説明

生理活性組成物、それらを産生する天然な方法、および天然な産生プロセスを設計するコンピュータ法

本発明は、選択された生物もしくはそのような生物の抽出物中に存在するプロセシング活性、または他の天然なプロセシング作用因子によって、天然に存在する生物分子の制御された天然バイオプロセシングを行う手順を対象とする。本発明は、これらの手順を開発する方法および上記手順によって調製された組成物も包含する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]1990年代のゲノミックス−プロテオミックス革命は、多数の小分子薬物および潜在的薬物の同定および設計をもたらした。多くの場合、これらの化合物は天然に存在しておらず、かつ、それらの多くが、毒性であるか、抗原性であるか、あるいは不適当な薬物動態学的特性を有するものであった。
【0002】
[0002]多くの生理活性分子が、より大きな前駆体分子の部分として、食品中に天然に存在している。それらは一般的に摂取される食物の成分なので、そのような作用因子はヒトおよび動物にとって毒性がより少ないものである可能性が高い。これらの化合物をそれらの前駆体食品源から遊離させる方法を見出すことができたならば、食品の質を高めるのに、これらの分子を利用することができるであろうし、あるいは単離して、栄養物質または治療薬として用いることができよう。
【0003】
[0003]例えば、PYYは、Y2 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の高親和性陽性アゴニストであり、疾患のなかでも、とりわけ肥満に用いる比較的新しいクラスの治療処置を代表するものである。PYYは、腸の特異的内分泌L細胞によって、食事のカロリー含量に比例して産生される天然ホルモンである。PYYは、視床下部の食欲回路を調節することによって、食欲および食物摂取を減少させることで機能する。この作用因子は、対象が90分間の静脈注入を受けた2時間後に、肥満していても、肥満していなくても、カロリー摂取を30%減少させることが示されている。それらの対象は、24時間の累積カロリー摂取でも有意な減少を経験した。他の研究では、肥満個体が、より低レベルの循環PYYを有することが観察された。
【0004】
[0004]本発明は、PYYなどの天然に存在する生理活性因子を単離する方法を提供し、結果として得られる発明性のある組成物自体を対象とする。本発明は、これらの方法を開発するプロセスも包含する。本発明のこれらの利点および他の利点、ならびに発明性のある追加の特徴は、本明細書に提示する本発明の説明から明らかとなろう。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明は、機能的生体分子が豊富な機能性食品を産生する方法、それらの方法を開発する手順、およびそれらの方法で調製された組成物を提供する。この手順では、最初に、生成される機能的生体分子を同定する。次に、これらの生体分子の中にある、機能に必要な属性を、上記生体分子の構造と機能との間の相関を分析することによって同定する。次に、活性に必要な化学的属性および構造的属性をすべて備えた、このコンセンサスモチーフを含有する前駆体分子を、様々な前駆体食品源のゲノムデータベースを電子的に検索することによって同定する。潜在的前駆体分子および食品源が同定されたならば、上記前駆体分子から、機能に必要であると同定されたすべての属性を含有するより小さな化合物を遊離させるのに使用できる生物または酵素を同定するために、別のデータベース検索を行う。次に、上記プロセシング作用因子で前駆体を処理し、機能的生体分子を前駆体から遊離させることによって、機能的分子を生成させることができる。機能的分子には、生理活性分子またはバイオマテリアルが含まれ、その機能は、それぞれ生理活性、ならびに自己組織化および自己集合である。前駆体食品源には、食品もしくは食用タンパク質、またはそれらの混合物が含まれる。
【0006】
[0006]このアプローチは、原料の栄養源と、摂取された機能性食品産物の栄養性および健康増進効果を強化する活性小分子をin situで遊離させることのできる生物とを組合せる設計において、ゲノム情報を処理する新規な方法を提供する。
【0007】
[0007]このために本発明は、前駆体食物またはタンパク質源から生理活性分子を生成させる方法を提供する。この方法は、生理活性分子を同定するステップと、上記生理活性分子の中にある、生理活性に必要な属性を同定するステップと、上記生理活性に必要な属性を有する前駆体分子を含有する前駆体食品源を同定するステップと、上記生理活性に必要な属性を含む化合物を前駆体分子から遊離させるのに使用できる作用因子を同定するステップと、上記前駆体食品源を上記プロセシング作用因子で処理して、それによって上記生理活性に必要な属性を含有する分子を上記前駆体分子から遊離させるステップとを含む。
【0008】
[0008]この方法の別の態様では、上記生理活性分子が、ペプチド、タンパク質、および核酸重合体でありうる。
【0009】
[0009]別の態様では、この方法は、上記生理活性分子の中にある、生理活性に必要な化学属性を同定するステップをさらに含む。
【0010】
[0010]別の態様では、この方法は、バイオマテリアル中にある、高次構造への自己組織化/自己集合に必要な化学的属性を同定するステップをさらに含む。
【0011】
[0011]別の態様では、この方法は、生理活性分子中にある、生理活性または自己組織化/自己集合に必要な位相的(二次元)属性および/または構造的(三次元)属性を同定するステップをさらに含む。
【0012】
[0012]この方法の別の態様では、前駆体食品源を、コメ、ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、およびコーヒーなどの植物、乳、肉、ならびに同様のものから取得できる。
【0013】
[0013]別の態様では、この方法は、細胞である作用因子を用いて生体分子を調製するステップを含み、上記細胞が、例えば、ラクトバシラス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)(La1)を含む乳酸菌、またはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)(B129)などのビフィズス菌でありうる。
【0014】
[0014]別の態様では、この方法は、酵素である作用因子を用いて生体分子を調製するステップを含む。
【0015】
[0015]別の態様では、この方法は、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、もしくはリパーゼ、またはこれらの組合せなどの酵素である作用因子を用いて生体分子を調製するステップを含む。
【0016】
[0016]本発明の別の態様では、上記生体分子が受容体に結合する。
【0017】
[0017]本発明の特定の実施形態は、食品または食品タンパク質から生成された、LNLV[TS][RK]X[RK][YFW]というアミノ酸配列を含むペプチドを含む生理活性因子を対象とし、配列中、Xは天然に存在するいかなるアミノ酸でもよく、かつ括弧は論理OR演算を示し、かつ、F、H、K、L、Q、R、W、Yは標準的なアミノ酸略記号である。
【0018】
[0018]本発明の特定の実施形態では、機能物質が食品から単離され、かつ上記食品がコメである。
【0019】
[0019]本発明の特定の実施形態では上記食品がイネ(Oryza sativa)である。
【0020】
[0020]特定の実施形態では上記生理活性因子が、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)アミロゲニンタンパク質RGPに由来するYSCRYFGYLVSKKKY(配列番号1)という配列、または食用植物であるイネ(Oryza sativa)に由来する、それに最も近い類似体ペプチド配列、すなわちRGP2タンパク質中にあるHSCRYFGYLVSRKKY(配列番号2)もしくはRGP1タンパク質中にあるSACRCFGYMVSKKKY(配列番号3)、もしくはBiPタンパク質中にあるFDGVDFSEPLTRARF(配列番号4)という配列を含むペプチドまたはタンパク質である。
【0021】
[0021]特定の実施形態では、上記生理活性因子が、VWEKPWMDFK(配列番号5)、PWMDFK(配列番号6)、PWMDFKELQEFK(配列番号7)、PWMDF(配列番号8)、またはVWEKPWMDF(配列番号9)という配列を含むペプチドまたはタンパク質である。これらの配列はすべてイネ(Oryza sativa)のオリザシスタチンに由来する。
【0022】
[0022]本発明の特定の実施形態では、上記機能物質が、前駆体分子からそれを遊離させることによって生成される。
【0023】
[0023]本発明の特定の実施形態では、上記機能物質が、前駆体分子からそれを遊離させることによって生成され、上記前駆体分子はコメの中にある。
【0024】
[0024]本発明のさらなる機能および利点は、以下の発明の詳細な説明に記載されており、それより明らかとなろう。
【発明の詳細な説明】
【0025】
[0025]本明細書では、生理活性分子およびバイオマテリアルという用語を両方とも、機能的生体分子であるとする。これら用語は、それらの特有の機能が考慮されている限り、互換的に使用できる。したがって、生理活性分子に関して本明細書中で記述する方法および組成物は、バイオマテリアルにも等しく適用される。
【0026】
[0026]バイオマテリアルは、通常、自己組織化および自己集合できる分子と考えられている。したがって、バイオマテリアルは、それらの前駆体分子から遊離した際に、フィラメントおよびフィブリル、ヒドロゲル、界面活性物質、ならびにペプチドハイブリッドを形成できるペプチドでありうる。
【0027】
[0027]本発明は、天然の食品源および食品タンパク質を用いて、生理活性ペプチド、タンパク質、または核酸重合体など、バイオマテリアルまたは生理活性分子が豊富な機能性食品を産生する方法を提供する。加えて、本発明は、そのように設計された食品にも関する。
【0028】
[0028]一実施形態では、本発明は、天然に存在する生体分子、選択された生物もしくはそのような生物の抽出物中に存在するプロセシング活性、または他の天然のプロセシング作用因子で処理して強化食品を産生する天然のバイオプロセシング手順を開発する方法を対象とする。本発明は、上記手順によって調製できる様々な食品組成物、ならびにそれらを産生するための生理活性分子および方法も包含する。
【0029】
[0029]生理活性分子の場合、上記方法は、概して、産生する生理活性分子を同定するステップと、上記生理活性分子の中にある、生理活性に必要な属性を同定するステップと、上記属性を有する前駆体分子を含有する前駆体食品源を同定するステップと、上記生理活性に必要な属性を含む化合物を前駆体分子から遊離させるのに使用できる1つまたは複数の作用因子を同定するステップとを含む。適当なプロセシング方法が同定されたならば、上記前駆体食品源を上記プロセシング作用因子で処理して、生理活性に必要な属性を含有する分子の遊離を引き起こすことによって、上記方法を実行することができる。
【0030】
[0030]上記方法は、潜在的前駆体分子の存在量を評価するステップも含むことが望ましい。加えて、上記機能物質が前駆体タンパク質から得られる場合、上記方法は、それを遊離させるのに使用できるペプチダーゼと他の酵素または処理に対する、潜在的前駆体タンパク質の安定性の評価も含むことが好ましい。
【0031】
[0031]機能物質は、望ましい活性を有するいかなる適当な生物分子、特にペプチド、タンパク質、核酸重合体、およびそれらの誘導体でもよく、それらは、脂質、糖、ペプチド、および核酸、またはこれらの組合せが結合していても良い。機能物質は、食品用タンパク質または他の農業供給源を含めた食品から、本発明の方法によって切り出すことができる。通常、望ましい生理活性分子は、標的受容体に特異的に結合し、食品のプロセシングによって得られる濃度で受容体を活性化または不活性化するであろう。機能物質の濃度が望ましい濃度より低い特定の実施形態では、選択された機能物質を、食品源中に濃縮することができる。あるいは、機能物質の濃度が上昇しているプロセシング済み食品の抽出物を調製できる。物質を部分的に、もしくは実質的に純粋な形態に精製するのに、複数の精製方法が使用できる。濃縮物または抽出物を調製する方法、および機能物質を精製する方法は、標的の機能物質の性質に応じて必然的に異なるが、これらの方法は当技術分野で周知であり、当業者ならば容易に実施することができる。
【0032】
[0032]前駆体分子も、濃縮または精製し、処理して、生理活性分子を遊離させることができ、その後、それを望み通りに食品に添加して戻すことができる。
【0033】
[0033]様々な方法を、生理活性分子中にある、生理活性に必要な属性を同定するために用いることができる。例えば、文献調査を用いることができ、ペプチド、タンパク質、または核酸重合体の構造における差異が、望ましい活性にどのように影響を与えるか判定し、さらにペプチドもしくはタンパク質活性物質中に存在する、保存されているすべてのアミノ酸、または糖質構造、ヌクレオチド、もしくは脂質などの他の構造を同定するための情報を集めることができる。加えて、しばしば変異導入によって差異を生成させることができ、この結果生じた化合物の活性を測定した。最終的に、活性の原因となるコンセンサスモチーフを得ることができる。コンセンサスモチーフは、生理活性分子中にある、生理活性に必要なすべての属性を含有していることが望ましいであろう。そして、コンセンサスモチーフは、活性があると知られている最も単純な分子骨格を規定する。上記分子骨格は、分子の中にある、活性に必要な化学的属性と、一次、二次、および三次構造要件などの構造的属性とを、グリコシル化、アシル化、および同様のものなどの修飾に加えて、含むことができる。
【0034】
[0034]その後、生理活性に必要なすべての属性を有する分子を含有する前駆体食品源を同定することができる。そのような食品源は、例えばENSEMBL(登録商標)、Nestleゲノムデータベース、ならびにコメ、ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、コーヒー、および牛乳などの食物原料の公開ゲノムシーケンシングプロジェクトを含めたゲノム情報の大規模な集積において配列レベルおよび構造レベルの両方でコンセンサスモチーフの存在を検索することによって同定することができる。これらの食品源中に見出された前駆体分子は、望ましい生体分子の性質に応じて、タンパク質、ペプチド、または核酸重合体、およびその誘導体でありうる。好ましくは上記物質がペプチドである場合には、BLASTを用いて短いほぼ正確な一致を検索することによって、および/またはEMBOSSパターンマッチングモジュールである「patmatdb」を用いて短いほぼ正確な一致を検索することによって、そのような検索を行う。三次元構造モチーフが必要な場合には、当技術分野で知られている通り、構造予測ソフトウェアを用いて、これらの構造は見つけることができる。
【0035】
[0035]この方法によって、多数の潜在的前駆体分子を同定できると想定されている。そのような場合、望ましい物質を適当な量産生するであろう前駆体を同定するために、前駆体分子の存在量を測定することが望ましい場合がある。
【0036】
[0036]あるいは、上記生体分子を調製するのに、コンセンサスモチーフを含有する食品タンパク質を取得し、使用することができる。
【0037】
[0037]その後、遊離された化合物が生理活性に必要なすべての属性を含有するように、前駆体分子から化合物を遊離させるのに使用できる1つまたは複数のプロセシング作用因子を同定することができる。選択される作用因子は、当然ながら、遊離される機能物質の性質と、機能物質がその中に存在する基質の特徴とによるであろう。潜在的な作用因子には、微生物、微生物の抽出物、タンパク分解酵素、解糖酵素、核酸分解酵素、脂肪分解酵素、オキシダーゼ、グリコシダーゼ、および化学物質が含まれる。一部の事例では、共生細菌などの細胞のゲノムレパートリーで、これらの活性を見出すことができる。
【0038】
[0038]プロテアーゼが必要な場合には、適切な酵素活性を同定するのに、ExPASyウェブサイトによって提供されている、PeptideCutterと呼ばれる自動サービス、バイオインフォマティクスソフトウェアパッケージEMBOSSのDIGESTモジュール、および/またはMEROPSプロテアーゼデータベースを用いることができる。知られている通り、知識依存アルゴリズムであるPeptideCutterは、20超の異なったプロテアーゼによって生じる、タンパク質配列上の切断部位を同定するのに使用できる(Keil,B.、Specificity of Proteolysis、Springer−Verlag社、Berlin−Heidelberg−New York、1992年)。
【0039】
[0039]ある特定の方法は、機能物質をその基質から遊離させるのに微生物を利用する。プロテアーゼ活性などの望ましい活性を含有する微生物を同定するために、有用であると考えられる酵素の配列を既知の細菌ゲノムと比較して、それらのゲノムにある類似のプロテアーゼ配列を同定することができる。例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B129)ゲノムは、プロテアーゼまたはペプチダーゼとしてアノテートされている74のタンパク質配列を含有している。それらの1つはArg−Cプロテイナーゼに対して高い類似性を有しており、その切断の結果は、PeptideCutterモデルによってコンピュータ予測することができる。したがって、生理活性因子を供給源から遊離させる際に使用するための潜在的活性としてArg−Cプロテイナーゼ活性が同定された場合、その配列を含有している細菌であるビフィドバクテリウム・ロンガム(B129)を使用することができよう。ビフィドバクテリウム・ロンガム(B129)ゲノムは、セドリシンとの類似性が高い配列も有する。前駆体食品源から生理活性物質を遊離させるのに、両方の活性が有用であろう状況で、この細菌を用いることができる。この方法は、他の酵素活性でも等しく適用できる。
【0040】
[0040]あるいは、関与する酵素の性質に関する特別な知識なしに、共生細菌株の活性を同定し、利用することができる。少なくともプロテアーゼに関しては、細胞内および細胞外両方の活性プロファイルが報告されている。同様に、最も有望な株を選択するために、解糖活性、核酸分解活性、および脂肪分解活性をスクリーニングし、NCC細菌コレクション全体を評価することができる。
【0041】
[0041]両者、すなわち前駆体分子が食品源中に同定され、機能物質を遊離させるためのプロセシング作用因子が同定されたならば、食品源をプロセシング作用因子で処理して、コンセンサスモチーフを含有する分子を前駆体分子から遊離させることによって、上記方法は実施することができる。食品源は、単一の発酵または処理で機能物質を遊離させるのに十分な作用因子で処理することが好ましい。しかし、複数のプロセシング作用因子が必要であり、かつ、それらが相互に両立しないものであるか、あるいは使用するのに異なった環境を必要とする場合には、複数のプロセシングステップを行うことができる。
【0042】
[0042]機能物質は、タンパク質またはペプチド配列由来のものでよい。そのような場合、前駆体分子は、例えば、知られているすべての植物の発現配列タグおよび生理活性因子の配列を含有するタンパク質を検索することによって同定できる。公開されている構造と活性との相関関係の分析によって、そして、知られているすべての類似配列の配列アラインメントによって、配列中の可変アミノ酸もしくは重要でないアミノ酸と、重要なアミノ酸とを同定することができる。より大きな前駆体タンパク質中にあるコンセンサスモチーフを同定するために、このコンセンサスモチーフを用いて、知られているすべての植物タンパク質を含有するデータベースを探索することができる。同定された前駆体の中にある、生理活性因子の活性に必要な構造をとるであろう内部配列を同定するために、三次構造のコンピュータ評価を使用することもできる。これは、当技術分野で周知な標準法を用いて実施できる。例えば、ペプチド配列が既知な三次元構造によく類似している場合には、相同性モデリングを用いることができる。ペプチド配列が既知構造から、より離れている場合には、フォールド認識法を用いることができる。上記生理活性因子の受容体の三次元構造情報が利用可能である場合には、同定された配列を、知られている様々なモデリング技法によって分析して、予測されたそれらの構造が受容体に結合する可能性が高いか否か判定することができる。そして、前駆体タンパク質のリストの評価を行う。そして、前駆体分子が、生物学的に適切な量の機能物質を前駆体から調製するのを可能にするのに十分なほど豊富であるかどうか判定するために、種子および作物で異なって発現している遺伝子を示すマイクロアレイなど、既知な方法によって分析することができる。加えて、標的生理活性因子を遊離する素質を評価するために、プロテアーゼに対する前駆体分子の感度を測定することもできる。同定されたペプチド配列のペプチド合成を行うことができ、その後、そのペプチドの活性を試験することができる。
【0043】
[0043]典型的な一実施形態では、生理活性ペプチドであるPYY3−36のアナログの産生を選択することができる。この化合物は、サブタイプY1、Y2、Y4、およびY5として存在するGPCRペプチドホルモン受容体Yのリガンドである。上記受容体は、満腹感および空腹感の調節に関与している。PYY3−36ペプチドは、約0.5nMの濃度で、その標的受容体であるY1およびY2を活性化する。この方法は、例えば、コレシストキニン(CCK)、ヒト成長ホルモン(HGH)、およびメラノコルチンなど、糖尿病および肥満などの疾患に対する他の調節ペプチドの同定および産生にも有用であろう。
【0044】
[0044]以下に、限定ではなく例として、本発明の実施例を記述することができる。
【0045】
実施例1
[0045]この実施例は、PYY3−36に類似した陽性アゴニスト活性を有する生理活性因子の調製を示すものである。PYY3−36は、サブタイプY1、Y2、Y4、およびY5として存在するGPCRペプチドホルモン受容体Yのリガンドである。上記受容体は、満腹感、空腹感、および血圧の調節に関与している。このペプチドは、約0.5nMの濃度で、その標的受容体であるY1およびY2を活性化する。
【0046】
最も単純な生理活性分子骨格の決定:
[0046]広範な文献調査を行い、それを用いて、PYY3−36ペプチドのC末端部分にある短い配列のみが、食欲調節と、同系の受容体への結合とに必須であることを判定した。この配列セグメント周囲の変異が公表されている。公表された配列のいくつかを集め、下記表1に示す。表1中、太字のアミノ酸は、PYY3−36の最も単純かつ生理活性を有する骨格を構成する高度に保存されたアミノ酸である。
【0047】
[0047]NMR構造決定法は、PYY3−36ペプチドがPP−ターン型またはPP−フォルド型として知られている極めて独特な三次元形態をとっていることを示した。N末端領域は構造化されておらず、C末端領域は独特のαヘリックス構造を形成する。天然なPYY3−36リガンドペプチドの潜在的ホモログを見出すために、この情報を用いて、類似した配列および三次構造を有するペプチドを同定した。
【0048】
[0048]この検索は、EMBOSSの「patmatdb」を使用し、PYY3−36のC末端断片の化学的性質を最もよく再現する以下のパターン、すなわち、XXX[RK]X[YFW]XXXX[TS][RK]X[RK][YFW]を用いて行った。興味深いことに、様々な植物ゲノムに存在する何十個もの一致した断片が同定された。そのうちのいくつかの例を表1に示す。標的断片の必要なαヘリックス構造の存在は、ペプチド構造予測ソフトウェアを用いて確認した。
【0049】
【表1】

【0050】
PYY22−36アナログについて同定されたヒット:
[0049]表1は、EMBOSSプログラムを用いた既知なESTの検索から得られた3つの潜在的生理活性ペプチドも同定する。これらの配列には、アミロゲニンタンパク質に由来する2つのペプチドが含まれる。すなわち、1つはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来(AtRGP2)であり、もう1つはイネ(Oryza sativa)由来(OsRGP1)である。もう1つの潜在的ペプチド配列は、イネの結合タンパク質(OsBiP)に由来するものであった。
【0051】
[0050]アミロゲニンは、植物におけるデンプン生合成に関与していると考えられており、可逆的糖化タンパク質(RGP)としても知られている。シロイヌナズナ種子のマイクロアレイおよび微生物学的データの解析は、このタンパク質が種子および根で豊富なタンパク質であり、かつほとんど植物ゴルジ膜にのみ局在していることを示す。BiP、すなわち結合タンパク質は、環境ストレスに対する作物の耐性を強化するのに関与している。微生物学的データは、BiP合成が、作物における活性貯蔵タンパク質の発生と同調していることを示す。
【0052】
[0051]タンパク質AtRGP2、OsRGP1、およびOsBiPから得られたペプチドを5mgの量合成し、約90%超の純度まで精製した。これらのペプチドのGPCR受容体への結合を、PYY22−36に対する競合的結合アッセイで試験した。
【0053】
標的生理活性分子骨格の同定。Nestleの共生細菌ゲノムレパートリーにおける適切なタンパク質分解酵素の探索:
[0052]PYY3−36アナログを遊離できるであろうプロテアーゼを同定するために、ExPASyウェブサイトによって無料で提供されている、「PeptideCutter」と呼ばれる自動サービスと、バイオインフォマティクスソフトウェアパッケージEMBOSSのモジュールDigestとを用いた。生理活性因子をその天然基質から遊離させることができるであろう活性を有するとして、Arg−Cプロテイナーゼおよびセドリシンを同定した。高度に類似した配列が存在するかどうか調べるために、PeptideCutter、MEROPS、およびDigestで使用したプロテアーゼの配列を、いくつかの細菌ゲノムと比較した。例えばビフィドバクテリウム・ロンガムゲノムには、74のタンパク質配列がプロテアーゼまたはペプチダーゼとしてアノテートされている。それらのうち、Arg−Cプロテイナーゼに類似していること判明したのは1つのみであり、その切断結果は、PeptideCutterモデルによってコンピュータ予測可能である。Arg−Cプロテイナーゼ活性のみでは必要な活性ペプチドを産生することができなかった。しかし、ビフィドバクテリウム・ロンガムゲノム中には、セドリシンに類似した配列が同定された。ビフィドバクテリウム・ロンガムにおけるこれら2つのプロテアーゼの組み合わされた活性は、イネ前駆体タンパク質を、望ましいPYYホモログにプロセシングできることが示された。
【0054】
生理活性のin vitro/in vivo試験:
[0053]サブタイプY1、Y2、およびY3の受容体のin vitro受容体ベーススクリーニングを、当技術分野で知られているプロトコールに従って行った(Munozら、Mol.Cell.Endocrinol.107、77(1995年)、Fuhlendorfら、PNAS87、182(1990年))。OsBiP、ZmRGP1、およびAtRGP1のスクリーニングを、上述の通り既知な方法を用いてY2−GPCRに関して行い、内因性リガンドであるPYY22−36配列の結合を阻害するパーセンテージとして活性を測定した。PYY22−36配列はポジティブコントロールとして用いた。試験されたペプチドのうち、AtRGP1タンパク質由来のものは、PYY22−36ペプチドおよびOsBiPペプチドの両方を濃度10μMで結合アッセイに用いた際に、PYY22−36の結合を20〜40%阻害することができた。コメタンパク質OsRGP2中に見出された、シロイヌナズナタンパク質AtRGP1由来のペプチドに近いアナログは、化学的に同等な1アミノ酸の相違を有するのみであり、同様な活性を有するにちがいないと予測される。この技法を用いて、OsBIPタンパク質も、Y2受容体に結合することが示された。ラット結腸細胞を培養して組織ベースのin vivoスクリーニングを、Dumontら、Eur.J.Pharmacol.238、37(1993年)などに記載の既知なプロトコールに従って実施できる。
【0055】
実施例2
[0054]この実施例は、CCK−Bサブタイプ受容体へのペプチドCCK−4活性化物質の作用を阻害する生理活性因子の調製を示す。CCK−8およびCCK−4ペプチドは、AおよびBという少なくとも2つのサブタイプで存在する、GPCRペプチドホルモン受容体であるCCKのリガンドである。CCK受容体サブタイプAは、腸で発現しており、満腹感および空腹感の調節に関与していると考えられている。CCK受容体サブタイプBは、ガストリン受容体としても知られており、胃酸の分泌、ならびに胃潰瘍および癌などの疾患状態の発症に関与していると考えられている。CCK−B受容体のアンタゴニストは、これらの状態を治療するのに使用できる。
【0056】
最も単純な生理活性分子骨格の定義:
[0055]アンタゴニスト設計の一般的戦略は、陽性アゴニストを模倣すること、およびアンタゴニストが結合部位を占めるように、同系の受容体への結合を促進する分子構造変化を導入し、それによって、アゴニスト結合を阻止することである。広範な文献調査および配列比較を用いて、ヒトCCKペプチドのC末端部分における短い配列のみが受容体結合に必須であることを決定した。この情報の概要を表2に提示する。表2中、太字のアミノ酸は、CCKペプチドの最も単純かつ生理活性な骨格を構成する高度に保存されたアミノ酸である。
【0057】
[0056]この検索は、EMBOSSの「patmatdb」を使用し、CCKペプチドのC末端断片の化学的性質を表す以下のパターン、すなわち、P[YFW]X[DE][YFW]を用いて行った。様々な植物ゲノムに存在する何十個もの一致した断片が同定された。そのうちのいくつかの例を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
同定されたヒット:
[0057]表2は、EMBOSSプログラムを用いた、既知なESTの検索から2つの潜在的生理活性ペプチドも同定する。これらの2つの配列には、生物イネ(Oryza sativa)のオリザシスタチンタンパク質に由来する2つの断片ペプチドが含まれる。
【0060】
[0058]オリザシスタチンは、システインプロテイナーゼ阻害タンパク質である。文献の分析は、このタンパク質がコメ作物で大量に産生されること、およびこのタンパク質が、作物1キログラムあたり1mgのタンパク質にまで達しうるであろうことを示した。ペプチドVWEKPWMDFK、PWMDFK、およびPWMDFKELQEFKを5mgの量に合成し、約90%超の純度まで精製した。これらのペプチドのCCK−B GPCR受容体への結合を、CCK−8に対する競合的結合アッセイで試験した。
【0061】
標的生理活性分子骨格の同定。適切なタンパク質分解酵素の探索:
[0059]コメ(イネ)由来の活性断片を生成させるのには、トリプシンまたはカルボキシペプチダーゼなどの市販のタンパク質分解酵素が使用されている。
【0062】
生理活性のin vitro試験:
[0060]サブタイプCCK−AおよびCCK−Bの受容体のin vitro受容体ベーススクリーニングを、当技術分野で知られているプロトコールに従って行った。CCK−AおよびCCK−B GPCR上での、ペプチドVWEKPWMDFK、PWMDFK、およびPWMDFKELQEFKの結合活性を、内因性リガンドであるCCK−8配列の結合を阻害するパーセンテージとして活性を測定した。このアッセイでは、CCK−8配列をポジティブコントロールとして用いた。結果は、ペプチドVWEKPWMDFK、PWMDFK、およびPWMDFKELQEFKが、10μMの濃度で、CCK−B受容体へのリガンドCCK−8の結合を、それぞれ27%、16%、および5%阻害したことを示した。試験されたペプチドは、10μMという高い濃度でも、CCK−A受容体を活性化しなかった。これはおそらく、CCK−A受容体にアゴニストとして作用するのに必要な化学修飾であるスルホン化が不足していたためである。
【0063】
[0061]加水分解物は、イネから単離されたオリザシスタチンタンパク質を組換え発現させ、精製したものから生成させた。各試料10mgを加水分解するのに、標準条件を用いて、トリプシンを使用した。第1のスクリーニングで、2つのペプチド、すなわちVWEKPWMDFKおよびPWMDFKペプチドが最も高い活性を示したので、これらのペプチドを、これらの加水分解物から同定し、精製した。再び、加水分解物および精製された2つのペプチドを、受容体ベースのスクリーニングにかけた。加水分解物はそれ自体で、加水分解物濃度100μMで、CCK−B受容体へのCCK−8の結合を21%阻害した。一方、精製されたペプチドであるVWEKPWMDFKおよびPWMDFKは、濃度10μMで、CCK−8の結合を16%および14%阻害した。
【0064】
[0062]C末端リジン残基の除去によって生じるペプチドVWEKPWMDFおよびPWMDFの取得を目標として、トリプシンおよび限定的カルボキシペプチダーゼ消化の併用逐次作用による、加水分解の最終最適化を行った。これらのペプチド中に豊富な加水分解物は、CCK−B受容体へのリガンドCCK−8の結合にさらに高い阻害を示し、この阻害は、活性ペプチドの濃度が10μMのときに38%にまで達した。これと比較して、トリプシン処理をしていない場合には、10倍高い濃度である100μMで21%であった。
【0065】
[0063]トリプシン消化は、200μlのオリザシスタチンタンパク質(2mg)に、96mgの尿素を添加し、尿素が溶解するまで、室温でインキュベートすることによって行った(最終濃度約4Mの尿素)。この尿素溶液に、100mMの重炭酸アンモニウムを含む1mMのCaCl 900μlを添加し、続いて、120μlのアセトニトリルを添加した。40μgのトリプシン(Promegaシーケンシンググレードトリプシン40μgを含むPromega再懸濁バッファー)を添加し、この溶液を37℃で終夜インキュベートした。第2アリコートのトリプシン10μgを添加し、それに続いて、37℃で3hインキュベートした。
【0066】
[0064]オリザシスタチン消化溶液の50%を、C18逆相物質を用いた固相抽出法による脱塩用に−20℃で保存し、オリザシスタチン消化溶液の50%をカルボキシペプチダーゼ消化した。
【0067】
[0065]カルボキシペプチダーゼY消化は、オリザシスタチンのトリプシン消化溶液720μl(約1mg)に、10%アセトニトリルを含む、pH5の200mM酢酸緩衝液1080μlを添加して行った。100μgのカルボキシペプチダーゼY(Sigma Aldrich社、カルボキシペプチダーゼY溶液は3日前に調製した。Sigma Aldrich社によればこの溶液は1週間保存できる)を添加し、この溶液を室温で30分間インキュベートし、続いて、1%のギ酸910μlを添加した。
【0068】
[0066]各試料のうち少量の画分をナノLC−ESI MSMSによって特性分析した。
【0069】
[0067]両方の試料とも、500μlのC18固相抽出カラムを用いて脱塩した。洗浄溶液として0.1%ギ酸を用い、溶離溶液として80%アセトニトリル/0.1%ギ酸を用いた。
【0070】
[0068]本明細書に記載した現在好ましい実施形態への様々な改変および修正は、当業者にとっては明らかなものであろうと理解されよう。本発明の精神および範囲から逸脱せずに、また意図された利点を減弱せずに、そのような改変および修正を加えることができる。したがって、そのような改変および修正も、添付した特許請求の範囲に包含されているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体から機能的生体分子を生成させる方法を開発するプロセスであって、
a.生成させる機能的生体分子を同定するステップと、
b.前記機能的生体分子の中にある、機能に必要な属性を同定するステップと、
c.前記機能に必要な属性を有する前駆体分子を含有する前駆体食品源を同定するステップと、
d.前記機能に必要な属性を有する前記前駆体から遊離させるのに使用できる作用因子を同定するステップと
を含むプロセス。
【請求項2】
前記機能的分子が生理活性分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機能的分子が自己組織化/自己集合ができるバイオマテリアルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記機能的分子が、ペプチド、タンパク質、核酸重合体、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記機能的分子の中にある、機能に必要な化学的属性を同定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記機能的分子の中にある、機能に必要な構造的属性を同定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記前駆体食品源は食品である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記前駆体食品源が強化タンパク質源である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体食品源が、コメ、ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、コーヒー、および乳からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記作用因子が細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記作用因子が、乳酸菌株およびビフィズス菌株からなる群から選択された細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記作用因子が酵素である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記作用因子が、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、リパーゼ、およびこれらの組合せからなる群から選択された酵素である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記作用因子がプロテアーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記機能的分子が、受容体に結合する生理活性分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
機能的生体分子が豊富な機能性食品を調製する方法であって、
a.生成させる機能的生体分子を同定するステップと、
b.機能に必要な属性を有する前駆体分子を含有する前駆体食品源を取得するステップと、
c.前記機能に必要な属性を含む化合物を前駆体分子から遊離させるのに使用できる作用因子を取得するステップと、
d.前記前駆体食品源を前記プロセシング作用因子で処理して、前記前駆体分子から前記機能的生体分子を遊離させるステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記機能的生体分子が生理活性分子である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記機能的生体分子が自己組織化/自己集合ができるバイオマテリアルである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記生理活性分子が、ペプチド、タンパク質、核酸重合体、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記前駆体食品源が、コメ、ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、コーヒー、および乳からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前駆体食品源が食用タンパク質である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記作用因子が細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記作用因子が酵素である、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記作用因子が、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、およびリパーゼ、ならびにこれらの組合せからなる群から選択された酵素である、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記作用因子がプロテアーゼである、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
配列番号8のアミノ酸配列を有するペプチドを含む生理活性因子。
【請求項27】
前記食品がコメである、請求項26に記載の生理活性因子。
【請求項28】
前記食品がイネ(Oryza sativa)である、請求項26に記載の生理活性因子。
【請求項29】
前記ペプチド配列が配列番号9を含む、請求項26に記載の生理活性因子。
【請求項30】
前記ペプチドが、前駆体分子からの遊離によって生成する、請求項26に記載の生理活性因子。
【請求項31】
前記ペプチドが、コメの中の前駆体分子からの遊離によって生成する、請求項26に記載の生理活性因子。
【請求項32】
配列番号1、配列番号2、および配列番号3からなる配列群から選択された配列を含むペプチドを含む生理活性因子。
【請求項33】
機能的分子を調製する方法であって、
a.生成させる機能的生体分子を同定するステップと、
b.前記機能的生体分子の中にある、機能に必要な属性を同定するステップと、
c.前記機能に必要な属性を有する前駆体分子を含有する前駆体食品源を同定するステップと、
d.前記機能に必要な属性を含む化合物を前駆体分子から遊離させるのに使用できる作用因子を同定するステップと、
e.前記前駆体食品源を前記プロセシング作用因子で処理して、前記機能に必要な属性を含有する分子を前記前駆体分子から遊離させるステップと
を含む方法。
【請求項34】
プロセシングされた前記前駆体食品源から前記機能的生体分子を精製するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
プロセシングされた前記前駆体食品源中にある前記機能的生体分子を濃縮するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
高濃度の前記生体分子を含有する、プロセシングされた前記前駆体食品源の抽出物を調製するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記プロセシング作用因子が、前記生体分子を前記前駆体分子から遊離させる、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
消化された前駆体分子と、前記消化中に前記前駆体分子から遊離した生体分子とを含む食品産物。

【公表番号】特表2008−515841(P2008−515841A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535106(P2007−535106)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010837
【国際公開番号】WO2006/037655
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】