説明

用紙後処理装置

【課題】設置環境が外気温度並みの超低温になっても用紙後処理装置などの装置を破壊、破損させることなく、迅速に正常動作させること。
【解決手段】駆動モータと、この駆動モータの駆動力を各回転体に伝達する駆動伝達部と、この駆動伝達部による駆動を受けて回転される用紙搬送系と、機内温度を検知する温度検知手段と、を有し、用紙を搬送処理する用紙後処理装置であって、前記駆動モータの駆動トルクを可変する駆動トルク可変手段と、前記温度検知手段の検知温度が、あらかじめ設定した温度以下である場合、初期動作時において通常駆動時の動作とは異なる低温時駆動モードで駆動制御を実行するメイン制御部10と、を備え、メイン制御部10は、前記駆動トルク可変手段により駆動トルクを変更し、前記駆動モータを正転動作させた後、この正転動作と同じ回転数だけ逆転動作する駆動制御を繰り返し実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙後処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置などに接続される用紙後処理装置は、用紙搬送部、用紙揃え部、用紙パンチ部、用紙ステイプル部などの用紙後処理機能を有している。これらの用紙搬送部、用紙揃え部、用紙パンチ部、用紙ステイプル部の駆動源には、ステッピングモータ、DCブラシモータ、DCブラシレスモータ、など様々な種類のモータが使用されており、駆動源であるモータからプーリ、ギヤ、タイミングベルトなどを介して用紙搬送、用紙スタック、用紙パンチ、用紙ステイプルとった用紙後処理動作を行っている。これらモータの制御は、モータからみた機械的負荷に応じたモータトルクを設定し、モータの制御は、定電圧制御、定電流制御など用途に応じて使い分ける方法が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ステッピングモータからの駆動列中に樹脂製ギヤが存在し、機内温度が低温になると、樹脂製ギヤなどが収縮し、ステッピングモータからみた抵抗負荷が大きくなり、動作できなくなるとあり、それを防止するために、装置内の温度を検知する温度検知手段を設け、温度検知手段で検知した温度に基づいてステッピングモータの駆動電流値を制御する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、機内の温度・湿度があらかじめ定義された湿度図内のどの領域に該当するかを決定し、各領域ごとの所定の重み係数を用いてステッピングモータにかかる負荷を推定し、テーブルを参照して当該推定値に対応する駆動電流をステッピングモータに供給することが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、環境温度が低い場合ほど、各ステッピングモータに供給する電流を大きくして、各ステッピングモータの発生トルクを大きくすることで、ゴム層と用紙との摩擦力低下を補い、低温低湿環境下においても用紙を正常に搬送されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−328677号公報
【特許文献2】特開2007−53871号公報
【特許文献3】特開2001−315985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記に示されるような従来の技術にあっては、装置内部の機構が凍結した場合、温度を検知してモータ駆動電流を可変しても、タイミングベルトの硬化と凍結により、タイミングプーリや歯車とタイミングベルトといった駆動伝達部品が接合するため、温度変化で想定される負荷変動以上の負荷が発生し、装置が正常動作できないという問題は解消できていない。
【0008】
すなわち、用紙後処理装置が低温環境下に長時間放置された場合、たとえば、極寒地のオフィスに画像形成装置と用紙後処理装置が設置され、前日に画像形成装置と用紙後処理装置の電源が完全にオフされ、翌朝にオフィスの画像形成装置と用紙後処理装置の電源を立ち上げてもオフィスの温度が低温のため、用紙後処理装置内のモータに接続されるギヤなどの連結部分が凍結したり、モータからベルトにより駆動力を伝達する機構では、低温環境によりベルトが硬化・接合するため、モータからみた負荷が想定以上に大きくなり、用紙後処理装置を正常に動作させることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、設置環境が外気温度並みの超低温になっても用紙後処理装置などの装置を破壊、破損させることなく、迅速に正常動作させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、駆動モータと、この駆動モータの駆動力を各回転体に伝達する駆動伝達部と、この駆動伝達部による駆動を受けて回転される用紙搬送系と、機内温度を検知する温度検知手段と、を有し、用紙を搬送処理する用紙後処理装置であって、前記駆動モータの駆動トルクを可変する駆動トルク可変手段と、前記温度検知手段の検知温度が、あらかじめ設定した温度以下である場合、初期動作時において通常駆動時の動作とは異なる低温時駆動モードで駆動制御を実行する駆動制御手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記駆動トルク可変手段により駆動トルクを変更し、前記駆動モータを正転動作させた後、この正転動作と同じ回転数だけ逆転動作する駆動制御を繰り返し実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる用紙後処理装置は、機内温度の低下により、用紙後処理装置内のモータとの連結部であるギヤが凍結したり、モータからベルトを介した伝達機構などのベルトが硬化したりして装置が正常動作できない場合、各モータの動作トルクを変更し、通常の用紙後処理動作とは異なるモードで装置を暖機運転する。この動作によって各モータの連結部の硬化や凍結を解除できるため、設置環境が外気温度並みの超低温になっても用紙後処理装置などの装置を破壊、破損させることなく、迅速に正常動作させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この実施の形態にかかる用紙積載装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、この実施の形態にかかるスタッカーの構成を示す説明図である。
【図3】図3は、図2におけるスタッカーの搬送経路の構成を示す説明図である。
【図4】図4は、図3における分岐爪の構成を示す説明図である。
【図5】図5は、図2におけるスタッカーの先端揃え部の構成を示す説明図である。
【図6】図6は、図2におけるスタッカーのメインジョガーの構成を示す説明図である。
【図7】図7は、図2におけるスタッカーのメインジョガーの構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、メインジョガーの揃え部の構成を示す説明図である。
【図9】図9は、図2におけるスタッカーのサブジョガーの構成を示す説明図である。
【図10】図10は、この実施の形態にかかるスタッカーの駆動制御動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、この実施の形態にかかる駆動系温度検知部のセンサの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる用紙後処理装置の一実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態)
本発明は、低温時において用紙後処理装置内の駆動部であるモータから各機構への伝達部が凍結したり、伝達機構が硬化した場合など、モータからみた負荷が想定以上に大きくなった場合、モータを通常の動作モードとは異なるモードで駆動させ、各機構伝達部の凍結解除や、伝達機構を軟化させることで正常動作を行うことが特徴になっている。これらの特徴について、以下の図面を用いて具体的に説明する。
【0015】
図1は、この実施の形態にかかる用紙積載装置のシステム構成を示すブロック図である。この図1において、この実施の形態にかかる用紙積載装置(以下、スタッカーという)100は、複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置500の排紙側に機械的および電気的に接続されたシステムである。
【0016】
スタッカー100は、メイン制御部10、分岐爪切替部20、プルーフ排紙機構23、ストレート排紙機構26、シフト排紙機構30、駆動電流検知部80、駆動動作確認部81、駆動系温度検知部82を備える。
【0017】
メイン制御部10は、何れも不図示であるがCPU,ROM,RAM,タイマーなどを含むマイクロコンピュータシステムで構成されている。メイン制御部10は、画像形成装置500のシステムコントローラ501からの制御信号にしたがった所定のモード、すなわち、プルーフ排紙モード、ストレート排紙モード、シフト排紙モードでスタッカー100の各部を制御する。
【0018】
メイン制御部10は、スタッカー100を構成する駆動系に対して駆動モータの駆動トルクを可変する駆動トルク可変手段(不図示)を有し、プログラムにそれぞれ従うことにより後述する低温時駆動モード11、通常駆動モード18にしたがった駆動制御を実行する。低温時駆動モード11は、後述する第1駆動モード12、第2駆動モード13、第3駆動モード14、第4駆動モード15、第5駆動モード16、第6駆動モード17、各機能を実現するものである。なお、上記の駆動トルク可変手段は、たとえば、あらかじめメイン制御部10に駆動トルクのテーブル値が記憶され、メイン制御部10が、この機内温度に応じてテーブル値を参照して後述する駆動制御を行うものである。
【0019】
分岐爪切替部20は、駆動部21、駆動制御部22を有する。プルーフ制御機構23は、駆動部24、駆動制御部25を有する。ストレート排紙機構26は、駆動部27、駆動制御部28を有する。シフト排紙機構30は、先端揃え部70、駆動部41、駆動制御部42、メインジョガー機構部50、駆動部51、駆動制御部52、サブジョガー機構部60、駆動部61、駆動制御部62を有する。これらの機構については後述する。
【0020】
分岐爪切替部20は、駆動制御部22がメイン制御部10からのプルーフ排紙モード、ストレート排紙モード、シフト排紙モードいずれかの信号を受けて駆動部21を制御する。この分岐爪については図2以降で具体的な構成・動作を説明する。プルーフ制御機構23は、駆動制御部25がメイン制御部10からのプルーフ排紙モードの信号を受けて駆動部24を制御する。このプルーフ制御機構23の動作については図2以降で説明する。ストレート排紙機構26は、駆動制御部28がメイン制御部10からのストレート排紙モードの信号を受けて駆動部27を制御する。このプルーフ制御機構23の動作については図2以降で説明する。シフト排紙機構30は、メイン制御部10からのシフト排紙モードの信号を受け、先端揃え部70、メインジョガー機構部50、サブジョガー機構部60によりシフトトレイ102上に用紙をシフトスタックで積載する。このシフト排紙機構30の詳細については図5〜図9を参照して後述する。
【0021】
駆動電流検知部80は、スタッカー100内に配置される各駆動モータでの駆動電流を検知する。駆動動作確認部81は、各駆動系の動きを、たとえば、光学センサを用いて検知する。駆動系温度検知部82は、単数あるいは複数のサーミスタなどを機内の駆動系に配置し、その部分での温度を検知する。また、複数個のセンサ配置の場合にはその平均値あるいは最低温度を用いるか、あるいは処理モードに対応した部分の駆動系の検知温度を用いてもよい。
【0022】
また、駆動系温度検知部82において、単数のセンサ配置の場合、装置の最も下部になる駆動モータなどにセンサを配置する。これにより、用紙後処理装置内にあるモータの内、モータの取り付け位置高さが最も下に位置するモータ付近の温度を検知するので、最も低温となる駆動系の温度を検知することが可能となり、シンプルな回路構成、回路制御にできる。
【0023】
画像形成装置500は、画像形成装置500の全体制御および周辺機器との制御信号のやり取りを司るシステムコントローラ501、ユーザによる各種の入力設定および装置の状態などを表示する操作表示部502、作像プロセスを用い、画像データに応じて最終的に用紙上に画像を形成する作像エンジン503を備える。
【0024】
低温時駆動モード11は、電源投入直後において駆動系温度検知部82の検知温度があらかじめ定めた温度値以下であった場合、たとえば、下記第1駆動モード12〜第6駆動モード17を実行するモードである。また、通常駆動モード18は、電源投入時において駆動系温度検知部82の検知温度があらかじめ定めた温度値をこえた値であった場合、スタッカー100各部の動作を通常の動作で駆動するモードである。
【0025】
第1駆動モード12は、駆動系温度検知部82の検知結果に基づいて、あらかじめ設定した温度以下であることを検出した場合、駆動トルク可変手段により駆動トルクを変更し、モータを正転動作させた後、同じ回転数だけ逆転動作するモードである。第2駆動モード13は、通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータ回転量をわずかとし、この動作を繰り返す度にモータの回転量を徐々に増加させるモードである。
【0026】
また、第3駆動モード14は、通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、各モータ回転時間を短くし、この動作を繰り返す度にモータの回転動作時間を徐々に増加させるモードである。第4駆動モード15は、通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加し、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加するモードである。
【0027】
また、第5駆動モード16は、通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加させ、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加し、最大設定電流になった後、モータが動作しない場合に、モータをホールド動作させるモードである。第6駆動モード17は、通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加させ、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加し、最大設定電流になった後もモータが動作しない場合に、モータをホールド動作させつつ、かつ、用紙後処理装置内にある他の動作可能なモータおよび機構を動作させるモードである。
【0028】
第1駆動モード12では、機内温度の低下により、用紙後処理装置内のモータとの連結部であるギヤが凍結したり、モータからベルトを介した伝達機構などのベルトが硬化したりして装置が正常動作できない場合、各モータの動作トルクを変更し、通常の用紙後処理動作とは異なるモードで装置を暖機運転する。この動作によって各モータの連結部の硬化や凍結を解除できるため、この凍結状態に起因して電源投入直後から各機構位置が変化せずに、暖機運転終了後、各機構部は、電源投入直後の位置に戻るため用紙後処理装置の機構部の位置がずれることがなく、用紙後処理装置の立上り起動時間が短縮でき、ユーザを待たせる時間も短縮できる。
【0029】
第2駆動モード13では、モータ回転角度を徐々に増加させることで、凍結したモータとの連結機構部である歯車やベルトを徐々に動かす。これによって、連結機構部である歯車やベルトを無理に動かすことによる、歯車の歯欠け、ベルトの断裂などの不具合発生を防止できるので、用紙後処理装置の機構部の劣化の進行が抑制され、用紙後処理装置寿命を長くできる。
【0030】
第3駆動モード14では、モータ回転時間を徐々に増加させることで、凍結したモータとの連結機構部である歯車やベルトを徐々に動かし、連結機構部である歯車やベルトを無理に動かすことによる、歯車の歯欠け、ベルトの断裂などを防止できるので、用紙後処理装置の機構部の劣化の進行が抑制され、かつ、動作時間を管理するため用紙後処理装置の立上り起動時間の遅れが回避される。
【0031】
第4駆動モード15では、モータ動作電流を徐々に増加させることで、モータとの連結機構部の凍結を解除でき、また、ベルトの場合は、モータ動作電流を徐々に増加させることにより、モータから発生する熱などにより硬化したベルトを軟化できるため、暖機運転時、必要最小限の電流でモータを動作させるため省電力となる。
【0032】
第5駆動モード16では、通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加させ、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加し、最大設定電流になった後もモータが動作しない場合、モータを一定時間ホールド動作させることにより、モータから熱が発生し、モータに接続される機構および機内温度が上昇するため、用紙後処理装置の使用開始までの立上り起動時間の遅れが回避される。
【0033】
第6駆動モード17では、通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加させ、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加し、最大設定電流になった後もモータが動作しない場合に、動作できないモータをホールド動作させる。この動作によってモータ自身を自己発熱させ、かつ、用紙後処理装置内にある他の動作可能なモータ及び機構を動作させることで用紙後処理装置内の熱を循環させ、用紙後処理装置内の温度分布を均一するので、動作不可のモータも自己発熱以外に、用紙後処理装置内から伝導される熱により、温度を上昇させることができるため、用紙後処理装置の立上り起動時間の遅れが回避される。
【0034】
図2は、この実施の形態にかかるスタッカー100の構成を示す説明図である。図2において、スタッカー100は、複写機等の不図示の画像形成装置から排出されたシートを矢印A方向から導入する。本例のスタッカー100は、画像形成装置500の操作表示部502あるいはPCなどの外部機器(不図示)からの入力情報に基づいてプルーフ排紙モード、ストレート排紙モード、およびシフト排紙モードの動作モードを選択し、後述する機構・動作によって所定の後処理を行う。
【0035】
図2において、符号50はメインジョガー、符号60はサブジョガー、符号71はストッパー、符号101はプルーフトレイ、符号102はシフトトレイ、符号103はトレイ昇降部、符号104はタイミングベルト、符号105はベルト、符号106はウォームギア、符号107はモータ、符号107aは出力軸プーリ、符号107bはタイミングベルト、符号107c、107d、107eはギア、符号107fはタイミングベルト、符号108はスタッカー移動テーブル、符号110はガイド板、符号111は排紙ローラ、符号120は下分岐爪、符号121は上分岐爪、符号S1は入口センサ、符号S2はシフト排紙センサ、符号S3はセンサ、符号S4はプルーフ排紙センサ、符号S5は満杯検知センサ、符号S6,S7はセンサ、符号L1〜L3はシート搬送路である。これらの構成部品による各部に動作については後述する。
【0036】
なお、本例では、スタッカー100の各所にモータが取付いているが、地面より最も低い位置に取付いているモータ107の付近に駆動系温度検知部82のセンサを取り付け、この近辺の温度を検知する。
【0037】
図3は、図2におけるプルーフ排紙経路およびシフト排紙経路の構成を示す説明図である。図4は、図3における分岐爪の構成を示す説明図である。図2、3において、符号120は下分岐爪、符号121は上分岐爪であり、下分岐爪120、上分岐爪121の構造はどちらも同じである。よって、図4において、下分岐爪120を用いて分岐爪の構造について説明する。
【0038】
図3に示すように分岐爪120が下を向き、ガイド板110から送られてきた用紙が分岐爪120の上面側を通過すると、用紙はガイド板110を通り上方の搬送経路L1をたどる。一方、分岐爪120が上を向き、ガイド板110から送られてきた用紙が分岐爪120の下面側を通過すると、用紙はガイド板13を通り下方の搬送経路L3をたどる。図4のモータ122によってギア123とギア125が回転し、軸127と軸128を支点にして分岐爪120が回転する。分岐爪120の回転量は、フォトインタラプタ型のセンサS8にフィラー126を通過させることによって制御している。なお、図4の符号124は各部品を支持するブラケットである。
【0039】
つぎに、搬送経路について説明する。本例のスタッカー100は、プルーフ排紙モード、ストレート排紙モード、およびシフト排紙モードの動作モードを選択することができる。以下にそれぞれの排紙モードの動作を図2を参照して説明する。
【0040】
<プルーフ排紙>
プルーフ排紙モードは、シート搬送路L1を通して、プルーフトレイ101上にシートを導いてスタックする動作モードである。図3において、用紙は搬送ローラ1,2,3,4によって搬送され、プルーフトレイ101に排出される。入口センサS1およびプルーフ排紙センサS4によって用紙の通過を検知している。プルーフトレイ101に用紙が積載され、満杯検知センサS5の位置まで用紙が積載されるとプルーフトレイ101に積載された用紙を取り除くまで印刷ジョブが一時停止する。
【0041】
<ストレート排紙>
ストレート排紙モードは、シート搬送路L2を通して、本スタッカー100の後段に備えられた別のスタッカーや別機能の用紙後処理装置等に用紙を搬送する動作モードである。図3において、用紙は搬送ローラ1,2,5,6,7,8,9,10によって搬送され、後段に備えられた別のスタッカーや別機能の用紙後処理装置に送られる。入口センサS1,センサS6,S7によって用紙の通過を検知している。
【0042】
<シフト排紙>
シフト排紙モードは、シート搬送路L3を通して、矢印D方向からシフトトレイ102上にシートを排出してスタックする動作モードである。図3において、用紙は、搬送ローラ1,シフト排紙ローラ111によって搬送され、シフトトレイ102に排出される。入口センサS1およびシフト排紙センサS2によって用紙の通過を検知している。シフト排紙モードにおいては、シフトトレイ102上の異なるシフト位置にシートをスタックする。
【0043】
つぎに先端揃え機構70の構成について説明する。図5は、先端揃え機構70の構成を示す説明図である。図5に示す先端揃え機構70は、シフトトレイ102上に排出されるシートの先端部を揃えるための機構であり、矢印H1,H2方向に位置調整可能なストッパー71を備えている。ストッパー71はスライダ72に取り付けられており、スライダ72は、図5のように、矢印H1方向に延在するシャフト73にスライド可能にガイドされている。スライダ72は、プーリ74,75の間に掛け渡されたベルト76に連結されている。そして、モータ77によってベルト76が移動することにより、スライダ72がストッパー71と共に矢印H1方向に移動して、その位置が調整される。スライダ72には遮蔽板78が備えられており、ストッパー71がホームポジションに移動したときに、その遮蔽板78が光学式のホームポジションセンサS5によって検出される。
【0044】
つぎにメインジョガー機構50の構成について説明する。図6〜図8に示すメインジョガー機構部50は、幅方向(用紙排出方向と垂直で水平な方向)の移動を制御するステッピングモータ201,202と、上下方向移動を制御するステッピングモータ203と、ステッピングモータ203の出力ギヤに噛合するギヤ204と、ギヤ204が取り付けられる回転軸205と、回転軸205に平行な駆動軸206と、駆動軸206に連結されたスライダ207F,207R(図7参照)と、スライダ207F,207R(図7参照)を検出するセンサS6F,S6Rと、回転軸205の回転状態を示すギヤ204に備えられたフィラー208と、そのフィラー208を検出するセンサS7と、を有する。本構成では、メインジョガー210F,210Rを両者間が広狭になるように、またこれらを上下するように動かす。センサS7にてフィラー208を検出する状態がホームポジションであり、メインジョガー210F,210Rは下がった状態位置となる。
【0045】
図8に示すように、メインジョガー210F,210Rは板状体からなる。揃え部211F,211Rは、これらメインジョガー210F,210Rの最下部に位置し、互いの対向面はシフト方向Gと直交する平坦面からなる。このように揃え部211F,211Rを、互いの対向面がシフト方向Gと直交する平坦面で構成したことにより、メインジョガー210F,210Rをシフト方向Gに移動することによって、シフトトレイ102上に積載された用紙Sの端面に揃え部211F,211Rを確実に接離させて用紙束を揃えることができる。
【0046】
図8において後述するように、メインジョガー210F,210Rは、図2に示した排紙ローラ111から排出された用紙Sをこれらメインジョガー210F,210Rの対向間隔内に導く際に該排出される用紙との干渉を避けるために、各揃え部211F,211Rの上方部分がこれら揃え部211F,211Rの対向間隔よりも広い間隔で形成された段状の逃げ部212F,212Rを構成している。
【0047】
メインジョガー210F,210Rは、スライダ207F,207Rにより根元を挟み込み押さえ付けるように構成されており、スライダ207F,207Rの位置によってメインジョガー210F,210Rが所定状態以上には下に垂れ下がらないようになっているが、上方向には可動がフリーな構成である。
【0048】
メインジョガー210F,210Rは、シフト排紙ローラ111から排出される用紙Sを受け入れることができる所定の対向間隔をあけた受け入れ位置で待機している。用紙Sがシフト排紙ローラ111より排出されシフトトレイ102上に積載される毎に受け入れ位置から対向間隔をせばめる動作をして用紙Sの端面位置まで移動したのち、対向間隔を広げる動作をして前記受け入れ位置に復帰する。この一連の揃え動作を行うことにより用紙の端面を揃える。
【0049】
シフト排紙ローラ111は用紙ごとに矢印G1方向に10mmシフト動作を繰り返しながら第一の用紙束を構成する所定枚数の排出を終了した後、矢印G2方向に10mmシフト動作を繰り返し、用紙を積載していく。シフト方向切り換えの際、メインジョガー210F,210Rが退避回転位置に移動することにより揃え部材退避状態となり、この退避状態のもとでメインジョガー210F,210Rはシフト動作を行う。
【0050】
たとえば、シフト排紙ローラ111がメインジョガー210F側にシフトする場合、メインジョガー210Rはシフトトレイ102上に積載された排出用紙奥側面かつ前の「部」の用紙束上に当接する位置に配置されることとなる。他方のメインジョガー210Fはシフトトレイ102上に積載されている用紙手前側面に位置し、上下位置としてはホームポジションをとっている。シフト排紙ローラ111のシフト動作が逆方向になる毎に回転軸205を、回転軸205に取り付けられたアーム209F,209Rがメインジョガー210F,210Rの根元を下に押し付ける方向に回転させることにより退避位置へ移動させる。シフト動作が発生する毎に反対側の揃え部材を前の「部」の用紙束上に当接させる(乗せる)ようにし、排出された用紙束を揃えていく。このとき、メインジョガー210F,210Rによって用紙がずれない摩擦係数に設定することで、用紙を安定して揃えることが可能となる。
【0051】
メインジョガー210F,210Rの退避量については、センサS6F,Rにてフィラー206を検出するホームポジションからの退避量となるため上昇量としては常に一定の量となる。ホームポジションから排出束最上位面+αの移動(上昇)をさせないと、シフト動作してくる積載された用紙束と干渉(接触)して、揃え束が崩れてしまうこととなる。+αは最上位位置までの間のある地点となるが、α値が大きければ排出用紙のカール・折りによる膨らみには対応余裕度が増えるが、紙間が詰まった場合の次用紙受け入れに際しての復帰時間もかかってしまうことになる。
【0052】
つぎにサブジョガー機構60の構成について説明する。図9に示すサブジョガー機構部60は、シフトトレイ102上に排出されるシートの先端部側を揃えるための機構であり、ステッピングモータ301によって幅方向に位置調整可能なサブジョガー310F,310Rを備えている。サブジョガー310F,310Rは、それぞれスライダ311F,311Rに取り付けられており、スライダ311F,311Rは、幅方向に延在するシャフト302にスライド可能にガイドされている。スライダ311F,311Rは、プーリ304,305の間に掛け渡されたベルト306に連結されている。そして、ステッピングモータ301によってベルト306が移動されることにより、スライダ311F,311Rがサブジョガー310F,310Rと共に幅方向に移動する。スライダ311Rがホームポジションに移動したときに、光学式のホームポジションセンサによって検出される。
【0053】
この実施の形態にかかるスタッカー100は、多種多数のモータとモータに接続されたタイミングプーリにより、歯車、タイミングベルトなどを介して各機構を動作させており、本例のスタッカー100が、超低温になったときの動作を、つぎに示すフローチャートを用いて説明する。
【0054】
図10は、この実施の形態にかかるスタッカー100の駆動制御動作を示すフローチャートである。この制御動作はスタッカー100のメイン制御部10(図1参照)によって統括的に実行される。まず、画像形成装置500などに接続されるスタッカー100の電源を投入(電源ON)する(ステップS1)。電源投入後、スタッカー100内の駆動系温度検知部82にて装置内の温度を検知し、この検知した温度があらかじめ定めた所定の温度以下であるか否かを判断する(ステップS2)。ここで、あらかじめ定めた所定の温度以下でない場合(判断No)、通常動作モードで駆動を行う(ステップS8)。
【0055】
一方、ステップS2において、あらかじめ定めた所定の温度以下である場合(判断Yes)、スタッカー100の内部機構であるモータを徐々に動作させることによりスタッカー100の暖機運転(低温時駆動モード)を行う(ステップS3)。つぎに、スタッカー100の内部機構が正常に動作したか否かをモータに連結するプーリ、歯車、ベルトなどの動作を光学式センサなどを用いた駆動動作確認部81(図1参照)の出力を見ることで正常動作であるか否かを判断する(ステップS4)。ここで正常動作していない場合(判断Yes)、スタッカー100の内部機構の駆動源であるモータの設定電流を増加する(ステップS5)。
【0056】
一方、ステップS4において、正常動作した場合(判断No)、スタッカー100の内部機構の駆動源であるモータの設定電流を維持したまま、ステップS2へ戻る。続いて、設定電流値を増加したら、駆動電流検知部80(図1参照)により設定電流値が最大となっているか否かを判断する(ステップS6)。ここで、最大電流値となっている場合(判断Yes)、これ以上の設定電流値を増加ができないので、スタッカー100の表示部にアラートを表示し、もしくは、画像形成装置550の操作表示部502にアラートを送信する(ステップS7)。一方、最大電流値となっていない場合(判断No)、ステップS2へ戻る。ステップS2で、機内があらかじめ定めた所定温度以上になり、通常動作モードに移行するまで上記動作を繰り返し実行する。
【0057】
つぎに、低温環境下における駆動にかかる具体的な例で説明する。スタッカー100内のモータからみて、低温環境になると、モータ107に接続される負荷が最も大きくなる。モータ107は、シフトトレイ102を上下動させるモータであり、モータ107からの接続形態は、モータ107−プーリ107a−タイミングベルト107b−ギアA107c−ウォームギア106−ギアB107d−ギアC107e−ギアD105−タイミングベルト107f−タイミングベルト104−トレイ昇降部103となっている。
【0058】
各ギア間は、滑らかに回転させるため、グリスなどの潤滑油が塗布してある。グリスは、低温環境下になると硬化する特性があることは周知である。また、各タイミングベルトも低温環境下になると、硬化するためモータ107からみた負荷は著しく増加する。さらに、高湿度環境下から低温環境になると、このギアなどの連結部分が固着・凍結してしまい、負荷が増加する。このような環境下にて、スタッカー100の電源を投入し、スタッカー100をイニシャル動作させると、モータ107からみた負荷が増加しているためスタッカー100が停止してしまい、複写機などの本体は、スタッカー100の異常表示をしてしまう。
【0059】
そのため、スタッカー100が異常停止になる前に、スタッカー100内の温度を検知し、検出した温度がある閾値の温度以下であれば、モータへ供給する電流値を通常の電流値AからBへ増加することでモータをトルクアップさせ、通常のスタッカー100の処理動作とは異なる動作で、モータを数回転CW(時計回り)/CCW(反時計回り)の往復動作させることで、硬化した部分を徐々に軟化させ、スタッカー100が正常動作できるように機械の連結部を馴染ませ、機械の停止を防止する。
【0060】
なお、通常の用紙後処理動作とは、モータ107に限定すれば、シフトトレイ102の上昇時の約20秒間のCCW回転、シフトトレイ102が上昇しきった後、シフトトレイ102に約10枚程度の用紙を積載する度に数十m秒間のCW回転を行う。また、イニシャル動作時、CW回転させて、シフトトレイ102を降下させ、シフトトレイ102の降下をセンサで検出した後、再度、シフトトレイ102のホームポジションに戻すためのCCW回転との動作である。他方、異なる動作とは、上記動作とは異なるモードで動作させることである。
【0061】
図11に駆動系温度検知部82に用いるセンサの回路構成を示す。図11に示すように、抵抗器R1とサーミスタNTC1を直列に接続する。サーミスタNTC1は、検知温度が低下すると、抵抗値が増加する。機内温度が所定の温度以下になると、抵抗器R1とサーミスタNTC1の接続点の電圧が、増加し、抵抗器R4を介して、コンパレーターComp1の非反転入力端子側V1に供給される。一方、反転入力端子側V2には、抵抗器R2及びR3で構成される分圧電圧が供給されている。非反転入力端子電圧V1が反転入力端子電圧V2を上回ると、コンパレーターComp1がオンして、CPU側へ下限温度以下であることを出力する。CPU側では、コンパレーターComp1のオンを確認した後に、各モータの暖機運転を行い、モータが動作できない場合は、モータに流す電流値を通常より大きくなるように変更する。なお、図11の符号R5,R6は抵抗器、符号C1はコンデンサである。
【0062】
さらに、本回路例では、サーミスタNTC1の検知温度が、いったん、所定の温度を下回ると、ヒステリシスにより、所定の温度よりもわずかに高くなったぐらいでは、コンパレーターComp1出力は、オフせず、抵抗器R4とR5で設定するヒステリシス電圧よりも高くなる、すなわち、サーミスタ検出温度が所定の温度よりヒステリシス幅温度よりも大きくなると、コンパレーターComp1の出力がオフするため、機内温度は、各モータに連結されるベルト、歯車などが十分に動作できる温度となる。
【0063】
なお、本例では、温度を検知する素子をサーミスタとしているが、温度を検知できる素子であれば、白金測温抵抗体、熱電対など何でもよい。また、本例では、サーミスタが検地した温度をコンパレーターComp1で閾値温度判定をしたが、サーミスタNTC1の出力電圧をA/Dコンバーター(不図示)などで検知して、メイン制御部10のCPU内部で温度換算しても構わない。
【0064】
ところで、通常の用紙後処理動作とは異なるモードとは、少なくともモータを1回転以上正転動作させた後、正転動作の回転数と同じ回転数だけ逆転回転することを繰り返す。
本実施例では、正転回転させた後、この正転回転と同じ量で逆転回転させているが、逆転回転させた後、正転回転しても良く、特に順番は関係ない。目的は、各モータの先にある機構部の位置を暖機運転によりずらさないようにすることである。
【0065】
さらに、上述した低温時の環境下において駆動制御を行う駆動制御例1〜6について詳述する。
【0066】
[駆動制御例1]
通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータ回転量をわずかとし、具体的には、始めは、モータを+45度回転させ、つぎに、−45度回転させる。この動作を数回行った後、つぎにモータを+60度回転させ、つぎに−60度回転させ、徐々に回転量を増加させる。このように動作させることで凍結したモータとの連結機構部である歯車やベルトが徐々に動作可能となるため、連結機構部である歯車やベルトを無理に動かすことによる、歯車の歯欠け、ベルトの断裂などを防止でき、用紙後処理装置の機構部の劣化を防止でき、用紙後処理装置の寿命を長くすることができる。
【0067】
[駆動制御例2]
通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、各モータ回転時間を短くし、この動作を繰り返す度にモータの回転動作時間を徐々に増加させる。たとえば、動作させたいモータがDCブラシモータであったとすると、エンコーダーなどを付加しない限り、回転角度制御ができない。そのため、簡単にCW/CCW回転させるためにPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う。すなわち、周期一定で、DCレベルの入力信号に応じてパルス幅のDutyサイクル(パルス幅のHとLの比)を変えてDCブラシモータの制御を行う。
【0068】
[駆動制御例3]
通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加し、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加する。つまり、モータの温度を徐々に増加させ、モータに接続される連結部も徐々に温度上昇させ、機械の動作を徐々に馴染ませる。
【0069】
[駆動制御例4]
用紙後処理装置内にあるモータのうち、モータの取り付け位置高さが最も下に位置するモータ付近の温度を検知し、この検知温度にしたがって低温時駆動モードを実行する。通常、暖かい空気は、上方に行くため、室内において温度が一番低いところは、床面になる。その床面より最も近い位置に位置するモータ付近の温度を検知することで温度検知部が1つで済み、単純な構成にすることができる。
【0070】
[駆動制御例5]
通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加させ、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加する。初期の電流値、つまり、機械の設定電流値I0より、暖機運転動作を繰り返す度に、I1→I2→・・・→INとし、最大設定電流になった後、モータが動作しない場合に、モータをホールド動作させることで、モータの発熱によりモータに連結される機構の温度を上昇させ、連結機構部の硬化を軟化させ、滑らかに動作させるようにする。
【0071】
[駆動制御例6]
通常の用紙後処理動作とは異なるモードの初期は、モータの設定電流を通常時より増加させ、暖機運転動作を繰り返す毎にモータの設定電流を増加し、最大設定電流になった後もモータが動作しない場合に、モータをホールド動作させつつ、かつ、用紙後処理装置内にある他の動作可能なモータおよび機構を動作させるようにする。そのようにすることで、モータ自身を自己発熱させ、かつ、用紙後処理装置内にある他の動作可能なモータおよび機構を動作させることで用紙後処理装置内の熱を循環させ、用紙後処理装置内の温度分布を均一するので、動作不可のモータも自己発熱以外に、用紙後処理装置内から伝導される熱により、温度を上昇させることができ、用紙後処理装置が正常動作できるようになる。
【0072】
したがって、上述した実施の形態では、画像形成装置500などから排紙された用紙をスタックするスタッカー100において、環境温度変化により、駆動用ベルトの収縮、歯車に注入された潤滑油が硬化などにより、モータから見た駆動負荷が大きくなった場合、装置内の温度を検知して、所定の温度以下であれば、モータ動作を徐々に行う暖機運転を行う。これにより、スタッカー100内のモータとの連結部であるギヤが凍結したり、モータからベルトを介した伝達機構などのベルトが硬化したりして装置が正常動作できない場合においても、通常動作モードとは別モードで暖機運転することで、各モータの凍結部を徐々に融解させ、装置を無理に動作させることなく動作させることができる。また、ベルトが硬化している場合には、モータを少しずつ動作させることにより硬化したベルトを少しずつ動作させてベルトを軟化させ、スタッカー100が正常動作できるようにするためスタッカー100内のモータに連結される機構部を破壊や破損させることなく、また、装置にアラート(警告表示)も出すことなく、正常動作ができる。
【0073】
また、低温により、スタッカー100内のモータに必要以上の負荷が発生した場合でも、徐々にモータを動作させ、必要以上のトルクで機械的負荷を動作させることがないため機械を傷めず、長寿命という効果も期待できる。さらに、スタッカー100内のモータを動作させて発生した熱量により、スタッカー100の機内温度が上昇するため電源投入直後から装置が立ち上がるまでの時間が早くなり、ユーザの待機時間を短くさせる効果も期待できる。
【0074】
ところで、以上に説明した例では、用紙後処理装置として、用紙積載装置であるスタッカーを一例として説明したが、スタッカーに限定されるものではなく、モータが駆動源になっている用紙後処理装置であれば、何でもあってもよい。さらに、上述したような駆動機構を有するものであれば、用紙後処理装置に限らず、複写機やプリンタ、複合機などの画像形成装置、およびこれらに装着される各種の周辺機器に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる用紙後処理装置は、ステイプラ、ソータ、スタッカーなどの用紙後処理装置に有用であり、特に、低温環境下において、各駆動モータ出力から駆動伝達系を構成する各駆動部品同士の固着などによる負荷増大や部品破損などを回避する駆動制御に適している。
【符号の説明】
【0076】
10 メイン制御部
11 低温時駆動モード
12 第1駆動モード
13 第2駆動モード
14 第3駆動モード
15 第4駆動モード
16 第5駆動モード
17 第5駆動モード
18 通常駆動モード
20 分岐爪切替部
23 プルーフ排紙機構
26 ストレート排紙機構
30 シフト排紙機構
80 駆動電流検知部
81 駆動動作確認部
82 駆動系温度検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、この駆動モータの駆動力を各回転体に伝達する駆動伝達部と、この駆動伝達部による駆動を受けて回転される用紙搬送系と、機内温度を検知する温度検知手段と、を有し、用紙を搬送処理する用紙後処理装置であって、
前記駆動モータの駆動トルクを可変する駆動トルク可変手段と、
前記温度検知手段の検知温度が、あらかじめ設定した温度以下である場合、初期動作時において通常駆動時の動作とは異なる低温時駆動モードで駆動制御を実行する駆動制御手段と、
を備え、
前記駆動制御手段は、前記駆動トルク可変手段により駆動トルクを変更し、前記駆動モータを正転動作させた後、この正転動作と同じ回転数だけ逆転動作する駆動制御を繰り返し実行することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記駆動モータの回転量を通常駆動時よりわずかとし、この動作を繰り返す度に前記駆動モータの回転量を徐々に増加させることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、前記駆動モータの回転時間を通常駆動時より短くし、この動作を繰り返す度に駆動モータの回転動作時間を徐々に増加させることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、前記駆動モータの設定電流を通常駆動時より増加し、前記低温時処理モードでの動作を繰り返す毎に前記駆動モータの設定電流を増加することを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
前記駆動制御手段は、前記駆動モータの設定電流を通常駆動時より増加させ、前記低温時処理モードでの動作を繰り返す毎に前記駆動モータの設定電流を増加し、最大設定電流になった後、前記駆動モータが動作しない場合に、前記駆動モータをホールド動作させることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項6】
前記駆動制御手段は、前記駆動モータの設定電流を通常駆動時より増加させ、前記低温時処理モードでの動作を繰り返す毎に前記駆動モータの設定電流を増加し、最大設定電流になった後も前記駆動モータが動作しない場合に、前記駆動モータをホールド動作させつつ、かつ、装置内にある他の動作可能な駆動モータおよび機構を動作させることを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項7】
前記温度検知手段は、装置内の駆動モータのうち、前記駆動モータの取り付け位置高さが最も下に位置する前記駆動モータ付近の温度を検知する位置に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の用紙後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−51669(P2012−51669A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194467(P2010−194467)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】