説明

生産装置の制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】生産の安定性を損なうことなく効率的に電力消費を低減する。
【解決手段】制御装置は、上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2以下であるか否かを判断する(S17)。次に、制御装置は、上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2以下ではないと判断した場合、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下又は下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1以上であるか否かを判断する(S18)。次に、制御装置は、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下又は下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1以上であると判断した場合、電力消費低減制御を実行する(S19)。また、制御装置は、上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2以下であると判断した場合、電力消費低減制御を停止する(S21)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインの一工程を担う生産装置の制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動生産ラインにおいては、生産のための一連の作業がそれぞれ同程度の動作時間になるような工程に分割され、それぞれ別々の生産装置に割り振られる。その設計は技術者が行うが、製品の構造、製造過程上の制約から各生産装置の動作時間を同じにするのは現実問題として困難で、各生産装置の動作時間には差がある。
【0003】
よって、動作時間の短い生産装置は他の動作時間の長い生産装置が動作終了するまでの間は待機状態になっており、生産に寄与してはいないが無駄に電力を消費している状態となる。また、各生産装置はロット変化による部品のばらつき等により異常が発生する場合がある。異常が発生した生産装置が自動的に復旧することは稀で、ほとんどの場合はオペレータが復旧処理を行う。このとき、オペレータが復旧処理を完了するか電源を遮断するまでの間、各生産装置は待機状態となり、無駄に電力を消費している状態となる。
【0004】
そこで、従来、生産装置が待機状態かどうかを判断し、待機状態においては生産装置の各作業ユニットの電力供給を遮断する等の手段により電力消費を低減する手法が提示されている(特許文献1参照)。生産装置が待機状態かどうかの判断は、主に上流の生産装置が次のワークを搬出できる状態かどうかの情報および下流の生産装置が次のワークを搬入できる状態かどうかの情報から行う。つまり、上下流の生産装置との情報のやりとりは搬入準備完了信号と搬出準備完了信号のみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3851060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動化された加工ラインや組立ライン等の生産ラインにおいては、生産装置間の動作時間のばらつきや異常の発生があっても安定した生産量を確保するために、互いに隣接する2つの生産装置の間にバッファを設ける場合がある。
【0007】
しかし、上述した特許文献1の方法では、一つの生産装置に異常等が発生すると当該生産装置の上流の生産装置および下流の生産装置は待機状態であると判断して稼働を止める電力消費低減制御を行う。つまり、バッファを設けた生産ラインにおいて上述した特許文献1の方法を行った場合には、バッファにおけるワークの数に関わらず、停止した生産装置に隣接する上流の生産装置および下流の生産装置も電力消費低減制御を行うことになる。従って、生産の安定性が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、生産装置間にバッファを持つ生産ラインの一工程を担う生産装置において生産の安定性を損なうことなく効率的に電力消費を低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生産装置の制御方法は、ワークに作業を施す作業ユニットと、前記作業ユニットに供給する電力を低減させるように電力消費低減制御を行う電力消費低減制御手段と、を有し、上流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業前のワークを留めておく上流のバッファが配置され、下流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業後のワークを留めておく下流のバッファが配置され、生産ラインの一工程を担う生産装置の制御方法において、前記上流のバッファに留めるワークの数の下限の第1の閾値Tu1を設定する第1の閾値設定工程と、前記下流のバッファに留めるワークの数の上限の第2の閾値Tl1を設定する第2の閾値設定工程と、前記上流のバッファに留めるワークの数の上限の第3の閾値Tu2を設定する第3の閾値設定工程と、前記下流のバッファに留めるワークの数の下限の第4の閾値Tl2を設定する第4の閾値設定工程と、前記上流のバッファに留まっているワークの数を示す上流バッファ数Nuをカウントする第1のカウント工程と、前記下流のバッファに留まっているワークの数を示す下流バッファ数Nlをカウントする第2のカウント工程と、前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であるか否かを判断する第1の閾値判断工程と、前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下ではないと判断された場合、前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であるか否かを判断する第2の閾値判断工程と、前記第2の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を実行する電力消費低減制御工程と、前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を停止する電力消費低減制御停止工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のプログラムは、ワークに作業を施す作業ユニットと、前記作業ユニットに供給する電力を低減させるように電力消費低減制御を行う電力消費低減制御手段と、を有し、上流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業前のワークを留めておく上流のバッファが配置され、下流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業後のワークを留めておく下流のバッファが配置され、生産ラインの一工程を担う生産装置のコンピュータに、前記上流のバッファに留めるワークの数の下限の第1の閾値Tu1を設定する第1の閾値設定工程と、前記下流のバッファに留めるワークの数の上限の第2の閾値Tl1を設定する第2の閾値設定工程と、前記上流のバッファに留めるワークの数の上限の第3の閾値Tu2を設定する第3の閾値設定工程と、前記下流のバッファに留めるワークの数の下限の第4の閾値Tl2を設定する第4の閾値設定工程と、前記上流のバッファに留まっているワークの数を示す上流バッファ数Nuをカウントする第1のカウント工程と、前記下流のバッファに留まっているワークの数を示す下流バッファ数Nlをカウントする第2のカウント工程と、前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であるか否かを判断する第1の閾値判断工程と、前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下ではないと判断された場合、前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であるか否かを判断する第2の閾値判断工程と、前記第2の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を実行する電力消費低減制御工程と、前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を停止する電力消費低減制御停止工程と、を実行させるためのものである。
【0011】
また、本発明の記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上流の生産装置との間の上流バッファ数と下流の生産装置との間の下流バッファ数をカウントし、その数の閾値判断によって電力消費低減制御の実行および停止を行っている。これにより、上下流の生産装置との間のバッファ数を適切な状態に留めることが可能である。したがって、生産装置間にバッファを持つ生産ラインにおいては、そのバッファ数が生産の安定性に寄与するため、生産の安定性を損なうことなく電力消費を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る生産ラインの概略構成を示す説明図であり、(a)は生産ラインの生産装置及びバッファの配置関係を示す図、(b)は生産ラインの各生産装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】各バッファのバッファ数に対する制御装置による閾値の設定動作を示すフローチャートである。
【図3】制御装置による電力消費低減制御の実行および停止を判断するタイミングを説明するためのフローチャートである。
【図4】各生産装置を生産ラインに配置したときの装置間のバッファ数の変化を説明するための図であり、(a)はライン稼働直後、(b)はライン稼働してから11.9分後の状態、(c)はライン稼働してから12.2分後の状態を示している。(d)はライン稼働してから27.8分後の状態、(e)はライン稼働してから29.6分後の状態を示している。
【図5】制御装置において閾値Tu2,Tl2を設定変更する際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る生産ラインの概略構成を示す説明図である。図1(a)に示すように、生産ライン300は、複数の生産装置100,100,100,100と、隣り合う2つの生産装置の間に設けられ、仕掛品であるワークWを留めておくバッファ200,200,200とを備えている。例えば、生産装置100の上流には、上流の生産装置100が配置され、生産装置100の下流には、下流の生産装置100が配置されている。そして、当該生産装置100と上流の生産装置100との間には、ワークWを留めておく上流のバッファ200が配置され、当該生産装置100と下流の生産装置100との間には、ワークWを留めておく下流のバッファ200が配置されている。各生産装置100,100,100,100は、生産ライン300の一工程を担うものである。
【0015】
各生産装置100は、図1(b)に示すように、コンピュータである制御装置1と、制御装置1に接続された記憶装置2と、制御装置1に接続された通信装置3と、制御装置1に接続された入力装置4と、制御装置1に接続された演算装置5とを備えている。また、各生産装置100は、複数の作業ユニット6,7と、各作業ユニット6,7に電源9の電力の供給・遮断を切り替えるためのスイッチ回路8とを備えている。
【0016】
記憶装置2は、制御装置1を動作させるプログラムを記憶しており、制御装置1は、記憶装置2に記憶されたプログラムを読み出して、各種処理を実行する。また、記憶装置2は、制御装置1による演算処理結果を記憶する記憶部としても機能する。通信装置3は、上下流の生産装置100の通信装置3と情報の授受ができるように構成されている。入力装置4は、オペレータの操作により各種データを制御装置1に入力するものである。作業ユニット6,7は、例えば作業ロボットであり、上流のバッファ200に搬送されてきたワークWを作業台(不図示)に搬送し、ワークWに対して予め決められた組み立て等の作業をワークWに施し、下流のバッファ200に搬送するものである。スイッチ回路8は、制御装置1からのON信号により作業ユニット6,7に対して電力を供給するON状態と、OFF信号により作業ユニット6,7に対して電力の供給を遮断するOFF状態とに切り替わるものである。
【0017】
以上の構成で、図1(a)において、生産装置100に対する上流のバッファ200には、生産装置100の作業ユニット6,7による作業前のワークWが留められることとなる。また、生産装置100に対する下流のバッファ200には、生産装置100の作業ユニット6,7による作業後のワークWが留められることとなる。
【0018】
本実施形態では、制御装置1は、記憶装置2に記憶されたプログラムを実行することよって、作業ユニット6,7に供給する電力を低減させるように電力消費低減制御を行う電力消費低減制御手段として機能する。具体的には、制御装置1は、スイッチ回路8の切り替え動作を制御する。なお、本実施形態では、作業ユニット6,7に供給する電力を低減させるとは、作業ユニット6,7に供給する電力を遮断することである。
【0019】
また、本実施形態では、制御装置1は、上流のバッファ200に留まっているワークWの数を示す上流バッファ数Nuをカウントすると共に、下流のバッファ200に留まっているワークWの数を示す下流バッファ数Nlをカウントするように構成されている。
【0020】
具体的には、制御装置1は、まず記憶装置2にワークWの搬入回数とワークWの搬出回数とを記憶させる。初期状態では0であり、ワークWを搬入した時点で搬入回数に1を足し、ワークWを搬出した時点で搬出回数に1を足す。また、ワークWの搬入回数を更新した時点で上流の生産装置100にワークWの搬入回数を送信し、ワークWの搬出回数を更新した時点で下流の生産装置100にワークWの搬出回数を送信する。
【0021】
上流のバッファ200中のワークWを検査や手直し等で抜き取った場合は、オペレータが入力装置4から抜き取り個数を入力し、その数をワークWの搬入回数に加算するように補正しても良い。下流のバッファ200中のワークWの抜き取りや抜き取ったワークWの再投入時も同様の考え方でオペレータの手動操作で対応が可能である。
【0022】
当該生産装置100の制御装置1は、ワークWの搬入回数を更新した時点及び上流の生産装置100のワークWの搬出回数を受信した時点で、上流の生産装置100のワークWの搬出回数からワークWの搬入回数を減算して上流バッファ数Nuを算出する。算出された上流バッファ数Nuは、記憶装置2に記憶される。また生産装置100の制御装置1は、ワークWの搬出回数を更新した時点及び下流の生産装置100のワークWの搬入回数を受信した時点で、下流の生産装置100のワークWの搬入回数からワークWの搬出回数を減算して下流バッファ数Nlを算出する。算出された下流バッファ数Nlは記憶装置2に記憶される。以上の制御装置1の動作で上流バッファ数Nu及び下流バッファ数Nlがカウントされる。
【0023】
図2は、各バッファ200,200のバッファ数に対する制御装置1による閾値の設定動作を示すフローチャートである。なお、制御装置1は、記憶装置2に格納されたプログラムに基づいて動作することで各閾値が設定可能となるものである。図2に示すように、制御装置1は、第1の閾値Tu1、第2の閾値Tl1、第3の閾値Tu2及び第4の閾値Tl2を設定する(S1〜S4)。これら閾値は、予めライン稼働前に設定される。ここで、ライン稼働とは、オペレータの生産開始の指示を各生産装置100が受信して生産動作を開始する時点から、オペレータの生産終了の指示を各生産装置100が受信して生産動作を停止する時点までをいう。
【0024】
本実施形態では、第3の閾値Tu2及び第4の閾値Tl2は、オペレータによって当該生産装置100の入力装置4より入力され、制御装置1により記憶装置2に記憶される。つまり、制御装置1は、第3の閾値Tu2及び第4の閾値Tl2を、オペレータの操作により指示された値に設定する(S1,S2:第3の閾値設定工程、第4の閾値設定工程)。以下、当該生産装置100に設定された第3の閾値をTu2、第4の閾値をTl2と表記し、下流の生産装置100に設定された第3の閾値をTu2、上流の生産装置100に設定された第4の閾値をTl2と表記して説明する。
【0025】
次いで、当該生産装置100の通信装置3は、制御装置1の制御の下、第3の閾値Tu2の情報を上流の生産装置100に送信すると共に、第4の閾値Tl2の情報を下流の生産装置100に送信する。このとき、当該生産装置100の下流に位置する下流の生産装置100からは、設定された第3の閾値Tu2の情報が送信され、当該生産装置100の上流に位置する上流の生産装置100からは、設定された第4の閾値Tl2の情報が送信される。
【0026】
したがって、当該生産装置100の通信装置3は、下流の生産装置100により送信された第3の閾値Tu2の情報を受信し、上流の生産装置100により送信された第4の閾値Tl2の情報を受信する。
【0027】
当該生産装置100は上流の生産装置100の第4の閾値Tl2を当該生産装置100の第1の閾値Tu1として、下流の生産装置100の第3の閾値Tu2を当該生産装置100の第2の閾値Tl1として記憶装置2に記憶する。つまり、当該生産装置100の制御装置1は、第1の閾値Tu1を、上流の生産装置100に設定された第4の閾値Tl2と同じ値に設定する(S3:第1の閾値設定工程)。また、当該生産装置100の制御装置1は、第2の閾値Tl1を、下流の生産装置100に設定された第3の閾値Tu2と同じ値に設定する(S4:第2の閾値設定工程)。
【0028】
ここで、当該生産装置100にて設定される第1の閾値Tu1は、上流のバッファ200に留めるワークWの数の下限の値を示し、第2の閾値Tl1は、下流のバッファ200に留めるワークWの数の上限の値を示している。また、当該生産装置100にて設定される第3の閾値Tu2は、上流のバッファ200に留めるワークWの数の上限の値を示し、第4の閾値Tl2は、下流のバッファ200に留めるワークWの数の下限の値を示している。
【0029】
つまり、第1の閾値Tu1は、上流の生産装置100が異常等により停止した際に当該生産装置100が稼働するための上流バッファ数Nuに対する閾値である。また、第2の閾値Tl1は、下流の生産装置100が異常等により停止した際に当該生産装置100が稼働するための下流バッファ数Nlに対する閾値である。換言すると、上流バッファ数Nuが小さいほど上流の生産装置100が停止した時に当該生産装置100が動作し続けられる時間が短くなっていることを意味し、第1の閾値Tu1はその時間が許容レベル以上に短くなっていることを判定するための閾値である。また、下流バッファ数Nlが大きいほど下流の生産装置100が停止した時に当該生産装置100が動作し続けられる時間が短くなっていることを意味し、第2の閾値Tl1はその時間が許容レベル以上に短くなっていることを判定するための閾値である。
【0030】
ここで、異常とは、生産装置100を稼働させようとしているにも関わらず、当該生産装置100が稼働するための前提条件が成立しなくなった時(例えば供給部品がなくなったときやロボットの過電流等のエラーで動作停止したとき)をいう。
【0031】
また、第3の閾値Tu2は、当該生産装置100が異常等により停止した際に上流の生産装置100が稼働するための上流バッファ数Nuに対する閾値である。また、第4の閾値Tl2は、当該生産装置100が異常等により停止した際に下流の生産装置100が稼働するための下流バッファ数Nlに対する閾値である。換言すると、上流バッファ数Nuが大きいほど、当該生産装置100が停止した時に上流の生産装置100が動作し続けられる時間が短くなっていることを意味し、第3の閾値Tu2はその時間が許容レベル以上に短くなっていることを判定するための閾値である。また、下流バッファ数Nlが小さいほど、当該生産装置100が停止した時に下流の生産装置100が動作し続けられる時間が短くなっていることを意味し、第4の閾値Tl2はその時間が許容レベル以上に短くなっていることを判定するための閾値である。
【0032】
以上、当該生産装置100の第1の閾値Tu1は、上流の生産装置100に設定された第4の閾値Tl2と同じ値に設定され、当該生産装置100の第2の閾値Tl1は、下流の生産装置100に設定された第3の閾値Tu2と同じ値に設定される。つまり、当該生産装置100を基準とした上流のバッファ200の下限の閾値と、上流の生産装置100を基準とした下流のバッファ200の下限の閾値とを整合させている。また、当該生産装置100を基準とした下流のバッファ200の上限の閾値と、下流の生産装置100を基準とした上流のバッファ200の上限の閾値とを整合させている。
【0033】
本実施形態では、各閾値は、0以上の値であって、バッファに留めておけるワークの最大数以下の値に設定される。例えば、第1の閾値Tu1は「1」に設定され、第2の閾値Tl1は「4」に設定され、第3の閾値Tu2は「4」に設定され、第4の閾値Tl2は「1」に設定される。
【0034】
図3は、制御装置1による電力消費低減制御の実行および停止を判断するタイミングを説明するためのフローチャートである。なお、制御装置1は、記憶装置2に格納されたプログラムを読み出して以下の処理を実行するものである。
【0035】
まず、制御装置1は、上流バッファ数Nuをカウントすると共に(S11:第1のカウント工程)、下流バッファ数Nlをカウントする(S12:第2のカウント工程)。次に、制御装置1は、電力消費低減制御の停止するように要求する要求信号を下流の生産装置100から受信したか否かを判断する(S13:要求信号受信判断工程)。
【0036】
次に、制御装置1は、ステップS13にて要求信号を受信したと判断した場合(S13:YES)、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下であるか否かを判断する(S14:要求信号送信判断工程)。
【0037】
次に、制御装置1は、ステップS14にて上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下であると判断した場合(S14:YES)、要求信号送信手段として機能する通信装置3により要求信号を上流の生産装置100に送信する(S15:要求信号送信工程)。つまり、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下である場合は、上流バッファ数Nuが当該生産装置100を停止させる必要のある数「0」又はその値に近いため、上流の生産装置100に電力消費低減制御を停止するように要求信号を送信する。
【0038】
次に、制御装置1は、通信装置3が要求信号を送信した後、上流バッファ数Nuが0であるか否かを判断する(S16:上流バッファ数判断工程)。なお、制御装置1は、ステップS14にて上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下ではないと判断した場合(S14:NO)は、ステップS16の判断処理を実行する。
【0039】
次に、制御装置1は、ステップS13にて要求信号を受信していないと判断した場合(S13:NO)又はステップS16にて上流バッファ数Nuが0であると判断した場合(S16:NO)、以下の判断処理を実行する。即ち、制御装置1は、上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2以下であるか否かを判断する(S17:第1の閾値判断工程)。
【0040】
次に、制御装置1は、上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2以下ではない場合(S17:NO)、以下の判断処理を実行する。即ち、制御装置1は、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下又は下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1以上であるか否かを判断する(S18:第2の閾値判断工程)。
【0041】
次に、制御装置1は、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下又は下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1以上であると判断した場合(S18:YES)、スイッチ回路8をOFFに切り替える電力消費低減制御を実行する(S19:電力消費低減制御工程)。
【0042】
つまり、上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2以下ではなく、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下又は下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1以上である場合は、電力消費低減制御を実行する。
【0043】
制御装置1は、電力消費低減制御を実行すると判断した後に、必要な前処理を実行した後でスイッチ回路8にスイッチOFFの指示を出す。例えば作業ユニット6,7が作業ロボットのように電源が遮断されると自重によって重力方向に動作してしまい装置内の部品や冶具、ユニット自体の破損を引き起こすような場合は前処理としてブレーキをかける。スイッチ回路8をOFFしたとき、対応する作業ユニット6,7の電源9は遮断され、消費電力が低減される。制御装置1は、以上の電力消費低減制御を実行した後、ステップS11の処理に戻る。
【0044】
なお、制御装置1は、ステップS18にて上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1以下又は下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1以上ではないと判断した場合(S18:NO)は、電力消費低減制御は実行せず、次のワークを搬入し、作業を開始する。
【0045】
次に、制御装置1は、ステップS16にて上流バッファ数Nuが0ではないと判断した場合(S16:YES)、以下の判断処理を実行する。又は、制御装置1は、ステップS17にて上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2以下である場合(S17:YES)、以下の判断処理を実行する。即ち制御装置1は、電力消費低減制御を実行中であるか否かを判断する(S20)。制御装置1は、電力消費低減制御を実行中であると判断した場合(S20:YES)、電力消費低減制御を停止し(S21:電力消費低減制御停止工程)、上流のバッファ200からワークを搬入し、作業を開始するように各作業ユニット6,7を制御する。なお、制御装置1は、電力消費低減制御を実行中ではないと判断した場合(S20:NO)、既に電力消費低減制御は停止されており、上流のバッファ200からワークを搬入し、作業を開始するように各作業ユニット6,7を制御する。
【0046】
ここで、制御装置1は、電力消費低減制御を停止すると判断した後に、スイッチ回路8にスイッチONの指示を出し、その後必要な後処理を実行する。後処理とは、例えばセンサのキャリブレーション処理やロボットのブレーキ解除処理である。
【0047】
図4は、各生産装置を生産ラインに配置したときの装置間のバッファ数の変化を説明するための図である。生産ライン300は生産装置100、生産装置100、生産装置100及び生産装置100から構成される。各生産装置の間には、バッファ200,200,200が配置されている。
【0048】
生産装置100には十分な部品が投入され、生産装置100から搬出されたワークWは滞りなく出荷される。また、各生産装置100〜100の動作時間はそれぞれ、0.8分、0.6分、0.9分および1分であり動作時間には差があるものとする。また、各生産装置100〜100は安定しており異常が発生しないものとする。
【0049】
生産装置100〜生産装置100においては、予め第3の閾値Tu2が「4」、第4の閾値Tl2が「1」に設定されている。そして、生産装置100、100においては、ライン稼働の直前に上流の生産装置から受信した第4の閾値Tl2の情報から第1の閾値Tu1が「1」に設定され、下流の生産装置から受信した第3の閾値Tu2の情報から第2の閾値Tl1が「4」に設定される。
【0050】
最下流の生産装置100は、他の生産装置100,100と同様に、予めオペレータの操作により閾値Tu2を記憶し、ライン稼働の直前に上流の生産装置100に閾値Tu2の情報を送信する。また、最下流の生産装置100は、他の生産装置100,100と同様に、ワーク搬入回数を更新した時点で上流の生産装置100にワーク搬入回数の情報を送信する。
【0051】
また、最下流の生産装置100は、他の生産装置100,100とは異なり、上流の生産装置100との間のバッファ200のバッファ数が1以下になったときに上流の生産装置100に電力消費低減制御の停止を要求する要求信号を送信する。また、最下流の生産装置100は、バッファ200のバッファ数が4以上になるまで要求信号を送信し続ける。
【0052】
最上流の生産装置100は他の生産装置100,100と同様に、予めオペレータの操作により閾値Tl2を記憶し、ライン稼働の直前に下流の生産装置100に閾値Tl2の情報を送信する。また、最上流の生産装置100は、ワーク搬出回数を更新した時点で下流の生産装置100にワーク搬出回数の情報を送信する。
【0053】
ライン稼働直後においては、図4(a)のように、いずれのバッファ200〜200も0の状態であり、生産装置100が生産装置100に対して電力消費低減制御の停止を要求する要求信号を送信する。
【0054】
このとき、生産装置100は生産装置100との間のバッファ200が0であるので生産装置100に対して要求信号を送信する。同様に生産装置100も生産装置100に対して要求信号を送信する。しかし、生産装置100〜100は上流の生産装置100〜100との間のバッファ200〜200が0であるので電力消費低減制御を実行する。
【0055】
11.9分後の状態においては、図4(b)のように、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には、1つのワークが、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には2つのワークが存在する。このとき、生産装置100は生産装置100に対して要求信号を継続して送信しているのに対し、生産装置100は生産装置100に対して要求信号を送信していない。つまり、生産装置100において、上流バッファ数Nu=2、第1の閾値Tu1=1であり、Nu>Tu1となるため、図3に示したフローチャートに従い、電力消費低減制御の停止の要求信号は送信しない。生産装置100は生産装置100との間のバッファが0であるので電力消費低減制御を実行している。
【0056】
12.2分後の状態においては、図4(c)のように、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には2つのワークが、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には1つのワークが存在する。また、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には1つのワークが存在する。このとき、生産装置100は生産装置100に対して要求信号を継続して送信している。
【0057】
生産装置100は、生産装置100との間のバッファ200に存在するワークが1つになったので要求信号を送信する。つまり、生産装置100は、上流バッファ数Nu=1、閾値Tu1=1であるため、図3に示したフローチャートに従い、要求信号を送信する。
【0058】
生産装置100は、生産装置100より要求信号を受信しており、かつ生産装置100との間のバッファ200に存在するワークが1つであるので電力消費低減制御を停止する。つまり、生産装置100は、生産装置100から電力消費低減制御の停止の要求信号を受信しており、かつNu≠0であるため、図3に示したフローチャートに従い、電力消費低減制御を停止する。
【0059】
11.9分後の時点から12.2分後の時点までの0.3分間の間だけ生産装置100は電力消費低減制御を継続して実行している。最も動作時間の長い生産装置100と生産装置100の動作時間の差の0.4分よりも短い時間である。これは、稼働直後の装置間のバッファに存在するワークの数が少ない状態(Nu≦Tu1)であるため、上流の生産装置に要求信号を送信し、要求信号を受信した生産装置が電力消費低減制御を停止した結果、生産速度が優先されたためである。
【0060】
27.8分後の状態においては、図4(d)のように、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には3つのワークが、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には3つのワークが存在する。また、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には1つのワークが存在する。
【0061】
このとき、生産装置100は生産装置100に対して要求信号を送信している。生産装置100は生産装置100との間のバッファ200に存在するワークが3つであるので、生産装置100に対して要求信号を送信していない。つまり、生産装置100は、上流バッファ数Nu=3、閾値Tu1=1であるため、図3のフローチャートに従い、要求信号を送信していない。また、生産装置100は生産装置100から要求信号を受信しておらず、かつ生産装置100との間のバッファ200に存在するワークが1つであるので、電力消費低減制御を実行する。つまり、生産装置100は、上流バッファ数Nu=1であるため、Nu≦Tu1(=1)であり、図3のフローチャートに従い、電力消費低減制御を実行する。
【0062】
29.6分後の状態においては、図4(e)のように、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には3つのワークが、生産装置100と生産装置100の間のバッファ200には1つのワークが存在する。また、生産装置100と生産装置100との間のバッファ200には4つのバッファが存在する。このとき、生産装置100は、生産装置100に対して要求信号を送信していない。生産装置100は生産装置100との間のバッファ200に存在するワークが1つであり、かつ生産装置100との間のバッファ200に存在するワークが4つであるので電力消費低減制御を停止する。つまり、生産装置100は、上流バッファ数Nu=4,下流バッファ数Nl=1であり、Nu≧Tu2(=4)かつNl≦Tl2(=1)であるため、図3のフローチャートに従い、電力消費低減制御を停止する。
【0063】
つまり、27.8分後の時点から29.6分後の時点までの1.8分間の間だけ生産装置100は電力消費低減制御を継続して実行している。最も動作時間の長い生産装置100と生産装置100の動作時間の差の0.4分よりも長い時間である。これは、生産装置100が、生産装置100から要求信号を受信しておらず、Nu≧Tu2かつNl≦Tl2の生産装置間のバッファに余裕がある状態が続き、電力消費低減制御を継続して実行することとなり消費電力の低減が優先された結果である。
【0064】
以上の動作により、下流の生産装置100からの要求信号を受信していない場合に、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1(=1)以下又は下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1(=4)以上であるときは、電力消費低減制御が実行される。これにより、要求信号を受信していない場合において、上流バッファ数Nuが第1の閾値Tu1よりも少なくなることが抑制され、また、下流バッファ数Nlが第2の閾値Tl1よりも多くなるのが抑制される。また、上流バッファ数Nuが第3の閾値Tu2(=4)以上かつ下流バッファ数Nlが第4の閾値Tl2(=1)以下である場合は、電力消費低減制御が停止され、ワークに対する作業が開始される。
【0065】
このように各バッファ200,200,200のバッファ数Nu,Nlが安定した数に調整されて電力消費低減制御が実行されるので、生産の安定性を損なうことなく、電力消費を低減することが可能である。
【0066】
なお、制御装置1は、ステップS16にて上流バッファ数Nuが0であると判断した場合は、ステップS17の判断はNOであり、ステップS18の判断はYESであるので、電力消費低減制御が実行されることとなる。つまり、当該生産装置100の制御装置1は、下流の生産装置100から要求信号を受信していても、上流のバッファ200にワークがなければ、電力消費低減制御が実行される。また、当該生産装置100の制御装置1は、下流の生産装置100から要求信号を受信した場合に上流のバッファ200にワークが1つでもあれば、電力消費低減制御が停止される。このように、下流の生産装置100から要求信号を受信した当該生産装置100は、生産速度優先で稼働するようにしているので、下流の装置に対して安定してワークWを供給することができる。
【0067】
ここで、作業ユニット6,7の電源を遮断/再投入することを考えると、それに付随する処理が必要な場合も多く、電力消費低減制御の実行時間が短い場合は効率的な電力低減を行えない場合がある。例えば、作業ロボットのように電源の遮断により自重で重力方向に動作してしまう装置では電源遮断前にブレーキをかける処理が必要であり、逆に電源再投入後は動作前にブレーキ解除の処理が必要である。このような場合、回数は少なくても電力消費低減制御の継続時間を長く取る方が消費電力の低減効果が大きくなる。閾値Tu1と閾値Tu2、閾値Tl1と閾値Tl2の差を大きくとるほど、電力消費低減制御を長時間継続することができる。
【0068】
ところで、本実施形態では、オペレータの操作により制御装置1が設定した閾値Tu2,Tl2は、当該生産装置100の作業ユニット6,7の稼働率に応じて変更されるように構成されている。図5は、制御装置1において閾値Tu2,Tl2を設定変更する際のフローチャートである。
【0069】
制御装置1は、当該生産装置100が稼働した時間と当該生産装置100が異常により停止した時間の累積値を演算装置5に計測させて、その累積値を記憶装置2に記憶させる。ここで、当該生産装置100の異常は、制御装置1に検出され、異常により停止した時間は、演算装置5によりカウントされる。演算装置5が計時を開始するのは、制御装置1が異常を検出したタイミングであり、計時を終了するのは制御装置1が異常状態の解除(例えば、供給部品がなくなった「異常」であれば「供給部品」が供給された状態)を検出したタイミングである。そして、制御装置1は、稼働累積時間に停止累積時間を加算したもので稼働累積時間を割り算することで、稼働率を計算する(S31:稼働率計算工程)。この計算された稼働率は、記憶装置2に記憶される。
【0070】
制御装置1は、稼働率が低下するに連れて、第3の閾値Tu2が小さくなるように設定変更する(S32:第3の閾値設定変更工程)。また、制御装置1は、稼働率が低下するに連れて、第4の閾値Tl2が大きくなるように設定変更する(S33:第4の閾値設定変更工程)。
【0071】
ここで、当該生産装置100の作業ユニット6,7の稼働率が低下する原因は2つあるが、その原因の一方は、上流の生産装置と当該生産装置との間のバッファがワークで満杯になり、上流の生産装置が停止することにある。また、その原因の他方は、下流の生産装置と当該生産装置との間のバッファにワークがなくなり、下流の生産装置が停止することにある。これらは生産の安定性が損なわれやすくなることを意味する。
【0072】
そこで、例えば稼働率が0.9以下であれば閾値Tu2を1だけ小さく、閾値Tl2を1だけ大きくなるように更新し、稼働率が0.8以下であれば閾値Tu2を2だけ小さく、閾値Tl2を2だけ大きくなるように更新する。こうすることで、生産が安定しているときはできるだけ電力消費低減を重視し、生産が不安定なときは生産の安定性を重視することとなる。
【0073】
即ち、閾値Tu2を小さくすることで当該生産装置が停止した際に上流の生産装置が停止するまでの時間が長くなり、閾値Tl2を大きくすることで当該生産装置が停止した際に下流の生産装置が停止するまでの時間を長くすることができる。つまり、当該生産装置が異常で停止した時に、オペレータが復旧処理を行う時間のマージンを大きくとることが可能になり、生産の安定性向上につながる。
【0074】
なお、上記実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態では、第3の閾値Tu2及び第4の閾値Tl2はオペレータの指示により制御装置1に設定され、第1の閾値Tu1及び第2の閾値Tl1は上下流の生産装置から送信された閾値と同じ値に設定するようにしたがこれに限定するものではない。第1の閾値Tu1及び第2の閾値Tl1においてもオペレータの指示により制御装置1が設定するようにしてもよい。
【0075】
また、コンピュータに読み出されるプログラムが格納される記録媒体は、ROMやHDD,CD,DVD等のメディア、USBメモリ等の不揮発性メモリであってもよい。つまり、コンピュータにプログラムを読み出し可能に記録されるものであればいかなる記録媒体でもよく、これらに限定するものではない。
【0076】
そして、上記実施形態の機能をコンピュータに実現させるプログラムを、ネットワーク又は各種記録媒体を介してコンピュータに供給し、そのコンピュータがプログラムコードを読み出して実行するようにすればよい。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0077】
1…制御装置、2…記憶装置、3…通信装置、4…入力装置、6,7…作業ユニット、8…スイッチ回路、9…電源、100…生産装置、200…バッファ、300…生産ライン、Nl…下流バッファ数、Nu…上流バッファ数、Tl1…第2の閾値、Tl2…第4の閾値、Tu1…第1の閾値、Tu2…第3の閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに作業を施す作業ユニットと、前記作業ユニットに供給する電力を低減させるように電力消費低減制御を行う電力消費低減制御手段と、を有し、上流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業前のワークを留めておく上流のバッファが配置され、下流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業後のワークを留めておく下流のバッファが配置され、生産ラインの一工程を担う生産装置の制御方法において、
前記上流のバッファに留めるワークの数の下限の第1の閾値Tu1を設定する第1の閾値設定工程と、
前記下流のバッファに留めるワークの数の上限の第2の閾値Tl1を設定する第2の閾値設定工程と、
前記上流のバッファに留めるワークの数の上限の第3の閾値Tu2を設定する第3の閾値設定工程と、
前記下流のバッファに留めるワークの数の下限の第4の閾値Tl2を設定する第4の閾値設定工程と、
前記上流のバッファに留まっているワークの数を示す上流バッファ数Nuをカウントする第1のカウント工程と、
前記下流のバッファに留まっているワークの数を示す下流バッファ数Nlをカウントする第2のカウント工程と、
前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であるか否かを判断する第1の閾値判断工程と、
前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下ではないと判断された場合、前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であるか否かを判断する第2の閾値判断工程と、
前記第2の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を実行する電力消費低減制御工程と、
前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を停止する電力消費低減制御停止工程と、を備えたことを特徴とする生産装置の制御方法。
【請求項2】
前記生産装置は、前記上流の生産装置に前記電力消費低減制御を停止するように要求する要求信号を送信する要求信号送信手段を有しており、
前記下流の生産装置から前記要求信号を受信したか否かを判断する要求信号受信判断工程と、
前記要求信号受信判断工程にて前記要求信号を受信したと判断された場合、前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下であるか否かを判断する要求信号送信判断工程と、
前記要求信号送信判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下であると判断された場合、前記要求信号送信手段により前記要求信号を前記上流の生産装置に送信する要求信号送信工程と、
前記要求信号受信判断工程にて前記要求信号を受信したと判断された場合、前記上流バッファ数Nuが0であるか否かを判断する上流バッファ数判断工程と、を備え、
前記電力消費低減制御工程では、前記上流バッファ数判断工程にて前記上流バッファ数Nuが0であると判断された場合には、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を実行し、
前記電力消費低減制御停止工程では、前記上流バッファ数判断工程にて前記上流バッファ数Nuが0ではないと判断された場合には、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を停止する、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生産装置の制御方法。
【請求項3】
前記作業ユニットの稼働率を計算する稼働率計算工程と、
前記稼働率が低下するに連れて、前記第3の閾値Tu2が小さくなるように設定変更する第3の閾値設定変更工程と、
前記稼働率が低下するに連れて、前記第4の閾値Tl2が大きくなるように設定変更する第4の閾値設定変更工程と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の生産装置の制御方法。
【請求項4】
前記第1の閾値設定工程では、前記第1の閾値Tu1を、前記上流の生産装置に設定された第4の閾値と同じ値に設定し、
前記第2の閾値設定工程では、前記第2の閾値Tl1を、前記下流の生産装置に設定された第3の閾値と同じ値に設定する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生産装置の制御方法。
【請求項5】
ワークに作業を施す作業ユニットと、前記作業ユニットに供給する電力を低減させるように電力消費低減制御を行う電力消費低減制御手段と、を有し、上流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業前のワークを留めておく上流のバッファが配置され、下流の生産装置との間に、前記作業ユニットによる作業後のワークを留めておく下流のバッファが配置され、生産ラインの一工程を担う生産装置のコンピュータに、
前記上流のバッファに留めるワークの数の下限の第1の閾値Tu1を設定する第1の閾値設定工程と、
前記下流のバッファに留めるワークの数の上限の第2の閾値Tl1を設定する第2の閾値設定工程と、
前記上流のバッファに留めるワークの数の上限の第3の閾値Tu2を設定する第3の閾値設定工程と、
前記下流のバッファに留めるワークの数の下限の第4の閾値Tl2を設定する第4の閾値設定工程と、
前記上流のバッファに留まっているワークの数を示す上流バッファ数Nuをカウントする第1のカウント工程と、
前記下流のバッファに留まっているワークの数を示す下流バッファ数Nlをカウントする第2のカウント工程と、
前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であるか否かを判断する第1の閾値判断工程と、
前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下ではないと判断された場合、前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であるか否かを判断する第2の閾値判断工程と、
前記第2の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第1の閾値Tu1以下又は前記下流バッファ数Nlが前記第2の閾値Tl1以上であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を実行する電力消費低減制御工程と、
前記第1の閾値判断工程にて前記上流バッファ数Nuが前記第3の閾値Tu2以上かつ前記下流バッファ数Nlが前記第4の閾値Tl2以下であると判断された場合、前記電力消費低減制御手段による前記電力消費低減制御を停止する電力消費低減制御停止工程と、を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−238055(P2012−238055A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104961(P2011−104961)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】