説明

画像処理システム、画像処理サーバ、画像形成装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに対して、複数の画像処理を画像処理サーバで実施する場合に、画像処理の結果が後の画像処理によって影響を受けないようにした画像処理システムを提供する。
【解決手段】複数の画像処理サーバのうち前段の第1の画像処理サーバまたは複数の画像処理が可能な画像処理サーバは、画像処理対象の画像データについて、第1の画像処理を実施する領域を決定する処理領域決定手段と、画像処理を禁止する保護領域を算出して画像保護情報を生成する保護領域算出手段とを備える。第1の画像処理サーバは、画像処理対象の画像データのうち決定された領域に第1の画像処理を実施し、後段の第2の画像処理サーバは、前記生成された画像保護情報に基づいて、画像処理対象の画像データのうち保護領域を除いた領域に第2の画像処理を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、MFP(Multi Function Peripherals)と称される多機能デジタル複合機等からなる画像形成装置と、1台または複数台の画像処理サーバとがネットワークを介して接続された画像処理システム、該システムに好適に用いられる前記画像処理サーバと画像形成装置、前記システムで実行される画像処理方法及び前記画像処理サーバに処理を実行させるための画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなMFP等の画像形成装置に入力された画像データを、画像形成装置の本体内のみで画像処理するのではなく、外部の複数の画像処理サーバと連携し、各複数の画像処理サーバでそれぞれ異なる画像処理を順次実施する画像処理システムが従来より提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このようなシステムによれば、例えば、画像形成装置により原稿をスキャンして得られた画像データを、OCR(文字認識処理)機能を有する画像処理サーバで文字認識処理したのち、翻訳機能を有する画像処理サーバで翻訳を行い、コード合成機能を有する画像処理サーバで、翻訳後の画像データにQRコードを合成するといった処理が可能となる。このように、特定の画像処理を画像処理サーバに実施させることで、これらの機能をリソースに限界のある画像形成装置に備えさせる必要がなくなり、画像形成装置の構成を簡素化できる利点がある。
【0004】
また、最近ではSaaS(Software as a Service)のように、Web上で画像処理を利用する形式の画像処理システムも提案されており、複数の業者が提供する画像処理サービスを組み合わせて、画像生成を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−289500号公報
【特許文献2】特開2009−129340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2に記載の技術を含め、外部の画像処理サーバを利用して画像処理を行う従来の画像処理システムでは、次のような欠点があった。
【0007】
即ち、ユーザが複数の画像処理を画像処理サーバで行う場合、画像処理の順序によっては画像データが意図しないものに改変されるおそれがあった。
【0008】
例えば、配付文書の管理等のために、図19(A)に示すように、画像処理対象の画像データ100に管理文字やQRコード等の画像パターン101が合成されることがあるが、このような合成処理を画像処理サーバで行った後、別の画像処理が行われると、図19(B)に示すように、合成された管理文字やQRコードの領域にも画像処理が施されて改変された管理文字やQRコード102になってしまい、これらの管理文字やQRコードが読み取れなくなるという問題があった。また、図19(C)に示すように、管理文字103の合成後に翻訳処理が実施された場合には、管理文字も翻訳されてユーザの意図と異なる文字が合成された状態となってしまう問題もあった。
【0009】
特に近年は、セキュリティの観点から、文書管理のために管理文字やQRコードを合成する利用形態が増加しているが、それに伴い上述した問題も増加することが予想される。
【0010】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに対して、複数の画像処理を画像処理サーバで実施する場合に、画像処理の結果が後の画像処理によって影響を受けないようにした画像処理システムを提供し、さらには該システムに好適に用いられる画像処理サーバと画像形成装置、前記システムで実行される画像処理方法及び前記画像処理サーバに処理を実行させるための画像処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続された第1及び第2の画像処理サーバとを備えた画像処理システムであって、前記第1の画像処理サーバは、前記画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに第1の画像処理を実施する第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出手段とを備え、前記第2の画像処理サーバは、前記保護領域算出手段で生成された画像保護情報に含まれている保護領域を除いた領域に、第2の画像処理を実施する第2の画像処理手段を備えていることを特徴とする画像処理システム。
(2)前記第2の画像処理サーバは、画像処理の実施に対して課金する課金手段を備え、該課金手段は、前記保護領域を除いた領域に実施した画像処理に対して課金する前項1に記載の画像処理システム。
(3)前記第1の画像処理は画像処理対象の画像データに合成対象のデータを合成する合成処理である前項1または2に記載の画像処理システム。
(4)前記合成対象のデータは文字列データである前項3に記載の画像処理システム。
(5)前記合成対象のデータは文字列を含む画像データである前項3に記載の画像処理システム。
(6)前記合成対象のデータはコードを表現するバーコード、または二次元コードである前項3に記載の画像処理システム。
(7)前記画像形成装置は、前記第1及び第2の画像処理サーバによる画像処理の順序を示す順序情報を生成する順序情報生成手段を備え、該順序情報生成手段により生成された順序情報に示された画像処理の実施順に、画像処理対象の画像データ及び前記画像保護情報が前記第1の画像処理サーバから第2の画像処理サーバに転送されて画像処理が実施される前項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。
(8)前記第1の画像処理サーバは、前記第1の画像処理の実施後に前記画像データと画像保護情報を前記画像形成装置に返送し、該画像形成装置は前記返送された画像データと画像保護情報を前記第2の画像処理サーバに送信する前項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。
(9)前記画像形成装置と画像処理サーバとの間に中継サーバが介在され、前記第1の画像処理サーバは、前記第1の画像処理の実施後に前記画像データと画像保護情報を前記中継サーバに返送し、中継サーバは前記返送された画像データと画像保護情報を前記第2の画像処理サーバに送信する前項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。
(10)前記画像形成装置は、前記第1の画像処理サーバに画像処理を実施させる領域を指定する処理領域指定手段を備え、前記第1の画像処理サーバの保護領域算出手段は、前記画像形成装置の処理領域指定手段により指定された領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出する前項1〜9のいずれかに記載の画像処理システム。
(11)画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続されると共に、前記画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに複数の画像処理を実施する画像処理サーバとを備えた画像処理システムであって、前記画像処理サーバは、第1の画像処理を実施する第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出手段と、前記保護領域算出手段で生成された画像保護情報に含まれている保護領域を除いた領域に、第2の画像処理を実施する第2の画像処理手段と、を備えていることを特徴とする画像処理システム。
(12)ネットワークを介して接続された画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに画像処理を実施する画像処理手段と、前記画像処理手段により画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出手段と、前記画像処理手段により画像処理が実施された画像データ、及び前記保護領域算出手段で生成された画像保護情報を、次の画像処理を行う別の画像処理サーバに送信し、または前記別の画像処理サーバに転送するために前記画像形成装置に送信し、または画像処理サーバと画像形成装置との間に介在される中継サーバに送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする画像処理サーバ。
(13)画像処理の実施に対して課金する課金手段を備え、該課金手段は、前記保護領域を除いた領域に実施した画像処理に対して課金する前項12に記載の画像処理サーバ。
(14)前記画像処理は画像処理対象の画像データに合成対象のデータを合成する合成処理である前項12または13に記載の画像処理サーバ。
(15)前記合成対象のデータは文字列データである前項14に記載の画像処理サーバ。
(16)前記合成対象のデータは文字列を含む画像データである前項14に記載の画像処理サーバ。
(17)前記合成対象のデータはコードを表現するバーコード、または二次元コードである前項14に記載の画像処理サーバ。
(18)画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続されるとともに、画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに異なる画像処理を予め決定された順序で実施する第1及び第2の画像処理サーバと、を備えた画像処理システムに用いられる前記画像形成装置であって、前記画像処理対象の画像データについて、各画像処理サーバに画像処理を実施させる実施領域と画像処理を禁止する保護領域を指定する領域指定手段と、前記領域指定手段により指定された実施領域及び保護領域を示す情報を、前記画像処理対象の画像データとともに画像処理サーバに送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(19)画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続された第1及び第2の画像処理サーバとを備えた画像処理システムで実行される画像処理方法であって、前記第1の画像処理サーバは、前記画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに第1の画像処理を実施する第1の画像処理ステップと、前記第1の画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出ステップとを実行し、前記第2の画像処理サーバは、前記保護領域算出ステップにおいて生成された画像保護情報に含まれている保護領域を除いた領域に、第2の画像処理を実施する第2の画像処理ステップを実施することを特徴とする画像処理方法。
(20) 画像処理サーバを制御するコンピュータで実行される画像処理プログラムであって、ネットワークを介して接続された画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに画像処理を実施する画像処理ステップと、前記画像処理ステップにおいて画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出ステップと、前記画像処理ステップにおいて画像処理が実施された画像データ、及び前記保護領域算出ステップにおいて生成された画像保護情報を、次の画像処理を行う別の画像処理サーバに送信し、または前記別の画像処理サーバに転送するために前記画像形成装置に送信し、または画像処理サーバと画像形成装置との間に介在される中継サーバに送信する送信ステップと、を前記コンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の効果】
【0012】
前項(1)に記載の発明によれば、前段の画像処理を行う第1の画像処理サーバは、画像処理対象の画像データに第1の画像処理を実施するとともに、第1の画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出して画像保護情報を生成する。一方、後段の画像処理を行う第2の画像処理サーバは、前記第1の画像処理サーバにより生成された画像保護情報に含まれている保護領域を除いた領域に第2の画像処理を実施する。つまり、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受ける領域については、前段の画像処理を行った画像処理サーバにより保護領域が設定され、後段の画像処理は実施されないから、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受けるおそれがなくなり、ユーザが意図したものと異なる画像処理が実施される問題を解消できる。
【0013】
前項(2)に記載の発明によれば、保護領域を除いた領域に実施した画像処理に対して課金されるから、不要な領域に画像処理が実施されることによる必要以上の課金がなされる不都合を回避できる。
【0014】
前項(3)に記載の発明によれば、画像処理対象の画像データに合成対象のデータを合成した場合に、合成領域が後段の画像処理により影響を受けるのを防止できる。
【0015】
前項(4)に記載の発明によれば、合成された文字列データが後段の画像処理によって意図した文字列と異なってしまうのを防止できる。
【0016】
前項(5)に記載の発明によれば、合成された文字列を含む画像データが後段の画像処理によって意図した文字列を含むものとは異なってしまうのを防止できる。
【0017】
前項(6)に記載の発明によれば、合成されたコードを表現するバーコード、または二次元コードが、後段の画像処理によって読み取れなくなってしまうのを防止できる。
【0018】
前項(7)に記載の発明によれば、画像形成装置により生成された順序情報に示される画像処理の実施順に、画像処理対象の画像データ及び画像保護情報が、第1の画像処理サーバから第2の画像処理サーバに転送されて、画像処理が実施される。
【0019】
前項(8)に記載の発明によれば、1つの画像処理が実施される都度、画像データと画像保護情報が画像形成装置に返送され、該画像形成装置から次の画像処理を実施する画像処理サーバへ送信される。
【0020】
前項(9)に記載の発明によれば、1つの画像処理が実施される都度、画像データと画像保護情報が中継サーバに返送され、該中継サーバから次の画像処理を実施する画像処理サーバへ送信される。
【0021】
前項(10)に記載の発明によれば、画像形成装置により指定された領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域が算出される。
【0022】
前項(11)に記載の発明によれば、1台の画像処理サーバで異なる画像処理が実施される場合にも、前段の画像処理と関連付けて算出された保護領域については、後段の画像処理は実施されないから、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受けるおそれがなくなり、ユーザが意図したものと異なる画像処理が実施される問題を解消できる。
【0023】
前項(12)に記載の発明によれば、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受ける領域については、保護領域により後段の画像処理の実施を回避できる画像処理サーバとなし得る。
【0024】
前項(13)に記載の発明によれば、保護領域を除いた領域に実施した画像処理に対して課金されるから、不要な画像処理に対して課金がなされる不都合はない。
【0025】
前項(14)に記載の発明によれば、画像処理対象の画像データに合成対象のデータを合成した場合に、合成領域が後段の画像処理により影響を受けるのを防止できる。
【0026】
前項(15)に記載の発明によれば、合成された文字列データが後段の画像処理によって意図した文字列と異なってしまうのを防止できる。
【0027】
前項(16)に記載の発明によれば、合成された文字列を含む画像データが後段の画像処理によって意図した文字列を含むものとは異なってしまうのを防止できる。
【0028】
前項(17)に記載の発明によれば、合成されたコードを表現するバーコード、または二次元コードが、後段の画像処理によって読み取れなくなってしまうのを防止できる。
【0029】
前項(18)に記載の発明によれば、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受ける領域については、保護領域により後段の画像処理の実施を回避できる画像形成装置となし得る。
【0030】
前項(19)に記載の発明によれば、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受ける領域については、前段の画像処理を行った画像処理サーバにより保護領域が算出され、後段の画像処理は実施されないから、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受けるおそれがなくなり、ユーザが意図したものと異なる画像処理が実施される問題を解消できる。
【0031】
前項(20)に記載の発明によれば、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受ける領域については、保護領域として後段の画像処理の実施を回避できる処理を、コンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成を示す図である。
【図2】図1のシステムに用いられている画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置のコントローラ部の詳細を示すブロック図である。
【図4】画像処理サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図1の画像処理システムの動作概要の説明図である。
【図6】画像処理サービスの種類を選択するキーが表示された操作パネルの平面図である。
【図7】サービス構成情報の画像処理装置への転送順を示す図である。
【図8】サービス構成情報の一例を示す図である。
【図9】画像保護情報の一例を示す図である。
【図10】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図10のサービス登録処理(ステップS3)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】図10のジョブ処理(ステップS4)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】画像処理サーバの動作を示すフローチャートである。
【図14】図13の画像処理(ステップS8)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図15】図13の課金処理(ステップS9)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】画像形成装置を中継して次の転送先に画像データや画像保護情報を転送する場合のシステムの説明図である。
【図17】画像形成装置と各画像処理サーバとの間に、各画像処理サーバを制御するための中継サーバを配置したシステム構成を示す図である。
【図18】複数の画像処理サービスを1台の画像処理サーバで実施する場合のシステム構成を示す図である。
【図19】従来技術の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成を示す図である。
【0035】
図1の画像処理システムは、画像形成装置1と、複数(この実施形態では3個)の画像処理サーバ21〜23と、各ユーザが所有するパソコンからなる複数の端末装置31、32が、ネットワーク4を介して相互に接続されてなる。
【0036】
この実施形態では、画像形成装置1で読み取った原稿の画像データや、端末装置31、32から受信したプリントデータに対し、前記複数の画像処理サーバ21〜23が予め決定された順序で画像処理サービスを実施する構成となされている。
【0037】
具体的には、画像処理サーバ21は画像処理サービス1として文字合成処理サービス、例えば画像処理対象の画像データへの文書管理用の管理文字の合成、もしくは文書配布追跡用のQRコードの合成などを行う。
【0038】
画像処理サーバ22は画像処理サーバ21による文字合成処理後の画像データに、画像処理サービス2として文字認識(OCR)処理及び翻訳処理を実施する。換言すれば、画像データから文字部分を抜き出した後、翻訳した文字との交換を実施する。
【0039】
画像処理サーバ23は、画像処理サーバ22による文字認識処理及び翻訳処理後の画像データに、画像処理サービス3として、画像の色味の調整等の画質調整処理を実施したのち、画像形成装置1に返送する。
【0040】
前記画像形成装置1は、画像処理サーバ21〜23に対して画像処理を依頼するものであり、この実施形態では前述した多機能デジタル複合機であるMFPが用いられており、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ(FAXともいう)機能、プリント機能及びメモリ蓄積機能等を有している。
【0041】
図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【0042】
この画像形成装置1は、原稿の画像を読み取って電子データである画像データに変換するスキャナ部11、スキャナ部11で読み取られた原稿の画像データを処理してプリンタ部13に送信するコントローラ部12、及びコントローラ部12から送信されてきた画像データを用紙に印字するプリンタ部13を備えている。
【0043】
前記コントローラ部12の詳細を、図3のブロック図に示す。
【0044】
コントローラ部12は、CPU121、システムRAM122、画像RAM123、記憶部124、プログラムROM125、FAXモデム126、ネットワークカード127、操作パネル128、NV−RAM129、シリアルインターフェース部(シリアルI/F部)130等を備えている。
【0045】
前記CPU121は、画像形成装置1の全体を統括的に制御し、コピー機能、プリント機能、FAX機能等の各種機能を実現させるとともに、特にこの実施形態では次のような制御を行う。即ち、ユーザによって設定された複数の画像処理サービスの順序を示すサービス構成情報(後述する)を生成するとともに、生成したサービス構成情報を画像処理対象の画像データとともに最初の画像処理サービスを行う画像処理サーバ21に送信したり、画像処理サーバ21に画像処理を実施させる領域を指定する等の制御を行う。
【0046】
前記システムRAM122は、CPU121の動作用プログラムを動作させるために必要なデータが蓄積されており、プログラム動作時には、一時記憶領域が保持される。
【0047】
前記画像RAM123は、スキャナ部11等から送信されてきた画像データを一時的に蓄積するメモリである。
【0048】
前記記憶部124は、前記画像データやアプリケーションプログラムその他のデータを記憶するものであり、例えばハードディスク装置(HDD)により構成されている。またこの実施形態では、画像処理サーバ21〜23から取得した各画像処理サービスの内容が、記憶部124に登録・保存されている。
【0049】
前記プログラムROM125は、CPU121の動作プログラムを記憶するメモリである。さらにプログラムROM125には、操作パネル128の表示及びキー入力制御を行うプログラム、操作パネル128の表示部128bにキーの表示を行うためのグラフィックデータ、キーを押した際の挙動を定義した「キー管理情報」等も記憶されている。
【0050】
前記FAXモデム126はFAX送受信を行うための装置であり、ネットワークカード127は画像処理サーバ21〜23や端末装置31、32等の外部装置との間で、ネットワーク4を介して通信を行う通信手段として機能する。
【0051】
操作パネル128は、ユーザが画像形成装置1の操作を行うためのものであり、スタートキー、ストップキー、テンキー等を備えたハードキー部128aと、ユーザに対するメッセージ、動作状態、ソフトキー等が表示されるタッチパネル式の液晶表示素子からなる表示部128bとからなる。
【0052】
前記NV−RAM129はユーザが設定した不揮発情報等を保存するメモリである。
【0053】
前記シリアルI/F部130は、課金装置6との間で課金のための情報の送受信を行うためのインターフェースである。なお、課金装置6は、ユーザが投入した金額等により、画像処理サービスに対する課金を行うものであるが、課金は課金装置6によらなくても、各画像処理サーバ21〜23で行うものとしても良い。
【0054】
上記画像形成装置1において、コピー機能時には、スキャナ部11で読み込まれた画像データを画像RAM123に一旦蓄積した後、プリンタ部13に転送し、印字する。
【0055】
スキャン機能時には、スキャナ部11で読み込まれた画像データを画像RAM123に一旦蓄積した後、CPU121で読み出して汎用画像フォーマットにエンコードする。その後、ネットワークカード127経由で、E−mailやFTPのプロトコルを利用して、画像データを送信することが可能である。
【0056】
FAX機能による送信時には、スキャナ部11で読み込んだ画像データを画像RAM123に一旦蓄積したのち、FAXで送信可能な解像度、圧縮形式にCPU121で変換したのち、FAXモデム126経由で送信する。
【0057】
FAX機能による受信時には、FAXモデム126経由で受信したデータを、一旦画像RAM123に蓄積し、CPU121で印字できる形式に変換した後、プリンタ部13に送信して印字する。
【0058】
プリンタ機能時には、ネットワーク経由でネットワークカード127により受信したページ記述言語を、CPU121で画像RAM123に展開したのち、プリンタ部13に転送して印字する。
【0059】
また、前記記憶部124に画像データを蓄積しておくことで、該画像データを何度でもプリントすることができる。ユーザによって画像データの蓄積が指示されたときは、画像RAM123から記憶部124に画像データが転送され蓄積される。
【0060】
以上説明した、画像形成装置1に関しての、実際の画像読み取りや印字、プリントデータの描画などの詳細動作は、画像形成装置1として公知の技術であるため、詳細には言及しない。
【0061】
加えて、本実施形態では、ネットワーク4を通じて画像形成装置1により入力された画像データと、画像処理サーバ21等によって生成され、画像処理を禁止する保護領域を示す画像保護情報を、各画像処理サーバ21〜23と通信できるようになっている。通信はhttp通信により行われる。
【0062】
前記画像処理サーバ21〜23の構成を図4のブロック図に示す。なお、画像処理サーバ21〜23の構成は同一であるので、画像処理サーバ21について説明し、画像処理サーバ22、23については省略する。
【0063】
画像処理サーバ21は、汎用のコンピュータから構成され、図4に示すように、CPU211、ROM212、RAM213、記憶部214、表示装置215、入力装置216、ネットワークインターフェース部(ネットワークI/F部)217、画像処理部218、課金処理部219等を備え、システムバス220を介して互いに接続されている。
【0064】
CPU211は、ROM212等に保存されている動作プログラムを実行することにより、画像処理サーバ21の全体を統括的に制御する。特にこの実施形態では、画像処理の種類によっては、画像処理対象の前記画像データについて、画像処理を実施する領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し画像保護情報を生成する。
【0065】
また、CPU211は、前記画像データにおける画像処理の実施領域に画像処理部218を介して画像処理を実施し、画像処理後の画像データと前記生成した画像保護情報等を、次段の画像処理サーバに送信するといった処理を実行させる。さらに、課金処理部219を介して、実施した画像処理に対して課金を実行する。
【0066】
また、画像処理サーバ21が前段の画像処理サーバから画像保護情報を受信した場合は、保護対象領域を除いた画像データの領域に、画像処理を実施する。
【0067】
前記ROM212は、CPU211が実行するためのプログラムやその他のデータを保存する記憶媒体である。
【0068】
RAM213は、CPU211が動作用プログラムに従って動作する際の作業領域を提供する記憶媒体である。
【0069】
記憶部214は、ハードディスク等の記憶媒体からなり、アプリケーションプログラムその他の各種データを記憶する。
【0070】
表示部215は、CRTや液晶表示装置等からなり、各種のメッセージ及びユーザに対する入力受付画面、選択画面等を表示する。
【0071】
入力装置216は、ユーザによる入力操作に用いられるもので、キーボードやマウス等からなる。
【0072】
ネットワークインターフェース部217は、画像形成装置1、他の画像処理サーバ、端末装置31、32、その他の外部機器との間で、ネットワーク4を介してデータの送受信を行う通信手段として機能する。
【0073】
画像処理部218は、CPU211の制御のもとで、画像処理対象の画像データに所定の画像処理を実施するものである。
【0074】
課金処理部219は、画像処理部218で実施した画像処理に対して課金処理を実行するものである。
【0075】
次に、図1の画像処理システムの動作の概要を説明する。
【0076】
まず、図5に示すように、各画像処理サーバ21〜23に対して、画像形成装置1からhttpのプロトコルで通信を行い、画像処理サービスの内容を取得して、画像形成装置1に登録する。
【0077】
画像処理サービスが画像形成装置1に登録されている状態では、図6に示すように、操作パネル128の表示部128b上に画像処理サービスの種類を選択するキー128cが表示される。ユーザは、希望の画像処理サービスを各々選択して、スタートキー128dを押すことで、動作がスタートする。
【0078】
画像処理サービスの登録時には、各サービスの「機能」、「アクセス先」などが、画像形成装置1へ通知されて管理される。
【0079】
画像形成装置1は、ユーザが選択した全ての画像処理サービスとその順序を示す順序情報としてのサービス構成情報を作成する。作成されたサービス構成情報は、図7の矢印a1で示されるように、最初の画像処理サーバ21ヘ転送され、サービス構成情報に示された順序を参考にして、画像処理サーバ21から画像処理サーバ22へさらに画像処理サーバ23へと順に転送される。なお、各画像処理サーバ21〜23による、画像処理対象の画像データ(以下、原稿画像ともいう)の転送も、前記サービス構成情報を参照して行われる。
【0080】
サービス構成情報の一例を図8に示す。この例では、サービス構成情報は、画像処理サービスの実施順と、各画像処理サービスを実施する画像処理サーバ21〜23の転送ポートのアドレスと、画像処理サービスの種類とにより構成されている。
【0081】
次いで、画像形成装置1は、原稿画像を図7の矢印a2で示されるように、最初の画像処理サーバ21に送信する。
【0082】
画像処理サーバ21は、前記原稿画像に、自身の画像処理サービスである画像合成処理を行う。この画像処理により、セキュリティ管理やコピー追跡用等の文字列データ、文字列を含む画像データ、コードを表現するバーコード、またはQRコード等の二次元コード等の合成対象のデータが、原稿画像に合成される。
【0083】
しかし、合成部分に、次の画像処理サーバ22による文字認識及び翻訳処理、あるいはさらにその次の画像処理サーバ23による画質調整処理が行われると、合成された文字データや二次元コードの領域にも画像処理が施されて、これらの文字や二次元コード等がユーザの意図したものと異なってしまう。
【0084】
そこでこの実施形態では、画像処理サーバ21は、画像処理の実施と共に、画像合成された領域を画像処理の禁止される保護領域とする画像保護情報を同時に生成する。この実施形態では、画像処理を実施する領域は、画像形成装置1で指定されるものとなされており、この領域が画像処理を禁止する前記保護領域となされている。
【0085】
画像保護情報の一例を図9に示す。前記保護領域は、図9に示すように、ページ番号と領域を示す座標により構成される。領域数は、複数個あってもよい。
【0086】
なお、画像保護情報を生成するかどうかは、画像処理の種類に応じて、画像処理サーバ毎に予め設定されている。
【0087】
また、課金処理部219が合成処理の実施に対して課金処理を行う。そして、合成処理後の原稿画像、生成した画像保護情報等を、画像形成装置1から送信された前記サービス構成情報に示されている順序に従って、図7の矢印a3で示されるように、次の画像処理サーバ22に転送する。
【0088】
原稿画像、画像保護情報等を受信した画像処理サーバ22は、送られてきた原稿画像に対して、前記画像保護情報で示される保護領域を除外して、自身の画像処理サービスである文字認識及び翻訳処理を実施する。このように、画像保護情報で示される領域を除外して画像処理サーバ22による画像処理が実施されるから、前段の画像処理が後段の画像処理によって影響を受けるおそれがなくなり、ユーザが意図したとおりの画像処理が実施される。
【0089】
画像処理後、画像処理サーバ22は自身の画像処理の実施に対して課金を行う。画像保護情報で示される保護領域を除外して画像処理が実施されているから、課金も保護領域を除外した領域に行われることになり、不要な領域に画像処理が実施されることによる必要以上の課金がなされることはない。
【0090】
画像処理後、画像処理サーバ22は、画像処理後の原稿画像、画像処理サーバ21から送信されてきた画像保護情報等を、前記サービス構成情報に示されている順序に従って、図7の矢印a4で示されるように、次の画像処理サーバ23に転送する。
【0091】
原稿画像、画像保護情報等を受信した画像処理サーバ23も、画像処理サーバ22と同様に、送られてきた原稿画像に対して、前記画像保護情報で示される領域を除外して、自身の画像処理サービスである画質調整処理を実施したのち、課金処理を実行する。
【0092】
画像処理後、画像処理サーバ23は、画像形成装置1から送信されたサービス構成情報を基に、自身が最後の画像処理サーバであることを識別し、各画像処理が実施された原稿画像、前記画像保護情報等を、図7の矢印a5で示されるように、画像形成装置1に転送する。
【0093】
画像形成装置1は、前記原稿画像等を受信すると、ユーザの指示に従って、原稿画像をプリンタ部13で印字し、あるいは端末装置31、32に送信する。
【0094】
次に、画像形成装置1及び画像処理サーバ21〜23の動作を、フローチャートを参照しつつ説明する。
【0095】
画像形成装置1は、前述したように、プログラムROM125に格納された動作プログラムに従ってCPU121が動作することにより、全体の処理を行う。
【0096】
画像形成装置1は、電源が投入されると、図10に示すように内部プログラムの初期化処理、ハードウェアの初期化処理等の初期化処理(ステップS1)を実行する。次いで、ジョブの実行状態を示す「ジョブ状態」を「アイドル中」に初期化したのち(ステップS2)、各画像処理サーバ21〜23による画像処理サービスの登録処理(ステップS3)を実施し、実際のジョブ処理を実施する(ステップS4)。そして、この処理を繰り返す。
【0097】
図11は、図10のサービス登録処理(ステップS3)のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、画像処理サービスの登録は、事前に管理者等の操作により行われる処理である。
【0098】
ステップS31で、操作パネル128によるサービス登録操作かどうかを確認し、登録操作でなかった場合には(ステップS31でNO)、リターンする。登録操作であった場合には(ステップS31でYES)、すでに本体に登録されている利用可能な画像処理サービスの一覧を表示する(登録項目は、別途更新可能とする)。ユーザが、希望する画像処理サービス選択すると、ステップS33でこれを受け付け、ステップS34で、選択が確定したかどうかをユーザの操作に基づいて判断する。確定されなければ(ステップS34でNO)、リターンする。確定した場合には(ステップS34でYES)、ステップS35で、選択した画像処理サーバに対して処理能力を問い合わせ、ステップS36で、その情報をNV−RAM129に記憶しておく。
【0099】
図12は、図10のジョブ処理(ステップS4)のサブルーチンを示すフローチャートであり、実際に画像処理サービスを選択してジョブを実行する処理である。
【0100】
ステップS41で、「ジョブ状態」のフラグを確認し、「アイドル中」か、「画像転送」か、「作像中」か、いずれのステートであるかによって分岐する。
【0101】
ジョブ状態がアイドル中のステート場合、ステップS42で、操作パネル128によるモードや画像処理サービスの選択操作を、ユーザが行っているかどうかを確認する。行っていない場合(ステップS42でNO)、リターンする。行っていた場合(ステップS42でYES)、ステップS43で、操作パネル128のモード・サービス選択処理を行ったのち、ステップS44で、サービス構成情報を生成する。
【0102】
そして、ステップS45で、ユーザによりスタートキーが押されたかどうか、換言すればジョブスタートかどうかを判断し、ジョブスタートでなければ(ステップS45でNO)、リターンする。ジョブスタートであれば(ステップS45でYES)、「ジョブ状態」のフラグを「画像転送」に設定したのち、リターンする。
【0103】
ステップS41において、「ジョブ状態」が「画像転送」のステートの場合は、ステップS47に進み、入力された原稿画像をネットワーク上に転送する処理を実施する。原稿画像の入力は、スキャナ部11で原稿を読み取ることにより行われても良いし、端末装置31、32からプリント画像を受信することにより行われても良い。
【0104】
転送処理後、ステップS48で、「ジョブ状態」のフラグを「作像中」に設定したのち、リターンする。
【0105】
ステップS41において、「ジョブ状態」が「作像中」のステートの場合は、ステップS49に進み、最終の画像処理サービスを行う画像処理サーバ23から原稿画像を受信したかどうかを判断する。
【0106】
受信しなければ(ステップS49でNO)、リターンする。受信すれば(ステップS49でYES)、ステップS50で、ユーザの指示に基づいて、受信した原稿画像をプリンタ部13で印字し、または端末装置31、32等へ転送する。そして、ステップS51で、「ジョブ状態」のフラグを「アイドル中」に設定したのち、リターンする。
【0107】
次に、画像処理サーバ21〜23の動作を、図13〜図15のフローチャートを用いて説明する。画像処理サーバ21〜23の動作は、各サーバのCPU211がROM212や記憶部214等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0108】
図13は、メインルーチンを示すフローチャートである。
【0109】
画像処理サーバ21〜23は、プログラムの初期化処理(ステップS7)、画像処理(ステップS8)、課金処理(ステップS9)を順次実施する。なお、画像処理(ステップS8)、課金処理(ステップS9)は、別の処理プロセスで構成されてもよい。
【0110】
図14は、前記画像処理(ステップS8)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0111】
ステップS801で、画像形成装置1から「サービス構成情報」を受信したかどうかを判断する。受信していれば(ステップS801でYES)、ステップS802で、「サービス構成情報」の内容を保存したのち、ステップS803で、「サービス構成情報」を該「サービス構成情報」内に記載されている次の画像処理サーバにそのまま転送し、次いでステップS804に進む。なお、次に行う画像処理サービスがない場合には転送をしない。一方、ステップS801で、サービス構成情報を受信していなければ(ステップS801でNO)、そのままステップS804に進む。
【0112】
ステップS804では、画像保護情報を受信したかどうかを判断し、受信した場合には(ステップS804でYES)、ステップS805で、受信した画像保護情報を記憶部214に保存した後、ステップS806に進む。画像保護情報を受信していなければ(ステップS804でNO)、そのままステップS806に進む。
【0113】
ステップS806では、原稿画像を受信したかどうかを判断し、受信しなければ(ステップS806でNO)、リターンする。受信していれば(ステップS806でYES)、必要に応じて原稿画像を保存した後、ステップS807で、画像保護情報における保護領域の有無を調べる。保護領域が存在した場合には(ステップS807でYES)、ステップS808で、保護領域を除外して原稿画像に画像処理を実施したのち、ステップS810に進む。保護領域がない場合は(ステップS807でNO)、ステップS809で、原稿画像の全ページに画像処理を実施したのち、ステップS810に進む。
【0114】
ステップS810では、画像処理によって画像保護情報の生成が必要か否かを判断し、必要な場合(ステップS810でYES)、ステップS811で画像保護情報を生成し、ステップS812で、画像保護情報、原稿画像等を次の画像処理サーバに転送したのち、リターンする。
【0115】
ステップS810で、画像保護情報の生成が必要でない場合(ステップS810でNO)、ステップS813で、受信した画像保護情報の有無を調べ、あれば(ステップS813でYES)、ステップS814で、画像保護情報をそのまま次のサービスヘ転送したのち、リターンする。画像保護情報がなければ(ステップS813でNO)、そのままリターンする。
【0116】
図15は、図13の課金処理(ステップS9)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0117】
ステップS91で、原稿画像を受信したか否かを判断し、受信済みでなければ(ステップS91でNO)、そのままリターンする。受信済みであれば(ステップS91でYES)、ステップS92で、保護領域の有無を調べる。保護領域があれば(ステップS92でYES)、ステップS93で、保護領域を除外して課金処理を実行した後リターンする。保護領域がなければ(ステップS92でNO)、ステップS94で、全ページに課金処理を実行した後リターンする。
【0118】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0119】
例えば、画像形成装置1から画像処理サービスの順序を示したサービス構成情報を画像処理サーバ21〜23に転送するとともに、このサービス構成情報に基づいて各画像処理サーバ21〜23が、次の転送先に原稿画像や画像保護情報を転送する構成としたが、図16に示すように、画像形成装置1を中継して次の転送先に原稿画像や画像保護情報を転送する構成としても良い。
【0120】
即ち、画像形成装置1は、画像処理対象の原稿画像を最初の画像処理サーバ21に転送すると(図16の矢印b1)、画像処理サーバ21は原稿画像を画像処理するとともに、画像保護情報を生成し、課金処理を実施したのち、処理済みの原稿画像と生成した画像保護情報とを画像形成装置1に転送する(図16の矢印b2)。
【0121】
画像形成装置1は、画像処理サーバ21から受信した原稿画像と画像保護情報を、次の画像処理サーバ22に転送する(矢印b3)。画像処理サーバ22は保護領域を除外して画像処理と課金処理を実施したのち、処理済みの原稿画像と生成した画像保護情報とを画像形成装置1に転送する(矢印b4)。
【0122】
同様にして、画像形成装置1は、画像処理サーバ22から受信した原稿画像と画像保護情報を、次の画像処理サーバ23に転送する(矢印b5)。画像処理サーバ23は保護領域を除外して画像処理と課金処理を実施したのち、処理済みの原稿画像と生成した画像保護情報とを画像形成装置1に転送する(矢印b6)。
【0123】
このように、全て画像形成装置1を中継することで、画像形成装置1によるサービス構成情報の生成や、生成したサービス構成情報の画像処理サーバ21〜23への転送が不要となる。
【0124】
また、図17に示すように、画像形成装置1と各画像処理サーバ21〜23との間に、各画像処理サーバ21〜23を制御するための中継サーバ5を配置する形態を採用しても良い。この実施形態では、画像形成装置1からの原稿画像は一旦中継サーバ5に送信され(図17の矢印C1)、その後の原稿画像と画像保護情報は、矢印C2〜C7に示すように、中継サーバ5と各画像処理サーバ21〜23との間で転送が繰り返される。そして、最終の画像処理が実施された原稿画像は、中継サーバ5から画像形成装置1へ転送される(矢印C8)。
【0125】
このような構成とすることで、画像形成装置1に、各画像処理サーバ21〜23へ原稿画像等を転送させる機能を備えさせる必要はなくなり、画像形成装置1の構成を簡素化できる。
【0126】
また、上記実施形態では、複数の画像処理サーバ21〜23が独立した画像処理サービスを実施するものとしたが、図18に示すように、複数の画像処理サービス1〜3を1台の画像処理サーバ24で実施する構成としてもよい。この場合、画像形成装置1から原稿画像が画像処理サーバ24へ送信され(矢印d1)、画像処理サーバ24では、同一ストレージ241内の情報を参照することで、各画像処理が実施される。この実施形態においても、図1に示した複数の画像処理サーバを備えたシステムの場合と同様に、最初の画像処理の実施の際に画像保護情報が生成され、以降の画像処理では画像保護情報に含まれる保護領域については画像処理の実施が禁止される。しかし、原稿画像と画像保護情報については、画像処理サーバ24のストレージ241上で直接ハンドシェークが行われ、指示のみが画像形成装置1から直接発行される。
【0127】
画像処理の終了後は、画像処理サーバ24から原稿画像が画像形成装置1へ転送される(図18の矢印d2)。
【0128】
このように、1つの画像処理サーバ24で複数の画像処理が実施されることにより、画像処理の全体速度を速くすることができる。
【0129】
また、上記実施形態では、画像保護情報は1つの画像処理サーバ21で生成されるものとしたが、2つ以上の画像処理サーバが自身の画像処理に応じて生成しても良い。また、画像処理サーバで生成されるのではなく、あらかじめ画像合成位置等の画像処理位置がわかっているような場合には、画像処理対象の画像データについて、画像形成装置1で、各画像処理サーバに画像処理を実施させる実施領域と画像処理を禁止する保護領域を指定し、これらの実施領域及び保護領域を示す情報を、画像処理対象の画像データとともに画像処理サーバ21〜23に送信する構成としても良い。各画像処理サーバは、実施領域に対してのみ画像処理を実施する。
【0130】
また、画像保護情報は、原稿画像と独立のデータとして生成される構成としたが、原稿画像と一体で構成されてもよい。
【0131】
さらに、課金処理は、電子決済で実施してよく、また各画像処理サーバ21〜23で課金処理を実施するのではなく、図1に示されるように、画像形成装置1に接続される課金装置6で清算される構成としても良い。
【0132】
また、上記実施形態では、画像処理サーバ21により画像処理が実施される領域と同一の領域を保護領域としたが、画像処理サーバによっては複数の画像処理を加える場合も想定されるため、画像処理が実施される領域の一部のみを保護領域とする構成であっても良い。
【符号の説明】
【0133】
1 画像形成装置
21〜23 画像処理サーバ
31、32 端末装置
4 ネットワーク
5 中継サーバ
6 課金装置
211 CPU
214 記憶部
21717 ネットワークインターフェース部
218 画像処理部
219 課金処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続された第1及び第2の画像処理サーバとを備えた画像処理システムであって、
前記第1の画像処理サーバは、前記画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに第1の画像処理を実施する第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出手段とを備え、
前記第2の画像処理サーバは、前記保護領域算出手段で生成された画像保護情報に含まれている保護領域を除いた領域に、第2の画像処理を実施する第2の画像処理手段を備えていることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記第2の画像処理サーバは、画像処理の実施に対して課金する課金手段を備え、該課金手段は、前記保護領域を除いた領域に実施した画像処理に対して課金する請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記第1の画像処理は画像処理対象の画像データに合成対象のデータを合成する合成処理である請求項1または2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記合成対象のデータは文字列データである請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記合成対象のデータは文字列を含む画像データである請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記合成対象のデータはコードを表現するバーコード、または二次元コードである請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記第1及び第2の画像処理サーバによる画像処理の順序を示す順序情報を生成する順序情報生成手段を備え、該順序情報生成手段により生成された順序情報に示された画像処理の実施順に、画像処理対象の画像データ及び前記画像保護情報が前記第1の画像処理サーバから第2の画像処理サーバに転送されて画像処理が実施される請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記第1の画像処理サーバは、前記第1の画像処理の実施後に前記画像データと画像保護情報を前記画像形成装置に返送し、該画像形成装置は前記返送された画像データと画像保護情報を前記第2の画像処理サーバに送信する請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記画像形成装置と画像処理サーバとの間に中継サーバが介在され、
前記第1の画像処理サーバは、前記第1の画像処理の実施後に前記画像データと画像保護情報を前記中継サーバに返送し、中継サーバは前記返送された画像データと画像保護情報を前記第2の画像処理サーバに送信する請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記画像形成装置は、前記第1の画像処理サーバに画像処理を実施させる領域を指定する処理領域指定手段を備え、
前記第1の画像処理サーバの保護領域算出手段は、前記画像形成装置の処理領域指定手段により指定された領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出する請求項1〜9のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項11】
画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続されると共に、前記画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに複数の画像処理を実施する画像処理サーバとを備えた画像処理システムであって、
前記画像処理サーバは、
第1の画像処理を実施する第1の画像処理手段と、
前記第1の画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出手段と、
前記保護領域算出手段で生成された画像保護情報に含まれている保護領域を除いた領域に、第2の画像処理を実施する第2の画像処理手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理システム。
【請求項12】
ネットワークを介して接続された画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに画像処理を実施する画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出手段と、
前記画像処理手段により画像処理が実施された画像データ、及び前記保護領域算出手段で生成された画像保護情報を、次の画像処理を行う別の画像処理サーバに送信し、または前記別の画像処理サーバに転送するために前記画像形成装置に送信し、または画像処理サーバと画像形成装置との間に介在される中継サーバに送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理サーバ。
【請求項13】
画像処理の実施に対して課金する課金手段を備え、該課金手段は、前記保護領域を除いた領域に実施した画像処理に対して課金する請求項12に記載の画像処理サーバ。
【請求項14】
前記画像処理は画像処理対象の画像データに合成対象のデータを合成する合成処理である請求項12または13に記載の画像処理サーバ。
【請求項15】
前記合成対象のデータは文字列データである請求項14に記載の画像処理サーバ。
【請求項16】
前記合成対象のデータは文字列を含む画像データである請求項14に記載の画像処理サーバ。
【請求項17】
前記合成対象のデータはコードを表現するバーコード、または二次元コードである請求項14に記載の画像処理サーバ。
【請求項18】
画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続されるとともに、画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに異なる画像処理を予め決定された順序で実施する第1及び第2の画像処理サーバと、を備えた画像処理システムに用いられる前記画像形成装置であって、
前記画像処理対象の画像データについて、各画像処理サーバに画像処理を実施させる実施領域と画像処理を禁止する保護領域を指定する領域指定手段と、
前記領域指定手段により指定された実施領域及び保護領域を示す情報を、前記画像処理対象の画像データとともに画像処理サーバに送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
画像形成装置と、ネットワークを介して前記画像形成装置と接続された第1及び第2の画像処理サーバとを備えた画像処理システムで実行される画像処理方法であって、
前記第1の画像処理サーバは、前記画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに第1の画像処理を実施する第1の画像処理ステップと、前記第1の画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出ステップとを実行し、
前記第2の画像処理サーバは、前記保護領域算出ステップにおいて生成された画像保護情報に含まれている保護領域を除いた領域に、第2の画像処理を実施する第2の画像処理ステップを実施することを特徴とする画像処理方法。
【請求項20】
画像処理サーバを制御するコンピュータで実行される画像処理プログラムであって、
ネットワークを介して接続された画像形成装置から送信された画像処理対象の画像データに画像処理を実施する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおいて画像処理が実施される領域と関連付けて画像処理を禁止する保護領域を算出し、該保護領域の情報を含む画像保護情報を生成する保護領域算出ステップと、
前記画像処理ステップにおいて画像処理が実施された画像データ、及び前記保護領域算出ステップにおいて生成された画像保護情報を、次の画像処理を行う別の画像処理サーバに送信し、または前記別の画像処理サーバに転送するために前記画像形成装置に送信し、または画像処理サーバと画像形成装置との間に介在される中継サーバに送信する送信ステップと、
を前記コンピュータに実行させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−109749(P2012−109749A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256360(P2010−256360)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】