説明

用紙処理装置及び画像形成システム

【課題】シートのスタック枚数毎に揃え制御を変更する必要がなく、排紙ローラへのシートのひっかかりを防止し、揃え不良を防止する。
【解決手段】用紙に対して予め設定された処理を施す用紙処理装置であって、搬入されてきた用紙を一時的に積載するステープルトレイ21と、ステープル21上に積載される用紙を整合する基準フェンス24,25と、ステープルトレイ21上に積載された用紙又は用紙束を排紙トレイに排紙する排紙ローラ26と排紙従動ローラ27とを備え、排紙路オーラはステープルトレイ21の用紙載置面21aに対して進出後退可能に設けられ、排紙従動ローラ27は排紙ローラ26に対して接離可能に設けられ、排紙トレイへの排紙時に排紙ローラ26が用紙載置面21aから進出し、排紙従動ローラ27との間で用紙又は用紙束を挟持して排紙する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置及び画像形成システムに係り、特に搬入されてきた用紙、転写紙、印刷紙、OHPシートなどのシート状記録媒体(本明細書では、「用紙」と称す)に対して所定の処理を施す用紙処理装置、及びこの用紙処理装置と複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたレーザプリンタやカラー画像複写機等の画像形成装置においては、一般に、パソコンあるいは画像入力装置から入力された画像データをレーザ等により露光して感光体ドラム等の像坦持体に対して静電潜像を形成する。次いで、現像装置によりトナーを現像した後に用紙に転写し、その後、加熱ローラ方式の定着装置によってトナーを用紙に溶融させて画像を定着させ、排紙させるように構成されている。なお、画像形成装置自体は、電子写真方式の他に液滴吐出方式(例えば、インクジェット)、熱転写方式などの公知の作像エンジンが使用され、画像形成が行われる。
【0003】
このような画像形成装置に対して、ステープラ、パンチ穴あけ、ソート丁合い、製本、折り等の後処理を実行させる装置を接続させて作業の自動化を図った用紙処理装置も提供されている。このような画像形成装置で画像記録されたシートの後処理を行う用紙処理装置は、画像形成後の用紙に対して処理を行うため、用紙後処理装置と称されている。以下、本明細書では用紙後処理装置として説明する。
【0004】
用紙後処理装置でステープラによってステープル処理する場合、上下方向に傾斜して設置されたステープルトレイに排出されたシートの排出方向後端を後端フェンスに突き当てて縦揃えを行うと共に、ジョガーフェンスにより横揃えを行い、シートの後端の所定位置にステープラを移動させ、1箇所あるいは2箇所綴じを実行することが多く行われている。
【0005】
このような技術として例えば特許文献1に記載された発明が公知である。この発明は、1枚目の用紙が用紙束排出ローラに引っかかることなく、当該用紙を後端規制部材に突き当てることを可能にするとともに、ペーパガイドを設けて用紙束排出ローラの逆駆動をなくし、駆動装置の構成の自由度を向上させることを目的とするもので、画像形成装置から1枚ずつ用紙を搬入しステープル等の後処理を施すために用紙をいったん束状に揃えて蓄える中間処理装置を備えた画像形成装置の用紙後処理装置において、用紙束排出ローラの両脇に設けられるペーパガイドが、その上面が中間処理トレイ面とほぼ同一面か若干上方に位置する用紙束排出ローラの上面より上方に位置するように、配設されていることを特徴とするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、ペーパガイドは情面から多数枚の用紙重量などの荷重を受けたときに下方に移動可能なように弾性的に支持され、ペーパガイドがステープルトレイの用紙積載面より上方に位置するように配置されているため、スタック枚数によりシートのスタック角度が異なることとなり、揃え不良が生じるおそれがある。このため、スタック角度毎に後端フェンスへ突き当てるための整合手段での揃え制御を枚数毎に変更する必要があり、制御が複雑になっていた。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、シートのスタック枚数毎に揃え制御を変更する必要がなく、排紙ローラへのシートのひっかかりを防止し、揃え不良を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1の手段は、用紙に対して予め設定された処理を施す用紙処理装置であって、搬入されてきた用紙を一時的に積載する一時積載手段と、前記一時積載手段上に積載される用紙を整合する整合手段と、前記一時積載手段上に積載された用紙又は用紙束を排紙積載手段に排紙する前記一時積載手段の積載面に対して進出後退可能に設けられた第1のローラと、この第1のローラと接離可能に設けられた第2のローラとを含む排紙手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段に係る用紙処理装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートのスタック枚数毎に揃え制御を変更する必要がなく、排紙ローラへのシートのひっかかりを防止し、揃え不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】用紙後処理装置におけるプレスタックの動作を示す動作説明図である。
【図3】ステープルトレイから用紙を排出する排紙ローラ対の開閉動作を示す動作説明図である。
【図4】ステープルトレイにおける排紙ローラ対のプレスタック用紙受け入れ時の動作を示す動作説明図である。
【図5】排紙ローラ対の駆動機構を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、用紙束を把持する排紙ローラ対の用紙束下側を一時積載手段であるステープルトレイの用紙積載面から進出後退自在に設け、用紙受け入れ時には排紙ローラを用紙載置面から後退させることにより、用紙の積載枚数毎に揃え制御を変更する必要なく、揃え精度の確保と積載性の向上を図ったことを特徴とする。
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成システムは用紙に画像を形成する画像形成装置PRと、この画像形成装置PRの後段に連結され、画像形成済みの用紙に対して予め設定された用紙処理を実行する用紙後処理装置FRとから構成されている。
【0015】
画像形成装置PRは例えば前述のような電子写真方式の作像エンジンを有し、電子写真方式で画像を形成し、後段の用紙後処理装置FRに搬送する。画像形成装置PRはこの他にインクジェット記録方式などの公知の作像エンジンを備えたものでもよい。
【0016】
用紙後処理装置FRは、画像形成装置PRから排出されてきた画像形成済みの用紙Pを受け入れる導入経路1と、導入経路1から分岐する3つの経路、すなわちプルーフトレイ6へ向かう上搬送経路2、シフト処理や端綴じ処理を行うストレート搬送経路3、及び中綴じ・折り処理を行う下搬送経路4とを有する。
【0017】
導入経路1には入口ローラ10、入口センサ13が配置されている。入口センサ13は用紙Pが用紙後処理装置FR内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流には用紙穿孔ユニット19が配置され、画像形成装置PRのCPUの指示に基づいて用紙Pに穿孔する。用紙穿孔ユニット19の下流には、第1の搬送ローラ11が配置され、これを経て上搬送経路2へと用紙Pは搬送される。導入経路1の終端部の分岐部に位置する分岐爪7は切り替え動作により上搬送経路2、ストレート搬送経路3、下搬送経路4へ用紙の搬送方向を仕分ける。
【0018】
ストレート搬送経路3には第2の搬送ローラ12が配置され、このローラ12によりステープルトレイ21及び排紙トレイ5へと用紙Pは搬送される。ストレート搬送経路3には図示しない駆動モータ及び駆動機構によって正逆方向に駆動される排紙ローラ26、排紙センサ28が配置され、ソートモード時は、シフト機構を有する第2の搬送ローラ12が図示しない駆動モータ及び駆動機構により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動することによって用紙Pは一定量シフトし、排紙ローラ26により排紙トレイ5に排紙され順次スタックされていく。
【0019】
排紙トレイ5への排出口部は、排紙ローラ26と排紙従動ローラ27とによって用紙P又は用紙束を挟持して排出する対構造となっている。これは、排紙ローラ26に対する排紙従動ローラ27を備えた排出ガイドの接離動作で、用紙P又は用紙束を挟持して排出可能な閉状態と挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、用紙Pのシフト動作が完了した後、用紙Pを挟持して排紙する。
【0020】
排紙口上方付近には、フィラー40が設けられており、スタックされた用紙Pの中央付近位置の上面に先端が接触するように基端側で揺動自在に支持されている。フィラー40の根元付近には、フィラー40の先端の高さ位置を検知する図示しない上面検知センサが設けられ、これらによりスタック用紙Pの紙面高さを検知している。排紙トレイ5上の堆積枚数の増大により用紙の高さが上昇するに従って、上面検知センサがオンすると、後述の図6に示す用紙後処理装置FRの制御部のCPU_FR1は排紙トレイ5を上下動させる図示しない駆動モータを駆動制御して排紙トレイ5を下降させる。排紙トレイ5が下降し上面検知センサがオフすると、下降を停止させる。この動作を繰り返し、排紙トレイ5が規定のトレイ満杯高さまで達すると、用紙後処理装置FRのCPU_FR1から画像形成装置PRのCPUに停止信号を出し、画像形成装置PRの画像形成動作を停止させるとともに、システム全体の動作も停止させる。
【0021】
ストレート搬送経路3の最下流側にはステープルトレイ21が設けられている。ステープルトレイ21の終端位置には用紙後端に沿って用紙搬送方向と直交する方向(用紙幅方向)に移動し、綴じ処理を行うステープラ50が配置されている。ステープルトレイ21の上面には、用紙搬送方向と直交する方向に近接離間動作し、用紙幅方向を整合するジョガーフェンス22,23が設けられている。ステープルトレイ21の最下流側の端部には用紙の後揃えの基準となる基準フェンス24,15が配置されている。また、ステープルトレイ21の上部には、振り子運動を行って用紙に接触して用紙Pを移動させ、用紙後端を基準フェンス24,25に突き当てることによって用紙の搬送方向を整合する戻しコロ41が設けられている。
【0022】
このように構成された用紙後処理装置FRでは、搬送経路2に搬送されてきた用紙はステープルトレイ21上に排出され、ジョガーフェンス22,23によって用紙の幅方向の位置が揃えられる。また、戻しコロ41によって基準フェンス24,25に用紙後端を突き当て、用紙束の縦方向位置が揃えられる。このようにして揃えられた用紙束は、端綴じモード時はステープラ50が用紙幅方向に移動して用紙束の下縁部の予め設定された位置をステープルすることにより綴じられ、排紙ローラ26,27が用紙束をニップして搬送力を付与し、排紙トレイ5上に排紙する。
【0023】
下搬送経路4には第1ないし第3の下搬送ローラ61,62,63、中綴じステープラ51、紙折りプレート71、紙折りストッパ64、紙折り板72、及び排紙ローラ73が設けられている。用紙は中綴じ位置まで搬送され、用紙の中央で綴じ処理される。そして、第4及び第5の搬送ローラ62,63により紙折り部の紙折りストッパ64に搬送され、紙折りブレード71、紙折り板72により中折りされ、排紙ローラ73によって中綴じトレイ9に放出される。
【0024】
下搬送経路4への用紙の搬送はストレート搬送経路3を通過し、用紙先端をセンサ33で検知し用紙後端が下搬送経路4の分岐部を通過する時間を待って、分岐爪8が切り替わる。分岐爪8が切り替わると、第2の搬送ローラ12が逆回転をし、用紙をスイッチバックさせて下搬送経路4へと搬送する。
【0025】
図2は用紙後処理装置におけるプレスタックの動作を示す動作説明図である。図では、用紙後処理装置FRの、ストレート搬送経路3と下搬送経路4の分岐部を拡大して示している。下搬送経路4は端綴じステープル処理時のプレスタック経路(退避搬送路)として兼用される。プレスタック時は1枚目の用紙P1を第1及び第2の搬送ローラ11,12で搬送する(図2(a))。用紙先端をセンサ33で検知し、後端が分岐爪8部まで搬送される(図2(b))と、分岐爪8が切り変わる。分岐爪8が切り替わると第2の搬送ローラ12は逆回転し、下搬送経路4へと用紙をスイッチバックさせる。スイッチバックした用紙は第1の下搬送ローラ61によって、用紙先端が第2の搬送ローラ12を抜ける位置まで搬送される(図2(c))。スイッチバックが完了すると第1の下搬送ローラ61は停止し、2枚目の用紙P2を受け入れる(図2(d))。2枚目の用紙P2の先端をセンサ33で検知すると、第1の下搬送ローラ61が逆回転し、第2の搬送ローラ12で1枚目の用紙P1と2枚目の用紙P2を重ね合わせて搬送する(図2(e),(f))。
【0026】
図3は排紙ローラの上下動の動作(開閉動作)を示す動作説明図である。ステープルトレイ2に用紙を受け入れる際、排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙積載面21aから退避している。排紙ローラ26は排紙従動ローラ27とともに綴じ処理を行う用紙束をステープルトレイ21に受け入れる際に動作する。
【0027】
用紙Pをステープルトレイ21に受け入れる前に排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙積載面21aから退避する(図3(a))。次いで、用紙Pの後端が第2の搬送ローラ12を抜け、ステープルトレイ2上に排出された後、さらに、戻しコロ51によって用紙後端が基準フェンス24,25に突き当たる一定時間経過するのを待つ(図3(b))。そして、当該一定時間が経過した時点で、排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙積載面21から突出する位置へ進出する(図3(c)。このとき、排紙従動ローラ27も同時に閉じて、用紙Pあるいは用紙束を把持し、排紙トレイ5へ用紙束を排出する。用紙束排出後、次の用紙の受け入れ準備のため、排紙ローラ26と排紙従動ローラ27はすぐに離間し、排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙載置面21aから後退(退避)する。
【0028】
図4はプレスタック紙をステープルトレイへ受け入れる際の排紙ローラ動作を示す動作説明図である。プレスタックされた用紙(例えば、図2に示す1枚目及び2枚目の用紙P1,P2)が搬送ローラ12からステープルトレイ21へ排出される際、排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙積載面21aから退避し、この状態でステープルトレイ21に排出される複数枚重ねられた用紙P1,P2を受け入れる(図4(a))。用紙後端が搬送ローラ12を抜け、ステープルトレイ21上に排出されると(図4(b))、排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙積載面21aへ進出する。そして、排紙方向に用紙を搬送する方向とは逆方向に回転し、重なった用紙P1,P2のうちステープルトレイ21側に位置する用紙P1に搬送力を付与する。これにより、ステープルトレイ21側の用紙後端は基準フェンス24,25につき当てられる(図4(c))。
【0029】
複数枚重なった用紙P1,P2の後端が基準フェンス24,25へ突き当てられると、排紙ローラ26は回転を停止する。ステープル処理する所定枚数がスタックされ、ステープラ50によって綴じ処理が行われると、排紙従動ローラ27が排紙ローラ26とニップし、用紙束を把持して排紙トレイ5へ用紙束を排出する(図4(d)。用紙束排出後、次の用紙の受け入れ準備のため、排紙ローラ26と排紙従動ローラ27はすぐに離間し、排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙載置面21aから後退(退避)する。
【0030】
排紙ローラ26がステープルトレイ21の用紙積載面21aから進出する量は用紙Pのサイズ、厚さ及び枚数によって変化し、適切な搬送力が用紙Pあるいは用紙束に付与されるようにCPU_FR1によって制御されている。なお、用紙Pのサイズ、厚さ及び枚数などは用紙情報として画像形成装置PRのCPUから用紙後処理装置FRのCPU_FR1に通知され、用紙後処理装置FRのCPU_FR1は通知された用紙情報に基づいて用紙積載面21aから進出量を設定する。
【0031】
図5は排紙ローラの構成と動作を示す説明図である。搬送ローラ26は図示しない駆動源である駆動モータからベルトを介して駆動力を得て、回転動作する。搬送ローラ26と排紙従動ローラ27間には引張りスプリング101が設置され、両者間に常時一定の弾性力が付与されている。排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙積載面21aから出没可能になっており、排紙従動ローラ27との間が閉じて両者がニップしたとき、引張りスプリング101によって把持した用紙束に一定の圧力が加えられる。これにより、用紙束に搬送力が付与され、用紙束は排紙ローラ26の回転に応じて搬送される。
【0032】
排紙ローラ26及び排紙従動ローラ27は各々支持部材102,103によって支持され、偏心カム104によって回転中心105を支点として動作する。この偏心カム104は駆動源として駆動モータ106からベルト107を介して回転駆動される。図5の例では、支持部材102,103の偏心カム104と接触している部分がカムフォロワとなり、回転中心105に関して偏心カム104とは反対側に設けられた排紙ローラ26及び排紙従動ローラ27を開閉する。
【0033】
なお、図5(a)は排紙ローラ26と排紙従動ローラ27がニップした状態を、図5(b)は両ローラのニップが開放された状態をそれぞれ示す。
【0034】
図6は用紙後処理装置FRと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。用紙後処理装置FRはCPU_FR1、I/OインターフェイスFR2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU_FR1には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネルPR1の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイスPR2を介して入力され、CPU_FR1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU_FR1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイスFR2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU_FR1が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
【0035】
また、図6における用紙後処理装置FRの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われる。これにより、画像形成装置PRからは用紙後処理装置FRへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、用紙後処理装置FRの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザに通知される。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0037】
1)排紙ローラ26及び排紙従動ローラ27からなる排紙ローラ対のうち駆動側の排紙ローラ26がステープルトレイ21の用紙積載面21aから進出後退可能に設けられているので、用紙受け入れ時には排紙ローラ26を用紙載置面21aから後退させ、その状態で用紙を排紙し、積載することができる。これにより、用紙のスタック枚数毎に揃え制御を変更することなく、排紙時に用紙が排紙ローラ26へ引っ掛かることを防止することが可能となる。さらに、用紙積載面21aが平らな状態となるので、用紙の積載状態が安定し、揃え不良を防止することができる。
【0038】
2)排紙ローラ26のステープルトレイ21の用紙積載面21aからの進出量が可変なので、用紙のサイズ、厚さ、枚数などに応じて最適な進出量を設定することができる。これにより、用紙又は用紙束の状態に応じて最適な搬送力を付与することができる。
【0039】
3)排紙ローラ26は、戻しコロ41によって用紙の搬送方向を整合するとき、及びジョガーフェンス22,23によって用紙の幅方向を整合するときにはステープルトレイ21の用紙積載面21aから後退しているので、排紙ローラ26が整合動作の障害となることがない。
【0040】
4)排紙ローラ26と、当該排紙ローラ26とともに用紙又は用紙束を把持する排紙従動ローラ27が、開閉可能であり、両者が開放状態であるときに排紙ローラ26がステープルトレイ21の用紙載置面21aから後退するので、用紙の受け入れ、後端を揃える際に排紙ローラ26が障害となることはない。
【0041】
5)排紙ローラ26の進出動作と、排紙ローラ対26,27の開閉動作が同一駆動となっているので、安価な構成で用紙積載の安定性を確保し、かつ、積載された用紙の揃え不良を防止することができる。
【0042】
6)排紙ローラ26はステープルトレイ21に用紙又は用紙束が排紙された後、ステープルトレイ21の用紙載置面21aから進出し、排紙方向とは逆方向に回転することによって用紙に後端基準フェンス24,25側への搬送力を付与することができる。これにより、ステープルトレイ21側の用紙の後端を後端基準フェンス24,25に押し当てて整合することができる。この動作は、プレスタック枚数が複数枚のときに特に有効である。
【0043】
7)用紙あるいは用紙束をステープルトレイ21から排出した後、排紙ローラ26と排紙従動ローラ27は直ぐに離間し、排紙ローラ26はステープルトレイ21の用紙載置面から後退するので、排出直後に直ぐに次の用紙の受け入れが可能となり、生産効率の低下を招くことがない。
【0044】
8)排紙ローラ26のステープルトレイ21の用紙載置面21aからの進出量が、画像形成装置PRのCPUから用紙後処理装置FRのCPU_FR1に送られてくる用紙のサイズ、厚さ、枚数の少なくとも1つを含む用紙情報に基づいて用紙後処理装置FRのCPU_FR1が設定するので、用紙又は用紙束の状態に応じた搬送力の付与が可能となり、用紙又は用紙束の揃え精度の向上と、確実な排紙が可能となる。
【0045】
なお、特許請求の範囲における用紙は本実施形態では符号P,P1,P2に、用紙処理装置は用紙後処理装置FRに、一時積載手段はステープルトレイ21に、整合手段は基準フェンス24,25、戻しコロ41及びジョガーフェンス22,23に、排紙積載手段は排紙トレイ5に、第1のローラは排紙ローラ26に、第2のローラは排紙従動ローラ27に、積載面は用紙積載面21aに、退避手段は下搬送路(プレスタック経路)4、画像形成システムは画像形成装置PR及び用紙後処理装置FRに、それぞれ対応する。
【0046】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
4 下搬送路(プレスタック経路)
5 排紙トレイ
21 ステープルトレイ
21a 用紙積載面
22,23 ジョガーフェンス
24,25 基準フェンス
26 排紙ローラ
27 排紙従動ローラ
41 戻しコロ
FR 用紙後処理装置
P,P1,P2 用紙
PR 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2003−002502号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して予め設定された処理を施す用紙処理装置であって、
搬入されてきた用紙を一時的に積載する一時積載手段と、
前記一時積載手段上に積載される用紙を整合する整合手段と、
前記一時積載手段上に積載された用紙又は用紙束を排紙積載手段に排紙する前記一時積載手段の積載面に対して進出後退可能に設けられた第1のローラと、この第1のローラと接離可能に設けられた第2のローラとを含む排紙手段と、
を備えていること特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙処理装置であって、
前記第1のローラの前記積載面に対する進出量が可変であること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の用紙処理装置であって、
前記進出量は前段の装置から送信されてくる用紙のサイズ、厚さ及び枚数の少なくとも1つを含む用紙情報に基づいて設定されること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記第1のローラは、前記整合手段によって用紙又は用紙束を整合する際には、前記積載面から後退していること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の用紙処理装置であって、
前記第1のローラが前記積載面から後退しているときには、前記第2のローラは前記第1のローラから離間していること
を特徴とする用紙処理装置、
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記第1のローラを正逆方向に回転駆動する駆動手段と、
前記一時積載手段で前記予め設定された処理が施されている間、用紙を一時的に退避させる退避手段と、
を備え、
前記一時積載手段上に前記退避手段で退避していた複数枚の用紙が同時に排紙される場合、前記第1のローラは排紙時には前記積載面から後退し、排紙完了後、前記積載面から進出するとともに、前記駆動手段によって用紙を排紙積載手段側に搬送する方向とは逆方向に回転駆動されること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記排紙手段による前記排紙積載手段側への用紙又は用紙束の搬送が終了した後、次の用紙又は用紙束が前記一時積載手段上に排紙される前に、前記積載面が後退すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の用紙処理装置を備えていること
を特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−43750(P2013−43750A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183008(P2011−183008)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】