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甲状腺関連の医学的状態を還元葉酸によって処置するための方法および組成物
説明

甲状腺関連の医学的状態を還元葉酸によって処置するための方法および組成物

本発明は、甲状腺関連の医学的状態を処置するための方法および組成物を提供する。診断されておらずかつ処置されていない多くの甲状腺関連の医学的状態が存在する。これらの状態は、還元葉酸およびビタミンB12によって予防および処置され得る。還元葉酸およびビタミンB12の投与は、甲状腺関連の医学的状態と関係している脳脊髄葉酸欠乏症を予防または処置する。還元葉酸およびビタミンB12の投与はまた、マスクされた巨赤芽球性貧血および甲状腺機能低下症に関連する状態、ならびに適切でない甲状腺機能を通してもたらされる他の状態も予防または処置する。さらに、抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬によって多くの甲状腺状態を処置することがよくある。この実施単独では、本明細書において議論されている方法および組成物によって予防または処置され得る不利な状態を引き起こす原因にもなり、またはこの不利な状態に有益に対処していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
この出願は、2009年7月10日に出願された米国特許出願第61/270,615号および2009年7月13日に出願された仮特許出願第61/270,741号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
葉酸欠乏症と関連する発育上の問題は、当該分野において周知されている。おそらく、胎児における神経管欠損は、葉酸欠乏症と関連する最も一般的な問題である。妊娠中の母親は、葉酸計画に日常的に置かれている。さらに、授乳中の母親もまた、栄養素を新生児に与え続けるために葉酸が補充されている。出産前および周産期間の間、葉酸は、皮膚組織による神経管の適正な閉鎖に不可欠である。最近の研究では、血漿ホモシステインのレベルが上昇し赤血球葉酸のレベルが低下している女性が、神経管欠損を有する子を持つリスクがより大きいことが示されている。妊娠の初期段階の間(胎盤の発育前)は、胎児への葉酸の輸送が、母親の赤血球によって主に行われると考えられている。母親の赤血球中の不適正な葉酸レベルは、子宮内における神経管閉鎖の進行に欠ける有意な因子である。
【0003】
葉酸は、新しい細胞の産生および維持を助ける;このことは、乳児期および妊娠中などの頻繁な細胞分裂を経験する迅速な成長を伴う細胞において非常に重要である。葉酸は、DNAおよびRNAを形成するのに必要とされ、成人および子供の両方が、正常な赤血球を作るために葉酸を必要とする。葉酸は、適正なヒトの健康のための毎日の栄養摂取の一部分であることが不可欠である。
【0004】
葉酸はまた、血漿ホモシステインレベルの低下にも重要な役割をする。血漿中の上昇したホモシステイン量は、心臓疾患と関連している。葉酸は、急性虚血性発作の間の血小板の硬化を低下させることが示されており;これにより、心臓血管疾患の長期の影響を低下させる。したがって、葉酸は、心臓血管機能性の主要な成分である。
【0005】
葉酸は、食物中に自然に発生する不可欠な水溶性ビタミンBである。これらの重要な代謝活動の結果として、葉酸のいくつかのダイエット誘導体がサプリメントとして製造されている。大部分の誘導体が、変換されて代謝的に活性な形態、(6S)5−メチルテトラヒドロ葉酸となることができるが、かかる変換の酵素反応速度論は、吸収率と同様に劇的に異なる可能性があり、これらの差異は、性能の優先度を決定する際に重要である。
【0006】
葉酸は、還元(電子を付加)または酸化(電子を除去)されたときに構造的および機能的に変更されることとなるプテロイグルタミン酸の群である。ヒトにおいて、葉酸は、5−メチルテトラヒドロ葉酸として最も容易に吸収され、これは、葉酸の主な循環形態である。他の誘導体は、空腸および肝臓において、中間体の安定な形態(5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸)を有する活性形態に加水分解される。
【0007】
5−メチルテトラヒドロ葉酸は、循環系における葉酸の主たる形態であり、血液脳関門を横断することができる種類の葉酸である。5−メチルテトラヒドロ葉酸は、脳の発育および正常な心の健康に重大である。
【0008】
内分泌系は、分泌腺の系であり、それぞれが、ある種のホルモンを血流内に分泌して体を調節する。内分泌系は、神経系のような情報シグナル系である。ホルモンは、情緒、成長および発育、組織機能、ならびに代謝を含めた、生命体の多くの機能を調節する。
【0009】
甲状腺関連の医学的状態、および甲状腺状態に関連して用いられる薬物は、妊娠している可能性がある個体ならびにかかる個体の胎児において、または甲状腺関連の医学的状態を有するおよび/もしくは甲状腺薬物を服用しているかかる個体からの母乳を受ける子供において、血液学的問題を引き起こすことが知られている。加えて、これらの甲状腺関連の医学的状態、および甲状腺状態に関連して用いられる薬物は、肝臓に関して不利な肝臓状態を引き起こすことが公知であり、また、他の器官に悪影響を与える。さらに、甲状腺関連の医学的状態を有するまたは甲状腺状態のための薬物を摂取しているこれらの人々に加え、環境条件および環境汚染もまた、個体、ならびにかかる個体の胎児またはかかる個体からの乳飲み子の甲状腺系に影響することも公知である。したがって、甲状腺系は、自身の体内で発生する甲状腺関連の医学的状態によって、一定の薬物によって、および環境によって影響され得る。
【0010】
典型的には、甲状腺状態は、甲状腺状態に対処して患者を甲状腺機能正常状態に導く薬物によって処置される。これは、医学界および薬学界の焦点となっている。しかし、個体を甲状腺機能正常状態に導くことは、低葉酸、ならびにビタミンB12、および具体的には低い脳脊髄葉酸に関連する不利な状態に十分に対処していない。医学界および薬学界は、甲状腺関連の医学的状態、および/または甲状腺状態に関連して用いられる薬物が引き起こすさらなる合併症に十分に対処できていない。例えば、抗甲状腺薬は、(a)数多くの血液障害(限定されないが、巨赤芽球性貧血、汎血球減少症、再生不良性貧血、好中球減少症、無顆粒球症、血小板減少症、および白血球減少症を含む)、(b)骨髄抑制、ならびに(c)肝機能障害を引き起こすことが公知であり。加えて、甲状腺関連の医学的状態は、同様の状態を引き起こすことが公知である。例えば、甲状腺機能低下症は、鉄、葉酸および/またはビタミンB12欠乏症を引き起こすことが公知であり、葉酸またはビタミンB12欠乏症に関しては、「大球性」または「巨赤芽球性」の血液学的状態を引き起こす可能性があり、いくつかの場合には、骨髄抑制および肝機能障害、ならびに他の器官での機能障害(例えば、多腺性自己免疫症候群)となる。
【0011】
さらには、悪性貧血に関連する慢性自己免疫甲状腺炎および橋本甲状腺炎のような自己免疫状態は、甲状腺ホルモン代用物によって単に修正されず、特定のビタミンB12の補充も要求するさらなるビタミンB12欠乏症を引き起こす可能性がある。さらに、臨床像を複雑にするさらなる状態は、(1)同時の鉄および葉酸/ビタミンB12欠乏症から生じ得る「マスクされた巨赤芽球性貧血」状態、(2)葉酸を生物学的に有用な形態に変換する代謝経路において重大であるビタミンB12の欠如、および(3)ありがちな「多型」である。例えば、メチレンテトラヒドロ葉酸(MTHFR)多型は、米国の集団の最大で40%を占めるものによって、非常に一般的である。結果として、いくつかの個体は、多型を有しているか否かを基準にして、他よりも、脳脊髄葉酸の問題、または付随の葉酸および/もしくはビタミンB12の問題を必然的により有しやすくなる。さらに、上記にも関わらず、甲状腺関連の医学的状態および甲状腺状態を処置するのに用いられる薬は、低脳脊髄葉酸の悪影響を予防または改良するのに好適な葉酸および十分なB12補充プロトコルによって増補されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、概して、葉酸およびビタミンB12によって甲状腺状態を処置する分野にある。葉酸は、適切な栄養摂取に必要とされる重大なビタミンである。葉酸は、DNAおよびRNAを形成する際に重要であり、したがって、成長過程にあるまたは頻繁な細胞分裂を経験する細胞において重大である。葉酸欠乏症は、子供および成人において有害かつ深刻な健康状態をもたらしてきた。結果として、葉酸は、妊娠している母親、授乳中の母親および新生児に特に重要である。
【0013】
これまで知られていなかった、または少なくとも正しく評価されていなかったことは、甲状腺と、血液中の葉酸およびビタミンB12のレベルとの関係である。甲状腺機能低下症の個体は、葉酸およびビタミンB12欠乏症を患っていることが見出された;そのため、これらの個体は、低葉酸レベルにも関連する他の問題を生じやすい。甲状腺機能低下症の状態は、脳脊髄液における葉酸欠乏症をもたらしたことがここで発見されている。脳脊髄液における葉酸欠乏症ももたらした甲状腺機能亢進症の処置を含む新たに発見されたケースが存在している。これは、甲状腺機能亢進症を処置するために摂取されるとされている薬が、甲状腺を抑制し、いくつかの場合には、甲状腺機能低下症および脳脊髄液における葉酸欠乏症をもたらす程度に甲状腺を抑制してきたからである。加えて、これらの抗甲状腺薬は、葉酸およびビタミンB12における欠乏症に寄与して、脳脊髄葉酸欠乏症をもたらす可能性もある不利な血液学的状態および肝臓状態を引き起こす可能性がある。
【0014】
この驚くべき発見により、本発明に至った。甲状腺関連の医学的状態を有しているまたは有するリスクがある個体への葉酸およびビタミンB12の付与は、脳脊髄液中の低葉酸に関連する不利な結果に有益に対処し、これを有益に軽減することが示された。本発明はまた、抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬もしくはホルモンを摂取しなければならないこれら個体に対処する。抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬のいずれかと共に葉酸およびビタミンB12を補充することで、葉酸欠乏症およびかかる欠乏症からの関連する問題を予防および/または処置するより良好な手段を提供することができる。
【0015】
本発明は、現在は医学界および薬学界の焦点の一部とはなっていない甲状腺関連の医学的状態としての、いくつかの個体における葉酸欠乏症を予防することを助け、さらにこれの原因を診断することを助ける。さらに、脳脊髄葉酸欠乏症の分野の一流の研究者らは、脳脊髄葉酸欠乏症の原因として、葉酸受容体を攻撃する抗体またはミトコンドリア欠損に主に焦点を当てた。
【0016】
甲状腺機能と脳脊髄液における葉酸欠乏症との関係を公知にして、これを予防および処置することができるようにする必要性が明らかに存在する。本発明は、この必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、甲状腺関連の医学的状態を有する人が葉酸欠乏症と関連する問題を発生することを予防しおよび/またはこれらの人を処置するための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、葉酸を甲状腺関連の医学的状態を有する人に投与する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、葉酸およびビタミンB12を甲状腺関連の医学的状態を有する人に投与する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、還元葉酸を甲状腺関連の医学的状態を有する人に投与する方法をさらに提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、還元葉酸およびビタミンB12を甲状腺関連の医学的状態を有する人に投与する方法をさらに提供する。なお別の実施形態において、本発明は、フォリン酸およびビタミンB12を甲状腺関連の医学的状態を有する人に投与する方法をさらに提供する。また、いくつかの実施形態において、葉酸およびビタミンB12の投与は、脳脊髄葉酸欠乏症、マスクされた巨赤芽球性貧血、他の大球性貧血(マスクされた大球性貧血であり得る貧血を含む)、または肝機能障害を処置または予防する。いくつかの実施形態において、本発明は、葉酸およびビタミンB12の投与を含み、鉄の投与と合わされる。他の実施形態は、葉酸およびビタミンB12の投与と共に、L−カルニチンおよび/またはカルシウムおよび/またはビタミンDの投与を含む。カルシウムおよびビタミンDに関しては、これらは、副甲状腺ホルモン欠乏症にも対処する好ましい実施形態である。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明は、葉酸およびビタミンB12を甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症を有する人に投与する方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、葉酸およびビタミンB12を、放射性ヨウ素によって処置されている人、または甲状腺においてもしくはこれに関係する手術を受ける人、または甲状腺の大きさもしくは活性を低下させるいずれかの手技を受ける人に投与する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、葉酸およびビタミンB12を、低チロキシン血症または一時的な期間の別の甲状腺機能低下症を有する個体に投与する方法を提供する。なお別の実施形態において、本発明は、葉酸およびビタミンB12を、甲状腺関連の医学的状態を有する母親または介護者の胎児または乳飲み子である個体に投与する方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、甲状腺刺激薬、葉酸およびビタミンB12の組成物を提供する。この実施形態は、甲状腺機能低下症を有する人々の葉酸欠乏症の予防および処置を容易にする。他の実施形態において、組成物は、鉄、および/またはL−カルニチン、および/またはカルシウム、および/またはビタミンDをさらに含む。別の実施形態において、本発明は、抗甲状腺薬、葉酸およびビタミンB12の組成物を提供する。この実施形態は、甲状腺機能亢進症の処置中にあり、鉄、および/またはL−カルニチン、および/またはカルシウム、および/またはビタミンDが補足されている場合もある人々の葉酸欠乏症の予防および処置を容易にする。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、甲状腺関連の医学的状態の予防および処置のための方法および組成物は、5−メチルテトラヒドロ葉酸、または別の還元葉酸およびビタミンB12を必要とする。本発明の別の好ましい実施形態において、甲状腺関連の医学的状態の予防および処置のための組成物は、5−メチルテトラヒドロ葉酸、別の還元葉酸およびビタミンB12を、抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬のいずれかと共に必要とする。別の好ましい実施形態において、抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬、葉酸または別の還元葉酸およびビタミンB12の組成物は、鉄、および/またはL−カルニチン、および/またはカルシウム、および/またはビタミンDも含む。カルシウムおよびビタミンDに関しては、これらは、副甲状腺ホルモン欠乏症にも対処する好ましい実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.定義
本明細書において用いられるとき、「葉酸(複数可)」は、還元されたときに構造的および機能的に変更されることとなるプテロイグルタミン酸の群である。用語「葉酸」は、葉酸およびその誘導体を称する。
【0022】
葉酸、(N−[4−(2−アミノ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−6−プテリジルメチルアミノ)−ベンゾイル]−L−グルタミン酸)は、ビタミンB9またはフォリシンならびにN−プテロイル−L−グルタミン酸およびN−プテロイル−L−グルタミン酸塩としても公知であり、非還元葉酸である。
【0023】
ヒトにおいて、葉酸は、最も活性な形態である6(R,S)−5−メチルテトラヒドロ葉酸(6(S)−5−メチルテトラヒドロ葉酸は、最も生物学的に活性である)として最も容易に吸収され、これは、主な循環形態の葉酸である(本明細書において「還元葉酸」とも称される)。他の還元葉酸の非排他的なリスト(「還元葉酸」の定義にも含まれる)は、10−メチレンテトラヒドロ葉酸、10−ホルミルテトラヒドロ葉酸、5−ホルミルテトラヒドロ葉酸、5−ホルミニノテトラヒドロ葉酸、5,10−メテニルテトラヒドロ葉酸、5,10−メチルテトラヒドロ葉酸、L−メチル葉酸、および6(R,S)−5−ホルミルテトラヒドロ葉酸(フォリン酸)、ならびにテトラヒドロ葉酸/テトラヒドロ葉酸である。
【0024】
「葉酸」という用語は、本明細書において言及されるとき、属として用いられ、これらの葉酸の形態:葉酸、任意の形態の還元葉酸、および5−メチルテトラヒドロ葉酸;のいずれかを一般に称する。
【0025】
ビタミンB12は、コバラミンとも呼ばれ、水溶性ビタミンである。ビタミンB12は、コバラミンとして公知であるコバルト含有ビタマー化合物の群を称する:これらは、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、およびヒトの体に自然に発生する2種の補因子の形態のB12:メチルマロニルコエンザイムAムターゼ(MUT)の補因子である5’−デオキシアデノシルコバラミン(アデノシルコバラミン−AdoB12)、および5−メチルテトラヒドロ葉酸−ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(MTR)の補因子であるメチルコバラミン(MeB12)を含む。
【0026】
用語「脳脊髄葉酸欠乏症」(脳葉酸欠乏症とも称する)は、脳脊髄液(CSF)中の低レベルの5−メチルテトラヒドロ葉酸に関連する。いくつかの状態において、CSF中の低レベルの葉酸は、血漿および赤血球中の正常な葉酸レベルにも関連する。脳における葉酸の欠乏症によって引き起こされる症状の発症は、生後1年以内に一般に始まるが、本明細書において含有される例においては、出生時またはその直後数ヶ月以内の発症を示した。これには、遅延性の発育、続いて頭部成長の減速、低血圧、および運動失調、続いて、運動障害(舞踏病アテトーゼ、半側バリスム)、痙縮、および言語障害、ならびに数多くの他の認知、社会、行動、心理および身体状態による多くのケースが追随する。
【0027】
用語「マスクされた巨赤芽球性貧血」は、鉄欠乏症と同時に発生する葉酸および/またはビタミンB12欠乏症を特徴とし、鉄欠乏症が、巨赤芽球性貧血の赤血球指数変化をマスクするようになる。
【0028】
用語「マスクされた大球性貧血」は、大球性貧血がマスクされている状態を称し、(a)マスクされた巨赤芽球性貧血、(b)大球性貧血が、大球性貧血と同時に発生する小球性から正球性貧血によってマスクされている場合、または(c)出生時マスクされている好中球減少症、一部は、この現象により、好中球数および白血球値が出生直後に上昇する;を含む。
【0029】
用語「低チロキシン血症」は、血液中の異常に低い濃度のチロキシンの存在に関連する状態を称する。
【0030】
栄養補充に関するときの用語「鉄」は、栄養素を補充することが一般に知られている任意の形態の鉄;例えば、鉄(II)塩、鉄(III)塩、またはカルボニル鉄を称する。
【0031】
用語「抗甲状腺薬」は、甲状腺機能を低下させる目的で甲状腺に向けられている薬、薬剤または薬物である。抗甲状腺薬として、限定されないが、カルビマゾール、メチマゾール、過塩素酸カリウム、およびプロピルチオウラシル(PTU)が挙げられる。これらの薬は、甲状腺機能亢進症(甲状腺の過活動)を処置して、手術前の過剰な甲状腺活動を低下させ、手術を受けない患者を処置および維持するのに用いられる。
【0032】
用語「甲状腺刺激薬」は、体のエネルギーおよび代謝を調節する甲状腺によって正常に産生されるホルモンの代用物として作用する薬、薬剤、薬物またはホルモンである。これらの薬は、甲状腺機能を上昇させる目的で用いられ、甲状腺刺激薬として、限定されないが:レボチロキシン、レボチロキシンナトリウム、リオチロニンナトリウム、リオトリックス、チログロブリン、チロイド、チロキシン、トリヨードチロニン レボキシル、シントロイド、Levo−T、ユニトロイド、レボトロイド、レボキシン、Levolet、Novothyrox、トリオスタット、シトメルおよびチロラーが挙げられる。
【0033】
用語「甲状腺関連の医学的状態」は、甲状腺が適切に機能されないときに生じる医学的状態を称する。これは、甲状腺機能低下症(活性甲状腺機能下)、甲状腺機能亢進症(過活性甲状腺機能)、解剖学的障害、および腫瘍(甲状腺癌を含む)を含み得る。「甲状腺関連の医学的状態」はまた、甲状腺を処置するための薬剤、薬または薬物の使用からも生じ、これらの使用も含み、または甲状腺に影響する環境毒物もしくは環境条件からも生じる。用語「甲状腺関連の医学的状態」はまた、適切に機能していない甲状腺に関係してもたらされる真性糖尿病、副甲状腺機能低下症および多腺性自己免疫症候群に関連する合併症も含む。
【0034】
II.序論
本発明は、甲状腺関連の医学的状態の予防および処置のための方法および組成物を提供する。本発明は、不適切に機能する甲状腺が有害な状態を引き起こし得るという発見に基づいている。いくつかの非排他的な例は、脳脊髄葉酸欠乏症およびマスクされた大球性貧血、ならびに肝機能障害である。これらの状態は、葉酸およびビタミンB12の投与によって予防または処置され得る。さらに、葉酸およびビタミンB12の投与によって処置され得る状態を発症するリスクもある一定の個体集団が存在する。いくつかの甲状腺関連の医学的状態、例えば、甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症は、抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬によって処置される。抗甲状腺薬は、有害な状態、例えば、マスクされた大球性貧血であり得る大球性血液障害、ならびに予測不可能な突然の発症を考えるとそれ自体が特異体質であり得るかまたは診断が困難であり得る肝機能障害を引き起こし得る。上記の血液学的状態および肝臓状態はまた、脳脊髄葉酸欠乏症をもたらす可能性もある。結果として、本発明は、葉酸およびビタミンB12の添加によるこれらの薬の組成物を含む。
【0035】
III.患者集団
本発明の目的で、患者は、甲状腺関連の医学的状態を患っている患者または甲状腺関連の医学的状態を患うリスクがある患者であり、甲状腺状態または甲状腺状態のリスクは、限定されないが、患者の体内の生物学的状態、患者が暴露されている薬剤、薬、もしくは薬物、または毒物への環境暴露、あるいは他の不利な環境条件を含めた多くの状況によって引き起こされ得る。
【0036】
一実施形態において、甲状腺関連の医学的状態を有する個体は、甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症を患っている場合がある。一般に、甲状腺機能低下症は、甲状腺が十分な甲状腺ホルモンを産生しない状態である。一般に、甲状腺機能亢進症は、甲状腺が甲状腺ホルモンを産生し過ぎる状態である。好ましい実施形態において、患者は、抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬を摂取している。これらの種類の患者は、最も高いリスクがあり得るが、本発明の方法および組成物によって処置され得る他の同様の状態が、リスクをもたらす。例えば、甲状腺関連の医学的状態を有し、大球性血液状態、マスクされた巨赤芽球性貧血、マスクされた大球性貧血または肝機能障害を患っているこれらの人々、ならびに上記の血液学的状態または肝臓状態のいずれかを引き起こす薬剤、薬、薬物、毒物および環境条件に暴露されているこれらの人々は、本発明の方法および組成物によって処置され得る。
【0037】
別の実施形態において、患者は、低チロキシン血症に関する甲状腺関連の医学的状態を有する。
【0038】
別の実施形態において、患者は、放射性ヨウ素によって処置されている任意の個体、または甲状腺においてもしくはこれに関係する手術を受ける任意の個体、または甲状腺の大きさもしくは活性を変更させるいずれかの他のプロセスもしくは手技を経験する任意個体であり得る。
【0039】
別の実施形態において、患者は、甲状腺関連の医学的状態を有する母親または介護者の胎児または乳飲み子であり得る。
【0040】
IV.状態の検出
a)甲状腺
本発明の主要な発見の1つは、甲状腺関連の医学的状態が脳脊髄葉酸欠乏症を引き起こし得るという発見であり、甲状腺状態を有する人は、脳脊髄葉酸欠乏症に関連する全ての害の影響を受けやすい。一実施形態において、本発明は、甲状腺関連の医学的状態を有する人々を処置する。
【0041】
b)甲状腺機能低下症
別の実施形態において、本発明は、甲状腺機能低下症を有する人々を処置する。甲状腺機能低下症、または不適切に機能する甲状腺は、具体的には十分な甲状腺ホルモンを産生せず、脳脊髄葉酸欠乏症を有する人をもたらし得る。本発明の目的の1つは、甲状腺機能低下症を有する人を処置することである。
【0042】
c)甲状腺機能亢進症
脳脊髄葉酸欠乏症が、甲状腺機能低下症に、より一般的に関連することが発見されたが、甲状腺機能亢進症を有する人々もまた、本発明の対象である、なぜなら、これらの人々は、甲状腺機能亢進状態を処置するための抗甲状腺薬を摂取しているからである。これらの薬は、葉酸欠乏症が発生し得るレベルまで甲状腺の産生を低下させるまたは脳脊髄葉酸欠乏症をもたらす不利な大球性血液学的状態もしくは不利な肝臓状態を引き起こす可能性を有する。したがって、甲状腺機能亢進症は、本発明に関する状態である。
【0043】
d)糖尿病、副甲状腺機能低下症および多腺性自己免疫症候群
甲状腺関連の医学的状態は、糖尿病、真性糖尿病、副甲状腺機能低下症および多腺性自己免疫症候群を引き起こすまたはこれらに寄与することが公知である。したがって、甲状腺関連の医学的状態によってもたらされる状態である、糖尿病、真性糖尿病、副甲状腺機能低下症および多腺性自己免疫症候群もまた、本発明の対象である。
【0044】
e)妊娠中
妊娠していて甲状腺関連の医学的状態を患っている人々もまた、本発明の対象である、なぜなら、妊娠している母親が有する甲状腺状態が、母親、ならびに胎児および/または新生児に合併症を引き起こし得るからである。
【0045】
f)胎児
甲状腺関連の医学的状態の合併症は、母親から胎児へうつされ得るため、甲状腺関連の医学的状態を有する母親からの胎児または新生児もまた、本発明の対象である。
【0046】
g)乳飲み子
甲状腺関連の医学的状態の合併症は、授乳中の母親のミルクを通して新生児にうつされ得るため、甲状腺関連の医学的状態を有する母親からの新生児もまた、本発明の対象である。
【0047】
h)低チロキシン血症
甲状腺関連の医学的状態から生じる合併症もまた、人が低チロキシン血症を患っているときに一時的に生じる場合がある。低チロキシン血症の期間は、母親または胎児において妊娠の間に発生している。これは、甲状腺が適切に機能していない一時的期間のみである場合があるが、この間に有害な結果が生じる場合がある。したがって、低チロキシン血症もまた、本発明の対象である。
【0048】
i)抗甲状腺薬
抗甲状腺薬を摂取している人もまた、本発明の対象である。抗甲状腺薬の摂取が、時折、本発明が対処する脳脊髄葉酸欠乏症を引き起こすのに実質的に十分に甲状腺の機能を低下させ得ることが発見された。加えて、かかる薬剤、薬、または薬物は、本発明が対処する脳脊髄葉酸欠乏症を引き起こす可能性もある不利な血液学的状態および肝臓状態も引き起こす。
【0049】
j)甲状腺刺激薬
甲状腺刺激薬を摂取している人もまた、本発明の対象である。本発明が対処しているように、甲状腺機能低下症は、脳脊髄葉酸欠乏症と関係している。甲状腺刺激薬を受ける前に、人は、甲状腺関連の医学的状態に既を患っている。一定の場合において、甲状腺機能低下症は、個体において該個体が診断されていない状態である間に新たに発見され、該個体は、葉酸もしくはビタミンB12の欠乏症または脳脊髄葉酸欠乏症を発症している場合がある。他の場合において、個体は、甲状腺機能亢進症用の抗甲状腺薬によって処置されている場合があり、この薬が個体に甲状腺機能低下症を発症させて、次いで、個体は、不利な事象である、抗甲状腺薬物に関するだけでなく(本明細書において既に対処されている合併症)、甲状腺機能低下症を有する不利な状態を患う。なお別の例において、個体は、甲状腺機能低下症を有しているが、異なる程度の甲状腺機能低下症が交互に起こり、その結果、個体は、任意の所与の時間に非適正量の甲状腺刺激薬を受けるようになり、これにより、甲状腺機能低下症の不利な合併症を発生させることとなる。上記の全ての場合において、本発明はかかる個体を予防または処置する。
【0050】
k)放射性ヨウ素、手術、または甲状腺の大きさもしくは活性を低下させる任意の他の方法
本発明の方法はまた、放射性ヨウ素を受けた人、または甲状腺においてもしくはこれに関係する手術を受けた人、甲状腺の大きさもしくは活性を低下させるいずれかの他の手技を受けた人も対象とする。
【0051】
1)血液学的状態
マスクされた大球性貧血を含めた大球性血液状態が、甲状腺関係の医学的状態を有する人々によってもたらされ得ることも発見された。このように、本発明は、マスクされた大球性貧血を有する人々において葉酸およびビタミンB12欠乏症を通してもたらされる状態を予防または処置することを目的とする。
【0052】
m)肝機能障害
肝機能障害が、甲状腺関連の医学的状態を有する人々によってもたらされ得、ある場合には、予測不可能な突然の発症を考えると肝機能障害が特異体質であり得るかまたは診断が困難であり得ることも発見された。このように、本発明は、肝臓の機能障害を有する人々において葉酸およびビタミンB12欠乏症によってもたらされる状態を予防または処置することを目的とする。
【0053】
V.予防方法
葉酸の使用の多くが一般に周知されているが、葉酸の使用を必要とする新規な状態が発見された。葉酸が、妊娠している母親および授乳中の母親の栄養補充に用いられるべきであることは、当該分野において周知である。このことは、葉酸が、DNAおよびRNA複製に不可欠であり、したがって、細胞の成長および分裂の際に必要であるという事実に起因しており、授乳中の母親および新生児に普及している。葉酸ならびにビタミンB12が、うつ病を含めた神経学的状態を対処するのに用いられ得ることも公知である。しかし、公知でなかったことは、いくつかの甲状腺関連の医学的状態が脳脊髄葉酸欠乏症をもたらし得ることである。したがって、葉酸およびビタミンB12を、脳脊髄葉酸欠乏症を発症しやすいこれらに投与して、これにより、葉酸欠乏症から生じる有害な不利な状態を予防する方法および組成物を開示することが本発明の対象である。
【0054】
葉酸欠乏症から生じる有害な状態のいくつかは、胎児および新生児の発育に影響する。しかし、発育上の問題は、胎児および新生児に限定されず、年長児、青年、若年成人および成人も同様に影響され得る。脳脊髄葉酸欠乏症に関連する第1の症状のいくつかは、より低いIQおよび認知機能障害である。状態が進行するにつれ、発育遅延、精神運動発達退行、発作、精神遅滞、自閉症の兆候、行動の問題および社会上の問題が自身において出現し得る。状態が悪化するにつれ、身体機能が損なわれる。これらは、甲状腺関連の医学的状態を通してもたらされる脳脊髄葉酸欠乏症から生じ得る状態のほんのいくつかである。本明細書において議論されている方法および組成物は、これらの症状を予防し、これらを軽減し、かつ修正することを助けることが示された。
【0055】
本発明の一実施形態は、甲状腺関連の医学的状態から生じる有害な状態を予防する方法を提供する。この実施形態は、葉酸およびビタミンB12を、かかる甲状腺関連の医学的状態を患っている人に投与することを含む。
【0056】
葉酸およびビタミンB12の投与は、当該分野において既に公知であるいずれの方式で行われてもよい。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明は、甲状腺機能低下症から生じる有害な状態を予防および/または処置する方法を提供する。甲状腺機能低下症は、低下した甲状腺機能および低下したホルモン産生を結果として生じて、内分泌系を調節する。甲状腺機能低下症が、脳脊髄葉酸欠乏症および低下した葉酸レベルから生じる全ての問題をもたらし得ることが最近驚くべきことに見出された。より大きな関心事を有するのは、脳脊髄葉酸欠乏症を患っているこれらの患者の多くが、神経系が依然として発育中であり、発育における決定的なポイントで葉酸を欠失している乳児であることである。いくつかの場合には、ダメージを完全に無くすことができない。発育におけるかかる決定的な瞬間に葉酸が欠乏しているため、不利な状態は重篤であり得る。本発明の一実施形態は、葉酸およびビタミンB12を、甲状腺機能低下症を有する人に投与することである。この、葉酸およびビタミンB12の投与は、脳脊髄葉酸欠乏症から生じる問題および状態を予防することを助ける。
【0058】
好ましい実施形態において、還元葉酸が、甲状腺関連の医学的状態を有する人にビタミンB12と共に投与される。還元葉酸の例の非排他的なリストは:10−ホルミルテトラヒドロ葉酸、5−ホルミルテトラヒドロ葉酸、5−ホルミニノテトラヒドロ葉酸、5,10−メテニルテトラヒドロ葉酸、および5,10−メチルテトラヒドロ葉酸である。より好ましい実施形態において、5−メチルテトラヒドロ葉酸が、甲状腺関連の医学的状態を有する人々にビタミンB12と共に投与される。
【0059】
本発明の方法および組成物によって投与される葉酸の量は、患者の大きさ、年齢および状態の重篤度に依る。一般には国立衛生研究所(NIH)、米国国立栄養補助食品事務局が一般に推奨している投薬ガイドラインで十分である。これはまた、ビタミンB12、鉄、カルシウム、ビタミンD、およびL−カルニチンの投与にも当てはまる。重篤な場合には、量を増大させてよい。投薬量は、予防的手段の事象において、または患者が上記を含有するサプリメントを既に摂取している事象において、または患者が早産児もしくはまさに生まれたばかりの新生児である事象においては、NIHが一般に推奨している投薬ガイドラインよりも低いことが必要である場合がある。
【0060】
一実施形態において、本発明の方法および組成物によって投与される葉酸の量は、(患者の)体重1kg当たり1日当たり0.5mg〜0.1mgの葉酸であるべきである。他の場合において、2〜3mg/kg/日のより高い投薬量の葉酸が、脳脊髄葉酸レベルを正常化するために必要とされる。さらに、予防的手段が採られている、または患者が胎児、早産新生児もしくは満期新生児である他の場合において、ひいては投薬量が上記よりも低くてもよい。
【0061】
一実施形態において、本発明の方法および組成物によって投与される還元葉酸の量は、(患者の)体重1kg当たり1日当たり0.1mg〜1.0mgの葉酸であるべきである。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明の方法および組成物によって投与される還元葉酸の量は、(患者の)体重1kg当たり1日当たり0.5mg〜0.1mgの葉酸であるべきである。他の場合において、2〜3mg/kg/日のより高い投薬量の葉酸が、脳脊髄葉酸レベルを正常化するために必要とされる。さらに、予防的手段が採られている、または患者が胎児、早産新生児もしくは満期新生児である他の場合において、ひいては投薬量が上記よりも低くてもよい。
【0063】
以下の表は、葉酸ならびに他のビタミンおよびミネラルの推奨食事許容量としてNIHによって提供されている。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4−1】

【表4−2】

【0068】
【表5】

【0069】
【表6】

【0070】
L−カルニチンの推奨投与量は、成人では400mg〜3000mgの間、子供では20mg〜400mgの間である。予防的な場合または早産児/新生児の場合には、より低い量であることが必要である場合がある。
【0071】
これらの範囲は、参考のために用いられ得るが、最良の実施は、年齢、体重および状態の重篤度に基づいて量を決定する医師によるものである。
【0072】
例えば:出生から処置を受けるまで出生後5年を超えて脳脊髄葉酸欠乏症を患っている患者(実施例2と後に称する)。子供を1日2回5mgでフォリン酸によって処置した。この投薬量は、子供が子宮内において発症し始めた極端な欠乏症に対処するのに必要であった。他の場合において、臨床所見を何ら現し得なかった、特に新生児は、予防目的においては、より低い許容量で十分である場合がある。
【0073】
別の例において:出生時に脳脊髄葉酸欠乏症の臨床兆候を患っている患者(実施例1と後に称し、実施例2と対でもある)。実施例1は、ビタミンB12を含有する乳児用ミルクフォーミュラを受けた。しかし、実施例1は、2mcgのビタミンB12(NIHの1日当たりの推奨許容量である0.4mcgの500%超)を含有する別個のマルチビタミン栄養サプリメントを受けるまで、血液学的応答を示さなかった。以下の実施例においてさらに対処されているように、実施例1は、出生時およびその後数ヶ月で脳脊髄葉酸欠乏症の兆候を示したが、脳脊髄葉酸欠乏症の結果として実施例1が患った経時的なダメージは、実施例2ほどに重篤ではなかった。これは、実施例1が、さらなるビタミンB12の補充を出生後に受け、血液学的応答を得ていることに起因している。
【0074】
本発明が、胎児、早産新生児または満期新生児であって、かかる個体のこのときの最新の医療的状況を考えて他の供給源から適切な栄養補充を受けていてもよいこれらの個体を処置している限りにおいて、微量の葉酸およびB12は、甲状腺関連の医学的状態を予防するには十分であり得る。重要なことは、この実施形態によって投与される適切な量を決定する際に、母親の栄養摂取量の全てからこれらのビタミンの合計量を決定することである。
【0075】
別の実施形態において、本発明は、甲状腺機能亢進症から生じる有害な状態を予防および/または処置する方法を提供する。葉酸欠乏症が甲状腺機能低下症から生じることはより一般的なことであるが、甲状腺機能亢進症を有する患者は、甲状腺機能を抑制する薬を摂取しているという事実に起因するリスクもある。葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12の投与は、甲状腺が葉酸欠乏症を引き起こすレベルまで抑制されるときに生じる状態における問題を予防または処置する。本発明の発見の1つは、抗甲状腺薬を摂取していた人が、甲状腺機能を正常未満に実際に低下させた、または血液学的状態もしくは肝臓状態に悪影響を与えた量を摂取したという事件が存在することである。本発明の好ましい実施形態は、かかる異常な機能から生じる合併症を予防および/または処置する。この好ましい実施形態は、抗甲状腺薬の処置と葉酸または還元葉酸およびビタミンB12の投与とを合わせる。別の実施形態において、この投与は、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0076】
一実施形態において、不適切な甲状腺機能の結果である状態は、脳脊髄葉酸欠乏症である。別の実施形態において、マスクされた巨赤芽球性貧血もしくはマスクされた大球性貧血、または大球性貧血は、不適切な甲状腺機能の結果である状態である。これらの状態は、両方が、不適切な甲状腺機能と最近は関係している。本発明は、不適切な甲状腺機能を有する患者から生じた脳脊髄葉酸欠乏症およびマスクされた大球性貧血を予防および処置する方法および組成物を提示する。
【0077】
一実施形態において、葉酸およびビタミンB12が投与されて、甲状腺関連の医学的状態の結果として不利な状態を患う人において、マスクされた巨赤芽球性貧血もしくはマスクされた大球性貧血、または大球性貧血を予防する。マスクされた巨赤芽球性貧血もしくはマスクされた大球性貧血、または大球性貧血の場合において、この投与は、鉄の投与と合わされてよい。必要な鉄の量は、鉄貧血の量に依る。鉄の過量摂取は有害でもあり、一定の甲状腺薬の吸収率を妨げ得ることに注意されたい。別の実施形態において、この投与は、カルシウムの投与と合わされてよく、さらに、カルシウムが、一定の甲状腺薬の吸収率を妨げ得ることにも注目されるべきである。鉄およびカルシウムの両方が、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。別の実施形態において、この投与は、L−カルニチンまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0078】
一実施形態において、甲状腺関連の医学的状態の結果である状態は、肝機能障害である。甲状腺関連の医学的状態において、肝機能障害は、予測不可能な突然の発症を考えると特異体質であり得るかまたは診断が困難であり得る。肝臓は、葉酸およびビタミンB12の貯蔵および代謝のための主要な部位の1つである。本発明は、肝機能障害によって、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12の提供によって引き起こされる悪影響を予防および処置する方法および組成物を提供する。別の実施形態において、この投与はまた、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0079】
不適切な甲状腺機能を結果として生じる別の状態は、低チロキシン血症または一時的な期間の他の甲状腺機能低下症である。低チロキシン血症は、人が、血液中の異常に低い濃度のチロキシンを患っているときである。低チロキシン血症は、葉酸欠乏症と関係することも発見された。本発明の一実施形態において、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12は、低チロキシン血症を有する人に投与されて、低チロキシン血症の結果としての合併症を予防および/または処置する。別の実施形態において、この投与は、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0080】
個体が放射性ヨウ素によって処置されるときは何度も、これにより、正常な甲状腺機能が損なわれる。本発明の一実施形態は、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12の投与を介した放射性ヨウ素による処置から生じる合併症を予防および/または処置する。さらに、人々は、甲状腺においてもしくはこれに関係する手術を経験してもよく、または甲状腺の大きさもしくは活性を結果として低下させる他の医療的手技を受けてもよい。かかる処置から生じる合併症は、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12の投与によって軽減され得る。別の実施形態において、この投与はまた、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0081】
甲状腺ホルモンの量を増大させる甲状腺刺激薬を摂取していてよい人は、自然に減少した量の甲状腺ホルモンに関係する状態を患い得る。本発明の好ましい実施形態において、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12は、甲状腺刺激薬を摂取している人に、甲状腺刺激薬と共に投与される。別の実施形態において、この投与はまた、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0082】
妊娠しているまたは授乳中の女性における異常な甲状腺機能からの臨床状態は、胎児および/または後の新生児にうつされ得る。本発明の一実施形態は、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12をこれらの妊娠しているまたは授乳中の女性に投与する。いくつかの甲状腺関連の医学的状態は、妊娠している女性における葉酸の吸収および/または低下を予防する。したがって、妊娠している女性が、葉酸(一般に葉酸)を含む出産前のビタミンサプリメントを摂取している場合があっても、甲状腺関連の医学的状態は、生物学的に活性な葉酸が胎児に達しないようにする。したがって、胎児は、母親の甲状腺関連の医学的状態からの不利な状態をひいては患う。還元葉酸を甲状腺関連の薬物状態を有する妊娠している女性に提供する本発明の実施形態は、発育に必要な還元葉酸を提供することによって、胎児が悪影響を被らないようにすることを助ける。別の実施形態において、この投与はまた、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0083】
さらに、他の甲状腺関連の医学的状態は、妊娠している女性においてビタミンB12欠乏症を引き起こし得る。母親が、葉酸および/またはビタミンB12と共に出産前のビタミンを摂取していても、甲状腺関連の医学的状態は、母親の、葉酸を生物学的に活性な形態に還元する能力を損ない得る。これにより、新生児は、不利な状態を被る。本発明の実施形態は、甲状腺関連の薬物状態を有する妊娠している女性にビタミンB12を提供して、発育に必要とされる葉酸の還元を可能にするのに必要なビタミンB12を提供することによって、胎児が悪影響を受けないようにすることを助ける。別の実施形態において、この投与はまた、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0084】
甲状腺状態の一般的な処置は、抗甲状腺薬の投与である。抗甲状腺薬は、甲状腺ホルモンにおいて作用するホルモン拮抗剤である。例として:プロピルチオウラシル、メチマゾール、カルビマゾール、および過塩素酸カリウムが挙げられる。
【0085】
抗甲状腺薬を摂取している人は、低下した葉酸レベルに関係する状態を発症しやすく、本発明の一実施形態は、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12と合わされた抗甲状腺薬を含む組成物を提供する。これらの栄養物を薬と共に投与することで、生じる葉酸欠乏症を予防することができ、または葉酸欠乏症を処置することができる。
【0086】
プロピルチオウラシルは、一般的な抗甲状腺薬である。プロピルチオウラシルは、甲状腺によって産生される甲状腺ホルモンの量を低下させることによって甲状腺機能亢進症(グレーブス疾患を含む)を処置するのに用いられるチオアミド薬である。PTUは、酵素である甲状腺ペルオキシダーゼを阻害する。プロピルチオウラシルは、妊娠におけるクラスDの薬として分類される。クラスDは、ヒトの胎児のリスクの肯定的証拠が存在することを意味する。母親の利益が、生命にかかわる状況にある胎児のリスクを上回る場合がある。PTUの胎盤通過からの胎児への最初の影響は、薬が予定日の近くで用いられるときの中程度の甲状腺機能低下症の発生である。これは、処置することなく数日以内に通常は解消する。甲状腺機能低下症の状態は、新生児において甲状腺腫として観察され得、胎児の下垂体のチロトロピンレベルの上昇の結果である。一実施形態において、プロピルチオウラシル、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12の組成物は、抗甲状腺薬を摂取する必要がある人に投与されるように作り出される。
【0087】
メチマゾールは、別の一般的な抗甲状腺薬である。別の実施形態において、メチマゾール、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12の組成物は、抗甲状腺薬を摂取する必要がある人に投与されるように作り出される。
【0088】
本発明は、言及されている特定の抗甲状腺薬に限定されず、むしろ、任意の抗甲状腺薬の組成物が、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12と合わされてよい。別の実施形態において、この投与はまた、鉄、L−カルニチン、カルシウムまたはビタミンDの投与と合わされてもよく、当該分野において既に公知であるいずれの方式によって投与されてもよい。
【0089】
VI.処置方法
本発明の多くの実施形態は、葉酸、または還元葉酸およびビタミンB12の投与を必要とする。葉酸は、投与されて、甲状腺関連の医学的状態によって作り出される葉酸欠乏症を処置する。一実施形態において、葉酸は、ビタミンB12と共に投与される葉酸である。葉酸は、生物学的に活性でないが、テトラヒドロ葉酸誘導体に変換する能力を有する多くの人に有効な処置である。
【0090】
いくつかの場合において、葉酸処置は、葉酸が生物学的に活性な形態の葉酸でないときには十分でない。いくつかの個体は、葉酸をより生物学的に活性な形態に還元することが難しいため、これらの個体に還元葉酸を提供する必要がある。本発明の好ましい実施形態は、還元葉酸の、ビタミンB12を伴う投与である。
【0091】
還元葉酸の、ビタミンB12を伴う投与は、甲状腺状態を有する多くの割合の人を予防および処置するのに十分であることが確立されている。しかし、物質の割合は、甲状腺関連の医学的状態に起因する葉酸欠乏症によってもたらされる状態を適正に予防および/または処置するように5−メチルテトラヒドロ葉酸およびビタミンB12を依然として受けなければならない。これは、本発明の最も好ましい実施形態である。実際、個体の葉酸の血液レベルが処置されて正常となっても、葉酸欠乏症の程度が著しいかまたは個体の葉酸の貯蔵が使い果たされるような持続期間にわたって延長されると、ひいては、脳脊髄葉酸レベルは、血液中の葉酸レベルの正常化にもかかわらず低いままである。
【0092】
さらに、いくつかの場合においては、葉酸の処置が葉酸欠乏症を処置するのに十分であり得るが、他の場合においては、ビタミンB12の投与が不可欠である。ビタミンB12は、葉酸が生物学的に活性となるのに不可欠である。脳脊髄葉酸欠乏症を患っていて、なお、正常な葉酸血液レベルを有し得ることが観察された。これは、血液中に葉酸が存在しているが、ビタミンB12における欠乏症のため、葉酸が生物学的に活性とならないからである。
【0093】
例えば:実施例1および実施例2(以下に議論されている)が誕生し、甲状腺機能低下症を有すると診断された。出生の際、実施例1は、実施例2よりも重篤な臨床状態を提示した。しかし、実施例1は、2mcgのビタミンB12を含むさらなるマルチビタミン栄養サプリメントを受けた。実施例2は、2mcgのビタミンB12を含む同一のマルチビタミン栄養サプリメントを受けなかった。出生のおよそ5年後に、実施例2を脳脊髄葉酸欠乏症について試験したところ、脳脊髄葉酸が欠乏していることが見出された。実施例1を実施例2の脳脊髄葉酸試験のおよそ4ヶ月後に試験したところ、脳脊髄葉酸値が正常であった。
【0094】
VII.組成物
本発明の一実施形態は、抗甲状腺薬、葉酸およびビタミンB12の組成物を含む。本発明の一実施形態において、この組成物は、甲状腺機能亢進症を有する妊娠している女性に投与される。抗甲状腺薬は、過活動甲状腺を処置するまたは甲状腺機能を抑制することが証明されているいずれの薬であってもよい。非排他的なリストは:プロピルチオウラシル、メチマゾール、カルビマゾール、および過塩素酸カリウムを含む。抗甲状腺薬の量は、患者の状態に適した、医師が処方した量である。葉酸の量は、いずれのさらなるサプリメントを患者が摂取していてよいかに応じて、NIHによって一般に推奨されている許容量の少なくとも30%以上であるべきである。ビタミンB12量は、いずれのさらなるサプリメントを患者が摂取していてよいかに応じて、NIHによって一般に推奨されている許容量の少なくとも30%以上であるべきである。投薬量は、かかる因子に応じて上昇または低下される必要があり得る。例えば、実施例1(上記および下記に議論されている)に関しては、血液学的改善を示すには1日当たり2mcgのビタミンB12が実施例1に必要とされた。これは、NIHの1日当たりの推奨許容量に対して500%の増大に等しい。この組成物は、当該分野において既に公知である必要ないずれの手段によって投与されてもよい。好ましい実施形態において、組成物は、全部で3種の要素を含有するカプセルで投与される。カプセルは、当該分野において既に公知である必要ないずれの手段によって作製されてもよい。
【0095】
抗甲状腺薬ならびに葉酸およびビタミンB12の組成物は、葉酸およびビタミンB12を患者に提供して、脳脊髄葉酸欠乏症を含めた葉酸欠乏症を予防する機能をする。ビタミンB12は、葉酸を脳髄液内に輸送することを助けるのに必要である。
【0096】
本発明のより好ましい実施形態において、組成物は、抗甲状腺薬、還元葉酸およびビタミンB12を含む。還元葉酸の量は、いずれのさらなるサプリメントを患者が摂取していてよいかに応じて、NIHによって一般に推奨されている葉酸の許容量の少なくとも30%以上であるべきである。投薬量は、かかる因子に応じて上昇または低下される必要があり得る。還元葉酸は、より生物学的に活性であるため、還元葉酸は、葉酸欠乏症を処置する際により有効である。さらに、葉酸を還元するこれらの個体は、還元葉酸を摂取することによって利益が得られる。この組成物が、かなりの割合の、脳脊髄葉酸欠乏症を有する人々に有効であることが確立されている。残りの集団には、5−メチルテトラヒドロ葉酸が必要である。
【0097】
本発明のより好ましい実施形態において、組成物は、抗甲状腺薬、5−メチルテトラヒドロ葉酸およびビタミンB12を含む。5−メチルテトラヒドロ葉酸の量は、NIHによって一般に推奨されている葉酸の許容量の少なくとも30%以上であるべきである。別の好ましい実施形態において、5−メチルテトラヒドロ葉酸の量は、0.1〜1.0mg/kg/日のフォーミュラを基準とすべきである。いずれのさらなるサプリメントを患者が摂取していてよいかに応じて、投薬量は、かかる因子に応じて上昇または低下される必要があり得る。
【0098】
他の合併症は、甲状腺関連の医学的状態から生ずるため、本発明の別の実施形態は、抗甲状腺薬、葉酸、ビタミンB12、ならびに/または鉄、および/もしくはL−カルニチンおよび/もしくはカルシウムおよび/もしくはビタミンDを含む組成物を含む。L−カルニチンは、細胞代謝において精神発達を改善することが示されている。これらの機能は、葉酸欠乏症にかかりやすい人々に必要である。加えて、実施例2(以下に記載されている)は、母親における抗甲状腺薬処置の結果として甲状腺機能低下症になった。実施例2が脳脊髄葉酸欠乏症である診断されたときに、実施例2はL−カルニチンの欠乏症も有した。抗甲状腺薬は、甲状腺機能低下症を引き起こすことが示されており、甲状腺機能低下症は鉄欠乏症を引き起こす;したがって、鉄サプリメントは、あらゆる鉄欠乏症を修正するのに好適であり得る。さらに、甲状腺機能亢進症処置が甲状腺機能低下症を引き起こす限りにおいて、甲状腺機能低下症は、副甲状腺機能低下症に関連することが見出された。カルシウムは、副甲状腺機能低下症の処置に有効であり、ビタミンDは、カルシウムの吸収を補助する。
【0099】
本発明の別の実施形態において、組成物は、甲状腺刺激薬、葉酸およびビタミンB12を含む。本発明の一実施形態において、この組成物は、甲状腺機能低下症を有する個体に投与される。甲状腺刺激薬は、甲状腺機能の低下を処置することが認められているいずれの薬またはホルモンであってよい。非排他的なリストは:
レボチロキシン、レボチロキシンナトリウム、リオチロニンナトリウム、リオトリックス、チログロブリン、チロイド、チロキシン、トリヨードチロニン、レボキシル、シントロイド、Levo−T、ユニトロイド、レボトロイド、レボキシン、Levolet、Novothyrox、トリオスタット、シトメルおよびチロラーを含む。甲状腺刺激薬の量は、患者の状態に適している、医師が処方した量である。葉酸の量は、いずれのさらなるサプリメントを患者が摂取していてよいかに応じて、NIHによって一般に推奨されている許容量の少なくとも30%以上であるべきである。投薬量は、かかる因子に応じて上昇または低下される必要があり得る。例えば、実施例1(上記および下記に議論されている)に関しては、血液学的改善を示すには1日当たり2mcgのビタミンB12が実施例1に必要とされた。これは、NIHの1日当たりの推奨許容量に対して500%の増大に等しい。この組成物は、当該分野において既に公知である必要ないずれの手段によって投与されてもよい。好ましい実施形態において、組成物は、全部で3種の要素を含有するカプセルで投与される。カプセルは、当該分野において既に公知である必要ないずれの手段によって作製されてもよい。
【0100】
甲状腺刺激薬ならびに葉酸およびビタミンB12の組み合わせは、葉酸およびビタミンB12を患者に提供して、脳脊髄葉酸欠乏症を含めた葉酸欠乏症を予防する機能をする。ビタミンB12は、葉酸を脳髄液内に輸送することを助けるのに必要である。
【0101】
本発明のより好ましい実施形態において、組成物は、甲状腺刺激薬、還元葉酸およびビタミンB12を含む。還元葉酸の量は、いずれのさらなるサプリメントを患者が摂取していてよいかに応じて、NIHによって一般に推奨されている葉酸の許容量の少なくとも30%以上であるべきである。投薬量は、かかる因子に応じて上昇または低下される必要があり得る。還元葉酸は、より生物学的に活性であるため、還元葉酸は、葉酸欠乏症を処置する際により有効である。さらに、葉酸を還元するこれらの個体は、還元葉酸を摂取することによって利益が得られる。この組成物が、かなりの割合の、脳脊髄葉酸欠乏症を有する人々に有効であることが確立されている。残りの集団には、5−メチルテトラヒドロ葉酸が必要である。
【0102】
本発明のより好ましい実施形態において、組成物は、甲状腺刺激薬、5−メチルテトラヒドロ葉酸およびビタミンB12を含む。5−メチルテトラヒドロ葉酸の量は、NIHによって一般に推奨されている葉酸の許容量の少なくとも30%以上であるべきである。別の好ましい実施形態において、5−メチルテトラヒドロ葉酸の量は、0.1〜1.0mg/kg/日のフォーミュラを基準とすべきである。いずれのさらなるサプリメントを患者が摂取していてよいかに応じて、投薬量は、かかる因子に応じて上昇または低下される必要があり得る。
【0103】
他の合併症は、甲状腺関連の医学的状態から生ずるため、本発明の別の実施形態は、甲状腺刺激薬、葉酸、ビタミンB12、ならびに/または鉄、および/もしくはL−カルニチンおよび/もしくはカルシウムおよび/もしくはビタミンDを含む組成物を含む。L−カルニチンは、細胞代謝において精神発達を改善することが示されている。これらの機能は、葉酸欠乏症にかかりやすいこれらに必要である。加えて、実施例2(以下に記載されている)は、母親における抗甲状腺薬処置の結果として甲状腺機能低下症になった。実施例2が脳脊髄葉酸欠乏症である診断されたときに、実施例2はL−カルニチンの欠乏症も有した。甲状腺機能低下症は鉄欠乏症を引き起こす;したがって、鉄サプリメントは、あらゆる鉄欠乏症を修正するのに好適であり得る。さらに、甲状腺機能低下症は、副甲状腺機能低下症に関連することが見出された。カルシウムは、副甲状腺機能低下症の処置に有効であり、ビタミンDは、カルシウムの吸収を補助する。
【実施例】
【0104】
VIII.実施例
以下の実施例は、母親において甲状腺機能低下症の状態および双子の新生児においても甲状腺機能低下症の状態を結果として作り出した過剰な抗甲状腺薬処置を妊娠の間に有した、甲状腺機能亢進症であると診断された母親に生まれた双子において提示された医学的状態を説明する。
【0105】
実施例1および実施例2は、両方とも乳児患者であった。
【0106】
実施例1および実施例2の両方が、甲状腺機能亢進症を有すると診断され、妊娠の間に過剰な抗甲状腺薬によって処置された母親に生まれ、これにより、母親においておよび胎児において甲状腺機能低下症の状態を作り出した。実施例1および実施例2の両方が子宮内で甲状腺機能低下症であったことが後に判明した。
【0107】
実施例1および実施例2の両方が、出生後に甲状腺刺激薬を受け、出生のおよそ一週間以内に甲状腺機能正常となった。
【0108】
出生直後、実施例1は、巨赤芽球性貧血および好中球減少症の証拠を有した。実施例2は、マスクされた巨赤芽球性貧血、マスクされていた場合がある好中球減少症の証拠を有した。実施例2の血液学的試験を実施例1の血液学的試験のおよそ1時間後、好中球および白血球値が上昇することを示した期間に実施したことに注目することができる。実施例1および実施例2の両方が肝機能障害の兆候を示した。母親が、抗甲状腺薬を摂取しながら妊娠の間に特異体質の肝機能障害の兆候を示したことに注目することができる。
【0109】
実施例1および実施例2の両方を、鉄サプリメントを用いて鉄欠乏症について試験した。
【0110】
実施例1および実施例2は、ビタミンB12に関して異なる栄養補充を受けた。実施例2は、ビタミンB12を含有した乳児用ミルクフォーミュラである、実施例1が受けたのと同一の乳児用ミルクフォーミュラを受けたが、実施例2は実施例1よりも少ない乳児用ミルクフォーミュラを受け、実施例2は、乳児用ミルクフォーミュラの代わりに、甲状腺機能低下症の母親からのより多くの母乳を受けた。実施例1はまた、2mcgのビタミンB12を含むさらなるマルチビタミン栄養サプリメントも受けた。実施例2は、ビタミンB12を含まない異なる型のマルチビタミン栄養サプリメントを受けた。
【0111】
実施例1は、2mcgのビタミンB12を含むさらなる栄養サプリメントを受けたとき、実施例1は、網赤血球の増大による迅速な血液学的応答を示し、正常未満から正常に移動した。これは、ビタミンB12および/または葉酸欠乏症が処置された証拠である。しかし、実施例2は、網赤血球値の退行を示し、正常未満のままであった。これは、ビタミンB12および/または葉酸欠乏症が継続していることを証拠立てている。
【0112】
実施例1および実施例2の両方が出生時およびその翌年以内に、限定されないが、成長障害、眠気、蒼白、舌炎、敗血症および腐敗症、ならびに認知機能障害、運動障害および末梢性ニューロパシーを含めた神経学的発現を含めた、脳脊髄葉酸欠乏症に関連する兆候を示した。大部分で、実施例2は、行動の問題および社会上の問題ならびに痛みを伴う運動障害を含む強烈な型の症状を示した。
【0113】
要約すると、母親の適切な葉酸代謝が、過剰な抗甲状腺薬の処置、母親の甲状腺機能低下症、および悪性貧血によって変更されて、胎芽への葉酸の送達および胎盤を横断した無傷の葉酸の輸送に重大な影響をおよぼすことが判明した。これは、実施例1および実施例2が子宮内で全身性の葉酸欠乏症を患い始めたこと、ならびに全身性の葉酸欠乏症が脳脊髄葉酸欠乏症をもたらすことを意味する。実施例1および実施例2の葉酸状態もまた、自身の甲状腺機能低下症および母親の抗甲状腺薬の胎盤通過によって影響された。実施例1および実施例2が出生直後に受け、彼らに一週間以内に甲状腺機能正常状態をもたらした甲状腺刺激薬は、脳脊髄葉酸欠乏症に十分に対処していないこと、甲状腺刺激薬の処置に関連するさらなるビタミンB12補充の後に実施例1において見られた迅速な血液学的応答も見られなかったことに注目することができる。
【0114】
実施例1および実施例2の両方が、脳脊髄葉酸欠乏症と一致する多くの状態を示した。実施例1および実施例2は、抗甲状腺薬によって処置された、甲状腺機能低下症であると診断された母親を実施例1および実施例2の両方が有し、これにより実施例1および実施例2において甲状腺機能低下症を結果としてもたらしたという点において同様である。さらに、実施例1および実施例2の両方が、出生時に甲状腺腫を有し、出生後に病院において同様の実験室処置を有し、病院から退院後いくぶん同様の生活を送った(食物、しつけ、学校、同一の薬物およびビタミンサプリメント、ワクチン接種など)。1つの有意な差異は、実施例1が実施例2よりも多くのビタミンB12補充を受けたこと、および実施例1が迅速な血液学的応答を示したことであった。
【0115】
還元葉酸、特に5−メチルテトラヒドロ葉酸またはフォリン酸の重要性
実施例1は、脳脊髄葉酸欠乏症の発症に関連する症状を患い、かつ患い続けているが、実施例1の発現は、実施例2よりも軽い程度となった。実施例2は、実施例1よりも大きな程度に脳脊髄葉酸欠乏症の症状を患い、患い続けている。
【0116】
出生のおよそ5年後および3ヶ月後に、脳脊髄葉酸レベルを実施例2において最初に観察した。実施例2の試験のおよそ4ヶ月後に、実施例1を脳脊髄葉酸欠乏症について試験した。実施例1は、正常レベルの脳脊髄葉酸を示し、これは、実施例1が出生後に受けたさらなるビタミンB12のサポート(および得られた血液学的応答)ならびに実施例1が患った脳脊髄葉酸欠乏症の発症に関連する症状がより軽いことと一致している。研究により、脳脊髄葉酸欠乏症に関連する貧血がより早くに対処されるほど、悪影響を受けた個体が、関連する葉酸欠乏症のより長い期間の影響をより良好に克服することができることが示された。実施例1の脳脊髄葉酸欠乏症試験結果にも関わらず、実施例1は、出生時の脳脊髄葉酸欠乏症から生ずる恒久的な神経学的ダメージを依然として有し、本発明の方法および組成物の必要性を実証している。
【0117】
実施例2は、正常未満のレベルの脳脊髄葉酸を示し、これは、実施例2のより少ないビタミンB12補充を考えたときの出生後の実施例2の血液学的応答の欠失、および実施例2が罹患した脳脊髄葉酸欠乏症に関連する症状と一致している。実施例2の診断後、実施例2は、フォリン酸の形態の5−メチルテトラヒドロ葉酸を受けた(1日2回5mg)。およそ4ヶ月以内に、実施例2の脳脊髄葉酸レベルが32L(好ましい範囲40〜128)からおよそ88(範囲の中間)まで上昇した。したがって、処置の4ヶ月後に、実施例2は、正常な脳脊髄葉酸レベルに達したが、実施例2は、葉酸およびビタミンB12と共にマルチビタミンを受けたときでも実施例2の生涯の最初の5年以内にかかるレベルに達することができなかった。したがって、還元葉酸は重大である。
【0118】
5−メチルテトラヒドロ葉酸処置後に、実施例2は、身体、行動および社会的スキルの改善を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉酸の投与を含む、甲状腺関連の医学的状態を予防および処置する方法。
【請求項2】
ビタミンB12の投与をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
甲状腺関連の医学的状態が、甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症によってもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
甲状腺関連の医学的状態が、脳脊髄葉酸欠乏症である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
甲状腺関連の医学的状態が、マスクされた巨赤芽球性貧血もしくはマスクされた大球性貧血、または大球性貧血である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
甲状腺関連の医学的状態が、肝機能障害である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
甲状腺関連の医学的状態が、低チロキシン血症、または甲状腺機能低下症の他の一時的な期間である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
甲状腺関連の医学的状態が、放射性ヨウ素によって処置されている、甲状腺においてもしくはこれに関係する手術を受ける、または甲状腺の大きさもしくは活性を低下させるいずれかの他の手技を経験する個体において提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
甲状腺関連の医学的状態が、抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬によって処置されているもしくはこれを摂取する、または甲状腺ホルモンもしくは甲状腺機能を上昇もしくは低下させることが意図されたいずれかの処置を経験する個体において提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
甲状腺関連の医学的状態が、甲状腺関連の医学的状態を有する母親または介護者の胎児または乳飲み子である個体において提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
葉酸が、還元葉酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
鉄の投与をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
L−カルニチンの投与をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
カルシウムまたはビタミンDをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
抗甲状腺薬または甲状腺刺激薬のいずれか、および葉酸を含む組成物。
【請求項16】
ビタミンB12をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
葉酸が、還元葉酸である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
抗甲状腺薬が、プロピルチオウラシル、メチマゾール、カルビマゾールおよび過塩素酸カリウムからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
甲状腺刺激薬が、レボチロキシン、レボチロキシンナトリウム、リオチロニンナトリウム、リオトリックス、チログロブリン、チロイド、チロキシン、トリヨードチロニン、レボキシル、シントロイド、Levo−T、ユニトロイド、レボトロイド、レボキシン、Levolet、Novothyrox、トリオスタット、シトメルおよびチロラーからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
鉄、またはL−カルニチン、またはカルシウム、またはビタミンDのいずれかをさらに含む、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2012−532891(P2012−532891A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519794(P2012−519794)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041631
【国際公開番号】WO2011/006147
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512006228)
【Fターム(参考)】