説明

画像ファイル処理装置及び画像ファイル処理方法

【課題】 消去済み画像ファイルを容易に復元できないようにする。
【解決手段】 画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことによりファイルを破壊するようにしたので、画像ファイルを再生できないようにすることができ、消去された画像ファイルを、第三者によって復元することが不可能な画像ファイル処理装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像ファイル処理装置、画像ファイル処理方法、コンピュータプログラム、記録媒体に関し、特に、記録媒体に格納された画像ファイルを削除するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、デジタルカメラ等の画像生成装置では、CFカード(Compact Flash Card)やマイクロドライブ、SD(Secure Digital)カードなどの脱着可能な記録媒体や、装置内蔵型の記録媒体や、有線または無線で接続された外部接続型の記録媒体に生成画像を記録して保存するようにしている。
【0003】
脱着可能な記録媒体とのインターフェースには、一般的に広く普及したカードフォーマットであるPCカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SD(Secure Digital)/MMC(Multi Media Card)、スマートメディア等が用いられている。
【0004】
有線で接続される外部接続型の記録媒体との通信インターフェースには、一般的に広く普及した規格であるUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等が用いられている。また、無線で接続される外部接続型の記録媒体との通信インターフェースには、一般的に広く普及した規格であるPHS(Personal Handy phone System)を用いたPIAFS(PHS Internet Access Forum Standard)、Bluetooth、IEEE802等が広く用いられている。
【0005】
これらの記録媒体は、画像の転送、再生、印刷等のために、画像生成装置から切り離され、PC(パーソナルコンピュータ)等の情報機器や、画像再生装置、画像印刷装置等に接続されて使用される。あるいは、記録媒体が画像生成装置に接続されているままの状態で、画像生成装置自身が有線または無線を用いてPC等の情報機器や、画像再生装置、画像印刷装置等に接続されて使用される。この場合、PC等の情報機器や、画像再生装置、画像印刷装置側に搭載されたファイルシステムに、画像生成装置の記録媒体がマウントされる形態で接続される。例えば、USBマスストレージクラスによる接続がこの形態となる。
【0006】
また、これらの記録媒体を、画像生成装置から切り離して、写真店に持ち込んで、店頭等に設置されている印刷装置に接続して印刷したり、記録媒体を銀塩フィルムのように預けて希望する画像の印刷を依頼して印刷画像を得たりといった印刷サービスが普及している。
【0007】
これら画像生成装置においては、画像を所定のファイルフォーマットに則った形式のファイルに変換して記録媒体に格納するために、ファイルシステムの読み書き手段を搭載するが、一般的には広く普及したファイルシステム、具体的にはFAT(File Allocation Table)ファイルシステムが用いられている。このFATファイルシステムを用いてデータの管理を行っている従来例としては、特許文献1に記載のデータ記憶装置などが挙げられる。
【0008】
このファイルシステムの読み書き手段を用いて画像生成装置では、画像生成時にファイルの書き込みを行い、画像再生時にはファイルの読み出しを行い、画像の消去時にはファイルの削除を行う。画像の消去は、一般的に使用者の意図により不要になった画像や撮影失敗の画像に対して行われる。
【0009】
【特許文献1】特開2003−308240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このように一般的なFATファイルシステムにおいては、ファイルを削除しても、比較的容易に復元することが可能であるため、画像ファイルの所有者が画像ファイルを消去したにもかかわらず、消去済みの画像ファイルを第三者が復元し、画像を閲覧することが可能となっていた。
【0011】
例えば、画像所有者が画像の転送や再生、印刷等のために、記録媒体を画像生成装置から切り離して、PC等の情報機器や、画像再生装置、画像印刷装置等の外部装置に接続させる場合や、記録媒体が画像生成装置に接続されている状態で、画像生成装置自身を有線または無線を用いて外部装置に接続させる場合は、記録媒体がリムーバブルボリュームとして外部装置のファイルシステムにマウントされ、これら外部装置から消去済みの画像を復元することが可能であった。
【0012】
あるいは、これらの記録媒体を、画像生成装置から切り離して店頭等に設置されている印刷装置に接続して印刷したり、記録媒体を店頭に持ち込んで印刷を依頼して印刷画像を得るような印刷サービスを利用したりする場合においては、消去済みの画像を第三者によって復元することが可能であった。
【0013】
画像ファイルの所有者の意志に反して復元される画像には、その情報の性質上、画像所有者のプライバシーにかかわる情報が含まれている可能性がある。したがって、前述のように、消去済みファイルの復元を可能な状態では、悪意を持った第三者によって個人のプライバシーの侵害を受ける危険があるという問題があった。
【0014】
本発明は前述の問題点にかんがみ、消去済みの画像ファイルを容易に復元できないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像ファイル処理装置は、記録媒体に格納された画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊する画像ファイル破壊手段と、前記画像ファイル破壊手段によって破壊された画像ファイルを削除する画像ファイル削除手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の画像ファイル処理方法は、記録媒体に格納された画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊する画像ファイル破壊工程と、前記画像ファイル破壊工程によって破壊された画像ファイルを削除する画像ファイル削除工程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のコンピュータプログラムは、記録媒体に格納された画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊する画像ファイル破壊工程と、前記画像ファイル破壊工程によって破壊された画像ファイルを削除する画像ファイル削除工程とを有する画像ファイル処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明記録媒体は、前記に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことによって画像ファイルを破壊した後に削除するようにしたので、画像ファイルの所有者が削除した画像を容易に再生できないようにすることができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴によれば、画像ファイルを破壊する際に、セクタ単位で無効な値を書き込むようにしたので、画像ファイルの破壊処理を迅速に行うようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の画像ファイル処理装置、画像生成ファイル処理方法、コンピュータプログラム、及び記録媒体の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態におけるブロック構成の一例を示す図である。本実施の形態においては、画像ファイル処理装置として撮像装置(例えば、デジタルカメラ)を用いてその構成を説明する。
【0022】
図1においては、撮像装置100に対して、CFカードATA(AT Attachment)規格に準拠したカード200を装着して、前記カード200に画像ファイルを記録したり、記録した画像ファイルを再生不能に削除したりするようにした例を示している。撮像装置100はCFカードソケットを備えたデジタルカメラである。
【0023】
110は入出力装置であり、シャッターボタン、画像及びGUI(Graphical User Interface)を表示するための液晶表示部、操作用キーパッド等を有している。120はカメラ制御部であり、具体的にはCPU及びROM、RAM等の主記憶装置で構成され、撮像装置100のカメラ動作全般を制御する。130はCFカードATA・I/Fであり、ATAプロトコルに準拠したCFカードに対して、データの読み書きを行うためのプロトコルI/F部である。140は撮像部であり、レンズ、絞り、シャッター、撮像素子、画像信号処理部等を有している。
【0024】
150は画像処理部であり、撮像部140にある撮像素子で撮像した画像の取り込み、現像、ホワイトバランス(WB)処理、圧縮といった画像処理を行う。160は画像バッファであり、画像処理部150から出力される画像データをCFカードに書き込むまでの間、一旦保持するためのバッファである。
【0025】
200は、前述したCFカードであり、撮影画像を格納するための記憶領域として使用され、撮像装置100に対してCFソケット170を介して挿抜可能な構造となっている。
【0026】
次に、撮影時の画像ファイル生成までの一連の動作について説明する。
図2は、本実施の形態で用いられるカメラ制御部120における撮影時の画像ファイル生成シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【0027】
図2において、使用者によって入出力装置110にある不図示のシャッターボタンが押下されたことを検知すると(ステップS10)、カメラ制御部120はCFカード200に撮影画像を格納するだけの空き容量があるか否か検査を開始する(ステップS20)。
【0028】
この空き容量検査は、カメラ制御部120がCFカード200をATAストレージカードと見なしてCFカードATA・I/F130を介してアクセスを行い、ファイルシステムの空きクラスタ情報を読み出すことにより行われる。
【0029】
ステップS20の判定の結果、空き容量検査で撮影画像を格納するだけの空き容量があると判定されると、カメラ制御部120は撮像部140に対して撮影開始を指示する(ステップS30)。また、ステップS20の判定の結果、空き容量がないと判定されたら、撮影不可能であるので、本実施の形態の画像ファイル生成シーケンスは終了する。
【0030】
撮像部140に対して撮影開始を指示した後に、カメラ制御部120は、撮像部140において撮影が終了したことを検知すると(ステップS40)、画像処理部150に対して、撮影した画像データの取り込み、現像、ホワイトバランス、JPEG圧縮等の画像処理を行わせる(ステップS50)。
【0031】
そして、画像処理の終わった画像データを画像バッファ160に一旦格納する。次に、カメラ制御部120は、画像バッファ160に格納した画像データをExif規格のフォーマットに則って整形して画像ファイルを生成する(ステップS60)。
【0032】
次に、カメラ制御部120は、CFカードATA・I/F130を介してファイルシステム上へ生成した画像ファイルの書き込みを指示する。CFカードATA・I/F130は、書き込み指示された画像ファイルを、ATAコマンドプロトコル上のデータにセクタ単位で変換し、CFソケット170を介してCFカード200に対して書き込むことにより(ステップS70)、本実施の形態の画像ファイル生成処理を終了する。
【0033】
次に、画像消去の一連の動作について説明する。
図3(a)及び(b)は、本実施の形態の画像消去処理の手順を示し、カメラ制御部120における画像ファイル削除シーケンスを示すフローチャートである。
【0034】
図3(a)に示したように、使用者は、入出力装置110にある不図示の操作用キーパッドを操作することにより、撮影済みでCFカード200に格納されている画像を不図示の液晶表示部に表示させる(ステップS1)。そして、使用者は液晶表示部に表示された画像を閲覧中に、不要な画像を消去したい場合は、操作用キーパッドにある消去ボタンを操作して、カメラ制御部120に対してその画像の消去を指示する(ステップS2)。
【0035】
カメラ制御部120は、CFカード200に記録されている画像の消去を指示されると、当該画像ファイルの削除処理を行うために、ステップS3において当該画像ファイルの属性情報の破壊を行う。この属性情報の破壊の処理は、図3(b)のフローチャートにより詳細について後述する。
【0036】
カメラ制御部120は、ステップS3における当該画像ファイルの属性情報の破壊が完了すると、ステップS4に進み、ファイルシステムの「deleteコマンド」を用いて当該画像ファイルの削除を行う。
【0037】
この「deleteコマンド」で画像ファイルを削除した場合には、図4で示したディレクトリエントリーのファイル名401の先頭バイトに例えば「0xE5」を書き込むことにより、当該ディレクトリエントリーを消去項目と設定し、削除が完了する。
【0038】
この図4に示すディレクトリエントリーは、FAT(File Allocation Table)ファイルシステムにおいて使用されている。そこで、このFATファイルシステムについて詳細を説明する。
【0039】
一般に、FATファイルシステムのデータフォーマットは、ブートセクタ、FAT領域、ルートディレクトリ、データ領域から構成される。FATファイルシステムでは、ストレージデバイスへのデータの読み書きの最少単位であるブロックをセクタと呼び、さらにセクタを複数の塊としたものをクラスタと呼び、ファイル及びディレクトリを格納するための最少データ単位として使用する。
【0040】
ブートセクタは、各ボリュームの先頭セクタに位置して、全セクタ数、開始クラスタ位置、及びクラスタ当たりのセクタ数、などの情報を保持する。ファイルやディレクトリのデータは、クラスタチェーンと呼ばれるクラスタを数珠繋ぎに連結させた連鎖構造で記録される。FAT領域は、ファイルやディレクトリに割り当てるクラスタの位置を示したクラスタ位置情報テーブルであり、クラスタチェーンの接続状態を示している。
【0041】
また、FATファイルシステムは、ファイルを階層的に管理するための階層ディレクトリを採用している。ボリュームは一つのルートディレクトリを持ち、ルートディレクトリには0個以上のファイルまたはディレクトリを束ねたディレクトリにより構成される。これらディレクトリ及びファイルの実体はデータ領域に置かれ、ディレクトリ及びファイルの実体は前述の図4に示したディレクトリエントリーと呼ばれるデータ項目で管理される。
【0042】
通常のFATファイルシステムにおいては、ファイルの削除を行うときにはこのディレクトリエントリーの「ファイル名」の先頭バイトに「E5h」を書き込むことにより、そのディレクトリエントリーが消去項目であるものとし、消去動作を完了する。
【0043】
この特性を利用して、例えば市販のPCアプリケーションである「ノートンユーティリティ」などを使用することによって、消去項目のディレクトリエントリーを復元し、削除済みのファイルを比較的容易に復元することが可能になっている。このような不都合を防止するために、本実施の形態では、前記削除済みのファイルを容易に復元できないように構成している。
【0044】
次に、図3(b)のフローチャートを用いて画像ファイルの属性情報を破壊するシーケンスを説明する。
図3(b)に示したように、まず、カメラ制御部120はCFカードATA・I/F130を介してCFカード200のファイルシステム属性情報を読み出し(ステップS110)、ファイルシステムのフォーマット情報から1セクタあたりのバイト長を取得する(ステップS120)。この1セクタあたりのバイト長は、一般的には512バイトが用いられる。
【0045】
次に、カメラ制御120はCFカード上に格納されている当該画像ファイルをファイルシステムの「openコマンド」を用いてオープンする(ステップS130)。次に、カメラ制御120はオープン済みの当該画像ファイルの先頭セクタ(Sector No.0)領域に無効な値(例えば「0xFF」)を書き込む(ステップS140)。
【0046】
図5は、Exif画像ファイルのデータ構成のテーブルを示した図である。
図5によると、先頭の1セクタすなわち0番目のセクタに無効な値を書き込むことによって、JPEGファイルフォーマットのSOI(Start of Image)マーカー、APP1(Reserved for Application Segments)マーカー、及びExifフォーマットのIFD0データ領域、さらにはExif・IFDデータ領域の一部が消去される。
【0047】
図3(b)におけるステップS140の書き込み動作は、セクタ単位で行われるため、データの読み出しが発生せず、高速に所望のJPEGのマーカー及びExifのタグ情報を消去することが可能になる。その後、カメラ制御部120は削除画像ファイルをクローズする(ステップS150)。
【0048】
以上の一連の画像ファイル削除シーケンスによって消去された画像は、ディレクトリエントリーの操作を行うPC等のファイル復活アプリケーションを用いることにより、ファイルシステム上のファイルとして復元することが可能である。しかしながら、前述したように、本実施の形態においてはJPEGファイルフォーマットにおけるSOI、APP1の各マーカーを消去しているので、ファイルシステム上のファイルとして復元しても、JPEG画像ファイルとして再生することが不可能となる。
【0049】
また、ExifフォーマットのIFD0データ及びExif・IFDデータの一部が消去されているために、画像ファイルの再生ができないだけでなく、画像に付随する属性情報、例えばメーカー名やモデル名、撮影日時、撮影パラメーター等の情報も再生することができなくなる。
【0050】
以上により、第三者によって消去済みの画像及び画像属性情報を復元することが不可能となる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、前記第1の実施の形態と同じ構成の撮像装置であり、その構成は前述の図1によって示されている。前記第1の実施の形態においては、画像破壊のために画像ファイルの0番目のセクタに対してデータの消去を行ったが、本実施の形態においては、複数のセクタに対してデータの消去を行う例である。
【0052】
図6は、本実施の形態における、カメラ制御部120における画像ファイル属性情報の破壊処理の手順を示すフローチャートである。画像ファイルの削除処理の手順については第1の実施の形態における図3(a)のフローチャートと同様であり説明を省略する。本実施の形態では、画像ファイルの属性情報を破壊するシーケンスが第1の実施の形態と異なるのでその処理手順について説明する。
【0053】
図6のフローチャートにおいて、ステップS310からステップS340は第1の実施の形態における図3(b)のフローチャートのステップS110からステップS140の処理と同様の手順であるため、説明を省略する。
【0054】
ステップS340の処理が完了すると、カメラ制御部120はオープン済みの画像ファイルの3番目のセクタ(Sector No.2)の領域に無効な値(例えば「0xFF」)を書き込む(ステップS350)。
【0055】
図5のテーブルによると、Sector No.2のセクタ、すなわち3番目のセクタに無効な値を書き込むことによって、Exifフォーマットのサムネイル画像のJPEG画像マーカーの内の、SOIマーカー、DQTマーカー、及びSOFマーカーと、DHTマーカーの領域の一部が消去される。
【0056】
次に、カメラ制御部120はオープン済みの画像ファイルの14番目のセクタ(Sector No.13)の領域に無効な値(例えば「0xFF」)を書き込む(ステップS360)。
【0057】
図5のテーブルによると、Sector No.13のセクタすなわち14番目のセクタに無効な値を書き込むことによって、Exifフォーマットのメイン画像のJPEG画像マーカーの内の、SOIマーカー、DQTマーカー、及びSOFマーカーと、DHTマーカーの領域の一部が消去される。
【0058】
ステップS340、ステップS350及びステップS360における書き込み動作は、第1の実施の形態における図3(b)のステップS140の処理と同様に、セクタ単位で行われるため、データの読み出しが発生せず、高速に所望のJPEGのマーカー及びExifのタグ情報を消去することが可能になる。その後、カメラ制御部120は削除画像ファイルをクローズする(ステップS370)。
【0059】
以上の一連の画像ファイル削除シーケンスによって消去された画像は、ディレクトリエントリーの操作を行うPC等のファイル復活アプリケーションを用いて削除ファイルをファイルシステム上のファイルとして復元することが可能である。しかしながら、本実施の形態においては、前述したように、JPEGファイルフォーマットにおけるSOI、APP1、DQT、DHT、SOS、SOFの各マーカーが消去されているために、復元したファイルをJPEG画像ファイルとして再生することは不可能である。
【0060】
また、ExifフォーマットのIFD0データ及びExif・IFDデータの一部が消去されているために、画像ファイルの再生ができないだけでなく、画像に付随する属性情報、例えばメーカー名やモデル名、撮影日時、撮影パラメーター等の情報も再生することができなくなる。
【0061】
以上の動作により、本実施の形態においては、前記第1の実施の形態の動作に加えて、Exif画像ファイル内のサムネイル、及びメイン画像のJPEGのSOIマーカー、DQTマーカー、SOFマーカー、及びDHTマーカーといった属性情報が消去されることにより、より強力に画像を破壊することができる。これにより、画像ファイルの所有者が消去済みの画像及び画像属性情報を第三者によって復元することがより不可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、JPEG画像マーカーのSOIマーカー、DQTマーカー、SOFマーカー、及びDHTマーカーに対して消去を行った例を説明したが、消去する属性情報はこれに限るものではなく、他のマーカーやExif・IFD情報を消去の対象にしてもよい。
【0063】
(本発明に係る他の実施の形態)
第1と第2の実施の形態においては、画像ファイル処理装置の例として、デジタルカメラ等の撮像装置を用いた形態を説明したが、これに限るものではなく、例えばPC、PDA(Personal Digital Assistants)、カーナビゲーションシステム、音声録音再生装置、画像表示装置、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等に適用してもよい。
【0064】
また、第1と第2の実施の形態においては、記録情報入出力装置の例としてCFカード、記録情報入出力手段としてCFカードATA・I/Fを用いた形態を説明したが、これに限るものではなく、例えばSDカードやUSB接続のデバイス等で構成してもよい。USB接続で構成した場合の実施の形態においては、記録情報入出力手段としてUSBマスストレージクラス等の汎用規格のI/Fを取るのがよい。
【0065】
なお、本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、画像表示装置、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0066】
また、本発明の目的は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0067】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0068】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM、DVD−R)などを用いることができる。
【0069】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0070】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0071】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施の形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0072】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0073】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0074】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0075】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0076】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施の形態における撮像装置の構成を簡易的に表現したブロック構成の一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る撮影時に画像ファイルを生成するシーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態に係る撮影した画像ファイルを削除するシーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係るディレクトリエントリーの構成についてのテーブルの一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るExif画像ファイルの構成についてのテーブルの一例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る撮影した画像ファイルを削除するシーケンスの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
100 撮像装置
110 入出力装置
120 カメラ制御部
130 CFカードATA・I/F
140 撮像部
150 画像処理部
160 画像バッファ
170 CFソケット
200 CFカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に格納された画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊する画像ファイル破壊手段と、
前記画像ファイル破壊手段によって破壊された画像ファイルを削除する画像ファイル削除手段とを有することを特徴とする画像ファイル処理装置。
【請求項2】
前記画像ファイル破壊手段は、セクタ単位で無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊することを特徴とする請求項1に記載の画像ファイル処理装置。
【請求項3】
前記画像ファイル破壊手段は、前記画像ファイルの属性情報格納部に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊することを特徴とする請求項1または2に記載の画像ファイル処理装置。
【請求項4】
前記画像ファイルは、属性情報格納部と、サムネイル情報格納部と、メイン情報格納部とを有し、
前記画像ファイル破壊手段は、前記属性情報格納部と、前記サムネイル情報格納部と、前記メイン情報格納部とに無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊することを特徴とする請求項1または2に記載の画像ファイル処理装置。
【請求項5】
前記記録媒体に記録する電子画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段と、
前記画像ファイル生成手段で生成された画像ファイルを記録媒体に格納する画像ファイル格納手段とを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像ファイル処理装置。
【請求項6】
記録媒体に格納された画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊する画像ファイル破壊工程と、
前記画像ファイル破壊工程によって破壊された画像ファイルを削除する画像ファイル削除工程とを有することを特徴とする画像ファイル処理方法。
【請求項7】
前記画像ファイル破壊工程は、セクタ単位で無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊することを特徴とする請求項6に記載の画像ファイル処理方法。
【請求項8】
前記画像ファイル破壊工程は、前記画像ファイルの属性情報格納部に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊することを特徴とする請求項6または7に記載の画像ファイル処理方法。
【請求項9】
前記画像ファイルは、属性情報格納部と、サムネイル情報格納部と、メイン情報格納部とを有し、
前記画像ファイル破壊工程は、前記属性情報格納部と、前記サムネイル情報格納部と、前記メイン情報格納部とに無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊することを特徴とする請求項6または7に記載の画像ファイル処理方法。
【請求項10】
前記記録媒体に記録する電子画像ファイルを生成する画像ファイル生成工程と、
前記画像ファイル生成工程で生成された画像ファイルを記録媒体に格納する画像ファイル格納工程とを有することを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の画像ファイル処理方法。
【請求項11】
記録媒体に格納された画像ファイルの一部領域に無効な値を書き込むことにより前記画像ファイルを破壊する画像ファイル破壊工程と、
前記画像ファイル破壊工程によって破壊された画像ファイルを削除する画像ファイル削除工程とを有する画像ファイル処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記請求項11に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−338400(P2006−338400A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163157(P2005−163157)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】