説明

画像処理装置、処理方法及び処理プログラム

【課題】小画像の周囲に文字情報等が記録されていてもその文字情報等も含めて小画像を正確に分割することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、画像取込部2と、背景検出手段4と、画像中の複数の小画像及びそれに付随する文字情報を小画像ごとに分割する画像分割手段5と、からなる画像処理部3と、を備える。背景検出手段は、画像の明度の頻度分布から背景部分を検出する。画像分割手段は、背景部分以外の領域から明度の頻度分布により小画像を検出し、背景部分以外の領域から明度の頻度分布を用いて縦方向と横方向に分割した帯状領域を、縦のスキャンライン及び横のスキャンラインとして検出し、この2つを重ね合わせた領域を全画像領域シードとして検出し、これを小画像の配置に応じて縦横に均等に分割し文字情報を付随する小画像を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚のフィルムに複数の小画像を記録した医用画像から、小画像を自動的に分割して保存する画像処理装置、処理方法及び処理プログラムであって、特に各小画像に付随して記録されている文字情報等についても各小画像と一体にして自動的に分割して保存することができる画像処理装置、処理方法及び処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像は1枚のフィルムに複数の小画像を記録することが多く、その画像を画像データとして電子保管する際には、1枚のフィルム単位ではなく、小画像ごとに分割して保存することが通常行われている。
【0003】
この小画像ごとの分割を、手作業で行うことは多大な手間を要することから、自動的に小画像に分割する装置が望まれていた。そこで、このような1枚のフィルムから複数の小画像を自動的に分割して保存する画像処理装置が提案されている(特許文献1参照)。この画像処理装置は、フィルムをスキャンして画像を取り込み、その画像を構成する画素値の分散に基づいて小画像の配置を検出するもので、複数の小画像を自動的に短時間で分割することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−342539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記画像処理装置にあっては、分割しようとする複数の小画像の周囲にその小画像に付随する文字情報等が記録されている場合に、隣接する小画像間の背景部分がほぼ透明であると、文字情報等が正確に検出できずに小画像に文字情報等を含めたかたちで正確に分割することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、小画像の周囲に文字情報等が記録されている場合に、背景部分に影響されることなく文字情報等も含めて小画像を自動で正確に分割することができる画像処理装置、処理方法及び処理プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記解決課題は、下記の各発明によって解決することができる。
すなわち、本発明の画像処理装置は、画像を取り込む画像取込部と、取り込んだ画像の領域中の画像以外の背景部分を検出する背景検出手段と、前記取り込んだ画像中に含まれる画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割する画像分割手段と、からなる画像処理部と、を備えた画像処理装置であって、前記背景検出手段は、前記取り込んだ画像の明度の頻度分布から背景部分を検出し、前記画像分割手段は、前記背景検出手段が検出した前記背景部分以外の画像領域から背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像を検出し、かつ前記取り込んだ画像を前記背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像及び前記文字情報を含んで縦方向と横方向に分割してなる帯状領域を、縦のスキャンライン及び横のスキャンラインとして検出し、該縦のスキャンライン及び横のスキャンラインを重ね合わせて重なり合った領域を、前記複数の小画像を包含する全画像領域を抽出するための全画像領域シードとして検出し、該全画像領域シードの最外周を矩形に囲繞する境界を設定してその内側を全画像領域とし、該全画像領域中に前記文字情報を付随した各小画像が均等な面積の領域を有して中央近傍に配置されるべく、前記全画像領域と前記小画像の配置とから前記全画像領域を縦横に均等に分割する仮分割線を設定し、該仮分割線で前記全画像領域シードを分割して、前記文字情報を付随する各小画像を分割し、該小画像及び付随する前記文字情報を合成して小画像領域を検出することを特徴とする。
【0008】
また、前記背景検出手段は、取り込んだ画像を構成する画素の明度の頻度分布と、前記明度の頻度の平均値とを求め、該平均値を超えた頻度を有する明度を背景部分の明度である背景明度として検出することを特徴とする。
これにより、背景明度部分を除いた部分が画像情報を有する部分として検出することができる。
【0009】
また、前記画像分割手段は、前記取り込んだ画像を構成する画素の明度のうち、背景明度以外の明度の頻度分布を求め、該頻度分布に基づいて前記取り込んだ画像の画像領域中における予め設定した設定値を超える明度の頻度から前記小画像の配置を求めることを特徴とする。
【0010】
また、前記背景検出手段は、全画像領域シードにおける周期性を求め、全画像領域シード中の周期性のない単独のタイトル部を除外することを特徴とする。
【0011】
また、前記画像分割手段は、仮分割線が全画像領域シードを貫く場合に、隣接する小画像領域同士の間隔が狭いものと判断して全画像領域シードの全領域を、検出した小画像の数に応じて等間隔に分割して小画像領域とすることを特徴とする。
これにより、小画像間隔が狭い画像であっても、確実に分割して小画像領域を検出することができる。
【0012】
本発明の画像処理方法は、画像を取り込む画像取込部と、取り込んだ画像の領域中の画像以外の背景部分を検出する背景検出手段と、前記取り込んだ画像中に含まれる画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割する画像分割手段と、からなる画像処理部と、を備えた画像処理装置を用いて画像を処理する方法であって、前記背景検出手段により、前記取り込んだ画像の明度の頻度分布から背景部分を検出し、前記画像分割手段により、前記背景検出手段が検出した前記背景部分以外の画像領域から背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像を検出し、かつ前記取り込んだ画像を背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像及び前記文字情報を含んで縦方向と横方向に分割してなる帯状領域を、縦のスキャンライン及び横のスキャンラインとして検出し、該縦のスキャンライン及び横のスキャンラインを重ね合わせて重なり合った領域を前記複数の小画像を包含する全画像領域を抽出するための全画像領域シードとして検出し、該全画像領域シードの最外周を矩形に囲繞する境界を設定してその内側を全画像領域とし、該全画像領域中に前記文字情報を付随した各小画像が均等な面積の領域を有して中央近傍に配置されるべく、前記全画像領域と前記小画像の配置とから前記全画像領域を縦横に均等に分割する仮分割線を設定し、該仮分割線で前記全画像領域シードを分割して、前記文字情報を付随する各小画像を分割し、該小画像及び付随する前記文字情報を合成して小画像領域を検出することを特徴とする。
【0013】
本発明の画像処理プログラムは、取り込んだ画像から画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割させる画像処理プログラムであって、画像を取り込む画像取込部と、取り込んだ画像の領域中の画像以外の背景部分を検出する背景検出手段と、前記取り込んだ画像中に含まれる画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割する画像分割手段と、からなる画像処理部と、を備えた画像処理装置において、前記背景検出手段により前記取り込んだ画像の明度の頻度分布から背景部分を検出するステップと、前記画像分割手段により前記背景検出手段が検出した前記背景部分以外の画像領域から背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像を検出するステップと、前記画像分割手段により前記取り込んだ画像を前記背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像及び前記文字情報を含んで縦方向と横方向に分割してなる帯状領域を、縦のスキャンライン及び横のスキャンラインとして検出するステップと、前記画像分割手段により前記縦のスキャンライン及び横のスキャンラインを重ね合わせて重なり合った領域を、前記複数の小画像を包含する全画像領域を抽出するための全画像領域シードとして検出するステップと、前記画像分割手段により前記全画像領域シードの最外周を矩形に囲繞する境界を設定してその内側を全画像領域とするステップと、前記画像分割手段により前記全画像領域中に前記文字情報を付随した各小画像が均等な面積の領域を有して中央近傍に配置されるべく、前記全画像領域と前記小画像の配置とから前記全画像領域を縦横に均等に分割する仮分割線を設定するステップと、前記画像分割手段により前記仮分割線で前記全画像領域シードを分割して、前記文字情報を付随する各小画像を分割し、該小画像及び付随する前記文字情報を合成して小画像領域を検出するステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明の画像処理装置、処理方法及び処理プログラムによれば、小画像の周囲に文字情報等が記録されている場合に、背景部分に影響されることなく文字情報等も含めて小画像を自動で正確に分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のシステム構成図である。
【図2】本発明の画像処理装置における分割対象の画像領域を示す図である。
【図3】本発明の画像処理装置における分割対象の画像領域を示す図である。
【図4】本発明の画像処理装置における分割対象の画像領域を示す図である。
【図5】本発明の画像処理装置における画像分割処理の流れを示すフローである。
【図6】本発明の画像処理装置における高精度分割の流れを示すフローである。
【図7】本発明の画像処理装置における小画像抽出の流れを示すフローである。
【図8】本発明の画像処理装置における画像を構成する画素の明度の頻度分布を示す図である。
【図9】本発明の画像処理装置における分割画像コア部の検出説明図である。
【図10】本発明の画像処理装置における分割画像コア部拡大の説明図である。
【図11】本発明の画像処理装置における拡大矩形の結合説明図である。
【図12】本発明の画像処理装置における全画像領域シード検出を示す図である。
【図13】本発明の画像処理装置における全画像領域シード検出を示す図である。
【図14】本発明の画像処理装置における全画像領域検出を示す図である。
【図15】本発明の画像処理装置における全画像領域検出を示す図である。
【図16】本発明の画像処理装置における仮分割線生成を示す図である。
【図17】本発明の画像処理装置における合成分割矩形生成を示す図である。
【図18】本発明の画像処理装置における合成分割矩形生成を示す図である。
【図19】本発明の画像処理装置における高精度分割モードで分割された小画像領域を示す図である。
【図20】本発明の画像処理装置における中精度分割の流れを示すフローである。
【図21】本発明の画像処理装置の中精度分割における背景明度検出の流れを示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の画像処理装置、処理方法及び処理プログラムを実施するための形態を詳細に説明する。図1〜図21は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0017】
<構成>
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置のシステム構成図である。本発明の画像処理装置1は、フィルムをスキャンするなどして画像を取り込む画像取込部2と、画像取込部2が取り込んだ画像を処理する画像処理部3とから構成されている。
【0018】
前記画像取込部2は、フィルムスキャナやイメージスキャナ等の機能を有して、フィルムから画像を取り込むほかに、外部記憶装置等から画像を取り込むことも可能としている。
【0019】
前記画像処理部3は、背景検出手段4と画像分割手段5とから構成され、背景検出手段4は、取り込んだ画像領域中の画像部分以外の、枠となる背景部分を検出する手段である。この背景部分とは、画像領域に配置されている複数の小画像を格子状に区切る領域であり、その間隔が数mmから数十mm程度の不透明又はほぼ透明の部分である。
【0020】
前記画像分割手段5は、背景検出手段4によって検出された背景部分を用いて、画像領域に配置された複数の小画像を検出し、各小画像を切り出して、それぞれ別ファイルとして保存することができるものである。
【0021】
図2〜図4は、本発明の画像処理装置1が高精度分割モードで分割する対象となる画像の例を示すもので、図2は小画像間の背景部分が狭い画像を示し、図3は上部にタイトル領域がある画像を示し、図4は小画像間の背景部分が広い画像を示している。本発明の画像処理装置1は、これらのパターンの異なる画像について確実に小画像領域を分解することができるものである。
【0022】
<動作>
本発明の実施形態に係る画像処理装置1の動作について、図5及び図6を参照して説明する。
【0023】
図5は、本発明の画像処理装置1の動作フロー図であり、このフローは、背景検出手段4が、画像取込部2が取り込んだ画像における文字情報等の微小情報の数が予め設定された閾値より多いか否かを判定するステップ1と、微小情報の数が閾値より多い場合に画像分割手段5が高精度分割モードで分割するステップ2と、高精度分割モードでの分割がリジェクトされたか否かを画像分割手段5が判定するステップ3と、リジェクトされた場合と、前記ステップ1で微小情報の数が閾値より小さい場合に画像分割手段5が中精度分割モードで分割するステップ4に移行し、その分割の結果、分割線が小画像領域を貫くか否かを画像分割手段5が判定するステップ5と、分割線が小画像を貫く場合に画像分割手段5がリジェクト設定を行ってから処理を終了するステップ6とからなり、前記ステップ3でリジェクトされない場合と、前記ステップ5で分割線が小画像を貫かない場合にはそれぞれ処理を終了する。
このフローは、画像処理部3が取り込んだ画像を高精度分割モードで分割するか、又は中精度分割モードで分割するかを選択する流れを示している。
【0024】
<高精度分割モード>
図6は、背景検出手段4及び画像分割手段5が上記ステップ2の高精度分割モードで分割する動作フロー図であり、このフローは、画像取込部2がフィルムをスキャンして取り込んだ画像から小画像抽出を行うステップ21と、全画像領域シード(後述する)を検出するステップ22と、この全画像領域シードから全画像領域を検出するステップ23と、全画像領域から仮分割線決定を行うステップ24と、仮分割線が全画像領域シードを貫くか否かを判定するステップ25と、貫く場合に全画像領域を単純分割するステップ26と、仮分割線が全画像領域シードを貫かない場合に合成分割矩形生成を行うステップ27と、小画像面積が全画像領域より閾値を超えて小さいか否かを判定するステップ28と、閾値を超えない場合に、分割線が小画像領域を貫くか否かを判定するステップ29と、前記ステップ28で小画像面積が全画像領域より閾値を超えて小さい場合、及びステップ29で分割線が小画像領域を貫く場合にリジェクト設定を行って処理を終了するステップ30とからなり、ステップ29で分割線が小画像領域を貫かない場合には処理を終了する。
このフローは、画像取込部2が取り込んだ画像を画像分割手段5が高精度分割モードで分割する流れを示している。
【0025】
前記ステップ21の小画像抽出については、後述するステップ4の中精度分割モードにおける分割画像コア部検出までの流れと同様であり、この小画像抽出の動作フローを示す図7、及び図8〜図11に基づいて以下に詳細に説明する。
前記背景検出手段4は、ステップ31において、図8に示すごとく、画像取込部2が取り込んだ画像を構成する画素の明度の頻度分布を求める。次に背景検出手段4は、ステップ32において、明度の頻度の平均値31を求め、平均値31を超えた頻度を有する明度を背景部分の明度(以下、背景明度と称す)とする。符号32は、背景明度の範囲を示している。この背景明度から背景部分を検出できない場合には、処理を終了する。
【0026】
前記画像分割手段5は、ステップ34において、取り込んだ画像を構成する画素の明度のうち、前記背景明度32以外の明度の頻度分布を求め、該頻度分布に基づいて取り込んだ画像の画像領域中における分割画像コア部43の配置について、以下のごとく検出する。
【0027】
図9は、分割画像コア部43の検出説明図であり、画像領域の横軸をX軸、縦軸をY軸として説明する。画像分割手段5は、取り込んだ画像をY軸に平行な細かな短冊状領域ごとに背景明度32以外の明度の頻度を求めて、これをヒストグラム41として表す。
【0028】
同様に、画像分割手段5は、画像領域をX軸に平行な細かな短冊状領域ごとに背景明度32以外の明度の頻度を求めて、これをヒストグラム42として表す。
【0029】
画像分割手段5は、このようにして得られたヒストグラム41、42において、予め設定された設定値44よりも大きい明度の頻度を有する短冊状領域を求め、その短冊状領域の交差する部分を分割画像コア部43として検出する。この設定値44としては、小画像が検出される程度でよく、小画像の周囲の文字情報等の微小情報については検出されない程度とする。
このようにして求めた分割画像コア部43から、小画像17(後述する)の数及び配置を検出する。
【0030】
次に、小画像17の周囲に記録されている文字情報等の微小情報についても検出すべく、ステップ22の全画像領域シード、すなわち取り込んだ画像中の複数の小画像を包含する全画像領域を検出するための前段階のシード(種)の検出について、図12、図13に基づいて以下に詳細に説明する。
図12は、画像取込部2がフィルムから取り込んだ画像を、背景検出手段4が、前述した図8のごとく、背景明度以外の明度を有する部分として予め設定した設定値(微小情報も検出するために、前述した設定値44とは異なる設定値とする)よりも大きい明度の頻度を有する短冊状領域を縦と横について求め、これを縦のスキャンライン11及び横のスキャンライン12として検出した状態を表している。この状態では、縦のスキャンライン11と横のスキャンライン12とが2層構造となって検出される。また、フィルムのタイトルが記録されている上部のタイトル部13も、横のスキャンラインの一つとして検出される。
【0031】
図13は、背景検出手段4が、図12で検出した縦のスキャンライン11と横のスキャンライン12とを同一平面上で結合して、その重なり合った領域を全画像領域シード14として検出する状態を表している。更に背景検出手段4は、重なり合った領域で面積が大きい領域群を、横方向に3列、縦方向に4行配置された合計12個の小画像17として抽出する。
【0032】
前記ステップ23の全画像領域検出について、図14、図15に基づいて以下に詳細に説明する。
図14は、背景検出手段4が、図12で検出した縦横の全スキャンライン部分から、画像が記録されていない領域を除外するために、縦横のスキャンライン11、12における交差していない一方だけのスキャンライン部分15を除外するとともに、上部のタイトル部13を含む横のスキャンラインについても、画像、文字情報の周期性を持った他の横のスキャンライン12とパターンが異なっていることを検出して除外し、全画像領域シード14を抽出した、全画像領域を検出する直前の状態を表している。
【0033】
図15は、背景検出手段4が、図14で抽出した全画像領域シード14について、その最外周を矩形に囲繞する境界を設定して、その内側を全画像領域16として検出する状態を表している。
【0034】
前記ステップ24の仮分割線決定について、図16に基づいて以下に詳細に説明する。
図16は、画像分割手段5が、図15までにおいて背景検出手段4が検出した全画像領域16中に横に3列、縦に4行配置された小画像17を、仮分割線18、19により均等に分割することを表している。具体的には、全画像領域16の横幅を均等間隔で3分割する2本の縦の仮分割線18と、全画像領域16の縦幅を均等間隔で4分割する3本の横の仮分割線19とを設定するものである。
【0035】
前記ステップ27の合成分割矩形生成について、図17、図18に基づいて以下に詳細に説明する。
図17は、画像分割手段5が、図16の仮分割線18、19と図14の全画像領域シード14とを重ね合わせて、合成分割矩形を生成する状態を表している。
【0036】
図18は、画像分割手段5が、図17の仮分割線18、19で区分けされた領域に位置する、周囲に微小情報領域(本実施形態ではそれぞれ8個)を有する小画像17について、該小画像17と周囲の微小情報領域とを1個の画像に合成して、12個の小画像領域20として検出するものである。
【0037】
このようにして検出された小画像領域20の画像例が、図19に示すものであり、中央に小画像17を配置し、その周囲に小画像17に付随する微小な文字情報21が記録されているものである。この文字情報21を小画像17と一体にして正確に切り抜くためには、小画像17を挟んで対角線上に位置していることが必要であり、且つその文字情報21の配置が1枚のフィルムにおいて小画像17ごとにある程度似通っていることが必要になる。これは、背景検出手段4がタイトル部13を除外するためには、画像、文字情報に周期性を持たせることが必要となるためである。
【0038】
<中精度分割モード>
図20は、画像分割手段5が上記ステップ4の中精度分割モードで分割する動作フロー図であり、このフローは、背景検出手段4が、画像取込部2が取り込んだ画像中の背景明度を検出するステップ31と、背景検出手段4が、背景が存在するか否か、すなわち背景明度が検出できたかどうかを判定するステップ32とを備えて、検出できなかった場合は、その旨のエラーを画面等に表示して処理を終了し、検出できた場合は次のステップ33を実行する。
【0039】
前記ステップ33に続くフローは、背景検出手段4が、背景明度の範囲が予め設定された設定範囲よりも大きいか否かの判定を行うステップ33と、設定範囲よりも小さい場合に分割画像のコア部を検出するステップ34と、設定範囲よりも大きい場合に背景検出をリトライするステップ35と、背景検出手段4が、背景明度の決定ができたか否かを判定するステップ36とを備えて、このステップ36で背景明度が決定できなかった場合は、エラーが発生したとしてその旨を画面等に表示して処理を終了し、背景明度の決定ができた場合はステップ34を実行する。
【0040】
前記ステップ34に続くフローは、画像分割手段5が、分割画像コア部を拡大した矩形を検出するステップ37と、画像分割手段5が、後述する拡大矩形71、結合矩形81の個数をカウントして、個数が1個であるか否かの判定を行うステップ38と、個数が1個の場合は、その旨を画面等に表示して処理を終了し、個数が1個でない場合に、画像分割手段5が、画像領域中の各小画像を分割するための分割線を生成してチェックするステップ39を備える。この際、画像分割手段5は、生成した分割線が最終矩形と交わっている場合は、分割線の交わっている部分を削除する。
これにより、小画像が格子状にきちんと整列していなくても、正確に小画像を分割するための分割線を生成することができる。
【0041】
図21は、前記ステップ31の背景明度検出の動作フロー図であり、このフローは、背景検出手段4が画像取込部2で取り込んだ画像を構成する画像の明度の頻度分布を求めるステップ41と、明度の頻度の平均値を求めるステップ42と、明度の頻度の平均値より多い頻度を有する明度を背景明度とするステップ43を備える。図8の画素の明度の頻度分布に示すごとく、背景明度が暗い場合に、明度の暗い部分にピークが存在し、そのピークのある明度の暗い部分以外には特にピークのない頻度分布となることが多い。これは、背景明度は全て同じなので、背景明度の頻度は高くなるのに対し、画像部分は多くの場合多種多様な明度が存在するので、背景明度と比較して頻度が高くならないからである。
【0042】
次に、ステップ42において背景検出手段4は、頻度の平均値31を求める。背景検出手段4は、頻度の平均値を超えた頻度を有する明度を背景明度とする。
背景明度は、暗い場合だけでなく、明るい場合や、任意の明度の場合でも同様であり、発明者は画像明度の平均値を超えた頻度を有する明度から、正確且つ容易に背景明度を検出することが可能となった。
【0043】
また、画像領域に枠の部分がなくて全て画像の場合には、背景検出手段4は背景明度を検出することができないが、この場合には、明度の頻度分布において、明度の頻度平均値を超えた頻度を有する明度が、1個所にまとまることなく全般的に分布することになる。背景検出手段4は、このような明度の頻度分布の場合には、背景が存在しないと判断することができる。
【0044】
前記ステップ34の分割画像コア部の検出について、図9に示すごとく、画像分割手段5は、画像領域をY軸に平行な細かな短冊状領域ごとに背景明度以外の明度の頻度を求めて、これをヒストグラム41として表す。
【0045】
同様に、画像分割手段5は、画像領域をX軸に平行な細かな短冊状領域ごとに背景明度以外の明度の頻度を求めて、これをヒストグラム42として表す。
【0046】
画像分割手段5は、このようにして得られたヒストグラム41、42において、予め設定された設定値よりも大きい頻度を有する短冊状領域を求め、その短冊状領域の交差する部分を分割画像コア部43として検出する。この設定値は、前述した小画像を検出するための設定値44とは異なり、小画像に加え文字情報等の微小情報も検出し得る明度の頻度の設定とするものである。
【0047】
前記ステップ37のコア部を拡大した矩形検出について、図10に示すごとく、画像分割手段5は、画像領域中の分割画像コア部43の4個の頂点(A、B、C、D)について、分割画像コア部43を構成する矩形ABCDの外側方向に、背景明度に達するまで伸長させていく。更に詳しく頂点Aを矩形ABCDの外側方向であってY軸方向に明度が背景明度になるまで伸長させ、背景明度になった点をAyとする。同様に、頂点Aを矩形ABCDの外側方向であってY軸方向に明度が背景明度になるまで伸長させ、背景明度になった点をAxとする。同じ操作を残りの頂点B、C、Dについても行う。
このようにして得られたAx、Ay、Bx、By、Cx、Cy、Dx、Dyの全てを包含し、且つ面積が最小となる矩形として拡大矩形51を検出する。
【0048】
このようにして各分割画像コア部63を拡大していくと、拡大矩形51同士で重なり合う場合が生じる。その場合には、図11の拡大矩形の結合説明図に表すように、画像分割手段5は、重なり合った全ての拡大矩形51を含み、面積が最小となる矩形の結合矩形61を検出するものである。
【0049】
前記ステップ38の矩形の個数の判断において、このようにして最終的に得られた拡大矩形51、結合矩形61の個数をカウントし、その個数が1個であるか否かの判断を行う。そして、個数が1個と判断された場合は、その旨を画面等に表示して処理を終了し、個数が1個でないと判断された場合は、ステップ39で、画像分割手段5は、画像領域中の各小画像領域を分割するための分割線を生成する。分割線は、隣り合う最終矩形の対向する辺と辺の真ん中に設けることができる。この際、画像分割手段5は、生成した分割線のチェックを行い、分割線が最終矩形と交わっている場合は、分割線の交わっている部分を削除して処理を終了する。これにより、小画像領域が格子状に整列していなくても、正確に小画像領域を分割するための分割線を生成することができる。
【0050】
このように本発明の画像処理装置における中精度分割モードにあっては、前述した高精度分割モードで画像を分解しない場合に、取り込んだ画像から背景明度を検出し、この背景明度以外の明度の頻度分布を求めることによって、文字情報等の微小情報を付随する小画像領域の配置を正確に検出し、小画像領域の分割、小画像領域を分割するための分割線の生成等を容易にかつ正確に行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の画像処理装置、処理方法及び処理プログラムは、図1に示すように、コンピュータのCPU、メモリ、補助記憶装置、ディスプレイ、入力デバイス等を含むハードウェア資源上に構築されたOS、アプリケーション、データベース、ネットワークシステム等によって実現されるものであり、画像処理が上記のハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであるから、自然法則を利用した技術的思想に該当するものであり、コンピュータ製造等の産業において利用することができるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 画像処理装置
2 画像取込部
3 画像処理部
4 背景検出手段
5 画像分割手段
11 スキャンライン
12 スキャンライン
13 タイトル部
14 全画像領域シード
15 スキャンライン部分
16 全画像領域
17 小画像
18 仮分割線
19 仮分割線
20 小画像領域
21 文字情報
31 頻度平均値
32 背景明度の範囲
41 ヒストグラム
42 ヒストグラム
43 分割画像コア部
51 拡大矩形
61 結合矩形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を取り込む画像取込部と、
取り込んだ画像の領域中の画像以外の背景部分を検出する背景検出手段と、前記取り込んだ画像中に含まれる画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割する画像分割手段と、からなる画像処理部と、を備えた画像処理装置であって、
前記背景検出手段は、前記取り込んだ画像の明度の頻度分布から背景部分を検出し、
前記画像分割手段は、前記背景検出手段が検出した前記背景部分以外の画像領域から背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像を検出し、
かつ前記取り込んだ画像を前記背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像及び前記文字情報を含んで縦方向と横方向に分割してなる帯状領域を、縦のスキャンライン及び横のスキャンラインとして検出し、
該縦のスキャンライン及び横のスキャンラインを重ね合わせて重なり合った領域を、前記複数の小画像を包含する全画像領域を抽出するための全画像領域シードとして検出し、
該全画像領域シードの最外周を矩形に囲繞する境界を設定してその内側を全画像領域とし、
該全画像領域中に前記文字情報を付随した各小画像が均等な面積の領域を有して中央近傍に配置されるべく、前記全画像領域と前記小画像の配置とから前記全画像領域を縦横に均等に分割する仮分割線を設定し、
該仮分割線で前記全画像領域シードを分割して、前記文字情報を付随する各小画像を分割し、該小画像及び付随する前記文字情報を合成して小画像領域を検出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記背景検出手段は、取り込んだ画像を構成する画素の明度の頻度分布と、前記明度の頻度の平均値とを求め、該平均値を超えた頻度を有する明度を背景部分の明度である背景明度として検出することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像分割手段は、前記取り込んだ画像を構成する画素の明度のうち、背景明度以外の明度の頻度分布を求め、該頻度分布に基づいて前記取り込んだ画像の画像領域中における予め設定した設定値を超える明度の頻度から前記小画像の配置を求めることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記背景検出手段は、全画像領域シードにおける周期性を求め、全画像領域シード中の周期性のない単独のタイトル部を除外することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像分割手段は、仮分割線が全画像領域シードを貫く場合に、隣接する小画像領域同士の間隔が狭いものと判断して全画像領域シードの全領域を、検出した小画像の数に応じて等間隔に分割して小画像領域とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像を取り込む画像取込部と、
取り込んだ画像の領域中の画像以外の背景部分を検出する背景検出手段と、前記取り込んだ画像中に含まれる画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割する画像分割手段と、からなる画像処理部と、を備えた画像処理装置を用いて画像を処理する方法であって、
前記背景検出手段により、前記取り込んだ画像の明度の頻度分布から背景部分を検出し、
前記画像分割手段により、前記背景検出手段が検出した前記背景部分以外の画像領域から背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像を検出し、
かつ前記取り込んだ画像を背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像及び前記文字情報を含んで縦方向と横方向に分割してなる帯状領域を、縦のスキャンライン及び横のスキャンラインとして検出し、
該縦のスキャンライン及び横のスキャンラインを重ね合わせて重なり合った領域を前記複数の小画像を包含する全画像領域を抽出するための全画像領域シードとして検出し、
該全画像領域シードの最外周を矩形に囲繞する境界を設定してその内側を全画像領域とし、
該全画像領域中に前記文字情報を付随した各小画像が均等な面積の領域を有して中央近傍に配置されるべく、前記全画像領域と前記小画像の配置とから前記全画像領域を縦横に均等に分割する仮分割線を設定し、
該仮分割線で前記全画像領域シードを分割して、前記文字情報を付随する各小画像を分割し、該小画像及び付随する前記文字情報を合成して小画像領域を検出することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
前記背景検出手段により、取り込んだ画像を構成する画素の明度の頻度分布と、前記明度の頻度の平均値とを求め、該平均値を超えた頻度を有する明度を背景部分の明度である背景明度として検出することを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記画像分割手段により、前記取り込んだ画像を構成する画素の明度のうち、背景明度以外の明度の頻度分布を求め、該頻度分布に基づいて前記取り込んだ画像の画像領域中における予め設定した設定値を超える明度の頻度から前記小画像の配置を求めることを特徴とする請求項6又は7記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記背景検出手段により、全画像領域シードにおける周期性を求め、全画像領域シード中の周期性のない単独のタイトル部を除外することを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記画像分割手段により、仮分割線が全画像領域シードを貫く場合に、隣接する小画像領域同士の間隔が狭いものと判断して全画像領域シードの全領域を、検出した小画像の数に応じて等間隔に分割して小画像領域とすることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載の画像処理方法。
【請求項11】
取り込んだ画像から画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割させる画像処理プログラムであって、
画像を取り込む画像取込部と、
取り込んだ画像の領域中の画像以外の背景部分を検出する背景検出手段と、前記取り込んだ画像中に含まれる画像情報を有する複数の小画像及び該小画像に付随する文字情報を小画像ごとに分割する画像分割手段と、からなる画像処理部と、を備えた画像処理装置において、
前記背景検出手段により前記取り込んだ画像の明度の頻度分布から背景部分を検出するステップと、
前記画像分割手段により前記背景検出手段が検出した前記背景部分以外の画像領域から背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像を検出するステップと、
前記画像分割手段により前記取り込んだ画像を前記背景部分以外の明度の頻度分布を用いて前記小画像及び前記文字情報を含んで縦方向と横方向に分割してなる帯状領域を、縦のスキャンライン及び横のスキャンラインとして検出するステップと、
前記画像分割手段により前記縦のスキャンライン及び横のスキャンラインを重ね合わせて重なり合った領域を、前記複数の小画像を包含する全画像領域を抽出するための全画像領域シードとして検出するステップと、
前記画像分割手段により前記全画像領域シードの最外周を矩形に囲繞する境界を設定してその内側を全画像領域とするステップと、
前記画像分割手段により前記全画像領域中に前記文字情報を付随した各小画像が均等な面積の領域を有して中央近傍に配置されるべく、前記全画像領域と前記小画像の配置とから前記全画像領域を縦横に均等に分割する仮分割線を設定するステップと、
前記画像分割手段により前記仮分割線で前記全画像領域シードを分割して、前記文字情報を付随する各小画像を分割し、該小画像及び付随する前記文字情報を合成して小画像領域を検出するステップと、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図20】
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【図21】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−271802(P2010−271802A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121450(P2009−121450)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
【Fターム(参考)】