説明

画像処理システムおよび画像形成装置

【課題】カラー印刷の希望度の高いページを優先的にカラー印刷することが可能な画像処理システムを提供すること。
【解決手段】画像処理システム1は、カラー印刷設定された印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを指定する優先指定手段31と、優先指定手段31によって指定された優先ページをカラー印刷する印刷手段(3、23)とを備える。システム1は、さらに、印刷ページにおいて、カラー画素数が所定画素数以上であること、および/または、色種数が所定色種数以上であることを満たすページを判定する判定手段31を備え、優先指定手段31は、判定手段31によって判定されたページを優先ページとして指定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理システムおよび画像形成装置に関し、詳しくは、そのカラー印刷ページ数の制限に係る制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理システムあるいは画像形成装置において、カラー印刷するページ数が制限されて使用されることがある。この使用状況において、カラー印刷ページ数がその制限数に達した場合、その後、1)カラーデータをモノクロデータに変換して印刷、または、2)印刷の継続を拒否する技術が、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−288197公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術文献において、単にカラー印刷ページ数がその制限数に達したことによってのみ、カラー印刷が制限される場合にあっては、カラー印刷の希望度の低いページがカラー印刷され、カラー印刷の希望度の高いページがカラー印刷されない等、ユーザの希望から大きく逸れた印刷が行われる虞があった。
【0004】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、カラー印刷の希望度の高いページを優先的にカラー印刷することが可能な画像処理システムおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像形成システムは、カラー印刷設定された印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを指定する優先指定手段と、前記優先指定手段によって指定された前記優先ページをカラー印刷する印刷手段とを備える。
【0006】
本構成によれば、ユーザの希望に応じて、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを優先指定手段によって指定することができる。そのため、カラー印刷の希望度の高いページを優先的にカラー印刷することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の画像処理システムにおいて、前記印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー画素数が所定画素数以上であること、および/または、色種数が所定色種数以上であることを満たすページを判定する判定手段をさらに備え、前記優先指定手段は、前記判定手段によって判定されたページを前記優先ページとして指定する。
本構成によれば、カラー画素数あるいは色種数の多いページを優先的にカラー印刷できる。
【0008】
第3の発明は、第2の発明の画像処理システムにおいて、前記所定画素数および前記所定色種数は、可変な所定値である。
本構成によれば、状況に応じて、例えば、残されたカラー印刷可能ページ数に応じて、適宜、カラー印刷する判定条件を可変できる。
【0009】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明の画像処理システムにおいて、カラー印刷の印刷可能ページ数を設定する設定手段をさらに備え、前記印刷手段は、前記印刷ジョブにおける印刷ページ数が、前記印刷ジョブの実行時の前記印刷可能ページ数を超える場合、前記優先ページをカラー印刷する。
本構成によれば、印刷ジョブの印刷ページ数がカラー印刷の印刷可能ページ数を超える場合であっても、カラー印刷の希望度の高いページを優先的にカラー印刷できる。
【0010】
第5の発明は、第4の発明の画像処理システムにおいて、前記優先ページをユーザに入力させる入力手段をさらに備える。
本構成によれば、印刷ジョブの印刷ページ数が印刷可能ページ数を超える場合であっても、ユーザに入力させたページを優先的にカラー印刷できる。
【0011】
第6の発明は、第1〜3のいずれかの発明の画像処理システムにおいて、カラー印刷の印刷可能ページ数を設定する設定手段をさらに備え、前記優先指定手段は、前記印刷ジョブにおける印刷ページ数が、前記印刷ジョブの実行時の前記印刷可能ページ数以下である場合、前記印刷ジョブの全ページを指定する。
本構成によれば、印刷ジョブの全ページを問題なく確実にカラー印刷できる。
【0012】
第7の発明は、第1〜5のいずれかの発明の画像処理システムにおいて、前記優先指定手段により指定されなかったページを禁止ページとし、その印刷を禁止する禁止手段をさらに備える。
本構成によれば、カラー印刷の希望度の低いページを印刷してしまうことを低減できる。
【0013】
第8の発明は、第7の発明の画像処理システムにおいて、前記禁止ページの前後の前記優先ページに、前記禁止ページが印刷されなかった旨を印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段をさらに備える。
【0014】
本構成によれば、印刷ジョブにおける印刷されなかったページの情報がユーザに知らされるため、印刷ジョブにおける利便性が向上する。
【0015】
第9の発明は、第1〜5のいずれかの発明の画像処理システムにおいて、前記優先指定手段によって指定されなかったページのデータをモノクロデータに変換する変換手段をさらに備える。
【0016】
本構成によれば、印刷ジョブにおいて優先ページとして指定されなかったページもモノクロ印刷として印刷出力される。そのため、カラー印刷は優先ページのみに限定して、印刷ジョブを全ページ印刷出力したい場合に、好適である。
【0017】
第10の発明は、第9の発明の画像処理システムにおいて、前記指定されなかったページが前記モノクロデータに変換された旨を印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段をさらに備える。
本構成によれば、カラー印刷がモノクロ印刷に変更されたページの情報がユーザに知らされるため、印刷ジョブにおける利便性が向上する。
【0018】
また、上記の目的を達成するための別の手段として、第11の発明に係る画像形成装置は、カラー印刷設定された印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを指定する優先指定手段と、前記優先指定手段によって指定された前記優先ページをカラー印刷する印刷手段とを備える。
【0019】
本構成においても、ユーザの希望に応じて、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを優先指定手段によって指定することができる。そのため、カラー印刷の希望度の高いページを優先的にカラー印刷することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像処理システムおよび画像形成装置によれば、カラー印刷の希望度の高いページを優先的にカラー印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1から図6を参照して説明する。
【0022】
1.画像形成システムの電気的構成
図1は、画像形成システム1の概略的な電気的構成を示すブロック図である。画像形成システム1は、画像形成装置3と、複数台(図1には3台図示)のコンピュータ5とを含み、画像形成装置3およびコンピュータ5は通信回線Lを介して接続されている。複数台のコンピュータ5のうち、1台は管理権限を有するユーザの管理コンピュータ(本発明における「設定手段」の一例)5Aであり、それ以外のコンピュータ5B,5C...は管理権限を有していないユーザのコンピュータである。なお、いずれのコンピュータ5も基本的構成は同じなので、図1ではコンピュータ5Aのみ構成を図示し、他のコンピュータ5B,5C...については省略されている。
【0023】
1−1.画像形成装置
画像形成装置(本発明における「印刷手段」の一例)3は、例えば、印刷機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを有する複合機であり、CPU11、ROM13、RAM15、NVRAM17(不揮発性メモリ)、操作部19、表示部21、印刷部23、スキャナ部25、ファクシミリ部27、ネットワークインターフェイス29等を備えている。
【0024】
なお、画像形成装置3は複合機に限らず、印刷機能、コピー機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも1つの機能を備えるものであれば本発明の「画像形成装置」に含まれる。また、電子写真方式、インクジェット方式のいずれであってもよい。
【0025】
ROM13には、画像形成装置3の基本的な動作を制御するプログラムが格納されており、CPU11は、ROM13から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM15やNVRAM17に記憶させながら、画像形成装置3の動作を制御する。
【0026】
操作部19は、複数のボタンからなり、ユーザによって、印刷要求、コピー要求、印刷制限などの各種の入力操作が可能である。表示部21は、液晶ディスプレイやランプを含み、各種の設定画面や動作状態等を表示することが可能である。印刷部(本発明における「印刷手段」の一例)23は印刷対象とされた印刷データに基づき用紙への印刷を行う。スキャナ部25は、画像形成装置3の図示しない原稿台に配置された原稿の画像を読み取って印刷データを生成する。ファクシミリ部27は、図示しない電話回線を通じて他のファクシミリ装置との間でファクシミリデータのやり取りを行う。また、ネットワークインターフェイス29は、通信回線Lを介してコンピュータ5等に接続されており、相互のデータ通信が可能である。
【0027】
1−2.コンピュータ
各コンピュータ5は、上記したように、いずれも同じ構成であり、CPU31、ROM33、RAM35、ハードディスク37、操作部39、表示部41、ネットワークインターフェイス43等を備えている。
【0028】
ROM33には、各コンピュータ5の基本的な動作を制御するプログラムの他、後述する優先カラーページ印刷に係るプログラムなどが格納されており、CPU31は、ROM33から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM35に記憶させながら、各コンピュータ5の動作を制御する。ハードディスク37には、印刷用のデータを作成するためのアプリケーションソフトやプリンタドライバなどの各種プログラムが記憶されている。
【0029】
操作部(本発明における「優先指定手段」および「入力手段」の一例)39はキーボードやポインティングデバイスを備え、ユーザによって、印刷要求、後述する優先カラーページ印刷に係る優先指定の設定などの各種の入力操作が可能である。表示部41は、例えば液晶ディスプレイであり、優先カラーページ印刷に係る設定をするための入力画面(図2および図5参照)を表示する。また、ネットワークインターフェイス43は通信回線Lに接続される。
【0030】
2.優先カラーページ印刷について
ここで、「優先カラーページ印刷」とは、カラー印刷モードにおいて印刷設定された印刷ジョブ(「以下、単に「カラー印刷ジョブ」という」を実行する際に、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを指定して印刷することを意味する。画像形成システム1は、印刷部23の印刷処理に関して制限を設定できる印刷制限機能を有する。例えば、所定期間内にモノクロ印刷およびカラー印刷が可能な最大印刷ページ(頁)数(本発明における「印刷可能ページ数」に相当)が管理者等による画像形成装置3における操作部19の操作によって設定され、制限される(図5参照)。このように、最大印刷ページ数が設定されている場合において、本実施形態における「優先カラーページ印刷」を、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がない場合と、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がある場合とに分けて以下に説明する。
【0031】
2−1.印刷ページ数に制限がない場合
まず、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がない場合の「優先カラーページ印刷」を、図2、図3、図4を参照して説明する。
【0032】
図2は、「優先カラーページ印刷」を行う際に、ユーザがコンピュータ5の操作部39での入力操作によって設定するために表示部41に表示される設定画面41Aの一例である。また、図3は、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数が印刷可能ページ数以下の場合における、「優先カラーページ印刷」に係る各処理を概略的に示すフローチャートである。
【0033】
図2に示される設定画面41Aにおいて、カラー印刷時に、カラー印刷の優先度の低いページに対する処理に関する設定事項が示される。ここでは、ユーザは、「選択肢(A):モノクロへ自動変換」、「選択肢(B):印刷しない」のいずれかを選択することができる。ここでは、選択肢(A)が選択されている。なお、カラーページの優先度を判定するための条件として、「カラー画素数(判定カラー画素数):Npth」および/または「色種数(判定色種数):Ncth」を、ユーザの操作によって各スライダ42a,42bの位置が調整されることにより、可変設定できる。なお、判定カラー画素数Npthおよび判定色種数Ncthは、直接数値が入力されることにより可変設定されてもよいし、固定値であってもよい。
【0034】
さて、各ユーザは、例えば自己のコンピュータ5に格納されたデータを画像形成装置3にて印刷させる、いわゆるPC印刷を行いたい場合には、まず自己のコンピュータ5の操作部39によって上記設定画面41A等において各設定を行うとともに、他の所定の印刷設定、例えば、印刷したい印刷ファイル名、印刷ページ数等を入力する。すると、コンピュータ5のCPU31は、その設定および印刷要求にしたがって、図3に示す優先カラーページ印刷の処理を実行する。なお、本実施形態では、「選択肢(A):モノクロへ自動変換」が選択され、印刷要求が行われたものとする。
【0035】
CPU31は、まずステップS110において、ユーザによって設定された判定カラー画素数(本発明における「所定画素数」に相当する)Npthおよび/または判定色種数(本発明における「所定色種数」に相当する)Ncthを取得する。
【0036】
次いで、ステップS120において、CPU31は、カラー印刷ジョブに係る最初のページ(対象ページ)のカラー画素数Npおよび/または色種数Ncを対象ページの印刷データに基づいて算出する。次いで、ステップS130において、算出したカラー画素数Npおよび/または色種数Ncが、判定カラー画素数Npthおよび/または判定色種数Ncth以上かどうかを判定する。
【0037】
ステップS130において、カラー画素数Npおよび/または色種数Ncが、判定カラー画素数Npthおよび/または判定色種数Ncth以上であると判定された場合には、S160において、CPU(本発明における「優先指定手段」の一例)31は、最初のページを、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページとしてRAM35に格納する。
【0038】
すなわち、(1)判定対象ページのカラー画素数Npが判定カラー画素数Npth以上である場合、あるいは、(2)判定対象ページの色種数Ncが判定色種数Ncth以上である場合、あるいは、(3)判定対象ページのカラー画素数Npが判定カラー画素数Npth以上であるとともに判定対象ページの色種数Ncが判定色種数Ncth以上である場合に、CPU31は、判定対象ページを、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページとしてRAM35に格納する。ステップS160の処理後、ステップS170に進む。
【0039】
一方、ステップS130において、カラー画素数Npおよび/または判定色種数Ncが、判定カラー画素数Npthおよび/または判定色種数Ncth以上でないと判定された場合には、ステップS142において、CPU(本発明における「変換手段」の一例)31は、対象ページ(最初のページ)の印刷データをモノクロ印刷用にデータ変換する。このようにすれば、カラー印刷は優先ページとして指定されたページのみに対して行われ、優先ページ以外はモノクロ印刷される。そのため、カラー印刷は優先ページのみに限定し、印刷ジョブを全ページ印刷出力したい場合に、好適である。
【0040】
次いでステップS144において、カラー−モノクロ変換を行ったことをその対象ページに印字する指示(ユーザによってなされた)があるかどうかを判定する。なお、図2の設定画面41Aにて、カラー−モノクロ変換を行ったことを対象ページに印字するかどうかをユーザに設定させるチェックボックスを設け、このチェックボックスにチェックがされているかどうかを判定することで、印字指示があるかどうかを判定すればよい。印字指示があると判定した場合には、ステップS146において、CPU(本発明における「印刷制御手段」の一例)31は、例えば、図4に示すように、モノクロ印刷される対象ページ24の下方端にカラー−モノクロ変換を行った情報を印刷させるために、対象ページのデータに変換情報データを追加して、対象ページのページデータを作成する。このように、本実施形態においては、カラー印刷がモノクロ印刷に変更されたページの情報がユーザに知らされるため、印刷ジョブにおける利便性が向上する。そして、ステップS148において、変換情報データが追加された対象ページのページデータを優先ページではない非優先ページとしてRAM35に格納する。ステップS148の処理後、ステップS170に進む。
【0041】
一方、ステップS144において、カラー−モノクロ変換情報を対象ページに印字する指示がないと判定した場合には、ステップS160において、単に、カラー−モノクロ変換された対象ページの印刷データを非優先ページとしてRAM35に格納する。
【0042】
ステップS170においては、「優先カラーページ印刷」に係る全てのページの格納処理(ステップ148またはステップ160)が終了したかどうかを判定する。全てのページの格納処理が終了していないと判定された場合には、次のページの格納処理を行うために、ステップS120に戻り、上記各ステップの処理を繰り返す。そして、全てのページの格納処理が終了したと判定された場合には、ステップS180において、CPU31は、RAM35に格納された全ページデータをカラー印刷ジョブの印刷データとして一括して画像形成装置3に送信し、本処理を終了する。なお、CPU31は、印刷する対象頁毎にその印刷データを画像形成装置3に送信するようにしてもよい。
【0043】
画像形成装置3のCPU11は、コンピュータ5から送信されてきたカラー印刷ジョブの印刷データを受信し、印刷データにしたがって、印刷部23によって優先ページをカラー印刷し、非優先ページをモノクロ印刷する。上述したように、非優先ページのモノクロ印刷において、カラー−モノクロ変換を行ったことを対象ページに印字する指示がある場合には、カラー−モノクロ変換を行った情報が印刷される(図4参照)。
【0044】
このように、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がない場合における「優先カラーページ印刷」においては、CPU31は、カラー印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー画素数Npが判定カラー画素数(所定画素数)Npth以上であること、および/または、色種数Ncが判定色種数(所定色種数)Ncth以上であることを満たすページを判定する。そして、判定されたページを優先ページとして指定し、画像形成装置3の印刷部23に印刷させる。そのため、カラー画素数Npあるいは色種数Ncの多いページを優先的にカラー印刷できる。すなわち、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを、操作部39およびCPU31によって指定し、印刷することができる。
【0045】
さらに、所定画素数Npthおよび所定色種数は、ユーザによって可変設定される値であるため、状況に応じて、例えば、残されたカラー印刷可能ページ数に応じて、適宜、カラー印刷する判定条件を可変できる。
【0046】
すなわち、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がない場合にあっても、ユーザに必要なカラー印刷ページのみを優先して印刷させることができる。そのため、カラー印刷に係るコストおよび時間を低減することができる。
【0047】
2−2.印刷ページ数に制限がある場合
次に、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がある場合、詳細には、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数Pnが当該カラー印刷ジョブの実行時における印刷可能ページ数Pthを超える場合の「優先カラーページ印刷」を、図5、図6を参照して説明する。
【0048】
図5は、操作部39での入力操作によって、カラー印刷制限に関して画像形成装置3に対して設定するための、設定画面41Bの一例である。図6は、この場合の「優先カラーページ印刷」の各処理を概略的に示すフローチャートである。
【0049】
図5に示される設定画面41Bには、画像形成装置(印刷装置本体)3に対する印刷制限に関連する情報および設定事項が示される。ここでは、画像形成装置3における操作部19の操作によって設定された最大印刷頁(ページ)数、ページカウント数(既に印刷されているページ数)Pcが、カラーについて表示されるが、あくまでも画像形成装置3から取得した情報に基づいて表示されるので、設定画面41B上ではこれらの数値をユーザが変更することはできない。
【0050】
また、例えば、カラー印刷ジョブに係る印刷ページ数Pnによってページカウント数Pcが最大印刷ページ数に達する時には、Nin印刷(1ページに複数ページを縮小して印刷すること)へ自動変換することが指示されている。なお、本実施形態において、このNin印刷は任意事項である。
【0051】
また、カラー印刷制限時、すなわち、ページカウント数Pcがカラー最大印刷ページ数を超える場合の画像形成装置3の動作として、ユーザは、図2に示す設定画面41Aと同様に、「選択肢(A):モノクロへ自動変換」、「選択肢(B):印刷しない」のいずれかを選択することができる。ここでは、選択肢(A)が選択されている。
【0052】
また、カラーページを印刷する優先度として、ユーザは、「選択肢(C):前ページを優先」、「選択肢(D):ユーザ指定ページを優先」、および「選択肢(E):カラー使用率の高いページを優先」、の中から選択することができる。すなわち、本実施形態においては、ユーザは、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを、状況に応じて適宜、これら3つの選択肢(C)〜(E)の中から、操作部(入力手段)39を介して指定することができる。なお、選択肢(E)を選択した場合には、さらに、印刷ページ内の「カラー範囲が大きいページ(カラー画素数優先)」および/または「カラフルなページ(色種数優先)」を選択でき、ここでは、「カラー範囲が大きいページ」が選択されている。各選択項目には図2に示す設定画面41Aと同様に、スライダ43a,43bが設けられ、「カラー画素数(判定カラー画素数):Npth」および/または「色種数(判定色種数):Ncth」を、ユーザの操作によって各スライダ43a,43bの位置が調整されることにより、可変設定できる。
【0053】
なお、本実施形態では、カラーページを印刷する優先度として、「選択肢(E):カラー使用率の高いページ」を選択する例を示すがこれに限定されず、選択肢(C)あるいは選択肢(D)を選択するようにしてもよい。また、選択肢(C)の「前ページを優先」とは、カラー印刷ジョブにおける順番が早い(小さい)ページほどカラー印刷を優先させる、という意味である。すなわち、選択肢(C)が選択された場合、カラー印刷ジョブにおける1ページ目から順に優先してカラー印刷が行われる。
【0054】
そして、上記設定画面41B等において設定された各設定および印刷要求にしたがって、図6に示す優先カラーページ印刷の処理を実行する。なお、本実施形態では、「選択肢(A):モノクロへ自動変換」および「選択肢(E):カラー使用率の高いページを優先」が選択され、印刷要求が行われたものとし、図3に示す処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0055】
CPU31は、図6のフローチャートのステップS210において、カラー印刷可能ページ数(本発明における「実行時の印刷可能ページ数」に相当する:=最大印刷ページ数−現在のページカウント数Pc)Pth、およびカラー印刷ジョブにおける印刷ページ数Pnを取得する。カラー印刷可能ページ数Pthは、図5に示される例においては、63(=100−37)ページとなる。
【0056】
そして、ステップS220において、CPU31は、カラー印刷ジョブの印刷ページ数Pnがカラー印刷可能ページ数Pth以下であるかどうかを判定する。印刷ページ数Pnがカラー印刷可能ページ数Pth以下である場合には、カラー印刷ジョブの全ページの印刷が可能であるため、ステップS160に移行し、全ページの格納処理が終了するまで、ステップS160およびステップS170の処理を繰り返す。そのため、印刷ジョブの全ページを問題なく確実にカラー印刷できる。
【0057】
一方、印刷ページ数Pnがカラー印刷可能ページ数Pthを超える場合は、図3に示したステップS120以降の処理を行う。以下、ステップS120以降における図3に示す処理との相違点を説明する。
【0058】
ステップS130において、カラー画素数Npおよび/または判定色種数Ncが、判定カラー画素数Npthおよび/または判定色種数Ncth以上であると判定された場合、CPU31はステップS230において、印刷ページ数Pnのうち既に印刷されたページ数がカラー印刷可能ページ数Pthを超えたかどうか、すなわち、ページカウント数Pcが最大印刷ページ数を超えたかどうかを判定する。ページカウント数Pcが最大印刷ページ数を超えていないと判定した場合には、ステップS160に移行して、対象ページの印刷データを作成する。
【0059】
一方、ページカウント数Pcが最大印刷ページ数を超えたと判定した場合には、対象ページのカラー印刷がこれ以上できないため、ステップS142に移行して、対象ページをモノクロ印刷に切替える処理を行う。
【0060】
このように、カラー印刷ページ数Pnが印刷可能ページ数Pthを超える場合における「優先カラーページ印刷」においても、上記したカラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がない場合と同様の効果を得ることができる。なお、特に、カラー印刷ジョブにおける印刷ページ数に制限がある場合において、本発明による「優先カラーページ印刷」の適用がより好適となる。すなわち、カラー印刷ページ数に制限がない場合と比べて、カラー印刷の希望度の高いページを優先的にカラー印刷できることによる効果がより大きく、印刷ページ数に制限がある場合のカラー印刷ジョブにおける利便性が向上する。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
(1)上記実施形態において、図2および図5に示す選択肢(A)に代えて、「選択肢(B):印刷しない」を選択するようにしてもよい。そして、「選択肢(B):印刷しない」が選択された場合には、CPU(「禁止手段」の一例)31は、対象ページの印刷を禁止する。すなわち、CPU31は、対象ページの印刷データを作成しない。この場合、カラー印刷の希望度の低いページを印刷してしまうことが低減される。
また、その際、例えば図7に示すように、印刷しないページ(印刷禁止ページ)の前後に印刷されるページ(24A、24B)の下方端に、印刷禁止ページの情報を印字させるようにしてもよい。すなわち、CPU31は、印刷禁止ページの情報データを、印刷禁止ページの前後に印刷されるページのデータに追加する。この場合、印刷ジョブにおける印刷されなかったページの情報がユーザに知らされるため、印刷ジョブにおける利便性が向上する。なお、印刷禁止ページの情報を、印刷禁止ページの前あるいは後に印刷されるページにのみ印字するようにしてもよい。
【0063】
(2)上記実施形態において、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを指定する方法として、すなわち、カラーページを印刷する優先度として、図5に示す選択肢(E)に代えて、「選択肢(C):前ページを優先」、あるいは、「選択肢(D):ユーザ指定ページを優先」を選択するようにしてもよい。その場合には、図6に示す処理において、ステップS110およびステップS120の処理を省略し、ステップS130の処理に代えて、対象ページが「前ページ」あるいは「ユーザ指定ページ」であるかを判定する処理を行うようにすればよい。なお、「選択肢(D):ユーザ指定ページを優先」が選択された場合には、例えば、その選択肢(D)の隣にユーザに優先ページを指定するためのチェックボックスを設け、そのチェックボックス内に優先ページを設定するようにすればよい。
【0064】
(3)上記実施形態において、図3および図6に示す処理において、ステップS(144、146)の処理を省略してもよい。すなわち、モノクロ変換情報を印字する処理を省略してもよい。
【0065】
(4)上記実施形態の画像処理システム1を画像形成装置3のみによって構成することもできる。すなわち、本発明は、画像形成装置3のみに適用することができる。その際、画像形成装置3のCPU11が、本発明の優先指定手段、判定手段、禁止手段、印刷制御手段、変換手段および設定手段の一例となる。また、画像形成装置3の操作部が、本発明の優先指定手段および入力手段の一例となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムを概略的に示すブロック図
【図2】カラー印刷回避に係る設定画面を示す図
【図3】優先カラーページ印刷に係る概略的なフローチャート
【図4】カラー−モノクロ変換情報の印字例を示す図
【図5】カラー印刷制限に係る設定画面を示す図
【図6】印刷制限される場合の優先カラーページ印刷に係る概略的なフローチャート
【図7】印刷禁止ページ情報の印字例を示す図
【符号の説明】
【0067】
1…画像形成システム
3…画像形成装置(印刷手段)
5…コンピュータ
5A…管理コンピュータ(設定手段)
11、31…CPU(優先指定手段、判定手段、禁止手段、印刷制御手段、変換手段)
19、39…操作部(優先指定手段、入力手段)
23…印刷部(印刷手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー印刷設定された印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを指定する優先指定手段と、
前記優先指定手段によって指定された前記優先ページをカラー印刷する印刷手段と、
を備えた画像処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理システムにおいて、
前記印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー画素数が所定画素数以上であること、および/または、色種数が所定色種数以上であることを満たすページを判定する判定手段をさらに備え、
前記優先指定手段は、前記判定手段によって判定されたページを前記優先ページとして指定する。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理システムにおいて、
前記所定画素数および前記所定色種数は、可変な所定値である。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理システムにおいて、
カラー印刷の印刷可能ページ数を設定する設定手段をさらに備え、
前記印刷手段は、前記印刷ジョブにおける印刷ページ数が、前記印刷ジョブの実行時の前記印刷可能ページ数を超える場合、前記優先ページをカラー印刷する。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理システムにおいて、
前記優先ページをユーザに入力させる入力手段をさらに備える。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理システムにおいて、
カラー印刷の印刷可能ページ数を設定する設定手段をさらに備え、
前記優先指定手段は、前記印刷ジョブにおける印刷ページ数が、前記印刷ジョブ実行時の前記印刷可能ページ数以下である場合、前記印刷ジョブの全ページを指定する。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理システムにおいて、
前記優先指定手段により指定されなかったページを禁止ページとし、その印刷を禁止する禁止手段をさらに備える。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理システムにおいて、
前記禁止ページの前後の前記優先ページに、前記禁止ページが印刷されなかった旨を印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段をさらに備える。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理システムにおいて、
前記優先指定手段によって指定されなかったページのデータをモノクロデータに変換する変換手段をさらに備える。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理システムにおいて、
前記指定されなかったページが前記モノクロデータに変換された旨を印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段をさらに備える。
【請求項11】
カラー印刷設定された印刷ジョブに含まれる印刷ページにおいて、カラー印刷を優先的に実行すべき優先ページを指定する優先指定手段と、
前記優先指定手段によって指定された前記優先ページをカラー印刷する印刷手段と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−108405(P2010−108405A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282240(P2008−282240)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】