説明

生鮮食料品の包装方法

【課題】
本発明の目的は、封入後も出し入れが容易なネット袋への生鮮食料品の包装方法を提供することである。
【解決手段】
生鮮食料品をネット袋で包装する生鮮食料品の包装方法であって、
当該ネット袋が、物品収納室を挟んで配置された2枚のネットシートにより一方に開口部を備えた袋体を構成するネット袋であり、
当該ネットシートは、当該ネットシートを構成する2本の糸の交差点において2本の糸が固着しているネットシートであり、
当該ネット袋に生鮮食料品を投入し、
当該ネット袋の開口部シートを絞ったネック部を形成させ、
当該ネック部に粘着テープを貼り付けて封止することを特徴とする生鮮食料品の包装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネット袋を用いた生鮮食料品の包装方法に関し、さらに詳しくは、玉葱、ジャガイモ、柑橘類等の重たい青果物、あさり・しじみ等の重たい水産物を入れる合成樹脂製ネット袋の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等で生鮮食料品を包装するものとしては、合成樹脂製の筒状ネット袋が広く用いられており、この筒状ネット袋は物品を入れた後に結束具やステープラ、ヒモ等で口を固定して生鮮食料品を包装していた。
【0003】
特許文献1では、合成樹脂製の結束具でも結束可能なネット袋を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−1878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているネット袋のように、結束具によるネット袋開口部の結束では、一度封入してしまうと中身を容易に取り出せない。生鮮市場の現場では、出荷後に品質の低下した生鮮食料品を入れ替えるといった作業が日常的に行われており、入れ替え作業の際にこのような結束具は作業を煩雑にさせる要因となっていた。
【0006】
本発明の目的は、生鮮食料品を封入後も出し入れが容易なネット袋への生鮮食料品の包装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ネットシートを構成する2本の糸の交差点において、当該2本の糸が固着しているネットシートを利用したネット袋の開口部を、粘着テープで貼り付けて封止する生鮮食料品の包装方法により、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
請求項1記載の発明は、
生鮮食料品をネット袋で包装する生鮮食料品の包装方法であって、
当該ネット袋が、物品収納室を挟んで配置された2枚のネットシートにより一方に開口部を備えた袋体を構成するネット袋であり、
当該ネットシートは、当該ネットシートを構成する2本の糸の交差点において2本の糸が固着しているネットシートであり、
当該ネット袋に生鮮食料品を投入し、
当該ネット袋の開口部シートを絞ったネック部を形成させ、
当該ネック部に粘着テープを貼り付けて封止することを特徴とする生鮮食料品の包装方法である。
【0009】
青果物の包装に使用するネット袋に、ネットシートを構成する2本の糸の交差点において2本の糸が固着しているネットシートを利用することで、ネット袋開口部における粘着テープによる封止を行うことが可能となった。
【0010】
請求項2記載の発明は、
前記ネットシートが、熱可塑性樹脂の一体押出成形法によって作製されたネット状チューブを一定間隔で切断して得られるネットシートであることを特徴とする請求項1に記載の生鮮食料品の包装方法である。
【0011】
請求項3記載の発明は、
前記ネットシートがネトロン(登録商標)であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法である。
【0012】
請求項4記載の発明は、
前記ネット袋が、前記一体押出成形法によるネットチューブを一定間隔で切断して得られたネットチューブ片の一方の開口部を熱溶着して得られるネット袋であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法である。
【0013】
請求項5記載の発明は、
前記粘着テープを貼り付けて封止する方法が、バッグシーラーによる方法であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法である。
【0014】
請求項6記載の発明は、
前記ネット袋が、前記ネットシートの少なくとも一側面にラベルを設けるネット袋であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、生鮮食料品を封入後も出し入れが容易なネット袋への生鮮食料品の包装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に用いるネット袋の斜視図である。
【図2】本発明に用いるネットシートの拡大断面図である。
【図3】本発明の方法で作製した生鮮食料品包装の最終形態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0018】
本発明は、生鮮食料品をネット袋で包装する生鮮食料品の包装方法であって、
当該ネット袋が、物品収納室を挟んで配置された2枚のネットシートにより一方に開口部を備えた袋体を構成するネット袋であり、
当該ネットシートは、当該ネットシートを構成する2本の糸の交差点において2本の糸が固着しているネットシートであり、
当該ネット袋に生鮮食料品を投入し、
当該ネット袋の開口部シートを絞ったネック部を形成させ、
当該ネック部に粘着テープを貼り付けて封止することを特徴とする生鮮食料品の包装方法である。
本発明では、粘着テープによりネット袋を封口する生鮮食料品の包装方法であるが、このような事例はこれまで知られていない。
【0019】
図1に、本発明に用いるネット袋の斜視図である。
本発明に利用されるネット袋は、物品収納室4を挟んで表側ネットシート1及び裏側ネットシート2の2枚のネットシートにより構成されるネット袋である。本実施形態では、熱可塑性樹脂の一体押出成形法で成形されたネットチューブを一定間隔で切断して得られたネットチューブ片の開口部分の一方をヒートシーラーで熱溶着した形態を例示した。この場合、ネット袋の側面部分はネットチューブ片の胴の部分であり、ネット袋の底部部分がヒートシールで熱溶着された形状となっている。
【0020】
本発明のネット袋は、前記に記載の実施形態の他に、2枚のネットシートを重ね合わせて3辺をシールしてネット袋を得る方法、1枚のネットシートを半分に折って折り返した部分を底部として、その後側面2辺をシールしてネット袋を得る方法など様々あるが、本発明はこれらのいずれの方法を用いて作製したネット袋にも適用可能である。
【0021】
また本発明に用いられるネット袋は、表側ネットシート部に商品名等を表示するための表示ラベル6を添付する。
【0022】
図2に、本発明に用いるネットシートの拡大断面図である。
図2中のa)は本発明に用いるネットシートの断面形態、b)は従来のネットシートの断面形態を示している。
【0023】
図2のa)に示した本発明に用いられるネットシートは、当該ネットシートを構成する2本の糸の交差点において一方の糸及び他方の糸8が固着しているネットシートである。一方の糸7と他方の糸8が固着していると、ネットシートを引っ張ったり歪めたりしても、糸同士の交差点が動かない。
【0024】
一方、図2のb)に示した従来からのネットシートは、当該ネットシートを構成する2本の糸の交差点において、一方の糸7と他方の糸8が固着していないため、ネットシートを引っ張ったり歪めたりすると、糸同士の交差点が動いてしまう。
【0025】
図2のa)のように、ネットシートを構成する2本の糸の交差点において、一方の糸7と他方の糸8が固着していると、ネット袋の開口部を巾着袋のように絞ったネック部を形成させて、当該ネック部に粘着テープを貼り付けて(巻き付けて)封止する際に、粘着テープがネット袋から容易に離脱することがない。図2のb)のように、当該ネットシートを構成する2本の糸の交差点において、一方の糸7と他方の糸8が固着していないと、ネット袋の開口部を巾着袋のように絞ったネック部を形成させて、当該ネック部に粘着テープを貼り付けて(巻き付けて)封止する際に、ネットシートを構成する一方の糸7と他方の糸8が動いてしまい、粘着テープがネット袋から容易に離脱してしまう。
【0026】
また、封止後も、ネットシートを構成する2本の糸の交差点において、一方の糸7と他方の糸8が固着している図2のa)の形状のネットシートを用いたネット袋であれば、粘着テープが容易に離脱せず、保管、移動の際にも生鮮食料品の包装を維持することができる。
【0027】
本発明に使用するネットシートのような、ネットシートを構成する2本の糸の交差点において、一方の糸7と他方の糸8が固着しているネットシートを製造するには、熱可塑性樹脂の一体押出成形法が好適である。前記の熱可塑性樹脂の一体押出成形法とは、例えば、特公昭34−4185号公報、特公昭38−21224号公報等に記載されている装置を用いて、記載されている方法に準じて行う方法をいう。
【0028】
すなわち、具体的には英国ネトロン社方式(ダイヤ目合ネット)または仏国リカル社方式(スクエア目合ネット)であり、押出機に、円周上に多数の孔が形成された同軸のインダイス及びアウトダイスによって構成される円形ダイスや、円錐表面をもった固定ダイスと先端に孔を有し、上下運動する可動ダイスとから構成される円形ダイス等を搭載した装置を用いることができる。
【0029】
成形のための条件、例えば、ダイスのサイズ、回転方向、回転数、可動距離、設定温度、樹脂の温度、押出圧力、押出量等は、特に限定されるものではなく、樹脂組成物の組成、得ようとするネット構造、性能等に応じて適宜調整することができる。
【0030】
本発明に使用するネットシートは、上記のように製造されるが、とりわけ好適なのは
英国ネトロン社方式(ダイヤ目合ネット)によって製造されるネトロン(登録商標)である。
【0031】
本発明に利用されるネットシートを構成する熱可塑性樹脂は、様々な熱可塑性樹脂が利用可能であり、ニーズに応じて設定されるが、好適なのはポリオレフィン樹脂である。
【0032】
図3は、本発明の方法で作製した生鮮食料品包装の最終形態を示した斜視図である。図3では、青果物を包装した例を図示した。
本発明の生鮮食料品の包装方法は、前記ネット袋に生鮮食料品を投入し、当該ネット袋の開口部を巾着袋のように絞ったネック部を形成させ、当該ネック部に粘着テープを貼り付けて(巻き付けて)封止することを特徴とする生鮮食料品の包装方法である。
【0033】
生鮮食料品の包装方法の手順は以下の通りである。まず、前記ネット袋に適当な量の青果物9を投入する。その後、ネット袋開口部を巾着袋のように絞ってネック部10を形成させる。その後、ネック部に粘着テープ11を巻き付けて封止する。
【0034】
前記ネック部に粘着テープを巻き付ける方法としては、バッグシーラーによる方法が好適である。一般的にバッグシーラーとは、生産者、卸業者、包装業者、スーパー、小売店などが、パン・菓子類、野菜、果物、機械部品などの商品をポリ袋等に小分け詰めする際に、ポリ袋のネック部をテープで封かん固定するための機器である。バッグシーラーのスリット(袋挿入溝)にポリ袋のネック部を通すことでテープが結束され、ポリ袋の開口部を封止することができる。
【0035】
前述のように、本来のバッグシーラーはポリ袋の開口部の封止であるが、本発明の包装方法に使用するネット袋を利用すれば、バッグシーラーによる封止が可能となった。本発明の包装方法には様々なバッグシーラーが利用可能であるが、好適なのはニチバン株式会社製のバッグシーラー「BS−2200」である。
【0036】
本発明の生鮮食料品の包装方法で包装される生鮮食料品は、生鮮食料品の中でもとりわけ重たいものに効果的である。生鮮食料品としては青果物や水産物などが挙げられるが、青果物では玉葱、ジャガイモ、柑橘類など、水産物ではあさり・しじみなどの重たい生鮮食料品に包装方法は効果を発揮する。前記のような生鮮食料品を包装する場合、当該ネット袋は、幅25cm程度、高さ35cm程度が好適であるが、封入する生鮮食料品に合わせて適宜大きさを調整可能なのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の生鮮食料品の包装方法を利用することで、市場においてネット袋からの生鮮食料品の出し入れを容易にし、また同じネット袋をそのまま使用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 表側ネットシート
2 裏側ネットシート
3 開口部
4 物品収納室
5 ヒートシール部
6 表示ラベル
7 一方の糸
8 他方の糸
9 青果物
10 ネック部
11 粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮食料品をネット袋で包装する生鮮食料品の包装方法であって、
当該ネット袋が、物品収納室を挟んで配置された2枚のネットシートにより一方に開口部を備えた袋体を構成するネット袋であり、
当該ネットシートは、当該ネットシートを構成する2本の糸の交差点において2本の糸が固着しているネットシートであり、
当該ネット袋に生鮮食料品を投入し、
当該ネット袋の開口部シートを絞ったネック部を形成させ、
当該ネック部に粘着テープを貼り付けて封止することを特徴とする生鮮食料品の包装方法。
【請求項2】
前記ネットシートが、熱可塑性樹脂の一体押出成形法によって作製されたネット状チューブを一定間隔で切断して得られるネットシートであることを特徴とする請求項1に記載の生鮮食料品の包装方法。
【請求項3】
前記ネットシートがネトロン(登録商標)であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法。
【請求項4】
前記ネット袋が、前記一体押出成形法によるネットチューブを一定間隔で切断して得られたネットチューブ片の一方の開口部を熱溶着して得られるネット袋であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法。
【請求項5】
前記粘着テープを貼り付けて封止する方法が、バッグシーラーによる方法であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法。
【請求項6】
前記ネット袋が、前記ネットシートの少なくとも一側面にラベルを設けるネット袋であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の生鮮食料品の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−95431(P2013−95431A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236948(P2011−236948)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】