説明

生物活性製剤の調製方法

【課題】生物活性製剤を有するペレットおよびそのペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】ペレットは、コアと、コアを囲む1つまたは複数の任意選択の層を含み、コアおよび層は、粉末粒子を接触させ、それらを互いに付着させ、転がり運動により固めることにより形成される。緻密化の度合いは、転がり運動の間に取り込まれるエネルギーより制御される。装置はローターと、チャンバを備えている。ローターの回転で、形成中のペレットはローター上で外向方向に動く。最終的には、ペレットは、外向方向に動くペレットを接線方向で受け止めるように配置されたチャンバの内側壁面と接触し、ペレットは、それらがチャンバの内壁と接触すると転がり始める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
粉末生物活性剤(biologically active agent)物質と希釈剤とを混合し、粉末充填カプセルを製造するのに適する物理的な形態、錠剤を製造するための圧縮可能な粒子、あるいは、マトリックス形成添加剤(additive)もしくは放出制御コーティング膜を用いる、活性物質の制御放出に適する被覆可能な粒子へと、その混合物を成形するために用いられている様々な方法を用いて、生物活性剤の経口固形剤形は調製されてきた。本明細書では、「生物活性剤」という用語は、医薬化合物、薬剤組成物、ビタミンおよび栄養剤を含めて用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、固形剤形製造のための顆粒またはペレットの形態の粒子を調製するために、様々な湿式造粒、乾式造粒、流動床、押出−球状化および直接圧縮法が用いられてきた。さらに、噴霧乾燥および噴霧凝固法が、これらのタイプの粒子を形成するために使用されている。
【0003】
流動床の使用は、ウルスター法の流動(Wurster air suspension)カラムを用いる上部噴霧または下部噴霧法、あるいは、回転流動床被覆装置/造粒装置における接線噴霧(tangential−spray)の使用を基本にしている。ペレットのコーティングおよび/または製造に使用されてきた装置は、米国特許第4895733号、米国特許第5132142号、および米国特許第6354728号に記載されており、これらは全て参考として本明細書に組み込まれる。南アフリカ特許第20000169号は、90wt%に達する医薬活性成分を含み、通常の球状化法により製造される、特定のペレット化医薬製剤を記載する。
【0004】
本明細書では、「ペレット」という用語は、アスペクト比(ペレットの長さを、長さに対して90°の角度をなす幅で割った比)が、約1.4未満、より好ましくは約1.3未満、さらに好ましくは約1.2未満、特に好ましくは約1.1未満、最も好ましくは約1.05未満である、実質的に球状の粒子を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4895733号
【特許文献2】米国特許第5132142号
【特許文献3】米国特許第6354728号
【特許文献4】南アフリカ特許第20000169号
【特許文献1】USP(米国薬局方)23
【特許文献5】米国特許第6449869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一態様では、本発明は、接線方向に配置された表面上で粉末粒子を転がせる、前記接線方向に配置された表面上で粉末粒子を進ませる回転装置の使用を含む。この方法により、密度が制御されたペレット、例えば、高密度ペレットが得られる。これらのペレットは、マトリックスで制御される放出特性、あるいは、用いられる添加物(excipient)により決まる他のタイプの放出特性をもつように、処方され得る。ペレットは:高レベルの生物活性剤、すなわち、90wt%を超える(例えば95wt%を超え、特に99wt%を超え、99.9wt%をさえ超える)生物活性剤を各ペレットに含めるようにすることができ;実質的に如何なる分離ステップも実施する必要がない狭い粒径分布で直接製造されるペレット;さらに、複数の生物活性剤および/または複数の放出速度制御コーティング(活性剤の放出を制御し、また/または、組合せとして有利に投与される共相容性の薬剤を物理的に分離する)を有するペレット;であり得る。ペレットは、持続放出、パルス放出、溶腸放出、即放出またはこれらの放出特性の組合せを備え得る。さらに、本発明は、有機溶剤の使用を減らす、もしくは無くすために任意選択で用いることができ、より小さい粒子を製造でき、工程ステップ数を減らし、加工サイクルが大幅に短縮されることにより装置あたりの全生産高を増加させることができる、新規な製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生物活性製剤に適合させたペレット、および前記ペレットの新規な調製方法を提供する。これらのペレットは、コアと、コアを囲む1つまたは複数の任意選択の層を備える。コアおよび/または少なくとも1つの層は粉末粒子により形成される。
本発明の方法は、粉末粒子を接触させること、それらを互いに付着させること、および、前記付着粒子を転がり運動によって固めることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】実施例2のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】実施例3のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】実施例4のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】実施例5のペレットの全体の形態を拡大して示した写真である。
【図6】実施例6のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】実施例7のペレットの全体の形態を拡大して示した写真である。
【図8A】低ロータースピードを用いて製造された実施例8のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図8B】高ロータースピードを用いて製造された実施例8のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図9】実施例9のペレットの横断面の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法は、粉末粒子を、前記粉末粒子を接触させ付着させるのに適する装置に供給することを含む。一実施形態によれば、粉末を供給することにより、この方法を開始することができる。この場合には、ペレットのコアは、前記粉末粒子により形成される。粉末粒子は、何回かの接触の内に粒子が互いに付着するように接触させられる。粉末からペレットを形成する最初のステップに関連して、薬学的に許容される液体を使用することが、通常、好ましい。
粒子は、粒子を形作る材料の固有の性質により、互いに付着する。粉末粒子は、それらが、十分に粘着性であれば、互いに付着するであろう。いくつかの材料では、この性質は、温度に依存するであろう。代わりに、薬学的に許容される液体(任意選択で結合剤を含む)により、粉末粒子の付着を促進してもよい。
【0010】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、コアと呼ばれる、予め成形されたペレットの存在の下に実施される。このようなコアは均質であっても、内部に構造があってもよい。構造のあるコアには、例えば層状に配置された、異なる材料からなるコア、ならびに、密度の異なるゾーンがあるコアが含まれる。これらのコアを、本発明の方法により調製することができる。しかし、別の方法により形作られたコアを用いることも可能である。
【0011】
本発明の方法が、コアの存在の下に実施される場合、これらのコアは、粉末粒子により形成される層により被覆されるであろう。コアは、粉末粒子がコアの表面に付着するような条件の下で、粉末粒子と接触させられる。次に、さらなる粉末粒子が、本質的には上に記載されたように、コアの表面にすでに付着した粉末粒子と接触して、粉末粒子のさらなる層と見なされ得るものを形成する。こうして、コアを囲む粉末粒子による層が形成される。
【0012】
本発明によれば、粉末粒子によるコアの形成と、粉末粒子により形成される層によるコアのコーティングの間に、粒子は、固められた、あるいは緻密化された層を形成しており、その層は通常、出発物より固められ緻密化されている(すなわち、より嵩密度が大きい)。
【0013】
本発明の方法は、接線方向に配置された表面上で粉末粒子を転がせ、他の粒子に付着させ、こうして、接線方向の表面で粒子が転がるにつれてペレットが形成される、前記接線方向に配置された表面上で粉末粒子を進ませる回転装置で実施され得る。接線方向の表面での転がり運動は、転がり運動の間に付着粒子に加わる、固める力を生じると考えられる。
【0014】
本発明は、コアと、コアを囲む1つまたは複数の任意選択の層を備える、生物活性製剤に適合させたペレットの製造方法を提供し、前記コアおよび/または少なくとも1つの前記層は、粉末粒子を接触させること、それらを互いに付着させること、および、前記付着粒子を転がり運動により固めること、により形成され、緻密化の度合いは、転がり運動の間のエネルギーの取込みにより制御される。
【0015】
形成中のペレットが転がり運動するように、それらに運動エネルギーが供給されなければならない。この供給は、形成中のペレットが接触している適切な装置の可動部分、例えば回転可能な部分を動かすこと、例えば回転させることにより実施され得る。装置の動いている部分と、形成中のペレットとの間のエネルギー移動は、装置の表面でペレットを転がり運動させる摩擦力に基づくであろう。
【0016】
好ましい装置はローターと、前記ローターが置かれるチャンバを備えている。前記ローターの回転で、形成中のペレットは前記ローター上で外向方向に動く。最終的には、ペレットは、外向方向に動くペレットを接線方向で受け止めるように配置された前記チャンバの内側壁面と接触し、ペレットは、それらがチャンバの内壁と接触すると転がり始めるであろう。
【0017】
好ましい装置はまた、形成中のペレットが、前記ローターを離れた後、前記ローター上にガイドされて戻るように、前記ローターの上に配置された機械的ガイド手段も備える。こうして、形成中のペレットは装置内で循環する。こうすることにより、形成中のペレットは、供給される粉末粒子および、任意選択の薬学的に許容される液体と繰り返し接触できる。こうして、粉末粒子は形成中のペレットに付着し、その結果ペレットは成長する。ここで、付着している粉末粒子は、例えばガイド手段を備える装置の1つの表面上で、ペレットが転がり運動する時に、緻密化される。形成中のペレットが装置内で循環するために、緻密化過程は、粉末がペレット上に堆積するにつれて連続的に行われている。
【0018】
本発明の方法を実施するための特に好ましい装置は、米国特許第6354728号に開示されている。この装置を使用することには、衝撃(concussion)のないやり方でペレットを特に効果的に転がり運動させるという利点がある。こうして、形成中のペレットの損傷を防ぐことができる。他方、効果的なエネルギーの取込みが実現できる。
【0019】
本発明の方法が実施される装置の表面、例えば、ローターの表面、チャンバの内壁および機械的ガイド手段の表面での転がり以外に、転がり運動には、形成中のペレットのベッド内での転がり相互作用も含まれる。これらの相互作用は、形成中のペレットのスピンに基づく。本発明の方法を実施するために使用される装置表面での、形成中のペレットの転がり運動の間に、ペレットはスピンするようになる。装置の表面で転がる成形中の1つのペレットは、そのスピンの一部分をそれと直接接触する複数のペレットに移動させるであろう。こうして、本発明の方法の特定の段階の間に、装置表面と直接に接触しないペレットでさえ、転がり運動を、より正確には、他の粒子に対する転がり運動をして、これが粉末粒子の緻密化の一因となる。
【0020】
このように、加工時間の少なくとも一部分の間に、個々の形成中のペレットが他の形成中のペレットと密接に接触するような仕方で本発明の方法を実施することが好ましい。このためには、1バッチに処理されるペレットの量が、最終のペレットが望ましい性質をもつように、他のペレットとの密接な接触が十分な数となるような大きさであることが必要とされる。一般に、本発明の実施に使用される装置は、ローターの体積容量の25から100%の初期負荷で運転されるべきである。如何なる場合でも、個々のペレットが連続的に他のペレットと接触するのに十分な負荷で運転されるべきである。
【0021】
装置表面との、またお互い同士のペレットの相互作用により、ペレットが形成される時、ペレットに大きな剪断力が加えられる。こうして、望ましくない塊の生成を伴うペレットの凝集が避けられ、形成されるペレットは球状であり、狭い粒径分布をもつと考えられる。
【0022】
さらに、供給された粉末粒子の緻密化の度合いを、転がり運動の間のエネルギーの取込みにより制御できることが、驚くべきことに、今や見出された。より大きなエネルギーの取込みにより緻密化の度合いはより高くなる。
【0023】
エネルギーの取込みを、本発明の方法が実施され、形成中のペレットにエネルギーを供給するために使用される装置に供給されるエネルギーの一部分として求めることができる。エネルギーのこの部分は、装置自体によっては消費されない、供給されたエネルギーに相当する。エネルギーの取込みを、装置の運転に必要なエネルギーの消費をモニタすることにより求めることができる。例えば、摩擦損失による消費が少ない、空の装置の運転による、全電気エネルギーを、エネルギーの全取込み量を見積もるために用いることができる。
【0024】
例えばペレットを入れた装置のローターを回転させることにより、形成中のペレットに供給されるエネルギーは、運動エネルギーとして、またポテンシャルエネルギーとしてペレットに取り込まれる。この取り込まれたエネルギーは、ペレットの転がり運動に利用できる。転がり運動の間、エネルギーは付着している粉末粒子の緻密化のために使用される。
【0025】
ローターの回転が運動エネルギーを形成中のペレットに供給するために用いられる場合、エネルギー供給を、ロータースピードを変えることにより変えることができる。ロータースピードは、ペレットが処理中に動く速度に影響を及ぼすために変えることができる工程パラメータである。
【0026】
下で検討される他の要因が一定に保たれる場合、より速いロータースピードは、形成中のペレットへのより大きなエネルギー供給を意味する。
【0027】
密度と、生物活性剤がペレットから放出される速度を、ペレットが処理中に動く半径方向速度に直接的な効果をもつ、ロータースピードを変えることにより制御することができる。放出速度は、本明細書に開示される他の方法を用いることによっても制御され得る。選択されたロータースピードにより、最終ペレットの密度に影響を及ぼすことがわかった半径方向速度がペレットに付与される。一般に、約12〜30メートル/秒の半径方向速度(ローターの先端で測定される)を付与するロータースピードにより、ほとんどの生物活性剤材料の場合に、より小さい半径方向速度を用いて製造された同様のペレットに比べて、密度がより大きく、生物活性剤材料の放出速度がより遅いペレットが生成するということが見出された。3〜10、もしくは、より好ましくは、4〜7.5メートル/秒の半径方向速度を生ずるロータースピードにより、より大きな半径方向速度、すなわち、12〜30メートル/秒を用いて製造されたペレットより、密度がより小さいペレットが得られるということが認められた。小さな半径方向速度を用いて製造された、生物活性剤材料を含むペレットは、一般に、同じ半径方向速度で同じ生物活性成分と同じ添加物で製造されたペレットより大きな放出速度を示すであろう。
【0028】
大きな半径方向速度を用いることにより、本発明に従って、生物活性材料がペレット化される場合、放出速度は、より小さな半径方向速度をペレットに付与する条件を用いて同じ装置で製造された、同じ材料からなるペレットの放出速度に比べて、かなり遅くなっている。この効果は、水不溶性の生物活性剤材料がペレットの製造に用いられる場合、非常に顕著である。
【0029】
本明細書で開示されるように、本発明は、ペレットの製造に用いられる粉末の一部分を、乾燥粉末の形態で、ペレット形成の最終または完結ステップとして供給することを想定している。乾燥粉末を供給する最後のステップは、本発明に従って調製されたペレットからの生物活性材料の放出特性をさらに変更するために使用され得る。下に記載される実施例において詳しく述べられるように、小さな半径方向速度を用いて製造されたペレットにおいては、最後のステップで乾燥粉末を使用しないで製造されたペレットに比べて、生物活性材料の放出速度がより小さい(イブプロフェンの場合には、1時間で20から40%遅い)であろう。大きな半径方向速度を用いてペレットが製造されるペレット形成の最後のステップにおいて乾燥粉末の供給を用いることは、最低限の効果しかない(クロロフェニラミンの場合、1時間で5〜10%遅い)。
【0030】
放出速度については、USP(米国薬局方)23、タイプII溶解装置において、100rpmの攪拌速度で、37℃で、溶解媒体として水を用いて求めることができる。
【0031】
一般に、水不溶性薬剤からなるペレットは、本発明の方法において、大きな半径方向速度を用いて製造される場合、放出速度の低下の度合いが最大になるであろうと考えられる。
【0032】
エネルギーの取込みは、特定のロータースピードにより生じるペレットの半径方向速度だけではなく、他の要因にも依存する。このような1つの要因は、本発明の方法を実施するのに使用される装置の構造または寸法形状である。米国特許第6354728号に開示されるような装置が使用される場合、エネルギーの取込みは、装置に備わるガイドベーン(vane)の数により影響され得る。
【0033】
エネルギーの取込みは、装置の負荷、すなわち、装置に入れられた材料の全量にもまた依存する。装置に入れられた材料の重さが大きい程、重さにより個々のペレットに加えられる圧縮力は大きい。
【0034】
同じ装置において、一定のロータースピードでは、エネルギーの取込みは、より大きな負荷で、より大きいであろう。このことは、装置の負荷は通常、本発明の方法の間に変動するので、緻密化の度合いを制御するために考慮に入れられなければならない。ペレット製造には、粉末粒子および、薬学的に許容される任意選択の液体のような材料の供給が必要とされ、その結果、負荷は増加するであろう。加工時間の少なくとも一部分の間に、溶剤を除去するために気体が供給されると、このことにより負荷は減少する、あるいは、装置に他の材料が同時に供給される場合にはその増加を抑える傾向があるであろう。
【0035】
エネルギーの取込みを、気体、例えば、環境条件下の空気を、形成中のペレットのベッドを通して供給することにより、さらに調製することができる。これは、本発明の方法が装置容量のかなり高い負荷状態で実施される場合に、特に相応しいであろう。
【0036】
本発明の方法のこの実施形態を実施するのに適する装置は、米国特許第6354728号に開示されている。この装置は、チャンバ内に位置するローターを備え、ローターと前記チャンバ内壁との間に環状の隙間があるようになっている。別法として、あるいは追加として、ローターには、気体が通過できる開口部がその表面に備わっていてもよい。
【0037】
ローターの開口部を通しての気体の流れを、形成中のペレットに作用する力が小さくなるか、あるいは大きくなるように方向づけることができる。例えば、気体を、ローターの開口部を通して下から導入して、ペレットとローター表面の間、ならびに、ペレット同士の相互作用を小さくしてもよい。こうすることにより、付着している粉末粒子の緻密化が抑えられるであろう。ペレットのベッドを通過する気体の量および流速により、ペレットのベッドをそれ程流動化させるべきではない。
【0038】
粉末粒子の緻密化の度合いは、形成中のペレットの組成によってもまた影響を受けるであろう。形成中のペレット組成の一側面は、それらの液体含量である。液体含量がより大きいと、一般に、より効果的な緻密化を可能にする可塑性が、より大きくなるであろう。しかし、本発明の方法により、前記のように、これらのペレットが転がり運動している時に、形成中のペレットに取り込まれるエネルギーを調節することにより、所定の組成物に対して緻密化の度合いを変えることができるということに注意すべきである。
【0039】
本発明の方法により製造されるペレットに含まれる粉末粒子の緻密化の度合いを、形成されたペレットまたは層の絶対空隙率により求めることができる。大きな空隙率は、緻密化の度合いが低いことに相当し、この逆も成り立つ。
【0040】
空隙率を、顕微鏡技術、例えば、走査電子顕微鏡により視覚化することができる。別法として、空隙率を、水銀圧入により求めることができる。
【0041】
緻密化の度合いは、また、調製されたペレットの密度に反映されるであろう。緻密化の度合いがより大きければ、密度はより大きい。達成される絶対空隙率、すなわち、嵩容積に対する全空孔容積のパーセンテージは、0.5と30%の間で変動し得る。好ましくは、絶対空隙率の値は、1から20%、より好ましくは、1から10%、特に2から10%である。
【0042】
好ましい実施形態において、本発明は、コアと、前記コアを囲む少なくとも1つ、あるいは複数の任意選択の層を備える、球状の薬剤ペレットを提供し、前記のコアおよび/または少なくとも1つの前記層は、互いに付着した粉末のペレットにより形成され、前記粒子の緻密化の度合いは予め決められた値をもつ。この特徴は、粉末粒子により形成された、コアおよび/または少なくとも1つの前記層の絶対空隙率により表され、0.5から30%の値、好ましくは、1から20%、より好ましくは2〜10%の値をもつ。
【0043】
好ましくは、ペレットは、互いに付着している粉末の粒子により形成される少なくとも1つの層をもち、特定の実施形態においては、互いに付着している2つ以上の層をもち得る。
【0044】
ペレットは、半径方向に緻密化の度合いの勾配があるか、あるいは、コアもしくは1つまたは複数の層において緻密化のレベルが違う同心の独立したゾーンが各ペレットに形作られているような緻密化の度合いがある様に、製造され得る。緻密化の度合いは、少なくとも1つの層の密度が、出発粉末の嵩密度より小さいように制御され得る。
【0045】
一般に、本発明によるペレットは、0.01から5mm、例えば、0.1から2.5mmの直径をもつであろう。1つまたは複数の層は、それぞれ、0.005から2.5mm、例えば、0.05から1.25mmの厚さの層をもつであろう。本発明により調製されたペレットは粒径分布が狭く、全体の平均直径から20%を超えて外れる直径をもつペレットは最大で20重量%である。好ましくは、全体の平均直径から20%を超えて外れる直径をもつペレットは最大で10重量%である。さらに好ましくは、全ペレットの平均直径から10重量%を超えて外れる直径をもつペレットは最大で20重量%である。特に好ましいペレット生成物は、全ペレットの平均直径から10重量%を超えて外れる直径をもつペレットは最大で10重量%であるような粒径分布をもつ。全ての重量パーセントはペレットの全重量に対するものである。
【0046】
望ましければ、実質的に球状ではないコアからペレットを製造することができる。
【0047】
本発明のペレットのさらなる実施形態は医薬品剤形のコアを含み、前記コアは内側および外側ゾーンをもち、前記内側ゾーンは生物活性剤を含み、前記外側ゾーンは、水と接触した時に非粘着性表面を形作る実質的に乾燥した流動性(free flowing)不活性粉末を前記内側ゾーンに付けることにより形成される層を備える。非粘着性表面の例は、水で濡れたマイクロクリスタリンセルロースの表面である。流動性粉末は、ペレットが互いに、あるいは装置にくっ付くことを防ぐために使用される。
【0048】
本発明はまた、本明細書に記載される、内側および外側ゾーンを有するコアをもつ薬剤ペレットの製造方法を提供し、このコアまたは少なくとも1つの前記層は、(a)粉末粒子を接触させること、それらを互いに付着させること、および、前記付着したペレットを転がり運動により固めること(緻密化の度合いは転がり運動により制御される);さらに(b)水と接触した時に非粘着性表面を形作る前記実質的に乾燥した流動性不活性粉末を十分な量で供給して、前記の実質的に乾燥した流動性不活性粉末により形成される層を含む外側ゾーンを前記粒子上に備えさせること;により形成される。
【0049】
本発明の好ましい実施形態は、以下によりペレットを調製する方法を提供する:
(a)結合剤および生物活性剤を含む粉末混合物を作ること;
(b)前記粉末混合物と薬学的に許容される希釈剤の全重量に対して、0〜60wt%の薬学的に許容される液体希釈剤により任意選択で予め湿らせた前記粉末混合物を、軸方向に延びる円柱壁面をもつローターチャンバ、底部から前記チャンバを通して空気を流す手段、前記チャンバに液体を供給する噴霧手段、垂直のローター軸の回りに回転するローターを備える運転装置に供給すること(前記ローターは前記ローターチャンバに取り付けられており;前記ローターは、中央の水平表面と、前記ローターの半径方向の少なくとも外側3分の1に10°と80°の間の外向方向で上向きの勾配をもつ円錐シェルの形状とをもち;前記円錐シェルはローター軸、前記粉末添加物を導入するための供給口に直交する平面内にある円形上端部をもち;複数のガイドベーンが、前記ローターの前記円錐シェルの上端部により形成される平面より上で前記ローターチャンバの前記円柱壁面に静的に固定された外側端部と、前記ローターチャンバ内に延び、前記ローターチャンバの前記円柱壁面に対して接線方向に固定された内側端部をもち、さらに、ローター軸の横断面内で、本質的に円孤またはスパイラルの形をもち、そのために、前記ローターによる運動エネルギーにより運動エネルギーの作用の下で循環する前記粉末生成物が前記ローター上に落ちて戻る前に前記ローターから前記ガイドベーンの内側表面へと動く);
(c)空気を供給し薬学的に許容される液体を前記ローターチャンバに噴霧しながら、望みの直径をもつ固形ペレットを形成するのに十分な時間、前記ローターを回転させること;および
(d)水と接触した時に非粘着性表面を形作る実質的に乾燥した流動性不活性粉末を十分な量で供給して、前記実質的に乾燥した流動性不活性粉末からなる層を備える外側ゾーンを前記ペレットの表面に備えさせること。
【0050】
したがって、本発明の主たる目的は、生物活性剤の送達に有用である新規なペレットを提供することである。
【0051】
本発明の目的はまた、99wt%を超える生物活性剤、例えば薬剤を含み得る新規なペレットを提供することである。
【0052】
本発明の目的はまた、マトリックス制御放出特性をもつ粒子またはペレットを提供することである。
【0053】
本発明のこれらおよび他の目的は、添付の明細書により明らかになるであろう。
【0054】
本発明のペレットは通常、動いているペレットを転がり運動させるような仕方で、接線方向に配置された内側壁面に沿って粒子を進ませる装置を用いて調製される。液体が、装置の運転中に粉末を導入できるようになっている、米国特許第6449689号に開示される装置のような装置に供給される。本発明の一実施形態においては、本発明の方法は、ペレットの成長を制御および/または終結させ、また、ペレットを乾燥し丸く滑らかにすることを助けるために、本発明の方法の最終ステップとして粉末を導入することを含む。好ましい装置は、米国特許第6449869号および米国特許第6354728号に開示されており、これら2つの特許は参考として組み込まれる。
【0055】
一実施形態において、本発明のペレットは、乾燥状態にある粒子の流れの粉末に液体を付けることにより得られる構造をもつ内側ゾーンをもつ。液体により強固な結合が形成され、望みの大きさをもつペレットが得られるまで成長する。その時点で、ペレットを指定された最終寸法にまで成長させ、また、ペレットを乾燥させ滑らかにして高度に一様で高度に球状の生成物となるように、ペレットの外側ゾーンが、ペレットの転がっているベッドに乾燥粉末を供給することにより形成される。
【0056】
生物活性材料が薬剤である場合、それは、温血動物、ヒトおよび霊長類を含めて、動物に、局所的または系統的効果を生じる、どのような生理学的または薬理学的活性物質であってもよい。
【0057】
ペレット形成に用いられる薬学的に許容される液体は、溶解、懸濁または分散状態にある、生物活性成分、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、香料、着色剤、界面活性剤、付着防止(anti−sticking)剤、浸透圧剤、マトリックス形成ポリマー、膜形成ポリマー、放出制御剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される1種または複数の成分を含み得る。一般に、所定の処方に対する望みの結果を達成するために、選ばれた成分だけが用いられるであろう。特定の処方により、列挙された成分が添加されるかどうか、いつ、どのようにして添加されるが決まるであろう。
【0058】
本発明の方法はまた、ペレットの成長を制御し、また、ペレットを丸くし滑らかにすることを助ける手段として、部分的に形成されたペレットが動いている流れに粉末を導入することを含む。
【0059】
送達され得る活性薬剤には、末梢神経、アドレナリン受容体、コリン受容体、神経系、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部、内分泌系、ホルモン系、免疫系;生殖系、骨格系、オータコイド系、消化および排出系、オータコイド系の抑制、消化および排出系、オータコイドおよびヒスタミン系の抑制に作用する薬剤を含めて、限定されることなく無機および有機化合物が含まれる。これらの受容部に作用するように送達され得る活性薬剤には、抗痙攣薬、鎮痛剤、抗炎症剤、カルシウム拮抗薬、麻酔薬、抗菌剤、抗マラリア薬、抗寄生虫剤、抗高血圧薬、抗ヒスタミン剤、下熱剤、アルファ−アドレナリン作動薬、アルファ遮断薬、殺生物剤、殺菌剤、気管支拡張薬、ベータアドレナリン遮断薬、避妊薬、心臓血管薬、カルシウムチャネル遮断薬、抑制薬、診断薬、利尿薬、電解質、催眠薬、ホルモン剤、高血糖症薬、筋収縮剤、筋弛緩剤、眼科薬、精神興奮剤、副交感神経興奮薬、鎮静剤、交感神経興奮薬、精神安定剤、尿路用薬剤、膣用薬剤、ビタミン、非ステロイド抗炎症剤、アンギオテンシン変換酵素、ポリペプチド薬剤などが含まれる。
【0060】
水に非常によく溶け、本発明のペレットにより送達され得る例示的な薬剤には、プロクロルペラジン、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、塩化カリウム、塩酸メカミラミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸アンフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸メトアンフェタミン、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、塩酸シメチジン、テオフィリンコリナート(cholinate)、塩酸セファレキシン、塩酸オキシブチニンなどが含まれる。
【0061】
水に難溶性であり、本発明の粒子により送達され得る例示的な薬剤には、ジフェニドール、塩酸メクリジン、オメプラゾール、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペラジン、アニシンジオン、ジフェナジオン、四硝酸エリスリチル、シゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾラミド、メタゾラミド、ベンドロフルメチアジド、クロルプロパミド、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキセート、アセチルスルフィソキサゾール、エリスロマイシン、プロゲスチン、プロゲステロン(progestational)、コルチコステロイド、ヒドロコルチゾン、酢酸デヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17ベータ−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエーテル、プレドニゾロン、酢酸17ベータヒドロキシプロゲステロン、19−非プロゲステロン(non−progesterone)、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン(norethiederone)、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレルなどが含まれる。
【0062】
本発明により処方され得る他の薬剤の例には、アスピリン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、クロロプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラミン、塩酸アルファ−メチルドパのピバロイルオキシエチルエーテル、テオフィリン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラク(zomepirac)、乳酸第一鉄、ビンカミン、ジアゼパム、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、カプトプリル、モダール(madol)、塩酸プロプラノロール、クアンベンズ(quanbenz)、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン(fluprofen)、トルメチン、アロロフェナク(alolofenac)、メファナム(mefanamic)、フルフェナム(flufenamic)、ジフニナール(difuninal)、ニモジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミール(tiapamil)、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン(mioflazine)、リシノルプリル(lisinolpril)、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、エンドラプリアート(endlapriate)、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチニジン(etintidine)、テルタトロール(tertatolol)、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、塩酸クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、塩酸アミトリプチリン、塩酸インプラミン(impramine)、パモ酸イミプラミン、エニタバス(enitabas)、ブプロプリオン(buproprion)などが含まれる。
【0063】
生物活性材料の他の例には、Bビタミン類、ビタミンCのような水溶性ビタミン、ならびに、ビタミンA、D、EおよびKのような脂溶性ビタミンが含まれる。コンドロイチン、グルコサミン、オトギリソウ(St.John’s wort)、ソーパルメット(saw palmetto)などのような栄養薬品(neutraceutical)もまた、本発明によるペレットに成形することができる。
【0064】
外側および内側ゾーンをもつペレットの場合には、ペレットの内側ゾーンは、生物活性剤の性質に応じて、ペレットの重さに基づく、1種または複数の薬学的に許容される結合剤および/または希釈剤からなるペレットの全重量に対して、0.1〜99wt%、あるいは、3から90wt%、あるいは、5から60wt%の生物活性剤を含み得る。本発明で使用するのに適する結合剤には、ドライで、あるいは、適切な溶剤または液体希釈剤の存在下に混合された時に、粉末生物活性材料に凝集(cohesive)性を付与する材料が含まれる。これらの材料には、一般に、アルファ化デンプン(pregelatinized starch)、ゼラチンのようなデンプン;スクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜およびラクトースのような糖が含まれる。天然および合成ガムには、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、エビスグサ(panwar)のガム、ガティガム、isapol殻の粘質物、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、マイクロクリスタリンセルロース、ポリビニルピロリドン、例えば、ポビドン U.S.P K30、ビーガム(Veegum)、ならびに、カラマツのアラボガラクタン(arabogalactan)が含まれる。結合剤は、安定した粒子が迅速に形成される、十分な度合いの粉末の凝集が起こるのに有効な量で、例えば、液体と結合剤の全重量に対して、1から10wt%で用いられる。
【0065】
外側ゾーンは、水と接触した時に非粘着性表面を形作る実質的に乾燥した流動性不活性粉末を含む粉末を、内側ゾーンに付けることにより形成され得る。このような流動性不活性粉末の例には、水溶性および水不溶性材料が含まれる。有用な材料の例には、マイクロクリスタリンセルロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、アルカリ金属ステアレート、二酸化ケイ素および炭酸カルシウムが含まれる。
【0066】
実質的に乾燥した流動性不活性粉末を含む粉末は、生物活性剤もまた含み得る。例えば、実質的に乾燥した流動性不活性粉末および生物活性剤により形成された外側ゾーンをもつ粒子は、生物活性剤の性質に応じて、ペレットの全重量に対して、0.1〜99wt%、あるいは、3から90wt%、あるいは、5から60wt%の生物活性剤を含み得る。特定の場合には、装置への結合剤と生物活性剤の最初の投入を行う前に、生物活性剤と結合剤の全量の重量に対して、5から35wt%、好ましくは、10から25wt%を、別にしておくと好都合であり得る。別にされた粉末は、本発明の方法の最後の段階でペレットの外側ゾーンを形成するために使用され得る。こうすることにより、均質な処方をもつペレットが得られるが、それでもやはり、密度が異なる内側および外側ゾーンは形成されるであろう。
【0067】
本発明のペレットに使用され得る他の添加剤には、希釈剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤および/または香料が含まれる。ペレットは、均質、あるいは不均質なコアをもち得る。均質なコアは、均質にブレンドされているか、あるいは、個別の層として付けられていてもよい、1種または複数の生物活性剤からなり得る。不均質コアは、本明細書に記載される本発明の方法を用いて同心の層がそれに対して付けられる無機または有機物資であり得る基材を含むであろう。これらの基材には、リン酸カルシウムのような無機塩、あるいは、最小(non−pareil)の糖−デンプン球またはマイクロクリスタリンセルロースのシードが含まれ得る。
【0068】
均質または不均質コアの場合において、生物活性材料、不活性材料の複数の層、または放出制御層を、望みの生体効果に応じて付けることができる。
【0069】
本発明によるペレットは、米国特許第6354728号に記載される装置を用いることにより製造され得る。その装置は、軸方向に延びる円柱壁面をもつローターチャンバ、底部から前記チャンバを通して空気を流す手段、前記チャンバに液体を供給する噴霧手段、垂直なローター軸の回りに回転するローターを備え、前記ローターは前記ローターチャンバに取り付けられており;前記ローターは、中央の水平表面と、前記ローターの半径方向の少なくとも外側3分の1に10°と80°の間の外向方向で上向きの勾配をもつ円錐シェルの形状とをもち;前記円錐シェルはローター軸、前記粉末添加物を導入するための供給口に直交する平面内にある円形上端部をもち;複数のガイドベーンが、前記ローターの前記円錐シェルの上端部により形成される平面より上で前記ローターチャンバの前記円柱壁面に静的に固定された外側端部と、前記ローターチャンバ内に延び、前記ローターチャンバの前記円柱壁面に対して接線方向に固定された内側端部をもち、さらに、ローター軸の横断面内で、本質的に円孤またはスパイラル形状をもち、そのために、前記ローターによる運動エネルギーにより運動エネルギーの作用の下で循環する前記粉末生成物が前記ローター上に落ちて戻る前に前記ローターから前記ガイドベーンの内側表面へと動く。
【0070】
望みのペレットの大きさが実質的に実現された時、装置に乾燥粉末を供給することが好ましく、装置は、ペレットの生成を完成させるために、3から15分間、好ましくは、5から10分間、そのまま運転される。
【0071】
約30から100℃、好ましくは、約40から90℃の温度で、含水率が、特定の生物活性材料および/または特定の添加物に応じて、ペレットの全重量に対して、1から10wt%になるまで、付加的に乾燥することもまた想定されている。乾燥は、本発明でペレットを製造するための好ましい装置で、あるいは、流動床乾燥機のような別の乾燥機で実施され得る。
【0072】
好ましくは、本発明の方法は、本発明によりペレットに入れられるマトリックス形成材料がそれ程膨潤もゲル化もしないように、最少量の液体を使用することに基づいている。
【0073】
マトリックス形成材料は、in vitroでの生物活性剤の溶解速度を、望みの時間(典型的には12から24時間である)に渡って生物活性剤の血漿レベルを望ましいものとするのに必要とされる狭い範囲内にあるようにする、膨潤性または非膨潤性材料であり得る。ほとんどのマトリックス形成材料は、pHに依存しない仕方で生物活性剤が放出されるようにするであろう。好ましくは、マトリックスは放出制御マトリックスであるが、薬剤の放出を制御するコーティングをもつ通常の放出マトリックスを使用してもよい。放出制御マトリックスに含められる適切な水膨潤性材料は、次の通りである。
(a)親水性ポリマー、例えば、ガム、セルロースエーテル、アクリル樹脂およびタンパク質由来材料。これらのポリマーの中で、セルロースエーテル、特に、ヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシアルキルセルロースが好ましい。ペレットは、1%から35wt%の親水性または疎水性ポリマーを含み得る。
(b)消化性の、長鎖(C〜C50、特に、C12〜C40)置換または無置換の炭化水素、例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、石油および植物からのオイルとワックス。25°と90℃の間の融点をもつ炭化水素が好ましい。これらの長鎖炭化水素材料の中で、脂肪(脂肪族)アルコールが好ましい。ペレットは、60wt%までの少なくとも1種の消化性長鎖炭化水素を含み得る。
(c)ポリアルキレングリコール。ペレットは、60wt%までの少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含み得る。
【0074】
特に適切なマトリックス形成材料の1つは、水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも1種のC12〜C35、好ましくは、C14〜C22の脂肪族アルコール、および、任意選択の少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含む。
【0075】
ヒドロキシアルキルセルロースは、好ましくは、ヒドロキシ(CからC)アルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。HPCまたはHPMCの公称粘度は、2,500と100,000(2%w/vの溶液、20℃)、好ましくは、5,000から50,000の間であり得る。ペレットのマトリックス形成材料の量は、殊に、要求されるその正確な放出速度により決められるであろう。U.S.P.23に記載されるもののような通常の放出速度試験法を用いることにより、決定を行うことができ、この試験法は参考として組み込まれる。ペレットがマトリックスポリマーを含むように処方される場合、ペレットは、ペレットの全重量に対して、1%と40wt%、特に、5%と20wt%の間のHPCまたはHPMCを含むであろう。
【0076】
水膨潤性マトリックス形成材料を用いてペレットを形成する場合、水膨潤性マトリックス形成材料がペレット形成ステップの間にゲルを生成しないように、マトリックス形成材料が液体希釈剤との長時間の接触により膨潤しないように注意が払われるべきである。
【0077】
非膨潤性マトリックス形成材料には、市販のアクリル/メタクリルポリマー、ならびにエチルセルロースを含めて、水不溶性の分散性ポリマーが含まれる。アクリル/メタクリルポリマーは、Eudragitのような様々な商品名で市販されている。これらの材料は、本発明によりペレットへと形作られる生物活性化合物および様々な添加物とそれらが混合されて、非膨潤性マトリックス形成ポリマーとして使用される。一般に、生物活性剤、添加物および非膨潤性マトリックス形成ポリマーの重量に対して、1から30wt%の非膨潤性マトリックス形成材料を、本発明によりペレットに形成され得る粉末を作るために混合することができる。
【0078】
持続放出性、遅延放出性、例えば、腸溶性コーティングのようなpH感受性コーティングを用いることによる小腸での放出性をペレットにもたせるために、放出速度制御ポリマー膜をペレットに付けることができる。適切な腸溶性コーティングには、腸溶性ポリマーコーティング材料が含まれる。腸溶性コーティングは「pH依存性」であり、この用語は、剤形からの放出を、胃の低pH条件では抑制するが、小腸のより高いpH条件では放出を許す、腸溶性コーティングのよく知られている効果を表している。腸溶性コーティングは、ペレットの全重量の、1から25wt%、好ましくは、5から10wt%を占めるであろう。腸溶性コーティングポリマーを、セラック、メタクリル酸コポリマー(Eudragit SまたはL)、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートトリメリテートおよびポリビニルアセテートフタレートからなる群から選択することができる。メタクリリル酸コポリマー、タイプB USP/NFXXII(約6.0を超えるpHで溶ける)が好ましい。コーティングの厚さは、コーティングの厚さと特定のコーティングに依存する放出速度が望ましくなるように選択される。
【0079】
市販のコポリマーは、メタクリル酸・メタクリル酸メチル系で、約150,000の重量平均分子量をもつEudragit S100である。クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、ナタネ油、オリーブ油、ゴマ油、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリンソルビトール、シュウ酸ジエチル、ジエチルマレート(malate)、フマル酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセロールトリブチレート、ポリエチレングリコール(分子量、380から420)、プロピレングリコール、およびこれらの混合物などの、少量(活性コア成分と最終コーティングの全重量に対して、1〜5wt%)の可塑剤のような他の補助的なコーティング助剤は、タルクのようなケイ酸塩であり得る付着防止剤と組み合わせられる。付着防止剤、例えばタルクは、ペレットの付着を防ぐのに効果的である量で添加され得る。これらの成分を、メタクリル酸ポリマーに、適当な溶剤と組み合わせて添加してもよい。
【0080】
持続放出被覆ペレットを、胃腸管の様々なpH条件でその一体性を実質的に保持するであろうが、処方されている特定の生物活性剤を透過させる、ポリマー材料を用いて被覆することができる。持続放出コーティングは、選ばれた生物活性剤の血漿での濃度変化を望ましいものとする、in vivoでの放出特性を望ましいものとするであろう速度で生物活性剤を放出するように選択されたレベルで用いられる。エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、あるいは、アクリルコポリマーのようなポリマーは、十分な量で使用された場合、本発明の剤形の摂取の後で、被覆ペレットが生物活性剤を放出するようにするであろう。Eudragit RS 30D;RS 100;NE 30D;RL 30DまたはRL 100のような材料は、遅延パルス放出ペレットを調製ために使用され得る。このような有用な材料の1つは、pHに依存しない透過性をもつアクリレートコポリマーである。このアクリレートコポリマーは、Eudragit RS30Dとして市販されており、第4級アンモニウム基を僅かに含み、数平均分子量が150,000のアクリル酸・メタアクリル酸エステルのコポリマーの30wt%水分散体として入手できる。クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、ナタネ油、オリーブ油、ゴマ油、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリンソルビトール、シュウ酸ジエチル、ジエチルマレート(malate)、フマル酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセロールトリブチレート、ポリエチレングリコール(分子量、380から420)、プロピレングリコール、およびこれらの混合物などの、少量(活性コア成分と最終のコーティングの全重量に対して、3〜7wt%)の可塑剤のような、他の補助的なコーティング助剤がある。
【0081】
崩壊剤が用いられる場合、それは、ペレットの全重量に対して、2から8wt%wの、デンプン、クレー、セルロース、アルギン、ガムおよび架橋ポリマーを含み得る。架橋セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカメローズ(croscarmellose)ナトリウム、カルボキシメチルセルロースなどのような超崩壊剤(super disintegrant)もまた、それが生物活性剤を迅速に放出させるのに望ましければ、使用され得る。
【0082】
通常の浸透圧剤には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二ナトリウムなどのような無毒の無機塩、あるいは、ラクトース、スクロース、デキストロースなどのような水溶性の無毒な有機化合物が含まれる。タルクのような付着防止剤は、何らかの必要とされる結果を達成するために使用され得る。
【0083】
患者に投与するのに適する最終の剤形を調製するために、本発明のペレットを、ハードまたはソフトゼラチンのカプセルで包んでもよく、あるいは、適切な緩衝剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤および滑沢剤を用いて圧縮錠剤を調製するためにそれらを使用することもできる。
【実施例1】
【0084】
米国特許第6354728号に記載される装置で、マレイン酸クロルフェニラミンのペレット(濃度10%)を、ペレットに約4.7メートル/秒の半径方向の速度を生じる低ロータースピード(300rpm)で製造し、約15メートル/秒の半径方向の速度を生じる高ロータースピード(1000rpm)で製造したペレットと比較した。
【0085】
工程条件:低ロータースピード:
処方:
マレイン酸クロルフェニラミン(CPM) 100g
マイクロクリスタリンセルロース(101グレード) 900g

1. CPMとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。
2. VG(垂直高剪断造粒機)で、CPM/MCCのブレンドを300gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、米国特許第6354728号に従って作製された装置に移す。
4. 以下のように装置の制御変数をセットする:
噴霧速度 35g/分
4枚バッフル(浅い)
噴霧(atomization)空気圧 30%
ロータースピード(低) 300rpm。
5. 噴霧する(spray)、約700〜1000gの水。
6. 水の噴霧を終える。
7. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1(顆粒乾燥機)で、80℃の温度で、含水率<3%まで乾燥する。
【0086】
図1は、SEMによる、実施例1で製造されたペレットの横断面の様子である。
【0087】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのマレイン酸クロルフェニラミンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 98.2%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.67g/cc
【実施例2】
【0088】
処方:
マレイン酸クロルフェニラミン(CPM) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. CPMとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。
2. VGで、CPM/MCCのブレンドを300gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1で使用された装置に移す。
4. 以下のように装置のパラメータをセットする:
噴霧速度 35g/分
4枚バッフル(浅い)
噴霧空気圧 30%
ロータースピード(高) 1000rpm。
5. 噴霧する、約700〜1000gの水。
6. 水の噴霧を終える。
7. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、80℃の温度で、含水率<3%まで乾燥する。
【0089】
図2は、実施例2で製造されたペレットの横断面の様子を示すSEMである。
【0090】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのマレイン酸クロルフェニラミンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 89.5%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.80g/cc
【0091】
低ロータースピード(実施例1)および高ロータースピード(実施例2)を用いて製造されたペレットは、異なる物理的特徴(ペレットの形状、嵩密度、ペレットの構造)をもっている。
【0092】
記載された条件で高ロータースピードを用いて製造されたペレットでは、形状が乱れている(球状でない)。これらのペレットは、球状のペレットを調製する中間体として使用され得る。
【0093】
低ロータースピードおよび高ロータースピードを用いて製造されたペレットの薬剤放出もまた違っている。低ロータースピードを用いて製造されたマレイン酸クロルフェニラミンペレット(実施例1)は、高ロータースピードを用いて製造されたペレット(実施例2)と比べた場合、嵩密度がより小さく(0.67 vs.0.80g/cc)、60分の時点での薬剤放出が多い(98.2 vs.89.5%)。
【実施例3】
【0094】
処方:
マレイン酸クロルフェニラミン(CPM) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. CPMとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。
2. VGで、CPM/MCCのブレンドを300gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1で使用された装置に移す。
4. 以下のように加工パラメータをセットする:
噴霧速度 35g/分
4枚バッフル(浅い)
噴霧空気圧 30%
ロータースピード(低) 300rpm。
5. 600gの水を噴霧した後、ロータースピードを1000rpmに変更し、水の噴霧を続ける。さらに噴霧される水の量、約200〜400g。
6. 水の噴霧を終える。
7. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水率<3%まで乾燥する。
【0095】
図3は、実施例3で製造されたペレットの横断面の様子を示すSEMである。
【0096】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのマレイン酸クロルフェニラミンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 90.4%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.79g/cc
【0097】
要約:
最初に低ロータースピードを用い、処理中に高ロータースピードに合わせて製造されたペレット(実施例3)は、低ロータースピードを用いて製造されたペレット(実施例1)と比べた場合、嵩密度がより大きく(0.79 vs.0.67g/cc)、薬剤放出が少ない(90.4 vs.98.2%)。最初に低ロータースピードを用い、処理中に高ロータースピードに合わせて製造されたペレット(実施例3)の表面形態は、低ロータースピードを用いて製造されたペレット(実施例1)表面より滑らかでもあった。
【0098】
要約:ロータースピードの効果
表1:マレイン酸クロルフェニラミンペレット(濃度10%)の嵩密度と薬剤放出へのロータースピードの効果

ロータースピード 低 高 低/高
(実施例1) (実施例2) (実施例3)

嵩密度 0.67g/cc 0.80g/cc 0.79g/cc

薬剤放出 98.2% 89.5% 90.4%
(60分の時点)
【実施例4】
【0099】
粉末供給ステップの効果を例示するために、ブレンドの全体重量の20%を、噴霧工程の最後に粉末供給するために残しておいた(工程は下に記載される)。ペレットは、実施例1および実施例2に記載される、同じ低または高ロータースピードで製造されたペレットと比較される。
【0100】
処方:
マレイン酸クロルフェニラミン(CPM) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. CPMとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。粉末供給のために200gを秤量する。
2. VGで、CPM/MCCのブレンドを250gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1で使用された装置に移す。
4. 以下のように加工パラメータをセットする:
噴霧速度 35g/分
4枚バッフル(浅い)
噴霧空気圧 30%
ロータースピード(低) 300rpm。
5. 噴霧する、約700〜1000gの水。
6. 40g/分の粉末供給速度で粉末供給を開始する。20g/分に噴霧速度を下げ、水の噴霧を続ける。
7. 水の噴霧を終え、粉末供給を終える。
8. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水率<3%まで乾燥する。
【0101】
図4は、実施例4の手順により製造されたペレットの横断面の様子を示すSEM写真である。
【0102】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのマレイン酸クロルフェニラミンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 101.9%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.76g/cc
【実施例5】
【0103】
高ロータースピードで粉末供給ステップあり
処方:
マレイン酸クロルフェニラミン(CPM) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. CPMとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。粉末供給のために200gを秤量する。
2. VGで、CPM/MCCのブレンドを250gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1で使用された装置に移す。
4. 以下のように加工パラメータをセットする:
噴霧速度 35g/分
4枚バッフル(浅い)
噴霧空気圧 30%
ロータースピード(高) 1000rpm。
5. 噴霧する、約700〜1000gの水。
6. 約40g/分の粉末供給速度で粉末供給を開始する。20g/分に噴霧速度を下げ、水の噴霧を続ける。
7. 水の噴霧を終え、粉末供給を終える。
8. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水率<3%まで乾燥する。
【0104】
図5は、実施例5の手順により製造されたペレットの全体の形態を示している。
【0105】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのマレイン酸クロルフェニラミンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 84.7%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.79g/cc
【0106】
要約:
粉末供給ステップなしの方法(低ロータースピードでの実施例1と、高ロータースピードでの実施例2)が、粉末供給ステップを伴う方法(低ロータースピードでの実施例4と、高ロータースピードでの実施例5)と比較された。他の工程パラメータは一定に保たれたので、2つの方法における唯一の違いは粉末供給ステップである。
【0107】
噴霧工程の最後に粉末を供給するステップにより、低および高ロータースピード条件のどちらでも、ペレットの形状とペレットの表面形態が改善された(実施例4と実施例1、実施例5と実施例2を比較)。ペレット形状への粉末供給の効果は、高ロータースピード条件で一層顕著であった(粉末供給ステップがあると、目立ってより球状になる−実施例2と比べた実施例4)。表面形態は、粉末供給ステップを用いて製造されたペレットで、より滑らかであった(実施例1と比べた実施例4)。
【0108】
ペレットからのクロルフェニラミン放出は、低ロータースピードでの粉末供給ステップにより、それ程影響されなかった(98.2%(粉末供給ステップなし) vs.101.9%(粉末供給あり))。高ロータースピード条件では、粉末供給ステップを用いて製造されたペレットの薬剤放出は、60分の時点で、僅かに少ない(84.7% vs.89.5%(粉末供給ステップなし))。
【実施例6】
【0109】
マイクロクリスタリンセルロース(101)から製造された1.8kgのペレット(平均直径、710〜850ミクロン)を米国特許第6354728号による装置に入れた。回転式噴霧発生装置を用いて、マレイン酸クロルフェニラミン(CPM)溶液(0.2kgの水に0.2kgを溶解)を約19g/分の速度で装置に噴霧し、その速度を約30g/分に上げた。半径方向の速度は8.9メートル/秒であった。CPM溶液の噴霧終了後に、水の噴霧を約30g/分で、また、0.8kgのカルボキシポリメチレン(Carbopol 971P)と0.2kgのタルク(S500)の粉末ブレンドを約30〜50g/分の速度で導入することにより、同じ装置で処理を続けた。水の噴霧速度は約38g/分まで上げられる。ペレットは互いにくっ付き始め、粉末供給と水の噴霧は停止され、約230gのメイクロクリスタリンセルロースの粉末(MCC)が装置に添加される。噴霧が約38g/分で再開され、粉末ブレンドが、さらに230g部のMCCと、断続的に供給される。水の噴霧速度は、約9g/分まで下げられ、粉末ブレンドの全てが装置に供給される。
【0110】
さらに270g部のMCCが、約37g/分の速度で水を噴霧しながら供給され、その粉末は約30〜50g/分の速度で供給される。粉末供給が完了した後、処理は終了し、ペレットは、GPCG−1流動床乾燥機で、ペレットがペレットの全重量に対して約5wt%の平均含水率に乾燥されるまで、約80℃で乾燥される。
【0111】
ペレットの平均直径は約800ミクロンであった。
【0112】
USP 23 タイプII装置で、37℃、100rpmの水中のパドルスピードで、CPMが放出される速度を求めるためにペレットを試験した。結果は次の通りであった:

時間 CPM放出%
0.5h 26.3
1hr 29.8
2hr 34.0
3hr 44.2
6hr 55.0
8hr 59.9
12hr 61.1
【0113】
図6は、実施例6の手順により製造されたペレットの横断面を示すSEM写真である。
【実施例7】
【0114】
次の手順に従ってペレットを製造した:

イブプロフェン 25(BASF) 3,600g
ポリビニルピロリドン(PVPK−30) 200g
MCC(Vivapor 101) 200g
【0115】
VGで1.5分間ブレンドを混合した。処理の最後のステップの間に粉末供給として後で使用するために、1.5kg部を別に分けた。次に、米国特許第6354728号に記載される装置に、2.5kgのブレンド粉末を投入した。
【0116】
0.1w%のTween 80を含む水を用いて噴霧を開始した。噴霧速度は19g/分であり、初期ロータースピードは475rpm(8.9メートル/秒)(70%)であり、徐々に550rpm(10.4メートル/秒)(80%)まで上げた。320gを噴霧した後、噴霧速度を約40g/分まで上げたが、これでは速すぎるようであった。そこで、噴霧速度を29g/分まで下げた。750gを噴霧した時、いくらかの粉末が粉末供給口内に吸い込まれているようであった。863gを噴霧した後、噴霧速度を約40g/分に上げ、粉末供給を、約66g/分の速度で開始した。液体噴霧速度を約29g/分に下げた。1379gが噴霧された後、噴霧を停止し、全ての粉末(1.25kg)を添加し、粉末供給完了後、ローターを約4分間運転した。全加工時間は約50分であった。ペレットを、55〜65℃のGPCG−1で、生成物温度が45℃になるまで乾燥した。ペレットの全体の形態が図7に示されている。平均の大きさは約800ミクロンである。
【実施例8】
【0117】
低ロータースピード(300rpm)で製造されたイブプロフェンペレット(濃度10%)が、高ロータースピード(1000rpm)で製造されたペレットと比較される。
【0118】
II
イブプロフェン(IBU) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. IBUとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。
2. VGで、IBU/MCCのブレンドを300gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1の装置に移す。
4. 以下のように加工パラメータをセットする:
噴霧速度 35g/分
i. 4枚バッフル(浅い)
ii. 噴霧空気圧 30%
iii. ロータースピード(低) 300rpm。
5. 噴霧する、約700〜1000gの水。
6. 水の噴霧を終える。
7. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水<5%まで乾燥する。
【0119】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのイブプロフェンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 72.1%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.66g/cc
【0120】
処理条件:高ロータースピード

処方:
イブプロフェン(IBU) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. IBUとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。
2. VGで、IBU/MCCのブレンドを300gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1の装置に移す。以下のように加工パラメータをセットする:
噴霧速度 35g/分
i. 4枚バッフル(浅い)
ii. 噴霧空気圧 30%
iii. ロータースピード(高) 1000rpm。
4. 噴霧する−700〜1000gの水。
5. 水の噴霧を終える。
6. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水<5%まで乾燥する。
【0121】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのイブプロフェンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 38.6%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.80g/cc
【0122】
図8Aは、低ロータースピードを用いて製造されたペレットの横断面のSEMであり、図8Bは、高ロータースピードを用いて製造されたペレットの横断面のSEMである。
【0123】
要約:
低ロータースピードおよび高ロータースピードを用いて製造されたイブプロフェンペレットは、異なる物理的特徴(ペレットの形状、嵩密度、ペレットの構造)をもっている。高ロータースピードを用いて製造されたペレットは、低ロータースピードを用いて製造されたペレットほど球状ではない。
【0124】
低ロータースピードおよび高ロータースピードを用いて製造されたペレットの薬剤放出もまた違っている。イブプロフェンは水不溶性化合物であり、低ロータースピードで製造されたペレットからよりも、高ロータースピードで製造されたペレットから、かなり遅い速度で放出された(38.6% vs.72.1%)。高ロータースピードで製造されたペレットの嵩密度は、低ロータースピードで製造されたペレットのそれより大きかった(0.80 vs.0.66g/cc)。ペレット構造(走査電子顕微鏡下での)は、高ロータースピードで製造されたペレットで、より緻密であった。
【実施例9】
【0125】
以下のように、低および高ロータースピードを組み合わせて用い、ペレットを製造した。

処方:
イブプロフェン(IBU) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. IBUとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。
2. VGで、IBU/MCCのブレンドを300gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1の装置に移す。
4. 以下のように実施例1の装置の加工パラメータをセットする:
5. 噴霧速度 35g/分
i. 4枚バッフル(浅い)
ii. 噴霧空気圧 30%
iii. ロータースピード(低) 300rpm。
6. 600gの水を噴霧した後、ロータースピードを1000rpmに変更し、水の噴霧を続ける。さらに噴霧される水の量、約200〜400g。
7. 水の噴霧を終える。
8. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水<5%まで乾燥する。
【0126】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのイブプロフェンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 60.2%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.75g/cc
【0127】
図9は、実施例9により製造されたペレットの横断面のSEMである。
【0128】
要約:
最初に低ロータースピードを用い、処理中に高ロータースピードに合わせて製造されたイブプロフェンペレット(実施例9)は、低ロータースピードを用いて製造されたペレット(実施例8)と比べた場合、嵩密度がより大きく(0.75 vs.0.66g/cc)、薬剤放出が少なかった(60.2 vs.72.1%)。最初に低ロータースピードを用い、処理中に高ロータースピードに合わせて製造されたペレットの表面形態は、低ロータースピードを用いて製造されたペレット表面より僅かに滑らかであった。
【0129】
要約:ロータースピードの効果
表II.1:イブプロフェンペレット(濃度10%)の嵩密度および薬剤放出へのロータースピードの効果
【0130】
【表1】

【実施例10】
【0131】
粉末供給ステップの効果を調べるために、ブレンドの全体重量の20%を、噴霧工程の最後に粉末供給するために残しておいた(工程は下に記載される)。ペレットは、実施例8に記載される、同じ低または高ロータースピードで製造されたペレットと比較される。
【0132】
処方:
イブプロフェン(IBU) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. IBUとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。粉末供給のために200gを秤量する。
2. VGで、IBU/MCCのブレンドを250gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1で使用された装置に移す。
4. 以下のように加工パラメータをセットする:
噴霧速度 35g/分
4枚バッフル(浅い)
噴霧空気圧 30%
ロータースピード(低) 300rpm。
5. 噴霧する、約700〜1000gの水。
6. 40g/分の粉末供給速度で粉末供給を開始する。20g/分に噴霧速度を下げ、水の噴霧を続ける。
7. 水の噴霧を終え、粉末供給を終える。
噴霧空気圧 30%
ロータースピード(低) 300rpm。
5. 噴霧する、約700〜1000gの水。
6. 40g/分の粉末供給速度で粉末供給を開始する。20g/分に噴霧速度を下げ、水の噴霧を続ける。
7. 水の噴霧を終え、粉末供給を終える。
8. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水率<5%まで乾燥する。
【0133】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのイブプロフェンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 47.3%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.70g/cc
【0134】
処理条件:高ロータースピード

イブプロフェン(IBU) 100g
MCC(101グレード) 900g

1. IBUとMCCをプラスチックの袋でブレンドする。粉末供給のために200gを秤量する。
2. VGで、IBU/MCCのブレンドを250gの水で予め湿らせる。
3. 予め湿らせたブレンドを、実施例1で使用された装置に移す。
4. 以下のように実施例1の装置の加工パラメータをセットする:
5. 噴霧速度 35g/分
4枚バッフル(浅い)
噴霧空気圧 30%
ロータースピード(高) 1000rpm。
6. 噴霧する、約700〜1000gの水。
7. 40g/分の粉末供給速度で粉末供給を開始する。20g/分に噴霧速度を下げ、水の噴霧を続ける。
8. 水の噴霧を終え、粉末供給を終える。
9. 湿ったペレットを排出する。GPCG−1で、含水率<5%まで乾燥する。
【0135】
分析試験:
ペレット(841〜1190ミクロン)からのイブプロフェンの溶解(60分の時点でUSP溶解試験を使用) 44.9%
ペレット(841〜1190ミクロン)の嵩密度 0.77g/cc
【0136】
要約:
低ロータースピードおよび高ロータースピードで粉末供給ステップなしの方法(実施例8)が、低ロータースピードおよび高ロータースピードで粉末供給ステップを伴う方法(実施例10)と比較された。他の工程パラメータは一定に保たれたので、2つの方法における唯一の違いは粉末供給ステップである。
【0137】
水不溶性化合物であるイブプロフェンでは、ペレット形状および形態への粉末供給ステップの効果は、水溶性化合物であるマレイン酸クロルフェニラミンの場合ほど顕著ではなかった。
【0138】
イブプロフェン放出速度への粉末供給ステップの効果は、非常に際立っていた。この効果は、マレイン酸クロルフェニラミン(水溶性化合物)より、イブプロフェン(水不溶性化合物)で、より明瞭であった。
【0139】
「低ロータースピード条件」では、粉末供給ステップにより、ペレットからのイブプロフェン放出速度がかなり減少した(60分時点で、47.3% vs.72.1%(粉末供給ステップなし))。粉末供給ステップを用いて製造されたペレットの嵩密度は僅かに大きかった(0.70g/cc vs.0.66g/cc(粉末供給ステップなし))。
【0140】
「高ロータースピード条件」では、粉末供給ステップにより、イブプロフェンの放出が僅かに増加した(60分時点で、44.9% vs.38.6%(粉末供給ステップなし))。粉末供給ステップを用いて製造されたペレットの嵩密度は僅かに小さかった(0.77g/cc vs.0.88g/cc(粉末供給ステップなし))。
【0141】
イブプロフェンペレットの溶解の様子(低ロータースピード、高ロータースピードおよび、低ロータースピードで粉末供給を伴い調製されたペレット)。
【0142】
実施例8および実施例10で調製されたイブプロフェンペレットで、24時間の溶解試験を行った。溶解の様子は表2に要約されている。
【0143】
【表2】

【0144】
水不溶性化合物の例としてイブプロフェンを用いて、ペレットの密度に影響し、結果的にペレットからの薬剤放出に影響を及ぼす、本発明の方法の条件(低 vs.高ロータースピード)を制御することにより、持続放出薬剤ペレットを製造することが可能である。
【0145】
本発明の方法では、ペレット形成中に工程パラメータを調節することができる。これらの調節により、ペレットの物理的特長、ならびに、薬剤放出に影響を与えることができる。(コアペレットが形成された後)さらなる粉末を添加することが可能である。粉末のこの追加により、ペレットの形状、形態およびペレットからの薬剤の放出に影響を及ぼすことができる。イブプロフェン(水不溶性化合物である)ペレットでの粉末供給ステップは、特に低ロータースピード条件で、放出速度にかなり影響を与えた。形成中のペレットの密度を変えることにより、また、処理の間の粉末の添加により、持続放出ペレットを製造することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性製剤に適合させたペレットの製造方法であって、次の工程を備える製造方法
(a)粉末と液体とを軸方向に延びる円柱壁面をもつローターチャンバ、底部から前記チャンバを通して空気を流す手段、前記チャンバに液体を供給する噴霧手段、垂直のローター軸の回りに回転するローターを備える運転装置に供給しペレットを形成する工程であって、前記ローターは前記ローターチャンバに取り付けられており;前記ローターは、中央の水平表面と、前記ローターの半径方向の少なくとも外側3分の1に10°と80°の間の外向方向で上向きの勾配をもつ円錐シェルの形状とをもち;前記円錐シェルはローター軸、前記粉末添加物を導入するための供給口に直交する平面内にある円形上端部をもち;複数のガイドベーンが、前記ローターの前記円錐シェルの上端部により形成される平面より上で前記ローターチャンバの前記円柱壁面に静的に固定された外側端部と、前記ローターチャンバ内に延び、前記ローターチャンバの前記円柱壁面に対して接線方向に固定された内側端部をもち、さらに、ローター軸の横断面内で、本質的に円孤またはスパイラルの形をもち、そのために、前記ローターによる運動エネルギーにより運動エネルギーの作用の下で循環する前記粉末生成物が前記ローター上に落ちて戻る前に前記ローターから前記ガイドベーンの内側表面へと動く工程;
(b)所望のペレット寸法が達成されたとき、乾燥した粉末を前記装置に送り、前記装置を3分〜15分運転してペレットの形成を完成させる工程;
(c)ペレットを取り外し、30℃〜100℃の温度で、ペレットの湿度分がペレット全重量の1〜10重量%になるまで乾燥させる工程。
【請求項2】
請求項1に記載された製造方法により製造されたペレットを含む医薬品製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−221049(P2010−221049A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115444(P2010−115444)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【分割の表示】特願2004−559332(P2004−559332)の分割
【原出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(505217664)シーピーエス オラセル リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】