説明

画像処理装置、動画生成方法、および、プログラム

【課題】より娯楽性や実用性のある画像表現を実現する。
【解決手段】動画データ取得部211は、撮像部100の撮像動作によって、一連の動画シーケンスが記録された動画像データを取得すると、画像選択合成部212は、当該動画像データを構成しているフレーム画像を画像メモリ230のバッファ領域に時系列に展開する。画像選択合成部212は、展開したフレーム画像のうち、動画シーケンス上での記録タイミングが異なる2以上のフレーム画像を選択し、複数の表示枠のそれぞれに割り当てて合成する。動画データ生成部213は、合成された画像をフレーム画像とした動画像データを生成する。動画再生部214は、動画データ生成部213が生成した動画像データを再生し、再生中に表示枠が選択されることで、早送りや早戻しなどの画面遷移や静止画像の記録などをおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、動画生成方法、および、プログラムに関し、特に、多様な画像表現に好適な画像処理装置、動画生成方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スチルカメラやビデオカメラのデジタル化によって、撮像画像の加工が容易におこなえるようになり、多様な画像表現が可能となっている。この結果、娯楽性や実用性のある画像表現をおこなえることが、デジタルカメラなどの撮像装置における重要な付加価値となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、動画再生時に早送りや逆早送りをおこなっている場合に、より容易に所望する位置から通常再生できるよう、親画面に表示されている動画とは時間差のある動画を子画面に表示する技術が開示されている。このような技術は、デジタル化によってもたらされた加工容易性により実現されたものであり、動画再生時の実用性向上に寄与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−324850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、デジタル画像データの利点を活用して、より娯楽性や実用性のある画像表現を実現することのできる画像処理装置、動画生成方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる画像処理装置は、
一連の動画シーケンスが記録された動画像データを取得する動画像データ取得手段と、
前記動画像データ取得手段が取得した動画像データを構成しているフレーム画像を、前記動画シーケンス上の時系列で展開してバッファするバッファ手段と、
前記バッファ手段が展開したフレーム画像から、前記動画シーケンス上での記録タイミングが異なる2以上のフレーム画像を選択する画像選択手段と、
複数の表示枠を有する表示画面を生成し、前記画像選択手段が選択した複数のフレーム画像のそれぞれを、前記表示枠のそれぞれに割り当てて合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段によって合成された表示画面をフレーム画像とした動画像データを生成する動画生成手段と、
少なくとも、前記画像合成手段が生成した表示画面毎の識別情報と、該表示画面の表示枠それぞれを示す識別情報と、該表示枠に割り当てたフレーム画像を示す識別情報と、前記動画シーケンス上での時系列を示す時系列情報と、を対応づけた対応情報を生成し、前記動画生成手段が生成した動画像データとともに記録する対応情報記録手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記画像処理装置において、
前記画像選択手段は、前記バッファ手段が展開したフレーム画像の時系列に基づいて、所定の時間差で記録されたフレーム画像を複数選択することが望ましい。
【0008】
上記画像処理装置において、
前記画像合成手段は、前記画像選択手段が選択したフレーム画像のうち、基準となる記録タイミングを起点としたシーケンスを構成するフレーム画像が割り当てられる少なくとも一の主表示枠と、該主表示枠に割り当てられたフレーム画像とは記録タイミングの異なるフレーム画像が割り当てられる1以上の副表示枠と、を有する表示画面を生成することが望ましい。
【0009】
上記画像処理装置は、
前記動画生成手段が生成した動画像データを再生し、前記表示画面の副表示枠が選択可能となるよう表示装置に表示出力する再生手段をさらに備えていることが望ましく、この場合、
該再生手段は、表示出力する表示画面上で副表示枠が選択された場合、前記対応情報に基づいて、選択された副表示枠に割り当てられているフレーム画像が前記主表示枠に割り当てられている表示画面を特定し、該特定した表示画面から再生されるよう表示出力することが望ましい。
【0010】
上記画像処理装置は、
前記動画生成手段が生成した動画像データを再生し、前記表示画面の副表示枠が選択可能となるよう表示装置に表示出力する再生手段をさらに備えていることが望ましく、この場合、
該再生手段は、表示出力する表示画面上で副表示枠が選択された場合、前記対応情報に基づいて、選択された副表示枠に割り当てられているフレーム画像が前記主表示枠に割り当てられている表示画面を特定し、該特定した表示画面の前記主表示枠に割り当てられているフレーム画像を記録することが望ましい。
【0011】
上記画像処理装置において、
前記動画像データ取得手段は、
撮像動作によって一連の動画シーケンスを記録して前記動画像データを生成する撮像手段をさらに備えていてもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかる動画生成方法は、
一連の動画シーケンスが記録された動画像データを取得する動画像データ取得ステップと、
前記動画像データ取得ステップで取得された動画像データを構成しているフレーム画像を、前記動画シーケンス上の時系列で展開してバッファするバッファステップと、
前記バッファステップで展開されたフレーム画像から、前記動画シーケンス上での記録タイミングが異なる2以上のフレーム画像を選択する画像選択ステップと、
複数の表示枠を有する表示画面を生成し、前記画像選択ステップで選択された複数のフレーム画像のそれぞれを、前記表示枠のそれぞれに割り当てて合成する画像合成ステップと、
前記画像合成ステップで合成された表示画面をフレーム画像とした動画像データを生成する動画生成ステップと、
少なくとも、前記画像合成ステップで生成された表示画面毎の識別情報と、該表示画面の表示枠それぞれを示す識別情報と、該表示枠に割り当てたフレーム画像を示す識別情報と、前記動画シーケンス上での時系列を示す時系列情報と、を対応づけた対応情報を生成し、前記動画生成ステップで生成された動画像データとともに記録する画像情報記録ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
コンピュータに、
一連の動画シーケンスが記録された動画像データを取得する機能と、
取得した動画像データを構成しているフレーム画像を、前記動画シーケンス上の時系列で展開してバッファする機能と、
展開されたフレーム画像から、前記動画シーケンス上での記録タイミングが異なる2以上のフレーム画像を選択する機能と、
複数の表示枠を有する表示画面を生成し、前記選択された複数のフレーム画像のそれぞれを、前記表示枠のそれぞれに割り当てて合成する機能と、
合成された表示画面をフレーム画像とした動画像データを生成する機能と、
少なくとも、生成した表示画面毎の識別情報と、該表示画面の表示枠それぞれを示す識別情報と、該表示枠に割り当てたフレーム画像を示す識別情報と、前記動画シーケンス上での時系列を示す時系列情報と、を対応づけた対応情報を生成し、前記生成した動画像データとともに記録する機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より娯楽性や実用性のある画像表現を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す制御部によって実現される機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる第2のフレーム画像の構成例を説明するための図である。
【図4】図1に示す制御部によって生成される対応情報の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1にかかる「多元同時再生用データ生成処理」を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2にかかる「多元同時再生処理」を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6に示す「多元同時再生処理」での再生画面の例を示す図であり、(a)は、再生開始時に表示される画面の例を示し、(b)および(c)は、2フレーム以降が再生されている際の画面変化の例を示す。
【図8】図6に示す「多元同時再生処理」での再生画面の例を示す図であり、(a)は、副表示枠が選択された際の画面の例を示し、(b)は、選択された副表示枠に基づいた画面遷移後の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる実施形態を、図面を参照して以下に説明する。本実施形態では、本発明をデジタルカメラによって実現した場合を例示する。本実施形態にかかるデジタルカメラ1は、少なくとも、動画撮像機能を有しているものとする。すなわち、本実施形態にかかるデジタルカメラ1は、動画撮像を主機能とするデジタルビデオカメラによって実現可能であることはもとより、動画撮像機能を有するデジタルスチルカメラによって実現することもできる。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかるデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるデジタルカメラ1の概略的構成は、図示するように、撮像部100、データ処理部200、I/F(インタフェース)部300、などである。
【0018】
撮像部100は、デジタルカメラ1の撮像動作をおこなう部分であり、図示するように、光学装置110、光学駆動部120、イメージセンサ130、などから構成される。
【0019】
光学装置110は、レンズや絞り機構などといった撮像にかかる光学部材から構成され、例えば、モータやアクチュエータ、駆動回路(ドライバ)などから構成された光学駆動部120によって駆動制御される。すなわち、光学駆動部120によって駆動制御された光学装置110の動作により、入射光が集光されるとともに、焦点距離や絞りなどといった、画角やピント、露出などにかかる光学的要素の調整がなされる。光学装置110によって集光された入射光は、イメージセンサ130上に結像される。
【0020】
イメージセンサ130は、光学装置110によって結像された被写体像を示す電気信号を生成する固体撮像素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementally Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)など)であり、画素に対応する受光素子(フォトダイオードなど)での露光に応じた電荷を発生させる光電変換をおこなうことで、被写体像を示す電気信号を生成する。
【0021】
データ処理部200は、撮像部100による撮像動作によって生成された電気信号を処理し、撮像画像を示すデジタルデータを生成するとともに、撮像画像に対する画像処理などをおこなう。図1に示すように、データ処理部200は、制御部210、アナログフロントエンド(AFE:Analog Front-End)220、画像メモリ230、画像処理部240、画像出力部250、記憶部260、などから構成される。
【0022】
制御部210は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)などのプロセッサや、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置(メモリ)、などから構成され、後述する記憶部260などに格納されているプログラムを実行することで、デジタルカメラ1の各部を制御する。また、本実施形態では、所定のプログラムを実行することで、後述する各処理を実行するための機能が制御部210によって実現される。
【0023】
AFE220は、イメージセンサ130が出力するアナログ画像信号をデジタル画像データに変換する動作などをおこなう。この場合、AFE220は、例えば、タイミングジェネレータやサンプルホールド回路、増幅回路、などから構成され、制御部210からの指示に基づいて動作することで、イメージセンサ130の動作と同調したデジタル変換処理をおこない、生成されたデジタル画像データを画像メモリ230に出力する。
【0024】
画像メモリ230は、RAMやフラッシュメモリなどの半導体記憶装置から構成され、AFE220によって変換されたデジタル画像データを展開する。また、本実施形態では、本発明にかかる処理(詳細後述)で用いられるバッファメモリとして画像メモリ230が機能する。すなわち、後述する処理で利用されるバッファ領域が、必要に応じて画像メモリ230内に確保される。
【0025】
画像処理部240は、画像処理用のプロセッサ(いわゆる、画像処理エンジン)、などから構成され、画像メモリ230に展開されたデジタル画像データに対する各種の画像処理をおこなう。ここでは、ホワイトバランスや画質などの調整やデータ圧縮などがおこなわれる。
【0026】
画像出力部250は、例えば、RGB信号(画像信号)の生成回路などから構成され、画像メモリ230に展開されている画像処理後のデジタル画像データをRGB信号に変換し、後述する表示部310や外部I/F(インタフェース)330などに出力することで、撮像画像の表示出力をおこなう。
【0027】
記憶部260は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの記憶装置から構成され、デジタルカメラ1の動作に必要なプログラムやデータなどを格納する。本実施形態では、制御部210などが実行する動作プログラムや処理に必要となるパラメータや演算式などが記憶部260に格納されているものとする。
【0028】
I/F部300は、デジタルカメラ1とその使用者あるいは外部装置とのインタフェースにかかる構成であり、図1に示すように、表示部310、操作部320、外部I/F(インタフェース)330、などから構成される。
【0029】
表示部310は、例えば、液晶表示装置などから構成され、デジタルカメラ1を操作するために必要な種々の画面や、撮影時のライブビュー画像(ファインダ画像)、取得した画像の再生画面、などを表示出力する。本実施形態では、画像出力部250からの画像信号(RGB信号)などに基づいて撮像画像等の表示出力がおこなわれる。
【0030】
操作部320は、デジタルカメラ1の外面上に構成されている各種ボタンなどによって構成され、デジタルカメラ1の使用者による操作に応じた入力信号を生成して制御部210に入力する。操作部320を構成するボタンとして、例えば、撮像動作の開始・停止(動画像撮像時)などを指示するためのボタン(録画ボタンやシャッタボタン)や、デジタルカメラ1の動作モードを指定するためのモードボタン、各種設定をおこなうための十字キーや機能ボタン、などが含まれているものとする。
【0031】
外部I/F330は、外部装置とのインタフェースであり、例えば、撮像画像を保存するメモリカードなどの外部記憶媒体が着脱されるカードスロットや、撮像した画像データをパーソナルコンピュータなどに転送するためのUSB(Universal Serial Bus)ポートなどから構成される。
【0032】
以上が本実施形態にかかるデジタルカメラ1を構成している主要なハードウェア構成となるが、これらは本発明を実現するために必要な構成であり、デジタルカメラ(デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ)としての基本機能や種々の付加機能に用いられる構成は必要に応じて備えられているものとする。
【0033】
以下、本発明を適用することによって、撮像した動画像における異なる撮像タイミングを起点とした複数の動画シーケンスを同時に1画面上で再生(以下、「多元同時再生」とする)することのできる動画像データを生成する手法を例示する。
【0034】
このような動作を実現するための機能は、記憶部260に格納されているプログラムを制御部210が実行することで実現される。制御部210によって実現される機能構成を図2に示す。図2は、制御部210によって実現される機能を示した機能ブロック図であり、図示するように、制御部210は、動画データ取得部211、画像選択合成部212、動画データ生成部213、動画再生部214、などとして機能する。
【0035】
動画データ取得部211は、多元同時再生の対象となる一連の動画シーケンス(以下、「フルシーケンスFS」とする)を含んだ動画像データを取得する。本実施形態では、撮像部100の撮像動作によって得られた動画像データを取得する。したがって、本実施形態にかかる動画データ取得部211は、デジタルカメラ1の撮像動作にかかる各種機能を制御するものであり、操作部320からの入力信号に基づいた動画撮像の開始・終了を示す指示に応じて撮像部100やAFE220を制御し、デジタルカメラ1における動画撮像動作を実行させる。
【0036】
このような動画撮像によって得られる動画像データを取得する場合、動画データ取得部211は、AFE220によってデジタルデータに変換され画像メモリ230に展開されているフレーム画像を、多元同時再生用に複製し、画像メモリ230によって実現されているバッファ領域に展開する。このとき、動画データ取得部211は、取得したフレーム画像(以下、「第1のフレーム画像FF」とする)を、フルシーケンスFS上の時系列に基づいて画像メモリ230に展開する。すなわち、第1のフレーム画像FFがフルシーケンスFS上で記録されたタイミングの順序で展開され、この時系列順となるよう各フレームに識別情報(以下、「フレーム番号FN1」とする)を付与する。なお、第1のフレーム画像FFのそれぞれには、少なくともそのフレーム画像が記録(撮像)された時刻を示す情報(時系列情報)が撮像動作時に付されているものとする。
【0037】
画像選択合成部212は、画像メモリ230のバッファ領域に展開された第1のフレーム画像FFから、多元同時再生用の動画像データを構成する1フレーム分の表示画面に表示するフレーム画像(第1のフレーム画像FF)を選択し、選択した複数のフレーム画像(第1のフレーム画像FF)を合成して表示画面(以下、「第2のフレーム画像SF」とする)を生成する。
【0038】
本実施形態では、例えば、図3に示すような表示画面(第2のフレーム画像SF)が画像選択合成部212によって生成される。図示するように、第2のフレーム画像SFには、フルシーケンスFSにおいて基準となる記録タイミングを起点とした動画シーケンス(以下、「基準シーケンスRS」とする)が表示される主表示枠MWと、主表示枠MWに表示される基準シーケンスRSと記録タイミングの異なる複数の動画シーケンスを表示するための複数の副表示枠SWが配置されており、本実施形態では、主表示枠MWのサイズが副表示枠SWよりも大きいものとする。
【0039】
本実施形態では、このような第2のフレーム画像SFにより、記録タイミング(撮像時刻)が1秒ずつ異なる動画シーケンスを同時に表示させるための動画像データを生成することとする。この場合、主表示枠MWには、基準となる記録タイミングが起点となる基準シーケンスRSを構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられ、副表示枠SWのそれぞれには、基準シーケンスRSの前後で1秒間隔ずつシフトした動画シーケンスのそれぞれを構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられるものとする。
【0040】
本実施形態では、基準シーケンスRSの前後4秒分の動画シーケンスが同時に再生される動画像データを生成するものとする。この場合、図3に示すように、第2のフレーム画像SFには、以下のような8つの副表示枠SWが配置される。
(1)基準シーケンスRSの4秒前の動画シーケンス(以下、「シーケンスSB4」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW1」(2)基準シーケンスRSの3秒前の動画シーケンス(以下、「シーケンスSB3」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW2」(3)基準シーケンスRSの2秒前の動画シーケンス(以下、「シーケンスSB2」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW3」(4)基準シーケンスRSの1秒前の動画シーケンス(以下、「シーケンスSB1」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW4」(5)基準シーケンスRSの1秒後の動画シーケンス(以下、「シーケンスSA1」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW5」
(6)基準シーケンスRSの2秒後の動画シーケンス(以下、「シーケンスSA2」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW6」
(7)基準シーケンスRSの3秒後の動画シーケンス(以下、「シーケンスSA3」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW7」
(8)基準シーケンスRSの4秒後の動画シーケンス(以下、「シーケンスSA4」とする)を構成する第1のフレーム画像FFが割り当てられる「副表示枠SW8」
【0041】
なお、このような副表示枠SWと、主表示枠MWとを含めた全ての表示枠についての通し番号(以下、「枠番号WN」とする)が付与されるものとする。ここでは、副表示枠SW1→主表示枠MW→副表示枠SW8の順に1〜9の枠番号WNが付与されているものとする。
【0042】
画像選択合成部212は、このような第2のフレーム画像SF(表示画面)を生成すると、第2のフレーム画像SFに識別情報(以下、「フレーム番号FN2」とする)を付与する。そして、生成した第2のフレーム画像SFと、当該第2のフレーム画像SF内の各表示枠に割り当てた第1のフレーム画像FFとを、フルシーケンスFS上での時系列によって対応づけた「対応情報」(以下、「対応情報LT」とする)を生成する。
【0043】
画像選択合成部212によって生成される対応情報LTの例を図4に示す。図示するように、対応情報LTには、動画データ取得部211が取得した動画像データを構成しているフルシーケンスFSについての情報と画像選択合成部212によって生成された第2のフレーム画像SFについての情報が対応づけられている。
【0044】
フルシーケンスFSについての情報は、例えば、当該動画シーケンスの開始からの経過時間を示す情報(時系列情報)と、フルシーケンスFSを構成している第1のフレーム画像FFを示すフレーム番号FN1(開始番号「1」)とが対応づけられている。ここで、フルシーケンスFSのフレームレートを30fpsとした場合、時系列情報によって示される1秒間の間に30フレーム分のフレーム番号FN1が記録されることになる。
【0045】
第2のフレーム画像SFについての情報は、例えば、生成された第2のフレーム画像SFを示すフレーム番号FN2が記録されるとともに、対応する第2のフレーム画像SFを構成している副表示枠SW1〜SW8および主表示枠MWに割り当てられた第1のフレーム画像FFがフレーム番号FN1によって記録されている。画像選択合成部212は、第1のフレーム画像FFと同数の第2のフレーム画像SFを順次生成しながら対応情報LTを更新する。
【0046】
動画データ生成部213は、画像選択合成部212によって生成された複数の第2のフレーム画像SFを各フレームとした動画シーケンスとなる動画像データを生成する。すなわち、一連の動画シーケンスにおける異なるタイミングを始点とする複数の動画シーケンスが、図3に示すような表示画面によって同時に再生表示される動画像データ(以下、「多元同時再生用データ」とする)が生成される。この場合、動画データ生成部213は、所定の動画フォーマット(例えば、MPEGなどのような汎用的な動画フォーマット)に応じたエンコードをおこなうことで多元同時再生用データを生成し、対応情報LTとともに、記憶部260もしくは外部I/F330に接続されているメモリカードなどに保存する。
【0047】
動画再生部214は、動画データ生成部213によって生成された多元同時再生用データを含む動画ファイルを再生する動作をおこなう。すなわち、再生対象となる動画ファイルのフォーマットに応じたデコード動作をおこなうことでフレーム画像を順次再生し、画像出力部250を制御することで表示部310に表示出力する。この動作は、既知のデコードアルゴリズムなどを利用することで実現されるものとする。
【0048】
以上が制御部210によって実現される機能である。なお、本実施形態では、制御部210がプログラムを実行することによる論理的処理で上述した各機能が実現されるものとするが、これらの機能を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などのハードウェアによって構成してもよい。
【0049】
(実施形態1)
このような構成のデジタルカメラ1による動作例を以下に説明する。ここでは、デジタルカメラ1による動画撮像動作時に制御部210によって実行される「多元同時再生用データ生成処理」を、図5のフローチャートを参照して説明する。本実施形態にかかるデジタルカメラ1の動画撮像機能には、上述したような多元同時再生用データを生成するモードが用意されているものとし、このモードが選択されたことを契機に「多元同時再生用データ生成処理」が開始されるものとする。
【0050】
処理が開始されると、動画データ取得部211が画像出力部250を制御することにより、本処理にて生成する多元同時再生用データについての設定を使用者におこなわせるための設定画面を表示部310に表示する(ステップS101)。
【0051】
この設定画面では、例えば、多元同時再生用データの生成に用いられる動画のフレームレートの値(fps)や、生成される多元同時再生用データを再生したときに表示する表示枠の数、表示枠への画像割り当て規則、などについての入力項目が表示される。ここで、「表示枠への画像割り当て規則」は、例えば、「時間間隔:1秒」などの規則である。本実施形態では、上述したように、主表示枠MWに表示する動画シーケンス(基準シーケンスRS)の4秒前から4秒後の間の1秒間隔で、時間差のある動画シーケンスが各副表示枠SWに表示されるものとする。この場合、表示枠数の設定は、「主表示枠:1、副表示枠:8」となる。また、フレームレートは、一般的なフレームレートである30fpsとする。
【0052】
デジタルカメラ1の使用者が、操作部320を操作することで、このような設定内容を入力し、入力内容の確定を示す操作をおこなうと(ステップS102:Yes)、操作部320により、当該入力操作に応じた入力信号が制御部210に入力される。この場合、動画データ取得部211は、入力された設定内容を画像選択合成部212に通知する。
【0053】
動画データ取得部211からの通知に応じて、画像選択合成部212は、設定内容に応じた対応情報LTのフォーマットを生成する(ステップS103)。すなわち、フレームレートに基づいて、単位時間(例えば、1秒間)に生成される第1のフレーム画像FFの数を決定するとともに、所望される表示枠の数に応じて対応情報LTのレコード数やフィールド数などを決定する。画像選択合成部212は、このような決定事項を反映したフォーマット(テーブル)を生成すると、制御部210のメモリ領域などに保持し、対応情報LTのテーブル上でフレームを指定するフレームポインタPを初期化する(ステップS104)。ここでは、先頭フレームのフレーム番号FN1を「1」とするので、初期値「1」がフレームポインタPに指定される。
【0054】
このようにして、対応情報LTの準備ができると、画像選択合成部212はその旨を動画データ取得部211に通知する。動画データ取得部211は、画像出力部250を制御することで、動画撮像の開始可能である旨を表示部310に表示する。デジタルカメラ1の使用者は、この表示を視認した後、所望する撮像開始タイミングで操作部320の録画開始ボタンを操作する。
【0055】
録画開始ボタンが操作されると、その旨を示す入力信号が操作部320から制御部210に入力され、動画データ取得部211は、撮像開始指示がなされたものと判別する(ステップS105:Yes)。この場合、動画データ取得部211が、撮像部100およびAFE220を制御することで、動画撮像が開始される(ステップS106)。
【0056】
動画撮像が開始されると、撮像によって生成された第1のフレーム画像FFが順次画像メモリ230に展開され、時系列順にフレーム番号FN1が付与される。画像選択合成部212は、画像メモリ230にアクセスし、ステップS104で指定されたフレームポインタPの値がフレーム番号FN1となっている第1のフレーム画像FFを特定して取得する(ステップS107)。ここでは、取得した第1のフレーム画像FF(FN1=P)を複製し、画像メモリ230に用意されているバッファ領域に展開する。
【0057】
ここで、画像選択合成部212は、メモリに保持している対応情報LTを更新する(ステップS108)。ここでは、図4に例示する対応情報LTのうち、フルシーケンスFSについての経過時間と取得した第1のフレーム画像FFのフレーム番号FN1とを対応づけて記録する。
【0058】
本実施形態では、図3に示すような表示画面(第2のフレーム画像SF)により、基準シーケンスRSの4秒前からの毎秒と、基準シーケンスRSの4秒後までの毎秒についての動画シーケンスを同時に表示させるが、このような時間差のうち最も後になる動画シーケンス(本例の場合、基準シーケンスRSから4秒後となるシーケンスSA4)が、該当する副表示枠SW(本例の場合、副表示枠SW8)で当初から表示され、1秒経過する毎に、基準シーケンスRSの3秒後であるシーケンスSA3、2秒後のシーケンスSA2、1秒後のシーケンスSA1、基準シーケンスRS、基準シーケンスRSの1秒前であるシーケンスSB1、2秒前のシーケンスSB2、3秒前のシーケンスSB3、4秒前のシーケンスSB4、という順で、各動画シーケンスの再生が順次開始されるものとする。
【0059】
ここで、多元同時再生用データを構成する最初のフレーム(フレーム番号FN2が「1」となる第2のフレーム画像SF)のすべての表示枠には、フルシーケンスFSから取得された最初の第1のフレーム画像FF、すなわち、フレーム番号FN1が「1」の第1のフレーム画像FFが表示されることとする。この場合、例えば、図4に示すように、フレーム番号FN2が「1」の第2のフレーム画像SFの各表示枠には、フレーム番号FN1が「1」の第1のフレーム画像FFを示す「1」が記録されることになる。
【0060】
このように、フレーム番号FN1がPの第1のフレーム画像FFをステップS107で取得した段階で、その番号を割り当てる表示枠が明確である場合には、画像選択合成部212は、ステップS108の時点で割り当て可能な範囲で、P番目の第1のフレーム画像FFがどの表示枠に割り当てられるかを対応情報LTに記録する。
【0061】
ここで、対応情報LT上においては、設定されたフレームレートと表示枠の数(=枠番号WN)から、割り当てる画像のフレーム番号FN1を数式によって指定することができる。ここでは、フレームレートの数値をf、枠番号WNの最大値をwmax、割り当て対象となる表示枠の枠番号WNをwtgt、当該表示枠に割り当てる第1のフレーム画像FFのフレーム番号FN1の値をn、当該第2のフレーム画像SFのフレーム番号FN2の値をm、とした場合、以下の数式によってnを求めることができる。
【0062】
(数1)
n=m−{(wmax−wtgt)×f}
なお、n<1の場合は、nに1を代入(n=1)する。
【0063】
多元同時再生用として画像メモリ230のバッファ領域に展開した第1のフレーム画像FFについて、対応情報LT上で表示枠に割り当てると、画像選択合成部212は、図3に示すような第2のフレーム画像SFを生成し、対応情報LTに基づいて、各表示枠に当該第1のフレーム画像FFを割り当てて合成する(ステップS109)。例えば、フレーム番号FN2が「1」の第2のフレーム画像SFについては、フレーム番号FN1が「1」の第1のフレーム画像FFをすべての表示枠に割り当てるので、画像選択合成部212は、画像メモリ230のバッファ領域に展開している当該第1のフレーム画像FFを、各表示枠の大きさに合うようリサイズなどした上ではめ込んで合成する。
【0064】
このようにして、1枚目の第1のフレーム画像FF(フレーム番号FN1:「1」)に対応する第2のフレーム画像SF(フレーム番号FN2:「1」)を生成すると、画像選択合成部212は、生成した第2のフレーム画像SFの情報を対応情報LTに記録して更新する(ステップS110)。
【0065】
ここで、実行している動画撮像を終了する指示の入力がなければ(ステップS111:No)、画像選択合成部212は、フレームポインタPを+1し(ステップS112)、ステップS107以降の処理をおこなう。すなわち、フレーム番号FN1が「2」以降の各フレーム画像を順次取得し、対応情報LTに基づいた表示枠への割り当てによって第2のフレーム画像SFを順次生成し、画像メモリ230のバッファ領域に展開する。
【0066】
デジタルカメラ1の使用者が操作部320を操作し、動画撮像の停止を指示すると(ステップS111:Yes)、動画データ取得部211は、撮像部100およびAFE220を制御することで動画撮像動作を終了させる(ステップS113)。このとき動画データ取得部211は、動画撮像動作を終了させたことを画像選択合成部212と動画データ生成部213に通知する。
【0067】
この場合、画像選択合成部212は、上述したような、取得した第1のフレーム画像FFを表示枠に割り当てて第2のフレーム画像SFを生成する動作を終了する。ここまで生成された複数の第2のフレーム画像SFは、画像メモリ230のバッファ領域に展開されているので、動画データ生成部213は、これらの第2のフレーム画像SFを、フレーム番号FN2の順に再生される動画ファイルとするためのエンコードをおこなう(ステップS114)。ここでは、汎用的な動画像フォーマット(例えば、MPEGなど)に基づいたエンコードをおこなうことで、第2のフレーム画像SFをフレーム画像とした動画像データ(動画ファイル)が生成される。なお、動画データ生成部213は、生成した動画ファイルが再生される際に、各第2のフレーム画像SFを構成している副表示枠SWが選択可能となるようなエンコードをおこなうものとする。ここでは、既知のオーサリング手法などを用いることにより、表示枠が選択可能となるようエンコードする。
【0068】
このようなエンコードによって、第2のフレーム画像SFをフレーム画像とした動画ファイルを生成すると、動画データ生成部213は、当該動画ファイルを、画像選択合成部212が生成した対応情報LTとともに保存して処理を終了する(ステップS115)。この場合、デジタルカメラ1の使用者が所望する保存先に保存するものとし、例えば、デジタルカメラ1の内部にある記憶部260が保存先に指定された場合は、画像選択合成部212および動画データ生成部213は、当該動画ファイルと、対応する対応情報LTとを記憶部260内に保存する。また、メモリカードや他の機器内の記憶装置が保存先に指定されている場合は、外部I/F330を介して指定された保存先に、動画ファイルと対応情報LTを保存する。
【0069】
以上のように、本実施形態にかかる「多元同時再生用データ生成処理」をデジタルカメラ1でおこなうことで、デジタルカメラ1で撮像した動画像に含まれている一連の動画シーケンスから、複数の異なるタイミングで開始する複数の動画シーケンスが1画面上に同時に表示される画像効果を有する動画像データ(動画ファイル)を生成することができる。
【0070】
この場合において、複数の表示枠にタイミングの異なる複数の動画シーケンスを表示させる画面となるよう撮像した動画データからフレーム画像を合成し、合成後の画面がフレームとなるよう汎用的な動画フォーマットで動画像データを生成するので、当該動画像データを生成したデジタルカメラ1だけでなく、他の再生装置でも同様の画像効果となる再生をおこなうことができる。
【0071】
なお、上記本実施形態では、上述したような多元同時再生用データを生成する機能を備えた撮像装置(デジタルカメラ1)において、動画撮像と並行して多元同時再生用データを再生する場合を例示したが、多元同時再生用データを生成する装置は撮像装置に限られるものではない。すなわち、動画を構成しているフレーム画像を取得できるのであれば、すでに生成済の動画ファイルなどから多元同時再生用データを生成することができ、この場合は撮像機能を備えている必要はない。
【0072】
このような既存の動画像データから多元同時再生用データを生成する場合においても、基本的には、上述したような「多元同時再生用データ生成処理」(図5)と同様の処理によって多元同時再生用データを生成することができる。この場合は、同処理における撮像動作に代えて、取得した動画像データを再生することで各フレーム画像(第1のフレーム画像FFに相当)を展開し、これを多元同時再生用にバッファするようにすれば、第2のフレーム画像SFに相当するフレーム画像が生成され、多元同時再生用データを生成することができる。
【0073】
(実施形態2)
本実施形態では、上記実施形態1で生成された多元同時再生用データを再生する場合の処理や動作を説明する。上述したように、実施形態1で生成された多元同時再生用データ(動画ファイル)は、汎用的な動画フォーマットでエンコードされているため、デジタルカメラ1以外の装置であっても再生することができるが、本実施形態では、当該動画ファイルをデジタルカメラ1で再生する場合を例に説明する。
【0074】
多元同時再生用データを再生する際にデジタルカメラ1で実行される「多元同時再生処理」を、図6に示すフローチャートを参照して説明する。この「多元同時再生処理」は、例えば、デジタルカメラ1の動画再生機能が有効となるよう操作され、再生対象として多元同時再生用データが選択されたことを契機に開始される。
【0075】
処理が開始されると、動画再生部214は、選択された多元同時再生用データとともに保存されている対応情報LTをロードし、制御部210のメモリに保持する(ステップS201)。
【0076】
対応情報LTをロードすると、動画再生部214は画像出力部250を制御し、多元同時再生に用意されている再生モードを使用者(操作者)に選択させるためのモード選択画面を表示部310に表示する(ステップS202)。
【0077】
上記実施形態1で生成された多元同時再生用データは、上述したように、各第2のフレーム画像SF内の副表示枠SWを選択可能に再生できるようエンコードされている。このような多元同時再生用データを再生する際の再生モードとして、本実施形態では、「画面遷移モード」と「静止画記録モード」が用意されているものとする。
【0078】
「画面遷移モード」は、多元同時再生中に副表示枠SWのいずれかが選択された場合、そのとき当該副表示枠SWに表示されている画像が主表示枠MWに表示されている第2のフレーム画像SFに遷移することで、早戻し/早送りとなるように再生するモードである。
【0079】
また、「静止画記録モード」は、再生中の動画を構成するフレーム画像を静止画像として記録する動作において、選択された副表示枠SWに表示されている画像を記録するモードである。
【0080】
デジタルカメラ1の使用者は、操作部320を操作することで、これらの再生モードのうち所望するモードを選択し、選択を確定する操作をおこなうと、当該操作を示す入力信号が操作部320から制御部210に入力され、動画再生部214は、再生モードが確定されたと判別する(ステップS203:Yes)。
【0081】
再生モードが確定すると、動画再生部214は、対象となっている多元同時再生用データをデコードして再生を開始する(ステップS204)。この場合、動画再生部214は、デコードしたフレーム画像を画像メモリ230に順次展開し、画像出力部250を制御することで、図7(a)に示すような表示画面を表示部310に表示出力する。この場合において、動画再生部214は、動画データ生成部213でのエンコードに基づき、表示画面内の各副表示枠SWが、使用者が操作部320を操作することで選択可能となるように表示出力する(ステップS205)。
【0082】
このような再生動作により、一連の動画シーケンスにおける異なるタイミングを起点とする複数の動画シーケンスが、1画面上で同時に再生されることになる。例えば、上記実施形態1で例示したように、第2のフレーム画像SFの先頭ではすべての表示枠にフレーム番号FN1が「1」となる画像が表示され、時間差が最も後になる表示枠から再生が開始されるとすると、当該動画ファイルの再生開始時(すなわち、フレーム番号FN2が「1」の第2のフレーム画像SFが表示されたとき)には、図7(a)に示すように、すべての表示枠に同じ画像が表示され、フレーム番号FN2が「2」以降の第2のフレーム画像SFでは、図7(b)〜図7(c)に示すように、副表示枠SW8のみが動画として表示されることになる(図7の例では、幾何学的な形状が1秒毎に変化する様子を撮影した動画ファイルを再生しているものとする)。各表示枠における動画シーケンスの開始タイミングは1秒ずつずれているので、再生開始から8秒後にすべての表示枠で動画表示となる。
【0083】
すなわち、同じ動画シーケンスからの映像ではあるが、異なるタイミングで再生が開始された複数の動画シーケンスが1つの画面内に同時に表示される(=多元同時再生)。このような多元同時再生のときに、デジタルカメラ1の使用者が操作部320を操作することで、例えば、図8(a)に示すように、表示されている複数の副表示枠SWのうちの1を選択した場合(ステップS206:Yes)、動画再生部214は、その時点で再生を一時停止(ポーズ)する(ステップS207)。
【0084】
この場合、動画再生部214は、ステップS202で表示したモード選択画面で選択された表示モードが「画面遷移モード」であるか否かを判別する(ステップS208)。
【0085】
使用者が選択した表示モードが「画面遷移モード」である場合(ステップS208:Yes)、動画再生部214は、ステップS201でロードした対応情報LTを参照することで、選択された副表示枠SWで表示している第1のフレーム画像FFを特定する(ステップS209)。ここでは、再生開始からの経過時間と同じ経過時間を示している対応情報LT上のレコードを特定し、当該レコードにおいて、選択された副表示枠SWの欄に記録されているフレーム番号FN1により、第1のフレーム画像FFを特定する。
【0086】
選択された副表示枠SWにおける第1のフレーム画像FFを特定すると、動画再生部214は、当該第1のフレーム画像FFが主表示枠MWに表示されている第2のフレーム画像SFがいずれであるかを特定する(ステップS210)。この場合、対応情報LTの主表示枠MWの欄を走査することで、特定した第1のフレーム画像FFのフレーム番号FN1が記録されている箇所を探索するなどして、当該第1のフレーム画像FFが主表示枠MWに表示される第2のフレーム画像SFを特定する。なお、以下の数式を演算することにより移動量を算出してもよい。ここでは、フレームレートの数値をf、主表示枠MWの枠番号WNをwref、選択された副表示枠SWの枠番号WNをwsel、第2のフレーム画像SFの移動数をq、とした場合、以下の数式によってqを求めることができる。
【0087】
(数2)
q=(wsel−wref)×f
【0088】
本実施形態で例示している表示形態の場合、主表示枠MWの枠番号WNは「5」(=wref)であり、フレームレートは30fps(=f)としているので、図8(a)の例のように副表示枠SW7が選択された場合、副表示枠SW7の枠番号WNが「8」(=wsel)になるので、上記数2の演算により、画面を遷移させるための移動数はq=90となる。この場合、図8(a)に示している第2のフレーム画像SFのフレーム番号FN2に90を加算した値がフレーム番号FN2となっている第2のフレーム画像SFの主表示枠MWに、図8(a)の副表示枠SW7で表示している画像が表示されていることになる。
【0089】
なお、qの値が正の場合は、第2のフレーム画像SFのフレーム番号FN2を+qした第2のフレーム画像SFの主表示枠MWに、選択された副表示枠SWに表示している画像が表示されていることになる。また、qの値が負の場合も同様に、第2のフレーム画像SFのフレーム番号FN2を+qした第2のフレーム画像SFの主表示枠MWに、選択された副表示枠SWに表示している画像が表示されていることになる。
【0090】
このようにして、選択された副表示枠SWに表示されている画像が主表示枠MWに表示されている第2のフレーム画像SFを特定すると、動画再生部214は、特定した第2のフレーム画像SFから再生を再開する(ステップS211)。
【0091】
すなわち、主表示枠MWに表示している基準シーケンスRSよりも時間的に後となる動画シーケンスを表示している副表示枠SW5〜SW8が選択された場合にはqの値が正となり、この値の移動量で第2のフレーム画像SFを遷移させると、主表示枠MWには、時間的に後の映像が表示されることになるので、実質的に早送りをしたことになる。
【0092】
一方、主表示枠MWに表示している基準シーケンスRSよりも時間的に前となる動画シーケンスを表示している副表示枠SW1〜SW4が選択された場合にはqの値が負となり、この値の移動量で第2のフレーム画像SFを遷移させると、主表示枠MWには、時間的に前の映像が表示されることになるので、実質的に早戻しをしたことになる。
【0093】
また、使用者によって選択された再生モードが「静止画記録モード」である場合(ステップS208:No)、動画再生部214は、ステップS209およびステップS210と同様の動作によって、選択された副表示枠SWに表示されている第1のフレーム画像FFが主表示枠MWに表示される第2のフレーム画像SFを特定し(ステップS212)、当該第2のフレーム画像SFの主表示枠MWに割り当てられている第1のフレーム画像FFを、静止画像の画像データとして保存する(ステップS213)。
【0094】
本実施形態では、副表示枠SWのサイズが主表示枠MWよりも小さいため、副表示枠SWに割り当てられた第1のフレーム画像FFは縮小するようリサイズされている。よって、使用者が静止画像として記録したい画像を副表示枠SWで見つけた場合にその画像をそのまま記録しては、サイズの小さい画像が記録されてしまう。このため、当該画像が主表示枠MWに表示されている第2のフレーム画像SFを特定し、縮小されていない画像を静止画像として記録する。
【0095】
動画再生部214は、対象となる画像を、例えば、記憶部260やメモリカードなどに保存すると、ステップS207で一時停止させた第2のフレーム画像SFから再生を再開する(ステップS214)。
【0096】
このような再生動作は、所定の再生終了イベント(例えば、再生終了指示の入力や動画ファイルの再生完了、など)が発生するまでおこなわれ(ステップS215:No)、副表示枠SWが選択される度に、ステップS209〜ステップS211またはステップS212〜ステップS214の動作がおこなわれる。
【0097】
そして、再生終了イベントの発生により(ステップS215:Yes)、本処理は終了する。
【0098】
このような多元同時再生により、同じ被写体の動画であっても、開始タイミングを異ならせた複数の動画シーケンスとして同時に表示することができるので、娯楽性のある画像効果のある動画再生とすることができる。この場合において、記録タイミングの異なるフレーム画像を合成した画面(画像)を新たなフレーム画像として動画像データを生成しているので、元の動画のフレームレートが再生時のフレームレートに影響しない。よって、例えば、300fpsなどの高フレームレートで撮影された動画から多元同時再生用データを生成した場合、これを30fpsで再生することもできる。このため、いわゆるハイスピード撮影した動画をスロー再生する場合などにも多元同時再生をおこなうことができる。
【0099】
また、副表示枠SWを選択することにより、早送りや早戻しなどの画面遷移をおこなうことができるので、より実用性をもった動画再生とすることができる。
【0100】
さらに、再生中の動画から任意のシーンを静止画像(スチル画像)として取り出したい場合でも、同時に表示されている複数の動画シーケンスから所望する画像を選択することができるので、効率的に所望する画像を選択することができる。
【0101】
以上説明したように、本発明を上記実施形態の如く適用することにより、より娯楽性や実用性のある画像表現を実現することができる。
【0102】
上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0103】
例えば、上記実施形態では、1つの主表示枠MWと複数の副表示枠SWが配置される第2のフレーム画像SFの例を示したが、表示枠の数や配置位置やサイズなどは任意である。
【0104】
また、上記実施形態では、1秒毎にタイミングを異ならせた動画表示を例示したが、表示枠毎の再生を異ならせる条件はこれに限られない。例えば、取得した動画のフレーム間の変化量に基づいてシーンチェンジの箇所を判別することで、複数のシーンが同時に再生されるようにしてもよい。
【0105】
なお、上記実施形態のように、本発明を一般のデジタルカメラに適用することで、より娯楽性のある画像表現を実現できることはもとより、例えば、防犯カメラやドライブレコーダなどに本発明を適用することにより、記録された映像の解析をより効率的におこなうことができる。
【0106】
なお、本発明を上記実施形態で例示したデジタルカメラ1のような撮像装置で実現する場合においては、本発明にかかる構成や機能を予め備えた撮像装置として提供できる他、制御部210の各機能と同様の機能を実現するプログラムを適用することにより、既存の撮像装置を本発明にかかる画像処理装置として機能させることもできる。
【0107】
なお、上記実施形態では、撮像装置の例として、動画撮像機能を有するデジタルスチルカメラを示したが、撮像装置の形態は任意であり、単体のデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラで実現可能であることはもとより、これと同様の撮像機能を備えた種々の電子機器に本発明を適用してもよい。
【0108】
また、本発明を適用する装置は撮像装置でなくてもよく、動画ファイルを再生する機能のある装置であれば本発明を適用することで、上記実施形態で例示したような多元同時再生用データの生成や多元同時再生をおこなうことができる。
【0109】
いずれの場合でも、プログラムを適用することで、既存の装置を本発明にかかる画像処理装置として機能させることができる。
【0110】
このようなプログラムの適用方法は任意であり、例えば、CD−ROMやメモリカードなどの記憶媒体に格納して適用できる他、例えば、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。
【符号の説明】
【0111】
1…デジタルカメラ、100…撮像部、110…光学装置、120…光学駆動部、130…イメージセンサ、200…データ処理部、210…制御部、211…動画データ取得部、212…画像選択合成部、213…動画データ生成部、214…動画再生部、220…AFE(アナログフロントエンド)、230…画像メモリ、240…画像処理部、250…画像出力部、260…記憶部、300…I/F(インタフェース)部、310…表示部、320…操作部、330…外部I/F(インタフェース)、FS…フルシーケンス、FF…第1のフレーム画像、SF…第2のフレーム画像、RS…基準シーケンス、MW…主表示枠、SW…副表示枠、FN1…(第1のフレーム画像FFの)フレーム番号、FN2…(第2のフレーム画像SFの)フレーム番号、WN…枠番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の動画シーケンスが記録された動画像データを取得する動画像データ取得手段と、
前記動画像データ取得手段が取得した動画像データを構成しているフレーム画像を、前記動画シーケンス上の時系列で展開してバッファするバッファ手段と、
前記バッファ手段が展開したフレーム画像から、前記動画シーケンス上での記録タイミングが異なる2以上のフレーム画像を選択する画像選択手段と、
複数の表示枠を有する表示画面を生成し、前記画像選択手段が選択した複数のフレーム画像のそれぞれを、前記表示枠のそれぞれに割り当てて合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段によって合成された表示画面をフレーム画像とした動画像データを生成する動画生成手段と、
少なくとも、前記画像合成手段が生成した表示画面毎の識別情報と、該表示画面の表示枠それぞれを示す識別情報と、該表示枠に割り当てたフレーム画像を示す識別情報と、前記動画シーケンス上での時系列を示す時系列情報と、を対応づけた対応情報を生成し、前記動画生成手段が生成した動画像データとともに記録する対応情報記録手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像選択手段は、前記バッファ手段が展開したフレーム画像の時系列に基づいて、所定の時間差で記録されたフレーム画像を複数選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像合成手段は、前記画像選択手段が選択したフレーム画像のうち、基準となる記録タイミングを起点としたシーケンスを構成するフレーム画像が割り当てられる少なくとも一の主表示枠と、該主表示枠に割り当てられたフレーム画像とは記録タイミングの異なるフレーム画像が割り当てられる1以上の副表示枠と、を有する表示画面を生成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記動画生成手段が生成した動画像データを再生し、前記表示画面の副表示枠が選択可能となるよう表示装置に表示出力する再生手段をさらに備え、
該再生手段は、表示出力する表示画面上で副表示枠が選択された場合、前記対応情報に基づいて、選択された副表示枠に割り当てられているフレーム画像が前記主表示枠に割り当てられている表示画面を特定し、該特定した表示画面から再生されるよう表示出力する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記動画生成手段が生成した動画像データを再生し、前記表示画面の副表示枠が選択可能となるよう表示装置に表示出力する再生手段をさらに備え、
該再生手段は、表示出力する表示画面上で副表示枠が選択された場合、前記対応情報に基づいて、選択された副表示枠に割り当てられているフレーム画像が前記主表示枠に割り当てられている表示画面を特定し、該特定した表示画面の前記主表示枠に割り当てられているフレーム画像を記録する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記動画像データ取得手段は、
撮像動作によって一連の動画シーケンスを記録して前記動画像データを生成する撮像手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
一連の動画シーケンスが記録された動画像データを取得する動画像データ取得ステップと、
前記動画像データ取得ステップで取得された動画像データを構成しているフレーム画像を、前記動画シーケンス上の時系列で展開してバッファするバッファステップと、
前記バッファステップで展開されたフレーム画像から、前記動画シーケンス上での記録タイミングが異なる2以上のフレーム画像を選択する画像選択ステップと、
複数の表示枠を有する表示画面を生成し、前記画像選択ステップで選択された複数のフレーム画像のそれぞれを、前記表示枠のそれぞれに割り当てて合成する画像合成ステップと、
前記画像合成ステップで合成された表示画面をフレーム画像とした動画像データを生成する動画生成ステップと、
少なくとも、前記画像合成ステップで生成された表示画面毎の識別情報と、該表示画面の表示枠それぞれを示す識別情報と、該表示枠に割り当てたフレーム画像を示す識別情報と、前記動画シーケンス上での時系列を示す時系列情報と、を対応づけた対応情報を生成し、前記動画生成ステップで生成された動画像データとともに記録する画像情報記録ステップと、
を含むことを特徴とする動画生成方法。
【請求項8】
コンピュータに、
一連の動画シーケンスが記録された動画像データを取得する機能と、
取得した動画像データを構成しているフレーム画像を、前記動画シーケンス上の時系列で展開してバッファする機能と、
展開されたフレーム画像から、前記動画シーケンス上での記録タイミングが異なる2以上のフレーム画像を選択する機能と、
複数の表示枠を有する表示画面を生成し、前記選択された複数のフレーム画像のそれぞれを、前記表示枠のそれぞれに割り当てて合成する機能と、
合成された表示画面をフレーム画像とした動画像データを生成する機能と、
少なくとも、生成した表示画面毎の識別情報と、該表示画面の表示枠それぞれを示す識別情報と、該表示枠に割り当てたフレーム画像を示す識別情報と、前記動画シーケンス上での時系列を示す時系列情報と、を対応づけた対応情報を生成し、前記生成した動画像データとともに記録する機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−66796(P2011−66796A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217306(P2009−217306)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】