説明

画像処理装置、画像処理システム及びプログラム

【課題】画像処理装置において原稿を読み取り画像信号を生成する際に、光源劣化による画像信号レベルの低下を増幅回路で補うとSN比が低下し、当該画像信号から生成する紙指紋の精度が低下する。
【解決手段】画像の複写等の機能において、CCDイメージセンサ104から出力される原画像信号は増幅部120にて、画像信号の基準強度に基づいて設定された増幅率で増幅される。これに対し、紙指紋処理部60で使用する画像信号は、増幅部120で増幅せず、CCDイメージセンサ104から出力される原画像信号に基づいて生成する。その際、制御部64は、モータ駆動回路110を制御して原稿読み取りの副走査方向の速度を低下させてCCDイメージセンサ104での露光量を増幅率に応じた分増加させ、原画像信号を基準強度へ引き上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1,2には、文書・写真等の原稿の原本性を保証する技術として、原稿の画像媒体が生来その表面に有するランダムな微視的紋様を利用するものが示されている。当該技術は、紙を画像媒体とする原稿について、原稿の画像を読み取り、当該画像から紙の繊維が形成するランダムパターン(以下、紙指紋と呼ぶ)の情報を抽出して登録しておき、照合対象の原稿の紙指紋と登録されている紙指紋とを比較することにより、原稿を照合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−038389号公報
【特許文献2】特開2004−102562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光源から画像媒体に照射され、該画像媒体から反射された光を受光する受光素子の受光量が経時変化等により減少する画像読み取り装置にて生成される画像信号から紙指紋等の微視的紋様に関する紋様情報を抽出する場合におけるノイズの影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の本発明に係る画像処理装置は、光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、原画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記原画像信号を増幅して、基準強度を有する画像信号を生成する画像信号増幅手段とを有する画像読み取り装置から前記原画像信号に対する増幅率に関する情報を取得する増幅率情報取得手段と、前記増幅率情報取得手段により取得された情報に基づいて前記画像読み取り手段を制御し、前記受光素子の受光量を前記増幅率に応じて制御する制御手段と、前記制御手段により制御された前記画像読み取り手段が生成した前記原画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段と、を有する。
【0006】
第2の本発明に係る画像処理装置においては、前記制御手段が、前記画像読み取り手段の副走査方向の読み取り速度を前記増幅率に応じて制御して前記受光量を調節する。
【0007】
第3の本発明に係る画像処理装置においては、前記光源が電圧を印加されて発光する半導体素子とこれに周期的に電圧を印加する駆動回路とを有し、前記制御手段が、前記半導体素子に電圧が印加される期間の割合を前記増幅率に応じて制御して前記受光量を調節する。
【0008】
第4の本発明に係る画像処理装置は、光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、画像信号を生成する画像読み取り装置を制御し、前記受光素子の受光量を制御する制御手段と、前記画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段と、を有し、前記制御手段が、前記画像信号を前記紋様情報抽出手段で用いる場合の前記受光量を、前記画像信号を前記紋様情報抽出手段で用いない場合よりも増加させる。
【0009】
本発明に係る画像処理システムは、画像読み取り装置と、画像処理装置とを含むシステムであって、前記画像読み取り装置は、光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、原画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記原画像信号を増幅して、基準強度を有する画像信号を生成する画像信号増幅手段とを含み、前記画像処理装置は、前記画像読み取り装置から前記原画像信号に対する増幅率に関する情報を取得する増幅率情報取得手段と、前記増幅率情報取得手段により取得された情報に基づいて前記画像読み取り手段を制御し、前記受光素子の受光量を前記増幅率に応じて制御する制御手段と、前記制御手段により制御された前記画像読み取り手段が生成した前記原画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段と、を含む。
【0010】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、原画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記原画像信号を増幅して、基準強度を有する画像信号を生成する画像信号増幅手段とを有する画像読み取り装置から前記原画像信号に対する増幅率に関する情報を取得する増幅率情報取得手段、前記増幅率情報取得手段により取得された情報に基づいて前記画像読み取り手段を制御し、前記受光素子の受光量を前記増幅率に応じて制御する制御手段、及び、前記制御手段により制御された前記画像読み取り手段が生成した前記原画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項5及び請求項6に記載の発明によれば、光源から画像媒体に照射され、該画像媒体から反射された光を受光する受光素子の受光量が経時変化等により減少する画像読み取り装置にて生成される画像信号から紙指紋等の微視的紋様に関する紋様情報を抽出する場合におけるノイズの影響を、本構成を有しない場合と比較して、抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記紋様情報を抽出する場合におけるノイズの影響を、本構成を有しない場合と比較して、画像媒体を照射する光量を増加させずに抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記紋様情報を抽出する場合におけるノイズの影響を、本構成を有しない場合と比較して、画像媒体の走査速度を下げずに抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、画像読み取り装置にて受光素子により生成される画像信号から前記紋様情報を抽出する場合におけるノイズの影響を、本構成を有しない場合と比較して、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態である画像処理装置の概略の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態である画像処理装置の画像入力部、画像処理部、紙指紋処理部及び制御部の構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】光量減少が照合性能に与える影響を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態である画像処理装置における、走査速度低下によって照射光量減少を補償する動作の概略のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態の画像処理装置50は、例えば、複写機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクシミリ機能などを有した複合機であり、さらに画像処理装置50は、紙指紋の登録機能及び照合機能を有する。紙指紋は、紙を媒体とする原稿の表面に存在する微視的紋様である。「微視的」とは人間の感覚で識別できないほど現象が微細であるさまをいい、微視的紋様は、例えば、原稿の表面に描かれる一般的な文字、図形のような表示とは異なり、基本的には肉眼で認識することができない微細な紋様である。媒体の種類によっては生来その表面に自然に形成された微視的紋様を有するものがある。例えば、本実施形態にて原稿に用いる紙は、木材パルプを原料とした細かい繊維が絡み合って作られており、この天然繊維のランダムな絡み合いが微視的紋様である紙指紋を生じる。以下、紙指紋の登録・照合機能との区別を簡単にするために、複写機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクシミリ機能などこれまでの通常の複合機が有していた機能を一般機能と呼ぶことにする。図1は画像処理装置50の概略の機能ブロック図である。画像処理装置50は、画像入力部52、画像処理部54、画像出力部56、通信部58、紙指紋処理部60、ユーザインターフェース部62、制御部64及び記憶部66を備える。
【0018】
画像入力部52は、原稿から画像を読み取って画像データを生成する画像読み取り装置の機能を有する。画像入力部52による原稿画像の読み取りは、例えば、複写、イメージスキャナ、ファクシミリ送信という一般機能それぞれにて行われ、得られた画像データは画像処理部54に入力される。また、紙指紋処理部60も紙指紋の登録・照合機能に当該画像データを利用する。
【0019】
画像処理部54は、画像入力部52から入力される画像データに対して各種画像処理や、ビットマップ形式にラスタライズする処理等を行う。画像処理部54で行われる処理は画像処理装置50の一般機能で用いられる画像データに関連するものであり、紙指紋のような微視的で肉眼では認識困難な画像とは異なり、基本的に肉眼で内容を確認することができる可視画像に関する画像処理である。画像処理部54は処理後の画像データを画像出力部56又は通信部58へ出力する。また、ファクシミリ受信機能において、画像処理部54は通信部58から入力される画像データを処理して、例えば画像出力部56へ出力する。画像処理部54は例えば、マイクロプロセッサ等の演算処理装置からなる。
【0020】
画像出力部56は、画像処理部54から入力された画像データに基づいて、用紙に画像を印刷する。画像出力部56は、露光部、感光体、現像器、転写器、定着器を含んで構成される。
【0021】
通信部58は、ネットワーク等の伝送媒体に接続され、当該伝送媒体に接続される他の装置との通信処理を行う。例えば、通信部58は、画像処理部54で処理された画像データを他の装置へ送信したり、他の装置から画像データを受信して画像処理部54に入力する。また、紙指紋に関する情報を他の装置との間で送受信する際にも通信部58が用いられる。通信部58はプロセッサ等で構成される。
【0022】
紙指紋処理部60は、原稿内の指定された領域の画像に基づいて紙指紋を登録する処理、及び既に登録されている紙指紋と照合する処理を行う。紙指紋処理部60は、例えば、マイクロプロセッサ等の演算処理装置からなり、プログラムを実行することによりその機能が実現される。
【0023】
ユーザインターフェース部62は、タッチパネルディスプレイやボタン等で構成される。ユーザはユーザインターフェース部62を操作することにより、制御部64へ動作指示等を行うことができる。また、タッチパネルディスプレイには、制御部64から各種機能に関する指示画面、設定画面の他、画像処理装置50の動作状態や各種メッセージ等が表示される。
【0024】
制御部64は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置からなり、プログラムを実行することにより画像処理装置50の各部の動作を直接的又は間接的に制御する。
【0025】
記憶部66は、半導体メモリやハードディスク装置等の記憶装置からなり、例えば、プロセッサを用いる各部の処理を実現するプログラム、ユーザが設定した各種パラメータなどを格納する。
【0026】
画像入力部52の構成、機能を図2を参照して詳しく説明する。図2は、画像入力部52、画像処理部54、紙指紋処理部60及び制御部64の構成を模式的に示すブロック図である。
【0027】
画像入力部52は、光源から原稿(画像媒体)に照射光を照射し、撮像素子により原稿の画像を読み取って原画像信号を生成する画像読み取り手段と、画像信号の基準レベル(基準強度)に基づいて設定された増幅率で原画像信号を増幅して、基準レベルに応じた強度を有する画像信号を生成する画像信号増幅手段と、を有する。
【0028】
画像読み取り手段は、原稿と、主走査方向に受光画素が配列されたライン型イメージセンサとを、主走査方向に直交する副走査方向に相対的に移動させて画像を読み取る。副走査方向の相対的な移動のさせ方として光学系移動方式と原稿移動方式とがある。光学系移動方式は、手作業又は原稿自動送り装置(Automatic Document Feeder:ADF)(図示せず)によってプラテンガラス(図示せず)上に置かれた原稿を、プラテンガラスの下を移動するスキャナ(図示せず)で走査する。また、原稿移動方式は、スキャナを所定の位置に固定して、スキャナの読み取り位置へADFによって原稿を等速で搬送している間に原稿の画像を読み取る。
【0029】
スキャナは原稿に照射光を照射する光源100を有する。光源100は例えば、蛍光ランプや発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)からなる。光源駆動回路102は光源100を点灯させる駆動信号を生成する回路であり、制御部64により動作を制御される。以下の説明で、光源100の光量を変化させる場合があるが、その場合には光源駆動回路102は光源100を調光可能に構成される。
【0030】
原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像素子(受光素子)であるライン型イメージセンサとして本画像処理装置50ではCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ104を用いる。なお、当該イメージセンサとしてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサや他の固体撮像素子を用いることもできる。CCDイメージセンサ104は例えば、スキャナとは分離して配置され、ミラー等を介してスキャナの読み取り位置からの反射光を受光部に入力される。また、CCDイメージセンサ104はスキャナに配置することもできる。CCDイメージセンサ104は、各受光画素にて当該各画素への入射光量に応じた電荷を発生し、出力部にて当該電荷を電圧信号に変換し、プリアンプで当該電圧信号を増幅して出力する。CCDイメージセンサ104は主走査方向の各座標にて例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの画像情報が得られるように、主走査方向に伸びるR用、G用、B用のラインセンサを並列配置した構成を有する。
【0031】
イメージセンサ駆動回路106は、制御部64からの制御信号を受けて動作し、CCDイメージセンサ104を駆動する電源や各種クロック信号を生成してCCDイメージセンサ104に供給する。またイメージセンサ駆動回路106はCCDイメージセンサ104の出力信号を相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)して、CCDイメージセンサ104の出力部のリセット雑音とアンプ雑音とを除去した画像信号を生成する。
【0032】
モータ108はスキャナの移動やADFの動作に必要な機械的駆動力を発生させる。モータ駆動回路110はモータ108を駆動させる電気信号を生成する回路であり、制御部64により動作を制御される。以下の説明で、原稿の副走査方向の走査速度を変化させる場合があるが、その場合にはモータ駆動回路110はモータ108の速度を調整可能に構成される。
【0033】
画像信号増幅手段として増幅部120が設けられる。増幅部120はイメージセンサ駆動回路106から出力される画像信号を入力される。増幅部120は自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)回路122を有する。AGC回路122は、その出力が基準レベルとなるように利得をフィードバック制御する。CCDイメージセンサ104の出力レベルは、原稿が同じであっても、原稿の照射光の強度に応じて変化する。照射光強度は、光源100の経時的劣化や機内の汚れによって低下し得る。AGC回路122は、このような照明光強度の変動が画像信号に与える影響を吸収・緩和する。AGC回路を用いることでアナログ-デジタル変換回路(ADC:Analog-to-Digital Converter)130の変換レンジの有効利用が図られる。例えば、基準レベルは、画像信号の振幅がADC130の入力レンジの例えば80%程度となるように設定される。以下、必要に応じて、AGC回路122により増幅されていない(つまり増幅部120へ入力される画像信号に対する利得が1である)画像信号を原画像信号、一方、AGC回路122により増幅された画像信号を増幅画像信号と表す。
【0034】
増幅部120は、イメージセンサ駆動回路106からの原画像信号をAGC回路122により増幅して出力することもできるし、増幅せずに、つまり原画像信号として出力することもできる。この増幅部120の構成を図面上でわかりやすくするため図2では、AGC回路122をバイパスする信号経路124とスイッチ126とを用いた回路例を示している。この例では、制御部64により切り替えられるスイッチ126がAGC回路122からの増幅画像信号と、信号経路124からの原画像信号とのいずれかを増幅部120から出力する。この図2の増幅部120の構成は一例であり、他の構成とすることができ、例えば、信号経路124、スイッチ126を設けずに、制御部64がAGC回路122の利得を1に設定して原画像信号を増幅部120から出力させる構成でもよい。
【0035】
画像入力部52はさらにADC130と信号補正回路140とを備える。ADC130は増幅部120の出力をデジタル化して画像データを生成する。信号補正回路140は、シェーディング補正回路142、ギャップ補正回路144を有する。シェーディング補正回路142は、画像データにおけるシェーディングを補正する。具体的には、AOC(Auto Offset Control)により黒出力レベルを合わせた後、主走査方向の照明の不均一や、レンズの性質によるイメージセンサの光量の不均一、ならびにイメージセンサの感度の不均一に起因して生じる歪みを補正または除去する。ギャップ補正回路144は、CCDイメージセンサ104を構成するR,G,B3本のラインセンサ間に存在する副走査方向のギャップに関する補正を行う。具体的には、3本のラインセンサは同一時刻にて副走査方向に互いにずれた位置の画像を読み取っており、原稿の同一位置に対応するRGB各信号は互いにずれたタイミングでラインセンサから出力される。ギャップ補正回路144はRGBのうち最も遅れた信号のタイミングに合わせるように残り2つの信号をFIFO(First-In/First-Out)メモリを用いて遅延させ、同一位置のR,G,Bそれぞれの画像データが同一時刻に得られるようにする。
【0036】
画像入力部52は信号補正回路140にて補正されたRGBの画像データを画像処理部54へ出力する。画像処理部54は上述したように各種画像処理等を行う。例えば、照明光量が低下すると、CCDイメージセンサ104等の撮像素子にてランダムノイズである光ショットノイズによるSN比の低下が生じる。光量に応じた画像信号の低下を上述のようにAGC回路等によって増幅して補償する場合、ランダムノイズの振幅も増幅される。画像処理部54は、原稿の文字や写真の複写、スキャン、伝送の機能の画像処理において、低域通過フィルタ(LPF:Low-Pass Filter)によるフィルタリング処理や、無地の背景部分を認識して当該部分をマスクするといった処理等により、上述のランダムノイズによる画質劣化を防止する。画像処理部54は、例えば、色空間変換処理150、ノイズ除去処理152、下地除去処理154といった処理を行う。
【0037】
色空間変換処理150は、RGB表色系から例えば、L*a*b*表色系への変換を行う。これにより、RGBデータは明度を表すL*と色相及び彩度を表すa*,b*のデータに変換される。なお、L*a*b*に代えて、同じ均等知覚色空間であるL*u*v*や、YIQ、YCrCb等の輝度/色差分離色空間系へ変換してもよい。
【0038】
ノイズ除去処理152は、画像データに含まれる副走査方向に沿ったスジ状のノイズ成分を除去する。ちなみに、例えば、画像読み取り手段の光学系に存在する汚れ、傷などは副走査方向の走査時に連続的に読み取られ、これによりスジ状のノイズが生じる。
【0039】
下地除去処理154は、例えばプリスキャンで原稿濃度のヒストグラムを作成して下地濃度を検出し、下地濃度以下の画素データをカット(無効化)する。
【0040】
紙指紋処理部60は、例えば、信号補正回路140から画像データを入力され、紙指紋登録処理160及び紙指紋照合処理162を行う。
【0041】
紙指紋登録処理160は、指定された登録領域における画像から、紙指紋に関する特徴情報を抽出し、当該特徴情報とこれを抽出した登録領域の情報とを関連づけて記憶部66に登録紙指紋情報164として登録する。ここで、登録領域とは、紙指紋に関する特徴情報を抽出する領域であって、例えば、登録領域が32×32画素といった所定の形状・大きさに予め定められている場合には、登録領域の情報として原稿内での位置情報が登録紙指紋情報164に含められる。例えば、登録領域を予め設定された候補領域から選択する場合には、候補領域に互いを弁別する番号等の識別情報(候補領域ID)を定義しておき、当該候補領域IDを登録領域の位置情報とすることができる。
【0042】
紙指紋は一般に原稿が原本であるか否かを示す情報として用いられ、複数の原稿を互いに識別する必要がある場合には別途、原稿を識別するための識別情報を原稿に印刷等することが行われる。原稿識別情報としては、例えばバーコード、二次元コード、OCR(Optical Character Recognition)可能な識別番号、原稿に表示される画像そのものや当該画像から抽出した特徴情報が用いられる。これらの原稿識別情報が原稿に定義される場合は、当該情報を各原稿の登録紙指紋情報164に含めることができる。
【0043】
紙指紋照合処理162は、照合対象の原稿である照合原稿が、登録紙指紋情報164を有する登録原稿であるか否かの照合を行う。紙指紋照合処理162は、登録紙指紋情報164に記録されている登録領域に応じて照合原稿内に照合領域を設定して、当該照合領域における画像である照合画像から当該照合原稿についての紙指紋の特徴情報を抽出する。そして、当該特徴情報を登録紙指紋情報164に含まれる登録原稿についての特徴情報と照合する。
【0044】
照合領域は登録紙指紋情報164に含まれる登録領域の位置情報に基づいて対応する位置に設定される。ここで照合領域を登録領域と同一の大きさにすると、読み取り位置がわずかにずれただけで照合ができなくなるため、照合領域は登録領域よりやや広く設定し、原稿の位置ずれが生じても登録領域を包含し得るようにして、照合領域の紙指紋内にて登録領域の紙指紋に一致する部分を探索する。例えば、紙指紋照合処理162は、照合領域の画像内にて登録領域の画像との画素値の相関値が所定の閾値以上となる部分があれば、照合原稿の紙指紋が登録原稿の紙指紋と一致したと判定する。
【0045】
さて、紙指紋処理部60の動作に際して、制御部64は他の各部の動作を制御する。以下、紙指紋の登録・照合時の画像処理装置50の動作を説明する。既に述べたように光源100に用いられる蛍光ランプは比較的に経時劣化が大きい。このような光源100の経時劣化や機内の汚れ付着によって原稿に対する照明光の光量が初期状態から減少した場合に、それに応じてCCDイメージセンサ104の出力信号レベルも低下する。画像処理装置50の一般機能においては、画像処理部54に入力される画像データはAGC回路122からの増幅画像信号に基づいて生成され、光量減の影響が補償され、またランダムノイズの増幅の影響はノイズ除去処理で回避される。
【0046】
これに対して、紙指紋は原稿上にて文字や写真が存在しない背景部分における画像信号から抽出される微小信号であって、かつランダムノイズに類似した性状を有するため、ノイズ除去処理によって紙指紋の信号とノイズとのSN比の向上を図ることが困難である。ノイズを除去・軽減していない画像信号を用いて登録対象原稿や照合対象原稿から紙指紋を抽出すると、紙指紋照合の性能が低下する。
【0047】
図3は、光量減少が照合性能に与える影響を示すグラフである。図3は横軸を閾値、縦軸を誤り率(単位:%)として表したFAR (False Acceptance Rate) 及びFRR (False Rejection Rate)のグラフである。閾値が低い範囲で誤り率が100%となる曲線群2が、登録対象原稿と違う照合対象原稿(偽)を同じ原稿(真)と判定する偽物受容率FARであり、閾値が高い範囲で誤り率が100%となる曲線群4が、登録対象原稿と同じ照合対象原稿(真)を違う原稿(偽)と判定する本物拒否率FRRである。図3のグラフは、複合機のプラテンに減光フィルタ(NDフィルタ)を載置して原稿を読み取ることにより原稿に照射される光量を調整して紙指紋を抽出し照合を行った実験結果である。特に、FRRの曲線4a〜4eは順に、光量減少0%,20%,33%,50%,60%で登録した紙指紋との照合結果であり、曲線4fは登録時には光量減少0%であるが照合対象の紙指紋の読み取り時に光量減少60%とした照合結果である。これらの結果から、光量が減少するとFRRが悪化することが分かる。特に登録時に光量が50%以上減少すると、FAR及びFRRの双方を0%とすることができる閾値を確保することが困難になることが分かる。
【0048】
この点に関して、紙指紋の登録・照合機能においては、制御部64は、画像入力部52からAGC回路122による原画像信号に対する増幅率に関する情報を取得し、当該情報に基づいてモータ108の速度を低下させるようにモータ駆動回路110を制御して、原稿の画像読み取り時の副走査方向の走査速度Vを遅くすると共に、増幅部120から原画像信号が出力されるように制御する。副走査方向の走査速度Vを緩やかにすればCCDイメージセンサ104の露光時間が増し、蓄積電荷量が増加して出力信号レベルが上がる。この走査速度低下によるCCDイメージセンサ104の露光量(受光量)増加により光源100の劣化等による光量減少を補うことで、AGC回路122による画像信号の増幅が回避又は抑制される。
【0049】
図4は、走査速度低下によって照射光量減少を補償する動作の概略のフロー図である。制御部64は例えば、増幅率に関する情報として、AGC回路122の利得制御信号を参照してAGC回路122の利得Gを取得する(S170)。利得Gが1以下であれば(S172にて「No」の場合)、走査速度Vの制御は行わない。つまりVは基準値Vのままで原稿全体を走査する(S174)。
【0050】
一方、利得Gが1より大きい場合(S172にて「Yes」の場合)、制御部64は低下させたときの走査速度Vの設定値Vを算出する(S176)。このVは基本的には、利得Gに反比例して減少する値(V/G)に設定することができる。なお、紙指紋は原稿の下地部分にて読み取られるので、下地部分(白紙部分)の画像が白飛びした画像信号は紙指紋の登録・照合機能には適さない。しかし、白飛びしない範囲ならば、CCDイメージセンサ104の出力信号レベルが例えばADC130の入力レンジの80%程度に設定される基準レベルより高くなるように設定値Vを定めてもよい。つまり、利得GにてAGC回路122の出力が基準レベルであるので、VはV/Gより遅い速度にすることもできる。CCDイメージセンサ104の出力信号レベルを高くするほど、紙指紋を抽出する画像におけるCCDイメージセンサ104のショットノイズの影響が軽減される。
【0051】
走査速度Vの減速は基本的には紙指紋の登録領域・照合領域だけで行い、それ以外の部分では基準値V又はそれ以上の速度で走査を行うことができる。これにより紙指紋読み取り時の原稿走査時間が短縮される。図4はこの制御方式を示しており、基準値Vを走査速度Vの初期値として副走査方向の走査が開始され(S178)、走査位置が、紙指紋登録処理160の際には登録領域の開始位置(又はその手前の近傍位置)、また紙指紋照合処理162の際には照合領域の開始位置(又はその手前の近傍位置)に達したら(S180)、走査速度VをVに切り替える(S182)。一方、走査位置が登録領域又は照合領域の終了位置(又はその後ろの近傍位置)に達したら(S184)、走査速度VをVに切り替える(S186)。制御部64は走査速度VをVに下げている間は、CCDイメージセンサ104の電荷蓄積期間をVの低下率に応じて長くするようにイメージセンサ駆動回路106を制御する。走査速度の切り替え処理S180〜S186は登録領域・照合領域が複数設定されている場合には繰り返される(S188)。
【0052】
なお、画像処理装置50の一般機能の画像読み取りと同時に紙指紋の読み取りも行いたい場合などには、低下させた一定の速度Vで原稿全体を走査してもよい。
【0053】
図4を用いて、光源100の光量減少に対し、走査速度低下によりCCDイメージセンサ104の露光量を増加させて補償する構成を説明した。同じ目的の補償は、光源100の光量を増加させて露光量を増加させることによっても実現できる。例えば、光源100が電圧を印加されて発光する半導体素子であるLEDからなり、光源駆動回路102が周期的に電圧を当該LEDに印加して当該LEDを高周波点滅駆動(パルス駆動)させる構成では、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)によりパルスのデューティを利得Gに応じて変化させてLEDの点灯期間の割合を増加させ、CCDイメージセンサ104の露光量を増加させることができる。光源100に蛍光ランプを用いる場合も光源駆動回路102によりその光量増加が可能であれば、その光量増加によりCCDイメージセンサ104の露光量を増加させてもよい。
【0054】
上述の紙指紋の読み取り時における走査速度Vの減速又は光源100の光量増加によるCCDイメージセンサ104の露光量の補償制御は、一般機能での画像読み取りでの光量減少が所定の閾値を超え顕著となった場合だけ行ってもよい。例えば、図3に示した実験結果等に基づき、FAR及びFRRの双方を0%とすることができる相関値の閾値の設定が困難となる光量減少状態にて、制御部64が補償制御を実行する構成とすることができる。例えば図3の結果に基づけば、30〜50%程度の光量減少率の範囲内に補償制御を行う光量減少の閾値を設定することができる。
【0055】
また、制御部64は、AGC回路122の利得以外の光量の減少を判断する情報に基づいて、光量の減少を補償制御する構成も可能である。例えば、保守点検時に調整される露光量に関するパラメータを参照して補償制御を行うか否かを判定してもよい。また、制御部64は蛍光ランプの点灯時間・回数等を積算し、その結果に基づいて光量減少を推定して補償制御を行う構成も可能である。
【0056】
なお、上述の画像処理装置50は初期状態では増幅部120(又はAGC回路122)の利得が1であるとしたが、初期状態の利得は1より大きな値であってもよい。つまり、一般機能において増幅部120にて画像信号を増幅している場合、その増幅が光量劣化等をカバーするために行われているか否かに関係なく、紙指紋の読み取り時には補償制御として上述した動作を実行することができる。
【0057】
さて、上述したように撮像素子の露光量が減少すると出力信号におけるショットノイズの影響が増加してSN比が低下する。このショットノイズによるSN比低下は、上記実施形態の補償制御が対象とする経時的な変化の場合に限られず、画素の開口面積・開口率が小さい撮像素子を用いた場合には当初から低いSN比である場合がある。具体的には、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子は画素数が同じならば小型のものほど画素サイズ(開口面積)が小さくなり、蓄積電荷量が減ってショットノイズによるSN比低下を生じ得る。また、例えば、性能が低いCCDイメージセンサでは暗電流が大きくなり、暗電流ショットノイズによるSN比低下が生じ得る。上記実施形態の補償制御におけるCCDイメージセンサ104の露光量増加の構成は、ショットノイズの影響が大きい撮像素子を用いた画像処理装置における紙指紋の読み取りにも採用することができる。以下、この構成を採用した画像処理装置50Bについて説明する。以下の説明で、上述した実施形態の画像処理装置50の構成要素の符号に“B”を付加した符号は、画像処理装置50Bにおける対応する構成要素を表す。
【0058】
画像処理装置50Bについて説明する構成は、CCDイメージセンサ104Bの出力信号が基準レベルに維持される場合に採用され、よって、AGC回路122Bの利得Gは基本的に1である。制御部64Bは、紙指紋の読み取りを行う場合に、一般機能の画像読み取り時よりも光源100Bの光量を増加させる制御又は走査速度Vを減速させる制御を行う。
【0059】
その光量増加及び速度減少の程度は、基本的にはCCDイメージセンサ104Bの出力レベルが低下しているか否かに関わりなく予め設定される。光量増加及び速度減少の程度は、原画像信号のレベルがADC(アナログ-デジタル変換回路)130Bの入力レンジを超えないこと(ADC条件と呼ぶ)、及びCCDイメージセンサ104Bの飽和電荷量を超えないこと(CCD条件と呼ぶ)を考慮して設定される。
【0060】
CCD条件よりADC条件の方が厳しい場合には、ADC条件に基づいて光量増加及び速度減少の程度が設定される。この場合、例えば、一般機能にて基準レベルがADC130Bの入力レンジの80%に設定されていれば、制御部64は紙指紋読み取り時の光量増加及び速度減少の程度を、CCDイメージセンサ104Bの出力レベルが一般機能のときより10〜15%程度増加するように設定する。
【0061】
CCD条件に関しては、制御部64は、光量増加又は速度減少によりCCDイメージセンサ104Bの露光量を増加させると共に、CCDイメージセンサ104Bの電荷読み出し回数を増やす構成を採用することができる。例えば、光源100の光量をm倍(m>1なる実数)にしたり、走査速度Vを1/mにした場合に、CCDイメージセンサ104Bでの電荷蓄積動作及び信号出力動作をn倍(n>mなる整数)の頻度にすれば、1回の蓄積動作でCCDイメージセンサ104Bの画素に蓄積される電荷量はm/n(<1)倍に留まり、CCD条件を満たすことができる。この場合、一般機能では或る走査位置で1ラインの画像信号が生成されるのに対し、紙指紋読み取りでは当該位置に対応してnラインの画像信号が生成される。当該nラインはそれぞれADC130Bで画像データに変換されて紙指紋処理部60Bに入力される。紙指紋処理部60Bは、当該nラインの画像データを加算して、1ラインの画像データを生成する。
【0062】
なお、CCD条件に対する複数回読み出しの構成は、先に述べた実施形態の画像処理装置50においても用いることができる。
【0063】
上述のように画像処理装置50において紙指紋処理部60、制御部64等の機能は、プログラムの実行により実現される。上記実施形態では、当該プログラムは記憶部66に記憶されており、プロセッサが必要に応じて記憶部66からプログラムを読み出して実行する。他の構成では、当該プログラムはネットワーク等の通信媒体を介して提供することができ、この場合、通信部58がネットワーク等からプログラムを取得し、プロセッサに提供したり、記憶部66に記憶させる。また、当該プログラムはCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0064】
また、上述の実施形態の画像処理装置50は、一般機能を実現する画像入力部52及び画像処理部54を含む装置であった。これに対して、これら画像入力部52及び画像処理部54を有する複合機等の装置と、画像入力部52から増幅率に関する情報を取得する増幅率情報取得手段、当該情報に基づいて画像入力部52を制御し、受光素子の受光量を増幅率に応じて制御する制御手段、及び当該制御手段により制御された画像入力部52から原画像信号を入力され、当該原画像信号から紙指紋を抽出する紋様情報抽出手段を有する画像処理装置とを別体に構成することもできる。この場合、画像処理装置は、一般機能を実現する装置の内部若しくは外部に直接に取り付けられ一体化され、又はネットワーク等を介して情報・信号をやりとりする形で接続されて使用される。
【符号の説明】
【0065】
50 画像処理装置、52 画像入力部、54 画像処理部、56 画像出力部、58 通信部、60 紙指紋処理部、62 ユーザインターフェース部、64 制御部、66 記憶部、100 光源、102 光源駆動回路、104 CCDイメージセンサ、106 イメージセンサ駆動回路、108 モータ、110 モータ駆動回路、120 増幅部、122 AGC回路、130 ADC、140 信号補正回路、142 シェーディング補正回路、144 ギャップ補正回路、150 色空間変換処理、152 ノイズ除去処理、154 下地除去処理、160 紙指紋登録処理、162 紙指紋照合処理、164 登録紙指紋情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、原画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記原画像信号を増幅して、基準強度を有する画像信号を生成する画像信号増幅手段とを有する画像読み取り装置から前記原画像信号に対する増幅率に関する情報を取得する増幅率情報取得手段と、
前記増幅率情報取得手段により取得された情報に基づいて前記画像読み取り手段を制御し、前記受光素子の受光量を前記増幅率に応じて制御する制御手段と、
前記制御手段により制御された前記画像読み取り手段が生成した前記原画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記制御手段は、前記画像読み取り手段の副走査方向の読み取り速度を前記増幅率に応じて制御して前記受光量を調節すること、を特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記光源は電圧を印加されて発光する半導体素子とこれに周期的に電圧を印加する駆動回路とを有し、
前記制御手段は、前記半導体素子に電圧が印加される期間の割合を前記増幅率に応じて制御して前記受光量を調節すること、を特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、画像信号を生成する画像読み取り装置を制御し、前記受光素子の受光量を制御する制御手段と、
前記画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記画像信号を前記紋様情報抽出手段で用いる場合の前記受光量を、前記画像信号を前記紋様情報抽出手段で用いない場合よりも増加させること、
を特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
画像読み取り装置と、画像処理装置とを含む画像処理システムであって、
前記画像読み取り装置は、光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、原画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記原画像信号を増幅して、基準強度を有する画像信号を生成する画像信号増幅手段とを含み、
前記画像処理装置は、前記画像読み取り装置から前記原画像信号に対する増幅率に関する情報を取得する増幅率情報取得手段と、
前記増幅率情報取得手段により取得された情報に基づいて前記画像読み取り手段を制御し、前記受光素子の受光量を前記増幅率に応じて制御する制御手段と、
前記制御手段により制御された前記画像読み取り手段が生成した前記原画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段と、を含むことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
光源から画像媒体に照射光を照射し、受光素子により前記画像媒体からの反射光を受光して前記画像媒体の画像を読み取り、原画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記原画像信号を増幅して、基準強度を有する画像信号を生成する画像信号増幅手段とを有する画像読み取り装置から前記原画像信号に対する増幅率に関する情報を取得する増幅率情報取得手段、
前記増幅率情報取得手段により取得された情報に基づいて前記画像読み取り手段を制御し、前記受光素子の受光量を前記増幅率に応じて制御する制御手段、及び、
前記制御手段により制御された前記画像読み取り手段が生成した前記原画像信号から、画像媒体表面が有する微視的紋様に関する紋様情報を抽出する紋様情報抽出手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−39506(P2012−39506A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179493(P2010−179493)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】