説明

用紙後処理装置及びこれを備える画像形成装置

【課題】用紙をステイプルトレイへ積載する際、用紙を装置内部でたわませる事で、Z折りシートの折り部が排紙口から装置外部へと排出される事を制限し、更にたわませた量だけ装置の小型化を可能にする用紙後処理装置を提供する。
【解決手段】排出された用紙を積載する排紙トレイ5と、排紙トレイ5の搬送方向上流に設けられた、用紙を一時積載する処理トレイ21と、処理トレイ21へ用紙を排出する処理トレイ排出手段と、処理トレイ21から排紙トレイ5へ用紙を排出する排紙トレイ排出手段と、排紙口を開閉可能にする排紙口開閉手段26、27と、用紙をたわませるたわみ生成手段45とを有し、処理トレイ21へ用紙を排出する際、排紙口開閉手段26、27により用紙を保持し、たわみ生成手段45によって用紙をたわませた後に、処理トレイ排出手段によって用紙を処理トレイ21へ排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、印刷機等の画像形成装置に設けられ、画像形成済みの用紙に対して所定の後処理を行って排紙する用紙後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される用紙を搬送ローラによりステイプルトレイ上に排紙し、整合手段による整合、綴じ手段による綴じ処理後、排紙ローラにより排紙トレイ上に順次積載する用紙処理装置が知られている。
【0003】
上記、ステイプルトレイ上には、通常の用紙の他に、フェイスダウン(折り部が下側)のZ折りされた用紙を積載・整合して排紙トレイに排紙する技術があるが、Z折り用紙のステイプルトレイ上のスタックにおいて、Z折り用紙の内側の折り部が搬送ローラ対から排紙口までの距離より長い場合、その折り部が排紙口よりも外側に位置して、整合位置に揃える際に排紙ローラ(エンドフェンス)に引っかかり、Z折り用紙がステイプルトレイ上に適正にスタックされないという問題がある。
【0004】
そこで、Z折り用紙の内側の折り部が排紙ローラ(エンドフェンス)に引っ掛からないよう、排紙口近傍から補助トレイが進退可動する技術や、適正にステイプルトレイにスタックできるよう搬送ローラの排紙速度を制御する技術が既に知られている。
【0005】
特許文献1には、フェイスダウン(折り部が下側)のZ折り用紙がステイプルトレイへ適正にスタックされる事を可能にした用紙処理装置を提供することが目的で、ステイプルトレイへ用紙を適正にスタックできるよう、排紙速度を制御する構成が開示されている。
【0006】
しかし、今までのステイプルトレイへの排出速度を変更する事で、用紙をステイプルトレイへ適正にスタックする技術では、生産性の高い装置の場合には、排出速度を減速することに限界がある為、高生産性を満足するには装置を搬送方向に大型化しなければならないという問題があった。生産性が高いとステイプルトレイへ放出された用紙の飛び出し量が増えるので、装置を搬送方向に大型化する必要があるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、用紙をステイプルトレイへ積載する際、用紙を装置内部でたわませる事で、Z折りシートの折り部が排紙口から装置外部へと排出される事を制限し、更にたわませた量だけ装置の小型化をすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0009】
本発明に係る用紙後処理装置は、排出された用紙を積載する排紙トレイと、排紙トレイの搬送方向上流に設けられた、用紙を一時積載する処理トレイと、処理トレイへ用紙を排出する処理トレイ排出手段と、処理トレイから排紙トレイへ用紙を排出する排紙トレイ排出手段と、排紙口を開閉可能にする排紙口開閉手段と、用紙をたわませるたわみ生成手段と、を有し、処理トレイへ用紙を排出する際、排紙口開閉手段により用紙を保持し、たわみ生成手段によって用紙をたわませた後に、処理トレイ排出手段によって用紙を処理トレイへ排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、用紙をステイプルトレイへ積載する際、用紙を装置内部でたわませる事で、Z折りシートの折り部が排紙口から装置外部へと排出される事を制限でき、更にたわませた量だけ装置の小型化ができるので、装置の大型化及び生産性の低下を招く事なく、用紙をステイプルトレイ上へ適正にスタックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置Aの概略説明図である。
【図2】Z折り用紙の後処理時におけるレイアウトと動作の説明図である。
【図3】Z折り用紙の長さ関係の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る制御を説明するフロー図である。
【図5】たわみ手段の移動距離と削減できる距離Ltとの関係を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る制御を説明するフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る制御を説明するフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置の構成と動作を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置の構成と動作を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置の構成と動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置Aの概略説明図である。
【0013】
画像形成装置から排紙されてきた画像形成済みの用紙は、画像形成装置と用紙後処理装置Aとの間に位置する折り装置(不図示)により画像形成済み用紙を例えば、Z折りした状態で、用紙後処理装置Aに搬送する。
【0014】
このZ折りされた状態で搬送された用紙Pを受け入れる導入経路1と導入経路1から分岐する3つの経路、すなわちプルーフトレイ6へ向かう上搬送経路2とシフト処理や端綴じ、2箇所綴じ処理を行うストレート搬送経路3と中綴じ、折り処理を行う下搬送経路4とを有する。
【0015】
導入経路1には、入口ローラ10、入口センサ13が配置され、用紙Pが用紙後処理装置内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流には、搬送ローラ前11が配置され、導入経路1の終端部の分岐部に位置する分岐爪7、8は回動することにより上搬送経路2、ストレート搬送経路3、下搬送経路4へ用紙の搬送方向を仕分ける。
【0016】
ストレート搬送経路には、搬送ローラ後12が配置され、これを経て搬送経路3へと用紙Pは搬送される。搬送経路3には、排紙ローラ26、排紙センサ28が配置され、ソートモード時は、シフト機構を有する搬送ローラ後12が図示しない駆動手段により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動することによって用紙Pは一定量シフトし、排紙ローラ26により排紙トレイ5に排紙され、順次スタックされていく。
【0017】
排紙トレイ5への排紙口部は、排紙ローラ26と従動ローラ27とで用紙又は用紙束を保持して排紙する対構造となっている。これは、排紙ローラ26に対する従動ローラ27を備えた排紙ガイドの接離動作で、用紙又は用紙束をニップして排紙可能な閉状態と保持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、用紙のシフト動作が完了した後、用紙を保持して排紙される。
【0018】
また排紙口上方付近には、フィラー40が設けられており、スタックされた時の用紙Pの中央付近位置に回動自由に配置され、フィラー40の先端は用紙Pの上面に接している。フィラー40の根元付近には、フィラー40の先端の高さ位置を検知する上面検知センサ(不図示)があり、これらによりスタック用紙Pの紙面高さを検知している。排紙トレイ5上の堆積枚数の増大により用紙の高さが上昇するに従って、上面検知センサがオンすると、図示しない制御部は排紙トレイ5を上下動させる駆動手段(不図示)を制御し、排紙トレイ5を下降させる。排紙トレイ5が下降し上面検知センサがオフすると、排紙トレイ5の下降を停止する。
【0019】
この動作を繰り返し、排紙トレイ5が規定のトレイ満杯高さまで達すると、用紙後処理装置から画像形成装置に停止信号を出し、システムの画像形成動作を停止させる。また、排紙口上方には、紙面と直行する方向に進退して、排紙トレイ5上に排紙された用紙Pの幅方向位置を揃えるシフトジョガー43・44が設けられている。
【0020】
搬送経路3にはステイプルトレイ21が配置されている。戻しローラ41は振り子運動を行って用紙に当接し、後端フェンス24、25に用紙後端を突き当てることで用紙束の縦方向位置を揃える。また、このステイプルトレイ21上には、紙面と直交する方向に進退して、ステイプルトレイ21上に排紙された用紙Pの幅方向位置を揃えるジョガーフェンス22、23を有する。この2つの動作を行うことで、ステイプルトレイ21上に排紙された用紙束Pを揃えてスタックする仕組みになっている。
【0021】
揃えられた用紙束Pは、端綴じモード時はステープラ50が紙面と直交する方向に移動して用紙束の下縁部の適所をステイプルし、放出爪29によって用紙束Pを排紙方向に動作させることで排紙処理を行い、排紙中に排紙ローラ26従動ローラ27が保持することによって排紙トレイ5上に用紙束を整えて排紙させる仕組みになっている。
【0022】
下搬送経路4には中綴じ搬送ローラ61、62、63、中綴じステープラ51が配置され、用紙を中綴じ位置まで搬送し、用紙の中央に綴じ処理を行う。用紙は、中綴じ搬送ローラ62、63により、用紙折り部の用紙折りストッパ64に搬送され、用紙折りブレード71、用紙折り板72により中折りされ、中折り排紙ローラ73によって中綴じトレイ9に放出される。
【0023】
下搬送経路4への用紙の搬送は、ストレート搬送経路3を通過し、用紙先端検知センサ14で検知し用紙後端が下搬送経路4の分岐部を通過する時間を待って、分岐爪8が切り替わる。分岐爪8が切り替わると、搬送ローラ12が逆回転をし、用紙をスイッチバックさせて下搬送経路4へと搬送する。
【0024】
図2、3は、Z折り用紙の後処理時におけるレイアウトと動作の説明図である。図3は、Z折り用紙の長さ関係を説明する図である。後処理装置の一実施形態について以下に説明する。
【0025】
画像形成装置から受け入れた用紙P(折り部が下側のZ折り用紙)と、画像形成装置から送られてきた用紙を搬送する搬送ローラ前対11と、画像形成装置から排紙された用紙Pの先端を検知する用紙先端検知センサ14と、用紙Pを積載するステイプルトレイ21と、搬送ローラ後対12から排紙された用紙Pの上面を抑えステイプルトレイ21上で用紙を整合「搬送方向と逆方向に搬送して用紙後端を揃える」刷る戻しローラ41と、ステイプルトレイ21上に積載した用紙Pの搬送方向と直交する方向を整合する整合手段22、23と、積載される用紙Pの後端を検知する用紙後端検知センサ15と、用紙の端を綴じる後処理手段(ステ−プラ)50と、後処理後の用紙束を保持して排紙する開閉可能な排紙ローラ対26(駆動)、27(従動)と、用紙束後端を保持してステイプルトレイ21に沿って排紙ローラ対26、27方向に可動する放出爪29と、排紙ローラ対26、27から排紙された用紙束を積載する排紙トレイ5と、用紙Pを搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26(駆動)、27(従動)の間でたわませるたわみ生成手段45と、たわみ生成手段45が上下動可能なようにガイドするたわみガイドレール46とで構成される後処理装置であって、用紙Pの先端が用紙先端検知センサ14によって検知されたら、所定距離を搬送ローラ後対12にて搬送し、排紙ローラ対26(駆動)、27(従動)のニップにて、用紙を保持する(図2(a))。
【0026】
その後、先端検知センサ14が用紙無しを検知するまで、搬送ローラ後対12とたわみ生成手段45を可動させることでたわみを生成する(図2(b))。
【0027】
更に、用紙Pの後端が搬送ローラ後対12を抜けると同時に、戻しローラ41を下降させ、ステイプルトレイ21に用紙を積載する(図2(c))。
【0028】
Z折りの短辺寸法をLx、長辺寸法をLy、たわみによって用紙搬送方向に対して削減できる距離をLtとする(図3(a))。
【0029】
また、装置の仕様上Z折り可能な最長寸法をLy(max)、たわみによって用紙搬送方向に対して削減できる距離の最大寸法をLt(max)、搬送ローラ後対12のニップと排紙ローラ対26、27のニップとの距離をHxとすると、課題(排紙ローラ26での引っ掛かり)を解決するためには、次式となるようレイアウトすれば良い。
【0030】
Hx>Ly(max)/4−Lt(max)
【0031】
用紙をたわませる事による省スペース効果の実施形態を図3(b)を用いて説明する。なお、本実施形態では、A3(Ly=420mm)のZ折りが用紙後処理装置の最大対応サイズである事として説明する。
【0032】
たわませない場合(Z折り)
搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26、27を直線的に結んだ時の距離をHxとし、
A3Z折りの折り部を排紙ローラ対26、27によってニップ、後端を搬送ローラ後対12にてニップした場合には、Hx≒Ly/4となる為、Hx≒420/4より、Hxは約105mmとなる。よって、Z折りの折り部を排紙口から装置外部へ出さない為には、搬送ローラ後対12から排紙ローラ対26、27までの距離を105mm以上とる必要がある。
【0033】
たわませる場合(Z折り)
搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26、27を直線的に結んだ時の距離をHx、搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26、27を直線的に結んだ線と、搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26、27の垂直二等分線との交点から、搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26、27の垂直二等分線とたわんだ用紙との交点までの距離をHy、たわみ生成手段45によって、用紙が理想的に円弧状にたわんだとし、円弧の中心角をθ、円弧の半径をr、円弧の長さをXとすると、以下3式が得られる。
【0034】
Hy=r−r×cos(θ/2) ・・・(1)
Hx=2r×sin(θ/2) ・・・(2)
X=r×θ ・・・(3)
【0035】
(3)式を(1)式へ代入、(3)式を(2)式へ代入すると、(4)、(5)式が得られる。
【0036】
Hy=r(1−cos(X/2r) ・・・(4)
Hx=2r×sin(X/2r) ・・・(5)
【0037】
A3Z折りの場合には、X=105mmであり、たわみ生成手段45によってHyを30mmたわませた場合には、(4)式より、r≒39.6mmとなる。この時のHxは、(5)式より、以下となる。
【0038】
Hx=2×39.6×sin(105/(2×39.6))≒76.8mm
【0039】
よって、Z折りの折り部を排紙口から装置外部へ出さない為には、搬送ローラ後対12から排紙ローラ対26、27までの距離を76.8mm以上とれば良い事となる。たわませない時と比較すると、Hxの距離を105mm−76.8mm=28.2mm程度、短くできる。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態に係る制御を説明するフロー図である。図5は、たわみ手段の移動距離と削減できる距離Ltとの関係を示した図である。本発明の制御フローの一実施形態について図4により説明する。
【0041】
用紙後処理装置上流にある画像形成装置より、用紙後処理装置に送られてくる用紙がステイプルモードであるか否かを取得する(ステップS100)。ステイプルモードで無い場合には(ステップS100、No)、用紙Pを排紙トレイへと排出する(ステップS112)。
【0042】
ステイプルモードである場合には(ステップS100、Yes)、画像形成装置から受け入れた用紙P(折り部が下側のZ折り用紙)の先端を用紙先端検知センサ14が検知するまで搬送ローラ前11を駆動する(ステップS101)。
【0043】
用紙Pは、搬送ローラ後対12にて所定距離D1を搬送され(ステップS102)、排紙ローラ対26、27のニップによって用紙を保持する(ステップS103)。上記の所定距離D1は、用紙先端が用紙先端検知センサ14により検知されてから排紙ローラ対26、27によって保持したいZ折り用紙の折り部に到達するまでの距離であり、駆動量を制御することが可能である駆動源、例えば、ステッピングモータにより駆動される。この距離は用紙サイズに応じて既定する。
【0044】
搬送ローラ後対12にて用紙先端検知センサ14が用紙無しを検知(OFF)するまで用紙を搬送するとともに、たわみ生成手段45を所定距離D2駆動する(ステップS104、S105)。
【0045】
この時のたわみ生成手段45と搬送ローラ後対12の駆動速度は、たわみ生成手段45の移動距離とたわみ生成手段45を所定量移動させた時に削減できる用紙搬送方向における距離Ltとの関係を示すテーブル(図5)を元に、次式がどの時間においても成り立つように制御する。たわみ方のばらつきを規制するためである。なお、図5に示すテーブルは、予め実験によって求める。
【0046】
Lt≒搬送ローラ後対12にて搬送する用紙の移動量
【0047】
搬送ローラ後12を所定量D3駆動する(ステップS106)。ここでの所定量D3とは、用紙が搬送ローラ後対12のニップから離れるまでの距離である。戻しローラ41をステイプルトレイ21方向へ可動し、用紙の後端をステイプルトレイ21上へと誘導する(ステップS107)。
【0048】
排紙ローラ27を排紙ローラ26から離間し、ニップされていた用紙を開放する(ステップS108、排紙口開閉手段)。戻しローラ41を用紙の後端が放出爪29に当接する方向へ回転させる(ステップS109)。
【0049】
用紙Pが最終紙である場合には(ステップS110、Yes)、ステ-プラ50によって用紙綴じを行った後に(ステップS111)、排紙トレイへと排出する(ステップS112)。用紙Pが最終紙でない場合には(ステップS110、No)、ステップS101へ戻る。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態に係る制御を説明するフロー図である。本発明の制御フローの一実施形態について図6により説明する。
【0051】
用紙後処理装置上流にある画像形成装置より、用紙後処理装置に送られてくる用紙がステイプルモードであるか否かを取得する(ステップS200)。ステイプルモードで無い場合には(ステップS200、No)、ステイプルトレイ21上の用紙を排紙トレイ5へと排出する(ステップS213)。
【0052】
ステイプルモードである場合には(ステップS200、Yes)、画像形成装置から受け入れた用紙P(折り部が下側のZ折り用紙)の先端を用紙先端検知センサ14が検知するまで搬送ローラ前11を駆動する(ステップS201)。
【0053】
用紙が既定サイズ以上であるか判断する(ステップS202)。ここでの規定サイズとは、用紙後処理装置の仕様により異なる。例えば、用紙後処理装置の最大用紙対応サイズがA3(LY/4=105)、HxをA4のLy/4である74.25mmとなるように搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26、27等をレイアウトした場合には、規定サイズをA4とし、A4用紙のZ折りである場合には、折り部が排紙ローラ26部を超えることは無い為、用紙へのたわみ生成を行わない。
【0054】
用紙が既定サイズ以上の場合には(ステップS202、Yes)、搬送ローラ後対12にて所定距離D1を搬送し(ステップS203)、排紙ローラ対26、27のニップによって用紙を保持する(ステップS204)。
【0055】
上記の所定距離D1は、用紙先端が用紙先端検知センサ14により検知されてから排紙ローラ対26、27によって保持したいZ折り用紙の折り部に到達するまでの距離であり、駆動量を制御することが可能である駆動源、例えば、ステッピングモータにより駆動される。この距離は用紙サイズに応じて既定する。
【0056】
搬送ローラ後対12にて用紙先端検知センサ14が用紙無しを検知(OFF)するまで用紙を搬送するとともに、たわみ生成手段45を所定距離D2駆動する(ステップS205、206)。
【0057】
この時のたわみ生成手段45と搬送ローラ後対12の駆動速度は、たわみ生成手段45の移動距離とたわみ生成手段45を所定量移動させた時に削減できる用紙搬送方向における距離Ltとの関係を示すテーブル(図5)を元に、次式がどの時間においても成り立つように制御する。たわみ方のばらつきを規制する為である。なお、図5に示すテーブルは、予め実験によって求める。
【0058】
Lt≒ 搬送ローラ後対12にて搬送する用紙の移動量
【0059】
搬送ローラ後12を所定量D3駆動する(ステップS207)。ここでの所定量(D3)とは、用紙が搬送ローラ後対12のニップから離れるまでの距離である。戻しローラ41をステイプルトレイ21方向へ可動し、用紙の後端をステイプルトレイ21上へと誘導する(ステップS208)。
【0060】
排紙ローラ27を排紙ローラ26から離間し、ニップされていた用紙を開放する(ステップS209、排紙口開閉手段)。戻しローラ41を用紙の後端が放出爪29に当接する方向へ回転させる(ステップS210)。
【0061】
用紙が最終紙である場合には(ステップS211、Yes)、ステ-プラ50によって用紙綴じを行う(ステップS212)。用紙が最終紙でない場合には(ステップS211、No)、ステップS201へ戻る。
【0062】
用紙が規定サイズ未満の場合には(ステップS202、No)、搬送ローラ後12を所定量D4駆動する(ステップS214)。ここでの所定量D4とは、用紙がステイプルトレイ21へ放出されるまでの距離である。この距離は、用紙サイズによって異なる。
【0063】
戻しローラ41をステイプルトレイ21方向へ可動し、用紙の後端をステイプルトレイ21上へと誘導する(ステップS215)。そして、戻しローラ41を用紙の後端が放出爪29に当接する方向へ回転させる(ステップS210)。
【0064】
上記の実施形態によれば、用紙サイズに応じて、用紙のたわみ量を変更するため、どの用紙サイズに対しても、たわみ生成手段の動作時間を最低限に抑えることができる。よって、消費電力の削減及び生産性の向上ができる。
【0065】
図7は、本発明の一実施形態に係る制御を説明するフロー図である。本発明の制御フローの一実施形態について図7により説明する。
【0066】
用紙後処理装置上流にある画像形成装置より、用紙後処理装置に送られてくる用紙がステイプルモードであるか否かを取得する(ステップS300)。ステイプルモードで無い場合には(ステップS300、No)、ステイプルトレイ21上の用紙を排紙トレイ5へと排出する(ステップS314)。
【0067】
ステイプルモードである場合には(ステップS300、Yes)、画像形成装置から受け入れた用紙P(折り部が下側のZ折り用紙)の先端を用紙先端検知センサ14が検知するまで搬送ローラ前11を駆動する(ステップS301)。
【0068】
用紙後処理装置上流にある画像形成装置より、用紙後処理装置に送られてくる用紙がZ折りであるか否かを取得する(ステップS302)。用紙Pが、Z折り用紙でない場合には(ステップS302、No)、S115へ進む。
【0069】
用紙Pが、Z折り用紙である場合には(ステップS302、Yes)、用紙が既定サイズ以上であるか判断する(ステップS303)。ここでの規定サイズとは、用紙後処理装置の仕様により異なる。例えば、用紙後処理装置の最大用紙対応サイズがA3(Ly/4=105)、HxをA4のLy/4である74.25mmとなるように搬送ローラ後対12と排紙ローラ対26、27等をレイアウトした場合には、規定サイズをA4とし、A4用紙のZ折りである場合には、折り部が排紙ローラ26部を超えることは無い為、用紙へのたわみ生成を行わない。
【0070】
用紙が既定サイズ以上の場合には(ステップS303、Yes)、搬送ローラ後対12にて所定距離D1を搬送し(ステップS304)、排紙ローラ対26、27のニップによって用紙を保持する(ステップS305)。
【0071】
上記の所定距離D1は、用紙先端が用紙先端検知センサ14により検知されてから排紙ローラ対26、27によって保持したいZ折り用紙の折り部に到達するまでの距離であり、駆動量を制御することが可能である駆動源、例えばステッピングモータにより駆動される。この距離は用紙サイズに応じて既定する。
【0072】
搬送ローラ後対12にて用紙先端検知センサ14が用紙無しを検知(OFF)するまで用紙を搬送するとともに、たわみ生成手段45を所定距離D2駆動する(ステップS306、307)。
【0073】
この時のたわみ生成手段45と搬送ローラ後対12の駆動速度は、たわみ生成手段45の移動距離とたわみ生成手段45を所定量移動させた時に削減できる用紙搬送方向における距離Ltとの関係を示すテーブル(図5)を元に、次式がどの時間においても成り立つように制御する。たわみ方のばらつきを規制する為である。なお、図5に示すテーブルは、予め実験によって求める。
【0074】
Lt≒搬送ローラ後対12にて搬送する用紙の移動量
【0075】
搬送ローラ後12を所定量D3駆動する(ステップS308)。ここでの所定量D3とは、用紙が搬送ローラ後対12のニップから離れるまでの距離である。戻しローラ41をステイプルトレイ21方向へ可動し、用紙の後端をステイプルトレイ21上へと誘導する(ステップS309)。
【0076】
排紙ローラ27を排紙ローラ26から離間し、ニップされていた用紙を開放する(ステップS310、排紙口開閉手段)。戻しローラ41を用紙の後端が放出爪29に当接する方向へ回転させる(ステップS311)。
【0077】
用紙が最終紙である場合には(ステップS312、Yes)、ステ-プラ50によって用紙綴じを行う(ステップS313)。用紙が最終紙でない場合には(ステップS312、No)、ステップS301へ戻る。
【0078】
用紙Pが、Z折り用紙でない場合(ステップS302、No)、または、用紙が規定サイズ未満の場合には(ステップS303、No)、搬送ローラ後12を所定量D4駆動する(ステップS315)。ここでの所定量D4とは、用紙がステイプルトレイ21へ放出されるまでの距離である。この距離は、用紙サイズによって異なる。
【0079】
戻しローラ41をステイプルトレイ21方向へ可動し、用紙の後端をステイプルトレイ21上へと誘導する(ステップS316)。そして、戻しローラ41を用紙の後端が放出爪29に当接する方向へ回転させる(ステップS311)。
【0080】
上記の実施形態によれば、用紙後処理装置へ搬送された用紙がZ折りシートの時のみ、たわみ生成手段によってZ折り用紙をたわませるため、排紙口への引っ掛かりのない平紙等の用紙に対しては、たわみ生成手段を稼働させることがないため、消費電力の削減が期待できる。
【0081】
図8は用紙後処理装置の構成と動作を説明する図である。本発明の用紙後処理装置の一実施形態について図8により説明する。
【0082】
用紙後処理装置の排紙口には、排紙ローラ26と従動ローラ27が設けられており、従動ローラ27は排紙ローラ26に対して接離可能な構造となっている(図9(a)、(b))。用紙を保持する場合には、従動ローラ27を排紙ローラ26に近づけることで用紙を保持し、図示しない排紙ローラ26の駆動源(例えばステッピングモータ)をホールドする事で、用紙を保持することが可能となる。
【0083】
排紙ローラ26と従動ローラ27によって用紙を保持する個所は、Z折りシートの折り部先端(図8(c)のA点)が望ましいが、折り精度のばらつきがあるため、ある程度マージンを持った箇所がよい。
【0084】
上記の実施形態によれば、用紙後処理装置へ搬送されたZ折り用紙の折り部を前記排紙口開閉手段によって挟むように制御するので、処理トレイ排紙手段から排紙トレイ排紙手段までの距離を用紙長辺サイズの1/4程度とする事ができ、省スペースを実現する事ができる。
【0085】
図9は、用紙後処理装置の構成と動作を説明する図である。本発明の用紙後処理装置の一実施形態について図9により説明する。
【0086】
用紙Pの先端が用紙先端検知センサ14によって検知されたら、所定距離を搬送ローラ後対12にて搬送し、排紙ローラ対26(駆動)、27(従動)のニップにて、用紙を保持する(図9(a))。
【0087】
その後、先端検知センサ14が用紙無しを検知するまで、搬送ローラ後対12と戻しローラ41を可動させることでたわみを生成する(図9(b))。
【0088】
さらに、用紙Pの後端が搬送ローラ後対12を抜けると同時に、戻しローラ41を下降させステイプルトレイ21に用紙を積載する(図9(c))。
【0089】
上記の実施形態によれば、用紙を処理トレイへ排出する際に、用紙を排紙口開閉手段によって保持した後に、処理トレイ用紙整合手段を稼働させて用紙へ当接させることで、処理トレイ用紙整合手段にて用紙をたわませることができるため、たわみ生成手段を別途設ける必要がなくなり、コストダウン及び装置の小型化につながる。
【0090】
図10は請求項6の構成と動作を説明する図である。本発明の用紙後処理装置の一実施形態について図10により説明する。
【0091】
用紙Pの先端が用紙先端検知センサ14によって検知されたら、所定距離を搬送ローラ後対12にて搬送し、排紙ローラ対26(駆動)、27(従動)のニップにて、用紙を保持する(図10(a))。
【0092】
その後、先端検知センサ14が用紙無しを検知するまで、搬送ローラ後対12と戻しローラ41、及び戻しローラ41先端に設けたコロを回転させることでたわみを生成する。なお、戻しローラ41先端に設けたコロの回転方向は、時計回りである(図10(b))。
【0093】
さらに、用紙Pの後端が搬送ローラ後対12を抜けると同時に、戻しローラ41を下降させステイプルトレイ21に用紙を積載する(図10(c))。
【0094】
上記の実施形態によれば、用紙をたわませる際に、処理トレイ用紙整合手段の先端に設けたコロを回転させる為、用紙と処理トレイ用紙整合手段先端との摩擦力が少なくなり、用紙へのダメージがなくなる。
【符号の説明】
【0095】
5 排紙トレイ
21 ステイプルトレイ
22 整合手段
26、27 排紙ローラ対
41 戻しローラ
45 たわみ生成手段
A 用紙後処理装置
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2001−26345号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出された用紙を積載する排紙トレイと、
該排紙トレイの搬送方向上流に設けられた、用紙を一時積載する処理トレイと、
該処理トレイへ用紙を排出する処理トレイ排出手段と、
前記処理トレイから前記排紙トレイへ用紙を排出する排紙トレイ排出手段と、
排紙口を開閉可能にする排紙口開閉手段と、
用紙をたわませるたわみ生成手段と、を有し、
前記処理トレイへ用紙を排出する際、前記排紙口開閉手段により用紙を保持し、前記たわみ生成手段によって用紙をたわませた後に、前記処理トレイ排出手段によって用紙を前記処理トレイへ排出することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
用紙サイズ取得手段を有し、
前記たわみ生成手段は、用紙サイズ取得手段の結果に応じて、用紙のたわみ量を変更することを特徴とする請求項1記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
用紙折りモード検知手段を有し、
前記たわみ生成手段は、用紙がZ折り用紙だった時に、用紙へたわみを生成することを特徴とする請求項1または2記載の用紙後処理装置。
【請求項4】
前記排紙口開閉手段は、Z折り用紙の折部を挟むように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
前記たわみ生成手段は、処理トレイ上の用紙を搬送方向に対して整合する機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の用紙後処理装置。
【請求項6】
処理トレイ用紙整合手段は、先端に回転可能なコロを具備し、用紙をたわませる際に、回転させることを特徴とする請求項5記載の用紙後処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6の用紙後処理装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−43766(P2013−43766A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184483(P2011−184483)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】