説明

田植機における植付苗量制御方法及び装置

【課題】田面に植え付けられた苗を検出して植付苗量を制御することが可能な田植機における植付苗量制御方法及び装置を提供する。
【解決手段】苗使用量検出器14(ロータリエンコーダ14e)と植付苗検出装置15(光センサからなる前後部センサ15b、15c)との検出値に基づいて、苗植付け体10により田面に植え付けられた苗の使用量、苗が植付けられた面積、苗植付け株間、田植機1の走行速度を算出し、当該算出値に応じて予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように、苗植付け体10による苗の取出し量を増減させる制御装置23を備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機における植付苗量制御方法及び装置に関し、さらに詳しくは、苗載せ台に搭載した苗マットを苗取出し口側に送り、苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機における植付苗量制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構(苗送りベルト)により苗取出し口側に送り、苗取出し口から苗植付け体(苗植付け爪)により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付けるマット苗田植機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記苗載せ台は、前後方向に斜めに傾斜しており、長方形状の苗マットを縦長方向に2枚程度搭載でき、左右両側が仕切り枠により苗マットの幅で縦方向に複数区画に仕切られている。この苗載せ台の上端部と下端部は開放されており、上端部側から苗マットが供給され、下端部には苗マットの下端部を摺接可能に支承する苗受け板が機体側に設けられている。この苗受け板に苗取出し口が開口しており、この苗取出し口に対応して前後方向に回転する苗植付け体(爪)が機体側に設けられている。そして、苗載せ台は仕切り枠により仕切られた左右の幅(苗マットの横幅)間隔で左右に往復移動し、その移動の間に、苗取出し口から苗植付け体(爪)により苗が1株ずつ取出されて圃場に植付けられる。苗マットが左右方向に1列分取出されたとき、即ち、苗載せ台が左右端に達して折り返すときに、苗マットは苗送り機構(苗送りベルト)により1列分送り出される。
【0004】
【特許文献1】特開昭54−085915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、苗マットはその自重がかなりあり、傾斜した苗載せ台上に長方形状の苗マットを縦長方向に搭載するので、上側の苗の重量圧が下方の苗に掛かることになり、苗載せ台に搭載されている苗マットの量が多い場合は、下方の苗は上方の苗の重量圧を大きく受けて苗が圧縮されて苗密度が高くなり、苗載せ台上の苗マット量が少ない場合には、上方からの重量圧は少なくて下方の苗はあまり圧縮されずに苗密度は低くなる。このため、上記従来の田植機にあっては、苗載せ台上の苗マットの残量を検出する機能によって、苗の密度に応じて苗送り機構(苗送りベルト)による苗マットの送り出し量を増減させることが提案されているが、苗植付け体により田面に植付けられた苗を検出する機能、苗載せ台を通って田面に植付けられた苗の使用量を検出する機能などを備えておらず、十分な植付苗量の制御を行うことはできないという問題がある。
そして、そのために、予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けることができず、所要苗マット枚数が多くなるという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上記した従来技術が有している問題点を解決するためになされたものであって、田面に植え付けられた苗を検出して植付苗量を制御することが可能な田植機における植付苗量制御方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の田植機における植付苗量制御方法は、苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗マットの移動量をロータリエンコーダを用いて検出する第1の工程と、
前記ロータリエンコーダの検出値に基づいて前記苗載せ台を通って田面に植え付けられた苗の使用量を算出し、当該苗の使用量に応じて前記植え付け体による苗の取出し量を増減させる第2の工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の田植機における植付苗量制御方法は、苗載せ台に搭載した集団苗を苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を光センサを用いて検出する第1の工程と、前記光センサの検出値に基づいて、前記田植機の走行速度と苗植付け株間とを算出し、当該算出値に応じて植付苗量を制御する第2の工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の田植機における植付苗量制御方法は、苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗マットの移動量をロータリエンコーダを用いて検出する第1の工程と、前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を光センサを用いて検出する第2の工程と、前記ロータリエンコーダと前記光センサとの検出値に基づいて、前記苗載せ台を通って田面に植え付けられた苗の使用量、苗が植付けられた面積、前記田植機の走行速度、苗植付け株間を算出し、予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように、前記植え付け体による苗の取出し量を増減させる第3の工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の田植機における植付苗量制御装置は、苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗載せ台の苗マット移動方向の終端部に設けられ、前記苗マットの移動量を検出するロータリエンコーダと、前記ロータリエンコーダの検出値に基づいて前記苗載せ台を通って田面に植え付けられた苗の使用量を算出し、当該苗の使用量に応じて前記苗植付け体による苗の取出し量を増減させる制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の田植機における植付苗量制御装置は、苗載せ台に搭載した集団苗を苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗植付け体よりも後方に設けられ、前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を検出する光センサと、前記光センサの検出値に基づいて、前記田植機の走行速度と苗植付け株間とを算出し、当該算出値に応じて植付苗量を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の田植機における植付苗量制御装置は、苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗載せ台の苗マット移動方向の終端部に設けられ、前記苗マットの移動量を検出するロータリエンコーダと、前記苗植付け体よりも後方に設けられ、前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を検出する光センサと、前記ロータリエンコーダと前記光センサとの検出値に基づいて、前記苗植付け体により田面に植え付けられた苗の使用量、苗が植付けられた面積、苗植付け株間、前記田植機の走行速度を算出し、当該算出値に応じて予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように、前記苗植付け体による苗の取出し量を増減させる制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の田植機における植付苗量制御方法及び装置によれば、制御装置は、ロータリエンコーダと光センサとの検出値に基づいて、苗植付け体により田面に植え付けられた苗の使用量、苗が植付けられた面積、苗植付け株間、田植機の走行速度を算出し、当該算出値に応じて予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように、苗植付け体による苗の取出し量を増減させる。これにより、予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植え付けることができるようになり、その結果、所要苗マット数を大幅に減少(半減)させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を添付の図面に基づいて具体的に説明する。
【0015】
図1において、符号1は、従来周知のものと同様に、乗用車体2の後部に連結兼伝動装置3を介して苗植付け装置4を上下移動(昇降)可能に装着した乗用型田植機である。苗植付け装置4は、本体部5の下側にフロート6を設け、本体部5の上側に、苗マットを載置して左右方向に所定の間隔で往復移動する苗載せ台7を設けている。この苗載せ台7の上端部と下端部は開放されており、上端部側から苗マットが滑り込ませるようにして供給され、下端部には、図2に示すように、苗マットの下端部を摺接可能に支承する苗受け板8が本体部5に設けられている。この苗受け板8に苗取出し口9が開口しており、この苗取出し口9に対応して前後方向に回転する苗植付け体(爪)10が本体部5に設けられている。また、苗載せ台7は前後方向に斜めに傾斜しており、長方形状の苗マットを縦長方向に2枚程度搭載できる長さを有しており、左右両側が仕切り枠11により苗マットの幅で縦方向に複数区画に仕切られており、苗搭載面の下部位置には2列の苗送り機構(苗送りベルト)12が設けられている。
【0016】
そして、苗載せ台7は、仕切り枠11により仕切られた左右の幅(苗マットの横幅)間隔で左右方向に往復移動し、その移動の間に、苗取出し口9から苗植付け体(爪)10により苗が1株ずつ取出され(掻き取られ)て圃場に植付けられる。苗マットから苗が左右方向に1列分取出されたとき、即ち、苗載せ台7が左右端に達して折り返し移動するときに、苗マットは苗載せ台7の苗載置面に設けられている苗送り機構12により送り出される。この苗送り機構12による苗マットの送り出し量は、従来のものでは一定量ずつであったが、本発明においては苗載せ台7に載置されている苗マットの量の多少に応じて変化(増減)させる。
【0017】
前記苗載せ台7の仕切り枠11には、図2〜図5に示すように、苗載せ台7上の苗マットの残量を検出する、上下方向に複数(図面では3個)の苗残量検出器13と、下端部に、苗載せ台7を通って苗植付け体10により圃場に植付けられた苗の使用量を検出する機能を有する苗使用量検出器14とを設けている。苗残量検出器13は、図4に示すように、リミットスイッチ13aと、その操作子に連結された検出プレート13bとを具備し、検出プレート13bを苗載せ台7の苗移動経路に臨ませている。そして、苗載せ台7に苗マットがあると検出プレート13bは押圧されてリミットスイッチ13aをオンにして苗があることを検出し、苗載せ台7に苗マットがないと検出プレート13bは押圧されずにリミットスイッチ13aはオフとなって苗がないことを検出する。この検出された苗残量に応じて苗載せ台7上の苗を苗送り機構12により苗取出し口9側へ送り出す苗送り出し量を、苗残量が多いときは少なくし、苗残量が少ないときは多くなるように制御する。
【0018】
前記苗使用量検出器14は、図5に示すように、仕切り枠11に揺動レバー14aの基端部が枢支軸14bを介して左右方向に回動自在に枢支され、該枢支軸14bに巻回するようにして設けた捻りバネ14cにより、揺動レバー14aの先端側が苗載せ台7側に突出する位置から仕切り枠11内に引き込む位置まで弾持されている。この揺動レバー14aの先端部に、外周が苗載せ台7上の苗マットのマット部に接し、苗マットが移動するとその移動分だけ回転する歯車14dが設けられ、この歯車14dの回転軸14fは、揺動レバー14aの先端部に設けられたロータリエンコーダ14eの回転軸と同軸に軸支されている。従って、苗使用量検出器14は、苗載せ台7を通って苗植付け体10により取出されて田面に植付けられた苗の使用量を検出する機能を有している。そして、苗植付け体10により田面に植付けられた苗量を検出することにより、既に苗が植付けられた面積、植付けに使用した苗の量、苗植付け株間を、乗用車体2に搭載した制御装置(CPU)23により算出して出力し、乗用車体2の操縦席近傍に設けた表示装置(タッチパネル)22に表示する。
【0019】
前記フロート6及び苗植付け体10の後方に、図6〜図9に示す植付苗検出装置15を設けている。この植付苗検出装置15は、苗植付け体10により田面16に植付けられた苗17を電気信号により検出するもので、端面が逆U字形をして前後に延びるセンサ支持枠15aに、前後に所定の間隔(L:図10参照)を置いて左右一対の光センサからなる前部センサ15b及び後部センサ15cをそれぞれ対向して設けている。センサ支持枠15aは、前記フロート6の後端部に立設された連結アーム6aに平行リンク20、バネ21を介して上下動可能に支持された支持フレーム19の左右両端部に取付けられ、該支持フレーム19の下側にフロート18が取付けられている。そして、図10及び図11に示すように、センサ15b及び15cによって検出された植付け苗17と次の植付け苗17aの電気信号の間隔及び時間差t1,t2から、制御装置23により田植機1の走行速度と苗植付け株間(17〜17a)とを算出し、植付苗量を制御する。
【0020】
制御装置23からの出力により作動し、苗送り機構12の駆動量を変更して苗植付け体10による植付苗量を制御する植付苗量変更制御装置は、図12に示すように構成されている。即ち、本体部5からの動力により作動する苗送りベルト駆動レバー24は、先端部に設けた操作子24aを操作具25のスリット25a内に嵌挿させており、スリット25aにより規制されて振動幅A(大)、振動幅B(小)などの範囲で振動する。操作具25に基端部が連結された操作ワイヤ26の先端部は、アウタチューブ26aを通って苗送りベルト駆動量制御部27に連繋されている。苗送りベルト駆動量制御部27はDCモータ28により駆動回転するスクリュウ軸28aによって移動する。DCモータ28及びスクリュウ軸28aは、制御装置23からの出力によりストッパ29aがリミットスイッチ29,29に規制される範囲で、3つの位置決めセンサ30で決められる位置に苗送りベルト駆動量制御部27を移動させ、操作具25を図の上下方向に動かして位置決めする。その結果、苗送りベルト12の駆動量が変化して、苗の送り量が制御される。
【0021】
また、本発明においては、前記苗載せ台7の仕切り枠11に設けた苗使用量検出器14により苗の使用量を検出する機能を有し、前記苗植付け体10により田面に植付けられた苗を植付苗検出装置15により検出して、制御装置23により既に苗が植付けられた面積、植付けに使用した苗の量を算出して、予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように苗載せ台7上の苗を苗送り機構12により苗取出し口9側へ送り出す苗送り出し量、または苗植付け体10による苗の取出し量を増減させるようにしてもよい。また、本発明による苗植付け体10は、苗の取出し幅を従来のものより細くして、苗の取出し量を少なくするようにした細爪を開発している。
【0022】
上記制御装置23においては、苗残量検出器13のリミットスイッチ13aからの信号が入力され、また、苗使用量検出器14のロータリエンコーダ14eからの信号が入力され、さらに、植付苗検出装置15の前部センサ15b及び後部センサ15cからの信号が入力されて、それぞれ設定された諸式で演算されて苗送り機構12による苗を苗取出し口9側へ送り出す苗送り出し量、または苗植付け体10による苗の取出し量を算出(決定)し、出力して苗送り機構12を駆動させる。
【0023】
上記表示装置(タッチパネル)22では、植付け作業を中断することなく上記苗残量検出器13、苗使用量検出器14、植付苗検出装置15からの検出値、算出値を表示し、タッチ操作により制御部への指示が可能である。そして、画面には、検出値、算出値のほか欠株率(%)、株間(cm)、植付けマット苗(枚/10a)、苗載せ台の位置(左右)、苗送り回数、苗送り量(mm)、苗残量、苗掻取り量(多〜少)、苗送り量(多〜少)などが表示され、植付苗量変更制御装置を介して制御される。
【0024】
次に、上記のような構成の植付苗量を制御する植付苗量制御装置の動作について説明する。
【0025】
乗用型田植機1は、代掻きされた水田に導入されて、苗植付け装置4のフロート6を田面16に接した状態で走行しながら苗植付け体10により苗が植付けられる。この実施例の田植機1は6条植えであり、作業開始時は仕切り枠11により仕切られた各苗載せ台7に上下方向に2枚ずつ苗マットを載置し、植付け作業中に最下部のリミットスイッチ13aがオフとなって苗がなくなったことを検出したときは、警報を発して機体の走行を停止して苗マットを補給し、植付け作業を再開する。苗載せ台7においては、仕切り枠11に設けられた苗残量検出器13の上下3個のリミットスイッチ13aにより、苗の有無が検出されて制御装置23に入力され、演算されて苗残量に応じて苗載せ台7上の苗を苗送り機構12により苗取出し口9側へ送り出す苗送り出し量を苗残量が多いときは少なくし、苗残量が少ないときは多くなるように制御される。
【0026】
また、仕切り枠11の下部に設けられた苗使用量検出器14では、苗載せ台7を通って苗植付け体10により取出されて田面に植付けられた苗の使用量を検出し、制御装置23に入力し、演算することにより既に苗が植付けられた面積、植付けに使用した苗の量、苗植付け株間等を算出して出力し、表示装置(タッチパネル)22に表示して操作される。また、植付苗検出装置15においては、前部センサ15b及び後部センサ15cにより田面16に植付けられた苗17を検出し、植付け苗17と次の植付け苗17aの電気信号の間隔及び時間差t1,t2から、制御装置23により田植機1の走行速度と苗植付け株間(17〜17a)とを算出し、植付苗量を制御する。
【0027】
本発明による苗植付け装置4と従来の苗植付け装置による栽培試験を、マット苗とポット苗を用いて行ったところ、本発明では、苗植付け本数を半分にして、マット苗において欠株率がやや高かったものの、収量ではほとんど変わらず、ポット苗ではわずかに増収となった。苗植付け体10に、苗の取出し幅を従来のものより細くして、苗の取出し量を少なくするように改良した細爪を使用した結果では、欠株率が減少し、苗使用量の変動が少なかった。苗使用量一定化試験を行った結果を図13に示す。このグラフで、植付け本数は、制御なしの区と比較して少なかったものの、全体を通して植付け本数の変化が少なく、苗使用量が安定化していることが分かった。特に苗残量の多いときに、植付け本数を減らすことができた。苗が少なくなり、苗送り量を調整する苗送りベルト12と接する部分が減少すると、効果は薄くなった。
【0028】
以上説明したように本発明の田植機における植付苗量制御方法及び装置によれば、制御装置23は、苗使用量検出器14(ロータリエンコーダ14e)と植付苗検出装置15(光センサからなる前後部センサ15b、15c)との検出値に基づいて、苗植付け体10により田面に植え付けられた苗の使用量、苗が植付けられた面積、苗植付け株間、田植機1の走行速度を算出し、当該算出値に応じて予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように、苗植付け体10による苗の取出し量を増減させる。これにより、予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植え付けることができるようになり、その結果、所要苗マット数を大幅に減少(半減)させることができる。そして、苗マットの補給回数が少なくなり、苗マットの育苗・苗運搬量が少なくなって、余分な労力、資材、時間を必要としなくなる。従って、田植え作業の軽労化と育苗・苗運搬の省力化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の植付苗量制御装置を備えた乗用型田植機の概略側面図である。
【図2】本発明による苗載せ台及び苗受け板の部分平面図である。
【図3】同苗載せ台の側面図である。
【図4】同苗残量検出器の側面図(a)、同平面図(b)、同正面図(c)である。
【図5】同苗使用量検出器の平面図(a)、同側面図(b)、同正面図(c)である。
【図6】同植付苗検出装置の斜視図である。
【図7】同植付苗検出装置の使用状態の正面図である。
【図8】同植付苗検出装置の装着状態を示す部分平面図である。
【図9】同側面図である。
【図10】(a)〜(c)は、植付苗検出器による苗検出状況の説明図である。
【図11】(a)〜(d)は、植付苗検出器による検出状況の説明図である。
【図12】本発明による植付苗量変更制御装置の説明図である。
【図13】本発明による植付苗量制御を行った場合と制御を行わなかった場合との苗植付本数を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0030】
1…乗用型田植機
2…乗用車体
4…苗植付け装置
7…苗載せ台
10…苗植付け体(爪)
12…苗送り機構(苗送りベルト)
13…苗残量検出器
13a…リミットスイッチ
13b…検出プレート
14…苗使用量検出器
14e…ロータリエンコーダ
15…植付苗検出装置
15b…前部センサ(光センサ)
15c…後部センサ(光センサ)
16…田面
23…制御装置(CPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗マットの移動量をロータリエンコーダを用いて検出する第1の工程と、
前記ロータリエンコーダの検出値に基づいて前記苗載せ台を通って田面に植え付けられた苗の使用量を算出し、当該苗の使用量に応じて前記苗植付け体による苗の取出し量を増減させる第2の工程と、を有することを特徴とする田植機における植付苗量制御方法。
【請求項2】
苗載せ台に搭載した集団苗を苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を光センサを用いて検出する第1の工程と、
前記光センサの検出値に基づいて、前記田植機の走行速度と苗植付け株間とを算出し、当該算出値に応じて植付苗量を制御する第2の工程と、を有することを特徴とする田植機における植付苗量制御方法。
【請求項3】
苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗マットの移動量をロータリエンコーダを用いて検出する第1の工程と、
前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を光センサを用いて検出する第2の工程と、
前記ロータリエンコーダと前記光センサとの検出値に基づいて、前記苗植付け体により田面に植え付けられた苗の使用量、苗が植付けられた面積、前記田植機の走行速度、苗植付け株間を算出し、当該算出に応じて予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように、前記苗植付け体による苗の取出し量を増減させる第3の工程と、を有することを特徴とする田植機における植付苗量制御方法。
【請求項4】
苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗載せ台の苗マット移動方向の終端部に設けられ、前記苗マットの移動量を検出するロータリエンコーダと、
前記ロータリエンコーダの検出値に基づいて前記苗載せ台を通って田面に植え付けられた苗の使用量を算出し、当該苗の使用量に応じて前記苗植付け体による苗の取出し量を増減させる制御装置と、を備えたことを特徴とする田植機における植付苗量制御装置。
【請求項5】
苗載せ台に搭載した集団苗を苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗植付け体よりも後方に設けられ、前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を検出する光センサと、
前記光センサの検出値に基づいて、前記田植機の走行速度と苗植付け株間とを算出し、当該算出値に応じて植付苗量を制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする田植機における植付苗量制御装置。
【請求項6】
苗載せ台に搭載した苗マットを苗送り機構により苗取出し口側に送り、前記苗取出し口から苗植付け体により1株ずつに分離して取出し、順次田面に植付ける田植機において、
前記苗載せ台の苗マット移動方向の終端部に設けられ、前記苗マットの移動量を検出するロータリエンコーダと、
前記苗植付け体よりも後方に設けられ、前記苗植付け体が田面に植え付けた苗の有無を検出する光センサと、
前記ロータリエンコーダと前記光センサとの検出値に基づいて、前記苗植付け体により田面に植え付けられた苗の使用量、苗が植付けられた面積、苗植付け株間、前記田植機の走行速度を算出し、当該算出値に応じて予め設定した苗マット枚数で所定の面積を植付けるように、前記苗植付け体による苗の取出し量を増減させる制御装置と、を備えることを特徴とする田植機における植付苗量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−275073(P2007−275073A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166030(P2007−166030)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【分割の表示】特願2002−116191(P2002−116191)の分割
【原出願日】平成14年4月18日(2002.4.18)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】