説明

画像処理システム

【課題】利用者は、パーソナルコンピュータ(PC)等の画像処理装置に対して、スキャナ等の周辺装置を追加したり、或いは周辺装置の機種を交換する度に周辺装置に応じたドライバをインストールする必要があり、利用者の管理上の手間や利便性を欠くといった問題があった。
【解決手段】
PC2に接続される複数のスキャナ4を備えた画像処理システム1において、前記PC2には、スキャナ4の動作に必要な動作情報を共通に受信するアプリケーションインタフェース部204と、前記アプリケーションインタフェース部204の設定によりスキャナ4に動作指示を行うユーザインタフェース制御部205とを有するドライバ203を備え、前記スキャナ2には、前記スキャナ4の動作情報を記憶する動作情報記憶部216と、前記動作情報記憶部216からの動作情報をPC2に送信するサーバ部215とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置とネットワークを介して接続されるスキャナ等の周辺装置を複数備えた画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記画像処理システムには、複数のイメージスキャナ(以下、単にスキャナという)から画像をデータ化し、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(以下、単にPCという)に転送し、画像データとして保管するなど様々に画像処理をする技術がある。
従来、このような画像処理システムとしては、例えば、下記特許文献1に開示されている。
この画像処理システムは、スキャナとPC間との送受信のためのアクセスの可能性を登録する手段と、ドライバをユーザサイトにおいてインストールする手段と、前記ドライバがPCとスキャナの1つを関連付ける手段と、スキャニングソフトウエアによって画像ファイルをユーザサイトにおいて生成する手段と、ユーザサイトのスキャニングソフトウエアからのコマンドをネットワークを通してスキャナへ転送する手段と、その結果によって生じたTWAIN(トウェイン)コード、画像データ及び他のデータをネットワークを通してPCからユーザサイトへ転送する手段を有している。
なお、TWAINとは、スキャナから画像を入力するための技術標準の一つで、ハードウエアとしてのスキャナと画像処理ソフトウエアとのインタフェースとして使われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−198780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記PCがスキャナからの画像データを受信する場合、前記スキャナはPCに備えられるスキャナ専用のドライバによって制御される。
しかし、スキャナの機能は機種によって様々に異なるため、従来の画像処理システムでは、PCにはスキャナ毎の専用ドライバを用意しなければならなかった。従って、利用者はスキャナを追加したり、或いはスキャナの機種を交換する度にスキャナに応じたドライバをPCにインストールする必要があり、利用者の管理上の手間や利便性を欠くといった問題があった。
(発明の目的)
そこで本発明は、上記の如き問題に鑑みなされたもので、画像処理装置は周辺装置から取得した動作情報を基に、異なる機能を有する周辺装置においても、画像処理装置内のドライバを共通に使用でき、周辺装置毎にドライバをインストールする必要がなく、利用者の管理上の手間を省くことのできる画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像処理装置に接続される複数の周辺装置を備えた画像処理システムにおいて、前記画像処理装置には、各周辺装置の動作に必要な動作情報を共通に受信する通信部と、前記通信部の設定により各周辺装置に動作指示を行う制御部とを有するドライバを備え、前記周辺装置には、前記周辺装置の動作情報を記憶する記憶部と、前記記憶部からの動作情報を画像処理装置に送信するサーバ部とを備えている。
【発明の効果】
【0006】
上記のように構成することにより、各周辺装置に必要な動作情報を画像処理装置に送信できるサーバ機能を周辺装置に持たせ、ドライバがインタフェースに対応した仮想ドライバとして各周辺装置から取得した動作情報を基に周辺装置固有の動作設定が行えるようにしたのでドライバが共通化し、個々の周辺装置に応じたドライバのインストールを必要とせず、利用者の管理上の手間を省くことができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の画像処理システムのブロック図である。
【図2】本発明の画像処理システムの基本構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1のPC側の処理手順のフローチャートである。
【図4】同実施例1のスキャナ側の処理手順のフローチャートである。
【図5】(a)は同実施例1のダイアログ表示対応スキャナのブロック図であり、(b)及び(c)は同実施例1のドライバによるダイアログ表示の一例である。
【図6】実施例2の画像処理システムのブロック図である。
【図7】同実施例2の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図8】スキャナのWebサーバに備えられる動作情報のHTMLの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の画像処理システムの実施例について図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0009】
図2は本発明の画像処理システムの基本構成を示している。
この画像処理システム1は、図2に示すように、PC2と、このPC2にLAN等のネットワーク3を介して接続された複数のスキャナ4とを有している。
PC2は、図1に示すように、装置本体201と図示しないキーボードやディスプレーの他I/Oポート等が備えられている。
装置本体201には、CPU及び揮発性、不揮発性の記憶手段及びAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)210等が備えられている。
【0010】
記憶手段には、画像アプリケーション202、スキャナに共通のドライバ(以下単にドライバという)203といったプログラムの他、装置全体を制御するためのOSプログラムが格納されている。ここでの画像アプリケーション202には、TWAINインタフェース(I/F)機能が備えられており、このTWAINI/F機能を介してドライバ203と通信する。
【0011】
ドライバ203は、スキャナ動作用のTWAINに基づいたソフトウエアであり、その内容としては各スキャナ4の画像アプリケーション202に対する動作条件の確認や対応のためのネゴシエーションを行うアプリケーションI/F部204と、ユーザI/F制御部205と、画像処理部206と、コマンド・データ処理部207と、検索部208と、I/F制御部209からなる。
このドライバ203は、これ等を組み合わせることにより各スキャナ4毎の動作情報(HTMLデータ)を受信して機種の異なるスキャナ4に対してもユーザI/F制御部205がプログラム上で共通に対応可能となる。
【0012】
ユーザI/F制御部205は、各スキャナ4のWebサーバ215から利用者が対応しようとしているスキャナ4の動作情報を持つHTML(Hyper Text Markup Langage)データを、コマンド・データ処理部207を介して取得し、取得したHTMLデータからそのスキャナの機能に応じたユーザI/Fをエミュレータとして構成することにより、どのスキャナ4とでも共通に動作できる。
また、このユーザI/F制御部205は、図5に示すように、PC2のディスプレーに、各スキャナ4の機能や特長をダイアログ表示させる。即ち、ディスプレーの画面中にスキャナ毎の「入力方法」、「カラーモード」、「原稿サイズ」、「解像度」等のテキストボックスや「スキャン」、「プレビュー」、「閉じる」といった操作ボタンのほか「サムネイル」を表示させる。これによりユーザI/F制御部205は、利用者が使用目的に応じて、原稿を編集したり、スキャナ4を選択できるように設定され、利用者がPC2のキーボードやマウス等を操作することによりダイアログ内容に対する選択や決定に応じて指定入力する際のユーザI/Fとして制御する。
【0013】
画像処理部206は、スキャナ4から受信した画像データに対し、ガンマ補正、モアレ除去またはエッジ強調といった画像処理及びカラーマッチング等の各種フィルタ処理を行う。
【0014】
コマンド・データ処理部207は、ユーザI/F制御部205にて指定された動作条件を基にスキャナ4に動作設定を行うコマンドを送信する。また、このコマンド・データ処理部207はスキャナ4から画像データを受信して、その画像データを画像処理部206に渡す。更に、このコマンド・データ処理部207はスキャナ4のWebサーバ215にアクセスして受信したスキャナ4の動作情報をもつHTMLデータをユーザI/F制御部205に渡す処理を行う。
【0015】
I/F制御部209は、コマンド・データ処理部207がネットワーク3を介して接続されるスキャナ4とコマンド及びデータを送受信するための制御を行う。
【0016】
検索部208は、画像キーワード検索プログラムによって構成されており、HTMLデータの動作情報の具体的な細かな指定とは別に、利用者がスキャナを使用するに当って、予め、PCから指定した原稿に対して概略的機能範囲、例えば、「原稿サイズはA3まで可能」とか、或いは「モノクロ専用」といった範囲で利用者の要求に合うスキャナ4を検出する。各スキャナ4は機能別に予めコード化され、利用者がPCから「原稿サイズ」だけでも指定するとこれを基に検出される。検出されたスキャナは、PCのディスプレーに選択画面でリスト表示され利用者が選択できるよにする。
【0017】
API210は、PCがスキャナとネットワーク通信を行うためのOSのI/Fであり、ドライバ203は、このAIP210を利用してネットワーク3を介して各スキャナ4と互換性よく通信を行うことができる。
【0018】
スキャナ4は、スキャナ本体211中に紙媒体等の原稿を光学的にスキャンして画像データに変換する図示しない画像読取部と、この画像読取部を制御する制御部(CPU)213及びROM、RAM等の動作情報記憶部216を備えたWebサーバ215及び外部I/F212等からなり、ネットワーク3を介して1台のPC2に対して機能の異なる複数(図2中では2台としているが更に多くてもよい)のものが接続され、何れもコンピュータ機能を備えている。
【0019】
外部I/F212は、スキャナ4からの画像データを、ネットワーク3を介してPC2に送信し、また、PC2側からの指示に基づきスキャナ4を動作させるためのコマンドを受信するといった通信を行う。
【0020】
制御部213は各スキャナ4全体を制御し、また、ネットワーク3を介してPC2のドライバ203から送信されたコマンドを判断し、利用者が指定した動作条件に従いスキャナ4が所定の機能を実行できるように、スキャナ制御部214に対して指示する。
【0021】
Webサーバ215は、動作情報記憶部216を有しており、ドライバ203からの要求に応じてスキャナ4の動作に必要な情報をHTMLデータでPCに送信する。
【0022】
動作情報記憶部216には、スキャナ4の動作に必要な情報、即ち、図8に示すHTMLデータが格納されている。HTMLデータは、各スキャナ4が画像をデータ化する場合に指定通りの対応ができるように「カラーモード」、「解像度」、「原稿サイズ」、「両面スキャン」といった各スキャナ4毎に異なる装置固有の情報が書き込まれている。これ等のHTMLデータは、PC2内でエミュレーションされドライバに送信される。
【0023】
次に、実施例1の画像処理システムの動作について説明する。
図3は、PC2側の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図4はスキャナ4側の処理手順の一例を示すフローチャートである。両図を基に夫々の動作説明をする。
先ず、利用者がPC2から何れかのスキャナ4を使用する場合、図3のフローチャートに従って動作する。
【0024】
利用者は、PC2とスキャナ4の電源をONしてシステムを起動させる(開始)。
【0025】
(S301)
PC2及びスキャナ4の始動により、TWAIN対応の画像アプリケーション202が起動することにより、PC2及びスキャナ4は利用可能な状態となる。
【0026】
(S302)
画像アプリケーション202が起動すると、一般にはPC2のドライバ203の種別(USB、ネットワーク)対応のため、利用者はその選択をする。本実施例では、ドライバ203としてネットワーク(LAN)ドライバ203が選択される。
【0027】
(S303)
利用者は、原稿をデータ化しやすい(利用しやすい)スキャナ4を見付け出そうとする場合もあり、このような対応手段として、利用者がPC2のスキャナ指定から操作すると、ドライバ203は、スキャナ4からの動作情報によらずに検索部208によってLANに接続されたスキャナ4の検索を開始する。
【0028】
(S304)
利用者の指定により使用目的に応じたスキャナ4がPCのディスプレーの選択画面から見つからなかった場合は、PC2のディスプレーには「利用可能なスキャナ4が見つかりませんでした」と表示してドライバ203の動作は終了する(S305)か、利用者は使用目的を変更する。
【0029】
(S306)
一方、利用者の利用目的に合ったスキャナ4が検索できた場合、スキャナ4の選択画面をPC2のディスプレーに表示して、利用者に目的のスキャナ4を選択させる。検索されたスキャナ4が一つの場合は、PC2のディスプレーには選択画面を表示せずに済ませてもよい。
【0030】
(S307)
利用可能なスキャナ4が2つ以上ある場合には、検索時のアドレスを基に、利用者は、PC2のディスプレーに選択されたスキャナ4のアドレスに対し「http」アクセスをする。
【0031】
(S308)
これによりPC2は、スキャナ4のWebサーバからHTMLデータを受信し、受信したHTMLデータからドライバ203がディスプレーに利用目的のダイアログを構成して表示する。
【0032】
(S309)
利用者は、ディスプレーに表示されたダイアログを見ながらスキャナ4の動作設定を行う。即ち、原稿を1部ずつ入力するのか或いは複数部まとめて入力するかを選択する場合には「入力方法」、白黒かカラーを選択するには「カラーモード」、原稿の大きさを合わせる場合には「原稿サイズ」の各テキストボックスから選択し、その後、利用者は、ディスプレーのダイアログ表示にある「スキャン」ボタンを押下して画像アプリケーション202がスキャン開始を指示すると、コマンド・データ処理部207は、利用者が設定した動作設定にしたがいスキャナ動作設定及び開始コマンドを作成しスキャナ4に送信してスキャナ動作設定及び開始を指示する。
【0033】
(S310)
この指示によりドライバ203は、スキャナ4の画像読取部が原稿をスキャンして生成した画像データを受信する。
【0034】
(S311)
受信した画像データに対し、画像処理部206は、画像処理や各種フィルタ処理を適用した後に画像アプリケーション202にTWAINインタフェースを介して画像データを転送し、続いて画像データがあるか確認する(S312)。未転送の画像データがあれば次の画像データを受信する処理を行う(S310)。受信した画像データを全て画像アプリケーション202に転送し終えたら終了する。
【0035】
次に、スキャナ側の処理手順について図4を基に説明する。
(S401)
複数のスキャナ4の何れも起動している状態として、各スキャナ4は今PC2からのコマンド待ちの状態とする。
【0036】
(S402)
ドライバ203からのコマンドを何れかのスキャナ4が受信した場合、受信したスキャナ4は、そのコマンドが検索コマンドか否かをCPU213で判断する。
【0037】
(S403)
利用者からのPC操作によってなされた動作情報による検索コマンドの場合には、スキャナ4のCPU213は、PC2側のドライバ203に対して動作情報検索の開始について応答処理する。
【0038】
(S404)
検索コマンドではない場合には、スキャナ4のCPU213は動作を設定するコマンドであるか否か判断する。
【0039】
(S405)
スキャナ動作設定/開始コマンドの場合には、CPU213はスキャナ4の動作条件の設定をスキャナ制御部214に対して行う。
【0040】
(S406)
スキャナ4の画像読取部は、スキャナ制御部214の設定された条件に従って原稿のスキャンを開始する。
【0041】
(S407)
スキャナ4は、画像読取部のスキャンに伴い所定の画像データを生成すると、CPU213はPC2のドライバ203に画像データを転送する。
【0042】
(S408)
スキャナ4のCPU213は、スキャンした原稿の画像データを転送し終えたか否かを判断する。CPU213は転送を終えるまで画像データの転送を行う。
図5は、接続するスキャナ4により異なるダイアログをドライバ203によってPC2のディスプレイに表示した一例を示している。
この場合PC2のディスプレー表示は、LAN3を介して、A4サイズの片面スキャンが可能なモノクロスキャナ505とA3サイズの両面スキャンが可能なカラースキャナとに通信可能な状態になっている。
【0043】
図5において、スキャナ(A4モノクロ)4と接続した場合、ドライバ203のダイアログ(505)に表示される「カラーモード」には白黒とグレイスケールが選択可能となりカラーは選択肢に現れていない。
また、原稿サイズも最大A4までとなり、カラー調整機能のアイコンも表示されない。これに対し、スキャナ(A3カラー)4と接続した場合には、「入力方法」としてオートドキュメントフィーダ(ADF)の両面指定が可能であり、「カラーモード」にカラー(24bit)、原稿サイズにA3までの選択肢が表示される。
【0044】
図8は、スキャナのWebサーバが持つ動作情報としてのHTMLデータの一例であり、夫々のスキャナ4は各機能に応じて異なる動作情報を持つ。
上記のように、スキャナには、必要な動作情報を処理するためにHTMLデータを利用しているが、HTMLデータの処理をWebブラウザ等の別アプリケーションに渡して処理しないから、Webブラウザの種類やバージョンに依存してユーザI/Fが不安定になることがなく、Webブラウザが無い環境でも動作可能である。
【実施例2】
【0045】
図6は実施例2の画像処理システムの構成を示すブロック図である。
この画像処理システムの基本構成としては、実施例1と同様図2に示すように、PC2と、このPC2にLAN等のネットワーク3を介して接続される複数のスキャナ4とを有しており、また、各スキャナ4についても実施例1と同様につき説明は省略する。
PC2は、図6に示すように、装置本体601と図示しないキーボードやディスプレーの他I/Oポート等を備えている。
【0046】
装置本体601は、CPU及び揮発性、不揮発性の記憶手段及びAPI610等を備えている。
【0047】
記憶手段には、画像アプリケーション602、ドライバ603及び常駐プログラム618といったプログラムの他、装置全体を制御するためのOSプログラムが格納されている。ここでの画像アプリケーション602は、TWAINI/Fを備えており、このTWAINI/Fを介してドライバ603と通信する。
【0048】
ドライバ603は、スキャナ動作用のTWAINに基づいたソフトウエアであり、その内容として各スキャナ4の画像アプリケーションに対する動作条件の確認や対応のためのネゴシエーションを行うアプリケーションI/F部604と、ユーザI/F制御部605と、画像処理部606と、コマンド・データ処理部607と、検索部608と、I/F制御部609からなる。
このドライバ603は、これ等を組み合わせることにより各スキャナ4毎のHTMLデータを受信して機種の異なるスキャナ4に対してユーザI/F制御部605がプログラム上で共通に対応可能となる。
アプリケーションI/F部604は、TWAINI/Fを介して画像アプリケーションとユーザI/Fを表示しないユーザI/F非表示モードにてスキャン動作させるためのネゴシエーションを行う。
【0049】
ユーザI/F制御部605は、画像アプリケーションとアプリケーションI/F部604がユーザI/F非表示モードでネゴシエーションした場合に、スキャナのWebサーバから取得したスキャナの動作情報を持つHTMLデータを取得した後、ユーザI/Fを構成せずにドライバのダイアログを表示しない。
この場合、ユーザI/F制御部605は、接続するスキャナ4に対してはコマンド・データ処理部607が常駐プログラム618のスキャナ情報記憶部620から取得するアドレスが使用されるため、スキャナ選択画面を表示する必要はない。
ユーザI/F非表示モードにおいては、スキャナの動作条件は画像アプリケーション602とドライバ603とのネゴシエーションにより決定され、利用者がドライバ603のダイアログを用いて設定することはない。
【0050】
コマンド・データ処理部607は、画像アプリケーションとアプリケーションI/F部604がユーザI/F非表示モードでネゴシエーションした場合に、常駐プログラム618のスキャナ情報記憶部620から接続するスキャナ4のアドレスを取得する。
【0051】
常駐プログラム618は、PC2内のドライバ603とは別に記憶媒体内に格納されており、アプリケーション管理部619、スキャナ情報記憶部620、ポート監視部等を有している。そして、この常駐プログラム618は、ネットワーク3を介してスキャナ4と常時接続を可能にし、スキャナ4から送られてくる起動コマンドを受け取る。
【0052】
アプリケーション管理部619は、スキャナ4から起動コマンドを受信した場合、起動する画像アプリケーションの名称、画像アプリケーション602を管理する。画像アプリケーション602を起動するときは、少なくとも使用するドライバ603を特定できるドライバ名と、スキャナ4からスキャンイベントが発生したことを示すイベント情報をパラメータとして渡す。
【0053】
スキャナ情報記憶部620はコマンドを送信してきたスキャナ4のアドレスを記憶してる。
ポート監視部612は、スキャナ4からコマンドを受信するためにOS・I/FAPI610を用いて所定のポートを監視する。
【0054】
スキャナ4は、スキャナ本体611中に紙媒体等の原稿を光学的にスキャンして画像データに変換する図示しない画像読取部と、この画像読取部を制御する制御部(CPU)613及びROM、RAM等の動作情報記憶部616及び外部I/F612等からなり、ネットワーク3を介して1台のPC2に対して複数のものが接続され、何れもコンピュータ機能を備えている。
【0055】
外部I/F612は、スキャナ4からの画像データを、ネットワーク3を介してPC2に送信し、また、PC2側からの指示に基づきスキャナ4を動作させるためのコマンドを受信するといった通信を行う。
【0056】
制御部613は各スキャナ4の全体を制御し、また、スキャナ4のオペレ−ションパネルから接続するPC2の宛先の入力がありスキャンボタンが押下された場合に、予めドライバ603と通信できるように決められた所定のポートを用いて入力されたPC2の宛先に対して、起動コマンドを送信し、スキャナ4が所定の機能を実行できるように、スキャナ制御部614に対して指示する。
【0057】
起動コマンドはパラメータとして少なくともスキャナ4を利用可能なドライバ名とスキャナのアドレス及びスキャナ起動イベント種別を持つ。本実施例2ではスキャナ起動イベントは画像アプリケーション602を起動してスキャンすることを意味する。
【0058】
Webサーバ615は、動作情報記憶部616を有しており、ドライバ603からの要求に応じてスキャナ4の動作に必要な情報をHTMLデータで送信する。
【0059】
次に、実施例2の動作を説明する。
本実施例では、スキャナ4のオペレ−ションに応じて、PC側のプログラムが自動的に起動してスキャンが開始される動作をPushScanと呼ぶことにする。
先ず、PC側でPC2に搭載されている各種プログラムから常駐プログラム618を起動しておく。OSのスタートアッププログラムとして登録され、以降、OSを再起動しても自動的に起動されるようになる。常駐プログラム618の起動によりスキャナ4との通信用に予め決められた所定のポートが常時監視される。また、PushScanの場合に利用者はPC側で起動する画像アプリケーション602の起動パスを常駐プログラム618に登録し、常駐プログラム618はその起動パスを用いて画像アプリケーション602を起動する。
【0060】
図7は、実施例2における画像アプリケーション602、ドライバ603、常駐プログラム618、スキャナ4間の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0061】
(S701)
図において、利用者は、スキャナ4の画像読取部に原稿をセットし、スキャン結果の画像データを送信する相手先であるPC2のアドレスを、スキャナ4の図示しないオペレーションパネルから入力してスキャナ4に備えられたスキャンボタンを押下する。
【0062】
(S702)
スキャナ4は、入力されたPC2のアドレスに対し所定のポートを用いて起動コマンドを送信する。
【0063】
(S703)
これにより、PC2上の常駐プログラム618は常にポートを監視しており、監視していたポートで起動コマンドを受信したら起動コマンドのパラメータにあるドライバ名とスキャナ4から起動されたことを示すスキャナ起動イベントをパラメータとして利用者によって登録された画像アプリケーション起動パスを用いて画像アプリケーション602を起動する。
また、ドライバ603からスキャナアドレスを要求された場合に備えて、起動コマンドのパラメータにあるスキャナアドレスを記憶しておく。
【0064】
(S704)
画像アプリケーション602は渡されたパラメータからPushScanであると判断するとドライバ603に対しUI非表示モードでネゴシエーションを開始する。
【0065】
(S705)
ドライバ603は、常駐プログラム618に対してアクセスしてスキャナアドレスを取得する(S706)。
【0066】
(S707)
ドライバ603は、取得したスキャナアドレスのスキャナ4にアクセスして動作情報を取得する(S708)。
【0067】
(S709)
ドライバ603中のアプリケーションI/F部604は、取得した動作情報を基に対応する解像度、原稿サイズ、ファイル形式などの能力を画像アプリケーション602に通知し、ネゴシエーションする。
【0068】
(S710)
画像アプリケーション602は、ネゴシエーションの結果からスキャナ4に対する動作条件を決定して、対応するスキャナ4を指定する。
【0069】
(S711)
ドライバ603は、画像アプリケーション602から指定された条件に合うスキャナ4の動作条件を設定する。
【0070】
(S712)
ドライバ603は、スキャン開始をスキャナ4のCPU613に外部I/F612を介して指示する。
【0071】
(S713)
スキャナ4は、利用者の原稿を画像読取部でスキャンして画像データを生成しPC2のドライバ603に転送する。
【0072】
(S714)
ドライバ603は、受信した画像データに対し所定のフィルタ等の画像処理を画像処理部606で行った後、画像アプリケーション602にTWAINI/Fを介して画像データを渡す(S715)。
【0073】
(S716)
PC2及びスキャナ4は、スキャナ4で原稿のスキャンが終了するまで画像データ転送処理を行ない、原稿のスキャンが終了するとCPU613はスキャン終了をドライバ603に通知する(S717)。
【0074】
(S718)
ドライバ603は、画像アプリケーション602にTWAINI/Fを介してスキャン終了を通知する。
以上により、ドライバ603がスキャナ4のWebサーバ615にアクセスしてスキャナ4の動作情報を取得する構成においても、スキャナ4からPC2の画像アプリケーション602を起動してスキャンできる、所謂PushScanを可能にしたので、ネットワーク3等でPC2とスキャナ4が離れた場所に設置されている場合、利用者は原稿を持ってPC2とスキャナ4の間を何度も往復する必要が無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の画像処理システムおいて、周辺装置をスキャナに適応したが、これに限らずプリンタ、複写機又はMFPに適応してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 画像処理システム
2 パーソナルコンピュータ
3 ネットワーク
4 スキャナ
201 装置本体
202 画像アプリケーション
203 ドライバ
204 アプリケーションI/F部
205 ユーザI/F制御部
206 画像処理部
207 コマンドデータ処理部
208 検索部
209 I/F制御部
210 API
211 スキャナ本体
212 外部I/F
213 制御部
214 スキャナ制御部
215 Webサーバ
216 動作情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置に接続される複数の周辺装置を備えた画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置には、各周辺装置の動作に必要な動作情報を周辺装置から共通に受信する通信部と前記通信部の設定により各周辺装置に動作指示を行う制御部とを有するドライバを備え、
前記周辺装置には、前記周辺装置の動作情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部からの動作情報を画像処理装置に送信するサーバ部とを備えていることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記周辺装置の動作前に動作設定を表示する機能を有するドライバを備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理装置には、前記周辺装置から送信される動作指示を常時監視する手段と、
前記動作指示を送信した前記周辺装置のアドレスを記憶する手段と、
前記動作指示に応じて所定のアプリケーションを起動する手段とを有する常駐プログラムを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理装置は、常駐プログラムからのアプリケーションが起動された場合に、ドライバがユーザインタフェースを表示せずに前記周辺装置から受信した動作情報を基に前記周辺装置に動作指示を行うことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記通信部は、ユーザインタフェースからなることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−278635(P2010−278635A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127751(P2009−127751)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】