説明

生竹粉末のサイレージ方法、生竹粉末のサイレージ体、生竹粉末のサイレージ体、おからを含む発酵食品及びその製造方法

【課題】生竹を主要原料とし、生竹の食品化、さらには飼料化への道を開くことができる生竹粉末のサイレージ方法を提供する。
【解決手段】生竹を切削して粒度500μm程度の粉末に加工する過程と、生竹粉末を加工後一週間以内に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装する過程と、真空包装した生竹粉末を一箇月程度静置し、生竹粉末をサイレージし、サイレージ体301とする過程とを含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生竹粉末のサイレージ方法、生竹粉末のサイレージ体、生竹粉末サイレージ体、おからを含む発酵食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、孟宗竹等の竹類は、その成長が頗る早く、茎部分は1箇月で20mも伸び、また、地下茎は1年で5mも伸び、繁殖力が強い。この為何の手入れもしないと周辺の雑木材や農地に広がり、生態系に重大な悪影響が出るようになる。また密集すると竹林に下草が生えなくなり、土砂災害につながる。従って、今やこの竹公害は社会の大きな問題となっている。そこで近時はかかる竹類、特に生竹が植物繊維等を豊富に含むことからこれを食品或いは家畜等の飼料とならないかとの研究が種々なされている。
【0003】
ここで問題となることは、この生竹を粉末加工、わけても食品の添加物や飼料として最適な微粉末化する装置の出現であって、従来においても生竹を微粉末化する装置を実用化する試みがなされている。
【0004】
また、従来から、竹を利用した種々の加工食品等の食品類や飼料類等の発明が提案されている。
【0005】
例えば、タンポポ及びヨモギの粉体の混合物に対し竹等の食用に供せられる動植物を原料として炭素化された黒焼を混合させて健康食品を製造する方法が開示されている。(特許文献1)
【0006】
また、細断状に形成された竹に生石灰を混合し、これを微生物発酵させることによって製造された飼料が開示されている。(特許文献2)
【0007】
さらに、食品と竹とを接触させ、竹組織から滲出する味覚、栄養成分を食品中に含有させる竹利用食品の製造方法が開示されている。(特許文献3)
【0008】
さらにまた、竹炭微粉末、竹酢、にがり、乾孟宗竹粉末を含むペット用の健康補助食品が開示されている。(特許文献4)
【特許文献1】特開昭60−160856号公報
【特許文献2】特開昭60−160850号公報
【特許文献3】特開昭63−28376号公報
【特許文献4】実用新案登録3099628公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、生竹を常温で粉末状に粉砕して簡便に粉末を製造する従来装置に関しては、生竹自体特にその表皮が頗る硬いこと、従って切削刃の縞模様が激しく、さらに生竹は滑り易い円筒形でしかも真直ではなく、従って粉削作業の為のチャック手段が充分でないこと、結果粉削された粉末は一定の粒子とならず、不良品が産出される虞があること等の問題を包含している。
【0010】
また、特許文献1乃至4に開示された竹利用の食品や飼料の場合、いずれも生竹の粉末を得てこの粉末自体をサイレージ化したり、更にはサイレージ化した竹粉末を基に発酵食品を得たりするものではなく、竹の植物繊維等を有効に活用し得るものではない。
【0011】
そこで本願発明者は、かかる竹が植物繊維等を豊富に含むことからこれを食品或いは飼料とならないかとの研究に没頭した。
【0012】
それは、竹を粉末にすると、食品原料として使用でき栄養学的に高い価値があることが判明したこと、即ち、竹に含まれているチロシンはストレスを解消する効果があるし、テアニンは血圧を低下させ高コレステロールの解消に役立つことが立証されているからである。
【0013】
而して本発明の総じた目的は、生竹を主要原料とし、これを粉末化してサイレージ化する方法を提唱し、更には生竹粉末サイレージ体と栄養分に富むおからとを含む有益な発酵食品を提唱し、これにより生竹の食品化、さらには飼料化への道を開き、以って里山の荒廃をもたらす「放置竹林」解消に貢献せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の生竹粉末のサイレージ方法は、生竹を切削して粒度μm単位の粉末に加工する過程と、生竹粉末を加工後短時間に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装する過程と、真空包装した生竹粉末を静置し、生竹粉末をサイレージする過程と、を含むことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。請求項1、2記載の発明によれば、生竹を切削して粒度μm単位、例えば粒度500μm程度の竹の針状の繊維を出さずかつ竹の維管束を輪切り状態とした粉末に加工し、加工後短時間、例えば1時間以内に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装し、真空包装した生竹粉末を一箇月程度静置するという簡略な過程を経て、微生物のアタック性がよく、加水、乾燥等の水分調整が容易であり、食品又は飼料として活用可能な生竹粉末のサイレージ体を得ることができる生竹粉末のサイレージ方法を提供することができる。
【0016】
請求項3、4記載の発明によれば、微生物のアタック性がよく、加水、乾燥等の水分調整が容易で食品又は飼料として活用可能な生竹粉末のサイレージ体を提供することができる。
【0017】
請求項5、6記載の発明によれば、生竹の乳酸菌等の成分と、おからの成分とを含み栄養価値の高いヨーグルト状の発酵食品を提供することができる。
【0018】
請求項7、8記載の発明によれば、生竹の乳酸菌等の成分と、おからの成分とを含み栄養価値の高いヨーグルト状の発酵食品を簡略な工程にて製造できる発酵食品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
生竹を主要原料とし、生竹の食品化、さらには飼料化への道を開くという目的を、生竹を切削して粒度500μm程度の粉末に加工する過程と、生竹粉末を加工後一週間以内に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装する過程と、真空包装した生竹粉末を一箇月程度静置し、生竹粉末をサイレージする過程と、を含む構成により実現した。
【実施例】
【0020】
以下に本発明の一例を述べるに当たり先ず、本発明に係る生竹粉末を得るための竹粉製造装置についての好適な実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の実施例に係る竹粉製造装置10を示す。この竹粉製造装置10は、装置枠(A)と、この装置枠(A)の一方向に延伸させたテーブル体(B)と、粉末の集積装置(C)とを含んでいる。
【0022】
次に、図3乃至図11で装置枠(A)内には竹粉製造装置10があり、三次元方向に沿って連結された複数の支柱によって支持された作業テーブル12を有する基台部14と、前記作業テーブル12の下面に連結された連結部材16を介して前記基台部14に支持された回転駆動源18とを含む。
【0023】
さらに、前記竹粉製造装置10は、前記回転駆動源18の回転駆動力が伝達されることにより、所定方向に向かって回転する略円盤状のチップソー20が設けられた回転切削機構22と、前記チップソー20に対してワークである生竹24の一端部を位置決めし、生竹24の軸線がチップソー20の歯面に対して略直交するように案内する位置決めガイド機構26とを有する。
【0024】
なお、前記基台部14には、回転切削機構22および位置決めガイド機構26をそれぞれ囲続するカバー部材28が作業テーブル12に対して着脱自在に設けられる。前記カバー部材28には、回転切削機構22に臨む矩形状の開口部30が形成される。
【0025】
回転切削機構22は、図6で示されるように、回転駆動源18の駆動軸と同軸に連結され、前記駆動軸と一体的に回転するシャフト32を有し、前記シャフト32は図示しないキー溝に係合するキーを介して回り止めされている。
【0026】
前記シャフト32は、作業テーブル12に形成された略円形状の孔部34を貫通して上部側に所定長だけ突出するように設けられる。また、軸線方向に沿った前記シャフト32の下部側には、中心孔を介して略円盤状の下部側保持部材36aが装着され、前記下部側保持部材36aと作業テーブル12との間には所定のクリアランスが設けられる。さらに、軸線方向に沿った前記シャフト32の上部側には、中心孔を介して略円盤状の上部側保持部材36bが装着され、前記上部側保持部材36bは、シャフト32に対して着脱自在に設けられる。
【0027】
前記上部側保持部材36bと下部側保持部材36aとの間には、円板状に形成された複数の上記製造方法で製造された図4に示す切削加工用刃38が積層され、前記積層された複数の切削加工用刃38は上部側保持部材および下部側保持部材36b、36aによって一体的に扶持される。この場合、上部側保持部材36bをシャフト32から取り外し、中心孔を介して他の切削加工用刃38をシャフト32に沿って挿入し、あるいは積層された一部の切削加工用刃38をシャフト32から取り出すことにより、所望の枚数の切削加工用刃38に増減変更させることができる。
【0028】
前記切削加工用刃38は、図8に示されるように、円板状の台金40と、前記台金40の周縁部に周方向に沿って所定角度離間して固着され、切歯が形成された複数のチップ42とを有する。
【0029】
この場合、シャフト32を中心軸として複数の切削加工用刃38が積層されることにより略円柱体が構築され、その略円柱体の外周面に露呈する複数のチップ42がそれぞれチップソー20としての機能を営む。なお、チップソー20としては、切削加工用刃38に限定されるものではなく、例えば、図示しない丸鋸等の円板状の回転切削工具が複数枚積層されたものでもよい。
【0030】
これにより、回転駆動源18の回転駆動力がシャフト32に伝達され、さらに、前記シャフト32に装着された上部側保持部材および下部側保持部材36b、36aを介して略円柱体を構成する複数の切削加工用刃38が駆動軸と一体的に回転する。
【0031】
作業テーブル12には、断面コ字状の固定部材44が固定され、前記固定部材44の略中央部に設けられたベアリング47によってシャフト32が回転自在に軸支される。
【0032】
また、作業テーブル12上には、積層された複数の切削加工用刃38を囲繞するとともに、粉末状に切削された竹が外部に拡散するのを防止するダクト部材46が設けられる。前記ダクト部材46には略円筒状の導出ポート48が形成され、該ダクト部材46は前記固定部材44によって矢印A1またはA2方向に沿って所定角度だけ回動自在に支持される。
【0033】
前記導出ポート48を介して送給された竹の粉末は、図1に示したように収納用容器(a)内に集められる。その際、前記収納用容器(a)内に集塵機(b)を配設して集塵機能を持たせる。
【0034】
位置決めガイド機構26は、チップソー20に近接する作業テーブル12上に固定された固定用側壁50と、前記固定用側壁50と対向し、被加工物である生竹24の直径に対応して略水平方向に沿って変位自在な可動用側壁52と、前記可動用側壁52の変位方向と略直交する方向に廷在し被加工物である生竹24の一端部が当接する当接用側壁54と、前記可動用側壁52を略水平方向に沿って変位させる変位手段56とを有する。
【0035】
前記当接用側壁54の一端部は、所定のクリアランスを介してチップソー20に臨み、所定角度(約25度)からなる傾斜面58によって断面鋭角状を呈する切欠部60が形成される。
【0036】
変位手段56は、前記固定用側壁50と可動用側壁52との間に設けられ、リンクピン62を介して接近および離間自在に屈折する一組のアーム部材64a、64bと、前記アーム部材64a、64bのリンク部を貫通しねじ込み量を増減させることにより、前記一組のアーム部材64a、64bを屈曲させる調整用ねじ部材66とを有する。
【0037】
なお、前記調整用ねじ部材66の下端部にはハンドル68が連結され、前記ハンドル68を回動させることにより、調整用ねじ部材66のねじ込み量を増減させることができる。また、図9中、70は、チップソー20に近接する作業テーブル12上に固定された防御用側壁を示す。
【0038】
続いて、本発明を実施するのに用いるテーブル体(B)の一実施例を述べる。図1で71はその一端を上記作業テーブル12の上面と同一平面で固着し、その一側方に廷した一対のレールで、上記作業テーブル12のチップソー20はそれぞれの中心部に位置させる。
【0039】
図1で72はチップソー20と同一軸線上で各レール71,71間に配置した直立した円盤状のチャック機構で、両側に設けた腕体73で上記レール71に滑動自在に支承させている。
【0040】
この支承手段では種々考えられるが、図2のようにレール71を滑動するコロ74の軸受け75に上記腕体73を固着させるような手段でよい。
【0041】
前記チャック機構72の詳細な構造は詳しく図示しないが、例えばその中心部に図示しない割型メタル軸受けを設け、該割型メタル軸受けを求心方向に縮めることで、挿入された生竹を固着できるようにするなどの手段が考えられる。
【0042】
またこれと同時にチャック機構72のチャック体76は上記腕体73の一方に設けた駆動源77に巻装させたベルト78で、その回転が伝達されるようになっている。
【0043】
また図1で79は格子形の支柱で、上記作業テーブル12の一側に植立されている。
【0044】
而して前記支柱79の上端部にはコロ80が枢支され、一端を上記チャック機構72に固着したワイヤ81が、作業テーブル12と支柱79の固定部及び支柱79の上端一側に枢支させたそれぞれのアイドルコロ82,83を介して巻装されている。そしてこのワイヤ81の他端には重錘84が吊り下げられている。
【0045】
本発明の実施例に係る竹粉製造装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0046】
先ず切削加工を行う生竹24を、その一端をチャック機構72の中心部に通し、先端を作業テーブル12上のチップソー20近傍に置く。ここで上記ハンドル68を操作して調整用ねじ部材66のねじ込み量を調整し、被加工物である生竹24の直径に対応する所定位置に可動用側壁52を設定する。
【0047】
すなわち、かかる生竹24は、図8で示されるようにチップソー20を構成する切削加工用刃38の中心を通り、切欠部60が形成された当接用側壁54の軸線と略直交する直線と、直径が異なる種々の竹24a〜24dの一方の側周面とが略一致する位置に可動用側壁52を設定する。
【0048】
換言すると、切削加工用刃38の中心を通る直線と生竹24の一方の側周面とを略一致させることにより、チップソー20の周面に対して生竹24a〜24dの切削部位が略直交する位置に設定される。
【0049】
この場合、生竹24の一端部は当接用側壁54に当接することにより軸方向が位置決めされ、生竹の他方の側周面が可動用側壁52に当接することによりY軸方向が位置決めされる。
【0050】
このように、被加工物である生竹24は、当接用側壁54と可動用側壁52とによって軸方向およびY軸方向に沿って正確に位置決めされる。
【0051】
次いで上記チャック機構72のチャックを締め、生竹24をチャック機構72に固定する結果、該チャック機構72は重錘84によって常にチップソー20側に引張られているから、生竹24の先端、即ち加工面は、チップソー20に常に一定の力で押しつけられる。
【0052】
なお例えば、大径な生竹24の場合には、図示されるように、可動用側壁52が固定用側壁50に最も近接する位置に設定され、小径な生竹24の場合には、図示されるように、可動用側壁52が固定用側壁50から最も離間する位置に設定される。
【0053】
また、1本の生竹24においてその長手方向に沿ったそれぞれの部位の直径が異なる場合にも、前記調整用ねじ部材66によって可動用側壁52の位置を随時変更するようにしてもよい。
【0054】
このようにして被加工物である生竹24が位置決めされた後、図示しない電源を介して回転駆動源18が付勢されその回転駆動力がシャフト32を介してチップソー20に伝達される。ここで複数の切削加工用刃38が積層されて略円柱体に構築されたチップソー20は、シャフト32を回転中心点として図8の矢印G方向(時計回り方向)に回転され、当接用側壁54の切欠部60の先端と直線Hとの問の範囲で生竹24に対する切削加工が施される。
【0055】
その際、前記チャック機構72の駆動源77をオンすることで、その回転力はベルト78を介して生竹24をチャックしているチャック機構72に伝えられるから、生竹は該生竹24を軸心を中心として周方向に沿って矢印D方向(反時計周り方向)に回動させる。
【0056】
この場合作業者が手動によって把持された竹を周方向に沿って矢印D方向に回動させてもよい。生竹24の内部が中空となっており、切削部位が周方向に沿って形成されているからである。
【0057】
続いて生竹24の一端部が矢印G方向に回転するチップソー20によって切削されることにより発生する竹の粉末は、ダクト部材46の導出ポート48を介してブロワーbから収納容器に貯留される。
【0058】
本発明の実施の際に用いられる切削加工用チップソー20について好適な実施例を挙げ、図4を参照しながら以下詳細に説明しておく。
【0059】
図4で、101は、本発明の実施例に係る切削加工用チップソー本体(以下、単にチップソー本体という)を示す。
【0060】
このチップソー本体101は、円板状の台金部121と、前記台金部121の外周縁部に形成された切刃部141とから基本的に構成される。なお、前記台金部121の中心部には、図示しない固定手段を介して回転駆動源の回転軸に軸着するための中心孔151が形成される。
【0061】
前記切刃部141は、中心孔151を中心としてそれぞれ同心円状に形成され、円周方向に沿って所定角度離間し且つ外方に向かって突出する複数の膨出部181と、前記膨出部181の一端部にそれぞれ固着され先端に刃先191を有する複数の切削加工用チップ(以下、単にチップという)201とを有する。
【0062】
超硬質合金からなる前記チップ201は、図に示されるように、先端の刃先191が水平軸に対し所定角度だけ傾斜してそれぞれ対称に形成された左歯用チップ201a並びに右歯用チップ201bからなり、所定角度離間して台金部121の周縁部に交互に植え込まれている。
【0063】
この場合、図4に示されるように、台金部121の外周が50等分された膨出部181の凹部にチップ201をろう付けして接合する。
【0064】
なお、台金部121には、外周縁部から中心孔151に向かって所定長だけ延在する複数のスリット131が所定角度離間して形成されているのがよい。
【0065】
而して本実施例では、竹(生竹)24を常温で切削加工することにより、ミクロン単位(例えば、約数10〜数百μ)に切削することができる。円板状の切削加工用刃38等の既存の回転切削加工具を複数枚積層して略円柱体からなるチップソー20を構築することにより、安価に且つ簡便に製造することができるのである。
【0066】
この生竹の粉末はそのまま食材の添加物や飼料として用いてもよいが、これに適当量の水を加えよく撹拌してペレット状にするとさらに加工や田畑への配布が容易なものとなるのである。また度重なる実験の結果、この生竹の粉末に有効な菌が発生していることを見出した。その結果、各種生ゴミなどの有機性廃棄物を飼料などの資源をリサイクルの際に利用できるなどの作用,効果も判明している。
【0067】
なお本発明を実施するに当っては、回転切削加工具の刃数、刃厚の設定が容易にでき、しかも組み合わせによって粉末の微粒子の大きさ、形状(例えば、平面、楔型、パーマ状等)を変更することができる。
【0068】
また、前記回転切削加工具の刃先(例えば、チップ42の切刃部)が劣化した場合、シャフト32から取り外して簡便に再研磨することができる。
【0069】
さらに被加工物である生竹24は、何ら前処理加工を施すことがなく、生竹のままで切削加工処理を施すことができるのであって、生竹24を常温で切削するために、生竹24の成分が変化することがなく、生竹24の粉末から安全な抽出物を得ることができる。
【0070】
換言すると、被加工物である生竹24に対して冷凍処理または加熱処理が施されていないため、栄養バランス、ミネラル量、微生物の反応性等を変化させることがなく、竹粉から二次製品を好適に製造することができる。しかも常温で切削された竹の粉末であるため、この粉末に含まれる水分量もそのまま保持され、磨き粉として使用する際、生竹24の有する珪酸成分による好適な研磨効果とともに、粉末中に含有する水分が温度の上昇を抑制することができる。
【0071】
さらに、本実施例に係る竹粉製造装置10では、簡素な構造によって構成されるため、例えば、放置された竹林等に簡便に運搬し、現地で切削作業を行うことができ、この結果、生竹を効率的に粉末とすることが可能となる。
【0072】
また、本実施例では、竹粉製造装置10により図14に示すような生竹24の維管束24aを常温で輪切り状態に切削加工することにより、被切削材である生竹24の加工温度を上げることなく、生竹24の針状の繊維を出すことなくミクロン単位(例えば、約数10〜数百μm)の粉末に切削することができる。生竹24を常温でその維管束を輪切り状態に切削して得られた粉末の顕微鏡写真の一例を図15に示す。
【0073】
次に、生竹24から得られる上述した粉末のサイレージ方法について図12、図13を参照して説明する。
【0074】
本実施例のサイレージ方法は、まず生竹24を前記竹粉製造装置10によりμm単位、例えば500μm程度の大きさの粉末に加工した後(ステップS1)、短時間に(例えば一時間以内に)紫外線等の光の遮光機能を持ち、気密性、水密性等の密封性を確保できる包装袋(例えばアルミ蒸着袋)300内に真空包装機による真空包装の手法で封入する(ステップS2)。
【0075】
この後、前記包装袋300を約1箇月間程度常温で静置することで(ステップS3)、図13に示すようにサイレージ化された生竹粉末のサイレージ体301が得られる(ステップS4)。前記包装袋300内への粉末の真空包装を行う際の真空度は、嫌気性条件又は半嫌気性条件を満たすものとする。
【0076】
このようにして製造された生竹粉末のサイレージ体301は、生竹由来の乳酸菌であるラクトコッカスラクテス菌、ラクトバチルス菌を多く含み、酸性が強く大腸菌の死滅機能を有し、また、3月乃至6月程度の長期間保存が可能であり、更に保管条件によっては2年程度の長期間保存も可能となる。更に、この生竹粉末のサイレージ体301は、生竹24を切削して粒度μm単位、例えば粒度500μm程度の竹の針状の繊維を出さずかつ竹の維管束を輪切り状態とした粉末を原料とするものであるから、微生物のアタック性がよく、加水、乾燥等の水分調整が容易であり、食品又は飼料として活用可能な生竹粉末のサイレージ体301とすることができる。なお、上述した生竹粉末のサイレージ化を行う際に、サイレージ化を促進するために乳酸棹菌、セルラーゼ等の補助菌を生竹粉末に添加するようにしてもよい。
【0077】
次に、上述のようにして得られた生竹粉末のサイレージ体301およびおからを含む発酵食品及びその製造方法について図14を参照して説明する。
【0078】
この発酵食品の製造方法は、図14に示すように、まず生竹粉末のサイレージ体301とおからとを各々適量混合する(ステップS11)。サイレージ体301、おからの混合比率は、重量比で1:1、2:1、3:1、1:2、1:3等任意に設定でき、特に限定するものではない。
【0079】
次に、生竹粉末のサイレージ体301とおからとの混合物とを任意期間静置する(ステップS12)。次に、これにより前記混合物が生竹由来の乳酸菌であるラクトコッカスラクテス菌、ラクトバチルス菌により発酵し、生竹粉末のサイレージ体301とおからとを含むヨーグルト状の発酵食品を製造することができる(ステップS13)。
【0080】
上述した混合物を発酵させる際に、麹菌等の発酵補助菌や小麦粉、米粉等の澱粉質を適量添加したり、牛乳、豆乳等の乳飲料を適量添加し、これらを含むヨーグルト状の発酵食品とすることも勿論可能である。
【0081】
このようにして得られる生竹粉末のサイレージ体301およびおからを含む発酵食品においては、おからが乳酸菌発酵して発酵食品となるものであり、生竹粉末の微細孔に前記乳酸菌が入り込み、胃酸の影響を受けない乳酸菌を生体の腸まで送り込むことができる利点を有する。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、上述した場合の他、生竹粉末の粒度を適宜変更することによって、人間用食品、家畜用飼料等に各々好適な生竹、おからの有効成分を含み栄養化の高いヨーグルト状の発酵食品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例に係る竹粉製造装置全体の一部切欠斜視図である。
【図2】本実施例のチャック機構の正面図である。
【図3】本実施例の作業テーブルの斜視図である。
【図4】本実施例のチップソーの正面図である。
【図5】本実施例の装置全体の正面図である。
【図6】本実施例の位置決め機構を除いた装置全体の正面図である。
【図7】本実施例の装置全体の平面説明図である。
【図8】本実施例の生竹の切削状況の正面説明図である。
【図9】本実施例の大径な竹を位置決めして回転切削歯によって切削加工する状態を示す一部断面正面図である。
【図10】本実施例の生竹が小径の場合の位置決めした装置の正面図である。
【図11】本実施例の生竹が大径の場合の位置決めした装置の正面図である。
【図12】本実施例の生竹粉末のサイレージ方法の製造過程を示すフローチャートである。
【図13】本実施例の生竹粉末のサイレージ方法により製造されるサイレージ体を示す概略断面図である。
【図14】本実施例の発酵食品の製造方法を示すフローチャートである。
【図15】本実施例の生竹の維管束を示す顕微鏡写真を表す図である。
【図16】本実施例の粉末の顕微鏡写真を表す図である。
【符号の説明】
【0084】
A 装置枠
B テーブル体
C パウダーの集積装置
a 収納用容器
b 集塵機
10 竹粉製造装置
12 作業テーブル
14 基台部
16 連結部材
18 回転駆動源
20 チップソー
22 回転切削機構
24 生竹
24a 維管束
26 ガイド機構
28 カバー部材
30 開口部
32 シャフト
34 孔部
36a 下部側保持部材
36b 上部側保持部材
38 切削加工用刃
40 台金
42 チップ
44 固定部材
46 ダクト部材
47 ベアリング
48 導出ポート
50 固定用側壁
52 可動用側壁
54 当接用側壁
56 変位手段
58 傾斜面
60 切欠部
62 リンクピン
64a アーム部材
64b アーム部材
66 調整用ねじ部材
68 ハンドル
70 防御用側壁
71 レール
72 チャック機構
73 腕体
74 コロ
75 軸受
76 チャック体
77 駆動源
78 ベルト
79 支柱
80 コロ
81 ワイヤ
82 アイドルコロ
83 アイドルコロ
84 重錘
101 チップソー本体
121 台金部
131 スリット
141 切刃部
151 中心孔
181 膨出部
191 刃先
201 切削加工用チップ
201a左歯用チップ
201b右歯用チップ
300 包装袋
301 サイレージ体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生竹を切削して粒度μm単位の粉末に加工する過程と、
生竹粉末を加工後短時間に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装する過程と、
真空包装した生竹粉末を静置し、生竹粉末をサイレージする過程と、
を含むことを特徴とする生竹粉末のサイレージ方法。
【請求項2】
生竹を切削して粒度500μm程度の粉末に加工する過程と、
生竹粉末を加工後一時間以内に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装する過程と、
真空包装した生竹粉末を一箇月程度静置し、生竹粉末をサイレージする過程と、
を含むことを特徴とする生竹粉末のサイレージ方法。
【請求項3】
粒度μm単位の生竹粉末を、加工後短時間に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装して静置して得られたことを特徴とする生竹粉末のサイレージ体。
【請求項4】
粒度500μm程度の生竹粉末を、加工後一時間以内に遮光性、密封性を有する包装袋に収納し、嫌気性又は半嫌気性の条件下で真空包装して一箇月程度静置して得られたことを特徴とする生竹粉末のサイレージ体。
【請求項5】
生竹粉末のサイレージ体と、おからとの混合物を原料とし、発酵させてヨーグルト状としたことを特徴とする生竹粉末のサイレージ体、おからを含む発酵食品。
【請求項6】
生竹粉末のサイレージ体と、おからとの混合物を原料とし、麹菌等の発酵補助菌を添加して発酵させヨーグルト状としたことを特徴とする生竹粉末のサイレージ体、おからを含む発酵食品。
【請求項7】
生竹粉末のサイレージ体とおからとを混合する過程と、
生竹粉末のサイレージ体とおからとの混合物を静置し発酵させてヨーグルト状とする過程と、
を含むことを特徴とする生竹粉末のサイレージ体、おからを含む発酵食品の製造方法。
【請求項8】
生竹粉末のサイレージ体とおからとを混合する過程と、
生竹粉末のサイレージ体とおからとの混合物に麹菌等の発酵補助菌を添加して静置し、発酵させてヨーグルト状とする過程と、
を含むことを特徴とする生竹粉末のサイレージ体、おからを含む発酵食品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−180832(P2006−180832A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380325(P2004−380325)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(596087236)丸大鉄工株式会社 (3)
【Fターム(参考)】