説明

用紙浮き検出装置及び用紙搬送装置並びに画像記録装置

【課題】インクジェット記録装置において検出光軸周囲の空気の流れを抑制し記録媒体の浮き高さを高精度に検出する。
【解決手段】用紙を搬送面41a上に保持し液滴吐出ヘッド44C、44M、44Y,44Kに対向させて所定の搬送方向に搬送する搬送手段の搬送経路を挟んで、互いに対向して配置される投光ユニット310と受光ユニット320を、前記投光ユニット310から出射され前記受光ユニット320で受光される検出光Lの光軸が前記搬送方向に略垂直となるように配置し、前記搬送される用紙が前記検出光Lを遮ったことを検出することにより前記用紙の前記搬送面41aからの浮き上がりを検出する用紙浮き検出装置300であって、前記検出光Lの光軸の周囲に、該光軸に影響を与える程の温度差を有する空気が流入するのを防ぐための風除けガイド330を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙浮き検出装置及び用紙搬送装置並びに画像記録装置に係り、特に、インクジェット記録装置において、インクジェット記録部での用紙の浮きを検出光により検出する用紙浮き検出装置及び用紙搬送装置並びに画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置として、多数のノズル(インク吐出口)を配列させたインクジェットヘッドを有し、このインクジェットヘッドに対して記録媒体を相対的に搬送し、ノズルから記録媒体に向けてインクをインク液滴として吐出することにより、記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)が知られている。
【0003】
このようなインクジェット記録装置においては、インクジェットヘッドと記録媒体とを相対搬送する際、インクジェットヘッドのノズルが、搬送されて来る記録媒体に非常に近接しているため、インクジェットヘッド近傍を記録媒体が通過する際、記録媒体が搬送面から浮いていると、インクを打つ高さが違うため画質が悪くなったり、記録媒体がノズル面と擦れてノズル面を傷めたり、あるいは記録媒体がノズルに衝突し、記録媒体に汚れが付着したり、さらには紙粉がノズルに詰まったりして不吐出等の不具合が発生することがある。
【0004】
そこで、従来、発光素子と受光素子を対向させて配置し、発光素子から出射された検出光を受光素子で受光するように構成し、検出光中を記録媒体やインク滴が横切るのを検出することにより、記録媒体の浮き上がりやインク滴の吐出状態を検出する様々な検出装置が提案されている。
【0005】
例えば、液滴吐出ヘッドの搬送方向と直交する方向の一側に配設された投光センサと、他側に配設された受光センサを有し、記録媒体を保持して液滴吐出ヘッドに対向させて搬送する搬送手段と液滴吐出ヘッドとの間の搬送手段上の高さに光線を通過させて記録媒体の搬送手段からの高さを光学的に検知する検知手段を備えた液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0006】
また例えば、インクジェット式記録ヘッドのノズル形成面からのインク滴の吐出状態を検出する発光モジュールと受光モジュールの間に介在するインク滴吐出領域に対して、インク滴吐出領域内のインク滴を回収するインク回収ユニットと、インク回収ユニットに設けられたインク滴吐出領域に連通するインク吸引口に向かう空気流を形成する吸引ファンと、発光モジュールから受光モジュールへの投射光が透過する光透過口を有する複数のインク遮蔽壁とを配設し、ノズル形成面からインク滴吐出領域に吐出されたインク滴がインクミストとしてインク吸引口に向かう空気流に乗ってインク回収ユニットによって回収されるようにして、発光モジュール及び受光モジュールがインクミストによって汚染されるのを防止し、インク吐出状態検出精度が低下するのを防ぐようにしたインクジェット式記録装置が知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0007】
また例えば、記録用紙にインクを噴射してマークを記録し、該マークの有無を検出してインクエンドを検出するインクエンド検出装置を備えたインクジェット記録装置において、マークの有無を検出するインクエンド検出センサに入射する外光を防ぐ障害壁部材を記録紙排紙トレイに設け、インクエンドの誤検知を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−76109号公報
【特許文献2】特許3514234号公報
【特許文献3】特開平9−226150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、投光センサと受光センサ間の光路を被覆することにより光路環境を一定に保つようにはしていない。また、上記特許文献2に記載のものも、発光モジュールと受光モジュールとによって形成された光路全体を被覆カバーで覆ってはおらず、また、特許文献2に記載された空気流は温度の攪拌を目的とするものではない。さらに、上記特許文献3に記載された障壁部材は温度変化を防ぐものではない。
【0010】
このように、上記従来技術においては、検出光路周辺の気流や温度の変化に影響された検出光の光軸曲がりによる受光量変化を考慮していないため、検出光軸周辺の気流や温度の変化という環境変化による誤検出が発生する懸念があった。
【0011】
また、温度差や気流方向を制御する一般的な方法として機内に仕切板を設けることが考えられるが、大型な装置では仕切板も大型であり、駆動部の隙間を埋めるために部品数も増えてしまい装置が複雑化するという問題がある。さらに、凹凸のあるドラムの回転による気流の流れを抑制し、光軸周囲を無風にする方法や温度変化を防ぐように工夫したものは従来知られていない。
【0012】
上に述べたように、インクジェット記録装置においては、記録部において記録媒体の浮き高さが所定の規定値以上となった場合に、記録媒体がヘッドの吐出面に擦れてヘッドを破損する虞があるため、規定値以上浮いた記録媒体が記録部に侵入する前に記録媒体の浮きを検出して、記録媒体の搬送を停止させる必要がある。
【0013】
この記録媒体の浮きを検出するために記録媒体搬送方向と略垂直に検出光が通過する透過型の光電センサを備えた検出機構を配置して、センサの投光面と受光面の前にそれぞれアパーチャを設け、アパーチャ間の光を記録媒体が遮った時に記録媒体の浮きを検出するようにした場合でも、上記のように検出光軸周辺の環境変化を考慮しないと、例えば、記録媒体や搬送面と異なる温度の空気が検出光の光軸を横切ると温度差により光軸が曲がってしまい、記録媒体の浮きを正しい高さで検出できないという問題がある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、インクジェット記録装置において検出光軸周囲の空気の流れを抑制し記録媒体の浮き高さを高精度に検出することのできる用紙浮き検出装置及び用紙搬送装置並びに画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、用紙を搬送面上に保持し液滴吐出ヘッドに対向させて所定の搬送方向に搬送する搬送手段の搬送経路を挟んで、互いに対向して配置される投光ユニットと受光ユニットを、前記投光ユニットから出射され前記受光ユニットで受光される検出光の光軸が前記搬送方向に略垂直となるように配置し、前記搬送される用紙が前記検出光を遮ったことを検出することにより前記用紙の前記搬送面からの浮き上がりを検出する用紙浮き検出装置であって、前記検出光の光軸の周囲に、該光軸に影響を与える程の温度差を有する空気が流入するのを防ぐための風除けガイドを設けたことを特徴とする用紙浮き検出装置を提供する。
【0016】
これにより、インクジェット記録装置において検出光軸の方向に影響を与えるような空気が検出光軸の周囲に流れ込むのを抑制し記録媒体の浮き高さを高精度に検出することができる。
【0017】
また、請求項2に示すように、前記風除けガイドは、前記検出光の光軸の上部を覆う平板状の部材であることを特徴とする。
【0018】
これにより、検出光軸に対して上方から流れ込む空気を防止することができる。
【0019】
また、請求項3に示すように、前記風除けガイドは、前記検出光の光軸の上部と、搬送方向上流側及び下流側の3方向を覆う部材であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に示すように、前記風除けガイドは、前記検出光の光軸の周囲を覆うように半円筒状の溝が前記搬送経路の全幅に亘って形成された部材であることを特徴とする。
【0021】
これにより、検出光の光軸の略全周囲を覆うことができるので、光軸近傍への空気の流れ込みを防ぎ高精度な用紙高さの検出が可能となる。
【0022】
また、請求項5に示すように、前記搬送手段は、ドラム周面上に形成された保持手段で前記用紙の先端を把持し、前記ドラム周面上に形成された吸着手段により前記用紙を吸着して搬送するドラム搬送手段であり、前記投光ユニット及び受光ユニットは前記ドラム周面を挟み、前記検出光が前記ドラム軸方向に略平行となるように配置されるとともに、前記風除けガイドは、前記検出光を通す半円筒状の溝が形成された、前記検出光の光軸を覆う部材であり、前記ドラム周面に対向して該ドラム軸方向に略平行に配置されたことを特徴とする。
【0023】
これにより、ドラム搬送手段で搬送される記録媒体の浮きを高精度に検出することができる。
【0024】
また、請求項6に示すように、前記風除けガイドの前記ドラム周面に対向するガイド面は、前記ドラム周面のR形状に対応するようなR形状を有することを特徴とする。
【0025】
これにより、風除けガイドとドラム周面との間の隙間を極力狭くして温度差のある空気の流入を防ぐことができる。
【0026】
また、請求項7に示すように、請求項1〜6のいずれかに記載の用紙浮き検出装置であって、さらに、前記風除けガイドと前記搬送面との間に前記光軸の周囲の空気と略温度差の無い空気を送風する送風手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
これにより、さらに温度差のある空気の流入を防ぐことができる。
【0028】
また、請求項8に示すように、前記風除けガイドには、前記送風手段の送風路と、前記風除けガイドと前記搬送面との間の空間とを連通する送風孔が形成され、前記送風手段から該送風孔を介して前記搬送面に向けて送風が行われることを特徴とする。
【0029】
これにより、送風手段と風除けガイドとを一体化して無駄なく送風することができる。
【0030】
また、請求項9に示すように、前記送風孔は、前記検出光の光軸近傍の搬送面に送風するように形成されたことを特徴とする。
【0031】
また、請求項10に示すように、前記送風孔は、前記検出光の光軸よりも上流側の搬送面に向けて送風するように形成されたことを特徴とする。
【0032】
また、請求項11に示すように、前記送風孔は、前記検出光の光軸よりも下流側の搬送面に向けて送風するように形成されたことを特徴とする。
【0033】
このように、光軸の周囲に外部から流れ込む空気の状態によって送風手段から送風する位置を適宜設定することで、より効率的に温度差のある空気の流入を防ぐことができ、高精度な浮き検出が可能となる。
【0034】
また、請求項12に示すように、前記搬送手段と、前記送風手段が送風する風との温度差を抑制するため、前記送風した風を循環させる経路を前記送風手段及び前記風除けガイドに設けたことを特徴とする。
【0035】
これにより、一度送風した風が搬送手段等の装置部材に当たり温度が変化することにより、光軸周辺の空気に温度差が生じるのを抑制することができ、光軸周辺の空気温度を略一定に保つことができる。
【0036】
また、同様に前記目的を達成するために、請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれかに記載の用紙浮き検出装置を備えたことを特徴とする用紙搬送装置を提供する。
【0037】
これにより、搬送中の記録媒体の搬送面からの浮きを高精度に検出できるので、浮きを検出した場合に、その後の搬送に適切に対処することができる。
【0038】
また、同様に前記目的を達成するために、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の用紙搬送装置を備えたことを特徴とする画像記録装置を提供する。
【0039】
これにより、搬送中の記録媒体の搬送面からの浮きを高精度に検出することができるので、画像品質を良好に保つことができる。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、インクジェット記録装置において検出光軸の方向に影響を与えるような空気が検出光軸の周囲に流れ込むのを抑制し記録媒体の浮き高さを高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る用紙浮き検出装置を備えた用紙搬送装置が組み込まれた画像記録装置の一実施形態の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の画像記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図3】画像記録部に用紙浮き検出装置の光学系を配置した様子を示す斜視図である。
【図4】検出光Lの光軸を覆う風除けガイドを配置した様子を示す斜視図である。
【図5】風除けガイドを受光ユニット側から見た断面図である。
【図6】風除けガイド下側のガイド面を、ドラムのR形状に合わせたR形状とした様子を示す断面図である。
【図7】用紙浮き検出装置の第2の実施形態の概略を示す斜視図である。
【図8】風除けガイド及びファンユニット等のドラム軸方向に垂直な方向の断面図である。
【図9】送風ファンによる空気の流れを示す説明図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ風除けガイドに設ける送風孔の他の設置位置を示す説明図である。
【図11】ファンユニットにより送風した風を循環させる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る用紙浮き検出装置及び用紙搬送装置並びに画像記録装置について詳細に説明する。
【0043】
図1は、本発明に係る用紙浮き検出装置を備えた用紙搬送装置が組み込まれた画像記録装置の一実施形態の全体構成を示す概略構成図である。
【0044】
図1に示すように、本実施形態の画像記録装置10は、枚葉の用紙(記録媒体)Pに水性インク(水を溶媒に含むインク)を用い、インクジェット方式で描画する描画装置であり、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの印字面(描画面)に所定の処理液を付与する処理液付与部30と、用紙Pの印字面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドから打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40と、用紙Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、用紙Pに記録された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70とを備えて構成されている。
【0045】
処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられている。用紙Pは、これらの搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
【0046】
各搬送ドラム31、41、51、61は、用紙幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、反時計回りに回転する)。各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、グリッパGが備えられており、用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。本実施形態では、各搬送ドラム31、41、51、61の周面上180°の間隔を開けた2箇所にグリッパGが備えられており、1回転で2枚の用紙を搬送できるように構成されている。
【0047】
また、各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、多数の吸着穴が形成されており、用紙Pは、この吸着穴から裏面を真空吸着されて、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に保持される。なお、本実施形態では、用紙Pを真空吸着して、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持する構成としているが、用紙Pを静電吸着して、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持する構成とすることもできる。
【0048】
処理液付与部30と画像記録部40の間、画像記録部40とインク乾燥部50との間、インク乾燥部50と定着部60との間には、それぞれ渡し胴80、90、100が配置されている。用紙Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間を搬送される。
【0049】
各渡し胴80、90、100は、枠体で構成された渡し胴本体81、91、101と、その渡し胴本体81、91、101に備えられたグリッパGとで構成されている。渡し胴本体81、91、101は、用紙幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転する)。これにより、グリッパGが同一円周上を回転する。用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。なお、本実施形態では、一対のグリッパGが回転軸を挟んで対称位置に配置されており、一回転で2枚の用紙Pを搬送できるように構成されている。
【0050】
各渡し胴80、90、100の下部には、用紙Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板83、93、103が配設されている。渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、このガイド板83、93、103に裏面(印字面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
【0051】
また、各渡し胴80、90、100の内部には、渡し胴80によって搬送される用紙Pに向けて熱風を吹き出すドライヤ(熱風乾燥手段)84、94、104が配置されている。各渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、その搬送過程でドライヤ84、94、104から吹き出された熱風が印字面に吹き当てられる。
【0052】
給紙部20から給紙された用紙Pは、処理液付与部30の搬送ドラム31に受け渡され、処理液付与部30の搬送ドラム31から渡し胴80を介して画像記録部40の搬送ドラム41に受け渡される。そして、画像記録部40の搬送ドラム41から渡し胴90を介してインク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡され、インク乾燥部50の搬送ドラム51から渡し胴100を介して定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。そして、定着部60の搬送ドラム61から回収部70へと受け渡される。この一連の搬送過程で用紙Pは、所要の処理が施されて、印字面に画像が形成される。
【0053】
なお、用紙Pは、搬送ドラム31、41、51、61には、印字面が外側を向くようにして搬送され、渡し胴80、90、100には、印字面が内側を向くようにして搬送される。
【0054】
以下、本実施形態の画像記録装置10の各部の構成について詳説する。
【0055】
<給紙部>
給紙部20は、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とを備えており、枚葉の用紙Pを処理液付与部30に1枚ずつ連続的に給紙する。
【0056】
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた用紙Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
【0057】
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された用紙Pを渡し胴23に向けて送り出す。
【0058】
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された用紙Pを受け取り、所定の搬送経路に沿って搬送し、処理液付与部30の搬送ドラム31に受け渡す。
【0059】
用紙Pには、インクジェット専用紙ではない汎用の印刷用紙が用いられる。
【0060】
<処理液付与部>
処理液付与部30は、用紙Pの印字面に所定の処理液を付与する。この処理液付与部30は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、処理液付与ドラムという。)31と、処理液付与ドラム31によって搬送される用紙Pの印字面に所定の処理液を付与する処理液付与装置32とを備えて構成されている。
【0061】
処理液付与ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを搬送する。
【0062】
処理液付与装置32は、処理液付与ドラム31によって搬送される用紙Pの印字面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与する。この処理液付与装置32は、例えば、処理液をローラ塗布する塗布装置で構成され、周面に処理液が付与された塗布ローラを用紙Pの表面に押圧当接させて、用紙Pの印字面に処理液を付与する。このような処理液を事前に付与してインクを打滴することにより、汎用の印刷用紙を用いた場合であっても、フェザリングやブリーディング等を抑止でき、高品位な印刷を行うことができる。なお、処理液付与装置32としては、この他、後述するインクジェットヘッドと同様の液滴吐出ヘッドを用いて付与する構成や、スプレーで付与する構成とすることもできる。
【0063】
以上のように構成された処理液付与部30によれば、用紙Pは処理液付与ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で処理液付与装置32から印字面に処理液が付与される。印字面に処理液が付与された用紙Pは、その後、所定位置で処理液付与ドラム31から渡し胴80に受け渡される。
【0064】
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部にドライヤ84が設置されており、ガイド板83に向けて熱風が吹き出されている。用紙Pは、この渡し胴80によって処理液付与部30から画像記録部40に搬送される過程で印字面に熱風が吹き当てられて、印字面に付与された処理液が乾燥される(処理液中の溶媒成分が蒸発除去される。)。
【0065】
また、図示は省略するが、ここで別途冷却ユニットを設け、処理液を乾燥するために熱風で加熱された用紙Pを、結露防止のために、次の画像記録部で描画する前に一度冷却するようにしても良い。
【0066】
<画像記録部>
画像記録部40は、用紙Pの印字面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印字面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、画像記録ドラムという。)41と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの印字面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押さえローラ42と、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出装置300と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kとを備えて構成されている。
【0067】
画像記録ドラム41は、渡し胴80から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。この際、上記のように、用紙Pは画像記録ドラム41の外周面に吸着保持されて搬送される。従って、用紙Pは、この画像記録ドラム41の外周面によって画される円弧状の面(渡し胴80から用紙Pを受け取り、渡し胴90に用紙Pを受け渡すまでの領域)を搬送面とし、その搬送面上に設定される搬送経路を搬送される。なお、搬送経路は、画像記録ドラム41の中央を通り、用紙Pの幅に対応して設定される。
【0068】
用紙押さえローラ42は、画像記録ドラム41の用紙受取位置(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に設置されており、図示しない押圧機構によって押圧力が付与されて、画像記録ドラム41の周面に押圧当接されている。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この用紙押さえローラ42を通過することによりニップされ、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
【0069】
用紙浮き検出装置300は、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮き(画像記録ドラム41の外周面からの一定以上の浮き)を検出する。この用紙浮き検出装置300は、画像記録ドラム41の外周面(搬送面)から所定高さの位置に画像記録ドラム41を跨いでレーザ光(検出光)を照射し、その遮光の有無を検出して、用紙Pの浮きを検出する。すなわち、用紙Pに浮きが生じると、その用紙Pによってレーザ光が遮光されるので、レーザ光の遮光の有無を検出することにより、用紙Pの浮きを検出する。この用紙浮き検出装置300の構成については、後で詳しく述べる。
【0070】
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙浮き検出装置300の後段に配されており、用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出する。
【0071】
以上のように構成された画像記録部40によれば、用紙Pは画像記録ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押さえローラ42でニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。次いで、用紙浮き検出装置300によって、浮きの有無が検出され、その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が印字面に打滴されて、印字面にカラー画像が描画される。
【0072】
ここで、本実施形態の画像記録装置10では、各色ともにインク中に可塑性樹脂が分散された水性インクが使用される。このような水性インクを用いた場合であっても、上記のように、用紙Pには所定の処理液が付与されているので、フェザリングやブリーディング等を起こすことなく、高品位な描画を行うことができる。
【0073】
また、用紙浮き検出装置300によって用紙Pの浮きが検出された場合は、搬送が停止され、警報が発せられる。
【0074】
画像が描画された用紙Pは、渡し胴90に受け渡され、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。なお、上記のように、渡し胴90には、その内部にドライヤ94が設置されており、ガイド板93に向けて熱風が吹き出されている。インクの乾燥処理は、後段のインク乾燥部50で行われるが、用紙Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
【0075】
なお、図示されていないが、この画像記録部40には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのメンテナンスを行うメンテナンス部が備えられており、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、必要に応じてメンテナンス部に移動して、所要のメンテナンスを受けることができるように構成されている。
【0076】
<インク乾燥部>
インク乾燥部50は、画像記録後の用紙Pに残存する液体成分を乾燥させる。このインク乾燥部50は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、インク乾燥ドラムという。)51と、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに対して乾燥処理を施すインク乾燥装置52とを備えて構成されている。
【0077】
インク乾燥ドラム51は、渡し胴90から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
【0078】
インク乾燥装置52は、例えば、ドライヤで構成され(本実施形態では、用紙Pの搬送経路に沿って配設された3台のドライヤで構成している。)、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに向けて熱風を吹き付けることにより、インクを乾燥させる(用紙上に存在する液体成分を蒸発させる。)。
【0079】
以上のように構成されたインク乾燥部50によれば、用紙Pはインク乾燥ドラム51によって搬送される。そして、その搬送過程で印字面にインク乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、印字面に付与されたインクが乾燥される。
【0080】
インク乾燥装置52を通過した用紙Pは、その後、所定位置でインク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送例路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
【0081】
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部にドライヤ104が設置されており、ガイド板103に向けて熱風が吹き出されている。従って、用紙Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
【0082】
<定着部>
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印字面に画像記録された画像を定着させる。この定着部60は、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、定着ドラムという。)61と、定着ドラム61によって搬送される用紙Pに加熱加圧処理を施すヒートローラ62、63と、描画後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、描画された画像を撮像するインラインセンサ64とを備えて構成されている。
【0083】
定着ドラム61は、渡し胴100から用紙Pを受け取り、回転して用紙Pを搬送する。
【0084】
ヒートローラ62、63は、用紙Pの印字面に付与されたインクを加熱加圧することにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂を溶着して、インクを被膜化させる。また、これと同時に用紙Pに生じたコックリング、カール等の変形を矯正する。各ヒートローラ62、63は、定着ドラム61と略同じ幅で形成されており、内蔵するヒータによって所定温度に加熱される。また、各ヒートローラ62、63は、図示しない加圧手段によって、定着ドラム61の周面に所定の押圧力で押圧当接される。用紙Pは、このヒートローラ62、63を通過することにより、ヒートローラ62、63によって加熱加圧される。
【0085】
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、用紙Pに描画された画像を撮像する。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
【0086】
以上のように構成された定着部60によれば、用紙Pは定着ドラム61によって搬送され、その搬送過程で印字面にヒートローラ62、63が押圧当接されて、加熱加圧される。これにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂が溶着されて、インクが被膜化される。また、これと同時に用紙Pに生じた変形が矯正される。
【0087】
定着処理が施された用紙Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
【0088】
<回収部>
回収部70は、一連の印字処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とを備えて構成されている。
【0089】
定着部60で定着処理された用紙Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
【0090】
次に、本実施形態の画像記録装置10の制御系について説明する。
【0091】
図2は、本実施形態の画像記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0092】
図2に示すように、画像記録装置10は、システムコントローラ200、通信部201、画像メモリ202、搬送制御部203、給紙制御部204、処理液付与制御部205、画像記録制御部206、インク乾燥制御部207、定着制御部208、回収制御部209、操作部210、表示部211、警告部212等を備えている。
【0093】
システムコントローラ200は、画像記録装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
【0094】
通信部201は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0095】
画像メモリ202は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部201を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ202に格納される。
【0096】
搬送制御部203は、処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部における用紙Pの搬送手段である搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動を制御する。
【0097】
すなわち、各搬送ドラム31、41、51、61を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各搬送ドラム31、41、51、61に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
【0098】
同様に各渡し胴80、90、100を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各渡し胴80、90、100に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
【0099】
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、用紙Pを周面に吸着保持する機構が備えられているので、その吸着保持機構の駆動を制御する(本実施形態では、用紙Pを真空吸着するので、負圧発生手段としての真空ポンプの駆動を制御する。)。
【0100】
また、各渡し胴80、90、100には、ドライヤ84、94、104が備えられているので、その駆動(加熱量と送風量)を制御する。
【0101】
この搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動は、システムコントローラ200からの指令に応じて制御される。
【0102】
給紙制御部204は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部20を構成する各部(給紙装置21、渡し胴23等)の駆動を制御する。
【0103】
処理液付与制御部205は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液付与部30を構成する各部(処理液付与装置32等)の駆動を制御する。
【0104】
画像記録制御部206は、システムコントローラ200からの指令に応じて画像記録部40を構成する各部(用紙押さえローラ42、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K等)の駆動を制御する。
【0105】
インク乾燥制御部207は、システムコントローラ200からの指令に応じてインク乾燥部50を構成する各部(インク乾燥装置52等)の駆動を制御する。
【0106】
定着制御部208は、システムコントローラ200からの指令に応じて定着部60を構成する各部(ヒートローラ62、63、インラインセンサ64等)の駆動を制御する。
【0107】
回収制御部209は、システムコントローラ200からの指令に応じて回収部70を構成する各部(排紙コンベア72等)の駆動を制御する。
【0108】
操作部210は、所要の操作手段(例えば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備えており、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部210から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
【0109】
表示部211は、所要の表示装置(例えば、LCDパネル等)を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
【0110】
警告部212は、パトランプ、スピーカ等を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて、所要の警告動作(パトランプの点灯、スピーカから警告音の発生等)を行う。
【0111】
なお、上記のように、画像記録部40には、用紙浮き検出装置300が備えられており、用紙Pの浮きが検出される。この用紙浮き検出装置300による用紙Pの浮きの検出結果は、システムコントローラ200に出力される。システムコントローラ200は、用紙Pの浮きが検出されると、搬送異常が生じているものと判定し、搬送制御部203に用紙Pの搬送停止を指示するとともに、警告部212に所要の警告動作を行うように指示する。
【0112】
また、上記のように、用紙Pに記録する画像データは、ホストコンピュータから通信部201を介して画像記録装置10に取り込まれ、画像メモリ202に格納される。システムコントローラ200は、この画像メモリ202に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成し、生成したドットデータに従って画像記録部40の各インクジェットヘッドの駆動を制御することにより、その画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0113】
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB8ビットの画像データ)を画像記録装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本実施形態では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。
【0114】
システムコントローラ200は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って各色のドットデータを生成する。そして、生成する各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0115】
次に、上記の画像記録装置10による印字(描画)動作について説明する。
【0116】
システムコントローラ200から給紙装置21に給紙指令が出力されると、給紙装置21から給紙トレイ22に用紙Pが給紙される。給紙トレイ22に給紙された用紙Pは、渡し胴23を介して処理液付与部30の処理液付与ドラム31に受け渡される。
【0117】
処理液付与ドラム31に受け渡された用紙Pは、処理液付与ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で処理液付与装置32を通過して、印字面に処理液が付与される。
【0118】
処理液が付与された用紙Pは、処理液付与ドラム31から渡し胴80に受け渡され、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の画像記録ドラム41に受け渡される。そして、その渡し胴80による搬送過程で渡し胴80の内部に設置されたドライヤ84から印字面に熱風が吹き付けられ、印字面に付与された処理液が乾燥される。なお、前述したように、ここで冷却ユニットによって用紙Pを一度冷却するようにしてもよい。
【0119】
渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押さえローラ42を通過することにより、用紙押さえローラ42にニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。その後、用紙浮き検出装置300で用紙Pの浮きの有無が検出される。ここで、用紙Pの浮きが検出されると、用紙Pの搬送異常が生じているものと判定され、搬送が停止されるとともに、所要の警告が発せられる。一方、用紙Pの浮きが検出されない場合は、そのまま搬送されて各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからCMYKの各色のインク滴が打滴される。これにより、印字面にカラー画像が描画される。画像が描画された用紙Pは、その後、画像記録ドラム41から渡し胴90に受け渡される。
【0120】
渡し胴90に受け渡された用紙Pは、その渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部 50のインク乾燥ドラム51に受け渡される。そして、その搬送過程で渡し胴90の内部に設置されたドライヤ94から印字面に熱風が吹き付けられて、印字面に付与されたインクが乾燥される。
【0121】
インク乾燥ドラム51に受け渡された用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程でインク乾燥装置52から熱風が印字面に吹き付けられて、印字面に残存する液体成分が乾燥される。
【0122】
乾燥処理された用紙Pは、インク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡され、所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の定着ドラム61に受け渡される。そして、その渡し胴100による搬送過程で渡し胴100の内部に設置されたドライヤ104から印字面に熱風が吹き付けられ、印字面に付与されたインクが、さらに乾燥される。
【0123】
定着ドラム61に受け渡された用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程でヒートローラ62、63に加熱加圧されて、印字面に画像記録された画像が定着される。その後、用紙Pは、定着ドラム61から回収部70の排紙コンベア72に受け渡され、排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に排紙される。
【0124】
以上のように、本実施形態の画像記録装置10では、用紙Pをドラム搬送し、その搬送過程で用紙Pに対し、処理液の付与、処理液の乾燥、インク滴の打滴、乾燥、定着の各処理を施して、用紙Pに所定の画像を記録する。
【0125】
以下、用紙浮き検出について説明する。
【0126】
上述したように、画像記録装置10には、画像記録部40に用紙浮き検出装置300が組み込まれており、インク打滴前に用紙Pの浮きが検出される。まず、用紙浮き検出装置300の光学系について説明する。
【0127】
図3は、画像記録部40に用紙浮き検出装置300の光学系を配置した様子を示す斜視図である。
【0128】
図3に示すように、画像記録部40は、画像記録ドラム41の搬送面41aに対向してインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kが配置されて構成されている。画像記録ドラム41の記録媒体受け取り位置に画像記録ドラム41の軸方向に複数配列されたグリッパGによって、図示を省略した用紙Pの先端が把持されて、図に矢印Aで示したドラム回転方向(搬送方向)に用紙Pが搬送される。また、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの直前の搬送方向上流側に用紙押さえローラ42が配置されており、この後インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K直下に搬送される用紙Pが搬送面41aから浮き上がることなく平坦に保持されるようにしている。
【0129】
このとき、用紙押さえローラ42とインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kとの間で、用紙押さえローラ42の搬送方向下流側直後に、用紙浮き検出装置300の投光ユニット310と受光ユニット320が、搬送面41aを軸方向に挟んで対向するように配置されている。
【0130】
投光ユニット310は、図示を省略したブラケットを介して画像記録装置10の本体フレーム(後述するバー350、図11参照)に取り付けられている。この投光ユニット310は、投光素子を備えており、この投光素子から受光ユニット320に向けて検出光Lを出射する。
【0131】
ここで、検出光Lは、画像記録ドラム41の回転軸(ドラム軸)と略平行な方向(用紙Pの搬送方向と略直交する方向)に出射されるとともに、画像記録ドラム41の外周面(搬送面)から所定の高さの位置を通過するように出射される。この所定の高さは、用紙Pの種類や紙厚等に応じて予め決められている。投光ユニット310は、このような所定の条件を満たすように設置される。また、システムコントローラ200は、この投光ユニット310の駆動を制御して、検出光Lの出射を制御する。
【0132】
一方、受光ユニット320は、図示を省略したブラケットを介して画像記録装置10の本体フレームに取り付けられている。この受光ユニット320は、受光素子(例えば、透過型の光電素子)を備えており、この受光素子で投光ユニット310から出射された検出光Lを受光する。受光素子は、投光ユニット310の投光素子に対向して設けられ、投光素子から画像記録ドラム41の回転軸と略平行、かつ画像記録ドラム41の外周面から所定の高さの位置に出射された検出光Lを受光する。
【0133】
また、投光ユニット310の投光素子及び受光ユニット320の受光素子の前には、それぞれアパーチャ312及びアパーチャ322が設けられている。そして、アパーチャ312及びアパーチャ322の間の光(検出光L)を用紙Pが遮ったことを検出することによって用紙浮きが検出される。
【0134】
受光ユニット320による検出光Lの受光の情報(受光量)は、システムコントローラ200に出力される。システムコントローラ200は、この受光ユニット320による検出光Lの受光の情報に基づいて、用紙Pの浮きの有無を判定する。具体的には、予め設定された閾値と受光量とを比較し、受光量が閾値以下となる場合に、用紙Pによって検出光Lが遮られたと判断して、用紙Pの浮きが発生したと判定する。
【0135】
用紙浮きが検出された場合には、検出信号を出力し、警告したり、搬送を停止するブレーキなどの指示を出すようにする。
【0136】
ところで前述したように、画像記録装置10本体には、加熱ユニットや冷却ユニットが別途装着されており、これらから発生する温度差のある空気が図3に示す画像記録ドラム41の搬送面41a上の用紙浮きを検出するための検出光Lの光路にまで流れてくる。検出光Lの光路を、用紙Pや搬送面41aの温度と大きく異なる温度の空気が横切ると、そのような温度差を有する空気により光軸が曲がり、用紙Pの浮きを正しい高さで検出できないという虞がある。
【0137】
そこで、本発明の第1の実施形態の用紙浮き検出装置は、加熱ユニットや冷却ユニットから流れてくる熱風や冷風が直接検出光Lに当たるのを防止するために、検出光Lの光軸を覆うような風除けガイドを配置したものである。
【0138】
図4は、検出光Lの光軸を覆う風除けガイドを配置した様子を示す斜視図である。
【0139】
図4に示すように、画像記録ドラム41の搬送面41aに対向して、検出光Lの搬送面41a上の光軸をドラム軸方向の端から端までにわたって覆うように風除けガイド330が設けられている。風除けガイド330は、略直方体状の部材の搬送面41aに対向する側の面にドラム軸方向に沿って端から端まで、半円筒状の溝332を形成し、その半円筒状の溝332の中を検出光Lが通過するように形成されている。
【0140】
投光ユニット310の投光素子で発光された検出光Lはアパーチャ312を通って出射され、風除けガイド330の半円筒状の溝332の中を通過し、アパーチャ322を介して受光ユニット320の受光素子によって受光される。
【0141】
図5に、風除けガイド330を受光ユニット側から見た断面図を示す。
【0142】
図5に示すように、風除けガイド330は、画像記録ドラム41の搬送面41a上にわずかなクリアランスを有して配置され、検出光Lの光軸が通る部分に断面が半円の半円筒状の溝332が形成されている。
【0143】
このように、風除けガイド330の内側の検出光Lが通る部分を半円筒状に形成したのは、風除けガイド330を単に検出光Lの上部のみを覆う平板形状としたのでは、上部からの風は防ぐことができるが、検出光Lの反射を防止するために上部に空間が必要なため、搬送方向上流下流側の開放高さが大きくなり、検出光Lに多量の空気が流れてくるため、平板形状では風除けガイドを配置した効果が低い場合もあるからである。
【0144】
そこで、本実施形態では、風除けガイド330の内側の検出光Lが通過する側を半円筒状に形成し、風除けガイド330と搬送面41aとの間の検出光Lの搬送方向上流側下流側の開放高さを最小限として、空気の流入を低減するようにした。ここで、この最小限の高さとは、搬送面41aから用紙Pの厚みを含めた浮き量と、部品構成から発生する風除けガイド330の位置ばらつき量を考慮して決められる距離である。
【0145】
なお、図5においては、本来図の手前側に存在する受光ユニット320及びアパーチャ322は表示を省略している。また、風除けガイド330の向こう側に投光ユニット310とアパーチャ312が見えている。
【0146】
このように、本実施形態においては、検出光Lの光軸を風除けガイド330で覆うようにしたため、温度の違う空気の流れによる影響を受けることなく、高精度に用紙浮き高さを検出することができる。
【0147】
また、図5に示すように、風除けガイド330の半円筒状の溝332の搬送方向上流側及び下流側の搬送面41aに対向する風除けガイド330下側のガイド面は、平板形状であるが、画像記録ドラム41が小径である場合には、搬送面41aの曲率が大きいため、風除けガイド330下側のガイド面が平板形状であると、搬送方向上流側及び下流側が大きく開いてしまう。
【0148】
そこで、図6に示すように、画像記録ドラム41が小径である場合には、風除けガイド330下側のガイド面334、334を、ドラムのR形状に合わせたR形状とすることが好ましい。
【0149】
次に、本発明に係る用紙浮き検出装置の第2の実施形態について説明する。
【0150】
第2の実施形態は、上記の例のような半円筒状の溝が形成された風除けガイドを用いた場合でも、温度差のある空気が検出光Lの光路へ流入することによる影響を防止できない場合に対処するものであり、半円筒状の溝内に、搬送面近傍の温度差の無い空気を送風手段で送り込んで、風除けガイドの下面(ガイド面334)と搬送面との上流下流側の隙間から排出させるようにして、検出光Lの光軸周囲の温度をなるべく一定に保つようにしたものである。
【0151】
図7に、用紙浮き検出装置の第2の実施形態の概略を示す。
【0152】
図7は、画像記録ドラム41の搬送面41aに対向して、用紙押さえローラ42とインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kとの間に設けられた用紙浮き検出装置を、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K側から見た斜視図である。ただし、図7においては、図を分かり易くするためにインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの表示を省略している。
【0153】
図7に示すように、画像記録ドラム41の搬送面41aをドラム軸方向に挟んで、投光ユニット310及びアパーチャ312と、受光ユニット320及びアパーチャ322が配置され、その間の検出光Lの光軸を覆う風除けガイド330が配置されている。
【0154】
本実施形態の用紙浮き検出装置は、この風除けガイド330に対して、検出光Lの光路が通る半円筒状の溝332内の空間に送風するためのファンユニット340を取り付けたものである。
【0155】
ファンユニット340は、風除けガイド330の全体に対して風除けガイド330の上側に取り付けられており、ファンユニット340の内部に設けられた送風ファンにより、風除けガイド330の半円筒状の溝332内に送風するようになっている。
【0156】
図8に、風除けガイド330及びファンユニット340等のドラム軸方向に垂直な方向の断面図を示す。なお、図8においても、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの表示を省略している。
【0157】
図8に示すように、ファンユニット340の内部には、送風ファン342及び送風路344が設けられている。また、風除けガイド330には、ファンユニット340の送風路344と半円筒状の溝332内の空間(風除けガイド330と搬送面41aとの間の空間)とを連通する送風孔336が設けられている。
【0158】
なお、送風孔336は、例えば図4に同じ符号336で示すように、実際は長穴状のスリット(336)として形成される。
【0159】
送風ファン342により、画像記録ドラム41の搬送面41a近傍の温度差の無い空気が、ファンユニット340内の送風路344から、風除けガイド330の送風孔336を介して半円筒状の溝332内に送風される。これにより、半円筒状の溝332内を通過する検出光Lの光軸周辺の空気温度が略一定に保たれるようになっている。
【0160】
図9に、送風ファン342による空気の流れを示す。
【0161】
図9の中に矢印で示すように、送風ファン342によって送風される空気は、送風ファン342からそのままファンユニット340の内部を下方に移動した後、ファンユニット340の底面にあたった後、上方に流れを変え、送風路344から風除けガイド330の送風路336を介して半円筒状の溝332内へ流れ込むようになっている。
【0162】
半円筒状の溝332に流れ込んだ空気は、その後風除けガイド330のガイド面334と搬送面41aとの間の隙間から、搬送方向上流側及び下流側に抜けて行く。このように、風除けガイド330のガイド面334と搬送面41aとの間の隙間から搬送方向上流側及び下流側に排出される風によって、半円筒状の溝332内の空気と温度差のある空気が流入するのが防止される。これにより、検出光Lが通過する半円筒状の溝332内の温度を略一定に保つことができる。
【0163】
なお、用紙Pの種類や浮きの状態等によっては、半円筒状の溝332内に吹き込む風の圧力によって、用紙Pの浮きが凹んでしまうことがある。このときもし搬送中の用紙Pの浮きを凹ませた状態で浮き検出が行われると、本来検出されるべき浮きが検出されずに、そのまま搬送されると用紙Pがインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと接近しすぎて画質不良となったり、場合によっては接触する事故が発生する虞がある。
【0164】
従って、半円筒状の溝332内に吹き込む風の圧力は、搬送中の用紙Pの浮き上がりを凹ますような圧力以下でなければならない。
【0165】
また、上述した例では、図8あるいは図9に示すように、ファンユニット340から半円筒状の溝332内に送風するための送風孔336は、半円筒状の溝332内に直接送風するような位置に設けられているが、この送風孔336の設置位置もこの場所に限定されるものではない。
【0166】
例えば、外部の大きな温度差のある空気の半円筒状の溝332内への流入が、その上流側、あるいは下流側のどちらか一方だけからの場合や、流入する空気の圧力が用紙Pの浮きを凹ませてしまう可能性がある場合には、風除けガイド330のガイド面334の上流側または下流側のどちらか一方だけ、あるいはその両方に送風孔336を設置するようにしてもよい。
【0167】
例えば、風除けガイド330内への外部の温度差のある空気の流入が上流側からだけの場合には、図10(a)に示すように、風除けガイド330に設ける送風孔336を半円筒状の溝332よりも上流側に設置して、上流側から搬送面41aに送風する。これにより、風除けガイド330のガイド面336と搬送面41aとの間の隙間に大きな温度差のある空気が上流側から流入するのを防ぐことができる。
【0168】
また、この場合、送風孔336から吹き出す風が用紙Pに当たる位置は、検出光Lの光軸の位置よりも上流側である。従って、この位置で用紙Pの浮きが凹ませられても、用紙Pが検出光Lの位置に搬送されるまでに用紙Pの浮きがまた元にもどるので問題はない。
【0169】
また、例えば、図10(b)に示すように、風除けガイド330内への外部の温度差のある空気の流入が下流側からだけの場合には、風除けガイド330に設ける送風孔336を半円筒状の溝332よりも下流側に設置して、下流側から搬送面41aに送風する。これにより、風除けガイド330のガイド面334と搬送面41aとの間の隙間に大きな温度差のある空気が下流側から流入するのを防ぐことができる。
【0170】
また、風除けガイド330内に上流側及び下流側から大きな温度差のある空気が流入していて、用紙Pの浮きを凹ませてしまう虞のある場合には、半円筒状の溝332の上流側及び下流側の両方に送風孔336を配置するようにしてもよい。
【0171】
本実施形態において、検出光Lの光軸周囲の温度環境を保つために送風した風と、画像記録ドラム41等との温度差を抑制するために、一度搬送面41aに向けて送風した風を循環させるようにしてもよい。
【0172】
具体的には、例えば図11に示すように、搬送面41aに沿って、風除けガイド330及びファンユニット340に平行に、投光ユニット310及び受光ユニット320(ここでは図示省略、例えば図7参照)をその両端に取り付けるためのバー350(図11では、断面図で示されているが、搬送面41aを横切る棒状の部材)を配置し、これにより風除けガイド330より上流側の空間を一部遮蔽し、図に矢印で示すように空気を循環させるようにする。
【0173】
すなわち、図11に示すように、送風ファン342で送風される空気は、まずファンユニット340内の底面から上部に流れ、送風路344から送風孔336を介して半円筒状の溝332内に吹き込まれる。そして、風除けガイド330と搬送面41aとの間に隙間から下流側に抜けた風は、バー350に遮られてその上部に設けられたファンユニット340の空気吸い込み口346から再び送風ファン342によって前と同じように送風される。
【0174】
なお、ここで循環する空気が漏れないように、バー350とファンユニット340の空気吸い込み口346との間にシール352を形成しておくことが好ましい。
【0175】
このように、本実施形態によれば、風除けガイド330により検出光Lの光軸を覆うとともに、その光軸の周囲の空間内に外部の光軸方向に影響を与える程の温度差のある空気が流入しないように、ファンユニット340を設けるようにしたため、光軸周囲の温度環境を略一定に保つことができ、用紙浮き検出を高精度に行うことが可能となった。
【0176】
上記各実施形態においては、風除けガイドとして半円筒状の溝が形成された部材を用いたが、本発明は、かかる形状に限定されるものではなく、検出光の光軸の上部を覆う平板状の部材や、光軸の上部及び搬送方向の前後方向を覆う部材など、光軸に向けて流れ込む空気の方向に応じて、適宜、適切な形状の部材を用いることができる。
【0177】
また、上記各実施形態はいずれも、用紙搬送手段はドラム(画像記録ドラム)であったが、本発明はドラム搬送だけでなく、ベルト搬送の場合に対しても適用可能である。
【0178】
以上、本発明の用紙浮き検出装置及び用紙搬送装置並びに画像記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0179】
10…画像記録装置、20…給紙部、21…給紙装置、22…給紙トレイ、23…渡し胴、30…処理液付与部、31…搬送ドラム(処理液付与ドラム)、32…処理液付与装置、40…画像記録部、41…搬送ドラム(画像記録ドラム)、41a…搬送面、42…用紙押さえローラ、44C、44M、44Y、44K…インクジェットヘッド、50…インク乾燥部、51…搬送ドラム(インク乾燥ドラム)、52…インク乾燥装置、60…定着部、61…搬送ドラム(定着ドラム)、70…回収部、200…システムコントローラ、201…通信部、202…画像メモリ、203…搬送制御部、204…給紙制御部、205…処理液付与制御部、206…画像記録制御部、207…インク乾燥制御部、208…定着制御部、209…回収制御部、210…操作部、211…表示部、212…警告部、300…用紙浮き検出装置、310…投光ユニット、312…アパーチャ、320…受光ユニット、322…アパーチャ、330…風除けガイド、332…半円筒状の溝、334…ガイド面、336…送風孔、340…ファンユニット、342…送風ファン、344…送風路、346…空気吸い込み口、350…バー、352…シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送面上に保持し液滴吐出ヘッドに対向させて所定の搬送方向に搬送する搬送手段の搬送経路を挟んで、互いに対向して配置される投光ユニットと受光ユニットを、前記投光ユニットから出射され前記受光ユニットで受光される検出光の光軸が前記搬送方向に略垂直となるように配置し、前記搬送される用紙が前記検出光を遮ったことを検出することにより前記用紙の前記搬送面からの浮き上がりを検出する用紙浮き検出装置であって、
前記検出光の光軸の周囲に、該光軸に影響を与える程の温度差を有する空気が流入するのを防ぐための風除けガイドを設けたことを特徴とする用紙浮き検出装置。
【請求項2】
前記風除けガイドは、前記検出光の光軸の上部を覆う平板状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項3】
前記風除けガイドは、前記検出光の光軸の上部と、搬送方向上流側及び下流側の3方向を覆う部材であることを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項4】
前記風除けガイドは、前記検出光の光軸の周囲を覆うように半円筒状の溝が前記搬送経路の全幅に亘って形成された部材であることを特徴とする請求項3に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、ドラム周面上に形成された保持手段で前記用紙の先端を把持し、前記ドラム周面上に形成された吸着手段により前記用紙を吸着して搬送するドラム搬送手段であり、前記投光ユニット及び受光ユニットは前記ドラム周面を挟み、前記検出光が前記ドラム軸方向に略平行となるように配置されるとともに、
前記風除けガイドは、前記検出光を通す半円筒状の溝が形成された、前記検出光の光軸を覆う部材であり、前記ドラム周面に対向して該ドラム軸方向に略平行に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項6】
前記風除けガイドの前記ドラム周面に対向するガイド面は、前記ドラム周面のR形状に対応するようなR形状を有することを特徴とする請求項5に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の用紙浮き検出装置であって、さらに、前記風除けガイドと前記搬送面との間に前記光軸の周囲の空気と略温度差の無い空気を送風する送風手段を備えたことを特徴とする用紙浮き検出装置。
【請求項8】
前記風除けガイドには、前記送風手段の送風路と、前記風除けガイドと前記搬送面との間の空間とを連通する送風孔が形成され、前記送風手段から該送風孔を介して前記搬送面に向けて送風が行われることを特徴とする請求項7に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項9】
前記送風孔は、前記検出光の光軸近傍の搬送面に送風するように形成されたことを特徴とする請求項8に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項10】
前記送風孔は、前記検出光の光軸よりも上流側の搬送面に向けて送風するように形成されたことを特徴とする請求項8に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項11】
前記送風孔は、前記検出光の光軸よりも下流側の搬送面に向けて送風するように形成されたことを特徴とする請求項8に記載の用紙浮き検出装置。
【請求項12】
前記搬送手段と、前記送風手段が送風する風との温度差を抑制するため、前記送風した風を循環させる経路を前記送風手段及び前記風除けガイドに設けたことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の用紙浮き検出装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の用紙浮き検出装置を備えたことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項14】
請求項13に記載の用紙搬送装置を備えたことを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−207556(P2011−207556A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75488(P2010−75488)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】