説明

画像処理システムおよび画像処理方法

【課題】画像処理に伴う画像の劣化を低減することができる技術を提供する。
【解決手段】印刷システム10は、画像データ410によって表現される元画像を構成する複数の画素のうち特異画素を特定する画素特定部320と、特異画素を元画像よりも小さな矩形状に元画像から分離した特異画像データ420a,420bを生成する画像分離部330と、特異画像データ420a,420bを加工する画像加工部340と、特異画像データ420a,420bにおける画素を元画像に合成した合成画像データ440を生成する画像合成部350とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理する画像処理システムおよび画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピューター(以下「パソコン」と呼ぶ),印刷装置(プリンター),複写装置(コピー機),ファクシミリ,複合機など、画像データを取り扱う装置において、特性の異なる画像領域が併存する画像データ(例えば、文字領域と写真領域とが併存する画像データ)を処理する種々の技術が提案されていた。引用文献1には、画像データにおける特性の異なる画像領域ごとに異なる画像処理を実施するために、文字領域および写真領域の各々をそれぞれ囲繞する複数の矩形領域を設定し、これら複数の矩形領域ごとに画像処理を指定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−135578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1の技術では、例えば、写真画像を背景にして文字画像を描画した画像領域のように、特性の異なる画像が混在し矩形領域で分離できない画像領域では、一方の特性を有する画像に対して画像処理を実施すると、他方の特性を有する画像に対しては不必要な画像処理が実施されてしまうという問題があった。例えば、写真画像を背景にして文字画像を描画した画像領域において、文字画像のエッジを滑らかにするためにエッジスムージング処理を実施した場合には、写真画像のエッジまで滑らかになってしまい、逆に、写真画像の色味を調整するために色補正処理を実施した場合には、文字画像の色まで変更されてしまう。
【0005】
本発明は、上記した課題を踏まえ、画像処理に伴う画像の劣化を低減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1] 適用例1の画像処理システムは、画像データを処理する画像処理システムであって、前記画像データの画像であって第1の画素数を有する画像を形成する画素の特性に基づいて、前記画素のうち、所定の特性を有する特異画素を特定する画素特定部と、前記画像から前記特異画素を分離して、前記第1の画素数よりも少ない第2の画素数の特異画像の特異画像データを生成する画像分離部と、前記特異画像データに対して画像処理を行う画像処理部と、前記画像データと前記画像処理が行われた前記特異画像データとを合成した合成画像データを生成する画像合成部とを備えることを特徴とする。
【0008】
適用例1の画像処理システムによれば、特性の異なる画素が混在した画像領域を有する画像データであっても、所定の特性を有する特異画素を画素単位で分離して加工することができるため、特異画素を分離して生成した特異画像に対する画像処理に伴う画像の劣化を低減することができる。また、適用例1の画像処理システムによれば、特異画素以外の画素により構成される画像への影響を考慮することなく画像処理を実施することができるため、特異画素と特異画素以外の画素とが混在した画像に対して、特異画素以外の画素により構成される画像への影響を考慮して画像処理を行う場合に比べて、画像処理におけるアルゴリズムの簡略化を図ることができる。また、適用例1の画像処理システムによれば、元画像よりも少ない画素数の特異画像の特異画像データに対して画像処理を行うため、元画像と同じ大きさで画像データを画像処理した場合に比べて処理負荷を軽減することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1の画像処理システムにおいて、前記画素特定部は、文字画像を構成する画素を前記特異画素として特定しても良い。適用例2の画像処理システムによれば、人間の視覚特性から特異な認識で捉えられる文字画像を構成する画素を、他の画素から分離することができるため、人間の視覚特性に応じて画像の劣化を低減することができる。
【0010】
[適用例3] 適用例1または適用例2の画像処理システムにおいて、前記画素特定部は、前記特異画素のうち、第1の特性を有する第1の特異画素と第2の特性を有する第2の特異画素とを特定し、前記画像分離部は、前記特異画素から前記第1の特異画素を分離して第1の特異画像データを生成し、前記特異画素から前記第2の特異画素を分離して第2の特異画像データとを生成し、前記画像処理部は、前記第1の特異画像データおよび前記第2の特異画像データの各々に対して、異なる前記画像処理を行うとしても良い。適用例3の画像処理システムによれば、複数種類の画像処理を行う場合に、それぞれの画像処理に応じて特異画像データを生成することができるため、画像処理に伴う画像の劣化を低減することができる。
【0011】
[適用例4] 適用例3の画像処理システムにおいて、前記画像処理部は、前記第1の特異画像データおよび前記第2の特異画像データの各々に対して、並列処理により前記画像処理を行うとしても良い。適用例4の画像処理システムによれば、複数の特異画像データを別々の記憶領域に格納した上で各々のデータに対する加工を並列処理によって実施することができる。そのため、画像データを分離することなく並列処理による画像処理を実施した場合に比べて、記憶領域へのアクセス待ちや記憶領域におけるデータの配置構造などに起因する演算処理の遅延を抑制して、処理速度を向上させることができる。
【0012】
[適用例5] 適用例3または適用例4の画像処理システムにおいて、前記画像分離部は、前記第2の特異画像データの第2の特異画像に重複する前記第1の特異画素と、前記第2の特異画像に重複しない前記第1の特異画素とが特定された場合に、前記第1の特異画素から、前記第2の特異画像に重複する前記第1の特異画素を分離して第3の特異画像データを生成し、前記第1の特異画素から、前記第2の特異画像に重複しない前記第1の特異画素を分離して、第4の特異画像データを生成し、前記画像処理部は、前記第3の特異画像データおよび前記第4の特異画像データの各々に対して、異なる前記画像処理を行うとしても良い。適用例5の画像処理システムによれば、特異画素のうち、他の特異画素に重複する部位と他の特異画素と重複しない部位とをそれぞれ異なる画像処理で加工することによって、複数の特異画素によってそれぞれ構成される複数の画像間の関係に応じた画像処理を実施することができる。
【0013】
[適用例6] 適用例5の画像処理システムにおいて、前記画素特定部は、文字画像を構成する画素を前記第1の特異画素として特定し、写真画像を構成する画素を前記第2の特異画素として特定しても良い。適用例6の画像処理システムによれば、写真画像に重複する文字画像の特異画素と、写真画像に重複しない文字画像の特異画素とをそれぞれ特定することができるため、それぞれの得意画素の重複関係に応じた画像処理に伴い、画像の劣化を一層低減することができる。
【0014】
[適用例7] 適用例1ないし適用例6のいずれかの画像処理システムにおいて、前記画像特定部は、前記画像処理部が行うことが可能な前記画像処理の種類に応じて前記特異画素を特定しても良い。適用例7の画像処理システムによれば、画像処理部における画像処理を考慮して特異画像データを生成することができるため、画像処理に伴う処理負荷を軽減することができる。
【0015】
[適用例8] 適用例1ないし適用例7のいずれかの画像処理システムは、更に、前記画像分離部が設けられた第1の処理装置と、前記画像合成部が設けられた第2の処理装置と、前記画像分離部によって前記特異画像データが生成された後、前記画像合成部によって前記合成画像データが生成される前に、前記第1の処理装置における特異画像データを前記第2の処理装置に転送するデータ転送部とを備えても良い。適用例8の画像処理システムによれば、合成画像データよりも小さなデータ容量の特異画像データで第1の処理装置から第2の処理装置へのデータ転送が行われるため、第1の処理装置から第2の処理装置へのデータ転送に掛かる処理負荷を軽減することができる。
【0016】
[適用例9] 適用例9の画像処理方法は、画像データを処理する画像処理方法であって、画像データを処理する画像処理方法であって、(a)前記画像データの画像であって第1の画素数を有する画像を形成する画素の特性に基づいて、前記画素のうち、所定の特性を有する特異画素を特定する工程と、(b)前記画像から前記特異画素を分離して、前記第1の画素数よりも少ない第2の画素数の特異画素の特異画像データを生成する工程と、(c)前記特異画像データに対して画像処理を行う工程と、(d)前記画像データと前記画像処理が行われた前記特異画像データとを合成した合成画像データを生成する工程とを含むことを特徴とする。適用例9の画像処理方法によれば、特性の異なる画素が混在した画像領域を有する画像データであっても、特異画素を画素単位で分離して加工することができるため、画像処理に伴う画像の劣化を低減することができる。
【0017】
本発明の形態は、画像処理システムおよび画像処理方法に限るものではなく、例えば、画像データを処理する装置(例えば、パーソナルコンピューター,印刷装置,複写装置,ファクシミリ,複合機)、画像データを処理する機能をコンピューターに実現させるためのプログラムなどの他の形態に適用することもできる。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】印刷システムの構成を示す説明図である。
【図2】印刷システムにおけるパソコンが実行する画像印刷処理を示すフローチャートである。
【図3】画素特定処理において特異画素が特定される様子の一例を示す説明図である。
【図4】画像分離処理において元画像を分離する様子の一例を示す説明図である。
【図5】画像加工処理における画像処理の様子の一例を示す説明図である。
【図6】画像合成処理において合成画像データが生成される様子の一例を示す説明図である。
【図7】第1変形例における画像分離処理において元画像を分離する様子の一例を示す説明図である。
【図8】第2変形例における画像分離処理において元画像を分離する様子の一例を示す説明図である。
【図9】第3変形例における印刷システムの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した画像処理システムについて説明する。なお、本実施例では、画像処理システムの一形態として印刷システムを例に挙げて説明する。
【0020】
A.実施例:
A1.印刷システムの構成:
図1は、印刷システム10の構成を示す説明図である。印刷システム10は、画像データを処理する画像処理システムの一形態であり、画像データに基づく画像を印刷するシステムである。印刷システム10は、パソコン100と、プリンター200とを備え、パソコン100からの印刷要求に基づいてプリンター200で印刷が実施される。パソコン100とプリンター200との間は、データをやり取り可能に接続され、本実施例では、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)を介して接続されているが、他の実施形態において、無線LAN,インターネット,USB(Universal Serial Bus)インターフェース,パラレルインターフェース,ブルートゥースなどを介して接続されても良い。
【0021】
印刷システム10のパソコン100は、セントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit、以下「CPU」と呼ぶ)110と、メモリー120と、機器インターフェース132と、ユーザーインターフェース134と、印刷送信インターフェース135とを備える。
【0022】
パソコン100のCPU110は、メモリー120に記憶されたプログラムに基づいて種々の演算処理を実行する。パソコン100は、CPU210がプログラムに基づいて動作することによって実現される機能要素として、データ取得部310と、画素特定部320と、画像分離部330と、画像加工部340と、画像合成部350と、データ送信部360とを備える。本実施例では、データ取得部310,画素特定部320,画像分離部330,画像加工部340,画像合成部350,データ送信部360の各機能は、メモリー120に記憶されたソフトウェアに基づいてCPU110が動作することによって実現されるが、他の実施形態において、パソコン100の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって、これらの機能の少なくとも一つが実現されても良い。
【0023】
パソコン100のデータ取得部310は、印刷対象である画像データ410を取得し、その画像データ410をメモリー120の記憶領域に格納して準備する。パソコン100の画素特定部320は、データ取得部310によって取得された画像データ410によって表現される元画像を構成する複数の画素のうち、他の画素が構成する画像とは異なる特性を有する画像を構成する特異画素を特定し、本実施例では、文字および写真を構成する画素を特異画素として特定する。パソコン100の画像分離部330は、画素特定部320によって特定された特異画素を元画像よりも小さな矩形状に元画像から分離した特異画像データを生成し、本実施例では、文字の特異画素を表現する特異画像データ420a、および写真の特異画素を表現する特異画像データ420bを生成する。
【0024】
パソコン100の画像加工部340は、画像分離部330によって生成された特異画像データ420a,420bを加工する。パソコン100の画像合成部350は、画像加工部340によって加工された特異画像データ420a,420bにおける画素を元画像に合成した合成画像データ440を生成する。パソコン100のデータ送信部360は、画像合成部350によって生成された合成画像データ440を含む印刷要求を、印刷送信インターフェース135を介してプリンター200に送信する。
【0025】
本実施例では、パソコン100において取り扱われる画像データ410、特異画像データ420a,420b、合成画像データ440の各画像データは、RGB表色系によるラスターデータである。ラスターデータとは、画素(ピクセル)の色情報を有する複数の画素値を羅列して画像を表現したデータであり、RGB表色系では、赤(Red),緑(Green),青(Blue)の三つの色を混ぜ合わせて種々の色が表現される。なお、他の実施形態において、RGB表色系に代えて、RGBA表色系などの他の異なる表色系を用いても良い。
【0026】
パソコン100のメモリー120は、CPU110による演算処理を規定したプログラムに加え、CPU110によって処理されるデータを記憶し、画像データ410,特異画像データ420a,420b,合成画像データ440などのデータも記憶する。本実施例では、パソコン100のメモリー120は、リードオンリメモリ(Read Only Memory、以下「ROM」と呼ぶ),ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、以下「RAM」と呼ぶ)を含み、他の実施形態において、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下「HDD」と呼ぶ)を仮想的にメモリー120の一部として利用しても良い。
【0027】
パソコン100の印刷送信インターフェース135は、パソコン100の外部機器(例えば、外付けハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下「HDD」と呼ぶ),USBメモリー,デジタルカメラ,インターネットなど)とデータをやり取りする。ユーザーインターフェース134は、ディスプレイ,キーボード,マウスなどを介してパソコン100のユーザーと情報をやり取りする。パソコン100の印刷送信インターフェース135は、プリンター200とデータをやり取りする。パソコン100の動作についての詳細は後述する。
【0028】
印刷システム10のプリンター200は、紙やラベルなどの印刷媒体にインク滴を噴射して文字や画像などを印刷するインクジェット式プリンターであり、いわゆる複合機としてスキャナーやコピーなどの各種機能を備えても良い。プリンター200は、CPU210と、メモリー220と、印刷受信インターフェース235と、印刷機構部240とを備える。
【0029】
プリンター200のCPU210は、メモリー220に記憶されたプログラムに基づいて種々の演算処理を実行する。プリンター200は、CPU210がプログラムに基づいて動作することによって実現される機能要素として、データ受信部370と、印刷制御部380とを備える。本実施例では、データ受信部370,印刷制御部380の各機能は、メモリー220に記憶されたソフトウェアに基づいてCPU210が動作することによって実現されるが、他の実施形態において、プリンター200の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって、これらの機能の少なくとも一つが実現されても良い。
【0030】
プリンター200のデータ受信部370は、パソコン100から印刷受信インターフェース235を介して合成画像データ440を含む印刷要求を受信する。プリンター200の印刷制御部380は、データ受信部370によって受信された印刷要求に基づいて印刷機構部240を制御することによって、合成画像データ440に基づく画像を印刷する。
【0031】
本実施例では、パソコン100からプリンター200に転送される合成画像データ440は、RGB表色系のラスターデータであり、プリンター200において、印刷に先立ってCMYK表色系のラスターデータに変換される。CMYK表色系では、シアン(Cyan),マゼンタ(Magenta),黄(Yellow),黒(Black)の四つの色を混ぜ合わせて種々の色が表現される。なお、他の実施形態において、CMYK表色系に代えて、YCbCr表色系などの他の異なる表色系を用いても良い。
【0032】
プリンター200のメモリー220は、CPU210による演算処理を規定したプログラムに加え、CPU210によって処理されるデータを記憶し、合成画像データ440などのデータも記憶する。本実施例では、プリンター200のメモリー220は、ROM,RAMを含み、他の実施形態において、HDDを仮想的にメモリー220の一部として利用しても良い。
【0033】
プリンター200の印刷受信インターフェース235は、パソコン100とデータをやり取りする。プリンター200の印刷機構部240は、CPU210からの指示に基づいて、シアン,マゼンタ,黄,黒の四色のインクを印刷媒体に噴射することによって印刷を実行する。
【0034】
A2.印刷システムの動作:
図2は、印刷システム10におけるパソコン100が実行する画像印刷処理(ステップS10)を示すフローチャートである。図2の画像印刷処理(ステップS10)は、パソコン100からプリンター200に印刷要求を送信するための処理である。本実施例では、画像データ410をプリンター200で印刷する旨の指示が、パソコン100のユーザーからユーザーインターフェース134を介して受け付けられた場合に、パソコン100のCPU110は、画像印刷処理(ステップS10)を開始する。本実施例では、画像印刷処理(ステップS10)は、パソコン100のCPU110がソフトウェアに基づいて動作することによって実現されるが、他の実施形態において、パソコン100の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されるとしても良い。
【0035】
パソコン100のCPU110は、画像印刷処理(ステップS10)を開始すると、データ取得部310として動作することによってデータ取得処理(ステップS100)を実行する。データ取得処理(ステップS100)において、CPU110は、印刷対象である画像データ410を取得し、その画像データ410をメモリー120の記憶領域に格納して準備する。データ取得処理(ステップS100)で準備される画像データ410は、メモリー120の他の記憶領域に格納されている画像データを読み出したデータであっても良いし、機器インターフェース132やユーザーインターフェース134を介して取得したデータであっても良い。
【0036】
データ取得処理(ステップS100)の後、パソコン100のCPU110は、画素特定部320として動作することによって画素特定処理(ステップS200)を実行する。画素特定処理(ステップS200)において、CPU110は、データ取得処理(ステップS100)によって取得された画像データ410によって表現される元画像を構成する複数の画素のうち、他の画素が構成する画像とは異なる特性を有する画像を構成する特異画素を特定する。
【0037】
本実施例では、既知の光学文字認識技術を用いて画像データ410における文字を認識することによって、画像データ410における複数の画素のうち文字画像を構成する画素が特異画素として特定されると共に、既知の画像認識技術を用いて画像データ410における写真を認識することによって、画像データ410における複数の画素のうち写真画像を構成する画素が特異画素として特定される。なお、他の実施形態において、文字の色、文字の大きさ、数字、平仮名、片仮名、漢字、アルファベットなどで文字画像を複数種類に分類することによって、文字画像に関する特異画素を細分化しても良いし、人間の顔、風景、単色系で塗りつぶされた領域(ベタ塗り)などで写真画像を複数種類に分類することによって、写真画像に関する特異画素を細分化しても良い。これによって、元画像510から画素単位で分離される特異画素をより詳細に分類して加工することができるため、画像処理に伴う画像の劣化を一層低減することができる。また、他の実施形態において、イラストレーション(図解,挿絵)などの画像を構成する画素や、余白を構成する画素についても、特異画素として特定しても良い。
【0038】
図3は、画素特定処理(ステップS200)において特異画素が特定される様子の一例を示す説明図である。図3の上段には、画像データ410によって表現される元画像510を示し、図3の下段には、画素特定処理(ステップS200)を実施して元画像510における画素を分類した様子を示す。図3に示す元画像510は、長方形の画像であり、元画像510の右下寄りには向日葵の写真画像516が貼付され、写真画像516の周囲には余白512が設けられ、元画像510の左寄りには余白512および写真画像516に亘って文字514が記載されている。図3の元画像510の例では、図3の下段に示すように、画素特定処理(ステップS200)において、文字514を構成する画素は、特異画素614として特定され、写真画像516を構成する画素は、特異画素616として特定される。本実施例では、余白512は、特異画素以外の他の画素612として特定される。
【0039】
図2の説明に戻り、画素特定処理(ステップS200)の後、パソコン100のCPU110は、画像分離部330として動作することによって画像分離処理(ステップS300)を実行する。画像分離処理(ステップS300)において、CPU110は、画素特定処理(ステップS200)によって特定された特異画素614,616を元画像510よりも小さな矩形状に元画像510から分離した特異画像データ420a,420bを生成する。特異画像データ420aは、画像データ410から抽出した特異画素614を表現するデータであり、特異画像データ420bは、画像データ410から抽出した特異画素616を表現するデータである。
【0040】
図4は、画像分離処理(ステップS300)において元画像510を分離する様子の一例を示す説明図である。図4には、画像データ410によって表現される元画像510と、特異画像データ420aによって表現される特異画像520aと、特異画像データ420bによって表現される特異画像520bとを示す。
【0041】
図4の特異画像520aは、画素特定処理(ステップS200)において特異画素614として特定された文字514を備え、元画像510において写真画像516が貼付されていた画素は余白に置き換えられ、文字514を囲繞する形状であって元画像510よりも小さな矩形状に整形されている。特異画像データ420aは、特異画像520aを表現するデータに加え、特異画像520aが元画像510から分離された元の位置を示す位置情報Paを含み、本実施例では、位置情報Paは、特異画像520aにおける左上角の画素が元画像510上に位置する座標を示す。
【0042】
図4の特異画像520bは、画素特定処理(ステップS200)において特異画素616として特定された写真画像516を備え、元画像510において文字514が記載されていた画素は余白に置き換えられ、写真画像516を囲繞する形状であって元画像510よりも小さな矩形状に整形されている。特異画像データ420bは、特異画像520bを表現するデータに加え、特異画像520bが元画像510から分離された元の位置を示す位置情報Pbを含み、本実施例では、位置情報Pbは、特異画像520bにおける左上角の画素が元画像510上に位置する座標を示す。
【0043】
図2の説明に戻り、画像分離処理(ステップS300)の後、パソコン100のCPU110は、画像加工部340として動作することによって画像加工処理(ステップS400)を実行する。画像加工処理(ステップS400)において、CPU110は、画像分離処理(ステップS300)によって生成された特異画像データ420a,420bの各々を異なる画像処理で処理することによって、特異画像データ420a,420bを加工する。
【0044】
画像加工処理(ステップS400)における画像処理は、シャープネス処理,スムージング処理,階調補正処理,濃度補正処理,カラー補正処理,解像度変換処理,圧縮処理の少なくとも一つの画像処理を含むとしても良い。シャープネス処理は、輪郭(エッジ)を鮮明にする処理である。スムージング処理は、斜線や曲線のジャギーを滑らかに見せる処理である。階調補正処理は、擬似輪郭が発生しないように滑らかな色階調に補正する処理である。濃度補正処理は、色濃度を補正する処理である。カラー補正処理は、色味を補正する処理である。解像度変換処理は、解像度を変換する処理である。圧縮処理は、データ容量を削減する処理である。
【0045】
なお、画像加工処理(ステップS400)における画像処理によって、特異画像データ420a,420bの両方における画像が加工されても良いし、特異画像データ420a,420bの一方の画像が加工され、他方の画像は元の画像のままであっても良い。例えば、変換前後の解像度が同じ解像度変換処理や、可逆圧縮による圧縮処理では、これらの処理の前後で画像は変化しない。
【0046】
図5は、画像加工処理(ステップS400)における画像処理の様子の一例を示す説明図である。図5には、特異画像データ420aにおける特異画像520aを画像加工処理(ステップS400)で処理した変換特異画像525aと、特異画像データ420bにおける特異画像520bを画像加工処理(ステップS400)で処理した変換特異画像525bとを示す。
【0047】
図5に示す画像加工処理(ステップS400)では、パソコン100のCPU110は、特異画像520aに対して解像度変換処理(ステップS422)を実施し、特異画像520bに対して解像度変換処理(ステップS432)を実施する。本実施例では、写真画像は文字画像より低い解像度であっても十分な画像品質を得ることができる人間の視覚特性に基づいて、特異画像520aに対する解像度変換処理(ステップS422)において設定される解像度は、特異画像520bに対する解像度変換処理(ステップS432)において設定される解像度よりも高く設定される。例えば、元画像510の解像度が「2400×2400dpi(dot per inch)」である場合に、特異画像520aの解像度を元画像510と同じ「2400×2400dpi」に設定し、特異画像520bの解像度を特異画像520aよりも低い「600×600dpi」に設定するとしても良い。なお、他の実施形態において、特異画像520aに対する解像度変換処理(ステップS422)において設定される解像度は、特異画像520bに対する解像度変換処理(ステップS432)において設定される解像度よりも低く設定されても良いし、同じ解像度に設定されても良い。
【0048】
解像度変換処理(ステップS422,S434)の後、パソコン100のCPU110は、特異画像520aに対して文字画像処理(ステップS424)を実施し、特異画像520bに対して写真画像処理(ステップS434)を実施する。文字画像処理(ステップS424)は、画像処理の種類,変換程度,対象範囲などの点で、写真画像処理(ステップS434)とは異なる画像処理である。本実施例では、文字画像処理(ステップS424)は、文字のエッジ部分を鮮明するシャープネス処理と、文字の斜線部分や曲線部分のジャギーを滑らかに見せるスムージング処理とを含む。本実施例では、写真画像処理(ステップS434)は、写真画像を滑らかな色階調に補正する階調補正処理と、写真画像の色濃度を補正する濃度補正処理と、写真画像の色味を補正するカラー補正処理と、写真画像のボケを鮮鋭にするシャープネス処理とを含む。
【0049】
文字画像処理(ステップS424)および写真画像処理(ステップS434)の後、パソコン100のCPU110は、特異画像520aに対して圧縮処理(ステップS426)を実施し、特異画像520bに対して圧縮処理(ステップS436)を実施する。本実施例では、文字画像は写真画像よりも画質の劣化が目立ちやすい人間の視覚特性に基づいて、特異画像520aに対する圧縮処理(ステップS426)は、特異画像520bに対する圧縮処理(ステップS436)よりも再現性の高い圧縮アルゴリズムで実施される。例えば、特異画像520aに対する圧縮処理(ステップS426)は可逆圧縮であり、特異画像520bに対する圧縮処理(ステップS436)は不可逆圧縮であるとしても良い。なお、他の実施形態において、特異画像520aに対する圧縮処理(ステップS426)は、特異画像520bに対する圧縮処理(ステップS436)よりも再現性の低い圧縮アルゴリズムで実施されても良いし、同じ圧縮アルゴリズムで実施されても良い。
【0050】
圧縮処理(ステップS426,S436)の後、パソコン100のCPU110は、画像加工処理(ステップS400)を終了する。画像加工処理(ステップS400)が終了した時点で、特異画像データ420aの特異画像520aは、変換特異画像525aに変換されており、特異画像データ420bの特異画像520bは、変換特異画像525bに変換されている。
【0051】
図2の説明に戻り、画像加工処理(ステップS400)の後、パソコン100のCPU110は、画像合成部350として動作することによって画像合成処理(ステップS500)を実行する。画像合成処理(ステップS500)において、CPU110は、画像加工処理(ステップS400)によって処理された特異画像データ420a,420bにおける特異画素を元画像510に合成した合成画像データ440を生成する。
【0052】
図6は、画像合成処理(ステップS500)において合成画像データ440が生成される様子の一例を示す説明図である。図6には、画像加工処理(ステップS400)で加工された特異画像データ420aの変換特異画像525aと、画像加工処理(ステップS400)で加工された特異画像データ420bの変換特異画像525bと、合成画像データ440の合成画像540とを示す。
【0053】
画像合成処理(ステップS500)において、特異画像データ420aの変換特異画像525aは、特異画像データ420aに含まれる位置情報Paで示される座標に従って、画像データ410の元画像510に合成され、特異画像データ420bの変換特異画像525bは、特異画像データ420bに含まれる位置情報Pbで示される座標に従って、画像データ410の元画像510に合成される。本実施例では、画像合成処理(ステップS500)において、変換特異画像525a,525bにおける余白を透明色として取り扱って、変換特異画像525bにおける画素の上に変換特異画像525aにおける画素を重ね合わせることによって、合成画像540が形成される。すなわち、変換特異画像525aおよび変換特異画像525bの同じ位置に余白ではない有効な画素が存在する場合、変換特異画像525aの画素が合成画像540の画素として選択される。これによって、合成画像データ440における文字514を構成する特異画素614の欠損を防止することができる。
【0054】
図2の説明に戻り、画像合成処理(ステップS500)の後、パソコン100のCPU110は、データ送信部360として動作することによってデータ送信処理(ステップS600)を実行する。データ送信処理(ステップS600)において、CPU110は、画像合成処理(ステップS500)によって生成された合成画像データ440を含む印刷要求を、印刷送信インターフェース135を介してプリンター200に送信する。データ送信処理(ステップS600)において、パソコン100からプリンター200に印刷要求が送信されると、プリンター200では、合成画像データ440に基づく合成画像540が印刷される。
【0055】
A3.効果:
以上説明した印刷システム10によれば、特性の異なる画像が混在した画像領域を有する画像データ410であっても、他の画像とは特性の異なる画像を構成する特異画素614,616を画素単位で分離して加工することができるため(ステップS300,S400)、画像処理に伴う画像の劣化を低減することができる。また、印刷システム10によれば、異なる特性を有する他の画像への影響を考慮することなく画像処理を実施することができるため(ステップS400)、異なる特性を有する他の画像への影響を考慮した場合に比べて、画像処理におけるアルゴリズムの簡略化を図ることができる。また、印刷システム10によれば、他の画像とは特性の異なる画像を構成する特異画素614,616を、元画像510よりも小さな矩形状に分離して加工するため(ステップS300,S400)、元画像510と同じ大きさで画像データ410を画像処理した場合に比べて処理負荷を軽減することができる。
【0056】
また、画素特定処理(ステップS200)において、画像データ410における複数の画素のうち、文字514および写真画像516を構成する画素を特異画素614,616として特定することから、人間の視覚特性から特異な認識で捉えられる文字を構成する画素を、他の画素から分離することができるため、人間の視覚特性に応じて画像の劣化を低減することができる。
【0057】
また、画像分離処理(ステップS300)において、文字514および写真画像516を構成する特異画素614,616の各々を複数の特異画像データ420a,420bを生成することから、元画像510から画素単位で分離される特異画素614,616をより詳細に分類して加工することができるため、画像処理に伴う画像の劣化を一層低減することができる。
【0058】
また、画像特定処理(ステップS200)において、画像加工処理(ステップS400)で実施可能な画像処理の種類である文字画像処理(ステップS424)および写真画像処理(ステップS434)に応じて、文字514および写真画像516を構成する特異画素614,616を特定することから、画像加工処理(ステップS400)における画像処理を考慮して特異画像データ420a,420bを生成することができるため、画像処理に伴う処理負荷を軽減することができる。
【0059】
A4.第1変形例:
図7は、第1変形例における画像分離処理(ステップS300)において元画像510を分離する様子の一例を示す説明図である。第1変形例では、画像分離処理(ステップS300)において、文字514を構成する特異画素614を複数の矩形状に分割して元画像510から分離した複数の特異画像データを生成する点を除き、上述の実施例の印刷システム10と同様である。図7には、画像データ410によって表現される元画像510と、文字514を構成する特異画素614を元画像510から分離した二つの特異画像データによって表現される二つの特異画像520c,520dと、写真画像516を構成する特異画素616を元画像510から分離した特異画像520bとを示す。
【0060】
図7の特異画像520cは、画素特定処理(ステップS200)において特異画素614として特定された文字514のうち、余白514sに隣接する上段の文字514cを備え、余白514sを除外して文字514cを囲繞する区形状に整形されている。図7の特異画像520dは、画素特定処理(ステップS200)において特異画素614として特定された文字514のうち、文字514cおよび余白514sの下段に位置する文字514dを備え、文字514cおよび余白514sを除外して文字514cを囲繞する区形状に整形されている。
【0061】
第1変形例によれば、特異画像データにおける特異画素614以外の余白514sが削減され、画像加工処理(ステップS400)における処理負荷をより軽減することができる。なお、第1変形例では、文字514を構成する特異画素614を複数の矩形状に分割して文字514における余白514sを削減したが、他の実施形態において、写真画像516を構成する特異画素616を複数の矩形状に分割して写真画像516における余白を削減しても良い。
【0062】
A5.第2変形例:
図8は、第2変形例における画像分離処理(ステップS300)において元画像510を分離する様子の一例を示す説明図である。第2変形例では、画像分離処理(ステップS300)において、写真画像516を構成する特異画素616に重複する部位と、特異画素616から重複しない部位とに分離されるように、文字514を構成する特異画素614を複数の矩形状に分割して元画像510から分離した複数の特異画像データを生成する点を除き、上述の実施例の印刷システム10と同様である。図8には、画像データ410によって表現される元画像510と、文字514を構成する特異画素614を元画像510から分離した二つの特異画像データによって表現される二つの特異画像520e,520fと、写真画像516を構成する特異画素616を元画像510から分離した特異画像520bとを示す。
【0063】
図8の特異画像520eは、画素特定処理(ステップS200)において特異画素614として特定された文字514のうち、写真画像516を構成する特異画素616と重複しない文字領域514eを備え、特異画素616と重複しない文字領域514fは余白に置き換えられ、文字領域514eを囲繞する矩形状に整形されている。図8の特異画像520fは、画素特定処理(ステップS200)において特異画素614として特定された文字514のうち、写真画像516を構成する特異画素616と重複する文字領域514fを備え、特異画素616と重複する文字領域514eは余白に置き換えられ、文字領域514fを囲繞する矩形状に整形されている。
【0064】
変形例2によれば、文字514を構成する特異画素614のうち、写真画像516を構成する特異画素616と重複する文字領域514fと、特異画素616と重複しない文字領域514eとを、画像加工処理(ステップS400)においてそれぞれ異なる画像処理で加工することによって、文字514および写真画像516の間の関係に応じた画像処理を実施することができる。なお、第2変形例では、文字514を構成する特異画素614を、写真画像516を構成する特異画素616との重複する関係に応じて分割したが、他の実施形態において、写真画像516を構成する特異画素616を、文字514を構成する特異画素614との重複する関係に応じて分割しても良い。
【0065】
A6.第3変形例:
図9は、第3変形例における印刷システム12の構成を示す説明図である。第3変形例の印刷システム12は、プリンター200の構成が異なる点、パソコン100からプリンター200に特異画像データ420a,420bが転送される点以外は、上述の印刷システム10と同様である。
【0066】
第3変形例におけるプリンター200は、CPU210がプログラムに基づいて動作することによって実現される機能要素として、データ受信部370および印刷制御部380に加え、画像加工部340および画像合成部350を備える。第3変形例では、プリンター200のデータ受信部370は、パソコン100から印刷受信インターフェース235を介して特異画像データ420a,420bを含む印刷要求を受信する。プリンター200の画像加工部340は、データ受信部370によって受信された印刷要求に含まれる特異画像データ420a,420bを加工する。プリンター200の画像合成部350は、画像加工部340によって加工された特異画像データ420a,420bを画像データ410に合成した合成画像データ440を生成する。プリンター200の印刷制御部380は、データ受信部370によって受信された印刷要求に基づいて印刷機構部240を制御することによって、画像合成部350によって生成された合成画像データ440に基づく画像を印刷する。
【0067】
第3変形例によれば、合成画像データ440よりも小さなデータ容量の特異画像データ420a,420bで第1の処理装置であるパソコン100から第2の処理装置であるプリンター200へのデータ転送が行われるため、パソコン100からプリンター200へのデータ転送に掛かる処理負荷を軽減することができる。なお、第3変形例では、画像加工処理(ステップS400)で加工する前の特異画像データ420a,420bをパソコン100からプリンター200にデータ転送するが、他の実施形態において、画像加工処理(ステップS400)で加工した後の特異画像データ420a,420bをパソコン100からプリンター200にデータ転送しても良い。
【0068】
B.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、上述の実施例では、本発明を印刷システムに適用した例について説明したが、他の実施形態において、例えば、パソコン,プリンター,デジタルカメラ,ビューワー,携帯電話など画像データを取り扱う電子機器における画像処理機能に発明を適用しても良い。
【0069】
また、上述の実施例では、文字画像および写真画像を構成する画素を特異画素として特定したが、既知の画像認識技術を用いることによって、文字画像および写真画像に加え、または文字画像および写真画像に代えて、イラストレーションやベクトル画像(ベクターイメージ)などの他の特性を有する画像を構成する画素を特異画素として特定しても良い。
【0070】
また、パソコン100のCPU110を、複数の演算処理装置を備えるマルチプロセッサーやマルチコアとして構成して画像加工処理(ステップS400)を並列処理することによって、複数の演算処理装置における第1の演算処理装置で特異画像データ420aに対する画像処理を実施し、複数の演算処理装置における第2の演算処理装置で特異画像データ420bに対する画像処理を実施するとしても良い。これによって、特異画像データ420a,420bをメモリー120における別々の記憶領域に格納した上で各々のデータに異なる画像処理を並列処理によって実施することができる。そのため、画像データ410を分離することなく並列処理による画像処理を実施した場合に比べて、記憶領域へのアクセス待ちや記憶領域におけるデータの配置構造などに起因する演算処理の遅延を抑制して、処理速度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
10...印刷システム
12...印刷システム
100...パソコン
110...CPU
120...メモリー
132...機器インターフェース
134...ユーザーインターフェース
135...印刷送信インターフェース
200...プリンター
210...CPU
220...メモリー
235...印刷受信インターフェース
240...印刷機構部
310...データ取得部
320...画素特定部
330...画像分離部
340...画像加工部
350...画像合成部
360...データ送信部
370...データ受信部
380...印刷制御部
410...画像データ
420a...特異画像データ
420b...特異画像データ
440...合成画像データ
510...元画像
512...余白
514...文字
514c...文字
514d...文字
514e...文字領域
514f...文字領域
514s...余白
516...写真画像
520a...特異画像
520b...特異画像
520c...特異画像
520d...特異画像
520e...特異画像
520f...特異画像
525a...変換特異画像
525b...変換特異画像
540...合成画像
612...他の画素
614...特異画素
616...特異画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを処理する画像処理システムであって、
前記画像データの画像であって第1の画素数を有する画像を形成する画素の特性に基づいて、前記画素のうち、所定の特性を有する特異画素を特定する画素特定部と、
前記画像から前記特異画素を分離して、前記第1の画素数よりも少ない第2の画素数の特異画像の特異画像データを生成する画像分離部と、
前記特異画像データに対して画像処理を行う画像処理部と、
前記画像データと前記画像処理が行われた前記特異画像データとを合成した合成画像データを生成する画像合成部と
を備える画像処理システム。
【請求項2】
前記画素特定部は、文字画像を構成する画素を前記特異画素として特定する請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画素特定部は、前記特異画素のうち、第1の特性を有する第1の特異画素と第2の特性を有する第2の特異画素とを特定し、
前記画像分離部は、前記特異画素から前記第1の特異画素を分離して第1の特異画像データを生成し、前記特異画素から前記第2の特異画素を分離して第2の特異画像データとを生成し、
前記画像処理部は、前記第1の特異画像データおよび前記第2の特異画像データの各々に対して、異なる前記画像処理を行う請求項1または請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第1の特異画像データおよび前記第2の特異画像データの各々に対して、並列処理により前記画像処理を行う請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記画像分離部は、前記第2の特異画像データの第2の特異画像に重複する前記第1の特異画素と、前記第2の特異画像に重複しない前記第1の特異画素とが特定された場合に、前記第1の特異画素から、前記第2の特異画像に重複する前記第1の特異画素を分離して第3の特異画像データを生成し、前記第1の特異画素から、前記第2の特異画像に重複しない前記第1の特異画素を分離して、第4の特異画像データを生成し、
前記画像処理部は、前記第3の特異画像データおよび前記第4の特異画像データの各々に対して、異なる前記画像処理を行う請求項3または請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記画素特定部は、文字画像を構成する画素を前記第1の特異画素として特定し、写真画像を構成する画素を前記第2の特異画素として特定する請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記画像特定部は、前記画像処理部が行うことが可能な前記画像処理の種類に応じて前記特異画素を特定する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像処理システムであって、更に、
前記画像分離部が設けられた第1の処理装置と、
前記画像合成部が設けられた第2の処理装置と、
前記画像分離部によって前記特異画像データが生成された後、前記画像合成部によって前記合成画像データが生成される前に、前記第1の処理装置における特異画像データを前記第2の処理装置に転送するデータ転送部と
を備える画像処理システム。
【請求項9】
画像データを処理する画像処理方法であって、
(a)前記画像データの画像であって第1の画素数を有する画像を形成する画素の特性に基づいて、前記画素のうち、所定の特性を有する特異画素を特定する工程と、
(b)前記画像から前記特異画素を分離して、前記第1の画素数よりも少ない第2の画素数の特異画素の特異画像データを生成する工程と、
(c)前記特異画像データに対して画像処理を行う工程と、
(d)前記画像データと前記画像処理が行われた前記特異画像データとを合成した合成画像データを生成する工程と
を含む画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−178012(P2010−178012A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17853(P2009−17853)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】