説明

用紙残量検出装置および画像形成装置

【課題】 簡単な構成により、隣合う積載トレーにおける用紙残量の検出を容易にする。
【解決手段】 積載トレー5a、5bは、隣合うように併置され、用紙7a、7bが載置されその消費によって上方に変位される。スライド端子部17a、17bは、隣合う積載トレー5a、5bから他方の積載トレー5a、5b方向に突設され積載トレー5a、5bに従ってスライド変位する。位置検出部19は、積載トレー5a、5bの間にてスライド端子部17a、17bの変位範囲に配置された絶縁基板21の各対向面に、スライド端子部17a、17bがスライド自在に当接される電極パターDIG0〜GNDンを有する。位置検出部19は、スライド端子部17a、17bの当接位置に応じた位置検出信号を電極パターンDIG0〜GNDから得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙残量検出装置および画像形成装置に係り、プリンタ、複写機、ファクシミリ機、これらの機能を有する複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の画像形成装置に搭載して好適する用紙残量検出装置および当該画像形成装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、光学的に読み取られた画像データに基づき回転感光体の表面に潜像を形成し、トナーによってその潜像からトナー像を形成し、内蔵する給紙装置から給紙した用紙にトナー像を回転感光体から転写し、その用紙を加熱定着部を通して加熱定着させて排紙する構成が良く知られている。
【0003】
そして、画像形成装置において多量の印刷を可能にするには、例えば、1500枚程度の用紙載置可能な積載トレーを左右に併置し、一方の積載トレーの用紙が消費尽くされると、他方の積載トレーの用紙が給紙されるよう給紙ローラ等を切換え制御し、他方の積載トレーの用紙が消費尽くされると、再び一方の積載トレーの用紙が給紙されるよう給紙ローラ等を切換え制御する構成が提案されている。
【0004】
このような構成では、用紙が消費された積載トレーに用紙を交互に補給すれば、多量の連続印刷も可能であるから、円滑な多量印刷を確保するために、積載トレーの位置検出に基づき用紙残量を把握し、その補給をすることが大切である。
【0005】
従来、この種の給紙装置Aは、図7に示すように、ユニットケース1の内底にモータ駆動によって上下動するリフト部3a、3bを各々配置して個別に積載トレー5a、5bを載置し、それら積載トレー5a、5bにセットした用紙7a、7bの給紙による消費に伴い、リフト部3a、3bによって積載トレー5a、5bを上昇変位させるとともに、これらの変位位置を残量位置検出装置Bで検出する構成が知られている。
【0006】
この残量位置検出装置Bは、例えば図8A、Bに示すように、積載トレー5aの近傍に支持柱9を配置し、この支持柱9における積載トレー5aとの対向面に上下方向に延びる凹溝11aを設け、凹溝11a内に発光素子13aと受光素子13bの対向対を上下3カ所に分散配置する一方、積載トレー5aから遮蔽板15aを突出させて凹溝11a内に遊挿させて形成されている。
【0007】
図8Bは、例えば同図A中の例えば最上位の発光素子13aと受光素子13bとの対向対のみ示す。なお、図8は積載トレー5a側の残量位置検出装置Bのみ示しているが、積載トレー5b近傍の残量位置検出装置Bも同様な構成である。
【0008】
そのため、用紙7aの給紙による消費に伴って上昇変位する積載トレー5aにより、遮蔽板15aで何れかの発光素子13aと受光素子13bの間をそれぞれ独立して遮光させて得たオンオフ信号を図示しない処理回路に出力し、これに基づき積載トレー5aの位置を個別に検出して用紙の残量を把握している。
【0009】
ところで、画像形成装置において多量の用紙をセットする従来公報として例えば特開2001−261167号公報(特許文献1)の給紙装置が提案されている。
【0010】
この特許文献1は、画像形成・読み取り装置の給紙装置であって、大容量給紙と2種類の用紙の給紙を行える構成を有し、大容量の給紙が可能で、かつ2種類供給でき、無駄な空間も生じされ難くしたものである。
【0011】
また、画像形成装置において用紙残量を検出する従来公報として、例えば特開2001−302018号公報(特許文献2)の用紙残量検出方法が提案されている。
【0012】
この特許文献2は、上昇手段により給紙トレー内の昇降台の上昇に先だち、昇降台に載置されている用紙の上面が上限位置にあるか否かを上限位置検知手段により検知し、昇降台が下限位置にあるか否かを下限位置検知手段により検知し、上昇前の昇降台が下限位置にあるか否かの検知を検出し、上昇時間計測手段により計測された上昇時間又は記憶手段に記憶されている用紙残量に基づき、昇降台に載置されている用紙の残量を新たに求める構成を有し、給紙トレー内の昇降台に載置されている用紙の残量を正しく検知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−261167号公報
【特許文献2】特開2001−302018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した図8に示した従来の用紙残量検出装置Bでは、個々の積載トレー5a、5bに近接配置された支持柱9に、発光素子13aと受光素子13bを上下に複数対配置する必要があり、発光および受光素子13a、13bの配置組立て面倒でコストアップを招き易い。
【0015】
また、特許文献1では、2種類の用紙の給紙が行える構成ではあり、用紙残量センサーで用紙の残量を検知する旨開示するのみあり、具体的な用紙残量検出手法を開示するものではない。
【0016】
さらに、特許文献2では、上限および下限位置の間の中間位置が、検知された上限および下限位置と、上昇時間計測手段により計測された上昇時間又は記憶手段に記憶されている用紙残量とに基づき演算した間接的に検出されるから、検出構成が複雑で、中間位置を直接的に正確に検出するものではなく、改善すべき余地がある。
【0017】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成により、隣合う積載トレーにおける用紙残量の検出が容易な用紙残量検出装置および画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係る用紙残量検出装置は、用紙が載置され当該用紙の消費によって上方に変位制御される積載トレーであって、互いに隣り合うように併置された複数の積載トレーと、隣り合う積載トレーから他方の積載トレー方向に突設され当該積載トレーに従ってスライド変位するスライド端子部と、対面する積載トレーの間にてスライド端子部の変位範囲に配置された絶縁基板の各対向面に、これに対面するスライド端子部がスライド自在に当接される電極パターンであって、所定の電位が印加されスライド端子部の当接位置に応じた位置検出信号を得る電極パターンが形成された位置検出部と、を具備している。
【0019】
本発明の請求項2に係る用紙残量検出装置は、上記位置検出部が、その絶縁基板の各対向面において、変位範囲方向を複数に分けた区間毎に異ならせた複数の電極パターンを形成し、そのスライド端子部による区間毎の電極パターン間の短絡および開放組み合わせに応じた信号を位置検出信号として得る構成である。
【0020】
本発明の請求項3に係る用紙残量検出装置は、上記位置検出部が、その絶縁基板の各対向面において、複数の区間のうち1区間を除いて残りの区間に共通形成された短絡パターンと、それら箇所毎に異ならせた電極パターンとを有し、そのスライド端子部による区間毎の短絡パターンと電極パターンとの短絡組み合わせに応じた信号をその位置検出信号として得る構成である。
【0021】
本発明の請求項4に係る用紙残量検出装置は、上記位置検出部が、除かれた1区間が複数の区間の一方の端の区間である構成である。
【0022】
本発明の請求項5に係る用紙残量検出装置は、上記位置検出部が、その絶縁基板の各対向面において、変位範囲方向に形成された抵抗パターンとこれに沿った短絡パターンとを有し、そのスライド端子部による抵抗パターンと短絡パターンとの短絡により形成される回路から位置検出信号を得る構成である。
【0023】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、それら請求項1〜5いずれか1記載の用紙残量検出装置と、この用紙残量検出装置を有する給紙装置から給紙した用紙に対し画像データを画像形成する画像形成部とを具備する構成である。
【発明の効果】
【0024】
このような本発明の請求項1に係る用紙残量検出装置では、用紙が積載された積載トレーが当該用紙の消費によって上方に変位し、これによってスライド端子部が位置検出部の電極パターン上をスライド変位し、スライド端子部の当接位置に応じた位置検出信号が位置検出部から得られるから、共通の検出部材を用いて隣合う各積載トレーにおける用紙残量の検出が容易で、構成も簡単である。
【0025】
本発明の請求項2に係る用紙残量検出装置では、その絶縁基板の各対向面において区間毎に異ならせた複数の電極パターンが形成され、そのスライド端子部による区間毎の電極パターン間の短絡および開放組み合わせに応じた信号を位置検出信号として得るから、段階的な用紙残量の検出が可能である。
【0026】
本発明の請求項3に係る用紙残量検出装置では、その絶縁基板の各対向面において、複数の区間のうち1区間を除いて残りの区間に共通形成された短絡パターンと、それら箇所毎に異ならせた電極パターンとを有し、そのスライド端子部による区間毎の短絡パターンと電極パターンとの短絡組み合わせに応じた信号をその位置検出信号として得るから、より簡単な構成によって段階的な用紙残量の検出が可能である。
【0027】
本発明の請求項4に係る用紙残量検出装置では、上記位置検出部における除かれた1区間が複数の区間の一方の端の区間であるから、より一層構成が簡素化される。
【0028】
本発明の請求項5に係る用紙残量検出装置では、上記位置検出部が、その絶縁基板の各対向面において、変位範囲方向に形成された抵抗パターンとこれに沿った短絡パターンとを有し、そのスライド端子部による抵抗パターンと短絡パターンとの短絡により形成される回路から位置検出信号を得るから、簡単な構成において、連続的な用紙残量の検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る用紙残量検出装置を含む給紙装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る用紙残量検出装置を示す要部平面図である。
【図3】本発明に係る用紙残量検出装置の動作を説明する図表である。
【図4】本発明に係る用紙残量検出装置を搭載した本発明の画像形成装置の内部構成を説明する内部構成図である。
【図5】図4の操作パネル部を説明する図である。
【図6】本発明の用紙残量検出装置の他の例を説明する図である。
【図7】従来の給紙装置を示す概略構成図である。
【図8】図7中の残量位置検出装置を示す概略縦断面図(図8A)および横断面図(図8B)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る用紙残量検出装置および画像形成装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0031】
なお、本発明に係る用紙残量検出装置はこれを有する給紙装置とともに説明し、従来構成と同一部分には同一の符号を付す。
【0032】
図1は、本発明に係る用紙残量検出装置の実施の形態を給紙装置Aとともに示す概略構成図である。
【0033】
図1において、上部開放の箱形形状を有するユニットケース1の内底には、例えばモータ駆動によって上下動する1対のリフト部3a、3bが近接するように併置されており、これには用紙7a、7bがセットされる積載トレー5a、5bが各々に載置固定されている。
【0034】
リフト部3a、3bは、それら積載トレー5a、5bにセットした用紙7a、7bの給紙による消費に伴って駆動制御される図示しないモータによって積載トレー5a、5bを上昇変位させ、リセット操作によってそれらを下降変位させる機能を有する。
【0035】
積載トレー5a、5bは、ユニットケース1の上部開放位置である給紙位置に、常に用紙7a、7bの最上部が位置するように規制されており、用紙7a、7bの給紙による消費に伴って上昇変位する。
【0036】
積載トレー5a、5bの上昇変位に伴って残量用紙を検出する以下のような残量用紙検出装置Bが形成されている。
【0037】
残量用紙検出装置Bは、隣合う積載トレー5a、5bと、これから突設されたスライド端子部17a、17bと、対面する積載トレー5a、5bの間にてスライド端子部17a、17bの変位範囲に配置された絶縁基板21aの各対向面に、これに対面するスライド端子部17a、17bがスライド自在に当接される後述する電極パターンであって、所定の電位が印加されスライド端子部17a、17bの当接位置に応じた位置検出信号を得る電極パターンが形成された位置検出部19と、を有して形成されている。電極パターンの詳細は後述する。
【0038】
スライド端子部17a、17bは、導電性板ばねをU字状に湾曲した形状を有し、互いに隣の積載トレー5a、5bに向けて突設するよう積載トレー5a、5bの側部に片持ち支持され、当該先端が絶縁基板21の対向面に弾性的に当接し、積載トレー5a、5bの上下変位によって絶縁基板21上をスライド変位するようになっている。
【0039】
絶縁基板21は、隣合う積載トレー5a、5bの上下方向の変位範囲、すなわちスライド端子部17a、17bの上下方向の変位範囲より多少長い上下(縦)方向の長さを有して長尺状になっており、両対向面には各々図2に示すような電極パターンDIG0、DIG1、DIG2、GNDが形成され、上述した位置検出部19を形成している。
【0040】
絶縁基板21は、隣合う積載トレー5a、5bの共通部材であって両対向面の電極パターンDIG0〜GNDが同一であるので、以下、片面のみ説明して対向面の電極パターンの説明および図示を省略する。
【0041】
すなわち、絶縁基板21の上下方向を8個の等区間D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8に区分し、個々の区間D1〜D8には上下(長手)方向に延びる複数の電極パターンDIG0、DIG1、DIG2、GNDが形成されるとともに、個々の区間D1〜D8におけるそれらの電極パターンDIG0〜GNDの有無や幅形状が異なっている。なお、電極パターンDIG0〜GNDは公知のプリント手法等で形成される。
【0042】
各電極パターンDIG0〜GNDは、絶縁基板21の下端部において外部接続部P0、P1、P2、P3となっており、絶縁基板21の図中左側から、電極パターンDIG0、DIG1、GND、DIG2の順に間隔を置いて上下方向に形成されており、図示しないが電極パターンDIG0〜DIG2には外部接続部P0〜P2から所定の直流電圧(例えば+3V、「1」電位)が印加されおり、電極パターンGNDの外部接続部P3にはアース(「0」電位)が接続されている。
【0043】
すなわち、電極パターンDIG0は、絶縁基板21の下端部から細長い単位帯状になって区間D1を上方に延び、区間D2〜D5にかけて2倍幅で上方に延びて先端開放になっている。
【0044】
電極パターンDIG0の右側に形成された電極パターンDIG1は、区間D4、D5では単位帯状で、区間D6〜D8では2倍幅で電極パターンDIG0の延長線上を絶縁基板21の上端部(区間D8)まで延び、電極パターンGND、DIG2を囲むようにこの右側端部を単位帯状で下端部まで延びている。
【0045】
電極パターンDIG1の右側には、単位帯状に形成された電極パターンGNDが、絶縁基板21の下端部から細長い単位帯状で区間D1〜区間D7まで上方に延びて開放されている。
【0046】
電極パターンGNDの右側には、絶縁基板21の下端部から電極パターンDIG2が区間D1〜区間D2まで2倍幅で上方へ延び、区間D3、D4まで単位帯状で上方へ延びるとともに、区間D5〜D6まで再び2倍幅で延びて開放されている。
【0047】
電極パターンGNDは、複数の区間D1〜D8のうち上端の1区間D8を除いて残りの区間に共通形成され、後述するように、これに電極パターンDIG0〜DIG2を短絡させる短絡パターンとして機能する。
【0048】
スライド端子部17aは、絶縁基板21上を電極パターンDIG0〜DIG2、GNDに電気的に当接した状態で上下方向にスライドされる過程で、電極パターン(短絡パターン)GNDを横切るとともに、電極パターンDIG0〜DIG2にあって2倍幅部分と電極パターンGNDを短絡し、短絡された電極パターンDIG0〜DIG2の外部接続部P0〜P2を「0」電位する機能を有している。
【0049】
電極パターンGNDに短絡されていない電極パターンDIG0〜DIG2の外部接続部P0〜P2は「1」電位のままである。
【0050】
スライド端子部17aが、絶縁基板21上を上下方向にスライドされると、区間D1〜D7では、電極パターンDIG0〜DIG2が電極パターンGNDと短絡される形態が変化し、電極パターンDIG0〜DIG2の外部接続部P0〜P2が「0」電位に変化する。
【0051】
図3は、位置検出部19において、区間D1〜D8における電極パターンDIG0〜DIG2の各電位「1」と「0」の組み合わせ状態を図表にしたものであり、これらの組み合わせ状態によって区間D1〜D8の何れかが特定され、図示しない処理回路から位置検出信が出力される。
【0052】
例えば、0%〜12.5%までの区間D8では電極パターンDIG0〜DIG2が「1、1、1」となり、12.5%〜25%までの区間D7では電極パターンDIG0〜DIG2が「1、0、1」となり、87.5%〜100%までの区間D1では電極パターンDIG0〜DIG2が「1、1、0」となり、電極パターンDIG0〜DIG2の「1」電位と「0」電位の組合せによってスライド端子部17a(積載トレー5a)の位置が特定されるから、これを用紙残量検出に利用可能である。
【0053】
次に、上述した用紙残量検出装置Bの動作を簡単に説明する。なお、積載トレー5aからの用紙7aの給紙が開始されるとして説明する。
【0054】
積載トレー5a、5bに用紙7a、7bを100%セットすると、積載トレー5a、5bが最下部に位置してスライド端子部17aが絶縁基板21上の区間D1の下部に当接し、電極パターンDIG2のみが電極パターン(短絡パターン)GNDと短絡された状態となって電極パターンDIG0〜DIG2が「1、1、0」となる。
【0055】
そのため、積載トレー5a、5bに関して処理回路によって100%を示す位置検出信号を得ることが可能である。
【0056】
そして、用紙7aが消費されると、消費量に応じて積載トレー5aが上昇してスライド端子部17aが絶縁基板21上を上方に当接状態でスライドし、区間D5に達すると、電極パターンDIG0〜DIG2が電極パターン(短絡パターン)GNDと短絡された状態となって電極パターンDIG0〜DIG2が「0、0、0」となる。そのため、積載トレー5aに関して50%を示す位置検出信号を得ることが可能である。
【0057】
さらに、用紙7aが消費されて積載トレー5aが最上部まで上昇してスライド端子部17aが区間D8に達すると、電極パターンDIG0〜DIG2が電極パターン(短絡パターン)GNDと短絡されない状態となって電極パターンDIG0〜DIG2が「1、1、1」となる。
【0058】
そのため、積載トレー5aに関して0%を示す位置検出信号を得ることが可能である。
【0059】
そのため、適当な手段により、積載トレー5bからの用紙7bの給紙制御に切換え制御すれば、積載トレー5bからの用紙7bの給紙が開始される。積載トレー5aには用紙7aを補給すれば、次の給紙に備えることが可能である。
【0060】
次に、上述した給紙装置A、用紙残量検出装置Bを搭載した画像形成装置Cの実施の形態を、図4を参照して説明する。
【0061】
図4において、画像形成装置Cは、主制御部23を中心にして画像取込部25、記憶部27、操作パネル部29、通信部31および印刷部33を有し、例えば複合機を構成している。なお、画像形成装置Cは、これ以外にも構成を有するが、本発明の要旨ではないので説明および図示を省略する。
【0062】
画像読取部25は、例えば図4に示すように、画像形成装置Cの本体ケース35の上部に配置され、主制御部23の制御の下、例えば印刷された原稿から画像を光学的に読み込み、フィルタ処理等をして電子的印刷ジョブを生成する公知のスキャナ等の画像データの入力部であり、生成した印刷ジョブが記憶部27に順次記憶されるようになっている。
【0063】
記憶部27は、主制御部23の制御の下、画像読取部25からの読取画像データ又は通信部31からの受信画像データ、主制御部23の動作プログラムを記憶した読み書き可能な例えばハードディスクである。
【0064】
操作パネル部29は、本体ケース35の上部に配置され、主制御部23の制御の下、例えば、種々の動作状態の表示が可能な表示部としての公知の例えば液晶表示パネルと、装置の動作に係る画像が表示されたキーを押下することにより、画像読取、印刷指示その他の指示を受付ける入力部としての機能を有している。
【0065】
すなわち、操作パネル部29は、例えば図5に示すように、印刷(印字、コピー)処理、プリンタ処理、スキャナ処理、ファックス処理等の種々の操作指示や選択をする選択キー29a、それらの操作に係る動作機能の設定、変更等を入力する入力部としてのテンキー29b、スタートキー29c、表示パネル部29d等を有している。
【0066】
表示パネル部29dは、画像形成装置Cの動作を表示するとともに、上述した位置検出部19からの位置検出信号に基づき用紙残量をバー表示29eで表示する表示部として機能する。
【0067】
図4の通信部31は、主制御部23の制御の下、所定のプロトコルに従い、いずれも図示しないネットワークを介して情報処理装置(コンピュータ)との間で画像データの送受信に送受信するインターフェース部である。
【0068】
印刷部33は、画像データから印刷画像イメージデータを展開作成し、これに基づきトナー像を画像形成し、このトナー像を用紙に転写定着して排紙するものである。
【0069】
すなわち、印刷部33は、本体ケース35内に配置された用紙残量検出装置Bを有する上述した給紙装置Aと、印刷画像イメージデータに基づきトナーで感光体ドラムにトナー現像してこれを用紙に転写する画像形成部としての転写部37と、トナー像の転写された用紙を定着する定着部39と、定着された用紙を両面印刷用に転写部19に戻す反転搬送部25等とを有し、これらが印刷部33を形成している。符号41は排紙トレーである。
【0070】
主制御部23は、CPU、このCPUの動作プログラムを格納したROMおよび作業用RAM(何れも図示せず。)を有して形成されており、上述し画像読取部25、記憶部27、ユーザ履歴作成部7、操作パネル部29、印刷部33および通信部31等を制御する機能を有している。
【0071】
主制御部23は、上述した処理回路からの位置検出信号に基づき用紙残量データを形成し、操作パネル部29の表示パネル部29dに表示制御する機能を有している。
【0072】
このように本発明の用紙残量検出装置Bは、用紙7a、7bが載置され当該用紙7a、7bの消費によって上方に変位制御される積載トレー5a、5bであって、互いに隣り合うように併置された複数の積載トレー5a、5bと、隣り合う積載トレー5a、5bから他方の積載トレー5a、5b方向に突設され当該積載トレー5a、5bに従ってスライド変位するスライド端子部17a、17bと、対面する積載トレー5a、5bの間にてスライド端子部17a、17bの変位範囲に配置された絶縁基板21の各対向面に、これに対面するスライド端子部17a、17bがスライド自在に当接される電極パターンDIG0〜GNDであって、所定の電位が印加されスライド端子部17a、17bの当接位置に応じた位置検出信号を得る電極パターンDIG0〜GNDが形成された位置検出部19を具備している。
【0073】
しかも、その位置検出部19が、絶縁基板21の各対向面において、変位範囲方向を複数に分けた区間毎に異ならせた複数の電極パターンDIG0〜GNDを形成し、複数の区間のうち一方の端の1区間を除いて残りの区間に共通形成された電極パターン(短絡パターン)GNDと、それら箇所毎に異ならせた電極パターンDIG0〜DIG2とを有し、そのスライド端子部17a、17bによる区間毎の電極パターン(短絡パターン)GNDと電極パターンDIG0〜DIG2との短絡組み合わせに応じた信号をその位置検出信号として得るよう形成されている。
【0074】
そのため、隣合う用紙の積載トレー5a、5bに設けたスライド端子部17a、17bを絶縁基板21に弾性的に当接させるだけ用紙7a、7bの残量検出が可能であるし、単に、隣合う積載トレー5a、5bの間に、共用配置した絶縁基板21に電極パターンDIG0〜GNDを形成し、対向面からスライド端子部17a、17bを当接させるだけで、隣合う積載トレー5a、5bの用紙7a、7bの残量検出が可能であるから、構成や組み立てが極めて簡単で、安価になる。
【0075】
ところで、本発明の用紙残量検出装置Bにおいては、電極パターン(短絡パターン)GNDが上端の区間D8のみ除かれる構成であったが、いずれかの区間において除かれる構成も可能であるものの、除かれた1区間が一方の端区間とする構成では、電極パターン(短絡パターン)GNDを短く形成可能で、形状も小型化が容易である。
【0076】
また、本発明の用紙残量検出装置Bにおいては、変位範囲方向を複数に分けた各区間で異ならせた複数の電極パターンDIG0〜GNDを形成し、スライド端子部17a、17bによる各区間毎の電極パターンDIG0〜GND間の短絡および開放組み合わせに応じた信号を位置検出信号として得るよう構成すれば、簡単な構成により、隣合う積載トレー5a、5bにおける用紙残量の検出が容易である。
【0077】
要は、対面する積載トレー5a、5bの間にてスライド端子部17a、17bの変位範囲に配置された絶縁基板21の各対向面に、これに対面するスライド端子部17a、17bがスライド自在に当接される電極パターンDIG0〜GNDであって、所定の電位が印加されスライド端子部17a、17bの当接位置に応じた位置検出信号を得る電極パターンDIG0〜GNDが形成された位置検出部19であれば、本発明の目的達成が可能である。
【0078】
上述した本発明の用紙残量検出装置Bでは、積載トレー5a、5bのスライド変位範囲を複数の区間D1〜D8に分け、個々の区間D1〜D8においては同一の用紙残量を段階的(デジタル的)に検出するよう位置検出部19を形成したが、本発明はこれ限定されない。
【0079】
例えば、図6に示すように、上述した絶縁基板21の対向面において、細長い帯状の高抵抗の電極パターン(抵抗パターン)DIG3およびこれに僅かの間隔をおいて並行に形成された電極パターン(短絡パターン)GNDとを有し、そのスライド端子部17a、17bによる電極パターン(抵抗パターン)DIG3と電極パターン(短絡パターン)GNDとの短絡により形成される外部接続部P4から位置検出信号を連続的(アナログ的)に検出する位置検出部19を形成する構成も可能である。
【0080】
このような構成では、積載トレー5a、5bのスライド変位によってスライド端子部17a、17bがスライド変位すると、電極パターン(短絡パターン)GNDにて短絡される抵抗パターンDIG3の位置が変化し、電極パターン(抵抗パターン)DIG3から電極パターン(短絡パターン)GNDによる回路抵抗分が変化するから、これに基づき積載トレー5a、5bの変位位置から用紙残量7a、7bの残量検出が可能である。
【0081】
また、本発明の用紙残量検出装置Bにおいては、2個の積載トレー5a、5bを有する構成に限らず、複数の積載トレー5a、5bを隣合わせて接近併置させる構成において実施可能である。
【0082】
さらに、上述した個々の電極パターンDIG0〜DIG2において、一部区間D2〜D5が他の区間に比べて2倍幅になっているが、本発明では2倍幅に限定されるものではない。もっとも、確実な接触を確保する観点から、部分的に幅広に形成することが好ましい。
【0083】
さらにまた、積載トレー5a、5bは、モータ駆動によって上下動するリフト部3a、3bによって上下変位制御される構成に限らず、上方に付勢変位される構成であっても良く、用紙が積載された積載トレーが当該用紙の消費によって上方に変位される構成であれば本発明の目的達成が可能である。
【0084】
そして、本発明の用紙残量検出装置を搭載した画像形成装置Cにおいても、用紙残量検出装置と同様の効果を有する。
【符号の説明】
【0085】
1 ユニットケース
3a、3b リフト部
5a、5b 積載トレー
7a、7b 用紙
9 支持柱
11a、11b 凹溝
13a 発光素子
13b 受光素子
15a、15b 遮蔽板
17a、17b スライド端子部
19 位置検出部
21 絶縁基板
23 主制御部
25 画像取込部
27 記憶部
29 操作パネル部
29a 選択キー
29b テンキー
29c スタートキー
29d 表示パネル部
31 通信部
33 印刷部
35 本体ケース
37 転写部
39 定着部
41 排紙トレー
A 給紙装置
B 残量位置検出装置
C 画像形成装置
DIG0、DIG1、DIG2 電極パターン
DIG3 電極パターン(抵抗パターン)
GND 電極パターン(短絡パターン)
P0、P1、P2、P3、P4 外部接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が載置され当該用紙の消費によって上方に変位制御される積載トレーであって、互いに隣り合うように併置された複数の積載トレーと、
隣り合う前記積載トレーから他方の前記積載トレー方向に突設され当該積載トレーに従ってスライド変位するスライド端子部と、
対面する前記積載トレーの間にて前記スライド端子部の変位範囲に配置された絶縁基板の各対向面に、これに対面する前記スライド端子部がスライド自在に当接される電極パターンであって、所定の電位が印加され前記スライド端子部の当接位置に応じた位置検出信号を得る前記電極パターンが形成された位置検出部と、
を具備することを特徴とする用紙残量検出装置。
【請求項2】
前記位置検出部は、前記絶縁基板の各対向面において、前記変位範囲方向を複数に分けた各区間毎に異ならせた複数の前記電極パターンを形成し、前記スライド端子部による各区間毎の前記電極パターン間の短絡および開放組み合わせに応じた信号を前記位置検出信号として得る請求項1記載の用紙残量検出装置。
【請求項3】
前記位置検出部は、前記絶縁基板の各対向面において、複数の前記区間のうち1区間を除いて残りの前記区間に共通形成された短絡パターンと、前記箇所毎に異ならせた前記電極パターンとを有し、前記スライド端子部による各区間毎の前記短絡パターンと前記電極パターンとの短絡組み合わせに応じた信号を前記位置検出信号として得る請求項2記載の用紙残量検出装置。
【請求項4】
前記位置検出部は、除かれた前記1区間が複数の前記区間の一方の端の区間である請求項3記載の用紙残量検出装置。
【請求項5】
前記位置検出部は、前記絶縁基板の各対向面において、前記変位範囲方向に形成された抵抗パターンとこれに沿った短絡パターンとを有し、前記スライド端子部による抵抗パターンと前記短絡パターンとの短絡により形成される回路から前記位置検出信号を得る請求項1記載の用紙残量検出装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5いずれか1記載の用紙残量検出装置と、この用紙残量検出装置を有する給紙装置から給紙した前記用紙に対し画像データを画像形成する画像形成部とを具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−230883(P2011−230883A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102041(P2010−102041)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】