説明

用紙後処理装置および画像形成装置

【課題】シートまたはシート束の搬送による処理効率の低下を抑制することが可能な用紙後処理装置および画像形成装置を得る。
【解決手段】用紙後処理装置1は、整合部としてのステイプルトレイ36で後端が揃えられたシートSあるいはシート束の端部を保持して搬送する第一の可動保持部としてのクランプ可動フェンス120,121と、クランプ可動フェンス120,121から受け取ったシートSあるいはシート束の端部を保持してステイプルトレイ36とは異なるシート処理部としての折曲機構4へ向けてシートSあるいはシート束を搬送する第二の可動保持部としてのクランプ可動フェンス133,134と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙後処理装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートまたはシート束の端部をグリップして搬送する保持手段を備えた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−77300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、保持手段による搬送距離が長くなったり、保持手段がシートに対する何らかの処理の間に待機する時間が長くなったりすると、処理効率(スループット)が低下しやすくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、シートまたはシート束の搬送による処理効率の低下を抑制することが可能な用紙後処理装置および画像形成装置を得ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる用紙後処理装置にあっては、シートが積み重ねられたシート束の後端を揃える整合部と、前記整合部で前記後端が突き当てられるとともに、シートまたはシート束の端部を保持して搬送する第一の可動保持部と、前記第一の可動保持部から受け取ったシートまたはシート束の前記端部を保持して前記整合部とは異なるシート処理部へ向けてシートまたはシート束を搬送する第二の可動保持部と、を備えたことを特徴の一つとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートまたはシート束の搬送による処理効率の低下を抑制することが可能な用紙後処理装置および画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の第一の可動保持部を所定の経路で移動させる可動保持機構の一部を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の可動保持機構の図2とは別の一部を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の可動保持機構の図3に示される部分を別の角度から見た斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置のクランプ解除機構の斜視図である。
【図6】図6は、図5のクランプ解除機構を図5とは別の角度から見た斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の搬送経路ならびに第一および第二の可動保持部の概略構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の第一および第二の可動保持部の受渡位置での概略図(斜視図)である。
【図9】図9は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の第一および第二の可動保持部の変形例を示す受渡位置での概略図(斜視図)である。
【図10】図10は、本発明の実施形態にかかる用紙後処理装置の第一および第二の可動保持部の別の変形例を示す受渡位置での概略図(斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる用紙後処理装置の概略構成を示す側面図である。
【0010】
用紙後処理装置1の前段に設けられる画像形成装置(画像形成部)2は、公知の構成を有し、一例としては、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置として構成することができる。画像形成装置2は、例えば、制御部や、作像部、光書き込み部、給紙部、給紙搬送路、画像読取部、中間転写部、定着部、排紙搬送路、両面搬送路等(いずれも図示せず)を有して、シートSの両面または片面に画像を形成する。
【0011】
用紙後処理装置1には、画像形成装置2から排出された画像形成済みの用紙としてのシートSを受け入れる導入経路Pt1と、シートSを排紙トレイ22に積載するための搬送経路Pt2と、シートSにステイプル処理等が行われる搬送経路Pt3と、搬送経路Pt3からシートSまたはシート束B(図9等参照)を折曲機構(折曲処理部)4へ搬送する搬送経路Pt4と、が設けられている。
【0012】
導入経路Pt1には、入口ローラ10と入口センサ13とが配置されている。入口センサ13は、シートSが用紙後処理装置1内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流にはシートSに穿孔を形成する穿孔形成機構3が配置されており、さらに、その下流には搬送ローラ11,12が配置されている。シートSは、これらを経て搬送経路Pt3へ搬送される。
【0013】
搬送経路Pt2はシートSを排紙トレイ22へ搬送する経路である。導入経路Pt1から分岐爪20で進行方向を変えられたシートSが、排出ローラ21によって排紙トレイ22へ搬出される。
【0014】
搬送経路Pt3には、排紙ローラ31,33や排紙センサ35等が配置されている。ソートモード時には、シフト機構(図示せず)を有する搬送ローラ12が駆動機構(図示せず)によってシートSの搬送中にその搬送方向と直角方向に一定量移動することにより、シートSが、一定量シフトし、排紙ローラ33によって排紙トレイ32に排出されて、順次スタックされる。排紙トレイ32への排出口部では、排紙ローラ33と従動ローラ(排紙ローラ)31とで用紙としてのシートSまたは用紙としてのシート束Bが挟持され、排出される。すなわち、排紙ローラ33に対する従動ローラ31を備えた排出ガイド31aの接離動作によって、シートSまたはシート束Bが挟持されて排出可能な閉状態と、挟持されない開状態とが選択され、シートSまたはシート束Bのシフト動作が完了した後、シートSまたはシート束Bが挟持され、排出される。
【0015】
排紙口の上方付近には、フィラー34が設けられている。フィラー34は、スタックされたときのシートSの中央付近位置に回動自由に配置され、フィラー34の先端は、シートSの上面に接している。フィラー34の根元付近には、フィラー34の先端の高さ位置を検知する上面検知センサ(図示せず)があり、これによりスタックされたシートSの紙面高さが検知される。排紙トレイ32上の堆積枚数の増大によりシートSの高さが上昇するにしたがって、上面検知センサがONすると、制御部としてのCPU(図示せず)は排紙トレイ32を上下動させる駆動機構(図示せず)を制御して排紙トレイ32を下降させる。CPUは、排紙トレイ32が下降して上面検知センサがOFFすると、排紙トレイ32の下降を停止させる。この動作が繰り返され、排紙トレイ32が規定のトレイ満杯高さまで達すると、用紙後処理装置1から画像形成装置2に停止信号が送出され、画像形成装置2における画像形成動作が停止する。
【0016】
また、搬送経路Pt3には、整合部に相当するステイプルトレイ36と叩きローラ30とが配置される。搬送経路Pt3の終端位置には、紙面と直交する方向へ進退するドライバ、クリンチャとで分割されたステイプラ41が配置されている。また、搬送経路Pt3には、紙面と直交する方向に進退してステイプルトレイ36上のシートSの整合を行うジョガーフェンス37,38が設けられている。搬送経路Pt3に搬送されたシートSは、ステイプルトレイ36上に排出され、ジョガーフェンス37,38によって幅方向位置が揃えられる。また、叩きローラ30は、振り子運動を行ってシートSの上面に当接することでステイプラ41方向にスイッチバックする。これにより、基準フェンス39,40にシートSの後端が突き当てられ、シート束Bの縦方向位置が揃えられる。
【0017】
端綴じモードでは、ステイプラ41が紙面と直交する方向に移動してシート束Bの下縁部の適所をステイプルすることによって、基準フェンス39,40に突き当てられて揃えられたシート束Bが綴じられ、排紙ローラ31,33が挟持することで排紙トレイ32上に排紙される。
【0018】
一方、中綴じモードでは、シートS(シート束B)の揃えが完了した後に、第一の可動保持部としてのクランプ可動フェンス120,121によって、シート束Bの後端が挟持される。基準フェンス39,40は、整合部としてのステイプルトレイ36からのシート束Bの搬送に支障を来さないよう、シート束Bの幅方向の外側に待避する。クランプ可動フェンス120,121は、筐体の側板外に配置された支持部材106に取り付けられており、縦方向(上下方向)に沿って移動する。また、クランプ可動フェンス120,121は、図1の左右方向には、湾曲したガイドレール110に沿って移動する。よって、クランプ可動フェンス120,121は、シート束Bを湾曲しながら縦方向に沿って延在する搬送経路Pt4に沿って搬送する。搬送経路Pt4は、ガイドレール110によって規定される。
【0019】
中綴じされるシート束Bは、クランプ可動フェンス120,121によってガイドレール110に沿ってシートサイズに対応した所定位置まで搬送され、シート束Bの長手方向中央部の所定位置をステイプルされる(中綴じされる)。ここで、シートサイズに対応した所定位置とは、クランプ可動フェンスホームポジションセンサ49より所定パルス分送られた位置である。
【0020】
さらに、シートS(シート束B)は、受渡位置Pで、第一の可動保持部としてのクランプ可動フェンス120,121から第二の可動保持部としてのもう一つのクランプ可動フェンス133,134に受け渡され、クランプ可動フェンス133,134によってさらに下方へ搬送される。本実施形態では、クランプ可動フェンス120,121がシートS(シート束B)を搬送する区間と、クランプ可動フェンス133,134がシートS(シート束B)を搬送する区間とが分けられている。
【0021】
クランプ可動フェンス133,134によって搬送されたシートS(シート束B)は、折曲機構4内へ導入される。クランプ可動フェンス120,121は、シートSまたはシート束Bの長手方向中央部が押し込み部材としてのブレード203に対向する位置で停止する。そして、停止したシートSまたはシート束Bに対して、折曲工程が実施される。シートSまたはシート束Bが停止した位置は、例えば、シートSまたはシート束Bの後端が位置センサ50によって検知され、シートサイズに対応した所定距離分を図示しない駆動機構により送られた位置である。ブレード203は、図1の右から左へ移動して、停止したシートSまたはシート束Bの長手方向中央部を、一対の搬送ローラ206,207の間に誘導する。本実施形態では、折曲機構4が、整合部とは別のシート処理部に相当する。
【0022】
次に、搬送ローラ206,207が回転して、それらの間隙に導入されたシートSまたはシート束Bを折り曲げながら、プレス部5内へ搬送する。このとき、折り曲げられたシートSまたはシート束Bのプレス部5への押し込み量、すなわち、折れ曲がったシートSまたはシート束Bの搬送ローラ206,207による搬送量は、シートSまたはシート束Bの枚数および厚さによって可変される。そして、プレス部5内に導入されたシートSまたはシート束Bは、挟み込み部材としてのプレス板219,220によって、上下からプレスされる。プレスされたシートSまたはシート束Bは、搬送ローラ206,207と排紙ローラ58によって中綴じトレイ62上に排紙される。
【0023】
中綴じトレイ62に排出されたシートSまたはシート束Bは、シート押さえ60に取り付けられたシート押さえコロ61によって押さえられる。これにより、折られたシートSまたはシート束Bが膨らんで次のシートSまたはシート束Bが排出されにくくなるのが抑制される。なお、穿孔形成機構3および折曲機構4は、用紙後処理装置1に着脱可能に装着される。用紙後処理装置1では、これら穿孔形成機構3および折曲機構4による機能は、使用者のニーズに応じて提供されうる。
【0024】
図2は、第一の可動保持部を所定の経路で移動させる可動保持機構の一部を示す斜視図である。可動保持機構100は、モータ等で構成される図示しない回転駆動機構や、回転駆動機構の回動が伝達されて転動する上下搬送ベルト104、縦方向(上下方向)に延設された棒状の支持部材106、支持部材106に上下動可能に支持されるとともに上下搬送ベルト104に繋がって上下動する上下動スライダ107、上下動スライダ107に横方向に移動可能に支持された横動スライダ108、例えばスリットや溝としてのガイドレール110が設けられた側板109、横動スライダ108の軸108aに回動可能に支持されて第一の可動保持部としてのクランプ可動フェンス120,121(図2ではクランプ可動フェンス121のみ図示)のベースとなるクランプステー114、クランプステー114の移動を案内するガイド板111等を、有する。図2の構成により、回転駆動機構の回動に伴って、クランプ可動フェンス120,121が、ガイドレール110(およびガイド板111)によって定まる所定の搬送経路および姿勢で移動する。
【0025】
図3は、可動保持機構の図2とは別の一部を示す斜視図である。図4は、可動保持機構の図3に示される部分を別の角度から見た斜視図である。図3,4に示すように、クランプ可動フェンス120,121は、それぞれ、第一部材120a,121aや、第二部材120b,121b、付勢部材122等を有する。付勢部材122は、本実施形態では、一例として、クランプ軸123に巻回されたコイルスプリングとして構成されており、第一部材120a,121aと第二部材120b,121bとを相互に閉じる方向に付勢する。したがって、付勢部材122の弾性的な付勢力により、クランプ可動フェンス120,121の、第一部材120a,121aと第二部材120b,121bとが、シートS(シート束B)の搬送方向の端部を挟持する。本実施形態では、一例として、クランプ可動フェンス120,121は、シートS(シート束B)の搬送先としての排紙トレイ32から遠い側となるシートS(シート束B)の後端部を挟持する。また、第一部材120a,121aおよび第二部材120b,121bのうち少なくとも一方(本実施形態では、第一部材120a,121a)は、連結部材124によって相互に接続されているため、複数のクランプ可動フェンス120,121の開閉は連動する。なお、図2〜4に示した可動保持機構100の構成はあくまで一例であって、可動保持機構100の構成は適宜に変更して実施することができる。また、クランプ可動フェンス133,134は、異なる経路で移動する等の差異があるものの、基本的にはクランプ可動フェンス120,121と同様の構成とすることができる。
【0026】
図5は、クランプ解除機構の斜視図、図6は、クランプ解除機構を図5とは別の角度から見た斜視図である。本実施形態で例示されるクランプ解除機構130は、ステー125に固定されたブラケット126に取り付けられたモータ127を駆動源としている。モータ127のギヤ127aの回動は、シャフト128に回転可能に支持されるピニオン129a、ならびにピニオン129aとラック129bとを有したラックアンドピニオン機構129を介して、クランプ解除ステー132の直動に変換される。クランプ解除ステー132が図5中のX方向に移動すると、連結部材124が押されて、クランプ可動フェンス120,121が開いて、シートS(シート束B)を解放する。
【0027】
図7は、ステイプルトレイと折曲機構との間の搬送経路ならびに第一および第二の可動保持部の概略構成を示す図である。本実施形態では、図7に示すように、搬送経路Pt4に沿って動く可動保持部として、上述した第一の可動保持部としてのクランプ可動フェンス120,121と、第二の可動保持部としてのクランプ可動フェンス133,134とが、設けられている。クランプ可動フェンス120,121は、搬送経路Pt4の上側に位置して比較的大きく湾曲した上側経路(第一の搬送経路)Pt4aを往復動し、クランプ可動フェンス133,134は、搬送経路Pt4の下側に位置して比較的直線的な下側経路(第二の搬送経路)Pt4bを往復動する。そして、シートS(シート束B)は、上側経路Pt4aと下側経路Pt4bとがほぼ接する位置としての受渡位置Pで、クランプ可動フェンス120,121とクランプ可動フェンス133,134との間で受け渡しされる。
【0028】
図8は、第一および第二の可動保持部の受渡位置での概略図(斜視図)である。図8に示すように、クランプ可動フェンス120,121(一方のみ図示)およびクランプ可動フェンス133,134(一方のみ図示)は、シートS(シート束B)の幅方向に相異なる位置で、シートS(シート束B)の端部を保持する。このような構成により、クランプ可動フェンス120,121とクランプ可動フェンス133,134とが相互に干渉するのが回避される。
【0029】
さらに、本実施形態では、図7および図8に示すように、上側経路Pt4aの下端部には、クランプ可動フェンス120,121とクランプ可動フェンス133,134やシートS(シート束B)との干渉を避けるため、クランプ可動フェンス120,121をクランプ可動フェンス133,134の下側経路Pt4bから離間させる待避路Cが設けられている。クランプ可動フェンス120,121は、シートS(シート束B)がクランプ可動フェンス120,121からクランプ可動フェンス133,134へ受け渡された後、待避路Cへ移動する。
【0030】
図9は、第一および第二の可動保持部の変形例を示す受渡位置での概略図(斜視図)である。図9の変形例では、受渡位置Pで、クランプ可動フェンス120,121とクランプ可動フェンス133,134とが、シートS(シート束B)の幅方向に沿って互い違いに配置されている。このように互い違いに配置することで、クランプ可動フェンス120,121およびクランプ可動フェンス133,134の間隔x,yを比較的広く確保しやすくなって、よりサイズの大きいシートS(シート束B)に対応しやすくなる。なお、間隔x,yは、用紙後処理装置1および画像形成装置2で処理するシートS(シート束B)の最小幅より狭く設定されている。
【0031】
さらに、図9に示すように、この変形例では、クランプ可動フェンス120,121およびクランプ可動フェンス133,134のうちシートSまたはシート束Bの幅方向の両端側に位置する二つ(この例ではクランプ可動フェンス120,134)が、最小幅のシートSまたはシート束Bの幅方向の端部を保持する。これにより、最小幅のシートSまたはシート束Bについても、クランプ可動フェンス120,121およびクランプ可動フェンス133,134によるより安定した搬送を、確保しやすくなる。また、クランプ可動フェンス120,121またはクランプ可動フェンス133,134によって、シートSまたはシート束Bの幅方向の端部を保持することにより、シートSあるいはシート束Bの搬送中のめくれや耳折り等を抑制することもできる。
【0032】
図10は、第一および第二の可動保持部の別の変形例を示す受渡位置での概略図(斜視図)である。図10の変形例では、受渡位置Pで、クランプ可動フェンス120,121が、クランプ可動フェンス133,134より、シートS(シート束B)の幅方向の外側に配置されている。このような構成により、より湾曲した(曲率半径の小さい)上側経路Pt4aでシートSまたはシート束Bを搬送するクランプ可動フェンス120,121が、より直線的な下側経路Pt4bでシートSまたはシート束Bを搬送するクランプ可動フェンス133,134よりも、シートSまたはシート束Bの幅方向のより端部側を保持することができる。搬送経路Pt4が湾曲しているほど、シートSまたはシート束Bにめくれや耳折り等の不都合が生じやすくなるため、このような構成によって、当該不都合がより生じにくくなる。
【0033】
以上、説明したように、本実施形態にかかる用紙後処理装置1は、整合部としてのステイプルトレイ36で後端が揃えられたシートSあるいはシート束Bの端部を保持して搬送する第一の可動保持部としてのクランプ可動フェンス120,121と、クランプ可動フェンス120,121から受け取ったシートSあるいはシート束Bの端部を保持してステイプルトレイ36とは異なるシート処理部としての折曲機構4へ向けてシートSあるいはシート束Bを搬送する第二の可動保持部としてのクランプ可動フェンス133,134と、を備えた。このように、シートSまたはシート束Bを搬送する可動保持機構(搬送機構)100を二つに分けることで、可動保持機構100が特定の場所に拘束されることによる処理遅延を抑制することができる。具体的には、クランプ可動フェンス120,121は、受渡位置PでシートSまたはシート束Bをクランプ可動フェンス133,134に受け渡した後には、ステイプルトレイ36に戻り、次のシートSまたはシート束Bに対する処理に待機することができる。仮に、一つのクランプ可動フェンスで搬送経路Pt4の最後まで搬送すると、そのクランプ可動フェンスは、折曲機構4での折曲処理が終了してステイプルトレイ36に戻るまで、ステイプルトレイ36からシートSまたはシート束Bを搬送することができなくなる。よって、本実施形態によれば、シートSまたはシート束Bの搬送による処理効率の低下を抑制することが可能な用紙後処理装置1および画像形成装置2を得ることができる。
【0034】
また、本実施形態では、クランプ可動フェンス120,121とクランプ可動フェンス133,134とがシートSまたはシート束Bの端部の幅方向の異なる位置を保持する。よって、受渡位置Pでクランプ可動フェンス120,121とクランプ可動フェンス133,134とが相互に干渉するのを抑制することができ、シートSまたはシート束Bをより円滑に搬送することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では、可動保持機構100は、シートSまたはシート束Bの幅方向に離間した複数(本実施形態では二つ)のクランプ可動フェンス120,121と、幅方向に離間した複数(本実施形態では二つ)のクランプ可動フェンス133,134と、を備えた。よって、受渡位置Pで相互に干渉するのを抑制しつつシートSまたはシート束Bをより広い幅で安定的に保持することが可能なクランプ可動フェンス120,121およびクランプ可動フェンス133,134を得ることができる。
【0036】
また、本実施形態では、複数のクランプ可動フェンス120,121および複数のクランプ可動フェンス133,134のうちシートSまたはシート束Bの幅方向の両端側に位置する二つのクランプ可動フェンス120,134が、最小幅のシートSまたはシート束Bの幅方向端部を保持することができる。よって、クランプ可動フェンス120,121およびクランプ可動フェンス133,134によるシートSまたはシート束Bのより安定した搬送を、確保しやすくなる。
【0037】
また、本実施形態では、ステイプルトレイ36とクランプ可動フェンス133,134がクランプ可動フェンス120,121からシートSまたはシート束Bを受け取る受渡位置Pとの間のクランプ可動フェンス120,121の上側経路Pt4aが湾曲しており、クランプ可動フェンス120,121が、クランプ可動フェンス133,134よりシートSまたはシート束Bの端部の幅方向外側を保持することができる。湾曲した搬送経路Pt4ほど、シートSまたはシート束Bにめくれや耳折り等の不都合が生じやすくなり、シートSまたはシート束Bの幅方向外側を保持するほど、シートSまたはシート束Bにめくれや耳折り等の不都合が生じにくくなる。よって、本実施形態によれば、より湾曲した上側経路Pt4aでシートSまたはシート束Bを保持して搬送するクランプ可動フェンス120,121が、より直線的な下側経路Pt4bでシートSまたはシート束Bを保持して搬送するクランプ可動フェンス133,134よりシートSまたはシート束Bの幅方向外側を保持することにより、シートSまたはシート束Bの搬送中に、めくれや耳折り等の不都合が生じにくくなる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。また、用紙後処理装置や、画像形成装置、シート、シート束、整合部、ステイプルトレイ、第一の可動保持部、シート処理部、第二の可動保持部、搬送経路、受渡位置、シート処理部、折曲処理部等のスペック(方式、構成、形状、材質、数、配置、大きさ、長さ、幅、厚さ等)は、適宜に変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明は、シートやシート束を保持して搬送する可動保持機構を有した用紙後処理装置や画像形成装置等に有用である。
【符号の説明】
【0040】
1…用紙後処理装置
2…画像形成装置(画像形成部)
4…折曲機構(シート処理部、折曲処理部)
36…ステイプルトレイ(整合部)
120,121…クランプ可動フェンス(第一の可動保持部)
133,134…クランプ可動フェンス(第二の可動保持部)
S…シート
B…シート束
P…受渡位置
Pt4…搬送経路
Pt4a…上側経路(第一の搬送経路)
Pt4b…下側経路(第二の搬送経路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積み重ねられたシート束の後端を揃える整合部と、
前記整合部で後端が揃えられたシートまたはシート束の端部を保持して搬送する第一の可動保持部と、
前記第一の可動保持部から受け取ったシートまたはシート束の前記端部を保持して前記整合部とは異なるシート処理部へ向けてシートまたはシート束を搬送する第二の可動保持部と、
を備えたことを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
前記第一の可動保持部と前記第二の可動保持部とが前記端部の幅方向の異なる位置を保持することを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
シートまたはシート束の幅方向に離間した複数の前記第一の可動保持部と、
前記幅方向に離間した複数の前記第二の可動保持部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の用紙後処理装置。
【請求項4】
複数の前記第一の可動保持部および複数の前記第二の可動保持部のうちシートまたはシート束の幅方向の両端側に位置する二つが、最小幅のシートまたはシート束の幅方向端部を保持することを特徴とする請求項3に記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
前記整合部と前記第二の可動保持部が前記第一の可動保持部からシートまたはシート束を受け取る受渡位置との間の前記第一の可動保持部の搬送経路が湾曲しており、
複数の前記第一の可動保持部の少なくとも一部が、複数の前記第二の可動保持部より前記端部の幅方向外側を保持することを特徴とする請求項3に記載の用紙後処理装置。
【請求項6】
前記シート処理部は、シートまたはシート束を折り曲げる折曲処理部であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の用紙後処理装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像が形成されたシートが積み重ねられたシート束の後端を揃える整合部と、
前記整合部で前記後端が突き当てられるとともに、シートまたはシート束の端部を保持して搬送する第一の可動保持部と、
前記第一の可動保持部から受け取ったシートまたはシート束の前記端部を保持して前記整合部とは異なるシート処理部へ向けてシートまたはシート束を搬送する第二の可動保持部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−126474(P2012−126474A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277407(P2010−277407)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】