説明

画像入力装置

【課題】画像入力装置を用い、画像形成装置や制御装置と組合せて複合機能を備えた画像処理装置を構成する場合、画像データや制御信号の生成や送受信を処理するために、複雑で多機能な制御部を画像入力装置側にも備えなければならず、そのため装置全体が複雑化しコストアップにつながっていた。
【解決手段】画像入力部105と、LVDSシリアル−パラレル変換器103と、パラレル−LVDSシリアル変換器104とを備え、画像入力部105は、入力した画像の画像データを生成する画像データ生成部と画像入力装置の状態を検出する状態検出部とを備え、LVDSシリアル−パラレル変換器103によって受信する信号に基づいて、画像データ生成部を制御し、且つ生成した画像データと状態情報検出部から出力される状態情報とをパラレル−LVDSシリアル変換器104で送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を電子データとして読み取る画像入力装置に関し、特に画像を読み取り、読み取った画像データを転送するための構成及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像入力装置における画像データの転送方法としては、画像データの伝送速度の向上や不要電磁波などの問題を解決する為に、画像入力装置で読み取られた画像データを小振幅差動シリアル信号に変換して画像形成装置等に転送するものがあった。
(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−197977号公報(段落0009〜段落0012、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしならが、このような画像入力装置を用い、画像形成装置や制御装置と組合せて複合機能を備えた画像処理装置を構成する場合、画像データや制御信号の生成や送受信を処理するために、複雑で多機能な制御部を画像入力装置側にも備えなければならず、そのため装置全体が複雑化しコストアップにつながっていた。
【0005】
本発明の目的は、これらの問題点を解消し、画像入力装置に複雑で多機能な制御部を備えることなく、画像データの伝送速度の向上が可能で、不要電磁波などの影響も防止できる画像入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
画像入力部を備えた画像入力装置であり、
小振幅差動シリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル/パラレル変換手段と、パラレル信号を小振幅差動シリアル信号に変換するパラレル/シリアル変換手段とを備え、
前記画像入力部は、画像を入力して入力した画像の画像データを生成する画像データ生成部と前記画像入力装置の状態を検出する状態検出部とを備え、
前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号に基づいて前記画像データ生成部を制御し、前記画像データと前記状態情報検出部から出力される状態情報とを、前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号に基づいて前記パラレル/シリアル変換手段で送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、受信した信号に基づいて装置内の各動作が実行され、制御されるため、装置内に制御系の回路を備える必要がなく、構成の複雑化を避け、データ処理速度の向上と、コストアップの抑制を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による画像入力装置としてのスキャナを備えた、実施の形態1の画像処理装置のブロック図である。
【0009】
同図に示すように、画像処理装置1は、画像入力装置としてのスキャナ101と画像形成装置としてのプリンタ102から構成され、これらの装置はLVDS(Low Voltage Differential Signaling:小振幅差動信号)方式によってデータを送受信するように接続されている。
【0010】
スキャナ101は、外部からLVDS方式の小振幅差動シリアル信号(以後、LVDSシリアル信号と称す)を受信してパラレル信号に変換するLVDSシリアル/パラレル変換器103、受信したパラレル信号をLVDSシリアル信号に変換して外部へ送信するパラレル/LVDSシリアル変換器104、及び原稿画像を入力し、入力した画像の画像データを生成する画像入力部105を備えている。LVDSシリアル/パラレル変換器103で受信したシリアル信号は、パラレル信号に変換されて画像入力部105とパラレル/LVDSシリアル変換器104に送信され、画像入力部105で生成された画像データはパラレル/LVDSシリアル変換機104に送信される。
【0011】
プリンタ102は、スキャナ101を制御するためのパラレル信号をLVDSシリアル信号に変換して送信するパラレル/LVDSシリアル変換器106、スキャナ101で生成されたLVDSシリアル信号を受信してパラレル信号に変換するためのLVDSシリアル/パラレル変換器107、スキャナ101を制御する制御信号を生成すると共にスキャナ101から受信した信号を処理するスキャナ制御部108、スキャナ101から受信した画像データを処理する画像処理部109、画像処理部109で処理された画像データを印刷するエンジン部110、全体の制御を行うためのCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)111、CPU111の制御プログラムが格納されたROM(Read Only Memory:不揮発記憶装置)113、画像データの一時蓄積や制御データの一時格納に使われるRAM(Random Access Memory:揮発記憶装置)112、及びユーザからの動作指示や状態の表示などを行うユーザインターフェイス114を備えている。
【0012】
スキャナ制御部108、画像処理部109、エンジン部110、CPU111、RAM112、ROM113、及びユーザインターフェイス114間にはバス115が形成され、スキャナ制御部108はパラレル/LVDSシリアル変換器106とLVDSシリアル/パラレル変換器107とに接続され、画像処理部109はLVDSシリアル/パラレル変換器107とスキャナ制御部108に接続されている。
【0013】
図2は、スキャナ101の機構部の概略的な構成を示す概略構成図である。同図に示すように、スキャナ101は、原稿台読取部202とその上部に開閉自在に配置された自動原稿給紙部201とを備えている。
【0014】
自動原稿給紙部201は、給紙ローラ203、搬送ローラ204、排紙ローラ205、原稿検出センサ206、読取位置センサ207、ステッピングモータ208、原稿圧板223、及び原稿スタッカ222とで構成されて、ステッピングモータ208の駆動力が、図示しないギア構造によって、給紙ローラ203、搬送ローラ204、排紙ローラ205に伝達されるように構成されている。原稿検出センサ206は、原稿スタッカ222に原稿が置かれるとオンされ、原稿の有無を検出するように配置されている。
【0015】
給紙ローラ203は、ステッピングモータ208の駆動に伴って回転し、原稿スタッカ222に置かれた原稿束から1枚を分離し、分離した原稿を搬送ローラ204に搬送する。搬送ローラ204は、同じくステッピングモータ208の駆動に伴って回転し、給紙ローラ203から搬送された原稿を更に排紙ローラ205へと搬送する。読取位置センサ207は、搬送ローラ204により搬送された原稿の先端が原稿読取位置221に近接したことを検出し、排出ローラ205は原稿読取位置221を通過した原稿を、自動原稿給紙部201の外へ排出する。
【0016】
原稿台読取部202は、原稿台ガラス211、ステッビングモータ219、駆動ベルト212、キャリッジユニット210、プーリー218、白色基準板227、及びホーム位置センサ220で構成され、キャリッジユニット210は、冷陰極管213、反射ミラー214、反射ミラー215、集光レンズ216、一次元の光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)センサ217で構成される。
【0017】
原稿は原稿台ガラス211上におかれ、自動原稿給紙部201の原稿圧板223によって原稿を押さえる様に構成され、原稿圧板223には白色のシート209が取り付けられている。自動原稿給紙部201の読取位置221は、原稿台ガラス211の上部において、原稿台読取部202の読取範囲内に配置されている。駆動ベルト212は、両端部がキャリッジユニット210に固定され、プーリー218とモータ219の回転軸に固定されたプーリー間に張架され、ステッピングモータ219の回転によりキャリッジユニット210を、原稿台ガラス211に沿ってスライド移動する。キャリッジユニット210が所定の位置に移動したことを検出するようにホーム位置センサ220が配置されている。
【0018】
キャリッジユニット210は、原稿台ガラス211上におかれた原稿に光りを照射させるための光源である冷陰極管213、原稿により反射した光の光路を変更させる反射ミラー21,215、光路を変更された光を集光する集光レンズ216、及び集光レンズ216で集光された光を受けて光電変換して画像に応じた電圧を発生するCCDセンサ217を備えている。
【0019】
キャリッジユニット210は、ステッピングモータ209の回転に伴って動作する駆動ベルト212により、原稿台ガラス211に沿って所定の読取範囲内で移動され、原稿台ガラス211上の原稿を走査して原稿全面の画像データを得る様に構成されている。白色基準板227は、CCD217の素子ばらつきを吸収するためのシェーディング補正処理時の基準となるセンサ出力データを取得する際に読み取られるもので、原稿台の読取範囲外に配置されている。
【0020】
尚、自動原稿給紙部201と連動して原稿スタッカ222にセットされた原稿を連続して読む場合には、キャリッジユニット210は、同図に示すホームポジションに固定され、読取位置センサ207の原稿検出に同期して読取位置221に至った原稿を順次走査して画像データを得るものである。
【0021】
図3は、スキャナ101の制御系の構成を示すブロック図である。図1、図2を参照しながらこの制御系について更に説明する。
【0022】
同図に示すように、スキャナ101の画像入力部105は、画像データ生成部と状態検出部を備え、画像データ生成部には、自動原稿給紙に使われるステッピングモータ208、キャリッジユニット駆動用のステッピングモータ219、光源である冷陰極管213、光電変換素子であるCCD217、アナログ電圧をデジタル値に変換するA/Dコンバータ301、各ステッピングモータの駆動電圧を生成するモータ駆動回路310,311、及び冷陰極管213の駆動電圧を生成する冷陰極管駆動回路312が相当し、状態検出部には、フォトダイオードスイッチで構成された原稿検出センサ206、読取位置センサ207、及びホーム位置センサ220が相当する。
【0023】
LVDSシリアル/パラレル変換器103は、LVDSシリアル信号を受信して所要の電圧レベルのシリアル信号に変換するLVDSレシーバ304、受信するLVDSシリアル信号のタイミング制御を行うタイミング制御回路308、受信信号との間で周波数の同期を取り、受信クロック信号RCKを生成するPLL(Phase−Locked−Loop)回路306、及び受信クロック信号RCKに基づきシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する13ビット対応のシフトレジスタ回路302で構成されている。
【0024】
パラレル/LVDSシリアル変換器104は、入力される送信クロック信号TCKに基づき、パラレル信号を入力してシリアル信号に変換する11ビット対応のシフトレジスタ回路303、所定の電圧レベルのシリアル信号をLVDSシリアル信号に変換するLVDSトランシーバ305、入力される送信クロック信号TCKとLVDSシリアル信号Coとの間で周波数の同期を取るPLL回路307、及び送信するLVDSシリアル信号のタイミング制御を行うタイミング制御回路309とで構成されている。
【0025】
上記したように、受信側であるLVDSシリアル/パラレル変換器103において生成される受信クロック信号RCKは、送信側のパラレル/LVDSシリアル変換器104において、送信クロック信号TCKとして入力される。即ち受信クロック信号RCKと送信クロック信号TCKは同じクロック信号である。
【0026】
尚、本実施の形態では、LVDSシリアル/パラレル変換器103及びパラレル/LVDSシリアル変換器104を構成する、LVDSレシーバ304、LVDSトランシーバ305、シフトレジスタ302,303、PLL回路306,307、及びタイミング制御回路308,309等は、これらが一体的に構成された一般的なLVDSシリアライザ・デシリアライザ部品を使用しているものとする。
【0027】
CCD217には、LVDSシリアル/パラレル変換器103のシフトレジスタ302の出力b4〜b7から出力される読取スタート信号SH、転送クロック信号TR、リセット信号RS、及びクランプ信号CLが個別に送信され、CCD217から出力される画像アナログ信号VR,VG,VBは、A/D変換器301に送られて画像デジタル信号DO([0:7]のパラレル信号)に変換される。尚、[0:7]の表記は、0〜7までの8ビットを含むことを示している。
【0028】
A/Dコンバータ301には、LVDSシリアル/パラレル変換器103のシフトレジスタ302の出力b8〜b12から出力される、動作クロック信号MCK、変換タイミング信号VSP、A/D変換の動作制御コマンドをシリアル信号で受信するコマンド信号SDI、シリアル信号の転送クロック信号SCK、及びシリアル信号のコマンドの有効区間を示すデータイネーブル信号SENが個別に送信され、デジタル信号変換された画像デジタル信号DO([0:7]のパラレル信号)が、パラレル/LVDSシリアル変換器104の入力であるシフトレジスタ303の入力b0〜b7に送信される。
【0029】
冷陰極管駆動回路312には、LVDSシリアル/パラレル変換器103のシフトレジスタ302の出力b3から出力される点灯制御信号LONが送信され、冷陰極管駆動回路312は、この信号に基づいて冷陰極管213の点滅を制御するように接続されている。モータ駆動回路310,311には、それぞれLVDSシリアル/パラレル変換器103のシフトレジスタ302の出力b2から出力されるモータ選択信号SELと、同じくシフトレジスタ302の出力b0,b1から出力されるモータ相制御信号PH([0:1]のパラレル信号)が送信され、ステッピングモータ208に接続されたモータ駆動回路310及びステッピングモータ219に接続されたモータ駆動回路311は、これらの各信号に基づいてステッピングモータ208,209を選択的に回転駆動する。
【0030】
尚、駆動するモータを選択するモータ選択信号SELは、自動原稿給紙部201側のステッピングモータ208と原稿台読取部202側のステッピングモータ219とを排他的に選択制御する信号として設定され、一方のステッピングモータがオンの場合、他方のステッピングモータはオフとなるように制御する。
【0031】
原稿検出センサ206(図1参照)は、原稿が置かれると機構的にフォトダイオードスイッチをオフするように構成されており、その出力信号J1は、パラレル/LVDSシリアル変換器104の入力であるシフトレジスタ303の入力b8に送信され、原稿の状態を外部に通知する。読取位置センサ207(図1参照)は、原稿が搬送されて所定の位置に到達すると、機構的にフォトダイオードスイッチをオフするように構成されており、その出力信号J2は、パラレル/LVDSシリアル変換器104の入力であるシフトレジスタ303の入力b9に送信され、原稿先端が所定位置に搬送されてきたことを外部に通知する。更にホーム位置センサ220(図1参照)は、キャリッジユニット210が所定の位置に到達すると、機構的にフォトダイオードスイッチをオフする様に構成されており、その出力信号J3は、パラレル/LVDSシリアル変換器104の入力であるシフトレジスタ303の入力b10に送信され、キャリッジユニット210が所定の位置に到達したことを外部に通知する。
【0032】
以上の構成において、画像形成装置1の動作について以下に説明する。
【0033】
本発明によるスキャナ101を含む画像処理装置1(図1)全体に電源が投入されると、プリンタ102のCPU111が起動し、ROM113からプログラムを読み出して初期化を実行する。CPU111は、所定の初期化手順で、ユーザインターフェイス114、エンジン部110、画像処理部109、スキャナ制御部108を初期化する。このとき、スキャナ制御部108は、パラレル/LVDSシリアル変換器106に対し、所定の動作周波数の転送基準クロック信号を与える。パラレル/LVDSシリアル変換器106は、この転送基準クロック信号を与えられると、所定の同期パターンのLVDSシリアル信号をスキャナ101に向かって送出する。
【0034】
スキャナ101のLVDSシリアル/パラレル変換器103は、所定の同期パターンのLVDSシリアル信号を受信すると、図3に示す内部のPLL回路306及びタイミング制御回路308により、転送基準クロック信号に同期した受信クロック信号RCKを生成すると共に、プリンタ102側との同期を確立する。また、受信クロック信号RCKが生成されると、スキャナ101側のパラレル/LVDSシリアル変換器104に送信クロック信号TCK(=受信クロック信号RCK)が入力され、パラレル/LVDSシリアル変換器104は、所定の同期パターンのLVDSシリアル信号をプリンタ側102に向かって送出し、同様にプリンタ102側のLVDSシリアル/パラレル変換器107との同期を確立する。
【0035】
CPU111は、同期が確立されたことを確認すると、スキャナ制御部108に、A/Dコンバータ301(図3)の初期化コマンドの送出を指示し、スキャナ制御部108は所定の初期化の初期化シリアルコマンド信号SDI、転送クロック信号TR、及びデータイネーブル信号SENをパラレル/LVDSシリアル変換器106に送出する。パラレル/LVDSシリアル変換器106は、送信基準クロック信号周期に基づいてパラレル信号をラッチして、LVDSシリアル信号として送出する。
【0036】
受信側であるスキャナ101のLVDSシリアル/パラレル変換器103は、受信クロック信号RCKに基づいて受信したLVDSシリアル信号をパラレル信号に変換し、パラレル信号としての初期化シリアルコマンド信号SDI、転送クロック信号SCK、及びデータイネーブル信号SENを生成する。
【0037】
図4は、スキャナ101のLVDSシリアル/パラレル変換器103が、LVDSシリアル信号Riを受信し、パラレル出力信号Routとして出力する変換タイミングを示すタイミングチャートである。
【0038】
図4に示すように、スキャナ101側のLVDSシリアル/パラレル変換器103が受信するLVDSシリアル信号Riは、転送基準クロック信号、即ち受信クロック信号RCKに同期して受信され、受信クロック信号RCKの1周期中に、スタートビット、データビットb0〜b12(本願では13ビット)、ストップビットを含む。LVDSシリアル/パラレル変換器103は、受信したこのLVDSシリアル信号Riを受信クロック信号RCKの立ち下がりに同期してシリアル/パラレル変換し、シフトレジスタ回路302のシフトレジスタ出力b0〜b12から出力されるパラレル出力信号Rout[0:12]に変換する。
【0039】
尚、このときシフトレジスタ回路302の各シフトレジスタ出力b0〜b12からは、LVDSシリアル信号Riのデータビットb0〜b12の対応するビットのデータが出力される。例えば、シフトレジスタ出力b0からはモータ相制御信号PH0(1ビット目の信号)が、シフトレジスタ出力b11からはデータイネーブル信号SENがそれぞれ出力される。また図4に示す出力信号Routの各時間領域N−1,N,N+1は、それぞれの時間領域において、LVDSシリアル信号Riの対応するデータ領域の各データが、継続的にパラレル出力されていることを示している。
【0040】
ここにおいて、スキャナ101側が受信するすべての信号は、受信クロック信号RCKの立ち下がりに同期して変化する信号(即ち受信クロック信号RCKの周期でサンプリングされた信号)となり、また、プリンタ102側が受信するすべての信号も同様に、送信クロック信号TCK(=受信クロック信号RCK)に同期して変化する信号となっている。
【0041】
また、A/Dコンバータ301が受信する、シリアルコマンド信号SDI、転送クロック信号SCK、及びデータイネーブル信号SENは、受信クロック信号RCKの周波数にくらべて十分低い周波数でよいため、送信側で転送基準クロック信号とのタイミングを考える必要はないようになっている。
【0042】
尚、これらのシリアルコマンド信号SDI、転送クロック信号SCK、及びデータイネーブル信号SENは、A/Dコンバータ301の初期設定に関与する信号であり、初期設定が完了した後には通信されない。
【0043】
同様に、モータ制御の相制御信号PH[0:1]、駆動するモータを選択するモータ選択信号SEL、冷陰極管の点灯制御信号LON、及びスキャナ101側から送信する、原稿検出センサ206、読取位置センサ207、ホーム位置センサ220の各信号出力も、送信クロックTCK(=受信クロック信号RCK)の周波数に比べて、信号変化が十分遅い状態信号であるため、転送速度やタイミングを考慮する必要がない。
【0044】
A/Dコンバータ301が、初期化シリアルコマンド信号SDIを受け取って所定の初期化を完了すると、CPU111は装置の初期化を完了し、待機状態としてユーザからの動作指示を待つ。
【0045】
スキャナ101は、前記したように自動原稿給紙部201と原稿台読取部202とを備え、原稿の連続的な読み取りと、一枚ずつ差し替えて行なう単発的な読み取りとを選択して行なえる構成を備えるものであるが、ここでは、後者の場合の読取動作について更に説明する。
【0046】
ユーザがユーザインターフェイス114(図1)からコピー動作を指示すると、CPU111は、画像処理部109とエンジン部110に起動を指示し、スキャナ制御部108に、CCD217(図3)の駆動用信号及びA/Dコンバータ301の動作用信号の送出を指示する。スキャナ制御部108は、CPU111からの指示に基づいてこれらの各信号を生成してパラレル/LVDSシリアル変換器106に送出し、パラレル/LVDSシリアル変換器106は、転送基準クロック信号に同期してこれらの信号を含むLVDSシリアル信号をスキャナ101に送信する。
【0047】
図5は、このとき、スキャナ101側で受信し、或いは生成する各信号のタイミングチャートである。
【0048】
前記したように、スキャナ101側で受信する信号は、LVDSシリアル/パラレル変換される際に、受信クロック信号RCKの立ち下がりに同期した信号となるため、スキャナ101側が動作する際の最小のパルス幅は、受信クロック信号RCKの1クロック周期となる。従って、本実施の形態では、CCD217に入力される各駆動信号において、スキャナ101側で最小の信号幅が必要となるリセット信号RSの幅に着目し、リセット信号RSのパルス幅をもとにして受信クロック信号RCKの周波数、即ち、プリンタ102側の転送基準クロックの周波数が決定されている。
【0049】
図5において、CCD217の転送クロック信号TRは、受信クロック信号RCKの16分周の周波数であり、リセット信号RSは受信クロック信号RCKの1周期分のパルス幅を有し、クランプ信号CLは2周期分のパルス幅を有してCCD217を駆動する。これらの入力信号を与えられたCCD217は、赤(RED)、緑(Green)、青(Blue)の各色の画像アナログ信号(アナログ電圧データ)VR,VG,VBを転送クロック信号TRに同期して出力する。
【0050】
一方、A/Dコンバータ301の動作クロック信号MCKは、受信クロック信号RCKの2分周の周波数であり、変換タイミング信号VSPのパルス幅は受信クロック信号RCKの2周期分の幅を有してA/Dコンバータ301を駆動する。これらの入力信号を与えられたA/Dコンバータ301は、変換タイミング信号VSPに基づいて画像アナログ信号VR,VG,VBを色毎に16ビット幅でアナログ/デジタル変換し、得られた16ビット幅のデジタル画像データを、それぞれ上位8ビットと下位8ビット、即ち(RHi,RLo)、(GHi,GLo)、(BHi,BLo)に分けたデジタル画像データDo[0:7]を、動作クロック信号MCKの立ち下がりに同期して出力する。
【0051】
図6は、スキャナ101のパラレル/LVDSシリアル変換器104が、デジタル画像データDO、及び各センサ出力信号を受けて、LVDSシリアル信号Coに変換して送信する変換タイミングを示すタイミングチャートである。
【0052】
A/Dコンバータ301から出力されたデジタル画像データDO[0:7]は、パラレル/LVDSシリアル変換器104の入力であるシフトレジスタ303の入力b0〜b7に送信され、入力b8〜b10に送信される各センサの出力信号J1,J2,J3と共に、送信クロック信号TCKの立ち上がりでパラレル/LVDSシリアル変換され、プリンタ102側に送出される。変換されたLVDSシリアル信号Coは、図6に示すように、送信クロック信号TCKの1周期時間内に、11ビットのデータビットの前後にスタートビットとストップビットが付加されて送信され、プリンタ102側で受信される。
【0053】
尚、図6におけるLVDSシリアル信号Coのデータビットb0〜b10の各データは、パラレル/LVDSシリアル変換器104のシフトレジスタ303の入力b0〜b10で受信するデータに対応する。例えば、図6に示すように、LVDSシリアル信号Coのデータビットb0〜b7では、RHi,RLo等のデジタル画像データDO[0:7]が伝送され、データビットb8〜b10では、各センサの出力信号J1,J2,J3が伝送される。
【0054】
ここでは、図5に示すように、スキャナ101により生成されるデジタル画像データDO[0:7]が受信クロック信号RCK、即ち送信クロック信号TCKを分周した動作クロック信号MCKに同期して生成されるため、転送基準クロック信号(=受信クロック信号RCK)を使う出力側においても、パラレル/LVDSシリアル変換時のデータを取り込む際のセットアップタイミング等のマージンが十分確保される。
【0055】
尚、本実施の形態では、前記したようにCCD217のリセット信号RSの最小パルス幅を基に転送基準クロック(=受信クロック信号RCK)の周波数を決定しているが、動作上において、より高速な動作クロック周波数が必要である場合、動作クロック周波数を元に転送基準クロックを決定してもよい。
【0056】
次にCPU111(図1)は、スキャナ制御部108に原稿長に相当するステッブ数のモータ相制御信号PH[0:1]の生成と、原稿台読取部202(図2)のステッピングモータ219を選択して駆動するようにモータ選択信号SELの生成を指示し、スキャナ制御部108はパラレル/LVDSシリアル変換器106により原稿長に相当するモータ駆動を行なう上記モータ相制御信号と上記モータ選択信号をスキャナ101に送出する。スキャナ101は、LVDSシリアル/パラレル変換器103により上記モータ相制御信号PH[0:1]と原稿台読取部202のステッピングモータ219を選択して駆動するためのモータ選択信号SELを受信すると、モータ駆動回路311によりステッピングモータ219を所定ステップ数動作させる。
【0057】
ステッピングモータ219の動作に伴い、キャリッジユニット210(図2)が動くことで、原稿台ガラス211台上の原稿画像が順次CCD217により光電変換されて画像データとして取り出され、A/D変換されてパラレル/LVDSシリアル変換器104によりプリンタ102に送信される。CPU111は、所定のステップ数のモータ相制御信号の送出がされると画像処理部109にLVDSシリアル/パラレル変換器107から受信した画像データの取り込みと画像処理の開始を指示する。
【0058】
尚、LVDSシリアル/パラレル変換器107は、スキャナ101から受信したLVDSシリアル信号Coのデータビットb0〜b7をパラレル変換した画像データを画像処理部109に送信し、データビットb8〜b10をパラレル変換した各センサ出力信号j1〜j3をスキャナ制御部108に送信する。
【0059】
画像処理部109は、画像データの取り込みと画像処理の開始指示を受けると、受信した画像データに対して、シェーディング補正、ガンマ補正、フィルタ処理、色域変換、及び2値化処理などを行って、RAM112に処理した画像データを転送し格納する。
【0060】
CPU111は原稿長に相当するモータ相制御信号の送出が終了すると、画像処理回路109に画像処理の停止を指示すると共にエンジン部110に印刷の開始を指示し、画像データをRAM112からエンジン部110に転送する。エンジン部110は受け取った画像データを元に所定のプロセスによって画像データを紙媒体に印刷して出力する。
【0061】
また、CPU111は、スキャナ制御部108に対して、ステッピングモータ219の逆転相制御信号の送出を指示し、キャリッジユニット210を初期位置まで移動させる。キャリッジユニット210がステッピングモータ219の逆転により初期位置に戻ると、ホーム位置センサ220がオンされ、パラレル/LVDSシリアル変換器104を通じてプリンタ102に通知される。CPU111はホーム位置センサ220がオンされたことを確認し、スキャナ制御部108にステッピングモータ219の停止を指示してコピー動作を終了する。
【0062】
以上のように、本実施の形態の画像処理装置によれば、スキャナ101側に、制御部分、即ちCPUやCPUに付随するクロック源、RAM、ROM等を備える必要がなく、より安価に、画像データの伝送速度の向上や不要電磁波などの問題を解決することができる。
【0063】
実施の形態2.
図7は、本発明に基づく画像入力装置としてのスキャナを備えた実施の形態2の画像処理装置10のブロック図であり、図8は、本実施の形態のスキャナ401の機構部の概略的な構成を示す概略構成図であり、図9は、本実施の形態のスキャナ401の制御系の構成を示すブロック図である。
【0064】
図7〜図9に示す本実施の形態2のスキャナ401及びプリンタ402が、図1〜図3に示す前記した実施の形態1のスキャナ101及びプリンタ102と主に異なる点は、スキャナ401ではセレクタ451、パラレル/シリアル変換器452、及び用紙サイズセンサ453が追加され、シフトレジスタ回路402,403のビット数が減少している点、プリンタ102ではシリアル/パラレル変換器409が追加された点、そしてこれらの違いに伴う動作が異なる点である。従って、本実施の形態の画像形成装置が前記した実施の形態1の画像形成装置と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0065】
図9に示すように、スキャナ401の画像入力部405は、自動原稿給紙に使われるステッピングモータ208(図8参照)、キャリッジユニット駆動用のステッピングモータ219(図8参照)、光源である冷陰極管213、光電変換素子であるCCD217(図8参照)、アナログ電圧をデジタル値に変換するA/Dコンバータ301、フォトダイオードスイッチで構成された原稿検出センサ206、読取位置センサ207、ホーム位置センサ220、紙サイズ検出センサ453(図8参照)、各ステッピングモータの駆動電圧を生成するモータ駆動回路310,311、及び冷陰極管213の駆動電圧を生成する冷陰極管駆動回路312で構成されている。尚、紙サイズ検出センサ453は、図8に示すように、原稿台読取部202内の所定の位置に配置され、例えば赤外線センサによって原稿台ガラス211の所定位置における原稿の有無を検出するものである。
【0066】
LVDSシリアル/パラレル変換器403は、LVDSシリアル信号を受信して所要の電圧レベルのシリアル信号に変換するLVDSレシーバ304、受信するLVDSシリアル信号のタイミング制御を行うタイミング制御回路308、受信信号との間で周波数の同期を取り、受信クロック信号RCKを生成するPLL(Phase−Locked−Loop)回路306、及び受信クロック信号RCKに基づきシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する12ビット対応のシフトレジスタ回路502で構成されている。
【0067】
パラレル/LVDSシリアル変換器404は、入力される送信クロック信号TCKに基づき、パラレル信号をシリアル信号に変換する9ビット対応のシフトレジスタ回路503、所定の電圧レベルのシリアル信号をLVDSシリアル信号に変換するLVDSトランシーバ305、入力される送信クロック信号TCKとLVDSシリアル信号Coとの間で周波数の同期を取るPLL回路307、及び送信するLVDSシリアル信号のタイミング制御を行うタイミング制御回路309とで構成されている。
【0068】
セレクタ451は、LVDSシリアル/パラレル変換器403のシフトレジスタ502の出力b7〜b9から出力される信号を受信し、同じくシフトレジスタ502の出力b6から受信する選択信号SWに基づいて、受信した信号の出力先を切り替える様に構成されている。
【0069】
尚、ここで、セレクタ451が、シフトレジスタ502の出力b7〜b9に接続された入力部を、A/Dコンバータ301に接続された一方の出力部451aに接続する選択信号SWの状態を第1の選択状態とし、モータ駆動回路310,311に接続された他方の出力部451bに接続する選択信号SWの状態を第2の選択状態とする。
【0070】
CCD217には、LVDSシリアル/パラレル変換器403のシフトレジスタ502の出力b0〜b3から出力される読取スタート信号SH、転送クロック信号TR、リセット信号RS、及びクランプ信号CLが個別に送信され、CCD217から出力される画像アナログ信号VR,VG,VBは、A/D変換器301に送られて、画像デジタル信号DO([0:7]のパラレル信号)に変換される。
【0071】
A/Dコンバータ301には、LVDSシリアル/パラレル変換器403のシフトレジスタ出力b4及びb5から出力される動作クロック信号MCK及び変換タイミング信号VSPと、セレクタ451の一方の出力部451aから出力される、A/D変換の動作制御コマンドをシリアル信号で受信するコマンド信号SDI、シリアル信号の転送クロック信号SCK、及びシリアル信号のコマンドの有効区間を示すデータイネーブル信号SENが送信され、デジタル信号変換された画像デジタル信号DO[0:7]が、パラレル/LVDSシリアル変換器404の入力であるシフトレジスタ503の入力b0〜b7に送信される。
【0072】
冷陰極管駆動回路312には、LVDSシリアル/パラレル変換器403のシフトレジスタ502の出力b10から出力される点灯制御信号LONが送信され、冷陰極管駆動回路312は、この信号に基づいて冷陰極管213の点滅を制御するように接続されている。モータ駆動回路310,311には、それぞれセレクタ451の他方の出力部451bから出力される、モータ選択信号SEL及びモータ相制御信号PH([0:1]のパラレル信号)が送信され、ステッピングモータ208に接続されたモータ駆動回路310及びステッピングモータ219に接続されたモータ駆動回路311は、これらの各信号に基づいてステッピングモータ208,209を選択的に回転駆動する。
【0073】
原稿検出センサ206(図8参照)は、原稿が置かれると機構的にフォトダイオードスイッチをオフするように構成されており、その出力信号J1は、パラレル/シリアル変換器452の入力b0に送信され、原稿の状態を通知する。読取位置センサ207(図8参照)は、原稿が搬送されて所定の位置に到達すると、機構的にフォトダイオードスイッチをオフするように構成されており、その出力信号J2は、パラレル/シリアル変換器452の入力b1に送信され、原稿先端が所定位置に搬送されてきたことを通知する。ホーム位置センサ220(図8参照)は、キャリッジユニット210が所定の位置に到達すると、機構的にフォトダイオードスイッチをオフする様に構成されており、その出力信号J3は、パラレル/シリアル変換器452の入力b2に送信され、キャリッジユニット210が所定の位置に到達したことを通知する。更に、紙サイズ検出センサ453(図8参照)は、原稿台211の所定位置に原稿が存在するか否かを検出するセンサで、その出力信号J4([0:1]のパラレル信号)は、パラレル/シリアル変換器452の入力b3,b4に送信され、原稿台ガラス211の所定位置における原稿の有無を通知する。
【0074】
パラレル/シリアル変換器452は、送信クロック信号TCKとLVDSシリアル/パラレル変換器403の出力b11からラッチ信号LENを受信し、このラッチ信号LENにより入力b0〜b4に入力するパラレルの各センサ出力信号を取り込み、送信クロックTCKに同期してこれ等のパラレル信号をシリアル信号に変換し、パラレル/LVDSシリアル変換器404の入力であるシフトレジスタ503の入力b8に送信するように構成されている。
【0075】
以上の構成において、画像形成装置10の動作について以下に説明する。
【0076】
本発明によるスキャナ401を含む画像処理装置10(図7)全体に電源が投入されると、プリンタ402のCPU411が起動し、ROM413からプログラムを読み出して初期化を実行する。この初期化によって、前記した実施の形態1の画像形成装置1の場合と同様に所定の各部が初期化されると共に、プリンタ402のパラレル/シリアル変換器406、スキャナ401のLVDSシリアル/パラレル変換器403とパラレル/LVDSシリアル変換器404、そしてプリンタ402のLVDSシリアル/パラレル変換器407間において、転送基準クロック信号に基づく同期が確立される。
【0077】
CPU411は、同期が確立されたことを確認すると、スキャナ制御部408に、セレクタ451が一方の出力部451aを選択する第1の選択状態とされた選択信号SWと、A/Dコンバータ301の初期化コマンドの送出を指示し、スキャナ制御部408は、第1の選択状態とされた選択信号SWと所定の初期化の初期化シリアルコマンド信号SDI、転送クロック信号TR、及びデータイネーブル信号SENをパラレル/LVDSシリアル変換器406に送出する。パラレル/LVDSシリアル変換器406は、送信基準クロック信号周期に基づいて、パラレル信号をラッチして、LVDSシリアル信号として送出する。
【0078】
受信側であるスキャナ401のLVDSシリアル/パラレル変換器403は、受信クロック信号RCKに基づいて受信したLVDSシリアル信号をパラレル信号に変換し、パラレル信号としての第1の選択状態とされた選択信号SW、初期化シリアルコマンド信号SDI、転送クロック信号SCK、及びデータイネーブル信号SENを生成する。
【0079】
ここにおいて、A/Dコンバータ301が受信するシリアルコマンド信号SDIと、転送クロック信号SCK、データイネーブル信号SENは、受信クロック信号RCKの周波数にくらべて十分低い周波数でよいため、送信側で転送基準クロック信号とのタイミングを考える必要はないようになっている。同様に、モータ制御の相制御信号PH[0:1]、駆動するモータを選択するモータ選択信号SEL、冷陰極管の点灯制御信号LONも、送信クロックTCKの周波数に比べて、信号変化が十分遅い状態信号であるため、転送速度やタイミングを考慮する必要がない。
【0080】
尚、シリアルコマンド信号SDI、転送クロック信号SCK、及びデータイネーブル信号SENは、A/Dコンバータ301の初期設定に関与する信号であり、初期設定が完了した後には通信されない。
【0081】
CPU411は、A/Dコンバータ301が、初期化シリアルコマンド信号SDIを受け取って所定の初期化を完了すると、スキャナ制御部408に、セレクタ451がモータ駆動回路310,311に接続された他方の出力部451bを選択する第2の選択状態とされた選択信号SWの送出を指示し、モータ制御信号を送出できる状態にして装置の初期化を完了し、ユーザからの動作指示を待つ待機状態とする。
【0082】
スキャナ401は、前記した実施の形態1のスキャナ101と同様に自動原稿給紙部201と原稿台読取部202とを備え、原稿の連続的な読み取りと、一枚ずつ差し替えて行なう単発的な読み取りとを選択して行なえる構成を備えるものであるが、ここでは、後者の場合の読取動作について更に説明する。
【0083】
ユーザがユーザインターフェイス114(図7)からコピー動作を指示すると、CPU411は、画像処理部109とエンジン部110に起動を指示し、スキャナ制御部408に、CCD217(図9)の駆動用信号及びA/Dコンバータ301の動作用信号の送出を指示する。スキャナ制御部408は、CPU411からの指示に基づいてこれらの各信号を生成してパラレル/LVDSシリアル変換器406に送出し、パラレル/LVDSシリアル変換器406は、転送基準クロック信号に同期してこれらの信号を含むLVDSシリアル信号をスキャナ101に送信する。
【0084】
これらの信号を受けたスキャナ401のCCD217とA/Dコンバータ301の動作は、前記した実施の形態1で説明した通りであり、転送クロック信号TR、リセット信号RS、クランプ信号CL等の入力信号を与えられたCCD217は、赤(RED)、緑(Green)、青(Blue)の各色毎の画像アナログ信号VR,VG,VBを転送クロック信号TRに同期して出力し、動作クロック信号MCK、変換タイミング信号VSP等の入力信号を与えられたA/Dコンバータ301は、変換タイミング信号VSPに基づいて画像アナログ信号VR,VG,VBをアナログ/デジタル変換し、8ビット幅のデジタル画像データDO[0:7]を動作クロック信号MCKの立ち下がりに同期して出力する。
【0085】
一方、CPU411は、原稿検出センサ206、読取位置センサ207、ホーム位置センサ220、及び紙サイズ検出センサ453の各出力を検出するため、スキャナ制御部408に、スキャナ401の各センサ出力状態の取得を指示する。スキャナ制御部408は、この指示に基づいてスキャナ701のパラレル/シリアル変換器452のラッチ信号LENを周期的に発生させる。このラッチ信号LENは、転送基準クロック信号を元に生成され、取得するビット周期で発生させる。ここでは5ビット幅をシリアル変換するため、受信クロック信号RCKの5周期に1回、ラッチ信号LENを発生させている。
【0086】
図10は、このとき、スキャナ401のパラレル/シリアル変換器452に対して入出力する、各センサ信号J1〜J4、ラッチ信号LEN、受信クロック信号RCK、及びパラレル/シリアル変換器452のシリアル出力信号のタイミングチャートである。
【0087】
同図に示すように、パラレル/シリアル変換器452でラッチされた各センサ信号J1〜J4は、受信クロック信号RCKに基づいてシリアル信号に変換され、パラレル/LVDSシリアル変換器404に出力される。尚、各センサ信号J1〜J4は、転送基準クロック信号に比べて十分に変化が遅い信号であり、不要な時には、受信クロック信号RCKの4分周の周波数のラッチ信号LENを止める事ができる。
【0088】
例えは同図において、時刻t0のラッチ信号LENの立ち上がりでラッチされた(N−1)で示す各センサ出力データは、(N−1)のシリアルデータb0〜b3として順次出力され、時刻t1のラッチ信号LENの立ち上がりでラッチされた(N)で示す各センサ出力データは、(N)のシリアルデータb0〜b3として順次出力される。時刻t2のラッチ信号LENの立ち上がりでラッチされた(N+1)で示す各センサ出力データは、その後ラッチ信号LENが発生していなため、次にラッチ信号LENが発生するまで(N+1)のシリアルデータb0〜b3として順次、繰り返し出力される。
【0089】
図11は、このとき、スキャナ401のパラレル/LVDSシリアル変換器404に対して入出力するパラレル/シリアル変換器452のシリアル出力信号、デジタル画像データDO[0:7]、送信クロック信号TCK、及びLVDSシリアル信号Coのタイミングチャートである。
【0090】
同図に示すように、パラレル/シリアル変換器452から出力されるシリアル信号及び画像デジタル信号DOは、パラレル/LVDSシリアル変換器404でラッチされ、受信クロック信号RCKに基づいてLVDSシリアル信号に変換される。変換されたLVDSシリアル信号Coは、送信クロック信号TCKの1周期時間内にスタートビットとストップビットが付加されて送信され、プリンタ402側で受信される。
【0091】
例えは同図において、時刻t10の送信クロック信号TCKの立ち下がりでラッチされたデジタル画像データDO[0:7]のRHiデータ及びセンサ出力のシリアルデータb0は、直後に出力されるLVDSシリアル信号CoのLVDSシリアルデータb0〜b7及びb8として順次出力され、同様に時刻t11の送信クロック信号TCKの立ち下がりでラッチされたデジタル画像データDO[0:7]のRHiデータ及びセンサ出力のシリアルデータb1は、直後に出力されるLVDSシリアル信号CoのLVDSシリアルデータb0〜b7及びb8として順次出力される。このように、パラレル/シリアル変換器452のシリアル出力信号のデータビットb0〜b3は、送信クロック信号TCKに同期して出力される4回分のLVDSシリアル信号Coに多重化して出力される。
【0092】
本実施の形態では、プリンタ402にシリアル/パラレル変換器409が追加されているが、このシリアル/パラレル変換器409は、LVDSシリアル−パラレル変換器407によってパラレル信号に変換されたデータ信号のうち、4回分のLVDSシリアル信号Coに多重化されて入力したパラレル/シリアル変換器452のシリアル出力信号のデータビットb0〜b3をパラレルに変換してスキャナ制御部408に出力する。
【0093】
CPU411は、原稿台211(図8)に原稿が置かれていることを検出すると、
スキャナ制御部408に原稿長に相当するステップ数のモータ相制御信号PH[0:1]の生成と、原稿台読取部202のステッピングモータ219を選択して駆動するようにモータ選択信号SELの生成を指示し、スキャナ制御部408はパラレル/LVDSシリアル変換器406により原稿長に相当するモータ駆動を行なうモータ相制御信号と上記モータ選択信号をスキャナ401に送出する。スキャナ401は、LVDSシリアル/パラレル変換器403により上記モータ相制御信号PH[0:1]と原稿台読取部202のステッピングモータ219を選択して駆動するようにモータ選択信号SELを受信すると、モータ駆動回路311によりモータ219を所定ステップ数動作させる。
【0094】
ステッピングモータ219の動作に伴い、キャリッジユニット210(図8)が動くことで、原稿台ガラス211台上の原稿画像が順次CCD217により光電変換されて画像データとして取り出され、A/D変換されてパラレル/LVDSシリアル変換器104によりプリンタ402に送信される。CPU411は、所定のステップ数のモータ相制御信号の送出がされると画像処理部109にLVDSシリアル/パラレル変換器407から受信した画像データの取り込みと画像処理の開始を指示する。
【0095】
画像処理部109は、画像データの取り込みと画像処理の開始指示を受けると、受信した画像データに対して、シェーディング補正、ガンマ補正、フィルタ処理、色域変換、及び2値化処理などを行って、RAM412に処理した画像データを転送し格納する。
【0096】
CPU411は原稿長に相当するモータ相制御信号の送出が終了すると、画像処理回路109に画像処理の停止を指示すると共にエンジン部110に印刷の開始を指示し、RAM412から画像データをエンジン部110に転送する。エンジン部110は受け取った画像データを元に所定のプロセスによって画像データを紙媒体に印刷して出力する。
【0097】
また、CPU411は、スキャナ制御部408に対して、ステッピングモータ219の逆転相制御信号の送出を指示し、キャリッジユニット210を初期位置まで移動させる。キャリッジユニット210がステッピングモータ219の逆転により初期位置に戻ると、ホーム位置センサ220がオンされ、パラレル/LVDSシリアル変換器404を通じてプリンタ402に通知される。CPU411はホーム位置センサ220がオンされたことを確認し、スキャナ制御部408にモータ219の停止を指示してコピー動作を終了する。
【0098】
以上のように、本実施の形態の画像勝利装置によれば、スキャナ側で、通信速度を必要としない信号群の多重化・共用化できるように構成されているため、LVDSシリアル信号のデータビット数を減らす事ができ、転送速度の向上が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
各実施の形態では、プリンタとしての機能を備えた画像形成装置を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ファクシミリ装置、複写機、MFP(Multifunction Peripherals)等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明による画像入力装置としてのスキャナを備えた、実施の形態1の画像処理装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1のスキャナの機構部の概略的な構成を示す概略構成図である。
【図3】実施の形態1のスキャナの制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】スキャナのLVDSシリアル/パラレル変換器が、LVDSシリアル信号Riを受信し、パラレル出力信号Routとして出力する変換タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】スキャナ側で受信し、或いは生成する各信号のタイミングチャートである。
【図6】実施の形態1において、スキャナのパラレル/LVDSシリアル変換器が、デジタル画像データDO、及び各センサ出力信号を受けて、LVDSシリアル信号Coに変換して送信する変換タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】本発明に基づく画像入力装置としてのスキャナを備えた実施の形態2の画像処理装置のブロック図である。
【図8】実施の形態2のスキャナの機構部の概略的な構成を示す概略構成図である。
【図9】実施の形態2のスキャナの制御系の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態2において、スキャナのパラレル/シリアル変換器に対して入出力する、各センサ信号J1〜J4、ラッチ信号LEN、受信クロック信号RCK、及びパラレル/シリアル変換器のシリアル出力信号のタイミングチャートである。
【図11】実施の形態2において、スキャナ1のパラレル/LVDSシリアル変換器に対して入出力するパラレル/シリアル変換器のシリアル出力信号、デジタル画像データDO[0:7]、送信クロック信号TCK、及びLVDSシリアル信号Coのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 画像処理装置、 10 画像処理装置、 101 スキャナ、 102 プリンタ、 104 パラレル−LVDSシリアル変換器、 105 画像入力部、 106 パラレル−LVDSシリアル変換器、 107 LVDSシリアル−パラレル変換器、 108 スキャナ制御部、 109 画像処理部、 110 エンジン部、 111 CPU、 112 RAM、 113 ROM、 114 ユーザインターフェイス、 115 バス、 117 白色基準板、 201 自動原稿給紙部、 202 原稿台読取部、 203 給紙ローラ、 204 搬送ローラ、 205 排紙ローラ、 206 原稿検出センサ、 207 読取位置センサ、 208 ステッピングモータ、 209 白色のシート、 210 キャリッジユニット、 211 原稿台ガラス、 212 駆動ベルト、 213 冷陰極管、 214 反射ミラー、 215 反射ミラー、 216 集光レンズ、 217 CCDセンサ、 218 プーリー、 219 ステッビングモータ、 220 ホーム位置センサ、 221 原稿読取位置、 222 原稿スタッカ、 223 原稿圧板、 227 白色基準板、 301 A/Dコンバータ、 302 シフトレジスタ回路、 303 シフトレジスタ回路、 304 LVDSレシーバ、 305 LVDSトランシーバ、 306 PLL回路、 307 PLL回路、 308 タイミング制御回路、 309 タイミング制御回路、 310,311 モータ駆動回路、 312 冷陰極管駆動回路、 401 スキャナ、 402 プリンタ、 403 LVDSシリアル−パラレル変換器、 404 パラレル−LVDSシリアル変換器、 405 画像入力部、 406 パラレル−シリアル変換器、 407 LVDSシリアル−パラレル変換器、 408 スキャナ制御部、 409 シリアル/パラレル変換器、 411 CPU、 413 ROM、 451 セレクタ、 452 パラレル/シリアル変換器、 453 紙サイズ検出センサ、 502 シフトレジスタ回路、 503 シフトレジスタ回路。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像入力部を備えた画像入力装置であり、
小振幅差動シリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル/パラレル変換手段と、
パラレル信号を小振幅差動シリアル信号に変換するパラレル/シリアル変換手段と
を備え、
前記画像入力部は、画像を入力して入力した画像の画像データを生成する画像データ生成部と前記画像入力装置の状態を検出する状態検出部と
を備え、
前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号に基づいて前記画像データ生成部を制御し、
前記画像データと前記状態情報検出部から出力される状態情報とを、前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号に基づいて前記パラレル/シリアル変換手段で送信することを特徴とする画像入力装置。
【請求項2】
前記画像データ生成部は、
被照射体に照射する光を発光する光源と、
前記被照射体で反射した該被照射体の画像の光を入力し、該画像の光を受けて光電変換する光電変換素子と、
該光電変換素子で光電変換したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、
前記光電変換素子と前記被照射体との相対位置を位置決めするための駆動モータと
を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像入力装置。
【請求項3】
前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号が、前記光電変換素子の駆動タイミングを決める駆動タイミング信号を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。
【請求項4】
前記シリアル/パラレル変換手段により受信する信号が、前記A/D変換器の駆動タイミングを決める駆動タイミング信号を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。
【請求項5】
前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号が、前記A/D変換器の制御データを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。
【請求項6】
前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号が、前記駆動モータの駆動を制御する制御信号を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。
【請求項7】
前記シリアル/パラレル変換手段によって受信する信号が、前記光源の点灯タイミングを決める点灯タイミング信号を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。
【請求項8】
前記状態検出部は、前記画像入力装置にセットされる原稿媒体の有無を検知し、前記状態情報が前記原稿媒体の有無を示す検知信号を含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の画像入力装置。
【請求項9】
前記状態検出部は、前記画像入力装置の機構部の状態を検知し、前記状態情報が該機構部の状態を示す検知信号を含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の画像入力装置。
【請求項10】
前記シリアル/パラレル変換手段と前記パラレル/シリアル変換手段の動作周波数が同一であることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の画像入力装置。
【請求項11】
前記シリアル/パラレル変換手段の動作周波数が、前記画像入力部内の最大動作周波数の整数倍に設定されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の画像入力装置。
【請求項12】
前記画像入力部内の最小パルス幅が、前記シリアル/パラレル変換手段の動作パルス幅の整数倍に設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項13】
画像形成装置に接続され、前記シリアル/パラレル変換手段は前記画像形成装置から信号を受信し、前記パラレル/シリアル変換手段は前記画像形成装置に信号を送信することを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の画像入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−81454(P2010−81454A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249453(P2008−249453)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】