説明

画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラム

【課題】 被写体が動く場合であっても、被写体の像がボケることなく、動画などに対するノイズ除去を確度高く行うことができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 ノイズ除去対象の対象画像を縮小した第1縮小画像と、ノイズ除去処理の参照となる参照画像を第1縮小画像と同じ縮小率で縮小した第2縮小画像との組を少なくとも1つの縮小率で生成する縮小画像生成部と、第1縮小画像と第2縮小画像との比較に基づいて、対象画像の被写体が動いたか否かを判定する動き判定部と、動き判定部による判定結果に基づいて、第1縮小画像および第2縮小画像から縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分を抽出するノイズ抽出部と、対象画像から周波数帯域のノイズ成分を除去するノイズ除去部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画などに対するノイズ除去処理は、撮像した被写体の動きを考慮して行う必要があるとともに、処理対象となるフレームの数が多いことから、演算量および回路規模が増大してしまう。
【0003】
それらを解決するために、例えば、動画像のフレーム間の差分に基づいて被写体の動き部分を検出し、ノイズを除去するフィルタ係数を被写体の動き部分の検出結果に基づいて決めることにより、フレームの中から動きとノイズを正確に判定してノイズ除去する技術が開発されている(特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−79956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、フィルタ係数を被写体の動き部分の検出結果に基づいて決定するが、そのフィルタ係数を用いた現フレームのノイズ除去が、1つ前のノイズ除去された過去のフレームとの単純な重み付けによる合成処理であることから、被写体の像がボケてしまう場合がある。
【0006】
上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の目的は、被写体が動く場合であっても、被写体の像がボケることなく、動画などに対するノイズ除去を確度高く行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、ノイズ除去対象の対象画像を縮小した第1縮小画像と、ノイズ除去処理の参照となる参照画像を第1縮小画像と同じ縮小率で縮小した第2縮小画像との組を少なくとも1つの縮小率で生成する縮小画像生成部と、第1縮小画像と第2縮小画像との比較に基づいて、対象画像の被写体が動いたか否かを判定する動き判定部と、動き判定部による判定結果に基づいて、第1縮小画像および第2縮小画像から縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分を抽出するノイズ抽出部と、対象画像から周波数帯域のノイズ成分を除去するノイズ除去部と、を備える。
【0008】
また、動き判定部は、複数の縮小率で複数の第1縮小画像および第2縮小画像の組が生成された場合、最小の縮小率に対応した組から被写体が動いたか否かを判定し、ノイズ抽出部は、最小の縮小率に対応した組から周波数帯域のノイズ成分を抽出してもよい。
【0009】
また、動き判定部は、第1縮小画像および第2縮小画像の処理対象の画素位置を中心とする対象領域にある画素値の第1平均値および第2平均値をそれぞれ算出し、第1平均値と第2平均値との差分の値に基づき、処理対象の画素位置で被写体が動いたか否かを判定してもよい。
【0010】
また、動き判定部により処理対象の画素位置で被写体が動いたと判定された場合、処理対象の画素位置を記憶する記憶部を備えてもよい。
【0011】
また、ノイズ抽出部は、動き判定部による判定結果に基づいて、第1縮小画像の対象領域にある画素値、または第1縮小画像および第2縮小画像の対象領域にある画素値を用い、第1縮小画像の処理対象の画素の画素値に対する加重平均処理を行い、第1縮小画像の処理対象の画素の画素値と加重平均した画素値との差分から周波数帯域のノイズ成分を抽出してもよい。
【0012】
また、ノイズ抽出部は、第1縮小画像および第2縮小画像の対象領域にある画素値を用い、差分の値に応じて第1縮小画像の処理対象の画素の画素値に対する加重平均処理を行い、第1縮小画像の処理対象の画素の画素値と加重平均した画素値との差分から周波数帯域のノイズ成分を抽出してもよい。
【0013】
また、ノイズ除去部は、参照画像および周波数帯域のノイズ成分が除去された対象画像の対象領域にある画素値を用い、周波数帯域のノイズ成分が除去された対象画像の処理対象の画素の画素値に対する加重平均処理を行い、対象画像の処理対象の画素における高周波帯域のノイズ成分を除去してもよい。
【0014】
また、加重平均処理は、バイラテラルフィルタまたはイプシロンフィルタを用いて行われてもよい。
【0015】
また、周波数帯域のノイズ成分が除去された対象画像に対する画像圧縮を行い高周波帯域のノイズ成分を除去する圧縮処理部を備えてもよい。
【0016】
また、対象画像は、連続的に撮像された画像の1つであり、参照画像は、連続的に撮像された画像で、対象画像よりも前に撮像されノイズ除去された画像であってもよい。
【0017】
本発明の撮像装置は、被写体像を撮像して画像を生成する撮像部と、本発明の画像処理装置と、を備える。
【0018】
本発明の画像処理プログラムは、ノイズ除去対象の対象画像およびノイズ除去処理の参照となる参照画像を読み込む入力手順、対象画像を縮小した第1縮小画像と、参照画像を第1縮小画像と同じ縮小率で縮小した第2縮小画像との組を少なくとも1つの縮小率で生成する縮小画像生成手順、第1縮小画像と第2縮小画像との比較に基づいて、対象画像の被写体が動いたか否かを判定する動き判定手順、動き判定手順による判定結果に基づいて、第1縮小画像および第2縮小画像から縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分を抽出するノイズ抽出手順、対象画像から周波数帯域のノイズ成分を除去するノイズ除去手順、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被写体が動く場合であっても、被写体の像がボケることなく、動画などに対するノイズ除去を確度高く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一の実施形態に係るデジタルカメラ1の構成の一例を示すブロック図
【図2】一の実施形態に係るデジタルカメラ1によるノイズ除去処理の一例を示すフローチャート
【図3】図2に示すノイズ除去処理における画像データの流れの一例を示す図
【図4】他の実施形態に係るデジタルカメラ1によるノイズ除去処理の一例を示すフローチャート
【図5】図4に示すノイズ除去処理における画像データの流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
《一の実施形態》
図1は、一の実施形態に係るデジタルカメラ1の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態のデジタルカメラ1は、撮像光学系11、撮像素子12、DFE13、CPU14、メモリ15、操作部16、モニタ17、メディアI/F18を有する。ここで、DFE13、メモリ15、操作部16、モニタ17、メディアI/F18は、それぞれCPU14に接続される。
【0023】
撮像素子12は、撮像光学系11を通過した光束によって結像される被写体像を撮像するデバイスである。この撮像素子12の出力はDFE13に接続されている。なお、本実施形態の撮像素子12は、順次走査方式の固体撮像素子(CCDなど)であってもよく、XYアドレス方式の固体撮像素子(CMOSなど)であってもよい。
【0024】
撮像素子12の受光面には、複数の受光素子がマトリックス状に配列されている。撮像素子12の各受光素子には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタが公知のベイヤ配列にしたがって配置されている。そのため、撮像素子12の各受光素子は、カラーフィルタでの色分解によってそれぞれの色に対応する画像信号を出力する。これにより、撮像素子12は、撮像時にカラーの画像を取得できる。
【0025】
DFE13は、撮像素子12から入力される画像信号のA/D変換や、欠陥画素補正などの信号処理を行うデジタルフロントエンド回路である。このDFE13は、本実施形態において撮像素子12とともに撮像部を構成し、撮像素子12より入力される画像信号を画像のデータとしてCPU14に出力する。
【0026】
CPU14は、デジタルカメラ1の各部を統括的に制御するプロセッサである。例えば、CPU14は、撮像素子12の出力に基づいて、公知のコントラスト検出によるオートフォーカス(AF)制御や公知の自動露出(AE)演算などをそれぞれ実行する。また、CPU14は、DEF13からの画像データに対して、デジタル処理を施す。一例として、デジタル処理には、補間処理、ホワイトバランス処理、階調変換処理、輪郭強調処理、色変換処理などが含まれる。さらに、本実施形態のCPU14は、画像処理プログラムの実行により、縮小画像生成部20、動き判定部21、ノイズ抽出部22、ノイズ除去部23、圧縮処理部24として動作する。
【0027】
縮小画像生成部20は、公知の手法を用い、撮像素子12によって撮像された動画の各フレームの縮小画像を生成する。本実施形態の縮小画像生成部20は、1つのフレーム(対象画像)に対して縮小率1/4および1/16の2つの縮小画像(第1縮小画像)を生成する。また、縮小画像生成部20は、ノイズ除去処理の参照となる参照画像に対しても縮小率1/4および1/16の縮小画像(第2縮小画像)を生成する。なお、本実施形態における参照画像は、動画像において対象画像よりも1つ前のフレームで、ノイズ除去された画像であるとする。また、本実施形態における公知の手法とは、例えば、多重解像度解析およびNearest Neighbor法であるとする。
【0028】
動き判定部21は、同じ縮小率で縮小された対象画像および参照画像の縮小画像を一組として用い、一組の対象画像と参照画像との縮小画像を比較することにより、対象画像の縮小画像の各画素において、被写体が動いたか否かを判定する。そのために、本実施形態の動き判定部21は、一組をなす対象画像および参照画像の縮小画像の処理対象である画素iの画素位置を中心とする対象領域Aにある画素値ds(j)およびdr(j)の平均値<ds>(第1平均値)および<dr>(第2平均値)を算出する。なお、ds(j)およびdr(j)は、対象画像および参照画像それぞれの縮小画像の画素iを中心とする対象領域Aにある画素jの画素値を示し、画素j∈対象領域Aである。また、対象領域Aの大きさは、3画素×3画素や5画素×5画素など、対象画像および参照画像の画像サイズ、CPU14の処理能力、または縮小率などに応じて決めることが好ましい。
【0029】
動き判定部21は、平均値<ds>と平均値<dr>との差分の絶対値|<ds>−<dr>|を算出し、その絶対値としきい値Dとの比較に基づいて、画素iの画素位置での被写体の動き判定を行う。すなわち、動き判定部21は、差分の絶対値がしきい値Dより大きい場合、画素iの画素位置の被写体は動いたと判定し、絶対値がしきい値D以下の場合、画素iの画素位置の被写体は静止状態であると判定する。動き判定部21は、画素iの画素位置の被写体は動いたと判定した場合、画素iの画素位置や対象領域Aの情報をメモリ15に保持する。
【0030】
なお、しきい値Dは、例えば、ISO感度が3200で、画像の階調が0〜255の場合、D=2〜4などと設定されているものとする。しかしながら、しきい値Dは、撮像される被写体対象や被写体を撮像するISO感度などに応じて決定されることが好ましい。
【0031】
また、しきい値Dは、縮小率に応じて変えてもよい。すなわち、例えば、元の画像サイズ(縮小率1/1)の対象画像に対して、しきい値D=αと設定した場合、縮小率1/4の縮小画像のしきい値Dをα/2、縮小率1/16の縮小画像のしきい値Dをα/4などとしてもよい。
【0032】
また、本実施形態における被写体の動きとは、被写体自身の動きとともに、撮影者の手ブレやデジタルカメラ1のパーン動作などによる被写体の動きも含むものとする。
【0033】
ノイズ抽出部22は、動き判定部21による判定結果に基づいて、対象画像の縮小画像の画素iの画素値に重畳したノイズ成分を、上記対象領域Aの画素値ds(j)およびdr(j)を用いて抽出する。すなわち、ノイズ抽出部22は、動き判定部21により被写体が動いたと判定された場合、対象画像の縮小画像の対象領域Aにある画素値ds(j)のみを用い、対象画像の縮小画像の画素iの画素値ds(i)に対する加重平均処理を行う。一方、被写体が静止状態であると判定された場合、ノイズ抽出部22は、一組の対象画像および参照画像の縮小画像の対象領域Aにある画素値ds(j)およびdr(j)を用い、対象画像の縮小画像の画素iの画素値ds(i)に対する加重平均処理を行う。なお、ノイズ抽出部22による加重平均処理とは、例えば、式(1)に示すようなバイラテラルフィルタを用いたものである。
【0034】
【数1】

【0035】
ここで、d's(i)は対象画像の縮小画像の画素iの加重平均された画素値を示す。被写体が動いたとの判定の場合、式(1)の領域Sは、対象画像の縮小画像の画素iの画素位置を中心とする対象領域Aのみであり、d(j)は、その対象領域Aにある画素値ds(j)となる。一方、被写体が静止状態であるとの判定の場合、式(1)の領域Sは、対象画像および参照画像の縮小画像の2つの対象領域Aを合わせた領域であり、d(j)は、その対象領域Aにある画素値ds(j)およびdr(j)となる。また、式(1)のwは重み付けの係数を示し、次式(2)に示すように、ガウス関数の空間成分wx、画素値成分wd、時間成分wtの重み付けの係数の積で表される。
【0036】
【数2】

【0037】
ここで、xは対象画像および参照画像の縮小画像の画素の空間座標を示し、水平走査方向と垂直走査方向との成分からなる。tは対象画像および参照画像の縮小画像の時間座標を示す。なお、本実施形態における時間座標tはフレーム番号を示すものとする。したがって、被写体が動いたとの判定の場合、時間座標t=tとなり、wt=1となることから、ノイズ抽出部22は、空間方向の変動のみを考慮した加重平均処理を行う。一方、被写体が静止状態であるとの判定の場合、対象画像と参照画像との縮小画像間では、時間座標t≠tとなることから、ノイズ抽出部22は、時間方向の変動も考慮した加重平均処理を行う。なお、本実施形態の各成分のσ、σ、σの値は、要求されるノイズ除去処理の精度などに応じて適宜選択して設定されることが好ましい。
【0038】
ノイズ抽出部22は、上述のバイラテラルフィルタによる加重平均処理を全ての画素iについて行い、画素値d's(i)の対象画像の縮小画像を生成する。なお、その生成された縮小画像は、縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分が除去されたものである。したがって、ノイズ抽出部22は、加重平均処理前の対象画像の画素値ds(i)と加重平均処理後の画素値d's(i)との差分を求め、縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分Nを抽出し、ノイズデータとして出力する。なお、kは各縮小率を示す。
【0039】
ノイズ除去部23は、抽出された複数の周波数帯域のノイズデータを用い、対象画像に重畳するノイズを除去する。ここで、各周波数帯域のノイズデータのノイズ成分Nは、周波数帯域に対応する縮小率kで縮小された対象画像の縮小画像の各画素に対応している。そこで、ノイズ除去部23は、各周波数帯域のノイズデータを、元の対象画像の各画素におけるノイズデータに変換する。ノイズ除去部23は、変換した各周波数帯域のノイズ成分のノイズデータを元の対象画像から減算し除去する。
【0040】
さらに、本実施形態のノイズ除去部23は、上記周波数帯域のノイズ成分全てを除去した後、動き判定部21およびノイズ抽出部22と組み合わせて、対象画像自身に重畳する高周波帯域のノイズ成分を除去する。すなわち、対象画像および参照画像の画素iの画素位置を中心とする対象領域Aにある画素値ds(j)および画素値dr(j)を用いて、上述したように、動き判定部21は、画素iの画素位置での被写体の動き判定を行う。ノイズ抽出部22は、その動き判定の結果に応じて、対象画像の画素iの画素値に重畳する高周波帯域のノイズ成分を、式(1)および式(2)のバイラテラルフィルタによる加重平均処理に基づいて抽出する。ノイズ除去部23は、対象画像自身に重畳する高周波帯域のノイズ成分を除去する。
【0041】
なお、各縮小画像は、自身の縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分とともに、より小さな縮小画像が有する低周波帯域のノイズ成分も重畳して有する。そこで、本実施形態のノイズ除去部23は、ノイズ抽出部22によって抽出されたノイズデータを、元の対象画像の各画素におけるノイズデータに変換するとともに、自身よりも大きな縮小率の縮小画像の各画素におけるノイズデータにも変換する。ノイズ除去部23は、変換したノイズデータを用いて、各縮小画像に重畳するより低周波帯域のノイズ成分を除去する。これにより、ノイズ抽出部22は、各縮小画像から自身の縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分を確度高く抽出することができる。
【0042】
圧縮処理部24は、H.264やMotion JPEGなどの動画形式に応じて、各周波帯域のノイズ成分が除去された対象画像を動画圧縮し、動画データを生成する。
【0043】
メモリ15は、画像データなどとともに、CPU14によって実行される画像処理プログラムなどの各種プログラムを記憶する不揮発性のフラッシュメモリである。本実施形態のメモリ15は、動き判定部21により、画素iの画素位置の被写体が動いたと判定された場合、画素iの画素位置などの情報を保持する。
【0044】
操作部16は、例えば、撮像モードの切換設定の入力や、静止画、連写または動画の撮像指示などをユーザから受け付ける。
【0045】
モニタ17は、液晶モニタ等のモニタであり、CPU14の制御指示によって各種画像を表示する。例えば、動画の撮像後において、CPU14の制御指示に応じて、モニタ17は、撮像した動画を再生表示する。
【0046】
メディアI/F18には、不揮発性の記憶媒体19を着脱可能に接続できる。そして、メディアI/F18は、記憶媒体19に対してデータの書き込み/読み込みを実行する。上記の記憶媒体19は、ハードディスクや、半導体メモリを内蔵したメモリカードなどで構成される。なお、図1では記憶媒体19の一例としてメモリカードを図示する。
【0047】
次に、図2のフローチャートおよび図3の画像データの流れ図を参照しつつ、本実施形態に係るデジタルカメラ1による処理動作について説明する。
【0048】
なお、上述したように、縮小画像は、自身の縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分とともに、より小さな縮小画像が有するより低周波帯域のノイズ成分も重畳して有する。逆に、縮小画像は、自身の画像サイズよりも大きな画像が有するより高い周波帯域のノイズ成分を有しない。そこで、各縮小画像から自身の縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分を効率的に抽出するために、本実施形態における処理は、最小の縮小率の縮小画像から開始するものとする。
【0049】
CPU14は、ユーザから動画の撮像指示(例えば、操作部16に含まれるレリーズ釦の全押し操作など)を受け付けると、撮像素子12に被写体の動画撮像を開始させる。CPU14は、ステップS101からの処理を開始する。
【0050】
ステップS101:CPU14は、DEF13を介して、撮像素子12から出力された第1フレームを対象画像30aとして読み込む。同時に、CPU14は、対象画像30aをノイズ除去処理の参照画像30bと設定する。なお、第2フレーム以降の対象画像30aに対する参照画像30bは、本実施形態のノイズ除去が施された1つ前のフレームとする。
【0051】
ステップS102:CPU14の縮小画像生成部20は、読み込んだ対象画像30aおよび参照画像30bそれぞれについて、縮小率が1/4および1/16の縮小画像を生成する。図3において、フレーム30aに対する縮小率1/4および1/16の縮小画像(第1縮小画像)を31aおよび32aと符号を付し、参照画像30bに対する縮小率1/4および1/16の縮小画像(第2縮小画像)を31bおよび32bと符号を付す。
【0052】
ステップS103:CPU14は、対象画像30aおよび参照画像30bの縮小率1/16の縮小画像32a、32bを読み込む。CPU14は、一組の縮小画像32a、32bを用い、縮小画像32aの画素iの画素位置で被写体が動いたか否かの判定を、画素iの画素位置を中心とする対象領域Aにある画素値dsおよびdrを用いて行う。すなわち、動き判定部21は、対象領域Aにある画素値dsおよびdrの平均値<ds>および<dr>を算出し、平均値の差分の絶対値|<ds>−<dr>|がしきい値Dより大きいか否かを判定する。動き判定部21は、差分の絶対値がしきい値Dより大きい場合、縮小画像32aの画素iの画素位置の被写体は動いたと判定し、例えば、画素iの画素位置をメモリ15に保持する。一方、動き判定部21は、絶対値がしきい値D以下の場合、縮小画像32aの画素iの画素位置の被写体は静止状態であると判定する。
【0053】
ステップS104:CPU14のノイズ抽出部22は、ステップS103における画素iでの被写体の動き判定の結果に応じて、式(1)および式(2)のバイラテラルフィルタによる加重平均処理を行う。すなわち、ノイズ抽出部22は、被写体が動いたとの判定の場合、縮小画像32aの対象領域Aを式(1)の領域Sとし、その対象画像Aの画素値ds(j)を式(1)のd(j)として、加重平均処理を行う。一方、被写体が静止状態という判定の場合、ノイズ抽出部22は、縮小画像32aおよび32bの各対象領域Aを合わせた領域を式(1)の領域Sとし、その対象領域Aにある画素値ds(j)およびdr(j)を式(1)のd(j)として、加重平均処理を行う。ノイズ抽出部22は、画素iの画素値d's(i)を取得する。
【0054】
ステップS105:CPU14は、縮小画像32aの全ての画素iについて加重平均処理を行い、画素値d's(i)を取得したか否かを判定する。CPU14は、全ての画素iについて処理を行ったと判定した場合、画素値d'sからなる縮小率1/16の対象画像30aの縮小画像33を生成し、ステップS106(YES側)へ移行する。一方、CPU14は、全ての画素iについて処理を行っていないと判定した場合、ステップS103(NO側)へ移行し、全ての画素iについて、ステップS103およびステップS104の処理を行い、縮小画像33を生成する。なお、縮小画像33は、縮小率1/16に対応した周波数帯域(以下、低周波帯域という)のノイズ成分が除去された画像である。
【0055】
ステップS106:ノイズ抽出部22は、縮小画像32aの画素iの画素値ds(i)から縮小画像33の画素iの画素値d's(i)を減算して、縮小画像32aの縮小率に対応した低周波帯域のノイズデータ34を抽出する。
【0056】
ステップS107:CPU14は、ステップS106において抽出されたノイズデータが、最小の縮小率の縮小画像から抽出されたものであるか否かを判定する。最小の縮小率から抽出されたものであると判定された場合、CPU14は、ステップS108(YES側)へ移行する。一方、最小の縮小率から抽出されたものでないと判定された場合、CPU14は、ステップS110(NO側)へ移行する。
【0057】
ステップS108:CPU14のノイズ除去部23は、抽出されたノイズデータ34を、縮小率1/4の縮小画像31aの各画素における低周波帯域のノイズデータ35に変換する。ノイズ除去部23は、縮小画像31aの各画素の画素値からノイズデータ35のノイズ成分を減算し、縮小画像31aに重畳する低周波帯域のノイズ成分が除去された縮小画像36を算出する。ただし、縮小画像36は、縮小率1/4に対応した周波数帯域(以下、中周波帯域という)のノイズ成分を有する。
【0058】
ステップS109:CPU14は、全ての縮小率の縮小画像に対する処理が終了したか否かを判定する。CPU14は、全ての縮小率の縮小画像に対する処理が終了したと判定した場合、ステップS111(YES側)へ移行する。
【0059】
一方、CPU14は、全ての縮小率の縮小画像に対する処理が終了していないと判定した場合、ステップS103(NO側)へ移行する。CPU14は、低周波帯域のノイズ成分が除去された縮小率1/4の縮小画像36、および縮小率1/4の参照画像30bの縮小画像31bに対して、ステップS103〜ステップS105の処理を行う。ステップS105において、ノイズ抽出部22は、中周波帯域のノイズ成分が除去された縮小率1/4の縮小画像37を生成する。ノイズ抽出部22は、ステップS106において、縮小画像36の画素iの画素値ds(i)から縮小画像37の画素iの画素値d's(i)を減算して、中周波帯域のノイズ成分のノイズデータ38を抽出する。CPU14は、ステップS107において、ステップS110(NO側)へ移行する。
【0060】
なお、本実施形態のステップS103において、動き判定部21は、縮小画像32a、32bに対する動き判定の結果を用い、縮小画像36の画素iの画素位置での被写体の動き判定を行うものとする。すなわち、動き判定部21は、メモリ15に保持された縮小画像32a、32bに対する判定結果を読み込む。動き判定部21は、例えば、縮小画像36を縮小率1/4で縮小した場合、縮小画像36の画素iの画素位置が、被写体が動いたと判定された縮小画像32aの画素の画素位置と一致するか否かを判定する。動き判定部21は、一致すると判定した場合、縮小画像36の画素iの画素位置を、被写体が動いた画素位置としてメモリ15に保持する。一方、不一致の場合、動き判定部21は、縮小画像36および縮小画像31bの画素iの画素位置を中心とする対象領域Aにある画素値dsおよびdrを用い、通常の動き判定を行う。動き判定部21は、縮小画像36の画素iの画素位置で被写体が動いたと判定した場合、その画素iの画素位置をメモリ15に保持する。
【0061】
ステップS110:ノイズ除去部23は、低周波帯域のノイズデータ35と中周波数帯域のノイズデータ38とのノイズ成分を各画素で加算し、低中周波帯域のノイズデータ39を生成する。
【0062】
ノイズ除去部23は、ステップS108において、低中周波帯域のノイズデータ39を、元の対象画像30aの各画素における低中周波帯域のノイズデータ40に変換する。ノイズ除去部23は、元の対象画像30aの各画素の画素値からノイズデータ40のノイズ成分を減算し、対象画像30aに重畳する低中周波帯域のノイズ成分が除去された対象画像41を生成する。CPU14は、ステップS109において、ステップS111(YES側)へ移行する。
【0063】
ステップS111:CPU14は、参照画像30bを用い、低中周波帯域のノイズが除去された対象画像41の画素iに重畳する高周波数帯域のノイズ成分を除去する。具体的には、動き判定部21が、対象画像41および参照画像30bの画素iの画素位置を中心とする対象領域Aにある画素値dsおよび画素値drを用い、画素iの画素位置での被写体の動き判定を行う。ノイズ抽出部22は、動き判定の結果に応じて、対象画像の画素iの画素値に重畳する高周波帯域のノイズ成分を、式(1)および式(2)のバイラテラルフィルタによる加重平均処理に基づいて抽出する。ノイズ除去部23は、対象画像41自身に重畳する高周波帯域のノイズ成分を除去して、対象画像42を生成する。
【0064】
なお、本実施形態の動き判定部21は、縮小画像36、31bに対する動き判定の結果を用い、対象画像41の画素iの画素位置での被写体の動き判定を行うものとする。すなわち、動き判定部21は、メモリ15に保持された縮小画像36、31bに対する判定結果を読み込む。動き判定部21は、例えば、対象画像41を縮小率1/4で縮小した場合、縮小画像41の画素iの画素位置が、被写体が動いたと判定された縮小画像36の画素の画素位置と一致するか否かを判定する。動き判定部21は、一致すると判定した場合、対象画像41の画素iの画素位置で被写体が動いたと判定する。一方、不一致の場合、動き判定部21は、対象画像41および参照画像30bの画素iの画素位置を中心とする対象領域Aにある画素値dsおよびdrを用い、通常の動き判定を行う。
【0065】
ステップS112:CPU14の圧縮処理部24は、H.264やMotion JPEGなどの動画形式に応じて、低周波帯域から高周波帯域のノイズ成分が除去された対象画像42を動画圧縮し、動画データを生成する。CPU14は、その動画データをメモリ15に一時的に記録する。同時に、CPU14は、対象画像42を、次のフレームの対象画像30aに対する参照画像30bとしてメモリ15に記録設定する。
【0066】
ステップS113:CPU14は、例えば、ユーザによる操作部16のレリーズ釦の全押しが解除されたことにより、動画撮像の終了指示を受け付けたか否かを判定する。CPU14は、動画撮像の終了指示を受け付けたと判定した場合(YES側)、メモリ15に一時的に記録された動画データから動画ファイルを生成し、メモリ15や記憶媒体19に記録する。CPU14は、一連の処理を終了する。一方、CPU14は、動画撮像の終了指示を受け付けていないと判定した場合、ステップS101(NO側)へ移行する。CPU14は、第2フレーム以降の対象画像30aに対するステップS101〜ステップS112の処理を、終了指示を受け付けるまで行う。
【0067】
このように、本実施形態では、対象画像30aおよび参照画像30bの一組から縮小率が異なる複数組の縮小画像を生成して、各組の縮小画像の画素毎に動き判定を行い、その判定結果に応じて、加重平均処理の演算範囲(領域S)を調整することにより、被写体が動く場合であっても、被写体の像がボケることなく、動画などに対するノイズ除去を確度高く行うことができる。
【0068】
また、最小の縮小率の一組の縮小画像から被写体の動き判定を行い、最小の縮小率に対応する周波数帯域のノイズ成分から抽出することにより、被写体の動きの影響が、画像サイズが大きい他の縮小率の縮小画像に伝播することを回避しつつ、効率的にノイズ除去することができる。
《他の実施形態》
本発明の他の実施形態に係るデジタルカメラは、図1の一の実施形態に係るデジタルカメラ1と同じ構成を有し、各構成要素の詳細な説明は省略する。
【0069】
図4は、本実施形態のデジタルカメラ1による処理動作のフローチャートを示す。図4において、図2に示す一の実施形態における処理と同様な処理については、下2桁が同じとなるステップ番号を付し詳細な説明は省略する。
【0070】
図5は、図4に示す処理における画像データの流れを示す。図5において、図3に示す一の実施形態における画像データと同一のものについては、同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0071】
本実施形態に係るデジタルカメラ1による処理動作が一の実施形態に係るものと異なる点は、ステップS111の高周波帯域のノイズ除去処理が省略される点にある。これは、ステップS212(ステップS112に対応)において行われる、圧縮処理部24による対象画像41を動画データに変換する動画圧縮処理が、高周波帯域のノイズ成分を除去するのと同様の効果を有するからである。
【0072】
また、ステップS111の処理が省略されることにより、対象画像42が算出されない。よって、縮小画像生成部20は、ステップS202において、第2フレーム以降の参照画像30bの縮小画像31b、32bを生成しない。そして、CPU14は、ステップS212において、縮小画像33、37を、参照画像30bの縮小率1/16および1/4の縮小画像32bおよび31bとして、メモリ15に記録設定する。CPU14は、ステップS201において、縮小画像31b、32bをメモリ15から読み込む。
【0073】
このように、本実施形態では、対象画像30aおよび参照画像30bの一組から縮小率が異なる複数組の縮小画像を生成して、各組の縮小画像の画素毎に動き判定を行い、その判定結果に応じて、加重平均処理の演算範囲(領域S)を調整することにより、被写体が動く場合であっても、被写体の像がボケることなく、動画などに対するノイズ除去を確度高く行うことができる。
【0074】
また、最小の縮小率の一組の縮小画像から被写体の動き判定を行い、最小の縮小率に対応する周波数帯域のノイズ成分から抽出することにより、被写体の動きの影響が、画像サイズが大きい他の縮小率の縮小画像に伝播することを回避しつつ、効率的にノイズ除去することができる。
【0075】
さらに、高周波帯域のノイズ除去を動画圧縮処理で代用することにより、デジタルカメラ1によるノイズ除去処理の処理時間の短縮および処理負荷の軽減を実現することができ、デジタルカメラ1の回路規模を小さくすることができる。
【0076】
また、第2フレーム以降の縮小画像生成部20による参照画像30bの縮小画像の生成処理を省略することにより、ノイズ除去処理の処理時間の短縮および処理負荷の軽減をさらに図ることができ、デジタルカメラ1の回路規模をさらに小さくすることができる。
《実施形態の補足事項》
(1)上記実施形態では、デジタルカメラ1の縮小画像生成部20、動き判定部21、ノイズ抽出部22、ノイズ除去部23、圧縮処理部24の各処理を、CPU14がソフトウエア的に実現する例を説明したが、ASICを用いてこれらの各処理をハードウエア的に実現しても勿論かまわない。
【0077】
(2)本発明の画像処理装置は、上記実施形態のデジタルカメラ1の例に限定されない。例えば、動画または連写によって撮像された複数の画像をコンピュータに読み込ませるとともに、コンピュータにノイズ除去の処理を実行させ、コンピュータを本発明の画像処理装置として機能させてもよい。
【0078】
(3)上記実施形態では、第1フレームの対象画像30aに対する参照画像30bとして、対象画像30aを用いたが、本発明はこれに限定されず、例えば、対象画像30aに公知のノイズ除去処理を施し参照画像30bとしてもよい。
【0079】
(4)上記実施形態では、式(1)における重み付けの係数wを、式(2)に示すように、空間成分wx、画素値成分wd、時間成分wtの重み付けの係数の積としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、重み付けの係数wを、式(3)に示すように、空間成分wxおよび画素値成分wdの重み付けの係数の積とし、画素値成分のσの値を式(4)に示すように設定してもよい。
【0080】
【数3】

【0081】
【数4】

【0082】
式(4)に示すように、画素iと画素jとが同じフレーム同士か否かで、画素値成分のσの値を設定することにより、式(2)の時間成分のwtと同じ効果を与えることができる。なお、本実施形態では、σ'≠σ"とすることが好ましい。
【0083】
また、空間成分のσおよび画素値成分のσの値を、RGBやYCrCbなどの色成分毎に設定してもよい。例えば、YCrCbの場合、輝度Yについては、σ〜0.7/ピクセル、σ〜30/8ビット画像、色差CrCbについては、σ〜0.7/ピクセル、σ〜10/8ビット画像と設定する。
【0084】
また、バイラテラルフィルタの代わりに、例えば、イプシロンフィルタなどを用いてもよい。
【0085】
さらに、σ'およびσ"それぞれの値を、動き判定部21による平均値の差分の絶対値|<ds>−<dr>|の大きさに応じて決定し、式(3)および(4)の加重平均処理において、現フレームと過去フレームとの重み付けを行ってもよい。すなわち、例えば、σ'の値を、平均値の差分の絶対値|<ds>−<dr>|の大きさに応じて決定し、σ"の値は、σ'の値に基づいて決定されてもよい。
【0086】
(5)上記実施形態では、縮小画像生成部20は、対象画像30aおよび参照画像30bそれぞれの縮小率1/4および1/16の縮小画像を多重解像度解析により生成したが、本発明はこれに限定されない。縮小画像生成部20は、1または3以上の縮小率が異なる縮小画像を生成してもよい。
【0087】
(6)上記実施形態では、ノイズ除去部23は、低周波帯域のノイズデータ35と中周波帯域のノイズデータ38とのノイズ成分を各画素で加算して低中周波帯域のノイズデータ39を算出し、低中周波帯域のノイズ成分が除去された対象画像41を算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノイズ除去部23は、低周波帯域のノイズデータ35および中周波帯域のノイズデータ38それぞれを、元の対象画像30aの各画素における各周波数帯域のノイズデータを算出する。そして、ノイズ除去部23は、元の対象画像30aから各周波数帯域のノイズデータを減算し、対象画像41を算出してもよい。
【0088】
(7)上記一の実施形態において、CPU14は、撮像素子12から出力される対象画像30aとともに、参照画像30bを読み込み、縮小画像生成部20は、対象画像30aおよび参照画像30bの縮小画像を生成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、CPU14は、対象画像42を参照画像30bとしてメモリ15に記憶設定するとともに、縮小画像37を縮小率1/4の参照画像31b、縮小画像33を縮小率1/16の参照画像32bとしてメモリ15に記録設定してもよい。これにより、縮小画像生成部20による参照画像30bの縮小画像の生成処理を省略でき、ノイズ除去処理の処理時間の短縮および処理負荷の軽減を実現することができる。さらに、デジタルカメラ1の回路規模を小さくすることができる。
【0089】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神及び権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点及び利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良及び変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物及び均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…デジタルカメラ、11…撮像光学系、12…撮像素子、13…DEF、14…CPU、15…メモリ、16…操作部、17…モニタ、18…メディアI/F、19…記憶媒体、20…縮小画像生成部、21…動き判定部、22…ノイズ抽出部、23…ノイズ除去部、24…圧縮処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズ除去対象の対象画像を縮小した第1縮小画像と、ノイズ除去処理の参照となる参照画像を前記第1縮小画像と同じ縮小率で縮小した第2縮小画像との組を少なくとも1つの縮小率で生成する縮小画像生成部と、
前記第1縮小画像と前記第2縮小画像との比較に基づいて、前記対象画像の被写体が動いたか否かを判定する動き判定部と、
前記動き判定部による判定結果に基づいて、前記第1縮小画像および前記第2縮小画像から前記縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分を抽出するノイズ抽出部と、
前記対象画像から前記周波数帯域のノイズ成分を除去するノイズ除去部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記動き判定部は、複数の縮小率で複数の前記第1縮小画像および前記第2縮小画像の組が生成された場合、最小の縮小率に対応した組から前記被写体が動いたか否かを判定し、
前記ノイズ抽出部は、前記最小の縮小率に対応した組から前記周波数帯域のノイズ成分を抽出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
前記動き判定部は、前記第1縮小画像および前記第2縮小画像の処理対象の画素位置を中心とする対象領域にある画素値の第1平均値および第2平均値をそれぞれ算出し、前記第1平均値と前記第2平均値との差分の値に基づき、前記処理対象の画素位置で前記被写体が動いたか否かを判定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記動き判定部により前記処理対象の画素位置で前記被写体が動いたと判定された場合、前記処理対象の画素位置を記憶する記憶部を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の画像処理装置において、
前記ノイズ抽出部は、前記動き判定部による判定結果に基づいて、前記第1縮小画像の前記対象領域にある画素値、または前記第1縮小画像および第2縮小画像の前記対象領域にある画素値を用い、前記第1縮小画像の前記処理対象の画素の画素値に対する加重平均処理を行い、前記第1縮小画像の処理対象の画素の画素値と加重平均した画素値との差分から前記周波数帯域のノイズ成分を抽出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の画像処理装置において、
前記ノイズ抽出部は、前記第1縮小画像および第2縮小画像の前記対象領域にある画素値を用い、前記差分の値に応じて前記第1縮小画像の前記処理対象の画素の画素値に対する加重平均処理を行い、前記第1縮小画像の処理対象の画素の画素値と加重平均した画素値との差分から前記周波数帯域のノイズ成分を抽出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記ノイズ除去部は、前記参照画像および前記周波数帯域のノイズ成分が除去された前記対象画像の前記対象領域にある画素値を用い、前記周波数帯域のノイズ成分が除去された対象画像の前記処理対象の画素の画素値に対する加重平均処理を行い、前記対象画像の前記処理対象の画素における高周波帯域のノイズ成分を除去する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記加重平均処理は、バイラテラルフィルタまたはイプシロンフィルタを用いて行われることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記周波数帯域のノイズ成分が除去された前記対象画像に対する画像圧縮を行い高周波帯域のノイズ成分を除去する圧縮処理部を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記対象画像は、連続的に撮像された画像の1つであり、
前記参照画像は、前記連続的に撮像された画像で、前記対象画像よりも前に撮像され前記ノイズ除去された画像である
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
被写体像を撮像して画像を生成する撮像部と、
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
ノイズ除去対象の対象画像およびノイズ除去処理の参照となる参照画像を読み込む入力手順、
前記対象画像を縮小した第1縮小画像と、前記参照画像を前記第1縮小画像と同じ縮小率で縮小した第2縮小画像との組を少なくとも1つの縮小率で生成する縮小画像生成手順、
前記第1縮小画像と前記第2縮小画像との比較に基づいて、前記対象画像の被写体が動いたか否かを判定する動き判定手順、
前記動き判定手順による判定結果に基づいて、前記第1縮小画像および前記第2縮小画像から前記縮小率に対応した周波数帯域のノイズ成分を抽出するノイズ抽出手順、
前記対象画像から前記周波数帯域のノイズ成分を除去するノイズ除去手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−70337(P2012−70337A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215609(P2010−215609)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】