説明

画像処理装置、画像処理方法、ゲームプログラム、及び記録媒体

【解決課題】臨場感を損なうことなく遊戯者に特定のオブジェクト周りの環境を知らしめる仮想カメラの移動制御技術を提供する。
【解決手段】プレイヤキャラクPLが敵キャラクタECを攻撃する場合、一人称の視点からプレイヤキャラクを中心にした画面がモニタに表示される。プレイヤキャラクの傍らの遮蔽物BRが敵キャラクタからの攻撃を受けて損傷し、倒壊しかかると仮想カメラは一人称視点から三人称視点に一時的に移動して遊戯者に遮蔽物の損傷が判る様にする。次いで、視点は一人称の位置に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子遊戯装置に関わり、特に、遊戯者が銃型コントローラを駆使して画面内の敵キャラクタを射撃し、射撃の成否に応じて得点を稼ぐ射撃ゲームを実現する電子遊戯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子遊戯装置には3次元仮想化技術が適用されている。この3次元仮想化技術とは、3次元からなる仮想空間内にオブジェクトを配置し、これを仮想視点から見た映像を投影変換してディスプレイに表示する技術である。仮想視点は三次元仮想空間内に仮想カメラとして定義される。遊戯者が扱う銃型模型からの出力信号を受けて、仮想カメラは仮想空間内を移動する。
【0003】
オブジェクトとは、仮想空間内に定義される物であり、キャラクタや背景などである。キャラクタとは代表的には人物である。遊戯者によって操作されるキャラクタをプレーヤキャラクタという。プレーヤキャラクタに対して敵となるキャラクタを敵キャラクタという。射撃ゲームアプリケーションプログラムでは、プレーヤキャラクタと敵キャラクタとの間での射撃遊戯が行われる。複数の電子遊戯装置間でそれぞれの遊戯者が対戦する遊戯システムでは、それぞれのプレーヤキャラクタ間で射撃闘争が行われる。
【0004】
仮想視点の位置を切り替える視点切替技術として、特開平07−116343号公報に記載されたものが存在する。この公報によれば、視点には一人称の視点と三人称の視点がある。前者の視点はプレーヤキャラクタの目の位置、あるいはプレーヤキャラクタの頭部近くでプレーヤキャラクタの頭部を集中的に俯瞰する位置にある。後者の視点はプレーヤキャラクタから離れ、プレーヤキャラクタの全身を俯瞰する位置にある。
【0005】
一人称の視点によれば、遊戯者がプレーヤキャラクタのほぼ目線に立って視点に立つことができるので、一人称の視点は、臨場感が高いゲーム環境を遊戯者に提供する。一方、三人称視点はこのような効果がないものの、遊戯者が仮想空間を広く認識できるという利点がある。
【0006】
その他、複数のキャラクタの配置を、現実世界のレーダのように画面に表示する従来例も存在する。この例によれば、視点の位置に拘わらず、遊戯者は複数のキャラクタ相互の相対的な位置を知ることができる。
【特許文献1】特開平07−116343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、キャラクタの近くにある壁が崩壊しかかっているような場合、一人称視点であると遊戯者がこのことを認識できなことがある。そこで画面に警告表示をして遊戯者に危険を知らせることが考えられる。しかしながら、視点の位置が変化する訳ではなく、遊戯者は自身に危険が迫っている環境を客観的に認識することができない。勢いユーザが操作装置を駆使して、一人称視点を三人称視点にすると一人称視点の臨場感が損なわれることにもなりかねない。
【0008】
そこで、本発明は、臨場感を損なうことなく遊戯者に特定のオブジェクト周りの環境を知らしめる仮想カメラの移動制御技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明は、ゲームアプリケーションプログラムを実行する画像処理装置が、仮想空間中のプレーヤキャラクタに迫っている危険を判断し、仮想カメラを一人称位置から三人称視点へ制限された期間の間強制移動させることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係わる電子遊戯装置は、複数のオブジェクトを仮想空間に配置し、遊戯者が操作する操作装置からの出力に応じて仮想視点の位置を変更し、当該仮想視点から前記仮想空間内の前記オブジェクトを観た映像を座標変換して表示手段に表示する画像処理装置を備えるものであって、この画像処理装置が、 第1のオブジェクトを前記仮想空間に配置する第1の手段と、前記第1のオブジェクトの近くに第2のオブジェクトを配置する第2の手段と、前記第2のオブジェクトの近傍の第1の位置に前記仮想視点を配置する第3の手段と、前記第2のオブジェクトから離間した第2の位置に前記仮想視点を配置する第4の手段と、前記第1のオブジェクト及び前記第2のオブジェクト以外の他のオブジェクトから前記第1のオブジェクトに対する影響度を演算する第5の手段と、前記演算結果が閾値を超える場合には、前記第1の位置にある前記仮想視点を当該第1の地点から前記第2の位置に移動して当該第2の位置に固定し、制限された時間の経過後は前記仮想視点の前記第2の位置への固定を解除する、第6の手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係わる画像処理方法は、複数のオブジェクトを仮想空間に配置し、遊戯者が操作する操作装置からの出力に応じて仮想視点の位置を変更し、当該仮想視点から前記仮想空間内の前記オブジェクトを観た映像を座標変換して表示手段に表示する画像処理装置を備えた電子遊戯装置が実現する画像処理方法において、前記画像処理装置が、ゲームプログラムに基づいて、第1のオブジェクトを前記仮想空間に配置する第1の工程と、前記第1のオブジェクトの近くに第2のオブジェクトを配置する第2の工程と、前記第2のオブジェクトの近傍の第1の位置に前記仮想視点を配置する第3の工程と、前記第2のオブジェクトから離間した第2の位置に前記仮想視点を配置する第4の工程と、前記第1のオブジェクト及び前記第2のオブジェクト以外の他のオブジェクトから前記第1のオブジェクトに対する影響度を演算する第5の工程と、前記演算結果が閾値を超える場合には、前記第1の位置にある前記仮想視点を当該第1の地点から前記第2の位置に移動して当該第2の位置に固定し、制限された時間の経過後は前記仮想視点の前記第2の位置への固定を解除する、第6の工程と、を実行するように構成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係わるコンピュータプログラムは前記画像処理装置に前記各工程を実現させることを特徴とするものである。
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、一人称にある視点位置を、例えばプレーヤキャラクタに危険が迫っている一瞬の間だけ三人称の位置に移動させることにより、一人称視点に基づく臨場感を損なうことなく、遊戯者に仮想空間を客観的に認識させる機会を与えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、臨場感を損なうことなく遊戯者に特定のオブジェクト周りの環境を知らしめる仮想カメラの移動制御技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明に係わる、電子遊戯装置全体を示す斜視図である。電子遊戯装置300は、第1の筐体302、第2の筐体304を備え、第1の筐体の上部にはモニタ306が設置されている。第2の筐体304は、コイン投入口や操作装置としての銃型コントローラ308が接続されている。
【0016】
遊戯者はこの銃型コントローラを構えてモニタ306に向け、モニタに表示される敵キャラクタに向けて引き金を引いて弾丸が敵キャラクタに命中するとモニタ内の敵キャラクタを倒すことができる。銃型コントローラ308からは通信線が出ており、通信線は第2の筐体304に接続されている。第2の筐体は304第1の筐体302より高さが低く、遊戯者の視界を妨げないようになっている。第1の筐体304内には電子遊戯装置の制御ボードが収容されている。
【0017】
第2の筐体304の下端の遊戯者側先端から遊戯者に向けてペダルスイッチ310,312が設けられている。ペダルスイッチは左右あり、遊戯者が左右のペダルスイッチを踏み分けることにより、画面上でプレーヤキャラクタを左右に移動させることができる。
【0018】
既述の電子遊戯装置が実現するゲームの一例は、3次元仮想空間内でプレーヤキャラクタが敵キャラクタと交戦するというものである。プレーヤキャラクタは柱等に身を隠しながら、敵キャラクタと銃撃戦を行う。銃型コントローラの引き金を遊戯が引くと、銃型コントローラからの操作信号が制御ボードに送信され、制御ボードは敵キャラクタに弾丸が命中したかを判断する。命中した場合には、敵キャラクタを倒すなどの画像演出を行う。
【0019】
一方、プレーヤキャラクタに敵キャラクタの弾丸が命中する、或いはプレーヤキャッラクタの傍にある柱に敵キャラクタの弾丸が命中すると柱が倒壊してプレーヤキャラクタにダメージが与えられる。プレーヤキャラクタの傍にある例えば可燃物が入ったドラム缶に弾丸が命中したときにもドラム缶が爆発することによりプレーヤキャラクタにダメージが与えられる。
【0020】
図2はモニタ306に表示される画面の一例である。プレーヤキャラクタPL及び背景BGが一人称の仮想視点から見て表示されている。遊戯者がモニタに銃型コントローラの銃口を向けると一人称の仮想視点から仮想空間が表示される。この時、プレーヤキャラクタPLは図2に示すように、敵キャラクタに対して銃を向ける挙動をする。遊戯者がモニタの表示画面外に銃型コントローラを向けると、図3に示すように仮想視点が三人称視点に移動し、プレーヤキャラクタPLが銃を下ろす挙動をする。この時、プレーヤキャラクタPLは柱BRに隠れて敵キャラクタからの攻撃を避ける挙動をとる。
【0021】
図5はプレーヤキャラクタPLに対峙する敵キャラクタECを三人称視点から見た画面である。敵キャラクタが放つ弾丸によりプレーヤキャラクタの傍らにある柱BRがダメージを受ける。この柱が必要以上のダメージを受けると柱が図4のように倒壊し、プレーヤキャラクタにダメージを与える。図2では仮想カメラが一人称の位置にあるために、遊戯者には柱がダメージを受けている状態を認知し得ない。そこで、図5に示すように、仮想視点が一人称から三人称位置に移動するとともに、警告表示“!”WOを画面に表示する。
【0022】
図6は、ゲーム装置の概略を示すブロック図である。プログラム・データ記憶部600は、ゲームプログラムやゲームプログラムに基づく処理に必要なデータを格納している。ゲームプログラムやデータは、光ディスクなどの記録媒体、ハードディスク、或いは、フラッシュメモリなどの半導体メモリに記憶されている。制御部602は遊戯者が操作する装置からの出力と、ゲームプログラムと、記憶部600に格納されているデータによって、プレーヤキャラクタの挙動を決定する。操作装置は銃型コントローラの引き金604、銃型コントローラが向いている方向(照準)を検出する検出部606、左右のペダルスイッチ310,312である。
【0023】
銃型コントローラの照準を検出する検出部606は、次のように構成されている。特開平11−86038号公報の図24に示すように、表示パネルの周囲に複数のLEDを設けてこれを順次発光させ、模型コントローラにある複数の受光部で光を受け、制御部10が各受光部からの信号を解析して銃型コントローラの銃口の向きを検出する。制御部602は、ゲームプログラムに基づいて仮想空間内における仮想視点の位置を決定し、仮想視点の位置から仮想空間を見た映像を投影変換して表示部608に表示する。さらに、弾丸の発射音や命中音などの各種効果音をゲームプログラムが生成して、これらを音発生部610で再生する。
【0024】
図7は図6に示した遊戯装置の詳細なブロック図である。既述の制御部602は、CPUブロック10,ビデオブロック11およびサウンドブロック12を備えている。
【0025】
CPUブロック10は、ゲームプログラムに基づく画像処理の主体であり、バスアビータ100、CPU101、メインメモリ102、ROM103、プログラム・データ記憶部600を備えている。バスアビータ100は、バスを介して相互に接続されるデバイスにバス占有時間を割り振ることにより、データの送受信を制御可能に構成されている。
【0026】
CPU101は、電源投入時にROM103に格納されたイニシャルプログラム(初期実行プログラム)を実行し、ゲームプログラム・データ記憶部600に格納されているオペレーティングシステム用プログラムデータをメインメモリ102に転送する。その後、CPU101はオペレーティングシステムに従って動作するようになり、引き続きプログラム・データ記憶部に格納されているアプリケーションプログラムデータをメインメモリ102に転送し、そのプログラムを実行する。
【0027】
また、CPU101は、画像データをグラフィックメモリ111に転送し、音声データをサウンドメモリ121に転送可能になっている。CPU101が実行するプログラムデータによる処理は、主として操作装置107からの操作信号の入力や通信装置130からの通信データの解釈と、それに基づいてビデオブロック11に行わせる画像処理およびサウンドブロック12に行わせる音声処理である。
【0028】
メインメモリ102は、主として上記オペレーティングシステム用プログラムデータおよびアプリケーションプログラムデータを格納する他、静的変数や動的変数等を格納するワークエリアをCPUに提供する。ROM103は、イニシャルプログラムローダの格納領域である。
【0029】
プログラム・データ記憶部には、本ゲーム装置に本発明の画像処理方法を実行させるためのプログラムデータ、画像表示のための画像データおよび音声出力のための音声データなどが格納されている。なお、ゲーム装置は、通信装置130経由で他のゲーム装置とデータを交換して、共通の仮想三次元空間でプレーヤキャラクタを対戦相手である対戦遊戯者が操作する敵キャラクタと戦わせることができる。対戦遊戯者がいない場合には敵キャラクタはCPU101が操作する。
【0030】
操作装置107は、遊戯者による遊技者の操作ボタン等の操作状況に対応した操作信号をCPUブロック10のバスに出力する。ビデオブロック11は、VDP(Video Display Processor)110、グラフィックメモリ111およびビデオエンコーダ112を備えている。グラフィックメモリ111には、上記したように、プログラム・データ記憶部から読み取られた画像データが格納されている。
【0031】
VDP110は、グラフィックメモリ111に格納されている画像データのうち、画像表示に必要な画像データを読み取って、CPU101から供給される画像表示に必要な情報、すなわちコマンドデータ、視点位置データ、光源位置データ、オブジェクト指定データ、オブジェクト位置データ、テクスチャ指定データ、テクスチャ濃度データ、視野変換マトリクスデータ等に従って、座標変換(ジオメトリ演算)、テクスチャマッピング処理、表示優先処理、シェーディング処理等を実行可能になっている。
【0032】
なお、前記座標変換等の処理は、CPU101が行うように構成してもよい。すなわち、各デバイスの演算能力を勘案してどの処理をどのデバイスにさせるかを割り振ればよい。ビデオエンコーダ112は、VDP110が生成した画像データをモニタ装置608に出力可能に構成されている。
【0033】
サウンドブロック12は、サウンドプロセッサ120、サウンドメモリ121およびD/Aコンバータ122を備えている。サウンドメモリ121には、上記したようにCD−ROMから読み取られた音声データが格納されている。サウンドプロセッサ120は、CPU101から供給されるコマンドデータに基づいて、サウンドメモリ121に格納されている波形データ等の音声データを読み取って、DSP(Digital Signal Processor)機能に基づく各種エフェクト処理、デジタル/アナログ変換処理等を行うようになっている。そしてD/Aコンバータ122は、サウンドプロセッサ120により生成された音声データをアナログ信号に変換し、外部に接続されるスピーカ610に出力可能に構成されている。
【0034】
次に、ゲーム装置の動作をフローチャートに基づいて説明する。電子遊戯装置の制御部602、主としてCPU101は、図8のフローチャートに基づいて仮想視点を移動する制御を実行する。
【0035】
このフローチャートは毎フレーム毎に実行される。ステップ700では、CPUはプレーヤキャラクタの状態を取得する。プレーヤキャラクタの状態とは、プレーヤが静止しているか、プレーヤキャラクタが移動しているなどプレーヤキャラクタのステイタスである。プレーヤキャラクタのステイタス毎に制御値が存在し、CPUがこの制御値をチェックすることによってプレーヤキャラクタの状態を判定することができる。制御値はメインメモリ102に記憶されている。また、プレーヤキャラクタが仮想空間中を左右に移動することは左右のペダルスイッチ310,312のONによって実現されるので、CPUはペダルスイッチのオンによってプレーヤキャラクタが移動していることを判定することができる。
【0036】
ステップ702でプレーヤキャラクタの移動が判定された場合には、ステップ700にリターンする。プレーヤキャラクタがアクティブでない場合、例えばプレーヤキャラクタに敵キャラクタから弾丸が命中してプレーヤキャラクタが倒れて遊戯者からの入力操作をプレーヤキャラクタに反映できない場合も同様にリターンする。
【0037】
一方、プレーヤキャラクタが実質的に静止状態にある場合には、ステップ704に移行し、プレーヤキャラクタの近傍にある、柱などプレーヤキャラクタが身を隠すことができる遮蔽物があるか判定し、遮蔽物がある場合には遮蔽物のダメージを判定する。遮蔽物のダメージとは敵キャラクタからの弾丸を受けた回数、いかなる種類の弾丸を受けたかによって計算される。遮蔽物に弾丸が命中したかは移動する弾丸と遮蔽物とが仮想空間で衝突するか否かによって判定される。
【0038】
遮蔽物が弾丸を受ける都度、遮蔽物の耐久値が低下する。耐久値の低下に合わせて、遮蔽物が順次破損していく映像が再生される。耐久値が限界値以下になると遮蔽物が倒壊する映像が再生される。
【0039】
CPUは、耐久値がある閾値以下であるか否かを判定する(706)。耐久値が閾値以上の場合は、遮蔽物が倒壊する恐れがないとして、ステップ700にリターンする。耐久値がある閾値以下或いは未満である場合には、過去に警告表示“!”が出されたか否かが判定される。
【0040】
ステップ710以降に示すように、遮蔽物の耐久値がある一定値以下の場合には警告表示を出現させ、かつ仮想視点の位置を一人称の位置から三人称の位置に移動させる。ステップ708の処理は、プレーヤキャラクタが警告表示の目的となっている遮蔽物の近傍にいて過去に警告表示が出されていたらステップ700にリターンすることを意味する。これは警告表示及び視点を移動させる処理が、特定の遮蔽物について一回限りであることを意味している。
【0041】
CPUは遮蔽物毎に警告表示を実行したか否かのフラグをシステムメモリに102セットする。CPUはこのフラグをチェックすることによりステップ708の判定を実行する。
【0042】
ステップ708において否定判定がされた場合には、ステップ710に移行して特定遮蔽物とプレーヤキャラクタの近傍に警告表示を出す。図5はプレーヤキャラクタの頭部上の近傍に警告表示が出されていることを示している。
【0043】
ステップ712では、CPUがプレーヤキャラクタの状態を取得する。ステップ714ではプレーヤキャラクタが銃を構えた挙動であるかがチェックされる。遊戯者がペダルスイッチを踏むことなく銃型コントローラを画面に向けることによってプレーヤキャラクタが銃を構える動作をする。この時ゲームプログラムによって一人称視点が選択される(図2)。一方、プレーヤキャラクタが銃を敵キャラクタに向ける動作していないときには三人称視点が採用される(図3)。
【0044】
ステップ714によってプレーヤキャラクタが銃を構えている挙動をとっているときには、仮想カメラを一人称の位置(図2)から三人称の位置(図5)に移動する(ステップ716)。ステップ714によってプレーヤキャラクタが銃を構えていない挙動の時には、CPUは、仮想カメラの位置をプレーヤキャラクタPLが柱BRに隠れている状態が遊戯者によく判別できる位置に移動させる(726)。
【0045】
図5から判るように、図2では遊戯者はプレーヤキャラクタPLの近傍にある遮蔽物(柱)を認識することができないが、図5では遊戯者はプレーヤキャラクタの傍にある柱BRを認識でき、柱が敵キャラクタからの攻撃によって倒壊しかかっていることを知ることができる。この時、図5に示すように画面に警告表示“!”が顕れている。
【0046】
CPUは警告表示及び視点の移動処理を解除すべき条件が発生したか否かをチェックする(718)。例えば、解除条件とは、警告表示を見た遊戯者がペダルスイッチを操作して、遮蔽物の陰に隠れつつ敵キャラクタと交戦しているプレーヤキャラクタが壁から離れた場合である。この場合はそもそも警告表示が必要なく、かつ視点を三人称視点に固定する必要も無い。また、敵キャラクタからの攻撃が激しく遮蔽物が倒壊してしまった場合、なども同様に解除条件に相当する。
【0047】
解除条件について否定判定がされた場合には、ステップ718においてCPUは警告表示を画面について行った時から一定時間経過したか否かをチェックする。一定時間経過すると、CPUは警告表示“!”を画面から消去させ、かつカメラ位置を三人称の位置にあること(ステップ716)を解除して、カメラの位置を現在の状況に合った位置に移動させる(ステップ722,724)。例えば、図5に示す三人称の位置から図2に示す一人称の位置に仮想カメラの位置を戻す。或いは、プレーヤキャラクタが移動している場合には、移動しているプレーヤキャラクタを観察可能な三人称の位置に仮想カメラの位置を移動させる。ステップ718において一定時間が経過していないと判断された場合には、ステップ712にリターンして、CPUは警告表示と仮想カメラを一人称の位置に固定することを維持する。
【0048】
ステップ720における“一定時間”は、次のようにして決定される。三人称の視点から見た画面(図5の表示時間)が長いと臨場感が損なわれる。一方、これが短すぎると、遊戯者がプレーヤキャラクタの近傍の遮蔽物が倒壊しかかっていることを認識することができない。両方の要請から一定時間が決定されるが、好適な一例として、“一定時間”は1.5秒である。
【0049】
この一定時間について、メモリ上に設定値が格納されている。一定時間の設置値をCPUが記憶部或いはメインメモリから読み出しても良い。また遊戯の進行状況や「壊れそうな物の種類」などによって、仮想カメラを引く時間を適宜変更してもよい。カメラの引き時間や警告表示時間を遮蔽物の種類に対応して設定、それが、遮蔽物が危険物(爆発すると通常よりダメージが大きい等)の場合、通常より“一定時間”を長めにしても良い。
【0050】
既述の実施形態において、遮蔽物が請求項記載の第1のオブジェクトに該当する、プレーヤキャラクタが第2のオブジェクトに相当する、そして敵キャラクタがその他のオブジェクトに相当する。耐久度が請求項記載の影響度に相当する。
【0051】
既述の実施形態によれば、図2と図5を比較すれば分かるように、遮蔽物(柱)が壊れそうになるまでは、遊戯装置は一人称の視点位置で遮蔽物が表示範囲内に入らないようになっており、遮蔽物が壊れそうになると一定時間だけ仮想カメラをプレーヤキャラクタから離れる方向に移動させて、遮蔽物が表示範囲内に来るようにしている。図3の三人称視点は、プレーヤキャラクタが防御状態にあるときに、プレーヤキャラクタと遮蔽物の両方を表示しているが、厳密にいうと図5の視点位置とは異なる。図5の視点位置は、壊れかかった遮蔽物を遊戯者に的確に見せるために、壊れている側から遮蔽物を観察できる箇所である。図2では敵キャラクタが現われていないものの、図2から図5に視点位置が異なる際、視点の視方向は実質的に同一になっている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係わる電子遊戯装置の全体斜視図。
【図2】モニタに表示される遊戯画面の第1の例。
【図3】モニタに表示される遊戯画面の第2の例。
【図4】モニタに表示される遊戯画面の第3の例。
【図5】モニタに表示される遊戯画面の第4の例。
【図6】電子遊戯装置の概要構成を示したブロック図。
【図7】電子遊戯装置の詳細構成を示したブロック図。
【図8】電子遊戯装置のデータ処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
101 CPU、300 電子遊戯装置、308 銃型コントローラ、602 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオブジェクトを仮想空間に配置し、遊戯者が操作する操作装置からの出力に応じて仮想視点の位置を変更し、当該仮想視点から前記仮想空間内の前記オブジェクトを観た映像を座標変換して表示手段に表示する画像処理装置を備えた電子遊戯装置において、
前記画像処理装置は、
第1のオブジェクトを前記仮想空間に配置する第1の手段と、
前記第1のオブジェクトの近くに第2のオブジェクトを配置する第2の手段と、
前記第2のオブジェクトの近傍の第1の位置に前記仮想視点を配置する第3の手段と、
前記第2のオブジェクトから離間した第2の位置に前記仮想視点を配置する第4の手段と、
前記第1のオブジェクト及び前記第2のオブジェクト以外の他のオブジェクトから前記第1のオブジェクトに対する影響度を演算する第5の手段と、
前記演算結果が閾値を超える以前は前記仮想視点を前記第1の位置に置き、前記演算結果が閾値を越えると、前記第1の位置にある前記仮想視点を当該第1の地点から前記第2の位置に移動して当該第2の位置に固定し、制限された時間の経過後は前記仮想視点の前記第2の位置への固定を解除する、第6の手段と、
を備える、電子遊戯装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記影響度が閾値を越えた場合、前記表示手段に警告表示を発生させる手段を備える、請求項1記載の電子遊戯装置。
【請求項3】
前記制限された時間は、前記影響を受けた第1のオブジェクトが前記閾値を越えて分解する前までの時間である、請求項1記載の電子遊戯装置。
【請求項4】
前記第6の手段は、前記第2の位置にある仮想視点を、前記入力装置からの出力に基づいて定まる位置に移動させる、請求項1記載の電子遊戯装置。
【請求項5】
前記第6の手段は、前記第2の位置にある仮想視点を、前記第1の位置に移動させる、請求項1記載の電子遊戯装置。
【請求項6】
複数のオブジェクトを仮想空間に配置し、遊戯者が操作する操作装置からの出力に応じて仮想視点の位置を変更し、当該仮想視点から前記仮想空間内の前記オブジェクトを観た映像を座標変換して表示手段に表示する画像処理装置を備えた電子遊戯装置が実現する画像処理方法において、
前記画像処理装置は、ゲームプログラムに基づいて、
第1のオブジェクトを前記仮想空間に配置する第1の工程と、
前記第1のオブジェクトの近くに第2のオブジェクトを配置する第2の工程と、
前記第2のオブジェクトの近傍の第1の位置に前記仮想視点を配置する第3の工程と、
前記第2のオブジェクトから離間した第2の位置に前記仮想視点を配置する第4の工程と、
前記第1のオブジェクト及び前記第2のオブジェクト以外の他のオブジェクトから前記第1のオブジェクトに対する影響度を演算する第5の工程と、
前記演算結果が閾値を超える場合には、前記第1の位置にある前記仮想視点を当該第1の地点から前記第2の位置に移動して当該第2の位置に固定し、制限された時間の経過後は前記仮想視点の前記第2の位置への固定を解除する、第6の工程と、
を実行する、画像処理方法。
【請求項7】
複数のオブジェクトを仮想空間に配置し、遊戯者が操作する操作装置からの出力に応じて仮想視点の位置を変更し、当該仮想視点から前記仮想空間内の前記オブジェクトを観た映像を座標変換して表示手段に表示する画像処理装置を備えた電子遊戯装置に、
第1のオブジェクトを前記仮想空間に配置する第1の工程と、
前記第1のオブジェクトの近くに第2のオブジェクトを配置する第2の工程と、
前記第2のオブジェクトの近傍の第1の位置に前記仮想視点を配置する第3の工程と、
前記第2のオブジェクトから離間した第2の位置に前記仮想視点を配置する第4の工程と、
前記第1のオブジェクト及び前記第2のオブジェクト以外の他のオブジェクトから前記第1のオブジェクトに対する影響度を演算する第5の工程と、
前記演算結果が閾値を超える場合には、前記第1の位置にある前記仮想視点を当該第1の地点から前記第2の位置に移動して当該第2の位置に固定し、制限された時間の経過後は前記仮想視点の前記第2の位置への固定を解除する、第6の工程と、
を実行させるためのゲームプログラム。
【請求項8】
前記ゲームプログラムを記録した、前記画像処理装置のコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−93306(P2008−93306A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280769(P2006−280769)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】