画像処理方法及び画像処理装置
【課題】 距離情報も用いて画像中の物体を高精度に分離することができる画像処理方法及び画像処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 撮像画像中の物体を分離する画像処理方法であって、視点の異なる複数の撮像画像を取得する撮像ステップと、撮像画像を領域に過分割する過分割ステップと、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理ステップと、各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理ステップと、全ての過分割領域から信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出ステップと、抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理ステップと、結合度に基づいて抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離ステップとを含むことを特徴とする。
【解決手段】 撮像画像中の物体を分離する画像処理方法であって、視点の異なる複数の撮像画像を取得する撮像ステップと、撮像画像を領域に過分割する過分割ステップと、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理ステップと、各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理ステップと、全ての過分割領域から信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出ステップと、抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理ステップと、結合度に基づいて抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像中の複数の物体を個々に分離するために領域分割を行う画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像画像中の複数の物体をそれぞれ分離するための画像処理方法が各種開発されている。この処理方法として、撮像画像からエッジ情報、色情報、テクスチャ情報などを取得し、これらの情報を利用して類似している領域毎に分割することによって物体を分離する方法がある(特許文献1、特許文献2参照)。しかし、同じ物体でも、表面の模様や色あるいは影などによって、エッジ情報、色情報、テクスチャ情報などが異なる。このような場合、同じ物体でも別々の領域に分割され、正確に個々の物体に分離することができない。そこで、画像処理方法には、エッジ情報、色情報、テクスチャ情報などの情報に加えて奥行き方向の距離の情報を用いて、領域を分割する方法もある。
【特許文献1】特開2003−87545号公報
【特許文献2】特開2004−178273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
距離情報を用いて領域分割を行う方法では、正確な距離情報が得られることが前提となっており、正確な距離情報が得られた場合に高精度な領域分割を行うことができる。特に、領域分割に重要となる物体と物体の境界においては、正確な距離情報が必要となる。しかしながら、実際に得られる距離情報にはノイズが含まれている場合があり、正確な距離情報が得られないことがある。このような場合、物体と物体との境界に相当する領域間を正確に分割することができないので、個々の物体を正確に分離することができない。
【0004】
そこで、本発明は、距離情報も用いて画像中の物体を高精度に分離することができる画像処理方法及び画像処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像処理方法は、撮像画像中の物体を分離する画像処理方法であって、視点の異なる複数の撮像画像を取得する撮像ステップと、撮像画像を領域に過分割する過分割ステップと、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理ステップと、奥行き距離処理ステップで求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理ステップと、過分割ステップで過分割した過分割領域から信頼度処理ステップで求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出ステップと、抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理ステップと、結合度処理ステップで求めた結合度に基づいて抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離ステップとを含むことを特徴とする。
【0006】
この画像処理方法では、撮像ステップで視点の異なる複数の撮像画像を取得する。そして、画像処理方法では、過分割ステップで撮像画像を各領域に過分割する。領域分割においては、例えば、撮像画像からエッジ情報、色情報、テクスチャ情報などを取得し、これらの情報を利用して類似している領域に分割する。この領域分割によって1つの物体でも複数の領域に分割されるので、過分割と呼んでいる。また、画像処理方法では、距離処理ステップで視点の異なる複数の撮像画像に基づいて物体までの奥行き距離をそれぞれ求める。この際、画像処理方法では、信頼度処理ステップで各奥行き距離についての信頼度(つまり、求められた奥行き距離の精度)を求める。視点の異なる撮像画像から奥行き距離を求める場合、床や壁などの均一な領域では撮像画像間で対応を取り難くなるので、奥行き距離の精度が低下し、一方、物体(特に、均一でない物体)が存在する領域では撮像画像間で対応を取り易くなるので、奥行き距離の精度が向上する。そこで、画像処理方法では、抽出ステップで全ての過分割領域から信頼度の高い過分割領域だけを抽出する。つまり、全領域から、情報としての信頼性が高く、分離対象である物体が存在する可能性の高い領域を抜き出す。そして、画像処理方法では、結合度処理ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、この奥行き距離の変化に基づいてその隣接する過分割領域間の結合度(つまり、その隣接する過分割領域間を同じ物体の領域として結合してもよいか否かの尺度であり、異なる物体の境界として分離してもよいか否かの尺度でもある)を求める。例えば、奥行き距離の変化から過分割領域間が段差状、フラット状あるいは凸状などになっているかが判るので、そのような過分割領域間の状態に応じて結合度を求める。さらに、画像処理方法では、分離ステップで結合度に基づいて各過分割領域を結合又は分離し(つまり、同じ物体の領域とみなしてよい過分割領域間を結合し、異なる物体の境界とみなしてよい過分割領域間を分離し)、この結合又は分隣した過分割領域によって個々の物体に分離する。このように、この画像処理方法では、過分割領域間の奥行き距離の変化に基づいて結合度を定義し、結合度に応じてその隣接する過分割領域が同じ物体の領域か否かを判断することにより、物体毎に過分割領域を正確に結合できるとともに異なる物体間を正確に分離でき、高精度に個々の物体に分離することができる。また、この画像処理方法では、奥行き距離の信頼度の低い過分割領域を物体分離する対象から予め排除することにより、処理負荷を軽減することができるとともに物体分離の精度を向上させることができる。
【0007】
本発明の上記画像処理方法では、抽出ステップは、過分割領域毎に信頼度の平均値を求めるステップと、信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出するステップとを含む構成としてもよい。
【0008】
この画像処理方法の抽出ステップでは、過分割領域における各奥行き距離に対する信頼度の平均値を求め、この信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出する。このように、この画像処理方法では、信頼度を平均化することにより、ノイズの影響などを受けることなく、過分割領域全体としての信頼度によって物体分離に用いる領域を安定して抽出することができる。
【0009】
本発明の上記画像処理方法では、結合度処理ステップは、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定するステップと、各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめるステップと、当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択するステップと、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出するステップと、非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出するステップとを含む構成としてもよい。
【0010】
この画像処理方法の結合度処理ステップでは、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定する。そして、結合度処理ステップでは、各参照点の奥行き距離と過分割領域間における位置に基づいて、参照点群に対して数種類の非線形関数をそれぞれ当てはめる。非線形関数は、隣接する過分割領域間の状態を表すための関数であり、例えば、過分割領域間の段差を表すシグモイド関数、凹凸を表す二次関数がある。そして、結合度処理ステップでは、当てはめた数種類の非線形関数から当てはめ誤差の小さい非線形関数を抽出する(つまり、良く当てはまっている非線形関数を抽出する)。さらに、結合度処理ステップでは、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を求め、この求めた曲率から結合度を求める。このように、この画像処理方法では、非線形関数の種類と各非線形関数の曲率から隣接する過分割領域間の状態を詳細に判別し、その過分割領域間の状態を結合度として表す。その結果、過分割領域間において奥行き距離が不連続な状態のみならず、奥行き距離が連続している状態でも、異なる物体と判断可能な結合度を設定できる。例えば、凹部(机の上に置かれた物体の底辺の境界など)を異なる物体間と判断可能な結合度を設定できる。ちなみに、非線形関数の種類と各非線形関数の曲率が隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に相当する。
【0011】
本発明の上記画像処理方法の非線形関数を当てはめるステップでは、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめる構成としてもよい。
【0012】
この画像処理方法では、上記した非線形関数を当てはめる際に、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けし、重み付けした参照点群に対して非線形関数を当てはめる。このように、画像処理方法では、各参照点を重み付けすることにより、信頼度の低い参照点の影響を受けることなく、信頼度の高い参照点を対して非線形関数を当てはめることができる。
【0013】
本発明の上記画像処理方法では、分離ステップは、抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求めるステップと、立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定するステップとを含む構成としてもよい。
【0014】
この画像処理方法の分離ステップでは、抽出した過分割領域のうち幾つかの過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめ、その当てはめ精度を求める。立体プリミティブとしては、例えば、球、直方体、円柱がある。そして、分離ステップでは、当てはめ精度が所定精度以上の領域(つまり、ある立体に形状が当てはまっている領域)に含まれる全ての過分割領域を1つの物体の領域と判定する。このように、画像処理方法では、隣接する過分割領域間の結合度の他に、立体形状に対する当てはまり度合いを考慮することにより、個々の物体に分離するための過分割領域間の結合又は分離を高精度に行うことができるとともに、当てはまった立体プリミティブによって分離対象の物体の形状や大きさの認識が可能である。
【0015】
本発明に係る画像処理装置は、撮像画像中の物体を分離する画像処理装置であって、視点の異なる複数の撮像画像を取得する複数の撮像手段と、撮像画像を領域に過分割する過分割手段と、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理手段と、奥行き距離処理手段で求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理手段と、過分割手段で過分割した過分割領域から信頼度処理手段で求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出手段と、抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理手段と、結合度処理手段で求めた結合度に基づいて抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の上記画像処理装置では、抽出手段は、過分割領域毎に信頼度の平均値を求め、当該信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出する構成としてもよい。
【0017】
本発明の上記画像処理装置では、結合度処理手段は、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定し、各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめ、当該当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択し、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出し、当該非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出する構成としてもよい。
【0018】
本発明の上記画像処理装置では、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめる構成としてもよい。
【0019】
本発明の上記画像処理装置では、分離手段は、抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求め、当該立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定する構成としてもよい。
【0020】
なお、上記した各画像処理装置は、上記した各画像処理方法と同様の作用効果を有している。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化から結合度を定義することにより、撮像画像中の個々の物体を高精度に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像処理方法及び画像処理装置の実施の形態を説明する。
【0023】
本実施の形態では、本発明を、撮像画像内の物体を個々に分離する画像処理装置に適用する。本発明に係る画像処理装置は、ステレオカメラを備えており、ステレオカメラによって所定の対象を撮像し、その撮像画像中の複数の物体を個々の物体に分離するために各物体に相当する領域に分割する。
【0024】
図1を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る画像処理装置の構成図である。
【0025】
画像処理装置1は、ステレオカメラで撮像し、その左右の撮像画像中の基準画像(例えば、左撮像画像)を領域に過分割する。そして、画像処理装置1は、物体までの奥行き距離を考慮して隣接する過分割領域間を結合/分離し、個々の物体に分離する。特に、画像処理装置1では、個々の物体を高精度に分離するために、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に基づく結合度を算出し、結合度に基づいて過分割領域間を結合するかあるいは分離するかを判断する。画像処理装置1は、ステレオカメラを構成する2台のカメラ2,3、モニタ4及び画像処理部5を備えている。
【0026】
なお、本実施の形態ではカメラ2,3が特許請求の範囲に記載する複数の撮像手段に相当し、画像処理部5で行われる各処理が特許請求の範囲に記載する過分割手段、奥行き距離処理手段、信頼度処理手段、抽出手段、結合度処理手段、分離手段に相当する。
【0027】
カメラ2,3は、所定の間隔をあけて平行に撮像対象に配置され、撮像対象を撮像するカラーのステレオカメラである。カメラ2で撮像された画像は左撮像画像(基準画像とする)であり、カメラ3で撮像された画像は右撮像画像(参照画像とする)であり、視点の異なる二枚の撮像画像が同時に得られる。カメラ2,3は、CCD[Charge coupled device]などの撮像素子を備えるデジタルカメラであり、デジタル画像データからなる撮像画像を画像信号として画像処理部5に送信する。なお、間隔などのカメラ2,3の位置関係についての情報やカメラ2,3の内部パラメータ、外部パラメータは、画像処理部5に予め保持されている。図2には、左右の撮像画像の一例を示しており、缶、直方体の箱、ボールの3つの物体が置かれている。図2では、各物体に絵柄や文字などを描いていないが、実際には、各物体に絵柄や文字などがあり、影も存在する。
【0028】
モニタ4は、液晶モニタでもあるいはCRT[Cathode Ray Tube]モニタでもよく、画像処理部5の処理結果を表示出力する。モニタ4では、画像処理部5からの出力信号に応じて画像などを表示する。
【0029】
画像処理部5は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ上に構成され、専用のアプリケーションプログラムを実行することによって各処理を行う。画像処理部5では、カメラ2,3から左右の撮像画像(ステレオ画像)をそれぞれ取り入れ、撮像画像の基準画像を領域に過分割する(領域過分割処理)。また、画像処理部5では、左右の撮像画像から物体までの奥行き距離を求め、各奥行き距離について信頼度を取得する(奥行き距離算出処理)。そして、画像処理部5では、全ての過分割領域から奥行き距離の信頼度の高い領域を抽出する(領域抽出処理)。さらに、画像処理部5では、信頼度の高い過分割領域に対して、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に基づいて結合度を算出する(結合度算出処理)。最後に、画像処理部5では、信頼度の高い過分割領域に対して、隣接する過分割領域間を結合度に基づいて結合又は分離し、個々の物体に分離する(物体分離処理)。
【0030】
領域過分割処理について説明する。画像処理部5では、基準画像のエッジ情報、色情報、テクスチャ情報などの画像情報を用いて、基準画像を領域に過分割する。過度な領域分割を行うので、撮像画像における各物体の存在する領域が多数の領域に分かれる。領域の分割手法としては、特に限定するものでなく、例えば、Mean−shift法を用いることにより高速に分割を行うことができる。各種手法で領域分割を行う際に、閾値を高く設定することにより(つまり、分割条件を厳しくすることにより)、過度に領域を分割するようにする。図3には、図2の左撮像画像を領域に過分割した過分割領域画像を示しており、各物体が多数の領域に分割されている。
【0031】
奥行き距離算出処理について説明する。画像処理部5では、左右の撮像画像間で相関演算を行い、その演算結果から得られた視差を用いて物体までの奥行き距離(画素毎)を算出する。この際、画像処理部5では、相関演算の過程で、各奥行き距離に対する精度に相当する信頼度を取得する。左右の撮像画像間で相関演算を行う場合、色、模様、形状などの変化のない均一なところ(例えば、床、壁)では左右の撮像画像間での対応が取り難いので、奥行き距離の信頼度が低くなる。このような均一なところは(つまり、特徴のないところは)、物体が存在していない可能性が高いので、物体分離を行う対象としない。一方、色、模様、形状などの変化があるところや物体間の境界、各物体の輪郭部分などでは左右の撮像画像間での対応が取り易いので、奥行き距離の信頼度が高くなる。このような均一でないところは(つまり、特徴のあるところは)、物体が存在している可能性が高いので、物体分離を行う対象とする。図4には、図2の左撮像画像における各物体や背景までの奥行き距離を表す奥行き距離画像を示しており、画素毎に色で奥行き距離を表している。この奥行き距離画像では、物体の存在する領域では全体的に一様な距離分布となっているが、それ以外の領域ではばらついた距離分布となっている。また、図5には、各奥行き距離の信頼度を表す信頼度画像を示しており、画素毎に色で信頼度を表している。この信頼度画像では、物体の存在する領域では高い信頼度の色となっており、それ以外の領域では低い信頼度の色となっている。
【0032】
領域抽出処理について説明する。画像処理部5では、相関演算の際のノイズの影響によって信頼度がばらつくので、過分割領域毎に、各過分割領域に含まれる全ての奥行き距離(画素毎)の平均値を算出する。そして、画像処理部5では、信頼度の平均値が閾値以上か否かを判定し、閾値以上の過分割領域を抽出する(つまり、信頼度の高い過分割領域を抽出する)。閾値は、奥行き距離の信頼度が高いか否かを判定するための閾値であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。図6には、図3に示す過分割領域から信頼度の高い領域として抽出された領域を白で示した二値画像を示している。図6から判るように、ノイズの影響などによって、物体が存在する領域にもかかわらず、白い領域内の一部に領域抽出されていない黒い領域が一部残る場合がある。そこで、画像処理部5では、抽出した全ての過分割領域に基づいて穴埋め処理を行う。この穴埋め処理では、抽出されなかった各過分割領域について、その過分割領域が抽出された過分割領域によって囲まれている場合にはその過分割領域を信頼度の高い領域として抽出し、穴埋めを行う。図7には、図6に示す信頼度の高い領域として抽出された領域に、更に穴埋め処理を施して信頼度の高い領域として抽出された領域を含めた領域を白で示した二値画像を示している。また、図8には、図3に示す過分割領域画像から図7の白で示す領域(信頼度の高い領域)を抽出した信頼度の高い領域のみからなる過分割領域画像を示している。また、図9には、図4に示す奥行き距離画像から図7の白で示す領域を抽出した信頼度の高い領域のみからなる奥行き距離画像を示している。
【0033】
結合度算出処理について説明する。画像処理部5では、抽出した信頼度の高い過分割領域から、隣接する2つの過分割領域i,jを順次選択する。そして、画像処理部5では、その2つの過分割領域i,jが接している境界線を所定本数(例えば、3本)の線分からなる折れ線によって近似する。さらに、画像処理部5では、折れ線の線分毎に、その線分を中心とし、その線分に直交する線を主軸として、多数個の格子点(参照点)を定義する。参照点の個数については、非線形関数を当てはめるために必要な十分な個数とする。参照点の間隔については、画素間隔を考慮して、隣接する過分割領域内に十分な個数の参照点を配置できる間隔とする。図10に示す例では、9×5個の参照点RP,・・・が、折れ線FLの線分を中心として左右に配置され、主軸PAを中心として上下に配置されている。
【0034】
画像処理部5では、参照点毎に、その参照点周辺の各画素の奥行き距離を用いて奥行き距離を算出する。そして、画像処理部5では、各参照点について、主軸上の位置を横軸座標点とし、算出した奥行き距離を縦軸座標点とした二次元座標系の位置を設定する(図11参照)。さらに、画像処理部5では、二次元座標系上の多数の参照点群に対して、数種類の非線形関数を当てはめる。この際、画像処理部5では、当てはめた非線形関数毎に、その非線形関数の当てはまりの度合いを示す当てはめ誤差を算出する。当てはめる非線形関数としては、例えば、凹凸を表現することができる二次関数、段差を表現することができるシグモイド関数を用いる。
【0035】
非線形関数を当てはめる際に、画像処理部5では、ノイズなどの影響によってばらついている参照点の影響を受けないように、各参照点の奥行き距離の信頼度で重み付けを行って、非線形関数を当てはめる。つまり、信頼度が高いほど大きな重みが付与され、重みが大きな参照点ほど非線形関数の当てはめに大きな影響を与え、信頼度が低いほど小さい重みが付与され、重みが小さい参照点ほど非線形関数の当てはめに影響を与えない。具体的には、画像処理部5では、式(1)の評価関数Eを用いて、評価関数Eを最小とする非線形関数F(p,xi)のパラメータベクトルpを求める。
【0036】
【数1】
【0037】
式(1)において、iは各参照点の識別番号であり、Diは参照点の奥行き距離であり、Ciは参照点の奥行き距離の信頼度であり、xiは参照点の主軸座標であり、σiは同じ主軸座標を持つ参照点群の奥行き距離の標準偏差である。pは、非線形関数Fを表すパラメータベクトルであり、例えば、二次関数F=ax2+bx+cの場合、(a,b,c)がパラメータベクトルである。
【0038】
そして、画像処理部5では、数種類の当てはめた非線形関数のうち当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択し、その選択した非線形関数を最も当てはまった非線形関数とする。図11(a)には上に凸を表す二次関数F1が当てはまった場合(破線で示すシグモイド関数が当てはまらなかった場合)を示しており、図11(b)には下に凸を表す二次関数F2が当てはまった場合(破線で示すシグモイド関数が当てはまらなかった場合)を示しており、図11(c)には段差を表すシグモイド関数F3が当てはまった場合(破線で示す大きな曲率を有する二次関数が当てはまらなかった場合)を示している。
【0039】
ちなみに、過分割領域間の奥行き距離の変化が上に凸状になっているところは、三次元的にへこんでいるところであり(例えば、平面に物体が置かれている場合の平面と物体の底面との境界部分)、異なる物体である可能性が高い。過分割領域間の奥行き距離の変化が下に凸状になっているところは、三次元的に出っ張っているところであり、同じ物体である可能性が高い。過分割領域間の奥行き距離の変化が段差になっているところは、異なる物体である可能性が高い。
【0040】
さらに、画像処理部5では、隣接する過分割領域間の境界線に相当する主軸座標の位置(横軸の座標点)での選択した非線形関数の曲率rを算出する。つまり、図10に示すように、過分割領域i,j間の境界線BLの位置を主軸PAの座標上で求め、その主軸座標における非線形関数の曲率を求める。この際、非線形関数として上に凸を表す二次関数が選択されている場合にはr/|r|として常に正値の曲率rを求め、非線形関数として下に凸を表す二次関数が選択されている場合には−r/|r|として常に負値の曲率rを求め、非線形関数として段差を表すシグモイド関数が選択されている場合にはr/|r|として常に正値の曲率rを求める。
【0041】
さらに、結合度を0〜1の値で表すために、画像処理部5では、隣接する過分割領域i,jについて、非線形関数の曲率rijを用いて、式(2)により、過分割領域i,j間の結合度uijを算出する。結合度uijは、過分割領域i,j間の奥行き距離の変化からその2つの過分割領域i,jを1つの物体の領域として結合してよいか否かの度合い(言い換えれば、2つの過分割領域i,jを異なる物体の境界として分離してよいか否かの度合い)を示し、0〜1の値である。図12に示すように、結合度uが1に近いほどその隣接する過分割領域が同じ物体である確率が高く、結合度uが0に近いほどその隣接する過分割領域が異なる物体である確率が高い。
【0042】
【数2】
【0043】
式(2)では、max(rij)は隣接する全ての組み合わせの過分割領域i,j間の曲率rijのうちの最大値であり、min(rij)は隣接する全ての組み合わせの過分割領域i,j間の曲率rijのうちの最小値であり、ρは調整パラメータ(閾値)である。但し、結合度uijが存在しない過分割領域間ではuij=uji=0とする。
【0044】
物体分離処理について説明する。画像処理部5では、信頼度の高い全ての過分割領域に対して識別番号をそれぞれ付与する。図13には、信頼度の高い過分割領域に識別番号を付与した一例を示しており、説明を簡単にするために比較的大きな過分割領域にのみ識別番号が付与されているが、実際には信頼度の高い全ての過分割領域に識別番号が付与される。
【0045】
そして、画像処理部5では、最初に、信頼度の高い全ての過分割領域に対して隣接している過分割領域間を全て結合した状態で立体プリミティブの当てはめを開始する。図14には、図13に示す識別番号が付与された全ての過分割領域に対して隣接している過分割領域間が結合され、その結合された過分割領域間の結合度が線の太さ(線が太いほど結合度が大きい)で示されている。図14の例では、例えば、領域13と領域12、領域13と領域14とは結合度が大きく、同じ物体である可能性が高く、領域12と領域11とは結合が小さく、異なる物体である可能性が高い。また、図18には、図2の撮像画像に対して信頼度の高い全ての過分割領域を1つの領域R1に結合した状態を示している。
【0046】
さらに、画像処理部5では、結合されて一塊となっている過分割領域群からなる領域に対して数種類の立体プリミティブを当てはめ、当てはめ誤差をそれぞれ算出する。立体プリミティブとしては、例えば、球、直方体、円柱である。当てはめる際に、立体プリミティブの全体的な大きさや寸法比を変えながら当てはめる。例えば、直方体の場合には高さ寸法を0に近づけることによって(つまり、薄くすることによって)床などの平面にも当てはめることもできるし、球の場合には短径と長径との比を変えることによって楕円形の球にも当てはめることができる。そして、画像処理部5では、当てはめた数種類の立体プリミティブの中から当てはめ誤差が最小の立体プリミティブを選択し、その選択した立体プリミティブの当てはめ精度を算出する。当てはめ精度としては、例えば、三次元点と当てはめた立体プリミティブの表面との距離などを用いることによって求めることができる。
【0047】
さらに、画像処理部5では、当てはめ精度が閾値以上か否かを判定する。この閾値は、領域が立体プリミティブと同様の形状を有しているとみなすことができるか否かを判断するための閾値であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。当てはめ誤差が閾値以上の場合、画像処理部5では、その結合されて一塊となっている過分割領域群からなる領域を同じ物体を構成する領域として判断する。一方、当てはめ誤差が閾値未満の場合、画像処理部5では、その結合されて一塊となっている過分割領域群からなる領域を、結合度及び全体的な結合度の分布や全体的な繋がり方などを考慮して、2つの領域に分離する。そして、画像処理部5では、信頼度の高い全ての過分割領域に対して何れかの立体プリミティブに当てはまるまで、立体プリミティブの当てはめと領域の分離を繰り返し行う。
【0048】
例えば、図14に示す全ての過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめた場合には当てはめ精度が閾値未満となり、この一塊の領域が2つの領域に分離される。これが、図15に示されており、過分割領域11,12間の結合度の小さいさや過分割領域12,13,14の結びつきの強さなどから、領域12,13,14を一塊とした領域とその他の過分割領域からなる領域とに分離される。図19には、図2の撮像画像に対して2つの領域R2,R3に分離した状態を示している。この図15に示す過分割領域12,13,14を結合した領域に対しては球の立体プリミティブが当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この3つの過分割領域12,13,14が同じ物体(ボール)の領域として結合することが確定する。
【0049】
一方、図15に示す過分割領域12,13,14以外の過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめた場合には当てはめ精度が閾値未満となり、この一塊の領域が更に2つの領域に分離される。これが、図16に示されており、過分割領域3,5間、過分割領域4,5間、過分割領域4,7間の結合度の小ささや過分割領域1,2,3,4の結びつきの強さなどから、過分割領域1,2,3,4を一塊とした領域とその他の過分割領域からなる領域とに分離される。図20には、図2の撮像画像に対して3つの領域R3,R4,R5に分離した状態を示している。この図16に示す過分割領域1,2,3,4を結合した領域に対しては直方体の立体プリミティブが当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この4つの過分割領域1,2,3,4が同じ物体(直方体の箱)の領域として結合することが確定する。
【0050】
一方、図16に示す過分割領域1,2,3,4以外の過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめた場合には当てはめ精度が閾値未満となり、この一塊の領域が更に2つの領域に分離される。これが、図17に示されており、過分割領域5,7間、過分割領域6,7間、過分割領域9,7間の結合度の小ささや過分割領域5,6,8,9の結びつきの強さなどから、過分割領域5,6,8,9を一塊とした領域とその他の過分割領域からなる領域とに分離される。図21には、図2の撮像画像に対して4つの領域R3,R4,R6,R7に分離した状態を示している。この図17に示す過分割領域5,6,8,9を結合した領域に対しては円柱の立体プリミティブが当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この4つの過分割領域5,6,8,9が同じ物体(缶)の領域として結合することが確定する。
【0051】
図17に示す最後に残った過分割領域7,10,11を結合した領域に対しては直方体(高さを0に近づけた直方体)が当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この4つの過分割領域7,10,11が同じ物体(床などの平面)の領域として結合することが確定する。
【0052】
このように、画像処理部5では、信頼度の高い過分割領域からなる領域に立体プリミティブを順次当てはめ、立体プリミティブが当てはまらなかった領域については結合度などに基づいて分離していくことによって、1つの物体に相当する結合する過分割領域を確定する(つまり、個々の物体に分離する)。この際、画像処理部5では、当てはめた立体プリミティブの種類、大きさ、寸法比などから分離した物体の大きさ、形状などを判別し、分離した物体が何かを認識する。
【0053】
画像処理部5では、その個々に分離した物体を示す画像あるいは個々の物体の情報などの出力結果を出力信号として設定し、その出力信号をモニタ4に送信する。また、必要に応じて、画像処理部5では、処理過程で生成される過分割領域画像、奥行き距離画像、信頼度画像、信頼度の高い領域を示す二値画像、信頼度の高い領域のみからなる過分割領域画像、信頼度の高い領域のみからなる奥行き距離画像などを出力信号として設定し、その出力信号をモニタ4に送信する。
【0054】
図1を参照して、画像処理装置1における動作について説明する。特に、画像処理部5における全体的な処理の流れについては図22のフローチャートに沿って説明し、領域抽出処理の流れについては図23のフローチャートに沿って説明し、結合度算出処理の流れについては図24のフローチャートに沿って説明し、重み付け処理の流れについては図25のフローチャートに沿って説明し、物体分離処理の流れについて図26のフローチャートに沿って説明する。図22は、本実施の形態に係るメイン処理を示すフローチャートである。図23は、本実施の形態に係る領域抽出処理を示すフローチャートである。図24は、本実施の形態に係る結合度算出処理を示すフローチャートである。図25は、本実施の形態に係る重み付け処理を示すフローチャートである。図26は、本実施の形態に係る物体分離処理を示すフローチャートである。
【0055】
カメラ2,3では、撮像対象をそれぞれ撮影し、その各撮像画像を画像信号として画像処理部5に送信する。
【0056】
画像処理部5では、カメラ2,3から各画像信号を受信し、左右の撮像画像(ステレオ画像)を取り入れる(図22のS1)。そして、画像処理部5では、ステレオ画像のうち基準画像を領域に過分割する(図22のS2)。また、画像処理部5では、左右の撮像画像に対する相関演算により物体までの各奥行き距離を算出するとともに(図22のS3)、各奥行き距離についての信頼度を取得する(図22のS4)。
【0057】
画像処理部5では、全ての過分割領域の中から奥行き距離の信頼度の高い過分割領域を抽出する(図22のS5)。この際、画像処理部5では、過分割領域毎に、奥行き距離の信頼度の平均値を算出する(図23のS10)。そして、画像処理部5では、各過分割領域の信頼度の平均値が閾値以上か否かを判定し、全ての過分割領域から信頼度の平均値が閾値以上の過分割領域を抽出する(図23のS11)。さらに、画像処理部5では、抽出した過分割領域群について穴埋め処理を行う(図23のS12)。ここで、距離情報の信頼性が高く、分離対象の物体が存在する可能性の高い過分割領域だけが抽出される。
【0058】
画像処理部5では、抽出した過分割領域群の中から隣接する過分割領域iと過分割領域jを順次選択し、その隣接する過分割領域i,j間の奥行き距離の変化に基づいて過分割領域i,jの結合度を算出する(図22のS6)。この際、画像処理部5では、隣接する過分割領域i,jを選択すると、過分割領域i,j間の境界線に対して折れ線を近似し、折れ線の各線分を中心として多数の参照点を格子状に設定する(図24のS20)。そして、画像処理部5では、横軸を主軸方向(折れ線の各線分と直交する方向)の座標とし、縦軸を奥行き距離とした座標系に全ての参照点を配置させ、その座標系上の参照群に対して数種類の非線形関数を当てはめ、当てはめた非線形関数毎に当てはめ誤差を求める(図24のS21)。非線形関数を当てはめる際、画像処理部5では、当てはめる非線形関数をF(p,x)として、式(1)の評価関数Eが最小とするパラメータベクトルpを求めることによって、非線形関数を当てはめる(図25のS30)。
【0059】
全ての非線形関数を当てはめると、画像処理部5では、当てはめた数種類の非線形関数の中から当てはめ誤差の最も小さい非線形関数Fを選択する(図24のS22)。そして、画像処理部5では、隣接する過分割領域i,j間の境界線に相当する横軸の座標でのその選択した非線形関数Fの曲率rijを算出する(図24のS23)。さらに、画像処理部5では、その曲率rijを用いて、式(2)によりその隣接する過分割領域i,j間の結合度uijを算出する(図24のS24)。ここで、抽出した過分割領域群における全ての組み合わせの隣接する過分割領域i,jについて、奥行き距離の変化に基づく結合度が求められる。
【0060】
抽出した過分割領域群の中の全ての隣接する過分割領域間の結合度を算出すると、画像処理部5では、その抽出した過分割領域群について結合度に基づいて隣接する過分割領域間を結合又は分離し、複数個の過分割領域からなる個々の物体に分離する(図22のS7)。この際、画像処理部5では、抽出した全ての過分割領域の処理フラグを0にそれぞれ設定する(図26のS40)最初に、画像処理部5では、隣接する過分割領域間を全て繋げて1つの領域とし、k=1に設定する(図26のS41)。処理フラグは、物体として確定した過分割領域(結合状態が確定した過分割領域)か否かを示すフラグであり、確定した過分割領域には1が設定され、確定していない過分割領域には0が設定される。kは、抽出した過分割領域群が幾つの領域に分離されたかを示し、初期値が1であり、領域間が分離される毎に1ずつ増加される。
【0061】
画像処理部5では、k番目の分離結果において処理フラグが0に設定されている過分割領域(つまり、結合状態が確定していない過分割領域)からなる各領域に対して数種類の立体プリミティブを当てはめ、当てはめた立体プリミティブ毎に当てはめ誤差を求め、当てはめ誤差が最小となる立体プリミティブについての当てはめ精度を算出する(図26のS42)。そして、画像処理部5では、当てはめ精度が閾値以上か否かを判定し、当てはめ精度が閾値以上の場合にはその領域を構成する全ての過分割領域の処理フラグを1に設定する(図26のS43)。ここで、当てはめ精度が閾値以上の領域に含まれる過分割領域の結合状態が確定し、この結合状態が確定した過分割領域群が1つの物体として分離されたことになる。この際、画像処理部5では、その当てはめ精度が閾値以上となった立体プリミティブの種類、大きさ、寸法比などからその分離された物体の種類、形状、大きさなどを認識する。
【0062】
画像処理部5では、抽出した全ての過分割領域の処理フラグが1か否かを判定する(図26のS44)。S44の判定にて処理フラグが0の過分割領域が存在すると判定した場合、画像処理部5では、その処理フラグが0の過分割領域群からなる領域において結合度が小さい過分割領域間を分離し(図26のS45)、kに1を加算する(図26のS46)。そして、画像処理部5では、この分離された各領域に対してS42以降の処理をそれぞれ行う。一方、S44の判定にて抽出した全ての過分割領域の処理フラグが1と判定した場合、画像処理部5では、処理を終了する。ここで、抽出した全ての過分割領域についての結合状態が確定し、各結合状態の過分割領域群からなる領域によって個々の物体に分離されたことになる。
【0063】
画像処理部5では、物体の分離結果(画像など)を示す出力信号を生成し、その出力信号をモニタ4に送信する。モニタ4では、受信した出力信号に応じた分離結果を表示する。
【0064】
この画像処理装置1によれば、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に着目して結合度を定義することにより、隣接する過分割領域が異なる物体かあるいは同じ物体かを高精度に判断できる。そのため、各物体に相当する領域を正確に分割でき、個々の物体を高精度に分離することができる。
【0065】
また、画像処理装置1によれば、奥行き距離の信頼度に着目して信頼度の高い過分割領域を抽出することにより、処理負荷を軽減できるとともに物体の分離精度も向上する。特に、画像処理装置1では、過分割領域毎に信頼度の平均値を用いるとともに穴埋め処理を行うことにより、相関演算のノイズなどの影響を受けることなく、信頼度の高い過分割領域を高精度に抽出することができる。
【0066】
また、画像処理装置1によれば、非線形関数を当てはめ、その当てはめた非線形関数の種類と曲率を用いることにより、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を正確に表すことができる。そのため、隣接する過分割領域間の正確な結合度を定義でき、隣接する過分割領域間を結合するか否かを高精度に判断できる。特に、画像処理装置1では、参照点を信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめることにより、非線形関数を高精度に当てはめることができる。
【0067】
また、画像処理装置1によれば、立体プリミティブによる当てはめによって個々の物体に分離することにより、物体の分離精度が向上するとともに、当てはめた立体プリミティブから分離した物体に関する詳細な情報を取得することができる。
【0068】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0069】
例えば、本実施の形態ではコンピュータ上でアプリケーションプログラム(ソフトウエア)を実行することによって各処理を行う構成としたが、ハードウエアによって各処理部を構成してもよい。
【0070】
また、本実施の形態では2台のカメラによるステレオカメラで複数の撮像手段を構成したが、3台以上のカメラで複数の撮像手段を構成してもよい。
【0071】
また、本実施の形態では各過分割領域について信頼度の平均値を求め、その平均値が閾値以上の過分割領域を抽出する構成としたが、信頼度をそのまま用いて過分割領域を抽出するようにしてもよいし、あるいは、過分割領域全体の信頼度を示す平均値以外の信頼度に関する値を用いて過分割領域を抽出してもよい。
【0072】
また、本実施の形態では隣接する過分割領域間に参照点を設定し、多数の参照点に対して非線形関数を当てはめ、その当てはまった非線形関数の曲率から結合度を求める構成としたが、他の方法により隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化から結合度を求めてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では参照点として格子点を設定したが、格子点以外の配列の参照点としてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では非線形関数として二次関数やシグモイド関数を用いたが、領域間の状態を表すことができれば、他の非線形関数を用いてもよい。
【0075】
また、本実施の形態では各参照点における奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめる構成としたが、重み付けを行わないで非線形関数を当てはめてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では隣接した過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、その当てはめ精度が閾値以上の領域を分離対象の物体とする構成としたが、他の方法により結合度に基づいて過分割領域を結合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置の構成図である。
【図2】左右の撮像画像の一例である。
【図3】図2の撮像画像の過分割領域画像の一例である。
【図4】図2の左右の撮像画像に基づく奥行き距離画像の一例である。
【図5】図4の奥行き距離画像に対する信頼度画像の一例である。
【図6】図5の信頼度画像に基づく信頼度の高い領域を示す二値画像(穴埋め処理前)の一例である。
【図7】図5の信頼度画像に基づく信頼度の高い領域を示す二値画像(穴埋め処理後)の一例である。
【図8】図3の過分割領域画像において信頼度の高い領域のみからなる過分割領域画像の一例である。
【図9】図4の奥行き距離画像において信頼度の高い領域のみからなる奥行き距離画像の一例である。
【図10】隣接する過分割領域間に参照点を設定した一例である。
【図11】参照点群に対して非線形関数を当てはめた一例であり、(a)が上に凸を表す非線形関数が当てはまった場合であり、(b)が下に凸を表す非線形関数が当てはまった場合であり、(c)が段差を表す非線形関数が当てはまった場合である。
【図12】結合度と異なる物体の境界である度合いとの関係を示す図である。
【図13】図7の信頼度の高い過分割領域画像において各過分割領域に識別番号を付与した画像の一例である。
【図14】図13の識別番号を付与した過分割領域を1つの領域に結合した状態を示す図である。
【図15】図13の識別番号を付与した過分割領域を2つの領域に分離した状態を示す図である。
【図16】図13の識別番号を付与した過分割領域を3つの領域に分離した状態を示す図である。
【図17】図13の識別番号を付与した過分割領域を4つの領域に分離した状態を示す図である。
【図18】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を1つの領域に結合した状態を示す図である。
【図19】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を2つの領域に分離した状態を示す図である。
【図20】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を3つの領域に分離した状態を示す図である。
【図21】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を4つの領域に分離した状態を示す図である。
【図22】本実施の形態に係るメイン処理を示すフローチャートである。
【図23】本実施の形態に係る領域抽出処理を示すフローチャートである。
【図24】本実施の形態に係る結合度算出処理を示すフローチャートである。
【図25】本実施の形態に係る重み付け処理を示すフローチャートである。
【図26】本実施の形態に係る物体分離処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1…画像処理装置、2,3…カメラ、4…モニタ、5…画像処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像中の複数の物体を個々に分離するために領域分割を行う画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像画像中の複数の物体をそれぞれ分離するための画像処理方法が各種開発されている。この処理方法として、撮像画像からエッジ情報、色情報、テクスチャ情報などを取得し、これらの情報を利用して類似している領域毎に分割することによって物体を分離する方法がある(特許文献1、特許文献2参照)。しかし、同じ物体でも、表面の模様や色あるいは影などによって、エッジ情報、色情報、テクスチャ情報などが異なる。このような場合、同じ物体でも別々の領域に分割され、正確に個々の物体に分離することができない。そこで、画像処理方法には、エッジ情報、色情報、テクスチャ情報などの情報に加えて奥行き方向の距離の情報を用いて、領域を分割する方法もある。
【特許文献1】特開2003−87545号公報
【特許文献2】特開2004−178273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
距離情報を用いて領域分割を行う方法では、正確な距離情報が得られることが前提となっており、正確な距離情報が得られた場合に高精度な領域分割を行うことができる。特に、領域分割に重要となる物体と物体の境界においては、正確な距離情報が必要となる。しかしながら、実際に得られる距離情報にはノイズが含まれている場合があり、正確な距離情報が得られないことがある。このような場合、物体と物体との境界に相当する領域間を正確に分割することができないので、個々の物体を正確に分離することができない。
【0004】
そこで、本発明は、距離情報も用いて画像中の物体を高精度に分離することができる画像処理方法及び画像処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像処理方法は、撮像画像中の物体を分離する画像処理方法であって、視点の異なる複数の撮像画像を取得する撮像ステップと、撮像画像を領域に過分割する過分割ステップと、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理ステップと、奥行き距離処理ステップで求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理ステップと、過分割ステップで過分割した過分割領域から信頼度処理ステップで求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出ステップと、抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理ステップと、結合度処理ステップで求めた結合度に基づいて抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離ステップとを含むことを特徴とする。
【0006】
この画像処理方法では、撮像ステップで視点の異なる複数の撮像画像を取得する。そして、画像処理方法では、過分割ステップで撮像画像を各領域に過分割する。領域分割においては、例えば、撮像画像からエッジ情報、色情報、テクスチャ情報などを取得し、これらの情報を利用して類似している領域に分割する。この領域分割によって1つの物体でも複数の領域に分割されるので、過分割と呼んでいる。また、画像処理方法では、距離処理ステップで視点の異なる複数の撮像画像に基づいて物体までの奥行き距離をそれぞれ求める。この際、画像処理方法では、信頼度処理ステップで各奥行き距離についての信頼度(つまり、求められた奥行き距離の精度)を求める。視点の異なる撮像画像から奥行き距離を求める場合、床や壁などの均一な領域では撮像画像間で対応を取り難くなるので、奥行き距離の精度が低下し、一方、物体(特に、均一でない物体)が存在する領域では撮像画像間で対応を取り易くなるので、奥行き距離の精度が向上する。そこで、画像処理方法では、抽出ステップで全ての過分割領域から信頼度の高い過分割領域だけを抽出する。つまり、全領域から、情報としての信頼性が高く、分離対象である物体が存在する可能性の高い領域を抜き出す。そして、画像処理方法では、結合度処理ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、この奥行き距離の変化に基づいてその隣接する過分割領域間の結合度(つまり、その隣接する過分割領域間を同じ物体の領域として結合してもよいか否かの尺度であり、異なる物体の境界として分離してもよいか否かの尺度でもある)を求める。例えば、奥行き距離の変化から過分割領域間が段差状、フラット状あるいは凸状などになっているかが判るので、そのような過分割領域間の状態に応じて結合度を求める。さらに、画像処理方法では、分離ステップで結合度に基づいて各過分割領域を結合又は分離し(つまり、同じ物体の領域とみなしてよい過分割領域間を結合し、異なる物体の境界とみなしてよい過分割領域間を分離し)、この結合又は分隣した過分割領域によって個々の物体に分離する。このように、この画像処理方法では、過分割領域間の奥行き距離の変化に基づいて結合度を定義し、結合度に応じてその隣接する過分割領域が同じ物体の領域か否かを判断することにより、物体毎に過分割領域を正確に結合できるとともに異なる物体間を正確に分離でき、高精度に個々の物体に分離することができる。また、この画像処理方法では、奥行き距離の信頼度の低い過分割領域を物体分離する対象から予め排除することにより、処理負荷を軽減することができるとともに物体分離の精度を向上させることができる。
【0007】
本発明の上記画像処理方法では、抽出ステップは、過分割領域毎に信頼度の平均値を求めるステップと、信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出するステップとを含む構成としてもよい。
【0008】
この画像処理方法の抽出ステップでは、過分割領域における各奥行き距離に対する信頼度の平均値を求め、この信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出する。このように、この画像処理方法では、信頼度を平均化することにより、ノイズの影響などを受けることなく、過分割領域全体としての信頼度によって物体分離に用いる領域を安定して抽出することができる。
【0009】
本発明の上記画像処理方法では、結合度処理ステップは、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定するステップと、各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめるステップと、当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択するステップと、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出するステップと、非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出するステップとを含む構成としてもよい。
【0010】
この画像処理方法の結合度処理ステップでは、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定する。そして、結合度処理ステップでは、各参照点の奥行き距離と過分割領域間における位置に基づいて、参照点群に対して数種類の非線形関数をそれぞれ当てはめる。非線形関数は、隣接する過分割領域間の状態を表すための関数であり、例えば、過分割領域間の段差を表すシグモイド関数、凹凸を表す二次関数がある。そして、結合度処理ステップでは、当てはめた数種類の非線形関数から当てはめ誤差の小さい非線形関数を抽出する(つまり、良く当てはまっている非線形関数を抽出する)。さらに、結合度処理ステップでは、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を求め、この求めた曲率から結合度を求める。このように、この画像処理方法では、非線形関数の種類と各非線形関数の曲率から隣接する過分割領域間の状態を詳細に判別し、その過分割領域間の状態を結合度として表す。その結果、過分割領域間において奥行き距離が不連続な状態のみならず、奥行き距離が連続している状態でも、異なる物体と判断可能な結合度を設定できる。例えば、凹部(机の上に置かれた物体の底辺の境界など)を異なる物体間と判断可能な結合度を設定できる。ちなみに、非線形関数の種類と各非線形関数の曲率が隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に相当する。
【0011】
本発明の上記画像処理方法の非線形関数を当てはめるステップでは、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめる構成としてもよい。
【0012】
この画像処理方法では、上記した非線形関数を当てはめる際に、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けし、重み付けした参照点群に対して非線形関数を当てはめる。このように、画像処理方法では、各参照点を重み付けすることにより、信頼度の低い参照点の影響を受けることなく、信頼度の高い参照点を対して非線形関数を当てはめることができる。
【0013】
本発明の上記画像処理方法では、分離ステップは、抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求めるステップと、立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定するステップとを含む構成としてもよい。
【0014】
この画像処理方法の分離ステップでは、抽出した過分割領域のうち幾つかの過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめ、その当てはめ精度を求める。立体プリミティブとしては、例えば、球、直方体、円柱がある。そして、分離ステップでは、当てはめ精度が所定精度以上の領域(つまり、ある立体に形状が当てはまっている領域)に含まれる全ての過分割領域を1つの物体の領域と判定する。このように、画像処理方法では、隣接する過分割領域間の結合度の他に、立体形状に対する当てはまり度合いを考慮することにより、個々の物体に分離するための過分割領域間の結合又は分離を高精度に行うことができるとともに、当てはまった立体プリミティブによって分離対象の物体の形状や大きさの認識が可能である。
【0015】
本発明に係る画像処理装置は、撮像画像中の物体を分離する画像処理装置であって、視点の異なる複数の撮像画像を取得する複数の撮像手段と、撮像画像を領域に過分割する過分割手段と、複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理手段と、奥行き距離処理手段で求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理手段と、過分割手段で過分割した過分割領域から信頼度処理手段で求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出手段と、抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理手段と、結合度処理手段で求めた結合度に基づいて抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の上記画像処理装置では、抽出手段は、過分割領域毎に信頼度の平均値を求め、当該信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出する構成としてもよい。
【0017】
本発明の上記画像処理装置では、結合度処理手段は、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定し、各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめ、当該当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択し、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出し、当該非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出する構成としてもよい。
【0018】
本発明の上記画像処理装置では、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめる構成としてもよい。
【0019】
本発明の上記画像処理装置では、分離手段は、抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求め、当該立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定する構成としてもよい。
【0020】
なお、上記した各画像処理装置は、上記した各画像処理方法と同様の作用効果を有している。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化から結合度を定義することにより、撮像画像中の個々の物体を高精度に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像処理方法及び画像処理装置の実施の形態を説明する。
【0023】
本実施の形態では、本発明を、撮像画像内の物体を個々に分離する画像処理装置に適用する。本発明に係る画像処理装置は、ステレオカメラを備えており、ステレオカメラによって所定の対象を撮像し、その撮像画像中の複数の物体を個々の物体に分離するために各物体に相当する領域に分割する。
【0024】
図1を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る画像処理装置の構成図である。
【0025】
画像処理装置1は、ステレオカメラで撮像し、その左右の撮像画像中の基準画像(例えば、左撮像画像)を領域に過分割する。そして、画像処理装置1は、物体までの奥行き距離を考慮して隣接する過分割領域間を結合/分離し、個々の物体に分離する。特に、画像処理装置1では、個々の物体を高精度に分離するために、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に基づく結合度を算出し、結合度に基づいて過分割領域間を結合するかあるいは分離するかを判断する。画像処理装置1は、ステレオカメラを構成する2台のカメラ2,3、モニタ4及び画像処理部5を備えている。
【0026】
なお、本実施の形態ではカメラ2,3が特許請求の範囲に記載する複数の撮像手段に相当し、画像処理部5で行われる各処理が特許請求の範囲に記載する過分割手段、奥行き距離処理手段、信頼度処理手段、抽出手段、結合度処理手段、分離手段に相当する。
【0027】
カメラ2,3は、所定の間隔をあけて平行に撮像対象に配置され、撮像対象を撮像するカラーのステレオカメラである。カメラ2で撮像された画像は左撮像画像(基準画像とする)であり、カメラ3で撮像された画像は右撮像画像(参照画像とする)であり、視点の異なる二枚の撮像画像が同時に得られる。カメラ2,3は、CCD[Charge coupled device]などの撮像素子を備えるデジタルカメラであり、デジタル画像データからなる撮像画像を画像信号として画像処理部5に送信する。なお、間隔などのカメラ2,3の位置関係についての情報やカメラ2,3の内部パラメータ、外部パラメータは、画像処理部5に予め保持されている。図2には、左右の撮像画像の一例を示しており、缶、直方体の箱、ボールの3つの物体が置かれている。図2では、各物体に絵柄や文字などを描いていないが、実際には、各物体に絵柄や文字などがあり、影も存在する。
【0028】
モニタ4は、液晶モニタでもあるいはCRT[Cathode Ray Tube]モニタでもよく、画像処理部5の処理結果を表示出力する。モニタ4では、画像処理部5からの出力信号に応じて画像などを表示する。
【0029】
画像処理部5は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ上に構成され、専用のアプリケーションプログラムを実行することによって各処理を行う。画像処理部5では、カメラ2,3から左右の撮像画像(ステレオ画像)をそれぞれ取り入れ、撮像画像の基準画像を領域に過分割する(領域過分割処理)。また、画像処理部5では、左右の撮像画像から物体までの奥行き距離を求め、各奥行き距離について信頼度を取得する(奥行き距離算出処理)。そして、画像処理部5では、全ての過分割領域から奥行き距離の信頼度の高い領域を抽出する(領域抽出処理)。さらに、画像処理部5では、信頼度の高い過分割領域に対して、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に基づいて結合度を算出する(結合度算出処理)。最後に、画像処理部5では、信頼度の高い過分割領域に対して、隣接する過分割領域間を結合度に基づいて結合又は分離し、個々の物体に分離する(物体分離処理)。
【0030】
領域過分割処理について説明する。画像処理部5では、基準画像のエッジ情報、色情報、テクスチャ情報などの画像情報を用いて、基準画像を領域に過分割する。過度な領域分割を行うので、撮像画像における各物体の存在する領域が多数の領域に分かれる。領域の分割手法としては、特に限定するものでなく、例えば、Mean−shift法を用いることにより高速に分割を行うことができる。各種手法で領域分割を行う際に、閾値を高く設定することにより(つまり、分割条件を厳しくすることにより)、過度に領域を分割するようにする。図3には、図2の左撮像画像を領域に過分割した過分割領域画像を示しており、各物体が多数の領域に分割されている。
【0031】
奥行き距離算出処理について説明する。画像処理部5では、左右の撮像画像間で相関演算を行い、その演算結果から得られた視差を用いて物体までの奥行き距離(画素毎)を算出する。この際、画像処理部5では、相関演算の過程で、各奥行き距離に対する精度に相当する信頼度を取得する。左右の撮像画像間で相関演算を行う場合、色、模様、形状などの変化のない均一なところ(例えば、床、壁)では左右の撮像画像間での対応が取り難いので、奥行き距離の信頼度が低くなる。このような均一なところは(つまり、特徴のないところは)、物体が存在していない可能性が高いので、物体分離を行う対象としない。一方、色、模様、形状などの変化があるところや物体間の境界、各物体の輪郭部分などでは左右の撮像画像間での対応が取り易いので、奥行き距離の信頼度が高くなる。このような均一でないところは(つまり、特徴のあるところは)、物体が存在している可能性が高いので、物体分離を行う対象とする。図4には、図2の左撮像画像における各物体や背景までの奥行き距離を表す奥行き距離画像を示しており、画素毎に色で奥行き距離を表している。この奥行き距離画像では、物体の存在する領域では全体的に一様な距離分布となっているが、それ以外の領域ではばらついた距離分布となっている。また、図5には、各奥行き距離の信頼度を表す信頼度画像を示しており、画素毎に色で信頼度を表している。この信頼度画像では、物体の存在する領域では高い信頼度の色となっており、それ以外の領域では低い信頼度の色となっている。
【0032】
領域抽出処理について説明する。画像処理部5では、相関演算の際のノイズの影響によって信頼度がばらつくので、過分割領域毎に、各過分割領域に含まれる全ての奥行き距離(画素毎)の平均値を算出する。そして、画像処理部5では、信頼度の平均値が閾値以上か否かを判定し、閾値以上の過分割領域を抽出する(つまり、信頼度の高い過分割領域を抽出する)。閾値は、奥行き距離の信頼度が高いか否かを判定するための閾値であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。図6には、図3に示す過分割領域から信頼度の高い領域として抽出された領域を白で示した二値画像を示している。図6から判るように、ノイズの影響などによって、物体が存在する領域にもかかわらず、白い領域内の一部に領域抽出されていない黒い領域が一部残る場合がある。そこで、画像処理部5では、抽出した全ての過分割領域に基づいて穴埋め処理を行う。この穴埋め処理では、抽出されなかった各過分割領域について、その過分割領域が抽出された過分割領域によって囲まれている場合にはその過分割領域を信頼度の高い領域として抽出し、穴埋めを行う。図7には、図6に示す信頼度の高い領域として抽出された領域に、更に穴埋め処理を施して信頼度の高い領域として抽出された領域を含めた領域を白で示した二値画像を示している。また、図8には、図3に示す過分割領域画像から図7の白で示す領域(信頼度の高い領域)を抽出した信頼度の高い領域のみからなる過分割領域画像を示している。また、図9には、図4に示す奥行き距離画像から図7の白で示す領域を抽出した信頼度の高い領域のみからなる奥行き距離画像を示している。
【0033】
結合度算出処理について説明する。画像処理部5では、抽出した信頼度の高い過分割領域から、隣接する2つの過分割領域i,jを順次選択する。そして、画像処理部5では、その2つの過分割領域i,jが接している境界線を所定本数(例えば、3本)の線分からなる折れ線によって近似する。さらに、画像処理部5では、折れ線の線分毎に、その線分を中心とし、その線分に直交する線を主軸として、多数個の格子点(参照点)を定義する。参照点の個数については、非線形関数を当てはめるために必要な十分な個数とする。参照点の間隔については、画素間隔を考慮して、隣接する過分割領域内に十分な個数の参照点を配置できる間隔とする。図10に示す例では、9×5個の参照点RP,・・・が、折れ線FLの線分を中心として左右に配置され、主軸PAを中心として上下に配置されている。
【0034】
画像処理部5では、参照点毎に、その参照点周辺の各画素の奥行き距離を用いて奥行き距離を算出する。そして、画像処理部5では、各参照点について、主軸上の位置を横軸座標点とし、算出した奥行き距離を縦軸座標点とした二次元座標系の位置を設定する(図11参照)。さらに、画像処理部5では、二次元座標系上の多数の参照点群に対して、数種類の非線形関数を当てはめる。この際、画像処理部5では、当てはめた非線形関数毎に、その非線形関数の当てはまりの度合いを示す当てはめ誤差を算出する。当てはめる非線形関数としては、例えば、凹凸を表現することができる二次関数、段差を表現することができるシグモイド関数を用いる。
【0035】
非線形関数を当てはめる際に、画像処理部5では、ノイズなどの影響によってばらついている参照点の影響を受けないように、各参照点の奥行き距離の信頼度で重み付けを行って、非線形関数を当てはめる。つまり、信頼度が高いほど大きな重みが付与され、重みが大きな参照点ほど非線形関数の当てはめに大きな影響を与え、信頼度が低いほど小さい重みが付与され、重みが小さい参照点ほど非線形関数の当てはめに影響を与えない。具体的には、画像処理部5では、式(1)の評価関数Eを用いて、評価関数Eを最小とする非線形関数F(p,xi)のパラメータベクトルpを求める。
【0036】
【数1】
【0037】
式(1)において、iは各参照点の識別番号であり、Diは参照点の奥行き距離であり、Ciは参照点の奥行き距離の信頼度であり、xiは参照点の主軸座標であり、σiは同じ主軸座標を持つ参照点群の奥行き距離の標準偏差である。pは、非線形関数Fを表すパラメータベクトルであり、例えば、二次関数F=ax2+bx+cの場合、(a,b,c)がパラメータベクトルである。
【0038】
そして、画像処理部5では、数種類の当てはめた非線形関数のうち当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択し、その選択した非線形関数を最も当てはまった非線形関数とする。図11(a)には上に凸を表す二次関数F1が当てはまった場合(破線で示すシグモイド関数が当てはまらなかった場合)を示しており、図11(b)には下に凸を表す二次関数F2が当てはまった場合(破線で示すシグモイド関数が当てはまらなかった場合)を示しており、図11(c)には段差を表すシグモイド関数F3が当てはまった場合(破線で示す大きな曲率を有する二次関数が当てはまらなかった場合)を示している。
【0039】
ちなみに、過分割領域間の奥行き距離の変化が上に凸状になっているところは、三次元的にへこんでいるところであり(例えば、平面に物体が置かれている場合の平面と物体の底面との境界部分)、異なる物体である可能性が高い。過分割領域間の奥行き距離の変化が下に凸状になっているところは、三次元的に出っ張っているところであり、同じ物体である可能性が高い。過分割領域間の奥行き距離の変化が段差になっているところは、異なる物体である可能性が高い。
【0040】
さらに、画像処理部5では、隣接する過分割領域間の境界線に相当する主軸座標の位置(横軸の座標点)での選択した非線形関数の曲率rを算出する。つまり、図10に示すように、過分割領域i,j間の境界線BLの位置を主軸PAの座標上で求め、その主軸座標における非線形関数の曲率を求める。この際、非線形関数として上に凸を表す二次関数が選択されている場合にはr/|r|として常に正値の曲率rを求め、非線形関数として下に凸を表す二次関数が選択されている場合には−r/|r|として常に負値の曲率rを求め、非線形関数として段差を表すシグモイド関数が選択されている場合にはr/|r|として常に正値の曲率rを求める。
【0041】
さらに、結合度を0〜1の値で表すために、画像処理部5では、隣接する過分割領域i,jについて、非線形関数の曲率rijを用いて、式(2)により、過分割領域i,j間の結合度uijを算出する。結合度uijは、過分割領域i,j間の奥行き距離の変化からその2つの過分割領域i,jを1つの物体の領域として結合してよいか否かの度合い(言い換えれば、2つの過分割領域i,jを異なる物体の境界として分離してよいか否かの度合い)を示し、0〜1の値である。図12に示すように、結合度uが1に近いほどその隣接する過分割領域が同じ物体である確率が高く、結合度uが0に近いほどその隣接する過分割領域が異なる物体である確率が高い。
【0042】
【数2】
【0043】
式(2)では、max(rij)は隣接する全ての組み合わせの過分割領域i,j間の曲率rijのうちの最大値であり、min(rij)は隣接する全ての組み合わせの過分割領域i,j間の曲率rijのうちの最小値であり、ρは調整パラメータ(閾値)である。但し、結合度uijが存在しない過分割領域間ではuij=uji=0とする。
【0044】
物体分離処理について説明する。画像処理部5では、信頼度の高い全ての過分割領域に対して識別番号をそれぞれ付与する。図13には、信頼度の高い過分割領域に識別番号を付与した一例を示しており、説明を簡単にするために比較的大きな過分割領域にのみ識別番号が付与されているが、実際には信頼度の高い全ての過分割領域に識別番号が付与される。
【0045】
そして、画像処理部5では、最初に、信頼度の高い全ての過分割領域に対して隣接している過分割領域間を全て結合した状態で立体プリミティブの当てはめを開始する。図14には、図13に示す識別番号が付与された全ての過分割領域に対して隣接している過分割領域間が結合され、その結合された過分割領域間の結合度が線の太さ(線が太いほど結合度が大きい)で示されている。図14の例では、例えば、領域13と領域12、領域13と領域14とは結合度が大きく、同じ物体である可能性が高く、領域12と領域11とは結合が小さく、異なる物体である可能性が高い。また、図18には、図2の撮像画像に対して信頼度の高い全ての過分割領域を1つの領域R1に結合した状態を示している。
【0046】
さらに、画像処理部5では、結合されて一塊となっている過分割領域群からなる領域に対して数種類の立体プリミティブを当てはめ、当てはめ誤差をそれぞれ算出する。立体プリミティブとしては、例えば、球、直方体、円柱である。当てはめる際に、立体プリミティブの全体的な大きさや寸法比を変えながら当てはめる。例えば、直方体の場合には高さ寸法を0に近づけることによって(つまり、薄くすることによって)床などの平面にも当てはめることもできるし、球の場合には短径と長径との比を変えることによって楕円形の球にも当てはめることができる。そして、画像処理部5では、当てはめた数種類の立体プリミティブの中から当てはめ誤差が最小の立体プリミティブを選択し、その選択した立体プリミティブの当てはめ精度を算出する。当てはめ精度としては、例えば、三次元点と当てはめた立体プリミティブの表面との距離などを用いることによって求めることができる。
【0047】
さらに、画像処理部5では、当てはめ精度が閾値以上か否かを判定する。この閾値は、領域が立体プリミティブと同様の形状を有しているとみなすことができるか否かを判断するための閾値であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。当てはめ誤差が閾値以上の場合、画像処理部5では、その結合されて一塊となっている過分割領域群からなる領域を同じ物体を構成する領域として判断する。一方、当てはめ誤差が閾値未満の場合、画像処理部5では、その結合されて一塊となっている過分割領域群からなる領域を、結合度及び全体的な結合度の分布や全体的な繋がり方などを考慮して、2つの領域に分離する。そして、画像処理部5では、信頼度の高い全ての過分割領域に対して何れかの立体プリミティブに当てはまるまで、立体プリミティブの当てはめと領域の分離を繰り返し行う。
【0048】
例えば、図14に示す全ての過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめた場合には当てはめ精度が閾値未満となり、この一塊の領域が2つの領域に分離される。これが、図15に示されており、過分割領域11,12間の結合度の小さいさや過分割領域12,13,14の結びつきの強さなどから、領域12,13,14を一塊とした領域とその他の過分割領域からなる領域とに分離される。図19には、図2の撮像画像に対して2つの領域R2,R3に分離した状態を示している。この図15に示す過分割領域12,13,14を結合した領域に対しては球の立体プリミティブが当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この3つの過分割領域12,13,14が同じ物体(ボール)の領域として結合することが確定する。
【0049】
一方、図15に示す過分割領域12,13,14以外の過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめた場合には当てはめ精度が閾値未満となり、この一塊の領域が更に2つの領域に分離される。これが、図16に示されており、過分割領域3,5間、過分割領域4,5間、過分割領域4,7間の結合度の小ささや過分割領域1,2,3,4の結びつきの強さなどから、過分割領域1,2,3,4を一塊とした領域とその他の過分割領域からなる領域とに分離される。図20には、図2の撮像画像に対して3つの領域R3,R4,R5に分離した状態を示している。この図16に示す過分割領域1,2,3,4を結合した領域に対しては直方体の立体プリミティブが当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この4つの過分割領域1,2,3,4が同じ物体(直方体の箱)の領域として結合することが確定する。
【0050】
一方、図16に示す過分割領域1,2,3,4以外の過分割領域を結合した領域に対して立体プリミティブを当てはめた場合には当てはめ精度が閾値未満となり、この一塊の領域が更に2つの領域に分離される。これが、図17に示されており、過分割領域5,7間、過分割領域6,7間、過分割領域9,7間の結合度の小ささや過分割領域5,6,8,9の結びつきの強さなどから、過分割領域5,6,8,9を一塊とした領域とその他の過分割領域からなる領域とに分離される。図21には、図2の撮像画像に対して4つの領域R3,R4,R6,R7に分離した状態を示している。この図17に示す過分割領域5,6,8,9を結合した領域に対しては円柱の立体プリミティブが当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この4つの過分割領域5,6,8,9が同じ物体(缶)の領域として結合することが確定する。
【0051】
図17に示す最後に残った過分割領域7,10,11を結合した領域に対しては直方体(高さを0に近づけた直方体)が当てはまり、その当てはめ精度も閾値以上となり、この4つの過分割領域7,10,11が同じ物体(床などの平面)の領域として結合することが確定する。
【0052】
このように、画像処理部5では、信頼度の高い過分割領域からなる領域に立体プリミティブを順次当てはめ、立体プリミティブが当てはまらなかった領域については結合度などに基づいて分離していくことによって、1つの物体に相当する結合する過分割領域を確定する(つまり、個々の物体に分離する)。この際、画像処理部5では、当てはめた立体プリミティブの種類、大きさ、寸法比などから分離した物体の大きさ、形状などを判別し、分離した物体が何かを認識する。
【0053】
画像処理部5では、その個々に分離した物体を示す画像あるいは個々の物体の情報などの出力結果を出力信号として設定し、その出力信号をモニタ4に送信する。また、必要に応じて、画像処理部5では、処理過程で生成される過分割領域画像、奥行き距離画像、信頼度画像、信頼度の高い領域を示す二値画像、信頼度の高い領域のみからなる過分割領域画像、信頼度の高い領域のみからなる奥行き距離画像などを出力信号として設定し、その出力信号をモニタ4に送信する。
【0054】
図1を参照して、画像処理装置1における動作について説明する。特に、画像処理部5における全体的な処理の流れについては図22のフローチャートに沿って説明し、領域抽出処理の流れについては図23のフローチャートに沿って説明し、結合度算出処理の流れについては図24のフローチャートに沿って説明し、重み付け処理の流れについては図25のフローチャートに沿って説明し、物体分離処理の流れについて図26のフローチャートに沿って説明する。図22は、本実施の形態に係るメイン処理を示すフローチャートである。図23は、本実施の形態に係る領域抽出処理を示すフローチャートである。図24は、本実施の形態に係る結合度算出処理を示すフローチャートである。図25は、本実施の形態に係る重み付け処理を示すフローチャートである。図26は、本実施の形態に係る物体分離処理を示すフローチャートである。
【0055】
カメラ2,3では、撮像対象をそれぞれ撮影し、その各撮像画像を画像信号として画像処理部5に送信する。
【0056】
画像処理部5では、カメラ2,3から各画像信号を受信し、左右の撮像画像(ステレオ画像)を取り入れる(図22のS1)。そして、画像処理部5では、ステレオ画像のうち基準画像を領域に過分割する(図22のS2)。また、画像処理部5では、左右の撮像画像に対する相関演算により物体までの各奥行き距離を算出するとともに(図22のS3)、各奥行き距離についての信頼度を取得する(図22のS4)。
【0057】
画像処理部5では、全ての過分割領域の中から奥行き距離の信頼度の高い過分割領域を抽出する(図22のS5)。この際、画像処理部5では、過分割領域毎に、奥行き距離の信頼度の平均値を算出する(図23のS10)。そして、画像処理部5では、各過分割領域の信頼度の平均値が閾値以上か否かを判定し、全ての過分割領域から信頼度の平均値が閾値以上の過分割領域を抽出する(図23のS11)。さらに、画像処理部5では、抽出した過分割領域群について穴埋め処理を行う(図23のS12)。ここで、距離情報の信頼性が高く、分離対象の物体が存在する可能性の高い過分割領域だけが抽出される。
【0058】
画像処理部5では、抽出した過分割領域群の中から隣接する過分割領域iと過分割領域jを順次選択し、その隣接する過分割領域i,j間の奥行き距離の変化に基づいて過分割領域i,jの結合度を算出する(図22のS6)。この際、画像処理部5では、隣接する過分割領域i,jを選択すると、過分割領域i,j間の境界線に対して折れ線を近似し、折れ線の各線分を中心として多数の参照点を格子状に設定する(図24のS20)。そして、画像処理部5では、横軸を主軸方向(折れ線の各線分と直交する方向)の座標とし、縦軸を奥行き距離とした座標系に全ての参照点を配置させ、その座標系上の参照群に対して数種類の非線形関数を当てはめ、当てはめた非線形関数毎に当てはめ誤差を求める(図24のS21)。非線形関数を当てはめる際、画像処理部5では、当てはめる非線形関数をF(p,x)として、式(1)の評価関数Eが最小とするパラメータベクトルpを求めることによって、非線形関数を当てはめる(図25のS30)。
【0059】
全ての非線形関数を当てはめると、画像処理部5では、当てはめた数種類の非線形関数の中から当てはめ誤差の最も小さい非線形関数Fを選択する(図24のS22)。そして、画像処理部5では、隣接する過分割領域i,j間の境界線に相当する横軸の座標でのその選択した非線形関数Fの曲率rijを算出する(図24のS23)。さらに、画像処理部5では、その曲率rijを用いて、式(2)によりその隣接する過分割領域i,j間の結合度uijを算出する(図24のS24)。ここで、抽出した過分割領域群における全ての組み合わせの隣接する過分割領域i,jについて、奥行き距離の変化に基づく結合度が求められる。
【0060】
抽出した過分割領域群の中の全ての隣接する過分割領域間の結合度を算出すると、画像処理部5では、その抽出した過分割領域群について結合度に基づいて隣接する過分割領域間を結合又は分離し、複数個の過分割領域からなる個々の物体に分離する(図22のS7)。この際、画像処理部5では、抽出した全ての過分割領域の処理フラグを0にそれぞれ設定する(図26のS40)最初に、画像処理部5では、隣接する過分割領域間を全て繋げて1つの領域とし、k=1に設定する(図26のS41)。処理フラグは、物体として確定した過分割領域(結合状態が確定した過分割領域)か否かを示すフラグであり、確定した過分割領域には1が設定され、確定していない過分割領域には0が設定される。kは、抽出した過分割領域群が幾つの領域に分離されたかを示し、初期値が1であり、領域間が分離される毎に1ずつ増加される。
【0061】
画像処理部5では、k番目の分離結果において処理フラグが0に設定されている過分割領域(つまり、結合状態が確定していない過分割領域)からなる各領域に対して数種類の立体プリミティブを当てはめ、当てはめた立体プリミティブ毎に当てはめ誤差を求め、当てはめ誤差が最小となる立体プリミティブについての当てはめ精度を算出する(図26のS42)。そして、画像処理部5では、当てはめ精度が閾値以上か否かを判定し、当てはめ精度が閾値以上の場合にはその領域を構成する全ての過分割領域の処理フラグを1に設定する(図26のS43)。ここで、当てはめ精度が閾値以上の領域に含まれる過分割領域の結合状態が確定し、この結合状態が確定した過分割領域群が1つの物体として分離されたことになる。この際、画像処理部5では、その当てはめ精度が閾値以上となった立体プリミティブの種類、大きさ、寸法比などからその分離された物体の種類、形状、大きさなどを認識する。
【0062】
画像処理部5では、抽出した全ての過分割領域の処理フラグが1か否かを判定する(図26のS44)。S44の判定にて処理フラグが0の過分割領域が存在すると判定した場合、画像処理部5では、その処理フラグが0の過分割領域群からなる領域において結合度が小さい過分割領域間を分離し(図26のS45)、kに1を加算する(図26のS46)。そして、画像処理部5では、この分離された各領域に対してS42以降の処理をそれぞれ行う。一方、S44の判定にて抽出した全ての過分割領域の処理フラグが1と判定した場合、画像処理部5では、処理を終了する。ここで、抽出した全ての過分割領域についての結合状態が確定し、各結合状態の過分割領域群からなる領域によって個々の物体に分離されたことになる。
【0063】
画像処理部5では、物体の分離結果(画像など)を示す出力信号を生成し、その出力信号をモニタ4に送信する。モニタ4では、受信した出力信号に応じた分離結果を表示する。
【0064】
この画像処理装置1によれば、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化に着目して結合度を定義することにより、隣接する過分割領域が異なる物体かあるいは同じ物体かを高精度に判断できる。そのため、各物体に相当する領域を正確に分割でき、個々の物体を高精度に分離することができる。
【0065】
また、画像処理装置1によれば、奥行き距離の信頼度に着目して信頼度の高い過分割領域を抽出することにより、処理負荷を軽減できるとともに物体の分離精度も向上する。特に、画像処理装置1では、過分割領域毎に信頼度の平均値を用いるとともに穴埋め処理を行うことにより、相関演算のノイズなどの影響を受けることなく、信頼度の高い過分割領域を高精度に抽出することができる。
【0066】
また、画像処理装置1によれば、非線形関数を当てはめ、その当てはめた非線形関数の種類と曲率を用いることにより、隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を正確に表すことができる。そのため、隣接する過分割領域間の正確な結合度を定義でき、隣接する過分割領域間を結合するか否かを高精度に判断できる。特に、画像処理装置1では、参照点を信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめることにより、非線形関数を高精度に当てはめることができる。
【0067】
また、画像処理装置1によれば、立体プリミティブによる当てはめによって個々の物体に分離することにより、物体の分離精度が向上するとともに、当てはめた立体プリミティブから分離した物体に関する詳細な情報を取得することができる。
【0068】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0069】
例えば、本実施の形態ではコンピュータ上でアプリケーションプログラム(ソフトウエア)を実行することによって各処理を行う構成としたが、ハードウエアによって各処理部を構成してもよい。
【0070】
また、本実施の形態では2台のカメラによるステレオカメラで複数の撮像手段を構成したが、3台以上のカメラで複数の撮像手段を構成してもよい。
【0071】
また、本実施の形態では各過分割領域について信頼度の平均値を求め、その平均値が閾値以上の過分割領域を抽出する構成としたが、信頼度をそのまま用いて過分割領域を抽出するようにしてもよいし、あるいは、過分割領域全体の信頼度を示す平均値以外の信頼度に関する値を用いて過分割領域を抽出してもよい。
【0072】
また、本実施の形態では隣接する過分割領域間に参照点を設定し、多数の参照点に対して非線形関数を当てはめ、その当てはまった非線形関数の曲率から結合度を求める構成としたが、他の方法により隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化から結合度を求めてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では参照点として格子点を設定したが、格子点以外の配列の参照点としてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では非線形関数として二次関数やシグモイド関数を用いたが、領域間の状態を表すことができれば、他の非線形関数を用いてもよい。
【0075】
また、本実施の形態では各参照点における奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめる構成としたが、重み付けを行わないで非線形関数を当てはめてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では隣接した過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、その当てはめ精度が閾値以上の領域を分離対象の物体とする構成としたが、他の方法により結合度に基づいて過分割領域を結合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置の構成図である。
【図2】左右の撮像画像の一例である。
【図3】図2の撮像画像の過分割領域画像の一例である。
【図4】図2の左右の撮像画像に基づく奥行き距離画像の一例である。
【図5】図4の奥行き距離画像に対する信頼度画像の一例である。
【図6】図5の信頼度画像に基づく信頼度の高い領域を示す二値画像(穴埋め処理前)の一例である。
【図7】図5の信頼度画像に基づく信頼度の高い領域を示す二値画像(穴埋め処理後)の一例である。
【図8】図3の過分割領域画像において信頼度の高い領域のみからなる過分割領域画像の一例である。
【図9】図4の奥行き距離画像において信頼度の高い領域のみからなる奥行き距離画像の一例である。
【図10】隣接する過分割領域間に参照点を設定した一例である。
【図11】参照点群に対して非線形関数を当てはめた一例であり、(a)が上に凸を表す非線形関数が当てはまった場合であり、(b)が下に凸を表す非線形関数が当てはまった場合であり、(c)が段差を表す非線形関数が当てはまった場合である。
【図12】結合度と異なる物体の境界である度合いとの関係を示す図である。
【図13】図7の信頼度の高い過分割領域画像において各過分割領域に識別番号を付与した画像の一例である。
【図14】図13の識別番号を付与した過分割領域を1つの領域に結合した状態を示す図である。
【図15】図13の識別番号を付与した過分割領域を2つの領域に分離した状態を示す図である。
【図16】図13の識別番号を付与した過分割領域を3つの領域に分離した状態を示す図である。
【図17】図13の識別番号を付与した過分割領域を4つの領域に分離した状態を示す図である。
【図18】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を1つの領域に結合した状態を示す図である。
【図19】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を2つの領域に分離した状態を示す図である。
【図20】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を3つの領域に分離した状態を示す図である。
【図21】図2の撮像画像において信頼度の高い過分割領域を4つの領域に分離した状態を示す図である。
【図22】本実施の形態に係るメイン処理を示すフローチャートである。
【図23】本実施の形態に係る領域抽出処理を示すフローチャートである。
【図24】本実施の形態に係る結合度算出処理を示すフローチャートである。
【図25】本実施の形態に係る重み付け処理を示すフローチャートである。
【図26】本実施の形態に係る物体分離処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1…画像処理装置、2,3…カメラ、4…モニタ、5…画像処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像中の物体を分離する画像処理方法であって、
視点の異なる複数の撮像画像を取得する撮像ステップと、
撮像画像を領域に過分割する過分割ステップと、
複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理ステップと、
前記奥行き距離処理ステップで求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理ステップと、
前記過分割ステップで過分割した過分割領域から前記信頼度処理ステップで求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理ステップと、
前記結合度処理ステップで求めた結合度に基づいて前記抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記抽出ステップは、
過分割領域毎に信頼度の平均値を求めるステップと、
信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載する画像処理方法。
【請求項3】
前記結合度処理ステップは、
隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定するステップと、
各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめるステップと、
当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択するステップと、
隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出するステップと、
非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出するステップと
を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する画像処理方法。
【請求項4】
前記非線形関数を当てはめるステップでは、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめることを特徴とする請求項3に記載する画像処理方法。
【請求項5】
前記分離ステップは、
前記抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求めるステップと、
立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定するステップと
を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載する画像処理方法。
【請求項6】
撮像画像中の物体を分離する画像処理装置であって、
視点の異なる複数の撮像画像を取得する複数の撮像手段と、
撮像画像を領域に過分割する過分割手段と、
複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理手段と、
前記奥行き距離処理手段で求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理手段と、
前記過分割手段で過分割した過分割領域から前記信頼度処理手段で求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理手段と、
前記結合度処理手段で求めた結合度に基づいて前記抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記抽出手段は、過分割領域毎に信頼度の平均値を求め、当該信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出することを特徴とする請求項6に記載する画像処理装置。
【請求項8】
前記結合度処理手段は、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定し、各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめ、当該当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択し、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出し、当該非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載する画像処理装置。
【請求項9】
各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめることを特徴とする請求項8に記載する画像処理装置。
【請求項10】
前記分離手段は、前記抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求め、当該立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定することを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載する画像処理装置。
【請求項1】
撮像画像中の物体を分離する画像処理方法であって、
視点の異なる複数の撮像画像を取得する撮像ステップと、
撮像画像を領域に過分割する過分割ステップと、
複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理ステップと、
前記奥行き距離処理ステップで求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理ステップと、
前記過分割ステップで過分割した過分割領域から前記信頼度処理ステップで求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理ステップと、
前記結合度処理ステップで求めた結合度に基づいて前記抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記抽出ステップは、
過分割領域毎に信頼度の平均値を求めるステップと、
信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載する画像処理方法。
【請求項3】
前記結合度処理ステップは、
隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定するステップと、
各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめるステップと、
当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択するステップと、
隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出するステップと、
非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出するステップと
を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する画像処理方法。
【請求項4】
前記非線形関数を当てはめるステップでは、各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめることを特徴とする請求項3に記載する画像処理方法。
【請求項5】
前記分離ステップは、
前記抽出ステップで抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求めるステップと、
立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定するステップと
を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載する画像処理方法。
【請求項6】
撮像画像中の物体を分離する画像処理装置であって、
視点の異なる複数の撮像画像を取得する複数の撮像手段と、
撮像画像を領域に過分割する過分割手段と、
複数の撮像画像に基づいて撮像画像中の物体までの奥行き距離を求める奥行き距離処理手段と、
前記奥行き距離処理手段で求めた各奥行き距離に対する信頼度を求める信頼度処理手段と、
前記過分割手段で過分割した過分割領域から前記信頼度処理手段で求めた信頼度の高い過分割領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間の奥行き距離の変化を求め、当該奥行き距離の変化に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を求める結合度処理手段と、
前記結合度処理手段で求めた結合度に基づいて前記抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域間を結合又は分離することによって物体を分離する分離手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記抽出手段は、過分割領域毎に信頼度の平均値を求め、当該信頼度の平均値が所定値以上の過分割領域を抽出することを特徴とする請求項6に記載する画像処理装置。
【請求項8】
前記結合度処理手段は、隣接する過分割領域間の境界をまたぐように複数の参照点を設定し、各参照点の奥行き距離と隣接する過分割領域間における位置に基づいて、設定した複数の参照点に非線形関数を当てはめ、当該当てはめた非線形関数の中から当てはめ誤差が小さい非線形関数を選択し、隣接する過分割領域間の境界における選択した非線形関数の曲率を算出し、当該非線形関数の曲率に基づいて隣接する過分割領域間の結合度を算出することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載する画像処理装置。
【請求項9】
各参照点を奥行き距離の信頼度によって重み付けして非線形関数を当てはめることを特徴とする請求項8に記載する画像処理装置。
【請求項10】
前記分離手段は、前記抽出手段で抽出した過分割領域における隣接する過分割領域からなる領域に対して立体プリミティブを当てはめ、当該当てはめの精度を求め、当該立体プリミティブの当てはめ精度が所定精度以上の領域を分離対象の物体の領域と判定することを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載する画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−301962(P2006−301962A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122744(P2005−122744)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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