説明

画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】複数台の画像処理装置を連携させて処理を実行する際に、親機となる画像処理装置におけるメモリフルの発生を抑制する。
【解決手段】画像データの入力を行う画像入力手段と、画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御手段と、子機となる画像処理装置を連携させて子機となる画像処理装置に画像データの入力を実行させる分散入力連携手段と、1ジョブの実行中に子機となる画像処理装置に入力された画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算手段と、メモリ容量計算手段により算出されたメモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理手段と、1ジョブの実行中に子機となる画像処理装置に入力された画像データを取得する画像取得手段と、画像取得手段により取得された画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子機となる画像処理装置と連携して一つの機能を実行する連携機能を有する画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数台の画像処理装置を相互通信可能に接続させ、複数台の画像処理装置を連携させて一つの機能を実行する連携機能を有する画像処理システムが知られている。複数台の画像処理装置を連携させて実行する機能の一つとして、例えば大量の原稿を分散して読み取る分散読取機能がある。
【0003】
分散読取機能を実行する場合、親機となる画像処理装置から読取設定情報を子機となる画像処理装置へ送り、親機と子機とで原稿を分散して読み取る。そして、読み取った画像データを親機へ集め、親機がその画像データを一つの文書として出力する。
【0004】
また、複数台の画像処理装置が連携して実行する機能として、子機側で蓄積された画像データを親機へ送り、親機で読み取った画像データと子機側から送信された画像データとを結合して出力する機能等もある。例えば特許文献1には、親機と子機でそれぞれ原稿画像を読み取り画像ファイルを作成し、親機は子機に読み取った画像ファイルの送付を要求し、子機は親機に全ての画像ファイルを送付し、親機では2つの画像ファイルを結合し、結合ファイルを作成することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の技術では、読み取った画像データを出力する際に、子機となる画像処理装置で読み取った画像データ又は子機に蓄積された画像データが親機に一度に集められる。このため親機となる画像処理装置のメモリの使用量が大きくなり、親機がメモリフルを起こして出力が正常に完了しないという問題がある。さらに、画像データの出力が終わるまで新たなジョブを親機へ投入できないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決するためになされたものであり、複数台の画像処理装置を連携させて処理を実行する際に、親機となる画像処理装置におけるメモリフルの発生を抑制することが可能な画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0008】
本発明は、子機となる画像処理装置と接続されて親機となる画像処理装置であって、画像データの入力を行う画像入力手段と、前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御手段と、前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携手段と、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算手段と、前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理手段と、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力手段と、を有する。
【0009】
また本発明の画像処理装置は、前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データに関する入力画像情報を管理する入力画像情報管理手段を有し、前記メモリ容量計算手段は、前記入力画像情報に基づき前記メモリ容量を算出する。
【0010】
また本発明の画像処理装置において、前記入力画像情報は、前記画像データを識別する識別子と、1ジョブを通して前記画像データが入力された順序の情報と、前記画像データのサイズの情報と、前記画像データの元となる原稿のサイズの情報と、前記画像データが格納されている画像処理装置の情報と、を含む。
【0011】
また本発明の画像処理装置は、前記画像取得手段により取得する画像データのサイズを決定する取得画像量決定手段を有する。
【0012】
また本発明の画像処理装置において、前記メモリ管理手段により前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保できない場合であって、且つ前記出力条件に前記画像データの縮小設定が含まれる場合に、前記ジョブ制御手段は、前記子機となる画像処理装置に対し、前記縮小設定がなされた画像データの縮小処理を依頼し、前記画像取得手段は、前記子機となる画像処理装置から縮小された画像データを取得する。
【0013】
また本発明の画像処理装置は、前記縮小処理が施された後の画像データのサイズの概算値を計算する概算値計算手段を有し、前記ジョブ制御手段は、前記メモリ管理手段により前記概算値以上のメモリ領域を確保できるとき、前記子機となる画像処理装置へ縮小処理を依頼する。
【0014】
また本発明の画像処理装置において、前記メモリ管理手段により前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保できない場合に、実行中のジョブ以外のジョブにおいて前記画像入力手段により入力された前記画像データを前記子機となる画像処理装置へ退避させる画像退避手段を有する。
【0015】
また本発明の画像処理装置は、前記画像退避手段により退避させた前記画像データのサムネイル画像データをプレビュー表示させる画像表示手段を有する。
【0016】
また本発明の画像処理装置において、前記メモリ管理手段により前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保できない場合に、前記ジョブ制御手段は、前記子機となる画像処理装置に、前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データの出力依頼を行う。
【0017】
本発明は、子機となる画像処理装置と親機となる画像処理装置とが接続されて構成される画像処理システムであって、前記親機となる画像処理装置は、画像データの入力を行う画像入力手段と、前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御手段と、前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携手段と、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算手段と、前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理手段と、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力手段と、を有する。
【0018】
本発明は、子機となる画像処理装置と接続されて親機となる画像処理装置による画像処理方法であて、画像データの入力を行う画像入力手順と、前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御手順と、前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携手順と、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算手順と、前記メモリ容量計算手順において算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理手順と、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得手順と、前記画像取得手順において取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力手順と、を有する。
【0019】
本発明は、子機となる画像処理装置と接続されて親機となる画像処理装置による画像処理プログラムであって、前記親機となる画像処理装置に、画像データの入力を行う画像入力ステップと、前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御ステップと、前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携ステップと、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算ステップと、前記メモリ容量計算ステップにおいて算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理ステップと、前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにおいて取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の画像処理装置による分散読取機能等を実行した際に、親機となる画像処理装置におけるメモリフルの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第一の実施形態の画像処理システムのシステム構成図の例を示す図である。
【図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】第一の実施形態において親機となる画像処理装置の機能構成を説明する図である。
【図4】第一の実施形態において子機となる画像処理装置の機能構成を説明する図である。
【図5】入力画像情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】第一の実施形態のメモリ容量計算部によるメモリ容量の計算を説明する図である。
【図7】第一の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図8】第二の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図9】第三の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図10】子機となる画像処理装置の画像出力部による縮小処理の例を示す図である。
【図11】第四の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図12】面積テーブルの一例を示す図である。
【図13】第五の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図14】第五の実施形態の画像退避部による画像データの退避について説明する図である。
【図15】第六の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図16】第六の実施形態の画像処理システムにおいて、退避させた画像データの含む文書の印刷要求を受けた際の動作を説明するフローチャートである。
【図17】第七の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図18】親機となる画像処理装置におけるプレビュー画面の表示を説明するフローチャートである。
【図19】第八の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明では、親機となる画像処理装置において、出力される画像の枚数とその格納に必要なメモリ領域を算出し、親機に入力された画像を格納する画像格納領域以外に上記のメモリ領域を確保する。そして上記メモリ領域に空きができるたびに子機となる画像処理装置から画像を取得する。
【0023】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像処理システムのシステム構成図の例を示す図である。
【0024】
本実施形態の画像処理システム100は、画像処理装置200、300、400がLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されて構成されている。本実施形態では、画像処理装置200、300、400が連携して分散読取機能等を実現する。
【0025】
本実施形態の分散読取機能とは、複数の画像処理装置がそれぞれで原稿を読み取って画像データとし、その画像データを親子となる画像処理装置へ送信して出力する機能である。出力の形態としては、印刷出力やFAX送信等がある。以下の本実施形態の説明では、画像処理装置200、300、400の連携において画像処理装置200を親機とし、画像処理装置200、300を子機として説明する。
【0026】
図2は、画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図2では、画像処理装置200のハードウェア構成を示しているが、本実施形態の画像処理装置300、400のハードウェア構成は画像処理装置200と同様であるので説明を省略する。
【0027】
画像処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、HDD(Hard Disk Drive)24、スキャナ25、プロッタ26、ネットワーク通信制御部27、操作部28を有し、データバスBを介して接続されている。
【0028】
CPU21は、画像処理装置200全体の制御演算を行う。RAM22は、一時的な記憶場所として利用される。ROM23は、プログラム、フォント、及びその他の静的なデータが格納されている。HDD24は、不揮発性のデータを格納しておく。スキャナ25は、原稿の読み取りを行う。プロッタ26は、スキャナ25により読み取った画像を転写紙へ印刷を行う。ネットワーク通信制御部27は、イーサネット(登録商標)や無線LAN等のネットワークに接続され、外部の機器やサーバとの通信を可能とする。操作部28は、ユーザがボタンやテキスト入力などユーザが画像処理装置200を操作するためのユーザインタフェースを提供する。
【0029】
本発明の画像処理プログラムは画像処理装置200を動作させるプログラムの一部である。本発明の画像処理プログラムは、例えばROM23に格納されており、CPU21がこの画像処理プログラムを読み出してRAM22に展開し、実行することで画像処理装置200が動作する。また画像処理プログラムは、ネットワーク通信制御部27によりネットワークを介してダウンロードされても良い。また画像処理プログラムは、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリや光ディスク等の画像処理装置200に読取可能な記録媒体に記録さてれおり、記録媒体から読み出されてROM23に格納されても良い。
【0030】
以下に本実施形態の画像処理装置200の機能について説明する。図3は、第一の実施形態において親機となる画像処理装置の機能構成を説明する図である。
【0031】
本実施形態の画像処理装置200は、ジョブ制御部210、分散入力連携部211、画像表示部212、画像入力部213、画像出力部214、画像取得部215、取得画像量決定部216、通信部217、メモリ管理部218、メモリ容量計算部219、概算値計算部220、画像退避部221、入力画像情報管理部222を有する。
【0032】
ジョブ制御部210は、ユーザからの指示を受けて、画像データの入力から出力までの一連の処理の流れを一つのジョブとして制御する。一連の処理とは、例えば画像読取、メモリ領域の確保、画像取得、画像出力等である。ここで確保されるメモリ領域は、例えばRAM22に設けられていても良いしHDD23に設けられていても良い。
【0033】
分散入力連携部211は、分散読取機能を実行する場合に、連携先(子機)となる画像処理装置300、400への読取指示依頼を行う。また分散入力連携部211は、画像処理装置200で読み取った画像と、子機となる画像処理装置300、400に蓄積された蓄積文書とを結合する分散蓄積結合機能を実行する場合は、子機となる画像処理装置300、400への蓄積文書読み出し指示依頼を行う。
【0034】
画像表示部212は、ユーザへ画像のプレビューを表示する。画像入力部213は、分散読取機能を実行する場合には、原稿を読み取り、読み取った情報から画像データを生成する。また画像入力部213は、分散画像蓄積機能を実行する場合には、子機に蓄積された画像データを読み出す。
【0035】
画像出力部214は、設定された出力条件に従い画像データを編集し、その画像データの出力を行う。画像データの出力の形式としては、例えば、転写紙への印字や宛先へのFAX送信等がある。尚編集とは、例えば画像データの変倍、集約等である。
【0036】
画像取得部215は、通信部217を使って子機に格納されている画データを取得する。
【0037】
取得画像量決定部216は、出力を実行するために子機から取得する画像データの容量と、取得する容量を決める方式を決定する。
【0038】
通信部217は、ネットワークを介し子機に対して情報の送受信を行う。メモリ管理部218は、メモリ容量計算部219によって算出された容量分のメモリ領域を確保する。
【0039】
メモリ容量計算部219は、子機から取得する画像データをメモリ領域に格納するために必要なメモリ容量を算出する。概算値計算部220は、画像データを縮小した後の画像容量サイズの概算値を計算する。画像退避部221は、親機のメモリ領域に格納されている画像データを子機のメモリ領域に一時的に格納する。入力画像情報管理部222は、入力された画像データに付随する入力画像情報を管理し、またその情報を提供する。入力画像情報とは、画像データの容量、原稿サイズ、入力順序等を示す情報である。入力画像情報の詳細は後述する。
【0040】
次に、子機となる画像処理装置300の機能構成について説明する。図4は、第一の実施形態において子機となる画像処理装置の機能構成を説明する図である。本実施形態の画像処理装置300と画像処理装置400の機能構成は同様であるから、画像処理装置300について説明する。
【0041】
子機となる画像処理装置300は、親機である画像処理装置200と連携して分散入力機能又は分散蓄積分結合機能を実行するために、分散入力連携部311、画像入力部313、画像出力部314、通信部317、入力画像情報管理部322を有していれば良い。尚子機として動作していた画像処理装置300が、親機として動作する場合には、図3に示す機能構成が必要となる。
【0042】
ここで図5を参照して入力画像情報について説明する。図5は、入力画像情報のデータ構造の一例を示す図である。
【0043】
図5に示す入力画像情報50は、読み取られた画像データ毎に有する情報である。本実施形態の入力画像情報50は、画像識別子51、入力順序情報52、容量サイズ情報53、原稿サイズ情報54、格納機器情報55が含まれる。
【0044】
画像識別子51は、画像データを識別するための情報(例えばfileName01等)である。入力画像情報管理部222、322において情報を識別することに使用する。
【0045】
入力順序情報52は、入力された順序を示す情報(例えば3枚目等)である。尚入力順序は、一つのジョブを通して入力された順序を示しており、画像処理装置200において入力された画像データの順序も含めた順序である。例えば1つのジョブで5枚の原稿を読み取る場合に、1〜3枚目までの原稿を画像処理装置200で読み取り、4,5枚目の原稿を画像処理装置300で読み取った場合、4枚目の原稿から作成された画像データが入力された順序は4番目となる。
【0046】
入力順序情報52は、メモリ容量計算部219による画像データの容量の計算に使用される。例えば画像データの集約印刷や両面印刷の際には、1枚の印刷に複数ページの原稿の画像データが必要であるため、画像データが入力された順序が必要となる。
【0047】
容量サイズ情報53は、画像データの容量サイズを示す情報(例えば10キロバイト等)である。容量サイズ情報53は、メモリ容量計算部219による画像の容量の計算に使用される。本実施形態の容量サイズ情報53は、例えば1枚の原稿から読み取れるデータ容量の最大値である。例えば原稿サイズ情報54に示される原稿サイズがA4サイズであった場合、容量サイズ情報53は、A4サイズの原稿から読み取れるデータ容量の最大値、すなわちA4サイズの原稿に載せることができるデータ容量の最大値となる。
【0048】
原稿サイズ情報54は、画像データの原稿サイズを示す情報(例えばA4サイズ等)である。原稿サイズ情報54は、メモリ容量計算部219による画像データの容量の計算に使用される。例えば画像データの集約印刷の際には、原稿サイズによって画像データを縮小するため、印刷用のサイズを計算することに必要となる。
【0049】
格納機器情報55は、画像データが格納されている機器を示す情報(例えばA000等)である。格納機器情報55は、画像取得部215が入力画像情報管理部222からの情報を元に画像データを取得する際に使用する。
【0050】
次に、図6を参照して本実施形態のメモリ容量計算部219によるメモリ容量の計算について説明する。図6は、第一の実施形態のメモリ容量計算部によるメモリ容量の計算を説明する図である。
【0051】
本実施形態のメモリ容量計算部219は、設定された出力条件にしたがって画像データを出力する際に必要となる原稿枚数を算出し、その原稿枚数分のメモリ容量を計算する。
【0052】
本実施形態のメモリ容量計算部219は、子機から送られてくる入力画像情報の容量サイズ情報53と、両面係数と、集約係数とを掛け合わせることでメモリ容量を計算している。すなわち本実施形態のメモリ容量は、両面係数をa、集約係数をbとしたとき、
メモリ容量=容量サイズ情報53に示される画像データの容量サイズ×a×b (式1)
により求められる。
【0053】
本実施形態では、両面係数aは、例えば出力条件において片面出力が設定されていた場合は両面係数a=1とし、両面出力が設定されていた場合を両面係数a=2とした。集約係数bは、例えば出力条件に集約が設定されていた場合の集約枚数の値とした。例えば4枚の原稿を集約印刷する場合には、集約係数b=4となる。
【0054】
以下に図6に示す具体例について説明する。図6に示す具体例では、2枚の原稿を1枚に集約し両面印刷を行う出力条件の場合を示している。この場合、1枚の印刷用紙の印刷を行うために必要な画像データとして、表に原稿2枚分、裏に原稿2枚分の合計原稿4枚分の画像データが子機から取得される。
【0055】
よってメモリ容量計算部219は、容量サイズ情報53に両面係数a=2と、集約係数b=2とを掛け合わせた値をメモリ容量として計算する。
【0056】
本実施形態では、出力に必要な原稿枚数は、出力に最低限必要な原稿枚数ではなく、速度パフォーマンスやメモリ使用量などを考慮した上で出来る限り少ない原稿の枚数とすることが好ましい。そのため本実施形態では、両面設定の場合は裏面まで含めた原稿を子機から取得するものとした。
【0057】
尚本実施形態の画像処理装置200では、表面分の原稿の画像データを取得して出力した後、裏面分の原稿の画像データを取得して出力するようにしてもよい。この場合は、両面印刷の設定の有無に関わらず、両面係数は常に1となる。またこの場合、表面分の画像データを子機から取得し、裏面分の画像データを親機に入力された画像データとしても良い。
【0058】
次に、図7を参照して本実施形態の画像処理システム100の動作について説明する。図7は、第一の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。図7では、出力の形態は印刷出力である。
【0059】
画像処理装置200において分散読取機能の実行が指示されると、画像処理装置200のジョブ制御部210は、分散読取機能によるコピーを開始する(ステップS701)。このとき画像処理装置200では、出力条件が設定される。
【0060】
続いて分散入力連携部211が分散読取を開始する(ステップS702)。分散入力連携部211により分散読取が開始されると、親機の画像処理装置200の画像入力部213が原稿の読み取り(ステップS703)、画像データを作成する(ステップS704)。同様に子機の画像処理装置300でも、画像入力部313が原稿の読み取りを開始し(ステップS705)、画像データを作成する(ステップS706)。
【0061】
画像処理装置300は、読み取る原稿がなくなると、入力画像情報管理部322が入力画像情報50を画像処理装置200へ送信する(ステップS707)。尚入力画像情報50は、画像処理装置300により原稿が読み取られて画像データとされたときに生成される。画像処理装置200は、入力画像情報50を保存する(ステップS708)。
【0062】
画像処理装置200は、メモリ容量計算部219により、画像処理装置300から取得する画像データを格納するメモリ容量を計算する(ステップS709)。メモリ容量計算部219の処理は前に述べた通りである。
【0063】
続いてメモリ管理部218は、画像処理装置200においてメモリ容量計算部219により計算されたメモリ容量分のメモリ領域を確保する(ステップS710)。尚ここでメモリ管理部218により確保されるメモリ領域は、画像処理装置200に読み取った画像データを格納するために予め設定された領域とは別に確保される領域である。
【0064】
ステップS710においてメモリ容量の確保に成功すると、画像処理装置200は2つの処理を並行して行う。一つの処理は、画像取得部215による画像処理装置300からの画像データの取得処理である。もう一つの処理は、画像出力部214による画像データの出力処理である。尚ステップS710においてメモリ領域の確保に失敗すると、画像処理装置200は処理を中断する。メモリ領域の確保に失敗する場合とは、画像形成装置200の空き領域がメモリ容量計算部219により計算されたメモリ容量未満である場合等である。
【0065】
始めに画像取得部215による処理を説明する。
【0066】
画像処理装置200において、画像取得部215は、画像処理装置300に対して、出力条件にしたがって1枚の印刷用紙を印刷するために必要な画像データの取得要求を行う(ステップS711)。画像処理装置300は、この要求をうけると、入力画像情報管理部322により読み取った画像データを画像処理装置200へ送る(ステップS712)。画像取得部215は、ステップS710においてメモリ管理部218により確保されたメモリ領域に空きがある場合に(ステップS713)、画像処理装置300から送られた画像データを取得する。ステップS713においてメモリ管理部218により確保されたメモリ領域に空きがない場合は、画像取得部215は、画像データを取得しない。画像取得部215は、画像処理装置300から取得すべき画像データがなくなるまで、ステップS711〜ステップS713の処理を繰り返す。
【0067】
次に画像出力部214の処理について説明する。
【0068】
画像出力部214は、印刷される画像データを読み出す(ステップS714)。画像処理装置200に必要な画像データが保持されている場合(ステップS715)、画像出力部214は画像データを出力条件にしたがって編集し、印刷する(ステップS716)。
【0069】
尚画像データの編集とは、例えば画像データの集約や変倍等である。例えば1枚の印刷用紙に原稿4枚分の画像を集約することが出力条件として設定されていた場合、画像出力部214は、原稿4枚分の画像データを読み出して集約する編集を行う。また例えば原稿1枚分の画像を75%に縮小することが出力条件として設定されていた場合、画像出力部214は、原稿1枚分の画像データを読み出して縮小する編集を行う。
【0070】
画像データの印刷が完了すると、画像出力部214は、不要となった画像データと、この画像データに対応する入力画像情報50とを削除する(ステップS717)。
【0071】
ここで画像処理装置200は、画像取得部215と画像出力部214との並行処理を終了する。
【0072】
続いて画像処理装置200は、分散入力連携部211により、子機である画像処理装置300へ印刷が完了したことを通知する(ステップS718)。続いて分散入力連携部211は、分散入力機能実行のための連携を終了する(ステップS719)。また画像処理装置300でも、分散入力連携部311が分散入力機能実行のための連携を終了する(ステップS720)。
【0073】
以上に説明したように本実施形態では、設定された出力条件に基づき出力に必要な原稿の枚数分の画像データを格納するためのメモリ容量を算出する。そして親機では、親機に入力された画像データの格納領域とは別に、子機から取得した画像データを格納するためのメモリ領域を確保し、確保されたメモリ領域に空きができる度に子機から画像データを取得する。
【0074】
よって本実施形態によれば、分散読取機能等を実行した際に、親機となる画像処理装置200においてメモリフルの発生を抑制することができる。また本実施形態によれば、親機となる画像処理装置200において新たなジョブが親機へ投入できないという不具合も解消することができる。
【0075】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、取得画像量決定部216による処理が加わる点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0076】
図8は、第二の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【0077】
図8のステップS801からステップS808までの処理は、図7のステップS701からステップS708までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0078】
ステップS808において画像処理装置200に入力画像情報50が保存されると、取得画像量決定部216は、画像処理装置300から取得する画像データの容量を決定する(ステップS809)。尚本実施形態の取得画像決定部216により決定される画像データの容量とは、ページ数を示す。
【0079】
本実施形態の取得画像量決定部216は、例えば画像処理装置200に搭載されたメモリの容量によって、画像処理装置300から取得する画像データの容量を決定しても良い。尚ここで決定される画像データの容量は、画像取得部215が画像処理装置300から1度に取得することができる画像データの最大容量であることが好ましい。
【0080】
本実施形態の取得画像量決定部216は、例えば画像処理装置200に大容量のメモリが搭載されている場合には、子機から取得する画像データの容量を比較的大きく決定しても良い。また取得画像量決定部216は、例えば画像処理装置200に搭載されたメモリの容量が小さい場合には、子機から取得する画像データの容量を比較的小さく決定しても良い。
【0081】
また本実施形態の取得画像量決定部216は、取得する画像データの容量を変更することが可能であっても良い。例えば取得画像量決定部216は、親機に搭載されたメモリの容量に応じて取得する画像データの容量を決定しても良い。また本実施形態の取得画像量決定部216は、初期設定でユーザに設定されたページ数分のみの画像データを取得する画像データの容量として決定しても良い。
【0082】
ステップS809において取得する画像データの容量が決定されると、続いてメモリ容量計算部219は、出力条件に基づき画像処理装置300から取得する画像データを格納するメモリ容量を計算する(ステップS810)。
【0083】
このとき本実施形態のメモリ容量計算部219は、図6で説明した式(1)に、取得画像量決定部216で決定されたページ数を欠けることでメモリ容量を計算する。本実施形態において取得画像量決定部216で決定されたページ数を画像量計数cとすると、メモリ容量は、以下の式(2)により計算される。
【0084】
メモリ容量=容量サイズ情報53に示される画像データの容量サイズ×a×b×c
式(2)
ステップS811からステップS821までの処理は、図7のステップS710からステップS720までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0085】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、メモリ管理部218によるメモリ領域の確保に失敗した場合の処理のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0086】
図9は、第三の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【0087】
図9のステップS901からステップS910までの処理は、図7のステップS701からステップS710までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0088】
ステップS910においてメモリ管理部218がメモリ領域の確保に失敗した場合、ジョブ制御部210は、出力条件における縮小設定の有無を確認する(ステップS911)。ステップS911において縮小設定がない場合、ジョブ制御部210は処理を分散読取機能の実行を終了する。
【0089】
ステップS911において縮小設定がある場合、ジョブ制御部210は、画像処理装置300縮小処理を依頼する(ステップS912)。画像処理装置300は、この依頼を受けて画像出力部314は、画像データの縮小処理を行う(ステップS913)。画像出力部314による縮小処理の詳細は後述する。続いて入力画像情報管理部322は、縮小された画像データの入力画像情報50を画像処理装置200へ送る(ステップS914)。
【0090】
画像処理装置200においてメモリ管理部218は、入力画像情報50に基づき縮小された画像データの格納に必要なメモリ領域を確保する(ステップS915)。ステップS915においてメモリ領域の確保に失敗した場合、ジョブ制御部210は処理を分散読取機能の実行を終了する。
【0091】
ステップS915においてメモリ領域の確保に成功した場合、ステップS916へ進む。ステップS916からステップS925までの処理は、図7のステップS711からステップS720までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0092】
以下に図10を参照して画像処理装置300の画像出力部314による縮小処理を説明する。図10は、子機となる画像処理装置の画像出力部による縮小処理の例を示す図である。
【0093】
図10の例では、画像データのサイズが100KB、原稿サイズがA4の2つの画像データを縮小し、1枚のA4サイズのデータとして出力する場合を表している。尚本実施形態では画像出力部316は画像データを縮小するものとしたが、縮小とは変倍による縮小と集約による縮小を含むことが好ましい。
【0094】
図10の例では、縮小後(集約後)の画像データのサイズの概算値は、
1×100KB(入力画像A)+100KB(入力画像B)/2)=100KB
となる。ここで、1=入力画像Aと入力画像Bの面積比、2=集約数である。このように、画像入力部213から入力された画像データを縮小することで、出力する画像データのサイズを小さくすることができる。
【0095】
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態は、概算値計算部220の処理が加わる点が第三の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第四の実施形態の説明では、第三の実施形態と同様の機能構成を有するものには第三の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0096】
図11は、第四の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【0097】
図11のステップS1101からステップS1111までの処理は、図9のステップS901からステップS911までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0098】
ステップS1111において、出力条件に縮小設定がない場合、画像処理装置200は、概算値計算部220により、画像処理装置300の画像出力部314により画像データが縮小された場合のサイズの概算値を計算する(ステップS1112)。概算値計算部220による概算値の計算の詳細は後述する。
【0099】
続いてメモリ管理部218は、計算された概算値以上のメモリ領域の確保が可能か否かを確認する(ステップS1113)。ステップS1113においてメモリ領域の確保が不可能である場合、ジョブ制御部210は分散読取機能の実行を終了する。
【0100】
ステップS1113においてメモリ領域の確保が可能である場合、ステップS1114へ進む。ステップS1114からステップS1127までの処理は、図9のステップS912からステップS925までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0101】
以下に、本実施形態の概算値計算部220による概算値の計算について説明する。本実施形態では、縮小後の画像データのサイズの概算値を以下の式(3)により計算する。
【0102】
縮小後の画像データのサイズの概算値=αX×N 式(3)
ここでαは、入力画像の面積を1とした場合の入力画像の面積と出力画像の面積比であり、Xは出力条件にしたがって出力する際に必要となる原稿枚数分の画像データのサイズの総和、すなわち画像取得部215が画像処理装置300へ取得要求を行う画像データのサイズの総和であり、Nは集約率である。
【0103】
尚入力画像の面積と出力画像の面積は、画像の元となった原稿の原稿サイズに基づき算出される。本実施形態の画像処理装置200は、原稿サイズ毎に幅と高さを定めた面積テーブルを有し、概算値計算部220は、この面積テーブルの幅と高さを乗算して入力画像及び出力画像の面積を計算する。図12は、面積テーブルの一例を示す図である。図12に示す面積テーブル12には、原稿(用紙)のサイズと対応して、幅と高さがそれぞれ格納されている。
【0104】
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態は、画像退避部221の処理が加わる点が第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第五の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0105】
図13は、第五の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。図13のステップS1301からステップS1310までの処理は、図7のステップS701からステップS710までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0106】
ステップS1310においてメモリ管理部218がメモリ領域の確保に失敗すると、画像処理装置200は、画像退避部221により、画像処理装置200で作成及び保存された画像データを送信対象画像データとして画像処理装置300へ送信し、画像処理装置200から退避させる(ステップS1311)。本実施形態の画像退避部221により送信対象画像データとされる画像データは、現在実行中のジョブにおいて親機である画像処理装置200により読み取られて保存された画像データであって、さらに出力の実行にすぐに必要のない画像データの一部又は全部である。
【0107】
また本実施形態では、メモリ管理部218により印刷用紙一枚分を印刷するための画像データを格納するメモリ領域を確保できない場合にのみ、画像退避部221は画像データを退避させても良い。
【0108】
画像処理装置300は、ステップS1311において画像処理装置200から送信された画像データを保存する(ステップS1312)。ステップS1313からステップS1322までの処理は、図7のステップS711からステップS720までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0109】
以下に図14を参照して本実施形態の画像退避部221による画像データの退避について説明する。図14は、第五の実施形態の画像退避部による画像データの退避について説明する図である。
【0110】
図14の状態Aでは、親機である画像処理装置200に画像データ4から7が保存されており、子機である画像処理装置300に画像データ1から3が保存されている。画像データに付与された番号は、画像データの入力順を示している。画像データの入力順は、入力画像情報50に含まれる。
【0111】
状態Aにおいてこの状態で画像データ1から順に出力する場合、親機が子機から画像データ1を取得してメモリに格納する必要があるが、親機のメモリ領域に十分な空き領域がない。そこで画像退避部221は、親機からすぐに出力する必要のない画像データを子機へ退避させる。
【0112】
状態Bは、親機から入力順が最も遅い画像データ7を退避させた状態である。このように本実施形態では、親機に保存された画像データのうち、入力順が遅い画像データから順に子機へ退避させても良い。親機から退避させた画像データ7は子機のメモリ領域に保存される。
【0113】
親機のメモリ領域に空き領域ができると、親機は画像取得部215により、子機からすぐに出力すべき画像データ1を取得し、メモリ領域に格納する。状態Cは、画像データ7を退避させた親機のメモリ領域に画像データ1が格納された状態である。
【0114】
このように、本実施形態では、親機のメモリ領域に空き領域がない場合でも、入力順の遅い画像データを子機に退避させることで出力に必要な画像データを取得することができる。よって本実施形態では、親機のメモリ領域に子機から取得した画像データを格納する空き領域がない場合でも、通常時と変わらず出力を完了させることができる。
【0115】
(第六の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第六の実施形態について説明する。本発明の第六の実施形態は、送信対象画像データを実行中のジョブ以外のジョブで保存された画像データとする点が第五の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第六の実施形態の説明では、第五の実施形態と同様の機能構成を有するものには第五の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0116】
図15は、第六の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。図15のステップS1501からステップS1510までの処理は、図13のステップS1301からステップS1310までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0117】
ステップS1510においてメモリ管理部218がメモリ領域の確保に失敗すると、画像処理装置200は、画像退避部221により、実行中のジョブ以外のジョブで作成された画像データの一部を送信対象画像データとして画像処理装置300へ退避させる(ステップS1511)。
【0118】
ステップS1512からステップS1522までの処理は、図13のステップS1312からステップS1322までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0119】
次に本実施形態において親機から子機に退避させた画像データを含む文書の印刷要求を受けた場合の処理について説明する。図16は、第六の実施形態の画像処理システムにおいて、退避させた画像データの含む文書の印刷要求を受けた際の動作を説明するフローチャートである。
【0120】
画像処理装置200において、子機である画像処理装置300に蓄積された画像データを含む文書の印刷要求がなされると、ジョブ制御部210は蓄積文書印刷を開始する(ステップS1601)。続いて画像取得部215は、画像処理装置300から該当する画像データの取得要求を画像処理装置300へ送る(ステップS1602)。
【0121】
画像処理装置300は、この要求を受けると入力画像情報管理部322により画像処理装置200へ読み取った画像データを送信する(ステップS1603)。画像処理装置200は、この画像データを受け取り画像出力部214による出力の準備を行う(ステップS1604)。
【0122】
画像出力部214は、画像データを設定された出力条件に沿って編集し、印刷する(ステップS1605)。続いて画像出力部214は、印刷に必要なくなった画像データと入力画像情報50とを削除する(ステップS1606)。
【0123】
以上に説明したように、本実施形態では、親機のメモリ領域に子機から取得した画像データを格納するための空きがない場合は、親機で保存している当該ジョブではない画像の一部を子機へ送り、子機側で保存させる。よって本実施形態によれば、親機のメモリ領域に子機から取得した画像データを格納する空き領域がない場合でも、通常時と変わらず出力を完了させることができる。また実行中のジョブではない画像データを退避させることで、親機子機間の画像データの通信回数を減少させることができる。
【0124】
(第七の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第七の実施形態について説明する。本発明の第七の実施形態は、送信対象画像データをサムネイル画像データでない画像データとする点が第六の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第七の実施形態の説明では、第六の実施形態と同様の機能構成を有するものには第六の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0125】
図17は、第七の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。図17のステップS1701からステップS1710までの処理は、図15のステップS1501からステップS1510までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0126】
ステップS1710においてメモリ管理部218がメモリ領域の確保に失敗すると、画像処理装置200は、画像退避部221により、画像処理装置200に保存された画像データを送信対象画像データとして画像処理装置300へ送信し、画像処理装置200から退避させる(ステップS1711)。本実施形態の画像退避部221により送信対象画像データとされる画像データは、実行中のジョブ以外のジョブで作成された画像データのうち、サムネイル画像データ以外の画像データの一部又は全部である。
【0127】
ステップS1712からステップS1722までの処理は、図15のステップS1512からステップS1522までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0128】
尚本実施形態の画像退避部221により送信対象画像データを画像処理装置300へ退避させたとき、送信対象画像データのサムネイル画像データを作成し画像処理装置200へ保存しておく。そして本実施形態の画像処理装置200は、退避させた送信対象画像データのプレビュー表示要求がなされた場合には、該当するサムネイル画像データを画像表示部212へ表示させる。
【0129】
図18は、親機となる画像処理装置におけるプレビュー画面の表示を説明するフローチャートである。
【0130】
本実施形態の画像処理装置200において送信対象画像データのプレビュー表示要求がなされると、ジョブ制御部210は保存されたサムネイル画像データを読み出してプレビュー表示を開始する(ステップS1801)。続いて画像表示部212は、読み出されたサムネイル画像データを元に、送信対象画像データのプレビューを表示させる(ステップS1802)。
【0131】
以上に説明したように、本実施形態では、親機から子機へ画像データを退避させた場合でも、子機へ退避した画像データに結びつくサムネイル画像データを親機側で保存しておく。よって本実施形態では、例えば退避させた画像データのプレビュー表示要求があった場合でも、画像データを子機から再取得することなく、その要求を実現できる。
【0132】
(第八の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第八の実施形態について説明する。本発明の第八の実施形態は、子機から取得した画像データを格納できない場合には子機側で画像データの出力を行う点が第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第八の実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0133】
図19は、第八の実施形態の画像処理システムの動作を説明するフローチャートである。図19のステップS1901からステップS1910までの処理は、図7のステップS701からステップS710までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0134】
ステップS1910においてメモリ管理部218がメモリ容量計算部219により算出されたメモリ容量分のメモリ領域を確保できない場合、ジョブ制御部210は、画像処理装置300に印刷処理の依頼をする(ステップS1911)。
【0135】
画像処理装置300は、印刷要求を受けると、画像出力部314が印刷の準備を行う(ステップS1912)。画像出力部314は、画像処理装置300が印刷に必要な画像データを保持している場合に、印刷を行う(ステップS1913)。続いて画像出力部314は、印刷に必要のなくなった画像データを削除する(ステップS1914)。
【0136】
画像処理装置300は、印刷が終了すると、分散入力連携部311により印刷処理の終了を画像処理装置200へ通知する(ステップS1915)。
【0137】
ステップS1916からステップS1925までの処理は、図7のステップS711からステップS720までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0138】
以上に説明したように、本実施形態では、親機が子機から取得した画像データを格納するメモリ領域を確保できない場合は、子機側で印刷を行う。よって本実施形態では、親機側でメモリ不足による出力の失敗を防止することができる。
【0139】
尚以上に説明した各実施形態では、子機を画像処理装置300として説明したが、画像処理装置400が子機であっても同様の処理を行うことができる。
【0140】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0141】
100 画像処理システム
200、300、400 画像処理装置
210 ジョブ制御部
211、311 分散入力連携部
213、313 画像入力部
214、314 画像出力部
215 画像取得部
217、317 通信手段
218 メモリ管理部
219 メモリ容量計算部
220 概算値計算部
221 画像退避部
222、322 入力画像情報管理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】
【特許文献1】特開2006−115443号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子機となる画像処理装置と接続されて親機となる画像処理装置であって、
画像データの入力を行う画像入力手段と、
前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御手段と、
前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携手段と、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算手段と、
前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理手段と、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力手段と、を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データに関する入力画像情報を管理する入力画像情報管理手段を有し、
前記メモリ容量計算手段は、前記入力画像情報に基づき前記メモリ容量を算出する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記入力画像情報は、
前記画像データを識別する識別子と、1ジョブを通して前記画像データが入力された順序の情報と、前記画像データのサイズの情報と、前記画像データの元となる原稿のサイズの情報と、前記画像データが格納されている画像処理装置の情報と、を含む請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像取得手段により取得する画像データのサイズを決定する取得画像量決定手段を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記メモリ管理手段により前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保できない場合であって、且つ前記出力条件に前記画像データの縮小設定が含まれる場合に、
前記ジョブ制御手段は、
前記子機となる画像処理装置に対し、前記縮小設定がなされた画像データの縮小処理を依頼し、
前記画像取得手段は、
前記子機となる画像処理装置から縮小された画像データを取得する請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記縮小処理が施された後の画像データのサイズの概算値を計算する概算値計算手段を有し、
前記ジョブ制御手段は、
前記メモリ管理手段により前記概算値以上のメモリ領域を確保できるとき、前記子機となる画像処理装置へ縮小処理を依頼する請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記メモリ管理手段により前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保できない場合に、
実行中のジョブ以外のジョブにおいて前記画像入力手段により入力された前記画像データを前記子機となる画像処理装置へ退避させる画像退避手段を有する請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像退避手段により退避させた前記画像データのサムネイル画像データをプレビュー表示させる画像表示手段を有する請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記メモリ管理手段により前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保できない場合に、
前記ジョブ制御手段は、
前記子機となる画像処理装置に、前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データの出力依頼を行う請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
子機となる画像処理装置親機となる画像処理装置とが接続されて構成される画像処理システムであって、
前記親機となる画像処理装置は、
画像データの入力を行う画像入力手段と、
前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御手段と、
前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携手段と、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算手段と、
前記メモリ容量計算手段により算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理手段と、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力手段と、を有する画像処理システム。
【請求項11】
子機となる画像処理装置と接続されて親機となる画像処理装置による画像処理方法であて、
画像データの入力を行う画像入力手順と、
前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御手順と、
前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携手順と、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算手順と、
前記メモリ容量計算手順において算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理手順と、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得手順と、
前記画像取得手順において取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力手順と、を有する画像処理方法。
【請求項12】
子機となる画像処理装置と接続されて親機となる画像処理装置による画像処理プログラムであって、
前記親機となる画像処理装置に、
画像データの入力を行う画像入力ステップと、
前記画像データの入力から出力までの処理を1ジョブとして制御するジョブ制御ステップと、
前記子機となる画像処理装置を連携させて前記子機となる画像処理装置に前記画像データの入力を実行させる分散入力連携ステップと、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを格納するために必要となるメモリ容量を算出するメモリ容量計算ステップと、
前記メモリ容量計算ステップにおいて算出された前記メモリ容量分のメモリ領域を確保するメモリ管理ステップと、
前記1ジョブの実行中に前記子機となる画像処理装置に入力された前記画像データを取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにおいて取得された前記画像データを予め設定された出力条件にしたがって出力する画像出力ステップと、を実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−49971(P2012−49971A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192282(P2010−192282)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】