説明

画像データ処理装置及び画像データ処理方法

【解決課題】 バリアブル印刷により異なる内容の印刷物を複数印刷した場合でも、印刷物を容易に識別でき、印刷した印刷物が混在した場合でも、容易に分類することができるようにする。
【解決手段】 マスタデータ、差替部品データ、及び追加データを編集合成して出力画像データを生成し(102)、綴じ代・裁断領域を設定し(104)、設定された識別情報に対応する記録データを分冊毎に生成する(108)。分冊の一番外側のページの記録用紙に印刷される面付け画像データの中央の綴じ代・裁断領域部分に記録データを合成する(112、114)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像データ処理装置及び画像データ処理方法に係り、特に、画像データに基づく画像印刷の実行を指示する画像データ処理装置及び画像データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データに基づく画像印刷の実行を指示する画像データ処理装置では、まず、ネットワークを介して接続された複数の一般的なパーソナルコンピュータ(ホストPC)から順次送信される印刷対象の画像データや画像データの印刷条件情報を含む画像印刷を指示する印刷ジョブデータを受信する。そして、印刷ジョブデータに従って複数の画像データを合成する等の画像編集処理を行い、処理した最終的な出力データをネットワークを介して画像印刷装置へ送信する。この出力データを受信した画像印刷装置では、出力データに含まれる画像データを必要に応じてビットマップ展開及び解像度変換等の所定の印刷前処理を行い、画像として印刷出力している。
【0003】
このような画像印刷システムでは、複数の印刷物を印刷する際に、冊子印刷やパンチ処理印刷を行うことができ、冊子印刷では、フィニッシャの制約などにより、冊子を分冊している。
【0004】
また、近年、出力部毎に画像データを追加したり、画像データの一部を差替えることより、内容が一部分異なる画像データを印刷出力する、所謂バリアブル印刷が行われている。
【0005】
ここで、画像印刷装置を用いた画像印刷システムにおいて、バリアプル印刷で分冊される冊子作成を行う場合に、分冊の判別のために各ページにバーコードなどの識別子を付与し、予定された順序と合致しているか否かを確認する冊子作成システムが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002―293061公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冊子作成システムでは、バーコードを読み取るためのバーコードリーダが必要であり、また、各ページに印刷されたバーコードでは各ページの順序が分かるだけで、バリアブル印刷により作成された複数の冊子を容易に識別することができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、バリアブル印刷により内容が一部分異なる印刷物を複数作成した場合でも、印刷物を容易に識別でき、作成した印刷物が混在した場合でも、容易に分類することができる画像データ処理装置及び画像データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る画像データ処理装置は、各々内容を一部分異ならせた複数の冊子であって各冊子が複数の分冊で構成された複数の冊子を作成するための画像データ、及び作成されたときに各冊子を目視で識別可能な識別情報を取得する取得手段と、前記識別情報に対応する記録データを各分冊毎に生成する生成手段と、前記画像データの前記分冊を作成するために重ねて2つ折りしたときに外側に位置する記録用紙に画像を記録するための部分に、前記生成手段によって生成された分冊毎の記録データを合成して出力する合成出力手段と、を備えて構成されている。
【0009】
第1の発明によれば、取得手段が、各々内容を一部分異ならせた複数の冊子であって各冊子が複数の分冊で構成された複数の冊子を作成するための画像データ、及び作成されたときに各冊子を目視で識別可能な識別情報を取得する。そして、生成手段が、識別情報に対応する記録データを各分冊毎に生成し、合成出力手段が、画像データの分冊を作成するために重ねて2つ折りしたときに外側に位置する記録用紙に画像を記録するための部分に、生成手段によって生成された分冊毎の記録データを合成して出力する。
【0010】
第1の発明では、各々内容を一部分異ならせた複数の冊子を作成した場合でも、各冊子を目視で容易に識別でき、作成した冊子が混在した場合でも、容易に分類することができる。
【0011】
合成出力手段は、記録用紙の綴じ代領域又は製本されるときに裁断される裁断領域に識別情報が記録されるように、画像データの部分に記録データを合成して出力することができる。これにより、分冊を綴じて冊子を作成した場合に、識別情報を隠すことができる。
【0012】
また、生成手段は、分冊が所定の順序で並べられているかを目視で確認できるように識別情報を冊子の分冊毎に分割して記録データを生成することができる。これにより、各冊子を目視で識別できるだけでなく、分冊が所定の順序で並べられているかをも確認することができる。
【0013】
また、第1の発明に係る画像データ処理装置は、画像データの最初の分冊のおもて表紙と最後の分冊の裏表紙とに画像を記録するための部分には記録データを合成しないことを選択する選択手段を更に備え、合成出力手段は、選択手段によって記録データを合成しないことが選択されると、画像データの最初の分冊のおもて表紙に画像を記録するための部分には記録データを合成せず、画像データの最後の分冊の裏表紙に画像を記録するための部分には記録データを合成しないようにすることができる。
【0014】
これにより、分冊を綴じて冊子を作成した場合に、おもて表紙と裏表紙とに識別情報を表示しないようにすることができる。
【0015】
第2の発明に係る画像データ処理装置は、各々内容を一部分異ならせた複数のページからなる複数の印刷物を作成するための画像データ、及び作成されたときに各印刷物を目視で識別可能な識別情報を取得する取得手段と、前記識別情報に対応する記録データを各ページ毎に生成する生成手段と、前記画像データに前記生成手段で生成されたページ毎の記録データを合成して出力する合成出力手段とを備えて構成されている。
【0016】
第2の発明によれば、取得手段が、各々内容を一部分異ならせた複数のページからなる複数の印刷物を作成するための画像データ、及び作成されたときに各印刷物を目視で識別可能な識別情報を取得する。そして、生成手段が、識別情報に対応する記録データを各ページ毎に生成し、合成出力手段が、画像データに生成手段で生成されたページ毎の記録データを合成して出力する。
【0017】
第2の発明では、各々内容を一部分異ならせた複数のページからなる複数の印刷物を作成した場合でも、各印刷物を目視で容易に識別でき、作成した印刷物が混在した場合でも、容易に分類することができる。
【0018】
合成出力手段は、ページの綴じ代領域又は製本されるときに裁断される裁断領域に識別情報が記録されるように、画像データに記録データを合成して出力することができる。これにより、印刷物を綴じた場合に、識別情報を隠すことができる。
【0019】
また、生成手段は、ページが所定の順序で並べられているかを目視で確認できるように識別情報をページ毎に分割して前記記録データを生成することができる。これにより、各印刷物を目視で識別できるだけでなく、ページが所定の順序で並べられているかをも確認することができる。
【0020】
第2の発明に係る画像データ処理装置は、画像データの印刷物の最初のページと最後のページとに画像を記録するための部分には記録データを合成しないことを選択する選択手段を更に備え、合成出力手段は、選択手段によって記録データを合成しないことが選択されると、画像データの最初のページに画像を記憶するための部分には記録データを合成せず、画像データの最後のページに画像を記憶するための部分には記録データを合成しないようにすることができる。
【0021】
これにより、印刷物を綴じた場合に、最初のページと最後のページとに識別情報を表示しないようにすることができる。
【0022】
第3の発明に係る画像データ処理方法は、各々内容を一部分異ならせた複数の冊子であって各冊子が複数の分冊で構成された複数の冊子を作成するための画像データ、及び作成されたときに各冊子を目視で識別可能な識別情報を取得し、前記識別情報に対応する記録データを各分冊毎に生成し、前記画像データの前記分冊を作成するために重ねて2つ折りしたときに外側に位置する記録用紙に画像を記録するための部分に、前記生成された分冊毎の記録データを合成して出力することを特徴としている。
【0023】
第4の発明に係る画像データ処理方法は、各々内容を一部分異ならせた複数のページからなる複数の印刷物を作成するための画像データ、及び作成されたときに各印刷物を目視で識別可能な識別情報を取得し、前記識別情報に対応する記録データを各ページ毎に生成し、前記画像データに前記生成されたページ毎の記録データを合成して出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の画像データ処理装置及び画像データ処理方法によれば、 各冊子又は各印刷物を目視で識別可能な識別情報に対応する記録データを画像データに合成することにより、各々内容を一部分異ならせた複数の冊子又は印刷物を作成した場合でも、各冊子又は各印刷物を目視で容易に識別でき、作成した冊子又は印刷物が混在した場合でも、容易に分類することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、プリントシステム10には、印刷ジョブデータを送信する複数のクライアントPC14、印刷ジョブデータに基づいて画像処理を行い印刷処理の実行を指示する本実施の形態に係るプリントコントローラ12、及び印刷処理を実行することにより入力された画像データに応じた画像を記録用紙に印刷するプリントエンジン22が接続されている。
【0027】
図2に示すように、プリントコントローラ12及びクライアントPC14のそれぞれには、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)16が設けられており、このネットワークI/F16のそれぞれが通信回線(ネットワーク)18に接続されている。
【0028】
これにより、プリントシステム10では、プリントコントローラ12とクライアントPC14との間及びプリントコントローラ12とプリントエンジン22との間で、各種のデータの送受信が可能となる。なお、プリントシステム10では、従来公知の任意の通信プロトコル又はネットワークプロトコルが適用されている。
【0029】
プリントコントローラ12には、双方向インタフェース(双方向I/F)20が設けられており、この双方向I/F20を介してプリントエンジン22と接続されている。なお、プリントコントローラ12には、複数のプリントエンジン22が接続されてもよいが、本実施の形態では、1台のプリントエンジン22を示している。
【0030】
プリントコントローラ12には、キーボード、マウス等の入力デバイス及び、CRT、液晶ディスプレイ等の表示デバイス(何れも図示省略)が設けられており、各種の動作状況やユーザインタフェースの表示及び表示に基づいた各種の情報の入力操作が可能となっている。
【0031】
このプリントコントローラ12には、プリントコントローラ12自体の動作を制御すると共に、プリントエンジン22の動作を指示するプリント制御部24、及び各種の画像処理と共に画像データや描画命令からラスタデータを作成するRIP処理を行う画像処理部26が設けられている。また、プリントコントローラ12には、クライアントPCから入力される印刷ジョブ中の印刷設定などの処理指示に基づいて各種の処理設定等を行う処理設定部28及び各種のプログラム、画像処理、印刷処理を実行するための各種のデータと共に、クライアントPC14から入力される印刷ジョブデータ等を一時的に格納可能なHDD30が設けられている。また、処理設定部28は、クライアントPC14から入力された印刷ジョブデータに含まれる画像データをHDD30に格納する。
【0032】
プリントコントローラ12は、従来公知の一般的構成を備えたものであればよく、本実施の形態では、プリントコントローラ12の一般的処理の説明を省略する。
【0033】
一方、クライアントPC14には、画像処理や文書作成のための各種アプリケーション32が設けられており、また、クライアントPC14は、キーボードやポインティングデバイスなどの入力デバイス及びCRTや液晶ディスプレイなどの表示デバイス(以下、「モニタ」と称する)を備えている。
【0034】
クライアントPC14では、アプリケーション32を用いて、モニタに画像を表示しながら、キーボードやポインティングデバイスを用いて、画像の作成、加工、編集等の画像処理や文書作成等が行われる。
【0035】
図2に示すように、クライアントPC14には、プリンタドライバ38及びHDD40が設けられている。HDD40には、各種のプログラムと共に、アプリケーション32によって作成されたファイルが画像データとして格納される。この画像データは、マスタデータ、差替部品データ、及び追加データに区別されて格納される。マスタデータは記録対象となる各画像間で共通する基本レイアウト部分を構成する画像データであり、差替部品データは各画像のマスタデータ間で異なるレイアウト部分を構成する画像データである。また、追加データは、マスタデータによる画像に対して、既存の差替部品データによる画像以外の新たに作成された追加画像として用いる画像データである。
【0036】
また、クライアントPC14は、アプリケーション32によって作成されたページレイアウトや文書を表す画像データ(マスタデータ、差替部品データ、及び追加データ)をプリントコントローラ12へ送信し、また、記録対象である画像内のレイアウト内容及び印刷動作の実行を指示する実行指示情報からなる印刷ジョブデータをプリントコントローラ12へ送信する。また、クライアントPC14は、プリントコントローラ12に備えた各種の処理機能に対する指示(以下「印刷設定」という)を、プリンタドライバ38を用いて設定する。
【0037】
なお、このようなクライアントPC14は、従来公知の一般的構成のパーソナルコンピュータを適用でき、本実施の形態では、クライアントPC14に関するその他の詳細な構成の説明を省略する。
【0038】
また、プリントエンジン22は、図3に示すように、プリントエンジン本体42及び後処理装置となるフィニッシャ44によって構成されている。
【0039】
プリントエンジン本体42には、電子写真プロセスによって記録用紙に画像を形成する画像形成部46と、プリントエンジン22の各部の動作を制御する処理制御部48とが設けられている。
【0040】
また、フィニッシャ44には、記録用紙に対する後処理デバイスとして、小冊子作成部50及びステープル部52が設けられており、また、記録用紙を積層して集積可能な排出トレイ56が設けられている。
【0041】
小冊子作成部50では、小冊子印刷の場合に、設定された枚数の記録用紙を重ねて中綴じした後に二つ折りするなどして、小冊子状として排出トレイ56へ排出する。ステープル部52では、設定された枚数の記録用紙を重ね、重ねた記録用紙の周縁部の所定位置をステープル止めして排出トレイ56へ排出する。また、ステープル部52では、パンチ処理印刷の場合、記録用紙の周縁部の所定位置にパンチ穴を穿設して排出トレイ56へ排出する。
【0042】
なお、フィニッシャ44の小冊子作成部50及びステープル部52は、従来公知の構成を適用でき、本実施の形態では、詳細な説明を省略する。また、フィニッシャ44は、これら以外の後処理機能を備えたものであっても良く、そのときには、必要なデバイスを設ければよい。また、プリントエンジン22は、従来公知の一般的機能を備えており、各印刷機能に関する説明は省略する。
【0043】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0044】
まず、クライアントPC14で、アプリケーション32を用いてページレイアウトや文書などのデータの作成、編集や加工などの処理が行われ、作成された画像データがHDD40に保存される。
【0045】
そして、クライアントPC14は、プリンタドライバ38を用いてアプリケーション32によって作成された画像データ(マスタデータ、差替部品データ、及び追加データ)を予めプリントコントローラ12へ送信する。
【0046】
次に、クライアントPC14は、記録対象である画像内のレイアウト内容及び印刷動作の実行を指示する実行指示情報からなる印刷ジョブデータをプリントコントローラ12へ送信する。このときに、図4に示すような印刷設定ダイアログがモニタに表示され、印刷設定が行われる。
【0047】
印刷設定ダイアログでは、まず、図4(A)に示すように綴じ・裁断位置として左、右、上、及び下の何れか一つが設定される。また、図4(B)に示すように、両面印刷をするか否かが設定され、両面印刷する場合には、短辺を綴じるか、又は長辺を綴じるかが設定される。ここで、長辺綴じの両面印刷が設定された場合、綴じ・裁断位置の設定は、左又は右のみ有効となる。
【0048】
そして、印刷設定ダイアログでは、図4(C)に示すように、綴じ代・裁断領域の幅が設定される。これにより、小冊子を作成する場合には、記録用紙の中央からの幅が設定され、その他の場合には、記録用紙端又は印字可能エリア端からの幅が設定される。また、図4(D)に示すように、識別情報として部毎に色分けするか、正しい順序で分冊を配列したときに1本の斜線が形成されるように部毎に斜線を印刷するか、或いは分冊番号を印刷するかが設定される。ここで、色分けとして、例えば、1〜8部目を白、黒、赤、青、黄、緑、橙、ピンクとし、9部目から再び白、黒…と繰り返し色分けするように予め部毎の色が定められている。また、小冊子印刷ではなく、パンチ処理印刷又は通常の印刷であって、分冊番号の印刷が設定された場合には、記録用紙の番号が印刷される。
【0049】
また、印刷設定ダイアログでは、図4(E)に示すように、小冊子を作成するか否かが設定され、その場合にはとじ方が設定される。そして、図4(F)に示すように、印刷部数及び最初のページと最後のページとに識別情報を印刷するか否かが設定され、また、識別情報として正しい順序で分冊を配列したときに1つの個別情報が形成されるように部毎に個別情報を印刷する場合には、部毎に印刷する個別情報が設定される。
【0050】
また、印刷設定ダイアログでは、図4(G)に示すように、印刷ジョブが印刷するページ数が設定され、そのページ数に応じて分冊数が算出され、印刷設定ダイアログ上に分冊数が表示される。例えば、印刷するページ数が64であり、用紙折りの限界枚数が15だとすると、小冊子印刷で記録用紙1枚に4ページ分が面付けされるので、最初の分冊は60ページとなり、2つ目の分冊は残りの4ページとなるため、分冊数が2と表示される。
【0051】
上記の印刷設定ダイアログでの設定が終了すると、設定されたデータにより印刷ジョブデータが生成され、クライアントPC14からプリントコントローラ12へ生成された印刷ジョブデータを送信する。
【0052】
次に、プリントコントローラ12のプリント制御部24、画像処理部26、及び処理設定部28で、図5に示す印刷データ生成処理が実行される。
【0053】
まず、ステップ100では、クライアントPC14からの印刷ジョブデータが受信されたか否かを判定する。判定が肯定されるまでステップ100が繰り返され、肯定されるとステップ102へ移行し、印刷ジョブデータに含まれる画像内のレイアウト内容に基づいて、マスタデータ、差替部品データ、及び追加データを編集合成して出力画像データを生成する。
【0054】
次のステップ104では、印刷ジョブデータに基づいて印刷処理のパラメータを設定する。ここでは、綴じ代・裁断領域を設定する。通常の印刷の場合には、印刷設定ダイアログ上で設定された綴じ・裁断位置及び綴じ代・裁断領域の幅に基づいて綴じ代・裁断領域を設定する。パンチ処理印刷の場合には、予め定められたプリントエンジン22のパンチ処理の仕様に基づいて、綴じ代・裁断領域を設定する。また、小冊子印刷の場合には、記録用紙の中央を綴じ・裁断位置と設定し、印刷設定ダイアログ上で設定された綴じ代・裁断領域の幅に基づいて綴じ代・裁断領域を設定する。
【0055】
次のステップ106では、小冊子印刷か否かを判定する。判定が肯定されると、ステップ108へ移行するが、判定が否定されると、ステップ119へ移行する。
【0056】
次のステップ108では、印刷ジョブデータに基づいて、印刷設定ダイアログ上で設定された識別情報に対応する記録データを分冊毎に生成する。すなわち、印刷設定ダイアログ上で設定された識別情報を分冊毎にビットマップ化して記録データを生成する。例えば、識別情報として色分けをし、斜線を描画し、分冊番号を表示し、個別情報を表示するように設定された場合には、図6に示すように、分冊毎に右側の綴じ代領域に個別情報と斜線とが印刷され、左側の綴じ代領域に対象となっている分冊に該当する色の図形、分冊番号、及び斜線が印刷されるように記録データを生成する。このとき、分冊が正しい順序で並べられた場合に、1本の斜線や正しい形態の個別情報が目視で確認されるように斜線や個別情報を印刷するために、図7に示すように、識別情報をビットマップ化した記録データを分冊数に応じて分割し、各分冊毎の記録データとする。
【0057】
ステップ110では、ステップ102に生成された記録用紙に印刷される複数の出力画像データを面付け処理して面付け画像データを生成する。例えば、印刷ジョブデータに含まれる画像データの総数(総ページ数)とそれぞれの画像データの番号(ページ番号)から画像データの並び替えを行いながら記録用紙に印刷する画像データを割り当て、面付け画像データを生成する。
【0058】
すなわち、総ページ数が8ページであった場合には、1枚目の記録用紙のおもて面の面付け画像データとして、1ページ目の画像データと8ページ目の画像データが割り当てられ、1枚目の記録用紙の裏面の面付け画像データとして、2ページ目と7ページ目の画像データが割り当てられる。また、2枚目の記録用紙のおもて面の面付け画像データに3ページ目と6ページ目の画像データが割り当てられ、裏面に4ページ目と5ページ目の画像データが割り当てられる。
【0059】
次のステップ112では、印刷しようとしている記録用紙のページが分冊の一番外側のページか否かを判定する。すなわち、冊子の分冊を作成するために2つ折りにしたときに一番外側となるページか否かを判定する。判定が肯定されると、ステップ114で、ステップ108で生成された識別情報に対応する記録データをステップ110で面付け処理された面付け画像データの中央の綴じ代領域部分に合成する。図6に示すように、ステップ104で設定された綴じ代領域に識別情報が印刷されるように、ビットマップ化された記録データを合成する。ここで、印刷設定ダイアログ上で最初のページと最後のページとには識別情報を印刷しないように設定された場合には、対象となっている面付け画像データが印刷される記録用紙が1番目の分冊又は最後の分冊であるか否かを判定し、1番目の分冊である場合には、1ページ目に該当する部分には、記録データを合成しないようにする。また、最後の分冊である場合には、最後のページに該当する部分には、記録データを合成しないようにする。
【0060】
次のステップ116では、ステップ114で合成されたデータ又はステップ110で生成された面付け画像データを印刷データとしてプリントエンジン22に出力する。そして、ステップ118で、印刷ジョブデータに含まれる画像内のレイアウト内容が表す印刷すべき画像データについて全て処理したか否かを判定する。判定が肯定されると、印刷データ生成処理を終了するが、判定が否定されると、判定が肯定されるまでステップ110〜118を繰り返し実行する。
【0061】
一方、通常の印刷又はパンチ処理印刷である場合に、ステップ106で否定されて、ステップ119で、印刷ジョブデータに基づいて、印刷設定ダイアログ上で設定された識別情報に対応する記録データをページ毎に生成する。すなわち、印刷設定ダイアログ上で設定された識別情報をページ毎にビットマップ化して記録データを生成する。例えば、識別情報として色分けをし、斜線を描画し、ページ番号を表示し、個別情報を表示するように設定された場合には、図8に示すように、奇数ページの綴じ代領域に色分けされた図形、及び記録用紙番号が印刷され、偶数ページの綴じ代領域に個別情報と斜線とが印刷されるように記録データを生成する。このとき、記録用紙が正しい順序で並べられた場合に、1本の斜線や正しい形態の個別情報が目視で確認されるように斜線や個別情報を印刷するために、上記の小冊子印刷の場合と同様に、識別情報をビットマップ化した記録データを記録用紙の数に応じて分割し、各ページ毎の記録データとする。また、通常の印刷の場合にも、パンチ処理と同様にページ毎に識別情報に対応する記録データを生成する。
【0062】
次のステップ120では、記録用紙の綴じ代領域又は裁断領域に識別情報が印刷されるように、ステップ106で生成された識別情報に対応する記録データをステップ102で生成された出力画像データの綴じ代領域部分又は裁断領域部分に合成する。ここで、印刷設定ダイアログ上で最初のページと最後のページとには識別情報を印刷しないように設定された場合には、対象となっている画像データが印刷される記録用紙のページが1ページ目又は最後のページであるか否かを判定し、1ページ目又は最後のページである場合には、記録データを合成しないようにする。
【0063】
次のステップ122では、ステップ120で合成されたデータを印刷データとしてプリントエンジン22に出力する。そして、ステップ124で、印刷ジョブデータに含まれるレイアウト内容が表す印刷すべき画像データについて全て処理したか否かを判定する。判定が肯定されると、印刷データ生成処理を終了するが、判定が否定されると、判定が肯定されるまでステップ120〜124を繰り返し実行する。
【0064】
そして、プリントエンジン22では、印刷データがプリントコントローラ12から入力されると、入力されたデータに基づいて記録用紙に画像の印刷を行い、この記録用紙をフィニッシャ44へ送り込む。フィニッシャ44では、小冊子印刷の場合、中折り・中綴じする分の記録用紙を堆積し、小冊子作成部50が折り処理を行って、図9(A)に示すような分冊のおもて表紙と裏表紙とに識別情報が印刷された小冊子が排出トレイ56に排出される。パンチ処理印刷の場合、ステープル部52でパンチ処理が行われ、図9(B)に示すような綴じ代領域に識別情報が印刷された印刷物が排出トレイ56に排出される。また、通常の印刷の場合、図9(C)に示すような綴じ代領域に識別情報が印刷された印刷物が排出トレイ56に排出される。
【0065】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るプリントコントローラによれば、各冊子や各印刷物を目視で識別可能な識別情報に対応する記録データを画像データの綴じ代・裁断領域部分に合成することにより、各々内容を一部分異ならせた複数の冊子や印刷物を作成した場合でも、各冊子又は各印刷物を目視で容易に識別でき、作成した冊子や印刷物が混在した場合でも、容易に分類することができる。また、分冊を綴じて冊子を作成した場合や印刷物を綴じた場合に、識別情報を隠すことができる。また、各冊子や各印刷物を目視で識別できるだけでなく、分冊や記録用紙が所定の順序で並べられているかをも確認することができる。
【0066】
また、分冊を綴じて冊子を作成した場合や印刷物を綴じた場合に、おもて表紙と裏表紙とには識別情報を表示しないようにすることができる。
【0067】
なお、印刷ジョブデータに基づいて画像処理を行い印刷処理の実行を指示するプリントコントローラと、印刷処理を実行するプリントエンジンとが別々の装置となっている場合を例に説明したが、プリントコントローラとプリントエンジンとを1つの装置で実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワーク構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るホストPC及びプリントコントローラの構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプリントエンジンの構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る印刷設定ダイアログのイメージ図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るプリントコントローラの印刷データ生成処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るプリントエンジンにより小冊子印刷された各分冊の一番外側となる記録用紙の印刷イメージ図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るプリントコントローラの印刷データ生成処理における記録データを分割する場合のイメージ図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るプリントエンジンによりパンチ処理印刷された記録用紙のイメージ図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るプリントエンジンが印刷した小冊子及び印刷物のイメージ図である。
【符号の説明】
【0069】
10 プリントシステム
12 プリントコントローラ
14 クライアントPC
22 プリントエンジン
24 プリント制御部
26 画像処理部
28 処理設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々内容を一部分異ならせた複数の冊子であって各冊子が複数の分冊で構成された複数の冊子を作成するための画像データ、及び作成されたときに各冊子を目視で識別可能な識別情報を取得する取得手段と、
前記識別情報に対応する記録データを各分冊毎に生成する生成手段と、
前記画像データの前記分冊を作成するために重ねて2つ折りしたときに外側に位置する記録用紙に画像を記録するための部分に、前記生成手段によって生成された分冊毎の記録データを合成して出力する合成出力手段と、
を備えた画像データ処理装置。
【請求項2】
前記合成出力手段は、前記記録用紙の綴じ代領域又は製本されるときに裁断される裁断領域に前記識別情報が記録されるように、前記画像データの前記部分に前記記録データを合成して出力する請求項1に記載の画像データ処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、分冊が所定の順序で並べられているかを目視で確認できるように前記識別情報を前記冊子の分冊毎に分割して前記記録データを生成する請求項1又は2に記載の画像データ処理装置。
【請求項4】
前記画像データの最初の分冊のおもて表紙と最後の分冊の裏表紙とに画像を記録するための部分には前記記録データを合成しないことを選択する選択手段を更に備え、
前記合成出力手段は、前記選択手段によって前記記録データを合成しないことが選択されると、前記画像データの最初の分冊のおもて表紙に画像を記録するための部分には前記記録データを合成せず、前記画像データの最後の分冊の裏表紙に画像を記録するための部分には前記記録データを合成しない請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像データ処理装置。
【請求項5】
各々内容を一部分異ならせた複数のページからなる複数の印刷物を作成するための画像データ、及び作成されたときに各印刷物を目視で識別可能な識別情報を取得する取得手段と、
前記識別情報に対応する記録データを各ページ毎に生成する生成手段と、
前記画像データに前記生成手段で生成されたページ毎の記録データを合成して出力する合成出力手段と、
を備えた画像データ処理装置。
【請求項6】
前記合成出力手段は、前記ページの綴じ代領域又は製本されるときに裁断される裁断領域に前記識別情報が記録されるように、前記画像データに前記記録データを合成して出力する請求項5に記載の画像データ処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記ページが所定の順序で並べられているかを目視で確認できるように前記識別情報を前記ページ毎に分割して前記記録データを生成する請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像データの前記印刷物の最初のページと最後のページとに画像を記録するための部分には前記記録データを合成しないことを選択する選択手段を更に備え、
前記合成出力手段は、前記選択手段によって前記記録データを合成しないことが選択されると、前記画像データの最初のページに画像を記憶するための部分には前記記録データを合成せず、前記画像データの最後のページに画像を記憶するための部分には前記記録データを合成しない請求項5〜請求項7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
各々内容を一部分異ならせた複数の冊子であって各冊子が複数の分冊で構成された複数の冊子を作成するための画像データ、及び作成されたときに各冊子を目視で識別可能な識別情報を取得し、
前記識別情報に対応する記録データを各分冊毎に生成し、
前記画像データの前記分冊を作成するために重ねて2つ折りしたときに外側に位置する記録用紙に画像を記録するための部分に、前記生成された分冊毎の記録データを合成して出力する画像データ処理方法。
【請求項10】
各々内容を一部分異ならせた複数のページからなる複数の印刷物を作成するための画像データ、及び作成されたときに各印刷物を目視で識別可能な識別情報を取得し、
前記識別情報に対応する記録データを各ページ毎に生成し、
前記画像データに前記生成されたページ毎の記録データを合成して出力する画像データ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−69047(P2006−69047A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255493(P2004−255493)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】