説明

画像処理方法

【課題】複数個束ねられた偏平状態の段ボール箱の接合間隔を検査するために、検査画像に含まれる接合間隔の位置を高い精度で特定することが可能な画像処理方法を提供する。
【解決手段】境界検出ステップS1で、撮影画像における段ボール箱積層体の側面部分と背景部分との境界位置を検出し、濃度補正ステップS2で、検出された境界位置によって特定される段ボール箱積層体の側面部分を対象として濃度補正処理を行う。投影ステップでは、濃度補正処理が行われた側面部分に対して、積層方向に直交する方向に投影処理を行うことで、積層方向に直交する方向の1次元濃度データを得る。組み合わせ検出ステップで、1次元濃度データに対して、濃度が低下する範囲である谷部分とこの谷部分に隣接する、濃度が上昇する範囲である山部分との組み合わせを検出すると、決定ステップS4で、検出された組み合わせの中心位置を求め、接合間隔列の中央位置として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平状態の段ボール箱が複数重ねられた状態で、接合間隔を計測するために接合間隔の位置を特定するための画像処理方法である。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートから段ボール箱を製作する製函工程では、段ボール箱として組立加工するのに必要なスロット、罫線、印刷を入れた所定の大きさのシートをフォルダグルアにより折線に沿って折畳み、予め互いに接着したい端部の継ぎしろに接着糊を付着させておいて端部同士を接合する。
【0003】
接合された段ボールシート、すなわち偏平状態の段ボール箱は、その後スクエアリング部(直角矯正部)へ送られ、このスクエアリング部の下部後端に設けた隙間から1箱分ずつ送り出してカウンタ部へ送り、ここでカウントすると共に所定数毎に束ねて出荷する。
【0004】
段ボールシートの端部を接合したときに、接合された端部が非平行であったり、接合が不十分であったりすると、組み立てたときに角部が直角にならないなどの不良が発生する。
【0005】
この接合不良は、偏平状態の段ボール箱において、接合間隔を検査することで発見することができる。接合間隔とは、接合した端部の側板に連接された2つのフラップの間隔であり、たとえば、接合間隔が規定の間隔よりも広過ぎたり狭過ぎたりする場合には、端部が平行に接合されていないことがわかる。
【0006】
接合間隔の検査は、たとえば目視などで行われるが、検査結果にばらつきがあるなど不具合が発生してしまう。
特許文献1記載の検査装置では、画像処理によりフラップ間隔を検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−124528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の検査装置は、あくまでもフラップ間隔を検査するものであって、フラップ間隔は、一般的に接合前の段ボールシートの状態で検査されるものである。
【0009】
また、上記のように、接合後の偏平状態の段ボール箱は、所定の枚数が束ねられて出荷されるので、出荷前の束ねられた状態の段ボール箱を撮影し、撮影した画像に基づいて接合間隔を検査することが要求されている。
【0010】
汎用の画像処理を組み合せることによって、たとえば濃度補正した画像を対象に2値化ラベリングし、接合間隔を検出する処理では、波板の間隔を誤って接合間隔として検出してしまう、撮影画像に写り込んだ段ボール箱以外のものを誤って検出してしまう、偏平状態の段ボール箱を結束する紐を誤って検出してしまうなどの問題がある。
【0011】
本発明の目的は、複数個束ねられた偏平状態の段ボール箱の接合間隔を検査するために、検査画像に含まれる接合間隔の位置を高い精度で特定することが可能な画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、偏平状態の複数の段ボール箱が結束紐で束ねられた段ボール箱積層体のフラップ側の側面を撮影して得られる撮影画像に対して、積層方向に配列される複数の接合間隔部分からなる接合間隔列の位置を特定する画像処理方法であって、
撮影画像における前記段ボール箱積層体の側面部分と背景部分との境界位置を検出する境界検出ステップと、
検出された境界位置によって特定される前記段ボール箱積層体の側面部分を対象として濃度補正処理を行う濃度補正ステップと、
濃度補正処理が行われた側面部分に対して、積層方向に直交する方向に投影処理を行うことで、積層方向に直交する方向の1次元濃度データを得る投影ステップと、
前記1次元濃度データに対して、濃度が低下する範囲である谷部分とこの谷部分に隣接する、濃度が上昇する範囲である山部分との組み合わせを検出する組み合わせ検出ステップと、
検出された組み合わせの中心位置を求め、この中央位置を前記接合間隔列の中央位置として決定する決定ステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0013】
また本発明は、前記組み合わせ検出ステップでは、前記1次元濃度データにおける濃度の平均値を算出し、前記1次元濃度データのうち、算出した前記平均値よりも大きい濃度値を前記平均値に置換したのち、前記組み合わせを検出することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記組み合わせ検出ステップののち、前記決定ステップよりも前に、
前記1次元濃度データに基づいて、前記側面部分に、複数の段ボール箱を束ねる結束紐の部分が含まれている否かを判断する判断ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記決定ステップののち、
決定された中央位置を含む、積層方向に平行な直線を求め、前記直線を挟んで両側に、前記直線に平行に延びる帯状領域を設定し、設定された帯状領域に対して、前記側面部分と前記背景部分との境界位置を検出するステップをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、境界検出ステップで、撮影画像における段ボール箱積層体の側面部分と背景部分との境界位置を検出し、濃度補正ステップで、検出された境界位置によって特定される前記段ボール箱積層体の側面部分を対象として濃度補正処理を行う。投影ステップでは、濃度補正処理が行われた側面部分に対して、積層方向に直交する方向に投影処理を行うことで、積層方向に直交する方向の1次元濃度データを得る。
【0017】
組み合わせ検出ステップで、前記1次元濃度データに対して、濃度が低下する範囲である谷部分とこの谷部分に隣接する、濃度が上昇する範囲である山部分との組み合わせを検出すると、決定ステップで、検出された組み合わせの中心位置を求め、この中央位置を前記接合間隔列の中央位置として決定する。
これにより、検査画像に含まれる接合間隔の位置を高い精度で特定することができる。
【0018】
また本発明によれば、前記組み合わせ検出ステップでは、前記1次元濃度データにおける濃度の平均値を算出し、前記1次元濃度データのうち、算出した前記平均値よりも大きい濃度値を前記平均値に置換したのち、前記組み合わせを検出する。
これにより、ノイズなどが混入した場合に、その影響をより小さくすることができる。
【0019】
また本発明によれば、前記組み合わせ検出ステップののち、前記決定ステップよりも前に、前記1次元濃度データに基づいて、前記側面部分に、複数の段ボール箱を束ねる結束紐の部分が含まれている否かを判断する。
【0020】
これにより、結束紐が検査画像に含まれていた場合に、その影響を小さくし、接合間隔列の誤検出を防止できる。
【0021】
また本発明によれば、決定された中央位置を含む、積層方向に平行な直線を求め、前記直線を挟んで両側に、前記直線に平行に延びる帯状領域を設定し、設定された帯状領域に対して、前記側面部分と前記背景部分との境界位置を検出する。
これにより、より精度高く側面部分と背景部分との境界位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】段ボール箱積層体10を示す斜視図である。
【図2】段ボール箱積層体10の側面を撮影した画像の一例を示す図である。
【図3】本発明の画像処理方法を示すフローチャートである。
【図4】段ボール端検出(概略位置)の手順を示すフローチャートである。
【図5】接合間隔列検出の手順を示すフローチャートである。
【図6】段ボール端検出(詳細位置)の手順を示すフローチャートである。
【図7】紐マスク処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、複数個束ねられた偏平状態の段ボール箱の接合間隔を検査するために、画像に含まれる接合間隔の位置を特定するための画像処理方法である。
【0024】
本発明の画像処理方法では、撮影された画像において、束ねられた偏平状態の段ボール箱と背景との境界位置を求め、境界の内側すなわち背景が排除された段ボール箱の画像において、濃度補正を行い、接合間隔が含まれるであろう領域の候補を選択する。選択した候補から、結束用の紐に相当する部分を除去し、接合間隔が含まれる領域を決定する。
【0025】
図1は、段ボール箱積層体10を示す斜視図である。
本発明では、複数の偏平状態の段ボール箱1が束ねられた段ボール箱積層体10を、検査するにあたり、積層体の側面を、積層方向に直交する方向で、かつ段ボール箱の深さ方向に平行な方向から、撮影する。
【0026】
図2は、段ボール箱積層体10の側面を撮影した画像の一例を示す図である。
撮影によって得られた画像には、積層方向に配列する複数の接合間隔(以下では「接合間隔列」という)2が含まれ、この接合間隔列2が含まれる領域を撮影画像から決定する。
【0027】
接合間隔列2が含まれる領域を決定したのちは、領域内に含まれる接合間隔を測定し、測定結果に基づいて段ボール箱の良品、不良品判断を行う。
【0028】
画像撮影後の具体的な画像処理方法の手順は以下のとおりである。
図3は、本発明の画像処理方法を示すフローチャートである。
【0029】
本発明の画像処理方法は、以下のような手順で行われる。
ステップS1:段ボール端検出(概略位置)
ステップS2:濃度補正
ステップS3:接合間隔列検出
ステップS4:段ボール端検出(詳細位置)
ステップS5:紐検出判断
ステップS6:紐マスク処理
【0030】
<ステップS1:段ボール端検出(概略位置)>
ステップS1では、段ボール箱積層体10の側面撮影画像において、段ボール箱積層体部分と背景部分とを分離するために、段ボール箱積層体と背景との境界(以下では「段ボール端」ともいう)を検出する。まず本ステップでは、段ボール端の概略位置を検出する。
【0031】
図4は、段ボール端検出(概略位置)の手順を示すフローチャートである。
図2に示したように、本実施形態では、処理対象の画像は、段ボール箱積層体10の積層方向を横方向(X軸方向)とし、これに直交する方向を縦方向(Y軸方向)とする。このような撮影画像では、段ボール箱積層体10と背景との境界部分は、縦方向に沿って存在する。そして、接合間隔列2の配列方向は、段ボール箱積層体10の積層方向に平行であるので、横方向に沿って存在する。
【0032】
まず、ステップA1では、処理対象の画像全体にわたって縦方向の微分処理を行う。微分処理としては、従来公知の処理を行うことができ、たとえば微分フィルタによるフィルタ処理を行えばよい。微分フィルタとしては、たとえばSobelフィルタを用いることができる。
【0033】
ステップA2では、微分処理されたデータに対して縦方向の投影処理を行う。ここでの投影処理は、縦方向に画素データを射影加算するものである。縦方向に投影処理を行うことで、横方向に並ぶ1次元画素データが得られる。
【0034】
ステップA3では、得られた1次元画素データに対して平滑化処理を行う。平滑化処理は、従来公知の処理を行うことができる。たとえば、所定の範囲に含まれる画素データの算術平均を算出し、その算術平均値を、範囲内に含まれる代表画素の画素データとする。1次元画素データに対して所定の範囲をずらしながら得られた代表画素の画素データは、平滑化された1次元画素データとして得られる。
【0035】
算術平均を算出する所定の範囲は、たとえば、代表画素のX軸方向±10画素とすればよい。
【0036】
ステップA4では、閾値を決定する。
平滑化された1次元画素データに対してX軸方向両端側(左右側)のそれぞれ1/3の画素を対象に画素データ(ここでは濃度値)を階級とし、画素数を度数とする濃度ヒストグラムを作成し、判別分析法を用いて閾値を決定する。
【0037】
ステップA5では、平滑化された1次元画素データにおいて、左右それぞれにおけるピーク位置を求める。この左右のピーク位置は、段ボール箱の画像と背景の画像との境界に相当するので、両側の段ボール端として検出することができる。
【0038】
<ステップS2:濃度補正>
濃度補正の対象となる画像は、ステップS1で検出した2つの段ボール端に基づき、段ボール端に挟まれる中央部分の領域を対象として濃度補正を行う。濃度補正は、従来公知の処理を行うことができるが、たとえば、所定の大きさの画素ブロック毎の平均濃度の算出、または最小自乗法で求めた曲線による当てはめなどの方法で行うことができる。
【0039】
<ステップS3:接合間隔列検出>
ステップS3では、接合間隔列を検出する。
【0040】
図5は、接合間隔列検出の手順を示すフローチャートである。
ステップB1では、濃度補正された画素データに対して横方向の投影処理を行う。ここでの投影処理は、横方向に画素データを射影加算するものである。横方向に投影処理を行うことで、縦方向に並ぶ1次元画素データが得られる。さらに、縦方向に並ぶ1次元画素データの画素データの平均値を算出しておく。
【0041】
ステップB2では、得られた1次元画素データに対して平滑化処理を行う。平滑化処理は、従来公知の処理を行うことができる。たとえば、所定の範囲に含まれる画素データの算術平均を算出し、その算術平均値を、範囲内に含まれる代表画素の画素データとする。1次元画素データに対して所定の範囲をずらしながら得られた代表画素の画素データは、平滑化された1次元画素データとして得られる。
【0042】
算術平均を算出する所定の範囲は、たとえば、代表画素のY軸方向±10画素とすればよい。
【0043】
ステップB3では、平滑化された縦方向の1次元画素データにおいて、濃度値の最大値および最小値を決定する。
【0044】
ステップB4では、平滑化された縦方向の1次元画素データに対して、ハイカット処理を1回行う。ハイカット処理とは、1次元画素データにおいて、特定の高い濃度値を有するものに対して濃度値を低くする処理である。たとえば、ステップB1で算出した平均値を用いてハイカット処理を行う。具体的には、縦方向の1次元画素データにおいて、平均値よりも大きな濃度値を、全て平均値に置換する。したがって、ハイカット後の縦方向の1次元画素データは、最大値がステップB1で求めた平均値となる。
【0045】
ステップB5では、ハイカット処理された1次元画素データに対して、微分処理(たとえば微分幅=40)を行う。微分処理は、従来公知の処理を行うことができ、たとえば微分フィルタによるフィルタ処理を行えばよい。
【0046】
ステップB6では、投影閾値を算出する。投影閾値は、最大値側閾値および最小値側閾値の2つの閾値がある。最大値側閾値は、たとえばステップB3で算出した最大値の40%となる値、すなわち最大値×0.4で算出される。最小値側閾値は、たとえばステップB3で算出した最小値の40%となる値、すなわち最小値×0.4で算出される。
【0047】
ステップB7では、微分処理された1次元画素データに対して閾値処理を行い、最大値側閾値を越える画素部分を山部分、最小値側閾値よりも小さい画素部分を谷部分とする。
【0048】
谷部分とこれに隣接する山部分との組み合わせ(ペア)を探索する。なお、谷部分とこれに隣接する山部分との距離が100画素を超えるものについてはペアとしてみなさない。
【0049】
谷部分とこれに隣接する山部分とのペアが接合間隔列を示している場合が多いので、このようなペアが複数みつかった場合には、このペアを含む領域を接合間隔列の候補領域とする。
【0050】
ステップB8では、結束紐をチェックする。結束紐であるかどうかの判断は、たとえば候補領域に対して収縮処理を行い。収縮後の領域において白画素が所定数以上であれば、その候補領域は、結束紐を検出した部分であると判断して候補領域から外す。
【0051】
ステップB9では、残った候補領域を、接合間隔列を含む領域であるとし、候補領域の中点位置を、接合間隔列の中心を通る中心線のY座標とする。なお、残った候補領域が複数ある場合は、たとえば、Y軸方向の中央により近い1つの候補領域を決定する。
【0052】
ステップB10では、中心線のY座標を中心として縦方向上下に所定の画素数からなる画素領域を設定し、設定した領域を、接合間隔列を含む領域として決定する。
【0053】
<ステップS4:段ボール端検出(詳細位置)>
ステップS4では、段ボール端の詳細位置を検出する。ステップB9で決定したY座標に基づいて、X軸に平行な直線(以下では「列中心線」という)を求め、この列中心線を挟んで、上下にそれぞれ2つの帯状領域を設定する。帯状領域は、縦方向の画素数がいずれも同じ画素数で横方向は画像の両端に延びる領域である。これら4つの帯状領域は、互いに重複することなく隣接して配置されるものである。
【0054】
図6は、段ボール端検出(詳細位置)の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップC1では、1つ目の帯状領域の全体にわたって縦方向の微分処理を行う。微分処理としては、従来公知の処理を行うことができ、たとえば微分フィルタによるフィルタ処理を行えばよい。微分フィルタとしては、たとえばSobelフィルタを用いることができる。
【0055】
ステップC2では、微分処理されたデータに対して縦方向の投影処理を行う。ここでの投影処理は、縦方向に画素データを射影加算するものである。縦方向に投影処理を行うことで、横方向に並ぶ1次元画素データが得られる。
【0056】
ステップC3では、閾値を決定する。
投影処理された1次元画素データに対してX軸方向両端側(左右側)のそれぞれ1/3の画素を対象に濃度値を階級とし、画素数を度数とする濃度ヒストグラムを作成し、判別分析法を用いて閾値を決定する。
【0057】
ステップC4では、投影処理された1次元画素データに対して左右端からそれぞれ中央に向かって濃度値の立上り位置を検出する。具体的には1次元画素データの右端から中央に向かって各画素の濃度値に閾値処理を行い、閾値に一致する画素の位置を立上り位置とする。左端から中央に向かう場合も同様である。
【0058】
ステップC5では、検出した立上り位置から左右端に向かって濃度値の低下が終了する位置を検出する。具体的には1次元画素データの右側立上り位置から右端に向かって各画素の濃度値を調べると低下し続けるので、濃度値の低下が終了、すなわち濃度値が変化しなくなる位置を、帯状領域における段ボール端の位置として検出する。左側立上り位置から左端に向かう場合も同様である。
【0059】
ステップC6では、全ての帯状領域に対して段ボール端の位置を検出したかどうかを判断し、全ての帯状領域に対して検出していればステップC7に進み、全て検出していなければステップC1に戻り、検出対象となる領域を他の帯状領域に変更する。
【0060】
ステップC7では、全ての帯状領域で検出された段ボール端の位置を比較し、最も外側のものを段ボール端の位置として決定する。4つの帯状領域のそれぞれで段ボール端の位置を検出したので、左側の段ボール端の候補位置が4つ、右側の段ボール端の候補位置が4つ検出されたこととなる。
【0061】
左側の段ボール端の4つの候補位置から最も外側、すなわち最も左側のものを左側の段ボール端の位置として決定し、右側の段ボール端の4つの候補位置から最も外側、すなわち最も右側のものを右側の段ボール端の位置として決定する。
【0062】
<ステップS5:紐検出判断>
ステップS5では、対処画像に結束紐が検出されたかどうかを判断する。検出されていれば、ステップS6の紐マスク処理を行い、検出されていなければ処理を終了する。
【0063】
結束紐が検出されたかどうかは、ステップS3のステップB8において、候補領域のうち結束紐を検出した部分があれば、結束紐が検出されたものとする。
【0064】
<ステップS6:紐マスク処理>
ステップS6では、結束紐が検出された場合に、対象画像において結束紐の部分にマスク処理を行う。
【0065】
図7は、紐マスク処理の手順を示すフローチャートである。
ステップD1では、対象画像に対して2値化処理を行い、ステップD2では、2値化された画像を1/4に圧縮する。ステップD3では、圧縮画像に対して収縮処理および膨張処理を行う。たとえば、Y軸方向に5回収縮し、X軸方向に15回収縮し、X方向およびY方向に10回膨張し、X方向に50回膨張する。
【0066】
ステップD4では、ラベリング処理を行い、ステップD5では、ラベルから結束紐の領域を特定する。ステップD6では、特定された結束紐の領域をマスクする。
【符号の説明】
【0067】
1 段ボール箱
2 接合間隔列
10 段ボール箱積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏平状態の複数の段ボール箱が結束紐で束ねられた段ボール箱積層体のフラップ側の側面を撮影して得られる撮影画像に対して、積層方向に配列される複数の接合間隔部分からなる接合間隔列の位置を特定する画像処理方法であって、
撮影画像における前記段ボール箱積層体の側面部分と背景部分との境界位置を検出する境界検出ステップと、
検出された境界位置によって特定される前記段ボール箱積層体の側面部分を対象として濃度補正処理を行う濃度補正ステップと、
濃度補正処理が行われた側面部分に対して、積層方向に直交する方向に投影処理を行うことで、積層方向に直交する方向の1次元濃度データを得る投影ステップと、
前記1次元濃度データに対して、濃度が低下する範囲である谷部分とこの谷部分に隣接する、濃度が上昇する範囲である山部分との組み合わせを検出する組み合わせ検出ステップと、
検出された組み合わせの中心位置を求め、この中央位置を前記接合間隔列の中央位置として決定する決定ステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記組み合わせ検出ステップでは、前記1次元濃度データにおける濃度の平均値を算出し、前記1次元濃度データのうち、算出した前記平均値よりも大きい濃度値を前記平均値に置換したのち、前記組み合わせを検出することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記組み合わせ検出ステップののち、前記決定ステップよりも前に、
前記1次元濃度データに基づいて、前記側面部分に、複数の段ボール箱を束ねる結束紐の部分が含まれている否かを判断する判断ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記決定ステップののち、
決定された中央位置を含む、積層方向に平行な直線を求め、前記直線を挟んで両側に、前記直線に平行に延びる帯状領域を設定し、設定された帯状領域に対して、前記側面部分と前記背景部分との境界位置を検出するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像処理方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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