説明

画像処理装置、及び、画像処理方法

【課題】拡大及び縮小の際の、画質の劣化を低減することが容易な画像処理装置、及び、画像処理方法を提供すること。
【解決手段】階調表現される処理画像の処理画像データに対して追加または削除する画素の配置を、該画素の並びの、前記処理画像の水平方向に対する角度または前記処理画像の垂直方向に対する角度により決定して、前記処理画像の拡大補正または縮小補正を行う、補正手段と、前記補正手段により補正された処理画像データによるテスト画像に基づいて、該画素の並びの角度を変更する、画素列制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び、画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真プロセスを用いた、レーザプリンタやデジタル複写機等の画像形成装置において、画像形成の高速化、高密度化を実現するために、光走査にマルチビームを用いる画像形成装置がある。
【0003】
ところで、両面印刷をする際には、用紙の第1面を記録し、熱定着を行い、次に第2面を記録する。ここで、第1面の印刷と第2面の印刷とで、0.2%〜0.4%の倍率差が生じる。これは、用紙から水分が失われることにより発生するものであり、用紙の種類により、倍率差が異なる。
【0004】
そこで、倍率調整や曲がり補正等のために、画素の間引きや画素の挿入等の補正を行う。例えば、特開2009−83472号公報(特許文献1)には、画像データの縦方向及び横方向に対して周期的に画素を追加して画像の拡大補正を行う画像形成装置等の発明が開示されている。
【0005】
また、特許第4253843号公報(特許文献2)には、規則的に配列された画素を追加または削除する画像走査処理を行う画像形成装置の発明が開示されている。特許文献2に開示の発明では、スクリーン処理の際に、追加または削除する画素の位置の情報を用いることにより、画像の拡大及び縮小補正の際に、画質が劣化することを防ぐ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示の画像形成装置等の発明では、追加または削除する画素の位置を、画像の特性に応じて変更することについては、考慮されていない。また、上記特許文献2に開示の画像形成装置等の発明では、追加または削除する画素の位置を変更する場合には、スクリーン処理を再度行うため、異なる変倍率毎にスクリーン処理が必要になる。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて、これらの問題を解消するために発明されたものであり、拡大及び縮小の際の、画質の劣化を低減することが容易な画像処理装置、及び、画像処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、階調表現される処理画像の処理画像データに対して追加または削除する画素の配置を、該画素の並びの、前記処理画像の水平方向に対する角度または前記処理画像の垂直方向に対する角度により決定して、前記処理画像の拡大補正または縮小補正を行う、補正手段と、前記補正手段により補正された処理画像データによるテスト画像に基づいて、該画素の並びの角度を変更する、画素列制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
これにより、拡大及び縮小の際の、画質の劣化を低減することが容易な画像処理装置を提供することができる。
【0010】
なお、上記課題を解決するため、本発明は、上記画像処理装置における画像処理方法としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像処理装置及び画像処理方法によれば、拡大及び縮小の際の、画質の劣化を低減することが容易な画像処理装置、及び、画像処理方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施の形態の画像形成装置のエンジン部を中心とする構成を示す図である。
【図2】図2は、VCSELの構成を示す図である。
【図3】図3は、VCSELと光学部とが、感光体ドラムを露光する際の1色分についての概略的な斜視図である。
【図4】図4は、飛び越し走査方式を説明する図である。
【図5】図5は、飛び越し走査の詳細を説明する図である。
【図6】図6は、本実施の形態に係る画像形成装置の制御ユニットの機能構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、GAVDの詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、画素が追加されることにより、既に画像データに含まれている画素が、副走査方向にシフトされることを示す図である。
【図9】図9は、副走査方向にシフトする拡大処理または縮小処理により、画像データが補正されることを説明する図である。
【図10】図10は、追加信号発生回路を説明する図である。
【図11】図11は、追加または削除する画素の並びの角度を切り替えることを説明する図である。
【図12】図12は、パッチを印刷する場所を説明する図である。
【図13】図13は、パッチを読み取った読取センサーからの読取データに基づいて、ひずみ距離を切り替える処理を説明する機能ブロック図である。
【図14】図14は、バンディング量とひずみとの関係を示す図である。
【図15】図15は、追加または削除する画素の並びの角度を切り替えることを説明する図である。
【図16】図16は、シフト処理の前のトナー付着画像を模式的に表す図である。
【図17】図17は、図16の画像をシフトした後の画像を模式的に表す図である。
【図18】図18は、挿入または削除する画素のラインが副走査方向に対してミラーリングされている場合の図である。
【図19】図19は、図18の画像をシフトした後の画像を模式的に表す図である。
【図20】図20は、角度の切り替えについてさらに説明するための図である。
【図21】図21は、θが0〜π(rad)の範囲でのcosθの値を示す図である。
【図22】図22は、1ページの画像に対する画像処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図23】図23は、画像シフト制御処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態を図面に基づき説明する。
〔本実施の形態〕
【0014】
図1は、本実施の形態の画像形成装置100のエンジン部を中心とする構成を示す図である。画像形成装置100は、感光体に対し、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)による書き込みを行って潜像を作成し、これを現像して、記録媒体に転写する。
【0015】
なお、画像形成装置100は、タンデム構造による中間転写方式により、画像を形成する。図中の符号において、大文字の「K」、「Y」、「C」、「M」は、それぞれ、「黒色(K)」、「イエロー(Y)」、「シアン(C)」、「マゼンダ(M)」の各色の画像形成に係る部を表す。以下の実施の形態において、各色間で機能及び構成が同一の各部を説明する際には、「K」、「Y」、「C」、及び、「M」を省略した符号で説明する。
【0016】
画像形成装置100は、光学部130、画像形成部112、1次転写部150、2次転写部160、及び、定着部170を有する。光学部130は、fθレンズを使用しない、ポストオブジェクト型である。光学部130は、ポリゴンミラー131、反射ミラー132K、反射ミラー132Y、反射ミラー132C、反射ミラー132M、第2シレンドリカルレンズ133K、第2シレンドリカルレンズ133Y、第2シレンドリカルレンズ133C、及び、第2シレンドリカルレンズ133Mを有する。
【0017】
ポリゴンミラー131には、VCSELから射出され図示しない第1シレンドリカルレンズにより集光された光ビームLが入力される。光ビームLは、各色に対応した数発生される。ポリゴンミラー131は、これらの光ビームLを、各色に対応した反射ミラー132へ偏向させる。
【0018】
光ビームLは、ポリゴンミラー131により偏向された後、反射ミラー132で反射され、第2シレンドリカルレンズ133で再度集光された後、感光体ドラム108を露光する。
【0019】
光ビームLの照射は、複数の光学要素を使用して行われるため、主走査方向及び副走査方向に対して、タイミング同期が行われる。なお、主走査方向とは、光ビームの走査方向であり、副走査方向とは、主走査方向に対して直交する方向である。
【0020】
画像形成部112は、感光体ドラム108K、感光体ドラム108Y、感光体ドラム108C、感光体ドラム108M、帯電器104K、帯電器104Y、帯電器104C、帯電器104M、現像器106K、現像器106Y、現像器106C、及び、現像器106Mを有する。
【0021】
感光体ドラム108は、アルミニウム等の導電性ドラム上に、電荷発生層と電荷輸送層とを有する光導電層を有する。帯電器104は、コロトロン、スコロトロン、または、帯電ローラ等を含み、感光体ドラム108の光導電層に対し、表面電荷を付与する。これにより、感光体ドラム108は、静電荷を保持する。
【0022】
感光体ドラム108に付与された静電荷に対し、光ビームLが像上露光することにより、静電潜像が形成される。現像器106は、感光体ドラム108に形成された静電潜像を現像する。現像器106は、例えば、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、及び、規制ブレード等を含む。
【0023】
1次転写部150は、中間転写ベルト151、搬送ローラ152a、搬送ローラ152b、搬送ローラ152c、1次転写ローラ110K、1次転写ローラ110Y、1次転写ローラ110C、1次転写ローラ110M、及び、クリーニング部116を有する。
【0024】
感光体ドラム108上に現像された静電潜像は、感光体ドラム108と1次転写ローラ110とに挟まれる中間転写ベルト151に転写される。中間転写ベルト151は、搬送ローラ152aないし152cにより矢印Aの方向に移動する。これにより、K、Y、C、Mの順に、静電潜像が中間転写ベルト151に転写される。
【0025】
1次転写ローラ110は、中間転写ベルト151に転写バイアスを印加して、感光体ドラム108上に現像された静電潜像を、中間転写ベルト151に転写させる。クリーニング部116は、2次転写部160で色現像済画像を転写した後の中間転写ベルト151から、転写残現像剤をクリーニングして、次の像形成プロセスへ供給する。
【0026】
2次転写部160は、2次転写ベルト161、搬送ローラ162a、搬送ローラ162b、給紙カセット165、及び、搬送ローラ166を有する。2次転写ベルト161は、搬送ローラ162a及び搬送ローラ162bにより、搬送され、矢印Bの方向に移動する。2次転写ベルト161には、給紙カセット165から供給される記録媒体168が、搬送ローラ166等により供給される。記録媒体168は、2次転写ベルト161に吸着保持されて搬送される。記録媒体168は、例えば、上質紙、プラスチックフィルム等である。なお、画像が形成される記録媒体を「受像材」ともいう。
【0027】
中間転写ベルト151に転写され坦持される多色現像済像は、2次転写バイアスが印加されることにより、2次転写ベルト161上を搬送される記録媒体168に転写される。多色現像済画像を未定着画像として坦持する記録媒体168は、2次転写ベルト161の搬送により、定着部170に供給される。
【0028】
定着部170は、定着部材171を有する。定着部材171は、定着ローラ等を含む。定着ローラは、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を含む。定着部170は、記録媒体168と多色現像済画像とを加圧加熱し、印刷物180として、画像形成装置100の外へ出力する。
【0029】
図2は、画像形成装置100の光学部130が有するVCSEL200の構成を示す図である。図2のVCSEL200は、同一チップ上に複数の光源を格子状に配置した面発光型半導体レーザである。VCSEL200は、斜め格子状に複数の光源ch1ないしch40が配置された半導体レーザアレイである。
【0030】
図3は、VCSEL200と光学部130とが、感光体ドラム108を露光する際の1色分についての概略的な斜視図である。図3において、VCSEL200から射出された光ビームLは、光ビーム束を整形する第1シレンドリカルレンズ202により集光され、反射ミラー204及び結像レンズ206を経た後、ポリゴンミラー131により偏向される。
【0031】
ポリゴンミラー131は、数千から数万回転するスピンドルモータ等により回転駆動される。ポリゴンミラー131で反射された光ビームLは、反射ミラー132で反射された後、第2シレンドリカルレンズ133により再整形され、感光体ドラム108上を露光する。
【0032】
反射ミラー208は、光ビームLの副走査方向への走査開始タイミングを同期するために設けられている。反射ミラー208は、副走査方向の走査を開始するより前に、光ビームLを同期検出装置210に反射させる。同期検出装置210は、フォトダイオード等を含む。同期検出装置210は、光ビームLを検出すると、副走査を開始させるために同期信号を発生させ、VCSEL200への駆動制御信号の生成処理等の処理を同期する。
【0033】
VCSEL200は、後述するGAVD310から送付されるパルス信号により駆動される。これにより、画像データの所定の画像ビットに対応する感光体ドラム108上の位置に、光ビームLが露光され、静電潜像が形成される。
【0034】
図4は、飛び越し走査方式を説明する図である。図4の水平方向が主走査方向であり、垂直方向が副走査方向である。光ビームLは、ch1ないしch40の40ビームが、ポリゴンミラー131により、主走査方向に偏向される。図4の例では、ch1ないしch40の40ビームを有する光ビームLが、感光体上で飛び越し走査を行う。第1のビーム列(ビーム列S1)のうち、後半の20ビームに対して、第2のビーム列(ビーム列S2)の前半の20ビームが、飛び越し走査を行う。
【0035】
図5は、飛び越し走査の詳細を説明する図である。図5では、図4のビーム列S1及びビーム列S2を示す。ビーム列S1によるビームスポットの位置のうち、ch1ないしch32と、ビーム列S2によるビームスポットの位置のうち、ch1ないしch11を示す。ビーム列S1のch20及びch21が隣接している。その間の位置aがビーム列S1の副走査方向における中央位置であり、ビーム列S1は、位置aを中心として対称になる。
【0036】
ポリゴンミラー131のある面により、ビーム列S1が走査された後、ポリゴンミラー131の次の面で、ビーム列S2が走査される。ビーム列S1のch20とch21の次の位置が、ビーム列S2のch1となる。飛び越し走査をした後の、各ビームスポット間の距離は、52μmである。
【0037】
なお、図5は、一のトナーに係る走査について説明しているが、各色のトナーに係る走査は、同様である。これにより、4800dpiの解像度の書き込みを実現する。
【0038】
図6は、本実施の形態に係る画像形成装置100の制御ユニット300の機能構成を示すブロック図である。制御ユニット300は、スキャナ部302、プリンタ部308、及び、主制御部330を有する。制御ユニット300は、ネットワーク等を介してコンピュータ327と接続される。
【0039】
スキャナ部302は、媒体上に形成された画像を読み取る機能を有し、取得した読み取り画像を、ディジタルデータとしてプリンタ部308へ送る。スキャナ部302は、VPU304及びIPU306を有する。VPU304は、光学的に読み取られた画像信号を、A/D変換して黒オフセット補正、シェーディング補正を行う。IPU306は、取得された画像データを、RGB表色系の画像データからCMYK表色系の画像データへ変換する画像処理を行う。
【0040】
プリンタ部308は、GAVD310、LDドライバ312、及び、VCSEL200を有する。GAVD310は、VCSEL200の駆動制御を行う。GAVD310は、スキャナ部302から送られた画像データ、または、コンピュータ327からコマンド等で生成された画像データを、VCSEL200が射出する半導体レーザ素子の空間的な配置に対応するように変換して、高解像度化処理を実行する。
【0041】
LDドライバ312は、GAVD310が生成した駆動制御信号により、半導体レーザ素子を駆動させるための電流を、半導体レーザ素子に供する。VCSEL200は、2次元的に配置された半導体レーザ素子を有する。
【0042】
なお、スキャナ部302とプリンタ部308とは、システムバス316を介して主制御部330と接続される。主制御部330は、スキャナ部302及びプリンタ部308に対し、指示を出力し、画像読み取り及び画像形成を制御する。
【0043】
主制御部330は、CPU320、RAM322、ROM324、イメージストレージ326、インタフェース328、及び、操作部329を有する。CPU320は、インタフェース328を介してユーザからの指令を受け付け、指令に対応する処理を実行するためのプログラムモジュールを呼び出し、コピー、ファクシミリ、スキャナ、イメージストレージ等の処理を実行させる。
【0044】
RAM322は、CPU320が処理する際に使用する処理空間を提供する。ROM324は、CPU320の初期設定データ、制御データ、プログラム等を、CPU320が利用可能に格納する。イメージストレージ326は、例えば、ハードディスク装置、SDカード、USBメモリ等の固定または着脱可能なメモリ装置として構成され、画像形成装置100が取得した画像データを格納し、各種処理に提供可能とする。
【0045】
インタフェース328は、主制御部330に対する指示等を受け付ける。インタフェース328は、操作部329が接続される。インタフェース328は、また、ネットワークを介して接続されるコンピュータ327との信号の送受信を行う。操作部329は、操作者からの指示等が入力される。
【0046】
操作部329は、例えば、画像のシフト補正(後述)を行う際のシフト量をユーザが指示するために利用される。ユーザが、シフト補正する場合の拡大量や縮小量を倍率(例えば%)で指示すると、指示された倍率に対応したレジスタの設定情報をROM324等から読み出し、読み出した設定情報をRAM322に設定する。ユーザが、レジスタに設定するパラメータ類を直接指定するように構成しても良い。
【0047】
プリンタ部308は、スキャナ部302が取得した画像データが入力されると、GAVD310が画像データを処理して、感光体ドラム108に静電潜像として画像を出力させる。この際、CPU320は、画像を形成する受像材の主走査方向制御及び副走査位置制御を行う。
【0048】
CPU320は、副走査方向のスキャンを開始させる場合、GAVD310にスタート信号を出力する。GAVD310が、スタート信号を受信すると、IPU306はスキャン処理を開始する。その後、GAVD310は、図示しないバッファメモリ等に格納された画像データを受信し、その画像データを処理し、LDドライバ312に対して出力する。
【0049】
また、コンピュータ327からの画像データなどを出力する場合には、スキャナ部302は動作させないで、画像データや指令コードを、RAM322やイメージストレージ326に蓄積し、GAVD310にスタート信号を出力する。その後、GAVD310は、バッファメモリなどに格納した画像データをスクリーン処理し、処理した画像データをLDドライバ312に出力する。
【0050】
スクリーン処理では、入力画像や入力コマンドに対応した8ビットの画像を、所定の閾値テーブルと比較して、0または1の1ビットの画像データに変換する。入力コマンドに対応した、特定の画像パターンやテクスチャで塗りつぶしを行うスクリーン処理を行っても良い。また、VCSEL200の各ビームの出力が2〜4ビット程度の能力があれば、対応した2〜4ビットのコードに変換するスクリーン処理を行なっても良い。これにより、画像はスクリーン角を有する2値または少値の画像イメージに変換される。スクリーン角を持たないランダムな網点を形成するようなスクリーン処理の場合には、画像はスクリーン角を持たない。
【0051】
LDドライバ312は、GAVD310から受け取った画像データに基づいて、VCSEL200の駆動制御信号を生成する。LDドライバ312は、この駆動制御信号をVCSEL200に送出することにより、VCSEL200を点灯させる。LDドライバ312は、半導体レーザ素子を、PWM制御等により駆動させる。
【0052】
本実施の形態におけるVCSEL200は、半導体レーザ素子を8ch有するが、半導体レーザ素子のチャネル数は限定されるものではない。
【0053】
図7は、GAVD(Gate Array for Video Device)310の詳細な機能構成を示すブロック図である。GAVD310は、IPU306からの画像データが入力され、LDドライバ312に処理した画像データを出力する。GAVD310は、メモリ340、画像補正部342、及び、出力データ制御部344を有する。GAVD310は、PLL346及び同期検出装置210が接続される。
【0054】
メモリ340は、同期信号を受信して、IPU306から送出される画像データを格納して記憶する。メモリ340は、FIFOバッファ等のメモリであり、IPU306から送信された画像データを、先入れ/先出し方式で、画像補正部342に出力する。
【0055】
画像補正部342は、メモリ340から画像データを読み込んで、画像データの解像度変換、半導体レーザ素子のチャネルの割り当て、及び、画像ビットの追加または削除の処理を行う。この処理は、画像データの大きさを補正する処理である。追加または削除する画像ビットは、画像データを変倍するための補正画素である。
【0056】
処理する画像データは、主走査方向に規定される主走査ラインアドレス値、及び、副走査方向に規定される副走査ラインアドレス値により、感光体ドラム108に対して露光する位置が規定される。
【0057】
本実施の形態におけるアドレス座標は、画像データを主走査ラインアドレス値(以下、「Rアドレス値」という。)、及び、副走査ラインアドレス値(以下、「Fアドレス値」という。)で指定した場合の、特定の画像ビットに対応する、各アドレス値のセットとする。アドレス座標は、主走査方向のラインまたは副走査方向のラインに並んだ画素(すなわち「画素列」)毎に定められる。
【0058】
出力データ制御部344は、画像補正部342が生成した画像データに対応するVCSEL200の駆動制御信号を生成する。出力データ制御部344は、Fアドレス値及び副走査速度から、画像データを時系列的な駆動パルスに変換する。出力データ制御部344は、さらに、同期検出装置210に対して同期信号を与えるための同期制御信号を生成して、駆動パルスに追加することにより、駆動制御信号を生成する。
【0059】
出力データ制御部344により生成された駆動制御信号は、LDドライバ312に伝送され、VCSEL200を駆動する。出力データ制御部344は、また、同期検出装置210からの同期信号が入力され、LDドライバ312への駆動制御信号の伝送を同期させる。
【0060】
なお、メモリ340、画像補正部342、及び、出力データ制御部344の処理は、PLL346により、動作クロックを同期する。
【0061】
図8は、画素が追加されることにより、既に画像データに含まれている画素が、副走査方向にシフトされることを示す図である。図8(a)では、画像データの全体に、なるべく均一に画素を追加する。画素500が、一の画素が追加される位置である。なお、図中、「追加」を「挿入」と記す。図8(b)は、画素500が追加されたことにより、画素500の副走査方向に続く画素列501がシフトしたことを示す。
【0062】
図9は、副走査方向にシフトする拡大処理または縮小処理により、画像データが補正されることを説明する図である。図9(a)ないし(c)は、4800dpiの画像の例を示す図である。図9(a)は、補正処理前の画像である。図9(a)では、一番上のラインF0の左から主走査方向に対し、「a0,a1,a2,a3・・・」と画素が並ぶ。次のラインF1では、「b0,b1,b2,b3・・・」と画素が並ぶ。なお、図9は、画像上の画素の並びを説明する図であり、メモリ上に画像データが格納される際には、1次元の配列となる。
【0063】
図9(b)は、追加または削除する画素の位置を示す図である。図9(b)において、「*」を付された位置が、画素を追加または削除する位置である。なお、拡大する場合は、「*」を付した位置の画素を追加する。縮小する場合は、「*」を付した位置の画素を削除する。
【0064】
図9(c)は、縮小後の画像データを示す図、図9(d)及び図9(e)は、シフトレジスタを示す図である。
【0065】
図9(a)に示す画像データから、図9(b)に示す位置の画素を削除して図9(c)の縮小画像データを生成する処理について、以下、説明する図9(b)では、(F0,R0)が削除する画素であるため、縮小後の画像データにおいて(F0,R0)の位置に対応する画素は、図9(a)の(F1,R0)となる。そこで、シフトレジスタ(d)の最左の画素位置に対応する値を、「−1」とする。
【0066】
ラインF0の、R1以降は、図9(a)のラインF0を読み込む。これにより、図9(c)のラインF0は、「b0,a1,a2,a3,・・・」となり、シフトレジスタの値は、「−1,0,0,0」となる(図9(d))。
【0067】
ラインF14では、(F14,R1)が削除する画素であるため、図9(a)の(F15,R1)を読み込む。これにより、図9(c)のラインF14は、「k0,k1,j2,j3」となり、シフトレジスタの値は、「−1,−1,0,0」となる(図9(e))。
【0068】
図10は、追加信号発生回路を説明する図である。追加信号発生回路は、画像補正部342が、画像ビットを追加または削除するかを判断するための追加削除信号を出力する。追加信号発生回路は、例えば画像補正部342内に備えられる。図9の例では、Rアドレスの4つの画素毎、Fアドレスの14ライン毎に、追加または削除する画素位置が含まれる。図10の回路は、切替回路3421、Rクロック発生回路3422、Fカウンタ発生回路3423、初期値保持回路3426、対象ライン判断回路3424、c進カウンタ3425、及び、追加削除信号3427を含む。
【0069】
切替回路3421は、例えば、図示しないCPUからの切替信号に基づいて、追加または削除する画素の頻度を切り替える。切替回路3421は、Fアドレス毎に、初期値を切り替える。初期値保持回路3426は、切替回路3421からの信号により、初期値を出力する。追加または削除する画素の初期値は、図9の例では、ラインF0では、3、F14の時は、2となる。これらの情報が、初期値保持回路3426に保持されることにより、追加または削除する画素の頻度の切り替えが実現される。
【0070】
Rクロック発生回路3422は、追加または削除する画素をカウントするRクロック信号を発生する。Fカウンタ発生回路3423は、Fアドレスをカウントする。
【0071】
対象ライン判断回路3424は、初期値に基づいて、Fカウンタ発生回路3423から出力されるFアドレスが、追加または削除する画素を含むFアドレスか否かを判断する。
【0072】
c進カウンタ3425は、追加または削除する画素を含むFアドレスのRアドレスをカウントし、初期値に基づいて、追加または削除する画素のRアドレスを出力する。c進カウンタ3425から、追加削除信号3427が出力される。
【0073】
図11は、追加または削除する画素の並びの角度を切り替えることを説明する図である。図11(a)と図11(b)とは、追加または削除する画素の頻度が同一である。より詳細には、3つのFアドレス毎、及び、5つのRアドレス毎に、周期的に、追加または削除する画素の位置が設けられている。
【0074】
図11(a)のひずみの距離Aと、図11(b)のひずみの距離Bとでは、距離Aの方が短い。そこで、例えば、図11(a)のテスト画像を出力し、ひずみを目視で確認して、ひずみの距離Aとひずみの距離Bとを切り替える。
【0075】
図11(a)では、画素の並びは、主走査方向に対して、角度n度である。一方、図11(b)では、画素の並びは、主走査方向に対して、(180−n)度である。画素の並びの角度をn度から(180−n)度に切り替えることにより、同一の変倍率で、異なるひずみの距離を実現することができる。
【0076】
より詳細には、初期値保持回路3426が保持する初期値を切り替える。Fカウンタ発生回路3423から出力するアドレスが、追加または削除するFアドレスと合致する毎に、追加または削除するRアドレスの初期値を、図11(a)の例では、「4,3,2,1,0,4,3,・・・」、図11(b)の例では、「4,0,1,2,3,4,0,・・・」とする。
【0077】
これにより、容易に、ひずみの距離を変更することができる。テスト画像は、例えば、画像を形成する媒体上の、画像の外側の領域にパッチとして印刷するとよい。
【0078】
図12は、パッチを印刷する場所を説明する図である。図12では、画像の外側にパッチを作成し、ひずみによる画像ムラの有無を目視で判断する。画像を印刷する際の印刷データは、画像がテキストであるかイメージであるかを示す、属性の情報を含む。そこで、例えば、テキスト属性か、イメージ属性であるかにより、画素を追加または削除する頻度とひずみの距離を決定するとよい。
【0079】
なお、目視による評価に代えて、パッチ画像の均一性の評価値を用いてもよい。
【0080】
図12では、画像領域の両脇に、トナーの色毎に、パッチが設けられている。トナーの色は、C,M,Y,Kの4色であり、パッチは、色毎に2個ずつ、C1,M1,Y1,K1、及び、C2,M2,Y2,K2の8個がある。なお、パッチが設けられる領域は、裁ちしろでもよい。
【0081】
図13は、パッチを読み取った読取センサーからの読取データに基づいて、ひずみ距離を切り替える処理を説明する機能ブロック図である。図13では、パッチ画像の均一性を評価するために、知覚バンディング量を用いる。図13の機能ブロックは、画像読取部511、ノイズ除去部512、周波数解析バンディング部513、及び、大小判断部514を有する。図13の各機能部は、例えば図6のCPU320が所定のプログラムを読み出してRAM322などの主記憶装置上に生成するように構成できる。
【0082】
画像読取部511は、媒体上のパッチの部分を読み取って、パッチの画像データを取得する。ノイズ除去部512は、読み取ったパッチの画像データの、ノイズ除去を行う。これにより、不要な評価値の発生を防ぐ。
【0083】
周波数解析バンディング部513は、ノイズ除去されたパッチの画像データに対し、周波数解析と、重み付けを行う。周波数解析は、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)を用いる。また、重み付けは、例えば、VTF(Visual Transfer Function)を用いる。VTFは、目の周波数特性による重み付けである。これにより、知覚バンディング量が得られる。
【0084】
大小判断部514では、得られた知覚バンディング量から、バンディングが大きいと判断する場合に、切替信号を発生する。バンディングの大小の判断は、例えば、所定の閾値と比較する。この切替信号により、ひずみ距離に係る角度を、n度から(180−n)度に切り替える。
【0085】
図14は、バンディング量とひずみとの関係を示す図である。図14(a)及び図14(b)は、横軸が空間周波数、縦軸がバンディング量である。図14(a)は、画像に現れるひずみが大きい例であり、図14(b)は、画像に現れるひずみが小さい例である。所定の閾値よりもピークが上回る場合には、バンディングが発生していると判断し、切替信号を発生させ、追加または削除する画素の並びの角度を、(180−n)度とする。なお、所定の閾値とは、例えば、2Cycle/mmのバンディング量を閾値とする。
【0086】
〔変形例1〕
これまでは、テスト画像に基づいて追加または削除する画素の並びの角度を切り替える例を説明した。変形例1では、スクリーン処理で形成されるスクリーン角に応じて、追加または削除する画素の並びの角度を切り替える。
【0087】
図15は、追加または削除する画素の並びの角度を切り替えることを説明する図である。図15(a)は、副走査方向に対して角度n度(0度<n<180度)で追加または削除する画素が並んでいる場合の図である。図15(b)は、副走査方向に対して角度(−n)度で追加または削除する画素が並んでいる図の例である。
【0088】
図15に示すように、本変形例では、副走査方向に対して対照な角度で並ぶように、追加または削除する画素の並びの角度を切り替える。以下では、追加または削除する画素の並びの角度を、図15(a)の角度n度から図15(b)の角度(−n)度に変更することを、ミラーリングするという。
【0089】
図11の例と同様に、角度の切り替えは、c進カウンタ3425の初期値を切り替えるだけでよいため、簡単な回路構成により実現できる。なお、図15は、説明のために追加または削除する画素を近接して描いている。実際には、例えば約0.3%程度の拡大縮小をシフトにより実現するためには、副走査方向の挿入削除行の間隔は、副走査は5、主走査の増分の絶対値は68を採用する。このような値は、倍率ごとにデータテーブルとしてROM324等に保持されている。
【0090】
次に、図16〜図19を用いて、角度を切り替えることの効果について説明する。図16〜図19は、あるスクリーン角での画像を模式的に表した図である。
【0091】
図16は、シフト処理の前のトナー付着画像を模式的に表す図である。スクリーンで構成されるラインA1間の距離G1は全て同じである。このとき、シフトのために挿入または削除する画素のラインをBとし、BとA1との成す角度をθ1とする。
【0092】
図17は、図16の画像をシフトした後の画像を模式的に表す図である。シフトにより、画素削除のラインBより下側が、図面上の上方向にずれる。これにより、およそH1の領域で、スクリーン角で構成されるラインの距離がG2となる。この距離G2は、他の部分および図16に示す距離G1とは異なった距離となる。G2の部分はG1より狭いため、H1部分の濃度が濃く認識される。他の部分は距離G1のままであるため、結局、用紙上の画像としては濃度ムラとして認識される。
【0093】
図18は、シフトのために挿入または削除する画素のラインが、副走査方向に対してミラーリングされている場合の図である。図18は、シフト操作の前の状態である。スクリーン角で構成されるラインA1とシフトのために挿入または削除する画素のラインB’との成す角はθ2となる。
【0094】
図19は、図18の画像をシフトした後の画像を模式的に表す図である。図17で発生したような距離の違いはほとんど発生しない。このため、図17では濃度ムラが認識される部分(H1)が広範囲に発生するのに対し、図19では濃度ムラが認識される部分(H2)はほとんど発生しない。そのために用紙上の濃度ムラが目で認識されることはなくなる。
【0095】
H1およびH2は、それぞれ|cos(θ1)|および|cos(θ2)|に比例する。したがって、結局この2つの余弦(cos)の値を算出することにより、H1およびH2の長さのいずれが長いかを判別できる。
【0096】
すなわち、図16、図17と、図18、図19のいずれの状態であるかを確認するために、スクリーンの方向と、シフトのために挿入または削除する画素のラインとの成す角θに対して、|cos(θ1)|および|cos(θ2)|を計算する。これが、それぞれH1およびH2の領域の長さに比例する。そして、それぞれの値のうち小さいほうを選択する。これにより、H1またはH2の部分の長さをより小さくすることができ、濃度ムラの発生を防ぐことができる。
【0097】
図16〜図19の例では、|cos(θ1)|>|cos(θ2)|であるため、シフトのために挿入または削除する画素のラインとして、図18に示すようなラインB’を構成すればよい。
【0098】
図20は、角度の切り替えについてさらに説明するための図である。Vは、副走査方向を示す。Aは、スクリーンの方向を表す。角度αは副走査方向Vに対するスクリーンの方向Aの角度を表す。角度βは、副走査方向Vに対する、挿入または削除する画素のラインの方向の角度を表す。
【0099】
図20(a)は、α≧βとなるときの、挿入または削除する画素のラインB1またはB1’の一例を示す。図20(b)は、α<βとなるときの、挿入または削除する画素のラインB2またはB2’の一例を示す。
【0100】
α≧βでは、θ1=α+β、θ2=α−βであり、α<βでは、θ1=α+β、θ2=β−αとなる。従って、|cos(θ1)|と|cos(θ2)|を計算すれば挿入削除をミラーリング状態とするか否かを簡単に決定できる。
【0101】
図21は、θが0〜π(rad)の範囲でのcosθの値を示す図である。cosθは、θが0〜π(rad)の範囲では、図21のようになることから、余弦の計算をより単純化することができる。例えば、θ1およびθ2それぞれと、0(rad)、π(rad)、および、π/2(rad)との差分を求め、差分を補正することにより、または、差分と余弦とを対応付けたテーブル参照により余弦を算出するように構成してもよい。
【0102】
次に、インタフェース328に接続されたコンピュータ327からの画像データなどを出力する場合の動作について説明する。図22は、1ページの画像に対する画像処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0103】
CPU320は、インタフェース328を介して画像データや指令コマンドなどを取得する(ステップS101:Yes)。なお、画像データや指令コマンドなどを取得しない場合は画像処理を終了する(ステップS101:No)。CPU320は、取得したコマンドを解釈し、オブジェクトを、画像データやグラフィックスコマンドなどで生成されるイメージオブジェクト(画像オブジェクト)と、文字などのテキストオブジェクトとに分類し、画像をレンダリングするための各種初期化作業を行う(ステップS102)。イメージオブジェクトには、写真オブジェクトなどが含まれる。
【0104】
CPU320は、オブジェクトがイメージオブジェクトであるか否かを判断する(ステップS103)。イメージオブジェクトの場合(ステップS103:Yes)、GAVD310は、イメージオブジェクト用のスクリーン処理のための情報として、ディザパラメータとディザパラメータに付随するスクリーン角などの情報を、ROM324から取り出す(ステップS104)。なお、これらの情報をユーザが指定する場合は、ユーザにより指定され保存された情報をRAM322から取り出す。
【0105】
CPU320は、スクリーン処理のスクリーン角の情報を、RAM322に記憶する(ステップS105)。スクリーン角の情報には、例えば、規則的なスクリーン角を有する処理か否かを表すフラグ、および、スクリーン角を有する場合はスクリーン角の角度などが含まれる。
【0106】
次に、GAVD310が、スクリーン処理のための情報を参照して、スクリーン処理(ディザ処理)を実施する(ステップS106)。
【0107】
イメージオブジェクトではない場合(ステップS103:No)、CPU320は、オブジェクトがテキストオブジェクトであるか否かを判断する(ステップS107)。テキストオブジェクトの場合(ステップS107:Yes)、GAVD310は、テキストオブジェクト用のスクリーン処理のための情報(ディザパラメータとディザパラメータに付随するスクリーン角などの情報)を、ROM324から取り出す(ステップS108)。また、CPU320は、スクリーン処理のスクリーン角の情報を、RAM322に記憶する(ステップS109)。
【0108】
そして、GAVD310が、スクリーン処理のための情報を参照して、スクリーン処理(ディザ処理)を実施する(ステップS110)。
【0109】
ステップS107でテキストオブジェクトであると判断した場合(ステップS107:No)、または、ステップS110の後、CPU320は、すべてのオブジェクトに対する処理が終了したか否かを判断し(ステップS111)、終了していない場合(ステップS111:No)、ステップS103に戻り処理を繰り返す。終了した場合(ステップS111:Yes)は、1ページの画像に対する画像処理を終了する。
【0110】
こうして生成された1ページ分の画像は、メモリ340に保存される。なお、主走査方向の複数のラインからなる、複数の帯状の領域に画像を分割し、レーザ出力の要求とほぼ同時進行(オンザフライ)にて画像を生成しても良い。
【0111】
図23は、画像シフト制御処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0112】
まず、GAVD310は、1ページ分のスクリーン処理済画像が準備できたか否かを判断する(ステップS201)。準備ができていない場合(ステップS201:No)、画像シフト制御処理を終了する。
【0113】
準備ができている場合(ステップS201:Yes)、GAVD310は、画像シフトが要求されたか否かを判断する(ステップS202)。要求がない場合(ステップS202:No)、GAVD310は、画像シフトを実行しない設定をシフトレジスタに設定する(ステップS203)。
【0114】
画像シフトの要求がある場合(ステップS202:Yes)、GAVD310は、例えばRAM322に記憶された情報(規則的なスクリーン角を有する処理か否かを表すフラグ)を参照し、規則的なスクリーン角のスクリーン処理が使用されているか否かを判断する(ステップS204)。
【0115】
規則的なスクリーン角のスクリーン処理が使用されている場合(ステップS204:Yes)、GAVD310は、スクリーン処理のスクリーン角を表す角度情報を取得する(ステップS205)。例えば、GAVD310は、イメージオブジェクトに対する処理情報が記憶されていればイメージオブジェクトに対するスクリーン角を取得し、記憶されていなければ、テキストオブジェクトに対するスクリーン角を取得する。このように、イメージオブジェクトに対する情報を優先することにより、挿入または削除により画像が歪んだときに特に影響の大きいイメージオブジェクトに対して、歪みが目で認識されないようにすることができる。
【0116】
次に、GAVD310は、画像シフト情報(予め定められた画素シフトの角度)を取得する(ステップS206)。例えば、取得した角度、および、取得した角度を副走査方向に対してミラーリングした角度が、追加または削除する画素の並びの角度として予め定められた規定角度に相当する。
【0117】
GAVD310は、2つの規定角度それぞれに応じた2パターンの余弦を計算する(ステップS207)。GAVD310は、2パターンの計算結果を比較し、ミラーリング状態とするか否かを判断する(ステップS208)。GAVD310は、ミラーリングした場合の余弦の値が、そうでない場合の余弦の値より小さい場合に、ミラーリング状態とすると判断する。
【0118】
ミラーリングする場合(ステップS208:Yes)、GAVD310は、追加または削除する画素の並びの角度をミラーリングした角度とするミラーリングモードとなるようにシフトレジスタを設定する(ステップS209)。
【0119】
ステップS204で、規則的なスクリーン角のスクリーン処理が使用されていないと判断した場合(ステップS204:No)、または、ステップS208でミラーリングしないと判断した場合(ステップS208:No)、GAVD310は、追加または削除する画素の並びの角度をミラーリングしない角度とするようにシフトレジスタを設定する(ステップS210)。このように、規則的なスクリーン角のスクリーン処理が使用されていない場合には、所定の角度(ミラーリングしない角度)で画像シフトするように構成する。これにより、常に同じ画質を維持できる。なお、規則的なスクリーン角のスクリーン処理が使用されていない場合に、ミラーリングした角度で画像シフトするように構成してもよい。
【0120】
ステップS203、ステップS209、またはステップS210でシフトレジスタを設定後、GAVD310は、画像出力の制御を実施する(ステップS211)。
【0121】
このような処理により、画素の挿入または削除によるシフト操作を行っても、画像に不具合が発生しないような制御を容易に実現できる。簡単な計算でスクリーン処理のピッチの変動が少なくなるように制御できるため、仮に画素の挿入または削除により画像が歪んでも、目で認識されないようにすることができる。
【0122】
(コンピュータ等による実現)
なお、本発明の実施の形態に係る画像処理装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等で実現されてもよい。また、本実施の形態に係る画像処理方法は、例えば、CPUがROMやハードディスク装置等に記憶されたプログラムに従い、RAM等のメインメモリをワークエリアとして使用し、実行される。
【0123】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0124】
以上のように、本発明にかかる画像処理装置、及び、画像処理方法は、両面印刷時の画像のひずみの低減に有用であり、特に、プリンタに適している。
【符号の説明】
【0125】
100 画像形成装置
104、104K、104Y、104C、104M 帯電器
106、106K、106Y、106C、106M 現像器
108、108K、108Y、108C、108M 感光体ドラム
110、110K、110Y、110C、110M 1次転写ローラ
112 画像形成部
116 クリーニング部
130 光学部
131 ポリゴンミラー
132、132K、132Y、132C、132M 反射ミラー
133、133K、133Y、133C、133M 第2シレンドリカルレンズ
150 1次転写部
151 中間転写ベルト
152a、152b、152c 搬送ローラ
160 2次転写部
161 2次転写ベルト
162a、162b 搬送ローラ
165 給紙カセット
166 搬送ローラ
168 記録媒体
170 定着部
171 定着部材
180 印刷物
202 第1シレンドリカルレンズ
204 反射ミラー
206 結像レンズ
208 反射ミラー
210 同期検出装置
300 制御ユニット
302 スキャナ部
308 プリンタ部
312 LDドライバ
316 システムバス
326 イメージストレージ
328 インタフェース
329 操作部
330 主制御部
340 メモリ
342 画像補正部
344 出力データ制御部
500 画素
501 画素列
511 画像読取部
512 ノイズ除去部
513 周波数解析バンディング部
514 大小判断部
3421 切替回路
3422 Rクロック発生回路
3423 Fカウンタ発生回路
3424 対象ライン判断回路
3425 c進カウンタ
3426 初期値保持回路
3427 追加削除信号
S1、S2 ビーム列
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】
【特許文献1】特開2009−083472号公報
【特許文献2】特許第4253843号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調表現される処理画像の処理画像データに対して追加または削除する画素の配置を、該画素の並びの、前記処理画像の水平方向に対する角度または前記処理画像の垂直方向に対する角度により決定して、前記処理画像の拡大補正または縮小補正を行う、補正手段と、
前記補正手段により補正された処理画像データによるテスト画像に基づいて、該画素の並びの角度を変更する、画素列制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記テスト画像において、追加または削除された画素の並びの角度は、n度(但し、0度<n<180度)であり、
前記画素列制御手段は、前記処理画像データに追加または削除する画素の並びの角度を変更する際に、(180−n)度とすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記テスト画像を印刷する印刷手段と、
印刷された前記テスト画像を読み取って得られるテスト画像データにおける濃度特性を取得する特性取得手段と、
を有し、
前記画素列制御手段は、前記濃度特性に基づいて、前記処理画像データに追加または削除する画素の並びの角度を変更することを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記テスト画像は、前記印刷手段が画像を印刷する際のインクの色毎に対応する複数のパッチを有し、該パッチは、前記印刷手段が画像を印刷する媒体における該画像の領域の外に印刷されることを特徴とする請求項1ないし3何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
階調表現される処理画像の処理画像データに対して追加または削除する画素の配置を、該画素の並びの、前記処理画像の水平方向に対する角度または前記処理画像の垂直方向に対する角度により決定して、前記処理画像の拡大補正または縮小補正を行う、補正ステップと、
前記補正ステップにおいて補正された処理画像データによるテスト画像に基づいて、該画素の並びの角度を変更する、画素列制御ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
階調表現される処理画像の処理画像データに対して追加または削除する画素の配置を、該画素の並びの、前記処理画像の水平方向に対する角度または前記処理画像の垂直方向に対する角度により決定して、前記処理画像の拡大補正または縮小補正を行う、補正手段と、
前記処理画像データに対するスクリーン処理で形成されるスクリーン角に基づいて、前記処理画像データに追加または削除する画素の並びの角度を変更する画素列制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記画素列制御手段は、前記処理画像データに追加または削除する画素の並びの角度を、予め定められた複数の規定角度のうち、前記スクリーン角と前記規定角度との差の余弦が小さい前記規定角度に変更すること、を特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
複数の前記規定角度は、副走査方向に対してn度、および、前記副走査方向に対して−n度であること、を特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画素列制御手段は、前記処理画像に含まれる画像オブジェクトの画像データに対するスクリーン角に基づいて、前記処理画像データに追加または削除する画素の並びの角度を変更すること、を特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画素列制御手段は、前記処理画像データに対してスクリーン処理が行われていない場合、前記処理画像データに追加または削除する画素の並びの角度を予め定められた角度に変更すること、を特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−100240(P2012−100240A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10865(P2011−10865)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】