cm2/hrである。
注:現在のオキシトロール(Oxytrol)パッチの投与量は1日あたり3.9mgである。
【0099】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化することができた。例えば、脈動性送達は以下に示すように、以下の範囲内において以下の時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである。
ピーク1(最高)
午後11:00−午前7:00:BPCは2.5−4.5ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(低い)
午前7:00から午後5:00:BPCは0.75−1.5ng/mlの最も低い治療範囲にあるべきである。
ピーク3(中等度)
午後5:00−午後11:00:BPCは1.5−2.5ng/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図17に示すようであるべきである。
【0100】
用途−頭痛及び片頭痛
(例:ゾルミトリプタン)
夜に必要な医薬を供給し、睡眠中の非常に早い朝(0200−0400)に、及びその後再び目覚め時(0800−1000)に薬物濃度を自動的に増大させるために、自動化され且つプログラムされた、脈動性薬物送達管理が望まれる。これにより、日中の労働時間中、減少した濃度は通常の活動を可能にする。
【0101】
時間治療原理:
片頭痛、群発頭痛及び緊張性頭痛は、早朝の時間帯(通常、午前2時から4時の間)に個人を目覚めさせる、又は目覚め時に存在する頭痛を引き起こす。慢性緊張性頭痛を有するそれらの個人は、たいがい早朝の時間帯に頭痛により目覚める。この頭痛は、また1日のその時間に最も悪くなる傾向がある。頭痛のこの早朝のパターンは種々の原因からなる。
【0102】
さらに、寝坊又は週末に関連した主な頭痛はカフェイン離脱に原因する。遅くまで寝ることは朝のカフェインの摂取を遅らせ、そのことはしばしば離脱症状及び片頭痛をもたらす。多くの人は週末にカフェインの摂取量が低下し、そのことは週末の片頭痛の発作を容易に説明する。月曜日及び火曜日は1週間の他の日に比べ、片頭痛がより少ない。
【0103】
頭痛及び片頭痛のための医薬は以下のものを含む:
予防薬
・ カフェインによる鎮痛剤、例えばExedrine(登録商標)Migraine(アセトアミノフェン、アスピリン及びカフェイン)。
・ カフェイン及びバルビツール酸塩による鎮痛剤、例えばFiorinal(登録商標)[ブタルビタール(butalbital)、アスピリン及びカフェイン]及びFioricet(登録商標)[ブタルビタール、アセトアミノフェン及びカフェイン]。
・ 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、例えばAdvil(登録商標)(イブプロフェン)、及びAleve(登録商標)(ナプロキセンナトリウム)。
・ エルゴタミン、例えばCafergot(登録商標)(カフェイン及びエルゴタミン酒石酸塩)及びMigranal(登録商標)(ジヒドロエルゴタミン)。
・ トリプタン、例えばZomig(登録商標)(ゾルミトリプタン)、Maxalt(登録商標)(リザトリプタン)、Imitrex(登録商標)(スマトリプタン)、Frova(登録商標)(フロバトリプタン)、Axert(登録商標)(アルモトリプタン)及びAmerge(登録商標)(ナラトリプタン)。
【0104】
Excedrin MigraineはBristol−Myers Squibb Companyの登録商標である。
Fiorinal及びFioricetはNovartis Pharmaceuticals Corporationの登録商標である。
AdvilはWhitehall−Robbins Healthcareの登録商標である。
AleveはBayer Corporationの登録商標である。
Cafergot and MigranalはNovartis Pharmaceuticals Corporationの登録商標である。
ZomigはAstraZenecaの登録商標である。
MaxaltはMerck&Co.,Inc.の登録商標である。
ImitrexはGlaxoSmithKlineの登録商標である。
FrovaはElan Pharmaceuticals/UCB Pharma,Inc.の登録商標である。
AxertはPharmaciaの登録商標である。
AmergeはGlaxoSmithKlineの登録商標である。
【0105】
予防薬
・ Inderal(登録商標)(プロパノロール)*、Blocadren(登録商標)(マレイン酸チモロール)*、及びメトプロロール等のベータブロッカー
・ Cardizem(登録商標)(ジルチアゼム)及びProcardia(登録商標)(ニフェジピン)等のカルシウムチャネルブロッカー
・ Prozac(登録商標)(フルオキセチン)、Paxil(登録商標)(パロキセチン)及びZoloft(登録商標)(セルトラリン)等の抗うつ薬
・ Depakote(登録商標)(バルプロ酸又はdivalproex sodium)*等の抗けいれん薬
・ Orudis(登録商標)(ケトプロフェン)、Aleve(登録商標)(ナプロキセンナトリウム)等のNSAID
【0106】
InderalはAstraZeneca社の登録商標である。
BlocadrenはMerck&Co,Inc.の登録商標である。
CardizemはAventis Pharmaceuticalsの登録商標である。
ProcardiaはPfizer Inc.の登録商標である。
ProzacはEli Lilly and Companyの登録商標である。
PaxilはGlaxoSmithKlineの登録商標である。
ZoloftはPfizer Inc.の登録商標である。
DepakoteはAbbott Laboratoriesの登録商標である。
OrudisはAventis Pharmaceuticalsの登録商標である。
AleveはBayer Corporationの登録商標である。
【0107】
例、ゾルミトリプタン
血漿濃度は1.0から5.0ng/mlの間である。
【0108】
ゾルミトリプタンの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は6.02ug/cm2/hrである。
【0109】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前2:00−午前4:00:BPCは3.5−4.0ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午前8:00から午前10:00:BPCは3.5−4.0ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
谷(最低)
午後12:00−午前12:00:BPCは1.0−3.0ng/mlの最も低い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図18に示すようであるべきである。
【0110】
用途−糖尿病
(例:ミグリトール)
食事時間と同時に、朝(0800)、真昼(1200)及び夜(1800)に薬物濃度を自動的に上昇させるため、自動化され、及びプログラムされた、脈動性薬物送達管理が望まれている。
【0111】
ミグリトールは、高血糖症が食事だけでは管理することのできない、非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)の患者における血糖コントロールを改善するための、食事の付加物として処方されている。
【0112】
ミグリトールの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は49.24ug/cm2/hrである。
【0113】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前8:00−午前10:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午前12:00から午後2:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
谷(最高)
午後6:00−午前8:00:BPCは最も低い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図19に示すようであるべきである。
【0114】
用途−疼痛管理
(例:フェンタニル)
多くの疾患及び疼痛の原因となる状況(手術後、外傷性傷害後)は、予測可能な疼痛パターンを有する。例えば、コルチゾールは夜間においては体内に実質的に存在せず、炎症に効くものである。したがって、炎症(リウマチ性関節炎、術後疼痛、外傷後疼痛、背痛、神経疼痛)に起因する任意の疼痛は、午前3:00から午前8:00の間の早朝時間帯において最も一般的である。片頭痛は午前6:00前後に最悪となる。強直性脊椎炎痛は、午前6:00から午前9:00の間に急増する。変形性関節症は午後の中頃に急増する。
【0115】
疼痛は、患者ごとに大きく変動し、またいくつかの研究は疼痛の大きさが1日の時間によって変動することを示唆している。ヒトの研究において、実験的に誘発された疼痛は、朝、又は午後、又は夜において最大になると報告された。疼痛の概日パターンが種々の疾患によって生じた疼痛に苦しむ患者において認められてきた。例えば、歯痛の最も激しい痛みは朝に起き、他方、胆石疝痛、片頭痛、及び難治性疼痛は夜に最大となった。リウマチ性関節炎の患者は痛みのピークが早朝にあると報告し、他方、膝の変形性関節症を有する患者は1日の終わりに最大の痛みが生じることを示した。オピオイドの効果は1日の時間によっても変化するように見えるが、ピークの時間における効果の大きな相違及び低い効果が見られた。ピークの疼痛及び麻酔薬要求が早朝に生じ、又は1日の終わりに生じ得る。疼痛は複雑な現象であり、個々の臨床症状に特異的である。
【0116】
自動化され且つプログラムされた、脈動性経皮薬物送達管理は、疼痛が炎症によって生じる、午前3:00から午前8:00の間の、人々の眠っている間に、自動的に、フェンタニル又は他の鎮痛剤の血漿濃度を実質的に増大させることが求められている。何故なら、炎症に対する重要な対抗物質であるコルチゾンがその時間に体内で最低になるためである。さらに、自動化され且つプログラムされた、脈動性経皮薬物送達管理は、強直性脊椎炎の疼痛に対して、午前6:00から午前9:00の間に、変形性関節症の疼痛に対して午後の中頃に、自動的に、フェンタニル又は他の鎮痛剤の血漿濃度を実質的に増大させることが求められている。
【0117】
他の鎮痛剤として、コデイン、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン又はヒドロモルホン、スフェンタニル、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ヒドロモルホン及び任意のタイプの鎮痛剤誘導体を含む。
【0118】
それらは効果的であり、かなりの肝初回通過効果(hepatic first pass effct)及び短い半減期があり、及びそれらは皮膚透過性があるため、経皮的疼痛管理のための典型的な選択例である。
【0119】
例えば、炎症により増大する疼痛に対し、上記の状況におけるように、本発明者らの投薬計画は、フェンタニルが以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)に到達するために、自動化され且つプログラムされた、経皮脈動性薬物送達を提案する:
ピーク1(最高)
午前3:00−午前8:00:フェンタニルのBPCは、2−8ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最低)
午前8:00から午後5:00:BPCは1−3ng/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(中等度)
午後5:00−午前3:00:BPCは2−5g/mlの最も低い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図20に示すようであるべきである。
【0120】
用途−癌
例:
癌の時間治療は、抗癌剤を抗癌作用及びそれらの正常細胞に対する有害な作用の概日リズムに従う、最適な時間に投与する、新規で論理的治療法であるため、注意を引く。時間生物学における進歩は、視交叉上核(suprachiasmatic nucleus)(SCN)を生物的リズムの中心と同定し、及びPER1、PER2、PER3、CLOCK、BMAL1、TIM、CRY1、CRY2等の時計遺伝子、タウが生物リズムを生成し、調整するために作用する領域と同定した。これらの発見は化学療法の発展をもたらした。臨床的に、進行した消化器癌の患者は、応答性のよい時間的調節化学療法によって処置された。切除不能な肝転移を有する結腸直腸癌の患者に対し、g−OHP+5−FU+FA(フォリン酸)による時間療法は、肝転移の完全な外挿的切除を可能にし、39から50%の5年生存率をもたらすと報告された。
【0121】
手術、抗癌剤、放射線療法、及び生物剤の概日時間管理は、毒性プロファイル、腫瘍管理、及び宿主の生存率を向上させることができる。ドキソルビシン及びピラルビシン(06:00h)及びシスプラチン(18:00h)により最適に時間管理された癌化学療法は、副作用を最小限に止めながら、進行した卵巣癌の管理を向上させ、転移性子宮内膜癌における奏功率を増大させた。ドキソルビシン−シスプラチンを用いた転移性膀胱癌の治療は、この同じ概日手法によってより耐えることが可能となり、57%の客観的奏功率を示した。この最適に時間管理された治療法は、アジュバントの設定においても効果的であり、局所的に進行した膀胱癌からの予想される転移の頻度を減少させる。フルオロデオキシウリジン(FUDR)の概日の継続的注入(15:00hから21:00hの間に毎日の投与量の70%が投与される)が転移腎細胞癌に有効であり、29%の客観的奏功率を示し、患者の大部分において1年以上の持続時間で疾患を安定化させた。FUDRの注入を概日リズムに調節するとき毒性は顕著に低下する。
【0122】
時間療法は、化学療法薬の副作用の量を軽減するのにも用いられた。何年にもわたって、医師はアドリアマイシン及びシスプラチンのこれらの薬物の2つを朝及び晩にそれぞれ投与することにより、副作用を半分に低減できることを認識していた。
【0123】
かくして、ChronoDoseシステムを用いることにより投与量を最適化することができた。例えば、脈動性送達は具体的な各医薬について示される血漿濃度(BPC)を有するべきである。
時間/投与量チャートは図21(a、b及びc)に示すようであるべきである。
【0124】
用途−後天性免疫不全症候群(AIDS/HIV)
例:ジドブジン、ディダノシン
現在使用可能な抗レトロウイルス薬の投与計画は、HIV感染患者の大部分において、HIVの複製抑制、CD4の回復を可能にする。課題は、治療を限定する毒性をもたらすことなく、耐性選択(resistance selection)の防止を十分にするために、HIVの複製を最も永続的に抑制すると思われる投与計画に各患者を適合させることである。CD4細胞数と血漿ウイルス量に関連した処置の開始時期を知ることは重要であるが、困難である。
【0125】
HIV感染及びAIDSの処置のために抗レトロウイルス療法を順守することは、HIV医療提供者及び患者の間で最も重要な臨床的課題の1つになってきた。指示された投与計画を順守することは、ウイルス量が検出不能となる患者を予測できる。残念なことに、抗レトロウイルス療法においては順守されないのが一般的であり、それはウイルス量の増大及び薬剤耐性の発生を伴ってきた。患者の順守を最大にする努力は、HIVの複製を抑制し、薬剤耐性ウイルスの感染を防ぐ上で重要である。
【0126】
以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)に到達するための、ジドブジンの自動化され、及びプログラムされた、経皮脈動性送達は:
ピーク1(最高)
午前5:00−午前9:00:ジドブジンのBPCは、最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午後7:00−午後11:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
ジドブジンの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は17.94ug/cm2/hrである。
時間/投与量チャートは図22に示すようであるべきである。
【0127】
用途−てんかん
例:ガバペンタン
脳障害であるてんかんを有する大部分の人において、発作は1日の予測される時間に繰り返される。てんかんを有する人の約半数は発作を主に目覚め時に経験する。約四分の一の人は発作を主に睡眠中に経験する。その他の人においては、時間は一貫しておらず、発作が昼及び夜の両方で起こる。
【0128】
現在、米国において20以上の抗発作薬(抗けいれん薬又は抗てんかん薬)が入手可能である。いくつかは経口避妊薬を含む他の薬物の活性と干渉しないように特別に設計されている。それらは、ガバペンチン(ニューロンチン)、ラモトリジン(ラミクタル)、トピラメート(トパマックス)、チアガビン(ガバトリル)、レベチラセタム(ケプラ)、及びオキサカルバゼピン(トリレプタル)を含む。
【0129】
新しい医薬ではなく、バルプロ酸塩及びフェニトインの2つの古い医薬のみが、1日の異なる時間又は月経サイクルの異なる相に摂取した場合にどのように作用するかに関して研究されている。バルプロ酸塩及びフェニトインにおける知見を他の抗てんかん薬に一般化できるかどうかは分からない;結果は問題を提起しているが、一層の研究を緊急に必要とする。バルプロ酸塩の研究は、人がそれを夜に摂取するとき、朝に摂取する場合に比べてより遅く、より低効率で吸収することを示す。発作に対する保護は、通常夜の睡眠の前半を占める状態である、NREM睡眠において最も必要とされるため、この知見は関心事である。
【0130】
以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)に到達するための、ガバペンタンの自動化され且つプログラムされた、経皮脈動性送達は:
ピーク1(最高)
午前5:00−午前9:00:ガバペンタンのBPCは、最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午後7:00−午後11:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図23に示すようであるべきである。
【0131】
用途−風邪及び流感の処置
例:トリプロリジン
風邪及び流感の症状は、コルチゾールの濃度がその時間に最低であるため、真夜中から早朝までが最悪である。現在の夜間の風邪及び流感の医薬は、風邪及び流感の症状が最も重い早朝までに効果を消失する。したがって、風邪及び流感に罹っている人は症状が重くなることにより、睡眠を短く断ち切られ、しばしば気分悪く目覚める。就寝前に設置、装着することにより、本発明はより多くの投与量の医薬及び免疫促進剤(immuno−booster)を早朝の時間帯に自動的に送達し、朝に起きる風邪及び流感のピークの症状により効果的に対抗する。
【0132】
この実施は、処方された風邪薬又はOTCの風邪薬を単独で、又は場合によって経皮的に効果的なビタミン及び免疫系促進剤との組合せにより、風邪及び流感による病気を総合的に解決する。これは、OTC医薬と補助的な免疫促進剤が総合的で且つ自動化された方法において組み合わされた初めての風邪の治療方法である。
【0133】
特定の用途において、風邪及び流感の自動化された経皮薬物送達システムは、OTC風邪薬、ビタミンC、エキナシア、及び亜鉛を利用し、風邪及び流感による病気をすべて寝ている間に総合的に解決する。風邪/流感システムは、1日で最も悪いと確認された夜中及び早朝の症状に対抗するために、これらの化合物の組合せを一晩中2時間毎に放出し、より多い化合物の投与量を朝に放出する。使用者は朝の時間帯により軽減された風邪及び流感の症状を経験し、睡眠サイクルを短く断ち切られることなく、症状を感じることなく目覚めることができる。
時間/投与量チャートは図24に示すようであるべきである。
【0134】
用途−体重管理、ビタミン及び薬草の補助
さらに別の用途において、体重低下ビタミン(weight loss vitamins)及び栄養補助食品を少ない明確な投与量で、連続的に数日間にわたって多数回投与する。ビタミン及び栄養補助食品は少ない投与量において体に吸収される。一般に信じられているのとは反対に、1日に1回の製品は、過剰な投与量は使用されずに排泄されるため、最も効果的ではない。本発明のこの実施は、少量ではあるが明確な量のビタミン及び栄養補助食品の投与時間及び投与量を24時間正確に管理し、ビタミン及び栄養補助食品が最適な吸収及び細胞機能で定常的に生体利用されるのを確実にする。食欲に対抗するため、食事前により多量の投与量を自動的に放出し、ダイエット計画をより効果的にする。
【0135】
用途−一般
本発明は特に、患者が必要な動作を始めるのに不便であるか、できないときに、薬物の投与を開始し、薬物の投与を停止し、及び/又は薬物の投与を増加/減少させることが必要及び/又は望ましい用途において有用である。これは、寝ている間に投与を開始し、停止し、又は変更するときに有益となる、特に多種多様な薬物投与の用途に有用である。時間療法の研究及び知識が増大するにつれて、多種多様な用途が発見されることが考えられ、その中で寝ている間に薬物投与を開始し、停止し、及び/又は変更することによる利点が認識される。
【0136】
各例において、処置を必要に応じ継続し、優れた症状軽減、症状の悪化防止をもたらし、及び/又は疾患の状態若しくは患者の状態が進行するのを阻止及び/又は遅延するか、或いはもはや患者が十分に耐えられなくなるまで、又は医師が処置を終了するまで継続する。例えば、医師はこの発明に従って処置されている患者の1つ又は複数の症状、及び/又は活性物質及び/又は代謝副産物の血清レベルをモニターし、ある期間について1つ又は複数の症状の減衰を観察すると、患者がさらにある期間の投与を受けることなく、上記の処置のプラスの効果を持続できると結論する。必要であれば、患者はその後のある時点で、必要に応じ追加の処置を受けるために戻ってもよい。
【0137】
本明細書において用いるとき、「日」は24時間を意味する。したがって、例えば、「少なくとも連続する3日間」は少なくとも72時間を意味する。処置の間又は処置の後、医師は1つ又は複数の症状、及び/又は患者における血清レベルをモニターし、ある期間について1つ又は複数のパラメータが改善しているのを観察すると、患者がさらにある期間、活性物質の投与を受けることなく、該処置のプラスの効果を持続できると結論することができる。
【0138】
本発明の方法に従う、ヒトを含む哺乳類の治療上の処置(予防処置を含む)に活性物質を使用するため、活性物質は標準的な製剤実務に従って医薬組成物として普通に製剤する。本発明のこの観点から、薬学上許容される希釈物質又は担体と関連した活性物質を含有し、活性物質が特定の状態を処置し又は予防するのに有効な量で存在する医薬組成物を提供する。
【0139】
個人の要求が変化し得る一方、本明細書で開示した範囲内で、活性成分(単独又は他の薬物との組合せ)の効果的な量について最適範囲を決定することは当業者の経験の範囲内である。したがって、本明細書の目的のための各成分の「活性成分の効果的な量」は、かかる考慮により決定され、及び1つ又は複数の活性成分の機能を向上させ、及び/又は患者のより有害な状態を改善し、及び/又は患者の生活の質を向上させる量である。
【0140】
医薬製剤キット
本発明はまた、特定の症状、状態及び/又は疾患を処置し、及び/又は特定の生物機能を改善するための、本発明に従う1つ又は複数の活性組成物を含有する1つ又は複数の容器を含む医薬製剤キットを提供する。かかるキットは、治療又は特定の症状、状態及び/又は疾患の予防及び/又は特定の生物機能の改善活性組成物と一緒に用いるさらなる薬物又は治療剤を含む。この実施態様において、該活性組成物及び該薬物は1つの容器中に混合物として製剤化することができ、又は同時若しくは分離した投与のための分離した容器中に含有させることもできる。該キットはさらに、化合物及び/又は組成物を投与するための、図1に示すデバイス100等のデバイスと、製剤の又は生物製剤製造、使用若しくは販売を規制する、政府機関により規定された形式において記載された説明書であって、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の機関からの承認を示すことができる説明書、とを含有することができる。
【0141】
本発明はある程度詳細に記載され、説明されているが、本明細書における開示が単に例示によるものであり、投与量、投与プロファイル、時間管理、並びに要素の組合せ及び配置における多くの変更が、請求項に記載されている本発明の思想及び範囲から外れることなく、当業者によって行い得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明を実施するのに有用な例示的なデバイスを示す図である。
【図2A】本発明の操作を示す比較の薬物放出プロファイルを説明する図である。
【図2B】本発明の操作を示す比較の薬物放出プロファイルを説明する図である。
【図3】本発明に従う薬物送達デバイスの概略図である。また、皮膚を通しての浸透は、このデバイスに取り付けられる、一般に極微針と呼ばれる微細加工構造体、加熱デバイス、イオン導入、又は超音波導入デバイスを用いることにより補助することができる。
【図4】本発明に従う別の薬物送達デバイスの概略図である。また、皮膚を通しての浸透は、このデバイスに取り付けられる、一般に極微針と呼ばれる微細加工構造体、加熱デバイス、イオン導入、又は超音波導入デバイスを用いることにより補助することができる。
【図5】刺激剤送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図6】ニコチン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図7】異型狭心症発作を処置するために調整されたニトログリセリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図8】ストレス誘発狭心症発作を処置するために調整されたニトログリセリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図9】関節炎のために調整されたインドメタシン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図10】関節炎を処置するために調整されたバルデコキシブ送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図11】喘息を処置するために調整されたツロブテロール送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図12】高血圧を処置するために調整されたクロニジン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図13】CNS変性疾患(パーキンソン病)を処置するために調整されたセレギリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図14】アルツハイマー病及び注意力欠如障害を処置するために調整されたセレギリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図15】ADDを処置するために調整されたメチルフェニデート送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図16】うつ病を処置するために調整されたセレギリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図17】尿失禁を処置するために調整されたオキシブチニン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図18】片頭痛を処置するために調整されたゾルミトリプタン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図19】糖尿病を処置するために調整されたミグリトール送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図20】疼痛を処置するために調整されたフェンタニル送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図21A】は癌を処置するために調整された5−フルオロウラシル送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図21B】は癌を処置するために調整されたドキソルビシン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図21C】は癌を処置するために調整されたシスプラチン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図22】AIDSを処置するために調整されたジドブジン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図23】てんかんを処置するために調整されたガバペンチン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図24】風邪及び流感を処置するために調整されたトリプロリジン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、制御された薬物送達方法及びシステム、より具体的には、生物学的同調性経皮的薬物送達のためのシステム及び方法に関する。本発明は、さらに本発明のシステムがバイオリズムに従って活性物質の送達を調節するように設計可能な点で時間生物学の分野に関する。薬物、製薬、及び他の生物学的活性物質は、体内における物質の性能を改善するために、生物学的プロセス及び/又はバイオリズムに同調した方法において体内に経皮的に送達される。本発明はまた、継続的な投与から経験され得る、活性物質の耐性を克服し、患者の薬剤服用順守を改善し、及び一部のケースでは、生物学的同調性の利益によって投与当たりに必要とされる薬物の量を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達の分野において、正しい時間的パターンにおいて薬物を供給することは、薬物送達方法の重要な条件であると認識されている。放出制御薬物送達システムは、薬物に対する反応の改善及び/又は薬物の副作用の低減を目的としている。時間薬理学における継続的な関心は、バイオリズムが臨床薬理学の重要な観点であり、薬物送達システムを評価する際に考慮されるべきであるという事実を示す(Hrushesky,W.,J.Cont.Rel.19:363(1992)、Lemmer,B.,Adv.Drug Del.Rev.6:19(1991),Youn,C.B.J.Cont.Rel.98(3)337(2004)及びYoun,C.B.J.,Ed.「時間製剤学(Chronopharmaceutics)」,John Wiley&Sons,New York(準備中))。
【0003】
喘息の発作、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、心室性頻拍症等の疾患の発生及び微候は、概日周期相に依存する。ヒトにおいて、薬物動態(時間−薬物動態)における1日24時間の変化が、少し記述するだけも心臓血管活性薬物(プロプラノロール、ニフェジピン、ベラパミル、エナラプリル、イソソルビド5−一硝酸塩及びジゴキシン)、喘息治療薬(テオフィリン及びテルブタリン)、抗癌薬、向精神薬、鎮痛薬、局所麻酔薬及び抗生剤について示された。習慣的な使用又は定常的な導入をした後でさえ、より多くの薬物が1日全体を通して、それらの効果(時間薬物動態及び時間毒物学)において顕著な変化を示すことが示された(Ohdo,S.Drug Safety 26(14)999−1010(2003))。さらに、投与量/濃度−応答関係が1日の時間に基づいて顕著に変更され得る明確な証拠が存在する。したがって、概日時間(circadian time)は、薬物の薬物動態及びその効果若しくは副作用に影響する重要な変化として考慮されなければならない(Bruguerolle,B.,Clin.Pharmacokinet.Aug.35(2)83−94(1998))。
【0004】
研究は、ある疾患の発生が概日時間の強力な経時的な依存性を示すことを示唆する。このことは、定常的な薬物放出(Lemmer B.,Ciba Found Symp.183:235−47;discussion 247−53(1995))とは反対に薬物送達の時間的調節によるパターン化が必要であることを示す。
【0005】
用語「放出制御」は、一般に、所望の経時的パターン(tempural pattern)に従って薬物を供給する方法により、活性成分を宿主の生物学的システムに利用可能にする送達メカニズムをいう。放出制御薬物送達システムは、a)即時放出システム;b)遅延放出システム;及びc)持続放出システムを用いて実施することができる。ほとんどの場合、放出制御システムは、ヒト又は動物宿主において、ある期間を通して薬物中の活性成分の持続した血漿レベルを維持するように設計される。
【0006】
即時放出は、活性成分を宿主の生物学的システムに投与後直ちに利用できるようにするシステムをいう。即時放出システムは、持続的又は間欠的な静脈注入又は注射を含む。かかるシステムは、即時開始及び停止の両方の投与が可能であり、送達速度を非常に正確に制御することが可能であるため、より多くの制御を提供する。しかし、穿刺針又はカテーテルによる投与を含むため、投与は望ましくない侵襲性である。
【0007】
遅延放出は、投与後のある時間に活性成分を宿主に利用可能にするシステムをいう。かかるシステムは、当該遅延後に活性成分を放出するように、知られた速度で溶解する物質により活性成分が被覆又はカプセル化された経口薬物並びに注射可能な薬物を含む。残念なことに、投与後の被覆物又はカプセル材料の分解を制御するのはしばしば困難なことがあり、且つ実際の性能は患者間で変動する。
【0008】
持続放出は、一般に、宿主に利用可能な活性成分のレベルをある期間を通してあるレベルに維持するような活性成分の放出をいう。遅延放出システムと同様に、持続放出システムは制御が困難であり、患者間での変動を示す。錠剤を服用する場合、消化管を通しての吸着に依存して、体内の薬物濃度が急速に上昇するが、減少は排泄及び代謝に依存し、それらは制御することができない。その上、消化管を通しての吸着は、多くの場合においてかなりの副作用(潰瘍等)をもたらし、肝臓に重いダメージを与えることがある。
【0009】
経皮治療システム(TTS)は、最初、経口持続放出システムが適切でない状況における薬物の持続放出のために開発された。あるケースでは、活性成分が消化管システムにより破壊又は変更されるため、薬物を効果的に経口投与することができない。他のケースでは、薬物は持続放出の実施に用いられる被覆及び/又はキレート剤と物理的又は化学的に適合しないことがある。他のケースにおいて、経皮送達システムは、経口投与薬物がたった数時間の持続性能を提供するのに対し、何日間又は何週間かの期間を通して持続放出を提供することができる。広範囲の活性物質は、活性物質が皮膚障壁を通過可能な形態(例えば、米国特許第6638528号参照、参照文献により本願明細書に組み込まれる)で提供される限り経皮システムにより送達することができる。
【0010】
ほとんどの場合、経皮送達システムは受動的であり、粘着剤により皮膚に貼り付けられるパッチの形態をとる。TTSは、リザーバー、マトリックス、又は粘着剤それ自体において、必要であれば適切な担体とともにある量の活性物質を含有する。一度適用すると、活性物質は、活性物質の濃度及び拡散性により定められた速度で皮膚を通して拡散する。しかし、皮膚/パッチ境界における種々の物理的及び化学的プロセスは送達速度に影響し、最終的に薬物送達を完全に阻害することがある。
【0011】
制御された薬物送達にとって目的とする本来の性能は、薬物の0次放出速度を達成するものであり、その結果血漿中において一定の効果を示す薬物濃度が維持される。しかし、時間生物学及び時間薬理学における20年以上の研究は、薬物の有効性及び効率性に対する患者の概日周期又は他のバイオリズムの影響を測定すると共に、医薬の投与に対するバイオリズムの重要性を実証した。この研究は、ある疾患の症状が1日のある時間にピークの症状を有する日周パターンに従うことを示す。ホルモン、神経伝達物質及び他の体内化合物が日周パターンに従い、異なる量で、1日の異なる時間に放出されることが広く知られている。
【0012】
新しいアプローチが、ある疾患が1日のある時間に悪化する傾向のあることを示す、発展しつつある研究から生じている。患者の体内時計を用いる同調薬物療法により、多くの医師は薬物がより効率的に、そしてより副作用が少なく働くと考えている。いくつかのケースにおいては、医師が投与量を減らすことができたという改善がはっきり説明されている。日周の生理的過程が薬物吸収、分配、代謝及び分泌を変更することが見出されている。結果として、薬物投与は、1日の種々の時間における目的とする臓器又は組織の異なる要求に合うように調節することを必要とする(L.Lamberg,American Pharmacy,N831(11):20−23(1991))。
【0013】
クロマトグラフィーへの継続的な関心は、薬物送達における経時的プロファイル(temporal profile)を制御する技術の開発に対して増大し続ける要求を示す。研究結果は多くの疾患の発生及び重篤性が本来周期的であるか、概日周期に従うことを示唆する。薬物耐性は薬物投与プロファイルの調節の必要性を増大させる。さらに、投薬による皮膚の炎症及び増感化は、薬物を投与しない間隔を必要とする場合がある。したがって、薬物送達のこの改善された態様は、定期的に増大させて簡易に、痛みがなく、かつ自動的に体に送達する医薬を必要とする人々にとって非常に重要である(Smolensk,M.H.&Lamberg,L.Body Clock Guide to Better Health:How to Use Your Body’s Natural Clock to Fight Illness and Achieve Maximum Health,Henry Holt&Company,New York(2001)and Grimes,J.et al.,J Pharmacol Exp Ther 285(2):457−463(1998))。
【0014】
現在使用されている経皮送達システムは、活性成分を「ポンプで送り込む」ことによって薬物送達を長期に改善するメカニズムを提供することにより、送達速度の制御を補助するように開発された。かかるシステムの1つ(米国特許第5370635号)は、比較的長期間、例えば少なくとも数日間、医薬を送達し医薬を臓器に分配するためのシステムを記載する。デバイスは、ヒト又は場合によって動物の体にその外側から医薬を適用するために、その体の皮膚表面に位置するように適合させることができる。従来の経皮システムは、胃腸管による吸着の不利益を回避するが、それらはピークの症状を緩和するために、投与管理(dosing regiment)を最適化又は調整することがない。さらに、薬物の定常的な経皮送達は、衰弱性(debilitating)睡眠障害及び耐性の増大を含む重篤な副作用をもたらし得る。
【0015】
経皮時間治療(transdermal chronotherapy)の簡単なタイプは二相性プロファイルであり、そのプロファイルにおいて薬物濃度は時間と伴に高レベルから低レベルに変化する(又は逆)。システムは濃度レベルを変更するために物理的に適用したり、取り除くことができるが、患者がこの操作を順守することは、特に不自由な時間において困難である。二相性プロファイルを生成するために、送達システムは、皮膚を通過する薬物の流れの初期脈動(initial pulse)、続いて皮膚を通過する薬物の実質的により低い流れを提供する、表皮を通過する薬物投与デバイス(米国特許第5352456号、1994年)を示す、Fallonらが記載するような外部調節装置を利用することができる。さらに、Fallonらは後に、ある期間を通して表皮領域を通過する薬物投与デバイスであって、皮膚を通過する薬物の流れを制御された方法で時間的に変化させるデバイスを記載している(米国特許第5820875号、1998年)。このデバイスは、薬物の皮膚流量が投与期間を通して制御された方法で変化するデバイスであり、典型的には投与の初期段階の高流量から投与の後の段階の低流量へ変化するデバイスである。
【0016】
Giannosらにより提案された経皮時間制御薬物送達システム(米国特許第6068853号、2000年)は、外部電源及び/又は電子制御装置を用いずに、薬物又は活性成分を経皮により定期的に放出するため、pH振動子を膜拡散に連結した。その目的は脈動経皮システム(pulsatitle trasdermal system)による時間治療に対応することであった。その戦略は、薬物がpKa値に関連して荷電又は非荷電になり得るという観察に基づいた。薬物の非荷電形態のみが皮膚を含む親油性膜を通して浸透することができるため、薬物溶液のpHを振動させることにより定期的な送達プロファイルを得ることができる(Giannos,S.A.,「薬物及び局所活性物質の脈動性送達(Pulsatile Delivery of Drugs and Topical Actives)」,in「新規な局所活性物質及び送達システム:化粧品、外皮用剤及び経皮剤(Novel Topical Actives and Delivery Systems:Cosmetics,Dermatologicals and Transdermals)」,Edited by John.J.Wille,Jr.:Blackwell Publishing,Oxford UK参照(印刷中))。
【0017】
近年、関節炎の処置のために経口投与された薬物は、遅延放出システムを用いる時間治療法を示唆した。そのような遅延は、リウマチ性関節炎患者の早朝剛性の原因として考えられているインターロイキン6のカスケードの初期に活性成分を放出するために計画されている。生物学的周期に薬物送達を同調させる試みにより、低投与量を用いて所望の結果を達成できると考えられている。しかし、このシステムは上記の遅延放出システムの制限を克服するものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
錠剤により時間薬理学の要求を満たすことは可能であるが、このことは、処置管理に従うための患者による膨大な量の規律を要求する。例えば、参考により本願明細書に組み込まれる米国特許第6214379号を参照されたい。上述のように、最適な結果を達成するためには、多くの患者が医薬を摂取するために夜中起きていることが必要になる場合がある。したがって、必要なことは、なお経口送達薬物と比較して改善された性能を有しながらも、不便や注射による危険なしに、正確な時間及び測定投与量で薬物化合物を送達する、非侵襲的で、信頼性のある手段である。
【0019】
患者の順守(指定された時間に適切な投与量を摂取する)に取り組むことは、製薬会社と同様に介護者が直面する別の重大な問題である。研究は患者の約半分だけが彼等の医師から指示された時間及び投与量で医薬を摂取していることを示す。毎年、125000人の死者及びすべての病院及び介護施設の20%までが患者の不順守によるとの結果が報告されている。不順守はアメリカ合衆国において毎年1000億ドルを超える追加保健費用を要する結果になると推定される。これらの数字は高齢者に対してはなおさらである。
【0020】
個々の投与量管理不履行、例えば1つ若しくは複数の投与量の不履行又は過剰な投与量の摂取は、管理の成功に対し逆の効果を奏する。個々人は多くの理由により投与量管理不順守となり得る。例えば4時間毎、即ち、8−12−4−8の投与量管理は個々人の個人的なスケジュールと両立しない可能性のある厳格な投与量スケジュールを必要とする。医療条件の失念、拒否等の正常なヒトの習性並びに繁忙な生活が組み合わされた場合、かかる厳格な投与量スケジュールは、薬物投与管理を順守する上で実質的な障害となることを示す。したがって、かかる厳格な投与量管理は、しばしば個人が指示された時間に1つ又は複数の投与量を摂取し損う結果を生じさせる。このことは、活性部位における治療物質のレベルにおいて悪影響を与え、結果として治療物質全体の効果において悪影響を与える。したがって、種々の薬物投与に対する患者の順守が増大するシステム及び方法についての要求が存在する。
【0021】
本発明の更なる利点及び新規な特徴を以下の記載において一部説明するが、一部は以下の明細書の試験において当業者に対し明らかとなるか、又は本発明の実施により学び得る。本発明の利点は、特に添付の請求項において指摘された手段、組合せ、構成、及び方法により実現され、達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明はヒトの疾患、中毒及び障害を処置する方法を記載する。これらの方法は、症状が最悪と思われるときのそれらの症状を是正するために、薬物化合物の投与を体の自然な概日周期に同調させ、調整することを含み、自動化された、予めプログラム可能な経皮薬物投与システムを用いることにより達成される。このシステムは、ポンプ若しくは加圧リザーバー、及び/又は劣化したキャリヤー溶液を除去するシステム、又は他の調節された分配作動装置を、一般に極微針(Micro−needle)と呼ばれる微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入(共に機械的浸透エンハンサーと呼ばれる)又は広範囲の化学的浸透エンハンサーと共に利用することができる。
【0023】
より具体的には、これらの方法は、ヒトの体の概日リズムに対して薬物投与を同調させ、調整し、種々の時間に種々の投与量を送達する。このことは、体の自然な概日周期における変動(variances and fluctuation)から生じる疾患及び中毒のピークの症状を緩和するために、血流中にピークの薬物濃度が存在することを確実にする。さらに、これらの方法は疾患及び中毒の症状が最も軽いときに血流中の薬物がより少なくなることを確実にする。このことは負の副作用を最小限にし、投与管理の効果を増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
バイオリズムは、生物学的特性における長期にわたる周期的な変動であり、概日周期並びに季節的な変動を含む。ヒトを含む動物において概日周期リズムの実態がよく知られている(Halberg et al.J.Exp.Ther.Oncol.3(5)223−260(2003),Redfern et al.Chronobiology International 11(4)253−265(1994))。
【0025】
概日周期(約24時間)リズムは、エンドルフィン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、コルチゾール、アドレナリン等の生物学的分子の生産を含む。これらは体温及び心拍数を調節し、粘性等の血液の特性、及び覚醒状態、睡眠、活性期間等の挙動を変更する。本発明者らの体に影響するいくつかのリズムは以下のものを含む:
・超日周期、それは1日未満のサイクル(例えば、神経を点火するのに数ミリ秒要し、睡眠サイクルは90分である)である。
・概日周期、それは約24時間続く(睡眠、覚醒パターン等)。
・インフラジアン(infradian)、それは24時間より長いサイクルをいう(例えば、毎月の生理)。
・季節性リズム、それは冬の短日の間、感受性の人にうつ病を生じさせる季節性情動障害(SAD)等である。
【0026】
研究は、ある疾患の症状が、1日のある時間にピークの症状を有する、日周パターンに従うことを実証している。ホルモン、神経伝達物質及び他の体内化合物が日周パターンに従って1日の異なる時間に異なる量で放出されることが広く認識されている。体の自然なリズムに薬物投与を同調させることのできない現在の経皮システムは、しばしば(i)衰弱性睡眠障害(debilitating sleep disorders)(例えば、夜間のニコチン投与の状況において)を含む重篤な副作用、(ii)耐性の増大(例えば、ニトログリセリン及び他の医薬の場合において)、(iii)より高価な治療(毎日の体のリズムを無視し、時間管理による投与が実行されないため、より多くの化合物が必要になるという事実による)をしばしばもたらす。
【0027】
さらに、多くの中毒がヒトの概日リズムと一致する日周パターンに従う。例えば、実施された研究によれば、目覚めた直後の喫煙者はニコチンの渇望がピークとなる。これらの渇望のピークは各食事後に繰り返され、食事の最高点(the culmination of a meal)に対しての慣らされた反応としてのセロトニン放出の相互作用に依存する。本発明者らの方法は、症状が最悪とみられるときに薬物がピークレベルに到達し、かつ効果が大きく改善されるように薬物の投与を正確に時間的に調節する。
【0028】
本発明は、症状が最悪とみられる時間、又は薬物が体内でより効果的及び/又はより患者に許容されると考えられる時間に同調してピークレベルに到達するように、薬物投与の正確な時間的調節を含む。本発明は、単一投与機能(睡眠中に1回)又は複数日間を通して多くの回数の投与を個別に可変量で投与できる能力を持ちながら、投与について自動化された正確な制御を提供する薬物送達システムの特定の実施例に関して記載する。本発明はまた、1日の異なる時間における種々の別個の薬物及び投与量の投与に関する。特定の実施は、本発明の出願人により開発されたChronoDose(商標)システムと呼ばれる、小型化され、自動化され、且つプログラム可能な非侵襲的な薬物送達システムの商業的開発と一致する。このシステムは、所望の投与プロファイルを実施するプログラムされた投与スケジュールに従って制御された時間依存法(a controlled time dependent way)において、皮膚に曝される薬物の量を制御することを可能にする。この方法において、本発明は、設定の容易な、予めプログラムされた投与プロファイルに従って、薬物放出の時間及び各投与量を正確に制御し、変化させることを可能にする。研究は、ある症状、状態及び疾患に対し、予め特定された時間に規定された(及びしばしば変動する)投与量で投与する場合に、薬物の効果を最適化できることを示す。このことは、時間薬理学として知られている(Reinberg,A.E.,Concepts of Circadian Chronopharmacology,Hrushesky,W.J.M.,Langer,R.S.及びTheeuwesにより編集された“Temporal Control of Drug Delivery”,F.Annal NY Academy of Science,New York.Volume 618 102−115(1991),Lemmer,B.Pharmacol Res.33(2)107−15(1996))。
【0029】
時間薬理学の重要性を説明するために以下の事実を考察する:
・喘息の発作は午前4:00から6:00の間に100倍起こりやすい。
・心臓発作及び脳梗塞は午前6:00前後に最も起こりやすい。
・異型狭心症発作は夜中の午前2:00から午前4:00の間に30倍起こりやすい。
・喫煙者は目覚めた直後に最も高い渇望を経験する。
・倦怠感及び起床の困難さは早朝目覚めた直後に最も高い。
・風邪及び流感症状は、風邪薬が切れている場合、夜間及び早朝の時間帯にピークとなる。
【0030】
本発明に従って、時間薬理学的効能の証明された又は推測される物質を、図1に示すデバイス(100)等の小型化され、自動化され、且つプログラム可能な時計様のデバイス中に一体化させる。図1に示す送達システム(100)は種々の活性組成物に使用することができ、そして小さく、完全に自動化され、且つプログラム可能である。このシステムは、時間及び薬物送達の投与量を制御するための再使用可能な腕時計様デバイス(101);及び小さな、ディスポーザブルの「リザーバー」(103)からなり、このリザーバーは、特定の例ではクオーター又は1/2ドルコインの大きさ程度、又は円筒状の形状で、使用者が時計様プラットホーム上に置いて簡単にできる。このリザーバーは適用次第で、例えば72時間まで使用し続けることができる。より短い及びより長いリザーバーの使用期限が検討されている。このデバイスは、容易に、前腕、足首、又は体の他の便利な部位に装着するために適合される。
【0031】
特定の用途において、交換可能なリザーバーは、投与スケジュールを用いて手動又は自動でデバイス(100)プログラムするために使用することのできる、投与スケジュールの記載を含むことができる。例えば、記載されたスケジュールがリザーバー(101)に印刷されていても又は貼られていてもよく、或いは揮発性又は不揮発性メモリを用いて電気的にプログラムされていてもよい。この方法において、今日、従来の薬物指示が扱われているのと大体同じ方法で、投与プロファイルを薬局により指示し、記入してもよい。
【0032】
典型的な実施例(図3に示す)は、折り畳み式の薬物リザーバー、拡張式廃棄リザーバー、マイクロポンプ、自動化のための電子機器、ディスプレイ、及び高度な透過性膜を含む。さらに、加熱素子又はガス若しくは空気吹き込み装置を液体の廃棄リザーバー又は環境中への蒸発を補助するために用いることができる。例示的なシステムが、2004年9月13日に出願された、経皮薬物送達及び方法と題する出願番号PCT/IB2004/002947の英国特許に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。薬物リザーバーは、約0.4mlから4mlの間の薬物製剤を含有する。小さな、小型ポンプが予めプログラムされた時間で作動し、予め規定された量の薬物製剤が、製剤が拡散マトリックスに接触する状態になる薬物チャンバー中に放出される。この拡散マトリックスは、高度な透過性膜と密着している。この膜を皮膚の上に置き、デバイスの薬物吸収表面領域において薬物を均一に拡散させる。この膜は、速い移送速度を可能とする、粘着剤、ヒドロゲル又はポリマー物質と効果的に連携し、これらにより被覆することができる。実施において、薬物投与を継続しないことが必要なとき、残存する薬物製剤は、乾燥剤を含有するか、親水性物質(ヒドロゲル)を含有する廃棄チャンバーを介して膜領域から除去若しくは留去されるか、又はデバイスが取り除かれる。さらに、適切に皮膚を通して受動的に通過し得ない薬物に対して、時間薬理学的薬物送達を達成するために、上記のデバイスは透過エンハンサーを用いることができ、それにより皮膚を通しての透過が補助される。これには、例えば、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入(共に機械的透過エンハンサーと呼ばれる)を含む機械的透過エンハンサー或いは広範囲の化学的浸透エンハンサーがある。
【0033】
図4に示す1つの例において、マイクロポンプの必要性が最小限であるか、必要のない加圧された薬物リザーバーが使用される。電子機器は、製剤が高度に透過性のある膜と接触した状態になる薬物チャンバーに適用される薬物の量を制御することが可能なバルブを制御する。さらに、適切に皮膚を通して受動的に通過し得ない薬物に対して、時間薬理学的薬物送達を達成するために、上記のデバイスは透過エンハンサーを用いることができ、それにより皮膚を通しての透過が補助される。これには例えば、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入(共に機械的透過エンハンサーと呼ばれる)を含む機械的透過エンハンサー或いは広範囲の化学的浸透エンハンサーがある。
【0034】
製剤を送達するための経皮パッチの構成及び使用が知られている。例えば、米国特許第5370635号を参照することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。かかるパッチは、活性物質の持続的、脈動的又はオンデマンドの送達のために、飽和された媒体、加圧されたリザーバー、又はマイクロポンプを有する非加圧リザーバーを用いて構成することができる。
【0035】
例えば、プログラムされた、経皮的な、脈動性の薬物送達デバイスを用いて、本明細書に示されているような時間薬理学的投与プロファイルに従って活性化合物を投与するとき、活性物質の薬学的に許容される組成物は、機械的皮膚浸透エンハンサー(限定されないが、一般に極微針と称される微細加工構造体、熱、イオン導入、超音波導入を含む)又は広範囲の化学的浸透エンハンサー(例えばオレイン酸、エタノール、アミノ酸、オレイルアルコール、長鎖脂肪酸、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、エトキシジグリコール、キシレンスルホン酸ナトリウム、エタノール、N−メチルピロリドン、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、N−メチル−2−ピロリドン等)と組み合わせてもよく、これらは活性物質に対する皮膚の浸透性を増大させ、活性物質を皮膚を介して血流中に浸透させる。
【0036】
薬学的に許容される組成物は、限定されないが、アルコール類、保湿剤、湿潤剤、油類、乳化剤、増粘剤、希釈剤、界面活性剤、香料、防腐剤、抗酸化剤、ビタミン類、又はミネラルを含む1種又は複数の物質と組み合わされていてもよい。
【0037】
デバイス−皮膚界面結合媒体及び/又は制御膜は、限定されないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(エチレン・共酢酸ビニル(co−vinyl acetate))、ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンビニルアルコール)等を含有し、ゲル又はヒドロゲル形態の組成物を提供する。これは、水、塩化メチレン、エタノール等の溶媒に溶解され、蒸発させて所望の粘度に、次いで支持材料に適用してパッチにすることができる。対照の膜は、微孔性ポリエチレン、ポリエチレン・共酢酸ビニル(EVA共重合体)、ポリウレタン等の従来の材料のいずれでもよい。
【0038】
時間薬物動態学は、薬物の血漿レベルにおいて及び薬物の薬物動態を特徴付けるために用いられるパラメータにおいて観察される予測可能な変化として定義される。動物及びヒトにおける研究は、Cmax、Tmax、AUC及び半減期が薬物投与の時間関数としてしばしば変化することを示す。表1は薬物動態学における時間的な変化が実証された医薬のリストを示す。
【0039】
【表1】
【0040】
本発明者らは具体的な薬物及び疾患を、それらが以下の特性を有するため注意深く同定した:(i)時間薬理学は投与量を最適化するのに重要であるが、自動化された経皮システムが存在しないため、実施されず、(ii)これらの薬物は経皮的に受動的に吸収され得る(即ち、超音波導入、イオン導入、電気泳動、極微針等、又は他の透過促進等の外部調節又は前処理を必要としない)。具体的な物質としては、カフェイン及びエフェドリン、並びにハーブの栄養補助食品、(禁煙のための)ニコチン、(心臓発作及び脳梗塞を処置するための)ニトログリセリン、(慢性疼痛を処置するための)フェンタニル、(喘息を処置するための)アルブタモール、及び(うつ病、注意力欠如障害又はパーキンソン病の処置のための)セレギリンに加え、種々の薬局の一般用医薬品(OTC)及び(疲労、睡眠障害、注意力欠如障害、及び種々の他の状態を処置するための)処方された刺激剤を含む。本発明の使用を可能にする時間薬理学的システムの例を表2に要約する。
【0041】
【表2−1】
【表2−2】
【表2−3】
【表2−4】
【0042】
このシステムを用い、本発明は、各投与中の皮膚に曝された薬物の量を正確に制御することにより、時間及び各投与量を予めプログラムすることができる。この特徴は、例えば目覚め前の1〜2時間の睡眠中に投与するときに最も有利である。本発明は疾患のピークの症状を的確に解消し及び患者の順守を増大させる。
【0043】
本発明は、最初の真の非侵襲的な時間薬理学的薬物送達デバイスを提供する。図2aに示すように現在の経皮的使用は投与プロファイルに制限されるが、本発明の自動化された実施は、最適な治療に対して患者向けに調整された投与管理を達成するため、種々の薬物送達パターンについてプログラムすることができる(図2b)。
【0044】
薬物等の活性物質の制御された経皮放出に対して多くの利点がある。本明細書において使用される場合、用語「制御された」又は「持続した」活性物質の放出は、プログラムされたスケジュールに従う継続的又は非継続的、線形又は非線形の活性物質の放出を含む。制御された放出の利点の中には、患者に対する単一使用の便利さ、繰り返しの注射に関連し得る全身濃度のピーク及び谷の回避、活性物質の全体の投与量を低減する可能性、体への低ストレス、及び活性物質の薬理学的効果を促進する可能性がある。持続した低い投与量は、導入療法においてときどき見られる悪影響を防止することもできる。治療のコストを顕著に低減することに加え、放出制御薬物療法は患者を反復処置又は入院から解放することができ、従って患者により大きな柔軟性と患者の順守の改善をもたらす。
【0045】
ある薬物の放出制御製剤は、これまで使用され又は考えられていなかった方法で薬物を使用する機会も提供する。本発明は、(i)知られている時間薬理学的情報が、予め決められた時間において決められた用量で投与したときに薬物の効果を最適化し得ることを示す場合、及び/又は(ii)投与管理による患者の順守が自動化に依存して大きく増大する、即ち、不適当な時間、即ち、夜間の睡眠中に投与が要求される場合に特に有利である。
【0046】
本発明は、広範囲の状態及び症状を処置、治療、予防、管理、又は緩和するのに用いることができる。例えば、本発明の薬物送達管理は、ビタミン及び/又はミネラルの欠乏、癌、中毒、関節炎、パーキンソン病、注意力欠如障害、心臓血管障害、風邪/流感症状、疼痛、小児気管支喘息、消化性潰瘍、術後回復、及びその他以下に示す事項の群から選択される状態を処置するために投与する。
【0047】
用途−ArisePatch(商標)
検討された消費者製品はArisePatch(商標)である。大部分の人は早朝に目覚めるときの困難さ及び不快感を経験している。2002全国睡眠基金(National Sleep Foundation)の調査によると、年齢18から29歳の米国の成人の49%が朝の目覚めに問題を有しており、年齢30から64歳の米国の成人の41%が朝の目覚めに問題を有している。米国だけで18歳から64歳までの成人が165,000,000人おり、米国の18歳から64歳までの成人の約74,250,000人が朝の目覚めに問題を有することを意味する。
【0048】
時間治療原理:
本発明のArisePatchの実施は各個人が、睡眠中に、薬局の一般用医薬品(OTC)を摂取すること又は目覚め前の1−2時間の間に処方刺激剤を自動的に投与されることを可能にする。図5は、横軸の時間と共に縦軸にナノグラム/リットルのエフェドリンの血漿レベルを示す、刺激剤投与プロファイルの一例を説明する。刺激剤濃度は、目覚める直前にピークレベルに到達する。目覚め直後に各個人は機敏であり、十分な休息を感じる。ArisePatch(商標)は、早い起床に関係する典型的な不快感又は困難さを排除する。この機能は、時間厳守を確保する仕事のために起床する従業者に、そして夜更かし、時差ぼけ、病気に関する朝の不快感を緩和することを望むほぼ全ての人に魅力的である。
【0049】
用途−禁煙
(例:ニコチン)
ニコチン置換は、禁煙しようと努力する喫煙者を支援する治療に最も頻繁に使用されてきた。喫煙者は、たばこに対する渇望が朝の目覚め直後に最高になると報告している。目覚めと最初のたばこの間の経過時間は中毒の最良の指標である。大部分の喫煙者にとって、この時間はたった数分である。さらに、研究はニコチンの経皮送達が時間薬物動態により影響されることを示している。ニコチンパッチ設計は、朝及び食後の投与量の増加と夜の投与量の減少により補正されるべきである(Gries et al.,1998)。
【0050】
時間治療原理:
現在のニコチンパッチは、朝の強い渇望を緩和するために十分な朝のニコチンレベルを確保しようとして夜中間断なくニコチンを放出することにより、重い睡眠障害の原因となる。現在のニコチンパッチが有害でかつ一般的な副作用−持続性の悪夢を含む、睡眠障害、及び不眠症を有することは広く認められている。したがって、使用者はしばしば夜床に就く前にパッチを取り除くことを強いられる。このことは睡眠障害を除くが、ニコチンレベルが朝の強い渇望を緩和するには不十分となる。これは現在のニコチンパッチの主な欠点であり、多くの使用者が喫煙を再発し、禁煙療法の効果を低下させる結果となる。現在のパッチは、使用者が悪夢と朝の強い渇望からの解放との間で選択するのを困難にする。
【0051】
例:
本発明により検討された製品は、Nicotine ChronoDose(商標)システムと呼ばれる。本発明に従って、このシステムは目覚める直前の1時間の間に自動的にニコチン(又はニコチン類似物若しくは限定されないがブプロピオンを含む他の禁煙化合物)の投与を始めることができる。このことは、悪夢及び不眠症の原因となることなく、喫煙者の目覚め時のピークの渇望を取り除く。本発明者らは、このシステムが禁煙に対する優れた方法を明らかに提供すると考える。
【0052】
上記のシステムに比べてより進んだニコチン置換システムは、一度に3日間で装着され、喫煙者の渇望のピークを緩和するために、ニコチンを、図6に示すような周日のリズムパターンで放出するようにプログラムされている。図6は、横軸の時間と共に縦軸にナノグラム/ミリリットルのニコチン血漿レベルを示す、ニコチン投与プロファイルの一例を示す。この実施は、典型的な喫煙パターンに従い、予めプログラムされたレベルのニコチンを投与することにより、ニコチン依存を低下させるものである。例えば、多くの喫煙者はたばこに対する渇望が目覚め時、昼食後、午後の中頃、夕食後、及び就寝前に最高になると報告している。この本発明の実施は、ピークの渇望を緩和するために自動的にニコチンのより多くの投与量を放出し、渇望が典型的に最小の場合はニコチンが存在しない。本発明は、各処置計画に対し予めプログラムされた方法により送達してもよい。使用者による関与は、3日毎に「リザーバー」を取り換えるのみであり、必要に応じハウジングの基盤を取り換える。
【0053】
この実施は、ニコチン置換療法における著しい前進を示し、単に日中及び夜間を通して同じ量のニコチンを放出する古い技術システムに比べはるかに優れている。本発明により、(不断の流量の結果)喫煙者の依存性を増すことなく、喫煙者の耐性を体系的に低下させることができ、喫煙者をニコチンからよりよく引き離す。このことは、喫煙者により良い「あつらえの削減(tailor−down)」を可能にし、喫煙を止めるのに必要なニコチン量を低下させる。現代の禁煙は、ニコチン置換療法よりはるかに多い。プログラムは体重管理、食事療法及び心理学的補助を含む。本発明は、現在のニコチン置換療法の負の副作用、即ち、睡眠障害を排除しながら、効率的に禁断症候群に対抗することにより禁煙を可能にするという重要な要素に向けられているので、これらのプログラムによく適合する。
【0054】
用途−狭心症
(例:ニトログリセリン)
研究は、異型狭心症が1日の他の時間に比べ、午前2:00から午前4:00の間に30倍以上多く発生することを示す(「重篤狭心症相」(critical angina phase))。ニトログリセリンは、最適な投与量で投与した場合、狭心症の発作に効果的に効く。現在ニトログリセリンパッチは存在するが、時間を通して一定量のニトログリセリンを間断なく放出することのみが可能である。現在のニトログリセリンパッチは、重篤狭心症相の間、これらのピークの症状を緩和するために、より多くのニトログリセリンを正確に放出することにより、処置を最適化するように、ニトログリセリンの放出を調整することができない。
【0055】
さらに、継続的に投与すると、ニトログリセリンはその効果を失い、より高い投与量を要求する。本発明者らの体はそれに耐性を示すようになる。現在のシステムは、疾患の症状が最も軽いときにニトログリセリンの放出を止めたり、減らしたりすることができない。したがって、これらの現在の「無能な」パッチは、より多くの薬物を放出することにより重篤狭心症相を緩和することも、体が必要としないときにニトログリセリンの投与を遮断又は停止することもできない。一度「無能な」パッチを患者に適用すると、「1つの投与がすべてに適合する(one dose fits all)」タイプのシナリオとなる。
【0056】
時間治療原理:
本発明に従う方法は、重篤狭心症相の間、これらの症状の適切な緩和を確実にするために、より多くのニトログリセリンを、そして耐性が形成されないように、必要としない場合はより少ないニトログリセリンを経皮投与するように自動化された経皮システムを利用する。本発明者らの方法は、ヒトの体の概日リズムによって起こる疾患サイクルにおいて、これらの重篤相のピークを緩和するために、現段階で「賢い」パッチ医薬システムを利用する。
【0057】
予めプログラム可能な自動化された経皮システムは、腕時計のように手首(又は前腕若しくは足首)に装着し、最適に同調する時間において、最適投与量によりニトログリセリンを放出する。これは予めプログラムされ、かつ調整された(tailored)投与プロファイルに従う。現在のニトログリセリンパッチは、ある期間を通して一定の投与量のニトログリセリンを放出する機能のみを有する。現在のニトログリセリンパッチは、1日の異なる時間に投与量を増大させるために、及び1日の別の時間に投与量を減少させるために、投与量を簡単に修正又は変更することができない。
【0058】
例:
本発明に従うニトログリセリンシステムは、現在のニトログリセリンパッチに対して3つの主な利点を有する。第1に、このシステムは、重篤狭心症相の間に起こる朝の発作のピークの症状を緩和するために、ピークの量のニトログリセリンを自動的且つ正確に放出する。現在のニトログリセリンパッチは放出速度が一定に固定されており、重篤相を緩和するために増大せず、症状が軽くなるに従って減少しない。第2に、本発明者らのシステムはピークから外れた時間帯においてニトログリセリンの放出をより少なくする(又は放出しない)ことにより、そして、耐性が増大することなく、重篤期間中にニトログリセリンが存在するようにちょうど適切な時間にニトログリセリンを放出することにより、耐性の問題を解決する。第3に、本発明者らのシステムは、重篤相において患者が薬を摂取するために起床することを必要とせず、上記の1及び2を自動的に達成し、患者の増大した順守の必要を排除する。
【0059】
このニトログリセリンシステムは、心臓発作及び脳梗塞の処置及び/又は予防にニトログリセリンを習慣的に用いている患者に対して理想的な送達システムを示す。心臓発作薬の時間管理及び投与に関する患者の順守は重大である。このため医師の指示を順守しない患者は、米国保健社会福祉省によればしばしば再入院することになる。このシステムはこの問題を解決し、患者順守を劇的に増大させることにより再入院の必要を減少させる。
【0060】
このシステムは、「毎晩装着し、朝に取り除く」システムで、それによりニトログリセリンを自動的に放出するだけで朝の重篤狭心症相を緩和するシステムか、又は24時間から数日間の間装着する「総合解決」システムであって、ニトログリセリンを調整された量で、体の概日リズムに同調するように調整された時間に投与するシステム(シャワーや水泳の間は便宜上取り外す)のいずれであってもよい。
【0061】
このシステムは革新的で新しい狭心症の薬物療法である。人の概日リズムに同調した最適化及び自動化された時間及び投与量を投与する利点により、本発明に従ったシステムは、患者がまさに必要とするときにニトログリセリンが血流中を循環し、かつ耐性を形成することがないことを確実にする。これらの理由のために、本発明は現在の定常放出ニトログリセリンパッチより優れている。本発明者らのシステムのさらなる利点は、中等度から重篤な狭心症を有する患者に特に関係する。
【0062】
図7は、異型狭心症発作又は狭心症を処置するために調整されたニトログリセリン送達システムに対する投与プロファイルの一例を示す。この型の狭心症発作は、多くの患者において午前2:00から4:00の間の時間に最も高い頻度で起こる。これは特にニトログリセリン等の薬物を摂取するために目覚めるのが困難な時間である。本発明に従って、図7に示されるのと実質的に同様の投与プロファイルが自動的に投与される。図7において、縦軸はナノグラム/ミリリットルによる血漿レベルを示し、横軸は午後10:00から一晩を通して午前8:00までの時間を示す。
【0063】
図8は、ストレス誘発狭心症発作を処置するために調整されたニトログリセリン送達システムに対する投与プロファイルの一例を示す。図8において、縦軸はナノグラム/ミリリットルによる血漿レベルを示し、横軸は午前12:00から日中を通しておよそ午後4:00までの時間を示す。図8に示す投与プロファイルは、ストレスが起きやすい1日の起きている時間全体を通して高血漿濃度を示す。
【0064】
用途−関節炎
(例:インドメタシン、バルデコキシブ)
目覚める直前の関節炎の症状が最も悪い朝に薬物濃度を自動的に増大させるために、自動化され、プログラムされた、脈動性の薬物送達デバイスが望まれている。その後、真昼近くに、薬物濃度がまた上昇する。それから晩に、就寝前に薬物投与量が増大する。
【0065】
時間治療原理:
最も普通の形態、変形性関節症及びリウマチ性関節炎の両方が、疼痛の独特な概日パターンを示す。多くの人が朝、起床した後最初の1時間程度硬直を感じるのに対し、変形性関節症の患者は、典型的には午後及び晩に最も痛み及び最も動作の困難さを覚える。リウマチ性関節炎の患者は、ほとんど常にかなり痛みを感じるが、朝が最悪である。夜、早朝及び真昼に投与することにより、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)及びシクロコイゲナーゼ(cyclocoygenase)−2阻害剤(COX−2)の利益を最大にし、副作用を減らすことができる。
【0066】
関節炎のための医薬は以下のものを含む。
・ インドメタシン[Indocin(登録商標)]
・ ジクロフィナク(diclofinac)[Voltarin(登録商標)及びCataflam(登録商標)]
・ フルルビプロフェン[ANSAID(登録商標)]
・ セレコキシブ[Celebrex(登録商標)]
・ バルデコキシブ[Bextra(登録商標)]
・ アセトメノフェン[Tylenol(登録商標)]
・ オキサセプロール(Oxaceprol)
【0067】
(実施例1)
インドメタシン(NSAID)
インドメタシンの主な副作用は胃の不調及び出血である。したがって、経皮関節炎パッチは、経口の錠剤又はカプセルに対して有利な投与形態である。さらに、インドメタシンを使用する研究は、午前8:00に投与したときに比べ、夜に投与したときにより良い効果及び患者の順守を示した。
【0068】
インドメタシンの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は0.93μg/cm2/hrである。
【0069】
したがって、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前5:00−9:00:BPCは0.5−2.0mcg/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(中等度)
午後12:00から午後8:00:BPCは0.25−1.5mcg/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(最高)
午後8:00−午後11:00:BPCは0.5−2.0mcg/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図9に示すようであるべきである。
【0070】
(実施例2)
バルデコキシブ(COX−2阻害剤)
【0071】
インドメタシンと同様に、COX−2阻害剤の主な副作用は胃の不調及び出血である。したがって、経皮関節炎パッチは、経口の錠剤又はカプセルに対して有利な投与形態である。経皮送達されたCOX−2阻害剤の低い血漿濃度は、経口投与によって得られたより高いBPCと治療的に同等であるとして示唆されている。
【0072】
したがって、投与量はChronoDOseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前5:00−9:00:BPCは50−175ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(中等度)
午後12:00から午後8:00:BPCは21−125ng/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(最高)
午後8:00−午後11:00:BPCは50−175ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図10に示すようであるべきである。
【0073】
用途−喘息
(例:ツロブテロール)
自動化された経皮喘息システムは、「モーニングディップ(morning dip)」として知られている朝の喘息発作のピークの症状に対抗するために、自動的にアルブテロール、ツロブテロール、サルメテロール、ベータ2アゴニスト又は他の抗不整脈薬物(「喘息薬」)の朝の投与量を投与する。
【0074】
時間治療原理:
喘息発作は、午前4時から午前6時の間、大部分の人が眠っているときに100倍以上の頻度で起こる。これは、モーニングディップとして知られている早朝の呼吸機能の低下によるものであり、それは1日のうちで呼吸機能が最も低下している時間である。これらの早朝の喘息発作は患者と介護人に大きな苦痛をもたらす。モーニングディップは、喘息発作が100倍起こりやすくなるこの時間における呼吸機能の低下である。本発明者らのシステムは、朝の症状のこのピークを緩和するために、この時間により多くの喘息薬を放出することによりモーニングディップに効果的に対抗する。言い換えると、本発明者らの「賢い」パッチは、呼吸機能が最低のときに薬物濃度を最高にするように血流中の薬物のレベルを変化させる。
【0075】
現在、「無能な」喘息パッチはあるが、時間を通して一定量の薬物を定常的に放出できるだけである。現在のパッチは、朝低下している間、これらの重篤な症状を緩和するために、より多くの薬物を正確に放出することにより、薬物の放出を調整して処置を最適化することができない。
【0076】
この喘息システムは、現在のパッチに対し2つの主な利点を有する。第1に、本発明のシステムは、その核となる競争力のある利点を利用し、自動的且つ正確にツロブテロール又は他の喘息薬を、モーニンデップに関係するピークの症状を緩和するためにピークの量で放出する。現在のパッチは、放出速度が一定に固定されており、このピークの重篤相を緩和するために増大することがなく、症状の軽減に従って減少することがない。第2に、本発明者らのシステムは、患者がこの重篤相において薬物を摂取するために起床することを必要とせず、それは患者の増大した順守の必要を排除して、上記の1及び2を自動的に達成する。
【0077】
喘息のための自動化された経皮システムは、腕時計のように手首(又は上腕若しくは足首)に装着され、特にモーニンデップを緩和するために、アルブテロール又は他の喘息薬を、最適に同調する時間において最適な投与量でモーニンデップ、予めプログラムされ、調整された投与プロファイルに従って放出する。現在の喘息パッチは、ある期間を通して一定の投与量を放出する能力を有するだけである。現在の喘息パッチは、投与量を簡単に変更又は変化させて、1日の異なる時間に投与量を増大させ、1日の他の時間に投与量を減少させることができない。
【0078】
このシステムは革新的で新しい喘息の薬物療法である。本発明者らの概日リズムに同調した最適化及び自動化された時間及び投与量を投与する優れた利点により、本発明者らのシステムは、患者が必要とするちょうどそのときに、増大した量のツロブテロール又は他の喘息薬が血流中を循環することを確実にする。これらの理由のために、本発明は現在の定常放出パッチより優れている。本発明者らのシステムのさらなる利点は、中等度から重篤な喘息患者に特に関係する。
時間/投与量チャートは図11に示すようであるべきである。
【0079】
用途−高血圧
(例:クロニジン)
現在のクロニジンパッチは、時間を通して薬物を一定に放出する。症状が最悪のときにより多くの薬物を放出することができない。人は症状がピークのときに最も多く死ぬ。患者が最も必要とするときにより多くの薬物を投与する利点を有することは、特に中等度から重篤度の高血圧を有する患者において、生と死の間の違いを意味し得る。
【0080】
時間治療原理:
高血圧のための自動化された経皮システムは、現在のパッチに対し2つの主な利点を有する。第1に、本発明者らのシステムは、その核となる競争力のある利点を利用し、危険な朝の症状に関係するピークの症状を緩和するために自動的且つ正確にクロニジン又は他の高血圧薬をピークの量で放出する。現在の高血圧パッチは、放出速度が一定に固定されており、このピークの重篤相を緩和するために増大することがなく、症状の軽減に従って減少することがない。第2に、本発明者らのシステムは、患者がこの重篤相において薬物を摂取するために起床することを必要とせず、それは患者の増大した順守の必要を排除して、上記の1及び2を自動的に達成する。クロニジン自動経皮システム、クロニジン、(又は別の高血圧薬)、高血圧に効く効果的な薬物を利用する。
【0081】
クロニジン自動経皮薬物送達システムは、朝の心臓発作にピークの症状に対抗するため、クロニジンの自動化された朝の放出を有する。血圧は1日の異なる時間で異なる値を示す。血圧は目覚めのときに急上昇し、睡眠時に20から30%低下する。本発明者らの予めプログラムされた自動経皮システムは、調整された方法においてクロニジンを放出することにより、その核となる競争力のある利点を利用し、症状が最も重いときに高血圧に対抗し、症状が比較的軽いときにクロニジンの放出を減少させる。
時間/投与量チャートは図12に示すようであるべきである。
【0082】
例:
用途−CNS変性疾患
(例:セレギリン)
パーキンソン病
パーキンソン病患者における睡眠障害は、概日リズムの変更であることを明らかにする。パーキンソン病において記載される自立神経系の機能障害は、血圧の概日リズムの喪失、日中の血圧変動の増大、及び食後の低血圧を含む概日調節における多くの変更を示す。コルチゾール、カテコールアミン、メラトニン等の多くの生物学的指標もまた変化する。ドーパミン作動システムにおける概日リズム、並びに薬物処置の動態において起こり得る日々の変動は、このような変動に関与するようである。
【0083】
時間治療原理
セレギリンパッチの主な負の副作用は、異常夢、不眠症、及び睡眠困難である。セレギリンを夜投与するのを明確に控え、目覚め前の1時間前後に本発明者らのシステムの核となる競争力のある利点を発揮して利用することにより、本発明者らはこの負の副作用を除去し、朝のうつ病の症状の重篤相をなお緩和することができると考える。それらのシステムを通して臨界量のセレギリンが循環していないと、患者は目覚め時の憂鬱な症状を増大させると報告されている。
【0084】
セレギリン自動経皮薬物送達システムは、睡眠障害の副作用なしに朝のうつ病のピークの症状に対抗するために、セレギリンの自動化された朝の放出をもたらす。本発明に従うシステムは就寝前に適用する。それは朝の1又は2時間前までは薬物を放出せず、したがって朝のうつ病の症状が本発明者らのシステムによって、患者に睡眠障害を与えることなく是正される。
時間/投与量チャートは図13に示すようであるべきである。
【0085】
アルツハイマー病
セレギリンは、うつ病、アルツハイマー病及び注意力欠如障害の処置のための効果的なMAO阻害剤である。現在の経口セレギリンは、多くの望ましくない副作用を引き起こす。セレギリンの経皮形態であるEMSAM(登録商標)が、現在開発されている。しかし、それはまた睡眠障害を引き起こす。本発明に従うシステムは、従来のセレギリン製品送達システムより優れている。
【0086】
時間治療原理:
セレギリンパッチの主な負の副作用は、異常夢(abnormal dreams)、不眠症及び睡眠困難である。セレギリンを夜投与するのを明確に控え、それに代えて、本発明者らのシステムの核となる競争力のある利点を利用して目覚め前の1時間前後にそれを投与することにより、本発明者らはこの負の副作用を除去し、朝のうつ病の症状の重篤相をなお緩和することができると考える。臨界量のセレギリンがシステムを通して循環していないと、患者は目覚め時の憂鬱な症状を増大させると報告されている。
【0087】
セレギリン自動経皮薬物送達システムは、睡眠障害の副作用なしに朝のうつ病のピークの症状に対抗するために、セレギリンの自動化された朝の放出をもたらす。本発明に従うシステムは就寝前に適用する。それは朝の1又は2時間前までは薬物を放出せず、したがって朝のうつ病の症状が本発明者らのシステムによって、患者に睡眠障害を与えることなく是正される。
時間/投与量チャートは図14に示すようであるべきである。
【0088】
用途−注意力欠如障害
(例:メチルフェニデート)
リタリンは、典型的には以下の発達上不適切な症状の群:中等度から重篤な散慢性、移り気、過活動性、情動不安定、及び衝動性により特徴付けられる行動症状を有する、子供達の安定効果のための他の治療手段(心理的、教育的、社会的)を含む総合処置プログラムに不可欠な部分として処方される。
【0089】
メチルフェニデートは、通常毎日2回又は3回に分けられた投与量で、好ましくは食前30から45分に投与される。1日の遅くに医薬を摂取すると眠れなくなる患者は、午後6時前に最後の投与量を摂取すべきである。提示される最初の投与が早朝であるため、自動的に投与を管理するのが便利である。
【0090】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化することができた。例えば、脈動性送達は以下に示すように、以下の範囲内において以下の時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである。
ピーク1(最高)
午前6:00−午前8:00:BPCは8−25ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午前10:00から午後12:00:BPCは8−25ng/mlの最高の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(最高)
午後3:00−午後5:00:BPCは8−25ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図15に示すようであるべきである。
【0091】
用途−うつ病
(例:セレギリン)
セレギリンは、うつ病、アルツハイマー病及び注意力欠如障害の処置のための効果的なMAO阻害剤である。現在の経口セレギリンは、多くの望ましくない副作用を引き起こす。セレギリンの経皮形態であるEMSAM(登録商標)が、現在開発されている。しかし、それはまた睡眠障害を引き起こす。本発明に従うシステムは、従来のセレギリン製品送達システムより優れている。
【0092】
時間治療原理:
セレギリンパッチの主な負の副作用は、異常夢、不眠症及び睡眠困難である。セレギリンを夜投与するのを明確に控え、それに代えて本発明者らのシステムの核となる競争力のある利点を利用して目覚め前の1時間前後にそれを投与することにより、を利用本発明者らはこの負の副作用を除去し、朝のうつ病の症状の重篤相をなお緩和することができると考える。臨界量のセレギリンがシステムを通して循環していないと、患者は目覚め時の憂鬱な症状を増大させると報告されている。
【0093】
セレギリン自動経皮薬物送達システムは、睡眠障害の副作用なしに朝のうつ病のピークの症状に対抗するため、セレギリンの自動化された朝の放出をもたらす。本発明に従うシステムは就寝前に適用する。それは朝の1又は2時間前までは薬物を放出せず、したがって朝のうつ病の症状が本発明者らのシステムによって、患者に睡眠障害を与えることなく是正される。
時間/投与量チャートは図16に示すようであるべきである。
【0094】
用途−尿失禁
(例:オキシブチニン)
薬物濃度を自動的に夜寝ている間に上昇させ、日中の労働時間中に減少させ、労働後就寝前に薬物濃度を再びわずかに上昇させるために、自動化され且つプログラムされた、脈動性薬物送達管理が望まれている。
【0095】
時間治療原理:
オキシブチニンの主な有害な副作用は、日中の眠気、日中の注意及び認識の欠如、眠気、目まい、かすみ目(自動車の運転、機械の操作、又は他の危険な活動の実施時に注意しなければならない)である。したがって、治療範囲の下限の投与量を日中に投与し、労働時間の後にわずかに多い投与量を投与し、睡眠時間中により多い投与量を投与するべきである。
【0096】
このことは、日中の眠気、日中の認識障害の潜在的に重大な副作用を低減する。この投与管理はまた使用者に、夜の睡眠中の高い投与量をもたらす。この時間において、増大した眠気は、失禁衝動を阻害することにより邪魔されない睡眠時間を提供することと同様に有益である。失禁のための医薬は以下のものを含む:
・ オキシブチニン[Ditropan(登録商標)、Oxytrol(登録商標)]
・ トルテロジン[Detrol(登録商標)]
・ デュロキセチン[Yentreve(登録商標)]
【0097】
(実施例1)
オキシブチニン
オキシブチニンの5mgの経口投与又は39mgの経皮投与後の平均の最大血漿濃度は3ng/mLである。血漿濃度は1から3ng/mLである。
【0098】
オキシブチニンに対する理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は10.98ug/cm2/hrである。
注:現在のオキシトロール(Oxytrol)パッチの投与量は1日あたり3.9mgである。
【0099】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化することができた。例えば、脈動性送達は以下に示すように、以下の範囲内において以下の時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである。
ピーク1(最高)
午後11:00−午前7:00:BPCは2.5−4.5ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(低い)
午前7:00から午後5:00:BPCは0.75−1.5ng/mlの最も低い治療範囲にあるべきである。
ピーク3(中等度)
午後5:00−午後11:00:BPCは1.5−2.5ng/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図17に示すようであるべきである。
【0100】
用途−頭痛及び片頭痛
(例:ゾルミトリプタン)
夜に必要な医薬を供給し、睡眠中の非常に早い朝(0200−0400)に、及びその後再び目覚め時(0800−1000)に薬物濃度を自動的に増大させるために、自動化され且つプログラムされた、脈動性薬物送達管理が望まれる。これにより、日中の労働時間中、減少した濃度は通常の活動を可能にする。
【0101】
時間治療原理:
片頭痛、群発頭痛及び緊張性頭痛は、早朝の時間帯(通常、午前2時から4時の間)に個人を目覚めさせる、又は目覚め時に存在する頭痛を引き起こす。慢性緊張性頭痛を有するそれらの個人は、たいがい早朝の時間帯に頭痛により目覚める。この頭痛は、また1日のその時間に最も悪くなる傾向がある。頭痛のこの早朝のパターンは種々の原因からなる。
【0102】
さらに、寝坊又は週末に関連した主な頭痛はカフェイン離脱に原因する。遅くまで寝ることは朝のカフェインの摂取を遅らせ、そのことはしばしば離脱症状及び片頭痛をもたらす。多くの人は週末にカフェインの摂取量が低下し、そのことは週末の片頭痛の発作を容易に説明する。月曜日及び火曜日は1週間の他の日に比べ、片頭痛がより少ない。
【0103】
頭痛及び片頭痛のための医薬は以下のものを含む:
予防薬
・ カフェインによる鎮痛剤、例えばExedrine(登録商標)Migraine(アセトアミノフェン、アスピリン及びカフェイン)。
・ カフェイン及びバルビツール酸塩による鎮痛剤、例えばFiorinal(登録商標)[ブタルビタール(butalbital)、アスピリン及びカフェイン]及びFioricet(登録商標)[ブタルビタール、アセトアミノフェン及びカフェイン]。
・ 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、例えばAdvil(登録商標)(イブプロフェン)、及びAleve(登録商標)(ナプロキセンナトリウム)。
・ エルゴタミン、例えばCafergot(登録商標)(カフェイン及びエルゴタミン酒石酸塩)及びMigranal(登録商標)(ジヒドロエルゴタミン)。
・ トリプタン、例えばZomig(登録商標)(ゾルミトリプタン)、Maxalt(登録商標)(リザトリプタン)、Imitrex(登録商標)(スマトリプタン)、Frova(登録商標)(フロバトリプタン)、Axert(登録商標)(アルモトリプタン)及びAmerge(登録商標)(ナラトリプタン)。
【0104】
Excedrin MigraineはBristol−Myers Squibb Companyの登録商標である。
Fiorinal及びFioricetはNovartis Pharmaceuticals Corporationの登録商標である。
AdvilはWhitehall−Robbins Healthcareの登録商標である。
AleveはBayer Corporationの登録商標である。
Cafergot and MigranalはNovartis Pharmaceuticals Corporationの登録商標である。
ZomigはAstraZenecaの登録商標である。
MaxaltはMerck&Co.,Inc.の登録商標である。
ImitrexはGlaxoSmithKlineの登録商標である。
FrovaはElan Pharmaceuticals/UCB Pharma,Inc.の登録商標である。
AxertはPharmaciaの登録商標である。
AmergeはGlaxoSmithKlineの登録商標である。
【0105】
予防薬
・ Inderal(登録商標)(プロパノロール)*、Blocadren(登録商標)(マレイン酸チモロール)*、及びメトプロロール等のベータブロッカー
・ Cardizem(登録商標)(ジルチアゼム)及びProcardia(登録商標)(ニフェジピン)等のカルシウムチャネルブロッカー
・ Prozac(登録商標)(フルオキセチン)、Paxil(登録商標)(パロキセチン)及びZoloft(登録商標)(セルトラリン)等の抗うつ薬
・ Depakote(登録商標)(バルプロ酸又はdivalproex sodium)*等の抗けいれん薬
・ Orudis(登録商標)(ケトプロフェン)、Aleve(登録商標)(ナプロキセンナトリウム)等のNSAID
【0106】
InderalはAstraZeneca社の登録商標である。
BlocadrenはMerck&Co,Inc.の登録商標である。
CardizemはAventis Pharmaceuticalsの登録商標である。
ProcardiaはPfizer Inc.の登録商標である。
ProzacはEli Lilly and Companyの登録商標である。
PaxilはGlaxoSmithKlineの登録商標である。
ZoloftはPfizer Inc.の登録商標である。
DepakoteはAbbott Laboratoriesの登録商標である。
OrudisはAventis Pharmaceuticalsの登録商標である。
AleveはBayer Corporationの登録商標である。
【0107】
例、ゾルミトリプタン
血漿濃度は1.0から5.0ng/mlの間である。
【0108】
ゾルミトリプタンの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は6.02ug/cm2/hrである。
【0109】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前2:00−午前4:00:BPCは3.5−4.0ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午前8:00から午前10:00:BPCは3.5−4.0ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
谷(最低)
午後12:00−午前12:00:BPCは1.0−3.0ng/mlの最も低い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図18に示すようであるべきである。
【0110】
用途−糖尿病
(例:ミグリトール)
食事時間と同時に、朝(0800)、真昼(1200)及び夜(1800)に薬物濃度を自動的に上昇させるため、自動化され、及びプログラムされた、脈動性薬物送達管理が望まれている。
【0111】
ミグリトールは、高血糖症が食事だけでは管理することのできない、非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)の患者における血糖コントロールを改善するための、食事の付加物として処方されている。
【0112】
ミグリトールの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は49.24ug/cm2/hrである。
【0113】
かくして、投与量はChronoDoseシステムを用いて最適化し得る。例えば、脈動性送達は、以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)を有すべきである:
ピーク1(最高)
午前8:00−午前10:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午前12:00から午後2:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
谷(最高)
午後6:00−午前8:00:BPCは最も低い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図19に示すようであるべきである。
【0114】
用途−疼痛管理
(例:フェンタニル)
多くの疾患及び疼痛の原因となる状況(手術後、外傷性傷害後)は、予測可能な疼痛パターンを有する。例えば、コルチゾールは夜間においては体内に実質的に存在せず、炎症に効くものである。したがって、炎症(リウマチ性関節炎、術後疼痛、外傷後疼痛、背痛、神経疼痛)に起因する任意の疼痛は、午前3:00から午前8:00の間の早朝時間帯において最も一般的である。片頭痛は午前6:00前後に最悪となる。強直性脊椎炎痛は、午前6:00から午前9:00の間に急増する。変形性関節症は午後の中頃に急増する。
【0115】
疼痛は、患者ごとに大きく変動し、またいくつかの研究は疼痛の大きさが1日の時間によって変動することを示唆している。ヒトの研究において、実験的に誘発された疼痛は、朝、又は午後、又は夜において最大になると報告された。疼痛の概日パターンが種々の疾患によって生じた疼痛に苦しむ患者において認められてきた。例えば、歯痛の最も激しい痛みは朝に起き、他方、胆石疝痛、片頭痛、及び難治性疼痛は夜に最大となった。リウマチ性関節炎の患者は痛みのピークが早朝にあると報告し、他方、膝の変形性関節症を有する患者は1日の終わりに最大の痛みが生じることを示した。オピオイドの効果は1日の時間によっても変化するように見えるが、ピークの時間における効果の大きな相違及び低い効果が見られた。ピークの疼痛及び麻酔薬要求が早朝に生じ、又は1日の終わりに生じ得る。疼痛は複雑な現象であり、個々の臨床症状に特異的である。
【0116】
自動化され且つプログラムされた、脈動性経皮薬物送達管理は、疼痛が炎症によって生じる、午前3:00から午前8:00の間の、人々の眠っている間に、自動的に、フェンタニル又は他の鎮痛剤の血漿濃度を実質的に増大させることが求められている。何故なら、炎症に対する重要な対抗物質であるコルチゾンがその時間に体内で最低になるためである。さらに、自動化され且つプログラムされた、脈動性経皮薬物送達管理は、強直性脊椎炎の疼痛に対して、午前6:00から午前9:00の間に、変形性関節症の疼痛に対して午後の中頃に、自動的に、フェンタニル又は他の鎮痛剤の血漿濃度を実質的に増大させることが求められている。
【0117】
他の鎮痛剤として、コデイン、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン又はヒドロモルホン、スフェンタニル、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ヒドロモルホン及び任意のタイプの鎮痛剤誘導体を含む。
【0118】
それらは効果的であり、かなりの肝初回通過効果(hepatic first pass effct)及び短い半減期があり、及びそれらは皮膚透過性があるため、経皮的疼痛管理のための典型的な選択例である。
【0119】
例えば、炎症により増大する疼痛に対し、上記の状況におけるように、本発明者らの投薬計画は、フェンタニルが以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)に到達するために、自動化され且つプログラムされた、経皮脈動性薬物送達を提案する:
ピーク1(最高)
午前3:00−午前8:00:フェンタニルのBPCは、2−8ng/mlの最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最低)
午前8:00から午後5:00:BPCは1−3ng/mlの中等度の治療範囲にあるべきである。
ピーク3(中等度)
午後5:00−午前3:00:BPCは2−5g/mlの最も低い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図20に示すようであるべきである。
【0120】
用途−癌
例:
癌の時間治療は、抗癌剤を抗癌作用及びそれらの正常細胞に対する有害な作用の概日リズムに従う、最適な時間に投与する、新規で論理的治療法であるため、注意を引く。時間生物学における進歩は、視交叉上核(suprachiasmatic nucleus)(SCN)を生物的リズムの中心と同定し、及びPER1、PER2、PER3、CLOCK、BMAL1、TIM、CRY1、CRY2等の時計遺伝子、タウが生物リズムを生成し、調整するために作用する領域と同定した。これらの発見は化学療法の発展をもたらした。臨床的に、進行した消化器癌の患者は、応答性のよい時間的調節化学療法によって処置された。切除不能な肝転移を有する結腸直腸癌の患者に対し、g−OHP+5−FU+FA(フォリン酸)による時間療法は、肝転移の完全な外挿的切除を可能にし、39から50%の5年生存率をもたらすと報告された。
【0121】
手術、抗癌剤、放射線療法、及び生物剤の概日時間管理は、毒性プロファイル、腫瘍管理、及び宿主の生存率を向上させることができる。ドキソルビシン及びピラルビシン(06:00h)及びシスプラチン(18:00h)により最適に時間管理された癌化学療法は、副作用を最小限に止めながら、進行した卵巣癌の管理を向上させ、転移性子宮内膜癌における奏功率を増大させた。ドキソルビシン−シスプラチンを用いた転移性膀胱癌の治療は、この同じ概日手法によってより耐えることが可能となり、57%の客観的奏功率を示した。この最適に時間管理された治療法は、アジュバントの設定においても効果的であり、局所的に進行した膀胱癌からの予想される転移の頻度を減少させる。フルオロデオキシウリジン(FUDR)の概日の継続的注入(15:00hから21:00hの間に毎日の投与量の70%が投与される)が転移腎細胞癌に有効であり、29%の客観的奏功率を示し、患者の大部分において1年以上の持続時間で疾患を安定化させた。FUDRの注入を概日リズムに調節するとき毒性は顕著に低下する。
【0122】
時間療法は、化学療法薬の副作用の量を軽減するのにも用いられた。何年にもわたって、医師はアドリアマイシン及びシスプラチンのこれらの薬物の2つを朝及び晩にそれぞれ投与することにより、副作用を半分に低減できることを認識していた。
【0123】
かくして、ChronoDoseシステムを用いることにより投与量を最適化することができた。例えば、脈動性送達は具体的な各医薬について示される血漿濃度(BPC)を有するべきである。
時間/投与量チャートは図21(a、b及びc)に示すようであるべきである。
【0124】
用途−後天性免疫不全症候群(AIDS/HIV)
例:ジドブジン、ディダノシン
現在使用可能な抗レトロウイルス薬の投与計画は、HIV感染患者の大部分において、HIVの複製抑制、CD4の回復を可能にする。課題は、治療を限定する毒性をもたらすことなく、耐性選択(resistance selection)の防止を十分にするために、HIVの複製を最も永続的に抑制すると思われる投与計画に各患者を適合させることである。CD4細胞数と血漿ウイルス量に関連した処置の開始時期を知ることは重要であるが、困難である。
【0125】
HIV感染及びAIDSの処置のために抗レトロウイルス療法を順守することは、HIV医療提供者及び患者の間で最も重要な臨床的課題の1つになってきた。指示された投与計画を順守することは、ウイルス量が検出不能となる患者を予測できる。残念なことに、抗レトロウイルス療法においては順守されないのが一般的であり、それはウイルス量の増大及び薬剤耐性の発生を伴ってきた。患者の順守を最大にする努力は、HIVの複製を抑制し、薬剤耐性ウイルスの感染を防ぐ上で重要である。
【0126】
以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)に到達するための、ジドブジンの自動化され、及びプログラムされた、経皮脈動性送達は:
ピーク1(最高)
午前5:00−午前9:00:ジドブジンのBPCは、最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午後7:00−午後11:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
ジドブジンの理論上の、促進されない経皮的流量(Berner−Cooper予測モデル)は17.94ug/cm2/hrである。
時間/投与量チャートは図22に示すようであるべきである。
【0127】
用途−てんかん
例:ガバペンタン
脳障害であるてんかんを有する大部分の人において、発作は1日の予測される時間に繰り返される。てんかんを有する人の約半数は発作を主に目覚め時に経験する。約四分の一の人は発作を主に睡眠中に経験する。その他の人においては、時間は一貫しておらず、発作が昼及び夜の両方で起こる。
【0128】
現在、米国において20以上の抗発作薬(抗けいれん薬又は抗てんかん薬)が入手可能である。いくつかは経口避妊薬を含む他の薬物の活性と干渉しないように特別に設計されている。それらは、ガバペンチン(ニューロンチン)、ラモトリジン(ラミクタル)、トピラメート(トパマックス)、チアガビン(ガバトリル)、レベチラセタム(ケプラ)、及びオキサカルバゼピン(トリレプタル)を含む。
【0129】
新しい医薬ではなく、バルプロ酸塩及びフェニトインの2つの古い医薬のみが、1日の異なる時間又は月経サイクルの異なる相に摂取した場合にどのように作用するかに関して研究されている。バルプロ酸塩及びフェニトインにおける知見を他の抗てんかん薬に一般化できるかどうかは分からない;結果は問題を提起しているが、一層の研究を緊急に必要とする。バルプロ酸塩の研究は、人がそれを夜に摂取するとき、朝に摂取する場合に比べてより遅く、より低効率で吸収することを示す。発作に対する保護は、通常夜の睡眠の前半を占める状態である、NREM睡眠において最も必要とされるため、この知見は関心事である。
【0130】
以下に示す範囲内で以下に示す時間における血漿濃度(BPC)に到達するための、ガバペンタンの自動化され且つプログラムされた、経皮脈動性送達は:
ピーク1(最高)
午前5:00−午前9:00:ガバペンタンのBPCは、最も高い治療範囲にあるべきである。
ピーク2(最高)
午後7:00−午後11:00:BPCは最も高い治療範囲にあるべきである。
時間/投与量チャートは図23に示すようであるべきである。
【0131】
用途−風邪及び流感の処置
例:トリプロリジン
風邪及び流感の症状は、コルチゾールの濃度がその時間に最低であるため、真夜中から早朝までが最悪である。現在の夜間の風邪及び流感の医薬は、風邪及び流感の症状が最も重い早朝までに効果を消失する。したがって、風邪及び流感に罹っている人は症状が重くなることにより、睡眠を短く断ち切られ、しばしば気分悪く目覚める。就寝前に設置、装着することにより、本発明はより多くの投与量の医薬及び免疫促進剤(immuno−booster)を早朝の時間帯に自動的に送達し、朝に起きる風邪及び流感のピークの症状により効果的に対抗する。
【0132】
この実施は、処方された風邪薬又はOTCの風邪薬を単独で、又は場合によって経皮的に効果的なビタミン及び免疫系促進剤との組合せにより、風邪及び流感による病気を総合的に解決する。これは、OTC医薬と補助的な免疫促進剤が総合的で且つ自動化された方法において組み合わされた初めての風邪の治療方法である。
【0133】
特定の用途において、風邪及び流感の自動化された経皮薬物送達システムは、OTC風邪薬、ビタミンC、エキナシア、及び亜鉛を利用し、風邪及び流感による病気をすべて寝ている間に総合的に解決する。風邪/流感システムは、1日で最も悪いと確認された夜中及び早朝の症状に対抗するために、これらの化合物の組合せを一晩中2時間毎に放出し、より多い化合物の投与量を朝に放出する。使用者は朝の時間帯により軽減された風邪及び流感の症状を経験し、睡眠サイクルを短く断ち切られることなく、症状を感じることなく目覚めることができる。
時間/投与量チャートは図24に示すようであるべきである。
【0134】
用途−体重管理、ビタミン及び薬草の補助
さらに別の用途において、体重低下ビタミン(weight loss vitamins)及び栄養補助食品を少ない明確な投与量で、連続的に数日間にわたって多数回投与する。ビタミン及び栄養補助食品は少ない投与量において体に吸収される。一般に信じられているのとは反対に、1日に1回の製品は、過剰な投与量は使用されずに排泄されるため、最も効果的ではない。本発明のこの実施は、少量ではあるが明確な量のビタミン及び栄養補助食品の投与時間及び投与量を24時間正確に管理し、ビタミン及び栄養補助食品が最適な吸収及び細胞機能で定常的に生体利用されるのを確実にする。食欲に対抗するため、食事前により多量の投与量を自動的に放出し、ダイエット計画をより効果的にする。
【0135】
用途−一般
本発明は特に、患者が必要な動作を始めるのに不便であるか、できないときに、薬物の投与を開始し、薬物の投与を停止し、及び/又は薬物の投与を増加/減少させることが必要及び/又は望ましい用途において有用である。これは、寝ている間に投与を開始し、停止し、又は変更するときに有益となる、特に多種多様な薬物投与の用途に有用である。時間療法の研究及び知識が増大するにつれて、多種多様な用途が発見されることが考えられ、その中で寝ている間に薬物投与を開始し、停止し、及び/又は変更することによる利点が認識される。
【0136】
各例において、処置を必要に応じ継続し、優れた症状軽減、症状の悪化防止をもたらし、及び/又は疾患の状態若しくは患者の状態が進行するのを阻止及び/又は遅延するか、或いはもはや患者が十分に耐えられなくなるまで、又は医師が処置を終了するまで継続する。例えば、医師はこの発明に従って処置されている患者の1つ又は複数の症状、及び/又は活性物質及び/又は代謝副産物の血清レベルをモニターし、ある期間について1つ又は複数の症状の減衰を観察すると、患者がさらにある期間の投与を受けることなく、上記の処置のプラスの効果を持続できると結論する。必要であれば、患者はその後のある時点で、必要に応じ追加の処置を受けるために戻ってもよい。
【0137】
本明細書において用いるとき、「日」は24時間を意味する。したがって、例えば、「少なくとも連続する3日間」は少なくとも72時間を意味する。処置の間又は処置の後、医師は1つ又は複数の症状、及び/又は患者における血清レベルをモニターし、ある期間について1つ又は複数のパラメータが改善しているのを観察すると、患者がさらにある期間、活性物質の投与を受けることなく、該処置のプラスの効果を持続できると結論することができる。
【0138】
本発明の方法に従う、ヒトを含む哺乳類の治療上の処置(予防処置を含む)に活性物質を使用するため、活性物質は標準的な製剤実務に従って医薬組成物として普通に製剤する。本発明のこの観点から、薬学上許容される希釈物質又は担体と関連した活性物質を含有し、活性物質が特定の状態を処置し又は予防するのに有効な量で存在する医薬組成物を提供する。
【0139】
個人の要求が変化し得る一方、本明細書で開示した範囲内で、活性成分(単独又は他の薬物との組合せ)の効果的な量について最適範囲を決定することは当業者の経験の範囲内である。したがって、本明細書の目的のための各成分の「活性成分の効果的な量」は、かかる考慮により決定され、及び1つ又は複数の活性成分の機能を向上させ、及び/又は患者のより有害な状態を改善し、及び/又は患者の生活の質を向上させる量である。
【0140】
医薬製剤キット
本発明はまた、特定の症状、状態及び/又は疾患を処置し、及び/又は特定の生物機能を改善するための、本発明に従う1つ又は複数の活性組成物を含有する1つ又は複数の容器を含む医薬製剤キットを提供する。かかるキットは、治療又は特定の症状、状態及び/又は疾患の予防及び/又は特定の生物機能の改善活性組成物と一緒に用いるさらなる薬物又は治療剤を含む。この実施態様において、該活性組成物及び該薬物は1つの容器中に混合物として製剤化することができ、又は同時若しくは分離した投与のための分離した容器中に含有させることもできる。該キットはさらに、化合物及び/又は組成物を投与するための、図1に示すデバイス100等のデバイスと、製剤の又は生物製剤製造、使用若しくは販売を規制する、政府機関により規定された形式において記載された説明書であって、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の機関からの承認を示すことができる説明書、とを含有することができる。
【0141】
本発明はある程度詳細に記載され、説明されているが、本明細書における開示が単に例示によるものであり、投与量、投与プロファイル、時間管理、並びに要素の組合せ及び配置における多くの変更が、請求項に記載されている本発明の思想及び範囲から外れることなく、当業者によって行い得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明を実施するのに有用な例示的なデバイスを示す図である。
【図2A】本発明の操作を示す比較の薬物放出プロファイルを説明する図である。
【図2B】本発明の操作を示す比較の薬物放出プロファイルを説明する図である。
【図3】本発明に従う薬物送達デバイスの概略図である。また、皮膚を通しての浸透は、このデバイスに取り付けられる、一般に極微針と呼ばれる微細加工構造体、加熱デバイス、イオン導入、又は超音波導入デバイスを用いることにより補助することができる。
【図4】本発明に従う別の薬物送達デバイスの概略図である。また、皮膚を通しての浸透は、このデバイスに取り付けられる、一般に極微針と呼ばれる微細加工構造体、加熱デバイス、イオン導入、又は超音波導入デバイスを用いることにより補助することができる。
【図5】刺激剤送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図6】ニコチン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図7】異型狭心症発作を処置するために調整されたニトログリセリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図8】ストレス誘発狭心症発作を処置するために調整されたニトログリセリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図9】関節炎のために調整されたインドメタシン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図10】関節炎を処置するために調整されたバルデコキシブ送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図11】喘息を処置するために調整されたツロブテロール送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図12】高血圧を処置するために調整されたクロニジン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図13】CNS変性疾患(パーキンソン病)を処置するために調整されたセレギリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図14】アルツハイマー病及び注意力欠如障害を処置するために調整されたセレギリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図15】ADDを処置するために調整されたメチルフェニデート送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図16】うつ病を処置するために調整されたセレギリン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図17】尿失禁を処置するために調整されたオキシブチニン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図18】片頭痛を処置するために調整されたゾルミトリプタン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図19】糖尿病を処置するために調整されたミグリトール送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図20】疼痛を処置するために調整されたフェンタニル送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図21A】は癌を処置するために調整された5−フルオロウラシル送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図21B】は癌を処置するために調整されたドキソルビシン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図21C】は癌を処置するために調整されたシスプラチン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図22】AIDSを処置するために調整されたジドブジン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図23】てんかんを処置するために調整されたガバペンチン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【図24】風邪及び流感を処置するために調整されたトリプロリジン送達システム用の例示的な投与プロファイルを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物への生物活性剤の送達方法において、
ヒト又は動物に連結する経皮薬物送達デバイスであって、生物活性剤の供給源、プログラム可能な時間的調節メカニズム、及び生物活性剤を時間的調節メカニズムに応じて経皮的に送達するメカニズムを有する送達デバイスを準備し、時間的調節メカニズムによって実施する時間的調節ルーチンであって、生物活性剤をヒト又は動物のバイオリズムに同調する時間、速度、順序及び/又は周期において送達するように選択される時間的調節ルーチンを行うことを含む、伝達方法。
【請求項2】
経皮的な浸透を、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入、又は広範囲の化学的浸透エンハンサーを用いて補助する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物活性剤が刺激剤(stimulant)を含み、ヒト又は動物が目覚める直前に刺激剤を送達するように時間的調節ルーチンが選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物活性剤がニコチンを含み、前記時間的調節ルーチンがニコチン渇望に関連付けられた時間にニコチンを送達するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択された時間の少なくとも1つが、ヒト又は動物が朝のニコチン渇望を経験する時間に対応する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
生物活性剤が抗ヒスタミン剤を含み、前記時間的調節ルーチンがヒト又は動物が眠っている間に抗ヒスタミン剤を送達するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記生物活性剤が刺激剤を含み、前記時間的調節ルーチンがヒト又は動物が目覚める直前に刺激剤を送達するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
a)特定の症状、状態、及び/又は疾患を処置するのに適した薬物を同定し、
b)薬物を投与するための生物学的に好適な時間を同定し、
c)該同定された生物学的に好適な時間に同調するように選択されたスケジュールにより、時間をプログラム可能な経皮薬物送達システムをプログラムし、
d)該時間をプログラム可能な経皮薬物送達システムに、プログラムされたスケジュールに従って活性成分を送達させること
を含む、症状、状態、及び/又は疾患を処置するための方法。
【請求項9】
a)宿主の皮膚に連結するインターフェースと、
b)ある量の活性組成物を貯蔵するリザーバーと、
c)制御信号に応じて該リザーバーから該インターフェースへある量の活性組成物を供給するためのバルブメカニズムと、
d)該バルブメカニズムに連結され、プログラムされた投与スケジュールに従って制御信号を生成するように設定された時間的調節メカニズムと
を含む、プログラム可能な経皮薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記バルブメカニズムが、前記制御信号に応じて前記活性組成物が供給される速度を制御する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記制御信号に応じて前記インターフェースから前記活性組成物を除去するためのメカニズムをさらに含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記インターフェースから担体物質を除去するためのメカニズムをさらに含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
活性物質の医薬製剤を含む第1の容器を含むキットであって、前記製剤が症状、状態、及び/又は疾患を処置するのに有効な量の活性物質を含み、前記第1の容器がプログラム可能な経皮薬物送達システムに連結するように適合しているキット。
【請求項14】
前記第1の容器が、プログラム可能な経皮薬物送達システムをプログラムするのに用いられる投与スケジュールの仕様書を含む、請求項11に記載のキット。
【請求項15】
ヒト又は動物への薬物の送達方法において、
a)ヒト又は動物に連結された経皮薬物送達デバイスであって、薬物の供給源、プログラム可能な時間的調節メカニズム、及び時間的調節メカニズムに応じて薬物を経皮的に送達するメカニズムを有する送達デバイスを準備し、
b)時間的調節メカニズムによって実施される時間的調節ルーチンであって、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に薬物を送達するように選択される時間的調節ルーチンを実施すること
を含む、方法。
【請求項16】
前記時間的調節ルーチンが、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に薬物送達を終了する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記時間的調節ルーチンが、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に送達される薬物の投与量を増大させる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記時間的調節ルーチンが、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に送達される薬物の投与量を減少させる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
経皮的な浸透を、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入、又は広範囲の化学的浸透エンハンサーを用いて補助する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
経皮的な浸透を、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入、又は広範囲の化学的浸透エンハンサーを用いて補助する、請求項17に記載の方法。
【請求項1】
ヒト又は動物への生物活性剤の送達方法において、
ヒト又は動物に連結する経皮薬物送達デバイスであって、生物活性剤の供給源、プログラム可能な時間的調節メカニズム、及び生物活性剤を時間的調節メカニズムに応じて経皮的に送達するメカニズムを有する送達デバイスを準備し、時間的調節メカニズムによって実施する時間的調節ルーチンであって、生物活性剤をヒト又は動物のバイオリズムに同調する時間、速度、順序及び/又は周期において送達するように選択される時間的調節ルーチンを行うことを含む、伝達方法。
【請求項2】
経皮的な浸透を、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入、又は広範囲の化学的浸透エンハンサーを用いて補助する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物活性剤が刺激剤(stimulant)を含み、ヒト又は動物が目覚める直前に刺激剤を送達するように時間的調節ルーチンが選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物活性剤がニコチンを含み、前記時間的調節ルーチンがニコチン渇望に関連付けられた時間にニコチンを送達するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択された時間の少なくとも1つが、ヒト又は動物が朝のニコチン渇望を経験する時間に対応する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
生物活性剤が抗ヒスタミン剤を含み、前記時間的調節ルーチンがヒト又は動物が眠っている間に抗ヒスタミン剤を送達するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記生物活性剤が刺激剤を含み、前記時間的調節ルーチンがヒト又は動物が目覚める直前に刺激剤を送達するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
a)特定の症状、状態、及び/又は疾患を処置するのに適した薬物を同定し、
b)薬物を投与するための生物学的に好適な時間を同定し、
c)該同定された生物学的に好適な時間に同調するように選択されたスケジュールにより、時間をプログラム可能な経皮薬物送達システムをプログラムし、
d)該時間をプログラム可能な経皮薬物送達システムに、プログラムされたスケジュールに従って活性成分を送達させること
を含む、症状、状態、及び/又は疾患を処置するための方法。
【請求項9】
a)宿主の皮膚に連結するインターフェースと、
b)ある量の活性組成物を貯蔵するリザーバーと、
c)制御信号に応じて該リザーバーから該インターフェースへある量の活性組成物を供給するためのバルブメカニズムと、
d)該バルブメカニズムに連結され、プログラムされた投与スケジュールに従って制御信号を生成するように設定された時間的調節メカニズムと
を含む、プログラム可能な経皮薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記バルブメカニズムが、前記制御信号に応じて前記活性組成物が供給される速度を制御する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記制御信号に応じて前記インターフェースから前記活性組成物を除去するためのメカニズムをさらに含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記インターフェースから担体物質を除去するためのメカニズムをさらに含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
活性物質の医薬製剤を含む第1の容器を含むキットであって、前記製剤が症状、状態、及び/又は疾患を処置するのに有効な量の活性物質を含み、前記第1の容器がプログラム可能な経皮薬物送達システムに連結するように適合しているキット。
【請求項14】
前記第1の容器が、プログラム可能な経皮薬物送達システムをプログラムするのに用いられる投与スケジュールの仕様書を含む、請求項11に記載のキット。
【請求項15】
ヒト又は動物への薬物の送達方法において、
a)ヒト又は動物に連結された経皮薬物送達デバイスであって、薬物の供給源、プログラム可能な時間的調節メカニズム、及び時間的調節メカニズムに応じて薬物を経皮的に送達するメカニズムを有する送達デバイスを準備し、
b)時間的調節メカニズムによって実施される時間的調節ルーチンであって、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に薬物を送達するように選択される時間的調節ルーチンを実施すること
を含む、方法。
【請求項16】
前記時間的調節ルーチンが、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に薬物送達を終了する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記時間的調節ルーチンが、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に送達される薬物の投与量を増大させる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記時間的調節ルーチンが、ヒト又は動物が眠っていると期待される時間に送達される薬物の投与量を減少させる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
経皮的な浸透を、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入、又は広範囲の化学的浸透エンハンサーを用いて補助する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
経皮的な浸透を、一般に極微針と称される微細加工構造体、又は熱、又はイオン導入、超音波導入、又は広範囲の化学的浸透エンハンサーを用いて補助する、請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2008−512215(P2008−512215A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531458(P2007−531458)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032672
【国際公開番号】WO2006/031856
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507080961)クロノ セラピューティクス、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032672
【国際公開番号】WO2006/031856
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507080961)クロノ セラピューティクス、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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