画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体
【課題】原稿の読み取りが開始されてから画像処理が終了するまでの所要時間を短縮することができる画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】画像入力装置11から入力された入力画像データに基づいて、入力画像データに係る画像の属性を属性判定部221が判定することと、入力画像データに基づいて、N個の画像データをデータ生成部3が生成し、生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を属性処理部4が順次施すこととを並行して実行し、属性判定部221の属性判定結果に応じて、画像処理済みの画像データの内の少なくとも1個をCPU10が選択する。この場合、画像入力装置11が原稿を読み取る回数は1回でよく、しかも、属性の判定と属性に対応する画像処理とが並行して実行されるため、所要時間が短縮される。
【解決手段】画像入力装置11から入力された入力画像データに基づいて、入力画像データに係る画像の属性を属性判定部221が判定することと、入力画像データに基づいて、N個の画像データをデータ生成部3が生成し、生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を属性処理部4が順次施すこととを並行して実行し、属性判定部221の属性判定結果に応じて、画像処理済みの画像データの内の少なくとも1個をCPU10が選択する。この場合、画像入力装置11が原稿を読み取る回数は1回でよく、しかも、属性の判定と属性に対応する画像処理とが並行して実行されるため、所要時間が短縮される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の属性に対応する画像処理を画像データに施す画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機及びデジタル複合機等の画像形成装置は、原稿を読み取ってなる画像データ(以下では原稿画像データという)に対して、画像の属性に対応する画像処理を施す。画像の属性を判定する処理(以下、属性判定処理という)としては、オートカラーセレクト処理(以下、ACS処理という)、及び原稿種別判定処理等が挙げられる。
【0003】
ACS処理とは、原稿の画像が、カラーであるか白黒であるかを判定する処理である。
ACS処理の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各画素がカラー画素であるか白黒画素であるかが判定される。次いで、カラー画素が所定個以上連続するカラーブロックの長さ及び/又は個数に基づいて、各ラインがカラーラインであるか否かが判定される。最後に、カラーラインが所定本数以上である場合に、原稿の画像がカラーである、と判定され、所定本数未満である場合に、白黒である、と判定される(特許文献1参照)。
【0004】
ACS処理の他の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各画素がカラー画素(有彩画素)であるか白黒画素(無彩画素)であるかが判定される。次いで、カラー画素のヒストグラムが生成される。更に、生成されたヒストグラムの形状が解析される。最後に、ヒストグラムの形状の解析結果に基づいて、原稿の画像がカラーであるか白黒であるかが判定される(特許文献2参照)。
カラーである(又は白黒である)と判定された場合、原稿画像データに対して、カラー画像(又は白黒画像)に適した画像処理が施される。
【0005】
原稿の画像がカラーである場合、画像形成装置は、原稿画像データに対して彩度調整処理等を施す。また、原稿画像データを、TIFF、PDF、又はJPEG等のフォーマットの画像データに変換してから外部へ出力する場合、画像形成装置は、原稿画像データの各画素値を、RGB又はYCrCb等のカラー色空間における画素値に変換する。更に、記録シート(例えば記録用紙)に画像を形成する場合、画像形成装置は、原稿画像データの各画素値を、CMYK色空間における画素値に変換してなる画像データを生成し、生成した画像データに基づき、カラートナー又はカラーインクを用いて、記録シートに画像を形成する。
【0006】
原稿の画像が白黒である場合、画像形成装置は、原稿画像データに含まれる彩度の情報を排除する。また、原稿画像データを、TIFF、PDF、又はJPEG等のフォーマットの画像データに変換してから外部へ出力する場合、画像形成装置は、原稿画像データを、グレー、K(ブラック)、又はY(輝度)等の1成分で表わされる画像データに変換する。更に、記録シートに画像を形成する場合、画像形成装置は、原稿画像データを、K1成分で表わされる画像データに変換し、変換結果である画像データに基づき、K単色のトナー又はインクを用いて、記録シートに画像を形成する。
【0007】
一方、原稿種別判定処理とは、原稿に記載されている画像の種類(以下、原稿種別という)を判定する処理である。原稿種別には、例えば、線画、中間調画、連続階調画、線画及び中間調画の混合、中間調画及び連続階調画の混合、線画及び連続階調画の混合、線画、中間調画、及び連続階調画の混合の7種類がある。
【0008】
原稿種別判定処理の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各ブロックに対して、エッジ分離処理及び網点判定処理が施される。次いで、エッジ分離処理及び網点判定処理夫々の処理結果に基づいて、各ブロックに、線画が含まれているか、中間調画が含まれているか、連続階調画が含まれているかが判定される。最後に、線画が含まれているブロック、中間調画が含まれているブロック、及び連続階調画が含まれているブロック夫々の連続性及び頻度に基づいて、原稿種別が判定される(特許文献3参照)。
【0009】
原稿種別判定処理の他の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各注目画素を含むブロックに対して、最大濃度差(各ブロックに含まれる最大濃度値と最小濃度値との濃度差)と、総和濃度繁雑度(隣接する画素の濃度差の絶対値の総和)とが算出される。次いで、算出された最大濃度差と第1の閾値との比較結果、及び、算出された総和濃度繁雑度と第2の閾値との比較結果に基づいて、注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれるか、線画領域又は中間調画領域に含まれるかが判定される。
【0010】
注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれる場合、最大濃度差と第3の閾値との比較結果に基づいて、注目画素が、下地領域に含まれるか、連続階調画領域に含まれるかが判定される。注目画素が、線画領域又は中間調画領域に含まれる場合、総和濃度繁雑度と第4の閾値との比較結果に基づいて、注目画素が、線画領域に含まれるか、中間調画領域に含まれるかが判定される。最後に、連続階調画領域に含まれると判定された画素数、線画領域に含まれると判定された画素数、及び中間調画領域に含まれると判定された画素数夫々の比率に基づいて、原稿種別が判定される(特許文献4参照)。
【0011】
原稿画像データに対して、フィルタ処理、色補正処理、黒生成処理、又は階調処理等を施す際には、原稿種別の判定結果に応じて、適切なフィルタが選択されたり、適切なパラメータが設定されたりする。
【0012】
従来、原稿の読み取りは2回実行される。まず、画像形成装置は、プレスキャン(1回目の読み取り)を実行し、プレスキャンによる原稿画像データに対して、属性判定処理を施す。この結果、原稿の画像の属性が判定される。次いで、画像形成装置は、本スキャン(2回目の読み取り)を実行し、本スキャンによる原稿画像データに対して、原稿の画像の属性に対応する画像処理を施す。
【0013】
ところで、画像処理の所要時間を短縮するために、同一の画像処理を実行するm個(mはm≧2の自然数)の画像処理部を備える並列画像処理装置が提案されている(特許文献5参照)。特許文献5に記載されている並列画像処理装置においては、各画像処理部に、原稿画像データがm個に分割されたデータが入力される。この結果、原稿画像データの各部に対して、同一の画像処理が並行して実行されるため、画像処理の所要時間が短縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平4−282968号公報
【特許文献2】特開2005−286571号公報
【特許文献3】特開平8−251406号公報
【特許文献4】特開2002−232708号公報
【特許文献5】特開2002−251610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の画像形成装置には、プレスキャン及び本スキャンの両方を実行する必要があるため、プレスキャンが開始されてから画像処理が終了するまでの所要時間(以下、全所要時間という)が長い、という問題がある。
そこで、特許文献5に記載されているような並列画像処理装置を含む画像形成装置を用いることが考えられる。この場合、画像形成装置は、原稿の画像の属性に対応する同一の画像処理を実行するm個の画像処理部を備える。このような画像形成装置においては、各画像処理部に、本スキャンによる原稿画像データがm個に分割されたデータが入力される。この結果、画像処理の開始から終了までの所要時間が短縮されるため、全所要時間も短縮される。
【0016】
しかしながら、原稿の画像の属性がn種類(nはn≧2の自然数)存在するため、画像形成装置は、実際にはm×n個の画像処理部を備える必要がある。従って、画像形成装置の回路規模が増大するという問題が生じる。
この問題を解決するためには、各画像処理部を、n種類の属性夫々に対応する画像処理の実行が可能であるように構成することが考えられる。この場合、m個の画像処理部夫々は、属性の判定結果に応じて、実行すべき画像処理を切り替える。
ところが、このような画像処理部は、個々の回路構成が複雑になりがちである。
【0017】
また、プレスキャン及び本スキャンの両方を実行することに変わりはないため、従来の画像処理装置は、2回分の原稿を読み取る時間を必要とし、更に、2回分の原稿を読み取るための電力を消費する、という問題を有する。
この問題を解決するために、画像処理装置が備える画像記憶部に原稿画像データを記憶させておき、原稿画像データを2回読み出すことが考えられる。この場合、原稿の読み取りは1回で済む。
しかしながら、属性判定処理を実行し、属性の判定結果が出た後で、属性に対応する画像処理を実行するため、属性判定処理の実行開始から画像処理の実行終了までの所要時間は長い。
【0018】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、画像の属性を判定しつつ、複数種類の属性に対応する画像処理を順次実行し、属性の判定結果に応じて、画像処理を施した画像データを選択的に出力することにより、全所要時間を短縮することができ、電力消費を削減することができる画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る画像処理方法は、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理方法において、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定しつつ、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成し、生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施し、前記入力された画像データに係る画像の属性の判定結果に応じて、前記画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る画像処理装置は、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理装置において、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定する属性判定手段と、該属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成するデータ生成手段と、前記属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記データ生成手段が生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施す属性処理手段と、前記属性判定手段の判定結果に応じて、前記属性処理手段が画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力する選択出力手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る画像処理装置は、書き込み用及び読み出し用のメモリを更に備え、前記データ生成手段は、前記入力された画像データと同じ画像データの画素が入力され、入力された画素をM(MはM≧Nの自然数)個ずつパックしてなるパックデータを出力するパック手段と、該パック手段が出力したパックデータを、前記パック手段に画素が入力された入力周期のM倍の周期で書き込み用のメモリに書き込みつつ、前記パック手段が出力したパックデータが既に書き込まれている読み出し用のメモリから前記パックデータを、前記入力周期でN回読み出して出力するメモリ制御手段とを有し、前記属性処理手段は、前記メモリ制御手段が出力したN個の前記パックデータに対して、N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて施すようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、本発明の画像処理装置と、記録シート上に画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る画像読取装置は、本発明の画像処理装置と、原稿を読み取ってなる画像データを前記画像処理装置に入力する画像入力手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定させる属性判定ステップと、コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成させるデータ生成ステップと、コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記データ生成ステップで生成されたN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施させる属性処理ステップと、コンピュータに、前記属性判定ステップでの判定結果に応じて、前記属性処理ステップで画像処理が施された画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択させて出力させる選択出力ステップとを実行させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る記録媒体は、前述のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、本発明の画像処理装置を用いて本発明の画像処理方法を実施することによって、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データが出力される。本発明の画像処理装置は、属性判定手段、データ生成手段、属性処理手段、及び選択出力手段を備える。
【0027】
属性判定手段は、入力された画像データ(以下、入力画像データという)に基づいて、入力画像データに係る画像の属性を判定する。
データ生成手段は、入力画像データと同じ画像データ(以下では、これも入力画像データという)に基づいて、画像の属性の種類数Nに応じたN個以上の入力画像データを生成し、属性処理手段は、データ生成手段が生成したN個の入力画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施す。
【0028】
属性判定手段が用いる入力画像データとデータ生成手段が用いる入力画像データとは同一のものである。このため、例えば画像処理装置に接続されている画像読取装置が原稿を読み取ってなる画像データ(即ち原稿画像データ)を入力画像データとする場合、画像読取装置は、原稿を1回だけ読み取ればよい。また、属性判定手段による判定処理と、データ生成手段による生成処理とは、並行して実行される。更に、属性判定手段による判定処理と、属性処理手段による画像処理とが並行して実行される。
【0029】
そして、選択出力手段は、属性判定手段の判定結果に応じて、属性処理手段が画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択する。次いで、選択出力手段は、選択した画像データを、例えば画像処理装置に接続されている画像形成装置へ出力する。
つまり、本発明の画像処理装置においては、属性判定処理の実行終了を待たずに、出力すべき画像データの候補となるN個の画像処理済み画像データが生成され、属性判定処理の実行終了後、出力すべき画像データが選択される。
【0030】
本発明にあっては、書き込み用及び読み出し用のメモリを更に備える。書き込み用及び読み出し用のメモリは、複数個の記憶装置を用いてもよく、1個の記憶装置を分割してなる複数の記憶領域を用いてもよい。
データ生成手段は、パック手段及びメモリ制御手段を有する。
パック手段には、入力画像データの画素が入力される。パック手段は、入力された画素をM個ずつパックしてなるパックデータを出力する。ここで、MはM≧Nの自然数である。
【0031】
メモリ制御手段は、書き込み用及び読み出し用のメモリに対するパックデータの読み書きを行なう。更に詳細には、メモリ制御手段は、パック手段が出力したパックデータを、入力周期のM倍の周期で書き込み用のメモリに書き込む。また、メモリ制御手段は、パック手段が出力したパックデータが既に書き込まれている読み出し用のメモリから、このメモリに書き込まれているパックデータを入力周期でN回読み出して出力する。しかも、メモリ制御手段は、書き込み用のメモリに対するパックデータの書き込みと、読み出し用のメモリに対するパックデータの読み出しとを並行して実行する。
ここで、入力周期とは、入力画像データの画素がパック手段へ入力される周期である。
【0032】
パックデータはM個の画素をパックしてなるため、パック手段は、入力周期でM個の画素が入力された場合に、入力周期のM倍の周期で1個のパックデータを出力する。つまり、例えば1秒毎に1個の画素がパック手段へ入力された場合、M秒毎に1個のパックデータが書き込み用のメモリに書き込まれる。
従って、M個の画素がパック手段に入力された場合、書き込み用のメモリにおいては1個のパックデータが書き込まれ、且つ、読み出し用のメモリにおいてはN個(最大M個)のパックデータが読み出される。つまり、M個の画素がパック手段に入力された場合に、N×M個(最大M×M個)の画素が読み出し用のメモリから出力されるため、画素の入出力速度が実質的にN倍(最大M倍)になる。
【0033】
画像の属性の種類数Nとパックデータ1個に含まれる画素数Mとの関係はN≦Mである。このため、1個のパックデータが書き込み用のメモリへ入力されることに対応して、N個のパックデータを読み出し用のメモリから出力することができる。何故ならば、1個のパックデータが書き込み用のメモリへ入力されることに対応して、読み出し用のメモリからは最大M個のパックデータを出力することができるからである。
【0034】
ところで、メモリ制御手段は、書き込み用のメモリへのパックデータの書き込みが終了した場合に、このメモリを読み出し用とし、読み出し用のメモリからのパックデータの読み出しが終了した場合にこのメモリを書き込み用とする。つまり、書き込み用及び読み出し用のメモリを読み出しと書き込みとに交互に用いつつ、読み出しと書き込みとを並行して実行するため、画素の入出力効率が向上される。
【0035】
属性処理手段は、メモリ制御手段が出力したN個のパックデータに対して、N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて施す。つまり、書き込み用のメモリに書き込まれた1個のパックデータに基づいて、N個の画像処理済みパックデータが生成される。
このとき、画素の入出力効率が向上されているため、属性処理手段における画像処理の所要時間を短縮することができる。
【0036】
このような属性処理手段は、N個の画像処理部を備える必要がない。何故ならば、画像処理装置は、N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて実行する1個の画像処理部を備えればよいからである。このような画像処理部の回路構成は複雑であるが、種類数Nの値が大きいほど、画像処理装置の回路規模を更にコンパクトにすることができる。
【0037】
このとき、メモリ制御手段が出力したN個のパックデータは、画像処理部に1個ずつ入力される。
メモリ制御手段が、同一のパックデータを、N回連続的に出力する場合、画像処理部は、入力された1個目のパックデータに対して第1の画像処理を実行し、次に、入力された2個目のパックデータに対して第2の画像処理を実行し、…、最後に、入力されたN個目のパックデータに対して第Nの画像処理を実行する。
【0038】
本発明にあっては、本発明の画像処理装置及び画像形成手段を備え、画像形成手段は、記録シート上に画像を形成する。
画像処理装置に入力される画像データは、原稿の読み取りを1回だけ実行することによって得られたものである。また、画像処理装置は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。
従って、本発明の画像形成装置は、画像の読み取りが開始されてから(又は、画像処理装置に画像データが入力されてから)、画像処理を経て、画像の形成が終了するまでの所要時間を短縮することができる。
【0039】
本発明にあっては、本発明の画像処理装置及び画像入力手段を備え、画像入力手段は、原稿を読み取ってなる画像データを画像処理装置に入力する。
画像処理装置に入力される画像データは、画像入力手段が原稿の読み取りを1回だけ実行することによって得られたものである。また、画像処理装置は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。
従って、本発明の画像読取装置は、画像の読み取りが開始されてから、画像処理が終了するまでの所要時間を短縮することができる。
【0040】
本発明にあっては、コンピュータプログラムが、本発明の画像処理装置が備える属性判定手段及びデータ生成手段等を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させる。本発明のコンピュータプログラムによる場合、公知のコンピュータを、本発明の画像処理装置として機能させることができる。
なお、本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに画像生成処理又は画像圧縮処理等を実行させるための一連の画像処理プログラムに組み入れられた構成であってもよい。
【0041】
本発明にあっては、コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体が、本発明のコンピュータプログラムを記録する。本発明の記録媒体による場合、本発明のコンピュータプログラムの配布、保管等の利便性を向上させることができる。
なお、本発明の記録媒体には、本発明のコンピュータプログラムが組み込まれている前記一連の画像処理プログラムが記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明の画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体による場合、原稿の読み取りを1回だけ実行すればよいため、プレスキャン及び本スキャンの両方を実行する場合に比べて、原稿を読み取る時間及び原稿を読み取るための電力消費夫々を単純計算で半分にすることができる。また、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行することができる。以上の結果、画像の読み取りが開始されてから(又は、画像処理装置に画像データが入力されてから)、画像処理が終了するまでの所要時間を短縮することができる。更に、ランニング・コストの削減及び省エネルギに寄与することができる。
【0043】
更にまた、属性に対応する画像処理をハードウェア的に実現する場合には、画像処理装置の回路規模をコンパクトにすることができ、回路構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置を備える画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第2画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第3画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備えるパック処理部、ラインメモリ、及び属性処理部夫々に対する画素又はパックデータの入出力を説明する模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える読み出し用のラインメモリから出力されたパックデータに対して施される画像処理の種類を説明する模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備えるメモリ制御部で実行されるデータ入力処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備えるメモリ制御部で実行されるデータ出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える属性処理部で実行されるマルチ画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える属性処理部で実行されるマルチ画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1空間フィルタ処理部で実行されるフィルタ処理を説明するための模式図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1空間フィルタ処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1空間フィルタ処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る画像処理装置を備える画像読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0046】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置2を備える画像形成装置101の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態では、カラーコピー機能及び白黒コピー機能を有するデジタル複写機として機能する画像形成装置101を例示する。
図2、図3、及び図4は、画像処理装置2が備える第1画像処理部21、第2画像処理部22、及び第3画像処理部25の機能構成を示すブロック図である。
【0047】
図1及び図3に示すように、画像形成装置101は、CPU10、画像入力装置11、画像メモリ12、画像出力装置13、操作パネル14、転送制御部16、及び画像処理装置2を備える。画像処理装置2は、本発明における画像処理装置として機能する。
操作パネル14は、表示装置15と、ユーザが画像形成装置101を操作するためのモード設定キー及びテンキー等を含む図示しない操作部とを備える。
表示装置15は、例えば液晶ディスプレイを用いてなり、ユーザに対する操作指示、又は画像形成装置101の作動状態等を表示する。
【0048】
画像処理装置2は、第1画像処理部21、第2画像処理部22、圧縮処理部23、伸張処理部24、及び第3画像処理部25を備える。
図2に示すように、第1画像処理部21は、A/D(アナログ/デジタル)変換部211、シェーディング補正部212、及び入力階調補正部213を備える。
図1及び図3に示すように、第2画像処理部22は、属性判定部221、出力DMA(Direct Memory Access)部222、データ生成部3、及び属性処理部4を備える。
【0049】
データ生成部3は、パック処理部31、メモリ制御部32、及び2本のラインメモリ331,332を備える。
属性処理部4は、色変換処理部41及び第1空間フィルタ処理部42を備える。
圧縮処理部23は、入力DMA部231、圧縮部232、及び出力DMA部233を備える。
【0050】
図4に示すように、第3画像処理部25は、領域分離処理部251、色補正部252、黒生成下色除去部253、第2空間フィルタ処理部254、及び階調再現処理部255を備える。
以上のような画像形成装置101の各部には、図示しないクロックジェネレータから出力されたクロックが入力される。
【0051】
図1及び図3に示すCPU10は、画像形成装置101の制御中枢であり、図示しない揮発性メモリを作業領域として用い、図示しない不揮発性メモリに記憶されたコンピュータプログラム及びデータに従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。CPU10は、後述する入力画像データの転送を要求すべき転送タイミング、及び画像メモリ12に対して入力画像データの読み書きを開始すべきアドレス等を示す制御信号を、画像形成装置101の各部に与える。
【0052】
画像メモリ12は、例えばDDR2規格のSDRAM、又はハードディスク等を用いてなる。
転送制御部16は、自身に入力された転送要求に応じて、入力画像データ、及び後述する圧縮データ等の転送処理を実行する。転送要求が同時的に複数入力された場合、転送制御部16は、入力された転送要求の優先順位を決定し、優先順位の高い転送処理から順に実行する。転送要求の優先順位の高低は、CPU10が適宜のタイミングで転送制御部16に設定するか、又は転送制御部16にデフォルトで設定されている。
【0053】
画像入力装置11は、画像処理装置2の入力側に接続されている。画像入力装置11は、例えばCCD(Charge Coupled Device )を有するラインセンサを用いてなる。ラインセンサは、原稿から反射してきた光を、アナログのRGB(R:レッド、G:グリーン、B:ブルー)信号に変換してから、画像処理装置2に入力する。ここで、RGB信号とは、RGBの反射率信号である。このような画像入力装置11は、本発明における画像入力手段として機能し、画像入力装置11から画像処理装置2に入力されるRGB信号が、原稿を読み取ってなる画像データに相当する。
【0054】
画像出力装置13は、画像処理装置2の出力側に接続されている。画像出力装置13は、例えば電子写真方式又はインクジェット方式等のプリンタを用いてなる。プリンタは、画像出力装置13に入力されたカラーの画像データ(又は白黒の画像データ)に基づいて、カラー画像(又は白黒画像)を記録シート上に形成して出力する。このような画像出力装置13は、本発明における画像形成手段として機能する。
つまり、本実施の形態の画像形成装置101は、本発明における画像読取装置及び画像形成装置として機能する。
【0055】
以下に、画像処理装置2における各種画像処理を詳述する。
画像入力装置11から出力されたアナログのRGB信号は、図2に示す第1画像処理部21のA/D変換部211に入力される。
A/D変換部211は、アナログのRGB信号をデジタルのRGB信号に変換してからシェーディング補正部212へ出力する。
シェーディング補正部212は、入力されたデジタルのRGB信号に対して、画像入力装置11の照明系、結像系、及び撮像系で生じる各種の歪みを取り除く信号処理を施す。次いで、シェーディング補正部212は、信号処理済みのRGB信号を入力階調補正部213へ出力する。
【0056】
入力階調補正部213は、入力されたRGB信号に対して入力階調補正処理を施す。入力階調補正処理とは、RGB信号のカラーバランスを整え、また、RGB信号を、画像処理装置2に採用されている画像処理システムが扱い易い信号(例えば濃度信号)に変換する処理である。更に、入力階調補正部213は、入力されたRGB信号に対してγ補正処理を施す。
次いで、入力階調補正部213は、入力階調補正及びγ補正処理済みのRGB信号を、図1及び図3に示す第2画像処理部22の属性判定部221及びデータ生成部3の両方へ並行してへ出力する。
【0057】
以下では、第1画像処理部21から第2画像処理部22に入力されるRGB信号を、入力画像データという。入力画像データは、複数個の画素夫々のR値、G値、及びB値を有する。
【0058】
ところで、原稿に記載されている画像(以下、原稿画像という)は、N種類の属性の内、何れか1種類の属性を有する。ここで、NはN≧2の自然数であり、本実施の形態においてはN=6である。
具体的には、原稿画像は、「カラー」及び「白黒」の何れかの属性を有し、且つ、「文字」、「写真」、及び「文字写真」の何れかの属性を有する。つまり、原稿画像の属性は、「カラー且つ文字」、「白黒且つ文字」、「カラー且つ写真」、「白黒且つ写真」、「カラー且つ文字写真」、又は「白黒且つ文字写真」である。ここで、「文字」とは線画を意味し、「写真」とは印画紙写真(連続階調画)を意味し、「文字写真」とは、文字と印刷写真との混合(網点画。即ち中間調画)を意味する。
【0059】
従来の画像形成装置は、原稿をプレスキャンしてなる1個の入力画像データに基づいて、原稿画像の属性を判定し、次いで、原稿を本スキャンしてなる1個の入力画像データに対して、属性判定結果である1種類の属性に対応する画像処理を施す。最後に、従来の画像形成装置は、画像処理済みの画像データに基づいて記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成する。ここで、1個の入力画像データとは、原稿1つ分(例えばシート状の原稿1枚分)の入力画像データであり、以下では、1枚分の入力画像データという。
【0060】
一方、本実施の形態の画像形成装置101は、原稿を読み取ってなる入力画像データに基づいて、原稿画像の属性を判定することと、属性判定用の入力画像データと同じ入力画像データに基づいてN個の入力画像データを生成し、生成したN個の入力画像データに対してN種類の属性に対応する画像処理を順次施すこととを並行して実行し、属性判定結果である1種類の属性に対応する画像処理を施された入力画像データを選択する。最後に、画像形成装置101は、選択された入力画像データに基づいて記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成する。以下では、選択された入力画像データを選択データという。
【0061】
選択データは、従来の画像形成装置における画像処理済みの画像データと同一のものである。
ただし、画像形成装置101は、原稿画像を1回しか読み取らない。しかも、画像形成装置101は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。従って、画像形成装置101は、原稿の読み取りを開始してから記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成するまでの所要時間を短縮することができる。
【0062】
このために、属性判定部221は、第1画像処理部21から入力された入力画像データに基づいて、入力画像データに係る画像の属性を判定する。つまり、属性判定部221は、本発明における属性判定手段として機能する。
【0063】
具体的には、属性判定部221は、例えば特許文献1,2に記載されているようなACS処理を実行することによって、原稿画像の属性が「カラー」であるか「白黒」であるかを判定する。また、属性判定部221は、例えば特許文献3,4に記載されているような原稿種別判定処理を実行することによって、原稿画像が「文字」であるか「写真」であるか「文字写真」であるかを判定する。本実施の形態における属性判定部221は、ACS処理及び原稿種別判定処理は順次実行される。なお、属性判定部221は、ACS処理及び原稿種別判定処理を並行して実行する構成でもよい。
【0064】
以下に、ACS処理の一例を挙げる。
属性判定部221は、入力画像データに含まれる画素を順に選択して注目画素となす。次いで、属性判定部221は、注目画素を中心とするp×q個(p,q夫々は自然数。例えばp,q=3)のブロックにおいて、R値、G値、及びB値夫々の平均値を算出する。更に、属性判定部221は、算出した平均値の最大値及び最小値を求め、求めた最大値と最小値との差分値(以下、最大濃度差分値という)を算出する。
【0065】
次に、属性判定部221は、算出した最大濃度差分値が、予め設定されている画素判定閾値(例えば“20”)以上であるか否かを判定する。そして、属性判定部221は、最大濃度差分値が画素判定閾値以上である(又は画素判定閾値未満である)場合に、注目画素がカラー画素(又は白黒画素)であると判定する。
次いで、属性判定部221は、カラー画素であると判定された画素(以下、単にカラー画素という)のヒストグラムを生成する。このとき、カラー画素のR値、G値、及びB値夫々がヒストグラムの横軸に相当し、カラー画素の個数(即ち度数)がヒストグラムの縦軸に相当する。
【0066】
更に、属性判定部221は、R値のヒストグラムにおける最も度数値が大きいR値(以下、最大度数R濃度値という)を求める。次に、属性判定部221は、最大度数R濃度値が、予め設定されているR濃度閾値(例えば“150”)以上であるか否かを判定する。最大度数R濃度値が、予め設定されているR濃度閾値未満である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「カラー」であると判定する。
【0067】
最大度数R濃度値が、予め設定されているR濃度閾値以上である場合、属性判定部221は、R値のヒストグラムにおいて、最大度数R濃度値を中心に、予め設定されている濃度幅(例えば最大度数R濃度値±8)の領域の総度数値を算出する。更に、属性判定部221は、カラー画素の総画素数に基づいて、R値度数閾値を算出する。このとき、R値度数閾値は、例えばカラー画素の総画素数×0.9の値とする。
次いで、属性判定部221は、算出した総度数値が、算出したR値度数閾値以上であるか否かを判定する。総度数値がR値度数閾値未満である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「カラー」であると判定する。
【0068】
総度数値がR値度数閾値以上である場合、属性判定部221は、G値のヒストグラムを用いて最大度数G濃度値を求め、最大度数R濃度値と同様にして、求めた最大度数G濃度値がG濃度閾値以上であるか否か、また、総度数値がG値度数閾値以上であるか否かを判定する。
【0069】
最大度数G濃度値を用いた判定処理を実行しても、原稿画像の属性が「カラー」であると判定されなかった場合、属性判定部221は、B値のヒストグラムを用いて最大度数B濃度値を求め、最大度数R濃度値と同様にして、求めた最大度数B濃度値がB濃度閾値以上であるか否か、また、総度数値がB値度数閾値以上であるか否かを判定する。
最大度数B濃度値を用いた判定処理を実行しても、原稿画像の属性が「カラー」であると判定されなかった場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「白黒」であると判定する。
【0070】
次に、ACS処理の他の一例を挙げる。
属性判定部221は、入力画像データに含まれる各画素がカラー画素であるか否かを判定する。このために、属性判定部221は、各画素が線画の画素であるか、中間調画の画素であるか、連続階調画の画素であるかを判別し、判別結果に応じて、各画素がカラー画素であるか否かを判定する。
【0071】
次に、属性判定部221は、各ラインについて、カラー画素が連続している領域を求め、求めた領域に含まれるカラー画素の個数を計数する。計数した個数が、予め設定されている画素数閾値以上である場合、属性判定部221は、求めた領域を、カラーブロックであると判定する。更に、属性判定部221は、カラーブロックの個数が、予め設定されているブロック数閾値以上であるラインを、カラーラインであると判定する。
カラーラインの本数が、予め設定されている本数閾値以上(又は本数閾値未満)である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「カラー」(又は「白黒」)であると判定する。
【0072】
ACS処理の更に他の一例としては、属性判定部221が、入力画像データに含まれるカラー画素の個数を計数し、計数結果が、所定個数(例えば“700”)以上である場合に、原稿画像の属性が「カラー」であると判定する手法が挙げられる。又は、属性判定部221が、入力画像データに含まれるRGB信号の最大値と最小値との差値を、所定閾値と比較する手法、或いは、RGB信号の各色成分の差分の絶対値を、所定の閾値とを比較する手法等が挙げられる。
【0073】
本実施の形態では、属性判定部221がRGB信号を用いてACS処理を実行する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、属性判定部221は、RGB信号を補色反転したCMY信号に変換してからACS処理を実行する構成でもよい。又は、属性判定部221は、RGB信号をL* a* b* 表色系(CIE1976。CIE:Commission Internationale de l' Eclairage :国際照明委員会)における均等色空間上の座標(L*:明度。a* ,b* :色度)に変換してからACS処理を実行する構成でもよい。
【0074】
以下に、原稿種別判定処理の一例を挙げる。
属性判定部221は、入力画像データに含まれる画素を順に選択して注目画素となす。
次いで、属性判定部221は、注目画素を中心とするp×q個(例えば7×15個)のブロックにおける最小濃度値及び最大濃度値を求める。更に、属性判定部221は、求めた最大濃度値と最小濃度値との差分値(即ち、最大濃度差)を算出する。
【0075】
また、属性判定部221は、p×q個のブロックにおいて隣接する画素の濃度差の絶対値の総和(即ち、総和濃度繁雑度)を算出する。このとき、属性判定部221は、主走査方向及び副走査方向に隣接する画素の濃度差の絶対値の総和を算出する。
【0076】
次いで、属性判定部221は、算出した最大濃度差と第1の閾値とを比較し、また、算出した総和濃度繁雑度と第2の閾値とを比較する。
最大濃度差<第1の閾値、且つ、総和濃度繁雑度<第2の閾値である場合、属性判定部221は、注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれる、と判定する。最大濃度差≧第1の閾値、及び/又は、総和濃度繁雑度≧第2の閾値である場合、属性判定部221は、注目画素が、線画領域又は中間調画領域に含まれる、と判定する。
【0077】
注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれる場合、属性判定部221は、最大濃度差と第3の閾値とを比較する。
最大濃度差<第3の閾値(又は最大濃度差≧第3の閾値)である場合、属性判定部221は、注目画素が、下地領域(又は連続階調画領域)に含まれる、と判定する。
注目画素が、線画領域又は中間調画領域に含まれる場合、属性判定部221は、総和濃度繁雑度と第4の閾値とを比較する。
総和濃度繁雑度<第4の閾値(又は総和濃度繁雑度≧第4の閾値)である場合、属性判定部221は、注目画素が、線画領域(又は中間調画領域)に含まれる、と判定する。
【0078】
次いで、属性判定部221は、連続階調画領域に含まれると判定された画素数、線画領域に含まれると判定された画素数、及び中間調画領域に含まれると判定された画素数夫々を計数し、各画素数の総画素数に対する比率を算出する。
線画領域に含まれると判定された画素数の比率と、中間調画領域に含まれると判定された画素数の比率とが、夫々所定比率以上である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「文字写真」であると判定する。
【0079】
また、属性判定部221は、線画領域に含まれると判定された画素数の比率と、連続階調画領域に含まれると判定された画素数の比率と、中間調画領域に含まれると判定された画素数の比率とを高い順にソートする。
例えば、線画領域に係る比率、中間調画領域に係る比率、及び連続階調画領域に係る比率がこの順に高い場合、属性判定部221は、線画領域に係る比率が30%以上であるときに、原稿画像の属性が「文字」であると判定する。
【0080】
また、線画領域に係る比率が30%未満、且つ、中間調画領域に係る比率が20%以上であるときに、属性判定部221は、原稿画像の属性が「文字写真」であると判定する。
更に、線画領域に係る比率が30%未満、中間調画領域に係る比率が20%未満、且つ、連続階調画領域に係る比率が10%以上であるときに、属性判定部221は、原稿画像の属性が「写真」であると判定する。
【0081】
最後に、属性判定部221は、属性判定結果をCPU10へ出力する。
図3に示すデータ生成部3は、入力画像データに基づいてN個の入力画像データを生成する。つまり、データ生成部3は、データ生成手段として機能する。このために、データ生成部3のパック処理部31はパック手段として機能し、メモリ制御部32はメモリ制御手段として機能し、ラインメモリ331,332は、書き込み用及び読み出し用のメモリとして機能する。
【0082】
第1画像処理部21からデータ生成部3へ出力された入力画像データは、パック処理部31に入力される。更に詳細には、第1画像処理部21の入力階調補正部213は、1ライン分の入力画像データをパック処理部31へ出力することを、1枚分の入力画像データの出力が全部終了するまで繰り返す。このとき、入力階調補正部213は、クロックに同期して、1ライン分の入力画像データに含まれる画素を1個ずつ、パック処理部31へ出力する。
つまり、パック処理部31には、入力画像データの各画素が、クロックに同期して順に入力される。
【0083】
入力された画素がM個に達した場合、パック処理部31は、入力されたM個の画素に公知のデータパッキング処理を施すことによって、入力されたM個の画素をパックしてなる1個のパックデータを生成する。ここで、画素をパックする個数(以下、パック数という)MはM≧Nの自然数である。本実施の形態においてはM=N=6である場合を例示する。
次いで、パック処理部31は、生成したパックデータを、クロックに同期してメモリ制御部32へ出力する。つまり、パック処理部31は、クロックM個毎に、1個のパックデータを出力する。換言すれば、パック処理部31は、パック処理部31に画素が入力された入力周期のM倍の周期で、パックデータをメモリ制御部32へ出力する。
【0084】
以下では、メモリ制御部32及びラインメモリ331の動作について説明するが、メモリ制御部32及びラインメモリ332の動作も同様である。
まず、メモリ制御部32は、ラインメモリ331を書き込み用とする。この後、メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ331にパックデータを書き込む。
【0085】
このために、メモリ制御部32は、1個のパックデータが入力された場合に、入力されたパックデータとデータ書き込み用の制御信号とを、クロックに同期して、書き込み用のラインメモリ331へ出力する。書き込み用のラインメモリ331は、データ書き込み用の制御信号が入力される都度、入力されたパックデータを順次記憶する。
以上の結果、パック処理部31から出力された各パックデータは、入力周期のM倍の周期で、書き込み用のラインメモリ331に書き込まれる。
【0086】
1ライン分の入力画像データに、M×X個の画素が含まれている場合(ただし、Xは自然数)、パック処理部31にM×X個の画素が入力されることによって、X個のパックデータがメモリ制御部32を介して書き込み用のラインメモリ331に書き込まれる。
ところで、1ライン分の入力画像データに含まれている画素数が、パック数Mで割り切れない場合、パック処理部31は、パック数Mに足りない分だけ無意味な画素を生成し、第1画像処理部21から入力された画素の後尾に、生成した無意味な画素を連結した状態で、パックデータを生成する。
パックデータが有する無意味な画素は、例えば属性処理部4にて除去される。
【0087】
メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ331に、1ライン分のパックデータが書き込まれた場合に、書き込み用のラインメモリ331を、読み出し用とする。
次いで、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331に記憶されているパックデータを読み出す。
【0088】
このために、メモリ制御部32は、データ読み出し用の制御信号を、クロックに同期して、読み出し用のラインメモリ331へ出力する。読み出し用のラインメモリ331は、データ読み出し用の制御信号が入力される都度、クロックに同期して、自身に記憶されているパックデータを順次メモリ制御部32へ出力する。
以上の結果、各パックデータは、入力周期に等しい周期で、読み出し用のラインメモリ331から読み出される。
メモリ制御部32は、読み出したパックデータを、クロックに同期して、属性処理部4へ出力する。
【0089】
ここで、メモリ制御部32は、同一のパックデータをN回読み出す。ただし、メモリ制御部32は、同一のパックデータを連続的にN回読み出すのではない。具体的には、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331に記憶されている1ライン分のパックデータの読み出し及び属性処理部4への出力をN回繰り返す。例えば、1ライン分の入力画像データに、M×X個の画素が含まれている場合には、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331に記憶されているX個のパックデータを順に読み出し、読み出したパックデータを属性処理部4へ出力することを、N回繰り返す。
【0090】
従って、M個の画素がパック処理部31に入力された場合に、N×M個の画素が読み出し用のラインメモリ331から属性処理部4へ出力される。この結果、データ生成部3における画素の入出力速度が、実質的にN倍になる。
【0091】
図5は、パック処理部31、ラインメモリ331,332、及び属性処理部4夫々に対する画素又はパックデータの入出力を説明する模式図である。
ここでは、まず、ラインメモリ331,332が、両方とも書き込み用であるものとする。また、1ライン分の入力画像データに含まれている画素数はM個であるものとする。
【0092】
図5(a)に示すように、1ライン分の画素P1,P2,…,P6がパック処理部31に入力された場合に、画素P1,…,P6がパックされた1個のパックデータDが、書き込み用のラインメモリ331に入力される。この後、書き込み用のラインメモリ331は、読み出し用とされる。
次に、1ライン分の画素P1,…,P6がパック処理部31に入力された場合に、画素P1,…,P6がパックされた1個のパックデータDが、書き込み用のラインメモリ332に入力される。この後、書き込み用のラインメモリ332は、読み出し用とされる。
【0093】
図5(b)に示すように、1ライン分の画素P1,…,P6がパック処理部31に入力される間に、1ライン分のパックデータDがN回、読み出し用のラインメモリ331から出力されて、属性処理部4に入力される。この後、読み出し用のラインメモリ331は、書き込み用とされる。
次に、1ライン分の画素P1,…,P6がパック処理部31に入力される間に、1ライン分のパックデータDがN回、読み出し用のラインメモリ332から出力されて、属性処理部4に入力される。この後、読み出し用のラインメモリ332は、書き込み用とされる。
【0094】
図1に示す属性処理部4の色変換処理部41は、2種類の画像処理を切り替えて実行することが可能である。2種類の画像処理とは、「カラー」属性に対応する画像処理、及び、「白黒」属性に対応する画像処理である。
更に詳細には、色変換処理部41は、奇数番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「カラー」属性に対応する画像処理を施す。一方、偶数番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、色変換処理部41は、「白黒」属性に対応する画像処理を施す。
【0095】
2種類の画像処理の切り替えるためには、例えば、データ生成部3から色変換処理部41に対する1ライン分のパックデータD,D,…の入力が開始されるタイミングで、CPU10又は属性処理部4が、色変換処理部41に内蔵されている図示しないレジスタに記憶されているパラメータを、実行すべき画像処理に対応するパラメータに書き換えればよい。
【0096】
第1空間フィルタ処理部42は、3種類の画像処理を切り替えて実行することが可能である。3種類の画像処理とは、「文字」属性に対応する画像処理、「写真」属性に対応する画像処理、及び、「文字写真」属性に対応する画像処理である。
【0097】
更に詳細には、第1空間フィルタ処理部42は、1番目及び2番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「文字」属性に対応する画像処理を施す。また、第1空間フィルタ処理部42は、3番目及び4番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「写真」属性に対応する画像処理を施す。更に、第1空間フィルタ処理部42は、5番目及び6番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「文字写真」属性に対応する画像処理を施す。
【0098】
3種類の画像処理の切り替えるためには、例えば、色変換処理部41から第1空間フィルタ処理部42に対する1ライン分のパックデータD,D,…の入力が開始されるタイミングで、CPU10又は属性処理部4が、第1空間フィルタ処理部42に内蔵されている図示しないレジスタに記憶されているパラメータを、実行すべき画像処理に対応するパラメータに書き換えればよい。
【0099】
以上のような属性処理部4は、本発明における属性処理手段として機能する。
色変換処理部41及び第1空間フィルタ処理部42夫々で実行される画像処理の詳細は後述する。
【0100】
図6は、読み出し用のラインメモリ331から出力されたパックデータDに対して施される画像処理の種類を説明する模式図である。
図中の符号D1は、読み出し用のラインメモリ331から1回目に出力される1ライン分のパックデータD,D,…をまとめて示したものである。同様に、図中の符号D2,…,D6は、読み出し用のラインメモリ331から2回目,…,6回目に出力される1ライン分のパックデータD,D,…をまとめて示したものである。
【0101】
パックデータD1,D3,D5が入力された場合、色変換処理部41は、入力されたパックデータD1,D3,D5夫々に対して、「カラー」属性に対応する画像処理を施す。一方、パックデータD2,D4,D6が入力された場合、色変換処理部41は、入力されたパックデータD2,D4,D6夫々に対して、「白黒」属性に対応する画像処理を施す。
【0102】
一方、第1空間フィルタ処理部42は、パックデータD1,D2が入力された場合、入力されたパックデータD1,D2夫々に対して、「文字」属性に対応する画像処理を施す。また、第1空間フィルタ処理部42は、パックデータD3,D4が入力された場合、入力されたパックデータD3,D4夫々に対して、「写真」属性に対応する画像処理を施す。更に、第1空間フィルタ処理部42は、パックデータD5,D6が入力された場合、入力されたパックデータD5,D6夫々に対して、「文字写真」属性に対応する画像処理を施す。
【0103】
以上の結果、1回目に出力される1ライン分のパックデータD1には、「カラー且つ文字」属性に対応する画像処理が施され、2回目に出力される1ライン分のパックデータD2には、「白黒且つ文字」属性に対応する画像処理が施される。また、3回目に出力される1ライン分のパックデータD3には、「カラー且つ写真」属性に対応する画像処理が施され、4回目に出力される1ライン分のパックデータD4には、「白黒且つ写真」属性に対応する画像処理が施される。更に、5回目に出力される1ライン分のパックデータD5には、「カラー且つ文字写真」属性に対応する画像処理が施され、6回目に出力される1ライン分のパックデータD6には、「白黒且つ文字写真」属性に対応する画像処理が施される。
【0104】
入力画像データに、Y本のラインが含まれている場合(ただし、Yは自然数)、属性処理部4においては、N個のパックデータD1,…,D6に対する画像処理が、Y本分繰り返し実行される。
属性に対応する画像処理が施されたパックデータD1,…,D6は、クロックに同期して、第1空間フィルタ処理部42から出力DMA部222へ出力される。
【0105】
ところで、ユーザが操作パネル14を操作することによって、画像入力装置11に対し、白黒の原稿画像の読み取りを指定した場合、原稿画像は「白黒」属性であることが明白であるため、色変換処理部41に入力されたパックデータD1,…,D6夫々に対し、「白黒」属性に対応する画像処理が施される。
このとき、属性の種類数Nは、実質3個であるが、パック数Mは6個のままであってもよい。
また、属性の種類数Nが実質3個であるため、第2画像処理部22は、読み出し回数を3回とし、パックデータD1,D2,D3夫々に対して、「白黒」属性に対応する画像処理が施される構成でもよい。
【0106】
同様に、ユーザが操作パネル14を操作することによって、画像処理装置2に対し、原稿画像の原稿種別を報知した場合、原稿画像は「文字」属性(又は「写真」属性、或いは「文字写真」属性)であることが明白であるため、第1空間フィルタ処理部42に入力されたパックデータD1,…,D6夫々に対し、「文字」属性(又は「写真」属性、或いは「文字写真」属性)に対応する画像処理が施される。
このとき、属性の種類数Nは実質2個であるが、パック数Mは6個のままであってもよい。
【0107】
また、属性の種類数Nが実質2個であるため、第2画像処理部22は、読み出し回数を2回とし、パックデータD1,D2夫々に対して、「文字」属性(又は「写真」属性、或いは「文字写真」属性)に対応する画像処理が施される構成でもよい。
【0108】
なお、パック数Mを、属性の種類数Nに応じて、CPU10が決定してもよい。この場合、パック数Mは、例えばN=Mとなるよう決定される。
又は、パック数Mを、属性の種類数Nと1ライン分の入力画像データに含まれている画素数とに応じて、CPU10が決定してもよい。この場合、パック数Mは、M≧Nであり、且つ、1ライン分の入力画像データに含まれている画素数が、パック数Mで割り切れる数値になるよう、決定される。
CPU10によって決定されたパック数Mは、パック処理部31に設定される。
【0109】
図7及び図8は、メモリ制御部32で実行されるデータ入力処理及びデータ出力処理の手順を示すフローチャートである。
メモリ制御部32は、ラインメモリ331,332に対してパックデータを入出力する入出力タイミングを示す制御信号をCPU10から与えられた場合に、データ入力処理及びデータ出力処理をマルチタスクで並行して実行する。
以下では、まず、メモリ制御部32によるデータ入力処理を説明する。また、データ入力処理の開始前に、ラインメモリ331,332の両方が書き込み用とされている場合を例示する。
【0110】
図7に示すデータ入力処理の実行を開始したメモリ制御部32は、1枚分の入力画像データのデータ入力処理(図中は単に「入力処理」)を開始するか否かを判定し(S11)、まだデータ入力処理を開始しない場合は(S11でNO)、S11の処理を繰り返し実行する。
1枚分の入力画像データのデータ入力処理を開始する場合(S11でYES)、メモリ制御部32は、1ライン分のパックデータのデータ入力処理を開始するか否かを判定し(S12)、まだデータ入力処理を開始しない場合は(S12でNO)、S12の処理を繰り返し実行する。
【0111】
1ライン分のパックデータのデータ入力処理を開始する場合(S12でYES)、メモリ制御部32は、自身にパックデータが入力されたか否かを判定し(S13)、まだ入力されていない場合は(S13でNO)、S13の処理を繰り返し実行する。
メモリ制御部32にパックデータが入力された場合(S13でYES)、メモリ制御部32は、入力されたパックデータを、書き込み用のラインメモリ331に書き込む(S14)。
【0112】
次いで、メモリ制御部32は、1ライン分のパックデータのデータ入力処理が終了したか否かを判定し(S15)、まだ終了していない場合は(S15でNO)、処理をS13へ戻す。S12でYESと判定されてからS15でYESと判定されるまでの間に、S13〜S15の処理は、1ライン分のパックデータの個数に等しい回数だけ繰り返し実行される。
1ライン分のパックデータのデータ入力処理が終了した場合(S15でYES)、メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ331を読み出し用に変更し(S16)、読み出し用に変更したラインメモリ331からのパックデータの読み出し開始を決定する(S17)。
【0113】
次いで、メモリ制御部32は、1枚分の入力画像データのデータ入力処理が終了したか否かを判定し(S18)、まだデータ入力処理が終了していない場合は(S18でNO)、処理をS12へ戻す。
1枚分の入力画像データのデータ入力処理が終了した場合(S18でYES)、メモリ制御部32は、処理をS11へ戻す。このように、S11でYESと判定されてからS18でYESと判定されるまでの間に、S12、S16〜S18の処理は、1枚分の入力画像データに含まれるラインの本数に等しい回数だけ繰り返し実行される。
【0114】
この後、再びS11〜S13夫々の処理でYESと判定されて、S14の処理を実行する場合には、メモリ制御部32は、入力されたパックデータを、書き込み用のラインメモリ332に書き込む。
次いで、再びS15の処理でYESと判定されて、S16及びS17の処理を実行する場合には、メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ332を読み出し用に変更し、読み出し用に変更したラインメモリ332からのパックデータの読み出し開始を決定する。最後に、S18の処理でYESと判定され、処理をS11へ戻した後、再びS14の処理を実行する場合には、メモリ制御部32は、入力されたパックデータを、書き込み用のラインメモリ331に書き込む。
【0115】
次に、メモリ制御部32によるデータ出力処理を説明する。
図8に示すデータ出力処理の実行を開始したメモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331からのパックデータの読み出しを開始するか否かを判定する(S31)。S31におけるメモリ制御部32は、S16の処理で読み出し用に変更されたラインメモリ331に関してS17の処理が実行された場合に、YESと判定する。
パックデータの読み出しを開始しない場合(S31でNO)、メモリ制御部32は、S31の処理を繰り返し実行する。
パックデータの読み出しを開始する場合(S31でYES)、メモリ制御部32は、まず、変数iに初期値“1”をセットする(S32)。
【0116】
次いで、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331から、1ライン分のパックデータを順次読み出して(S33)、属性処理部4へ出力する(S34)。
次に、メモリ制御部32は、変数iを“1”インクリメントする(S35)。更に、メモリ制御部32は、変数iが属性の種類数N以下であるか否かを判定し(S36)、i≦Nである場合は(S36でYES)、処理をS33へ戻す。
【0117】
i>Nである場合(S36でNO)、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331を書き込み用に変更し(S37)、処理をS31へ戻す。
この後、S31におけるメモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ332からのパックデータの読み出しを開始するか否かを判定する。この場合、メモリ制御部32は、S16の処理で読み出し用に変更されたラインメモリ332に関してS17の処理が実行された場合に、YESと判定する。
【0118】
図8に示すデータ出力処理のS31〜S37の処理は、ラインメモリ331,332に対して交互に実行される。何故ならば、ラインメモリ331,332は、図7に示すデータ入力処理のS17の処理で交互に読み出し用とされるからである。同様に、ラインメモリ331,332は、図8に示すデータ出力処理のS37の処理で交互に書き込み用とされるため、図7に示すデータ出力処理のS11〜S18の処理は、ラインメモリ331,332に対して交互に実行される。
【0119】
以上のように、メモリ制御部32がデータ出力処理を実行することによって、読み出し用のラインメモリ331から1ライン分のパックデータが入力周期で読み出されている間、メモリ制御部32が並行してデータ入力処理を実行しているため、書き込み用のラインメモリ332に1ライン分のパックデータが入力周期のM倍の周期で書き込まれている。換言すれば、メモリ制御部32は、2個のラインメモリ331,332に対して、パックデータを入力周期のM倍の周期で書き込みつつ入力周期で読み出している。
【0120】
ところで、S17及びS37における書き込み用と読み出し用との変更は、例えばラインメモリ331,332とメモリ制御部32が内蔵するレジスタとを予め関連付けておき、このレジスタに書き込み用又は読み出し用であることを示すフラグをセット/リセットすることによって行なう。
【0121】
以下では、「カラー」属性に対応する画像処理を第1の画像処理ともいい、「白黒」属性に対応する画像処理を第2の画像処理ともいう。また、「文字」属性に対応する画像処理を第3の画像処理ともいい、「写真」属性に対応する画像処理を第4の画像処理ともいい、「文字写真」属性に対応する画像処理を第5の画像処理ともいう。
図9及び図10は、属性処理部4で実行されるマルチ画像処理の手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、属性処理部4は、1枚分の入力画像データに対する画像処理を開始するか否かを判定し(S51)、まだ画像処理を開始しない場合は(S51でNO)、S51の処理を繰り返し実行する。
【0122】
1枚分の入力画像データの画像処理を開始する場合(S51でYES)、属性処理部4は、変数kに初期値“1”をセットし(S52)、また、変数jに初期値“3”をセットする(S53)。
次いで、属性処理部4は、1ライン分のパックデータの画像処理を開始するか否かを判定し(S54)、まだ画像処理を開始しない場合は(S54でNO)、S54の処理を繰り返し実行する。
【0123】
1ライン分のパックデータの画像処理を開始する場合(S54でYES)、属性処理部4は、自身にパックデータが入力されたか否かを判定し(S55)、まだ入力されていない場合は(S55でNO)、S55の処理を繰り返し実行する。
属性処理部4にパックデータが入力された場合(S55でYES)、属性処理部4は、入力されたパックデータに対して、色変換処理部41において第kの画像処理を施し(S56)、次に、第1空間フィルタ処理部42において第jの画像処理を施す(S57)。
そして、属性処理部4は、第k及び第jの画像処理が施されたパックデータを、出力DMA部222へ出力する(S58)。
【0124】
次いで、属性処理部4は、1ライン分のパックデータの画像処理が終了したか否かを判定し(S59)、まだ終了していない場合は(S59でNO)、処理をS55へ戻す。
1ライン分のパックデータの画像処理が終了した場合(S59でYES)、属性処理部4は、変数kを“1”インクリメントする(S60)。更に、属性処理部4は、図10に示すように、変数kが“2”以下であるか否かを判定し(S61)、k≦2である場合は(S61でYES)、処理をS54へ戻す。
【0125】
k>2である場合(S61でNO)、属性処理部4は、変数kに初期値“1”をセットし(S62)、また、変数jを“1”インクリメントする(S63)。更に、属性処理部4は、変数jが“5”以下であるか否かを判定し(S64)、j≦5である場合は(S64でYES)、処理をS54へ戻す。
j>5である場合(S64でNO)、属性処理部4は、変数jに初期値“3”をセットする(S65)。
【0126】
次いで、属性処理部4は、1枚分の入力画像データの画像処理が終了したか否かを判定し(S66)、まだ画像処理が終了していない場合は(S66でNO)、処理をS54へ戻す。
1枚分の入力画像データの画像処理が終了した場合(S66でYES)、属性処理部4は、処理をS51へ戻す。
【0127】
以上のように、データ生成部3では、1ライン分のパックデータがN回読み出されることが、1枚分の入力画像データに含まれるラインの本数に等しい回数だけ繰り返し実行される。この結果、1枚分の入力画像データに基づいて、N個の入力画像データが生成される。また、属性処理部4では、N個のパックデータ(延いてはN個の入力画像データ)に対して、N種類の属性に対応する画像処理が順次施される。
【0128】
画像メモリ12には、第k及び第jの画像処理が施された入力画像データを記憶するための記憶領域(以下、第k及び第jの記憶領域という)が、CPU10によって予め確保されている。
第k及び第jの画像処理が施されたパックデータは、画像メモリ12の第k及び第jの記憶領域に、1ライン分ずつ記憶される。このために、出力DMA部222は、1ライン分のパックデータに含まれる先頭のパックデータが入力された場合に、第k及び第jの記憶領域へのパックデータの転送を転送制御部16に要求する。このために、出力DMA部222には、CPU10によって、第k及び第jの記憶領域のアドレスが予め与えられている。
【0129】
そして、出力DMA部222は、自身に入力された各パックデータを、クロックに同期して、転送制御部16へ順次出力し、1ライン分のパックデータの出力が終了した場合に、転送制御部16に対する転送要求を終了する。
1ライン分のパックデータは、転送要求を受け付けた転送制御部16を介して画像メモリ12へ出力され、画像メモリ12において、第k及び第jの記憶領域に順次記憶される。
【0130】
第1及び第3、第2及び第3、第1及び第4、第2及び第4、第1及び第5、並びに第2及び第5の画像処理が施されたN個の入力画像データ夫々が画像メモリ12に記憶されたときには、属性判定部221は、原稿画像の属性の属性判定結果をCPU10へ出力し終えている。
CPU10は、入力された原稿画像の属性の属性判定結果に応じて、画像メモリ12から読み出すべき入力画像データを選択する。例えば属性判定結果が「カラー且つ文字」である場合、CPU10は、第1及び第3の画像処理が施された入力画像データを選択する。以下では、「第k及び第j」の内、CPU10に選択されたものを「第K及び第J」と記載する。
【0131】
選択された入力画像データ(即ち選択データ)は、転送制御部16によって、画像メモリ12から読み出されて、後段へ出力される。つまり、CPU10及び転送制御部16は、本発明における選択出力手段として機能する。
本実施の形態において、選択データは1個だけ出力されるが、複数個出力されてもよい。この場合、選択データの出力先は異なっていてもよい。更に、複数出力される選択データ夫々に施されている画像処理の種類は異なっていてもよい。例えば、第1及び第3の画像処理が施されている選択データは圧縮処理部23へ出力され、第2及び第3の画像処理が施されている選択データは第3画像処理部25へ出力される構成でもよい。
【0132】
更に詳細には、第K及び第Jの画像処理が施された入力画像データを選択したCPU10は、選択結果として、第K及び第Jの記憶領域のアドレスを圧縮処理部23及び第3画像処理部25の何れか一方に与える。選択結果を圧縮処理部23及び第3画像処理部25の何れに与えるかの判定基準は後述する。
選択結果を与えられた圧縮処理部23又は第3画像処理部25は、第K及び第Jの記憶領域に記憶されている入力画像データの転送を転送制御部16に要求する。このことによって、第K及び第Jの記憶領域に記憶されている入力画像データ、即ち選択データが、転送要求を受け付けた転送制御部16を介して、圧縮処理部23又は第3画像処理部25へ出力される。
【0133】
ここで、選択結果を圧縮処理部23及び第3画像処理部25の何れに与えるかの判定基準を説明する。
CPU10は、選択データを画像メモリ12に保存する場合、選択結果を圧縮処理部23に与える。この結果、選択データは、圧縮されてから画像メモリ12に記憶される。圧縮された選択データを、以下では圧縮データという。
一方、選択データを画像メモリ12に保存しない場合、即ち、原稿画像の複写を読み取りの直後に実行する場合、CPU10は、選択結果を第3画像処理部25に与える。
【0134】
選択データを画像メモリ12に保存するか否かの情報は、ユーザが操作パネル14を操作することによって、画像形成装置101に与えられる。例えば、ユーザが操作パネル14を用いて原稿画像の複写を指定した場合、CPU10は、選択データを画像メモリ12に保存しない、と判定する。一方、ユーザが原稿画像の蓄積を指定した場合、CPU10は、選択データを画像メモリ12に保存する、と判定する。
【0135】
画像メモリ12に保存されている圧縮データに基づいて記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成する場合、画像メモリ12から読み出された圧縮データは、伸張処理部24及び第3画像処理部25に、この順に入力される。つまり、圧縮データは、伸張されてから第3画像処理部25に入力される。
本実施の形態においては、属性処理部4から出力される入力画像データがRGB値の入力画像データである。このため、圧縮処理部23及び伸張処理部24を経てから第3画像処理部25に入力される選択データも、圧縮処理部23及び伸張処理部24を経ずに第3画像処理部25に入力される選択データも、RGB値の入力画像データである。
【0136】
なお、画像形成装置101は、画像メモリ12に保存されている圧縮データを、例えばCPU10がファイリングデータとして管理するように構成されていてもよい。
また、画像形成装置101は、表示装置15に、選択データに基づくカラー画像又は白黒画像が表示される構成でもよい。その際、カラー画像又は白黒画像を表示する前に、画像処理装置2が、選択データに対して解像度変換処理、ガンマ補正処理、及び確認用画像生成処理等を施す。
【0137】
圧縮処理部23は、入力された選択データに対し、所定の圧縮形式で、圧縮処理を施す。このために、図3に示す圧縮処理部23の入力DMA部231が、選択データの転送を転送制御部16に要求する。
転送を要求された転送制御部16は、選択データを画像メモリ12から読み出して入力DMA部231へ出力する。
入力DMA部231は、自身に入力された選択データを圧縮部232へ出力する。
【0138】
圧縮部232は、入力された選択データに対して圧縮処理(符号化処理)を施す。圧縮部232では、非可逆圧縮形式であるJPRG形式が用いられるが、これに限定されるものではない。例えば、原稿画像が「文字」属性である場合、圧縮部232は、可逆圧縮形式であるMMR(G4)形式を用いる構成でもよい。
なお、圧縮部232の前段に、選択データをレイヤ分離するレイヤ分離部が備えられていてもよい。この場合、圧縮部232では、分離結果である前景レイヤ及び背景レイヤを個々に圧縮するMRC形式が用いられる。このとき、レイヤ分離部と圧縮部232との間に、前景レイヤを更に分離し、次いで2値化する画像処理部が備えられていてもよい。
【0139】
圧縮部232は、圧縮データを出力DMA部233へ出力する。
出力DMA部233は、圧縮データの転送を転送制御部16に要求し、また、自身に入力された圧縮データを転送制御部16へ出力する。
転送を要求された転送制御部16は、自身に入力された圧縮データを画像メモリ12へ出力する。この結果、圧縮データが画像メモリ12に書き込まれる。
【0140】
伸張処理部24は、入力された圧縮データに対し、圧縮処理部23における圧縮形式に対応する伸張形式で、伸張処理を施す。このために、伸張処理部24は、図示しない入力DMA部、伸張部、及び出力DMA部を備え、圧縮処理部23の入力DMA部231と同様にして、転送制御部16を介し、画像メモリ12からの圧縮データの読み出しを実行する。次いで、伸張処理部24は、圧縮処理部23の圧縮部232と同様にして、入力された圧縮データに対して伸張処理(復号処理)を施す。この結果、圧縮データは選択データに変換される。更に、伸張処理部24は、圧縮処理部23の出力DMA部233と同様にして、転送制御部16を介し、画像メモリ12に対する選択データの書き込みを実行する。
【0141】
図4に示す第3画像処理部25の領域分離処理部251には、画像メモリ12から読み出されたRGB値の選択データ(即ちRGB信号)が入力される。
領域分離処理部251は、自身に入力されたRGB信号に基づいて、各画素を文字領域、網点領域、及び印画紙写真領域のいずれかに分離(分類)する。領域分離処理部251は、分離結果に基づき、各画素がどの領域に属しているかを示す領域分離結果を、黒生成下色除去部253、第2空間フィルタ処理部254、及び階調再現処理部255へ出力すると共に、自身に入力されたRGB信号をそのまま後段の色補正部252へ出力する。
【0142】
色補正部252は、自身に入力されたRGB信号に対し、色補正処理を施す。色補正処理とは、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理である。この結果、RGB信号は、CMY信号に変換される。
次いで、色補正部252は、CMY信号を黒生成下色除去部253へ出力する。
【0143】
黒生成下色除去部253は、入力されたCMY信号に対し、黒生成処理とCMY再生成処理とを施す。黒生成処理とは、領域分離処理部251から入力された領域分離結果を基に、CMY信号からK信号を生成する処理であり、CMY再生成処理とは、黒生成処理で得たK信号を、元のCMY信号から差し引くことによって、新たなCMY信号を生成する処理である。以上の結果、CMY信号(即ち3色信号)は、CMYK信号(即ち4色信号)に変換される。
次いで、黒生成下色除去部253は、CMYK信号を第2空間フィルタ処理部254へ出力する。
【0144】
第2空間フィルタ処理部254は、入力されたCMYK信号に対して、領域分離処理部251から入力された領域分離結果を基に、デジタルフィルタによる空間フィルタ処理を施す。この結果、画素毎に最適な強調処理及び/又は平滑化処理が実行される。
次いで、第2空間フィルタ処理部254は、空間フィルタ処理済みのCMYK信号を階調再現処理部255へ出力する。
【0145】
階調再現処理部255は、入力されたCMYK信号に対して、領域分離処理部251から入力された領域分離結果を基に、画像出力装置13で記録シート上に高画質のカラー画像又は白黒画像を形成するための階調再現処理を施す。
次いで、階調再現処理部255は、階調再現処理済みのCMYK信号を画像出力装置13へ出力する。
【0146】
ここで、属性処理部4で実行される「カラー」属性に対応する画像処理(即ち第1の画像処理)について詳述する。
本実施の形態においては、図1に示すように、RGB信号である入力画像データが属性処理部4に入力される。このため、第1の画像処理とは、色変換処理部41に入力されたパックデータをスルーする処理である。従って、色変換処理部41に入力されたパックデータは、そのまま第1空間フィルタ処理部42へ出力される。
【0147】
なお、色変換処理部41は、第1の画像処理として、RGB信号をYCrCb(Y:輝度、Cr,Cb:色差)信号に変換する処理を実行する構成でもよい。この場合、圧縮処理部23において、JPEG等の形式で圧縮処理を実行するときに、圧縮効率を向上させることができる。
RGB信号のR値、G値、及びB値を、YCrCb信号のY値、Cr値、及びCb値に変換するためには、例えば下記の式(1)〜(3)が用いられる。
Y=0.30×R+0.59×G+0.11×B…(1)
Cb=−0.17×R−0.33×G+0.50×B…(2)
Cr=0.50×R−0.42×G−0.08×B…(3)
【0148】
次に、「白黒」属性に対応する画像処理(即ち第2の画像処理)について詳述する。
第2の画像処理とは、色変換処理部41に入力されたパックデータに含まれる色情報を除去する処理(グレー変換処理)である。具体的には、色変換処理部41は、RGB信号のR値、G値、及びB値を用いて、Y値又はL* 値を算出する。例えば、Y値を算出する場合は、上記の式(1)が用いられる。
【0149】
更に、「文字」属性、「写真」属性、及び「文字写真」属性に対応する画像処理(即ち第3、第4、及び第5の画像処理)について詳述する。
第3の画像処理とは、例えば、文字のエッジを強調するためのエッジ強調フィルタを用いた空間フィルタ処理である。
第4及び第5の画像処理とは、例えば、連続階調画領域又は中間調画領域のノイズを補正するための平滑化フィルタを用いた空間フィルタ処理である。ただし、「文字写真」属性の原稿画像には線画も含まれているため、文字のエッジを維持する必要がある。従って、第5の画像処理では、第4の画像処理で用いられる平滑化フィルタよりも弱い平滑化フィルタが用いられる。
【0150】
第1空間フィルタ処理部42が具体的にどのような特性の空間フィルタ処理を行なうかは、工場出荷時に予め設定されている。このために、例えば、画像形成装置101の製造者が、種々の画像サンプルを用いて、線画領域、連続階調画領域、及び中間調画領域夫々の劣化が抑制されるようなフィルタ係数を、エッジ強調フィルタ及び平滑化フィルタ夫々に設定する。
【0151】
以上のような画像形成装置101は、画像処理装置2を備えているため、画像処理装置2に入力画像データが入力されてから、選択データが画像処理装置2から出力されるまでの所要時間を短縮することができる。何故ならば、画像処理装置2では、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とが並行して実行されるからである。
【0152】
ところで、属性判定処理の実行後に、属性に対応する画像処理を実行する従来の画像形成装置が、特許文献5に記載されているような並列画像処理装置を備えることによって、並列画像処理装置に未処理の画像データが入力されてから、属性に対応する画像処理が施された画像データが並列画像処理装置から出力されるまでの所要時間を短縮することが考えられる。
以下では、従来の並列画像処理装置に比した本実施の形態の画像処理装置2の優位性について説明する。
【0153】
従来の並列画像処理装置では、画像データがm個に分割され、分割された画像データの各部に対して、同一の画像処理が並行して実行される。このために、従来の並列画像処理装置は、m個の並列画像処理部を備える。各並列画像処理部は、入力DMA部、画像処理実行部、及び出力DMA部を有する。m個の画像処理実行部は、同一の画像処理を実行するよう構成されている。
並列画像処理部の個数mは、画像データの分割数mに等しい。単純計算では、分割数mが増加するほど、所要時間は短縮される。しかしながら、並列画像処理部の個数mが増加する分だけ、並列画像処理装置の回路規模が増大し、また、m個の並列画像処理部を並列動作させる処理が煩雑になる。
【0154】
一方、本実施の形態の画像処理装置2は、第2画像処理部22を1個だけ備えるため、回路規模がコンパクトであり、また、第2画像処理部22を動作させる処理は単純である。
【0155】
更に、従来の並列画像処理装置のm個の画像処理実行部全体に比べて、本実施の形態の画像処理装置2の属性処理部4の回路規模を最適化することができる。以下では、第1空間フィルタ処理部42を例に説明する。
図11は、第1空間フィルタ処理部42で実行されるフィルタ処理を説明するための模式図である。
図11(a)には、5×3の画素を有する画像データ43が例示されている。図中の符号P11,…,P15は、1ライン目に含まれる各画素の画素値を示している。同様に、図中の符号P21,…,P25(又は符号P31,…,P35)は、2ライン目(又は3ライン目)に含まれる各画素の画素値を示している。
【0156】
図11(b)には、3×3のフィルタ44が例示されている。図中の符号aは、注目画素の画素値に乗算すべきフィルタ係数である。また、図中の符号bは、注目画素の周囲4画素夫々に乗算すべきフィルタ係数であり、図中の符号cは、注目画素の周囲8画素の内の周囲4画素以外の画素夫々に乗算すべきフィルタ係数である。
【0157】
第1空間フィルタ処理部42は、画像データ43に含まれる画素値P22,P23,P24を有する画素夫々を、順に注目画素とし、注目画素夫々に対して、フィルタ44を用いたフィルタ処理を施す。
換言すれば、第1空間フィルタ処理部42では、下記の式(4)〜(6)に示す演算が実行される。ただし、OP22,OP23,OP24は、画素値P22,P23,P24を有する注目画素夫々に対するフィルタ処理結果である。
【0158】
OP22=a×P22+b×P12+b×P21+b×P23+b×P32+c×P11+c×P13+c×P31+c×P33…(4)
OP23=a×P23+b×P13+b×P22+b×P24+b×P33+c×P12+c×P14+c×P32+c×P34…(5)
OP24=a×P24+b×P14+b×P23+b×P25+b×P34+c×P13+c×P15+c×P33+c×P35…(6)
【0159】
図11(c)には、画像データ43を3分割してなる分割画像データ451,452,453が例示されている。
従来の並列画像処理装置における第1の画像処理実行部は、分割画像データ451に含まれる画素値P22を有する画素を注目画素とし、注目画素に対して、フィルタ44を用いたフィルタ処理を施す。同様に、第2(又は第3)の画像処理実行部は、分割画像データ452(又は分割画像データ453)に含まれる画素値P23(又は画素値P24)を有する画素を注目画素とし、注目画素に対して、フィルタ44を用いたフィルタ処理を施す。
換言すれば、第1の画像処理実行部では、上記の式(4)に示す演算が実行され、第2(又は第3)の画像処理実行部では、上記の式(5)(又は式(6))に示す演算が実行される。
【0160】
図12及び図13は、第1空間フィルタ処理部42の要部構成を示すブロック図である。図中の符号511〜519,521〜529,531,532,534,535,537,539夫々は乗算器であり、符号541〜548,551〜558,561〜568夫々は加算器である。
乗算器511〜519,521〜529,531,532,534,535,537,539及び加算器541〜548,551〜558,561〜568は全て第1空間フィルタ処理部42に含まれており、式(4)〜(6)に示す演算が実行されるように、適宜に接続されている。
【0161】
この結果、式(4)の1項目、2項目、…、及び9項目の乗算部分が、乗算器511、乗算器512、…、及び乗算器519によって演算され、式(4)の1項目から9項目までの加算部分が、加算器541〜548によって演算される。
同様に、式(5)の1項目、2項目、…、及び9項目の乗算部分が、乗算器521、乗算器522、…、及び乗算器529によって演算され、式(5)の1項目から9項目までの加算部分が、加算器551〜558によって演算される。
【0162】
ところで、式(6)の3項目、6項目、及び8項目の乗算は、式(4)の4項目、7項目、及び9項目の乗算と同一である。
このため、式(6)の演算については、式(4)の演算で用いる乗算器514,517,519(図中ハッチングで示されている乗算器)が流用される。
具体的には、式(6)の1項目、2項目、3項目、4項目、5項目、6項目、7項目、8項目、及び9項目の乗算部分が、乗算器531、乗算器532、乗算器514、乗算器534、乗算器535、乗算器517、乗算器537、乗算器519、及び乗算器539によって演算され、式(6)の1項目から9項目までの加算部分が、加算器561〜568によって演算される。
【0163】
以上の結果、第1空間フィルタ処理部42が備える乗算器の個数を最小限に抑えることができる。
一方、並列画像処理装置における第2の画像処理実行部には、図13に示す乗算器521〜529及び加算器551〜558のみが含まれており、これらは、式(5)に示す演算が実行されるように、適宜に接続されている。
第1及び第2の画像処理実行部夫々の構成は、第2の画像処理実行部の構成と同一であり、入力される画素値のみが異なる。従って、第1の画像処理実行部に含まれる乗算器を、第3の画像処理実行部で流用することができない。
【0164】
以上のように、第1空間フィルタ処理部42で実行される演算と、第1〜第3の画像処理実行部で実行される演算とは、全く同一のものであるにも関わらず、第1空間フィルタ処理部42が備える乗算器の個数は、第1〜第3の画像処理実行部が備える乗算器の個数よりも3個少ない。
つまり、第1空間フィルタ処理部42の方がコンパクトに構成されている点でも、画像形成装置101は従来の画像形成装置より優れている。
【0165】
なお、画像形成装置101は、カラーコピー機能、白黒コピー機能、カラープリンタ機能、白黒プリンタ機能、ファクシミリ通信機能、及びscan to e-mail機能等を有するデジタル複合機であってもよい。
このような画像形成装置101は、例えばLANケーブルに接続可能なネットワークカードを用いてなるデータ通信装置を備える。データ通信装置は、LANケーブルを介して、通信ネットワークに接続されたコンピュータシステム又は他のデジタル複合機等とデータ通信を行なう。
【0166】
scan to e-mail機能を有する画像形成装置101は、例えばネットワークカードを用いてなる図示しないe-mail通信装置を備える。ユーザが操作パネル14を用いてscan to e-mailモードを選択した場合、e-mail通信装置は、e-mailに添付した選択データを、ユーザが操作パネル14を用いて設定した送信先へ送信する。
ファクシミリ通信機能を有する画像形成装置101は、例えばファクシミリモデムを用いてなる図示しないファクシミリ通信装置を備える。ユーザがファクシミリ送信モードを選択した場合、ファクシミリ通信装置は、ユーザが設定した相手先との通信手続きを行ない、送信可能な状態が確保されたときに、ファクシミリ通信形式に変換した選択データを、相手先へ送信する。
【0167】
ファクシミリ受信モードにおけるファクシミリ通信装置は、相手先との通信手続きを行ないながら、相手先から送信されてくるファクシミリ通信形式の画像データを受信して、画像処理装置2に入力する。画像処理装置2では、受信した画像データに対し、伸張処理部24が伸張処理を施す。伸張された画像データは、必要に応じて、回転処理、解像度変換処理、及び/又は出力階調補正処理等を実行する不図示の処理部、及び階調再現処理部255等に順次入力されてから、画像出力装置13に入力される。
【0168】
本実施の形態における画像入力装置11は、原稿を読み取ってRGB信号を出力するカラースキャナであるが、画像入力装置11が、原稿を読み取って1成分の信号(G信号又はY信号等)を出力する白黒スキャナであってもよい。この場合、原稿画像は必ず「白黒」属性であるため、属性処理部4は、色変換処理部41を備えていなくてもよい。このとき、属性の種類数N=3である。
また、属性に対応する画像処理は、本実施の形態で例示されたものに限定されるものではない。
【0169】
実施の形態 2.
図14は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置2を備える画像読取装置102の機能構成を示すブロック図である。図14は、実施の形態1の図1に対応する。
本実施の形態では、フラットベッド・スキャナ装置として機能する画像読取装置102を例示する。画像読取装置102は、実施の形態1の画像形成装置101に類似した構成である。
以下では、画像形成装置101と画像読取装置102との差異について説明し、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0170】
画像読取装置102は、CPU10、画像入力装置11、画像メモリ12、操作パネル14、転送制御部16、及び画像処理装置2を備えるが、実施の形態1の画像形成装置101とは異なり、画像出力装置13を備えていない。
また、画像処理装置2は、第1画像処理部21、第2画像処理部22、及び圧縮処理部23を備えるが、実施の形態1の画像処理装置2とは異なり、伸張処理部24及び第3画像処理部25を備えていない。
更に、画像読取装置102は、例えばLANケーブルに接続可能なネットワークカードを用いてなる図示しないデータ通信装置を備える。データ通信装置は、LANケーブルを介して、通信ネットワークに接続されたコンピュータシステム又は他のデジタル複合機等とデータ通信を行なう。
【0171】
第2画像処理部22が出力した選択データは、圧縮処理部23に入力されるか、又は、データ通信装置を介して画像読取装置102の外部へ送信される。
圧縮処理部23が出力した圧縮データは、データ通信装置を介して画像読取装置102の外部へ送信される。
【0172】
画像読取装置102から送信された圧縮データは、例えば外部のファイルサーバに与えられる。この場合、圧縮データは、ファイルサーバが備えるストレージに蓄積される。
画像読取装置102から送信された選択データは、例えば外部のパーソナルコンピュータに与えられる。この場合、パーソナルコンピュータが備える表示装置に、選択データに基づくカラー画像又は白黒画像が表示される。その際、カラー画像又は白黒画像を表示する前に、パーソナルコンピュータが、選択データに対して解像度変換処理及びガンマ補正処理等を施してもよい。
【0173】
以上のような画像読取装置102は、本発明における画像読取装置として機能し、実施の形態1の画像形成装置101と同様の効果を奏する。
なお、画像読取装置102は、自身が備える表示装置に、選択データに基づくカラー画像又は白黒画像が表示される構成でもよい。その際、カラー画像又は白黒画像を表示する前に、画像処理装置2が、選択データに対して解像度変換処理、ガンマ補正処理、及び確認用画像生成処理等を施す。
【0174】
実施の形態 3.
コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体(以下、単に記録媒体という)には、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、又はソースプログラム)が記録される。ここで、コンピュータとは、例えばパーソナルコンピュータ又はデジタル複合機等が備えるマイクロプロセッサである。マイクロプロセッサを備えるパーソナルコンピュータ又はデジタル複合機等を、以下ではコンピュータシステムという。
【0175】
本実施の形態における記録媒体は、本発明の画像処理方法を実現するためのプログラムコード(以下、本実施の形態のコンピュータプログラムという)を記録したものである。
【0176】
本実施の形態の記録媒体が、コンピュータシステムとは別体のものである場合、本実施の形態の記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
このような記録媒体とは、例えばフレキシブルディスクである。本実施の形態の記録媒体がフレキシブルディスクである場合、コンピュータシステムは、外部記憶装置として、プログラムコード読み取り装置であるフレキシブルディスクドライブを備えておく必要がある。外部記憶装置に本実施の形態の記録媒体が挿入されたとき、記録媒体に記録されている本実施の形態のコンピュータプログラムが、コンピュータによって読み取られる。
【0177】
本実施の形態の記録媒体は、コンピュータシステムに一体的に備えられていてもよい。このような構成においては、例えばコンピュータシステムが備えるROM又はハードディスクそのものに、本実施の形態のコンピュータプログラムが記録される。
【0178】
以上のような記録媒体は、固定的にコンピュータプログラムを担持するものである。このような記録媒体としては、テープ系(磁気テープ又はカセットテープ等)、ディスク系(フレキシブルディスク若しくはハードディスク等の磁気ディスク、又は、CD−ROM、MO、MD、若しくはDVD等の光ディスク)、カード系(メモリカードのようなICカード、又は光カード等)、或いは、半導体メモリ系(マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )、フラッシュROM等)のものが用いられる。
【0179】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータが本実施の形態の記録媒体に直接的にアクセスして実行されてもよい。又は、本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータシステムが備えるプログラム記憶エリアにインストールされてから実行されてもよい。
本実施の形態のコンピュータプログラムを本実施の形態の記録媒体からプログラム記憶エリアにインストールするためのコンピュータプログラムは、例えばコンピュータシステムが備えるROMに予めに格納されている。
【0180】
コンピュータシステムが、インターネットのような通信ネットワークに接続可能な構成である場合には、本実施の形態のコンピュータプログラムは、通信ネットワークを介して、コンピュータシステムが備えるプログラム記憶エリアにダウンロードされてから実行される。この場合、通信ネットワークは、流動的にコンピュータプログラムを担持する記録媒体であると看做すことができる。
【0181】
通信ネットワークを介して本実施の形態のコンピュータプログラムをプログラム記憶エリアにダウンロードするためのコンピュータプログラムは、例えばコンピュータシステムが備えるROMに予めに格納されているか、又は、本実施の形態の記録媒体とは異なる記録媒体からプログラム記憶エリアにインストールされる。
なお、本発明は、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号でも実現され得る。この場合、本実施の形態のコンピュータプログラムは、電子的な伝送で具現化される。
【0182】
本発明の画像読取装置として機能するコンピュータシステムは、例えば、パーソナルコンピュータと、フラットベッドスキャナ装置、フィルムスキャナ装置、又はデジタルカメラ等の画像入力装置と、CRTディスプレイ又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置と、通信ネットワークを介して外部のサーバ又はデジタル複合機等と通信するためのネットワークカード又はモデム等の通信装置とを備える。このようなコンピュータシステムに、プリンタのような画像出力装置を追加した場合、コンピュータシステムは、本発明の画像形成装置として機能する。
【0183】
図15は、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置7の機能構成を示すブロック図である。画像処理装置7は、デュアルプロセッサのパーソナルコンピュータを用いてなり、本発明の画像処理装置として機能するコンピュータシステムである。
画像処理装置7は、各種演算を行なうCPU701,702と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶する揮発性メモリ71と、本実施の形態の記録媒体80から情報を読み取るドライブ部72と、不揮発性メモリ73と、DMA部74とを備えている。
【0184】
記録媒体80は、例えば光ディスクであり、記録媒体80には、本実施の形態のコンピュータプログラム81が記憶されている。記録媒体80及びコンピュータプログラム81は、本実施の形態における記録媒体及びコンピュータプログラムとして機能する。
ドライブ部72は、例えばCD−ROMドライブを用いてなる。
不揮発性メモリ73は、例えばハードディスクを用いてなる。不揮発性メモリ73に対する各種のコンピュータプログラム又はデータの読み書きは、DMA部74を介して実行される。DMA部74は、実施の形態1の転送制御部16に対応する。
【0185】
DMA部74は、自身に入力された転送要求に応じて、不揮発性メモリ73から読み出したコンピュータプログラム又はデータを転送するか、或いは、不揮発性メモリ73に書き込むべきコンピュータプログラム又はデータを転送する。転送要求が同時的に複数入力された場合、DMA部74は、入力された転送要求の優先順位を決定し、優先順位の高い転送処理から順に実行する。転送要求の優先順位の高低は、CPU701,702が適宜のタイミングでDMA部74に設定するか、又はDMA部74にデフォルトで設定されている。
【0186】
CPU701,702は、ドライブ部72を用いて、本実施の形態の記録媒体80から本実施の形態のコンピュータプログラム81を読み取り、読み取ったコンピュータプログラム81を、DMA部74を介して不揮発性メモリ73に記憶させる。
CPU701,702は、コンピュータプログラム81を揮発性メモリ71にロードし、ロードしたコンピュータプログラム81に従って、本発明の実施の形態に係る画像処理方法を実現する。
【0187】
また、画像処理装置7は、操作部75と表示部76とを備えている。
操作部75は、ユーザが画像処理装置7を操作するためのキーボード又はポインティングデバイス等である。操作部75を用いてユーザが入力した指示又は数値等は、CPU701,702に与えられる。
表示部76は、例えば液晶ディスプレイを用いてなり、CPU701,702に制御されて、各種の情報を表示する。
【0188】
更に、画像処理装置7は、図示しない通信ネットワークに接続可能な通信部77と、画像処理装置7の外部の画像読取装置82に接続されたI/F(インタフェース)78とを備えている。
CPU701,702は、通信部77を介して、画像処理装置7の外部との間でデータの送受信を実行する。
【0189】
画像処理装置7の外部の画像読取装置82は、スキャナ装置又はデジタル複合機等であり、原稿を光学的に読み取って、RGB信号からなる画像データを生成し、生成した画像データを、画像処理装置7へ送信する。
画像処理装置7のCPU701,702は、I/F78を介して、画像読取装置82から送信された画像データを受信する。受信した画像データは、不揮発性メモリ73に一時的に記憶される。
【0190】
CPU701は、不揮発性メモリ73に記憶された1枚分の画像データに基づいて、属性判定処理を実行する。CPU701が実行する属性判定処理は、実施の形態1の属性判定部221で実行される属性判定処理と略同様である。つまり、CPU701は、本発明における属性判定手段として機能する。
【0191】
一方、CPU702は、不揮発性メモリ73に記憶された1枚分の画像データに基づいて、N個の画像データを生成するデータ生成処理を実行する。更に詳細には、CPU702は、実施の形態1のパック処理部31及びメモリ制御部32で実行されるパック処理及びメモリ制御処理を実行する。このとき、CPU702は、揮発性メモリ71に設けられている記憶領域711,712を、実施の形態1のラインメモリ331,332のような書き込み用及び読み出し用のメモリとして用いる。次いで、CPU702は、実施の形態1の属性処理部4で実行されるN種類の属性に対応する画像処理(即ち属性処理)を実行する。以上のようなCPU702は、本発明におけるデータ生成手段及び属性処理手段として機能する。
【0192】
この結果、第1及び第3、第2及び第4、…、並びに第2及び第5の画像処理が施されたN個の画像データ夫々が、不揮発性メモリ73に記憶される。
更に、CPU701は、属性判定結果に応じて、不揮発性メモリ73から読み出すべき画像データを選択し、選択した画像データ(即ち選択データ)を、例えば揮発性メモリ71に記憶させる選択出力処理を実行する。つまり、CPU701は、本発明における選択出力手段として機能する。
揮発性メモリ71に記憶された選択データは、圧縮処理が施されてから再び不揮発性メモリ73に記憶されたり、e-mailに添付されて外部へ送信されたりする。
【0193】
以上のような画像処理装置7は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。従って、画像処理装置7は、未処理の画像データを受信してから、所要の画像処理が施された画像データを得るまでの所要時間を短縮することができる。
【0194】
なお、ここに開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、画像形成装置101のデータ生成部3が、2本のラインメモリ331,332の代わりに、2個のブロックメモリを備えていてもよい。この場合、データ生成部3、データ生成部4、及び出力DMA部222においては、入力画像データの画素又はパックデータが、1ブロック分ずつまとめて取り扱われる。
【0195】
また、本発明の効果がある限りにおいて、画像形成装置101、画像読取装置102、及び/又は画像処理装置2,7に、実施の形態1〜3に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0196】
10 CPU(選択出力手段)
13 画像出力装置(画像形成手段)
16 転送制御部(選択出力手段)
101 画像形成装置(画像読取装置)
102 画像読取装置
2,7 画像処理装置
3 データ生成部(データ生成手段)
31 パック処理部(パック手段)
32 メモリ制御部(メモリ制御手段)
331,332 ラインメモリ(書き込み用及び読み出し用のメモリ)
4 属性処理部(属性処理手段)
221 属性判定部(属性判定手段)
701 CPU(属性判定手段,選択出力手段)
702 CPU(データ生成手段,属性処理手段)
721,722 記憶領域(書き込み用及び読み出し用のメモリ)
80 記録媒体
81 コンピュータプログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の属性に対応する画像処理を画像データに施す画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機及びデジタル複合機等の画像形成装置は、原稿を読み取ってなる画像データ(以下では原稿画像データという)に対して、画像の属性に対応する画像処理を施す。画像の属性を判定する処理(以下、属性判定処理という)としては、オートカラーセレクト処理(以下、ACS処理という)、及び原稿種別判定処理等が挙げられる。
【0003】
ACS処理とは、原稿の画像が、カラーであるか白黒であるかを判定する処理である。
ACS処理の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各画素がカラー画素であるか白黒画素であるかが判定される。次いで、カラー画素が所定個以上連続するカラーブロックの長さ及び/又は個数に基づいて、各ラインがカラーラインであるか否かが判定される。最後に、カラーラインが所定本数以上である場合に、原稿の画像がカラーである、と判定され、所定本数未満である場合に、白黒である、と判定される(特許文献1参照)。
【0004】
ACS処理の他の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各画素がカラー画素(有彩画素)であるか白黒画素(無彩画素)であるかが判定される。次いで、カラー画素のヒストグラムが生成される。更に、生成されたヒストグラムの形状が解析される。最後に、ヒストグラムの形状の解析結果に基づいて、原稿の画像がカラーであるか白黒であるかが判定される(特許文献2参照)。
カラーである(又は白黒である)と判定された場合、原稿画像データに対して、カラー画像(又は白黒画像)に適した画像処理が施される。
【0005】
原稿の画像がカラーである場合、画像形成装置は、原稿画像データに対して彩度調整処理等を施す。また、原稿画像データを、TIFF、PDF、又はJPEG等のフォーマットの画像データに変換してから外部へ出力する場合、画像形成装置は、原稿画像データの各画素値を、RGB又はYCrCb等のカラー色空間における画素値に変換する。更に、記録シート(例えば記録用紙)に画像を形成する場合、画像形成装置は、原稿画像データの各画素値を、CMYK色空間における画素値に変換してなる画像データを生成し、生成した画像データに基づき、カラートナー又はカラーインクを用いて、記録シートに画像を形成する。
【0006】
原稿の画像が白黒である場合、画像形成装置は、原稿画像データに含まれる彩度の情報を排除する。また、原稿画像データを、TIFF、PDF、又はJPEG等のフォーマットの画像データに変換してから外部へ出力する場合、画像形成装置は、原稿画像データを、グレー、K(ブラック)、又はY(輝度)等の1成分で表わされる画像データに変換する。更に、記録シートに画像を形成する場合、画像形成装置は、原稿画像データを、K1成分で表わされる画像データに変換し、変換結果である画像データに基づき、K単色のトナー又はインクを用いて、記録シートに画像を形成する。
【0007】
一方、原稿種別判定処理とは、原稿に記載されている画像の種類(以下、原稿種別という)を判定する処理である。原稿種別には、例えば、線画、中間調画、連続階調画、線画及び中間調画の混合、中間調画及び連続階調画の混合、線画及び連続階調画の混合、線画、中間調画、及び連続階調画の混合の7種類がある。
【0008】
原稿種別判定処理の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各ブロックに対して、エッジ分離処理及び網点判定処理が施される。次いで、エッジ分離処理及び網点判定処理夫々の処理結果に基づいて、各ブロックに、線画が含まれているか、中間調画が含まれているか、連続階調画が含まれているかが判定される。最後に、線画が含まれているブロック、中間調画が含まれているブロック、及び連続階調画が含まれているブロック夫々の連続性及び頻度に基づいて、原稿種別が判定される(特許文献3参照)。
【0009】
原稿種別判定処理の他の一例としては、以下のようなものが挙げられる。まず、原稿画像データの各注目画素を含むブロックに対して、最大濃度差(各ブロックに含まれる最大濃度値と最小濃度値との濃度差)と、総和濃度繁雑度(隣接する画素の濃度差の絶対値の総和)とが算出される。次いで、算出された最大濃度差と第1の閾値との比較結果、及び、算出された総和濃度繁雑度と第2の閾値との比較結果に基づいて、注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれるか、線画領域又は中間調画領域に含まれるかが判定される。
【0010】
注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれる場合、最大濃度差と第3の閾値との比較結果に基づいて、注目画素が、下地領域に含まれるか、連続階調画領域に含まれるかが判定される。注目画素が、線画領域又は中間調画領域に含まれる場合、総和濃度繁雑度と第4の閾値との比較結果に基づいて、注目画素が、線画領域に含まれるか、中間調画領域に含まれるかが判定される。最後に、連続階調画領域に含まれると判定された画素数、線画領域に含まれると判定された画素数、及び中間調画領域に含まれると判定された画素数夫々の比率に基づいて、原稿種別が判定される(特許文献4参照)。
【0011】
原稿画像データに対して、フィルタ処理、色補正処理、黒生成処理、又は階調処理等を施す際には、原稿種別の判定結果に応じて、適切なフィルタが選択されたり、適切なパラメータが設定されたりする。
【0012】
従来、原稿の読み取りは2回実行される。まず、画像形成装置は、プレスキャン(1回目の読み取り)を実行し、プレスキャンによる原稿画像データに対して、属性判定処理を施す。この結果、原稿の画像の属性が判定される。次いで、画像形成装置は、本スキャン(2回目の読み取り)を実行し、本スキャンによる原稿画像データに対して、原稿の画像の属性に対応する画像処理を施す。
【0013】
ところで、画像処理の所要時間を短縮するために、同一の画像処理を実行するm個(mはm≧2の自然数)の画像処理部を備える並列画像処理装置が提案されている(特許文献5参照)。特許文献5に記載されている並列画像処理装置においては、各画像処理部に、原稿画像データがm個に分割されたデータが入力される。この結果、原稿画像データの各部に対して、同一の画像処理が並行して実行されるため、画像処理の所要時間が短縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平4−282968号公報
【特許文献2】特開2005−286571号公報
【特許文献3】特開平8−251406号公報
【特許文献4】特開2002−232708号公報
【特許文献5】特開2002−251610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の画像形成装置には、プレスキャン及び本スキャンの両方を実行する必要があるため、プレスキャンが開始されてから画像処理が終了するまでの所要時間(以下、全所要時間という)が長い、という問題がある。
そこで、特許文献5に記載されているような並列画像処理装置を含む画像形成装置を用いることが考えられる。この場合、画像形成装置は、原稿の画像の属性に対応する同一の画像処理を実行するm個の画像処理部を備える。このような画像形成装置においては、各画像処理部に、本スキャンによる原稿画像データがm個に分割されたデータが入力される。この結果、画像処理の開始から終了までの所要時間が短縮されるため、全所要時間も短縮される。
【0016】
しかしながら、原稿の画像の属性がn種類(nはn≧2の自然数)存在するため、画像形成装置は、実際にはm×n個の画像処理部を備える必要がある。従って、画像形成装置の回路規模が増大するという問題が生じる。
この問題を解決するためには、各画像処理部を、n種類の属性夫々に対応する画像処理の実行が可能であるように構成することが考えられる。この場合、m個の画像処理部夫々は、属性の判定結果に応じて、実行すべき画像処理を切り替える。
ところが、このような画像処理部は、個々の回路構成が複雑になりがちである。
【0017】
また、プレスキャン及び本スキャンの両方を実行することに変わりはないため、従来の画像処理装置は、2回分の原稿を読み取る時間を必要とし、更に、2回分の原稿を読み取るための電力を消費する、という問題を有する。
この問題を解決するために、画像処理装置が備える画像記憶部に原稿画像データを記憶させておき、原稿画像データを2回読み出すことが考えられる。この場合、原稿の読み取りは1回で済む。
しかしながら、属性判定処理を実行し、属性の判定結果が出た後で、属性に対応する画像処理を実行するため、属性判定処理の実行開始から画像処理の実行終了までの所要時間は長い。
【0018】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、画像の属性を判定しつつ、複数種類の属性に対応する画像処理を順次実行し、属性の判定結果に応じて、画像処理を施した画像データを選択的に出力することにより、全所要時間を短縮することができ、電力消費を削減することができる画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る画像処理方法は、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理方法において、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定しつつ、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成し、生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施し、前記入力された画像データに係る画像の属性の判定結果に応じて、前記画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る画像処理装置は、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理装置において、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定する属性判定手段と、該属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成するデータ生成手段と、前記属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記データ生成手段が生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施す属性処理手段と、前記属性判定手段の判定結果に応じて、前記属性処理手段が画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力する選択出力手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る画像処理装置は、書き込み用及び読み出し用のメモリを更に備え、前記データ生成手段は、前記入力された画像データと同じ画像データの画素が入力され、入力された画素をM(MはM≧Nの自然数)個ずつパックしてなるパックデータを出力するパック手段と、該パック手段が出力したパックデータを、前記パック手段に画素が入力された入力周期のM倍の周期で書き込み用のメモリに書き込みつつ、前記パック手段が出力したパックデータが既に書き込まれている読み出し用のメモリから前記パックデータを、前記入力周期でN回読み出して出力するメモリ制御手段とを有し、前記属性処理手段は、前記メモリ制御手段が出力したN個の前記パックデータに対して、N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて施すようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、本発明の画像処理装置と、記録シート上に画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る画像読取装置は、本発明の画像処理装置と、原稿を読み取ってなる画像データを前記画像処理装置に入力する画像入力手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定させる属性判定ステップと、コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成させるデータ生成ステップと、コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記データ生成ステップで生成されたN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施させる属性処理ステップと、コンピュータに、前記属性判定ステップでの判定結果に応じて、前記属性処理ステップで画像処理が施された画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択させて出力させる選択出力ステップとを実行させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る記録媒体は、前述のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、本発明の画像処理装置を用いて本発明の画像処理方法を実施することによって、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データが出力される。本発明の画像処理装置は、属性判定手段、データ生成手段、属性処理手段、及び選択出力手段を備える。
【0027】
属性判定手段は、入力された画像データ(以下、入力画像データという)に基づいて、入力画像データに係る画像の属性を判定する。
データ生成手段は、入力画像データと同じ画像データ(以下では、これも入力画像データという)に基づいて、画像の属性の種類数Nに応じたN個以上の入力画像データを生成し、属性処理手段は、データ生成手段が生成したN個の入力画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施す。
【0028】
属性判定手段が用いる入力画像データとデータ生成手段が用いる入力画像データとは同一のものである。このため、例えば画像処理装置に接続されている画像読取装置が原稿を読み取ってなる画像データ(即ち原稿画像データ)を入力画像データとする場合、画像読取装置は、原稿を1回だけ読み取ればよい。また、属性判定手段による判定処理と、データ生成手段による生成処理とは、並行して実行される。更に、属性判定手段による判定処理と、属性処理手段による画像処理とが並行して実行される。
【0029】
そして、選択出力手段は、属性判定手段の判定結果に応じて、属性処理手段が画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択する。次いで、選択出力手段は、選択した画像データを、例えば画像処理装置に接続されている画像形成装置へ出力する。
つまり、本発明の画像処理装置においては、属性判定処理の実行終了を待たずに、出力すべき画像データの候補となるN個の画像処理済み画像データが生成され、属性判定処理の実行終了後、出力すべき画像データが選択される。
【0030】
本発明にあっては、書き込み用及び読み出し用のメモリを更に備える。書き込み用及び読み出し用のメモリは、複数個の記憶装置を用いてもよく、1個の記憶装置を分割してなる複数の記憶領域を用いてもよい。
データ生成手段は、パック手段及びメモリ制御手段を有する。
パック手段には、入力画像データの画素が入力される。パック手段は、入力された画素をM個ずつパックしてなるパックデータを出力する。ここで、MはM≧Nの自然数である。
【0031】
メモリ制御手段は、書き込み用及び読み出し用のメモリに対するパックデータの読み書きを行なう。更に詳細には、メモリ制御手段は、パック手段が出力したパックデータを、入力周期のM倍の周期で書き込み用のメモリに書き込む。また、メモリ制御手段は、パック手段が出力したパックデータが既に書き込まれている読み出し用のメモリから、このメモリに書き込まれているパックデータを入力周期でN回読み出して出力する。しかも、メモリ制御手段は、書き込み用のメモリに対するパックデータの書き込みと、読み出し用のメモリに対するパックデータの読み出しとを並行して実行する。
ここで、入力周期とは、入力画像データの画素がパック手段へ入力される周期である。
【0032】
パックデータはM個の画素をパックしてなるため、パック手段は、入力周期でM個の画素が入力された場合に、入力周期のM倍の周期で1個のパックデータを出力する。つまり、例えば1秒毎に1個の画素がパック手段へ入力された場合、M秒毎に1個のパックデータが書き込み用のメモリに書き込まれる。
従って、M個の画素がパック手段に入力された場合、書き込み用のメモリにおいては1個のパックデータが書き込まれ、且つ、読み出し用のメモリにおいてはN個(最大M個)のパックデータが読み出される。つまり、M個の画素がパック手段に入力された場合に、N×M個(最大M×M個)の画素が読み出し用のメモリから出力されるため、画素の入出力速度が実質的にN倍(最大M倍)になる。
【0033】
画像の属性の種類数Nとパックデータ1個に含まれる画素数Mとの関係はN≦Mである。このため、1個のパックデータが書き込み用のメモリへ入力されることに対応して、N個のパックデータを読み出し用のメモリから出力することができる。何故ならば、1個のパックデータが書き込み用のメモリへ入力されることに対応して、読み出し用のメモリからは最大M個のパックデータを出力することができるからである。
【0034】
ところで、メモリ制御手段は、書き込み用のメモリへのパックデータの書き込みが終了した場合に、このメモリを読み出し用とし、読み出し用のメモリからのパックデータの読み出しが終了した場合にこのメモリを書き込み用とする。つまり、書き込み用及び読み出し用のメモリを読み出しと書き込みとに交互に用いつつ、読み出しと書き込みとを並行して実行するため、画素の入出力効率が向上される。
【0035】
属性処理手段は、メモリ制御手段が出力したN個のパックデータに対して、N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて施す。つまり、書き込み用のメモリに書き込まれた1個のパックデータに基づいて、N個の画像処理済みパックデータが生成される。
このとき、画素の入出力効率が向上されているため、属性処理手段における画像処理の所要時間を短縮することができる。
【0036】
このような属性処理手段は、N個の画像処理部を備える必要がない。何故ならば、画像処理装置は、N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて実行する1個の画像処理部を備えればよいからである。このような画像処理部の回路構成は複雑であるが、種類数Nの値が大きいほど、画像処理装置の回路規模を更にコンパクトにすることができる。
【0037】
このとき、メモリ制御手段が出力したN個のパックデータは、画像処理部に1個ずつ入力される。
メモリ制御手段が、同一のパックデータを、N回連続的に出力する場合、画像処理部は、入力された1個目のパックデータに対して第1の画像処理を実行し、次に、入力された2個目のパックデータに対して第2の画像処理を実行し、…、最後に、入力されたN個目のパックデータに対して第Nの画像処理を実行する。
【0038】
本発明にあっては、本発明の画像処理装置及び画像形成手段を備え、画像形成手段は、記録シート上に画像を形成する。
画像処理装置に入力される画像データは、原稿の読み取りを1回だけ実行することによって得られたものである。また、画像処理装置は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。
従って、本発明の画像形成装置は、画像の読み取りが開始されてから(又は、画像処理装置に画像データが入力されてから)、画像処理を経て、画像の形成が終了するまでの所要時間を短縮することができる。
【0039】
本発明にあっては、本発明の画像処理装置及び画像入力手段を備え、画像入力手段は、原稿を読み取ってなる画像データを画像処理装置に入力する。
画像処理装置に入力される画像データは、画像入力手段が原稿の読み取りを1回だけ実行することによって得られたものである。また、画像処理装置は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。
従って、本発明の画像読取装置は、画像の読み取りが開始されてから、画像処理が終了するまでの所要時間を短縮することができる。
【0040】
本発明にあっては、コンピュータプログラムが、本発明の画像処理装置が備える属性判定手段及びデータ生成手段等を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させる。本発明のコンピュータプログラムによる場合、公知のコンピュータを、本発明の画像処理装置として機能させることができる。
なお、本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに画像生成処理又は画像圧縮処理等を実行させるための一連の画像処理プログラムに組み入れられた構成であってもよい。
【0041】
本発明にあっては、コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体が、本発明のコンピュータプログラムを記録する。本発明の記録媒体による場合、本発明のコンピュータプログラムの配布、保管等の利便性を向上させることができる。
なお、本発明の記録媒体には、本発明のコンピュータプログラムが組み込まれている前記一連の画像処理プログラムが記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明の画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、画像読取装置、コンピュータプログラム及び記録媒体による場合、原稿の読み取りを1回だけ実行すればよいため、プレスキャン及び本スキャンの両方を実行する場合に比べて、原稿を読み取る時間及び原稿を読み取るための電力消費夫々を単純計算で半分にすることができる。また、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行することができる。以上の結果、画像の読み取りが開始されてから(又は、画像処理装置に画像データが入力されてから)、画像処理が終了するまでの所要時間を短縮することができる。更に、ランニング・コストの削減及び省エネルギに寄与することができる。
【0043】
更にまた、属性に対応する画像処理をハードウェア的に実現する場合には、画像処理装置の回路規模をコンパクトにすることができ、回路構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置を備える画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第2画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第3画像処理部の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備えるパック処理部、ラインメモリ、及び属性処理部夫々に対する画素又はパックデータの入出力を説明する模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える読み出し用のラインメモリから出力されたパックデータに対して施される画像処理の種類を説明する模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備えるメモリ制御部で実行されるデータ入力処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備えるメモリ制御部で実行されるデータ出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える属性処理部で実行されるマルチ画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える属性処理部で実行されるマルチ画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1空間フィルタ処理部で実行されるフィルタ処理を説明するための模式図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1空間フィルタ処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置が備える第1空間フィルタ処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る画像処理装置を備える画像読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0046】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置2を備える画像形成装置101の機能構成を示すブロック図である。本実施の形態では、カラーコピー機能及び白黒コピー機能を有するデジタル複写機として機能する画像形成装置101を例示する。
図2、図3、及び図4は、画像処理装置2が備える第1画像処理部21、第2画像処理部22、及び第3画像処理部25の機能構成を示すブロック図である。
【0047】
図1及び図3に示すように、画像形成装置101は、CPU10、画像入力装置11、画像メモリ12、画像出力装置13、操作パネル14、転送制御部16、及び画像処理装置2を備える。画像処理装置2は、本発明における画像処理装置として機能する。
操作パネル14は、表示装置15と、ユーザが画像形成装置101を操作するためのモード設定キー及びテンキー等を含む図示しない操作部とを備える。
表示装置15は、例えば液晶ディスプレイを用いてなり、ユーザに対する操作指示、又は画像形成装置101の作動状態等を表示する。
【0048】
画像処理装置2は、第1画像処理部21、第2画像処理部22、圧縮処理部23、伸張処理部24、及び第3画像処理部25を備える。
図2に示すように、第1画像処理部21は、A/D(アナログ/デジタル)変換部211、シェーディング補正部212、及び入力階調補正部213を備える。
図1及び図3に示すように、第2画像処理部22は、属性判定部221、出力DMA(Direct Memory Access)部222、データ生成部3、及び属性処理部4を備える。
【0049】
データ生成部3は、パック処理部31、メモリ制御部32、及び2本のラインメモリ331,332を備える。
属性処理部4は、色変換処理部41及び第1空間フィルタ処理部42を備える。
圧縮処理部23は、入力DMA部231、圧縮部232、及び出力DMA部233を備える。
【0050】
図4に示すように、第3画像処理部25は、領域分離処理部251、色補正部252、黒生成下色除去部253、第2空間フィルタ処理部254、及び階調再現処理部255を備える。
以上のような画像形成装置101の各部には、図示しないクロックジェネレータから出力されたクロックが入力される。
【0051】
図1及び図3に示すCPU10は、画像形成装置101の制御中枢であり、図示しない揮発性メモリを作業領域として用い、図示しない不揮発性メモリに記憶されたコンピュータプログラム及びデータに従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。CPU10は、後述する入力画像データの転送を要求すべき転送タイミング、及び画像メモリ12に対して入力画像データの読み書きを開始すべきアドレス等を示す制御信号を、画像形成装置101の各部に与える。
【0052】
画像メモリ12は、例えばDDR2規格のSDRAM、又はハードディスク等を用いてなる。
転送制御部16は、自身に入力された転送要求に応じて、入力画像データ、及び後述する圧縮データ等の転送処理を実行する。転送要求が同時的に複数入力された場合、転送制御部16は、入力された転送要求の優先順位を決定し、優先順位の高い転送処理から順に実行する。転送要求の優先順位の高低は、CPU10が適宜のタイミングで転送制御部16に設定するか、又は転送制御部16にデフォルトで設定されている。
【0053】
画像入力装置11は、画像処理装置2の入力側に接続されている。画像入力装置11は、例えばCCD(Charge Coupled Device )を有するラインセンサを用いてなる。ラインセンサは、原稿から反射してきた光を、アナログのRGB(R:レッド、G:グリーン、B:ブルー)信号に変換してから、画像処理装置2に入力する。ここで、RGB信号とは、RGBの反射率信号である。このような画像入力装置11は、本発明における画像入力手段として機能し、画像入力装置11から画像処理装置2に入力されるRGB信号が、原稿を読み取ってなる画像データに相当する。
【0054】
画像出力装置13は、画像処理装置2の出力側に接続されている。画像出力装置13は、例えば電子写真方式又はインクジェット方式等のプリンタを用いてなる。プリンタは、画像出力装置13に入力されたカラーの画像データ(又は白黒の画像データ)に基づいて、カラー画像(又は白黒画像)を記録シート上に形成して出力する。このような画像出力装置13は、本発明における画像形成手段として機能する。
つまり、本実施の形態の画像形成装置101は、本発明における画像読取装置及び画像形成装置として機能する。
【0055】
以下に、画像処理装置2における各種画像処理を詳述する。
画像入力装置11から出力されたアナログのRGB信号は、図2に示す第1画像処理部21のA/D変換部211に入力される。
A/D変換部211は、アナログのRGB信号をデジタルのRGB信号に変換してからシェーディング補正部212へ出力する。
シェーディング補正部212は、入力されたデジタルのRGB信号に対して、画像入力装置11の照明系、結像系、及び撮像系で生じる各種の歪みを取り除く信号処理を施す。次いで、シェーディング補正部212は、信号処理済みのRGB信号を入力階調補正部213へ出力する。
【0056】
入力階調補正部213は、入力されたRGB信号に対して入力階調補正処理を施す。入力階調補正処理とは、RGB信号のカラーバランスを整え、また、RGB信号を、画像処理装置2に採用されている画像処理システムが扱い易い信号(例えば濃度信号)に変換する処理である。更に、入力階調補正部213は、入力されたRGB信号に対してγ補正処理を施す。
次いで、入力階調補正部213は、入力階調補正及びγ補正処理済みのRGB信号を、図1及び図3に示す第2画像処理部22の属性判定部221及びデータ生成部3の両方へ並行してへ出力する。
【0057】
以下では、第1画像処理部21から第2画像処理部22に入力されるRGB信号を、入力画像データという。入力画像データは、複数個の画素夫々のR値、G値、及びB値を有する。
【0058】
ところで、原稿に記載されている画像(以下、原稿画像という)は、N種類の属性の内、何れか1種類の属性を有する。ここで、NはN≧2の自然数であり、本実施の形態においてはN=6である。
具体的には、原稿画像は、「カラー」及び「白黒」の何れかの属性を有し、且つ、「文字」、「写真」、及び「文字写真」の何れかの属性を有する。つまり、原稿画像の属性は、「カラー且つ文字」、「白黒且つ文字」、「カラー且つ写真」、「白黒且つ写真」、「カラー且つ文字写真」、又は「白黒且つ文字写真」である。ここで、「文字」とは線画を意味し、「写真」とは印画紙写真(連続階調画)を意味し、「文字写真」とは、文字と印刷写真との混合(網点画。即ち中間調画)を意味する。
【0059】
従来の画像形成装置は、原稿をプレスキャンしてなる1個の入力画像データに基づいて、原稿画像の属性を判定し、次いで、原稿を本スキャンしてなる1個の入力画像データに対して、属性判定結果である1種類の属性に対応する画像処理を施す。最後に、従来の画像形成装置は、画像処理済みの画像データに基づいて記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成する。ここで、1個の入力画像データとは、原稿1つ分(例えばシート状の原稿1枚分)の入力画像データであり、以下では、1枚分の入力画像データという。
【0060】
一方、本実施の形態の画像形成装置101は、原稿を読み取ってなる入力画像データに基づいて、原稿画像の属性を判定することと、属性判定用の入力画像データと同じ入力画像データに基づいてN個の入力画像データを生成し、生成したN個の入力画像データに対してN種類の属性に対応する画像処理を順次施すこととを並行して実行し、属性判定結果である1種類の属性に対応する画像処理を施された入力画像データを選択する。最後に、画像形成装置101は、選択された入力画像データに基づいて記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成する。以下では、選択された入力画像データを選択データという。
【0061】
選択データは、従来の画像形成装置における画像処理済みの画像データと同一のものである。
ただし、画像形成装置101は、原稿画像を1回しか読み取らない。しかも、画像形成装置101は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。従って、画像形成装置101は、原稿の読み取りを開始してから記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成するまでの所要時間を短縮することができる。
【0062】
このために、属性判定部221は、第1画像処理部21から入力された入力画像データに基づいて、入力画像データに係る画像の属性を判定する。つまり、属性判定部221は、本発明における属性判定手段として機能する。
【0063】
具体的には、属性判定部221は、例えば特許文献1,2に記載されているようなACS処理を実行することによって、原稿画像の属性が「カラー」であるか「白黒」であるかを判定する。また、属性判定部221は、例えば特許文献3,4に記載されているような原稿種別判定処理を実行することによって、原稿画像が「文字」であるか「写真」であるか「文字写真」であるかを判定する。本実施の形態における属性判定部221は、ACS処理及び原稿種別判定処理は順次実行される。なお、属性判定部221は、ACS処理及び原稿種別判定処理を並行して実行する構成でもよい。
【0064】
以下に、ACS処理の一例を挙げる。
属性判定部221は、入力画像データに含まれる画素を順に選択して注目画素となす。次いで、属性判定部221は、注目画素を中心とするp×q個(p,q夫々は自然数。例えばp,q=3)のブロックにおいて、R値、G値、及びB値夫々の平均値を算出する。更に、属性判定部221は、算出した平均値の最大値及び最小値を求め、求めた最大値と最小値との差分値(以下、最大濃度差分値という)を算出する。
【0065】
次に、属性判定部221は、算出した最大濃度差分値が、予め設定されている画素判定閾値(例えば“20”)以上であるか否かを判定する。そして、属性判定部221は、最大濃度差分値が画素判定閾値以上である(又は画素判定閾値未満である)場合に、注目画素がカラー画素(又は白黒画素)であると判定する。
次いで、属性判定部221は、カラー画素であると判定された画素(以下、単にカラー画素という)のヒストグラムを生成する。このとき、カラー画素のR値、G値、及びB値夫々がヒストグラムの横軸に相当し、カラー画素の個数(即ち度数)がヒストグラムの縦軸に相当する。
【0066】
更に、属性判定部221は、R値のヒストグラムにおける最も度数値が大きいR値(以下、最大度数R濃度値という)を求める。次に、属性判定部221は、最大度数R濃度値が、予め設定されているR濃度閾値(例えば“150”)以上であるか否かを判定する。最大度数R濃度値が、予め設定されているR濃度閾値未満である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「カラー」であると判定する。
【0067】
最大度数R濃度値が、予め設定されているR濃度閾値以上である場合、属性判定部221は、R値のヒストグラムにおいて、最大度数R濃度値を中心に、予め設定されている濃度幅(例えば最大度数R濃度値±8)の領域の総度数値を算出する。更に、属性判定部221は、カラー画素の総画素数に基づいて、R値度数閾値を算出する。このとき、R値度数閾値は、例えばカラー画素の総画素数×0.9の値とする。
次いで、属性判定部221は、算出した総度数値が、算出したR値度数閾値以上であるか否かを判定する。総度数値がR値度数閾値未満である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「カラー」であると判定する。
【0068】
総度数値がR値度数閾値以上である場合、属性判定部221は、G値のヒストグラムを用いて最大度数G濃度値を求め、最大度数R濃度値と同様にして、求めた最大度数G濃度値がG濃度閾値以上であるか否か、また、総度数値がG値度数閾値以上であるか否かを判定する。
【0069】
最大度数G濃度値を用いた判定処理を実行しても、原稿画像の属性が「カラー」であると判定されなかった場合、属性判定部221は、B値のヒストグラムを用いて最大度数B濃度値を求め、最大度数R濃度値と同様にして、求めた最大度数B濃度値がB濃度閾値以上であるか否か、また、総度数値がB値度数閾値以上であるか否かを判定する。
最大度数B濃度値を用いた判定処理を実行しても、原稿画像の属性が「カラー」であると判定されなかった場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「白黒」であると判定する。
【0070】
次に、ACS処理の他の一例を挙げる。
属性判定部221は、入力画像データに含まれる各画素がカラー画素であるか否かを判定する。このために、属性判定部221は、各画素が線画の画素であるか、中間調画の画素であるか、連続階調画の画素であるかを判別し、判別結果に応じて、各画素がカラー画素であるか否かを判定する。
【0071】
次に、属性判定部221は、各ラインについて、カラー画素が連続している領域を求め、求めた領域に含まれるカラー画素の個数を計数する。計数した個数が、予め設定されている画素数閾値以上である場合、属性判定部221は、求めた領域を、カラーブロックであると判定する。更に、属性判定部221は、カラーブロックの個数が、予め設定されているブロック数閾値以上であるラインを、カラーラインであると判定する。
カラーラインの本数が、予め設定されている本数閾値以上(又は本数閾値未満)である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「カラー」(又は「白黒」)であると判定する。
【0072】
ACS処理の更に他の一例としては、属性判定部221が、入力画像データに含まれるカラー画素の個数を計数し、計数結果が、所定個数(例えば“700”)以上である場合に、原稿画像の属性が「カラー」であると判定する手法が挙げられる。又は、属性判定部221が、入力画像データに含まれるRGB信号の最大値と最小値との差値を、所定閾値と比較する手法、或いは、RGB信号の各色成分の差分の絶対値を、所定の閾値とを比較する手法等が挙げられる。
【0073】
本実施の形態では、属性判定部221がRGB信号を用いてACS処理を実行する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、属性判定部221は、RGB信号を補色反転したCMY信号に変換してからACS処理を実行する構成でもよい。又は、属性判定部221は、RGB信号をL* a* b* 表色系(CIE1976。CIE:Commission Internationale de l' Eclairage :国際照明委員会)における均等色空間上の座標(L*:明度。a* ,b* :色度)に変換してからACS処理を実行する構成でもよい。
【0074】
以下に、原稿種別判定処理の一例を挙げる。
属性判定部221は、入力画像データに含まれる画素を順に選択して注目画素となす。
次いで、属性判定部221は、注目画素を中心とするp×q個(例えば7×15個)のブロックにおける最小濃度値及び最大濃度値を求める。更に、属性判定部221は、求めた最大濃度値と最小濃度値との差分値(即ち、最大濃度差)を算出する。
【0075】
また、属性判定部221は、p×q個のブロックにおいて隣接する画素の濃度差の絶対値の総和(即ち、総和濃度繁雑度)を算出する。このとき、属性判定部221は、主走査方向及び副走査方向に隣接する画素の濃度差の絶対値の総和を算出する。
【0076】
次いで、属性判定部221は、算出した最大濃度差と第1の閾値とを比較し、また、算出した総和濃度繁雑度と第2の閾値とを比較する。
最大濃度差<第1の閾値、且つ、総和濃度繁雑度<第2の閾値である場合、属性判定部221は、注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれる、と判定する。最大濃度差≧第1の閾値、及び/又は、総和濃度繁雑度≧第2の閾値である場合、属性判定部221は、注目画素が、線画領域又は中間調画領域に含まれる、と判定する。
【0077】
注目画素が、下地領域又は連続階調画領域に含まれる場合、属性判定部221は、最大濃度差と第3の閾値とを比較する。
最大濃度差<第3の閾値(又は最大濃度差≧第3の閾値)である場合、属性判定部221は、注目画素が、下地領域(又は連続階調画領域)に含まれる、と判定する。
注目画素が、線画領域又は中間調画領域に含まれる場合、属性判定部221は、総和濃度繁雑度と第4の閾値とを比較する。
総和濃度繁雑度<第4の閾値(又は総和濃度繁雑度≧第4の閾値)である場合、属性判定部221は、注目画素が、線画領域(又は中間調画領域)に含まれる、と判定する。
【0078】
次いで、属性判定部221は、連続階調画領域に含まれると判定された画素数、線画領域に含まれると判定された画素数、及び中間調画領域に含まれると判定された画素数夫々を計数し、各画素数の総画素数に対する比率を算出する。
線画領域に含まれると判定された画素数の比率と、中間調画領域に含まれると判定された画素数の比率とが、夫々所定比率以上である場合、属性判定部221は、原稿画像の属性が「文字写真」であると判定する。
【0079】
また、属性判定部221は、線画領域に含まれると判定された画素数の比率と、連続階調画領域に含まれると判定された画素数の比率と、中間調画領域に含まれると判定された画素数の比率とを高い順にソートする。
例えば、線画領域に係る比率、中間調画領域に係る比率、及び連続階調画領域に係る比率がこの順に高い場合、属性判定部221は、線画領域に係る比率が30%以上であるときに、原稿画像の属性が「文字」であると判定する。
【0080】
また、線画領域に係る比率が30%未満、且つ、中間調画領域に係る比率が20%以上であるときに、属性判定部221は、原稿画像の属性が「文字写真」であると判定する。
更に、線画領域に係る比率が30%未満、中間調画領域に係る比率が20%未満、且つ、連続階調画領域に係る比率が10%以上であるときに、属性判定部221は、原稿画像の属性が「写真」であると判定する。
【0081】
最後に、属性判定部221は、属性判定結果をCPU10へ出力する。
図3に示すデータ生成部3は、入力画像データに基づいてN個の入力画像データを生成する。つまり、データ生成部3は、データ生成手段として機能する。このために、データ生成部3のパック処理部31はパック手段として機能し、メモリ制御部32はメモリ制御手段として機能し、ラインメモリ331,332は、書き込み用及び読み出し用のメモリとして機能する。
【0082】
第1画像処理部21からデータ生成部3へ出力された入力画像データは、パック処理部31に入力される。更に詳細には、第1画像処理部21の入力階調補正部213は、1ライン分の入力画像データをパック処理部31へ出力することを、1枚分の入力画像データの出力が全部終了するまで繰り返す。このとき、入力階調補正部213は、クロックに同期して、1ライン分の入力画像データに含まれる画素を1個ずつ、パック処理部31へ出力する。
つまり、パック処理部31には、入力画像データの各画素が、クロックに同期して順に入力される。
【0083】
入力された画素がM個に達した場合、パック処理部31は、入力されたM個の画素に公知のデータパッキング処理を施すことによって、入力されたM個の画素をパックしてなる1個のパックデータを生成する。ここで、画素をパックする個数(以下、パック数という)MはM≧Nの自然数である。本実施の形態においてはM=N=6である場合を例示する。
次いで、パック処理部31は、生成したパックデータを、クロックに同期してメモリ制御部32へ出力する。つまり、パック処理部31は、クロックM個毎に、1個のパックデータを出力する。換言すれば、パック処理部31は、パック処理部31に画素が入力された入力周期のM倍の周期で、パックデータをメモリ制御部32へ出力する。
【0084】
以下では、メモリ制御部32及びラインメモリ331の動作について説明するが、メモリ制御部32及びラインメモリ332の動作も同様である。
まず、メモリ制御部32は、ラインメモリ331を書き込み用とする。この後、メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ331にパックデータを書き込む。
【0085】
このために、メモリ制御部32は、1個のパックデータが入力された場合に、入力されたパックデータとデータ書き込み用の制御信号とを、クロックに同期して、書き込み用のラインメモリ331へ出力する。書き込み用のラインメモリ331は、データ書き込み用の制御信号が入力される都度、入力されたパックデータを順次記憶する。
以上の結果、パック処理部31から出力された各パックデータは、入力周期のM倍の周期で、書き込み用のラインメモリ331に書き込まれる。
【0086】
1ライン分の入力画像データに、M×X個の画素が含まれている場合(ただし、Xは自然数)、パック処理部31にM×X個の画素が入力されることによって、X個のパックデータがメモリ制御部32を介して書き込み用のラインメモリ331に書き込まれる。
ところで、1ライン分の入力画像データに含まれている画素数が、パック数Mで割り切れない場合、パック処理部31は、パック数Mに足りない分だけ無意味な画素を生成し、第1画像処理部21から入力された画素の後尾に、生成した無意味な画素を連結した状態で、パックデータを生成する。
パックデータが有する無意味な画素は、例えば属性処理部4にて除去される。
【0087】
メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ331に、1ライン分のパックデータが書き込まれた場合に、書き込み用のラインメモリ331を、読み出し用とする。
次いで、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331に記憶されているパックデータを読み出す。
【0088】
このために、メモリ制御部32は、データ読み出し用の制御信号を、クロックに同期して、読み出し用のラインメモリ331へ出力する。読み出し用のラインメモリ331は、データ読み出し用の制御信号が入力される都度、クロックに同期して、自身に記憶されているパックデータを順次メモリ制御部32へ出力する。
以上の結果、各パックデータは、入力周期に等しい周期で、読み出し用のラインメモリ331から読み出される。
メモリ制御部32は、読み出したパックデータを、クロックに同期して、属性処理部4へ出力する。
【0089】
ここで、メモリ制御部32は、同一のパックデータをN回読み出す。ただし、メモリ制御部32は、同一のパックデータを連続的にN回読み出すのではない。具体的には、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331に記憶されている1ライン分のパックデータの読み出し及び属性処理部4への出力をN回繰り返す。例えば、1ライン分の入力画像データに、M×X個の画素が含まれている場合には、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331に記憶されているX個のパックデータを順に読み出し、読み出したパックデータを属性処理部4へ出力することを、N回繰り返す。
【0090】
従って、M個の画素がパック処理部31に入力された場合に、N×M個の画素が読み出し用のラインメモリ331から属性処理部4へ出力される。この結果、データ生成部3における画素の入出力速度が、実質的にN倍になる。
【0091】
図5は、パック処理部31、ラインメモリ331,332、及び属性処理部4夫々に対する画素又はパックデータの入出力を説明する模式図である。
ここでは、まず、ラインメモリ331,332が、両方とも書き込み用であるものとする。また、1ライン分の入力画像データに含まれている画素数はM個であるものとする。
【0092】
図5(a)に示すように、1ライン分の画素P1,P2,…,P6がパック処理部31に入力された場合に、画素P1,…,P6がパックされた1個のパックデータDが、書き込み用のラインメモリ331に入力される。この後、書き込み用のラインメモリ331は、読み出し用とされる。
次に、1ライン分の画素P1,…,P6がパック処理部31に入力された場合に、画素P1,…,P6がパックされた1個のパックデータDが、書き込み用のラインメモリ332に入力される。この後、書き込み用のラインメモリ332は、読み出し用とされる。
【0093】
図5(b)に示すように、1ライン分の画素P1,…,P6がパック処理部31に入力される間に、1ライン分のパックデータDがN回、読み出し用のラインメモリ331から出力されて、属性処理部4に入力される。この後、読み出し用のラインメモリ331は、書き込み用とされる。
次に、1ライン分の画素P1,…,P6がパック処理部31に入力される間に、1ライン分のパックデータDがN回、読み出し用のラインメモリ332から出力されて、属性処理部4に入力される。この後、読み出し用のラインメモリ332は、書き込み用とされる。
【0094】
図1に示す属性処理部4の色変換処理部41は、2種類の画像処理を切り替えて実行することが可能である。2種類の画像処理とは、「カラー」属性に対応する画像処理、及び、「白黒」属性に対応する画像処理である。
更に詳細には、色変換処理部41は、奇数番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「カラー」属性に対応する画像処理を施す。一方、偶数番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、色変換処理部41は、「白黒」属性に対応する画像処理を施す。
【0095】
2種類の画像処理の切り替えるためには、例えば、データ生成部3から色変換処理部41に対する1ライン分のパックデータD,D,…の入力が開始されるタイミングで、CPU10又は属性処理部4が、色変換処理部41に内蔵されている図示しないレジスタに記憶されているパラメータを、実行すべき画像処理に対応するパラメータに書き換えればよい。
【0096】
第1空間フィルタ処理部42は、3種類の画像処理を切り替えて実行することが可能である。3種類の画像処理とは、「文字」属性に対応する画像処理、「写真」属性に対応する画像処理、及び、「文字写真」属性に対応する画像処理である。
【0097】
更に詳細には、第1空間フィルタ処理部42は、1番目及び2番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「文字」属性に対応する画像処理を施す。また、第1空間フィルタ処理部42は、3番目及び4番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「写真」属性に対応する画像処理を施す。更に、第1空間フィルタ処理部42は、5番目及び6番目に自身に入力される1ライン分のパックデータD,D,…に対しては、「文字写真」属性に対応する画像処理を施す。
【0098】
3種類の画像処理の切り替えるためには、例えば、色変換処理部41から第1空間フィルタ処理部42に対する1ライン分のパックデータD,D,…の入力が開始されるタイミングで、CPU10又は属性処理部4が、第1空間フィルタ処理部42に内蔵されている図示しないレジスタに記憶されているパラメータを、実行すべき画像処理に対応するパラメータに書き換えればよい。
【0099】
以上のような属性処理部4は、本発明における属性処理手段として機能する。
色変換処理部41及び第1空間フィルタ処理部42夫々で実行される画像処理の詳細は後述する。
【0100】
図6は、読み出し用のラインメモリ331から出力されたパックデータDに対して施される画像処理の種類を説明する模式図である。
図中の符号D1は、読み出し用のラインメモリ331から1回目に出力される1ライン分のパックデータD,D,…をまとめて示したものである。同様に、図中の符号D2,…,D6は、読み出し用のラインメモリ331から2回目,…,6回目に出力される1ライン分のパックデータD,D,…をまとめて示したものである。
【0101】
パックデータD1,D3,D5が入力された場合、色変換処理部41は、入力されたパックデータD1,D3,D5夫々に対して、「カラー」属性に対応する画像処理を施す。一方、パックデータD2,D4,D6が入力された場合、色変換処理部41は、入力されたパックデータD2,D4,D6夫々に対して、「白黒」属性に対応する画像処理を施す。
【0102】
一方、第1空間フィルタ処理部42は、パックデータD1,D2が入力された場合、入力されたパックデータD1,D2夫々に対して、「文字」属性に対応する画像処理を施す。また、第1空間フィルタ処理部42は、パックデータD3,D4が入力された場合、入力されたパックデータD3,D4夫々に対して、「写真」属性に対応する画像処理を施す。更に、第1空間フィルタ処理部42は、パックデータD5,D6が入力された場合、入力されたパックデータD5,D6夫々に対して、「文字写真」属性に対応する画像処理を施す。
【0103】
以上の結果、1回目に出力される1ライン分のパックデータD1には、「カラー且つ文字」属性に対応する画像処理が施され、2回目に出力される1ライン分のパックデータD2には、「白黒且つ文字」属性に対応する画像処理が施される。また、3回目に出力される1ライン分のパックデータD3には、「カラー且つ写真」属性に対応する画像処理が施され、4回目に出力される1ライン分のパックデータD4には、「白黒且つ写真」属性に対応する画像処理が施される。更に、5回目に出力される1ライン分のパックデータD5には、「カラー且つ文字写真」属性に対応する画像処理が施され、6回目に出力される1ライン分のパックデータD6には、「白黒且つ文字写真」属性に対応する画像処理が施される。
【0104】
入力画像データに、Y本のラインが含まれている場合(ただし、Yは自然数)、属性処理部4においては、N個のパックデータD1,…,D6に対する画像処理が、Y本分繰り返し実行される。
属性に対応する画像処理が施されたパックデータD1,…,D6は、クロックに同期して、第1空間フィルタ処理部42から出力DMA部222へ出力される。
【0105】
ところで、ユーザが操作パネル14を操作することによって、画像入力装置11に対し、白黒の原稿画像の読み取りを指定した場合、原稿画像は「白黒」属性であることが明白であるため、色変換処理部41に入力されたパックデータD1,…,D6夫々に対し、「白黒」属性に対応する画像処理が施される。
このとき、属性の種類数Nは、実質3個であるが、パック数Mは6個のままであってもよい。
また、属性の種類数Nが実質3個であるため、第2画像処理部22は、読み出し回数を3回とし、パックデータD1,D2,D3夫々に対して、「白黒」属性に対応する画像処理が施される構成でもよい。
【0106】
同様に、ユーザが操作パネル14を操作することによって、画像処理装置2に対し、原稿画像の原稿種別を報知した場合、原稿画像は「文字」属性(又は「写真」属性、或いは「文字写真」属性)であることが明白であるため、第1空間フィルタ処理部42に入力されたパックデータD1,…,D6夫々に対し、「文字」属性(又は「写真」属性、或いは「文字写真」属性)に対応する画像処理が施される。
このとき、属性の種類数Nは実質2個であるが、パック数Mは6個のままであってもよい。
【0107】
また、属性の種類数Nが実質2個であるため、第2画像処理部22は、読み出し回数を2回とし、パックデータD1,D2夫々に対して、「文字」属性(又は「写真」属性、或いは「文字写真」属性)に対応する画像処理が施される構成でもよい。
【0108】
なお、パック数Mを、属性の種類数Nに応じて、CPU10が決定してもよい。この場合、パック数Mは、例えばN=Mとなるよう決定される。
又は、パック数Mを、属性の種類数Nと1ライン分の入力画像データに含まれている画素数とに応じて、CPU10が決定してもよい。この場合、パック数Mは、M≧Nであり、且つ、1ライン分の入力画像データに含まれている画素数が、パック数Mで割り切れる数値になるよう、決定される。
CPU10によって決定されたパック数Mは、パック処理部31に設定される。
【0109】
図7及び図8は、メモリ制御部32で実行されるデータ入力処理及びデータ出力処理の手順を示すフローチャートである。
メモリ制御部32は、ラインメモリ331,332に対してパックデータを入出力する入出力タイミングを示す制御信号をCPU10から与えられた場合に、データ入力処理及びデータ出力処理をマルチタスクで並行して実行する。
以下では、まず、メモリ制御部32によるデータ入力処理を説明する。また、データ入力処理の開始前に、ラインメモリ331,332の両方が書き込み用とされている場合を例示する。
【0110】
図7に示すデータ入力処理の実行を開始したメモリ制御部32は、1枚分の入力画像データのデータ入力処理(図中は単に「入力処理」)を開始するか否かを判定し(S11)、まだデータ入力処理を開始しない場合は(S11でNO)、S11の処理を繰り返し実行する。
1枚分の入力画像データのデータ入力処理を開始する場合(S11でYES)、メモリ制御部32は、1ライン分のパックデータのデータ入力処理を開始するか否かを判定し(S12)、まだデータ入力処理を開始しない場合は(S12でNO)、S12の処理を繰り返し実行する。
【0111】
1ライン分のパックデータのデータ入力処理を開始する場合(S12でYES)、メモリ制御部32は、自身にパックデータが入力されたか否かを判定し(S13)、まだ入力されていない場合は(S13でNO)、S13の処理を繰り返し実行する。
メモリ制御部32にパックデータが入力された場合(S13でYES)、メモリ制御部32は、入力されたパックデータを、書き込み用のラインメモリ331に書き込む(S14)。
【0112】
次いで、メモリ制御部32は、1ライン分のパックデータのデータ入力処理が終了したか否かを判定し(S15)、まだ終了していない場合は(S15でNO)、処理をS13へ戻す。S12でYESと判定されてからS15でYESと判定されるまでの間に、S13〜S15の処理は、1ライン分のパックデータの個数に等しい回数だけ繰り返し実行される。
1ライン分のパックデータのデータ入力処理が終了した場合(S15でYES)、メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ331を読み出し用に変更し(S16)、読み出し用に変更したラインメモリ331からのパックデータの読み出し開始を決定する(S17)。
【0113】
次いで、メモリ制御部32は、1枚分の入力画像データのデータ入力処理が終了したか否かを判定し(S18)、まだデータ入力処理が終了していない場合は(S18でNO)、処理をS12へ戻す。
1枚分の入力画像データのデータ入力処理が終了した場合(S18でYES)、メモリ制御部32は、処理をS11へ戻す。このように、S11でYESと判定されてからS18でYESと判定されるまでの間に、S12、S16〜S18の処理は、1枚分の入力画像データに含まれるラインの本数に等しい回数だけ繰り返し実行される。
【0114】
この後、再びS11〜S13夫々の処理でYESと判定されて、S14の処理を実行する場合には、メモリ制御部32は、入力されたパックデータを、書き込み用のラインメモリ332に書き込む。
次いで、再びS15の処理でYESと判定されて、S16及びS17の処理を実行する場合には、メモリ制御部32は、書き込み用のラインメモリ332を読み出し用に変更し、読み出し用に変更したラインメモリ332からのパックデータの読み出し開始を決定する。最後に、S18の処理でYESと判定され、処理をS11へ戻した後、再びS14の処理を実行する場合には、メモリ制御部32は、入力されたパックデータを、書き込み用のラインメモリ331に書き込む。
【0115】
次に、メモリ制御部32によるデータ出力処理を説明する。
図8に示すデータ出力処理の実行を開始したメモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331からのパックデータの読み出しを開始するか否かを判定する(S31)。S31におけるメモリ制御部32は、S16の処理で読み出し用に変更されたラインメモリ331に関してS17の処理が実行された場合に、YESと判定する。
パックデータの読み出しを開始しない場合(S31でNO)、メモリ制御部32は、S31の処理を繰り返し実行する。
パックデータの読み出しを開始する場合(S31でYES)、メモリ制御部32は、まず、変数iに初期値“1”をセットする(S32)。
【0116】
次いで、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331から、1ライン分のパックデータを順次読み出して(S33)、属性処理部4へ出力する(S34)。
次に、メモリ制御部32は、変数iを“1”インクリメントする(S35)。更に、メモリ制御部32は、変数iが属性の種類数N以下であるか否かを判定し(S36)、i≦Nである場合は(S36でYES)、処理をS33へ戻す。
【0117】
i>Nである場合(S36でNO)、メモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ331を書き込み用に変更し(S37)、処理をS31へ戻す。
この後、S31におけるメモリ制御部32は、読み出し用のラインメモリ332からのパックデータの読み出しを開始するか否かを判定する。この場合、メモリ制御部32は、S16の処理で読み出し用に変更されたラインメモリ332に関してS17の処理が実行された場合に、YESと判定する。
【0118】
図8に示すデータ出力処理のS31〜S37の処理は、ラインメモリ331,332に対して交互に実行される。何故ならば、ラインメモリ331,332は、図7に示すデータ入力処理のS17の処理で交互に読み出し用とされるからである。同様に、ラインメモリ331,332は、図8に示すデータ出力処理のS37の処理で交互に書き込み用とされるため、図7に示すデータ出力処理のS11〜S18の処理は、ラインメモリ331,332に対して交互に実行される。
【0119】
以上のように、メモリ制御部32がデータ出力処理を実行することによって、読み出し用のラインメモリ331から1ライン分のパックデータが入力周期で読み出されている間、メモリ制御部32が並行してデータ入力処理を実行しているため、書き込み用のラインメモリ332に1ライン分のパックデータが入力周期のM倍の周期で書き込まれている。換言すれば、メモリ制御部32は、2個のラインメモリ331,332に対して、パックデータを入力周期のM倍の周期で書き込みつつ入力周期で読み出している。
【0120】
ところで、S17及びS37における書き込み用と読み出し用との変更は、例えばラインメモリ331,332とメモリ制御部32が内蔵するレジスタとを予め関連付けておき、このレジスタに書き込み用又は読み出し用であることを示すフラグをセット/リセットすることによって行なう。
【0121】
以下では、「カラー」属性に対応する画像処理を第1の画像処理ともいい、「白黒」属性に対応する画像処理を第2の画像処理ともいう。また、「文字」属性に対応する画像処理を第3の画像処理ともいい、「写真」属性に対応する画像処理を第4の画像処理ともいい、「文字写真」属性に対応する画像処理を第5の画像処理ともいう。
図9及び図10は、属性処理部4で実行されるマルチ画像処理の手順を示すフローチャートである。
図9に示すように、属性処理部4は、1枚分の入力画像データに対する画像処理を開始するか否かを判定し(S51)、まだ画像処理を開始しない場合は(S51でNO)、S51の処理を繰り返し実行する。
【0122】
1枚分の入力画像データの画像処理を開始する場合(S51でYES)、属性処理部4は、変数kに初期値“1”をセットし(S52)、また、変数jに初期値“3”をセットする(S53)。
次いで、属性処理部4は、1ライン分のパックデータの画像処理を開始するか否かを判定し(S54)、まだ画像処理を開始しない場合は(S54でNO)、S54の処理を繰り返し実行する。
【0123】
1ライン分のパックデータの画像処理を開始する場合(S54でYES)、属性処理部4は、自身にパックデータが入力されたか否かを判定し(S55)、まだ入力されていない場合は(S55でNO)、S55の処理を繰り返し実行する。
属性処理部4にパックデータが入力された場合(S55でYES)、属性処理部4は、入力されたパックデータに対して、色変換処理部41において第kの画像処理を施し(S56)、次に、第1空間フィルタ処理部42において第jの画像処理を施す(S57)。
そして、属性処理部4は、第k及び第jの画像処理が施されたパックデータを、出力DMA部222へ出力する(S58)。
【0124】
次いで、属性処理部4は、1ライン分のパックデータの画像処理が終了したか否かを判定し(S59)、まだ終了していない場合は(S59でNO)、処理をS55へ戻す。
1ライン分のパックデータの画像処理が終了した場合(S59でYES)、属性処理部4は、変数kを“1”インクリメントする(S60)。更に、属性処理部4は、図10に示すように、変数kが“2”以下であるか否かを判定し(S61)、k≦2である場合は(S61でYES)、処理をS54へ戻す。
【0125】
k>2である場合(S61でNO)、属性処理部4は、変数kに初期値“1”をセットし(S62)、また、変数jを“1”インクリメントする(S63)。更に、属性処理部4は、変数jが“5”以下であるか否かを判定し(S64)、j≦5である場合は(S64でYES)、処理をS54へ戻す。
j>5である場合(S64でNO)、属性処理部4は、変数jに初期値“3”をセットする(S65)。
【0126】
次いで、属性処理部4は、1枚分の入力画像データの画像処理が終了したか否かを判定し(S66)、まだ画像処理が終了していない場合は(S66でNO)、処理をS54へ戻す。
1枚分の入力画像データの画像処理が終了した場合(S66でYES)、属性処理部4は、処理をS51へ戻す。
【0127】
以上のように、データ生成部3では、1ライン分のパックデータがN回読み出されることが、1枚分の入力画像データに含まれるラインの本数に等しい回数だけ繰り返し実行される。この結果、1枚分の入力画像データに基づいて、N個の入力画像データが生成される。また、属性処理部4では、N個のパックデータ(延いてはN個の入力画像データ)に対して、N種類の属性に対応する画像処理が順次施される。
【0128】
画像メモリ12には、第k及び第jの画像処理が施された入力画像データを記憶するための記憶領域(以下、第k及び第jの記憶領域という)が、CPU10によって予め確保されている。
第k及び第jの画像処理が施されたパックデータは、画像メモリ12の第k及び第jの記憶領域に、1ライン分ずつ記憶される。このために、出力DMA部222は、1ライン分のパックデータに含まれる先頭のパックデータが入力された場合に、第k及び第jの記憶領域へのパックデータの転送を転送制御部16に要求する。このために、出力DMA部222には、CPU10によって、第k及び第jの記憶領域のアドレスが予め与えられている。
【0129】
そして、出力DMA部222は、自身に入力された各パックデータを、クロックに同期して、転送制御部16へ順次出力し、1ライン分のパックデータの出力が終了した場合に、転送制御部16に対する転送要求を終了する。
1ライン分のパックデータは、転送要求を受け付けた転送制御部16を介して画像メモリ12へ出力され、画像メモリ12において、第k及び第jの記憶領域に順次記憶される。
【0130】
第1及び第3、第2及び第3、第1及び第4、第2及び第4、第1及び第5、並びに第2及び第5の画像処理が施されたN個の入力画像データ夫々が画像メモリ12に記憶されたときには、属性判定部221は、原稿画像の属性の属性判定結果をCPU10へ出力し終えている。
CPU10は、入力された原稿画像の属性の属性判定結果に応じて、画像メモリ12から読み出すべき入力画像データを選択する。例えば属性判定結果が「カラー且つ文字」である場合、CPU10は、第1及び第3の画像処理が施された入力画像データを選択する。以下では、「第k及び第j」の内、CPU10に選択されたものを「第K及び第J」と記載する。
【0131】
選択された入力画像データ(即ち選択データ)は、転送制御部16によって、画像メモリ12から読み出されて、後段へ出力される。つまり、CPU10及び転送制御部16は、本発明における選択出力手段として機能する。
本実施の形態において、選択データは1個だけ出力されるが、複数個出力されてもよい。この場合、選択データの出力先は異なっていてもよい。更に、複数出力される選択データ夫々に施されている画像処理の種類は異なっていてもよい。例えば、第1及び第3の画像処理が施されている選択データは圧縮処理部23へ出力され、第2及び第3の画像処理が施されている選択データは第3画像処理部25へ出力される構成でもよい。
【0132】
更に詳細には、第K及び第Jの画像処理が施された入力画像データを選択したCPU10は、選択結果として、第K及び第Jの記憶領域のアドレスを圧縮処理部23及び第3画像処理部25の何れか一方に与える。選択結果を圧縮処理部23及び第3画像処理部25の何れに与えるかの判定基準は後述する。
選択結果を与えられた圧縮処理部23又は第3画像処理部25は、第K及び第Jの記憶領域に記憶されている入力画像データの転送を転送制御部16に要求する。このことによって、第K及び第Jの記憶領域に記憶されている入力画像データ、即ち選択データが、転送要求を受け付けた転送制御部16を介して、圧縮処理部23又は第3画像処理部25へ出力される。
【0133】
ここで、選択結果を圧縮処理部23及び第3画像処理部25の何れに与えるかの判定基準を説明する。
CPU10は、選択データを画像メモリ12に保存する場合、選択結果を圧縮処理部23に与える。この結果、選択データは、圧縮されてから画像メモリ12に記憶される。圧縮された選択データを、以下では圧縮データという。
一方、選択データを画像メモリ12に保存しない場合、即ち、原稿画像の複写を読み取りの直後に実行する場合、CPU10は、選択結果を第3画像処理部25に与える。
【0134】
選択データを画像メモリ12に保存するか否かの情報は、ユーザが操作パネル14を操作することによって、画像形成装置101に与えられる。例えば、ユーザが操作パネル14を用いて原稿画像の複写を指定した場合、CPU10は、選択データを画像メモリ12に保存しない、と判定する。一方、ユーザが原稿画像の蓄積を指定した場合、CPU10は、選択データを画像メモリ12に保存する、と判定する。
【0135】
画像メモリ12に保存されている圧縮データに基づいて記録シート上にカラー画像又は白黒画像を形成する場合、画像メモリ12から読み出された圧縮データは、伸張処理部24及び第3画像処理部25に、この順に入力される。つまり、圧縮データは、伸張されてから第3画像処理部25に入力される。
本実施の形態においては、属性処理部4から出力される入力画像データがRGB値の入力画像データである。このため、圧縮処理部23及び伸張処理部24を経てから第3画像処理部25に入力される選択データも、圧縮処理部23及び伸張処理部24を経ずに第3画像処理部25に入力される選択データも、RGB値の入力画像データである。
【0136】
なお、画像形成装置101は、画像メモリ12に保存されている圧縮データを、例えばCPU10がファイリングデータとして管理するように構成されていてもよい。
また、画像形成装置101は、表示装置15に、選択データに基づくカラー画像又は白黒画像が表示される構成でもよい。その際、カラー画像又は白黒画像を表示する前に、画像処理装置2が、選択データに対して解像度変換処理、ガンマ補正処理、及び確認用画像生成処理等を施す。
【0137】
圧縮処理部23は、入力された選択データに対し、所定の圧縮形式で、圧縮処理を施す。このために、図3に示す圧縮処理部23の入力DMA部231が、選択データの転送を転送制御部16に要求する。
転送を要求された転送制御部16は、選択データを画像メモリ12から読み出して入力DMA部231へ出力する。
入力DMA部231は、自身に入力された選択データを圧縮部232へ出力する。
【0138】
圧縮部232は、入力された選択データに対して圧縮処理(符号化処理)を施す。圧縮部232では、非可逆圧縮形式であるJPRG形式が用いられるが、これに限定されるものではない。例えば、原稿画像が「文字」属性である場合、圧縮部232は、可逆圧縮形式であるMMR(G4)形式を用いる構成でもよい。
なお、圧縮部232の前段に、選択データをレイヤ分離するレイヤ分離部が備えられていてもよい。この場合、圧縮部232では、分離結果である前景レイヤ及び背景レイヤを個々に圧縮するMRC形式が用いられる。このとき、レイヤ分離部と圧縮部232との間に、前景レイヤを更に分離し、次いで2値化する画像処理部が備えられていてもよい。
【0139】
圧縮部232は、圧縮データを出力DMA部233へ出力する。
出力DMA部233は、圧縮データの転送を転送制御部16に要求し、また、自身に入力された圧縮データを転送制御部16へ出力する。
転送を要求された転送制御部16は、自身に入力された圧縮データを画像メモリ12へ出力する。この結果、圧縮データが画像メモリ12に書き込まれる。
【0140】
伸張処理部24は、入力された圧縮データに対し、圧縮処理部23における圧縮形式に対応する伸張形式で、伸張処理を施す。このために、伸張処理部24は、図示しない入力DMA部、伸張部、及び出力DMA部を備え、圧縮処理部23の入力DMA部231と同様にして、転送制御部16を介し、画像メモリ12からの圧縮データの読み出しを実行する。次いで、伸張処理部24は、圧縮処理部23の圧縮部232と同様にして、入力された圧縮データに対して伸張処理(復号処理)を施す。この結果、圧縮データは選択データに変換される。更に、伸張処理部24は、圧縮処理部23の出力DMA部233と同様にして、転送制御部16を介し、画像メモリ12に対する選択データの書き込みを実行する。
【0141】
図4に示す第3画像処理部25の領域分離処理部251には、画像メモリ12から読み出されたRGB値の選択データ(即ちRGB信号)が入力される。
領域分離処理部251は、自身に入力されたRGB信号に基づいて、各画素を文字領域、網点領域、及び印画紙写真領域のいずれかに分離(分類)する。領域分離処理部251は、分離結果に基づき、各画素がどの領域に属しているかを示す領域分離結果を、黒生成下色除去部253、第2空間フィルタ処理部254、及び階調再現処理部255へ出力すると共に、自身に入力されたRGB信号をそのまま後段の色補正部252へ出力する。
【0142】
色補正部252は、自身に入力されたRGB信号に対し、色補正処理を施す。色補正処理とは、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理である。この結果、RGB信号は、CMY信号に変換される。
次いで、色補正部252は、CMY信号を黒生成下色除去部253へ出力する。
【0143】
黒生成下色除去部253は、入力されたCMY信号に対し、黒生成処理とCMY再生成処理とを施す。黒生成処理とは、領域分離処理部251から入力された領域分離結果を基に、CMY信号からK信号を生成する処理であり、CMY再生成処理とは、黒生成処理で得たK信号を、元のCMY信号から差し引くことによって、新たなCMY信号を生成する処理である。以上の結果、CMY信号(即ち3色信号)は、CMYK信号(即ち4色信号)に変換される。
次いで、黒生成下色除去部253は、CMYK信号を第2空間フィルタ処理部254へ出力する。
【0144】
第2空間フィルタ処理部254は、入力されたCMYK信号に対して、領域分離処理部251から入力された領域分離結果を基に、デジタルフィルタによる空間フィルタ処理を施す。この結果、画素毎に最適な強調処理及び/又は平滑化処理が実行される。
次いで、第2空間フィルタ処理部254は、空間フィルタ処理済みのCMYK信号を階調再現処理部255へ出力する。
【0145】
階調再現処理部255は、入力されたCMYK信号に対して、領域分離処理部251から入力された領域分離結果を基に、画像出力装置13で記録シート上に高画質のカラー画像又は白黒画像を形成するための階調再現処理を施す。
次いで、階調再現処理部255は、階調再現処理済みのCMYK信号を画像出力装置13へ出力する。
【0146】
ここで、属性処理部4で実行される「カラー」属性に対応する画像処理(即ち第1の画像処理)について詳述する。
本実施の形態においては、図1に示すように、RGB信号である入力画像データが属性処理部4に入力される。このため、第1の画像処理とは、色変換処理部41に入力されたパックデータをスルーする処理である。従って、色変換処理部41に入力されたパックデータは、そのまま第1空間フィルタ処理部42へ出力される。
【0147】
なお、色変換処理部41は、第1の画像処理として、RGB信号をYCrCb(Y:輝度、Cr,Cb:色差)信号に変換する処理を実行する構成でもよい。この場合、圧縮処理部23において、JPEG等の形式で圧縮処理を実行するときに、圧縮効率を向上させることができる。
RGB信号のR値、G値、及びB値を、YCrCb信号のY値、Cr値、及びCb値に変換するためには、例えば下記の式(1)〜(3)が用いられる。
Y=0.30×R+0.59×G+0.11×B…(1)
Cb=−0.17×R−0.33×G+0.50×B…(2)
Cr=0.50×R−0.42×G−0.08×B…(3)
【0148】
次に、「白黒」属性に対応する画像処理(即ち第2の画像処理)について詳述する。
第2の画像処理とは、色変換処理部41に入力されたパックデータに含まれる色情報を除去する処理(グレー変換処理)である。具体的には、色変換処理部41は、RGB信号のR値、G値、及びB値を用いて、Y値又はL* 値を算出する。例えば、Y値を算出する場合は、上記の式(1)が用いられる。
【0149】
更に、「文字」属性、「写真」属性、及び「文字写真」属性に対応する画像処理(即ち第3、第4、及び第5の画像処理)について詳述する。
第3の画像処理とは、例えば、文字のエッジを強調するためのエッジ強調フィルタを用いた空間フィルタ処理である。
第4及び第5の画像処理とは、例えば、連続階調画領域又は中間調画領域のノイズを補正するための平滑化フィルタを用いた空間フィルタ処理である。ただし、「文字写真」属性の原稿画像には線画も含まれているため、文字のエッジを維持する必要がある。従って、第5の画像処理では、第4の画像処理で用いられる平滑化フィルタよりも弱い平滑化フィルタが用いられる。
【0150】
第1空間フィルタ処理部42が具体的にどのような特性の空間フィルタ処理を行なうかは、工場出荷時に予め設定されている。このために、例えば、画像形成装置101の製造者が、種々の画像サンプルを用いて、線画領域、連続階調画領域、及び中間調画領域夫々の劣化が抑制されるようなフィルタ係数を、エッジ強調フィルタ及び平滑化フィルタ夫々に設定する。
【0151】
以上のような画像形成装置101は、画像処理装置2を備えているため、画像処理装置2に入力画像データが入力されてから、選択データが画像処理装置2から出力されるまでの所要時間を短縮することができる。何故ならば、画像処理装置2では、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とが並行して実行されるからである。
【0152】
ところで、属性判定処理の実行後に、属性に対応する画像処理を実行する従来の画像形成装置が、特許文献5に記載されているような並列画像処理装置を備えることによって、並列画像処理装置に未処理の画像データが入力されてから、属性に対応する画像処理が施された画像データが並列画像処理装置から出力されるまでの所要時間を短縮することが考えられる。
以下では、従来の並列画像処理装置に比した本実施の形態の画像処理装置2の優位性について説明する。
【0153】
従来の並列画像処理装置では、画像データがm個に分割され、分割された画像データの各部に対して、同一の画像処理が並行して実行される。このために、従来の並列画像処理装置は、m個の並列画像処理部を備える。各並列画像処理部は、入力DMA部、画像処理実行部、及び出力DMA部を有する。m個の画像処理実行部は、同一の画像処理を実行するよう構成されている。
並列画像処理部の個数mは、画像データの分割数mに等しい。単純計算では、分割数mが増加するほど、所要時間は短縮される。しかしながら、並列画像処理部の個数mが増加する分だけ、並列画像処理装置の回路規模が増大し、また、m個の並列画像処理部を並列動作させる処理が煩雑になる。
【0154】
一方、本実施の形態の画像処理装置2は、第2画像処理部22を1個だけ備えるため、回路規模がコンパクトであり、また、第2画像処理部22を動作させる処理は単純である。
【0155】
更に、従来の並列画像処理装置のm個の画像処理実行部全体に比べて、本実施の形態の画像処理装置2の属性処理部4の回路規模を最適化することができる。以下では、第1空間フィルタ処理部42を例に説明する。
図11は、第1空間フィルタ処理部42で実行されるフィルタ処理を説明するための模式図である。
図11(a)には、5×3の画素を有する画像データ43が例示されている。図中の符号P11,…,P15は、1ライン目に含まれる各画素の画素値を示している。同様に、図中の符号P21,…,P25(又は符号P31,…,P35)は、2ライン目(又は3ライン目)に含まれる各画素の画素値を示している。
【0156】
図11(b)には、3×3のフィルタ44が例示されている。図中の符号aは、注目画素の画素値に乗算すべきフィルタ係数である。また、図中の符号bは、注目画素の周囲4画素夫々に乗算すべきフィルタ係数であり、図中の符号cは、注目画素の周囲8画素の内の周囲4画素以外の画素夫々に乗算すべきフィルタ係数である。
【0157】
第1空間フィルタ処理部42は、画像データ43に含まれる画素値P22,P23,P24を有する画素夫々を、順に注目画素とし、注目画素夫々に対して、フィルタ44を用いたフィルタ処理を施す。
換言すれば、第1空間フィルタ処理部42では、下記の式(4)〜(6)に示す演算が実行される。ただし、OP22,OP23,OP24は、画素値P22,P23,P24を有する注目画素夫々に対するフィルタ処理結果である。
【0158】
OP22=a×P22+b×P12+b×P21+b×P23+b×P32+c×P11+c×P13+c×P31+c×P33…(4)
OP23=a×P23+b×P13+b×P22+b×P24+b×P33+c×P12+c×P14+c×P32+c×P34…(5)
OP24=a×P24+b×P14+b×P23+b×P25+b×P34+c×P13+c×P15+c×P33+c×P35…(6)
【0159】
図11(c)には、画像データ43を3分割してなる分割画像データ451,452,453が例示されている。
従来の並列画像処理装置における第1の画像処理実行部は、分割画像データ451に含まれる画素値P22を有する画素を注目画素とし、注目画素に対して、フィルタ44を用いたフィルタ処理を施す。同様に、第2(又は第3)の画像処理実行部は、分割画像データ452(又は分割画像データ453)に含まれる画素値P23(又は画素値P24)を有する画素を注目画素とし、注目画素に対して、フィルタ44を用いたフィルタ処理を施す。
換言すれば、第1の画像処理実行部では、上記の式(4)に示す演算が実行され、第2(又は第3)の画像処理実行部では、上記の式(5)(又は式(6))に示す演算が実行される。
【0160】
図12及び図13は、第1空間フィルタ処理部42の要部構成を示すブロック図である。図中の符号511〜519,521〜529,531,532,534,535,537,539夫々は乗算器であり、符号541〜548,551〜558,561〜568夫々は加算器である。
乗算器511〜519,521〜529,531,532,534,535,537,539及び加算器541〜548,551〜558,561〜568は全て第1空間フィルタ処理部42に含まれており、式(4)〜(6)に示す演算が実行されるように、適宜に接続されている。
【0161】
この結果、式(4)の1項目、2項目、…、及び9項目の乗算部分が、乗算器511、乗算器512、…、及び乗算器519によって演算され、式(4)の1項目から9項目までの加算部分が、加算器541〜548によって演算される。
同様に、式(5)の1項目、2項目、…、及び9項目の乗算部分が、乗算器521、乗算器522、…、及び乗算器529によって演算され、式(5)の1項目から9項目までの加算部分が、加算器551〜558によって演算される。
【0162】
ところで、式(6)の3項目、6項目、及び8項目の乗算は、式(4)の4項目、7項目、及び9項目の乗算と同一である。
このため、式(6)の演算については、式(4)の演算で用いる乗算器514,517,519(図中ハッチングで示されている乗算器)が流用される。
具体的には、式(6)の1項目、2項目、3項目、4項目、5項目、6項目、7項目、8項目、及び9項目の乗算部分が、乗算器531、乗算器532、乗算器514、乗算器534、乗算器535、乗算器517、乗算器537、乗算器519、及び乗算器539によって演算され、式(6)の1項目から9項目までの加算部分が、加算器561〜568によって演算される。
【0163】
以上の結果、第1空間フィルタ処理部42が備える乗算器の個数を最小限に抑えることができる。
一方、並列画像処理装置における第2の画像処理実行部には、図13に示す乗算器521〜529及び加算器551〜558のみが含まれており、これらは、式(5)に示す演算が実行されるように、適宜に接続されている。
第1及び第2の画像処理実行部夫々の構成は、第2の画像処理実行部の構成と同一であり、入力される画素値のみが異なる。従って、第1の画像処理実行部に含まれる乗算器を、第3の画像処理実行部で流用することができない。
【0164】
以上のように、第1空間フィルタ処理部42で実行される演算と、第1〜第3の画像処理実行部で実行される演算とは、全く同一のものであるにも関わらず、第1空間フィルタ処理部42が備える乗算器の個数は、第1〜第3の画像処理実行部が備える乗算器の個数よりも3個少ない。
つまり、第1空間フィルタ処理部42の方がコンパクトに構成されている点でも、画像形成装置101は従来の画像形成装置より優れている。
【0165】
なお、画像形成装置101は、カラーコピー機能、白黒コピー機能、カラープリンタ機能、白黒プリンタ機能、ファクシミリ通信機能、及びscan to e-mail機能等を有するデジタル複合機であってもよい。
このような画像形成装置101は、例えばLANケーブルに接続可能なネットワークカードを用いてなるデータ通信装置を備える。データ通信装置は、LANケーブルを介して、通信ネットワークに接続されたコンピュータシステム又は他のデジタル複合機等とデータ通信を行なう。
【0166】
scan to e-mail機能を有する画像形成装置101は、例えばネットワークカードを用いてなる図示しないe-mail通信装置を備える。ユーザが操作パネル14を用いてscan to e-mailモードを選択した場合、e-mail通信装置は、e-mailに添付した選択データを、ユーザが操作パネル14を用いて設定した送信先へ送信する。
ファクシミリ通信機能を有する画像形成装置101は、例えばファクシミリモデムを用いてなる図示しないファクシミリ通信装置を備える。ユーザがファクシミリ送信モードを選択した場合、ファクシミリ通信装置は、ユーザが設定した相手先との通信手続きを行ない、送信可能な状態が確保されたときに、ファクシミリ通信形式に変換した選択データを、相手先へ送信する。
【0167】
ファクシミリ受信モードにおけるファクシミリ通信装置は、相手先との通信手続きを行ないながら、相手先から送信されてくるファクシミリ通信形式の画像データを受信して、画像処理装置2に入力する。画像処理装置2では、受信した画像データに対し、伸張処理部24が伸張処理を施す。伸張された画像データは、必要に応じて、回転処理、解像度変換処理、及び/又は出力階調補正処理等を実行する不図示の処理部、及び階調再現処理部255等に順次入力されてから、画像出力装置13に入力される。
【0168】
本実施の形態における画像入力装置11は、原稿を読み取ってRGB信号を出力するカラースキャナであるが、画像入力装置11が、原稿を読み取って1成分の信号(G信号又はY信号等)を出力する白黒スキャナであってもよい。この場合、原稿画像は必ず「白黒」属性であるため、属性処理部4は、色変換処理部41を備えていなくてもよい。このとき、属性の種類数N=3である。
また、属性に対応する画像処理は、本実施の形態で例示されたものに限定されるものではない。
【0169】
実施の形態 2.
図14は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置2を備える画像読取装置102の機能構成を示すブロック図である。図14は、実施の形態1の図1に対応する。
本実施の形態では、フラットベッド・スキャナ装置として機能する画像読取装置102を例示する。画像読取装置102は、実施の形態1の画像形成装置101に類似した構成である。
以下では、画像形成装置101と画像読取装置102との差異について説明し、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0170】
画像読取装置102は、CPU10、画像入力装置11、画像メモリ12、操作パネル14、転送制御部16、及び画像処理装置2を備えるが、実施の形態1の画像形成装置101とは異なり、画像出力装置13を備えていない。
また、画像処理装置2は、第1画像処理部21、第2画像処理部22、及び圧縮処理部23を備えるが、実施の形態1の画像処理装置2とは異なり、伸張処理部24及び第3画像処理部25を備えていない。
更に、画像読取装置102は、例えばLANケーブルに接続可能なネットワークカードを用いてなる図示しないデータ通信装置を備える。データ通信装置は、LANケーブルを介して、通信ネットワークに接続されたコンピュータシステム又は他のデジタル複合機等とデータ通信を行なう。
【0171】
第2画像処理部22が出力した選択データは、圧縮処理部23に入力されるか、又は、データ通信装置を介して画像読取装置102の外部へ送信される。
圧縮処理部23が出力した圧縮データは、データ通信装置を介して画像読取装置102の外部へ送信される。
【0172】
画像読取装置102から送信された圧縮データは、例えば外部のファイルサーバに与えられる。この場合、圧縮データは、ファイルサーバが備えるストレージに蓄積される。
画像読取装置102から送信された選択データは、例えば外部のパーソナルコンピュータに与えられる。この場合、パーソナルコンピュータが備える表示装置に、選択データに基づくカラー画像又は白黒画像が表示される。その際、カラー画像又は白黒画像を表示する前に、パーソナルコンピュータが、選択データに対して解像度変換処理及びガンマ補正処理等を施してもよい。
【0173】
以上のような画像読取装置102は、本発明における画像読取装置として機能し、実施の形態1の画像形成装置101と同様の効果を奏する。
なお、画像読取装置102は、自身が備える表示装置に、選択データに基づくカラー画像又は白黒画像が表示される構成でもよい。その際、カラー画像又は白黒画像を表示する前に、画像処理装置2が、選択データに対して解像度変換処理、ガンマ補正処理、及び確認用画像生成処理等を施す。
【0174】
実施の形態 3.
コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体(以下、単に記録媒体という)には、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、又はソースプログラム)が記録される。ここで、コンピュータとは、例えばパーソナルコンピュータ又はデジタル複合機等が備えるマイクロプロセッサである。マイクロプロセッサを備えるパーソナルコンピュータ又はデジタル複合機等を、以下ではコンピュータシステムという。
【0175】
本実施の形態における記録媒体は、本発明の画像処理方法を実現するためのプログラムコード(以下、本実施の形態のコンピュータプログラムという)を記録したものである。
【0176】
本実施の形態の記録媒体が、コンピュータシステムとは別体のものである場合、本実施の形態の記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
このような記録媒体とは、例えばフレキシブルディスクである。本実施の形態の記録媒体がフレキシブルディスクである場合、コンピュータシステムは、外部記憶装置として、プログラムコード読み取り装置であるフレキシブルディスクドライブを備えておく必要がある。外部記憶装置に本実施の形態の記録媒体が挿入されたとき、記録媒体に記録されている本実施の形態のコンピュータプログラムが、コンピュータによって読み取られる。
【0177】
本実施の形態の記録媒体は、コンピュータシステムに一体的に備えられていてもよい。このような構成においては、例えばコンピュータシステムが備えるROM又はハードディスクそのものに、本実施の形態のコンピュータプログラムが記録される。
【0178】
以上のような記録媒体は、固定的にコンピュータプログラムを担持するものである。このような記録媒体としては、テープ系(磁気テープ又はカセットテープ等)、ディスク系(フレキシブルディスク若しくはハードディスク等の磁気ディスク、又は、CD−ROM、MO、MD、若しくはDVD等の光ディスク)、カード系(メモリカードのようなICカード、又は光カード等)、或いは、半導体メモリ系(マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )、フラッシュROM等)のものが用いられる。
【0179】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータが本実施の形態の記録媒体に直接的にアクセスして実行されてもよい。又は、本実施の形態のコンピュータプログラムは、コンピュータシステムが備えるプログラム記憶エリアにインストールされてから実行されてもよい。
本実施の形態のコンピュータプログラムを本実施の形態の記録媒体からプログラム記憶エリアにインストールするためのコンピュータプログラムは、例えばコンピュータシステムが備えるROMに予めに格納されている。
【0180】
コンピュータシステムが、インターネットのような通信ネットワークに接続可能な構成である場合には、本実施の形態のコンピュータプログラムは、通信ネットワークを介して、コンピュータシステムが備えるプログラム記憶エリアにダウンロードされてから実行される。この場合、通信ネットワークは、流動的にコンピュータプログラムを担持する記録媒体であると看做すことができる。
【0181】
通信ネットワークを介して本実施の形態のコンピュータプログラムをプログラム記憶エリアにダウンロードするためのコンピュータプログラムは、例えばコンピュータシステムが備えるROMに予めに格納されているか、又は、本実施の形態の記録媒体とは異なる記録媒体からプログラム記憶エリアにインストールされる。
なお、本発明は、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号でも実現され得る。この場合、本実施の形態のコンピュータプログラムは、電子的な伝送で具現化される。
【0182】
本発明の画像読取装置として機能するコンピュータシステムは、例えば、パーソナルコンピュータと、フラットベッドスキャナ装置、フィルムスキャナ装置、又はデジタルカメラ等の画像入力装置と、CRTディスプレイ又は液晶ディスプレイ等の画像表示装置と、通信ネットワークを介して外部のサーバ又はデジタル複合機等と通信するためのネットワークカード又はモデム等の通信装置とを備える。このようなコンピュータシステムに、プリンタのような画像出力装置を追加した場合、コンピュータシステムは、本発明の画像形成装置として機能する。
【0183】
図15は、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置7の機能構成を示すブロック図である。画像処理装置7は、デュアルプロセッサのパーソナルコンピュータを用いてなり、本発明の画像処理装置として機能するコンピュータシステムである。
画像処理装置7は、各種演算を行なうCPU701,702と、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶する揮発性メモリ71と、本実施の形態の記録媒体80から情報を読み取るドライブ部72と、不揮発性メモリ73と、DMA部74とを備えている。
【0184】
記録媒体80は、例えば光ディスクであり、記録媒体80には、本実施の形態のコンピュータプログラム81が記憶されている。記録媒体80及びコンピュータプログラム81は、本実施の形態における記録媒体及びコンピュータプログラムとして機能する。
ドライブ部72は、例えばCD−ROMドライブを用いてなる。
不揮発性メモリ73は、例えばハードディスクを用いてなる。不揮発性メモリ73に対する各種のコンピュータプログラム又はデータの読み書きは、DMA部74を介して実行される。DMA部74は、実施の形態1の転送制御部16に対応する。
【0185】
DMA部74は、自身に入力された転送要求に応じて、不揮発性メモリ73から読み出したコンピュータプログラム又はデータを転送するか、或いは、不揮発性メモリ73に書き込むべきコンピュータプログラム又はデータを転送する。転送要求が同時的に複数入力された場合、DMA部74は、入力された転送要求の優先順位を決定し、優先順位の高い転送処理から順に実行する。転送要求の優先順位の高低は、CPU701,702が適宜のタイミングでDMA部74に設定するか、又はDMA部74にデフォルトで設定されている。
【0186】
CPU701,702は、ドライブ部72を用いて、本実施の形態の記録媒体80から本実施の形態のコンピュータプログラム81を読み取り、読み取ったコンピュータプログラム81を、DMA部74を介して不揮発性メモリ73に記憶させる。
CPU701,702は、コンピュータプログラム81を揮発性メモリ71にロードし、ロードしたコンピュータプログラム81に従って、本発明の実施の形態に係る画像処理方法を実現する。
【0187】
また、画像処理装置7は、操作部75と表示部76とを備えている。
操作部75は、ユーザが画像処理装置7を操作するためのキーボード又はポインティングデバイス等である。操作部75を用いてユーザが入力した指示又は数値等は、CPU701,702に与えられる。
表示部76は、例えば液晶ディスプレイを用いてなり、CPU701,702に制御されて、各種の情報を表示する。
【0188】
更に、画像処理装置7は、図示しない通信ネットワークに接続可能な通信部77と、画像処理装置7の外部の画像読取装置82に接続されたI/F(インタフェース)78とを備えている。
CPU701,702は、通信部77を介して、画像処理装置7の外部との間でデータの送受信を実行する。
【0189】
画像処理装置7の外部の画像読取装置82は、スキャナ装置又はデジタル複合機等であり、原稿を光学的に読み取って、RGB信号からなる画像データを生成し、生成した画像データを、画像処理装置7へ送信する。
画像処理装置7のCPU701,702は、I/F78を介して、画像読取装置82から送信された画像データを受信する。受信した画像データは、不揮発性メモリ73に一時的に記憶される。
【0190】
CPU701は、不揮発性メモリ73に記憶された1枚分の画像データに基づいて、属性判定処理を実行する。CPU701が実行する属性判定処理は、実施の形態1の属性判定部221で実行される属性判定処理と略同様である。つまり、CPU701は、本発明における属性判定手段として機能する。
【0191】
一方、CPU702は、不揮発性メモリ73に記憶された1枚分の画像データに基づいて、N個の画像データを生成するデータ生成処理を実行する。更に詳細には、CPU702は、実施の形態1のパック処理部31及びメモリ制御部32で実行されるパック処理及びメモリ制御処理を実行する。このとき、CPU702は、揮発性メモリ71に設けられている記憶領域711,712を、実施の形態1のラインメモリ331,332のような書き込み用及び読み出し用のメモリとして用いる。次いで、CPU702は、実施の形態1の属性処理部4で実行されるN種類の属性に対応する画像処理(即ち属性処理)を実行する。以上のようなCPU702は、本発明におけるデータ生成手段及び属性処理手段として機能する。
【0192】
この結果、第1及び第3、第2及び第4、…、並びに第2及び第5の画像処理が施されたN個の画像データ夫々が、不揮発性メモリ73に記憶される。
更に、CPU701は、属性判定結果に応じて、不揮発性メモリ73から読み出すべき画像データを選択し、選択した画像データ(即ち選択データ)を、例えば揮発性メモリ71に記憶させる選択出力処理を実行する。つまり、CPU701は、本発明における選択出力手段として機能する。
揮発性メモリ71に記憶された選択データは、圧縮処理が施されてから再び不揮発性メモリ73に記憶されたり、e-mailに添付されて外部へ送信されたりする。
【0193】
以上のような画像処理装置7は、属性判定処理と、属性に対応する画像処理とを並行して実行する。従って、画像処理装置7は、未処理の画像データを受信してから、所要の画像処理が施された画像データを得るまでの所要時間を短縮することができる。
【0194】
なお、ここに開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、画像形成装置101のデータ生成部3が、2本のラインメモリ331,332の代わりに、2個のブロックメモリを備えていてもよい。この場合、データ生成部3、データ生成部4、及び出力DMA部222においては、入力画像データの画素又はパックデータが、1ブロック分ずつまとめて取り扱われる。
【0195】
また、本発明の効果がある限りにおいて、画像形成装置101、画像読取装置102、及び/又は画像処理装置2,7に、実施の形態1〜3に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0196】
10 CPU(選択出力手段)
13 画像出力装置(画像形成手段)
16 転送制御部(選択出力手段)
101 画像形成装置(画像読取装置)
102 画像読取装置
2,7 画像処理装置
3 データ生成部(データ生成手段)
31 パック処理部(パック手段)
32 メモリ制御部(メモリ制御手段)
331,332 ラインメモリ(書き込み用及び読み出し用のメモリ)
4 属性処理部(属性処理手段)
221 属性判定部(属性判定手段)
701 CPU(属性判定手段,選択出力手段)
702 CPU(データ生成手段,属性処理手段)
721,722 記憶領域(書き込み用及び読み出し用のメモリ)
80 記録媒体
81 コンピュータプログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理方法において、
入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定しつつ、
前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成し、
生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施し、
前記入力された画像データに係る画像の属性の判定結果に応じて、前記画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理装置において、
入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定する属性判定手段と、
該属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成するデータ生成手段と、
前記属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記データ生成手段が生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施す属性処理手段と、
前記属性判定手段の判定結果に応じて、前記属性処理手段が画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力する選択出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
書き込み用及び読み出し用のメモリを更に備え、
前記データ生成手段は、
前記入力された画像データと同じ画像データの画素が入力され、入力された画素をM(MはM≧Nの自然数)個ずつパックしてなるパックデータを出力するパック手段と、
該パック手段が出力したパックデータを、前記パック手段に画素が入力された入力周期のM倍の周期で書き込み用のメモリに書き込みつつ、前記パック手段が出力したパックデータが既に書き込まれている読み出し用のメモリから前記パックデータを、前記入力周期でN回読み出して出力するメモリ制御手段と
を有し、
前記属性処理手段は、前記メモリ制御手段が出力したN個の前記パックデータに対して、前記N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて施すようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像処理装置と、
記録シート上に画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2又は3の何れかひとつに記載の画像処理装置と、
原稿を読み取ってなる画像データを前記画像処理装置に入力する画像入力手段と
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
コンピュータに、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定させる属性判定ステップと、
コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成させるデータ生成ステップと、
コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記データ生成ステップで生成されたN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施させる属性処理ステップと、
コンピュータに、前記属性判定ステップでの判定結果に応じて、前記属性処理ステップで画像処理が施された画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択させて出力させる選択出力ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
【請求項1】
画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理方法において、
入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定しつつ、
前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成し、
生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施し、
前記入力された画像データに係る画像の属性の判定結果に応じて、前記画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力する画像処理装置において、
入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定する属性判定手段と、
該属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成するデータ生成手段と、
前記属性判定手段による判定処理の実行と並行して、前記データ生成手段が生成したN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施す属性処理手段と、
前記属性判定手段の判定結果に応じて、前記属性処理手段が画像処理を施した画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択して出力する選択出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
書き込み用及び読み出し用のメモリを更に備え、
前記データ生成手段は、
前記入力された画像データと同じ画像データの画素が入力され、入力された画素をM(MはM≧Nの自然数)個ずつパックしてなるパックデータを出力するパック手段と、
該パック手段が出力したパックデータを、前記パック手段に画素が入力された入力周期のM倍の周期で書き込み用のメモリに書き込みつつ、前記パック手段が出力したパックデータが既に書き込まれている読み出し用のメモリから前記パックデータを、前記入力周期でN回読み出して出力するメモリ制御手段と
を有し、
前記属性処理手段は、前記メモリ制御手段が出力したN個の前記パックデータに対して、前記N種類の属性に対応する画像処理を切り替えて施すようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像処理装置と、
記録シート上に画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2又は3の何れかひとつに記載の画像処理装置と、
原稿を読み取ってなる画像データを前記画像処理装置に入力する画像入力手段と
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
コンピュータに、画像の属性に対応する画像処理を施した画像データを出力させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、入力された画像データに基づいて、該画像データに係る画像の属性を判定させる属性判定ステップと、
コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記入力された画像データと同じ画像データに基づいて、画像の属性の種類数N(Nは“2”以上の自然数)に応じたN個以上の画像データを生成させるデータ生成ステップと、
コンピュータに、前記属性判定ステップの実行と並行して、前記データ生成ステップで生成されたN個の画像データに対して、N種類の属性に対応する画像処理を順次施させる属性処理ステップと、
コンピュータに、前記属性判定ステップでの判定結果に応じて、前記属性処理ステップで画像処理が施された画像データの内、少なくとも1個の画像データを選択させて出力させる選択出力ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−4361(P2011−4361A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148026(P2009−148026)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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