説明

画像データ処理装置、液体吐出装置及びプログラム

【課題】各画素が細線以外のエッジ画素か否かの判断を少ない計算量で行う。
【解決手段】エッジ判断部は、平均化画像データの各画素61を中心画素61aとして主走査方向に5、副走査方向に3で画素61がマトリクス配置された第1処理領域65について、中心画素61aを中心として主走査方向に関する最も外側に位置する各画素61の画像濃度値を、当該画素61の主走査方向に関して内側に隣接する画素61の画像濃度値に掛け合わせつつソーベルフィルタを適用してエッジ判断値を算出する。エッジ判断部は、エッジ判断値が第1閾値を超えたとき、中心画素61aを第1エッジ画素と判断する。第1閾値を、細線画素群のエッジ画素を中心画素61aとしたときの第1処理領域65に関するエッジ判断値以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の吐出口から画像を形成するため液体を吐出することによって記録媒体に記録される画像に係る画像データを処理する、画像データ処理装置、これを備える液体吐出装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタにおいて、ドットが滲みやすい太文字のエッジ画素については、滲みを抑制するため吐出するインク量を低減しつつ、ドットが滲みにくい細い文字のエッジ画素については、吐出するインク量を低減しない技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−153157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、インクジェットプリンタが、エッジ画素の判断を全ての画素について行った後に、エッジ画素と判断された全ての画素について細線のエッジ画素か否かを判断する2段階の処理を行っていたため、計算量が増大してしまう。
【0005】
本発明の目的は、各画素が細線以外のエッジ画素か否かの判断を少ない計算量で行うことができる画像データ処理装置、液体吐出装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像データ処理装置は、複数の吐出口から画像を形成するための液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する画像データ処理装置であって、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向にマトリクス配置された複数の画素それぞれの画像濃度値を有する画像データを記憶する画像データ記憶手段と、前記画像データ記憶手段に記憶された前記画像データを変更する変更手段と、前記複数の画素それぞれについて、当該画素を中心画素として前記複数の画素のうちの前記第1方向に1以上、前記第2方向にn(nは1以上の整数)×2+1以上でマトリクス配置された第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値を前記画像データ記憶手段より抽出し、当該第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値に微分フィルタを施して得られた前記第2方向に関するエッジ判断値が所定の第1閾値を超えたとき、当該第1処理領域に係る前記中心画素をエッジ画素と判断するエッジ判断手段とを備えている。前記第1閾値は、前記画像濃度値が所定値以上の画素が前記第2方向にnの数で連続し且つ前記第1方向に延在する細線画素群における、前記第2方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素とする前記第1処理領域に前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記第2方向に関する前記エッジ判断値以上の値であり、前記変更手段は、前記複数の画素のうち前記エッジ判断手段によりエッジ画素と判断された画素の前記画像濃度値を小さくするように前記画像データを変更する。
【0007】
本発明の液体吐出装置は、複数の吐出口から画像を形成するため液体を吐出する液体吐出ヘッドと、上述の画像データ処理装置とを備えている。
【0008】
本発明のプログラムは、複数の吐出口から画像を形成するため液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する画像データ処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向にマトリクス配置された複数の画素それぞれの画像濃度値を有する画像データを記憶する画像データ記憶手段、前記画像データ記憶手段に記憶された前記画像データを変更する変更手段、及び、前記複数の画素それぞれについて、当該画素を中心画素として前記複数の画素のうちの前記第1方向に1以上、前記第2方向にn(nは1以上の整数)×2+1以上でマトリクス配置された第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値を前記画像データ記憶手段より抽出し、当該第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値に微分フィルタを施して得られた前記第2方向に関するエッジ判断値が所定の第1閾値を超えたとき、当該第1処理領域に係る前記中心画素をエッジ画素と判断するエッジ判断手段としてコンピュータを機能させる。前記第1閾値は、前記画像濃度値が所定値以上の画素が前記第2方向にnの数で連続し且つ前記第1方向に延在する細線画素群における、前記第2方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素とする前記第1処理領域に前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記第2方向に関する前記エッジ判断値以上の値であり、前記変更手段は、前記複数の画素のうち前記エッジ判断手段によりエッジ画素と判断された画素の前記画像濃度値を小さくするように前記画像データを変更する。
【0009】
本発明によると、第1処理領域における中心画素から第2方向に関する外端の画素までの画素数を、細線画素群の幅方向に関する画素数(n)よりも大きくすると共に、第1閾値を、細線画素群の外端の画素を中心画素としたときのエッジ判断値以上にすることによって、エッジ画素の判断と、エッジ画素が細線のエッジ画素であるか否かの判断とを同時に行うことができる。これにより、各画素が細線以外のエッジ画素か否かの判断を、少ない計算量で行うことができる。
【0010】
本発明においては、前記第1閾値が、前記画像濃度値が前記所定値以上の画素が前記第2方向にn+1の数で連続し且つ前記第1の方向に延在する太線画素群における、前記第2方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素として前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記エッジ判断値未満の値であることが好ましい。これによると、エッジ判断手段が、太線画素群のエッジ画素を確実にエッジ画素と判断するため、変更手段が、当該エッジ画素の画像濃度値を小さくして、当該画像データに係る画像が記録媒体に記録されたとき、太線のエッジが滲むのを抑制することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記第1処理領域が、前記中心画素を中心として前記第1方向に3、前記第2方向にn×2+1でマトリクス配置された複数の画素から構成されることが好ましい。これによると、精度を落とさず且つ少ない計算量でエッジ画素の判断を行うことができる。
【0012】
さらに、本発明においては、前記所定値は、吐出される液体の体積が異なる3以上の画像濃度値のうち、3番目に小さい画像濃度値以上であることが好ましい。これによると、エッジ判断手段が、2番目に小さい画像濃度値を有するエッジ画素をエッジ画素と判断しないため、当該エッジ画素に対応するドットが、変更手段の処理によって消滅するのを防止することができる。
【0013】
加えて、本発明においては、前記変更手段が、前記エッジ判断手段によりエッジ画素と判断された画素の画像濃度値が、吐出される液体の体積が小さくなる画像濃度値となるように、前記画像データを変更することが好ましい。これによると、エッジ画素に対応するドットに関して、吐出される液体の体積を確実に小さくすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記複数の画素それぞれについて、当該画素の前記画像濃度値を、当該画素を中心画素として前記第1方向に3以上、前記第2方向に3以上で画素がマトリクス配置された平均領域における前記画像濃度値の平均値を算出する移動平均算出手段をさらに備えており、前記エッジ判断手段が、前記複数の画素それぞれの前記画像濃度値を、前記移動平均手段によって算出された前記画像濃度値として、エッジ画素の判断を行うことが好ましい。これによると、各画素の画像濃度値が平均化されることによって、エッジ画素に隣接する独立点などノイズの影響に起因するエッジ画素についての誤判断を抑制することができる。
【0015】
さらに、本発明においては、前記エッジ判断手段が、前記第1処理領域に関して、前記中心画素を中心として前記第2方向に関する外側に位置する各画素の画像濃度値を当該画素の前記第2方向に関して内側に隣接する画素の画像濃度値に掛け合わせた後に、前記微分フィルタを施すことが好ましい。これによると、第1処理領域における中心画素の第2方向に関する外側に位置する画素の画像濃度値が、第2方向に関して内側に隣接する画素の画像濃度値に掛け合わされることによって、画像濃度値が低い領域が強調(拡大)されやすくなる。したがって、微分フィルタの適用結果において、細線空間(濃度値が低い細線)が隣接しているエッジ画素をエッジ画素として判断しやすくなる。
【0016】
加えて、本発明においては、エッジ判断手段が、前記複数の画素それぞれについて、当該画素を中心画素として前記複数の画素のうちの前記第2方向に1以上、前記第1方向にn(nは1以上の整数)×2+1以上でマトリクス配置された第2処理領域に係る画素の前記画像濃度値を前記画像データ記憶手段より抽出し、当該第2処理領域に係る画素の前記画像濃度値に微分フィルタを施して得られた前記第1方向に関するエッジ判断値が所定の第2閾値を超えたとき、当該第2処理領域に係る前記中心画素をエッジ画素とさらに判断し、前記第2閾値は、前記画像濃度値が所定値以上の画素が前記第1方向にnの数で連続し且つ前記第2方向に延在する細線画素群における、前記第1方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素とする前記第2処理領域に前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記第1方向に関する前記エッジ判断値以上の値であることが好ましい。これによると、各画素について、第1及び第2方向に関するエッジ画素か否かを判断することができる。
【0017】
また、本発明においては、前記微分フィルタがソーベルフィルタであることが好ましい。これによると、エッジ画素の判断を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、第1処理領域における中心画素から第2方向に関する外端の画素までの画素数を、細線画素群の幅方向に関する画素数(n)よりも大きくすると共に、第1閾値を、細線画素群の外端の画素を中心画素としたときのエッジ判断値以上にすることによって、エッジ画素の判断と、エッジ画素が細線のエッジ画素であるか否かの判断とを同時に行うことができる。これにより、各画素が細線以外のエッジ画素か否かの判断を、少ない計算量で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態によるインクジェットプリンタの概略平面図である。
【図2】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図3】図2に示す画像データ記憶部に記憶されている画像データの一例である。
【図4】図2に示す移動平均算出部の機能を説明するための図である。
【図5】図2に示すエッジ判断部に係る第1エッジ処理を説明するための図である。
【図6】図2に示すエッジ判断部に係る第2エッジ処理を説明するための図である。
【図7】図2に示す画像データ処理部に係る前処理の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
インクジェットプリンタ101は、図1に示すように、図1上方から下方に向かって用紙Pを搬送する搬送ユニット20と、搬送ユニット20によって搬送された用紙Pに、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインク滴をそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド1と、インクジェットプリンタ101全体を制御する制御装置16とを有している。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット20で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
【0022】
搬送ユニット20は、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、図示しない搬送モータから駆動力が与えられることで回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って回転する。搬送ベルト8の外周面に載置された用紙Pは、図1下方へと搬送される。
【0023】
4つのインクジェットヘッド1は、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向には互いに平行に配置されている。すなわち、インクジェットプリンタ101は、主走査方向にインク滴が吐出される複数の吐出口が配列されたライン式のカラーインクジェットプリンタである。
【0024】
搬送ベルト8の上側ループの外周面と吐出面とが対向しつつ平行となっている。搬送ベルト8によって搬送されてきた用紙Pが4つのインクジェットヘッド1のすぐ下方を通過する際に、各インクジェットヘッド1から用紙Pの上面に向けて各色のインク滴が順に吐出され、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0025】
次に、図2を参照しつつ、制御装置16について説明する。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御装置16を構成する各機能部は、これらハードウェアとEEPROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。図2に示すように、制御装置16は、搬送制御部31と、画像データ処理部33と、ヘッド制御部32とを有している。
【0026】
搬送制御部31は、搬送方向に沿って用紙Pが搬送されるように搬送ユニット20の搬送モータを制御する。
【0027】
画像データ処理部33は、用紙Pに印刷される画像に係る細線以外のエッジを形成するエッジ画素の画像濃度値が小さくなるように、画像データの前処理を行う。画像データ処理部33は、画像データ記憶部41と、移動平均算出部42と、エッジ判断部43と、変更部44とを有している。画像データ記憶部41は、用紙Pに印刷される画像に係る画像データ50を記憶している。画像データ50は、図3に示すように、用紙Pの印刷領域に対応するように、主走査方向及び副走査方向にマトリクス配置された各画素51について、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの4色それぞれの画像濃度値を有している。画像濃度値は、インク吐出量に応じて4値(インク吐出無し、小滴インク、中滴インク、大滴インク)に量子化された値である。なお、図3においては、画像データ50の一部の画素51に係るブラックの画像濃度値を示している。また、中滴インク以上の画像濃度値を「1」で、それ以外の画像濃度値を「0」で示している。
【0028】
移動平均算出部42は、図3及び図4に示すように、画像データ記憶部41に記憶された画像データ50の各画素51について、当該画素51を中心画素51aとして主走査方向に3、副走査方向に3で画素51がマトリクス配置された平均領域55を画定し、各平均領域55における画像濃度値の平均値を算出する。移動平均算出部42は、各画素51について算出した平均値を、当該画素51に対応する画素61の画像濃度値として、主走査方向及び副走査方向にマトリクス配置された画素61の画像濃度値を有する平均化画像データ60を作成する。
【0029】
エッジ判断部43は、移動平均算出部42が作成した平均化画像データ60の各画素61について、中滴以上の画像濃度値を有する画素51が2個(n個)を超えて主走査方向に連続する幅を有しつつ副走査方向に延在するエッジの外端画素である第1エッジ画素か否かを判断する第1エッジ判断処理と、中滴以上の画像濃度値を有する画素51が2個(n個)を超えて副走査方向に連続する幅を有しつつ主走査方向に延在するエッジの外端画素である第2エッジ画素か否かを判断する第2エッジ判断処理とを順に行う。
【0030】
第1エッジ判断処理について説明する。エッジ判断部43は、図4及び図5(a)に示すように、平均化画像データ60の各画素61について、当該画素61を中心画素61aとして主走査方向に5(n×2+1:n=2)、副走査方向に3で画素61がマトリクス配置された第1処理領域65を抽出する。エッジ判断部43は、抽出した第1処理領域65について、中心画素61aを中心として主走査方向に関する最も外側に位置する各画素61の画像濃度値を、当該画素61の主走査方向に関して内側に隣接する画素61の画像濃度値に掛け合わせる反映処理を行う。図5(a)においては、D11、D21、D31、D15、D25、D35の画素61の画像濃度値を、D12、D22、D32、D14、D24、D34の画素61の画像濃度値にそれぞれ掛け合わせる。
【0031】
さらに、エッジ判断部43は、反映処理が行われた第1処理領域65に対して、図5(b)に示す、主走査方向に関するソーベルフィルタ(一次微分フィルタ)71を施すことによって主走査方向に関するエッジ判断値Δg0を算出するフィルタ処理を行う。エッジ判断部43は、算出したエッジ判断値Δg0が第1閾値を超えたとき、当該中心画素61aを第1エッジ画素と判断する。
【0032】
エッジ判断部43は、次式(1)を用いることによって、上述の反映処理及びフィルタ処理を同時に行う。
Δg0=1・D11+2・D21+1・D31+2・(D12・D11)+4・(D22・D21)+2・(D32・D31)−2(D14・D15)―4・(D24・D25)―2・(D34・D35)―1・D15―2・D25―1・D35 ・・・(1)
【0033】
ここで、第1閾値は、図5(c)に示すように、画像濃度値が所定値以上(本実施形態においては、3番目に小さい画像濃度値である中滴インクに係る画像濃度値)の画素51が主走査方向に2つ(n=2)連続し且つ副走査方向に延在する細線画素群における、主走査方向に関する外端の1つの画素51c(細線のエッジを形成するエッジ画素)に対応する画素61を中心画素61aとする第1処理領域65について、上述の第1エッジ判断処理を行うことによって得られるエッジ判断値Δg0である。このとき、第1閾値は、画像濃度値が所定値以上の画素51が主走査方向に3つ(n+1=3)の数で連続し且つ副走査方向に延在する太線画素群における、主走査方向に関する外端の1つの画素51c(太線のエッジを形成するエッジ画素)に対応する画素61を中心画素61aとする第1処理領域65について、上述の第1エッジ判断処理を行うことによって得られるエッジ判断値Δg0未満となっている。
【0034】
次に、第2エッジ判断処理について説明する。エッジ判断部43は、図6(a)に示すように、移動平均算出部42が作成した平均化画像データ60の各画素61について、当該画素61を中心画素61bとして副走査方向に5(n×2+1:n=2)、主走査方向に3で画素61がマトリクス配置された第2処理領域66を抽出する。エッジ判断部43は、抽出した第2処理領域66について、中心画素61bを中心として副走査方向に関する最も外側に位置する各画素61の画像濃度値を、当該画素61の副走査方向に関して内側に隣接する画素61の画像濃度値に掛け合わせる反映処理を行う。図6(a)においては、D41、D42、D43、D81、D82、D83の画素61の画像濃度値を、D51、D52、D53、D71、D72、D73の画素61の画像濃度値に、それぞれ掛け合わせる。
【0035】
さらに、エッジ判断部43は、反映処理が行われた第2処理領域66に対して、図6(b)に示す、副走査方向に関するソーベルフィルタ72を施すことによって副走査方向に関するエッジ判断値Δg90を算出するフィルタ処理を行う。エッジ判断部43は、算出したエッジ判断値Δg90が第2閾値を超えたとき、当該中心画素61bを第2エッジ画素と判断する。
【0036】
エッジ判断部43は、次式(2)を用いることによって、上述の反映処理及びフィルタ処理を同時に行う。
Δg90=1・D41+2・D42+1・D43+2・(D51・D41)+4・(D52・D42)+2・(D53・D43)−2(D71・D81)―4・(D72・D82)―2・(D73・D83)―1・D81―2・D82―1・D83 ・・・(2)
【0037】
ここで、第2閾値は、図6(c)に示すように、画像濃度値が所定値以上(本実施形態においては、3番目に小さい画像濃度値である中滴インクに係る画像濃度値)の画素51が副走査方向に2つ(n=2)連続し且つ主走査方向に延在する細線画素群における、副走査方向に関する外端の1つの画素51d(細線のエッジを形成するエッジ画素)に対応する画素61を中心画素61bとする第2処理領域66について、上述の第2エッジ判断処理を行うことによって得られるエッジ判断値Δg90である。このとき、第2閾値は、画像濃度値が所定値以上の画素61が副走査方向に3つ(n+1=3)の数で連続し且つ主走査方向に延在する太線画素群における、副走査方向に関する外端の1つの画素51d(太線のエッジを形成するエッジ画素)に対応する画素61を中心画素61bとする第2処理領域66について、上述の第2エッジ判断処理を行うことによって得られるエッジ判断値Δg90未満となっている。
【0038】
変更部44は、エッジ判断部43により第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断された画素61に対応する画素51の画像濃度値が、吐出されるインク滴の体積が小さくなる画像濃度値となるように、画像データ50を変更する。具体的には、第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断された画素61に対応する画素51の画像濃度値が大滴インクに係る画像濃度値であれば、当該画像濃度値を中滴インクに係る画像濃度値に変更し、第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断された画素61に対応する画素51の画像濃度値が中滴インクに係る画像濃度値であれば、当該画像濃度値を小滴インクに係る画像濃度値に変更する。なお、上述したように、エッジ判断部43によって、中滴インク以上の画像濃度値を有する画素61のみが第1エッジ画素及び第2エッジ画素と判断されるように、所定値が決定されているため、小滴インクに係る画像濃度値を有するエッジ画素については、画像濃度値が変更されることがない。
【0039】
ヘッド制御部32は、変更部44によって変更された画像データに基づいて、所望の体積のインク滴が所望のタイミングで吐出口から吐出されるように、各インクジェットヘッド1を駆動する。このとき、第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断された画素61に対応する画素51の画像濃度値が低減されているため、第1エッジ画素又は第2エッジ画素に対応するドットに関するインク吐出量が低減され、印刷画像においてエッジが滲むことが抑制される。そして、細線のエッジ画素については、第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断されないため、当該エッジ画素に対応するドットに関するインク吐出量が低減されることがない。これにより、細線の視認性が低下するのが防止される。
【0040】
次に画像データ処理部33に係る前処理の動作手順について説明する。図7に示すように、上位のコンピュータから印刷指令と共に画像データ50が送信されると、送信された画像データ50が画像データ記憶部41に記憶される(S101)。移動平均算出部42が、画像データ記憶部41に記憶された画像データ50の各画素51について、平均領域55を画定すると共に各平均領域55における画像濃度値の平均値を算出することによって、平均化画像データ60を作成する(S102)。
【0041】
エッジ判断部43は、移動平均算出部42が作成した平均化画像データ60の各画素61を中心画素61aとする第1処理領域65を抽出すると共に、抽出した第1処理領域65に対して上述の式(1)を適用することによって、各画素61に係るエッジ判断値Δg0を算出する。エッジ判断部43は、算出したエッジ判断値Δg0が第1閾値を超えたとき、対応する画素61を第1エッジ画素と判断する(S103)。さらに、エッジ判断部43は、平均化画像データ60の各画素61を中心画素61bとする第2処理領域66を抽出すると共に、抽出した第2処理領域66に対して上述の式(2)を適用することによって、各画素61に係るエッジ判断値Δg90を算出する。エッジ判断部43は、算出したエッジ判断値Δg90が第2閾値を超えたとき、対応する画素61を第2エッジ画素と判断する(S104)。
【0042】
変更部44は、エッジ判断部43により第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断された画素61に対応する画素51の画像濃度値が、吐出されるインク滴の体積が小さくなる画像濃度値となるように、画像データ50を変更する(S105)。以上で、前処理が完了し、図7のフローチャートを終了する。
【0043】
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ101によると、第1エッジ判断処理において、第1処理領域65(第2処理領域66)における中心画素61aから主走査方向(副走査方向)に関する外端の画素61までの画素数を、細線画素群の幅方向に関する画素数(n)よりも大きくすると共に、第1閾値(第2閾値)を、細線画素群の外端の1つの画素51に対応する画素61を中心画素61a(中心画素61b)としたときのエッジ判断値Δg0(Δg90)にするため、エッジ判断部43が、第1エッジ画素(第2エッジ画素)であるか否かの判断と、第1エッジ画素(第2エッジ画素)が細線のエッジ画素であるか否かの判断とを同時に行うことができる。これにより、各画素61が細線画素群以外の第1エッジ画素(第2エッジ画素)である否かの判断を少ない計算量で行うことができる。
【0044】
また、第1及び第2閾値が、太線画素群の外端の1つの画素51に対応する画素61を中心画素61aとしたときのエッジ判断値Δg0、Δg90未満であるため、エッジ判断部43が、各画素61が太線画素群の外端の画素を確実に第1及び第2エッジ画素であると判断したとき、変更部44が、太線画素群の第1及び第2エッジ画素に係る画像濃度値を確実に小さくする。これにより、印刷結果において、太線のエッジが滲むのを抑制することができる。
【0045】
また、第1処理領域65が、中心画素61aを中心として副走査方向に3、主走査方向にn×2+1でマトリクス配置された画素61から構成されており、第2処理領域66が、中心画素61bを中心として主走査方向に3、副走査方向にn×2+1でマトリクス配置された画素61から構成されているため、精度を落とすことなく、且つ、少ない計算量で各画素61が第1及び第2エッジ画素か否かを判断することができる。
【0046】
さらに、第1及び第2エッジ判断処理に係る所定値が、中滴インクに係る画像濃度値以上であるため、エッジ判断部43が、小滴インクに係る画像濃度値を有するエッジ画素を第1及び第2エッジ画素と判断することがない。これにより、小滴インクの画像濃度値を有するエッジ画素に対応するドットが、変更部44の処理によって消滅するのを防止することができる。
【0047】
加えて、変更部44が、エッジ判断部43により第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断された画素51の画像濃度値が、吐出されるインク滴の体積が小さくなる画像濃度値となるように、画像データ50を変更するため、第1及び第2エッジ画素に関するインク吐出量を確実に小さくすることができる。これにより、印刷画像においてエッジが滲むのを確実に抑制することができる。
【0048】
また、移動平均算出部42が、画像データ記憶部41に記憶された画像データ50の各画素51について、平均領域55を画定すると共に各平均領域55における画像濃度値の平均値を算出した後に、エッジ判断部43が第1及び第2エッジ判断処理を行う。このように、各画素61の画像濃度値が平均化されることによって、エッジ画素に隣接する独立点などノイズの影響に起因する第1及び第2エッジ画素についての誤判断を抑制することができる。
【0049】
さらに、エッジ判断部43が、第1及び第2エッジ判断処理において、反映処理を行うため、第1処理領域65(第2処理領域66)における中心画素61a(61b)の主走査方向(副走査方向)に関する外側に位置する画素61の画像濃度値が、主走査方向(副走査方向)に関して内側に隣接する画素61の画像濃度値に掛け合わされ、画像濃度値が低い領域が強調(拡大)されやすくなる。したがって、細線空間(画像濃度値が低い画素群)が隣接しているエッジ画素をエッジ画素として判断しやすくなる。
【0050】
加えて、エッジ判断部43が、第1及び第2エッジ判断処理を行うことによって、各画素61について、主走査方向及び副走査方向に関するエッジ画素か否かを判断することができる。
【0051】
また、第1及び第2エッジ判断処理において、一次微分フィルタであるソーベルフィルタを用いるため、エッジ画素の判断を効率よく行うことができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態では、画像データ50の各画素51が4値に量子化された画像濃度値を有する構成であるが、各画素51は、2値、3値又は5値以上で量子化された画像濃度値を有する構成であってもよいし、量子化されていない画像濃度値を有する構成であってもよい。
【0053】
また、上述の実施形態においては、第1及び第2エッジ判断処理が別々に行われる構成であるが、両方の判断処理を同時に行ってもよい、その場合、第1及び2処理領域65、66の代わりに、中心画素61を中心として主走査方向にn×2+1以上、副走査方向にn×2+1以上でマトリクス配置された画素61から構成される第3処理領域を設定し、第1及び第2閾値の代わりとして、Δg0の2乗にΔg90の2乗を加えた値を算出し、この値を1/2乗した値(第3閾値)を用いてもよい。この場合には計算時間の短縮を図ることが可能となる。なお、第3閾値としてΔg0及びΔg90のうち、小さい方の値を用いてもよい。
【0054】
また、上述の実施形態においては、第1及び第2閾値が、画素51が2つ連続する幅を有する細線画素群の外端の画素51に対応する画素61を中心画素61a、61bとしたときのエッジ判断値Δg0、Δg90となっているが、第1及び第2閾値が、当該エッジ判断値Δg0、Δg90以上であってもよい。このとき、第1及び第2閾値が、画素51が3つ連続する幅を有する太線画素群の外端の画素51に対応する画素61を中心画素61a、61bとしたときのエッジ判断値Δg0、Δg90未満となっているが、第1及び第2閾値が、画素61が4つ以上連続する幅を有する太線画素の外端の画素61を中心画素61aとしたときのエッジ判断値Δg0、Δg90未満となっていてもよい。このように第1及び第2閾値を高めに設定することにより、確実に細線画素群のエッジを画像データの変更対象(濃度値減少処理の対象)から除外することが可能となる。
【0055】
さらに、上述の実施形態においては、第1処理領域65が、副走査方向に3、主走査方向にn×2+1でマトリクス配置された画素61から構成されており、第2処理領域66が、主走査方向に3、副走査方向にn×2+1でマトリクス配置された画素61から構成されているが、第1処理領域が、副走査方向に1、2又は4以上、主走査方向にn×2+1以上でマトリクス配置された画素61から構成されてもよいし、第2処理領域が、主走査方向に1、2又は4以上、副走査方向にn×2+1以上でマトリクス配置された画素61から構成されてもよい。この場合、第1エッジ処理においては、主走査方向に関して、少なくとも中心画素からn番目の画素の画像濃度値に、当該画素の外側に隣接する画素の濃度値が掛け合わされればよい。また、第2エッジ処理においては、副走査方向に関して、少なくとも中心画素からn番目の画素の画像濃度値に、当該画素の外側に隣接する画素の濃度値が掛け合わされればよい。
【0056】
さらに、第1及び第2エッジ判断処理に係る所定値が、中滴インクに係る画像濃度値以上である構成であるが、所定値が、大滴インクに係る画像濃度値以上であってもよい。さらに、画像濃度値における中間階調の任意の値であってもよい。
【0057】
加えて、上述の実施形態においては、変更部44が、エッジ判断部43により第1エッジ画素又は第2エッジ画素と判断された画素51の画像濃度値が、吐出されるインク滴の体積が小さくなる画像濃度値となるように、画像データ50を変更する構成であるが、吐出されるインク滴の体積と関係なく画像濃度値を小さくする構成であってもよい。
【0058】
また、上述の実施形態においては、移動平均算出部42が、画像データ記憶部41に記憶された画像データ50の各画素51について、平均領域55を画定すると共に各平均領域55における画像濃度値の平均値を算出した後に、エッジ判断部43が第1及び第2エッジ判断処理を行う構成であるが、画像データ50の平均化を行うことなく、第1及び第2エッジ判断処理を行ってもよい。なお、移動平均算出部42による処理(移動平均処理)については、先に述べたノイズ除去の効果の他、平均領域55に含まれる画素の画像濃度値が反映される(第1処理領域に隣接する画素の画像濃度値が、第1処理領域の画素濃度値に反映される)ため、nの値を小さくして第1処理領域の範囲を小さくすることも可能であり、この場合には、少ない計算量でエッジ画素を判断することも可能である。
【0059】
さらに、上述の実施形態においては、エッジ判断部43が、第1及び第2エッジ判断処理において、反映処理を行う構成であるが、反映処理を行わない構成であってもよい。
【0060】
また、上述の実施形態においては、第1及び第2エッジ判断処理において、一次微分フィルタであるソーベルフィルタを用いられる構成であるが、他の一次微分フィルタを用いてもよいし、ラブラシアンフィルタなど二次微分フィルタを用いてもよい。
【0061】
加えて、上述の実施形態では、ライン式のインクジェットプリンタに本発明を適用した例について説明したが、シリアル式のインクジェットプリンタにも本発明は適用可能である。
【0062】
本発明は、インク以外の液体を吐出する記録装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。
【0063】
また、上述の実施形態においては、インクジェットプリンタ101に本発明を適用した例について説明したが、画像データを処理する画像データ処理装置にも本発明は適用可能である。また、コンピュータにインストールされたアプリケーションソフト又はドライバソフトにも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 インクジェットヘッド
16 制御装置
31 搬送制御部
32 ヘッド制御部
33 画像データ処理部
41 画像データ記憶部
42 移動平均算出部
43 エッジ判断部
44 変更部
50 画像データ
51 画素
51a 中心画素
55 平均領域
60 平均化画像データ
61 画素
61a、61b 中心画素
65 第1処理領域
66 第2処理領域
72 ソーベルフィルタ
101 インクジェットプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出口から画像を形成するための液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する画像データ処理装置であって、
第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向にマトリクス配置された複数の画素それぞれの画像濃度値を有する画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
前記画像データ記憶手段に記憶された前記画像データを変更する変更手段と、
前記複数の画素それぞれについて、当該画素を中心画素として前記複数の画素のうちの前記第1方向に1以上、前記第2方向にn(nは1以上の整数)×2+1以上でマトリクス配置された第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値を前記画像データ記憶手段より抽出し、当該第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値に微分フィルタを施して得られた前記第2方向に関するエッジ判断値が所定の第1閾値を超えたとき、当該第1処理領域に係る前記中心画素をエッジ画素と判断するエッジ判断手段とを備えており、
前記第1閾値は、前記画像濃度値が所定値以上の画素が前記第2方向にnの数で連続し且つ前記第1方向に延在する細線画素群における、前記第2方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素とする前記第1処理領域に前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記第2方向に関する前記エッジ判断値以上の値であり、
前記変更手段は、前記複数の画素のうち前記エッジ判断手段によりエッジ画素と判断された画素の前記画像濃度値を小さくするように前記画像データを変更することを特徴とする画像データ処理装置。
【請求項2】
前記第1閾値は、前記画像濃度値が前記所定値以上の画素が前記第2方向にn+1の数で連続し且つ前記第1の方向に延在する太線画素群における、前記第2方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素として前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記エッジ判断値未満の値であることを特徴とする請求項1に記載の画像データ処理装置。
【請求項3】
前記第1処理領域は、前記中心画素を中心として前記第1方向に3、前記第2方向にn×2+1でマトリクス配置された複数の画素から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像データ処理装置。
【請求項4】
前記所定値は、吐出される液体の体積が異なる3以上の画像濃度値のうち、3番目に小さい画像濃度値以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像データ処理装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記エッジ判断手段によりエッジ画素と判断された画素の画像濃度値が、吐出される液体の体積が小さくなる画像濃度値となるように、前記画像データを変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像データ処理装置。
【請求項6】
前記複数の画素それぞれについて、当該画素の前記画像濃度値を、当該画素を中心画素として前記第1方向に3以上、前記第2方向に3以上で画素がマトリクス配置された平均領域における前記画像濃度値の平均値を算出する移動平均算出手段をさらに備えており、
前記エッジ判断手段が、前記複数の画素それぞれの前記画像濃度値を、前記移動平均手段によって算出された前記画像濃度値として、エッジ画素の判断を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像データ処理装置。
【請求項7】
前記エッジ判断手段は、前記第1処理領域に関して、前記中心画素を中心として前記第2方向に関する外側に位置する各画素の画像濃度値を当該画素の前記第2方向に関して内側に隣接する画素の画像濃度値に掛け合わせた後に、前記微分フィルタを施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像データ処理装置。
【請求項8】
エッジ判断手段が、前記複数の画素それぞれについて、当該画素を中心画素として前記複数の画素のうちの前記第2方向に1以上、前記第1方向にn(nは1以上の整数)×2+1以上でマトリクス配置された第2処理領域に係る画素の前記画像濃度値を前記画像データ記憶手段より抽出し、当該第2処理領域に係る画素の前記画像濃度値に微分フィルタを施して得られた前記第1方向に関するエッジ判断値が所定の第2閾値を超えたとき、当該第2処理領域に係る前記中心画素をエッジ画素とさらに判断し、
前記第2閾値は、前記画像濃度値が所定値以上の画素が前記第1方向にnの数で連続し且つ前記第2方向に延在する細線画素群における、前記第1方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素とする前記第2処理領域に前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記第1方向に関する前記エッジ判断値以上の値であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に画像データ処理装置。
【請求項9】
前記微分フィルタがソーベルフィルタであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像データ処理装置。
【請求項10】
複数の吐出口から画像を形成するため液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像データ処理装置とを備えていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
複数の吐出口から画像を形成するため液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する画像データ処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向にマトリクス配置された複数の画素それぞれの画像濃度値を有する画像データを記憶する画像データ記憶手段、
前記画像データ記憶手段に記憶された前記画像データを変更する変更手段、及び、
前記複数の画素それぞれについて、当該画素を中心画素として前記複数の画素のうちの前記第1方向に1以上、前記第2方向にn(nは1以上の整数)×2+1以上でマトリクス配置された第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値を前記画像データ記憶手段より抽出し、当該第1処理領域に係る画素の前記画像濃度値に微分フィルタを施して得られた前記第2方向に関するエッジ判断値が所定の第1閾値を超えたとき、当該第1処理領域に係る前記中心画素をエッジ画素と判断するエッジ判断手段としてコンピュータを機能させ、
前記第1閾値は、前記画像濃度値が所定値以上の画素が前記第2方向にnの数で連続し且つ前記第1方向に延在する細線画素群における、前記第2方向に関する外端の画素の1つを前記中心画素とする前記第1処理領域に前記エッジ判断手段による処理を施して得られる前記第2方向に関する前記エッジ判断値以上の値であり、
前記変更手段は、前記複数の画素のうち前記エッジ判断手段によりエッジ画素と判断された画素の前記画像濃度値を小さくするように前記画像データを変更することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−207136(P2011−207136A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78604(P2010−78604)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】