説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラム、および表示装置

【課題】入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号を平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することが可能な画像処理装置、画像処理方法、プログラム、および表示装置を提供する。
【解決手段】Nビット(Nは正の整数)の入力画像信号に基づいてグラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する平滑領域検出部と、制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、平滑領域の領域端と平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、制御信号に基づいてNビットの入力画像信号を平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部とを備える画像処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、プログラム、および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube display)に替わる表示装置として、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)とも呼ばれる。)、FED(Field Emission Display。電界放出ディスプレイ)、LCD(Liquid Crystal Display。液晶ディスプレイ)、PDP(Plasma Display Panel。プラズマディスプレイ)、プロジェクターなど様々な表示装置が開発されている。
【0003】
また、例えば放送局などから送信される画像信号は一般的に8ビットで256階調を表すことができるが、上記のような表示装置の中には、10ビットや12ビットなどの階調性能を有する表示パネルを備えるものが登場している。
【0004】
このような中、表示パネルの階調性能を引き出すために入力された画像信号の階調数を拡張する補正を行う技術が開発されている。近接する画素間における差分値が所定の値以下である場合にはグラデーションを示す領域と判定して平滑化を行い、所定の値を上回る場合にはエッジを示す領域と判定して平滑化を行わずに階調数を拡張する技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特開2007−213460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術では、近接する画素間における差分値を用いて、グラデーションを示す領域とエッジを示す領域とを判定し、グラデーションを示す領域と判定された領域に対して平滑化を行う。ここで、明るさや色が緩やかに変化するグラデーションを示す領域では、偽輪郭(Contouring)と呼ばれる現象が生じる場合があり、画像信号の平滑化は、当該偽輪郭の発生を防止する有効な手段の一つである。
【0007】
しかしながら、近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術において判定されたグラデーションを示す領域(近接する画素間における差分値が所定の値以下の領域)は、凹凸の数が少ない領域(以下、「グラデーション領域」という。)と、凹凸の数が多い領域(以下、「テクスチャ領域」という。)とにさらに分けることができる。ここで、近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術では、単に近接する画素間における差分値が所定の値以下であるか否かに応じて領域を判定しているに過ぎないので、グラデーション領域とテクスチャ領域との区別をつけることはできない。また、近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術では、グラデーション領域だけでなく、テクスチャ領域に対しても平滑化を行ってしまう。
【0008】
したがって、近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術を用いる画像処理装置では、画像信号の補正により細かい凹凸が失われるため、例えば、壁や遠い山などの質感が損なわれ、画質が低下する。

【0009】
また、近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術は、ローパス・フィルタ(Low-Pass Filter)を用いて平滑化を行う。しかしながら、近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術を用いる画像処理装置では、平滑化を行うフィルタのタップ長については、何らの考慮もなされていない。よって、従来の技術を用いる画像処理装置では、例えば、以下の〔i〕や〔ii〕などの問題が生じる可能性が高い。
【0010】
〔i〕エッジを示す領域に対しても平滑化を行う問題
従来の技術を用いる画像処理装置では、グラデーションを示す領域と判定された領域のみならず、その他の領域であるエッジを示す領域に対しても平滑化を行う恐れがある。ここで、エッジを示す領域を平滑化した場合には、例えば、鮮鋭度の低下などの画質劣化が生じてしまう。
【0011】
〔ii〕グラデーションを示す領域全体に対して平滑化が行われない問題
また、上記〔i〕の問題の発生を回避するために、例えば、グラデーションを示す領域と判定された領域より小さな領域に対して平滑化を行った場合には、グラデーションを示す領域と判定された領域全体に対して平滑化が実行されない。上記の場合には、グラデーションを示す領域と判定された領域内に、平滑化されない領域が生じるため、画質が低下する。
【0012】
したがって、近接する画素間における差分値に応じて平滑化を行い階調数を拡張する従来の技術を用いる画像処理装置は、高画質化を図ることができない。
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法、プログラム、および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する平滑領域検出部と、上記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と上記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、上記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、上記画素ごとに生成された上記制御信号に基づいてNビットの上記入力画像信号を上記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部とを備える画像処理装置が提供される。
【0015】
かかる構成により、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0016】
また、上記平滑領域検出部は、入力された上記入力画像信号から所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する周波数成分検出部と、上記周波数成分検出部が検出した検出信号に基づいて各画素に対応する検出信号をそれぞれ平滑化する検出値平滑部と、上記検出値平滑部が平滑化した検出信号に基づいて、上記制御信号を画素ごとに生成する制御信号生成部とを備えてもよい。
【0017】
かかる構成により、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定することができる。
【0018】
また、上記周波数成分検出部は、所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する一つのバンドパス・フィルタを備えてもよい。
【0019】
かかる構成により、画素ごとに検出信号を得ることができる。
【0020】
また、上記周波数成分検出部は、相異なる所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する複数のバンドパス・フィルタと、上記複数のバンドパス・フィルタそれぞれから出力される信号に対して、上記信号が出力されたバンドパス・フィルタに応じた係数を乗算する係数乗算部と、上記係数乗算部から出力される信号に基づいて、画素ごとに最大の信号を選択して出力する最大値選択部とを備えてもよい。
【0021】
かかる構成により、画素ごとに検出信号を得ることができる。
【0022】
また、上記周波数成分検出部は、相異なる所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する複数のバンドパス・フィルタと、上記複数のバンドパス・フィルタそれぞれから出力される信号に対して、上記信号が出力されたバンドパス・フィルタに応じた係数を乗算する係数乗算部と、上記係数乗算部から出力される信号を画素ごとに加算して出力する加算部とを備えてもよい。
【0023】
かかる構成により、画素ごとに検出信号を得ることができる。
【0024】
また、上記平滑領域検出部は、入力された上記入力画像信号に基づいて、画素間の差分値を検出する画素間差分値検出部と、上記画素間差分値検出部が検出した上記差分値に基づいて平滑化を行う平滑領域を判定し、判定結果に応じた上記制御信号を画素ごとに生成する平滑領域判定部とを備えてもよい。
【0025】
かかる構成により、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定することができる。
【0026】
また、上記階調数拡張部から出力される出力画像信号の階調数を、擬似的な中間階調を用いてNビットの画像信号に変換する第1の擬似階調処理部をさらに備えてもよい。
【0027】
かかる構成により、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。
【0028】
また、上記階調数拡張部から出力される出力画像信号を信号レベルに応じて非線形に補正する第1の非線形階調変換部と、上記非線形階調変換部から出力される補正された出力画像信号の階調数を、擬似的な中間階調を用いてNビットの画像信号に変換する第2の擬似階調処理部とをさらに備えてもよい。
【0029】
かかる構成により、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
【0030】
また、Nビットの上記入力画像信号を、信号レベルに応じて非線形に補正する第2の非線形階調変換部をさらに備え、上記階調数拡張部には、上記第2の非線形階調変換部から出力される補正された入力画像信号が入力されてもよい。
【0031】
かかる構成により、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかにすることができる。
【0032】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、Nビット(Nは正の整数)の入力画像信号が複数入力される画像信号処理装置であって、上記入力画像信号それぞれから所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する周波数成分検出部と、上記周波数成分検出部が検出した検出信号に基づいて、複数の入力画像信号それぞれが対応する各画素における検出信号が最大の検出信号を選択する最大値選択部と、上記最大値選択部が選択した検出信号に基づいて各画素に対応する検出信号それぞれを平滑化する検出値平滑部と、上記検出値平滑部が平滑化した検出信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する制御信号生成部と、上記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と上記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、上記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、上記画素ごとに生成された上記制御信号に基づいてNビットの上記入力画像信号それぞれを上記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部とを備える画像処理装置が提供される。
【0033】
かかる構成により、入力される複数の画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号それぞれを平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0034】
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、Nビット(Nは正の整数)の入力画像信号が複数入力される画像信号処理装置であって、複数の上記入力画像信号に基づいて、上記入力画像信号ごとに画素間の差分値を検出する画素間差分値検出部と、上記画素間差分値検出部が検出した上記差分値に基づいて平滑領域を上記入力画像信号ごとに判定し、上記入力画像信号それぞれに対する判定結果を示す判定信号を画素ごとに生成する平滑領域判定部と、上記入力画像信号それぞれに対応する画素ごとの上記判定信号が入力され、上記判定信号の論理積がグラデーション領域を示す場合にはグラデーション領域を示す制御信号を画素ごとに出力する制御信号出力部と、上記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と上記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、上記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、上記画素ごとに生成された上記制御信号に基づいてNビットの上記入力画像信号それぞれを上記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部とを備える画像処理装置が提供される。
【0035】
かかる構成により、入力される複数の画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して選択的に画像信号それぞれを平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0036】
また、上記目的を達成するために、本発明の第4の観点によれば、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタを画素ごとに備える画像処理装置に用いることが可能な画像処理方法であって、入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する第1生成ステップと、上記第1生成ステップにおいて生成された上記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と上記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、上記平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成する第2生成ステップと、上記第2生成ステップにおいて生成された上記調整信号に基づいて上記平滑フィルタのタップ長を調整し、上記第1生成ステップにおいて画素ごとに生成された上記制御信号に基づいてNビットの上記入力画像信号を上記平滑フィルタで選択的に平滑化して階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力するステップとを有する画像処理方法が提供される。
【0037】
かかる方法を用いることにより、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0038】
また、上記目的を達成するために、本発明の第5の観点によれば、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタを画素ごとに備える画像処理装置に用いることが可能なプログラムであって、入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する第1生成ステップ、上記第1生成ステップにおいて生成された上記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と上記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、上記平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成する第2生成ステップ、上記第2生成ステップにおいて生成された上記調整信号に基づいて上記平滑フィルタのタップ長を調整し、上記第1生成ステップにおいて画素ごとに生成された上記制御信号に基づいてNビットの上記入力画像信号を上記平滑フィルタで選択的に平滑化して階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0039】
かかるプログラムにより、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0040】
また、上記目的を達成するために、本発明の第6の観点によれば、入力された画像信号を補正する画像信号補正部と、上記画像信号補正部が補正した画像信号に基づいて、N+kビット(N、kは正の整数)の画像信号が示す画像を表示可能な画像表示部とを備え、上記画像信号補正部は、入力されたNビットの入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する平滑領域検出部と、上記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と上記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、上記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、上記画素ごとに生成された上記制御信号に基づいてNビットの上記入力画像信号を上記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部とを備える表示装置が提供される。
【0041】
かかる構成により、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して画像を表示することができる。また、かかる構成により、入力される画像信号よりも階調性能が高い表示部の階調性能を活かすことができる。
【0042】
また、上記目的を達成するために、本発明の第7の観点によれば、入力された画像信号を補正する画像信号補正部と、上記画像信号補正部が補正した画像信号に基づいて、Nビット(Nは正の整数)の画像信号が示す画像を表示可能な画像表示部とを備え、上記画像信号補正部は、入力されたNビットの入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する平滑領域検出部と、上記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と上記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、上記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、上記画素ごとに生成された上記制御信号に基づいてNビットの上記入力画像信号を上記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部と、上記階調数拡張部から出力される出力画像信号の階調数を、擬似的な中間階調を用いてNビットの画像信号に変換する擬似階調処理部とを備える表示装置が提供される。
【0043】
かかる構成により、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0046】
(本発明の実施形態に係る表示装置の処理の概要)
本発明の実施形態に係る表示装置について説明する前に、まず、本発明の実施形態に係る表示装置の処理の概要について説明する。なお、以下では、本発明の実施形態に係る表示装置に画像信号が入力されるものとして説明するが、表示装置に入力される画像信号は、静止画像を示すものであってもよいし、または、動画像(いわゆる映像)であってもよい。
【0047】
また、以下では、本発明の実施形態に係る表示装置に入力される画像信号がデジタル信号であるとして説明するが、上記に限られず、例えば、アナログ放送などで用いられるアナログ信号がA/Dコンバータ(Analog to Digital converter)でデジタル信号に変換されたものとすることもできる。また、本発明の実施形態に係る表示装置に入力される画像信号は、例えば、放送局から送信され表示装置が受信したものとすることができるが、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る表示装置に入力される画像信号は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して外部装置から送信され表示装置が受信したものであってもよいし、または、表示装置が備える記憶部に保持された映像ファイルや画像ファイルを表示装置が読み出したものであってもよい。
【0048】
本発明の実施形態に係る表示装置における処理は、〔1〕入力された画像信号を補正する画像処理フェーズと、〔2〕補正された画像信号を表示する表示フェーズ、とに分けられる。
【0049】
〔1〕画像処理フェーズ
本発明の実施形態に係る表示装置は、画像処理フェーズにおいて、例えば以下の〔1−1〕〜〔1−3〕の処理を行い、入力されたNビット(Nは正の整数)の画像信号(以下、「入力画像信号」という。)を、N+k(kは正の整数)の画像信号(以下、「出力画像信号」という。)に変換する。ここで、上記kの値は、本発明の実施形態に係る表示装置が画像を表示する表示部の階調性能に応じた値とすることができる。なお、本発明の実施形態に係る表示装置が画像を表示する表示部の階調性能が入力画像信号と同じNビットの場合には、本発明の実施形態に係る表示装置は、N+kビットの出力画像信号をさらにNビットに補正することもできる。
【0050】
〔1−1〕グラデーション領域の判定
本発明の実施形態に係る表示装置は、入力画像信号が示す画像を、エッジを示す「エッジ領域」、エッジ領域以外で凹凸の数が少ない領域を示す「グラデーション領域」、およびエッジ領域以外で凹凸の数が多い領域を示す「テクスチャ領域」に大きく分類し、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を判定する。ここで、本発明の実施形態に係る表示装置は、例えば、入力画像信号が対応する画素ごとにグラデーション領域の判定を行う。
【0051】
〔1−2〕平滑化を行う平滑フィルタのタップ長の調整
本発明の実施形態に係る表示装置は、上記〔1−1〕における判定結果に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定する。より具体的には、本発明の実施形態に係る表示装置は、グラデーション領域と判定された領域を平滑領域とする。そして、本発明の実施形態に係る表示装置は、特定された平滑領域の領域端と当該平滑領域に含まれる画素の位置とに基づいて、平滑フィルタのタップ長を画素ごとに調整する。ここで、タップ長の調整は、特定された平滑領域全体が平滑化されるように行われる。
【0052】
〔1−3〕画像信号の補正
本発明の実施形態に係る表示装置は、上記〔1−1〕における判定結果に基づいて、画素ごとに以下の(A)、(B)のように画像信号の補正を行う。
【0053】
(A)グラデーション領域ではないと判定された場合
本発明の実施形態に係る表示装置は、グラデーション領域ではないと判定した場合(すなわち、エッジ領域またはテクスチャ領域の場合)には、平滑化を行わず、Nビットの入力画像信号の下位にkビットの固定値を付加したN+kビットの出力画像信号を出力する。
【0054】
(B)グラデーション領域と判定した場合
本発明の実施形態に係る表示装置は、グラデーション領域と判定した場合には、入力された画像信号の平滑化をN+kビットの精度で行うことによって、平滑化されたN+kビットの出力画像信号を出力する。ここで、上記平滑化は、上記〔1−2〕においてタップ長が調整された平滑フィルタを用いて行われる。
【0055】
本発明の実施形態に係る表示装置は、各画素に対応する入力画像信号に対して画素ごとに上記(A)または(B)の処理を行うことによって、Nビットの入力画像信号をN+kビットの出力画像信号に補正することができる。
【0056】
また、本発明の実施形態に係る表示装置は、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、当該判定結果に基づいて、グラデーション領域に対しては入力画像信号を平滑化し、エッジ領域またはテクスチャ領域に対しては入力画像信号を平滑化しない。したがって、本発明の実施形態に係る表示装置では、入力画像信号の補正によって細かい凹凸が失われることはなく、例えば、壁や遠い山などの質感も損なわれないので、高画質化を図ることができる。
【0057】
さらに、本発明の実施形態に係る表示装置は、平滑フィルタのタップ長を調整することによってグラデーション領域と判定された領域全体を平滑化することができる。したがって、本発明の実施形態に係る表示装置では、グラデーション領域と判定された領域において平滑化されない領域が生じることによる画質の低下は生じない。
【0058】
〔2〕表示フェーズ
本発明の実施形態に係る表示装置は、上記〔1〕の画像処理フェーズにおいて補正された画像信号(出力画像信号)に基づいて、画像を表示する。
【0059】
本発明の実施形態に係る表示装置は、上述した処理によって、入力画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して入力画像信号を平滑化し、入力画像信号よりも階調数の多い出力画像信号に変換して画像を表示することができる。
【0060】
したがって、本発明の実施形態に係る表示装置は、表示部の階調性能が入力画像信号よりも高い場合であっても、表示部の表示性能を引き出すことができ、また、入力画像信号の補正によって細かい凹凸が失われることはないので、高画質化を図ることができる。
【0061】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置の構成について、具体的に説明する。また、以下では、本発明の実施形態に係る表示装置として、上記〔1〕画像処理フェーズを担う「画像処理部」と、上記〔2〕表示フェーズを担う「表示部」とを備える構成を示す。なお、本発明の実施形態は、上記の構成に限られず、例えば、以下に示す画像処理部を独立の装置(画像処理装置)として実現することもできる。
【0062】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置1000を示すブロック図である。なお、図1では、表示装置1000として、画像処理部100が、モノクロ画像の処理、あるいはカラー画像の複数チャンネルのうちの1チャンネル分の処理を行う構成を示している。
【0063】
[表示装置1000の構成]
図1を参照すると、表示装置1000は、画像処理部100と、表示部190とを備える。
【0064】
また、表示装置1000は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され表示装置1000全体を制御することが可能な制御部(図示せず)や、制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory。図示せず)、制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory。図示せず)、放送局などから送信される画像信号を受信する受信部(図示せず)、映像ファイルや画像ファイルなどを記憶可能な記憶部(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、外部装置(図示せず)と通信を行うための通信部(図示せず)などを備えてもよい。表示装置1000は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。
【0065】
ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。また、操作部(図示せず)としては、例えば、キーボードやマウスなどの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。
【0066】
また、表示装置1000と外部装置(図示せず)とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子やIEEE1394規格の端子、DVI(Digital Visual Interface)端子、あるいはHDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子などを介して物理的に接続されてもよいし、また、WUSB(Wireless Universal Serial Bus)やIEEE802.11などを利用して無線で接続することもできる。さらに、表示装置1000と外部装置(図示せず)とは、例えば、ネットワークを介して接続することもできる。ネットワークとしては、例えば、LANやWAN(Wide Area Network)など有線ネットワーク、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)を用いたWLAN(Wireless Local Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられるが、上記に限られない。したがって、通信部(図示せず)は、外部装置(図示せず)との接続形態に応じたインタフェースを有する。
【0067】
画像処理部100は、入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号Diを、N+k(kは正の整数)ビットの出力画像信号Doに変換する。より具体的には、画像処理部100は、入力画像信号Diが示す画像を画素ごとにグラデーション領域の判定を行う平滑領域検出部102と、平滑領域検出部102から出力される制御信号Dcに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整するための調整信号Dtpを画素ごとに出力するタップ長調整部104と、平滑領域検出部102から出力される制御信号Dcに基づいて入力画像信号Diを選択的に平滑化し、階調数の拡張を行う階調数拡張部106とを備える。ここで、階調数拡張部106は、平滑フィルタを備えることによって平滑化を行い、当該平滑フィルタのタップ長は、タップ長調整部104から出力される調整信号Dtpに基づいて調整される。画像処理部100の詳細については後述する。
【0068】
表示部190は、N+kビットの階調性能を有し、画像処理部100から出力されるN+kビットの出力画像信号Doが示す画像を表示する。
【0069】
〔表示部190の構成例〕
表示部190は、例えば、画像表示部(図示せず)と、行駆動部(図示せず)と、列駆動部(図示せず)と、電源供給部(図示せず)と、表示制御部(図示せず)とを備える。
【0070】
画像表示部は、例えば、マトリクス状(行列状)に配置された複数の画素を備える。例えば、SD(Standard Definition)解像度の映像を表示する画像表示部は、少なくとも640×480=307200(データ線×走査線)の画素を有し、カラー表示のために当該画素が赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)のサブピクセル(sub pixel)からなる場合には、640×480×3=921600(データ線×走査線×サブピクセルの数)のサブピクセルを有する。同様に、例えば、HD(High Definition)解像度の映像を表示する表示部は、1920×1080の画素を有し、カラー表示の場合には、1920×1080×3のサブピクセルを有する。
【0071】
また、画像表示部は、例えば、画素ごとに印加する電圧量/電流量を制御するための画素回路を備えていてもよい。画素回路は、例えば、印加される走査信号および電圧信号により電流量を制御するためのスイッチ素子およびドライブ素子と、電圧信号を保持するためのキャパシタで構成される。上記スイッチ素子および上記ドライブ素子は、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)で構成される。
【0072】
行駆動部および列駆動部は、例えば、画像表示部が有する複数の画素に電圧信号を印加して各画素を発光させる。ここで、行駆動部および列駆動部は、一方が画素のON/OFFを決定する電圧信号(走査信号)を印加し、他方が表示させる映像に応じた電圧信号(画像信号)を印加する役割を果たすことができる。また、行駆動部および列駆動部の駆動方式としては、例えば、上記マトリクス状に配置された画素ごとに発光させる点順次駆動走査方式、上記マトリクス状に配置された画素を一列ごとに発光させる線順次駆動走査方式、そして、上記マトリクス状に配置された全ての画素を発光させる面順次駆動走査方式などが挙げられる。
【0073】
電源供給部は、行駆動部および列駆動部に電源を供給し、行駆動部および列駆動部には電圧が印加される。また、電源供給部が、行駆動部および列駆動部に印加する電圧の大きさは、画像処理部100から出力される出力画像信号Doに応じて可変する。
【0074】
表示制御部は、例えば、MPUなどで構成され、画像処理部100から出力される出力画像信号Doに応じて、行駆動部および列駆動部の一方に画素のON/OFFを決定する電圧を画素に印加するための制御信号を入力し、また、他方に画像信号を入力する。また、表示制御部は、画像処理部100から出力される出力画像信号Doに応じて、電源供給部による行駆動部および列駆動部への電源の供給を制御することもできる。
【0075】
表示部190は、上記のような構成により、出力画像信号Doに応じた画像を表示する。ここで、表示部190としては、例えば、有機ELディスプレイや、FED、PDPなどの自発光型の表示デバイスや、LCDなどのバックライト型の表示デバイスが挙げられるが、上記に限られない。
【0076】
本発明の第1の実施形態に係る表示装置1000は、図1に示すような構成により、入力画像信号に基づいて対応する画素ごとにグラデーション領域を判定し、当該判定結果に応じて入力画像信号Diを選択的に平滑化して階調数の拡張を行う。そして、表示装置1000は、階調数が拡張された画像信号、すなわち、出力画像信号Doに基づいて画像を表示することができる。次に、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100について、より詳細に説明する。なお、以下では、説明の簡単化のために、水平方向の処理を例に挙げて説明を行う。
【0077】
[第1の実施形態に係る画像処理部100]
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100を示すブロック図である。図2を参照すると、画像処理部100は、平滑領域検出部102と、タップ長調整部104と、階調数拡張部106とを備える。また、平滑領域検出部102は、周波数成分検出部108と、検出値平滑部110と、制御信号生成部112とを備える。
【0078】
〔平滑領域検出部102〕
周波数成分検出部108は、入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出し、検出結果を周波数成分検出値Dfとして出力する。
【0079】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部108の構成例を示すブロック図である。図3を参照すると、周波数成分検出部108は、バンドパス・フィルタ114(Band-Pass Filter。以下、「BPF」とよぶ場合もある。)と絶対値変換部116とで構成される。
【0080】
バンドパス・フィルタ114は、特定の周波数帯域の画像信号のみを通過させ、その他の帯域の画像信号を減衰させることによって、BPF出力Dbpfを画素ごとに出力する。図4は、本発明の第1の実施形態に係るバンドパス・フィルタ114の周波数特性の一例を示す説明図である。図4を参照すると、バンドパス・フィルタ114は、周波数fをピークとする通過帯域を有する。ここで周波数fは、例えば、テクスチャ領域の周波数特性に応じて、周波数f付近の成分がテクスチャ領域に多く含まれるように定めることができる。また、周波数fは、表示部190の画面サイズと画素数、そして想定される視距離に応じて設定することができる。
【0081】
絶対値変換部116は、BPF出力Dbpfの絶対値を算出して周波数成分検出値Dfとして出力する。
【0082】
再度図2を参照して画像処理部100の構成要素について説明する。検出値平滑部110は、周波数成分検出部108から出力された各画素に対応する周波数成分検出値Dfに基づいて、周波数成分検出値Dfの平滑化を画素ごとに行い、平滑化された平均検出値Daveを出力する。ここで、平均検出値Daveは、後述する制御信号生成部112におけるグラデーション領域の判定に用いられる。
【0083】
検出値平滑部110は、平滑化を行う画素に対応する注目画素を含む所定の平滑領域を画素ごとに設定し、当該平滑領域内に含まれる画素に対応する周波数成分検出値Dfの平均値を算出することによって、平均検出値Daveを画素ごとに出力する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る検出値平滑部110における平滑化処理の一例を説明するための説明図であり、平滑領域として水平方向に8画素分の大きさの領域が設定された例を示している。ここで、検出値平滑部110が設定する平滑領域は、図5に示す水平方向に8画素分の大きさの領域に限られず、水平方向および/または垂直方向に任意の大きさの領域とすることができる。また、平滑領域は、すべての注目画素に対して同一の大きさに設定されることに限られず、例えば、画面上の位置に応じて大きさを変えてもよい。
【0084】
また、検出値平滑部110が算出する平均値は、例えば、相加平均で求めることができるが、かかる算出方法に限られず、例えば、相乗平均としてもよいし、所定の重み付けをした重み付け平均とすることもできる。
【0085】
再度図2を参照して画像処理部100の構成要素について説明する。制御信号生成部112は、検出値平滑部110から出力される平均検出値Daveに基づいて、グラデーション領域の判定を閾値処理によって画素ごとに行う。
【0086】
〔平均検出値Daveに基づいて判定を行う意義〕
ここで、画像処理部100が、平均検出値Daveに基づいてグラデーション領域の判定を行う意義について説明する。
【0087】
エッジ領域では周波数成分検出値Dfの値が大きくなり、一方、グラデーション領域やテクスチャ領域では、ともに周波数成分検出値Dfの値は小さくなる。したがって、周波数成分検出値Dfの値の大小だけに注目した場合、グラデーション領域とテクスチャ領域とを区別することができない。
【0088】
ここで、平滑領域における周波数成分検出値Dfの検出の頻度に着目すると、グラデーション領域では周波数成分検出値Dfの検出の頻度は低いが、テクスチャ領域では比較的検出の頻度が高くなる。また、平滑領域に含まれる周波数成分検出値Dfの値は、グラデーション領域およびテクスチャ領域ともに同程度の大きさである。つまり、平滑領域における平均的な周波数成分検出値Dfの値、すなわち平均検出値Daveに着目すると、グラデーション領域の平均検出値Daveよりもテクスチャ領域の平均検出値Daveの方が大きくなる。
【0089】
したがって、平均検出値Daveと、グラデーション領域とテクスチャ領域とを区別するための適切な閾値THとに基づく閾値処理を行えば、平均検出値Daveが閾値THより小さい場合はグラデーション領域、また、平均検出値Daveが閾値THより大きい場合はテクスチャ領域またはエッジ領域として、区別することができる。ここで、閾値THの値は、例えば、明らかにグラデーションを示す領域を有する画像を示す画像信号と、明らかにテクスチャを示す領域を有する画像を示す画像信号とを用いて決定することができる。
【0090】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る制御信号生成部112における閾値処理を説明するための説明図である。制御信号生成部112は、図6に示すように、平均検出値Daveが閾値THより小さいときにはグラデーション領域を示す「1」を制御信号Dcとして出力し、平均検出値Daveが閾値TH以上のときにはテクスチャ領域またはエッジ領域、すなわちグラデーション領域以外を示す「0」を制御信号Dcとして出力する。
【0091】
ここで、制御信号生成部112がグラデーション領域を判定するために用いる閾値THの情報は、例えば、画像処理部100が備える記憶手段に記憶され、当該記憶手段から入力される。ここで、画像処理部100が備える記憶手段としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、閾値THの情報は、例えば、制御信号生成部112が記憶手段を備えて保持することができ、また、表示装置1000の記憶部(図示せず)に記憶され、制御信号生成部112が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
【0092】
平滑領域検出部102は、上記のような周波数成分検出部108、検出値平滑部110、および制御信号生成部112を備えることによって、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定することができる。
【0093】
〔タップ長調整部104〕
再度図2を参照して、画像処理部100の構成要素について説明する。タップ長調整部104は、例えば、MPUなどで構成され、平滑領域検出部102から出力される制御信号Dcに基づいて、グラデーション領域、すなわち、平滑化を行う平滑領域を特定する。ここで、タップ長調整部104は、制御信号Dcの値の変化に基づいて平滑領域を特定することができる。例えば、タップ長調整部104は、制御信号Dcがグラデーション領域以外を示す「0」からグラデーション領域を示す「1」へと変化したときの位置を平滑化開始位置(平滑化領域端)と判定し、また、制御信号Dcが「1」から「0」へと変化したときの位置を平滑化終了位置(平滑化領域端)と判定する。
【0094】
そして、タップ長調整部104は、特定された平滑領域の領域端と当該平滑領域内の画素の位置とに基づいて、平滑領域内全体が平滑化されるように画素ごとにタップ長を決定し、決定されたタップ長に対応する調整信号Dtpを画素ごとに出力する。ここで、タップ長調整部104は、例えば、タップ長を規定する調整信号Dtpを生成して出力してもよいし、タップ長の調整量を規定する調整信号Dtpを生成して出力することもできるが、上記に限られない。
【0095】
ここで、画像処理部100がタップ長調整部104を備える意義について説明する。図7は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100がタップ長調整部104を備える意義を説明するための第1の説明図である。図7(a)は、入力画像信号Diの一例を示しており、また、図7(b)は、図7(a)に示す入力画像信号Diに基づいて生成される制御信号Dcを示している。
【0096】
図7(a)に示すように、2つのエッジ領域の間にグラデーション領域がある画像を示す入力画像信号Diが画像処理部100に入力された場合、制御信号生成部112は、図7(b)に示すように、グラデーション領域に対しては「1」を示す制御信号Dcを出力し、エッジ領域に対しては「0」を示す制御信号Dcを出力する。したがって、図7の例では、「1」を示す制御信号Dcが出力されるp〜qの領域が平滑化を行う平滑領域であり、p〜qまで平滑化が行われることによって、偽輪郭の発生を有効に防止することができる。ここで、例えば、pを平滑化を開始する平滑化開始位置(平滑化領域端)とすると、qは平滑化が終了される平滑化終了位置(平滑化領域端)とおくことができる。
【0097】
しかしながら、画像処理部100がタップ長調整部104を備えずにタップ長が固定の平滑フィルタで平滑化を行った場合には、例えば、以下の〔a−1〕、〔a−2〕に示す問題が生じる。以下、図8を参照して、タップ長が固定の平滑フィルタで平滑化を行った場合の問題について説明する。
【0098】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100がタップ長調整部104を備えない場合における問題を説明するための説明図である。図8(a)は図7(a)に示すグラデーション領域内に存在する画素A〜画素Iと、エッジ領域の画素1、画素2を示している。また、図8(b)は画像処理部100がタップ長調整部104を備えない場合における第1の問題を説明するための説明図であり、図8(c)は、第2の問題を説明するための説明図である。ここで、図8(a)〜図8(c)において示すpは、図7に示す平滑化開始位置pを示しており、また、qは、図7に示す平滑化終了位置qを示している。
【0099】
〔a−1〕第1の問題(図8(b))
平滑化開始位置p〜平滑化終了位置q内(すなわち平滑領域内)に含まれる画素を平滑化する平滑フィルタとしてTAP11〜TAP13を例に挙げる。TAP11は、平滑領域内の画素で平滑化開始位置pの位置の画素Aに対応する平滑フィルタである。ここで、TAP11は、例えば、画素Aを中心としたタップ内の各画素に対応する画素データ(入力画像信号Di)の平均値を画素Aに対応する画素データに変換することによって平滑化を行うが、上記に限られない。また、TAP13は、平滑領域内の画素で平滑化終了位置qの位置の画素Iに対応する平滑フィルタであり、TAP12は、平滑領域内の中心付近に位置する画素Eに対応する平滑フィルタである。
【0100】
TAP11〜TAP13のタップ長が固定である場合には、図8(b)に示すようにTAP11およびTAP13が例えばエッジ領域の画素に対応する画素データを用いて算出された平均値を、画素A、画素Iの画素データとしてしまう。
【0101】
上記の場合には、グラデーション領域の平滑化に際してエッジ領域に相当する信号の影響が大きくでるため、例えば、偽輪郭の発生を有効に防止することができない、あるいは、グラデーション領域の平滑化に破綻が生じることによって画質が低下するなどの問題が生じる恐れがある。したがって、図8(b)に示す状態での平滑化は望ましくない。
【0102】
〔a−2〕第2の問題(図8(c))
上記第1の問題の発生を防止するための解決案としては、例えば、TAP11、TAP13など、エッジ領域の画素に対応する画素データを用いるTAPを使用しないことが挙げられる。上記の場合には、例えば図8(c)に示すように、エッジ領域の画素に対応する画素データを用いないTAP14〜TAP15が平滑化に用いられることとなる。しかしながら、上記の場合にはTAP14〜TAP15に対応する画素C〜画素Gの位置、すなわち平滑領域内のp’〜q’までしか平滑化が行われない。したがって、上記の場合には、平滑領域全体、すなわち、平滑化を行うグラデーション領域全体を平滑化することができない。
【0103】
したがって、グラデーション領域に平滑化されない領域が生じるため、画質が低下してしまい、図8(c)に示す状態での平滑化もまた望ましくない。
【0104】
〔b〕本発明の実施形態に係る解決手段
そこで、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100は、平滑フィルタのタップ長を調整することによって、上記第1の問題および第2の問題の発生を防止する。以下、図9を参照して、画像処理部100における上記第1の問題および第2の問題の発生の防止方法を説明する。
【0105】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100がタップ長調整部104を備える意義を説明するための第2の説明図である。ここで、図9(a)〜図9(d)において示すpは、図7に示す平滑化開始位置pを示しており、また、qは、図7に示す平滑化終了位置qを示している。
【0106】
〔b−1〕平滑フィルタのタップ長調整前の第1の状態(図9(a))
平滑領域内に含まれる画素を平滑化する平滑フィルタとしてTAP1〜TAP3を例に挙げる。ここで、TAP1は、平滑領域内の画素で平滑化開始位置pに位置する画素Aに対応する平滑フィルタであり、TAP3は、平滑領域内の画素で平滑化終了位置qに位置する画素Iに対応する平滑フィルタである。またTAP2は、平滑領域内の中心付近の画素Eに対応する平滑フィルタである。
【0107】
図9(a)は、平滑フィルタのタップ長調整前の状態を示しており、図8(a)と同様の状態である。したがって、図9(a)の状態のまま平滑化を行った場合には、上記第1の問題が発生する。
【0108】
〔b−2〕平滑フィルタのタップ長調整後の第1の状態(図9(b))
図9(b)は、平滑フィルタのタップ長調整後の第1の状態を示している。図9(b)に示すように、画像処理部100は、平滑化開始位置pに位置する画素Aに対応するTAP1について、タップ内にエッジ領域の画素が含まれないようにタップ長を調整する(図9(b)のTAP1’)。また、画像処理部100は、平滑化終了位置qに位置する画素Iに対応するTAP3について、タップ内にエッジ領域の画素が含まれないようにタップ長を調整する(図9(b)のTAP3’)。上記の場合、TAP1’およびTAP3’のタップ長は1となり、実は画素Aおよび画素Iは平滑化されない。
【0109】
〔b−3〕平滑フィルタのタップ長調整前の第2の状態(図9(c))
平滑領域内に含まれる画素を平滑化する平滑フィルタとしてTAP4、TAP5を例に挙げる。ここで、TAP4は、平滑領域内の画素で平滑化開始位置p付近に位置する画素Bに対応する平滑フィルタであり、TAP5は、平滑領域内の画素で平滑化終了位置q付近に位置する画素Hに対応する平滑フィルタである。
【0110】
図9(c)は、平滑フィルタのタップ長調整前の状態を示しており、図8(a)と同様に、タップ内にエッジ領域の画素が含まれる状態である。したがって、図9(c)の状態のまま平滑化を行った場合には、上記第1の問題が発生する。
【0111】
〔b−4〕平滑フィルタのタップ長調整後の第2の状態(図9(d))
図9(d)は、平滑フィルタのタップ長調整後の第2の状態を示している。図9(d)に示すように、画像処理部100は、平滑化開始位置p付近に位置する画素Bに対応するTAP4について、タップ内にエッジ領域の画素が含まれないようにタップ長を調整する(図9(d)のTAP4’)。また、画像処理部100は、平滑化終了位置q付近に位置する画素Hに対応するTAP5について、タップ内にエッジ領域の画素が含まれないようにタップ長を調整する(図9(d)のTAP5’)。
【0112】
上記のように平滑化開始位置p〜平滑化終了位置q内の各画素について、タップ内にエッジ領域の画素が含まれないように平滑領域内の平滑フィルタのタップ長を調整することによって、画像処理部100は、平滑領域内全体、すなわち、判定されたグラデーション領域全体に対して平滑化を行うことができる。さらに、エッジ領域の画素に対応する画素データを平滑化に用いないので、画像処理部100は、エッジ領域の影響を受けずに平滑化を行うことができる。したがって、第1の実施形態に係る表示装置1000では、上記第1の問題および第2の問題は生じないため、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、平滑化による画質の低下も生じない。
【0113】
したがって、画像処理部100がタップ長調整部104を備える意義は、平滑フィルタのタップ長を調整することによって、例えば上記第1の問題および第2の問題を生じさせないことにある。
【0114】
〔タップ長調整の他の例〕
なお、図9(b)や図9(d)では、TAP1’、TAP3’、TAP4’、TAP5’に示すように、タップ長調整部104が平滑フィルタの中心(例えば、平滑化を行う画素の位置)から対称となるようにタップ長を調整する例を示したが、上記に限られない。
【0115】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100のタップ長調整部104におけるタップ長調整の他の一例を示す説明図である。ここで、図10(a)は、図9(a)と同様に平滑フィルタ(TAP1〜TAP3)のタップ長調整前の状態を示しており、また、図10(b)は、平滑フィルタのタップ長調整後の状態を示している。
【0116】
図10(b)に示すように、タップ長調整部104は、平滑化開始位置pに位置する画素Aに対応するTAP1について、タップ内にエッジ領域の画素が含まれないように、平滑フィルタの中心から非対称にタップ長を調整する(図10(b)のTAP1’’)。同様に、タップ長調整部104は、平滑化開始位置qに位置する画素Iに対応するTAP3について、タップ内にエッジ領域の画素が含まれないように、平滑フィルタの中心から非対称にタップ長を調整する(図10(b)のTAP3’’)。
【0117】
上記のように、タップ長調整部104が平滑フィルタの中心から非対称にタップ長を調整することによって、平滑化に用いる画素データ数を増やすことができる。ここで、タップ長調整部104は、例えば、平滑フィルタ内の画素データの平均値を算出することによって平滑化を行う。したがって、タップ長調整部104は、平滑領域内、すなわち、判定されたグラデーション領域内の平滑化の精度を高めることができる。
【0118】
また、タップ長調整部104は、タップ長を対称/非対称に調整することに限られず、さらに、タップ長の調整量に応じて各平滑フィルタのフィルタ係数を変化させることもできる。フィルタ係数を変化させることによって、タップ長調整部104は、調整後のタップ長に応じた平滑化をさらに細かに行うことができる。
【0119】
ここで、タップ長調整部104は、例えば、タップ長の調整量と、タップ長の調整量とフィルタ係数とが対応付けられたルックアップテーブル(Look Up Table)とに基づいて、上記フィルタ係数を一意に決定することができる。また、タップ長の調整量とフィルタ係数とが対応付けられたルックアップテーブルは、例えば、タップ長調整部104が備える記憶手段に保持することができる。タップ長調整部104が備える記憶手段としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、上記ルックアップテーブルは、例えば、表示装置1000の記憶部(図示せず)に記憶され、タップ長調整部104が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
【0120】
〔階調数拡張部106〕
再度図2を参照して、画像処理部100の構成要素について説明する。階調数拡張部106は、調整信号に応じてタップ長が可変する平滑フィルタを備え、制御信号生成部112から出力される制御信号Dcに基づいて以下の〔a〕、〔b〕の処理を行うことによって、N+kビットの出力画像信号Doを出力する。
【0121】
〔a〕制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」の場合
階調数拡張部106は、入力画像信号Diの平滑化演算をN+kビットの精度で行い、平滑化されたN+kビットの出力画像信号Doを出力する。ここで、上記平滑化は、調整信号に応じてタップ長が調整された平滑フィルタを用いて行われる。
【0122】
〔b〕制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域を示す「0」の場合
階調数拡張部106は、平滑化を行わず、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加したN+kビットの出力画像信号Doを出力する。
【0123】
上記〔a〕、〔b〕に示すように、階調数拡張部106は、制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」である場合に平滑化を行い、また、制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域(すなわち、エッジ領域またはテクスチャ領域)を示す「0」である場合には平滑化を行わないことによって、入力画像信号Doを選択的に平滑化することができる。
【0124】
また、階調数拡張部106は、平滑フィルタとして、例えば、遮断周波数より大きな周波数の画像信号を減衰させるローパス・フィルタ(図示せず)を用いることができるが、上記に限られない。例えば、階調数拡張部106は、εフィルタ(ε-Filter)やバイラテラル・フィルタ(Bilateral Filter)などを平滑フィルタとして用いることもできる。上記フィルタは、微小な画像の変化だけを平滑化し、大きな画像の変化は平滑化しないという特徴を有することが知られている。これらを用いることにより、たとえ、領域の判定結果が誤った場合であっても、エッジ領域の劣化を最小限に抑制させることができる。
【0125】
階調数拡張部106は、上記構成によって、タップ長調整部104から出力される調整信号Dtpに応じて平滑フィルタのタップ長を調整し、また、平滑領域検出部102から出力される制御信号Dcに基づいてNビットの入力画像信号Diに対する平滑化を選択的に行って、N+kビットの出力画像信号Doを出力することができる。
【0126】
〔画像処理部100における各信号〕
第1の実施形態に係る画像処理部100は、上述した構成によって、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に基づいて選択的に平滑化を行ってN+kビットの出力画像信号Doを出力することができる。ここで、画像処理部100における上述した各信号をグラデーション領域、テクスチャ領域、エッジ領域それぞれについて示す。
【0127】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100における各信号の一例を示す説明図である。ここで、図11(a)は入力画像信号Diを示し、図11(b)は、BPF出力Dbpfを示している。同様に、図11(c)〜図11(f)は、周波数成分検出値Df、平均検出値Dave、制御信号Dc、出力画像信号Doをそれぞれ示している。
【0128】
〔A〕グラデーション領域(図11(1))
(A−1)図11(a)
入力画像信号Diとして、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる。
【0129】
(A−2)図11(b)
バンドパス・フィルタ114から出力されるBPF出力Dbpfの振幅は小さく、検出される頻度も低い。
【0130】
(A−3)図11(c)
BPF出力Dbpfは、絶対値変換部116において絶対値に変換され、周波数成分検出値Dfが出力される。周波数成分検出値Dfの値は小さく、検出される頻度も低い。
【0131】
(A−4)図11(d)
検出値平滑部110において、対応する画素ごとに平滑領域における周波数成分検出値Dfの平均値が算出され、平均検出値Daveが出力される。また、平均検出値Daveの値は、閾値THよりも小さな値となる。
【0132】
(A−5)図11(e)
制御信号生成部112において閾値処理が行われることによって、制御信号Dcが出力される。図11(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さいため、制御信号Dcは、グラデーション領域を表す「1」を示す。
【0133】
(A−6)図11(f)
図11(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、階調数拡張部106は、平滑化されたN+kビットの出力画像信号Doを出力する。ここで、出力画像信号Doは、N+kビットの精度を有するので、Nビットの入力画像信号Diよりも画像の変化が滑らかとなる。
【0134】
図11に示すように、グラデーション領域では、平滑化されたN+kビットの出力画像信号Doが出力されるので、グラデーション領域の変化がより滑らかになる。
【0135】
〔B〕テクスチャ領域(図11(2))
(B−1)図11(a)
入力画像信号Diとして、1階調ずつ変化しながら凹凸を形成するテクスチャ領域を例に挙げる。
【0136】
(B−2)図11(b)
図11(1)のグラデーション領域と比較して、バンドパス・フィルタ114から出力されるBPF出力Dbpfの振幅は同程度であるが、検出される頻度は高い。
【0137】
(B−3)図11(c)
BPF出力Dbpfは、絶対値変換部116において絶対値に変換され、周波数成分検出値Dfが出力される。図11(1)のグラデーション領域と比較して、周波数成分検出値Dfの値は同程度であるが、検出される頻度は高い。
【0138】
(B−4)図11(d)
検出値平滑部110において、対応する画素ごとに平滑領域における周波数成分検出値Dfの平均値が算出され、平均検出値Daveが出力される。また、平均検出値Daveの値は、閾値THよりも比較的大きな値となる。
【0139】
(B−5)図11(e)
制御信号生成部112において閾値処理が行われることによって、制御信号Dcが出力される。図11(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより大きいため、制御信号Dcは、グラデーション領域以外の領域を表す「0」を示す。
【0140】
(B−6)図11(f)
図11(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域を示す「0」であるため、階調数拡張部106は、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した出力画像信号Doを出力する。
【0141】
図11に示すように、テクスチャ領域では、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した出力画像信号Doが出力されるので、凹凸の変化を損なうことがなくなる。したがって、画像のぼやけを防止することができる。
【0142】
〔C〕エッジ領域(図11(3))
(C−1)図11(a)
入力画像信号Diとして、急峻に変化するエッジ領域を例に挙げる。
【0143】
(C−2)図11(b)
バンドパス・フィルタ114から出力されるBPF出力Dbpfは、振幅の大きさに幅がある。
【0144】
(C−3)図11(c)
BPF出力Dbpfは、絶対値変換部116において絶対値に変換され、周波数成分検出値Dfが出力される。図11(1)のグラデーション領域、図11(2)のテクスチャ領域と比較して、周波数成分検出値Dfの値は非常に大きくなる。
【0145】
(C−4)図11(d)
検出値平滑部110において、対応する画素ごとに平滑領域における周波数成分検出値Dfの平均値が算出され、平均検出値Daveが出力される。また、平均検出値Daveの値は、エッジの近傍において閾値THよりも十分に大きな値となる。
【0146】
(C−5)図11(e)
制御信号生成部112において閾値処理が行われることによって、制御信号Dcが出力される。エッジ近傍の領域では図11(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより大きいため、制御信号Dcはグラデーション領域以外の領域を表す「0」を示す。また、エッジ近傍から遠い領域では、図11(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さくなるため制御信号Dcはグラデーション領域を表す「1」を示す。
【0147】
(C−6)図11(f)
エッジ近傍の領域では、図11(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域以外の領域を示す「0」であるため、階調数拡張部106は、入力画像信号Diの下位にkビットの固定値を付加してN+kビットに変換した出力画像信号Doを出力する。また、エッジ近傍から遠い領域では、図11(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、階調数拡張部106は、平滑化されたN+kビットの出力画像信号Doを出力する。出力画像信号Doは、N+kビットの精度を有するので、Nビットの入力画像信号Diよりも画像の変化が滑らかとなるが、エッジの急峻さは鈍る。
【0148】
図11に示すように、エッジ領域では、エッジ近傍では画像は平滑化されず、エッジ近傍以外の変化の小さい領域では画像が平滑化されてより滑らかになる。
【0149】
画像処理部100は、入力される入力画像信号Diに基づいて、図11に示すように、グラデーション領域、テクスチャ領域、エッジ領域それぞれについて、画質の劣化が生じないように適した出力画像信号Doを出力することができる。
【0150】
〔画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号〕
次に、図11の比較例として、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合、すなわち、周波数成分検出値Dfに対して閾値処理を行う場合における信号を、〔I〕閾値THが大きい場合、〔II〕閾値が小さい場合それぞれについて示す。
【0151】
〔I〕閾値THが大きい場合
図12は、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号の第1の例を示す説明図である。ここで、図12(a)は周波数成分検出値Dfを示し、図12(b)は制御信号Dcを示している。
【0152】
図12(a)を参照すると、上述したように周波数成分検出値Dfは、グラデーション領域、テクスチャ領域ともに同程度の小さな値となる。ここで、図12(a)に示すように、グラデーション領域の周波数成分検出値Dfが閾値THを下回るよう、閾値THをやや大きく設定した場合、テクスチャ領域でも周波数成分検出値Dfが閾値THを下回る可能性が高い。このとき、図12(b)に示すように、グラデーション領域とテクスチャ領域のいずれの場合も、制御信号Dcは、グラデーション領域を示す「1」を示す。
【0153】
したがって、階調数拡張部106は、グラデーション領域とテクスチャ領域のいずれの領域に対しても平滑化されたN+kビットの出力画像信号Doを出力する。上記の場合には、テクスチャ領域に対しても平滑化された出力画像信号Doが出力されるため、テクスチャ領域の凹凸の変化が損なわれる、すなわち画像がぼやけるという問題が生ずる。
【0154】
また、エッジ領域では、エッジ近傍で周波数成分検出値Dfが閾値THよりも十分大きくなる。したがって、制御信号Dcはエッジ近傍のみグラデーション領域以外の領域を示す「0」となるため、エッジ近傍では平滑化されず、エッジ以外のグラデーション領域は滑らかに変換される。つまり、エッジ領域では特に問題は生じない。
【0155】
〔II〕閾値THが小さい場合
図13は、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号の第2の例を示す説明図である。ここで、図13(a)は周波数成分検出値Dfを示し、図13(b)は制御信号Dcを示している。
【0156】
図13(a)に示すように、グラデーション領域の周波数成分検出値Dfが閾値THを上回るよう、閾値THをやや小さく設定した場合、グラデーション領域でも周波数成分検出値Dfが閾値THを上回る箇所が出てくる。ここで、周波数成分検出値Dfが閾値THを上回る箇所とは、入力画像信号Diが変化している箇所を意味するが、図13(b)に示すように制御信号Dcは、グラデーション領域以外の領域を示す「0」となる。したがって、入力画像信号Diが変化している箇所では平滑化されず、図11(1)に示すようなグラデーション領域の階段状の変化を滑らかにすることができないという問題が生ずる。
【0157】
また、エッジ領域では、エッジ近傍以外のグラデーション領域についても制御信号Dcは、グラデーション領域以外の領域を示す「0」となるので、上記グラデーション領域と同様の問題が生じる。
【0158】
図12、図13に示すように、画像処理部が検出値平滑部を備えない場合には、グラデーション領域、テクスチャ領域、エッジ領域それぞれについて問題が生じる。
【0159】
これに対して、本発明の第1の実施形態に係る画像処理部100は、検出値平滑部110を備えて検出値平滑処理を行うことによって、グラデーション領域と、グラデーション領域以外の領域(テクスチャ領域およびエッジ領域)を区別することができる。特に、画像処理部100は、テクスチャ領域とグラデーション領域を的確に判別できるため、誤ってテクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を防止することができる。
【0160】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る表示装置1000は、Nビットの入力画像信号DiをN+kビットの出力画像信号Doに補正する画像処理部100と、N+kビットの階調性能を有する表示部190とを備える。画像処理部100は、平滑領域検出部102とタップ長調整部104と階調数拡張部106とを備える。平滑領域検出部102は、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定して制御信号Dcを出力し、タップ長調整部104は、制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに出力する。そして、階調数拡張部106は、調整信号Dtpに応じて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Diの平滑化を選択的に行ってN+kビットの出力画像信号Doを出力する。したがって、表示装置1000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して表示することができる。
【0161】
また、表示装置1000は、グラデーション領域を判定して選択的にグラデーション領域をより滑らかに補正するため、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。また、表示装置1000は、エッジ領域やテクスチャ領域では入力画像信号Diを平滑化しないため、出力画像信号Doが示す画像は鮮鋭感を損なわない。
【0162】
また、一般的に、階調性能が不足する場合には、視覚的には、グラデーション領域では等高線状に偽輪郭が生じるなどの画質劣化がユーザにより視認され、エッジ領域やテクスチャ領域では画質劣化が目立ちにくい。表示装置1000は、選択的にグラデーション領域の階調性能を向上させるので、視覚的には画像全体に階調性能が向上したのと同様な効果を得ることができる。
【0163】
また、表示装置1000は、所定の周波数帯域の信号(BPF出力Dbpf)を検出し、所定の平滑領域で検出値を平滑した結果に基づいて閾値処理を行う。したがって、表示装置1000は、テクスチャ領域とグラデーション領域を的確に判別することができるので、誤ってテクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を防止することができる。
【0164】
さらに、表示装置1000は、グラデーション領域の判定結果に応じた制御信号Dcに基づいて平滑化を行う平滑化フィルタのタップ長を平滑化を行う平滑化領域(グラデーション領域に対応する。)に合わせて調整することができる。したがって、表示装置1000では上述した第1の問題および第2の問題が生じないので、表示装置1000は、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、また平滑化による画質の低下も生じさせない。
【0165】
[表示装置1000の変形例]
〔第1の変形例〕
上記では、第1の実施形態に係る表示装置1000として、図3に示すように周波数成分検出部108が一つのバンドパス・フィルタ114を備えることにより周波数成分検出値Dfを出力する構成を示した。しかしながら、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部は、図3の構成に限られず、複数のバンドパス・フィルタを備える構成とすることもできる。
【0166】
図14は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る周波数成分検出部を示すブロック図である。なお、図14では、バンドパス・フィルタを2つ備える構成を例を示しているが、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部の変形例が、2つのバンドパス・フィルタを備える構成に限られないことは、言うまでもない。
【0167】
図14を参照すると、第1の変形例に係る周波数成分検出部は、第1のバンドパス・フィルタ114a、第1の係数乗算部118a、および第1の絶対値変換部116aと、第2のバンドパス・フィルタ114b、第2の係数乗算部118b、および第2の絶対値変換部116bと、最大値選択部120とを備える。
【0168】
第1のバンドパス・フィルタ114aには、入力画像信号Diが入力され、周波数f1をピークとする周波数特性に基づいてBPF出力Dbpf1を出力する。
【0169】
第1の係数乗算部118aは、BPF出力Dbpf1に所定の係数K1を乗算し、重み付けがなされたBPF出力Dk1を出力する。ここで、第1の係数乗算部118aが乗算に用いる係数K1の情報は、例えば、画像処理部100が備える記憶手段に記憶され、当該記憶手段から入力されるが、上記に限られない。例えば、係数K1の情報は、第1の係数乗算部118aが記憶手段を備えて保持することができ、また、表示装置の記憶部(図示せず)に記憶され、第1の係数乗算部118aが当該記憶部(図示せず)から適宜読み出すこともできる。
【0170】
第1の絶対値変換部116aは、重み付けがなされたBPF出力Dk1の絶対値を算出して第1周波数成分検出値Df1を出力する。
【0171】
また、第2のバンドパス・フィルタ114bには、入力画像信号Diが入力され、周波数f2をピークとする周波数特性に基づいてBPF出力Dbpf2を出力する。第2の係数乗算部118bは、BPF出力Dbpf2に所定の係数K2を乗算し、重み付けがなされたBPF出力Dk2を出力し、第2の絶対値変換部116bは、重み付けがなされたBPF出力Dk2の絶対値を算出して第2周波数成分検出値Df2を出力する。ここで、第2の係数乗算部118bが乗算に用いる係数K2の情報は、第1の係数乗算部118aが乗算に用いる係数K1と同様に、例えば、画像処理部100が備える記憶手段に記憶されて当該記憶手段から入力されるが、上記に限られない。
【0172】
最大値選択部120は、対応する画素ごとに周波数成分検出値Df1、Df2のうち大きい方の値を選択して、周波数成分検出値Dfとして出力する。
【0173】
ここで、第1の変形例に係る周波数成分検出部が図14の構成をとる意義について説明する。図15は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る周波数成分検出部を説明するための説明図である。図15では、係数K1=1、係数K2=0.5に設定した場合の例を示しているが、係数K1、K2の値は、上記に限られない。
【0174】
図15に示すFBは、テクスチャ領域に多く含まれる主な周波数成分の帯域であり、テクスチャ領域の主な周波数成分が周波数f1となるように、第1のバンドパス・フィルタ114aを設定する。ここで、第1のバンドパス・フィルタ114aは周波数f1をピークとする特性を持つが、第1のバンドパス・フィルタ114aだけでは周波数帯域FBの範囲をすべてカバーすることができない。例えば、テクスチャ領域が周波数f2付近の成分を多く含む場合には、BPF出力Dbpf1がほとんど0(ゼロ)に近い値をとり、周波数成分検出値Dfもほとんど0(ゼロ)となるので、テクスチャ領域がグラデーション領域として誤検出される恐れがある。
【0175】
図15に示すDk1は、BPF出力Dbpf1に係数K1=1を乗じた特性を示し、Dk2はBPF出力Dbpf2に係数K2=0.5を乗じた特性を示している。Dk1とDk2を絶対値に変換した第1周波数成分検出値Df1および第2周波数成分検出値Df2の最大値を選択することによって、周波数f1付近では第1周波数成分検出値Df1が選択され、周波数f2付近では第2周波数成分検出値Df2が選択される。
【0176】
したがって、図15に示すように周波数特性の異なる複数のバンドパス・フィルタを用いることによって、帯域FB全体をカバーすることができる。
【0177】
本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る表示装置は、周波数成分検出部の構成が、図3に示す周波数成分検出部108と異なるが、入力画像信号Diに基づいて周波数成分検出値Dfを出力することができる。また、第1の変形例に係る表示装置のその他の構成は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様である。したがって、第1の変形例に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の効果を奏することができる。
【0178】
〔第2の変形例〕
また、本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部は、図3、図14に示す構成に限られない。図16は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る周波数成分検出部を示すブロック図である。
【0179】
図16を参照すると、第2の変形例に係る周波数成分検出部は、基本的に図14に示す第1の変形例に係る周波数成分検出部と同様の構成を有するが、図14の最大値選択部120が加算部122に置き換わっている。
【0180】
加算部122は、対応する画素ごとに第1周波数成分検出値Df1および第2周波数成分検出値Df2を加算して周波数成分検出値Df(=Df1+Df2)を出力する。このとき、周波数f1付近では周波数成分検出値Dfに対する第1周波数成分検出値Df1の割合が高く、また、周波数f2付近では周波数成分検出値Dfに対する第2周波数成分検出値Df2の割合が高くなる。したがって、上記の場合であっても図15に示す帯域FB全体にわたって良好に周波数成分検出値Dfを出力することができる。
【0181】
本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る表示装置は、周波数成分検出部の構成が、図3に示す周波数成分検出部108と異なるが、図14に示す第1の変形例に係る周波数成分検出部と同様に、入力画像信号Diに基づいて周波数成分検出値Dfを出力することができる。また、第2の変形例に係る表示装置のその他の構成は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様である。したがって、第2の変形例に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の効果を奏することができる。
【0182】
〔第3の変形例〕
上記では、第1の実施形態、および第1、第2の変形例に係る表示装置として水平方向の処理を例に挙げて説明したが、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の画像処理部が行う処理は、水平方向の処理に限られない。そこで、次に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置として、画像処理部が水平方向、垂直方向に順次に処理を行う構成について説明する。
【0183】
図17は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置1500を示すブロック図である。図17を参照すると、表示装置1500は、画像処理部150と、表示部190を備える。ここで、表示部190は、図1に示す表示部190と同様の構成をとり、N+kビットの階調性能を有する。
【0184】
画像処理部150は、水平平滑領域検出部102hと、タップ長調整部104hと、水平階調数拡張部106hと、垂直平滑領域検出部102vと、タップ長調整部104vと、垂直階調数拡張部106vとを備える。
【0185】
水平平滑領域検出部102hは、入力された入力画像信号Diに基づいて、水平方向のグラデーション領域であるか否かを示す水平制御信号Dhcを画素ごとに出力する。ここで、水平平滑領域検出部102hは、例えば、図2に示す平滑領域検出部102と同様の構成をとることによって、水平制御信号Dhcを出力することができる。
【0186】
タップ長調整部104hは、水平平滑領域検出部102hから出力される水平制御信号Dhcに基づいて、調整信号Dtpを画素ごとに出力する。ここで、タップ長調整部104hは、図1に示すタップ長調整部104と同様の構成をとることによって、調整信号Dtpを出力することができる。
【0187】
水平階調数拡張部106hは、調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、水平制御信号Dhcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に水平方向に画像を平滑化してN+kビットの画像信号Dhoを出力する。ここで、画像信号Dhoは、水平方向には階調性能が向上しているが、垂直方向には階調性能は向上しておらず、入力画像信号Diと同等である。また、水平階調数拡張部106hは、例えば、図1に示す階調数拡張部106と同様の構成をとることによって、画像信号Dhoを出力することができる。
【0188】
垂直平滑領域検出部102vは、入力された画像信号Dhoに基づいて、垂直方向のグラデーション領域であるか否かを示す垂直制御信号Dvcを画素ごとに出力する。ここで、垂直平滑領域検出部102vは、例えば、図2に示す平滑領域検出部102と同様の構成をとることによって、垂直制御信号Dvcを出力することができる。
【0189】
タップ長調整部104vは、水平平滑領域検出部102vから出力される水平制御信号Dvcに基づいて、調整信号Dtpを画素ごとに出力する。ここで、タップ長調整部104vは、図1に示すタップ長調整部104と同様の構成をとることによって、調整信号Dtpを出力することができる。
【0190】
垂直階調数拡張部106vは、調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、垂直制御信号Dvcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に垂直方向に画像を平滑化してN+kビットの出力画像信号Doを出力する。ここで、出力画像信号Doは、水平方向に加えて、垂直方向の階調性能も向上している。また、垂直階調数拡張部106vは、例えば、図1に示す階調数拡張部106と同様の構成をとることによって、出力画像信号Doを出力することができる。
【0191】
図17に示すように、水平方向の処理と垂直方向の処理とを順次実行することによって、第3の変形例に係る表示装置1500は、水平方向、垂直方向の両方について、テクスチャ領域やエッジ領域の鮮鋭度を損なうことなく、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。
【0192】
また、第3の変形例に係る表示装置1500は、水平方向の処理、垂直方向の処理それぞれを第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に行うことができるので、上述した第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の効果を奏することができる。
【0193】
なお、上記では、第3の変形例に係る表示装置1500として、画像処理部150が水平方向の処理と垂直方向の処理とを順次実行する構成を示したが、本発明の第1の実施形態に係る表示装置は、上記に限られない。例えば、第1の実施形態に係る表示装置は、水平方向と垂直方向とを2次元処理で一括に実行することもできる。かかる構成であっても、第3の変形例に係る表示装置と同様に、水平方向、垂直方向の両方について、テクスチャ領域やエッジ領域の鮮鋭度を損なうことなく、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。
【0194】
また、第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置は、図17に示すタップ長調整部104hとタップ長調整部104vとを一体の部で構成することもできる。
【0195】
(第1の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第1の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第1の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
【0196】
(第1の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
本発明の第1の実施形態に係る表示装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0197】
[画像処理装置に係るプログラム]
本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0198】
(第1の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第1の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図18は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図18に示す画像処理方法を表示装置1000が行うとして説明するが、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置に適用することができることは、言うまでもない。
【0199】
表示装置1000は、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S100)。ステップS100の検出は、例えば、1または複数のバンドパス・フィルタを用いて行うことができる。
【0200】
表示装置1000は、ステップS100において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S102)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S104)。
【0201】
表示装置1000は、ステップS104において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S106)。表示装置1000は、例えば、タップ長を規定する信号、タップ長の調整量を規定する信号を調整信号Dtpとして生成することができるが、上記に限られない。
【0202】
表示装置1000は、ステップS106において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS104において生成された制御信号Dcに基づいて、入力画像信号Diを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(出力画像信号Do)を出力する(S108)。
【0203】
図18に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置1000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0204】
(第2の実施形態)
上記では、第1の実施形態に係る表示装置として、画像処理部100の平滑領域検出部102が周波数成分検出部108、検出値平滑部110、および制御信号生成部112を備えることによって、制御信号Dcを出力する構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置の画像処理部の構成は、上記に限られない。そこで、次に、第2の実施形態に係る表示装置として、制御信号Dcの生成手段が第1の実施形態に係る画像処理部100と異なる画像処理部を備える構成について説明する。
【0205】
図19は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置2000を示すブロック図である。図19を参照すると、表示装置2000は、画像処理部200と表示部190とを備える。
【0206】
画像処理部200は、平滑領域検出部202と、タップ長調整部104と、階調数拡張部106とを備え、入力されたNビットの入力画像信号DiをN+kビットの出力画像信号Doに変換して出力する。
【0207】
また、表示部190は、図1に示す第1の実施形態に係る表示部190と同様にN+kビットの階調性能を有し、N+kビットの出力画像信号Doに基づいて画像を表示する。以下、画像処理部200の構成について、具体的に説明する。
【0208】
[画像処理部200の構成例]
図20は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理部200を示すブロック図である。図20を参照すると、画像処理部200は、平滑領域検出部202と、タップ長調整部104と、階調数拡張部106とを備える。
【0209】
〔平滑領域検出部202〕
平滑領域検出部202は、画素間差分値検出部204と、平滑領域判定部206とを備える。
【0210】
画素間差分値検出部204は、入力画像信号Diに基づいて、画素間の差分値Ddをそれぞれ検出する。図21は、本発明の第2の実施形態に係る画素間差分値検出部204における差分値Ddの検出方法を説明する説明図である。
【0211】
図21に示すように、画素間差分値検出部204は、例えば、隣接する2つの画素について一の画素に対応する入力画像信号Diから、他の画素に対応する入力画像信号Diを減算することによって差分値Ddを検出することができる。なお、本発明の第2の実施形態に係る画素間差分値検出部における差分値Ddの検出方法は、上記に限られない。
【0212】
また、画素間差分値検出部204は、例えば、水平方向に配置された画素に対応する入力画像信号Diから差分値Ddを検出することができるが、上記に限られない。例えば、画素間差分値検出部204は、垂直方向あるいは斜め方向など様々な方向に配置された画素に対応する入力画像信号Diを用いて差分値Ddを検出することができる。
【0213】
平滑領域判定部206は、画素間差分値検出部204が検出した差分値Ddに基づいて、平滑化を行う平滑領域、すなわちグラデーション領域を判定し、当該判定結果に応じて制御信号Dcを出力する。図22は、本発明の第2の実施形態に係る平滑領域判定部206における制御信号Dcの出力方法を説明する説明図である。
【0214】
平滑領域判定部206は、例えば、差分値Ddの符号を用いて単調増加の領域または単調減少の領域を判定し、単調増加の領域または単調減少の領域が所定の大きさ以上の領域をグラデーション領域と判定する。そして、平滑領域判定部206は、判定結果に応じて制御信号Dcを出力する。
【0215】
平滑領域判定部206は、図22(a)に示すように、例えば、画素間差分値検出部204が検出した差分値Ddにおける同符号の連続数が閾値TH2より大きいときにはグラデーション領域を示す「1」を制御信号Dcとして出力し、差分値Ddにおける同符号の連続数が閾値TH2以下のときにはテクスチャ領域またはエッジ領域、すなわちグラデーション領域以外を示す「0」を制御信号Dcとして出力する。ここで、平滑領域判定部206は、例えば、差分値Ddが「0」の場合には、「0」をグラデーション領域として扱うことができる。より具体的には、平滑領域判定部206は、例えば、単調増加中(差分値Ddの正の符号が連続している場合)における「0」は単調増加として判定し、また、単調減少中(差分値Ddの負の符号が連続している場合)における「0」は単調減少として判定する。また、平滑領域判定部206は、例えば、エッジ領域またはテクスチャ領域(グラデーション領域以外)と判定された後に「0」が連続する場合や、判定開始直後から「0」が連続する場合などには、単調増加または単調減少と判定する(単調増加であるか、または単調減少であるかは、例えば、差分値Ddが「0」から変化したときの差分値Ddの符号によって決定される。)。なお、平滑領域判定部206における差分値Ddの値が「0」の場合の扱いが、上記に限られないことは、言うまでもない。
【0216】
上記のように判定することによって、平滑領域判定部206は、グラデーション領域と、例えば図11(2)に示すような凹凸の数が多いテクスチャ領域とを判別し、判定結果に応じた制御信号Dcを出力することができる。
【0217】
また、平滑領域判定部206は、ノイズなどによる差分値Ddの符号変化によって生じうる誤判定を防止するために、差分値Ddの符号変化の回数を一定数許容して上記判定を行うことができる。例えば、平滑領域判定部206は、図22(b)に示すように、画素間差分値検出部204が検出した差分値Ddにおける符号変化の回数が閾値TH3より小さいときには符号変化を許容する「1」を示す許容判定値を出力し、差分値Ddにおける符号変化の回数が閾値TH3以上のときには符号変化を許容しない「0」を示す許容判定値を出力する。そして、平滑領域判定部206は、許容判定値が「1」を示す場合には、たとえ差分値Ddの符号が変化した場合であっても、符号の変化を無視して同符号が連続したものと取り扱う。したがって、平滑領域判定部206は、ノイズなどによって生じうる誤判定を防止することができる。
【0218】
さらに、平滑領域判定部206は、例えば図11(3)に示すようなエッジ領域がグラデーション領域と判定されることを除外するために、差分値Ddの絶対値が所定の値より小さい差分値Ddをグラデーション領域の判定対象とすることができる。例えば、平滑領域判定部206は、図22(c)に示すように、画素間差分値検出部204が検出した差分値Ddにおける絶対値が閾値TH4より小さいときには差分値Ddの符号による判定を有効とする「0」を示す判定除外値を出力し、差分値Ddにおける絶対値が閾値TH4以上のときには差分値Ddの符号による判定を無効とする「1」を示す判定除外値を出力する。そして、平滑領域判定部206は、たとえ差分値Ddの符号による判定では単調増加や単調減少と判定されるときであっても、判定除外値が「1」を示す場合には、単調増加、単調減少とは判定しない。したがって、平滑領域判定部206は、エッジ領域がグラデーション領域と判定されることを防止することができる。
【0219】
ここで、平滑領域判定部206が用いる閾値TH2〜TH4の情報は、例えば、画像処理部200が備える記憶手段に記憶され、当該記憶手段から平滑領域判定部206に入力される。画像処理部200が備える記憶手段としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。なお、閾値TH2〜TH4の情報は、例えば、平滑領域判定部206が記憶手段を備えて保持することができ、また、表示装置2000の記憶部(図示せず)に記憶され、平滑領域判定部206が当該記憶部(図示せず)から適宜読み出してもよいことは、言うまでもない。
【0220】
平滑領域判定部206は、上記のように差分値Ddの符号や絶対値を用いることによって、グラデーション領域と、グラデーション領域以外の領域(テクスチャ領域およびエッジ領域)を判別し、判別の結果に応じた制御信号Dcを出力することができる。また、平滑領域判定部206は、図22(a)に示す判定と、図22(b)、(c)に示す判定とを適宜組み合わせることによって、例外を許容した上でグラデーション領域と、グラデーション領域以外の領域(テクスチャ領域およびエッジ領域)を判別することができる。
【0221】
平滑領域検出部202は、画素間差分値検出部204と、平滑領域判定部206とを備えることによって、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定することができる。
【0222】
タップ長調整部104は、図1に示す第1の実施形態に係るタップ長調整部104と同様の構成を有し、平滑領域検出部202から出力される制御信号Dcに基づいて、調整信号Dtpを画素ごとに出力する。
【0223】
階調数拡張部106は、図1に示す第1の実施形態に係る階調数拡張部106と同様の構成を有し、調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に入力画像信号Diを平滑化してN+kビットの出力画像信号Doを出力する。
【0224】
画像処理部200は、平滑領域検出部202、タップ長調整部104、および階調数拡張部106とを備えることによって、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定し、判定結果に応じて選択的に平滑化を行いN+kビットの出力画像信号Doを出力することができる。
【0225】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る表示装置2000は、Nビットの入力画像信号DiをN+kビットの出力画像信号Doに補正する画像処理部200と、N+kビットの階調性能を有する表示部190とを備える。画像処理部200は、平滑領域検出部202と、第1の実施形態に係るタップ長調整部104および階調数拡張部106と同様の構成を有するタップ長調整部104および階調数拡張部106とを備える。平滑領域検出部202は入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定して制御信号Dcを出力し、タップ長調整部104は制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに出力する。そして、階調数拡張部106は、調整信号Dtpに応じて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Diの平滑化を選択的に行ってN+kビットの出力画像信号Doを出力する。したがって、表示装置2000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して表示することができる。
【0226】
また、表示装置2000は、グラデーション領域を判定して選択的にグラデーション領域をより滑らかに補正するため、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。また、表示装置2000は、エッジ領域やテクスチャ領域では入力画像信号を平滑化しないため、出力画像信号Doが示す画像は鮮鋭感を損なわない。
【0227】
また、表示装置2000は、選択的にグラデーション領域の階調性能を向上させるので、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、視覚的には画像全体に階調性能が向上したのと同様な効果を得ることができる。
【0228】
さらに、表示装置2000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域の判定結果に応じた制御信号Dcに基づいて平滑化を行う平滑化フィルタのタップ長を平滑化を行う平滑化領域(グラデーション領域に対応)に合わせて調整することができる。したがって、表示装置2000では上述した第1の問題および第2の問題が生じないので、表示装置2000は、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、また平滑化による画質の低下も生じさせない。
【0229】
(第2の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第2の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第2の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
【0230】
(第2の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
本発明の第2の実施形態に係る表示装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0231】
[画像処理装置に係るプログラム]
本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0232】
(第2の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図23は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図23に示す画像処理方法を表示装置2000が行うとして説明するが、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置に適用することができることは、言うまでもない。
【0233】
表示装置2000は、Nビットの入力画像信号Diに基づいて、画素間の差分値Ddを検出する(S200)。そして、表示装置2000は、ステップS200において検出された差分値Ddに基づいてグラデーション領域を判定し、当該判定結果に応じた制御信号Dcを生成する(S202)。表示装置2000は、例えば、差分値Ddの符号と絶対値とを用いてグラデーション領域を判定することができる。
【0234】
表示装置2000は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS202において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S204)。
【0235】
表示装置2000は、図18に示すステップS108と同様に、ステップS204において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS202において生成された制御信号Dcに基づいて、入力画像信号Diを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(出力画像信号Do)を出力する(S206)。
【0236】
図23に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置2000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0237】
(第3の実施形態)
上記では、第1、第2の実施形態に係る表示装置として、モノクロ画像の処理、あるいはカラー画像の複数チャンネルのうちの1チャンネル分の処理を行う構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、上記の構成に限られない。そこで、次に、第3の実施形態に係る表示装置として、カラー画像の複数チャンネルを処理する構成について説明する。なお、以下では、カラー画像の複数チャンネルとして、赤(以下「R」という。)、緑(以下、「G」という。)、青(以下、「B」という。)の画像信号が入力される例を示す。
【0238】
図24は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置3000を示すブロック図である。図24を参照すると、表示装置3000は、画像処理部300と表示部190とを備え、画像処理部300は、平滑領域検出部302と、タップ長調整部104と、階調数拡張部304とを備える。
【0239】
画像処理部300には、NビットのR/G/Bの入力画像信号Ri、Gi、Biがそれぞれ入力され、N+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに変換して出力する。また、表示部190は、図1に示す第1の実施形態に係る表示部190と同様にN+kビットの階調性能を有し、N+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに基づいて画像を表示する。以下、画像処理部300の構成について、具体的に説明する。
【0240】
[画像処理部300の構成例]
図25は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理部300を示すブロック図である。図25を参照すると、画像処理部300は、平滑領域検出部302と、タップ長調整部104と、階調数拡張部304とを備える。
【0241】
〔平滑領域検出部302〕
平滑領域検出部302は、第1の周波数成分検出部108aと、第2の周波数成分検出部108bと、第3の周波数成分検出部108cと、最大値選択部306と、検出値平滑部110と、制御信号生成部112とを備える。また、階調数拡張部304は、第1の階調数拡張部304aと、第2の階調数拡張部304bと、第3の階調数拡張部304cとを備える。
【0242】
第1の周波数成分検出部108aには入力画像信号Riが、第2の周波数成分検出部108bには入力画像信号Giが、そして第3の周波数成分検出部108cには入力画像信号Biがそれぞれ入力される。ここで、第1の周波数成分検出部108a〜第3の周波数成分検出部108cそれぞれは、図2に示す第1の実施形態に係る周波数成分検出部108と同様の構成をとることができる。したがって、第1の周波数成分検出部108aは、入力画像信号Riから所定の周波数成分を検出して周波数成分検出値Rfを出力し、同様に、第2の周波数成分検出部108bは周波数成分検出値Gf、第3の周波数成分検出部108cは周波数成分検出値Bfを出力することができる。
【0243】
最大値選択部306は、周波数成分検出値Rf、GfおよびBfの中から対応する画素ごとに最大値を選択して、最大検出値Dmaxを出力する。
【0244】
検出値平滑部110は、図2に示す第1の実施形態に係る検出値平滑部110と同様に、平滑領域における最大検出値Dmaxの平均値を算出して、平均検出値Daveを出力する。
【0245】
制御信号生成部112は、図2に示す第1の実施形態に係る制御信号生成部112と同様に、平均検出値Daveと閾値THを用いた閾値処理によってグラデーション領域を判定し、判定結果を制御信号Dcとして出力する。
【0246】
〔タップ長調整部104〕
タップ長調整部104は、図1に示す第1の実施形態に係るタップ長調整部104と同様の構成を有し、制御信号生成部112から出力される制御信号Dcに基づいて、調整信号Dtpを画素ごとに出力する。
【0247】
〔階調数拡張部304〕
第1の階調数拡張部304a、第2の階調数拡張部304b、および第3の階調数拡張部304cそれぞれは、図2に示す第1の実施形態に係る階調数拡張部106と同様の構成を有する。したがって、第1の階調数拡張部304aは、調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に入力画像信号Riを平滑化してN+kビットの出力画像信号Doを出力することができる。また同様に、第2の階調数拡張部304b、第3の階調数拡張部304cは、それぞれ出力画像信号Go、Boを出力することができる。
【0248】
上記のように、画像処理部300は、図25の構成によって出力画像信号Ro、Go、Boを出力することができる。
【0249】
次に、画像処理部300が、R/G/Bの周波数成分検出結果の最大値を用いることの意義について説明する。図26は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理部300における各信号の一例を示す説明図である。ここで、図26では、テクスチャ領域における各信号の一例を示している。カラー画像におけるテクスチャ領域では、3色のR/G/B画像信号が同様な頻度で変化するとは限らず、むしろR/G/Bで変化の頻度に差があるのが一般的であるからである。
【0250】
図26(a)〜(c)は、入力画像信号Ri、Gi、Biをそれぞれ示している。また、図26(d)〜(f)は、周波数成分検出値Rf、Gf、Bfをそれぞれ示している。ここで、図26(a)の入力画像信号Riは、比較的凹凸が多いため、図26(d)の周波数成分検出値Rfは比較的高い頻度で検出されている。また、図26(b)、(c)の入力画像信号Gi、Biは変化が少ないため、図26(e)の周波数成分検出値Gfおよび図26(f)の周波数成分検出値Bfの検出の頻度は低い。
【0251】
図26(g)は、最大検出値Dmaxを示している。ここで、画像処理部300は、各画素ごとに周波数成分検出値Rf、Gf、Bfの最大値を選択するので、周波数成分検出値Rf、Gf、Bf単独の場合よりも、最大検出値Dmaxの検出の頻度が高くなる。
【0252】
図26(h)は平均検出値Daveを示し、図26(i)は制御信号Dcを示している。ここで、最大検出値Dmaxの検出の頻度が高いため、平均検出値Daveは閾値THよりも大きな値をとり、制御信号Dcはグラデーション領域以外の領域を示す「0」となる。
【0253】
ここで、仮に周波数成分検出値Rf、Gf、Bfに対して、最大値を選択することなく各色ごとに領域の判別を行うとすると、入力画像信号の変化の少ないGとBについてはグラデーション領域として検出され、画像が平滑化される恐れがある。図26に示す入力画像信号Gi、Biのように変化が少ない画像信号であっても、テクスチャ領域ではそもそも画像信号の変化の幅が小さいため、鮮鋭感への寄与は無視できない。つまり、テクスチャ領域では、変化の少ない入力画像信号が平滑化されることによって、鮮鋭感が損なわれてしまう。画像処理部300は、R/G/Bの周波数成分検出結果の最大値を用いることにより、上記の問題の発生を防止することができる。
【0254】
画像処理部300は、周波数成分検出値Rf、Gf、Bfの最大値(最大検出値Dmax)に対して検出値の平滑化と閾値処理を行うことによって、グラデーション領域をテクスチャ領域と間違えることなく検出することができる。そのため、テクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を抑制することができる。
【0255】
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る表示装置3000は、カラー画像を示す複数チャンネルの入力画像信号Ri、Gi、Bi(それぞれNビットの入力画像信号)を、それぞれN+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに補正する画像処理部300と、N+kビットの階調性能を有する表示部190とを備える。画像処理部300は、平滑領域検出部302と、第1の実施形態に係るタップ長調整部104と同様の構成を有するタップ長調整部104と、階調数拡張部304とを備える。平滑領域検出部302は入力画像信号Ri、Gi、Biに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定して制御信号Dcを出力し、タップ長調整部104は、制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに出力する。そして、階調数拡張部304は、調整信号Dtpに応じて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Ri、Gi、Biそれぞれの平滑化を選択的に行ってN+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boを出力する。したがって、表示装置3000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して表示することができる。
【0256】
また、表示装置3000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域を判定して選択的にグラデーション領域をより滑らかに補正することができるので、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。また、表示装置3000は、エッジ領域やテクスチャ領域では入力画像を補正しないため、出力画像信号Ro、Go、Boが示す画像は鮮鋭感を損なわない。
【0257】
また、表示装置3000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、選択的にグラデーション領域の階調性能を向上させるので、視覚的には画像全体に階調性能が向上したのと同様な効果を得ることができる。
【0258】
また、表示装置3000は、周波数成分検出値Rf、Gf、Bfの最大値(最大検出値Dmax)に対して検出値の平滑化と閾値処理を行うことによって、グラデーション領域をテクスチャ領域と間違えることなく検出することができる。したがって、表示装置3000は、テクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を抑制することができる。
【0259】
さらに、表示装置3000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域の判定結果に応じた制御信号Dcに基づいて平滑化を行う平滑化フィルタのタップ長を平滑化を行う平滑化領域(グラデーション領域に対応)に合わせて調整することができる。したがって、表示装置3000では上述した第1の問題および第2の問題が生じないので、表示装置3000は、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、また平滑化による画質の低下も生じさせない。
【0260】
[表示装置3000の変形例]
第3の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
【0261】
(第3の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第3の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第3の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
【0262】
(第3の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
本発明の第3の実施形態に係る表示装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0263】
[画像処理装置に係るプログラム]
本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0264】
(第3の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図27は、本発明の第3の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図27に示す画像処理方法を表示装置3000が行うとして説明するが、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0265】
表示装置3000は、Nビットの入力画像信号Ri、Gi、Biそれぞれから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S300)。
【0266】
表示装置3000は、ステップS300において検出された検出値(周波数成分検出値Rf、Gf、Bf)に基づいて、画素ごとに最大値を選択する(S302)。
【0267】
表示装置3000は、ステップS302において選択された最大値(最大値Dmax)を平滑化し(S304)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S306)。
【0268】
表示装置3000は、図18のステップS106と同様に、ステップS306において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S308)。
【0269】
表示装置3000は、ステップS308において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS306において生成された制御信号Dcに基づいて、各チャンネルごとの入力画像信号Ri、Gi、Biそれぞれを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(出力画像信号Ro、Go、Bo)を出力する(S310)。
【0270】
図27に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置3000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0271】
(第4の実施形態)
上記では、カラー画像の複数チャンネルを処理する表示装置として、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の方法によってグラデーション領域を判定する(制御信号Dcを生成する)構成(第3の実施形態)を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、上記に限られない。そこで、次に、第4の実施形態に係る表示装置として、第2の実施形態に係る表示装置2000と同様の方法によってグラデーション領域を判定してカラー画像の複数チャンネルを処理する構成について説明する。
【0272】
図28は、本発明の第4の実施形態に係る表示装置4000を示すブロック図である。図28を参照すると、表示装置4000は、画像処理部400と表示部190とを備え、画像処理部400は、平滑領域検出部402と、タップ長調整部104と、階調数拡張部304とを備える。
【0273】
画像処理部400には、NビットのR/G/Bの入力画像信号Ri、Gi、Biがそれぞれ入力され、N+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに変換して出力する。また、表示部190は、図1に示す第1の実施形態に係る表示部190と同様にN+kビットの階調性能を有し、N+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに基づいて画像を表示する。以下、画像処理部400の構成について、具体的に説明する。
【0274】
[画像処理部400の構成例]
図29は、本発明の第4の実施形態に係る画像処理部400を示すブロック図である。図29を参照すると、画像処理部400は、平滑領域検出部402と、タップ長調整部104と、階調数拡張部304とを備える。
【0275】
〔平滑領域検出部402〕
平滑領域検出部402は、第1の画素間差分値検出部204aと、第2の画素間差分値検出部204bと、第3の画素間差分値検出部204cと、第1の平滑領域判定部206aと、第2の平滑領域判定部206bと、第3の平滑領域判定部206cと、論理積演算部404とを備える。
【0276】
第1の画素間差分値検出部204aには入力画像信号Riが、第2の画素間差分値検出部204bには入力画像信号Giが、そして第3の画素間差分値検出部204cには入力画像信号Biがそれぞれ入力される。ここで、第1の画素間差分値検出部204a〜第3の画素間差分値検出部204cそれぞれは、図20に示す第2の実施形態に係る画素間差分値検出部204と同様の構成をとることができる。したがって、第1の画素間差分値検出部204aは、入力画像信号Riに基づいて差分値Dd1を出力し、同様に、第2の画素間差分値検出部204bは差分値Dd2、第3の画素間差分値検出部204cは差分値Dd3を出力することができる。
【0277】
第1の平滑領域判定部206aには差分値Dd1が、第2の平滑領域判定部206bには差分値Dd2が、そして第3の平滑領域判定部206cには差分値Dd3がそれぞれ入力される。ここで、第1の平滑領域判定部206a〜第3の平滑領域判定部206cは、図20に示す第2の実施形態に係る平滑領域判定部206と同様の構成をとることができる。したがって、第1の平滑領域判定部206aは、差分値Dd1に基づいて制御信号Dc1(判定信号)を出力し、同様に、第2の平滑領域判定部206bは制御信号Dc2(判定信号)、第3の平滑領域判定部206cは制御信号Dc3(判定信号)を出力することができる。
【0278】
論理積演算部404は、第1の平滑領域判定部206a〜第3の平滑領域判定部206cから出力された制御信号Dc1〜Dc3が入力され、画素ごとに論理積演算を行う。そして論理積演算部404は、演算結果を制御信号Dcとして出力する。したがって、論理積演算部404は、制御信号Dc1〜Dc3の全てがグラデーション領域を示す「1」である場合には、「1」を示す制御信号Dcを出力する。つまり、論理積演算部404は、画像処理部400における制御信号出力部としての役目を果たす。
【0279】
ここで、論理積演算部404は、例えば、論理積回路で構成することができるが、上記に限られず、MPUで構成することもできる。また、画像処理部400は、論理積演算部404を備えることによって、第3の実施形態に係る画像処理部300が最大値選択部306を備えることと同様の効果を奏することができる。
【0280】
〔タップ長調整部104〕
タップ長調整部104は、図1に示す第1の実施形態に係るタップ長調整部104と同様の構成を有し、論理積演算部404から出力される制御信号Dcに基づいて、調整信号Dtpを画素ごとに出力する。
【0281】
〔階調数拡張部304〕
階調数拡張部304は、図25に示す第3の実施形態に係る階調数拡張部304と同様の構成を有する。したがって、第1の階調数拡張部304aは、調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に入力画像信号Riを平滑化してN+kビットの出力画像信号Doを出力することができる。また、同様に、第2の階調数拡張部304b、第3の階調数拡張部304cは、それぞれ出力画像信号Go、Boを出力することができる。
【0282】
上記のように、画像処理部400は、図29の構成によって、出力画像信号Ro、Go、Boを出力することができる。
【0283】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る表示装置4000は、カラー画像を示す複数チャンネルの入力画像信号Ri、Gi、Bi(それぞれNビットの入力画像信号)を、それぞれN+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boに補正する画像処理部400と、N+kビットの階調性能を有する表示部190とを備える。画像処理部400は、平滑領域検出部402と、第1の実施形態に係るタップ長調整部104と同様の構成を有するタップ長調整部104と、第2の実施形態に係る階調数拡張部304と同様の構成を有する階調数拡張部304とを備える。平滑領域検出部402は、第2の実施形態に係る平滑領域検出部202と同様に差分値を用いることによって、入力画像信号Ri、Gi、Biに基づいてグラデーション領域を画素ごとに判定して制御信号Dcを出力する。タップ長調整部104は、制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに出力する。そして、階調数拡張部304は、調整信号Dtpに応じて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて入力画像信号Ri、Gi、Biそれぞれの平滑化を選択的に行ってN+kビットの出力画像信号Ro、Go、Boを出力する。したがって、表示装置4000は、第2の実施形態に係る表示装置2000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換して表示することができる。
【0284】
また、表示装置4000は、第2の実施形態に係る表示装置2000と同様に、グラデーション領域を判定して選択的にグラデーション領域をより滑らかに補正することができるので、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。また、表示装置4000は、エッジ領域やテクスチャ領域では入力画像を補正しないため、出力画像信号Ro、Go、Boが示す画像は鮮鋭感を損なわない。
【0285】
また、表示装置4000は、第2の実施形態に係る表示装置2000と同様に、選択的にグラデーション領域の階調性能を向上させるので、視覚的には画像全体に階調性能が向上したのと同様な効果を得ることができる。
【0286】
また、表示装置4000は、各チャンネルの入力画像信号に基づく判定信号(図29の制御信号Dc1〜Dc3)の論理積を制御信号Dcとする。したがって、表示装置4000は、第3の実施形態に係る表示装置3000と同様に、グラデーション領域をテクスチャ領域と間違えることなく検出することができる。したがって、表示装置4000は、テクスチャ領域を平滑化することによる鮮鋭度の低下という画質劣化を抑制することができる。
【0287】
さらに、表示装置4000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域の判定結果に応じた制御信号Dcに基づいて平滑化を行う平滑化フィルタのタップ長を平滑化を行う平滑化領域(グラデーション領域に対応)に合わせて調整することができる。したがって、表示装置4000では上述した第1の問題および第2の問題が生じないので、表示装置4000は、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、また平滑化による画質の低下も生じさせない。
【0288】
[表示装置4000の変形例]
第4の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
【0289】
(第4の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第4の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第4の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
【0290】
(第4の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
本発明の第4の実施形態に係る表示装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0291】
[画像処理装置に係るプログラム]
本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0292】
(第4の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第4の実施形態に係る画像処理方法について説明する。図30は、本発明の第4の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、図30に示す画像処理方法を表示装置4000が行うとして説明するが、本発明の第4の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0293】
表示装置4000は、Nビットの入力画像信号Ri、Gi、Biそれぞれに基づいて、入力画像信号ごとに画素間の差分値Ddを検出する(S400)。そして、表示装置4000は、ステップS400において検出された入力画像信号ごとの差分値Ddに基づいてグラデーション領域を判定し、入力画像信号ごとに判定結果に応じた判定信号(図29の制御信号Dc1〜Dc3)を画素ごとに生成する(S402)。
【0294】
表示装置4000は、ステップS402において生成された判定信号の論理積を画素ごとに演算し、演算結果を制御信号Dcとして出力する(S404)。
【0295】
表示装置4000は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS404において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S406)。
【0296】
表示装置4000は、ステップS406において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS404において生成された制御信号Dcに基づいて、各チャンネルごとの入力画像信号Ri、Gi、Biそれぞれを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(出力画像信号Ro、Go、Bo)を出力する(S408)。
【0297】
図30に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置4000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0298】
(第5の実施形態)
上記では、第1〜第4の実施形態に係る表示装置として、表示部がN+kビットの階調性能を有する構成について説明した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置が備える表示部は、N+kビットの階調性能に限られず、Nビットの階調性能を有することもできる。そこで、次に、本発明の第5の実施形態に係る表示装置として、表示部がNビットの階調性能を有する構成について説明する。
【0299】
図31は、本発明の第5の実施形態に係る表示装置5000を示すブロック図である。図31を参照すると、表示装置5000は、画像処理部500と、表示部590とを備える。
【0300】
画像処理部500は、平滑領域検出部102と、タップ長調整部104と、階調数拡張部106と、擬似階調処理部502とを備える。平滑領域検出部102、タップ長調整部104、および階調数拡張部106は、図1に示す第1の実施形態に係る画像処理部100が備える平滑領域検出部102、タップ長調整部104、および階調数拡張部106と同様の構成を有する。つまり、平滑領域検出部102は、入力画像信号Diに基づいて制御信号Dcを生成し、タップ長調整部104は、制御信号Dcに基づいて調整信号Dtpを画素ごとに出力する。階調数拡張部106は、調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に入力画像信号Diを平滑化してN+kビットの画像信号Deを出力する。
【0301】
擬似階調処理部502は、擬似的な中間階調を使ってN+kビットの画像信号DeをNビットの出力画像信号Doに変換する。
【0302】
ここで、擬似階調処理部502における擬似階調処理について説明する。図32は、本発明の第5の実施形態に係る擬似階調処理部502における擬似階調処理の一例を説明するための説明図であり、擬似階調処理としてディザ処理を用いる場合の例を示している。図32(a)はディザ処理を行う2×2画素の領域を示しており、図32(b)はディザパターンの一例を示している。
【0303】
ディザ処理は、図32(a)のN+kビットの画像信号Deにおける画素a〜dに対して、図32(b)のディザパターンの各画素位置に対応する値を加算した後に、下位kビットを丸めることにより、上位Nビットを出力画像信号として出力する処理である。ここで、ディザ処理は擬似階調処理の一種であり、少ないビット数でより多くのビット数の階調を擬似的に表示することができることが知られている。
【0304】
擬似階調処理部502は、擬似階調処理としてディザ処理を用いることによって、N+kビットの画像信号Deを変換してグラデーション領域の階調性能を向上させたNビットの出力画像信号Doを出力することができる。
【0305】
[擬似階調処理の他の例]
なお、擬似階調処理部502における擬似階調処理は、上記ディザ処理に限られない。例えば、擬似階調処理部502は、擬似階調処理として誤差拡散処理を用いることができる。ここで、誤差拡散処理とは、N+kビットの画像信号をNビットに丸めたときの下位kビット(「誤差データ」という。)の値を周囲の画素信号に加算あるいは減算して、誤差データを拡散していくことによって、擬似的な中間階調を得る方法である。擬似階調処理部502は、誤差拡散処理を用いて擬似階調処理を行ったとしても、上記ディザ処理を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
【0306】
再度図31を参照して、表示装置5000の構成要素について説明する。表示部590は、Nビットの階調性能を有し、画像処理部500から出力されるNビットの出力画像信号Doが示す画像を表示する。
【0307】
上述したように、表示装置5000は、画像処理部500がNビットの入力画像信号Diを一旦、階調数を拡張してN+kビットの画像信号Deに変換した後に、ディザ処理などの擬似階調処理を用いてNビットの出力画像信号Doに変換することによって、グラデーション領域の階調性能を向上させることができる。したがって、表示装置5000は、表示部590の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
【0308】
なお、図31では、入力される画像信号がモノクロ画像の入力画像信号(あるいはカラー画像の複数チャンネルのうちの1チャンネルに対応する画像信号)Diを例に説明を行ったが、第3の実施形態に係る表示装置3000のように、例えば、R/G/Bからなるカラー画像の画像信号に対しても、同様の効果を得ることができる。
【0309】
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る表示装置5000は、Nビットの入力画像信号DiをN+kビットの画像信号Deに変換した後に擬似階調処理を用いてNビットのDoに変換する画像処理部500と、Nビットの階調性能を有する表示部590とを備える。画像処理部500は、第1の実施形態に係る平滑領域検出部102、タップ長調整部104、および階調数拡張部106と同様の構成を有する平滑領域検出部102と、タップ長調整部104と、階調数拡張部106とを備え、入力画像信号Diの平滑化を選択的に行ってN+kビットの画像信号Deを出力する。したがって、表示装置5000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0310】
また、表示装置5000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域の判定結果に応じた制御信号Dcに基づいて平滑化を行う平滑化フィルタのタップ長を平滑化を行う平滑化領域(グラデーション領域に対応)に合わせて調整することができる。したがって、表示装置5000では上述した第1の問題および第2の問題が生じないので、表示装置5000は、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、また平滑化による画質の低下も生じさせない。
【0311】
さらに、表示装置5000は、画像処理部500が擬似階調処理部502を備え、ディザ処理などの擬似階調処理を用いてN+kビットの画像信号DeをNビットの出力画像信号Doに変換することにより、グラデーション領域の階調性能を向上させる。したがって、表示装置5000は、表示部590の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
【0312】
[表示装置5000の変形例]
〔第1の変形例〕
上記では、第5の実施形態に係る表示装置として、画像処理部が第1の実施形態に係る平滑領域検出部102を備え、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の方法によってグラデーション領域を判定する(制御信号Dcを生成する)構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、上記に限られない。例えば、本発明の第5の実施形態の第1の変形例に係る表示装置(以下、「表示装置5500」という。)は、画像処理部が第2の実施形態に係る平滑領域検出部202を備える構成とすることもできる。上記の構成であっても、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を判定することができるので、上述した表示装置5000と同様の効果を奏することができる。
【0313】
〔第2の変形例〕
また、第5の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
【0314】
(第5の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第5の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第5の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
【0315】
(第5の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
本発明の第5の実施形態に係る表示装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上でさらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0316】
[画像処理装置に係るプログラム]
本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置ををコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上でさらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0317】
(第5の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第5の実施形態に係る画像処理方法について説明する。
【0318】
〔1〕第1の画像処理方法
図33は、本発明の第5の実施形態に係る第1の画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、第5の実施形態に係る第1の画像処理方法を表示装置5000が行うとして説明するが、本発明の第5の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0319】
表示装置5000は、図18に示すステップS100と同様に、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S500)。
【0320】
表示装置5000は、図18に示すステップS102、S104と同様に、ステップS500において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S502)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S504)。
【0321】
表示装置5000は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS504において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S506)。
【0322】
表示装置5000は、図18に示すステップS108と同様に、ステップS506において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS504において生成された制御信号Dcに基づいて、入力画像信号Diを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(画像信号De)を出力する(S508)。
【0323】
表示装置5000は、ステップS508において出力された画像信号(画像信号De)に対して擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S510)。ここで、表示装置5000は、例えば、ディザ処理や誤差拡散処理を用いることにより、ステップS510の擬似階調処理を行うことができる。
【0324】
図33に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置5000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上でさらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0325】
〔2〕第2の画像処理方法
図34は、本発明の第5の実施形態に係る第2の画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、第5の実施形態の第2の画像処理方法を第1の変形例に係る表示装置5500が行うとして説明するが、本発明の第5の実施形態の第1の変形例に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0326】
表示装置5500は、図23に示すステップS200と同様に、Nビットの入力画像信号Diに基づいて、画素間の差分値Ddを検出する(S600)。そして、表示装置5500は、図23に示すステップS202と同様に、ステップS600において検出された差分値Ddに基づいてグラデーション領域を判定し、当該判定結果に応じた制御信号Dcを生成する(S602)。
【0327】
表示装置5500は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS602において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S604)。
【0328】
表示装置5500は、図18に示すステップS108と同様に、ステップS604において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS602において生成された制御信号Dcに基づいて、入力画像信号Diを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(画像信号De)を出力する(S606)。
【0329】
表示装置5500は、図33に示すステップS510と同様に、ステップS606において出力された画像信号(画像信号De)に対して擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S608)。
【0330】
図34に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置5500は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上でさらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0331】
(第6の実施形態)
次に、本発明の実施形態に係る表示装置の他の形態である第6の実施形態に係る表示装置について説明する。図35は、本発明の第6の実施形態に係る表示装置6000を示すブロック図である。
【0332】
図35を参照すると、表示装置6000は、画像処理部600と表示部590とを備える。画像処理部600は、基本的に図31に示す第5の実施形態に係る画像処理部500と同様の構成を有するが、さらに、非線形階調変換部602を備える。また、表示部590は、図31に示す第5の実施形態に係る表示部590と同様に、Nビットの階調性能を有する。
【0333】
平滑領域検出部102は、入力画像信号Diに基づいて制御信号Dcを生成し、タップ長調整部104は、制御信号Dcに基づいて調整信号Dtpを画素ごとに出力する。階調数拡張部106は、調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、制御信号Dcに基づいて、対応する画素ごとに選択的に入力画像信号Diを平滑化してN+kビットの画像信号Deを出力する。
【0334】
非線形階調変換部602には、階調数拡張部106から出力される画像信号Deが入力され、例えば、コントラスト強調処理やガンマ処理などの非線形階調変換を行って画像信号Dgを出力する。ここで、非線形階調変換部602における非線形階調変換処理としてコントラスト強調処理を行う場合について説明する。
【0335】
図36は、本発明の第6の実施形態に係る非線形階調変換部602における非線形階調変換処理を説明するための説明図であり、コントラスト強調を行うための入出力変換特性の一例を示している。
【0336】
図36を参照すると、暗部L1と明部L3では階調の差が圧縮され、中間階調L2では階調の差が広がっている。非線形階調変換部602は、例えば、図36のように画像信号Deを補正することにより、画像のコントラスト感が強調された画像信号Dgを出力することができる。
【0337】
擬似階調処理部502は、擬似階調処理としてディザ処理や誤差拡散処理を用いることによって、N+kビットの画像信号Dgを変換してグラデーション領域の階調性能を向上させたNビットの出力画像信号Doを出力することができる。
【0338】
ここで、画像処理部600における各信号の一例を示す。図37は、本発明の第6の実施形態に係る画像処理部600における各信号の一例を示す説明図であり、図8(1)と同様にグラデーション領域を示している。また、図37(a)は入力画像信号Diを示し、図37(b)は周波数成分検出値Dfを示している。同様に、図37(c)〜図37(f)は、平均検出値Dave、制御信号Dc、階調数が拡張された画像信号De、非線形階調変換処理後の画像信号Dgをそれぞれ示している。
【0339】
入力画像信号Diとして、図11(a)と同様に、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる(図37(a))。図11(c)と同様に周波数成分検出値Dfの値は小さくて検出される頻度も低く(図37(b))、また、図11(d)と同様に平均検出値Daveの値は、閾値THよりも小さな値となる(図37(c))。また、図37(c)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さいため、制御信号Dcは、グラデーション領域を表す「1」を示す(図37(d))。図37(d)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、階調数拡張部106は、平滑化されたN+kビットの画像信号Deを出力する(図37(e))。
【0340】
非線形階調変換部602には、階調数拡張部106から出力される図37(e)に示す画像信号Deが入力されるので、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかにすることができる(図37(f))。
【0341】
[第6の実施形態に係る画像処理部の変形例]
図35に示す第6の実施形態に係る画像処理部600では、階調数を拡張した後に非線形階調変換処理を行う構成を示したが、非線形階調変換処理を行った後に階調数を拡張することも可能である。図38は、本発明の第6の実施形態の変形例に係る画像処理部650を示すブロック図である。
【0342】
図38を参照すると、画像処理部650は、基本的に図35に示す画像処理部600と同様の構成を有するが、非線形階調変換部602に入力画像信号Diが入力され、非線形階調変換部602から出力される非線形階調変換後の画像信号Dgに基づいて階調数を拡張する点が、画像処理部600と異なる。
【0343】
ここで、画像処理部650における各信号の一例を示す。図39は、本発明の第6の実施形態の変形例に係る画像処理部650における各信号の一例を示す説明図であり、図37と同様にグラデーション領域を示している。また、図39(a)は入力画像信号Diを示し、図39(b)は非線形階調変換処理後の画像信号Dgを示している。同様に、図39(c)〜図39(f)は、周波数成分検出値Df、平均検出値Dave、制御信号Dc、階調数が拡張された画像信号Deをそれぞれ示している。
【0344】
入力画像信号Diとして、図37(a)と同様に、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる(図39(a))。非線形階調変換部602には、図39(a)に示す入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに対して非線形階調変換処理が行われるので、画像信号Dgには部分的に階調の差が広がる箇所が出てくる(図39(b))。
【0345】
平滑領域検出部102は、図39(b)に示す非線形階調変換処理後の画像信号Dgに基づいてグラデーション領域の判定を行うので、部分的に階調の差が広がった箇所では、グラデーション領域以外の領域として判定される場合がある(図39(c)〜図39(e))。
【0346】
階調数拡張部106は、図39(e)に示す制御信号Dcに応じて選択的に平滑化を行ってN+kビットの画像信号Deを出力する。したがって、階調数拡張部106は、階調の差が広がった箇所では平滑化を行わないため、グラデーション領域を滑らかに変換することができない場合がある(図39(f))。
【0347】
図38、図39を参照して示したように、第6の実施形態に係る画像処理部は、非線形階調変換処理を行った後に階調数を拡張する変形例をとることが可能であるが、処理の順番が処理結果に影響を与える場合がある。
【0348】
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る表示装置6000は、Nビットの入力画像信号DiをN+kビットの画像信号Deに変換した後に非線形階調変換処理を行い、さらに擬似階調処理を用いてNビットのDoに変換する画像処理部600と、Nビットの階調性能を有する表示部590とを備える。画像処理部600は、第1の実施形態に係る平滑領域検出部102、タップ長調整部104、および階調数拡張部106と同様の構成を有する平滑領域検出部102と、タップ長調整部104と、階調数拡張部106とを備え、入力画像信号Diの平滑化を選択的に行ってN+kビットの画像信号Deを出力する。したがって、表示装置6000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、判定結果に応じて平滑フィルタのタップ長を可変させて選択的に画像信号を平滑化して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0349】
また、表示装置6000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域の判定結果に応じた制御信号Dcに基づいて平滑化を行う平滑化フィルタのタップ長を平滑化を行う平滑化領域(グラデーション領域に対応)に合わせて調整することができる。したがって、表示装置6000では上述した第1の問題および第2の問題が生じないので、表示装置6000は、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、また平滑化による画質の低下も生じさせない。
【0350】
また、表示装置6000は、階調数拡張部106から出力されるN+kビットの画像信号Deに対してコントラスト強調処理やガンマ処理などの非線形階調変換を行う非線形階調変換部602を備えることにより、誤検出することなく非線形階調変換しながらグラデーション領域を滑らかにすることができる。
【0351】
さらに、表示装置6000は、第5の実施形態に係る表示装置5000と同様に、画像処理部600が擬似階調処理部502を備え、ディザ処理などの擬似階調処理を用いて、非線形階調変換部602から出力されるN+kビットの画像信号DgをNビットの出力画像信号Doに変換することにより、グラデーション領域の階調性能を向上させる。したがって、表示装置6000は、第5の実施形態に係る表示装置5000と同様に、表示部590の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
【0352】
[表示装置6000の変形例]
〔第1の変形例〕
上記では、第6の実施形態に係る表示装置として、画像処理部が第1の実施形態に係る平滑領域検出部102を備え、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の方法によってグラデーション領域を判定する(制御信号Dcを生成する)構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、上記に限られない。例えば、本発明の第6の実施形態の第1の変形例に係る表示装置(以下、「表示装置6500」という。)は、画像処理部が第2の実施形態に係る平滑領域検出部202を備える構成とすることもできる。上記の構成であっても、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を判定することができるので、上述した表示装置6000と同様の効果を奏することができる。
【0353】
〔第2の変形例〕
また、図35では、表示部590がNビットの階調性能を有し、画像処理部600が擬似階調処理部502を備える構成を示したが、第6の実施形態に係る表示装置は、図35の構成に限られない。例えば、第6の実施形態に係る表示装置は、N+kビットの階調性能を有する表示部を備え、画像処理部が擬似階調処理部を備えない構成とすることもできる。かかる構成であっても、第6の実施形態の第2の変形例に係る表示装置は、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかにすることができる。
【0354】
〔第3の変形例〕
さらに、第6の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
【0355】
(第6の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第6の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第6の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
【0356】
(第6の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
本発明の第6の実施形態に係る表示装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上で、さらに非線形階調変換処理および擬似階調処理を行うことにより、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
【0357】
[画像処理装置に係るプログラム]
本発明の第6の実施形態に係る画像処理装置ををコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上で、さらに非線形階調変換処理および擬似階調処理を行うことにより、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
【0358】
(第6の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第6の実施形態に係る画像処理方法について説明する。
【0359】
〔1〕第1の画像処理方法
図40は、本発明の第6の実施形態に係る第1の画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、第6の実施形態に係る第1の画像処理方法を表示装置6000が行うとして説明するが、本発明の第6の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0360】
表示装置6000は、図18に示すステップS100と同様に、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S700)。
【0361】
表示装置6000は、図18に示すステップS102、S104と同様に、ステップS700において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S702)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S704)。
【0362】
表示装置6000は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS704において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S706)。
【0363】
表示装置6000は、図18に示すステップS108と同様に、ステップS706において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS704において生成された制御信号Dcに基づいて、入力画像信号Diを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(画像信号De)を出力する(S708)。
【0364】
表示装置6000は、ステップS708において出力されたN+kビットの画像信号(画像信号De)に対して、非線形階調変換処理を行う(S710)。ここで、ステップS710における非線形階調変換処理としては、例えば、コントラスト強調処理やガンマ処理などが挙げられるが、上記に限られない。
【0365】
表示装置6000は、ステップS710において非線形階調変換処理が行われた画像信号(画像信号Dg)に対して、図33に示すステップS510と同様に擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S712)。
【0366】
図40に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置6000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上で、さらに非線形階調変換処理および擬似階調処理を行うことにより、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
【0367】
〔2〕第2の画像処理方法
図41は、本発明の第6の実施形態に係る第2の画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、第6の実施形態の第2の画像処理方法を第1の変形例に係る表示装置6500が行うとして説明するが、本発明の第6の実施形態の第1の変形例に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0368】
表示装置6500は、図23に示すステップS200と同様に、Nビットの入力画像信号Diに基づいて、画素間の差分値Ddを検出する(S800)。そして、表示装置6500は、図23に示すステップS202と同様に、ステップS800において検出された差分値Ddに基づいてグラデーション領域を判定し、当該判定結果に応じた制御信号Dcを生成する(S802)。
【0369】
表示装置6500は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS802において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S804)。
【0370】
表示装置6500は、図18に示すステップS108と同様に、ステップS804において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS802において生成された制御信号Dcに基づいて、入力画像信号Diを画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(画像信号De)を出力する(S806)。
【0371】
表示装置6500は、図40に示すステップS710と同様に、ステップS806において出力されたN+kビットの画像信号(画像信号De)に対して、非線形階調変換処理を行う(S808)。
表示装置6500は、ステップS808において非線形階調変換処理が行われた画像信号(画像信号Dg)に対して、図33に示すステップS510と同様に擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S810)。
【0372】
図41に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置6500は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定して画像信号を選択的に平滑化し、入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換した上で、さらに非線形階調変換処理および擬似階調処理を行うことにより、グラデーション領域を滑らかにし、階調性能を向上させることができる。
【0373】
[第6の実施形態に係る画像処理方法の変形例]
図40、図41では、ステップS712、S810において、擬似階調処理によりN+kビットの画像信号をNビットの画像信号に変換する画像処理方法を示したが、第6の実施形態に係る画像処理方法は、図40、図41に示す方法に限られない。例えば、第6の実施形態に係る表示装置は、図40に示すステップS712、図41に示すステップS810の処理を行わず、N+kビットの画像信号をN+kビットの表示部に表示させることもできる。上記の変形例に係る画像処理方法を用いたとしても、第6の実施形態に係る表示装置は、図40、図41に示す画像処理方法を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0374】
(第7の実施形態)
上記では、第6の実施形態に係る画像処理部の変形例として図38のように非線形階調変換処理を入力画像信号Diに対して行う構成を示し、図39に示すように処理の順番が処理結果に影響を与える場合があることを示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、非線形階調変換処理を入力画像信号Diに対して行う構成であっても、グラデーション領域を滑らかに補正することができる。そこで、次に、本発明の第7の実施形態に係る表示装置について説明する。
【0375】
図42は、本発明の第7の実施形態に係る表示装置7000を示す説明図である。図42を参照すると、表示装置7000は、画像処理部700と表示部590とを備える。画像処理部700は、基本的に図38に示す第6の実施形態の変形例に係る画像処理部650と同様の構成を有するが、平滑領域検出部102に入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を判定する点が、第6の実施形態の変形例に係る画像処理部650と異なる。また、表示部590は、図31に示す第5の実施形態に係る表示部590と同様に、Nビットの階調性能を有する。
【0376】
ここで、画像処理部700における各信号の一例を示す。図43は、本発明の第7の実施形態の変形例に係る画像処理部700における各信号の一例を示す説明図であり、図39と同様にグラデーション領域を示している。また、図43(a)は入力画像信号Diを示し、図43(b)は非線形階調変換処理後の画像信号Dgを示している。同様に、図43(c)〜図43(f)は、周波数成分検出値Df、平均検出値Dave、制御信号Dc、階調数が拡張された画像信号Deをそれぞれ示している。
【0377】
入力画像信号Diとして、図37(a)と同様に、1階調ずつ階段状に変化するグラデーション領域を例に挙げる(図43(a))。非線形階調変換部602には、図43(a)に示す入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに対して非線形階調変換処理が行われるので、画像信号Dgには部分的に階調の差が広がる箇所が出てくる(図43(b))。
【0378】
平滑領域検出部102には、入力画像信号Diが入力され、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域の判定を行う。したがって、図37(b)と同様に周波数成分検出値Dfの値は小さくて検出される頻度も低く(図43(c))、また、図37(c)と同様に平均検出値Daveの値は、閾値THよりも小さな値となる(図43(d))。また、図43(d)に示す平均検出値Daveが閾値THより小さいため、制御信号Dcは、グラデーション領域を表す「1」を示す(図43(e))。
【0379】
階調数拡張部106は、図43(e)に示す制御信号Dcがグラデーション領域を示す「1」であるため、平滑化されたN+kビットの画像信号Deを出力する(図43(f))。
【0380】
したがって、画像処理部700は、図43(f)に示すように、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかにすることができる。
【0381】
以上のように、本発明の第7の実施形態に係る表示装置7000は、画像処理部700とNビットの階調性能を有する表示部590とを備える。画像処理部700は、Nビットの入力画像信号Diに対して非線形階調変換処理を行い、Nビットの入力画像信号Diに基づいて生成された制御信号Dcに応じて、非線形階調変換処理後の画像信号DgをN+kビットの画像信号Deに変換する。さらに、画像処理部700は、N+kビットの画像信号Deに対して擬似階調処理を用いることによりNビットのDoに変換する。ここで、画像処理部700は、第6の実施形態に係る非線形階調変換部602と、第1の実施形態に係る平滑領域検出部102、タップ長調整部104、および階調数拡張部106と同様の構成を有する平滑領域検出部102、タップ長調整部104、および階調数拡張部106とを備え、非線形階調変換処理後の画像信号Dgの平滑化を選択的に行ってN+kビットの画像信号Deを出力する。したがって、表示装置7000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換することができる。
【0382】
また、表示装置7000は、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様に、グラデーション領域の判定結果に応じた制御信号Dcに基づいて平滑化を行う平滑化フィルタのタップ長を平滑化を行う平滑化領域(グラデーション領域に対応)に合わせて調整することができる。したがって、表示装置7000では上述した第1の問題および第2の問題が生じないので、表示装置7000は、偽輪郭の発生を有効に防止することができ、また平滑化による画質の低下も生じさせない。
【0383】
さらに、表示装置7000は、第5の実施形態に係る表示装置5000と同様に、画像処理部700が擬似階調処理部502を備え、ディザ処理などの擬似階調処理を用いて、階調数拡張部106から出力されるN+kビットの画像信号DeをNビットの出力画像信号Doに変換することにより、グラデーション領域の階調性能を向上させる。したがって、表示装置7000は、第5の実施形態に係る表示装置5000と同様に、表示部590の階調性能がNビットであったとしても、グラデーション領域の階調性能を向上させた画像を表示することができる。
【0384】
[表示装置7000の変形例]
〔第1の変形例〕
上記では、第7の実施形態に係る表示装置として、画像処理部が第1の実施形態に係る平滑領域検出部102を備え、第1の実施形態に係る表示装置1000と同様の方法によってグラデーション領域を判定する(制御信号Dcを生成する)構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態に係る表示装置は、上記に限られない。例えば、本発明の第7の実施形態の第1の変形例に係る表示装置(以下、「表示装置7500」という。)は、画像処理部が第2の実施形態に係る平滑領域検出部202を備える構成とすることもできる。上記の構成であっても、入力画像信号Diに基づいてグラデーション領域を判定することができるので、上述した表示装置7000と同様の効果を奏することができる。
【0385】
〔第2の変形例〕
また、第7の実施形態に係る表示装置は、上述した第6の実施形態に係る表示装置の変形例と同様に、N+kビットの階調性能を有する表示部を備え、画像処理部が擬似階調処理部を備えない構成とすることもできる。かかる構成であっても、第7の実施形態の第2の変形例に係る表示装置は、上述した表示装置7000と同様の効果を奏することができる。
【0386】
〔第3の変形例〕
さらに、第7の実施形態に係る表示装置は、上述した第1の実施形態に係る表示装置の変形例と同様の変形例をとることができる。
【0387】
(第7の実施形態に係る画像処理装置)
上記では、第7の実施形態に係る表示装置について説明したが、上述した第7の実施形態に係る表示装置(変形例も含む)が備える画像処理部は、表示部とは別体の独立の装置、すなわち、画像処理装置として実現することもできる。
【0388】
(第7の実施形態に係るプログラム)
[表示装置に係るプログラム]
本発明の第7の実施形態に係る表示装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換し、さらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0389】
[画像処理装置に係るプログラム]
本発明の第7の実施形態に係る画像処理装置ををコンピュータとして機能させるためのプログラムによって、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなくグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換し、さらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0390】
(第7の実施形態に係る画像処理方法)
次に、本発明の第7の実施形態に係る画像処理方法について説明する。
【0391】
〔1〕第1の画像処理方法
図44は、本発明の第7の実施形態に係る第1の画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、第7の実施形態に係る第1の画像処理方法を表示装置7000が行うとして説明するが、本発明の第7の実施形態に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0392】
表示装置7000は、図18に示すステップS100と同様に、Nビットの入力画像信号Diから所定の周波数成分を画素ごとに検出する(S900)。
【0393】
表示装置7000は、図18に示すステップS102、S104と同様に、ステップS900において検出された検出値(周波数成分検出値Df)を平滑化し(S902)、平滑化された検出値(平均検出値Dave)に基づいて制御信号Dcを生成する(S904)。
【0394】
表示装置7000は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS904において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S906)。
【0395】
表示装置7000は、Nビットの入力画像信号Diに対して、図40に示すステップS710と同様に、非線形階調変換処理を行う(S908)。なお、図44では、ステップS900〜S906の処理の後にステップS908の処理が行われる例を示しているが、ステップS900〜S906の処理とステップS908の処理とはそれぞれ独立に行うことができる。したがって、表示装置7000は、例えば、ステップS908の処理の後にステップS900〜S906の処理を行うことができ、また、ステップS900〜S906の処理とステップS908の処理とを同期して行うこともできる。
【0396】
表示装置7000は、図18に示すステップS108と同様に、ステップS906において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS904において生成された制御信号Dcに基づいて、ステップ908において非線形階調変換処理が行われた非線形階調変換処理後の画像信号(画像信号Dg)を画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(画像信号De)を出力する(S910)。
【0397】
表示装置7000は、ステップS910において出力された画像信号(画像信号De)に対して、図33に示すステップS510と同様に擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S912)。
【0398】
図44に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置7000は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなく非線形階調変換しながらグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換し、さらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0399】
〔2〕第2の画像処理方法
図45は、本発明の第7の実施形態に係る第2の画像処理方法の一例を示す流れ図である。なお、以下では、第7の実施形態の第2の画像処理方法を第1の変形例に係る表示装置7500が行うとして説明するが、本発明の第7の実施形態の第1の変形例に係る画像処理装置に適用することもできる。
【0400】
表示装置7500は、図23に示すステップS200と同様に、Nビットの入力画像信号Diに基づいて、画素間の差分値Ddを検出する(S1000)。そして、表示装置7500は、図23に示すステップS202と同様に、ステップS1000において検出された差分値Ddに基づいてグラデーション領域を判定し、当該判定結果に応じた制御信号Dcを生成する(S1002)。
【0401】
表示装置7500は、図18に示すステップS106と同様に、ステップS1002において生成された制御信号Dcに基づいて、平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号Dtpを画素ごとに生成する(S1004)。
【0402】
表示装置7500は、Nビットの入力画像信号Diに対して、図40に示すステップS710と同様に、非線形階調変換処理を行う(S1006)。なお、図45では、ステップS1000〜S1004の処理の後にステップS1006の処理が行われる例を示しているが、ステップS1000〜S1004の処理とステップS1006の処理とはそれぞれ独立に行うことができる。したがって、表示装置7500は、例えば、ステップS1006の処理の後にステップS1000〜S1004の処理を行うことができ、また、ステップS1000〜S1004の処理とステップS1006の処理とを同期して行うこともできる。
【0403】
表示装置7500は、図18に示すステップS108と同様に、ステップS1004において生成された調整信号Dtpに基づいて平滑フィルタのタップ長を調整し、ステップS1002において生成された制御信号Dcに基づいて、ステップ1006において非線形階調変換処理が行われた非線形階調変換処理後の画像信号(画像信号Dg)を画素ごとに選択的に平滑化してN+kビットの画像信号(画像信号De)を出力する(S1008)。
【0404】
表示装置7500は、ステップS1008において出力された画像信号(画像信号De)に対して、図33に示すステップS510と同様に擬似階調処理を行い、Nビットの画像信号(出力画像信号Do)に変換する(S1010)。
【0405】
図45に示す画像処理方法を用いることにより、表示装置7500は、入力される画像信号に基づいてグラデーション領域を判定し、誤検出することなく非線形階調変換しながらグラデーション領域を滑らかに補正して入力される画像信号よりも階調数の多い画像信号に変換し、さらに擬似階調処理を行うことにより階調性能を向上させることができる。
【0406】
[第7の実施形態に係る画像処理方法の変形例]
図44、図45では、ステップS912、S1010において、擬似階調処理によりN+kビットの画像信号をNビットの画像信号に変換する画像処理方法を示したが、第7の実施形態に係る画像処理方法は、図44、図45に示す方法に限られない。例えば、第7の実施形態に係る表示装置は、図44に示すステップS912、図45に示すステップS1010の処理を行わず、N+kビットの画像信号をN+kビットの表示部に表示させることもできる。上記の変形例に係る画像処理方法を用いたとしても、第7の実施形態に係る表示装置は、図44、図45に示す画像処理方法を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0407】
以上、第1〜第7の実施形態として表示装置を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られず、例えば、有機ELディスプレイや、FED、PDPなどの自発光型の表示装置や、LCDなどのバックライト型の表示装置、テレビジョン(Television)放送を受信する受信装置に適用することができる。また、本発明の実施形態は、PC(Personal Computer)、サーバ(Server)などのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置などに適用することができる。
【0408】
また、第1〜第7の実施形態に係る画像処理装置は、有機ELディスプレイやLCDなどの表示装置や、PCなどのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置などに適用することができる。
【0409】
また、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0410】
例えば、第5〜第7の実施形態に係る表示装置では、入力される画像信号としてモノクロ画像の処理、あるいはカラー画像の複数チャンネルのうちの1チャンネル分の処理を行う構成を示したが、本発明の実施形態は、かかる構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る表示装置は、第3の実施形態(または第4の実施形態)と、第5〜第7の実施形態それぞれとを組み合わせることによって、カラー画像の複数チャンネルを処理することもできる。
【0411】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0412】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像処理部を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る周波数成分検出部の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るバンドパス・フィルタの周波数特性の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る検出値平滑部における平滑化の一例を説明するための説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る制御信号生成部における閾値処理を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る画像処理部がタップ長調整部を備える意義を説明するための第1の説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る画像処理部がタップ長調整部を備えない場合における問題を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る画像処理部がタップ長調整部を備える意義を説明するための第2の説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る画像処理部のタップ長調整部におけるタップ長調整の他の一例を示す説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る画像処理部における各信号の一例を示す説明図である。
【図12】画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号の第1の例を示す説明図である。
【図13】画像処理部が検出値平滑部を備えない場合における信号の第2の例を示す説明図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る周波数成分検出部を示すブロック図である。
【図15】本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る周波数成分検出部を説明するための説明図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る周波数成分検出部を示すブロック図である。
【図17】本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る表示装置を示すブロック図である。
【図18】本発明の第1の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係る画像処理部を示すブロック図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る画素間差分値検出部における差分値の検出方法を説明する説明図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係る平滑領域判定部における制御信号の出力方法を説明する説明図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図24】本発明の第3の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
【図25】本発明の第3の実施形態に係る画像処理部を示すブロック図である。
【図26】本発明の第3の実施形態に係る画像処理部における各信号の一例を示す説明図である。
【図27】本発明の第3の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図28】本発明の第4の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
【図29】本発明の第4の実施形態に係る画像処理部を示すブロック図である。
【図30】本発明の第4の実施形態に係る画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図31】本発明の第5の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
【図32】本発明の第5の実施形態に係る擬似階調処理部における擬似階調処理の一例を説明するための説明図である。
【図33】本発明の第5の実施形態に係る第1の画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図34】本発明の第5の実施形態に係る第2の画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図35】本発明の第6の実施形態に係る表示装置を示すブロック図である。
【図36】本発明の第6の実施形態に係る非線形階調変換部における非線形階調変換処理を説明するための説明図である。
【図37】本発明の第6の実施形態に係る画像処理部における各信号の一例を示す説明図である。
【図38】本発明の第6の実施形態の変形例に係る画像処理部を示すブロック図である。
【図39】本発明の第6の実施形態の変形例に係る画像処理部における各信号の一例を示す説明図である。
【図40】本発明の第6の実施形態に係る第1の画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図41】本発明の第6の実施形態に係る第2の画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図42】本発明の第7の実施形態の変形例に係る画像処理部を示すブロック図である。
【図43】本発明の第7の実施形態の変形例に係る画像処理部における各信号の一例を示す説明図である。
【図44】本発明の第7の実施形態に係る第1の画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【図45】本発明の第7の実施形態に係る第2の画像処理方法の一例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0413】
100、150、200、300、400、500、600、650、700 画像処理部
102、202、302、402 平滑領域検出部
104 タップ長調整部
106、304 階調数拡張部
108 周波数成分検出部
110 検出値平滑部
112 制御信号生成部
120、306 最大値選択部
122 加算部
190、590 表示部
204 画素間差分値検出部
206 平滑領域判定部
404 論理積演算部
502 擬似階調処理部
602 非線形階調変換部
1000、1500、2000、3000、4000、5000、6000、7000 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する平滑領域検出部と、
前記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と前記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、
前記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、前記画素ごとに生成された前記制御信号に基づいてNビットの前記入力画像信号を前記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部と、
を備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
前記平滑領域検出部は、
入力された前記入力画像信号から所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する周波数成分検出部と、
前記周波数成分検出部が検出した検出信号に基づいて各画素に対応する検出信号をそれぞれ平滑化する検出値平滑部と、
前記検出値平滑部が平滑化した検出信号に基づいて、前記制御信号を画素ごとに生成する制御信号生成部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記周波数成分検出部は、所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する一つのバンドパス・フィルタを備えることを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記周波数成分検出部は、
相異なる所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する複数のバンドパス・フィルタと、
前記複数のバンドパス・フィルタそれぞれから出力される信号に対して、前記信号が出力されたバンドパス・フィルタに応じた係数を乗算する係数乗算部と、
前記係数乗算部から出力される信号に基づいて、画素ごとに最大の信号を選択して出力する最大値選択部と、
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記周波数成分検出部は、
相異なる所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する複数のバンドパス・フィルタと、
前記複数のバンドパス・フィルタそれぞれから出力される信号に対して、前記信号が出力されたバンドパス・フィルタに応じた係数を乗算する係数乗算部と、
前記係数乗算部から出力される信号を画素ごとに加算して出力する加算部と、
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記平滑領域検出部は、
入力された前記入力画像信号に基づいて、画素間の差分値を検出する画素間差分値検出部と、
前記画素間差分値検出部が検出した前記差分値に基づいて平滑化を行う平滑領域を判定し、判定結果に応じた前記制御信号を画素ごとに生成する平滑領域判定部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記階調数拡張部から出力される出力画像信号の階調数を、擬似的な中間階調を用いてNビットの画像信号に変換する第1の擬似階調処理部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記階調数拡張部から出力される出力画像信号を信号レベルに応じて非線形に補正する第1の非線形階調変換部と、
前記非線形階調変換部から出力される補正された出力画像信号の階調数を、擬似的な中間階調を用いてNビットの画像信号に変換する第2の擬似階調処理部と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
Nビットの前記入力画像信号を、信号レベルに応じて非線形に補正する第2の非線形階調変換部をさらに備え、
前記階調数拡張部には、前記第2の非線形階調変換部から出力される補正された入力画像信号が入力されることを特徴とする、請求項1〜8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
Nビット(Nは正の整数)の入力画像信号が複数入力される画像信号処理装置であって、
前記入力画像信号それぞれから所定の周波数帯域の信号を画素ごとに検出する周波数成分検出部と、
前記周波数成分検出部が検出した検出信号に基づいて、複数の入力画像信号それぞれが対応する各画素における検出信号が最大の検出信号を選択する最大値選択部と、
前記最大値選択部が選択した検出信号に基づいて各画素に対応する検出信号それぞれを平滑化する検出値平滑部と、
前記検出値平滑部が平滑化した検出信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する制御信号生成部と、
前記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と前記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、
前記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、前記画素ごとに生成された前記制御信号に基づいてNビットの前記入力画像信号それぞれを前記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部と、
を備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項11】
Nビット(Nは正の整数)の入力画像信号が複数入力される画像信号処理装置であって、
複数の前記入力画像信号に基づいて、前記入力画像信号ごとに画素間の差分値を検出する画素間差分値検出部と、
前記画素間差分値検出部が検出した前記差分値に基づいて平滑領域を前記入力画像信号ごとに判定し、前記入力画像信号それぞれに対する判定結果を示す判定信号を画素ごとに生成する平滑領域判定部と、
前記入力画像信号それぞれに対応する画素ごとの前記判定信号が入力され、前記判定信号の論理積がグラデーション領域を示す場合にはグラデーション領域を示す制御信号を画素ごとに出力する制御信号出力部と、
前記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と前記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、
前記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、前記画素ごとに生成された前記制御信号に基づいてNビットの前記入力画像信号それぞれを前記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部と、
を備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項12】
タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタを画素ごとに備える画像処理装置に用いることが可能な画像処理方法であって、
入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する第1生成ステップと、
前記第1生成ステップにおいて生成された前記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と前記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、前記平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成する第2生成ステップと、
前記第2生成ステップにおいて生成された前記調整信号に基づいて前記平滑フィルタのタップ長を調整し、前記第1生成ステップにおいて画素ごとに生成された前記制御信号に基づいてNビットの前記入力画像信号を前記平滑フィルタで選択的に平滑化して階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力するステップと、
を有することを特徴とする、画像処理方法。
【請求項13】
タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタを画素ごとに備える画像処理装置に用いることが可能なプログラムであって、
入力されたNビット(Nは正の整数)の入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する第1生成ステップ、
前記第1生成ステップにおいて生成された前記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と前記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、前記平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成する第2生成ステップ、
前記第2生成ステップにおいて生成された前記調整信号に基づいて前記平滑フィルタのタップ長を調整し、前記第1生成ステップにおいて画素ごとに生成された前記制御信号に基づいてNビットの前記入力画像信号を前記平滑フィルタで選択的に平滑化して階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力するステップ、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
入力された画像信号を補正する画像信号補正部と、
前記画像信号補正部が補正した画像信号に基づいて、N+kビット(N、kは正の整数)の画像信号が示す画像を表示可能な画像表示部と、
を備え、
前記画像信号補正部は、
入力されたNビットの入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する平滑領域検出部と、
前記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と前記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、
前記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、前記画素ごとに生成された前記制御信号に基づいてNビットの前記入力画像信号を前記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部と、
を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項15】
入力された画像信号を補正する画像信号補正部と、
前記画像信号補正部が補正した画像信号に基づいて、Nビット(Nは正の整数)の画像信号が示す画像を表示可能な画像表示部と、
を備え、
前記画像信号補正部は、
入力されたNビットの入力画像信号に基づいて、グラデーション領域を規定する制御信号を画素ごとに生成する平滑領域検出部と、
前記制御信号に基づいて平滑化を行う平滑領域を特定し、特定された平滑領域の領域端と前記平滑領域に含まれる画素それぞれの位置とに基づいて、タップ長に応じて信号を平滑化する平滑フィルタのタップ長を調整する調整信号を画素ごとに生成するタップ長調整部と、
前記調整信号に基づいてタップ長が可変する平滑フィルタを有し、前記画素ごとに生成された前記制御信号に基づいてNビットの前記入力画像信号を前記平滑フィルタで選択的に平滑化し、階調数が所定数拡張されたN+kビットの出力画像信号を画素ごとに出力する階調数拡張部と、
前記階調数拡張部から出力される出力画像信号の階調数を、擬似的な中間階調を用いてNビットの画像信号に変換する擬似階調処理部と、
を備えることを特徴とする、表示装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2009−157656(P2009−157656A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335257(P2007−335257)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】